説明

ドーム型監視カメラシステム

【課題】映像監視を行う上で障害になるドーム型カバーへの水滴が付着の監視映像への影響を抑えるドーム型監視カメラシステムを提供する。
【解決手段】ドーム型カバーを有し監視視野内を撮影し監視映像を出力するドーム型監視カメラと、監視映像を画像処理して映像表示装置に出力する画像処理装置を備えたドーム型監視カメラシステムにおいて、さらに、振動デバイス制御装置を備え、ドーム型監視カメラは、さらに、振動デバイスを有し、画像処理装置は、監視映像からドーム型カバーに水滴または水膜が付着したか否かを判定する処理手段を有し、ドーム型カバーに水滴または水膜が付着したと判定した場合には、振動デバイス制御装置に水滴検出情報を出力し、振動デバイス制御装置は、水滴検出情報に応じて振動デバイスを振動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラシステムに関わり、特に、半球形状の透明部材でカメラ本体を覆った、ドーム型監視カメラを用いたドーム型監視カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラシステムにおけるドーム型監視カメラは、ドーム形状の透明(スモークのような減光を伴う透過も含む)カバー(ドーム型カバー)内部にレンズおよび撮像装置を設置し、ドーム型カバーを通して外部の監視視野内を撮影して、監視視野内の監視映像を取得するものである(例えば、特許文献1参照。)。
ドーム型カバーに水滴が付着した場合、付着した水滴がカメラに映り込み、映像監視を行う上で障害になる場合がある。このような監視映像への影響を抑える技術として、予め親水性または撥水性のコート剤をドーム型カバーに塗布しておくものが知られる。
また、自動車等の車体に、少なくとも一端に透視窓を有しかつその透視窓にフードを取付けたケースを取付け、該ケース内に車両周囲監視用カメラを固定し、また前記フード裏面に水滴除去手段を設けたことを特徴とするモニタカメラの水滴除去装置が知られる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1248160号公報
【特許文献2】特開2002−079880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の、親水性または撥水性のコート剤をドーム型カバー外面に塗布しておく特許文献1のような方法は、ドーム型カバー表面への汚れの付着や、塗布したコード剤が劣化および剥れにより、比較的短期間でその効果が低下してしまう。また、特許文献2は、ドーム型監視カメラが走行する車両のようなものに搭載されていなければ適用できない上、監視映像がぶれ、適正な画像を取得できない虞がある。
本発明の目的は、長期間安定して水滴を除去でき、監視映像への影響を抑える機能を設けたドーム型カメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のドーム型監視カメラシステムは、ドーム型カバーを有し監視視野内を撮影し監視映像を出力するドーム型監視カメラと、前記監視映像を画像処理して映像表示装置に出力する画像処理装置を備えたドーム型監視カメラシステムにおいて、さらに、振動デバイス制御装置を備え、前記ドーム型監視カメラは、さらに、振動デバイスを有し、前記画像処理装置は、前記監視映像から前記ドーム型カバーに水滴または水膜が付着したか否かを判定する処理手段を有し、前記ドーム型カバーに水滴または水膜が付着したと判定した場合には、前記振動デバイス制御装置に水滴検出情報を出力し、前記振動デバイス制御装置は、前記水滴検出情報に応じて前記振動デバイスを振動させるものである。
【0006】
上記本発明のドーム型監視カメラシステムにおいて、前記ドーム型監視カメラは、駆動・制御部を有し、前記振動デバイス制御装置は前記水滴検出情報に応じて前記検出情報を前記駆動・制御部に出力し、前記駆動・制御部は前記ドーム型監視カメラが下を向いているときは、2次モードの周波数の定在波で前記振動デバイスを振動させ、前記ドーム型監視カメラが横を向いているときは、3次モードの周波数の定在波で前記振動デバイスを振動させることを特徴とする。
【0007】
上記本発明のドーム型監視カメラシステムは、好ましくは、前記振動デバイスは振動モータであり、前記駆動・制御部は、前記2次モードの周波数の定在波あるいは3次モードの周波数の定在波であって、励振を開始後、急激に最高周波数まで上昇し、その後、所定の周波数付近で、極大点が徐々に減少していく鋸波で繰り返し掃引され、励振終了と共に周波数は0に戻るように前記振動デバイスを振動させることを特徴とする。
また、上記本発明のドーム型監視カメラシステムは、前記振動デバイスは振動モータであり、前記駆動・制御部は、前記2次モードの周波数の定在波あるいは3次モードの周波数の定在波であって、励振を開始後、急激に最高周波数まで上昇し、その後、前記振動デバイスの共振周波数の付近を、周波数の高い順に単調減少的に掃引し、励振終了と共に周波数は0に戻るように前記振動デバイスを振動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドーム型監視カメラの出力映像信号を画像処理することによって、水滴が付着したことを自動的に判定し、振動デバイスを振動させ、ドームカバー部分に付着した水滴を自動的に除去することを可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のドーム型監視カメラシステムの一実施例の簡単な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のドーム型監視カメラシステムのドーム型監視カメラの一実施例の断面図である。
【図3】本発明の一実施例の振動デバイス3の振動周波数掃引のパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の一実施形態を図面等を用いて説明する。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
なお、各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、できるだけ説明の重複を避ける。
【実施例1】
【0011】
以下本発明の一実施形態を図1によって説明する。図1は、本発明のドーム型監視カメラシステムの一実施例の簡単な構成を示すブロック図である。101はドーム型監視カメラ、102はドーム型監視カメラ101のドーム型カバー、103はドーム型監視カメラ101に取り付けられた振動デバイス、104は画像処理装置、105は振動デバイス制御装置、106は映像表示装置である。
ドーム型監視カメラ101と画像処理装置104間、振動デバイス103と振動デバイス制御装置105間は、例えば、有線若しくは無線のLAN(Local Area Network)等のネットワーク回線で接続され、相互に通信している。なお、図1では、発明に関する簡単な構成のみを図示および説明し、ドーム型監視カメラシステムの細かい構成を省略する。
【0012】
図1において、ドーム型監視カメラ101は、ドーム型カバー102を通して監視視野内の監視画像を撮影し、その映像信号を画像処理装置104に出力する。
画像処理装置104は、入力された監視映像の映像信号を常時画像処理し、ドーム型カバー102に水滴が付着しているか否かを判定する。そして、画像処理装置104は、ドーム型カバー102に水滴が付着していると判定した場合には、水滴を検出した情報(水滴検出情報)を、水滴検出信号として振動デバイス制御装置105に出力する。
振動デバイス制御装置105は、水滴検出信号を受信した場合には、振動デバイス103に振動動作信号を出力する。振動デバイス103は、振動動作信号が入力された場合には、振動動作を実行し、ドーム型カバー102を振動させる。
また画像処理装置104は、入力された監視映像の映像信号を、常時画像処理し、映像表示装置106に出力する。映像表示装置106は、画像処理装置104から入力された映像信号に応じて監視視野内の監視画像を表示する。ユーザは、映像表示装置106に表示された監視画像をモニタすることによって、遠隔にあるドーム型監視カメラが監視する視野内を監視することができる。
【0013】
図1の実施例によれば、ドームカバー102部分に付着した水滴を除去することができる。
【実施例2】
【0014】
本発明の実施例1の詳細を、図2の実施例によって説明する。
図2は、図1に係るドーム型監視カメラシステムのドーム型監視カメラの一実施例の断面図である。図2では、ドーム型監視カメラのみを示し、図1の実施例と同様であるので、ネットワーク回線を介して接続される画像処理装置および振動デバイス制御装置および映像表示装置を図示しておらず、説明も省略する。
図2(a)は、ドーム型監視カメラの一実施例の断面図全体を示す。図2(a)の実施例のドーム型監視カメラは、電動雲台によりカメラの撮影方向(レンズの向き)を遠隔制御できるパンチルトタイプであり、外付けでフードを備えている。10はドーム型監視カメラ、11は合成樹脂製の円筒部、12はポリカーボネート製のドーム型カバー、13は合成樹脂製の蓋、14はパッキン(Oリング)、15はベース板、16は駆動・制御部、17はカメラ本体、20はフード、19は開口部、21は壁面取り付け金具、31は圧電セラミック振動子である。
また、図2(b)は、円筒部11、ドーム型カバー12の一部(P1〜P4)と、圧電セラミック振動子31を励振する3次モードの波形例を示している。
なお、ドーム型監視カメラ10の内外の電源線、制御・信号線、等の配線は、省略している。
【0015】
図2において、ドーム型監視カメラ10は、合成樹脂製の円筒部11、ポリカーボネート製のドーム型カバー12、合成樹脂製の蓋13とで、その外形がおおよそ構成されている。ドーム型カバー12は、略一定肉厚の半球状部を有し、その端部が円筒部11の内側面に嵌合して固定される。蓋13は円筒部11の外側面に嵌合して固定される。一例として、円筒部11の外側面に複数のL字状の溝があり、蓋13の内周面に同数の突起があり、蓋13に円筒部11を挿入してねじることでそれらが係合するものであり、更にねじりが緩まないようにするロック機構(図示せず)も備えている。即ち、円筒部11の上端は、蓋13に堅く固定されている。
また、ドーム型カバー12は、透光性を有し、例えば、内部(特にカメラのレンズ)が外から見えないようにスモークを施し、カメラの外側からは透視し難く、カメラの内部からは透視可能なマジックミラーである。
円筒部11と蓋13の嵌合部には、パッキン14と、ベース板15が一緒に挟みこまれている。ベース板15は、円筒部11の直径と略等しい直径の円形のメッキ鋼板である。
駆動・制御部16は、パン(水平旋回)のためのモータ、ロータリエンコーダや、その駆動制御回路、画像処理装置、振動デバイス制御装置(励振回路)、電源回路等が一体化されたものであり、ベース板15に吊持される。なお図2の断面図ではチルト(垂直旋回)のためのモータ等の駆動手段が表れていないが、駆動・制御部16に含まれている。
カメラ本体17は、レンズ、撮像素子、およびその駆動回路等をモジュール化したものであり、駆動・制御部16によってパンチルト自在に支持され、レンズが向けられた方向からの光学像を電気信号に変換して出力する。
【0016】
ドーム型監視カメラ10の外部のネットワークを介して接続される画像処理装置104は、カメラ本体17からの電気信号(映像信号)に対して、色補正処理、ノイズ低減処理、ダイナミックレンジ圧縮処理、映像符号化処理(例えば、MPEG-4形式)、ネットワークプロトコル処理等を行い、LANインタフェースから出力すると共に、水滴検出処理をして検出結果に応じて振動デバイス制御装置105をオンオフ制御する(図1参照。)。振動デバイス制御装置105をオンにすると、振動デバイス103としての圧電セラミック振動子31に振動動作信号(オン)を出力され、圧電セラミック振動子31が振動する。また、振動デバイス制御装置105をオフにすると、振動デバイス103としての圧電セラミック振動子31に振動動作信号(オフ)を出力され、圧電セラミック振動子31が振動を停止する。
画像処理装置104は、水滴検出処理として、以下の(1)〜(5)の処理を実行する。
(1)所定時間間隔で、上記処理過程中の1フレームの画像を取り出し、輪郭検出し、輪郭を構成する画素について近傍画素を辿ることで輪郭画素のグループ化をする。
(2)グループ化の最中、上下左右方向の最大値検索、および同じ画素が再び近傍画素になったか(即ち、ループ状か)否かを判定し、否となったものを対象候補から除く。
(3)次に、各グループの上下、左右方向の大きさから水滴の可能性があるか否かを判定し、可能性があるとされた水滴候補のグループの位置を記憶する。
(4)そして、次の時間間隔後の水滴検出処理で同様の位置に再度水滴候補グループが判定された場合、水滴であると判断し、振動デバイス制御装置104を所定時間だけオンする。
(5)その次の時間間隔後の水滴検出処理で、最初の判定時に記憶した水滴候補のグループの位置でまた水滴候補グループが判定された場合、それは水滴では無いとして、以降の処理でマスクの対象としたり、輪郭検出の閾値をより高く変更したり、異物の付着としてアラームを発生させたりする。
【0017】
なお、駆動・制御部16は、圧電セラミック振動子31に波形制御信号を出力し、圧電セラミック振動子31に印加する電圧を制御する。また、振動デバイス制御装置105からのオンオフ信号が、駆動・制御部16に入力され、駆動・制御部16が、圧電セラミック振動子31のオンオフ制御および波形制御を行っても良い。
【0018】
フード20は、合成樹脂製で回転対称の傘状の形状を有し、回転対称の中心付近は開口しており、その周囲は平坦となっており、蓋13の上面平坦部に固着され円筒部11を覆うことで、ドーム型監視カメラ10を天日や風雨から保護する。
壁面取り付け金具21は、中空の鋳造アルミ製で、フード20の上面平坦部に固着され、ドーム型監視カメラ10およびフード20を吊り下げる。なお、ドーム型監視カメラ10と外部の画像処理装置104および振動デバイス制御装置105とを接続するネットワーク回線と接続するためのケーブル(図示しない)は、フード20の開口部19、および壁面取り付け金具21の内部を通して引き回せるようになっている。
【0019】
圧電セラミック振動子31は、例えば円板状であり、駆動・制御部16の励振回路により励振されて機械的に(主に厚み方向に)振動する。超音波振動子31は一端が平面、他端が円筒曲面のスペーサ(ホーン)を介して円筒部11の内側に接着剤で固着される。圧電セラミックの厚さは、円筒部11とドーム型カバー12の複合体の所定のモードでの振動周波数(複数ある)に、圧電セラミックの共振周波数(複数ある)が近くなるように選ぶのが望ましい。
円板状振動子に代えて円弧状のバイモルフ型振動子を用いた場合は、図2(b)に示すように、撓み振動の共振周波数と一致させるのが望ましい。円筒部11に固着する位置は、上記所定のモードのいずれにおいて振幅の節となる位置P1〜P4に一致しないように選ばれる。
【0020】
次に、図2の実施例の作用を説明する。本例は、回転対称である円筒部11とドーム型カバー12の結合体を所定のモードで振動させるものである。
まず、回転円周に直交する方向の振動に注目して考える。ドーム型カバー12に付着している水滴(親水コート時は、水膜)は、その場所が振幅の腹に近いほど弾き飛ばされ易いか、あるいは、振幅の節に向かって移動され易い。
そこで、カメラ本体17が下を向いている場合には、ドーム型カバー12の中心(下端)付近が腹となるモード(例えば、図2(b)に示されるU字状の断面(P3〜P4)に渡って、5つの腹と4つの節が表れるモード。以後、2次モードと言う。)の周波数で、圧電セラミック振動子31を励振する。
また、カメラ本体17が横を向いているときは、ドーム型カバー12の側面付近(P1〜P3)が腹となるモード(例えば、6つの腹と5つの節が表れるモード。図2(b)にその片側のみ示す。以後、3次モードと言う。)の周波数で、圧電セラミック振動子31を励振する。
【0021】
実際には、円周方向の振動モードとの複合モードとなるので、カメラ本体17のチルトおよびパン位置に応じて、そのカメラの撮影方向でのドーム型カバー12上で腹が現れるような周波数を複数通りの中から選択し、それを励振周波数とする。
なお、図2の実施例において、バイモルフ型振動子を用いた場合、効率よく振動させることができる周波数が可聴域になる場合があるが、その振動音をスピーカとして利用してもよい。また、電動ではない半固定式の雲台(手動でパンチルトを動かした後固定して使うもの)の場合には、励振周波数もそれに応じて手動で設定すればよい。また、ドーム型カバー12の下端が腹となるモードの励振周波数のみ使用する場合でも、汚れを含む水滴が下端に集まり乾いてできる汚れを効果的に予防できる。
なお、実施例2として、画像処理装置および振動デバイス制御装置、ドーム型監視カメラ10に内蔵するようにしても良い。
【0022】
上記実施例2によれば、ドームカバー102部分に付着した水滴が除去することができる。
【実施例3】
【0023】
次に、本発明の他の実施例を図3によって説明する。
図3の実施例のドーム型監視カメラシステムにおけるドーム型監視カメラ10は、振動デバイスの振動周波数を掃引させる点で以外は、図2の実施例とほぼ同様である。なお、図3の実施例の場合には、振動デバイス制御装置105からのオンオフ信号が、駆動・制御部16に入力され、駆動・制御部16が、振動デバイス103のオンオフ制御および波形制御を行う。
図2の実施例の振動デバイス103(圧電セラミック振動子31)の励振周波数を、円筒部11とドーム型カバー12の複合体の固有モードの周波数に合わせようとすると、部材の選定等で制約が大きくなり、合致できたとしても振動デバイスにとって効率(電気機械結合係数)の良い周波数とは限らない。そもそも振動モータ(偏芯モータ)では、固有モードの周波数で振動させるのは困難である。
【0024】
図3は、本発明の実施例2の振動デバイス103の振動周波数掃引のパターンを示す図である。図3(a)は、振動周波数掃引パターンA、図3(b)は、振動周波数掃引パターンBを示す図である。横軸が時間(リニア)、縦軸が励振周波数(リニア)である。
図3(a)のパターンAでは、励振を開始後、急激に最高周波数fまで上昇し、その後、効率の良い周波数付近で、極大点が徐々に減少していく鋸波でもって繰り返し掃引され、励振終了と共に周波数は0に戻る。
図3(b)のパターンBでは、パターンAと同様に、最高周波数まで上昇する。しかしその後、振動デバイスの共振周波数(あるいは円筒部11とドーム型カバー12の複合体の固有モードの周波数)の付近を、周波数の高い順に単調減少的に掃引し、励振終了と共に周波数は0に戻る。
どちらのパターンも、時間と共に周波数が減少する掃引区間を複数連結したものである。
【0025】
次に、図3の実施例の作用を説明する。本実施例においても、円筒部11の上端は蓋13に堅く固定されており、振動時には固定端(P1)となる。そのため定在波が発生し、振幅の腹と極小点(モードのときのように振幅は0にはならない)が現れ、水滴や水膜が腹と極小点へ移動することが期待できる。
そして、周波数が下がる方向に掃引すると、複数ある振動の極小点は、間隔を広げながら固定端(円筒部11の上端)から遠ざかっていく。このため、水滴等をドーム型カバー12の下端へ追いやることができる。
しかし、効率よく振動させることができる掃引範囲には下限があり、下限周波数でも振幅の極小点が複数あると、水滴等も残ってしまう。そのためパターンAでは掃引を繰り返すようにし、パターンBでは複数の共振点を用いて実質的に掃引範囲を広げるようにしている。
【0026】
上記の実施例3によれば、ドームカバー102部分に付着した水滴あるいは水膜が除去することができる。
【0027】
なお、振動モータを用いて図3のような周波数を実現するには、図3と同様の電圧を、駆動・制御部16から、振動デバイスである振動モータに印加すれば良い。
例えば、駆動・制御部16は、マイコンを用いてマイコンに内蔵のA/Dコンバータから図3の波形を出力し、電源回路の基準電圧に与える。圧電セラミック振動子を用いる場合、自励式発振器を用い、その帰還ループの位相特性をマイコン制御で可変することで、掃引を行う。
自励式発振器の内部の帰還ループは、圧電セラミック振動子に接続される出力トランスの一端、或いは圧電セラミック振動子自体に設けられる帰還電極に接続される。複数の近接した共振点がある場合等は、マイコン内蔵のタイマ(プログラマブル分周器)で発生させた発振信号を帰還ループに注入して、所望の共振周波数で発振させることもできる。
【0028】
以上説明したように、本実施例1〜実施例によれば、ドーム型監視カメラのドームカバー部分に水滴が付着した場合に、付着した水滴がカメラに映り込み、映像監視を行う上で障害になる場合があるが、ドーム型監視カメラに超音波振動子や振動モータ等の振動デバイスを組合せ、このカメラの出力映像信号の画像処理を行い、水滴が付着したことを自動で判別し、振動デバイスを振動させることによりドームカバー部分に付着した水滴あるいは水膜を自動で除去することが可能となる。
【符号の説明】
【0029】
10:ドーム型監視カメラ、 11:円筒部、 12:ドーム型カバー、 13:蓋、 14:パッキン、 15:ベース板、 16:駆動・制御部、 17:カメラ本体、 19:開口部、 20:フード、 21:壁面取り付け金具、 31:圧電セラミック振動子、 101:ドーム型監視カメラ、 102:ドーム型カバー、 103:振動デバイス、 104:画像処理装置、 105:振動デバイス制御装置、 106:映像表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーム型カバーを有し監視視野内を撮影し監視映像を出力するドーム型監視カメラと、前記監視映像を画像処理して映像表示装置に出力する画像処理装置を備えたドーム型監視カメラシステムにおいて、
さらに、振動デバイス制御装置を備え、前記ドーム型監視カメラは、さらに、振動デバイスを有し、前記画像処理装置は、前記監視映像から前記ドーム型カバーに水滴または水膜が付着したか否かを判定する処理手段を有し、前記ドーム型カバーに水滴または水膜が付着したと判定した場合には、前記振動デバイス制御装置に水滴検出情報を出力し、前記振動デバイス制御装置は、前記水滴検出情報に応じて前記振動デバイスを振動させることを特徴とするドーム型監視カメラシステム。
【請求項2】
請求項1記載のドーム型監視カメラシステムにおいて、前記ドーム型監視カメラは、駆動・制御部を有し、
前記振動デバイス制御装置は前記水滴検出情報に応じて前記検出情報を前記駆動・制御部に出力し、前記駆動・制御部は前記ドーム型監視カメラが下を向いているときは、2次モードの周波数の定在波で前記振動デバイスを振動させ、前記ドーム型監視カメラが横を向いているときは、3次モードの周波数の定在波で前記振動デバイスを振動させることを特徴とするドーム型監視カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−138768(P2012−138768A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289880(P2010−289880)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】