説明

ドラム式洗濯機

【課題】汚れ物質の除去を促進して洗浄効果を高める。
【解決手段】水槽2内に回転可能に設けられたドラム3と、ドラムを回転駆動するモータ7と、水槽に洗濯水を給水する給水手段8と、水槽内の洗濯水を加熱する加熱手段12と、水槽内の洗濯水の温度を検知する温度検知手段13と、水槽内の洗濯水の水位を検知する水位検知手段25と、モータ等を制御し、洗い、すすぎ、脱水等の工程を制御する制御手段20とを備え、制御手段は、洗い工程において、水槽内の洗濯水を所定の温度に加熱し、ドラム内の洗濯物がドラムの内周面に張り付く遠心洗いと、ドラムの駆動と停止を含む漬け置き洗いを、交互に所定時間繰り返すようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の洗濯物を洗うドラム式洗濯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のドラム式洗濯機は、温水で洗濯することにより汚れ落ちをよくすることが知られており、その一例として、温水による洗浄動作を複数回実行することが考えられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の洗濯機は、1回目に漬け置き洗い(洗濯水が40℃で、2秒間モータ駆動、88秒間モータ停止)をおこない、2回目の高温洗いは、洗濯水が60℃で、漬け置き洗いと同じ撹拌動作をおこなうようにしたものである。また、第1の洗濯工程であるたたき洗い(ドラムの回転数が50rpm)と、第2の洗濯工程である絞り洗い(ドラムの回転数が300rpm)とを交互に実行することが考えられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−181190号公報
【特許文献2】特開平8−299658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載された従来の構成では、ドラム内での洗濯物の動作が、1回目の漬け置き洗いと、2回目の高温洗いで同じであるため、汚れを効果的に除去することができないという問題があった。また、前記特許文献2に記載された従来の構成では、ドラム内での洗濯物の動作が、たたき洗いと絞り洗いとで異なるものであるが、洗濯水に含まれる洗剤を汚れに対して効果的に作用させることができず、洗浄効果を高めることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、汚れ物質の除去を促進して洗浄効果を高めることができるドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明のドラム式洗濯機は、水槽内に回転可能に設けられたドラムと、前記ドラムを回転駆動するモータと、前記水槽に洗濯水を給水する給水手段と、前記水槽内の洗濯水を加熱する加熱手段と、前記水槽内の洗濯水の温度を検知する温度検知手段と、前記水槽内の洗濯水の水位を検知する水位検知手段と、前記モータ等を制御し、洗い、すすぎ、脱水等の工程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、洗い工程において、前記水槽内の洗濯水を所定の温度に加熱し、前記ドラム内の洗濯物が前記ドラムの内周面に張り付く遠心洗いと、前記ドラムの駆動と停止を含む漬け置き洗いを、交互に所定時間繰り返すようにしたものである。
【0007】
これによって、ドラム内の洗濯物に加熱された洗濯水を浸透させ、洗濯水に含まれた洗剤成分を繊維に付着している汚れに効果的に作用させることができるとともに、遠心効果によって汚れを洗濯水とともに繊維中から除去し、洗濯物の繊維中の洗濯水の置換を加速して汚れ物質の除去が促進されることにより、汚れ落ちをよくして洗浄効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のドラム式洗濯機は、繊維中の洗濯水の置換を加速し、汚れ物質の除去を促進して洗浄効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1のドラム式洗濯機の概略構成図
【図2】同ドラム式洗濯機のブロック図
【図3】同ドラム式洗濯機の動作を示すタイムチャート
【図4】同ドラム式洗濯機の動作を示すフローチャート
【図5】(a)(b)同ドラム式洗濯機の動作時の洗濯物の状態図
【図6】本発明の実施の形態2のドラム式洗濯機の動作時の洗濯物の状態図
【図7】本発明の実施の形態3のドラム式洗濯機の動作を示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、筐体内に弾性支持した水槽と、前記水槽内に回転可能に設けられたドラムと、前記ドラムを回転駆動するモータと、前記水槽に洗濯水を給水する給水手段と、前記水槽内の洗濯水を加熱する加熱手段と、前記水槽内の洗濯水の温度を検知する温度検知手段と、前記水槽内の洗濯水の水位を検知する水位検知手段と、前記モータ等を制御し、洗い、すすぎ、脱水等の工程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、洗い工程において、前記水槽内の洗濯水を所定の温度に加熱し、前記ドラム内の洗濯物が前記ドラムの内周面に張り付く遠心洗いと、前記ドラムの駆動と停止を含む漬け置き洗いを、交互に所定時間繰り返すようにしたことにより、ドラム内の洗濯物に加熱された洗濯水を浸透させ、洗濯水に含まれた洗剤成分を繊維に付着している汚れに効果的に作用させることができるとともに、遠心効果によって汚れを洗濯水とともに繊維中から除去し、洗濯物の繊維中の洗濯水の置換を加速して汚れ物質の除去が促進されることにより、汚れ落ちをよくして洗浄効果を高めることができる。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明の制御手段は、漬け置き洗い時に、洗濯物がドラム内の底部で転がるようにドラムの回転数を設定したことにより、ドラム内での洗濯物の相互の位置や状態を変化させることができ、洗濯水の洗濯物への浸透効果を高めて洗浄効果を向上させることができる。
【0012】
第3の発明は、特に、第1の発明の制御手段は、漬け置き洗い時に、ドラムを所定の角度で正逆方向へ反転駆動し、洗濯物がドラム内の底部で揺動するように設定したことにより、洗濯物を洗濯水に浸かった状態で揺動させることができ、洗濯水の洗濯物への浸透効果を高めて洗浄効果を向上させることができる。
【0013】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明に、水槽内の洗濯水をドラム内に循環させる循環手段を設け、制御手段は、洗い工程の遠心洗い時に、水槽内に排出された洗濯水を前記循環手段により前記ドラム内の洗濯物に散布するようにしたことにより、循環手段によって加熱された洗濯水に含まれる洗剤の溶解を促進し、ドラムの内周側面に張り付いた状態の洗濯物に散布して満遍なく浸透させることができるとともに、遠心効果によって汚れを洗濯水とともに繊維中から除去し、洗濯物の繊維中の洗濯水の置換を加速して汚れ物質の除去を促進することができる。
【0014】
第5の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明に、水槽内の洗濯水をドラム内に循環させる循環手段を設け、制御手段は、洗い工程の漬け置き洗い時に、水槽内の洗濯水を前記循環手段により前記ドラム内の洗濯物に散布するようにしたことにより、洗濯物が洗濯水に浸かった静止状態で繊維中の洗濯水を置換することができ、漬け置きによる洗浄効果を高めることができる。
【0015】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明の制御手段は、洗い工程において、遠心洗いと漬け置き洗いを交互に所定時間実行した後、叩き洗いを実行するようにしたことにより、遠心洗いと漬け置き洗いで剥がれやすくなった汚れに対して、叩き洗いによって洗濯物に機械力を作用させることができ、繊維から汚れを除去して洗浄効果を向上させることができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本案が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるドラム式洗濯機の概略構成図、図2は、同ドラム式洗濯機のブロック図、図3は、同ドラム式洗濯機の動作を示すタイムチャート、図4は、同ドラム式洗濯機の動作を示すフローチャート、図5は、同ドラム式洗濯機の洗い工程における、遠心洗い時と漬け置き洗い時の洗濯物の状態図である。
【0018】
図1〜図5において、ドラム式洗濯機の筐体1は、その内部には洗濯水を溜める水槽2を前上がりに傾斜させた状態に配設しており、吊り下げばね(図示せず)およびダンパー(図示せず)によって弾性支持している。水槽2内には、衣類等の洗濯物を収容する有底円筒状のドラム3が回転可能に設けられている。ドラム3の内周側壁面には、複数のバッフル4と、水槽2内と連通する多数の小孔5が設けられ、前面側には洗濯物を出し入れする開口部6が設けられている。
【0019】
ドラム3を回転駆動するモータ7は、水槽2の後面に取り付けられている。モータ7はブラシレス直流モータで構成され、インバータ制御によって回転速度が自在に変化させることができるようになっている。水槽2内に洗濯水を供給する給水手段としての給水弁8は、給水路9中に設けた洗剤を投入する洗剤ケース10を介して水槽2内に洗濯水を供給する。
【0020】
水槽2内の底部には洗濯水を溜める水溜部11が設けられている。この水溜部11内に水槽2内に溜められる洗濯水の水面と略平行に加熱手段であるヒータ12が配設され、水溜部11に溜められた洗濯水を洗濯に適した所定の温度(例えば、30〜40℃)に加熱することができる。水溜部11の温度はサーミスタ等の温度検知手段13によって検知する。
【0021】
水槽2内の水溜部11に溜められた洗濯水は、循環水路14に設けた循環手段としてのポンプ15によってドラム3内へ循環させることができる。水溜部11の底部に循環水路14と連通した洗濯水を吸い込む吸い込み部16を設け、ドラム3の前面側に設けた開口部6の上部に、ドラム3内に向けて洗濯水が吐出されるように吐出部17を設けている。
【0022】
循環水路14にはポンプ15の下流側に切換弁18が設けてあり、吐出部17に通じる循環水路14と、洗濯水を機外へ排出する排水路19のいずれかに選択的に切換えることができる。洗いおよびすすぎ時は、水溜部11内の洗濯水を循環水路14を通して吐出部17からドラム3内の洗濯物に向けて吐出することができ、洗いおよびすすぎ後の洗濯水を排水路19を通して機外へ排出することができる。
【0023】
筐体1内に設けられた制御手段20は、モータ7、給水弁8、ヒータ12、ポンプ15、切換弁18等を駆動し、洗い、すすぎ、脱水の各工程を逐次制御する。
【0024】
以上のように構成されたドラム式洗濯機について、以下その動作、作用を説明する。洗濯は、洗い、すすぎ、脱水の各工程からなり、洗い工程について、図4および図5により
説明する。
【0025】
まず、筐体1の前面側に開閉自在に設けた扉21を開いて開口部6からドラム3内に洗濯物を投入した後、操作部22の電源スイッチ(図示せず)をオンし、スタートスイッチ(図示せず)を操作して運転を開始する。洗い工程がスタート(ステップ100)すると、布量検知手段23によってドラム3内に投入された洗濯物の量を検知する(ステップ101)。
【0026】
制御手段20は、ドラム3を例えば50rpmで正逆回転させ、モータ7のトルクの大小によって、予め設定した布量のテーブル(図示しない)と照し合せて、ドラム3内の洗濯物の量を検知する。ドラム3の回転数は、一般的な回転数検知手段24によって検知され、制御手段20に入力される。
【0027】
次に、ドラム3を例えば50rpmで正転方向に回転させ(ステップ102)、検知した布量に応じて設定された水量を洗剤ケース10内の洗剤を流しながら水槽2内に給水する(ステップ103)。給水量は投入される布量に応じてあらかじめ設定されており、洗剤ケース10内に投入された洗剤とともに水槽2内に洗濯水が給水されるとともに、水位検知手段25により設定量の洗濯水が給水されたことを検知すると(ステップ104)、給水弁8を閉じて給水を停止する(ステップ105)。
【0028】
次に、ヒータ12に通電して水槽2内の洗濯水を加熱し(ステップ106)、設定された水温に到達したか否かを温度検知手段13により検知する(ステップ107)。設定温度に加熱されるとヒータ12の通電を停止する(ステップ108)。
【0029】
洗い工程は、最初に遠心洗いを実行する(ステップ109)。遠心洗いは、ドラム3の回転数を例えば200rpmに設定し、時間t1は30秒とする。ドラム3を矢印イ方向へ高速で回転させると、図5(a)に示すように、洗濯物が遠心力によってドラム3の内周面に張り付いた状態になり、この遠心力の作用により、洗濯物に含まれている洗濯水とともに、洗濯物の繊維中から汚れを効果的に除去することができる。なお、ドラム3の回転数は、共振周波数以下の300rpm付近でも同等の効果が得られる。
【0030】
遠心洗いを時間t1実行した後、漬け置き洗いを時間t2実行する(ステップ110)。漬け置き洗いは、ドラム3を矢印イ方向へ10秒間20rpmで回転駆動した後、120秒停止する。漬け置き洗いの最初に、ドラム3を例えば20rpmの低速で回転させることにより、ドラム3の内周面に張り付いた洗濯物を下方へ落下させるとともに、図5(b)に示すように、バッフル4で回転方向イへ持ち上げられた洗濯物が低い位置から落下し、ドラム3の底部を転がるように動作する。
【0031】
これにより、洗濯水の溜まったドラム3の底部で、洗濯物の位置を移動させることができ、また、洗濯物がほぐされて、洗濯水を効果的に洗濯物に浸透させることができ、漬け置き洗いの効果を高めることができる。なお、漬け置き洗いのドラム3の回転数は、15〜30rpmでも同等の効果が得られる。
【0032】
遠心洗い(時間t1)と漬け置き洗い(時間t2)は、交互に繰り返し実行され、30分継続する。t1+t2の1サイクルが160秒の場合、遠心洗いと漬け置き洗いを、交互に約11回繰り返えした後、叩き洗いを実行する(ステップ111)。
【0033】
叩き洗いは、ドラム3を例えば50rpmで正逆回転させ、洗濯物をバッフル4で回転方向へ持ち上げ、ドラム3内の高い位置から落下させて機械力を作用させることにより、汚れを除去する効果を高めることができる。洗い工程を終了(ステップ112)後、すす
ぎ工程、脱水工程へと移行する。
【0034】
以上のように、本実施の形態においては、筐体1内に弾性支持した水槽2と、水槽2内に回転可能に設けられたドラム3と、ドラム3を回転駆動するモータ7と、水槽2に洗濯水を給水する給水手段8と、水槽2内の洗濯水を加熱する加熱手段12と、水槽2内の洗濯水の温度を検知する温度検知手段13と、水槽2内の洗濯水の水位を検知する水位検知手段25と、モータ7等を制御し、洗い、すすぎ、脱水等の工程を制御する制御手段20とを備え、制御手段20は、洗い工程において、水槽2内の洗濯水を所定の温度に加熱し、ドラム3内の洗濯物がドラム3の内周面に張り付く遠心洗いと、ドラム3の駆動と停止を含む漬け置き洗いを、交互に所定時間繰り返すようにしたものであり、ドラム3内の洗濯物に加熱された洗濯水を浸透させ、洗濯水に含まれた洗剤成分を繊維に付着している汚れに効果的に作用させることができるとともに、遠心効果によって汚れを洗濯水とともに繊維中から除去し、洗濯物の繊維中の洗濯水の置換を加速して汚れ物質の除去が促進されることにより、汚れ落ちをよくして洗浄効果を高めることができる。
【0035】
また、洗い工程の漬け置き洗い時に、洗濯物がドラム3内の底部で転がるようにドラム3の回転数を設定したものであり、ドラム3内での洗濯物の相互の位置や、状態を変化させることができ、洗濯水の洗濯物への浸透効果を高めて洗浄効果を向上させることができる。
【0036】
また、洗い工程において、遠心洗いと漬け置き洗いを交互に所定時間実行した後、叩き洗いを実行するようにしたものであり、遠心洗いと漬け置き洗いで剥がれやすくなった汚れに対して、さらに叩き洗いによって洗濯物に機械力を作用させることができ、繊維から汚れを除去して洗浄効果を向上させることができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、洗濯水が設定温度に加熱されるとヒータ12の通電を停止するようにしたが、洗い工程中は洗濯水が設定温度に維持されるようにヒータ12の通電を制御するようにしてもよい。
【0038】
また、洗い工程の漬け置き洗いの最初におこなうドラム3の動作を、ドラム3の静止時に1回または複数回実行すると、洗濯水の浸透効果をさらに高めることができる。
【0039】
(実施の形態2)
図6は、本発明の第2の実施の形態のドラム式洗濯機の洗い工程における漬け置き洗い時の洗濯物の状態図である。本実施の形態の特徴は、洗い工程の漬け置き洗い時に、ドラム3を所定の角度で正逆方向へ反転駆動し、洗濯物がドラム3内の底部で揺動するように設定したものである。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0040】
遠心洗いに続いておこなう漬け置き洗いの最初に、図6に示すように、ドラム3を角度θ(例えば30°)で正転駆動した後、同角度で逆方向へ反転駆動し、例えば1分間に60回の速度でドラム3を反転駆動させる。遠心洗いでは洗濯物がドラム3の内周面に張り付いた状態であり、ドラム3を所定の角度で矢印ロ方向へ正逆反転駆動させることによって、張り付いた洗濯物を下方へ確実に落下させ、ドラム3の底部に溜まっている洗濯水に漬けることができる。そして、洗濯物が洗濯水に浸かった状態で、洗濯物と洗濯水を揺動させることができ、洗濯水の洗濯物への浸透効果を高めて洗浄効果を向上させることができる。
【0041】
なお、ドラム3を正逆反転駆動させる角度θ、および反転速度は、洗濯物の量やモータ7の特性等に応じて、最適に設定することができる。
【0042】
(実施の形態3)
図7は、本発明の第3の実施の形態のドラム式洗濯機の動作を示すタイムチャートである。本実施の形態の特徴は、水槽2内の洗濯水をドラム3内に循環させるポンプ(循環手段)15を設け、洗い工程の遠心洗い時、および、漬け置き洗い時に、水槽2内に排出された洗濯水を循環手段15によりドラム3内の洗濯物に散布するようにしたものである。他の構成は実施の形態1と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0043】
洗い工程の遠心洗い時に、ポンプ15を駆動し、吐出部17から洗濯水をドラム3内の洗濯物に散布することにより、ドラム3の内周側面に張り付いた状態の洗濯物に対して、洗剤が溶解した洗濯水を満遍なく浸透させることができる。また、洗い工程の漬け置き洗い時に、洗濯水をドラム3内の洗濯物に散布することにより、洗濯物の繊維中に洗剤が溶解した洗濯水を効果的に浸透させることができるとともに、ドラム3の底部で静止している洗濯物に洗濯水を通過させることができ、洗剤を汚れに対して効果的に作用させることができる。
【0044】
なお、循環手段であるポンプ15は、遠心洗い時と漬け置き洗い時に動作させるようにしているが、少なくともいずれかのときに動作させるようにしてもよい。また、ポンプ15は、間欠的に動作するようにしてもよく、洗濯水の吐出量は最適に設定可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明にかかるドラム式洗濯機は、繊維中の洗濯水の置換を加速し、汚れ物質の除去を促進して洗浄効果を高めることができるので、ドラム式洗濯機として有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 筐体
2 水槽
3 ドラム
7 モータ
8 給水弁(給水手段)
12 ヒータ(加熱手段)
13 温度検知手段
20 制御手段
25 水位検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に弾性支持した水槽と、前記水槽内に回転可能に設けられたドラムと、前記ドラムを回転駆動するモータと、前記水槽に洗濯水を給水する給水手段と、前記水槽内の洗濯水を加熱する加熱手段と、前記水槽内の洗濯水の温度を検知する温度検知手段と、前記水槽内の洗濯水の水位を検知する水位検知手段と、前記モータ等を制御し、洗い、すすぎ、脱水等の工程を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、洗い工程において、前記水槽内の洗濯水を所定の温度に加熱し、前記ドラム内の洗濯物が前記ドラムの内周面に張り付く遠心洗いと、前記ドラムの駆動と停止を含む漬け置き洗いを、交互に所定時間繰り返すようにしたドラム式洗濯機。
【請求項2】
制御手段は、漬け置き洗い時に、洗濯物がドラム内の底部で転がるようにドラムの回転数を設定した請求項1記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】
制御手段は、漬け置き洗い時に、ドラムを所定の角度で正逆方向へ反転駆動し、洗濯物がドラム内の底部で揺動するように設定した請求項1記載のドラム式洗濯機。
【請求項4】
水槽内の洗濯水をドラム内に循環させる循環手段を設け、制御手段は、洗い工程の遠心洗い時に、水槽内に排出された洗濯水を前記循環手段により前記ドラム内の洗濯物に散布するようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
【請求項5】
水槽内の洗濯水をドラム内に循環させる循環手段を設け、制御手段は、洗い工程の漬け置き洗い時に、水槽内の洗濯水を前記循環手段により前記ドラム内の洗濯物に散布するようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。
【請求項6】
制御手段は、洗い工程において、遠心洗いと漬け置き洗いを交互に所定時間実行した後、叩き洗いを実行するようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載のドラム式洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−52057(P2013−52057A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191328(P2011−191328)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】