説明

ドラム式洗濯乾燥機

【課題】霧化用水が薬液とされても超音波振動子を保護して、また、昇温しにくくして、超音波振動子の破損を回避しやすく、さらには、ミスト供給部のかさ張り防止に有利なものとする。
【解決手段】衣類等を乾燥させる循環送風経路9と、循環送風経路9内のミスト供給部30とで、供給するミスト20により衣類を消臭やシワのばしのために湿らせまたは濡らすミスト処理するのに、ミスト供給部30は、超音波振動子32の振動面32aが露出した作用水槽312と、超音波振動子32からの振動により霧化される霧化用水21を貯める水貯め槽311とを持ち、少なくとも、水貯め槽311の霧化用水21は、超音波振動子32の振動を作用水槽312に収容した作用水21aと、作用水21aおよび霧化用水21とを隔絶する二次振動材313とを介し伝播させて、霧化するようにして、超音波振動子32を霧化用水21から保護し、前記目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動により発生するミストにより回転軸線が水平か前面側から背面側に下方に傾斜した回転ドラム内の衣類等を湿らせるミスト処理後、加熱空気により前記衣類等を乾燥させてシワのばしや消臭が図れるドラム式洗濯乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、乾燥工程で、衣類等の洗濯物が入った回転ドラムを高速度で回転させ、乾燥させる間において、洗濯物が回転ドラムの内側壁などに張り付きながら乾燥されるため、乾燥された後の衣類等にシワが入るのが避けられず、このような衣類等をさらにハンガー等に架けて干す際にシワを伸ばすための手間を加えたり、さらにその後にアイロンがけを行ったりといったことが必要であった。
【0003】
そこで、最近、微細な液滴からなるミストを発生する霧化ユニットを備え、衣類等の入った回転ドラムにミストを導入して、乾燥工程で衣類等に入った静電気やシワを低減する洗濯乾燥機(例えば、特許文献1、2参照)や、衣類を収容する乾燥室にミストを導入して、衣類等を乾燥・脱臭する衣類乾燥機が開発されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
特許文献1に開示された洗濯乾燥機は、外槽、この外槽内に回転自在に配設されて洗濯物を収容する内槽、送風ファンにより外槽内の空気を排気して除湿した後加熱し、外槽内に送風することを繰り返し、内槽内の衣類を乾燥させる温風循環経路、この温風循環経路の加熱手段を経た内槽への温風供給口近傍に設けられ、乾燥工程において温風循環経路内へミストを噴霧するよう構成されている。そして、乾燥工程にて衣類を撹拌した際に発生する静電気を除去し、静電気による人体への不快感を解消するとともに、乾燥終了後の衣類のシワを低減することができるとされている。また、温風供給口は外槽の上面の開閉されない後部に位置し、内槽にはその上端開口から直接乾燥空気やミストを導入するようにしている。特許文献2に記載のものは回転ドラムを回転軸が正面側から背面側に下方に傾斜するように配置している。
【特許文献1】特開2003−311067号公報
【特許文献2】特開2006−311067号公報
【特許文献3】特開2006−158585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本出願人は、ミスト処理のためのミスト供給部として超音波振動子を利用したミスト発生方式を採用した機種を開発し実用に供しているが、超音波振動子はダメージを受けやすい。例えば、近時、ミスト処理のために供給するミスト中に殺菌効果のあるAgイオンを含めたり、洗剤を含めたり、柔軟剤を含めたりすることがあり、霧化用水が純水でなく強酸、強アルカリなどといったいわば薬液であるような場合、超音波振動子の振動表面が侵されることで共振点がずれたり電極が溶解されることで、ミストを発生できないことがある。
【0006】
本発明の目的は、霧化用水が薬液とされても超音波振動子を保護して、また、昇温しにくくして、超音波振動子の破損を回避しやすく、さらには、ミスト供給部のかさ張り防止に有利なドラム式洗濯乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような目的を達成するために、本発明のドラム式洗濯乾燥機は、送風ファンによ
り水槽内の空気を排気して結露水の排水を伴い除湿した後加熱し、前記水槽内に送風することを繰り返し、前記水槽に収容され多数の透孔を持ち回転軸線が水平か前面側から背面側に下方に傾斜した回転ドラム内の衣類等を乾燥させる循環送風経路と、この循環送風経路の送風側に位置し超音波振動子を持ったミスト供給部と、を備え、ミスト供給部は、超音波振動子の振動面が露出した作用水槽と、超音波振動子からの振動により霧化される霧化用水を貯める水貯め槽とを持ち、水貯め槽内の霧化用水は、超音波振動子の振動を作用水槽内に収容した作用水と、作用水および霧化用水とを隔絶する二次振動材とを介し伝播させて、霧化するようにして、超音波振動子を霧化用水から保護することを1つの特徴としている。
【0008】
このような構成では、ドラム式洗濯乾燥機が循環送風経路にミストを供給するミスト供給部を持っていることによって、回転ドラム内の衣類等を湿らせあるいは濡らすミスト処理ができ、その後の乾燥等との組み合わせにより、消臭やシワのばし等が行える。ミスト処理において、霧化用水に衣類等の品質や仕上がりの向上などを目指して薬液が用いられても、超音波振動子は作用水槽に露出して作用水と接触しているが、水貯め槽の霧化用水とは二次振動材で隔絶されて保護され霧化用水に侵されることはないので、霧化用水が薬液とされることで超音波振動子の寿命が低下することはなく、超音波振動子の振動を超音波振動子が接触している作用水から二次振動材とを介し霧化用水に伝搬して霧化しミストを安定して発生させ続けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の1つの特徴によれば、回転ドラム内の衣類等を湿らせあるいは濡らすミスト処理ができ、その後の乾燥等との組み合わせにより、消臭やシワのばし等が行える。ミスト処理において、霧化用水に衣類等の品質や仕上がりの向上などを目指して薬液が用いられても、超音波振動子は水貯め槽の霧化用水から隔絶されて保護されるので侵されず、霧化用水が薬液とされても超音波振動子の寿命が低下することはなく、超音波振動子からの振動は超音波振動子に接している作用水から二次振動材とを介し霧化用水に伝搬して霧化しミストを安定して発生させ続けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のドラム式洗濯乾燥機に係る最良の実施の形態について、図面に基づき説明する。なお、下記に開示される実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、実施の形態で開示された内容ではなく、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれると解されるべきである。
【0011】
まず、本発明の実施の形態に係る霧化ユニットを備えたドラム式洗濯乾燥機の構造・動作について、図1〜図4に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の構造を説明するための側面断面図であり、図2は、ドラム式洗濯乾燥機の循環送風経路および霧化ユニットの配置を説明するための筐体背面側から見た斜視図である。また、図3は、ドラム式洗濯乾燥機の循環送風経路および霧化ユニットの構造を説明するための筐体背面側から見た一部を切り欠いて示す断面図であり、図4は、ドラム式洗濯乾燥機の霧化ユニットと水槽との接続構造を説明するための側面断面図である。
【0012】
まず、本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機1は、洗濯乾燥機筐体2内に図示しないサスペンション構造によって水槽3がフローティング状態に配設され、水槽3内に有底円筒形に形成された回転ドラム4がその軸心方向を正面側から背面側に向けて下向きに傾斜させて配設されている。水槽3の正面側には回転ドラム4の開口端に通じる衣類出入口が形成され、洗濯乾燥機筐体2の正面側に形成された上向き傾斜面に設けられた開口部を開閉可能に閉じる扉5を開くことにより、衣類出入口を通じて回転ドラム4内に対し
て洗濯物を出し入れすることができる。扉5が上向き傾斜面に設けられているため、洗濯物を出し入れする作業を、腰を屈めることなく実施でき、一般には横向きにある開口部から洗濯物を出し入れするドラム式洗濯機の作業性の悪さが改善されている。
【0013】
回転ドラム4には図1、図4に示すように、その周壁4aおよび底壁4bに水槽3内に通じる多数の周壁透孔4cおよび底壁透孔4fが形成されるとともに、その底壁4bには、水槽3の背面壁の上部に形成された温風供給口18に対向する円周方向に沿った複数位置に底面導入口4dが形成されており、底壁4b裏面には図7、図8に示すように放射状リブ4gが複数位置形成され、さらに放射状リブ4gと交差するように円周方向に円周方向リブ4hが同心円状に2箇所形成されている。
【0014】
また、周壁4a内面の複数位置に攪拌突起4eが設けられている。この回転ドラム4は、水槽3の背面側に取り付けられたモータ6によって正転および逆転方向に回転駆動される。また、水槽3には、給水管路7および排水管路8が配管接続され、図示しない給水弁および排水弁の制御によって水槽3内への給水および水槽3内からの排水がなされる。
【0015】
扉5を開いて開口部から回転ドラム4内に洗濯物および洗剤(ただし、洗剤は注水初期に自動投入される場合がある。)を投入して、ドラム式洗濯乾燥機1の運転を開始すると、水槽3内には給水管路7から所定量の注水がなされ、モータ6により回転ドラム4が回転駆動されて洗濯工程が開始される。回転ドラム4の回転により、回転ドラム4内に収容された洗濯物は回転ドラム4の内周壁に設けられた攪拌突起4eによって回転方向に持ち上げられ、持ち上げられた適当な高さ位置から落下する攪拌動作が繰り返されるので、洗濯物には叩き洗いの作用が及んで洗濯がなされる。
【0016】
所要の洗濯時間が経過した後、汚れた洗濯液は排水管路8から排出され、回転ドラム4を高速で回転させる脱水動作により洗濯物に含まれた洗濯液を脱水し、その後、水槽3内に給水管路7から給水してすすぎ・脱水工程が実施される。このすすぎ・脱水工程においても、回転ドラム4内に収容された洗濯物は、回転ドラム4の回転により攪拌突起4eにより持ち上げられて落下する攪拌動作が繰り返され、すすぎ洗いが実施される。そして、すすぎ洗いを実施した後、再度、回転ドラム4を高速で回転させる脱水動作により洗濯物に含まれた水を脱水して、すすぎ・脱水工程を終了する。
【0017】
このドラム式洗濯乾燥機1には、回転ドラム4内に収容した洗濯物を乾燥する機能が設けられ、水槽3内の空気を排気して除湿し、加熱した乾燥空気を再び水槽3内に送風する循環送風経路9が設けられている。この循環送風経路9の途中には、洗濯乾燥機筐体2内の下位の位置に、蒸発器10などの除湿手段、凝縮器11などの加熱手段および送風ファン12などの送風手段が設けられている。循環送風経路9は、水槽からの排気を図る水槽3から送風ファン12に至る間の循環空気導入管路13と、送風ファン12から水槽3に至る間の乾燥空気送風管路14とで構成されており、乾燥空気送風管路14おける水槽3背面壁に形成された温風供給口18に近接した上方の位置に霧化ユニット30が接続されている。
【0018】
乾燥空気送風管路14は、洗濯乾燥機筐体2内の後方(水槽3の背面側)の空間において、上流側から順に、下部管路15、可撓ダクト16および上部管路17をもって構成されており、上部管路17の下流端の下方に連通口17aが開口され、この連通口17aは水槽3の背面に設けられた温風供給口18に接続されている。上部管路17は、その下方部分においては筐体2の中央寄りに傾斜して立ち上げられ、途中で略90°屈曲されて、その上方部分においては水槽3の温風供給口18に向けて下方に傾斜している。可撓ダクト16は、可撓性を有する管材を用いて構成され、回転ドラム4の回転あるいは始動・停止に伴う下部管路15の振動が送風ファン12側に伝達されるのを防止している。蒸発器
10で除湿され、凝縮器11で加熱された乾燥空気は、乾燥空気送風管路14を経由して、この温風供給口18から水槽3、およびその内部に位置する回転ドラム4に送り込まれる。
【0019】
送風ファン12を高速で回転駆動することにより、循環送風経路9に空気の流れが発生して、洗濯物を収容した回転ドラム4内の湿気た空気は、周壁4aに設けられた周壁透孔4cを通じて水槽3から送風ファン12側への循環空気導入管路13に排気され、送風ファン12の上流に位置する蒸発器10により水分を結露させて除湿されるとともに、凝縮器11との熱交換により加熱されることにより、高温の乾燥空気とされる。
【0020】
この加熱された乾燥空気は、送風ファン12から水槽3への乾燥空気送風管路14に送り出されて、水槽3に設けられた温風供給口18を介して水槽3内に送り込まれる。水槽3内に送り込まれた高温の乾燥空気は、回転ドラム4の底壁4bに設けられた底面開口4dおよび底壁透孔4fを通じて回転ドラム4内に導入され、衣類などの洗濯物の間を流通し、乾燥させながら、湿った空気となって周壁4aに設けられた周壁透孔4cから水槽3へと抜け、再度、循環空気導入管路13へと導入される。このような循環送風経路9(循環空気導入管路13、乾燥空気送風管路14)での空気の循環により乾燥工程が実施される。
【0021】
ここで、本実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機1には、後述する霧化ユニット30および、回転ドラム4を回転させながら乾いた衣類のシワをのばして低減させることを目的とした「シワのばしコース」が設けられている。この「シワのばしコース」においては、蒸発器10および凝縮器11を停止させ、回転ドラム4および送風ファン12の回転速度を通常の乾燥工程におけるよりも低速で回転させるとともに、霧化ユニット30を起動させることにより、霧化ユニット30で微細な液滴からなるミスト20を発生させ、このミスト20を、乾燥空気送風管路14を流通する乾燥空気流に落とし込んで、詳しくは後述するが、ミスト20中に微細なウェットミストおよびドライミストが多く存在する状態で水槽3に送り込み、回転ドラム4内に導入する。このようにして、回転ドラム4内の隅々にまでミスト20を充満させ、衣類表面を効果的に湿らせて、乾燥状態にある衣類のシワを低減させるシワ低減効果を持たせた工程が実行される。さらに、その後、霧化ユニット30を停止させ、回転ドラム4および送風ファン12の回転速度を通常の乾燥工程と同じ速度にまで上昇させるとともに、蒸発器10および凝縮器11を動作させて、通常の乾燥運転を実施して、衣類を乾燥させながらその衣類のシワをのばすことができる。なお、上記の「シワのばしコース」においては、必ずしも回転ドラム4を回転させなくてもよい。
【0022】
また、上記の「シワのばしコース」においては、上記のようにミスト20でシワを低減することが可能であるとともに、さらに以下の原理により脱臭効果も期待できるものである。通常、臭いは、臭い成分が分子として衣類表面に付着している。例えば、タバコ、焼肉の臭いなどがそうであるが、この臭い分子にミスト20がぶつかることで、臭い分子と衣類の繊維との結合を水分子に置換させる作用、あるいは水自身に溶かし込む作用により、衣類から脱離させる。そして、このようなミスト処理後に、乾燥運転を行い、臭い成分が溶解している水を高温低湿な空気により蒸発させることで、臭い分子が衣類に再付着することを防止し、脱臭することが可能となる。
【0023】
ここで、綿や麻などのセルロース系繊維類のシワのばしメカニズムについて説明すると、衣類にできたシワは通常繊維同士が図13(a)に示すように水素結合して互いに拘束し合うことで安定化されている。そこで、衣類の繊維を均一に湿らせると図13(b)に示すように繊維同士の水素結合がなくなり、繊維同士が自由に動けるようになる。この状態で回転ドラム4を回転させて持ち上げて落して叩くことを繰り返すことで図13(c)に示すように繊維が伸び衣類のシワのばしができる。シワのばし後乾燥することで伸びた
繊維同士が図13(d)に示すように再度水素結合して伸びた状態に固定し合い衣類はシワが延びた状態に安定する。
【0024】
また、ミスト処理による消臭メカニズムについて説明する。衣類への臭いの付着は、図14(a)に示すように臭い分子が繊維と結合することでなされる。また、そこでで、繊維をミストで均一に湿らすと、水で濡らすような場合の乾燥負荷を増大させずにミスト粒子をなしている水分子が図14(b)に示すように繊維に対する臭い分子の結合を水分子で置換し、臭い分子の結合を切り、繊維から離れやすくする。そこで、送風すると図14(c)に示すように繊維から離れやすくなっている臭い分子を衣類から持ち運んで消臭することができる。
【0025】
したがって、本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機1において、ミスト処理後に乾燥させることによって、シワのばしと消臭ができる。しかも、乾燥工程において水槽3、回転ドラム4内を経て排気される臭い分子を持ち運んでいる湿った空気は蒸発器10によって湿気を結露水として凝集されるが、この結露水に衣類から持ち運んできた臭い分子が捕捉されて結露水と共に排水されるので、一旦衣類から分離され循環空気によって持ち運ばれた臭い分子が循環して衣類に付着することはない。
【0026】
次に、本発明に係る霧化ユニット30の構成および「シワのばしコース」について、図5、図6および前掲の図面に基づき詳細に説明する。図5は、本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機1の霧化ユニットの構造を説明するための側面断面図であり、図6は、その背面断面図である。
【0027】
霧化ユニット30は、この温風供給口18に近接した上方の位置に配設され、ミスト発生源としての水21を貯留する水貯め容器31と、水貯め容器31に貯留された水21に対して超音波振動を加える超音波振動子32と、水貯め容器31に水21を注入する注水装置33と、水貯め容器31内の水温を測定する水温センサ25と、を備えて構成されている。そして、霧化ユニット30の水貯め容器31が、水槽3の背面において温風供給口18に隣接した上方位置に配置され、温風供給口18の上方に位置する接続口31eを介して直接乾燥空気送風管路14(循環送風経路9)の上部管路17に接続されている。
【0028】
水貯め容器31は、水槽3の背面外側に隣接して固定され、水貯め容器31の水槽3に対向する前方側の側壁31bが水槽3の背面に沿って鉛直方向に対して傾斜して形成され、後方側の側壁31bが洗濯乾燥機筐体2の背面パネルに沿って鉛直方向に形成され、水貯め容器31の底壁31a側が幅広に形成されている。
【0029】
この水貯め容器31には、ミスト発生源としての水21が貯留されており、その上部にこの水21を注水装置33から注入する注水口31cが設けられ、上部管路17に対向する側の側壁31bに開口堰31dが設けられ、これにより、温風供給口18の上方部分で上部管路17に接続する接続口31eが設けられている。注水口31cから水貯め容器31内に注入された水21をこの開口堰31dから接続口31eを介して温風供給口18上方の上部管路17にオーバーフローさせることにより、簡単な構成で水貯め容器31内の水21を一定の水位に保つように構成している。なお、この開口堰31dからオーバーフローした水21は、接続口31e、上部管路17、連通口17a、温風供給口18を介して水槽3に送給され、排水管路8を経由して機外に排出される。
【0030】
ところで、既述したようにミスト処理のために供給するミスト中に殺菌効果のあるAgイオンを含めたり、洗剤を含めたり、柔軟剤を含めたりすることがあり、霧化用の水21が純水でなく強酸、強アルカリなどといったいわば薬液であるような場合、超音波振動子の振動表面が侵されることに対応して、本実施の形態の霧化ユニット30は、作用水21
aおよび霧化用の水21とを隔絶する二次振動材313とを介し伝播させて、霧化する間接霧化方式を採用して、超音波振動子32を霧化用の水21から保護するようにしている。このため、霧化ユニット30は水貯め容器31に注水される霧化用の水21を収容しオーバーフロー可能とした水貯め槽311と作用水21aを封入した作用水槽312とを備え、超音波振動子32は作用水槽312内の作用水21a中に露出し、作用水室312内の作用水21aと水貯め槽311内の水21とは作用水室312と水貯め槽311とを仕切る二次振動材40によって隔絶されている。
【0031】
これにより、ミスト処理において、霧化用の水21に衣類等の品質や仕上がりの向上などを目指して薬液が用いられても、超音波振動子32は作用水槽312に露出して作用水21aと接触しているが、水貯め槽311の水21とは二次振動材313で隔絶されて保護され霧化用の水21に侵されることはないので、霧化用水が薬液とされることで超音波振動子の寿命が低下することはなく、超音波振動子32の振動を超音波振動子32が接触している作用水21aから二次振動材313を介し霧化用の水21に伝搬して霧化しミスト20を安定して発生させ続けられる。
【0032】
さらに詳述すると、超音波振動子32は、超音波振動を発生させる圧電素子の振動面32aを水貯め容器31の底壁31aに密着させて配置されて、この底壁31aを共有する作用水槽312内に露出させて作用水21aと接触し、かつ、作用水槽312とその上の水貯め槽311とを仕切る二次振動材313と作用水21a平行を介し対面しており、圧電素子を作動させることにより、超音波発信方向32b(振動面32aに垂直な方向)に超音波振動が作用水21a、二次振動材313を介し伝達されて水貯め容器31内の水21に図6に示すような液柱22が形成される。なお、図6に示すように、超音波振動子32は、振動面32aが接続口31eの反対側に向くように傾斜して取り付けられているので、液柱22は、接続口31eの反対側の側壁31b内面方向に向いて形成される。この液柱22の形成に伴い、矢印で示すように水貯め容器31内の水21には液柱22に沿って上昇し、側壁31b内面に沿って下降および上昇する、水21および空気の対流が発生する。それとともに、この液柱22を通して伝達された超音波振動が水21の表面を微細に振動させ、これにより液柱22の先端付近の表面張力を弱めて、液柱22の微細な振動に応じた微細な液滴であるミスト20(霧)を発生させ、このミスト20は、前記した水21の対流運動に押し出されるようにして超音波発信方向32bに向けて放出される、水21および空気の対流に従って側壁31b内面に沿って下降および上昇し、その後、貯留された水21の表面および側壁31b内面に沿って接続口31eを介して連通口17aおよび温風供給口18上方の上部管路17に放出される。そして、上部管路17に放出されたミスト20は、すぐ下方の連通口17a、温風供給口18から水槽3に送り込まれ、さらに、回転ドラム4の底面開口4dと底壁透孔4fを介して回転ドラム4内に導入される。
【0033】
さらに、本実施の形態においては、ミスト20を回転ドラム4内に導入する際に、送風ファン12を500rpm程度の回転速度で回転させている。このときの循環送風経路9内での空気流の送風量は0.07m3/minとなり、通常の乾燥工程における定格運転
時(送風ファン12を定常速回転5800rpmで回転させ、乾燥空気送風管路14に2.2m3/minの風量の乾燥空気が送り込まれる)に対して、回転ファンの回転速度で1/10程度、送風量で1/3程度に相当している。このような弱い風量で乾燥空気送風管路14に空気を流通させることにより、ミスト20を温風供給口18から回転ドラム4内に押し込む風圧が作用して、適正に回転ドラム4内に導入することができるとともに、さらに、ウェットミストとともに、浮遊性の高いドライミストも同時に温風供給口18から回転ドラム4内に導入することができ、衣類の温度が常温近くにあり、ミスト20の温度が高い場合、衣類表面に水分が凝集して、より一層効率的に衣類を湿らせることができる。
【0034】
このような効果を得るための循環送風経路9内での空気流の送風量としては、0.05m3/min〜1.00m3/minが適当であり、この送風量が0.05m3 /min未満であると、ウェットミストが回転ドラム4内に導入される際に、回転ドラム4内にある衣類が障害となって、回転ドラム4内に十分入り込めず、その一部が水槽3と回転ドラム4との間に流れ落ちることもあり、さらに、ドライミストの回転ドラム4内に導入される量が減って上記の効果が十分に得られないことになる。また、循環送風経路9内での空気流の送風量が1.00m3/minを超えると、ウェットミストが乾燥空気送風管路14
(上部管路17)の管壁に衝突してウェットミストの存在比率を減少させ、かつドライミストも衣類に付着することなく、回転ドラム4内を通過してしまうことになる。
【0035】
さらに、本実施の形態においては、図3および図6に示すように、水貯め容器31の乾燥空気送風管路14に繋がる接続口31eの上方部近辺に整流フィン36(整流手段)を設けている。整流フィン36は、接続口31eから乾燥空気送風管路14側に入った位置で乾燥空気送風管路14を水平に横断する板状の部材により構成されている。上述したように、「シワのばしコース」において送風ファン12を回転駆動したとき、乾燥空気送風管路14内に空気の流れが発生するが、整流フィン36を設けない場合、空気送風管路14内を流通してきた空気が接続口31eから霧化ユニット30(水貯め容器31)内部に入りにくいが、整流フィン36を設けることにより、破線矢印で示すように、空気の一部が整流フィン36の上方部分を通過することによって分岐され、接続口31eの上方部から霧化ユニット30内に導入され、その後、霧化ユニット30内を循環して、接続口31eから再び乾燥空気送風管路14に戻る空気の流れが形成されることになる。このような状態の中で、霧化ユニット30で発生したミスト20は、上述した空気の流れに乗って乾燥空気送風管路14に流れ込み、さらに、自重および空気の流れにより、連通口17a、温風供給口18に向けて落とし込まれ、水槽3、さらには回転ドラム4内に導入されることになる。
【0036】
なお、液柱22は、上述したように接続口31eの反対側の側壁内面に向かって傾斜して形成されるので、液柱22によって水21が直接接続口31eを介して上部管路内にこぼれてしまうのを防止することができため、水貯め容器31内の水21の余分な減少を防止することができる。
【0037】
注水装置33は、水貯め容器31においてミスト20の発生により消費された水21を補給するためのものであり、注水装置33の下方に設けられた給水口33aと水貯め容器31の注水口31cとの間は注水ホース34によって接続され、その間の適所に開閉弁(図示せず)を備えている。注水装置33は、霧化ユニット30を起動させた最初の段階で、開閉弁を開いて、水貯め容器31内に水が溜まるのに十分な所定時間だけ、注水装置33の給水口33aから注水ホース34を介して水21を送給するとともに、過剰な水21を側壁31bの開口堰31dからオーバーフローさせて、水貯め容器31内の水21を一定の水位に保つ。この起動初期における注水動作は、休止中に蒸発等により減った水貯め容器31内の水21を補充し、常に一定水位の状態下で霧化ユニット30を運転するためのものである。
【0038】
水温センサ25は、サーミスタ等を用いて構成され、水貯め容器31内の水温を測定するものである。水温センサ25により測定された水温が所定温度(超音波振動子32の使用上限温度あるいはそれより少し低い温度に設定)を超えた場合には、注水装置33から水21を補給して、水温を下げ、常に水貯め容器31内の水温が上記の所定温度を超えないようにする。
【0039】
霧化ユニット30により発生するミスト20は、その粒径により浮遊性や表面張力(濡
れ性)などの特性が異なる。すなわち、粒径10μm未満の超微細ミストは、ドライミストとも呼ばれ、極めて微細であるため、表面張力が高く、浮遊性が高いが、物に付着したときの濡れ性が低いといった特徴を有している。粒径10〜50μmの微細ミストは、ウェットミストとも呼ばれ、上記のドライミストと比較して粒子径が相対的に大きいため、表面張力が弱く、物に付着したときの濡れ性が高いといった特徴を有している。粒径50μmを越える比較的粗大なミストは、水滴に近い性質を持っている。
【0040】
そして、霧化ユニット30で発生したミスト20は、温風供給口18まで移動する間に水貯め容器31の側壁31bや上部管路17の管壁に衝突したり、あるいは、互いに凝集したりして、次第に粗大ミストが脱落分離され、微細なウェットミストがその存在比率を増していく。そして、ウェットミストを主体とする状態で回転ドラム4内に導入される。
【0041】
ここで、ウェットミストを主体とする状態のミスト20とは、ウェットミストが体積存在率で全体の50%を超える状態であり、レーザ回折散乱法による測定装置で測定されミスト20の粒度分布において、平均粒径(メディアン径D50)が10〜50μmの範囲にある状態を意味する。
【0042】
ミスト20が温風供給口18まで移動する間の経路が長かったり、その経路途中に屈曲部が存在したりすると、微細なウェットミストまでが凝集して脱落分離され、ミスト20中のウェットミストの存在比率が減少し、ドライミストを主体としたミスト20になるため、望ましくない。上記した構成によると、霧化ユニット30で発生したミスト20が、温風供給口18の上方に位置する霧化ユニット30(水貯め容器31)と乾燥空気送風管路14(上部管路17)との接続口31eから、乾燥空気送風管路14に送り込まれ、自重で落下し、連通口17a、温風供給口18から、ウェットミストを主体とする状態で水槽3に落とし込まれ、さらに回転ドラム4内に導入される。しかも、送風ファン12が洗濯乾燥機筐体2内の下位の位置に配置され、この送風ファン12から乾燥空気送風管路14に乾燥空気が送り込まれるので、ミスト20が導入される霧化ユニット30の接続口31eでは、送風ファン12からの風圧(動圧)の影響を受けることなく、ミスト20が乾燥空気流中に導き入れられることになる。
【0043】
このように、霧化ユニット30から連通口17a、温風供給口18まで移動経路が短く、しかも、自重で落下するように構成されているため、移動経路の途中でのウェットミストの凝集を抑制し、濡れ性に優れた粒径10〜50μmのウェットミストを主体とする状態でミスト20を回転ドラム4内に導入して充満させることができ、衣類表面を効果的に湿らせることができるとともに、このような状態の衣類を乾燥することにより、衣類に入ったシワを効果的に低減することができる。
【0044】
さらに、「シワのばしコース」においては、必ずしも回転ドラム4を回転させなくても衣類のシワ低減効果が得られるが、本実施の形態では上述したように、回転ドラム4を回転させている。回転ドラム4内にある衣類は常温の乾燥した状態にあるのに対して、超音波振動子32の振動により水貯め容器31内の水温が上昇するため、発生するミスト20は衣類表面温度と比較して高い温度になる。したがって、ドライミストも高い温度の状態で回転ドラム4内に導入することができるため、ウェットミストだけでなく、ドライミストも、ミストの温度よりも低い温度にある衣類の表面および回転ドラム4の周壁4a等に容易に凝集して微細な水滴として結露するが、このとき回転ドラム4を回転駆動させることにより、衣類がかき混ぜられ、ドライミストを含むミスト20が衣類に邪魔されずに回転ドラム4内に導入することができ、衣類全体をさらに効率的に湿らせることができる。
【0045】
本実施の形態においては、ミスト20を接続口31eから乾燥空気送風管路14に送り込み、自重により落下させ、空気流に乗せて、連通口17a、温風供給口18から水槽3
、さらには回転ドラム4内に導入するとともに、ミスト導入時(霧化ユニット起動時)においては、回転ドラム4を衣類がかき混ぜられる45rpm程度の回転速度で静かに回転させている。このように、回転ドラム4を静かに回転させることにより、そのままでは回転ドラム4内の底部付近に滞留しやすいウェットミストを回転ドラム4内の隅々にまで充満させることができ、回転ドラム4内の衣類を濡れ性の高いウェットミストにより効果的に湿らせることができる。そして、このような状態の衣類を乾燥することにより、衣類に入ったシワを効果的に低減することができる。
【0046】
本発明者の詳細な検討によれば、洗濯物を湿らせる際に、乾燥率90〜96%(理想的には95%)で均一に湿らせるとともに、乾燥する際に、乾燥率99%以上に乾燥させることが重要であることが分かってきた。なお、ここでいう乾燥率とは、洗濯する前の状態での洗濯物の重量を湿らせた後の洗濯物の重量で除した値に100を掛けて%表示したものである。
【0047】
以上のようなウェットミストを回転ドラム4内の隅々にまで充満させるため、回転ドラム4を静かに回転させるときの回転速度は15〜80rpmが適当であり、この回転速度が15rpm未満であると、温風供給口から導入されたミスト20の一部が回転ドラム4の底部付近に滞留することになり、回転速度が80rpmを超えると、ミスト20の一部が遠心力で回転ドラム4の側壁の方に押しやられ、側壁等に衝突してウェットミストの存在比率を減少させることになる。
【0048】
本実施の形態で用いている超音波振動子32の時間あたりのミスト発生量は、水貯め容器31内の水21の水温、及び超音波振動子32を駆動する振動回路部37への入力電圧等の変化により増減する。
【0049】
例えば、1.6MHzで振動する超音波振動子32を用いた場合、他の条件を固定し、水温のみを5℃から30℃に変化させると、ミスト発生量は約1.5倍になる。また、振動回路に入力する電圧のみを95Vから107Vに変化させると、ここでもミスト発生量は約1.5倍になる。
【0050】
通常、前述した水温変化、電圧変化は家庭で普通に起こる変化であるため、仮にミスト発生量が最小条件の場合でも、シワのばしに最適な衣類の乾燥率を90%から96%になるような調整をすると、ミスト発生量最大条件ではミスト発生量が過剰になり衣類が乾燥率70%近くまで、なおかつ不均一に濡れてしまうため、ミストを用いる意味がなくなってしまう。
【0051】
逆にミスト発生量最大条件で衣類の乾燥率を90%から96%になるようにミスト発生量を調整すると、最小条件では、衣類は殆ど湿らず乾燥率99%近辺に留まるため、シワのばしの効果が得られない。
【0052】
従って、衣類を効果的に処理しようとすると、水温一定、入力電圧一定に保つことが望ましいが、水温計測手段、水温調整手段及び、入力電力測定手段、入力電圧調整手段が必要になる。
【0053】
本実施例では、複雑な水温調整手段、及び入力電圧調整手段を用いずに、ミスト処理結果を乾燥率90%から96%以内に安定化させている。
【0054】
ミスト発生量が一番少ない低水温、低入力電圧の条件において、ミスト処理結果が乾燥率90%から96%になるように、振動回路の出力と超音波振動子32の霧化能力を決定する。
【0055】
この霧化能力においてミスト発生量がもっとも多くなる高水温、高入力電圧の条件でミストを発生させると、前述したように、衣類に対して過剰なミストを供給することになる。
【0056】
この過剰なミストを回転ドラム底壁4bの底壁透孔4fにトラップさせ、余剰ミストを集める。この際、底壁透孔4fとミストの接触効率の関係から、ミストの量に応じて、自然とトラップされるミスト量が決まり、ミストの量が少ない場合には接触効率が低いために殆どトラップされず、ミストの量が過剰な場合は接触効率が高くなるため多くのミストがトラップされることになる。
【0057】
さらに、余剰ミストを集めてできた水分が回転ドラム4内に進入したり、回転により持ち上がった衣類に接触して、衣類に過剰で不均一な濡れが発生することを防ぐため、トラップし集めた水を重力、あるいは遠心力を利用して回転ドラム底壁4b裏面に設置した放射状リブ4gに沿わせて流し、さらに、前期放射状リブ4gと交差し、放射状リブ4gよりも寸法が高く水槽3側に突き出すように回転ドラム底壁4b裏面に設置した円周方向リブ4hを利用して、円周方向リブ4hのエッジから水槽3側に落とすことで、集めた水分を排出する。水槽3側に落とされた水分は、図示しない排水弁の制御によって水槽3内からの排水がなされる。
【0058】
このように、水温の変化、入力電圧の変化の影響を受けて、超音波振動子32のミスト発生量が変化しても、回転ドラム4内に供給するミスト量を一定に保つことで、衣類のミスト処理結果を乾燥率90%から96%以内に安定化させ効果的に湿らせることができる。そして、このような状態の衣類を乾燥することにより、衣類に入ったシワを効果的に低減し、消臭することができる。
【0059】
なお、上記では、回転ドラム底壁4b裏面に放射状リブ4gと、放射状リブ4gよりも寸法が高く水槽3側に突き出すように円周方向リブ4hを構成していたが、図9、図10(a)(b)に示すように、円周方向リブを放射状リブと交わる部分近傍のみ放射状リブより寸法が高く、それ以外の部分を放射状リブより低い寸法にしても良い。
【0060】
これにより、温風供給口18の前方に対向した前記回転ドラム底壁4bに衣類が張付いて、温風供給口18から水槽3、底面開口4d、回転ドラム底壁4bの順に流れる風の流れを塞いだ場合であっても、円周方向リブ4hの寸法が低い部分により回転ドラム底壁4b裏面の風の流れを自由にすることで、底壁4bの衣類で塞がれた部分を迂回して、回転ドラム内に風の流れが確保され、循環送風経路内の空気流の送風がスムーズに行える効果があり、より一層短時間で衣類を湿らせることができ、同様に短時間で乾燥も行えるため、短い時間で衣類のシワを低減することができる。
【0061】
また、上記では、回転ドラム底壁4b裏面に放射状リブ4gと、円周方向リブ4hを構成していたが、図11、図12に示すように、底壁4bの一部を別部品にして、別部品化した底壁4iの裏面に放射状リブ4gと周方向リブ4hを構成しても良い。別部品化した底壁4iの回転ドラム底壁4bへの固定は、別部品底壁4iから生やしたフック4jや、固定ネジ用ボス4kを用いてネジ止めすると良い。
【0062】
なお、別部品底壁4iを回転ドラム底壁に組み付け、その合わせ目に隙間が生じる場合は、別部品底壁4iの裏面最外周付近にシールパッキン4lを設けて組み付ける構成にすれば良い。
【0063】
これにより、別部品底壁4i裏面に形成した放射状リブ4gと円周方向リブ4hによる
複雑な形状を、量産に適した一体成型品として構成可能になる。
【0064】
また、回転ドラム底壁4bに別部品化した底壁4iを後で組み付ける工程にできるため、回転ドラム4の自体の組立て加工を簡便にすることができる。
【0065】
なお、上記の実施の形態では、霧化ユニット30内のミスト発生源として水21を用いた例を説明したが、用途に応じて、既述したAgイオン電解液や洗剤液の外、消臭液、除菌液等を用いてもよく、それぞれの液剤(ミスト発生源)に対応した効果を得ることができる。
【0066】
本実施の形態では、特に、超音波振動子32の昇温が問題であることに対応して、水温センサ25が超音波振動子32に悪影響を及ぼす上限温度に達した時点で、注水装置33からの注水により水貯め槽311内の霧化用の水21をオーバーフローさせる制御を行う。これにより、水貯め槽311内の水21は一挙に降温するので、超音波振動子32の熱的安全が図れるし、注水とオーバーフローとの継続で水貯め槽311内の水21が更新されるので、水21の降温をさらに促進することができ、所定の安全温度に降温するまで継続するのが好適である。
【0067】
図16、図17に本実施の形態での霧化ユニット30の別の例を示している。本例では、作用水槽312に注水ホース314と排水ホース315とを接続して、作用水21aの排水ができ、その後の注水によって作用水21aの入れ替えができるようにしてあるのに加え、作用水槽312にも水貯め槽311の開口堰31dと同一レベルの開口堰31d1を形成し、排水停止状態での注水によって作用水21aをオーバーフローさせられるようにしている。
【0068】
このような構造では、超音波振動子32の昇温が問題であることに対応して、前記水貯め槽311での水21のオーバーフローに代えて単独に、または、それと併用して、作用水槽312内の作用水21aにつき、注水とオーバーフローの組合せにより、あるいは排水と排水量以上での注水との組み合わせによるオーバーフローを伴わないか、伴って、更新させて超音波振動子32の冷却が図れる。このように、作用水槽312内で超音波振動子32と接触している作用水21aを更新させることで超音波振動子32を水冷して、霧化用水が昇温したり霧化用水が消費し切られて空になったりすることの影響を軽減することができる。
【0069】
この結果、霧化用の水21の昇温や霧化用水が消費し切られて空になっても超音波振動子32の昇温を抑えられるので、超音波振動子32がキュリー点を超えて破損するようなことを確実に回避することができる。結果、霧化用の水21の温度制御が不要となり水温センサ25を省略することができるし、短い一時程度の霧化用水側が空になる状態は十分許容され得るので水位も満水だけを検出して下限水位はミスト処理継続に伴う減量経験知から時間換算して判定することにより、下限水位検出手段を省略した簡易な注水制御が行える。これら検出器の省略によって水貯め槽311、引いては霧化ユニット30全体のかさ張りを半減させられる。もっとも、制御上は、例えば、下限水位検出手段を利用する場合よりも高水位、例えば満水からの半減水位程度に下限とする判定設定をするといった空炊きとならないための安全を見込んで行うことになる。
【0070】
なお、霧化用の水21および作用水21a共に、オーバーフローを伴い更新して、水貯め槽311内の霧化用の水21の降温と、作用水21aによる超音波振動子32の冷却とを図る場合、水貯め槽311内の霧化用の水21および作用水槽312内の作用水21a共に、回収の要なく自由に更新させられ、霧化用の水21の降温と、超音波振動子32の水冷とが図れるので、超音波振動子32の昇温をさらに抑えやすくなる。
【0071】
また、水貯め槽311への霧化用の水21の注水は、必要な水量を補給する間行い、作用水槽312への作用水21aの注水は超音波振動子32の駆動中は常時行うようにしてもよい。このように、水貯め槽311への霧化用の水21の注水は、必要な水量を補給する間行って水貯め槽311内の水21が下限水位未満となって超音波振動子32の破損の原因となるような昇温や空炊きを防止しながらも、無駄な注水を防止するのに併せ、作用水槽312への作用水21aの注水は超音波振動子32の駆動中、つまりミスト処理中は常時行うことで、超音波振動子32を水貯め槽311内の霧化用水の量や温度の変化に関係なく冷却し続けるので超音波振動子32の昇温をより低温域に抑えて熱的安全が図れる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
上記の実施の形態では、回転ドラムを傾斜配置したドラム式洗濯乾燥機を例にとって、本発明の技術的内容を説明したが、回転ドラムを水平方向に配した(回転ドラムの軸心を鉛直方向に配した)洗濯機にも本発明の技術的内容を適用することができ、また、乾燥機を伴わない洗濯機にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の構造を説明するための側面断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の循環送風経路および霧化ユニットの配置を説明するための筐体背面側から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の循環送風経路および霧化ユニットの構造を説明するための筐体背面側から見た一部を切り欠いて示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の霧化ユニットと水槽との接続構造を説明するための側面断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の霧化ユニットの構造を説明するための側面断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の霧化ユニットの構造を説明するための背面断面図である。
【図7】本発明の別の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の回転ドラム底壁の構造例を説明するための背面図である。
【図8】本発明の別の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の回転ドラム底壁の構造例を説明するための側面断面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の回転ドラム底壁の別の構造例を説明するための背面図である。
【図10】本発明の別の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の回転ドラム底壁の別の構造例を説明するための側面断面図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の別部品化した回転ドラム底壁の他の構造例を説明するための背面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の別部品化した回転ドラム底壁の他の構造例を説明するための側面断面図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機によるシワのばしメカニズムの説明図である。
【図14】本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機によるミスト処理時での消臭メカニズムの説明図である。
【図15】本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機のミスト処理時に衣類から分離消臭した臭い分子の乾燥時における結露水と共の排水メカニズムの説明図である。
【図16】本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の霧化ユニットの別の構造例を示す側面断面図である。
【図17】本実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機のシワの霧化ユニットの別の構造例を示す背面断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 ドラム式洗濯乾燥機
2 洗濯乾燥機筐体
3 水槽
4 回転ドラム
4c 周壁透孔
4f 底壁透孔
6 モータ
9 循環送風経路
10 蒸発器(除湿手段)
11 凝縮器(加熱手段)
12 送風ファン(送風手段)
18 温風供給口
20 ミスト
21 水(霧化用)
21a 作用水
30 霧化ユニット
31 水貯め容器
31d、31d1 開口堰
32 超音波振動子
33 注水装置
34、314 注水ホース
311 水貯め槽
312 作用水槽
313 二次振動材
315 排水ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風ファンにより水槽内の空気を排気して結露水の排水を伴い除湿した後加熱し、前記水槽内に送風することを繰り返し、前記水槽に収容され多数の透孔を持ち回転軸線が水平か前面側から背面側に下方に傾斜した回転ドラム内の衣類等を乾燥させる循環送風経路と、この循環送風経路の送風側に位置し超音波振動子を持ったミスト供給部と、を備え、
ミスト供給部は、超音波振動子の振動面が露出した作用水槽と、超音波振動子からの振動により霧化される霧化用水を貯める水貯め槽とを持ち、水貯め槽内の霧化用水は、超音波振動子の振動を作用水槽内に収容した作用水と、作用水および霧化用水とを隔絶する二次振動材とを介し伝播させて、霧化するようにして、超音波振動子を霧化用水から保護することを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−90124(P2009−90124A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302157(P2008−302157)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【分割の表示】特願2007−264820(P2007−264820)の分割
【原出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】