説明

ドレン排出用配管部材の接続構造、及び、熱源機

【課題】本発明は、製造コストを増加させることなく、ドレン排出系統における配管の接続構造に起因したドレンの凍結を防止するドレン排出用配管部材の接続構造及び熱源機を提供することを目的とした。
【解決手段】ドレン排出用配管部材の接続構造は、管体1と、管体1に接続される配管用継手3を備えている。管体1及び配管用継手3は、垂直に軸線がむくように配置され、配管用継手3に対してドレンの流れ方向上流側に管体1が配置される。管体1は下流側に接続部13を有している。そして、その接続部13に配置された配管用継手3は、内径が接続部13より上流側の管体1の内径とほぼ等しく又は若干大きくされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン排出用配管部材の接続構造に関するものであって、特には熱源機における潜熱回収型熱交換器で発生するドレンを排出するためのドレン排出系統における接続構造に関する。また、そのドレン排出用配管部材の接続構造を備えた熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
湯水などを加熱する熱源機を備えた給湯器や温水循環式の暖房機器が一般家庭に普及している。また、燃料ガスが使用される熱源機には、湯水等の熱交換効率を向上させるために、主に燃焼ガスの顕熱を回収する一次熱交換器に加えて、主に燃焼ガスの潜熱を回収する二次熱交換器が具備された構成のものが知られている。
【0003】
即ち、この種の熱源機に使用される家庭用燃料としてのガスは、液化天然ガスや液化石油ガスが主力となっており、主成分がメタン又はプロパンであるために水素成分が多い。そのため、燃焼によって水蒸気が発生する。上記した二次熱交換器は、この水蒸気の潜熱を回収するものであるが、燃焼ガスに含まれた水蒸気は、熱交換によって温度が低下すると液化してドレンを発生させる。
また、燃焼によって、空気中の窒素と酸素とが反応し、窒素酸化物が生成されるため、二次熱交換器の表面側に発生したドレンが燃焼ガスに晒されることで、ドレンに窒素酸化物が溶け込み酸性(主に硝酸)を呈する。
【0004】
そして、通常、この種の熱源機を備えた給湯器では、二次熱交換器で発生した酸性のドレンを、ドレン排出系統を通じて外部に排出する。具体的には、二次熱交換器で発生したドレンは、ドレン排出系統の中途にある中和剤(炭酸カルシウム等)が充填された中和器に導入され、その中和器内で中和されて外部に排出される。
【0005】
ところで、ドレン排出系統の中途、特に中和器の下流側において、配管内が詰まったり、施工不良等により排出されるべきドレンが適切に外部に排出されない不具合が起こり得る。特に、配管内が詰まる場合に注目すると、寒冷地や冬季においては、外気温が摂氏マイナス20度程度まで下がる場合があり、その場合、配管の内壁に残ったドレンが凍結して、配管内が凍ったドレンにより閉塞されてしまう場合がある。これにより、配管内の凍結部分より上流側でドレンが溜まり、ついには中和器内のドレンの水位が過度に上昇(規定水位を超える)してしまう。
【0006】
通常、ドレンが配管内で溜まって、中和器内で溢れると、給湯器等の制御部は、安全のため熱源機の作動を停止させる。即ち、ドレンの凍結により中和器内の水位が上昇した場合であっても、制御部においては「中和器の詰まり」と認識するため、安全のため熱源機を停止させる。即ち、配管内が一時的に凍結するような場合であっても、制御部では「中和器の詰まり」と誤認して、いずれの機能(給湯運転等)も使用不能に制御するため、使用者に不便を感じさせる場合があった。
【0007】
そこで、配管内が凍結により詰まった場合、例えば、特許文献1に記載されている給水用配管の凍結防止に用いられる凍結防止用ヒータにより、ドレン排出系統における配管内凍結による不具合を解消することが勘案される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−157540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ドレン排出系統における凍結は、特定の条件を満たした一時的な作用であるため、わざわざヒータ等の加熱手段を設ける手段を採用すると、製造コストが増加するため設けたくない。
また、実際に熱源機を設置する施工現場によっても、ドレン排出系統の凍結が発生するか否かが変わるため、仮にヒータ等の加熱手段を設ける構成としても加熱手段自体が無駄になる場合がある。即ち、全ての施工現場において、製造コストの増加に対する費用対効果が得られるているかの確証が得られない懸念がある。しかし、ドレン排出系統における凍結の対策を講じなければ、凍結した場合に中和器内のドレンが規定水位を超えて熱源機側に問題を来してしまう場合がある。
【0010】
そこで、本発明者らは、ドレン排出系統における凍結を改善するべく、ドレン排出系統の環境試験を行った。すると、ドレン排出系統における凍結は、中和器より下流側で、中和器と接続されたゴム製のチューブと、そのチューブの下流側で接続される配管用継手との間に発生しやすいことが確認された。即ち、チューブと配管用継手の接続構造において、図13に示すように、配管用継手103の接続側端部が、チューブ101の流路内で上流側に向かって突出しており、その端部にドレンが残って凍結することで、ドレンの凍結領域が拡大されることが分かった。
【0011】
そこで、本発明では、上記した従来技術の問題に鑑み、製造コストを増加させることなく、ドレン排出系統における配管の接続構造に起因したドレンの凍結を防止するドレン排出用配管部材の接続構造及び熱源機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、湯水又は熱媒体を加熱する熱源機に備えられ、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器で発生するドレンが熱源機内から排出されるドレン排出系統の一部を形成するドレン排出用配管部材の接続構造であって、チューブ状の管体と、当該管体と接続される筒体の配管用継手とを備え、管体及び配管用継手は軸線の方向が垂直成分を含むように配置され、配管用継手に対してドレンの流れ方向上流側に管体が配置されるものであって、管体は、下流側に配管用継手が接続される接続部を有し、接続部に配置された配管用継手の内径は、接続部より上流側の管体の内径とほぼ等しい又は若干大きいことを特徴とするドレン排出用配管部材の接続構造である。
【0013】
本発明のドレン排出用配管部材の接続構造は、管体と配管用継手の軸線を垂直成分を含むように配置し、管体を配管継手のドレンの流れ方向上流側に配置する場合に効果的である。即ち、本発明では、管体の接続部に配管用継手を接続した際に、接続部に配置された配管用継手の内径は、接続部より上流側の管体の内径とほぼ等しく又は若干大きく設定されている。即ち、接続部において、配管用継手の端部が流路内の上流側に向かって突出することが阻止される。これにより、ドレンが管体側から配管用継手側に流れる際に、配管用継手の端部がドレンの流れの障害となることがなく、当該端部にドレンが残る不具合を防止できる。
従って、本発明によれば、接続部における流路内にドレンが残ることが防止されるため、ドレン排出系統における配管の接続構造に起因したドレンの凍結が発生することがない。また、本発明では、ドレン排出系統にヒータ等の加熱手段を用いないため、製造コストが大幅に増加することがない。
【0014】
請求項2に記載の発明は、管体の接続部は、管体における接続部の内径は、接続部に対してドレンの流れ方向上流側の内径より拡径されており、配管用継手は、接続部に挿入されて接続されることを特徴とする請求項1に記載のドレン排出用配管部材の接続構造である。
【0015】
かかる構成によれば、管体の接続部の内径が拡径されて、その拡径された接続部の内側面に当接するように、配管用継手が挿入される。即ち、管体と配管用継手の接続が容易となる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、接続部のドレンの流れ方向上流側の基端部は、配管用継手の接続側端部が当接する当接部を有していることを特徴とする請求項2に記載のドレン排出用配管部材の接続構造である。
【0017】
かかる構成によれば、管体における接続部の基端部の当接部に、配管用継手の接続側端部が当接するため、管体と配管用継手で形成される流路が、軸線方向に連続している。これにより、ドレンが流路内に残り得る部位がなくなるため、より確実にドレンの凍結を防ぐことができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、配管用継手は、筒体の内外を連通する側面開口を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のドレン排出用配管部材の接続構造である。
【0019】
かかる構成によれば、配管用継手に筒体の内外を連通する側面開口が設けられているため、万一、配管用継手よりドレンの流れ方向下流側で凍結やゴミなどに起因した詰まりが発生した場合であっても、緊急的に配管内に溜まったドレンを外部に排出することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、配管用継手又は管体には、側面開口全体を筒体の内壁側から覆う内壁補助部を有することを特徴とする請求項4に記載のドレン排出用配管部材の接続構造である。
【0021】
かかる構成によれば、側面開口全体を筒体の内壁側から覆う内壁補助部を有するため、凍結やゴミなどによる配管詰まりが発生しない限り、側面開口からドレンが漏洩することがない。
【0022】
請求項6に記載の発明は、燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器と、当該二次熱交換器で発生したドレンを外部に排出するドレン排出系統を備えた熱源機であって、
熱源機は、筺体と、請求項1乃至5のいずれかに記載のドレン排出用配管部材の接続構造を備え、配管用継手が、筺体の内外に跨って装着されていることを特徴とする熱源機である。
【0023】
本発明の熱源機は、配管用継手が熱源機の筺体の内外を跨るように装着されており、そのため配管用継手近傍の近傍の温度が摂氏マイナス20度以下となる場合が想定される。しかしながら、そのような低い温度環境になった場合であっても、ドレン排出系統内において、ドレン排出用配管部材の接続構造により、ドレンが残り得る部位が殆どないため、ドレンが配管内で凍結することが防止される。
従って、結果的に、ドレン排出系統において、凍結によりドレンが溢れることがなくなるため、給湯器等の制御部が「中和器の詰まり」を誤検知することが防止されて、安全制御が働いて熱源機が作動されない等の不便を使用者に与えることがなくなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のドレン排出用配管部材の接続構造及び熱源機では、ドレン排出系統内におけるドレンの流れに対して障害となる部位を排除することで、ドレンが配管内に残ることが防止されるため、残存ドレンの凍結による配管内詰まりを阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】潜熱回収型の二次熱交換器が配された熱源機の作動原理図である。
【図2】本発明の実施形態に係るドレン排出用配管部材の接続構造を備えた図1の熱源機の実体を示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係るドレン排出用配管部材の接続構造における管体を示す斜視図である。
【図4】図3の管体を示すA−A断面図である。
【図5】図2の配管用継手の取り付け状態を示す拡大側面図である。
【図6】本実施形態に係るドレン排出用配管部材の接続構造における配管用継手を示す斜視図である。
【図7】ドレン排出用配管部材の接続構造を示す断面図である。
【図8】図5の配管用継手を示すA−A断面図である。
【図9】図6の配管用継手を示すA方向矢視図である。
【図10】図6の配管用継手を示すB方向矢視図である
【図11】図5のドレン排出用配管部材を示すB−B断面図である。
【図12】ドレン排出用配管部材の接続構造の変形例を示す断面図である。
【図13】従来技術におけるドレン排出用配管部材の接続構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態に係るドレン排出用配管部材の接続構造について説明する。
【0027】
まず、本実施形態のドレン排出用配管部材の接続構造が配される熱源機2について説明する。なお、図1における作動原理図の構成は、従来より公知のものであるため、簡単に説明する。
熱源機2は、図1に示すように、燃料ガスを燃料として燃焼する燃焼装置7と、その燃焼装置7に内蔵された追い焚き用熱交換器10及び給湯用熱交換器11と、給湯用回路20と、追い焚き用回路21とを有している。
【0028】
燃焼装置7は、複数のバーナ12を内蔵している。そして、各系統毎に電磁弁14が設けられており、各系統毎に燃料ガスの供給を断続することができる。また、缶体8の内側下部(空気の流れ方向上流側)には、主に燃料ガスと混合される空気を送風する送風機16が取り付けられている。
また、缶体8の外側であって、電磁弁14の燃料ガスの流れ方向上流側には、ガス比例弁15が設けられており、各バーナ12に供給する燃料ガスの量を制御することができる。
【0029】
給湯用回路20では、給湯用熱交換器11を通過する高温湯流路26を流れる高温の湯にバイパス流路27を流れる冷水を混合して、所望の温度の湯水に調整し、給湯口28から適温の湯水を供給する。また、給湯用回路20は、追い焚き用回路21と接続されている。
【0030】
追い焚き用回路21は、浴槽5を含む循環回路18を形成するものであり、浴槽5側から熱源機2の追い焚き用熱交換器10に湯水を戻す風呂戻り流路30と、追い焚き用熱交換器10側から浴槽5側に湯水を送り出す風呂往き流路31を備えている。
【0031】
また、前記した追い焚き用熱交換器10及び給湯用熱交換器11は、主に燃焼ガスの顕熱を回収する顕熱回収型の一次熱交換器10a、11aと、一次給湯熱交換器11aよりも湯水の流れ方向上流側に位置し主に燃焼ガスの潜熱を回収する潜熱回収型の二次熱交換器10b、11bを有している。より具体的には、缶体8内部の左側の追い焚き用熱交換器10は、燃焼ガスの流れ方向上流側から一次熱交換器10a、二次熱交換器10bが配されており、缶体8内部の右側の給湯用熱交換器11は、燃焼ガスの流れ方向上流側から一次熱交換器11a、二次熱交換器11bが配されている。
なお、顕熱回収型の熱交換器は、フィン付の銅管で形成されており、潜熱回収型の熱交換器はステンレス製の裸管で形成されている。即ち、潜熱回収型の二次熱交換器10b,11bは、顕熱回収型の一次熱交換器10a,11aよりも耐腐食性に優れた材料により構成されている。
【0032】
また、二次熱交換器10b、11bでは、熱交換により、燃焼ガスに含まれる水蒸気が凝縮されて液化したドレンが発生するため、そのドレンを外部に導くドレン排出系統24が接続されている。
ドレン排出系統24は、ドレン専用の流路で、中途に中和剤(炭酸カルシウム等)が充填された公知の中和器29が設けられている。即ち、二次熱交換器10b、11bから流出したドレンは、缶体8と接続された配管を介して中和器29に導入されて、中和されたドレンがさらに別の配管を介して外部に排出される。
【0033】
ここで、先にも説明したように、従来技術におけるドレン排出系統は、寒冷地や冬季などの特定の条件により、ドレンが凍結して、その凍結したドレンによりドレンが排出されず、中和器内が溢れてしまう不具合が生じていた。これにより、図示しない制御部が、中和器の詰まりと誤認して、熱源機の作動が停止されることで、使用者に不便を与えていた。
そこで、本実施形態では、この不具合を解消するために、ドレン排出系統24にドレン排出用配管部材の接続構造を採用した。
【0034】
本実施形態のドレン排出用配管部材の接続構造(以下、ドレン配管接続構造とも言う)は、図2に示すように、ドレン排出系統24の下流側の一部を形成するチューブ状の管体1と配管用継手3との接続構造である。具体的には、このドレン配管接続構造は、ドレン排出系統24の中途に配された中和器29よりドレンの流れ方向下流側(図2の下部側)に配されている。
【0035】
管体1は、弾性を備えたゴムにより構成されており、一方の端部側に内径が拡径された接続部13が設けられている。この管体1は、成形により拡径された形状が維持されている。接続部13の内径は、後述する配管用継手3より若干小さく、具体的には、配管用継手3の外径より1mm程度小さい。接続部13は、管体1の前記端部から一定長さ軸線方向に向かって形成されている。具体的には、接続部13は、その一方の端部から基端部(管体の軸線方向に向かった中途)17までの長さが、2.0〜3.0cm程度の長さで、好ましくは2.0cm程度の長さである。
また、接続部13の基端部17には、図4に示すように、管体1の内壁側に当接部18が形成されている。当接部18は、管体1の軸線方向に対して角度α傾いた部位で、具体的には軸線に対して角度αが、90度から70度(ドレンの流れ方向)に設定されている。この当接部18には、後述する配管用継手3の上流側端部が当接する。
【0036】
配管用継手3は、樹脂製であり、図5,6に示すように、2つの寸法の異なる上部円筒部材32と下部円筒部材33が、一体的に接続されて形成されている。
上部円筒部材32は、下部円筒部材33より内径及び外径が小さく設計され、さらに上部円筒部材32の軸線方向長さは、下部円筒部材33の軸線方向長さより短く設計されている。そして、上部円筒部材32には管体1が接続される。このとき、図7に示すように、上部円筒部材32の接続側端部が、管体1の当接部18に当接している。
【0037】
即ち、本実施形態では、管体1の接続部13の内径Aと、接続部13より上流側の内径Bと、上部円筒部材31の内径Cと、下部円筒部材32の内径Dとの関係は、図7に示すように、管体1の内径A>管体1の内径B、管体1の内径A>上部円筒部材32の内径C、下部円筒部材33の内径D>上部円筒部材32の内径Cとなる。また、管体1の内径Bは、上部円筒部材32の内径Cとほぼ等しい径である。従って、ドレンが流れる流路は、管体1から上部円筒部材32の下流側端部まではほぼ同一の内径(内径B又は内径C)で、それ以降の下部円筒部材33からは若干拡げられた内径Dとなる。換言すると、管体1の接続部13の端部に到達するまでは、内径が殆ど変化することはなく、接続部13の下流側端部以降から内径が拡がる方向に変化している。
【0038】
また、上部円筒部材32の外側には、図5,6に示すように、基端部(下部円筒部材32との接続側)に外径方向に膨らんだリング状の大段部34と、軸線方向中途に外径方向に膨らんだリング状に小段部35とが形成されている。大段部34は、管体1が上部円筒部材32に接続された際に、管体1の接続側の端部が突き当たる部位で、小段部35は、管体1の内壁を外側に向けて押圧して上部円筒部材32との密着性を高める部位である。
【0039】
上部円筒部材32の内側には、基端側の端部に内壁補助壁(内壁補助部)36が設けられている。即ち、内壁補助壁36は、図8に示すように、上部円筒部材32の端部から軸線方向下側に向かって張り出した配置である。また、内壁補助壁36は、図9に示すように、上部円筒部材32の内壁とほぼ同じ円弧形状であり、内側(中心軸に近い側)の面を上部円筒部材32の内壁と同一面を有するように、内壁補助壁36の上部(上流側)の端部が上部円筒部材32の筒体に一体的に固定されている。即ち、図9に示すように、上部円筒部材32の先端側(基端側と軸線方向反対側)からドレンが流れても、内壁補助板36がドレンの流れの障害となることがない。
また、本実施形態では、図8,9に示すように、内壁補助板36の大きさが、後述する側面開口37の開口サイズより一回り大きいサイズに設計されている。具体的には、内壁補助板36の縦・横の長さは、側面開口37の縦・横に長さに対して、それぞれ1.2倍程度の長さとされている。なお、内壁補助壁36は、図9に示すように、上部円筒部材32の中心角θが45〜180度の円弧で、好ましくは90度程度の円弧である。
【0040】
下部円筒部材33は、上部円筒部材32の中心軸と一致させることなくして、軸線方向端部同士を接続しており、図8,9に示すように、上部円筒部材32の内壁と下部円筒部材33の内壁との間隔を広くして、前記内壁補助壁36を配置可能な補助壁配置部39が形成されている。これにより、下部円筒部材33のサイズを変更することなく、内壁補助壁36の外側面と下部円筒部材33の内壁との間隔を維持することができる。
【0041】
また、下部円筒部材33は、基端側に下部円筒部材33の内外を連通した側面開口36が形成されている。そして、側面開口37は、内壁補助壁36に対応する位置に設けられており、側面開口37と内壁補助壁36との間に、ドレン排出系統24の流路と側面開口36とを連通する排出補助空間40が形成されている。排出補助空間40は、図6の拡大部に示すように、上部(上流側)のみが閉塞されており、左右及び下部(図6)が開放された空間である。即ち、排出補助空間40は、左右及び下部からドレンが流れ込んで側面開口37に流れ込む構成である。これにより、ドレンが側面開口37近傍に滞留した場合であっても、排出補助空間40及び側面開口37を介して、滞留したドレンを外部に排出することができる。
【0042】
側面開口36は、側面視した形状がほぼ長方形であり、下部円筒部材33の軸線方向に平行な辺(縦)の長さよりも、下部円筒部材33の周方向に延びる辺(横)の長さのほうが長くされている。
また、側面開口37は、見方を変えると、下部円筒部材33の肉厚分を貫通した開口でもあり、下部円筒部材33の外壁と内壁とを繋ぐ面によって形成されているとも言える。即ち、本実施形態では、図11に示すように、側面開口37を形成する軸線方向に沿って平行な辺(縦)を有する2つの軸線方向面(外壁と内壁とを繋ぐ面)38を外壁から内壁に向けて互いに離れる形状に加工している。換言すると、側面開口37は、軸線方向面38により、開口縁に向かうにつれて肉厚が薄くされている。即ち、内壁補助壁36により、側面開口37から下部円筒部材33の内部を伺うことはできないが、側面開口37の軸線方向面38により、側面開口37近傍に滞留したドレンは排出補助空間40側に流れ易い。
なお、下部円筒部材33の外側には、先端側に雌ネジ部41が形成されており、雌ネジ部41により、外部と連通した図示しない排水管と接続される。
【0043】
即ち、本実施形態のドレン配管接続構造を採用することで、ドレンが流れる流路にドレンが残存するような部位が形成されない。これにより、ドレン排出系統内におけるドレンの流れに対して障害となる部位が排除され、残存ドレンの凍結による配管内詰まりを阻止できる。また、万一、残存ドレンの凍結により、ドレン排出系統24内が詰まった場合であっても、配管用継手3に形成された側面開口37を介して、ドレンを外部に排出することができる。
【0044】
上記実施形態では、管体1の接続部13の内径を拡径した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図12に示すように、管体1の接続部13の外径を上部円筒部材33の内径より小さくして、管体1の接続部13を上部円筒部材32に挿入して接続する構成であっても構わない。この構成によれば、側面開口37全体を覆う内壁補助壁35の代用として、管体1自身を内壁補助部として機能させることができるため、製作がより簡易となる。
【0045】
上記実施形態では、管体1と配管用継手3の軸線が垂直に向くように配置した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、管体1と配管用継手3を垂直状態から、若干傾けた配置であっても構わない。要するに、管体1と配管用継手3を流れるドレンが、重力により流れる程度の傾き(垂直成分を含む傾き)であれば構わない。
【符号の説明】
【0046】
1 管体
3 配管用継手
9 筺体
10b 二次熱交換器
11b 二次熱交換器
13 接続部
14 基端部
17 基端部
18 当接部
24 ドレン排出系統
35 側面開口
36 内壁補助壁(内壁補助部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水又は熱媒体を加熱する熱源機に備えられ、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器で発生するドレンが熱源機内から排出されるドレン排出系統の一部を形成するドレン排出用配管部材の接続構造であって、
チューブ状の管体と、当該管体と接続される筒体の配管用継手とを備え、管体及び配管用継手は軸線の方向が垂直成分を含むように配置され、配管用継手に対してドレンの流れ方向上流側に管体が配置されるものであって、
管体は、下流側に配管用継手が接続される接続部を有し、
接続部に配置された配管用継手の内径は、接続部より上流側の管体の内径とほぼ等しい又は若干大きいことを特徴とするドレン排出用配管部材の接続構造。
【請求項2】
管体における接続部の内径は、接続部に対してドレンの流れ方向上流側の内径より拡径されており、
配管用継手は、接続部に挿入されて接続され、配管用継手の外側面が管体の内側面に当接することを特徴とする請求項1に記載のドレン排出用配管部材の接続構造。
【請求項3】
接続部のドレンの流れ方向上流側の基端部は、配管用継手の挿入側端部が当接する当接部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のドレン排出用配管部材の接続構造。
【請求項4】
配管用継手は、筒体の内外を連通する側面開口を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のドレン排出用配管部材の接続構造。
【請求項5】
配管用継手又は管体には、側面開口全体を筒体の内壁側から覆う内壁補助部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のドレン排出用配管部材の接続構造。
【請求項6】
燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器と、当該二次熱交換器で発生したドレンを外部に排出するドレン排出系統を備えた熱源機であって、
熱源機は、筺体と、請求項1乃至5のいずれかに記載のドレン排出用配管部材の接続構造を備え、
配管用継手が、筺体の内外に跨って装着されていることを特徴とする熱源機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−179714(P2011−179714A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42497(P2010−42497)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】