説明

ナットフィーダ

【課題】長い供給ホースを通してスムーズにかつ確実に安定して搬送することができるナットフイーダを提供する。
【解決手段】フィーダ本体1と、ナット供給装置2に取り付けられたナットの供給ヘッド3とを中空チューブからなる供給ホース4で連結するとともに、該供給ホース4を通してナットを供給ヘッド3に供給するようにしたナットフィーダであって、前記供給ホース4内には所定時間だけ供給ヘッドに向かうエア流が形成されており、フィーダ本体1側に設けたエスケープ5によりナットを前記エア流内に案内し、該エア流に乗せてナットを供給ヘッド3まで搬送する構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナットのような比較的小型の部品を供給ホースを通して部品消費装置まで確実、かつ安定して搬送することができるナットフィーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の組立工場等においては、例えば特許文献1に示されるように、ドア鋼板の溶接箇所に順次ナットのような比較的小型の部品を自動供給する通称ナットフィーダといわれる部品の供給装置が多数使用されている。
このようなナットフィーダは、フィーダ本体とナット供給装置に設けた供給ヘッドとを中空チューブからなる供給ホースで連結し、フィーダ本体側に設けたエスケープからナットを1個ずつ圧縮エアにより吹き飛ばすとともに、前記供給ホースを通してナットを供給ヘッドに順次補充・供給するよう構成されているのが普通である。
【0003】
しかしながら、前記供給ホース内において角部を有するナットが途中で引っ掛かったりして供給ヘッドまでスムーズに到達しない場合があった。一方、溶接工程の自動化ラインにおいては、供給ホースはできるだけ長くして溶接装置の周辺スペースを広くとり安全性の向上を図りたいのであるが、ナットをスムーズに搬送するには供給ホースの長さが現状では約3mと限界があり、スペース確保にも限界があるという問題点があった。
また、エスケープはフィーダ本体から供給されたナットを供給ホース内へ圧縮エアにより1個ずつ吹き飛ばす形式であり、エスケープの構造上圧縮エアが分散したり、あるいは圧縮エアが壁に当たって逆噴射のような状態になってしまい、ナットを供給ホース内へ確実に送り込めない場合があった。
【特許文献1】特開平3−124622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記のような問題点を解決して、ナットのような小型部品を10〜20m程度の長い供給ホースを通して部品消費装置までスムーズにかつ確実に安定して搬送することができ、またこれにより溶接装置の周辺スペースも広くすることができるナットフィーダを提供することを目的として完成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明のナットフィーダは、フィーダ本体と、ナット供給装置に取り付けられた供給ヘッドとを中空チューブからなる供給ホースで連結するとともに、該供給ホースを通してナットを供給ヘッドに供給するようにしたナットフィーダであって、前記供給ホース内には所定時間だけ供給ヘッドに向かうエア流が形成されており、フィーダ本体側に設けたエスケープによりナットを前記エア流内に案内し、該エア流に乗せてナットを供給ヘッドまで搬送する構造としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、供給ホース内には所定時間だけ供給ヘッドに向かうエア流が形成されており、エスケープによりナットを前記エア流内に案内し、該エア流に乗せてナットを供給ヘッドまで搬送するようにしたので、ナットが供給ホース内の抵抗が小さくて途中で引っ掛かって止まることがなく、供給ヘッドまでスムーズにかつ確実に安定して搬送できることとなる。また供給ホースの長さも従来より大幅に延ばすことができ、溶接装置の周辺スペースが広くとれて安全性の向上も図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図面は、自動車等の組立工場等において溶接機に順次ナットを供給する場合に適用した場合を示すもので、図1は、2列送りのナットフィーダの装置全体を示す概略斜視図、図2は、1列送りのナットフィーダの側面図、図3は図2の正面図である。
図において、1はナットのフィーダ本体、2はナット供給装置(図示のものでは、2つ備えている)、3はこのナット供給装置2に取り付けられるナットの供給ヘッドである。このフィーダ本体1と供給ヘッド3とは、中空チューブからなる供給ホース4で連結されており、該供給ホース4を通してナットが供給ヘッド3に順次供給されるように構成されており、以上の点は従来のナットフィーダと同様である。
【0008】
本発明では、前記供給ホース4内には所定時間だけ供給ヘッド3に向かうエア流が形成されており、フィーダ本体側に設けたエスケープ5によりナットを前記エア流内に案内し、該エア流に乗せてナットを供給ヘッド3まで搬送する構造とした点に特徴を有している。
なお、ここでいう所定時間とは、エスケープ内にナットを供給するという信号が入った時点から、エスケープからナットの排出やめたという信号が入った時点までの時間を意味し、要はナットが該エア流に乗って搬送されるように所定時間だけエア流が形成されるのである。
【0009】
図4に前記エスケープ5の一例を示す。
図中、6はエスケープ本体、7はエスケープ本体内に設けられた水平な孔部、8はシリンダ等(図示せず)によってこの孔部内を左右方向に摺動する押しバー、9は押しバーに形成されたナット受け用のポケットである。また、10はフィーダ本体1に連結されてエスケープ5内にナット30を供給するホースである。
このエスケープ5の前方部には、圧縮エアの供給管11が接続されていて、これにより供給ホース4内には所定時間だけ供給ヘッド3に向かうエア流が形成されている。
【0010】
このようなエスケープ5では、図4に示されるように、先ず押しバー8が右方向に引っ込んでいる。
次に、図5に示されるように、押しバー8が左方向に移動してポケット9がホース10の下方にくると、ナット30がナット受け用のポケット9内へ1個落ちる。
更に、図6に示されるように、押しバー8が左方向に押し出されて、ポケット9が圧縮エアの供給管11の下部までくると、ナット30は圧縮エアにより下方へ押し出されて、供給ホース4内に落ちる。その後、供給ホース4内に形成されているエア流に乗ってナット30は、供給ホース4内を供給ヘッド3に向けてスムーズにかつ確実に安定して搬送されることとなる。
その後は、図7に示されるように、押しバー8が再び右方向に移動して初期位置に戻り、以後同様の手順に従ってナット30は、供給ホース4内に投入され、エア流に乗って供給ヘッド3に向けてスムーズにかつ確実に安定して搬送されることとなる。
【0011】
このようなナットフィーダでは、ナットの搬送時間は供給ホース4が5mで約1秒、10mで約2秒、15mで約4秒、20mで約6秒と極めて短時間で且つスムーズに安定して搬送できることが確認できた。また、ナット30が途中で引っかかって止まることもまったくなかった。
【0012】
また、エスケープ5としては、図8に示されるように、押しバー8を幅広いタイプのものとして、2個のナットを同時に押し出して供給ホース4内に形成されているエア流に乗せるようにすることもでき、この場合にはより迅速にナットの供給を行えることとなる。
なお、図9はこのエスケープの作動状態を示す断面図である。
【0013】
以上の説明からも明らかなように、本発明はフィーダ本体と、ナット供給装置に取り付けられた供給ヘッドとを中空チューブからなる供給ホースで連結するとともに、該供給ホースを通してナットを供給ヘッドに供給するようにしたナットフィーダであって、前記供給ホース内には所定時間だけ供給ヘッドに向かうエア流が形成されており、フィーダ本体側に設けたエスケープによりナットを前記エア流内に案内し、該エア流に乗せてナットを供給ヘッドまで搬送する構造としたので、ナットが供給ホースの途中で引っ掛かって止まることがなく、供給ヘッドまでスムーズにかつ確実に安定して搬送できることとなる。また供給ホースの長さも20m程度までは延ばすことができ、溶接装置の周辺スペースが広くとれて安全性の向上も図ることができる。
なお、以上の説明は搬送部品としてナットの場合について説明したが、これに限定されることなく、例えばコンタクトチップやボルト等のナットようなすべての小型部品に適用できるものであることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】2列送りの本発明の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】1列送りの本発明の実施の形態を示す側面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】エスケープを示す断面図である。
【図5】エスケープの作動状態を示す断面図である。
【図6】エスケープの作動状態を示す断面図である。
【図7】エスケープの作動状態を示す断面図である。
【図8】その他のエスケープを示す断面図である。
【図9】図8の作動状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 フィーダ本体
2 ナット供給装置
3 供給ヘッド
4 供給ホース
5 エスケープ
6 エスケープ本体
7 孔部
8 押しバー
9 ナット受け用のポケット
10 ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーダ本体と、ナット供給装置に取り付けられた供給ヘッドとを中空チューブからなる供給ホースで連結するとともに、該供給ホースを通してナットを供給ヘッドに供給するようにしたナットフィーダであって、前記供給ホース内には所定時間だけ供給ヘッドに向かうエア流が形成されており、フィーダ本体側に設けたエスケープによりナットを前記エア流内に案内し、該エア流に乗せてナットを供給ヘッドまで搬送する構造としたことを特徴とするナットフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−87911(P2008−87911A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270746(P2006−270746)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(392014760)新光機器株式会社 (50)
【出願人】(506332937)株式会社フィーダシステム (10)
【Fターム(参考)】