説明

ドープされた緻密なSiO2皮膜を備えた二酸化チタン顔料粒子及びその製造方法

本発明は、少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で表面が被覆されている改善された光安定性を有する二酸化チタン顔料粒子において、前記SiO2皮膜は、少なくとも1種のドーパント元素でのドーピングにより価電子帯及び/又は伝導帯中での禁止帯付近でのエネルギー状態密度が低下されているか又は付加的なエネルギー状態が禁止帯中に作成されていることを特徴とする、二酸化チタン顔料粒子に関する。このドープされた緻密なSiO2皮膜は、公知の湿式化学的方法又は気相中で前記二酸化チタン粒子の表面上に設けられている。特に適したドーパント元素はSn、Sb、In、Ge、Y、Zr、Zn、Nb、F、Mn、Cu、Mo、Cd、Ce、W及びBiである。本発明から、次の公知のドーパント元素は除外される:気相法については、Al、B、Ge、Mg、Nb、P、Zr、湿式化学法については、Ag、AI、B、Ba、Be、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Mg、Mn、Ni、Nb、Sn、Sr、Ti、Zn、Zr。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にドーパント元素でドープされた緻密な二酸化ケイ素皮膜が設けられている二酸化チタン顔料粒子、並びにその製造方法に関する。本発明による二酸化チタン顔料粒子は、改善された光安定性を有する。
【0002】
背景技術
二酸化チタンはその高い光屈折率に基づき高価値の顔料として、例えばプラスチック、被覆、紙、繊維のような多くの分野で使用されている。もっとも、二酸化チタンは光活性で、つまりUV吸収により不所望な光触媒反応を引き起こし、この反応は顔料添加された材料の分解を生じさせる[The Chemical Nature of Chalking in the Presence of Titanium Dioxide Pigments, H. G. Voelz, G. Kaempf, H. G. Fitzky, A. Klaeren著, ACS Symp. Ser. 1981, 151, Photodegradation and Photostabilization of Coatings]。この場合、二酸化チタン顔料は近紫外線領域の光を吸収して、電子−正孔ペアを生じ、このペアは前記二酸化チタン表面に高反応性ラジカルを生じさせる。こうして形成されたラジカルは有機媒体中で結合剤の破壊を引き起こす。実験的な調査から、ヒドロキシルイオンは光触媒プロセスにおいて優位な役割があることは公知である(Photocatalytic Degradation of Organic Water Contaminants: Mechanism Involving Hyroxyl Radical Attack, C. S. Turchi, D. F. Ollis著, Journal of Catalysis 122, 1990, 178-192)。
【0003】
TiO2粒子をドープするか(例えばアルミニウムで)又は無機的に表面処理する(例えばケイ素及び/又はアルミニウム及び/又はジルコニウムの酸化物で被覆することによる)ことによって、TiO2の光活性を低減できることは公知である[Industrial Inorganic Pigments, G. Buxbaum編, VCH, New York 1993, p. 58 - 60]。特に、複数の特許において、できる限り緻密な非晶質のSiO2からなる皮膜(いわゆる「dense skin」)を前記粒子表面に適用することが記載されている。
【0004】
この皮膜は、フリーラジカルが粒子表面に形成されることを抑制する。
【0005】
緻密なSiO2皮膜及び他のAl23被覆を無機粒子、特にTiO2上に作成するための湿式化学的方法は、US 2,885,366若しくはUS RE. 27,818及びUS 4,125,412の特許に記載されている。EP 0 245 984 B1は、Na2SiO3及びB23含有溶液の同時添加により65〜90℃の低い温度で実施することができる方法を記載している。
【0006】
SiO2−dense skin処理は、このように被覆されたガラス繊維の摩耗に対する強度を高めかつ製造された製品中での前記繊維の滑りを低下させるためにも実施される。この関連で、US 2,913,419は、多価金属イオン、例えばCu、Ag、Ba、Mg、Be、Ca、Sr、Zn、Cd、AI、Ti、Zr、Sn、Pb、Cr、Mn、Co、Niと一緒にケイ酸を粒子表面に堆積させる湿式化学的方法を記載している。
【0007】
dense-skinTiO2顔料の光安定性を高めることを、US 2006/0032402 A1による方法が可能にする。これはSn若しくはTi又はZrを湿式化学的に適用されたSiO2皮膜中に組み込むことに基づく。
【0008】
TiO2粒子の表面被覆のための公知の湿式化学的方法の他に、緻密なSiO2皮膜を気相から堆積させる方法も存在する。この場合、塩化物法による二酸化チタンの製造の間にケイ素化合物、有利にSiCl4が1000℃を上回る熱いTiO2粒子流中に導入されるため、均質で緻密なSiO2層が前記粒子表面上に形成される。
【0009】
EP 1 042 408 B1は、Si及びB、P、Mg、Nb又はGeの酸化物で表面被覆する気相法を記載している。
【0010】
発明の開示
本発明の根底をなす課題は、公知のdense-skin顔料粒子と比較して改善された光安定性を有する緻密なSiO2皮膜で被覆された二酸化チタン顔料粒子を製造することであった。さらに、本発明の根底をなす課題は、前記顔料のための製造方法を提供することであった。
【0011】
前記課題は、気相から堆積されかつ少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で表面が被覆されている二酸化チタン顔料粒子において、前記SiO2皮膜は、少なくとも1種のドーパント元素を用いたドーピングにより、価電子帯及び/又は伝導帯中の禁止帯付近でのエネルギー状態密度を低下させるか又は禁止帯中に付加的なエネルギー状態を作りだし、かつその際、Al、B、Ge、Mg、Nb、P及びZrのグループからなるドーパント元素は除外されることを特徴とする、二酸化チタン顔料粒子により解決される。
【0012】
前記課題は、更に、気相から堆積されかつ少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で表面が被覆されていて、前記ドーパント元素はSn、Sb、In、Y、Zn、F、Mn、Cu、Mo、Cd、Ce、W及びBi並びにこれらの混合物のグループから選択される二酸化チタン顔料粒子により解決される。
【0013】
前記課題は、更に、湿式法で作成されかつ少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で表面が被覆されている二酸化チタン顔料粒子において、前記SiO2皮膜は、少なくとも1種のドーパント元素を用いたドーピングにより、価電子帯及び/又は伝導帯中の禁止帯付近でのエネルギー状態密度を低下させるか又は禁止帯中に付加的なエネルギー状態を作りだし、かつその際、Ag、Al、B、Ba、Be、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Mg、Mn、Ni、Pb、Sn、Sr、Ti、Zn及びZrのグループからなるドーパント元素は除外されることを特徴とする、二酸化チタン顔料粒子により解決される。
【0014】
前記課題は、更に、湿式法で作成されかつ少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で表面が被覆されていて、前記ドーパント元素はSb、In、Ge、Y、Nb、F、Mo、Ce、W及びBi並びにこれらの混合物のグループから選択される二酸化チタン顔料粒子により解決される。
【0015】
前記課題は、更に、少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で表面が被覆されている二酸化チタン顔料粒子の製造方法において、次の工程:
a) 四塩化チタンを気相中でハロゲン化アルミニウム及び酸素を含有するガスと、反応器中で1000℃を超える温度で反応させて、TiO2粒子を有する粒子流を製造する工程、
b) 前記粒子流を、少なくとも2種の化合物と接触させ、その際、第1の化合物は酸化ケイ素−前駆化合物であり、第2の化合物はSn、Sb、In、Y、Zn、Mn、Cu、Mo、Cd、Ce、W、Biの酸化物−前駆化合物及びFの前駆化合物並びにこれらの混合物からなるグループから選択する工程、
c) 前記粒子流を冷却して、少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で被覆されている顔料粒子を製造し、その際、前記ドーパント元素は、Sn、Sb、In、Y、Zn、F、Mn、Cu、Mo、Cd、Ce、W及びBi並びにこれらの混合物のグループから選択する工程を有する方法より解決される。
【0016】
最後に、前記課題は、更に、少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で表面が被覆されている二酸化チタン顔料粒子の製造方法において、次の工程:
a) 10を超えるpH値を有するTiO2粒子の水性懸濁液を準備する工程、
b) アルカリ性ケイ素成分の水溶液及びドーパント元素を含有する成分の少なくとも1つの水溶液を添加し、その際、前記ドーパント元素はSb、In、Ge、Y、Nb、F、Mo、Ce、W及びBi並びにこれらの混合物のグループから選択する工程、
c) 前記懸濁液のpH値を9を下回る値、有利に8を下回る値に低下させることにより、少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜を前記粒子表面に堆積させ、その際、前記ドーパント元素はSb、In、Ge、Y、Nb、F、Mo、Ce、W及びBi並びにこれらの混合物のグループから選択する工程を有する方法より解決される。
【0017】
本発明のさらに有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0018】
本発明の主題は、光安定性に関して更に改善されている被覆された二酸化チタン顔料である。
【0019】
本発明の記載
本発明の顔料は、二酸化チタン粒子表面上の緻密な皮膜(dense skin)中に、全顔料に対して、SiO2として計算して0.1〜6.0質量%、有利に0.2〜4.0質量%のケイ素と、酸化物として計算して又はFの場合には元素として計算して0.01〜3.0質量%、有利に0.05〜2.0質量%のドーパント元素を含有する。
【0020】
有利な実施態様において、前記粒子は、全顔料に対して、Al23として計算して0.5〜6.0質量%、有利に1.0〜4.0質量%の酸化アルミニウム又はオキシ水酸化アルミニウム(Aluminiumoxidhydrat)からなる付加的な層で被覆されている。
【0021】
二酸化チタン粒子は有利にルチルである。
【0022】
この場合及び以後、「ドーパント元素」とは、原子又はイオンとしてのそれぞれの元素であるか、適用可能である限り、相応する化合物、例えば酸化物であると解釈される。湿式化学により製造された被覆の記載の範囲内で、「酸化物」とは、この場合及び以後、相応する水含有酸化物又は相応する水和物であると解釈される。次に開示されたpH値、温度、質量%又は体積%で示す濃度等に関する全ての記載は、当業者に公知のそれぞれの測定精度の範囲内にある全ての値を含むと解釈される。
【0023】
本発明は、光安定性を高めるために光触媒プロセスを適当な方法で中断しなければならないこと、つまり励起された電子−正孔ペアによる高活性ラジカルの生成を妨げなければならないことに基づく。これは、多様なメカニズムを利用することで、例えば電子−正孔ペアの再結合率を高めることによるか又は顔料表面にエネルギー障壁を構築することにより行うことができる。
【0024】
緻密でかつ均一に設けられたSiO2皮膜は、TiO2表面ですでにエネルギー障壁を構築し、これは未被覆のTiO2表面と比べて被覆されたTiO2表面の価電子帯並びに伝導帯中の禁止帯付近での低下されたエネルギー状態密度により証明できる。意外にも、SiO2皮膜を選択された元素でドーピングすることにより、禁止帯付近でのエネルギー状態密度は更に低下され、それにより、エネルギー障壁を高め、ひいてはこのように被覆されたTiO2顔料の光安定性が更に改善される。価電子帯と伝導帯との間の禁止帯中での付加的なエネルギー状態は、電子−正孔ペアの再結合を促進する。SiO2被覆の選択された元素でのドーピングは、前記のエネルギー状態を作りだし、従って同様にドープされていないSiO2膜と比較して光り安定性を改善する。
【0025】
元素Sn、Sb、In、Ge、Y、Zr、Zn、Nb、F、Mn、Cu、Mo、Cd、Ce、W及びBiが適当なドーパント元素であることが判明した。ドープされたSiO2皮膜を設けることは、湿式化学的にも気相法によっても行うことができる。もちろん、気相法を用いた場合に、湿式化学法を用いた場合よりも基本的に均質な皮膜を設けることができることは公知である。
【0026】
本発明は、緻密なSiO2皮膜を、計算されたエネルギー状態密度が未だに提供されていないが、この計算は次の記載のように簡単に実施することができる、他のドーパント元素でドーピングすることを有する。ドープされたSiO2皮膜中で本発明によるエネルギー状態を作り出しかつ化学実験によってまだ見出されていなかった全てのドーパント元素は、本発明に含まれる。本発明に該当しない公知のドーパント元素は、乾式の気相法については、Al、B、Ge、Mg、Nb、P、Zrであり、湿式化学法については、Ag、AI、B、Ba、Be、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Mg、Mn、Ni、Nb、Sn、Sr、Ti、Zn、Zrである。
【0027】
更に、2種以上のドーパント元素の適当な組み合わせは、個々の元素のエネルギー状態の相互作用に基づく全体のエネルギー状態密度の計算により見つけ出すことができる。このような有利な組み合わせは、本発明による計算を用いて、今まで実施されていた時間及び費用がかかる化学試験に対して簡単に見つけ出すことができる。
【0028】
本発明を次に図1〜18を用いて例示的に説明する。
【0029】
図1は、原子から固体へ移行する際のエネルギー状態を表す(P.A. Cox: "The Electronic Structure and Chemistry of Solids", Oxford Science Publications 1987, p.13から引用)。
【0030】
図2は、SiO2被覆を有していない及び有しているTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0031】
図3は、SiO2被覆を有する及びSnドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0032】
図4は、SiO2被覆を有する及びSbドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0033】
図5は、SiO2被覆を有する及びInドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0034】
図6は、SiO2被覆を有する及びGeドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0035】
図7は、SiO2被覆を有する及びYドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0036】
図8は、SiO2被覆を有する及びNbドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0037】
図9は、SiO2被覆を有する及びFドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0038】
図10は、SiO2被覆を有する及びMnドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0039】
図11は、SiO2被覆を有する及びCuドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0040】
図12は、SiO2被覆を有する及びMoドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0041】
図13は、SiO2被覆を有する及びCdドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0042】
図14は、SiO2被覆を有する及びCeドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0043】
図15は、SiO2被覆を有する及びWドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0044】
図16は、SiO2被覆を有する及びBiドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0045】
図17は、SiO2被覆を有する及びMgドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0046】
図18は、SiO2被覆を有する及びAlドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す。
【0047】
このエネルギー状態密度は、製造元Accelrys Inc.社(San Diego)のソフトウェアパッケージCASTEP(Version 4.6, 1. Juni 2001)を用いて量子力学的に計算された。この計算は、LDA−近似(局所密度近似,local density approximation)での密度汎関数コードCASTEP(Dichte-Functional-Code CASTEP)を用いて実施した。詳細な情報はV. Milman et. al.によりInternational Journal of Quant. Chemistry 77 (2000), p. 895 - 910に公開されている。チタンについては、セミコア(semi-core)状態を含めた次の原子価状態を使用した:3s、3p、3d、4s及び4p。酸素については、原子価状態2s及び2p、ケイ素については原子価状態3s及び3pを使用した。これらのドーパント元素の場合に、インジウム、イットリウム及びマグネシウムはセミコア状態4d又は4s及び4p又は2pを含めた。ドーパント元素について使用した基本セットは次のようなものである:
Sn: 5s, 5p, 6s, 6p, 7s
Sb: 5s, 5p, 6s, 6p, 7s
In: 4d, 5s, 5p, 6s, 6p, 7s
Ge: 4s, 4p, 4d
Y: 4s, 4p, 4d, 5s, 5p
Nb: 4s, 4p, 4d, 5s, 5p
F: 2s, 2p
Mn: 3d, 4s, 4p
Cu: 3d, 4s, 4p
Mo: 4s, 4p, 4d, 5s, 5p
Cd: 4d, 5s, 5p, 6s, 6p
Ce: 4f, 5s, 5p, 6s, 6p, 7s, 7p, 8s
W: 5d, 6s, 6p
Bi: 6s, 6p, 7s, 7p, 8s
Mg: 2p, 3s, 3p
AI: 3s, 3p。
【0048】
平面波に対する運動エネルギーカットオフは380eVであった。構造的な形状最適化は実施しなかった、それというのもこの計算モデルは公知の実験結果(Sn、Al、Zr 及びZnを有する被覆)に基づいて評価かつ確認することができたためである。このモデル計算は光安定性の調査のために十分な精度を生じる。
【0049】
この状態密度の計算のために、Monkhorst-Pack図による格子に基づいた。この表面の計算は、10Åの真空厚(Vakuumdicke)での「Slab-Modell法」により実施した。
【0050】
実施例
本発明を、実施例1〜14(ドーパント元素Sn、Sb、In、Ge、Y、Nb、F、Mn、Cu、Mo、Cd、Ce、W及びBiによるSiO2膜のドーピング)並びに比較例1(純粋なSiO2膜)、比較例2(MgによるSiO2膜のドーピング)及び比較例3(AlによるSiO2膜のドーピング)により説明する。
【0051】
比較例1の計算は、SiO2単分子層によるTiO2−(110)面の完全な被覆に基づく。この単位格子は、この場合52原子(Ti8Si836)を有する。この顔料上に、相応して、SiO2による計算された単分子の被覆は約0.2nmの厚さで、TiO2に対して約0.3質量%の質量割合で設けられる。
【0052】
この質量割合は、次の値に基づいて算出された:塩化物法により製造されたTiO2粒子について比表面積(BETによる)の典型的な値:6.2m2/g、単分子膜の厚さ:0.2nm、SiO2膜の密度:2.2g/cm3
【0053】
実施例1〜14及び比較例2及び3は、TiO2表面の単分子膜SiO2での被覆を記載し、前記単分子膜は原子比1(ドーパント元素):7(Si)でドープされている、つまり単位格子はTi8Si7136を有する。TiO2顔料上の被覆は、酸化物として計算してかつTiO2に対してドーパント元素の次の質量割合が生じる。
【0054】
実施例1:SnO2 約0.10質量%、
実施例2:Sb23 約0.09質量%、
実施例3:In23 約0.09質量%、
実施例4:GeO2 約0.07質量%、
実施例5:Y23 約0.14質量%、
実施例6:Nb25 約0.09質量%、
実施例7:F 約0.01質量%、
実施例8:MnO2 約0.06質量%、
実施例9:CuO 約0.06質量%、
実施例10:MoO3 約0.10質量%、
実施例11:CdO 約0.09質量%、
実施例12:CeO2 約0.12質量%、
実施例13:WO3 約0.16質量%、
実施例14:Bi23 約0.09質量%、
比較例2:MgO 約0.03質量%、
比較例3:Al23 約0.04質量%。
【0055】
結果
この量子力学的CASTEP計算の結果は電子構造を示す。これは、帯構造(エネルギーバンドの位置的解明)又は状態密度(積分されたエネルギー状態)の形で分析することができる。図1は、電子構造についての単純化された構成図(d)を示す。この構成図は、この場合、エネルギーバンド幅及びエネルギーバンドの位置だけを表す。エネルギーバンド内のエネルギー状態分布について状態密度(e)を参照する。
【0056】
図2は、TiO2の光活性に関するドープされていない純粋なSiO2被覆(比較例1)の作用を示す:純粋なTiO2(110)表面の計算された状態密度は波線で示し、SiO2被覆された表面は実線で示す。光活性に関するSiO2被覆のポジティブな効果は、一方で被覆されていないTiO2表面と比較して禁止帯付近での伝導帯(CB)中での状態密度の低下に基づき、それにより電子−正孔ペアの周囲のマトリックスへの移行は妨げられる。他方で、このポジティブな効果は、禁止帯付近での価電子帯(VB)中での状態密度の低下が付加的に行われることにより強化される。
【0057】
図3は、純粋なSiO2被覆と比較した状態密度に関するSiO2層のSn(実施例1)によるドーピングの作用を示す。この場合には、禁止帯付近でのVB状態密度のさらなる低下が生じ、これは光安定性を改善する。
【0058】
図4〜8は、SiO2層のSb(実施例2、図4)、In(実施例3、図5)、Ge(実施例4、図6)、Y(実施例5、図7)もしくはNb(実施例6、図8)によるドーピングのそれぞれの作用を示す。それぞれは、意外にも、禁止帯付近でのVB状態密度の低下が認められ、この被覆は光安定性を向上させる。
【0059】
元素Zr又はZnによるSiO2層のこの種のドーピングは、同様に、ドープされていないSiO2層と比較して安定性を改善させる。
【0060】
図9〜16は、SiO2層のF(実施例7、図9)、Mn8(実施例8、図10)、Cu(実施例9、図11)、Mo(実施例10、図12)、Cd(実施例11、図13)、Ce(実施例12、図14)、W(実施例13、図15)もしくはBi(実施例14、図16)によるドーピングのそれぞれの作用を示す。SiO2層のF、Mn、Cu、Mo、Cd、Ce、WもしくはBiによるドーピングは、意外にも電子−正孔ペアについての再結合中心としてひいては安定性の向上に作用する、禁止帯内での付加的エネルギー状態を生じさせる。
【0061】
図17は、SiO2層のMg(比較例2)によるドーピングの状態密度に関する作用を示す。この場合、禁止帯付近でのVB状態密度の上昇が生じるため、SiO2層のMgによるドーピングは光安定性を損なう。
【0062】
図18は、SiO2層のAl(比較例3)によるドーピングの状態密度に関する作用を示す。この場合でも同様に、禁止帯付近でのVB状態密度の上昇が生じるため、SiO2層のAlによるドーピングは光安定性を損なう。
【0063】
エネルギー状態計算の結果は、実験によりドープされた試料について測定された光安定性値と良好に相関している。ここに記載された計算法を用いて、従って、緻密なSiO2皮膜を備えたTiO2顔料(dense-skin-顔料)の光安定性を高めるために適したドーパント元素を、化学実験の「試行錯誤」法よりもより適切に決定することができる。本発明に基づいて当業者は、先行技術及びここで挙げられていない他のドーパント元素及びドーパント元素の組み合わせについても、dense-skin-顔料の光安定性を改善するためのその能力を計算及び予想することができる。本発明者には、すでに実験的に測定されかつ先行技術において公開された次のドーパント元素が公知である:気相法については、Al、B、Ge、Mg、Nb、P、Zr、湿式化学法については、Ag、AI、B、Ba、Be、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Mg、Mn、Ni、Nb、Sn、Sr、Ti、Zn、Zr。
【0064】
方法の実施
二酸化チタン粒子を緻密なSiO2で被覆する方法自体は公知である。この伝統的な方法様式は、水相によって行われる。このため、TiO2−粒子−懸濁液が製造され、場合により分散剤が添加されかつ場合により湿式粉砕される。緻密なSiO2皮膜の堆積は、通常では、アルカリ金属ケイ酸塩溶液の添加及び適当なpH値管理によって行われる。
【0065】
このドーパント元素は、塩溶液の形でケイ酸塩溶液と一緒に添加されるか又はケイ酸塩溶液の添加の前又は後で別々に添加される。当業者には、緻密な被膜を製造するために、pH値の制御のための適当な化合物及び必要量は公知である。
【0066】
緻密なSiO2皮膜の本発明によるドーピングは、例えば、懸濁液中へ次の塩を添加することにより達成され、その際、この構成は本発明の限定であるとは解釈されない。
【0067】
Sbによるドーピング:塩化アンチモン、塩化酸化アンチモン、フッ化アンチモン、硫酸アンチモン
Inによるドーピング:塩化インジウム、硫酸インジウム
Geによるドーピング:塩化ゲルマニウム、ゲルマニウム酸塩
Yによるドーピング:塩化イットリウム、フッ化イットリウム
Nbによるドーピング:塩化ニオブ、ニオブ酸塩
Fによるドーピング:フッ化水素、フッ化物
Mnによるドーピング:塩化マンガン、硫酸マンガン
Cuによるドーピング:塩化銅、硫酸銅
Moによるドーピング:塩化モリブデン、モリブデン酸塩
Cdによるドーピング:塩化カドミウム、硫酸カドミウム
Ceによるドーピング:硝酸セリウム、硫酸セリウム
Wによるドーピング:タングステン酸塩
Biによるドーピング:硝酸ビスマス、硫酸ビスマス。
【0068】
特に有利な実施態様の場合には、公知の方法により付加的に、前記粒子上にオキシ水酸化アルミニウムからなる外側層が設けられる。
【0069】
本発明の他の実施態様の場合には、緻密なSiO2皮膜は気相から粒子表面に堆積させる。このために、多様な方法が公知である。
【0070】
例えば、この被覆は、流動層中で約1000℃を下回る温度で行うことができる。このような方法は、US 3,552,995, GB 1 330 157又はUS 2001 0041217 A1に記載されている。
【0071】
これとは別に、前記被覆は管状反応器中で塩化物法におけるTiO2粒子形成に引き続いて行われる;この方法は、例えば特許もしくは特許出願明細書WO 98/036441 A1, EP 0 767 759 B1, EP 1042 408 B1及びWO 01/081410 A2に記載されている。管状反応器中での被覆の場合に、通常ではSiO2のための前駆化合物としてハロゲン化ケイ素、特にSiCl4が使用され、これは一般に、反応体TiCl4及びAlCl3と酸素含有ガスとの合流の箇所の下流側に供給される。例えば、WO 01/081410 A2は、TiO2形成反応が少なくとも97%まで完了している箇所に、前記ハロゲン化ケイ素を供給することが記載されている。いずれにせよ、供給時の温度は1000℃を超える、有利に1200℃を超えるのが好ましい。このSiO2前駆化合物は酸化され、緻密な二酸化ケイ素皮膜としてTiO2粒子の表面に沈着する湿式化学的な方法の実施とは反対に、この気相処理の場合に、水及び水和物不含の酸化物層が作成され、これは単に表面上にヒドロキシルイオン及び水分子を吸着する。
【0072】
このドーパント元素は、同様に前駆化合物として、SiO2前駆化合物と並流で又は粒子流中へ上流側に又は下流側に添加される。ここでも、前記供給の箇所での粒子流の温度は、1000℃を超え、有利に1200℃を超えなければならない。多様なドーパント元素についての適当な前駆化合物は次の化合物であるが、この構成が本発明を限定するとは解釈されない:
Snによるドーピング:ハロゲン化スズ、例えば塩化スズ
Sbによるドーピング:ハロゲン化アンチモン、例えば塩化アンチモン
Inによるドーピング:ハロゲン化インジウム、例えば塩化インジウム
Yによるドーピング:ハロゲン化イットリウム、塩化イットリウム
Zrによるドーピング:ハロゲン化ジルコニウム、例えば塩化ジルコニウム
Znによるドーピング:ハロゲン化亜鉛、例えば塩化亜鉛
Nbによるドーピング:ハロゲン化ニオブ、例えば塩化ニオブ
Fによるドーピング:フッ素、フッ化水素、フッ化物
Mnによるドーピング:塩化マンガン
Cuによるドーピング:塩化銅
Moによるドーピング:塩化モリブデン
Cdによるドーピング:塩化カドミウム
Ceによるドーピング:塩化セリウム
Wによるドーピング:塩化タングステン
Biによるドーピング:塩化ビスマス。
【0073】
特に有利な実施態様の場合には、更に下流側で適当な酸化アルミニウム前駆化合物、例えばAlCl3を粒子流中へ供給することにより、更に前記粒子上に酸化アルミニウムからなる外側層を設ける。
【0074】
最終的に、ドープされた緻密なSiO2皮膜が設けられた二酸化チタン顔料は、この被覆が懸濁液中で又は気相中で行われたかどうかとは無関係に、公知の方法により更に後処理することができる。例えば、1種又は数種の金属酸化物からなる他の無機層を設けることができる。更に、硝酸塩を用いたさらなる表面処理及び/又は有機表面処理を行うことができる。二酸化チタン顔料粒子の有機表面処理のために当業者に公知の化合物は、本発明による粒子の有機表面処理にとっても適しており、例えばオルガノシラン、オルガノシロキサン、オルガノホスホナート等、又は多価アルコール、例えばトリメチルエタン(TME)又はトリメチルプロパン(TMP)等である。
【0075】
本発明による二酸化チタン顔料粒子は、プラスチック、ペイント、塗料及び紙に使用するために適している。これは、例えば紙又は被覆の製造のための懸濁液についての出発原料としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】原子から固体へ移行する際のエネルギー状態を表す図。
【図2】SiO2被覆を有していない及び有しているTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図3】SiO2被覆を有する及びSnドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図4】SiO2被覆を有する及びSbドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図5】SiO2被覆を有する及びInドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図6】SiO2被覆を有する及びGeドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図7】SiO2被覆を有する及びYドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図8】SiO2被覆を有する及びNbドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図9】SiO2被覆を有する及びFドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図10】SiO2被覆を有する及びMnドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図11】SiO2被覆を有する及びCuドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図12】SiO2被覆を有する及びMoドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図13】SiO2被覆を有する及びCdドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図14】SiO2被覆を有する及びCeドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図15】SiO2被覆を有する及びWドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図16】SiO2被覆を有する及びBiドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図17】SiO2被覆を有する及びMgドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。
【図18】SiO2被覆を有する及びAlドープされたSiO2被覆を有するTiO2表面のエネルギー状態密度を表す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相から堆積されかつ少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で表面が被覆されている二酸化チタン顔料粒子において、前記SiO2皮膜は、少なくとも1種のドーパント元素を用いたドーピングにより、価電子帯及び/又は伝導帯中の禁止帯付近でのエネルギー状態密度を低下させるか又は禁止帯中に付加的なエネルギー状態を作りだし、かつその際、Al、B、Ge、Mg、Nb、P及びZrのグループからなるドーパント元素は除外されることを特徴とする、二酸化チタン顔料粒子。
【請求項2】
気相から堆積されかつ少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で表面が被覆されていて、前記ドーパント元素はSn、Sb、In、Y、Zn、F、Mn、Cu、Mo、Cd、Ce、W及びBi並びにこれらの混合物のグループから選択される、二酸化チタン顔料粒子。
【請求項3】
湿式法で作成されかつ少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で表面が被覆されている二酸化チタン顔料粒子において、前記SiO2皮膜は、少なくとも1種のドーパント元素を用いたドーピングにより、価電子帯及び/又は伝導帯中の禁止帯付近でのエネルギー状態密度を低下させるか又は禁止帯中に付加的なエネルギー状態を作りだし、かつその際、Ag、Al、B、Ba、Be、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Mg、Mn、Ni、Pb、Sn、Sr、Ti、Zn及びZrのグループからなるドーパント元素は除外されることを特徴とする、二酸化チタン顔料粒子。
【請求項4】
湿式法で作成されかつ少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で表面が被覆されていて、前記ドーパント元素はSb、In、Ge、Y、Nb、F、Mo、Ce、W及びBi並びにこれらの混合物のグループから選択される、二酸化チタン顔料粒子。
【請求項5】
二酸化チタン顔料粒子が、酸化アルミニウム又はオキシ水酸化アルミニウムからなる更なる層で被覆されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の二酸化チタン顔料粒子。
【請求項6】
緻密な皮膜のケイ素含有量は、この全顔料に対して、SiO2として計算して、0.1〜6.0質量%、有利には0.2〜4.0質量%であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の二酸化チタン顔料。
【請求項7】
緻密な皮膜のドーパント元素の含有量は、この全顔料に対して、酸化物として計算するか又はFの場合には元素として計算して、0.01〜3.0質量%、有利には0.05〜2.0質量%であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の二酸化チタン顔料。
【請求項8】
更なる被覆のアルミニウム含有量は、この全顔料に対して、Al23として計算して、0.5〜6.0質量%、有利に1.0〜4.0質量%であることを特徴とする、請求項5記載の二酸化チタン顔料。
【請求項9】
少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で表面が被覆されている二酸化チタン顔料粒子の製造方法において、次の工程:
a) 四塩化チタンを気相中でハロゲン化アルミニウム及び酸素を含有するガスと、反応器中で1000℃を超える温度で反応させて、TiO2粒子を有する粒子流を製造する工程、
b) 前記粒子流を、少なくとも2種の化合物と接触させ、その際、第1の化合物は酸化ケイ素−前駆化合物であり、第2の化合物はSn、Sb、In、Y、Zn、Mn、Cu、Mo、Cd、Ce、W、Biの酸化物−前駆化合物及びFの前駆化合物並びにこれらの混合物からなるグループから選択する工程、
c) 前記粒子流を冷却して、少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で被覆されている顔料粒子を製造し、その際、前記ドーパント元素は、Sn、Sb、In、Y、Zn、F、Mn、Cu、Mo、Cd、Ce、W及びBi並びにこれらの混合物のグループから選択する工程を有する二酸化チタン顔料粒子の製造方法。
【請求項10】
少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜で表面が被覆されている二酸化チタン顔料粒子の製造方法において、次の工程:
a) 10を超えるpH値を有するTiO2粒子の水性懸濁液を準備する工程、
b) アルカリ性ケイ素成分の水溶液及びドーパント元素を含有する成分の少なくとも1つの水溶液を添加し、その際、前記ドーパント元素はSb、In、Ge、Y、Nb、F、Mo、Ce、W及びBi並びにこれらの混合物のグループから選択する工程、
c) 前記懸濁液のpH値を9を下回る値、有利に8を下回る値に低下させることにより、少なくとも1種のドーパント元素でドープされた緻密なSiO2皮膜を前記粒子表面に堆積させ、その際、前記ドーパント元素はSb、In、Ge、Y、Nb、F、Mo、Ce、W及びBi並びにこれらの混合物のグループから選択する工程を有する二酸化チタン顔料粒子の製造方法。
【請求項11】
酸化アルミニウムからなる更なる層を気相から粒子表面上に設けることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項12】
オキシ水酸化アルミニウムからなる更なる層を湿式法で設けることを特徴とする、請求項9又は10記載の方法。
【請求項13】
緻密な皮膜のケイ素含有量は、この全顔料に対して、SiO2として計算して、0.1〜6.0質量%、有利には0.2〜4.0質量%であることを特徴とする、請求項9又は10記載の方法。
【請求項14】
緻密な皮膜中のドーパント元素の含有量は、この全顔料に対して、酸化物として計算するか又はFの場合には元素として計算して、0.01〜3.0質量%、有利には0.05〜2.0質量%であることを特徴とする、請求項9又は10記載の方法。
【請求項15】
更なる層のアルミニウム含有量は、この全顔料に対して、Al23として計算して、0.5〜6.0質量%、有利に1.0〜4.0質量%であることを特徴とする、請求項11又は12記載の方法。
【請求項16】
SiO2及びドーパント元素の酸化物のための前駆化合物として、相応するハロゲン化物、特に相応する塩化物を使用することを特徴とする、請求項9、13又は14記載の方法。
【請求項17】
更に有機被覆を設けることを特徴とする、請求項11又は12記載の方法。
【請求項18】
請求項9から17までのいずれか1項記載の方法により製造された二酸化チタン顔料粒子。
【請求項19】
請求項1から8までのいずれか1項又は請求項18記載の二酸化チタン顔料粒子の、プラスチック、ペイント、塗料、紙における使用。
【請求項20】
請求項1から8までのいずれか1項又は請求項18記載の二酸化チタン顔料粒子の、紙又は被覆の製造のための懸濁液用の出発原料としての使用。
【請求項21】
請求項1から8までのいずれか1項又は請求項18記載の二酸化チタン顔料粒子を含有する製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公表番号】特表2009−525368(P2009−525368A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552733(P2008−552733)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000762
【国際公開番号】WO2007/085493
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(592039299)クローノス インターナショナル インコーポレイテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】KRONOS INTERNATIONAL, INC.
【住所又は居所原語表記】Peschstrasse 5, D−51373 Leverkusen, Germany
【Fターム(参考)】