説明

ナイフシリンダ、ロータリダイカッタ、刃物取付台及びナイフシリンダの刃物取付台固定方法

【課題】ナイフシリンダに装着された刃物取付台の交換に要する時間を短縮して、ロータリダイカッタの稼動率を向上させる。
【解決手段】ナイフシリンダ11の外周面11aに開口する固定穴12を設け、固定穴12の底部に磁力発生体16を固定すると共に、その上方に磁力発生体34を摺動可能に配置する。固定穴12の開口に設けた台座14の円周面14bを通して摺動体24を固定穴12の内部に挿入配置する。磁力発生体16及び34の対向面にN極磁石22a及びS極磁石22bを半周ずつ埋設する。磁力発生体34を180°回転可能にし、該対向面に同一磁極の磁石を配置させ、反発力を生じさせて、皿部24aを固定穴12から吐出させる。そして皿部24aと外周面11a間に刃物取付台40に穿設された貫通孔42の傾斜面48を嵌合固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシート等のシート状物の切断加工等に用いられるナイフシリンダに刃物取付台を装着する場合に、刃物取付台の交換時間を短縮し、ナイフシリンダが装着されたロータリダイカッタ等の稼動率を向上できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
平板状の段ボールシートから段ボール箱を製造する製函機の製造ラインの中に、ダイカット部が設けられている。ダイカット部には、ロータリダイカッタが配設され、段ボールシートの孔開け及び打ち抜きが行なわれる。以下、特許文献1に開示されたロータリダイカッタの概要を図11及び図12によって説明する。
【0003】
図11において、ロータリダイカッタ100の骨組みは、機械幅方向両側に床面FLから立設されたフレーム102a、102bと、該フレーム102a、102bに架設され、機械幅方向に水平に配置された上部ステー104及び下部ステー106とから構成されている。段ボールシートSの搬送路を上下から挟むようにして、アンビルシリンダ108及びナイフシリンダ110が機械幅方向に水平に配設されている。アンビルシリンダ108及びナイフシリンダ110の両端は、フレーム106a、106bに回転自在に軸支され、図示省略のギア駆動装置により、互いに逆方向に回転する。
【0004】
段ボールシートSは矢印a方向に搬送され、両シリンダ108,110の搬送方向上流側には、搬送路を挟むように上下に送りロール112a及び112bが設けられ、該送りロールによって段ボールシートSを両シリンダ間に送っている。ナイフシリンダ110の外周面には、通常木製の刃物取付台114が装着されている。刃物取付台114には、カッティングナイフ116又はクリーザナイフ等の孔開け及び打ち抜き刃が取り付けられている。
【0005】
前段工程で、印刷や溝切り・罫線入れを施された段ボールシートSは、アンビルシリンダ108とナイフシリンダ110を通ることによって、カッティングナイフ116又はクリーザナイフ等で孔明け及び打ち抜きが施される。
【0006】
次に、図12によって、刃物取付台114の構成及び刃物取付台114をナイフシリンダ外周面に装着する方法を説明する。図11において、ナイフシリンダ110の外周面には、略全面に所定ピッチで多数のネジ孔118が穿設されている。ナイフシリンダ110には、両端付近に、2個の固定用リング120a及び120bがナイフシリンダ110の軸方向に移動可能に装着されている。
【0007】
刃物取付台114のナイフシリンダ110への装着は、刃物取付台114をナイフシリンダ110の外周面に当接し、位置決めする。その状態で、ナイフシリンダ110の両端から刃物取付台114に固定用リング120a、120bを接近させる。刃物取付台114の軸方向両端及び円周方向両端は、傾斜面となっており、該傾斜面を固定用リング120a、120bで上から押えるようにする。押えた状態で、ボルト122をネジ孔118に螺合させ、固定用リング120a、120bを固定する。
【0008】
刃物取付台114のナイフシリンダ円周方向端面は、当て金124で押さえ、ボルト126で当て金124を固定するようにしている。また、刃物取付台114の中央部のナイフシリンダ外周面からの浮き上がりを防止するため、刃物取付台114にもうけた多数の貫通孔に皿ボルト128を挿入し、該皿ボルト128をネジ孔118に螺合させて、刃物取付台114の浮き上がりを防止している。
【0009】
また、カッティングナイフ116による孔開け加工後、カッティングナイフ116に挟まった段ボールシートSの切断くずを外側へ弾き飛ばすためにストリッピングピンが使用される。該ストリッピングピンはネジ孔118に1本置きに挿入され、該ネジ孔118は、刃物取付台固定ボルト用とストリッピングピン用とに共用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−229885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述のように、刃物取付台114をナイフシリンダ外周面に装着したとき、刃物取付台114を多数の皿ボルト128によって押えるようにして、刃物取付台114の浮き上がりを防止している。そのため、刃物取付台114の交換時に、多数の皿ボルト128の取り外し及び取り付けが必要となり、刃物取付台の交換に長時間を要していた。
【0012】
例えば、図7(B)は、オペレータが一人で、浮き上がり防止用ボルトが26本使用され、ストリッピングピンが31本使用された木型(刃物取付台)を交換する場合の所要時間を示している。この例では、浮き上がり防止用ボルトやストリッピングピンの取付け,取外しに多くの時間を要し、総計で9分30秒の交換時間を要していた。その内ボルト取付け/取外しには、小計4分20秒を要している。そのため、ロータリダイカッタのオーダ替えのセット時間が長く、稼動率が低下するという問題が生じていた。
【0013】
なお、製函機ラインを構成する装置は、レール上に配置されライン方向にスライド可能になっている。図中、ダイカットユニットの開閉とは、ダイカットユニットと隣接したユニットを移動させて、両ユニット間に隙間をつくり、刃物取付台の交換を可能にする作業をいう。
【0014】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、ナイフシリンダに装着される刃物取付台の交換に要する時間を短縮して、ロータリダイカッタの稼動率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる目的を達成するため、本発明のナイフシリンダの刃物取付台固定方法は、アンビルシリンダに対設され、円筒形状の外周面に刃物取付台が固定され、アンビルシリンダとの間に挿入されたシート状物を切断加工するナイフシリンダの刃物取付台固定方法において、外周面に開口した固定穴を有し、該固定穴の内部に作用力発生体が配設され、該固定穴に該作用力発生体に対して吸引力又は反発力を選択的に発生可能な摺動体が遊嵌され、該摺動体と一体の係止部材が該固定穴の開口に面して配置されたナイフシリンダと、開口径の異なる貫通孔が連設された刃物取付台とを用意し、刃物取付台に穿設された大径側貫通孔が該摺動体の係止部材に対面するように、刃物取付台をナイフシリンダ外周面に当接する第1ステップと、該作用力発生体と該摺動体との間に反発力を発生させて該係止部材をナイフシリンダ外周面から外方へ突出させる第2ステップと、刃物取付台をナイフシリンダ外周面に対してスライドさせ、刃物取付台に穿設された小径側貫通孔の周囲壁部をナイフシリンダ外周面と前記係止部材との間に嵌入させて刃物取付台をナイフシリンダ外周面に固定する第3ステップと、からなるものである。
【0016】
前記固定穴は、最低1個設けられ、刃物取付台の刃物と競合しない位置に設けられる。固定穴を複数設ける場合、ナイフシリンダ外周面に適宜分散配置する。刃物取付台の浮き上がり防止に使用されない固定穴は、作用力発生体と摺動体との間に吸引力を発生させ、前記係止部材を固定穴の内部に後退させ、刃物取付台のじゃまにならないようにする。
刃物取付台の浮き上がり防止に使用される固定穴では、作用力発生体と摺動体との間に反発力を発生させ、前記係止部材を固定穴から外側に突出させるようにする。この切り替え操作は治具を使用してワンタッチでできるので、従来と比べて、刃物取付台の取付け及び取外しに要する時間を大幅に短縮できる。
【0017】
本発明方法において、作用力発生体及び摺動体の互いに対面する面の少なくとも一部の領域に磁石を埋設して磁性領域を形成させ、前記第2ステップが、作用力発生体と摺動体とで同一磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体との間に反発力を発生させるものであり、刃物取付台を固定しない摺動体においては、作用力発生体と摺動体とで異なる磁性領域同士又は磁性領域と磁性体領域とを体面させて作用力発生体と摺動体との間に吸引力を発生させ、摺動体の係止部材をナイフシリンダ外周面下に没入させるようにするとよい。
【0018】
磁性体領域とは、磁性を帯びて磁石によって吸引されることが可能な物質によって形成された領域を言う。例えば鉄のように強磁性を有する磁性金属で形成されるとよい。
このように、同一磁性領域間に発生する反発力と、異なる磁性領域間又は磁性領域と磁性体領域との間に発生する吸引力とを利用して、摺動体と一体の係止部材をナイフシリンダ外周面から突出させたり、あるいは該外周面下に没入させるようにしている。これによって、磁石を用いた簡単な構成で、他に動力源を必要とすることなく、刃物取付台の取付け及び取外しが可能になる。
【0019】
この場合、作用力発生体及び摺動体の互いに対面する面の一部の領域にN極磁石を埋設してN極磁性領域域を形成させると共に、他の領域にS磁磁石を埋設してS磁磁性領域を形成させ、前記第2ステップが、作用力発生体と摺動体とで同一磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体との間に反発力を発生させるものであり、刃物取付台を固定しない摺動体においては、作用力発生体と摺動体とで異なる磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体との間に吸引力を発生させ、摺動体の係止部材をナイフシリンダ外周面下に没入させるように構成するとよい。
【0020】
このように、同一磁性領域間に発生する反発力と、異なる磁性領域間に発生する吸引力を利用することにより、簡単な構成で係止部材を確実に上下移動できるようになる。
【0021】
あるいは、作用力発生体及び摺動体の互いに対面する面の一部の領域に同一磁極の磁石を埋設して磁性領域を形成させると共に、他の領域に磁性金属領域を形成させ、前記第2ステップが、作用力発生体と摺動体とで磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体間に反発力を発生させるものであり、刃物取付台を固定しない摺動体においては、作用力発生体と摺動体とで磁性領域と磁性体領域とを対面させて作用力発生体と摺動体との間に吸引力を発生させ、摺動体の係止部材をナイフシリンダ外周面下に没入させるようにするとよい。
【0022】
この方法は、同一磁極の磁石間に発生する反発力と、磁石と磁性金属間に発生する吸引力を利用するものであり、前記方法より構成がさらに簡素化でき、低コストとなる。
【0023】
本発明のナイフシリンダは、アンビルシリンダに対設され、円筒形状の外周面に刃物取付台が固定され、アンビルシリンダとの間に挿入されたシート状物を切断加工するナイフシリンダにおいて、外周面に開口した固定穴と、該固定穴の内部に配設された作用力発生体と、該作用力発生体に対して吸引力又は反発力を選択的に発生可能な摺動体と、該摺動体と一体に構成され、摺動体と作用力発生体との間に反発力が発生したときナイフシリンダの外周面から外方に突出する係止部材と、を備え、刃物取付台に穿設された貫通孔の周囲壁部をナイフシリンダ外周面と該係止部材との間に嵌入させ、刃物取付台をナイフシリンダ外周面に固定させるように構成したものである。
【0024】
前記構成により、刃物取付台を固定する摺動体は、作用力発生体と摺動体との間に反発力を発生させて、係止部材をナイフシリンダ外周面から外方へ突出させる。刃物取付台を固定しない摺動体では、吸引力を発生させて、係止部材をナイフシリンダ外周面下に没入させ、刃物取付台のじゃまにならないようにする。この切り替え操作はワンタッチでできるので、ナイフシリンダ外周面への刃物取付台の取付けおよび取外しに要する時間を従来と比べて、大幅に短縮できる。
【0025】
本発明のナイフシリンダにおいて、作用力発生体及び摺動体の互いに対面する面の少なくとも一部の領域に磁石が埋設されて磁性領域が形成され、摺動体が軸中心に回動可能に構成され、作用力発生体と摺動体とで同一磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体との間に反発力を発生させると共に、作用力発生体と摺動体とで異なる磁性領域同士又は磁性領域と磁性体領域とを対面させて作用力発生体と摺動体との間に吸引力を発生させるように構成するとよい。
【0026】
このように、同一磁性領域間に発生する反発力と、異なる磁性領域間又は磁性領域と磁性体領域との間に発生する吸引力とを利用して、摺動体と一体の係止部材をナイフシリンダ外周面から突出させたり、あるいは該外周面下に没入させるようにしている。また、摺動体を回動させるだけで、反発力又は吸引力の発生を切り換えできる。これによって、磁石を用いた簡単な構成で、他に動力源を必要とすることなく、刃物取付台の取付け及び取外しが短時間で可能になる。
【0027】
本発明のナイフシリンダにおいて、作用力発生体及び摺動体の互いに対面する面の一部の領域にN極磁石を埋設してN極磁性領域を形成させると共に、他の領域にS磁磁石を埋設してS極磁性領域を形成させ、摺動体が軸中心に回動可能に構成され、作用力発生体と摺動体とでの同一磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体との間に反発力を発生させると共に、作用力発生体と摺動体とで異なる磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体間に吸引力を発生させるように構成するとよい。
このように、同一磁性領域間に発生する反発力と、異なる磁性領域間に発生する吸引力を利用することにより、簡単な構成で係止部材を確実に上下移動できるようになる。
【0028】
あるいは、作用力発生体及び摺動体の互いに対面する面の一部の領域に同一磁極の磁石を埋設して磁性領域を形成させると共に、他の領域に磁性金属領域を形成させ、摺動体が軸中心に回動可能に構成され、作用力発生体と摺動体とで磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体との間に反発力を発生させると共に、作用力発生体と摺動体とで磁性領域と磁性金属領域とを対面させて作用力発生体と摺動体との間に吸引力を発生させ、摺動体の係止部材をナイフシリンダ外周面下に没入させるように構成するとよい。
【0029】
かかる構成により、同一磁性領域間に発生する反発力と、磁性領域と磁性金属との間に発生する吸引力を利用でき、前記構成より構成をさらに簡素化でき、低コストとなる。
【0030】
本発明のナイフシリンダにおいて、作用力発生体と摺動体との間にバネ部材を介装し、該バネ部材によって作用力発生体と摺動体との間に発生する反発力を補助する付勢力を発生させるように構成するとよい。
このように、バネ部材のバネ力を補助させることによって、摺動体と一体の係止部材を固定穴の外側に確実に突出させることができる。そのため、刃物取付台の取付けを確実に行なうことができる。
【0031】
本発明のロータリダイカッタは、アンビルシリンダとナイフシリンダとが互いに対設され、該ナイフシリンダの外周面に刃物取付台が固定され、アンビルシリンダとナイフシリンダ間にシート状物を挿入して該シート状物を切断加工するロータリダイカッタにおいて、ナイフシリンダは前記構成を有するナイフシリンダであって、刃物取付台に穿設された貫通孔の周囲壁部をナイフシリンダ外周面と該係止部材との間に嵌入させて刃物取付台をナイフシリンダ外周面に固定させるように構成したものである。
【0032】
本発明のロータリダイカッタは、前記構成により、ナイフシリンダへの刃物取付台の取付け及び取外しを従来より大幅に短縮できると共に、刃物取付台のナイフシリンダへの取付けを確実に行なうことができる。
【0033】
本発明の刃物取付台は、アンビルシリンダに対設されたナイフシリンダの外周面に固定され、アンビルシリンダとナイフシリンダの間に挿入されたシート状物を切断加工する刃物取付台において、ナイフシリンダ外周面から突出した係止部材の径より大きい径を有する大径側貫通孔と、該係止部材の径より小さい径を有する小径側貫通孔とが連設され、該係止部材が大径側貫通孔に挿入されるようにナイフシリンダ外周面に当接され、小径側貫通孔の周囲壁部が該係止部材とナイフシリンダ外周面との間に嵌入されて固定されるように構成されたものである。
【0034】
本発明の刃物取付台は、前記係止部材によりナイフシリンダ外周面に装着される。そのため、従来のように、多数のボルトを使用しないで済むので、取付け及び取外しが容易かつ短時間でできる。なお、前記大径側貫通孔又は小径側貫通孔の形状は、必ずしも円形に限られず、例えば楕円形又は角形であってもよい。
【0035】
本発明の刃物取付台において、小径側貫通孔の周囲壁部が外側に広がる傾斜面を有する傾斜壁からなり、該傾斜壁が前記係止部材とナイフシリンダ外周面との間に嵌入されて固定されるように構成されるとよい。これによって、刃物取付台の取付けがさらに容易になると共に、刃物取付台の保持力を高く維持できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明方法によれば、アンビルシリンダに対設され、円筒形状の外周面に刃物取付台が固定され、アンビルシリンダとの間に挿入されたシート状物を切断加工するナイフシリンダの刃物取付台固定方法において、外周面に開口した固定穴を有し、該固定穴の内部に作用力発生体が配設され、該固定穴に該作用力発生体に対して吸引力又は反発力を選択的に発生可能な摺動体が遊嵌され、該摺動体と一体の係止部材が該固定穴の開口に面して配置されたナイフシリンダと、径の異なる貫通孔が連設された刃物取付台とを用意し、刃物取付台に穿設された大径側貫通孔が該摺動体の係止部材に対面するように、刃物取付台をナイフシリンダ外周面に当接する第1ステップと、該作用力発生体と該摺動体との間に反発力を発生させて該係止部材をナイフシリンダ外周面から外方へ突出させる第2ステップと、刃物取付台をナイフシリンダ外周面に対してスライドさせ、刃物取付台に穿設された小径側貫通孔の周囲壁部をナイフシリンダ外周面と前記係止部材との間に嵌入させて刃物取付台をナイフシリンダ外周面に固定する第3ステップと、からなるので、従来と比べて、刃物取付台の交換に要する時間を大幅に短縮でき、これによって、ナイフシリンダを備えたロータリダイカッタや製函機の稼動効率を向上できる。
【0037】
本発明のナイフシリンダによれば、アンビルシリンダに対設され、円筒形状の外周面に刃物取付台が固定され、アンビルシリンダとの間に挿入されたシート状物を切断加工するナイフシリンダにおいて、外周面に開口した固定穴と、該固定穴の内部に配設された作用力発生体と、該作用力発生体に対して吸引力又は反発力を選択的に発生可能な摺動体と、該摺動体と一体に構成され、摺動体と作用力発生体との間に反発力が発生したときナイフシリンダの外周面から外方に突出する係止部材と、を備え、刃物取付台に穿設された貫通孔の周囲壁部をナイフシリンダ外周面と該係止部材との間に嵌入させて刃物取付台をナイフシリンダ外周面に固定させるように構成したので、従来と比べて、刃物取付台の交換に要する時間を大幅に短縮でき、これによって、本発明のナイフシリンダを備えたロータリダイカッタの稼動効率を向上できる。
【0038】
本発明のロータリダイカッタによれば、アンビルシリンダとナイフシリンダとが互いに対設され、該ナイフシリンダの外周面に刃物取付台が固定され、アンビルシリンダとナイフシリンダ間にシート状物を挿入して該シート状物を切断加工するロータリダイカッタにおいて、前記構成を有するナイフシリンダを備え、刃物取付台に穿設された貫通孔の周囲壁部をナイフシリンダ外周面と該係止部材との間に嵌入させて刃物取付台をナイフシリンダ外周面に固定させるように構成したので、従来と比べて、ナイフシリンダに装着される刃物取付台の交換に要する時間を大幅に短縮でき、これによって、ロータリダイカッタの稼動効率を向上できる。
【0039】
本発明の刃物取付台によれば、アンビルシリンダに対設されたナイフシリンダの外周面に固定され、アンビルシリンダとナイフシリンダの間に挿入されたシート状物を切断加工する刃物取付台において、ナイフシリンダ外周面から突出した係止部材の径より大きい径を有する大径側貫通孔と、該係止部材の径より小さい径を有する小径側貫通孔とが連設され、該係止部材が大径側貫通孔に挿入されるようにナイフシリンダ外周面に当接され、小径側貫通孔の周囲壁部が該係止部材とナイフシリンダ外周面との間に嵌入されて固定されるように構成されたので、従来と比べて、ナイフシリンダに装着される刃物取付台の交換に要する時間を大幅に短縮でき、これによって、ナイフシリンダを備えたロータリダイカッタの稼動効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明方法及び装置の第1実施形態に係るナイフシリンダの断面図である。
【図2】図1中のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1中のB−B線に沿う断面図である。
【図4】前記第1実施形態に係る刃物取付台の斜視図である。
【図5】前記第1実施形態に係り、固定装置の操作中を示すナイフシリンダの断面図である。
【図6】前記第1実施形態に係り、固定装置で刃物取付台を固定した状態を示すナイフシリンダの断面図である。
【図7】(A)は本発明による刃物取付台の交換時間を示す説明図であり、(B)は従来の手段による刃物取付台の交換時間を示す説明図である。
【図8】本発明方法及び装置の第2実施形態に係る、図2に相当する断面図である。
【図9】前記第2実施形態に係る図3に相当する断面図である。
【図10】本発明方法及び装置の第3実施形態に係るナイフシリンダの断面図である。
【図11】ロータリダイカッタの横断面図である。
【図12】従来の手段で刃物取付台が装着されたナイフシリンダの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0042】
(第1実施形態)
本発明方法及び装置を段ボール製函機のダイカットユニットに適用した第1実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。まず、図1〜図3において、本実施形態のナイフシリンダの構成を説明する。図1に示すように、ナイフシリンダ11の外周面11aに開口し、ナイフシリンダ11の中心方向に向けられた固定穴12が穿設されている。該固定穴12は、後述する刃物取付台40の刃物が配置されるナイフシリンダ外周面10aの中央領域を避け、ナイフシリンダ11の軸方向及び円周方向に略等間隔で設けられている。
【0043】
穴12の開口部に設けられた段差に環状の台座14が嵌合固定されている。台座14の中心に穿設された貫通孔は、上部が上方に拡開された円錐状の傾斜面14aをなし、下部は、同一内径を有する円筒面14bを形成している。穴12の内部には、金属製の磁力発生体16が内在している。磁力発生体16の中心部は中空となっており、下部に中心側に突出した円錐形状の傾斜面16aを有している。穴12の底部にはネジ穴18が穿設され、該ネジ穴18に皿ボルト20が螺着している。皿ボルト20の頭部20aは、磁力発生体16の傾斜面16aを挟み、磁力発生体16を穴12の底部に固定している。
【0044】
図3に示すように、磁力発生体16の上面には、円筒形状をなす複数の磁石が円弧状に埋設されている。右側上面にN極磁石22aが埋設されたN極磁性領域が形成され、左側上面にS極磁石22bが埋設されたS極磁性領域が形成されている。台座14の円筒面14bを通して金属製の摺動体24が穴12の内部に挿入されている。摺動体24は、上方から、円錐形状の皿部24aと、円筒部24bと、断面が正方形の胴部24cと、ネジ部24dとからなっている。皿部24aの上面には、後述する回し具50の六角軸54の先端が挿入される六角穴26が穿設されている。
【0045】
ネジ部24dには、ワッシャ28を介してナット30が螺着している。磁力発生体16の内側空間には、コイルバネ32が挿入され、このコイルバネ32がワッシャ28を上方へ押し上げるバネ力を与えている。磁力発生体16の上方空間には、胴部24cの周囲に、環状の磁力発生体34が配設されている。磁力発生体34の下面には、中心に正方形断面の胴部24cに遊嵌する正方形の孔34aが穿設され、どこにも固定されず、穴12内で自由に摺動する。
【0046】
図2に示すように、磁力発生体34には、磁力発生体16に埋設された磁石22a、22bと同一形状の複数の磁石が円弧状に埋設されている。磁力発生体16のN極磁石22aに対向する位置にS極磁石22bが埋設されたS極磁性領域が形成され、磁力発生体16のS極磁石22bに対向する位置にN極磁石22aが埋設されたN極磁性領域が形成されている。これらの部品によって、刃物取付台固定装置10Aが構成されている。
【0047】
次に、図4により、本実施形態に使用される木製の刃物取付台40の構成を説明する。図4において、刃物取付台40の内周面40aは、ナイフシリンダ外周面11aに全面が密着するように、該外周面11aと同一の曲率を有した円弧形状となっている。刃物取付台40には、刃物取付台40の中心から略対称な位置に4個のダルマ形の貫通孔42が穿設されている。貫通孔42は、互いに連なった大径部44と小径部46とからなり、大径部44は垂直な壁面をなし、小径部46は、外側に拡大する傾斜面48を形成している。
【0048】
傾斜面48は、摺動体24の皿部24aとうまく嵌合するように、皿部24aの傾斜面と同一傾斜角を形成している。また、大径部44の直径は、皿部24aの最大径より大きく形成され、小径部46の最小直径は、皿部24aの最大径より小さく形成されている。大径部44及び小径部46は、ナイフシリンダ11の軸方向に向けて配置されている。
なお、大径部44又は小径部46の形状は、必ずしも円形に限られず、例えば、楕円形又は角形であってもよい。
【0049】
刃物取付台固定装置10Aは、ナイフシリンダ外周面11aに刃物取付台40が装着されていない時、又は刃物取付台40がナイフシリンダ外周面11aに装着されていても、刃物取付台40を固定していない時は、図1に示すように、皿部24aがナイフシリンダ外周面11aと同一高さ若しくはナイフシリンダ外周面11aより下方に後退した状態に保持される。即ち、磁力発生体16のS極磁石22bが埋設されたS極磁性領域と、磁力発生体34のN極磁石22aが埋設されたN極磁性領域とが互いに対面する位置にある。そのため、両磁石が吸引し合って、磁力発生体16が下降し、両磁力発生体が接触した状態となっている。
【0050】
図1の状態から、固定装置10Aによって刃物取付台40を固定するまでの操作手順を図5及び図6により説明する。まず、刃物取付台40をナイフシリンダ外周面11aに位置決めする。この時、図5に示すように、刃物取付台40の大径部44が皿部24aに対面する位置に来るようにする。
【0051】
次に、回し具50を用いて、摺動体24を180°回転させる。回し具50は、取っ手52と、取っ手52に取り付けられた六角軸54とからなる。オペレータが取っ手52を持ち、取っ手52を矢印b方向に移動させて、六角軸54を皿部24aの六角穴26に挿入する。この状態で、取っ手52を矢印c方向に回転させて、摺動体24を180°回転させる。これによって、摺動体24の胴部24cに遊嵌した磁力発生体34が180°回転する。
【0052】
磁力発生体34が180°回転すると、磁力発生体16及び34のN極磁性領域同士及びS極磁性領域同士が対面するので、反発力が発生する。この反発力とコイルバネ32のバネ力との合力により、磁力発生体34及び摺動体24が同時に上昇する。そして、図6に示すように、磁力発生体34が台座14の下面に当って、磁力発生体34及び摺動体24が停止する。これによって、皿部24aがナイフシリンダ外周面11aより外側に突出する。
なお、この時に、刃物取付台40をナイフシリンダ外周面11aに位置決めするようにしてもよい。
【0053】
次に、図6に示すように、刃物取付台40をナイフシリンダ軸方向に移動させて、傾斜面48を皿部24aとナイフシリンダ外周面11aとの間に嵌合させる。これによって、刃物取付台40が皿部24aで固定される。刃物取付台40に設けられた4箇所の貫通孔42でこのような操作を行なう。
【0054】
刃物取付台40を取り外す時は、装着時と逆の手順を行なえばよい。即ち、図6の状態から、刃物取付台40をナイフシリンダ軸方向に移動させ、傾斜面48を皿部24aとナイフシリンダ外周面11aとの間からスライドさせ、図5の状態にする。
次に、オペレータが回し具50を使って摺動体24を180°回転させる。これによって、磁力発生体16及び34のN極磁石22aとS極磁石22bとが対面するので、磁力発生体16及び34間に吸引力が発生し、磁力発生体34及び摺動体24が下降し、皿部24aがナイフシリンダ外周面11aと同一高さに後退する。
【0055】
このように、刃物取付台40の中央部は、固定装置10Aにより刃物取付台40の浮き上がりを防止するが、刃物取付台40のナイフシリンダ軸方向両端は、従来のように、固定用リング120a、120b等を用いて、刃物取付台を固定する。
【0056】
本実施形態によれば、刃物取付台40をナイフシリンダ外周面11aに位置決めした後、オペレータが回し具50を使って、180°回転させ、その後、皿部24aに刃物取付台40の傾斜面48を嵌合固定させるだけの操作で済むので、従来と比べて、刃物取付台40の取付け及び取外しに要する時間を大幅に短縮できる。そのため、その分ダイカット部の稼動時間を長くできるので、製函機の運転効率を向上できる。
【0057】
また、本実施形態では、磁石間の吸引力又は反発力により刃物取付台40を固定するのではなく、磁石間の吸引力又は反発力は、摺動体24を昇降させるためのみに使用している。そして、刃物取付台40を固定する力は、上昇位置にある皿部24aとナイフシリンダ外周面11aとの間に刃物取付台40を嵌合させ、皿部24aとナイフシリンダ外周面11aとの間の締付力により、刃物取付台40を固定するようにしているので、刃物取付台40の保持力を高く維持できる。
【0058】
また、本実施形態では、貫通孔42の大径部44と小径部46とをナイフシリンダ軸方向に向けて配置しているので、刃物取付台40の取付け及び取外し時に、刃物取付台40をナイフシリンダ軸方向にスライドすればよい。
【0059】
図7(A)は、本実施形態による刃物取付台の交換を実際に行なった場合の所要時間の例を示す。この例は、二分割木型の刃物取付台を交換した場合の例である。この例は、ひとりのオペレータが行ない、従来のようなボルトによる固定手段を用いず、外周面の固定装置10Aを備えたナイフシリンダに木型(刃物取付台)を固定した例である。
【0060】
二分割木型の刃物取付台は、ナイフシリンダの円周方向に略全周に亘って装着されるので、二分割木型のうち一方の刃物取付台を装着する場合、ナイフシリンダを半回転させる必要がある。そのため、一体型の刃物取付台の場合より時間がかかる。
しかし、本実施形態によれば、二分割型の刃物取付台の交換でも、2分しかかからず、従来のボルトを用いた固定手段と比べて大幅に交換時間を短縮できる。
【0061】
なお、前記第1実施形態では、磁力発生体16及び34の対向面を180°ずつ2分割し、夫々の領域にN極磁石22aを埋設したN極磁性領域又はS極磁石22bを埋設したS極磁性領域を形成するようにしたが、代わりに、磁力発生体16及び34の対向面を90°ずつ4つの領域に分割し、夫々の領域に交互にN極磁石及びS極磁石を埋設するようにしてもよい。
これによって、磁力発生体34を90°だけ回転するだけで、磁力発生体16及び34間に吸引力又は反発力を切り替え可能に発生できる。そのため、切り替え操作に要する時間をさらに短縮でき、刃物取付台40の交換がそれだけ容易になるという利点がある。
【0062】
(第2実施形態)
次に、本発明方法及び装置の第2実施形態を図8及び図9により説明する。図8は、前記第1実施形態の図2に相当する断面図であり、図9は、図3に相当する断面図である。
本実施形態では、磁力発生体16及び34の対向面の片側領域に同一磁極を有する磁石(N極磁石22a又はS極磁石22b)を埋設した磁性領域を形成し、他方領域を磁性金属で構成された磁性金属領域56を設けるようにしている。磁性金属領域56は、鋼のように強磁性金属で形成されるとよい。
【0063】
これによって、磁力発生体16及び34間で同一磁極の磁石を埋設して形成された同一磁性領域を対面させることにより、磁力発生体16及び34間に反発力を発生させることができる。そして、磁力発生体34を回し具50で180°回転させ、磁力発生体16及び34間で、該磁性領域と磁性金属領域56とを対面させることにより、磁力発生体16及び34間に吸引力を発生させることができる。なお、磁性金属領域56を設ける代わりに、磁力発生体16及び34自体を磁性金属で構成するようにしてもよい。
【0064】
(第3実施形態)
次に、本発明方法及び装置の第3実施形態を図10により説明する。本実施形態の固定装置10Bは、磁力発生体34とワッシャ28との間にコイルバネ32を装着したものであり、その他の構成は前記第1実施形態と同一である。
【0065】
本実施形態によれば、摺動体24の皿部24aとナイフシリンダ外周面11aとで刃物取付台40を挟んで固定する場合に、磁力発生体16及び34間でことなる磁極の磁石を対面させて、磁力発生体16及び34間に吸引力を発生させる。この吸引力に加えて、コイルバネ32のバネ力を摺動体24を下降させる方向に付加する。こうして、該吸引力とコイルバネ32のバネ力との合力により皿部24aに刃物取付台40の傾斜面48を挟んで固定する締付力を付与させるようにしている。そのため、刃物取付台40の保持力を増大でき、刃物取付台40を安定して保持できる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、例えば、段ボール箱を生産する製函機等に用いられるダイカットユニットの刃物取付台の交換時間を短縮して、装置の運転効率を向上できる。
【符号の説明】
【0067】
10A、10B 刃物取付台固定装置
11,110 ナイフシリンダ
11a ナイフシリンダ外周面
12 固定穴
14 台座
14a、16a、48 傾斜面
14b 円筒面
16 磁力発生体(作用力発生体)
18 ネジ穴
20 皿ボルト
20a 皿ボルト頭部
22a N極磁石
22b S極磁石
24 摺動体
24a 皿部
24b 円筒部
24c 胴部
24d ネジ部
26 六角穴
28 ワッシャ
30 ナット
32 コイルバネ
34 磁力発生体
40 刃物取付台
40a 刃物取付台内周面
42 貫通孔
44 大径部
46 小径部
50 回し具
52 取っ手
54 六角軸
100 ロータリダイカッタ
108 アンビルシリンダ
S 段ボールシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンビルシリンダに対設され、円筒形状の外周面に刃物取付台が固定され、アンビルシリンダとの間に挿入されたシート状物を切断加工するナイフシリンダの刃物取付台固定方法において、
外周面に開口した固定穴を有し、該固定穴の内部に作用力発生体が配設され、該固定穴に該作用力発生体に対して吸引力又は反発力を選択的に発生可能な摺動体が遊嵌され、該摺動体と一体の係止部材が該固定穴の開口に面して配置されたナイフシリンダと、開口径の異なる貫通孔が連設された刃物取付台とを用意し、
刃物取付台に穿設された大径側貫通孔が該摺動体の係止部材に対面するように、刃物取付台をナイフシリンダ外周面に当接する第1ステップと、
該作用力発生体と該摺動体との間に反発力を発生させて該係止部材をナイフシリンダ外周面から外方へ突出させる第2ステップと、
刃物取付台をナイフシリンダ外周面に対してスライドさせ、刃物取付台に穿設された小径側貫通孔の周囲壁部をナイフシリンダ外周面と前記係止部材との間に嵌入させて刃物取付台をナイフシリンダ外周面に固定する第3ステップと、からなることを特徴とするナイフシリンダの刃物取付台固定方法。
【請求項2】
前記作用力発生体及び摺動体の互いに対面する面の少なくとも一部の領域に磁石を埋設して磁性領域を形成させ、
前記第2ステップが、作用力発生体と摺動体とで同一磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体との間に反発力を発生させるものであり、
刃物取付台を固定しない摺動体においては、作用力発生体と摺動体とで異なる磁性領域同士又は磁性領域と磁性体領域とを対面させて作用力発生体と摺動体との間に吸引力を発生させ、摺動体の係止部材をナイフシリンダ外周面下に没入させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のナイフシリンダの刃物取付台固定方法。
【請求項3】
前記作用力発生体及び摺動体の互いに対面する面の一部の領域にN極磁石を埋設してN極磁性領域を形成させると共に、他の領域にS極磁石を埋設してS極磁性領域を形成させ、
前記第2ステップが、作用力発生体と摺動体とで同一磁性領域を対面させて作用力発生体と摺動体との間に反発力を発生させるものであり、
刃物取付台を固定しない摺動体においては、作用力発生体と摺動体とで異なる磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体との間に吸引力を発生させ、摺動体の係止部材をナイフシリンダ外周面下に没入させるように構成したことを特徴とする請求項2に記載のナイフシリンダの刃物取付台固定方法。
【請求項4】
前記作用力発生体及び摺動体の互いに対面する面の一部の領域に同一磁極の磁石を埋設して磁性領域を形成させると共に、他の領域に磁性金属領域を形成させ、
前記第2ステップが、作用力発生体と摺動体とで該磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体との間に反発力を発生させるものであり、
刃物取付台を固定しない摺動体においては、作用力発生体と摺動体とで該磁性領域と磁性金属領域とを対面させて作用力発生体と摺動体との間に吸引力を発生させ、摺動体の係止部材をナイフシリンダ外周面下に没入させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載のナイフシリンダの刃物取付台固定方法。
【請求項5】
アンビルシリンダに対設され、円筒形状の外周面に刃物取付台が固定され、アンビルシリンダとの間に挿入されたシート状物を切断加工するナイフシリンダにおいて、
外周面に開口した固定穴と、該固定穴の内部に配設された作用力発生体と、該作用力発生体に対して吸引力又は反発力を選択的に発生可能な摺動体と、該摺動体と一体に構成され、摺動体と作用力発生体との間に反発力が発生したときナイフシリンダの外周面から外方に突出する係止部材と、を備え、
刃物取付台に穿設された貫通孔の周囲壁部をナイフシリンダ外周面と該係止部材との間に嵌入させ、刃物取付台をナイフシリンダ外周面に固定させるように構成したことを特徴とするナイフシリンダ。
【請求項6】
前記作用力発生体及び摺動体の互いに対面する面の少なくとも一部の領域に磁石が埋設されて磁性領域が形成され、
摺動体が軸中心に回動可能に構成され、作用力発生体と摺動体とで同一磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体との間に反発力を発生させると共に、作用力発生体と摺動体とで異なる磁性領域同士又は磁性領域と磁性体領域とを対面させて作用力発生体と摺動体との間に吸引力を発生させるように構成したことを特徴とする請求項5に記載のナイフシリンダ。
【請求項7】
前記作用力発生体及び摺動体の互いに対面する面の一部の領域にN極磁石を埋設してN極磁性領域を形成させると共に、他の領域にS磁磁石を埋設してS極磁性領域を形成させ、
摺動体が軸中心に回動可能に構成され、作用力発生体と摺動体とで同一磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体との間に反発力を発生させると共に、作用力発生体と摺動体とで異なる磁性領域同士を対面させて作用力発生体と摺動体間に吸引力を発生させるように構成したことを特徴とする請求項6に記載のナイフシリンダ。
【請求項8】
前記作用力発生体及び摺動体の互いに対面する面の一部の領域に同一磁極の磁石を埋設して磁性領域を形成させると共に、他の領域に磁性金属領域を形成させ、
摺動体が軸中心に回動可能に構成され、作用力発生体と摺動体とで磁性領域を互いに対面させて作用力発生体と摺動体との間に反発力を発生させると共に、作用力発生体と摺動体とで磁性領域と磁性金属領域とを対面させて作用力発生体と摺動体間に吸引力を発生させ、摺動体の係止部材をナイフシリンダ外周面下に没入させるように構成したことを特徴とする請求項6に記載のナイフシリンダ。
【請求項9】
前記作用力発生体と摺動体との間にバネ部材を介装し、該バネ部材によって作用力発生体と摺動体との間に発生する反発力を補助する付勢力を発生させるように構成したことを特徴とする請求項5〜8のいずれかの項に記載のナイフシリンダ。
【請求項10】
アンビルシリンダとナイフシリンダとが互いに対設され、該ナイフシリンダの外周面に刃物取付台が固定され、アンビルシリンダとナイフシリンダ間にシート状物を挿入して該シート状物を切断加工するロータリダイカッタにおいて、
前記ナイフシリンダが請求項5〜9のいずれかの項の構成を有するナイフシリンダであって、刃物取付台に穿設された貫通孔の周囲壁部をナイフシリンダ外周面と該係止部材との間に嵌入させて刃物取付台をナイフシリンダ外周面に固定させるように構成したことを特徴とするロータリダイカッタ。
【請求項11】
アンビルシリンダに対設されたナイフシリンダの外周面に固定され、アンビルシリンダとナイフシリンダの間に挿入されたシート状物を切断加工する刃物取付台において、
ナイフシリンダ外周面から突出した係止部材の径より大きい径を有する大径側貫通孔と、該係止部材の径より小さい径を有する小径側貫通孔とが連設され、
該係止部材が大径側貫通孔に挿入されるようにナイフシリンダ外周面に当接され、小径側貫通孔の周囲壁部が該係止部材とナイフシリンダ外周面との間に嵌入されて固定されるように構成されたことを特徴とする刃物取付台。
【請求項12】
前記小径側貫通孔の周囲壁部が外側に広がる傾斜面を有する傾斜壁からなり、該傾斜壁が前記係止部材とナイフシリンダ外周面との間に嵌入されて固定されるように構成されたことを特徴とする請求項11に記載の刃物取付台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−173178(P2011−173178A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36879(P2010−36879)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】