説明

ドリルガイド組立体

【課題】整形外科ドリルガイド組立体を提供する。
【解決手段】整形外科手術において、骨の中にドリル工具を案内するための、整形外科ドリルガイド組立体16は、骨に固定できるハウジング134と、ハウジングに固定できるドリルガイドブロック20と、を備えている。このドリルガイドは、近接して離間している少なくとも2個のドリルガイド穴50〜56のアレイを有しており、これらのドリルガイド穴は、骨の表面に向かってこれらの穴を貫通しているドリルビットにより穿孔されることができる骨の組織を定める。穴のうち2個の隣接する穴のそれぞれの中心の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率は、約1.5以下である。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本発明は、整形外科関節プロテーゼの部品を受容するように骨を調製するために、除去する骨の領域の先端を決定するための、ドリルガイド組立体、に関連している。
【0002】
整形外科関節プロテーゼの部品を受容するための骨の調製において、ある領域の骨の素材(bone material)を骨から除去することが可能である。この骨の素材は、骨への接近手段を与える切開部分を通して挿入される骨のこ(bone saw)のような、切断器具を用いて、切除できる。例えば、骨の中に「L字」形状の切断部分を与えるために、少なくとも二つの面における切断を必要とする骨の一部分を除去することが重要になる可能性がある。このような状況において、第1および第2の切断を行なうために、骨のこを使用することが知られている。特に、患者が手術から回復するためにかかる期間を減少させるために、切開部分の大きさを最小限にすることが望ましくなる可能性がある。切断器具の大きさは、切開部分の最小限の大きさ、を決定することができる。
【0003】
上記の切断の場所および寸法を正確に制御することが可能であることも重要になる可能性がある。この理由は、骨が、プロテーゼを受容するために、適当な形状および大きさにされることを必要とするからである。不正確に位置させられるか、または不正確に大きさが決められた切除部は、骨への関節プロテーゼの部品の嵌合の質を低下させる可能性がある。関節プロテーゼの部品が正確に嵌合されていなければ、そのプロテーゼの関節の効果は低下する可能性がある。また、不正確に嵌合されたプロテーゼの部品は、そのプロテーゼ関節および/または骨の、過度の磨耗、を引き起こし、患者に不快感を生じさせ、そのプロテーゼ関節の寿命を減少させる可能性がある。
【0004】
さらに、切断される骨の周囲の組織に対する損傷を最小限にすることが重要になる可能性がある。しかしながら、周囲の組織に対する何らかの不必要な損傷は、切除の間に、その組織に偶発的に接触する切断器具により、生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、骨の一部分を除去するために、それぞれがドリルを案内するのに使用可能である多数の穴、を備えている、ドリルガイド組立体、を提供している。
【0006】
したがって、一態様において、本発明は、整形外科手術において骨の中にドリル工具を案内するための、整形外科用ドリルガイド組立体、を提供しており、このドリルガイド組立体は、骨に固定できるハウジングと、このハウジングに固定できるドリルガイドブロックであって、近接して離間している少なくとも2個のドリルガイド穴のアレイを有しており、これらのドリルガイド穴は、骨の表面に向かってこれらの穴を貫通しているドリルビットにより穿孔されることができる骨の組織を定め、上記穴のうち隣接する2個の穴のそれぞれの中心の間の距離の、これらの穴の直径に対する、比率は、約1.5以下である、ドリルガイドブロックと、を備えている。
【0007】
除去する骨の領域が切断処置の前に決定できることが、本発明の利点である。人間の過失により引き起こされる切断における不正確さは、切断処置の間に外科医により経験される困難さによるものであり、本発明によって減少させることが可能である。さらに、上記ドリルガイドブロックは、近接して離間している少なくとも2個のドリルガイド穴を備えているので、外科医が、互いに近接して離間している少なくとも2個の穴をあけること、が可能である。外科医は近接して離間している多数の穴をあけることができるので、この外科医は、このときの穿孔により除去されていない、あらゆる余分の不必要な骨の素材、を除去するために、バー工具、またはのこ、のような、別の工具をその後に使用することが可能になる。
【0008】
好ましくは、上記近接して離間している少なくとも2個のドリルガイド穴のアレイにより定められる領域は、骨から除去されることが望まれる総領域の65%以上、さらに好ましくは、骨から除去されることが望まれる総領域の70%以上、特に好ましくは、骨から除去されることが望まれる総領域の75%以上、例えば、骨から除去されることが望まれる総領域の80%以上である。
【0009】
ドリルを用いて上記骨の領域のかなりの部分を除去し、その後に、必要であれば、バー工具によりその骨の残部を除去することにより、その骨の切除が、のこの使用を伴わずに、達成できる。このように、骨を除去するためにドリルを案内するのにドリルガイドを用いて、その後に、必要であれば、バー工具を用いることは、のこを使用することに比べて、比較的に小さい切開部分を必要とすることを可能にすることが分かっている。したがって、手術後の、患者の不快感と回復時間とを減少させることのような、必要とされる切開部分の大きさを最小限にすることに伴う特別な利点が存在する。
【0010】
好ましくは、上記穴のうち隣接する2個の穴のそれぞれの中心の間の距離の、これらの穴のそれぞれの半径の合計に対する、比率は、約1.4以下であり、さらに好ましくは、約1.3以下であり、特に、約1.2以下であり、例えば、約1.1以下である。このような、近接して離間している穴は、最適な骨の除去、を提供できる。
【0011】
好ましくは、上記アレイの中の少なくとも一対の隣接する穴の中心の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率は、約1以下であり、さらに好ましくは、約0.9以下であり、特に好ましくは、約0.8以下であり、例えば、約0.7以下である。それゆえ、好ましくは、上記アレイの中の少なくとも2個の隣接する穴の間に延在している壁がない(すなわち、これらの穴のそれぞれの側壁の少なくとも一部は開いている)。隣接する穴のこのような重なりは、最適な骨の除去を提供できること、が分かっている。また、隣接する穴のこのような重なりは、穴を貫通している取り外し可能なドリルガイドスリーブ(後述)を用いる場合に、有用になる可能性がある。
【0012】
好ましくは、上記ドリルガイドブロックの穴の大きさは同一である。このことは、使用者が、骨により定められる領域の中の骨に穴をあけるために、単一の大きさに作られているドリルビット(single sized drill bit)を使用することだけ、を必要とすることになるので、好都合になり得る。しかしながら、上記ドリルガイドブロックは、異なる大きさの穴、を有することも可能である。このことは、骨に、角部を切り込むことが必要になる場合に、好都合になる可能性がある。除去する領域の角部において、比較的に小さなドリルビットを案内するために、比較的に小さな穴を準備することは、比較的に大きなドリルビットを案内するために、比較的に大きな穴を準備することよりも、好都合になる可能性がある。なお、このような比較的に大きなドリルビットは、除去する骨の素材の領域の角部から、その骨の素材の比較的に大きな部分を除去するのに、より良好に用いられると考えられる。
【0013】
好ましくは、上記穴は、二次元に延びているアレイの中に、配列されている。それゆえ、このアレイにより定められる領域は、一つの穴の直径よりも、大きさが大きい、少なくとも二つの側面、を有することができる。このアレイにより定められる領域は多角形とすることができ、この多角形は、等辺または不等辺であってよい。
【0014】
上記穴のアレイは、少なくとも第1および第2のライン上に位置する穴を含むことができ、この第2のライン上の穴から、第1のライン上の最も近い2個の穴までの、距離は、ほぼ等しい。このことは、ガイドとして上記の穴を用いて穴をあけることにより除去する骨の素材が、上記アレイにより定められる領域にわたって均等(even)であること、を確実にするために役立つことができる。除去する骨の素材の量が均等になることを確実にすることは、バーを用いて余分の骨の素材を除去するその後の処置を行なう容易さ、を増すために役立つ。
【0015】
上記2個の隣接する穴の中心の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率が1よりも大きい場合に、これらの隣接する穴の間のガイドブロックの材料の厚さは、このガイドブロックの強度が弱められる程度に、薄すぎないことが好ましい。これらの2個の隣接する穴の間のガイドブロックの材料の厚さは、穴をあける処置の間にドリルビットを案内する際に、十分な支持を与えることができるように、十分な厚さである必要がある。しかしながら、上記2個の隣接する穴の間のガイドブロックの材料の厚さは、これらの穴により案内されるドリルビットにより骨にあけられた、隣接する穴の間の距離が、例えばバー工具を用いて、その骨の中の隣接する穴の間の素材を除去することが困難になる程度に、遠く離間されるほどには、厚すぎないこと、も望ましい。
【0016】
好ましくは、上記2個の隣接する穴の中心の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率が、1よりも大きい場合に、これら2個の隣接する穴の間のガイドブロックの材料の厚さは、約6mm以下であり、さらに好ましくは、約5mm以下であり、特に好ましくは、約4mm以下であり、例えば、約3mm以下である。好ましくは、上記2個の隣接する穴の間のガイドブロックの材料の厚さは、2mm以上、さらに好ましくは、特に、2.5mm以上、例えば、約3mm以上である。
【0017】
上記穴が少なくとも第1および第2のライン上に配列されている場合に、(i)第2のライン上の穴の中心と、第1のライン上の最も近い2個の穴の内の一つの中心との間の距離の、(ii)これらの穴の半径の合計、に対する比率は、約1よりも小さくできる。この場合に、好ましくは、上記(i)の上記(ii)に対する、比率は、約0.9以下であり、特に好ましくは、0.8以下であり、例えば、約0.7以下である。
【0018】
近接して離間している穴の、2個以上のアレイを、上記ドリルガイドブロックの中に、備えることも可能である。例えば、近接して離間している穴の第1のアレイを備えることができ、この第1のアレイは除去する骨の素材の第1の領域を定め、さらに、近接して離間している穴の第2のアレイを備えることができ、この第2のアレイは除去する骨の素材の第2の領域を定める。好ましくは、隣接する穴は、これらの穴の中心の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率が、約2よりも小さく、さらに好ましくは、約1.8よりも小さく、特に1.6よりも小さく、例えば1.5よりも小さい場合に、同一のアレイの一部として見なすことができる。
【0019】
好ましくは、上記ドリルガイドブロックは、ハウジングの中に、取り外し可能に、取り付けられている。ハウジングから、ドリルガイドブロックを取り外すことを可能にすることに関連する、特別な利点がある。例えば、同一のハウジングを、異なる特徴を有する異なる多数のドリルガイドブロックを受容するために、使用できる。例えば、一部の状況において少ない数の穴を有するドリルガイドブロックを使用することは、他の状況におけるよりも好ましくなる可能性がある。あるいは、異なる配列の穴を有する異なるドリルガイドブロックを、異なる形状または寸法に作られた切断部分を骨に設けるために、あるいは、骨の異なる場所で切断部分を設けるために、使用することが可能になる。さらに、異なる寸法に作られたドリルビットを用いる骨の穿孔を支援することを可能にするように、異なる大きさの穴を有するドリルガイドブロックを有することが好ましくなる可能性がある。上記組立体を掃除するために、上記ハウジングから、ドリルガイドブロックを取り外すことを可能にすることも、有利となりうる。ドリルガイドブロックを取り外すことを可能にすることのさらに別の利点は、穿孔処置が多数の工程で実行可能になるということである。例えば、骨の所与の領域を、第1のドリルガイドブロックを用いて、除去することが可能になり、次に、骨の第2の領域を、この骨の第2の領域を定める第2の組の穴を有する第2のドリルガイドブロック、を用いることにより、使用することが可能になる。
【0020】
好ましくは、ドリルガイドブロックがハウジングの中に取り外し可能に取り付けられる場合に、このドリルガイドブロックは、第1および第2の配向で、ハウジングの中に取り付けられることができる。例えば、第1の配向で取り付けられた後に、ドリルガイドブロックは180°回転されて、第2の配向で、ハウジングの中に取り付けられることができる。好ましくは、第1の配向で上記穴により定められる骨の組織は、上記ガイドブロックが第2の配向で取り付けられる時に、それらの穴により定められていない骨の組織、を含む。それゆえ、同一のドリルガイドブロックを、二つの連続している工程において骨に穴をあけることにより、その骨の素材を除去するために使用することが可能であり、第2の工程は、第1の工程において除去されていない骨の素材の除去、を含む。
【0021】
好ましくは、上記ドリルガイドブロックが第1および第2の配向にある状態で、近接して離間している少なくとも2個のドリルガイド穴のアレイにより定められる総領域は、骨から除去されることが望まれる総領域の80%以上、さらに好ましくは、骨から除去されることが望まれる総領域の85%以上、特に好ましくは、90%以上である。
【0022】
上記ドリルガイドブロックは、このドリルガイドブロックを貫通している少なくとも1個の開口部、を有することができ、この開口部の横方向の大きさ(transverse size)は、ドリルガイド穴の大きさよりも小さく、上記組立体は、上記ガイドブロックを骨に固定するために、その開口部の中に嵌合できて骨の中に延びることができる、固定ピン、を含んでいる。このことは、ドリルガイドブロックが、穿孔処置中に、ハウジングの中におけるガイドブロックの位置から、ゆるまないか、はずされないことを、上記固定ピンが確実にするので、そのガイドブロックがハウジングから取り外し可能である場合に、好都合になる可能性がある。さらに、上記固定ピンの挿入により除去される骨は、除去する骨の総領域の一部、を形成できる。それゆえ、除去する骨の領域が角部を含む場合には、骨からの切断部分の角部が存在することになる場所に、上記開口部が置かれるように、上記ドリルガイドブロックを配列することが好ましくなる可能性がある。
【0023】
それぞれの穴の大きさは、ドリルビットがその穴の中に滑りばめ(sliding fit)されるのに、十分である必要があり、骨に穴をあけるために用いられるドリルビットの場所の正確さを減少させるあそびを提供する可能性があるすき間を、最小限の範囲で伴っている。好ましくは、上記穴の内側の幅は、2mm以上、さらに好ましくは、3mm以上、特に好ましくは、4mm以上、例えば、5mmである。好ましくは、この穴の内側の幅は、10mm以下であり、さらに好ましくは、8mm以下であり、特に好ましくは、6mm以下であり、例えば、3mm以下である。
【0024】
上記ドリルガイド組立体は、上記穴を貫通しているドリルビットから、骨の周囲の組織を保護するために、ドリルガイドブロックの中の穴の内の一つを貫通している取り外し可能なドリルガイドスリーブ、を備えることができる。このドリルガイドスリーブは、ドリルビットにより組織に引き起こされる損傷を防ぐように、回転しているドリルから、周囲の組織を保護する。好ましくは、このドリルガイドスリーブは、上記穴の中に、ぴったり嵌合する大きさであり、このドリルガイドスリーブと穴との間に生じる摩擦は、当該ドリルガイドスリーブが、穿孔処置中に、穴の中で回転すること、を阻止する。好ましくは、このスリーブの内側の幅は、2mm以上、さらに好ましくは、3mm以上、特に好ましくは、4mm以上、例えば、5mmである。好ましくは、上記スリーブの内側の幅は、10mm以下であり、さらに好ましくは、8mm以下であり、特に好ましくは6mm以下であり、例えば、3mm以下である。好ましくは、上記ドリルガイド組立体が取り外し可能なドリルガイドスリーブを備えている場合に、上記穴の直径は、ドリルガイド組立体を貫通できる最大の直径のドリルビットを減少させることなく、ドリルガイドスリーブに適合するように、取り外し可能なドリルガイドスリーブを含まないドリルガイド組立体よりも大きい。
【0025】
上記ガイドスリーブは、直接的にまたは間接的に、骨に固定できるハウジングの中に、取り付けられている。好ましくは、このハウジングは、骨に固定できるジグ器具により、骨に間接的に固定される。好ましくは、骨に固定されると、上記ジグは、骨に対するガイドスリーブの取り付けの位置が調節できるように、調節されることが可能である。好ましくは、上記取り付けの位置は、骨に対して、内側/外側、近位側/遠位側、および後方/前方、の範囲(dimensions)において、調節可能である。好ましくは、上記取り付けの回転の場所は、骨に対して、x,yおよびzの軸(すなわち、三つの軸であり、それぞれが互いに垂直である)の周りに、調節可能である。好ましくは、上記取り付けの位置は、ハウジングおよび/またはジグにおける調節ねじの使用により、調節可能である。しかしながら、上記取り付けの位置を調節するための任意の手段が使用可能である。ジグ器具は、外科器具、切断ブロックまたは工具を受容でき、これらは、骨に固定可能であり、これらの工具または器具の位置が骨に対して正確に位置していることがよく分かるように、後で調節される。このような、一般的な種類のジグ器具は、既知であり、シー・エー・エス・プリザベーション・ティビアル・ジグ(CAS Preservation Tibial Jig)(これはデピュイズ・エム・アイ・ティー・ケー・アール・システム(DePuy's MI TKR System)外科技術の一部として用いられている)の品名で、デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド(DePuy Products, Inc)から入手可能な器具と、商標をスペシャリスト2(Specialist 2)として、組み立てられている膝関節置換器具の一部を形成している、足首クランプを基板としたジグ(ankle clamp based jig)と、を含む。
【0026】
上記ドリルガイドブロックが上記ハウジングから取り外し可能である場合に、このドリルガイドブロックが固定される取付部材(mounting)は、骨を切除するために、ある面でバー工具を案内するためのバーガイドスリーブを旋回可能に取り付けるために、使用することも可能である。好ましくは、上記組立体は、上記ハウジングの中に旋回可能に取り付けることのできるガイドスリーブであって、このガイドスリーブは、その長さに沿って延在している穴を有しており、上記穴の中には、バー工具が、このバー工具の切断部分が上記スリーブから切断される骨に向かって延びるように、受容されることができ、スリーブは、所与の軸の周りで旋回運動するように上記ハウジングの中に取り付けられて、このバー工具の切断部分が、上記軸に対して垂直である面の中における移動に制限されるようになっている、ガイドスリーブと、上記ガイドスリーブの中に滑りばめするバー工具と、をさらに含んでいる。このようなバーガイドスリーブ、およびハウジングの中における適当な取付部材の、詳細は、代理人の参照番号P211128を有する、本特許出願と共に出願されている、「バーガイド組立体(A Burr Guide Assembly)」を発明の名称とする、同時係属出願に開示されている。この特許出願に開示されている主題は、この参照により、本特許出願の明細書に、組み込まれている。
【0027】
上記組立体は、一般に、外科器具の製造において従来から用いられている、金属を基にした材料で作られることになる。特定のステンレス鋼が特に好ましくなる可能性がある。しかしながら、上記組立体の少なくとも一部、例えば、上記ドリルガイドブロックは、高分子材料で作製可能であること、が理解されるであろう。高分子材料を用いることは、特に、高分子材料で作られる組立体が、成型処理を用いて、容易に製造可能であるので、上記組立体の製造のコストを減少させることを可能にする。上記ドリルガイドブロックが高分子材料で作られる場合に、このドリルガイドブロックを、ドリルガイドブロックの穴を貫通しているドリルビットから保護するために、その穴を貫通する取り外し可能なドリルガイドスリーブが存在していること、が好ましくなる可能性がある。適当な高分子材料は、特定の、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリ−エーテル−エーテル・ケトン(PEEKs)、およびポリアリール−エーテル・ケトン(PAEKs)、を含む。高分子材料は、適当な摩耗特性を与えるために、粒状材料、特に繊維状の材料、により、補強できる。
【0028】
本発明の実施形態は、以下の添付図面を参照して、ただ単に例として、説明されている。
【0029】
図面を参照すると、図1は、頸骨の頸骨プラトー4を含む、脛骨2の近位側部分を示しており、この頸骨は、大腿骨14の遠位側部分の内側顆12および外側顆10を受容するための、内側顆8および外側顆6、を有している。これらの頸骨2および大腿骨14は、整形外科関節プロテーゼの部品の植え込みのために、頸骨を調製するために、どのように本発明を実行することができるか、を示すために、分離状態で示されている。このプロテーゼは、近位側頸骨2に耐久性のある支持面を設けるために、使用可能であり、大腿骨14の遠位側端部に植え込まれた適当なプロテーゼ部品と関節接合することができる。本発明は、近位側頸骨2を調製することに関連して、説明されているが、本発明は、例えば、大腿骨の遠位側または近位側の端部、あるいは、上腕骨の近位側または遠位側の端部等の、任意の骨の任意の部分を調製するために、使用できる。
【0030】
整形外科関節プロテーゼの部品を受容するための、近位側頸骨の調整は、除去する骨の領域の形状に一致する形状を有している部品の一部を受容するための、近位側頸骨における骨の所与の領域の除去、を含む。
【0031】
図1は、頸骨2に固定されている、本発明によるドリルガイド組立体16、を示している。このドリルガイド組立体は、一般に、ジグ132により頸骨2に間接的に固定できるハウジング134と、このハウジングの中に取り付けられているドリルガイドブロック20と、を備えている。ハウジング134は、ドリルガイドブロック20が取り外し可能に取り付けられる取付部材22、を備えている。
【0032】
ジグ132は、第1の調節ねじ28と、第2の調節ねじ30と、第3の調節ねじ32と、を有しており、これらのねじは、頸骨の傾斜、ならびに、頸骨に対する取付部材22の遠位側/近位側および内反/外反の配置、を調節するために、それぞれ、回転可能である。ハウジング134は、第4の調節ねじ24と第5の調節ねじ26と、を備えており、これらのねじは、内部/外部の回転を調節およびロックするために、さらに、頸骨に対する取付部材22の内側/外側の位置を調節するために、それぞれ、回転可能である。
【0033】
ジグ132は、第1の固定ピン126および第2の固定ピン128を使用することによって、骨に固定できる。第1の固定ピン126は、ジグ132とハウジング134とにより画定される通路130を、貫通している。この通路130は、第1の固定ピン126がいったん頸骨に固定されると、その頸骨に対するハウジング134の近位側/遠位側の位置の調節を可能にするように、細長くなっている。第1の調節ねじ28はカニューレ状になっており、第2の固定ピン128はこの第1の調節ねじ28を貫通している。
【0034】
ジグ132およびハウジング134は、それぞれ、第1の固定ピン126が貫通している、通路130、の一部分を画定している(すなわち、ジグ132およびハウジング134はそれぞれ、それらの境界面において、U字形の凹部を与えている)。ジグ132およびハウジング134は、プッシュ・リリース・ラッチ機構(push release latch mechanism)136により、それらの境界面において、互いに、解放可能に固定できる。しかしながら、ラッチ以外の他の機構が、ハウジング134をジグ132に解放可能に固定するために、使用可能であることが、理解されるであろう。上記ラッチ機構は、ハウジング134に設けられているフラップ138と、ジグ132に設けられているフック140と、を備えている。しかしながら、フラップをジグ132に設けることが可能であり、フックをハウジング134に設けることが可能であることは、理解されるであろう。係合された位置にある時に、フラップ138の平坦な側面はフック140の平坦な側面に保持されて、ジグ132、およびハウジング134が動いて互いに離れることを妨げるようになる。ハウジング134は、フラップ138をフック140から引き離すことにより、ジグ132から解放されることができる。ハウジング134、およびジグ132が別々の部品である必要がない(すなわち、これらが1つの部品であってもよい)ことは、理解されるであろう。
【0035】
ジグ134は、外科器具、切断ブロックまたは工具、を受容して、その位置が、骨に対して、直接的にまたは相対的に、正確に位置させられ、かつ固定されることができるようにする、標準的なジグである。このような一般的な種類のジグ器具は既知であり、シー・エー・エス・プリザベーション・ティビアル・ジグ(CAS Preservation Tibial Jig)(これはデピュイズ・エム・アイ・ティー・ケー・アール・システム(DePuy's MI TKR System)外科技術の一部として用いられている)の品名で、デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド(DePuy Products, Inc)から入手可能な器具、を含む。
【0036】
取付部材22は、2個の対向している平行な壁34,36と、これらの平行な壁のそれぞれの端部においてこれら2個の平行な壁の間に延在している2個の端壁38(第2の端壁は示されていない)と、を備えている。端壁38は傾斜していて、組立体が使用中である時に、これらの端壁の間の距離は、頸骨2に向かって移動するのに従って、減少する。それゆえ、取付部材32の断面形状は、概ね、等脚台形の形状である。このような形態を有する取付部材は、この取付部材が、以下に詳述されているようなバーガイドスリーブを受容するためにも用いられる場合に、有益になる可能性がある。この取付部材が等脚台形の形状以外の断面形状も有し得ることが、認識されるであろう。例えば、この取付部材22の断面形状は、正方形または長方形、であってもよい。
【0037】
平行な壁34,36は、ドリルガイドブロック20の高さよりもわずかに大きい距離だけ、分離されており、端壁38は、ドリルガイドブロックの幅よりもわずかに大きい距離だけ、分離されている。これらの距離は、ドリルガイドブロック20が、壁の間を容易にスライドして取付部材の中に入ることができるように、十分に大きいが、ドリルガイドブロックがいったん取付部材の中にスライドすると、取付部材22の中におけるドリルガイドブロック20のあらゆる移動または回転の運動が阻止されるように、十分に小さい。
【0038】
ハウジング134の取付部材22は、この取付部材22の中におけるドリルガイドブロックの適当な据付を確実にするように、ドリルガイドブロック20の中の対応する構造部に係合する構造部(formations)(図示せず)、を含むことができる。この取付部材22の構造部は、2個の円筒形の突出部分(図示せず)であって、これらが同軸になるように、取付部材22の対向している平行な壁34,36の内側に位置している、2個の円筒形の突出部分、を含んでいる。他の構造部が使用可能であること、および、上記の構造部が円筒形の突出部分であることが不可欠ではないことが、理解されるであろう。例えば、上記の構造部は立方体の突出部分であってもよい。さらに、何らかの構造部を備えることが不可欠ではないことが、理解されるであろう。例えば、取付部材22の中におけるドリルガイドブロック20の適当な据付は、取付部材22の壁との、ドリルガイドブロック20の壁の係合により、確実にすることができる。しかしながら、取付部材22が、以下に詳述されているようなバーガイドスリーブも受容可能である場合に、別のバーガイドスリーブが周りで旋回できる、支点を備えるために、構造部、特に円筒形の突出部分、を設けることが、有益になる可能性がある。
【0039】
図2は、ドリルガイドブロック20を、さらに詳細に、示している。図2aおよび図2cにおいて最良に示されているように、軸Aに対して垂直に取られている断面形状は、概ね、同一の第1および第2の等脚台形106,108の形状であり、これら等脚台形は、それぞれ、これらの基部112,114において、これらの等脚台形の基部に等しい長さを有する長方形の部分110の側面に、接合されている。第1の等脚台形の平行な側面の間に延在している、第1の等脚台形106の端部116,118は、ドリルガイドブロック20の第1の傾斜した端壁40と、第2の傾斜した端壁42と、を定めている。さらに、第2の等脚台形108の平行な側面の間に延在している第1の等脚台形の端部120,122は、ドリルガイドブロック20の第3の傾斜した端壁44と、第4の傾斜した端壁46と、を定めている。このような形態は、ドリルガイドブロック20を、二つの配向で、取付部材22の中に、取り付けること、を可能にする。第1の配向で取り付けられると、ドリルガイドブロック20の第1および第2の傾斜した端壁40,42は、取付部材22の端壁38に接触する。第2の配向で取り付けられると、ドリルガイドブロック20の第3および第4の傾斜した端壁44,46は、取付部材22の端壁38に接触する。ドリルガイドブロック20が異なる断面形状を有することができること、が認識されるであろう。例えば、このドリルガイドブロックの断面形状は、正方形または長方形であってよい。このような形態において、取付部材22は、正方形または長方形のドリルガイドブロックを受容する形状および大きさ、に適切に作られることになる。
【0040】
ドリルガイドブロック20は、取付部材22の平行な壁34,36の上の構造部(図示せず)との係合のための、第1の凹部100、第2の凹部102、第3の凹部104、および第4の凹部(図示せず)、を有している。このドリルガイドブロックがその第1の配向で取り付けられる場合に、第1の凹部100、および第2の凹部102は、取付部材22の平行な壁34,36の上の構造部に係合する。ドリルガイドブロックがその第2の配向で取り付けられる場合には、第3の凹部104、および第4の凹部(図示せず)が、取付部材22の平行な壁34,36の上の構造部に係合する。
【0041】
ドリルガイドブロック20は、このドリルガイドブロック20を貫通している、近接して離間した4個のドリルガイド穴50,52,54,56、のアレイ、をさらに含んでいる。これら近接して離間している4個のドリルガイド穴50,52,54,56の軸は、軸Aに対して、垂直である。これらの穴50,52,54,56の直径は、これらの穴を貫通できるドリル・スリーブ(図3において、符号58により示されている)の大きさよりも、わずかに大きい。これらの穴は、第1および第2のライン上に配列されており、第1のラインは、第1の穴50と第2の穴52と、を含み、第2のラインは、第3の穴54と第4の穴56と、を含んでいる。この第1のラインの穴の中心線の間に延びている線は、軸Aに対して垂直に延びている。第2のラインの穴の中心線の間に延びている線も、軸Aに対して、垂直に延びている。穴の中心線は、その穴の長さ方向軸に沿って延びている線、である。第1の穴50の中心線から、第3および第4の穴54,56の中心線までの、距離は等しい。さらに、第4の穴56の中心線から、第1および第2の穴50,52の中心線までの、距離は等しい。
【0042】
第1の穴50と第3の穴54の中心線の間の距離は、これらの穴の半径の合計よりも小さい。特に、第1および第3の穴50,54の中心線の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率は、およそ0.8である。それゆえ、図2aおよび図2bにおいて示されているように、第1および第3の穴50,54の間に延在している壁はない(すなわち、これらの穴のそれぞれの側壁の少なくとも一部は開いている)。さらに、第1および第4の穴50,56の中心線の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率も、およそ0.8である。さらに、第2および第4の穴52,56の中心線の間の距離の比率もおよそ0.8である。
【0043】
また、第1および第2の穴の間の距離と、これらの穴の半径の合計と、の比率は、およそ1.2である。さらに、第3および第4の穴54,56の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率も、およそ1.2である。それゆえ、壁の一部分が、図2aおよび図2bにおいて示されているように、第1および第2の穴50,52の間に、また、第3および第4の穴54,56の間に、存在している。
【0044】
ドリルガイドブロック20が取付部材22の中に取り付けられて、ハウジング134がジグ136により頸骨2に固定されると、穴50,52,54,56のアレイは、頸骨2の所与の領域を定める。ドリルビットは、連続した穿孔工程において、上記の穴のそれぞれに、当該ドリルビットを通過させることにより、これらの穴50,52,54,56のアレイにより定められる骨の領域、を除去するために使用できる。さらに、上述のように、ドリルガイドブロック20は、取付部材22から取り外して、第2の配向で、当該取付部材の中に再び取り付けること、が可能である。ドリルガイドブロック20は、その第1の配向に対して、その第2の配向で取り付けられる時に、軸Aの周りに180°だけ、回転される。したがって、穴50,52,54,56のアレイにより定めることのできる頸骨の総領域は、ドリルガイドブロック20がその第1の配向にある時、および当該ドリルガイドブロックがその第2の配向にある時に、アレイにより定められる領域、を含む。図2dは、ドリルガイドブロック20の、その第1の配向にある時の、側面図、を示している。さらに、仮想線は、ドリルガイドブロック20の、その第1および第2の配向の両方における、穴のそれぞれにより案内されたドリルビットの使用によって、除去されることになる骨の総領域、を示している。
【0045】
ドリルガイドブロック20は、第5および第6の穴64,66、も含む。これら第5および第6の穴64,66の直径は、第1、第2、第3および第4の穴50,52,54,56の直径よりも、小さい。この実施形態において示されているように、第5および第6の穴64,66は、除去する骨の領域を定める穴のアレイの一部、を形成している。図2bにおいて示されているように、第5および第6の穴64,66は、上記アレイの正反対の端部に位置しており、除去する骨の領域の角部から骨の素材を除去するために、ドリルビットを案内するように、使用できる。これら第5および第6の穴64,66はまた、固定ピン(図示せず)を受容するために、使用することもできる。固定ピンは、第5および第6の穴64,66を通って嵌合でき、ドリルガイドブロック20を頸骨に固定するように、頸骨2の中に延びることができる。
【0046】
図3は、ドリルガイドブロック20の異なる図を示しており、ドリルガイドスリーブ58は、第1の穴50を通過している。このドリルガイドスリーブ58は、スリーブ部分60と、ヘッド部分62と、を含む。スリーブ部分の直径は、当該スリーブが各穴の中でスライドすることができるように、これらの穴50,52,54,56の直径よりも、わずかに小さい。ドリルガイドスリーブ58のヘッド部分62の直径は、当該ヘッド部分が各穴の中にスライドして入ることを妨げられて、これにより、ドリルガイドスリーブ58が各穴を通過できる量を制限するように、これらの穴50,52,54,56の直径よりも、わずかに大きい。スリーブ部分60は、各穴の軸に対して、平行に計った、ドリルガイドブロック20の深さよりも、大きい。また、ドリルガイドスリーブ58の内径は、骨の素材を除去するために、このスリーブを通過するドリルビットの内径よりも、わずかに大きい。
【0047】
上記組立体の実施形態はドリルガイドスリーブ58を含むが、ドリルガイドスリーブが使用されること、または含まれること、は不可欠ではないこと、が理解されるであろう。例えば、ドリルビットは、ドリルガイドスリーブの使用を伴わずに、穴50,52,54,56に延びて、これら穴により案内されることができる。
【0048】
図4は、本発明による、ドリルガイドブロック70の第2の実施形態の側面図、を示している。このドリルガイドブロック70の第2の実施形態は、図1、図2および図3において示されている実施形態、に類似しており、同一の部品は同一の符号を共有している。しかしながら、第1の穴72、第2の穴74、第3の穴76、および第4の穴78は、これらの穴のそれぞれの間に壁の一部分が延在するように、離間している。第1および第3の穴72,76の中心線の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率は、およそ1.2である。さらに、第1および第4の穴72,78の中心線の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率も、およそ1.2である。さらに、第2および第4の穴74,78の中心線の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率も、およそ1.2である。さらに、第1および第2の穴72,74の中心線の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率は、およそ1.2である。最後に、第3および第4の穴76,78の中心線の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率は、およそ1.2である。
【0049】
図5は、本発明によるハウジング134の第2の実施形態、を示している。このハウジング80の第2の実施形態は、第1の取付部材82と、第2の取付部材84と、を備えており、これらの中に、ドリルガイドブロック20を取り付けることができる。第1および第2の取付部材82,84は、ハウジング134の取付部材22に類似しており、同一の部品は同一の符号を共有している。これら第1および第2の取付部材82,84は、対向している平行な壁34,36、ならびに、これらの平行な壁の間に延在している第1の端壁38および(図示されていない)第2の端壁、を備えている。これらの端壁38は、組立体が使用されている時に、これらの端壁の間の距離が骨に向かって減少するように、傾斜している。さらに、ドリルガイドブロック20の中の凹部100,102,104が係合できる、平行な壁の内側の、円筒形の突出部分の形をとる、構造部(図示せず)も存在している。上記第1および第2の取付部材82,84は、大腿骨14のような、骨から骨の素材を除去するためにドリルビットを案内するように、ドリルガイドブロック20を取り付けるために、使用できる。
【0050】
ハウジング80は、ブラケット86により、大腿骨14に固定できる。ブラケット86は、当該ブラケットの第1の穴124を通ってハウジングの中に延びている固定ピン(図示せず)により、第1の端部において、ハウジングに固定され、さらに、当該ブラケットの第2および第3の穴88,90を貫通している固定ピン(図示せず)により、第2の端部において、大腿骨に固定されることができる。ハウジング80を大腿骨14にさらに固定するために、ハウジング80は、第2の取付部材84に位置しているブロック98を貫通している第4の穴92、も備えている。この第4の穴92は、ハウジング80を大腿骨に固定するように、大腿骨14の中に挿入されることができる固定ピン(図示せず)を受容できる。
【0051】
ハウジング80はまた、スロット94を備えており、このスロット94を通して、バー工具またはその他の外科器具が、大腿骨14に、さらに切除または手術を施すために、例えば、大腿骨14に切除を行なうために、挿入されることができる。
【0052】
図6は、分離状態にあるハウジング80の斜視図、を示している。図7aは、ドリルガイドブロック20が中に位置していない、ハウジング80の側面図、を示している。
【0053】
一般的に、第1の取付部材82のみが、例えば大腿骨14から、骨の素材を除去するために、ドリルビットを案内するように、ドリルガイドブロック20を取り付けるために、使用されることになる。しかしながら、2個の取付部材82,84を有するハウジング80の使用は、連続した工程で、大腿骨14に2回の切除を行なうために、二つの面内において、バー工具を案内するために、バーガイドスリーブを用いる場合に、有用になる可能性がある。この理由は、ハウジング80が、上記の2回の切除を行なうために二つの場所においてそのハウジングを正確に位置させ、かつ固定するための必要性を伴わずに、このような切除を行なうように、バー工具を案内するために、バーガイドスリーブ38のための適当な取付部材を備えるために、使用できるからである。その代わりに、2個の取付部材82,84を備えたハウジング80は、2個の適当な取付部材を供給するために、一度だけ、骨に対して、位置させられ、かつ固定されることができる。
【0054】
図8は、バーガイドスリーブ96が第1の取付部材82の中に取り付けられている、ハウジング80、の実施形態、を示している。このバーガイドスリーブ96は、第1の取付部材の対向している平行な壁34,36の内側に位置する円筒形の突出部分(図示せず)に係合する、バーガイドスリーブ96の端部に位置する半円形の凹部の形態の構造部(図示せず)により、取付部材82の中に旋回可能に取り付けられている。それゆえ、上記円筒形の突出部分は、軸Xを定めており、この軸Xの周りで、矢印Yにより示されている方向に、バーガイドスリーブ96が旋回できる。取付部材82の端壁38は、バーガイドスリーブ96が矢印Bにより示されている方向に軸Aの周りを旋回できる量、を制限する停止部材として、作用する。バーガイドスリーブ96は、第1の取付部材82から取り外されて、ハウジング80の第2の取付部材84の中に取り付けられることができる。同様に、第2の取付部材84は、対向している平行な壁34,36の内側に位置する円筒形の突出部分(図示せず)を含み、バーガイドスリーブ96の端部に位置する半円形の凹部が、これらの突出部分と係合できる。それゆえ、これらの円筒形の突出部分は、軸Pを定めており、この軸Pの周りで、矢印Qにより示されている方向に、バーガイドスリーブ96が旋回できる。
【0055】
上記バーガイドスリーブは、骨を切断するためにバー工具を用いる処置の間に、そのバー工具を案内するために、使用できる。例えば、第1の取付部材82の中に取り付けられている時には、バーガイドスリーブ96は、大腿骨14の第1の切除を行なうために、バー工具を案内するのに使用されることができ、第2の取付部材84の中に取り付けられている時には、上記大腿骨の第2の切除を行なうために、バー工具を案内するように使用されることができる。さらに、バーガイドスリーブ96は、第1の取付部材82の中に取り付けられることができ、かつ、第1の取付部材82の中に取り付けられているドリルガイドブロック20により案内されるドリルビットの使用によって、大腿骨14から、ある領域の骨の素材を除去した後で、その大腿骨14の一部分を切除するために、バー工具を案内するために使用されることができる。
【0056】
上記ハウジング80の第2の実施形態は、大腿骨からの骨の素材の除去、および/または、大腿骨における切除の実行、に関連して説明されているが、このハウジングは、頸骨またはその他の骨、例えば上腕骨、に固定可能であり、これらの骨からの骨の素材の除去のために使用できること、が理解されるであろう。
【0057】
骨を切断するためにバー工具を用いる処置の間に、そのバー工具を案内するために、ハウジングの中に旋回可能に取り付けることのできる、少なくとも1個の取付部材またはバーガイドスリーブを備えた、ハウジング、を有している組立体の詳細は、代理人の照会番号P211128を有する、本特許出願と共に出願されている、「バーガイド組立体(A Burr Guide Assembly)」を発明の名称とする、同時係属出願の中に、開示されている。この特許出願において開示されている主題は、この参照により、本特許出願の明細書に、組み込まれている。
【0058】
〔実施の態様〕
(1)整形外科手術で、骨の中にドリル工具を案内するための、整形外科用ドリルガイド組立体において、
前記骨に固定されることができる、ハウジングと、
前記ハウジングに固定されることができるドリルガイドブロックであって、
近接して離間している少なくとも2個のドリルガイド穴のアレイを有しており、
前記ドリルガイド穴は、前記骨の表面に向かって前記穴を貫通しているドリルビットにより穿孔されることができる前記骨の組織を定め、
前記穴のうち隣接する2個の穴のそれぞれの中心の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率は、約1.5以下である、
ドリルガイドブロックと、
を備えている、組立体。
(2)実施態様1に記載の組立体において、
前記穴は、二次元に広がっている規則的なパタンで、配列されている、組立体。
(3)実施態様1に記載の組立体において、
前記穴は、少なくとも、第1のラインおよび第2のライン上に配列されており、
前記第2のライン上の穴から、前記第1のライン上の最も近い2個の穴までの距離は、ほぼ等しい、組立体。
(4)実施態様1に記載の組立体において、
前記アレイの少なくとも一対の隣接する前記穴の中心の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率は、約1以下である、組立体。
(5)実施態様1に記載の組立体において、
前記隣接する2個の穴の間の前記ガイドブロックの材料の厚さは、約3mm以下である、組立体。
【0059】
(6)実施態様1に記載のドリルガイド組立体において、
前記ドリルガイドブロックは、前記ハウジングの中に、取り外し可能に取り付けられている、ドリルガイド組立体。
(7)実施態様6に記載のドリルガイド組立体において、
前記ドリルガイドブロックは、第1の配向および第2の配向で、前記ハウジングの中に取り付けられることができる、ドリルガイド組立体。
(8)実施態様7に記載のドリルガイド組立体において、
前記第1の配向で前記ハウジングの中に取り付けられている場合に前記穴により定められる骨の組織は、前記ガイドブロックが前記第2の配向で前記ハウジングの中に取り付けられている場合に、前記穴により定められない、骨の組織、を含む、ドリルガイド組立体。
(9)実施態様1に記載のドリルガイド組立体において、
前記ガイドブロックは、当該ガイドブロックを貫通している少なくとも1個の開口部を有しており、
前記開口部の横方向の大きさは、前記ドリルガイド穴の大きさよりも小さく、
前記組立体は、
固定ピンであって、前記ガイドブロックを前記骨に固定するために、前記開口部の中に嵌合されることができ、かつ前記骨の中に延びることができる、固定ピン、
を含む、
ドリルガイド組立体。
(10)実施態様1に記載のドリルガイド組立体において、
取り外し可能なドリルガイドスリーブであって、前記ドリルガイドブロックの前記穴の内の一つの穴を貫通して、前記一つの穴を貫通しているドリルから前記骨の周囲の組織を保護する、取り外し可能なドリルガイドスリーブ、
を含む、ドリルガイド組立体。
【0060】
(11)実施態様1に記載のドリルガイド組立体において、
前記ハウジングの中に旋回可能に取り付けることのできるガイドスリーブであって、
前記ガイドスリーブの長さに沿って延在している穴を有しており、
この穴には、バー工具が、当該バー工具の切断部分が当該スリーブから切断される前記骨に向かって延びるように、受容されることが可能であり、
前記スリーブは、軸の周りで旋回運動するように前記ハウジングに取り付けられて、前記バー工具の前記切断部分が、前記軸に対して垂直である面の中における移動に制限されるようにする、
ガイドスリーブと、
前記ガイドスリーブの中に滑りばめする、バー工具と、
を含む、ドリルガイド組立体。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】近位側脛骨に取り付けられている、本発明による組立体、の斜視図である。
【図2a】第1の実施形態による、図1において示されている組立体のドリルガイドブロック、の斜視図である。
【図2b】図2aにおいて示されているドリルガイドブロックの正面図である。
【図2c】図2aにおいて示されているドリルガイドブロックの上面図である。
【図2d】図2aにおいて示されているドリルガイドブロックの側面図であり、仮想線は、ドリルガイドブロックの第1および第2の配向における、当該ドリルガイドブロックの使用によって、除去されることになる骨の領域、を示している。
【図3a】図1において示されている組立体の、ドリルガイドブロックおよびガイドスリーブの、斜視図を示している。
【図3b】図3aにおいて示されている、ドリルガイドブロックおよびガイドスリーブの、側面図である。
【図3c】図3aにおいて示されている、ドリルガイドブロックおよびガイドスリーブの、上面図である。
【図3d】図3aにおいて示されている、ドリルガイドブロックおよびガイドスリーブの、端面図である。
【図4】第2の実施形態による、図1において示されている組立体の、ドリルガイドブロックの、側面図である。
【図5】大腿骨に取り付けられている、本発明の第2の実施形態による組立体の、斜視図である。
【図6】分離状態にある、図5に示されている第2の実施形態による組立体の、斜視図である。
【図7a】図5において示されている第2の実施形態による組立体の側面図である。
【図7b】図5において示されている第2の実施形態による組立体の上面図である。
【図8】バーガイドスリーブが取り付けられている、本発明の第2の実施形態によるハウジングの、斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科手術で、骨の中にドリル工具を案内するための、整形外科用ドリルガイド組立体において、
前記骨に固定されることができる、ハウジングと、
前記ハウジングに固定されることができるドリルガイドブロックであって、
近接して離間している少なくとも2個のドリルガイド穴のアレイを有しており、
前記ドリルガイド穴は、前記骨の表面に向かって前記穴を貫通しているドリルビットにより穿孔されることができる前記骨の組織を定め、
前記穴のうち隣接する2個の穴のそれぞれの中心の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率は、約1.5以下である、
ドリルガイドブロックと、
を備えている、組立体。
【請求項2】
請求項1に記載の組立体において、
前記穴は、二次元に広がっている規則的なパタンで、配列されている、組立体。
【請求項3】
請求項1に記載の組立体において、
前記穴は、少なくとも、第1のラインおよび第2のライン上に配列されており、
前記第2のライン上の穴から、前記第1のライン上の最も近い2個の穴までの距離は、ほぼ等しい、組立体。
【請求項4】
請求項1に記載の組立体において、
前記アレイの少なくとも一対の隣接する前記穴の中心の間の距離の、これらの穴の半径の合計に対する、比率は、約1以下である、組立体。
【請求項5】
請求項1に記載の組立体において、
前記隣接する2個の穴の間の前記ガイドブロックの材料の厚さは、約3mm以下である、組立体。
【請求項6】
請求項1に記載のドリルガイド組立体において、
前記ドリルガイドブロックは、前記ハウジングの中に、取り外し可能に取り付けられている、ドリルガイド組立体。
【請求項7】
請求項6に記載のドリルガイド組立体において、
前記ドリルガイドブロックは、第1の配向および第2の配向で、前記ハウジングの中に取り付けられることができる、ドリルガイド組立体。
【請求項8】
請求項7に記載のドリルガイド組立体において、
前記第1の配向で前記ハウジングの中に取り付けられている場合に前記穴により定められる骨の組織は、前記ガイドブロックが前記第2の配向で前記ハウジングの中に取り付けられている場合に、前記穴により定められない、骨の組織、を含む、ドリルガイド組立体。
【請求項9】
請求項1に記載のドリルガイド組立体において、
前記ガイドブロックは、当該ガイドブロックを貫通している少なくとも1個の開口部を有しており、
前記開口部の横方向の大きさは、前記ドリルガイド穴の大きさよりも小さく、
前記組立体は、
固定ピンであって、前記ガイドブロックを前記骨に固定するために、前記開口部の中に嵌合されることができ、かつ前記骨の中に延びることができる、固定ピン、
を含む、
ドリルガイド組立体。
【請求項10】
請求項1に記載のドリルガイド組立体において、
取り外し可能なドリルガイドスリーブであって、前記ドリルガイドブロックの前記穴の内の一つの穴を貫通して、前記一つの穴を貫通しているドリルから前記骨の周囲の組織を保護する、取り外し可能なドリルガイドスリーブ、
を含む、ドリルガイド組立体。
【請求項11】
請求項1に記載のドリルガイド組立体において、
前記ハウジングの中に旋回可能に取り付けることのできるガイドスリーブであって、
前記ガイドスリーブの長さに沿って延在している穴を有しており、
この穴には、バー工具が、当該バー工具の切断部分が当該スリーブから切断される前記骨に向かって延びるように、受容されることが可能であり、
前記スリーブは、軸の周りで旋回運動するように前記ハウジングに取り付けられて、前記バー工具の前記切断部分が、前記軸に対して垂直である面の中における移動に制限されるようにする、
ガイドスリーブと、
前記ガイドスリーブの中に滑りばめする、バー工具と、
を含む、ドリルガイド組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−521466(P2008−521466A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542102(P2007−542102)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004460
【国際公開番号】WO2006/056751
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(500353989)デピュー インターナショナル リミテッド (40)
【Fターム(参考)】