説明

ナノスケールアーキテクチャーを有する3次元色素増感太陽電池

太陽電池を提供するための技術、装置、材料及びシステムが記載されている。一態様において、装置は高効率の色素増感太陽電池(DSSC)を含む。DSSCは3次元ナノ構造電極を含む。3次元ナノ構造電極は、正極;電解質;及び3次元構造で配置されたTiOナノチューブを含む負極;及び負極上にコートされた感光性色素を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノスケールアーキテクチャーを有する3次元色素増感太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電は、主に固体材料に基づくものであり、ケイ素(Si)が市販の電池の大部分の中心的材料である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高純度ケイ素は非常に高価であり、現在のところエネルギー変換での太陽光発電の使用がそれによって制限されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
3次元ナノ構造電極を有する色素増感太陽電池を提供することを目的として技術、装置及びシステムが記載されている。一態様において、装置は高効率の色素増感太陽電池(DSSC)を含む。DSSCは3次元ナノ構造電極を含む。3次元ナノ構造電極は正極;電解質;及び3次元構造で配置された酸化チタン(TiO)ナノチューブを含む負極;及びTiOナノチューブ上にコートされた感光性色素を含むことができる。
【0005】
実施形態には下記の特徴のうちの1以上が含まれていても良い。負極は、3次元構造に配向した基板面を有する金属基板の表面上に配置されたTiOナノチューブを含むことができる。その3次元構造は、1以上の水平面を含むことができる。金属基板は、チタン(Ti)金属基板を含むことができる。負極のTi金属基板を成形して、負極を通る電解質の容易な輸送を可能とする開口を形成することができる。その開口は、ナノメートルからマイクロメートルの大きさの範囲の寸法を有することができる。正極が照射側とは反対に位置するように、TiOナノチューブを正面として照射することができる。負極は、金属Ti基板の表面に対して垂直に位置するTiOナノチューブを含むことができる。TiOナノチューブは、陽極酸化により、アナターゼ相で形成することができる。負極は、水平配置で配置された少なくとも10%のTiOナノチューブを含むことで、光子方向がナノチューブの方位に対して直交又はほぼ直交するようにすることができる。負極は、水平配置で配置された少なくとも20%のTiOナノチューブを含むことができる。負極は、30から200ナノメートルの範囲の内部直径を有するTiOナノチューブを含むことができる。負極は、少なくとも10マイクロメートルの長さを有するTiOナノチューブを含むことができる。TiOナノチューブは、Tiワイヤアレイもしくは織り込みメッシュ;穿孔、溝もしくは垂直カラムを有するTiシート;垂直配向ストレートTiシート;垂直配向ストレートTiワイヤ;ジグザグベントTiシート;又は傾斜もしくはアコーディオン型のほぼ垂直のTiシートのうちの少なくとも一つを含む3次元金属構造の局所表面輪郭に対して垂直に配置することができる。
【0006】
実施形態には、下記の制限のうちの1以上が含まれ得る。負極は、電子輸送距離を超える光子吸収経路を含むことができる。光子吸収経路は、有機色素又は色素混合物を含む感光性色素の有効な使用が可能となるだけの長さのものであることができる。光子吸収経路は、TiOナノチューブ3次元構造を含む負極での電子輸送から切り離すことができる。負極は、ナノチューブ経路を超える光子吸収距離を有するように構成することができる。色素増感太陽電池は、ガラス上の透明導電性酸化物(TCO)層なしで構築及び作製することができる。TCOなしで構築及び作製される色素増感太陽電池は、標準的なAM1.5直射日光照度で少なくとも4%の色素増感太陽電池効率を提供するよう構成することができる。TCOなしで構築及び作製される色素増感太陽電池は、標準的なAM1.5直射日光照度で少なくとも8%の色素増感太陽電池効率を提供するよう構成することができる。TCOなしで構築及び作製される色素増感太陽電池は、標準的なAM1.5直射日光照度で少なくとも12%の色素増感太陽電池効率を提供するよう構成することができる。正極は、白金箔、白金コートTi金属又はカーボンブラック電極のうちの少なくとも一つを含むことができる。感光性色素は、太陽放射スペクトラム内の領域で約50M−1cm−1を超える吸光係数を有する色素又は色素混合物を含むことができる。感光性色素は、300ナノメートルから少なくとも1500ナノメートルの範囲の有用な太陽スペクトラムのあらゆる部分にわたって吸収する色素又は色素混合物を含むことができる。
【0007】
実施形態には、下記の特徴のうちの1以上が含まれていても良い。記載の高効率色素増感太陽電池(DSSC)は、3次元アーキテクチャー又は構造で配置された垂直もしくは放射方向に配列されたTiOナノチューブを有する負極を有することができる。その3次元構造は、Ti金属又は合金メッシュスクリーンの表面、垂直配向ストレートTiシート、ジグザグベント、傾斜もしくはアコーディオン型のほぼ垂直なTiシート、穿孔Tiシート又はTiワイヤアレイのうちの少なくとも一つを含むことができる。DSSCの負極は、DSSCの負極内の強化光子吸収経路に基づく新たな種類の色素又は色素混合物を含むことができる。正極は、メッシュスクリーン又は箔上にコーティングされたPtを含むことができる。DSSCは、負極及び正極の両方で透明導電性酸化物(TCO)層を持たない材料を含むことができる。
【0008】
別の態様において、方法は、色素増感太陽電池を構築する段階を有する。色素増感太陽電池の構築には、アナターゼ構造TiOナノチューブを電気化学的に陽極酸化及びアニーリングする段階、並びに前記電気化学的に陽極酸化されてアニーティングされたアナターゼ構造を金属基板の表面上に3次元構造で配置する段階がある。3次元構造は、Tiワイヤアレイ、Ti編み込みメッシュ、穿孔、溝もしくは垂直柱を有するTiシート、垂直配向ストレートTiシート、垂直配向ストレートTiワイヤ、ジグザグベントTiシート及び傾斜もしくはアコーディオン型のほぼ垂直のTiシートから選択される。
【0009】
実施形態は、下記の特徴のうちの1以上を含んでいても良い。前記方法は、金属基板の局所輪郭に対して垂直であり、ナノチューブ直径が30から200ナノメートルの範囲であり、長さが10から1000ナノメートルの範囲である3次元アレイでのTiOナノチューブを成長させる段階を有することができる。その方法は、導電性透明ガラスを用いずに3次元Ti金属骨格から突出したTiOナノチューブの表面からの光生成電子のための導管としてのTi金属ワイヤ又は箔基板の使用を含むことができる。TiOナノチューブの表面は、色素コーティングすることができる。
【0010】
記載の技術、装置及びシステムは、下記の利点のうちの1以上を提供できる可能性がある。本明細書に記載のDSSCは、負極及び正極電極のいずれにおいてもガラス上に透明導電性酸化物(TCO)を必要としないことで、効率を向上させ、設計が簡易となり、スケーリングが容易となり得る(金属は、TCOより小さい桁の抵抗損失を有する)新たなアーキテクチャーを含むことができる。さらに、TCOはDSSCの最も高価な部品の一つであることから、この材料を回避することで、DSSCの全体のコストを大幅に下げることができる。さらに、DSSCの実施のための記載の技術、装置及び材料は、完全に環境に優しい材料を用いることで、従来の固体太陽光発電の使用の障害となってきたSi不足の重大な問題を回避することができる。さらに、記載の太陽電池は、製造するのにクリーンルームを必要としないことから、電池生産が、例えば固体太陽光発電に必要な超高純度半導体の製造と比較してはるかに環境への影響が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来のDSSCの模式図である。TiO負極が左側に描かれており;小さい黒丸(紺青色)はTiO(相対的に大きい明青色円)に共有結合的に結合した光吸収色素を表す。TiOに結合していない小さな白丸はヨウ化物イオン(I)又は三ヨウ化物イオン(I)を表す。TCO=透明導電性酸化物;及びPt=白金触媒である。
【図2】TiOナノ結晶のメソ多孔質層を示す図である。
【図3A】3D負極アーキテクチャーを有するDSSCの一つの設計の模式図である。TiOナノチューブは、Tiワイヤ(灰色)周囲を放射方向に成長する。電子輸送は、TiOナノチューブから外部カイロを通してTiワイヤへ、そして正極へ直接行われる。
【図3B】TiOナノチューブがTi金属メッシュの全ての表面から成長しているDSSC電池の別の3D設計を示す図である。この種類の電池は、本発明者らの研究室で構築されたものである。
【図3C】大半のTiOナノチューブがTi金属の垂直柱又はワイヤから水平方向に向いている別の3D設計を示す図である。従って、ほとんどのナノチューブが入射光子方向に対して直交又はほぼ直交する向きである。
【図4A】DSSCで一般に使用される代表的な無機色素「N719」を示す図である。
【図4B】ペリレン核を有する代表的な有機色素を示す図である。
【図5A】高表面積ナノチューブ構造を示すTiOナノチューブメッシュ負極図の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【図5B】高表面積ナノチューブ構造を示すTiOナノチューブメッシュ負極図の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【図5C】高表面積ナノチューブ構造を示すTiOナノチューブメッシュ負極図の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【図6A】(a)陽極酸化前である代表的な3DTiOナノチューブメッシュ負極の低倍率SEM画像を示す図である。
【図6B】(b)ナノチューブ長さが16μmである代表的な3DTiOナノチューブメッシュ負極の低倍率SEM画像を示す図である。
【図6C】(c)ナノチューブ長さが42μmである代表的な3DTiOナノチューブメッシュ負極の低倍率SEM画像を示す図である。
【図7A】図3B、図5A、5B、5C及び図6A、6B及び6Cに示した種類の負極を有して構築された電池の代表的な性能測定値及び特徴を示す図であり、図7AはAM1.5G直射日光照度下での電流−電圧曲線を示す図である。曲線は、TiOナノチューブに関して平滑な壁面を仮定するモデルに基づいたものである。
【図7B】図3B、図5A、5B、5C及び図6A、6B及び6Cに示した種類の負極を有して構築された電池の代表的な性能測定値及び特徴を示す図であり、図7Bはチューブ長さの関数としてのAM1.5G直射日光照度下でのDSSCナノチューブ/メッシュ電池効率及び色素負荷量を示す図である。曲線は、TiOナノチューブに関して平滑な壁面を仮定するモデルに基づいたものである。
【図8】TiOナノチューブアレイを有するアコーディオン形状の色素増感太陽電池を示す図である。
【図9】微細構造の穴開けを行う先端が尖ったスタンプを用いる、DSSC電極アレイ用の突出スペーサーの押印又は圧入による作製を示す図である。
【図10A】パターンエッチングによって構築された有孔Ti箔負極を示す図である。
【図10B】パターンエッチングによって構築された有孔Ti箔負極を示す図である。
【図10C】パターンエッチングによって構築された有孔Ti箔負極を示す図である。
【図11A】色素増感太陽電池の構築方法を示す工程系統図である。
【図11B】色素増感太陽電池の構築方法を示す工程系統図である。
【図11C】色素増感太陽電池の構築方法を示す工程系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
太陽光発電は主に固体材料に基づくものであり、大多数の商業的電池にはケイ素(Si)が中心的な材料である。ケイ素は間接バンドギャップ半導体であり、その1.1eVバンドギャップは地球表面での太陽スペクトラムと良好な一致を示す。ほぼ20%の効率を有する電池を得ることができ、実験室設定ではさらに高い効率が測定される。しかしながら、結晶性Si(c−Si)の吸光度が低いため、太陽光子を効果的に吸収するには、活物質が数百ミクロンの厚さを有する必要がある。c−Si電池のコストの大部分が、直接には多量の高純度Siが必要とされることによる。これらの電池に対する多くの代替品が、c−Siより吸収がかなり大きい層を利用することから、それらの電池は10ミクロンに近い厚さで太陽光を効率的に捕捉することができる。これらの薄膜電池の中で最も注目すべきものは、アモルファスシリコン(a−Si)及び半導体であるテルル化カドミウム(CdTe)、セレン化銅インジウム(CIS)又はセレン化銅インジウム(CIGS)である。これらの材料は商業的に登場したものの、インジウム及びテルルの希少性又は環境影響に関する懸念のため、現在もなおさらなる開発が必要とされている。
【0013】
別の太陽電池技術は、二酸化チタン(TiO)基板に結合した光電気化学並びに色素分子の吸収及び励起状態特性に基づくものである。この種類の電池は、最初に1991年にオリーガン及びグレッツェルによって報告されたものであり、現在は「グレッツェル電池」又は色素増感太陽電池(DSSC)と称されている[O' Regan, B.; Gratzel, M. Nature 1991, 353, 737-740参照]。これらの電池は環境に優しい材料を使用しており、製造が容易になり、低コストとなる可能性がある[Gratzel, M. Inorganic Chemistry 2005, 44, 6841-6851参照]。
【0014】
図1には、代表的なDSSC100の模式図を示してある。TiO負極110が左側に描かれており、小さい黒丸112はTiO114に共有結合的に結合した光吸収色素を表す。1個の白丸はヨウ化物イオン(I)を表し、3個の白丸は三ヨウ化物イオン(I)を表す。TCO=透明導電性酸化物及びPt=白金触媒である。すなわち、TiO114のナノ粒子に結合した色素112が光子を吸収し、それによって励起状態色素(色素*)を形成する。図1に示したように、全ての色素分子112がTiOに結合しており、各色素分子112は励起されていたり励起されていなかったりし得ると考えられる。励起された分子は迅速にTiOナノ粒子に対して電子を放出し、その電子はメソ多孔質TiOネットワークを通って拡散し、最終的に透明導電性酸化物(TCO)基板に到達する。電子は負極110を出て、負荷で仕事を行い、そして正極120に到達し、そこでは図1に示したように白金(Pt)触媒が三ヨウ化物イオンIのヨウ化物イオンIへの再生を促進するのに利用可能である。還元−酸化(酸化還元)シャトルI/Iの機能は、電子がTiOに注入された後に生成する色素カチオン(色素)118を還元することで、中性色素分子を再生して、それが再度光子吸収に利用可能となるというものである。最初の電池は報告の効率が7%であったが、現在は最高記録で11.2%である[M. K.; De Angelis, F.; Fantacci, S.; Selloni, A.; Viscardi, G.; Liska, P.; Ito, S.; Takeru, B.; Gratzel, M. G. Journal of the American Chemical Society 2005, 127, 16835-16847.参照]。元の電池と現在の記録を保持している電池の両方とも、同じ基本アーキテクチャーを有しており(図1参照)、負極110がメソ多孔質TiO層からなり、その層上にルテニウム系色素が集光体として共有結合的に結合している。図2には、メソ多孔質TiO層200の1例が示されている[Gratzel, M. Inorganic Chemistry 2005, 44, 6841-6851.から]。
【0015】
メソ多孔質層200での電子輸送は、DSSCにおいて比較的遅いプロセスであり、それによって伝達損失及び再結合損失が生じる[Frank, A. J.; Kopidakis, N.; van de Lagemaat, J. Coordination Chemistry Reviews 2004, 248, 1165-1179; and Cao, F.; Oskam, G.; Meyer, G. J.; Searson, P. C. Journal of Physical Chemistry 1996, 100, 17021-17027.参照]。ナノワイヤ又はナノチューブは、ナノ粒子と比較して改善された電荷輸送を提供することができる。ZnOナノワイヤは、2005年当初の報告のトピックであった[Law, M.; Greene, L. E.; Johnson, J. C.; Saykally, R.; Yang, P. D. Nature Materials 2005, 4, 455-459; and Baxter, J. B.; Aydil, E. S. Applied Physics Letters 2005, 86, 3.参照]。これらの研究の著者らは、従来のメソ多孔質層と比較して改善されたナノワイヤ又はナノチューブの輸送特性が、これらの種類の負極を検討する主たる動機であることを強調していた。しかしながら、主としてこれらの初期研究の表面積が低いために(低い色素負荷量)、初期の研究における全体的な効率は<2%である。より最近では、TiOナノチューブが6から7.6%の範囲の最高効率を有するDSSCで検討されている[Chen, C. C.; Chung, H. W.; Chen, C. H.; Lu, H. P.; Lan, C. M.; Chen, S. F.; Luo, L.; Hung, C. S.; Diau, E. W. G. Journal of Physical Chemistry C 2008, 112, 19151-19157; and Varghese, O. K.; Paulose, M.; Grimes, C. A. Nature Nanotechnology 2009, 4, 592-597.参照]。
【0016】
TiOナノチューブ系によって、全体的な電池性能は低いにも拘わらず、ナノチューブがナノ粒子に勝る大きな電荷輸送上の利点を提供することを示す重要な量的証拠が得られている。具体的には、TiOナノチューブは、一般的なメソ多孔質TiOナノ結晶性負極と比較して一桁遅い電荷再結合速度及び約10倍大きい拡散距離を示す[Jennings, J. R.; Ghicov, A.; Peter, L. M.; Schmuki, P.; Walker, A. B. Journal of the American Chemical Society 2008, 130, 13364-13372; and Zhu, K.; Neale, N. R.; Miedaner, A.; Frank, A. J. Nano Letters 2007, 7, 69-74.参照]。
【0017】
ナノチューブの特有の特性によって、DSSCに新たなアーキテクチャーをもたらすことが可能となる。ナノチューブの輸送上の利点によって、ナノ粒子に基づく電池の代表的な約10ミクロンという厚さではなく、厚さ数十ナノメートルの負極が使用可能となり得る。色素による吸収が弱いスペクトル領域(例えば、近赤外)は相対的に長い光子吸収経路長と相殺可能であることから、低い再結合速度で厚さの面で強化されることは大きい利点である。さらに、TiOナノチューブが結合している金属基板は、透明導電性酸化物(TCO)層と比較して約4桁伝導を高めることができる[Onoda, K.; Ngamsinlapasathian, S.; Fujieda, T.; Yoshikawa, S. Solar Energy Materials and Solar Cells 2007, 91, 1176-1181及びToivola, M.; Halme, J.; Miettunen, K.; Aitola, K.; Lund, P. D. International Journal of Energy Research 2009, 33, 1145-1160.参照]。ナノチューブ及び金属基板に基づく大面積又はフレキシブルな電池の設計及び構築は、TCO層を有する従来の電池と比較してはるかに簡単なものとなり得る。
【0018】
3次元ナノ構造電極を有する色素増感太陽電池を提供するための技術、装置及びシステムについて説明する。記載の高効率色素増感太陽電池(DSSC)は、Ti金属又は有孔Tiシートの表面、又はTiワイヤアレイ、垂直配向ストレートTiシート、ジグザグベント、傾斜もしくはアコーディオン型のほぼ垂直のTiシートを含む3次元アーキテクチャーで配置された垂直もしくは放射状に並んだTiOナノチューブを有する負極を持つことができる。さらに、負極の光子吸収経路長が長くなることで、その負極は新たな種類の色素又は色素混合物を組み込むことができる。電池の正極は、各種金属メッシュスクリーン又は箔上にコーティングされたPtを含むかそれからなるものであることができる。3次元ナノ構造電極を有するDSSCは、負極及び正極の両方でガラス層上の透明導電性酸化物(TCO)を持たない材料製とすることができる。
【0019】
ナノチューブが固体接点を有するTiOナノチューブ及びTi金属基板は、負極で電子を捕捉するための直接かつ低抵抗導管を提供する。同時に、ナノチューブは、無機又は有機増感剤に共有結合的に結合するための非常に高い表面積を提供する。TiOナノチューブは、陽極酸化によって形成することができる。グリムスらの研究で、陽極酸化プロセス、例えば1000ミクロン(1mm)さえ超える長さまでチューブを成長させることができる技術に関する多くの洞察を提供した[Paulose, M.; Prakasam, H. E.; Varghese, O. K.; Peng, L.; Popat, K. C.; Mor, G. K.; Desai, T. A.; Grimes, C. A. Journal of Physical Chemistry C 2007, 111, 14992-14997.参照]。チタン金属基板ではなく導電ガラス基板上に直接チューブを成長させる方法でも、表面照射電池の報告がなされている[Grimes, C. A. Journal of Materials Chemistry 2007, 17, 1451-1457; and Shankar, K.; Bandara, J.; Paulose, M.; Wietasch, H.; Varghese, O. K.; Mor, G. K.; LaTempa, T. J.; Thelakkat, M.; Grimes, C. A. Nano Letters 2008, 8, 1654-1659.参照]。
【0020】
本明細書に記載のDSSC用のナノチューブは、直径が実質的に20から500ナノメートルの範囲の所望の直径で成長させることができ、一部の実施形態は実質的に30から200ナノメートルの範囲の直径を提供する。例えば、ナノチューブは成長して、大きさが実質的に110ナノメートル(nm)である内部直径を有することができる。さらに、ナノチューブは実質的に160nmである外径を有することができる。さらに、ナノチューブを成長させて、壁厚25nmを有するようにすることができる。さらに、ナノチューブを成長させて、10から40マイクロメートルの範囲の長さを有するようにすることができる。しかしながら、その長さは10から1000マイクロメートルの範囲であることができ、一部の実施形態は10から100マイクロメートルの範囲の長さを提供する。例えば、長さ約25マイクロメートルで内部直径110nm及び壁厚25nmのチューブの場合、粗度係数は金属基板の領域の約1000倍である。TiOナノチューブ層の経路長が従来のDSSCのメソ多孔質TiO層の厚さよりかなり大きいことから、近IR領域であっても光は効果的に吸収され得る。本明細書に記載のDSSC太陽電池は、いずれの電極でも透明導電ガラスを用いない新たなアーキテクチャーを含み、その結果、TCOが金属の場合よりはるかに大きい抵抗損失を有することから、効率の上昇、設計の簡素化及びスケーリングの容易さにつながる。さらに、TCOは太陽電池の最も高価な部品の一つであることから、この材料を回避することで、DSSC関連の全体的なコストを下げることができる。
【0021】
例示的実施形態の一部による3次元的に構築されたDSSC太陽電池が図3A、3B及び3Cに描かれている。図3Aには、3D負極アーキテクチャーを用いるDSSC300の設計の1例の模式図が示されている。TiOナノチューブが金属基板上で成長する。例えば、金属基板にはTi基板等があり得る。さらに、金属基板はTiからなることができる。さらに、金属基板は異なる構造又は形態用のものであることができる。例えば、TiOナノチューブ302がTiワイヤ304周囲で(例えば放射状に)成長することで負極306を形成することができる。電子伝達は、直接、TiOナノチューブ302から外部回路307を介してTiワイヤ304へ、そして正極308へのものである。
【0022】
図3Bは、Ti金属メッシュアーキテクチャーに基づく3D電池310の模式図を示す。3D負極及びTiOナノチューブはワイヤ格子の全ての表面から成長する。上側透明ガラス層は(A)で表示され、Ti金属メッシュは(C)で表示され、PtコートTi金属正極は(E)で表示されている。
【0023】
図3Cには、大きく水平方向に向き、垂直のTi柱又はワイヤ格子アレイから成長するTiOナノチューブを用いるDSSC電池の3D設計の別の例320を示す図である。金属基板(例えば、Ti箔アレイ)328は金属導電体329に接続されている。色素コートされたTiOナノチューブアレイ326が金属基板328の表面上で成長して、3D負極を形成する。色素コートTiOナノチューブアレイを有するTi箔アレイ328は、電解質324と接触している。さらに、対極322が提供されて電気回路が完成する。
【0024】
図3A、3B及び3Cからわかるように、Ti金属ワイヤ又は箔基板は3次元Ti金属骨格から突出したTiOナノチューブから電子用の導管として働くことから、高価な導電ガラスの必要性がなくなる。周囲と光活性負極との間の窓ガラスのみを有するという点は大きな進歩であり、先行する報告と比較して高効率を得ることができる。現在の設計では、Pt箔は正極として働くことができる。しかしながら、PtコートTi金属又はカーボンブラック電極等の他の材料を正極に用いることができる[Murakami, T. N.; Ito, S.; Wang, Q.; Nazeeruddin, M. K.; Bessho, T.; Cesar, I.; Liska, P.; Humphry-Baker, R.; Comte, P.; Pechy, P.; Gratzel, M. Journal of the Electrochemical Society 2006, 153, A2255-A2261.参照]。
【0025】
記載の技術を用いてナノチューブの長さを増すことができることから、太陽光子の方向から見て色素の吸収経路長を長くすることができる。前述のように、ナノチューブを成長させて、10から40マイクロメートルの範囲の長さを持たせることができる。しかしながらその長さは、10から1000マイクロメートルの範囲であることができ、一部の実施形態では10から100マイクロメートルの範囲の長さが得られる。その追加される経路長によって、UV−Vis−NIRスペクトラムの多様な領域でより小さい吸光係数(吸収断面積)を有する感光性色素の使用が可能となり得る[Jennings, J. R.; Ghicov, A.; Peter, L. M.; Schmuki, P.; Walker, A. B. Journal of the American Chemical Society 2008, 130, 13364-13372.参照]。例えば、使用される感光性色素には、太陽放射スペクトラム内の領域で約50M−1cm−1もの低い吸光係数を有する色素又は色素混合物が含まれ得るが、そうではあってもこれらの格子のかなりの部分を取り込むことができる。感光性色素には、例えば300ナノメートルから少なくとも1,500ナノメートルの範囲の有用な太陽スペクトラムのあらゆる部分にわたって吸収可能な色素又は色素混合物が含まれ得る。
【0026】
さらに、太陽スペクトラムの多様な領域で有効な吸収を行う上で十分な吸収経路長を有すると考えられることから、色素の混合物が使用可能である。混合物は、図4Aに示した一般に使用されるルテニウムビピリジル色素「N719」等の無機色素又は図4Bに描かれているペリレンジイミド色素等の芳香族有機色素等があり得る。ペリレン系色素は堅牢であることが知られており、容易に修飾可能であることから、吸収スペクトラムを可視から近IRに調整することが可能である[Wurthner, F. Chemical Communications 2004, 1564-1579参照]。ペリレン系色素は、従来のメソ多孔質TiO層を有するDSSCに組み込むことが可能であり、図4Bに描いた色素で6.8%という優れた全体効率を得ることができる[Li, C.; Yum, J.-H.; Moon, S.-J.; Herrmann, A.; Eickemeyer, F.; Pschirer, N. G.; Erk, P.; Schoneboom, J.; Mullen, K.; Gratzel, M.; Nazeeruddin, M. K. ChemSusChem 2008, 1, 615-8.参照]。この色素を大量に作るための合成手順は容易である。
【0027】
DSSC−具体的な結果
本明細書に記載の太陽電池は、直立のTiOナノチューブ及びルテニウム色素のアレイを組み込むことができる。長さ40ミクロン以下のナノチューブが制御された陽極酸化によってTiワイヤ及びTiワイヤメッシュから成長している。図5A、5B、5C、6A、6B及び6Cは、Tiワイヤ及びワイヤメッシュ上のTiOナノチューブのそれぞれ走査型電子顕微鏡(SEM)図500、510、520、600、610及び620を示すものである。これらの図に示されたナノチューブは、図5Cで強調されているように約160nmの外径を有する。ナノチューブアレイの長さ及び直径並びにDSSCの階層的な3D構成を至適化して、DSSC太陽電池効率を改善することができる。記載のDSSCにおいて成長するナノチューブアレイの代表的な長さ及び直径について前出のパラグラフで述べた。特に、本明細書に記載のDSCCは、光子吸収経路長を電子輸送距離から分離することができる。例えば、図3Cの模式図で示したように、水平方向を向いたチューブの積層物は、ナノチューブの長さよりかなり高くすることができる全積層長にわたって光子が収集されるが、電子輸送距離はナノチューブ自体の長さを超えないと考えられる。光子吸収からの電子輸送の切り離しは、他の設計と比較して光子がより効率的に回収され、電子輸送損失が減ることを意味し得る。
図7A及び7Bは、図3B、図5A、5B、5C並びに図6A、6B及び6Cに描かれた種類の負極を有して構築される電池の個々の性能測定及び特性決定を示すグラフ700及び710である。図7Aにおけるグラフ700から、AM1.5G直射日光照度下での電流−電圧曲線が0.68Vの開回路電圧及び12mAの短絡電流を示すことが明らかである。図7Bにおけるグラフ710は、チューブ長さの関数としてのAM1.5G直射日光照度下のDSSCナノチューブ/メッシュ電池効率及び色素負荷を示す。図7Bで示されている5.0%という最良の全体的電池効率(標準的なAM1.5直射日光照度で測定)は代表的なものであり、ナノチューブに基づくDSSCに関する文献で報告されている最良の効率に匹敵する。色素負荷についての曲線適合は、TiOナノチューブに関して平滑な壁を仮定したモデルに基づいたものである。データと適合が非常に一致性が高いことは、メッシュのTiOナノチューブが色素で良好に覆われていることを示している。
【0028】
別の態様では、図8に描いたように、ジグザグ又はアコーディオン形状の負極構造800を透明又は部分的に透明なPt電極と組み合わせて用いることができる。TiOナノチューブをTi箔表面上で陽極酸化することで、色素コートTi酸化物ナノチューブ表面802を有するTi箔電極が形成される。Ti箔電極802は最小限のIR損失で容易に電子抽出を行うために基材金属(例えば、Ti)導電体804に強く接続されている。TiOとPt電極の間のナノスケールの距離によって、再結合前に急速な電子収集ができる。垂直の日光は、アコーディオン形状のTi箔電極で複数回の反射を受け得る。そのような反射によって生じる追加の経路長によって、光子吸収及び回収が促進され得る。適宜に、Pt箔は穿孔(例えば、溝、孔その他の開口)806の約10から30%の面積を有することで、一部の光通路を下にある他の負極Ti層に到達させることができる。
【0029】
さらに別の態様では、図9の図解900に示したナノもしくはミクロの各種圧入又は穿孔法によって、局在したマイクロメートルスケールの段差又は穿孔を負極Ti箔上に導入することができる。表面の設置物によっても、負極と正極を隣接配置しながら、それらの間隔を最小とすることで可能な限り最も高い電極密度及びDSSC効率を得ることが可能となる。例えば、厚さ12μmのTi箔904を用い、直径10から50μmのスタンプ柱アレイ圧子902を利用して、孔908のアレイを形成することができる。次に、穿孔されたTi箔904を陽極酸化して、全ての表面上で直径30から100nmのTiOナノチューブを形成する。適切に絶縁された突出構造906を、簡便に組み込み型スペーサーとして用いて、隣接するTi箔が重なることなく互いに距離をあけて離れた状態に維持することができ、それによって電解質が全ての利用可能なTiOナノチューブ表面と接触する。Si製の肉眼で見て大面積のスタンプは、フォトリソグラフィーを用いて容易に作製することができ、柱又は尖った柱の先端を炭化して機械的に強いSiCとするか、製造方法中の繰り返し使用での機械的耐久性を持たせるために炭化タングステン又は炭化モリブデンの硬い被膜でスパッタリングコーティングすることができる。
【0030】
さらに、パターンエッチングによって、箔に穿孔を有する同様の負極を構築することができる。図10A、10B及び10Cには、パターンエッチングによって形成される有孔Ti箔1000、1010及び1020の例を示してある。
【0031】
図11A、11B、11Cは、色素増感太陽電池の構築方法1100の工程系統図である。一態様において、色素増感太陽電池は、正極、負極及び電解質を有して構築される(1110)。色素増感太陽電池の構築には、負極を構築する段階(1120)があり、その段階にはアナターゼ構造TiOナノチューブを電気化学的に陽極酸化し、アニーリングする段階(1122)がある。さらに、電気化学的陽極酸化及びアニーリングを行ったアナターゼ構造TiOナノチューブを、3次元構造で金属基板の表面上に配置する(1124)。その3次元構造は、Tiワイヤアレイ、Ti編み込みメッシュ、穿孔、溝もしくは垂直柱を有するTiシート、垂直配向ストレートTiシート、垂直配向ストレートTiワイヤ、ジグザグベントTiシート及び傾斜もしくはアコーディオン型のほぼ垂直のTiシートから選択される。
【0032】
TiOナノチューブを、金属基板の局所輪郭に対して垂直な3次元アレイで成長させることができる(1126)。TiOナノチューブは、30から200ナノメートルの範囲のナノチューブ直径及び10から1000ナノメートルの範囲の長さを有するように成長させることができる。Ti金属ワイヤ又は箔基板を、導電性の透明ガラスを用いずに3次元Ti金属骨格から突出するTiOナノチューブの表面からの光生成電子の導管として用いることができる(1128)。色素をTiOナノチューブに塗布することができる(1130)。
【0033】
色素増感太陽電池の構築は、正極(1140)を構築する段階及び図11Cに示したように正極及び負極を電解質と接触させる段階(1150)を有することができる。やはり、上記のように、正極は、白金箔、白金コートTi金属又はカーボンブラック電極のうちの少なくとも一つを含むことができる。感光性色素には、太陽放射スペクトラム内の領域で約50M−1cm−1を超える吸光係数を有する色素又は色素混合物等があり得る。色素には、300ナノメートルから少なくとも1500ナノメートルの範囲の有用な太陽スペクトラムのあらゆる部分にわたって吸収可能な感光性色素又は色素混合物等があり得る。
【0034】
本明細書は多くの具体的内容を含むが、それらはいずれかの発明又は特許請求され得るものの範囲に対する制限として解釈されるべきではなく、むしろ特定の発明の特定の実施形態に特有であることができる特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されているある種の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて実施することもできる。逆に、ある単一の実施形態の文脈で記載されている各種特徴も、複数の実施形態で別個に又はいずれか好適な下位組み合わせで実施することもできる。さらに、特徴がある種の組み合わせで作用すると上記で記載でき、最初にそのまま特許請求され得るが、場合により、特許請求されている組み合わせからの1以上の特徴をその組み合わせから除外することができ、その特許請求されている組み合わせはある下位組み合わせ又は下位組み合わせの変形形態に関するものとなり得る。
【0035】
同様に、図面において特定の順序で操作が描かれているが、これはそのような操作が示された特定の順序で又は順次にて行われること、又は所望の結果を達成するためには全ての図示された操作を実施することを要求するものと理解すべきではない。ある種の環境において、同時作業処理及び並行処理が有利な場合がある。さらに、上記実施形態での各種システム構成要素の分離は、全ての実施形態でそのような分離を要求するものと理解すべきではない。
【0036】
いくつかの実施形態及び実施例のみについて記載しているが、本願に記載及び図示されているものに基づいて他の実施形態、強化形態及び変形形態を構成することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
100 DSSC
110 負極
112 色素分子
114 TiO
120 正極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元ナノ構造電極を有し、該3次元ナノ構造電極が、
正極;
電解質;
3次元構造で配置された酸化チタン(TiO)ナノチューブを含む負極;及び
該負極上にコーティングされた感光性色素
を含む色素増感太陽電池を有する装置。
【請求項2】
負極が、3次元構造において配向した面を有する金属基板の表面上に配置されたTiOナノチューブを有する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
3次元構造が、複数の水平面を有する請求項2に記載の装置。
【請求項4】
金属基板が、チタン(Ti)金属基板を含む請求項2に記載の装置。
【請求項5】
負極のTi金属基板が、負極領域を通過する電解質イオンの輸送を容易にする開口を形成するように成形されている請求項4に記載の装置。
【請求項6】
孔が、ナノメートルからマイクロメートルの大きさの孔を含む請求項5に記載の装置。
【請求項7】
正極が照射側と反対側に位置するように、TiOナノチューブが正面として照射される請求項5に記載の装置。
【請求項8】
負極が、金属Ti基板の表面に対して垂直に配置されたTiOナノチューブを含む請求項4に記載の装置。
【請求項9】
TiOナノチューブが、陽極酸化により、アナターゼ相で形成されている請求項2に記載の装置。
【請求項10】
負極が、水平構造で配置されている少なくとも10%のTiOナノチューブを含むことで、光子方向がTiOナノチューブの向きに対して直交又はほぼ直交している請求項2に記載の装置。
【請求項11】
負極が、水平構造で配置された少なくとも20%のTiOナノチューブを含む請求項2に記載の装置。
【請求項12】
負極が、30〜200ナノメートルの範囲の内部直径を有するTiOナノチューブを含む請求項2に記載の装置。
【請求項13】
負極が、少なくとも10マイクロメートルの長さを有するTiOナノチューブを含む請求項2に記載の装置。
【請求項14】
TiOナノチューブが、
Tiワイヤアレイ又は編み込みメッシュ;
穿孔、溝もしくは垂直柱を有するTiシート;
垂直配向ストレートTiシート;
垂直配向ストレートTiワイヤ;
ジグザグベントTiシート;又は
傾斜もしくはアコーディオン型のほぼ垂直のTiシート
のうちの少なくとも一つを含む3次元金属構造の局所表面輪郭に対して垂直に配置されている請求項2に記載の装置。
【請求項15】
負極が、電子輸送距離を超える光子吸収経路長を有する請求項1に記載の装置。
【請求項16】
光子吸収経路長が、有機色素又は色素混合物を含む感光性色素の有効な使用を可能とする上で十分な長さを有する請求項15に記載の装置。
【請求項17】
光子吸収経路長が、TiOナノチューブ3次元構造を含む負極における電子輸送から切り離されている請求項15に記載の装置。
【請求項18】
負極は、ナノチューブ経路長を超える光子吸収のための距離を有する構造となっている請求項15に記載の装置。
【請求項19】
色素増感太陽電池が、ガラス上の透明導電性酸化物(TCO)層を持たずに構築及び作製されている請求項1に記載の装置。
【請求項20】
TCOを含まずに構築及び作製された色素増感太陽電池が、少なくとも4%の色素増感太陽電池効率を提供するように構成されている請求項19に記載の装置。
【請求項21】
TCOを含まずに構築及び作製された色素増感太陽電池が、標準的なAM1.5直射日光照度で少なくとも8%の色素増感太陽電池効率を提供するように構成されている請求項19に記載の装置。
【請求項22】
TCOを含まずに構築及び作製された色素増感太陽電池が、標準的なAM1.5直射日光照度で少なくとも12%の色素増感太陽電池効率を提供するように構成されている請求項19に記載の装置。
【請求項23】
正極が、白金箔、白金コートTi金属又はカーボンブラック電極のうちの少なくとも一つを含む請求項1に記載の装置。
【請求項24】
感光性色素が、太陽放射スペクトラム内の領域で約50M−1cm−1を超える吸光係数を有する色素又は色素混合物を含む請求項1に記載の装置。
【請求項25】
感光性色素が、300ナノメートルから少なくとも1500ナノメートルの範囲の有用な太陽スペクトラムのあらゆる部分にわたって吸収することができる色素又は色素混合物を含む請求項24に記載の装置。
【請求項26】
正極、負極及び電解質を含む色素増感太陽電池を構築する段階であって、該色素増感太陽電池の構築が、
アナターゼ構造TiOナノチューブを電気化学的に陽極酸化し、アニーリングする段階、及び
前記電気化学的に陽極酸化及びアニーリングされたアナターゼ構造TiOを3次元構造で金属基板の表面上に配置する段階
を有する負極を構築する段階を有し、
前記3次元構造が、Tiワイヤアレイ、Ti編み込みメッシュ、穿孔、溝もしくは垂直柱を有するTiシート、垂直配向ストレートTiシート、垂直配向ストレートTiワイヤ、ジグザグベントTiシート及び傾斜もしくはアコーディオン型のほぼ垂直のTiシートから選択される方法。
【請求項27】
前記TiOナノチューブを、金属基板の局所輪郭に対して垂直であり、ナノチューブ直径が30〜200ナノメートルの範囲であり、長さが10〜1000ナノメートルの範囲である3次元アレイで成長させる段階をさらに有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
導電性透明ガラスを用いずに、3次元Ti金属骨格から突出したTiOナノチューブの表面からの光生成電子用の導管として、Ti金属ワイヤ又は箔基板を用いる段階を有する請求項26に記載の方法。
【請求項29】
色素をTiOナノチューブに塗布する段階を有する請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【公表番号】特表2012−523672(P2012−523672A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504901(P2012−504901)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/030612
【国際公開番号】WO2010/118375
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(500445295)ザ レジェンツ オブ ザ ユニヴァースティ オブ カリフォルニア (28)
【Fターム(参考)】