説明

ドライバーシート用フロアマット

【課題】車内床のカーペットに対して高い滑り止め効果を発揮しつつ、誤ってアクセルペダルの上に置かれて使用されてもアクセルペダルの元位置への復帰を妨げないドライバーシート用フロアマットを提供する。
【解決手段】ドライバーシート用のフロアマットは、表面側カーペットと、表面側カーペットの裏面側に貼着される裏面側カーペットとを備える。表面側カーペットは、表側基布と、この表側基布に植付けられた表側パイル糸とを有し、裏面側カーペットは、裏面基布と、この裏面基布に植付けられた裏側パイル糸とを有する。裏面側カーペットは、自動車のアクセルペダルに近い第1領域と、アクセルペダルから遠い第2領域とに区分されている。第2領域内の裏側パイル糸は、その先端部分に滑り止め効果を高めるための係合領域を有しているが、第1領域内の裏側パイル糸は、その先端部分に係合領域を有していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車のフロアマットに関し、より特定的には、ドライバーの足元に置かれるドライバーシート用フロアマットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、自動車用内部装着カーペットとして、タフテッドカーペットまたはニードルパンチカーペット(不織布)が使用されている。ニードルパンチカーペットを自動車の内装用に装着した場合、その上に置かれるフロアマットとして、その裏面が、熱可塑性樹脂でスパイク形状を有するもの、または不織布の繊維を溶融させたものが主流である。このような裏面構造を持つフロアマットは、使用中に自動車の内装カーペット上で多少の滑りを発生する。そのため、ドライバーシート用のフロアマットは、安全のために、固定具を介して車体に固定され得るようになっている。
【0003】
しかしながら、純正品ではなく市販のフロアマットを内装カーペット上に置く場合には、固定具を使用することができないことがある。また、純正品であっても、固定具の使用を怠ることもある。その場合、ドライバー(運転者)がブレーキを踏むたびにフロアマットに前方方向の力がかかり、フロアマットが徐々に前方へずれ出すおそれがある。最悪の場合、ドライバーが気付かずにフロアマットがブレーキペダルの裏に入り込み、ブレーキが利かなくなることも想定される。
【0004】
特許第4072916号公報には、裏面側パイル糸の先端部分に滑り止め効果を高めるための係合領域を設けることによって滑り止め効果を高めたフロアマットが開示されている。この公報に開示されたフロアマットであれば、固定具を用いなくても、内装カーペット上でずれにくくなった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4072916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許第4072916号公報に開示されたフロアマットは内装カーペットに対する接着効果が非常に高い。そのため、固定具を使用せずにフロアマットを誤ってアクセルペダルの上を覆うように置いた場合、アクセルペダルを踏み込んだ際にアクセルペダル周辺のフロアマットの裏面が床のカーペットに強力に接着し、アクセルペダルが元の位置に戻らないということが想定される。
【0007】
この発明の目的は、床のカーペットに対して高い滑り止め効果を発揮しつつ、誤ってアクセルペダルの上に置かれて使用されてもアクセルペダルの元位置への復帰を妨げないドライバーシート用フロアマットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に従った自動車のドライバーシート用のフロアマットは、表面側カーペットと、表面側カーペットの裏面側に貼着される裏面側カーペットとを備える。表面側カーペットは、表側基布と、この表側基布に植付けられた表側パイル糸とを有し、裏面側カーペットは、裏面基布と、この裏面基布に植付けられた裏側パイル糸とを有する。裏面側カーペットは、自動車のアクセルペダルに近い第1領域と、アクセルペダルから遠い第2領域とに区分されている。第2領域内の裏側パイル糸は、その先端部分に滑り止め効果を高めるための係合領域を有しているが、第1領域内の裏側パイル糸は、その先端部分に係合領域を有していない。
【0009】
上記構成の本発明によれば、フロアマット全体としては床の内装カーペットに対して高い接着効果および滑り止め効果を発揮するが、アクセルペダルに近い第1領域は内装カーペットに対する接着効果が弱いので、誤ってフロアマットがアクセルペダルの上に置かれて使用されたとしても、アクセルペダルの元位置への復帰を妨げない。
【0010】
一つの実施形態では、第1領域は当該フロアマットの幅方向の一方側(アクセルペダルの位置する側)に位置し、第2領域は幅方向の他方側に位置する。
【0011】
好ましい実施形態では、第2領域内の裏側パイル糸の係合領域は、裏側パイル糸先端部分を加熱することによって形成した縮れ部分である。他の実施形態では、第2領域内の裏側パイル糸の係合領域は、鈎状のものである。第2領域内の裏側パイル糸の係合領域は、下に位置する車内床のカーペットに対して、高い接着効果および高い滑り止め効果を発揮する。第1領域内の裏側パイル糸は、カーペットに対して前後方向および幅方向の滑り止め効果を発揮するが、先端部分に係合領域を有していないのでカーペットに対する接着効果は弱い。
【0012】
好ましくは、表側パイル糸を構成する1フィラメントの太さよりも、裏側パイル糸を構成する1フィラメントの太さの方が大きく、表側パイル糸を構成するフィラメントの本数よりも、裏側パイル糸を構成するフィラメントの本数の方が少ない。裏側パイル糸の材質は、例えば、ナイロン、ポリプロピレンまたはポリエステルである。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、裏面側に裏側パイル糸を含む裏面側カーペットを設け、表側パイル糸を構成する1フィラメントの太さよりも、裏側パイル糸を構成する1フィラメントの太さの方が大きく、第2領域内の裏側パイル糸がその先端部分に係合領域を有しているので、踏み心地の良さを維持しながら優れた滑り止め効果を発揮し得る。また、本発明によれば、表側パイル糸を構成するフィラメントの本数よりも、裏側パイル糸を構成するフィラメントの本数の方を少なくしたので、踏み心地の良さを維持しながら裏側パイル糸が自動車の車内床のカーペットとより絡み易くして、裏側パイル糸による滑り止め効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るフロアマットが車内床カーペット上に置かれている状態を図解的に示す平面図である。
【図2】図2の線II−IIに沿って見た図解的断面図である。
【図3】第1領域と第2領域との区分の他の形態を図解的に示す図である。
【図4】第1領域と第2領域との区分のさらに他の形態を図解的に示す図である。
【図5】ゲージおよびステッチを説明するための模式図である。
【図6】裏側パイル糸の一構造例を示す概念図である。
【図7】裏側パイル糸の他の構造例を示す概念図である。
【図8】裏側パイル糸のさらに他の構造例を示す概念図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るフロアマットの図解的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る自動車のドライバーシート用のフロアマットの各実施の形態について、図を参照しながら説明する。
【0016】
[フロアマットとアクセルペダルとの位置関係]
図1は、ドライバーシート用のフロアマット10が自動車の内装カーペット上の所定位置に置かれている様子を図解的に示している。フロアマット10の幅方向一方側領域Aの前方には、アクセルペダル1およびブレーキペダル2が位置している。図示した実施形態では、フロアマット10の右側前方コーナー部がL字状の開口領域となっており、この開口領域内にアクセルペダル1およびブレーキペダル2が位置している。フロアマット10のうち、自動車のアクセルペダル1に近い領域Aを「第1領域」とし、便宜上図1において斜線を施している。また、アクセルペダル1から遠い領域Bを「第2領域」とする。
【0017】
なお、フロアマット10の後方領域に金属製のリング金具11が取り付けられている。このリング金具11は自動車の車内床に固定されているフック等に係合し、フロアマットを適正な位置に固定する。使用者の中には、リング金具11を備えたフロアマット10であっても、リング金具11と車内床のフックとを係合させるのを怠ることがある。また、純正品ではないフロアマットの中には、リング金具が設けられていないものもある。また、リング金具が設けられていたとしても、リング金具と車内床のフックとの位置が整合せず、両者を係合させることができない場合もある。このような状況を考慮すると、リング金具に頼らなくても、フロアマットを車内床カーペット上に動かないように固定保持できるような構造が必要である。
【0018】
[フロアマット10の構造]
図2を参照して、自動車のドライバーシート用フロアーマット10の構造について説明する。
【0019】
フロアーマット10は、表面側に位置する表面側カーペット100と、この表面側カーペット100の裏面側に、例えば接着層200を介して、貼着される裏面側カーペット300とを備える。なお、表面側カーペット100と裏面側カーペット300との貼り合せは、後述する基布同士が接着層200によって張り合わされ、両者のパイル糸は、互いに外方に向くように張合わされる。
【0020】
[表面側カーペット100の構造]
表面側カーペット100は、表側基布102と、表側基布102に植付けられた表側パイル糸101とを有している。ここで、表面側カーペット100に要求される特性としては、踏み心地の良さが挙げられる。そのため、表側パイル糸101および表側基布102には、以下に示す素材の選択が挙げられる。
【0021】
[表側パイル糸101]
材質:ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル
1フィラメントの太さ:3Dtex(デシテックス)以上30Dtex以下(好ましくは、10Dtex以上20Dtex以下)
フィラメントの本数:50本以上200本以下
トータルDtex:800Dtex以上6000Dex以下
加工方法:生糸(未加工糸)、混繊糸(インターミングル)、撚糸、ヒートセット糸
染色方法:プリント、原料着色、カセ染、チーズ染、連続染
なお、本実施の形態において図示される1本の表側パイル糸101は、たとえば太さが50Dtexのフィラメントを50本束ねたもの(トータルDtexは2500Dtex)である。
【0022】
[表側基布102]
種類:織物、不織布(スパンボンド)
材質:織物(ポリプロピレン、ポリエステル)、不織布(ポリプロピレン、ポリエステル)
重量:20g/m以上150g/m以下
[織規格]
織機:タフティングマシーン
ゲージ:1インチあたり4本以上20本以下
表面形状:カット、カット&ループ、ループ、High&Lowループ
パイル長:3mm以上30mm以下(表側基布から出ている長さ)
ステッチ:3本以上15本以下
パイル重量:100g/m以上6000g/m以下
なお、ゲージとは、図5に示すように、タフト織方向に対して、直交する方向における、1インチ間の針の本数(パイル糸の本数)のことを意味する。また、ステッチとは、タフト織方向と同方向における、1インチ間の織の打ち込み本数のことを意味する。
【0023】
[裏面側カーペット300の構造]
裏面側カーペット300は、裏面基布303と、裏面吸音布302と、裏面基布303および裏面吸音布302に植付けられた裏側パイル糸301とを有している。ここで、裏面側カーペット300に要求される特性としては、吸音効果および滑り止め効果の良さが挙げられる。そのため、裏側パイル糸301、裏面吸音布302および裏面基布303には、以下に示す素材の選択が挙げられる。
【0024】
[裏側パイル糸301]
材質:ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル
1フィラメントの太さ:30Dtex(デシテックス)以上1500Dex以下
フィラメントの本数:2本以上50本以下
トータルDtex:1000Dtex以上5000Dex以下
加工方法:生糸(未加工糸)、混繊糸(インターミングル)、撚糸、ヒートセット糸
染色方法:プリント、原料着色、カセ染、チーズ染、連続染
[裏面吸音布302]
種類:不織布(スパンボンド)
材質:ポリプロピレン、ポリエステル
重量:60g/m以上800g/m以下
[裏面基布303]
種類:織物、不織布(スパンボンド)
材質:織物(ポリプロピレン、ポリエステル)、不織布(ポリプロピレン、ポリエステル)
重量:20g/m以上150g/m以下
[織規格]
織機:タフティングマシーン
ゲージ:1インチあたり2本以上10本以下
表面形状:カット
パイル長:3mm以上10mm以下(裏面吸音布から出ている長さ)
ステッチ:3本以上15本以下
パイル重量:100g/m以上2500g/m以下
[接着層200]
また、接着層200としては、SBR系ラテックス、NBR系ラテックス、ホットメルト系接着剤が用いられ、接合方法としては、SBR系ラテックスおよびNBR系ラテックスの場合には熱風乾燥、ホットメルト系接着剤の場合には冷却加工が挙げられる。
【0025】
[裏側パイル糸301の係合領域301a]
図2に示すように、裏面側カーペット300は、自動車のアクセルペダル1に近い第1領域Aと、アクセルペダル1から遠い第2領域Bとに区分されている。第2領域B内の裏側パイル糸301は、その先端部分に滑り止め効果を高めるための係合領域301aを有しているが、第1領域A内の裏側パイル糸301は、その先端部分に係合領域を有していない。
【0026】
係合領域301aは、例えば、裏側パイル糸301の先端部分を加熱することによって形成した縮れ部分である。他の例として、裏側パイル糸301の先端部分を鈎状に曲げたものでも良い。
【0027】
[係合領域301aの形成方法]
裏側パイル糸301の先端部分を加熱溶融させて縮れ部分を形成する方法として、例えば、以下の手法がある。
【0028】
a)パイル糸表面をガスバーナーで直接溶かす直火式手法。
【0029】
b)電気またはガスによる赤外線ヒータやホットエアーによって、パイル糸表面を非接触で溶かす手法。
【0030】
また、第2領域B内の裏側パイル糸301の先端部分だけを溶融させ、第1領域A内の裏側パイル糸301の先端部分を溶融させないようにするための方法として、例えば、以下の手法がある。
【0031】
a)加熱装置側に、熱の当たらない領域を設けるか、熱を放射しない領域を設ける。
【0032】
b)フロアマット10の裏面側カーペット300の第1領域Aに熱が当たらないようにするために、第1領域Aを耐熱板等で覆う。
【0033】
上記の係合領域301aの形成方法であれば、裏側パイル糸301の先端部分が溶融している領域と、溶融していない領域とが、目視ではわからず外観に影響を与えない。また、手で触れても両領域の差異がわからないので、手触り感にも影響を与えない。
【0034】
滑り止め効果を与えるために不織布全体をガスバーナー等で焼いた場合、溶融した箇所を手で触れると固さを感じる。しかし、本発明の実施形態のように、裏側パイル糸301の単糸の先端部のみを溶融させた場合には、糸の持つ風合いを損うことなく、手で触れてもわからない。さらに、加熱溶融後のパイル繊維のダメージが少ないため、吸音効果にも影響を与えない。
【0035】
[図1および図2の実施形態の作用効果]
裏面側パイル糸301は、車内床カーペットに食込むので、車両の前後方向および幅方向に関して良好な滑り止め効果を発揮する。第2領域B内の裏側パイル糸301は、その先端部分に滑り止め効果を高めるための係合領域301a有している。この係合領域301aは、車内床カーペットに強固に絡み合うので、車内床カーペットに対するフロアマット10の接着効果(マットの厚み方向に接着効果)を高める。こうして、フロアマット全体としては車内床カーペットに対して高い接着効果および滑り止め効果を発揮する。
【0036】
他方、アクセルペダル1に近い第1領域A内の裏側パイル糸301は係合領域を有していないので、車内床カーペットに対する接着効果が弱い。従って、使用者が誤ってフロアマットをアクセルペダルの上に置き、その状態のままでアクセルペダルを踏んだとしても、アクセルペダルを覆う第1領域Aの裏側パイル糸301は車内床カーペットに強固に接着しないので、アクセルペダル周辺のフロアマット10が車内床に接着することはなく、アクセルペダルの元位置への復帰を妨げない。
【0037】
フロアーマット10においては、裏面側に裏面吸音布302を含む裏面側カーペット300を設けている。また、表側パイル糸101に比べて、裏面側のパイル糸301にフィラメントの太いものを使用すること、フィラメントの本数を少なくすること、トータルDtexを小さくすること、さらに、ゲージ本数およびステッチ本数を小さくする(パイル糸の密度を表面側よりも、裏面側において疎となるようにする)ことにより、表面側カーペット100においては踏み心地の良さを維持しながら、裏面側カーペット300においては、パイル糸301が自動車の車内のカーペットと絡み合い、高い滑り止め効果を得ることが可能となる。また、裏面側カーペット300には、裏面吸音布302が設けられていることから、吸音効果を高めることが可能となる。
【0038】
さらに、防水効果のある接着層200を使用することにより、自動車の車内のカーペットへの漏水を防止することが可能になる。また、フロアーマット10を構成する素材として、不織布を中心に用いることにより、フロアーマット10の軽量化・コストダウンを図ることが可能になる。
【0039】
なお、自動車用フロアーマット10の滑り止め効果をさらに高めるため、図6〜図8に示す構造の裏側パイル糸を使用してもよい。図6に示す裏側パイル糸301Aは、6+66ナイロンの共重合体32aと66ナイロン32bとのフィラメント32を中心にして、上記裏側パイル糸301を束ねたものである。図7に示す裏側パイル糸301Bは、6+66ナイロンの共重合体32aと66ナイロン32bとのフィラメント32のみを用いて束ねたものである。図8に示す裏側パイル糸301Cは、ナイロンやポリエステル等からなるフィラメント32Aを束ねたものである。
【0040】
なお、上記6+66ナイロンの共重合体32aと66ナイロン32bとを撚糸したフィラメント32は、高融点部材の周りに低融点部材を重合することにより、乾燥機等の熱により両部材が融合して、より一層強固な糸となることにより、車内床のカーペットに絡み易くなり、自動車の車内のカーペットへの係合力を高めることが期待できる。
【0041】
[第1領域Aと第2領域Bとの区分]
図1に示す実施形態では、第1領域Aはフロアマット10の幅方向の一方側に位置し、第2領域Bは幅方向の他方側に位置していた。図3に示す実施形態では、アクセルペダルに近い第1領域Aは、フロアマットの前後方向における前方側に位置し、アクセルペダルから遠い第2領域Bは、フロアマットの前後方向における後方側に位置している。図4に示す実施形態では、第1領域Aは、アクセルペダルに近接するL字状開口部に沿うようにL字形状となっている。
【0042】
[他の実施形態]
図9は、フロアマットの他の実施形態を示している。
【0043】
フロアーマット20の基本的構造は、図2に示したフロアーマット10と同じであり、相違点は表面側カーペット100として、表面吸音布103を追加している点にある。表面吸音布103の素材としては、例えば以下のものが選ばれる。
【0044】
種類:不織布(ニードルパンチ)
材質:ポリプロピレン、ポリエステル
重量:60g/m以上500g/m以下
以上、上記構成からなるフロアーマット20においても、上記実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、表面吸音布103を追加することにより、防音効果のさらなる向上、および踏み心地の向上を図ることを可能としている。
【0045】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は図示した実施形態に限定されるものではなく、本発明と同一の範囲内または均等の範囲内において種々の修正や変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は、高い滑り止め効果を発揮しつつ、安全性にも優れたフロアーマットとして有利に利用され得る。
【符号の説明】
【0047】
1 アクセルペダル、2 ブレーキペダル、10 ドライバーシート用フロアマット、11 リング金具、100 表面側カーペット、101 裏側パイル糸、102 表側基布、103 表面吸音布、200 接着層、300 裏面側カーペット、301 裏側パイル糸、301a 係合領域、302 裏面吸音布、303 裏面基布、A 第1領域、B 第2領域。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドライバーシート用のフロアマットであって、
表面側カーペットと、
前記表面側カーペットの裏面側に貼着される裏面側カーペットとを備え、
前記表面側カーペットは、表側基布と、この表側基布に植付けられた表側パイル糸とを有し、前記裏面側カーペットは、裏面基布と、この裏面基布に植付けられた裏側パイル糸とを有し、
前記裏面側カーペットは、自動車のアクセルペダルに近い第1領域と、アクセルペダルから遠い第2領域とに区分され、
前記第2領域内の裏側パイル糸は、その先端部分に滑り止め効果を高めるための係合領域を有しているが、前記第1領域内の裏側パイル糸は、その先端部分に前記係合領域を有していない、自動車のドライバーシート用フロアマット。
【請求項2】
前記第1領域は当該フロアマットの幅方向の一方側に位置し、前記第2領域は幅方向の他方側に位置する、請求項1に記載の自動車のドライバーシート用フロアマット。
【請求項3】
前記第2領域内の裏側パイル糸の係合領域は、裏側パイル糸先端部分を加熱することによって形成した縮れ部分である、請求項1または2に記載の自動車のドライバーシート用フロアマット。
【請求項4】
前記第2領域内の裏側パイル糸の係合領域は、鈎状のものである、請求項1または2に記載の自動車のドライバーシート用フロアマット。
【請求項5】
前記表側パイル糸を構成する1フィラメントの太さよりも、前記裏側パイル糸を構成する1フィラメントの太さの方が大きく、
前記表側パイル糸を構成するフィラメントの本数よりも、前記裏側パイル糸を構成するフィラメントの本数の方が少ない、請求項1〜4のいずれかに記載の自動車のドライバーシート用フロアマット。
【請求項6】
前記裏側パイル糸の材質は、ナイロン、ポリプロピレンまたはポリエステルである、請求項1〜5のいずれかに記載の自動車のドライバーシート用フロアマット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−230743(P2011−230743A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105706(P2010−105706)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(597072213)ヨシミツ毛織株式会社 (2)
【Fターム(参考)】