説明

ドラム式洗濯機

【課題】脱水行程でのアンバランス異常発生時に安全に停止すること。
【解決手段】振動系の水槽ユニット49を弾性支持した洗濯機筺体41と、水槽42に設けた3次元方向の振動成分を検知できる振動検知手段78と、回転ドラム43の回転数を検知する回転数検知手段90と、入力設定手段80と表示手段96から成る操作表示手段79と、報知手段87と、各行程を制御する制御手段82とを備え、制御手段82は、脱水行程において、振動検知手段78が検知した水槽ユニット49の3次元方向の振動値の最大値を示す検知軸を選定し、その検知軸が検知した振動値が、回転数域毎に設定した第1の閾値を上回り、かつ、第2の閾値を下回った時に、脱水起動のやり直しを行なうとともに、検知軸が検知した振動値が、第1の閾値および第2の閾値を上回った時に、脱水中止をして、異常表示と異常報知を行なうことにより、高い安全性を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ドラム内に収容した洗濯物を洗濯するドラム式洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のドラム式洗濯機は、脱水中、振動系の振動を検知することにより、アンバランス異常の有無を把握して以降の行程を制御する制御方式が提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、特許文献1に記載された従来のドラム式洗濯機の、アンバランス異常時の判定、対応のフローチャートを示すものである。
【0004】
図4において、ステップ100にて脱水行程がスタートすると、ステップ101にて排水動作を行なう。その後、ステップ102にて、片寄った衣類などの洗濯物をほぐすために回転ドラムを所定回転速度(例えば、約40rpm)で、正転、反転動作(ほぐし行程)を行なう。次に、ステップ103にて洗濯物が回転ドラムの内面に貼り付く程度の所定回転速度(約70rpm)まで緩やかに上昇させる。この後、ステップ104にて1次共振回転速度より低い所定回転速度(例えば、約80rpm)にて所定時間維持する制御を行なう。
【0005】
この時、回転むら、つまりアンバランスの有無を検出するが、所定以上のアンバランスがあると、回転むらが大きくバランス状態が悪いと判定し、ステップ105でN=4になったかどうか判定する。N=4でなければ、次のステップ106で回転ドラムを一旦停止した後、ステップ107にて現時点のNに1を加算しステップ102に戻る。このステップ102から107の動作を所定回数繰り返すと、すなわち、ステップ105にてN=4になると、ステップ102のほぐし行程では洗濯物の偏りが解消されなかったものと見做してステップ108に移行する。ステップ108では、Nが10未満であればステップ110に移行し、回転ドラム内に給水し洗濯物の偏りを修正する行程を行ない、ステップ101に戻る。この動作はNが10であれば、洗濯物の偏りが解消できなかったものと見做し、ステップ109に移行し、アンバランス異常を表示し、運転を停止する。
【0006】
ステップ104を通過すると、ステップ111にて、アンバランス異常を振動検知手段からの出力信号にて判定し、アンバランス異常の場合は、ステップ105に進んで、上記と同じ処理を行なう。ステップ111を通過すると、ステップ112にて、アンバランス異常を振動検知手段からの出力信号にて判定し、アンバランス異常の場合は、ステップ105に進んで、上記と同じ処理を行なう。ステップ112を通過し、ステップ113へ進んだ後も同様の処理を行なう。
【0007】
ステップ113を通過すると、ステップ114にて、アンバランス異常を振動検知手段からの出力信号にて判定し、アンバランス異常が発生せず正常の場合は、ステップ115で、回転ドラムを最高回転数に向け回転上昇させ、ステップ114に戻し判定する。それで正常の場合は、ステップ115に移行し、最高回転数まで到達させる。一方、ステップ114において、振動出力値が閾値より大きくなった場合、すなわちNGとなった場合は、ステップ116に移行し、その場の回転数を維持し、所定時間運転後、ステップ117で運転を停止し、ステップ118の次行程に進む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−213803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の構成では、例えばアウトドア用衣類などの防水加工や撥水加工をしてある衣類など、つまり、水を通さない、あるいは通しにくい洗濯物を脱水した場合には、適確にアンバランス状態を検知して、安全に運転を停止できないという課題があった。
【0010】
つまり、上記洗濯物を脱水すると、洗濯物から脱水された水分が、防水加工面や撥水加工面に阻止されて回転ドラム外へ出ていかない場合がある。この時は、回転ドラム内で洗濯物がアンバランス状態であっても、水分量が重量として作用するために、振動系としては比較的バランスがとれた状態となっている。このために、回転ドラムの脱水振動は小さく、高速回転域まで起動しようとするが、脱水の遠心力により、回転ドラム内における洗濯物の姿勢が僅かでも変わると、水分が一気に出てしまいアンバランス異常となって、再度ほぐし行程を行なうこととなる。上記洗濯物の場合は、その特質からこの繰り返しを何度も行なうことになり、所定回数の脱水やり直しを行なった末に、結局起動ができず、時間ばかりが経過して、運転が停止してしまう現象が発生するという課題があった。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、上記のアウトドア用衣類のような洗濯物の場合は、その衣類の特質から起きるアンバランス異常を早めに検知して、安全に運転を停止することができるというドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、有底円筒状に形成された回転ドラムと、前記回転ドラムを回転自在に内包する水槽と、前記回転ドラムを回転駆動するモータと、前記回転ドラム、水槽、モータ等から成る振動系の水槽ユニットを揺動自在に弾性支持した洗濯機筺体と、前記水槽に設けた3次元方向の振動成分を検知できる振動検知手段と、前記モータの回転数を検知し、前記回転ドラムの回転数を検知する回転数検知手段と、入力設定手段と表示手段から成る操作表示手段と、前記モータ等を制御して、洗い、すすぎ、脱水等の各行程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、脱水行程において、前記振動検知手段が検知した前記水槽ユニットの3次元方向の振動値の最大値を示す検知軸を選定し、その検知軸が検知した振動値が、回転数域毎に設定した第1の閾値を上回り、かつ、第2の閾値を下回った時に、脱水起動のやり直しを行なうとともに、前記検知軸が検知した振動値が、前記第1の閾値および前記第2の閾値を上回った時に、脱水中止をして、前記表示手段による異常表示を行なう構成としたものである。
【0013】
これによって、アウトドア用衣類のような防水加工や撥水加工された洗濯物であっても、その衣類の特質から起きるアンバランス異常状態を早めに検知して、安全に運転を停止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のドラム式洗濯機は、アウトドア用衣類のような防水加工や撥水加工された洗濯物であっても、安全な脱水制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の縦断面図
【図2】同ドラム式洗濯機のブロック回路図
【図3】同ドラム式洗濯機のOutDoor衣類コースの制御フローチャート
【図4】同コースの脱水回転時の水槽ユニット振動値と閾値の関係を表すグラフ
【図5】従来のドラム式洗濯機の制御フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、有底円筒状に形成された回転ドラムと、前記回転ドラムを回転自在に内包する水槽と、前記回転ドラムを回転駆動するモータと、前記回転ドラム、水槽、モータ等から成る振動系の水槽ユニットを揺動自在に弾性支持した洗濯機筺体と、前記水槽に設けた3次元方向の振動成分を検知できる振動検知手段と、前記モータの回転数を検知し、前記回転ドラムの回転数を検知する回転数検知手段と、入力設定手段と表示手段から成る操作表示手段と、前記モータ等を制御して、洗い、すすぎ、脱水等の各行程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、脱水行程において、前記振動検知手段が検知した前記水槽ユニットの3次元方向の振動値の最大値を示す検知軸を選定し、その検知軸が検知した振動値が、回転数域毎に設定した第1の閾値を上回り、かつ、第2の閾値を下回った時に、脱水起動のやり直しを行なうとともに、前記検知軸が検知した振動値が、前記第1の閾値および前記第2の閾値を上回った時に、脱水中止をして、前記表示手段による異常表示を行なうことにより、アウトドア用衣類のような防水加工や撥水加工された洗濯物であっても、その衣類の特質から起きるアンバランス異常状態を早めに検知して、安全に運転を停止するという高い安全性を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の縦断面図を示すものである。
【0018】
図1において、洗濯機筺体41の内部に揺動自在に水槽42が配設され、水槽42内には、回転ドラム43が回転自在に配設されている。回転ドラム43の回転中心に水平方向に回転軸(回転中心軸)44が設けられ、この回転軸44に、水槽42の背面側近傍に取り付けたモータ45が、ベルト46を介して連結され、モータ45により回転ドラム43が正転、逆転方向に回転駆動される。回転ドラム43の内壁面には、洗濯物を撹拌するための数個の突起板47が設けられている。また、回転ドラム43の外周部には、多数の通水孔48が全面に設けられている。
【0019】
上記の、水槽42、回転ドラム43、モータ45等により、振動系の水槽ユニット49が構成されており、この水槽ユニット49は、洗濯機筺体41上部から複数のばね体50により、また、洗濯機筺体41下部から複数の防振ダンパー51により防振支持されている。
【0020】
また、水槽42の正面側で洗濯機筺体41に設けた開口部を、蓋体52により開閉自在に覆い、この蓋体52を開くことにより、衣類出入口53を通して回転ドラム43内に洗濯物を出し入れできるようにしている。
【0021】
また、このドラム式洗濯機は、モード設定や制御プログラムに従い、モータ45、給水系54、排水系55、水循環系56を自動制御して、少なくとも洗い行程、すすぎ行程、脱水行程を行う機能を有している。
【0022】
給水系54は、第1の電磁弁57(第1の給水手段)、あるいは第2の電磁弁58(第2の給水手段)の開閉によって、第1の給水ホース59、あるいは第2の給水ホース60を通り、洗剤や柔軟仕上げ剤を収容し外部から引き出し自在の引き出し部(図示せず)を内部に収納する洗剤収容部61を介して、給水経路62から水槽42内に適時に給水できる。
【0023】
排水系55は、排水ポンプ63の駆動によって、洗い行程終了時、すすぎ行程終了時など必要なときに、水槽42の底部に接続された排水管64を介し、糸屑類を捕集し外部から取り外し可能の排水フィルタ65を通過した後、排水ポンプ63を通って、機内から機外の上方まで配設された排水ホース66から排水できるようになっている。
【0024】
水循環系56は、予洗い行程時、洗い行程時、すすぎ行程時など必要に応じ、水槽42内の水を循環させて、洗剤の早期溶け込みや偏りの防止、洗いやすすぎの機能向上を図る。
【0025】
この水循環系56は、循環ポンプ67を駆動させることで、水槽42内の洗濯水を、排水管64を介し、排水フィルタ65を通過させ、循環ポンプ67への流入側経路68、循環ポンプ67および循環ポンプ67からの吐出側経路69を介して、水槽42前面側内方の噴出口70より実線矢印で示す循環水として回転ドラム43内に吐出することを繰り返す。なお、噴出口70は、円周方向に複数設けられ、循環水は円周の全方向から吐出されるようになっている。
【0026】
また、水槽42の底部に形成した凹部71には、洗濯水を加熱するシーズヒータ等からなる温水ヒータ(加熱手段)72を水平方向に備えており、この温水ヒータ72により加熱した水槽42内の洗濯水を、前述のように、回転ドラム43内に吐出することにより、洗濯水を洗濯物にふりかけて、この洗濯水を、また循環させる。これにより加熱された洗濯水が洗濯物にふりかけられる為、洗濯水の分子活動が高まり、また洗剤の活性化が高まるので、洗浄力を高め、かつ洗いムラを少なくする事ができる。また、温水ヒータ72近傍には、水温を検知するサーミスタ等の温度検知手段73が設けられている。
【0027】
また、外槽42の底部外周後方の側壁には、排水管64と連通してエアートラップ74を構成し、空気管75にて、洗濯機筺体41の上部内方に設けられ、圧力センサなどで構成された水位検知手段76に連接しており、外槽42内部に給水された洗濯水の水圧により複数段の水位を検知する事が出来る。
【0028】
また、洗濯機筺体41の上部内方に設けられた洗剤収納部61の後面上部と水槽42上部とを、連結ホース77で連結しており、行程運転動作により加圧される水槽42内の空気を抜く役目をしている。
【0029】
また、水槽42の上面後部には、水槽ユニット49の振動を検知する加速度センサの振動検知手段78が配設されており、1方向の加速度でなく前後(X軸方向)、左右(Y軸方向)、上下(Z軸方向)の3次元方向の振動を検出し、運転を制御する。これは、実際の水槽ユニット49の振動は、必ずしも一方向に限定できないので、多軸の加速度センサを用いて、精度高く検知する為である。
【0030】
運転コース等のモードや各種機能の選択は、洗濯機筺体41の前面上部に設けられた操作表示手段79から使用者が入力設定手段80へ入力して行い、洗濯機筺体41の上部内方に配設された制御装置81が、その入力情報を基に操作パネル79上の表示手段96(図2参照)で表示して使用者に知らせる。
【0031】
図2は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機のブロック回路図である。
【0032】
図2において、制御装置81の制御手段82は、マイクロコンピュータなどで構成し、商用電源83から、電源スイッチ84のONにより電力が供給されて動作を始め、水位検知手段76、温度検知手段73、布量検知手段85、振動検知手段78、および、モータ
45の回転数を検知して、連結する回転ドラム43の回転数を検知する回転数検知手段90の出力を入力し、入力設定手段80にて使用者の入力により設定された内容に基づいて、表示手段96に設定内容を表示するとともに、双方向サイリスタ、リレーなどで構成した負荷駆動手段86を介して、モータ45、温水ヒータ72、第1の電磁弁57、第2の電磁弁58、排水ポンプ63、循環ポンプ67などの動作を制御し、洗い、すすぎ、脱水の各行程を制御する。なお、動作になんらかの異常があった場合も、表示手段96にて異常であることを表示し、報知手段87により報知する。また、入力設定手段80と表示手段96とで、操作表示手段79を構成している。
【0033】
以上のように構成されたドラム式洗濯機について、以下その動作、作用を説明する。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機のOutDoor衣類コースの脱水行程を主体的に記載した制御フローチャートで、図4は、同コースの脱水回転時の水槽ユニット振動値と閾値の関係を表すグラフあり、図3、図4をもとに説明する。
【0035】
図3、図4において、まず、使用者が蓋体52を開け、回転ドラム43に衣類を投入してスタートし、OutDoor衣類が選択されスタートする(ステップS1のYES)と、洗い行程(ステップS2)、すすぎ(1)行程(ステップS3)、すすぎ(2)行程(ステップS4)を行ない、脱水行程へと移行する。
【0036】
脱水行程では、排水ポンプ63が駆動して排水が行なわれ(ステップS5)、まず、洗いやすすぎ行程中に回転ドラム43内で絡まった布をほぐす意図で、ステップS6にて、モータ45を駆動させて、所定回転速度(例えば約50r/min)で回転ドラム43を左右反転させる。その後、段階的に400r/minまで立ち上げる(ステップS7)。
【0037】
この立ち上げ段階において、300〜400r/minでの水槽ユニット49の3次元方向の振動値を振動検知手段78にて検知し、ステップS8で3次元方向の振動値の最大値を示す検知軸を選定する。ここでは、Z軸を選定し、ステップ9にて水槽ユニット49のZ軸方向(上下方向)の振動値を、この回転数域におけるZ軸方向の第1の閾値a1と比較する。第1の閾値a1より大きい場合(ステップS9のNO)は、ステップS16へ移行し、さらに、この回転数域の第2の閾値a2と比較する。なお、以降のステップでもZ軸方向の振動値を閾値と比較して制御していく。
【0038】
そして、振動値が第2の閾値a2より小さい場合(ステップS16のYES)は、回転ドラム43の回転を停止(ステップS20)し、停止回数が20回未満の場合(ステップS21のYES)は、衣類の絡まりをほぐすために、ステップS6へ戻る。ステップS16で、振動値が閾値a2より大きい場合(ステップS16のNO)は、異常状態であり、このまま脱水立上げを行なうことは危険であると判定して、ステップS22へ移行し、脱水を中止して、表示手段96にて異常であることを表示し、報知手段87により報知する。
【0039】
ステップS9にて、振動値が閾値a1より小さい場合(ステップS9のYES)は、500r/minまで立ち上げる(ステップS10)。この時、400〜500r/minでの水槽ユニット49の振動値を振動検知手段78にて検知し、振動値をこの回転数域における第1の閾値b1と比較する(ステップS11)。閾値b1より大きい場合(ステップS11のNO)は、ステップS17へ移行し、さらに、この回転数域における第2の閾値b2と比較する。
【0040】
そして、振動値が第2の閾値b2より小さい場合(ステップS17のYES)は、回転ドラム43の回転を停止(ステップS20)し、停止回数が20回未満の場合(ステップ
S21のYES)は、衣類の絡まりをほぐすために、ステップS6へ戻る。ステップS17で、振動値が閾値b2より大きい場合(ステップS17のNO)は、異常状態であり、このまま脱水立上げを行なうことは危険であると判定して、ステップS22へ移行し、脱水を中止して、表示手段96にて異常であることを表示し、報知手段87により報知する。
【0041】
ステップS11にて、振動値が閾値b1より小さい場合(ステップS11のYES)は、600r/minまで立ち上げる(ステップS12)。この時、500〜600r/minでの水槽ユニット49の振動値を振動検知手段78にて検知し、振動値をこの回転数域における閾値c1と比較する(ステップS13)。閾値c1より大きい場合(ステップS13のNO)は、ステップS18へ移行し、さらに、この回転数域における閾値c2と比較する。
【0042】
そして、振動値が閾値c2より小さい場合(ステップS18のYES)は、回転ドラム43の回転を停止(ステップS20)し、停止回数が20回未満の場合(ステップS21のYES)は、衣類の絡まりをほぐすために、ステップS6へ戻る。ステップS18で、振動値が閾値c2より大きい場合(ステップS18のNO)は、異常状態であり、このまま脱水立上げを行なうことは危険であると判定して、ステップS22へ移行し、脱水を中止して、表示手段96にて異常であることを表示し、報知手段87により報知する。
【0043】
ステップS13にて、振動値が閾値c1より小さい場合(ステップS13のYES)は、700r/minまで立ち上げる(ステップS14)。この時、600〜700r/minでの水槽ユニット49の振動値を振動検知手段78にて検知し、振動値をこの回転数域における閾値d1と比較する(ステップS15)。閾値d1より大きい場合(ステップS15のNO)は、ステップS19へ移行し、さらに、この回転数域における閾値d2と比較する。
【0044】
そして、振動値が閾値d2より小さい場合(ステップS19のYES)は、回転ドラム43の回転を停止(ステップS20)し、停止回数が20回未満の場合(ステップS21のYES)は、衣類の絡まりをほぐすために、ステップS6へ戻る。ステップS19で、振動値が閾値d2より大きい場合(ステップS19のNO)は、異常状態であり、このまま脱水立上げを行なうことは危険であると判定して、ステップS22へ移行し、脱水を中止して、表示手段96にて異常であることを表示し、報知手段87により報知する。
【0045】
ステップS15にて、振動値が閾値d1より小さい場合(ステップS15のYES)は、アンバランス状態は正常範囲であるので、OutDoor衣類コースの最高脱水回転数である800r/minまで立ち上げ(ステップS23)、所定時間の脱水を行ない(ステップS24)、脱水行程が終了する。
【0046】
なお、ステップS21にて、回転ドラム43の回転停止回数が脱水行程に入ってから20回に達した場合は、これ以上続けても、衣類の絡まりが解消されることは無く、脱水のやり直しは困難であると判定して、ステップS22へ移行し、脱水を中止して、表示手段96にて異常であることを表示し、報知手段87により報知する。
【0047】
以上のように、本実施の形態においては、振動検知手段が検知した水槽ユニットの3次元方向の振動値の最大値を示す検知軸を選定し、その検知軸が検知した振動値が、回転数域毎に設定した第1の閾値および第2の閾値を上回った時に、脱水中止をして、表示手段による異常表示と、報知手段による異常報知を行なうことにより、アウトドア用衣類のような防水加工や撥水加工された洗濯物であっても、その衣類の特質から起きるアンバランス異常状態を早めに検知して、安全に運転を停止するという高い安全性を実現することが
できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明にかかるドラム式洗濯機は、脱水制御の方式により、防水加工や撥水加工されたアウトドア用衣類でも安全に脱水することが可能となるので、脱水機能を有する他の洗濯機等の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0049】
41 洗濯機筺体
42 水槽
43 回転ドラム
45 モータ
49 水槽ユニット
78 振動検知手段
79 操作表示手段
80 入力設定手段
82 制御手段
85 表示手段
87 報知手段
90 回転数検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底円筒状に形成された回転ドラムと、前記回転ドラムを回転自在に内包する水槽と、前記回転ドラムを回転駆動するモータと、前記回転ドラム、水槽、モータ等から成る振動系の水槽ユニットを揺動自在に弾性支持した洗濯機筺体と、前記水槽に設けた3次元方向の振動成分を検知できる振動検知手段と、前記モータの回転数を検知し、前記回転ドラムの回転数を検知する回転数検知手段と、入力設定手段と表示手段から成る操作表示手段と、前記モータ等を制御して、洗い、すすぎ、脱水等の各行程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、脱水行程において、前記振動検知手段が検知した前記水槽ユニットの3次元方向の振動値の最大値を示す検知軸を選定し、その検知軸が検知した振動値が、回転数域毎に設定した第1の閾値を上回り、かつ、第2の閾値を下回った時に、脱水起動のやり直しを行なうとともに、前記検知軸が検知した振動値が、前記第1の閾値および前記第2の閾値を上回った時に、脱水中止をして、前記表示手段による異常表示を行なうドラム式洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−170686(P2012−170686A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36743(P2011−36743)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】