説明

ドーム型ポンプ式スプレーアセンブリ

【課題】コスト効率の良いドーム型ポンプ式スプレーアセンブリを開発する。
【解決手段】ドーム作動型スプレーポンプは、弁付きの入口20及び弁付きの出口26を有するポンプハウジング12と前記ポンプハウジングによって受け入れられて、前記ポンプハウジングとの間に空洞18を画定する可撓性ドーム14であって、前記入口及び前記出口が前記空洞と連通している、可撓性ドームと、前記出口に接続されたスプレー噴出口32とを包含し、前記スプレー噴出口は、前記スプレー噴出口の第1の端部における前記出口の弁28であって、前記出口と動作可能に係合する弁と、デフレクタと、前記スプレー口の、前記第1の端部と対向する第2の端部における噴出口スプレーノズルを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石鹸、消毒剤、殺菌剤などのためのディスペンサーの分野に属する。より詳細には、本発明は、このようなディスペンサーのためのポンプ及び吐出システムに関する。より詳細には、本発明は、従来のドーム型ポンプを用いて液体がスプレーの形態で分与される、標準的な液体ディスペンサーに取り付けられるようにされた、ドーム型ポンプスプレーアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
一定量の液体(例えば、石鹸、消毒剤、殺菌剤)を分与するための多様な種類のディスペンサーの取り付け及び利用が、現在広く公知である。多くのこのようなシステムでは、分与作動を生じさせるためのドーム型ポンプとして知られているものが用いられる。このようなドーム型ポンプは、弾性ドームを包含することが広く公知である。この弾性ドームは、ポンプハウジングによって受け入れられて、両者間に空洞を画定する。前記空洞は、典型的には、前記分与すべき一定量の液体を限定し、分与及び再充填作動は、前記空洞に連通する弁付きの入口及び弁付きの出口により、相互に独立して行われる。先行技術では、このようなドーム型ポンプは、所定量の液体を液体形態で分与する目的のためにしか用いられていなかった。このようなディスペンサーの場合、ドーム型ポンプの弾性ドームに力を付与するアクチュエータバー又は他の装置によりドーム型ポンプが作動すると、ユーザの手の上に液体の「塊」が出てくる。
【0003】
最近では、このような液体をスプレー又はミストの形態で分与することが望まれるようになっている。スプレー又はミストの形態では、前記液体は霧化されるか又は細かい粒子に分離されて、ユーザの手の上に分与され、前記ユーザの手の上に素早くかつ効果的に散布することができ、又は、前記液体を水などと合わせて泡立てることができる。ドーム型ポンプの分与力特性は、広く公知のミスト化用ヘッドを用いて霧化を達成するのには不十分であると見なされていたため、今まで、液体を霧化及び分与するためにドーム型ポンプを用いるのは実用的ではないと考えられてきた。しかし、ドーム型ポンプは、液体及びゲルを分与するための公知のディスペンサーにおいて、広く用いられている。そのため、当分野において、作動時に適切なスプレーを生じさせるための、このような公知のドーム型ポンプと共に用いられるように工夫されたスプレーノズルが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上述べたことに鑑みて、本発明の第1の目的は、コスト効率の良いドーム型ポンプ式スプレーアセンブリを開発することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、特定の設計のスプレーヘッドと結合された広く公知のドーム型ポンプを用いることが可能なドーム型ポンプ式スプレーアセンブリを提供することにあり、これにより、前記ドーム型ポンプの分与力特性が前記スプレーヘッドを通して液体を霧化するのに十分となる。
【0006】
本発明の更に他の目的は、最小限の力しか必要とせずにミスト化機能を最大化するように構成されたドーム型ポンプ式スプレーアセンブリを提供することにある。
【0007】
本発明の更に他の目的は、現時点での最先端の技術及び装置と共にコスト効率を良くして取り付けることが可能なドーム型ポンプ式スプレーアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の以上述べた目的及び後述する詳細な説明によって明らかとなるであろう他の目的は、次に述べるようなドーム作動型スプレーポンプによって達成される。すなわち、このドーム作動型スプレーポンプは、弁付きの入口及び弁付きの出口を有するポンプハウジングと、前記ポンプハウジングによって受け入れられて、前記ポンプハウジングとの間に空洞を画定する可撓性ドームであって、前記入口及び前記出口が前記空洞と連通している、可撓性ドームと、前記出口に接続されたスプレー噴出口とを包含し、前記スプレー噴出口は、前記スプレー噴出口の第1の端部における前記出口のための弁であって、前記出口と動作可能に係合する弁と、デフレクタと、前記スプレー噴出口の、前記第1の端部と対向する第2の端部における噴出口スプレーノズルとを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明にしたがって作られたドーム作動型スプレーポンプの分解図である。
【図2】本発明のスプレー噴出口の側面図である。
【図3】図2のスプレー噴出口のアセンブリの正面図である。
【図4】本発明の噴出口スプレー先端部の露出端部からの斜視図である。
【図5】図4の噴出口スプレー先端部のアセンブリの隠蔽端部の斜視図である。
【図6】図4の噴出口スプレー先端部の隠蔽端部の平面図である。
【図7】図6の線7−7に沿う、図6の噴出口スプレー先端部の断面図である。
【図8】本発明の噴出口スプレー先端部の隠蔽端部内に形成される複数の通路のうちの1つの拡大詳細図である
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の技術、構造及び態様を完全に理解するために、以下の詳細な説明及び添付図面が次に参照される。
【0011】
図面、特に図1を参照するに、本発明にしたがって作られたドーム型スプレーポンプアセンブリが総括的に参照符号10によって示されていることが分かる。アセンブリ10はポンプハウジング12を包含し、ポンプハウジング12は、プラスチック又は他の適当な材料でモールド成形されて、可撓性弾性材料のドーム14を受け入れるように構成され、かつ、保持リング16によってドーム14に固定され、これにより、ポンプハウジング12とドーム14との間に空洞18を形成する。
【0012】
入口ニップル20が、ポンプハウジング12の一部分として設けられ、典型的には、分与すべき液体を貯蔵している容器(例えば、石鹸、消毒剤などのカートリッジ)と連通する。入口ニップル20の上方及び空洞18内には、ボールシール24を受け入れかつ保持するようにした保持ケージ22が延びている。ボールシール24は、当業者には公知のように、分与作動時にはニップル20をシールし、また回復及び再充填のためにはニップル20を開くようにする。
【0013】
出口ニップル26も、ポンプハウジング12の一部分として設けられている。出口ニップル26は、スプレー噴出口32内に保持されているばね30により閉鎖位置へと偏倚される、キノコ形弁又は他の適当な弁28を受け入れる。当業者によって理解されるように、ドーム14が圧縮されて分与作動が行われると、ばね30の偏倚力に抗して弁28が開くと共に、ボールシール24が閉まり、これにより、スプレー噴出口32を通して液体が分与される。スプレー噴出口32は噴出口スプレー先端部34を包含し、噴出口スプレー先端部34はその内部を貫通する出口開口部36を有する。
【0014】
次に図2及び図3を参照するに、以下のことが分かる。すなわち、スプレー噴出口32はモールド成形部材から成り、このモールド成形部材は円盤様のカラー38を包含し、カラー38はその一方の側部から延びている前方入れ子部分40を有する。部分40は、ポンプハウジング12の外周部の中に入れ子式に嵌入されるような外形とされていると共に、出口ニップル26と係合して固定されるようにされ、これにより、キノコ形弁28及び偏倚ばね30は、部分40内を通って、溝付きの噴出口ボディ部分42内に入る。ばね30は、デフレクタ44に対して付勢されている。デフレクタ44は、ボディ部分42の一部分として保持され、ボディ部分42の内部の中央に保持されている。デフレクタ44は、中央円盤部46を保持する。中央円盤部46は複数の脚部48を有し、これらの脚部48は、図示のように、中央円盤部46の外周において互いに均等に間隔を置いていると共に、中央円盤部46からボディ部分42の内周壁部50にまで外向きに延びている。これらの脚部48は、それらの間に、デフレクタ44と内周壁部50との間の通路52を画定する。
【0015】
図4及び図5に示すように、噴出口スプレー先端部34は円筒形壁部54によって画定され、円筒形壁部54はこの円筒形壁部54によって受け入れられる底板56を有する。出口開口部36は、底板56を通して延びている。図4に示すように、噴出口スプレー先端部又はアセンブリ34がボディ部分42の端部内に圧入されると、底板56の前面56aが露出する。スプレー先端部34がスプレー噴出口32の端部内に挿入されると、底板56の後面56b(図5)は隠蔽される。後面56bは、このように配置されたときには、デフレクタ44に対して近接に並置された状態で保持される。
【0016】
図5、図6、図7及び図8に示すように、複数の部分深さのあるドッグレッグ状通路58が底板56の後面56bに形成され、円筒形壁部54の内側表面から内向きに延びて、出口開口部36と連通していることが分かる。これらの通路58は、互い均等に間隔を置いている。このような通路を3本用いた図示の実施例においては、これらの通路58は開口部36のまわりにおいて120°の角度で離れている。これらの通路58の各々は通路床60を包含し、図示のように、この通路床60から、直線状壁部62と、長尺部分64及び短尺部分66とを包含するドッグレッグ状壁部とが延びている。図示のように、壁部62〜66は、通路床60に向かって下向き及び内向きに勾配が付けられている。このような勾配により、以下に明らかになるように、分与サイクル時に液体が流れやすいようになっている。
【0017】
図示のように、壁部62及び64は、壁部54から出口開口部36へと延び、図示のように5〜10°(好適には7°)の角度で互いに離れている。短尺壁部66は、長尺壁部64から延び、直線状壁部62に対して実質的に平行である。本発明の好適な実施例において、短尺壁部66の長さは長尺壁部62の長さの15〜30%である。
【0018】
長尺壁部64と短尺壁部66とによって形成されたドッグレッグ状部分は、出口開口部36内への液体流れの中に渦を生成する機能を果たす。出口開口部36そのものは、底板56の後面56bにおけるより大きな直径の開口から前面56aにおけるより小さな直径の開口にまで延びて、3〜8°(好適には5°)の角度で内向きにテーパー付けされている。本発明の好適な実施例によれば、テーパー付け出口開口部36の直径は、底板56の前面56aにおける出口において、約0.020インチ(約0.0508cm)〜0.030インチ(約0.0762cm)、好適には0.025インチ(0.0625cm)である。
【0019】
通路58の形状及び数は、分与される液体の性質及び可撓性弾性ドーム14の性質に応じて変えることができることを理解されるであろう。同様に、出口開口部36の形状も変えることができる。すなわち、本発明の説明において、出口開口部36はサイクロン作用による渦の発生を助長するようにテーパー付けされ、通路58は一般的には出口開口部36内への液体の接線流れを導入して(スプレー生成のために液体の霧化を助長することが分かっている)、サイクロン作用による渦の生成を助長するように、角度付け又はドッグレッグ状の形状にされるといえば十分であろう。
【0020】
作動時において、ドーム14が押されると、ボール弁24が強制的に閉められると共に、キノコ形弁28が強制的に開かれ、これにより、空洞18内に入っている液体は、スプレー噴出口32を通して強制的に送られる。スプレー噴出口32内において、デフレクタ44は液体流れを内側円周壁部50の内周部に隣接する4つの部分に分ける。噴出口スプレー先端部又は霧化器34がデフレクタ44に近接して並置された状態で、前記液体は、通路52内から複数の部分深さの通路58内へと強制移動させられ、そこで、前記液体は、角度付きのドッグレッグ状の形態で大体半径方向内向きに導かれて、出口開口部36の通路内に多少接線方向に入り、これにより、サイクロン作用による渦が生成される。この作用は、前記液体が出口開口部36のテーパー付け通路内を通過している間継続し、その結果、前記液体が霧化され、スプレーが生成される。
【0021】
以上述べたことから、本発明の種々の目的が前述した構造及び技術により達成されることが分かるであろう。現在の特許法にしたがって、本発明の最もよく知られる好適な実施例のみについて詳細に提示及び説明してきたが、本発明はこれらに限定されず、またこれらによって限定されない。よって、本発明の真なる範囲の理解のためには、特許請求の範囲の記載が参照されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーム作動型スプレーポンプであって、
弁付きの入口及び弁付きの出口を有するポンプハウジングと、
前記ポンプハウジングによって受け入れられて、前記ポンプハウジングとの間に空洞を画定する可撓性ドームであって、前記入口及び前記出口が前記空洞と連通している、可撓性ドームと、
前記出口に接続されたスプレー噴出口と、
を包含し、
前記スプレー噴出口は、
前記スプレー噴出口の第1の端部における前記出口のための弁であって、前記出口と動作可能に係合する弁と、
デフレクタと、
前記スプレー噴出口の、前記第1の端部と対向する第2の端部における噴出口スプレーノズルと、
を包含している、ドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項2】
前記デフレクタは、その外周縁部間に通路を画定する円盤部と、前記スプレー噴出口の内側壁部とを包含する、請求項1記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項3】
前記スプレー噴出口の前記内側壁部は円筒形である、請求項2記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項4】
前記デフレクタの前記円盤部は、更に、前記円盤部から延びて互い均等に間隔を置いている複数の半径方向アームを有することを特徴とし、前記複数の半径方向アームはこれらの半径方向アーム間に通路を画定している、請求項3記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項5】
前記噴出口スプレーノズルは円筒形壁部によって画定されたカップ状部材を包含し、前記円筒形壁部は底板を包囲してこの底板を貫通する開口部を有している、請求項2記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項6】
前記底板は前記スプレー噴出口の外側端部表面を画定している、請求項5記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項7】
前記底板の、前記第1の表面と対向する第2の表面は前記デフレクタに並置されている、請求項6記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項8】
前記第2の表面は前記開口部と相互接続している複数の部分深さの通路を有することを特徴としている、請求項7記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項9】
前記複数の通路は前記スプレー噴出口の前記内側壁部から前記開口部へと延びている、請求項8記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項10】
前記複数の通路は、実質的に同じ形状であって、前記開口部のまわりに均等に間隔を置いている、請求項9記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項11】
前記複数の通路は、前記開口部の前記内側壁部から延びるにつれて、増加する断面を有している、請求項10記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項12】
前記複数の通路の各々は、一対の分離された壁部と、通路床とを包含している、請求項11記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項13】
前記複数の通路の各々の前記一対の分離された壁部の一方は実質的に直線状であり、また他方の壁部はドッグレッグ状である、請求項12記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項14】
前記壁部の各々の上縁部は勾配が付けられている、請求項13記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項15】
前記ドッグレッグ状の壁部は、第1の部分及び第2の部分を包含し、前記第1の部分は前記第1の壁部から間隔を置いて5〜10°の角度で前記第1の壁部から離れ、また前記第2の部分は前記第1の部分に接続されて前記第1の壁部に対して実質的に平行に延びている、請求項14記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項16】
前記第1の部分は前記第2の部分の長さの3倍よりも長い、請求項15記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項17】
前記開口部は、前記噴出口スプレー先端部の前記第2の側部から前記第1の側部へと延びるにつれて低減する直径を有している、請求項15記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項18】
前記複数の部分深さの通路は3つの部分深さの通路から成っている、請求項17記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項19】
前記ドッグレッグ状の壁部はサイクロン作用による渦を前記開口部の中に発生させ、前記渦は前記開口部を通して継続している、請求項15記載のドーム作動型スプレーポンプ。
【請求項20】
前記部分深さの通路は、前記デフレクタの前記外周縁部と前記スプレー噴出口の前記内側壁部との間に画定されている前記通路と連通している、請求項19記載のドーム作動型スプレーポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−115644(P2010−115644A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−250154(P2009−250154)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(506190555)ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】