説明

ナノチューブ構造体、その製造方法およびその発熱方法

【課題】大気中でもシリコンナノチューブを安定に保持できるようにする。無酸素の環境下で熱量をとりだすことができる燃料用材料を提供できるようにする。
【解決手段】ナノチューブ構造体30は、カーボンナノチューブ(CNT)20の内部にシリコンナノチューブ(SiNT)10を収容したものである。CNT20の両端は閉じられており、大気中においてもSiNT10は安定に存在し得る。この材料を発熱材料として使用する際には、CNT20の端部を開口して点火を行なうと、SiNT10がCNT20から飛び出し、ナノチューブ構造のSiがダイアモンド構造の結晶に相変化することにより発熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノチューブ構造体、その製造方法およびその発熱方法に関し、特にカーボンナノチューブなどからなる外側ナノチューブの内部にシリコンナノチューブを収容してなるナノチューブ構造体とその製造方法に関し、さらにそのナノチューブ構造体を燃料用材料(発熱材料)として利用する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナノスケール材料業界では、カーボンナノチューブに類似したチューブ状物質が炭素以外の元素でもできないか模索されているが、特にカーボンと同族のシリコンについては、様々な提案・報告がなされている。例えば、非特許文献1では、第一原理計算により、本来はナノワイヤ状にしか小さくできないシリコンを、金属原子を内包することによりチューブ状にできることを予測している。また、非特許文献2には、一酸化シリコン粉末から超臨界的熱水条件を用いて実験的にナノチューブ状のシリコンを観察したという報告がなされている。
しかしながら、非特許文献1については金属を内包する工程の実現性に問題があるとされ、また非特許文献2については報告された実験データに対する疑問の声は大きく、これらのシリコンナノチューブの研究成果はナノテクノロジーコミュニティからは必ずしも高い評価は受けていない。
【0003】
ところで、近年の環境問題への意識の高まりから、効率の良いエネルギー貯蔵材料の開発が求められている。また、宇宙空間などでの燃料の使用には液体酸素を準備しておくことが必要であることに鑑み、無酸素状態などの環境下にあっても必要な熱量を供給できる燃料の開発が求められている。これまでの多くの燃料は、酸素の消費を必要とし、場合によっては発熱に対してCOの発生を伴うことで、地球温暖化への影響も懸念されている。
【非特許文献1】“Cluster Assembled Metal Encapsulated Thin Nanotubes of Silicon”, A. K. Singh, V. Kumar, T. Briere, and Y. Kawazoe, Nano Letters, Vol. 2,pp.1243−1248 (2002).
【非特許文献2】“Self-Assembled Silicon Nanotubes under Supercritically Hydrothermal Conditions” Y. H. Tnag, L. Z. Pei, Y. W. Chen and C. Guo, Phys. Rev. Lett., Vol. 95, 116102 (2005).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナノチューブ状シリコンの現状の研究においては、シリコンナノチューブの実現性に困難があるという問題がある。この原因は、実現可能としている理論研究では、ナノチューブの想定されている構造は、チューブ外壁が常にむき出しになっており、にもかかわらず大気中で安定か否かの考察も検証も欠けていることである。現実的には大気中では、酸素と直ぐに反応して消失してしまうことが懸念される。
その一方で、環境負荷を軽減するためにCOを発生させることのない燃料の開発が、また宇宙、地下、深海などにおいて液体酸素を準備することなく熱量を利用することのできる燃料の開発が求められている。
本発明の目的は、第1に、シリコンナノチューブを安定して保存できるようにし、安定して提供できるようにすることであり、第2に、酸素供給を必要としない燃料を提供できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、外側ナノチューブの内部に、シリコンナノチューブを有することを特徴とするナノチューブ構造体、が提供される。
【0006】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、内部にシリコンナノチューブを有するナノチューブ構造体の製造方法であって、シリコンナノチューブを内包するための外側ナノチューブを製造する工程と、前記外側ナノチューブの端部を開口する工程と、開口したナノチューブにシリコンクラスターを照射する工程と、前記外側ナノチューブの開口部を閉口する工程と、を有することを特徴とするナノチューブ構造体の製造方法、が提供される。
【0007】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、複数の、外側ナノチューブの内部にシリコンナノチューブを有するナノチューブ構造体を準備する第1の過程と、シリコンナノチューブに化学変化または相変化を誘起して発熱させる第2の過程と、を有することを特徴とするナノチューブ構造体の発熱方法、が提供される。
【0008】
[作用]
本発明のナノチューブ構造体によると、シリコンナノチューブは、カーボンナノチューブなどのシリコン以外の原子からなるナノチューブ内に収容されている。そのため、大気中において安定して存在し得ないシリコンナノチューブを安定して保持することが可能になり、本発明のナノチューブ構造体の態様にて容易に保存しておくことが可能になる。
本発明のナノチューブ構造体は、燃料用材料としての利用が可能である。外側のナノチューブの端部を何らかの方法で開口し、点火すると外側ナノチューブの内部に閉じ込められていたシリコンナノチューブが排出し、シリコンナノチューブがダイアモンド構造の結晶シリコンへと変化する相変化が起こり、その過程において熱振動が起こり発熱する。この発熱は無酸素状態においても起こるので、酸素を用いることなく熱量を得ることが可能になる。この燃料用材料の特徴は、無酸素状態でも点火(発熱開始)が可能で、宇宙空間或いは希ガス中に混入された状態でも熱量を取り出すことが可能なことである。
もっとも、有酸素状態において外側ナノチューブの開口が行なわれた場合には、外側ナノチューブから排出されたシリコンナノチューブは、直ちに酸化しその化学変化によって発熱が起こる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のナノチューブ構造体は、シリコンナノチューブをカーボンナノチューブあるいはBNナノチューブに内包したものであるので、単体では大気中で安定に存在し得ないシリコンナノチューブを安定に保持することができる。
また、本発明のナノチューブ構造体を燃料用材料として利用する場合、ナノチューブ状シリコンを急激に相変化させるとすることで熱量を得ることが可能であるので、酸素を必要としない燃料を提供することが可能になる。また、この燃料用材料は、大気中で安定に存在し得るので、特殊な密封容器を必要とすることなく燃料を保存することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明によるナノチューブ構造体に包含されるシリコンナノチューブ10の構造図である。同図において、1はシリコン原子である。この図の構造は、カーボンナノチューブでは実現が不可能なくらい曲率が大きいが、シリコン原子1にとっては、その最も安定なダイアモンド構造の結合角度に近づけるので、チューブ状の形では図1に示される構造が安定構造である。図1に示される長さ(図の上下方向)は、1nm程度であるが、実際には数マイクロメーターにまで長くした構造にすることが可能である。その方法は後に説明する。
図2に、シリコンの最も安定な構造であるダイアモンド構造の単結晶シリコンを示す。同図は、(100)結晶方向から描かれている。
【0011】
図3は、内部にシリコンナノチューブを収容するためのカーボンナノチューブ20の結晶構造図である。同図において、2は炭素原子である。この構造は多様なカーボンナノ構造のうち、図1に示すシリコンナノチューブを内部に含むのに最適な形状である。グラファイト状の6員環構造がシームレスに円筒状に連なっている。
この図3では、ナノチューブの上下の端は開口した構造に示されている。しかしながら、実際のナノチューブはこのような短い構造ではなく、長さ(図の上下方向)が数マイクロメーターにいたっている。そして、その端は開口構造ではなく、似たような直径を持つフラーレン構造で閉じることができる。それは、図4に示すように、6員環の中に5員環構造21をいれることで、曲率をチューブの円筒の周方向のみならず、それと直交する方向にも発生させることで実現される。
【0012】
〔製造方法〕
本発明のナノチューブ構造体は、図4に示されるカーボンナノチューブの内部に図1に示されるシリコンナノチューブを包含するものであるが、以下にこの構造の製造方法について説明する。初めに、カーボンナノチューブが作成される。作成されたカーボンナノチューブは、単層で垂直方向に配向されていることが好ましい。多層ナノチューブであると、ナノチューブ構造体を形成後に、カーボンナノチューブからシリコンナノチューブを取り出す際にシリコンナノチューブを取り出しにくくなってしまうからである。また、形成されたカーボンナノチューブの配向方向が揃っていることは、シリコンクラスターをナノチューブ内に効率よく導入するために必要なことである。このようなカーボンナノチューブの製造方法は既に確立されており、そのいずれかの手法を用いることができる。例えば、“Detachment of vertically aligned single-walled carbon nanotube films from substrates and their re-attachment to arbitrary surfaces”, Y. Murakami and S. Maruyama, Chemical Physics Letters, 422, 575 (2006)(非特許文献3) にて開示された方法を用いることができる。即ち、触媒を設けた基板上に化学的気相成長法(CVD)法を用いて形成することができる。作成されたカーボンナノチューブは、図4に示されるように先端部が閉じられている。端が閉じた構造ではナノチューブの内部には何も入れることができないので、シリコンナノチューブを中に収容したナノチューブ構造を作成するためには、端部を開口する必要がある。開口は、カーボンナノチューブをラジカル酸素に曝すことによって容易に行なうことができる。6員環構造のみから構成される円筒部よりも、5員環構造を含む先端部の方が化学的に活性であるためである。例えば、“Effective, fast, and low temperature encapsulation of fullerene derivatives in single wall carbon nanotubes”, by A. Mrsel、A. Hassanien, Z. Liu, K. Suenaga, Y. Miyata, K. Yanagi, H. Kataura, Surface Science 601, 5116 (2007)(非特許文献4) に記載された過酸化水素水Hを利用した方法を用いてナノチューブの開口を行なうことができる。
【0013】
次に、例えば特開平5−194084号公報(特許文献1)に記載された固体ソースから分子線を発生させる分子線結晶成長装置を用いて、図5に示すように、垂直に配向されたカーボンナノチューブ20にシリコンクラスタービーム12を照射し、カーボンナノチューブ20の開口部より内部へシリコンクラスターを侵入させる。ここで、シリコンクラスターは、Si12、Si24、Si36、Si48などの分子式で示されるシリコンの固まりである。分子線結晶成長装置における分子線形成部での温度、温度変化率、気圧などを適切に制御することにより、シリコンクラスターを発生させることができる。シリコンクラスターは燃焼性が高いので、ナノチューブへの照射は酸素を完全廃棄した高真空のチャンバー内で行なうことが重要である。ナノチューブの開口部より効率よくシリコンクラスターを進入させるには、カーボンナノチューブ20の配向方向とシリコンクラスタービーム12の方向が一致している必要がある。クラスタービームの運動エネルギーを上げると、カーボンナノチューブ内部にてシリコンは加圧され、クラスターはシリコンナノチューブへと成長する。シリコンナノチューブの長さはマイクロメーターのオーダーにすることが可能であるが、それは外側のナノチューブの長さで決まる。
【0014】
シリコンナノチューブ生成後、ナノチューブ先端は速やかに閉じられなくてはいけない。さもないと、でき上がったナノチューブ構造体を爆発を避けながら安定に貯蔵することはできない。一度開いたカーボンナノチューブの開口部を再び閉じる方法は、特開平8−188406号公報(特許文献2)に記載のあるように、不活性化ガス中でフラーレンなどの炭素クラスターを導入し加熱する手法が一般的である。以上の工程により、図6に示される、カーボンナノチューブ20内部にシリコンナノチューブ10を収容したナノチューブ構造体30を作成することができる。カーボンナノチューブの端の構造を再び図4に示されるキャップされた構造に戻せば、シリコンナノチューブがナノチューブの外側に飛び出すことを防ぐことが可能になる。したがって、この材料が大気に触れたとしても、燃焼爆発の危険性はなく、保存に特殊な密封容器を必要としない。
図4の構造を端に持ち、真ん中の部分では図6の構造を持つナノチューブ構造体を、粉末状、あるいはマット状、あるいは外側のナノチューブを化学修飾して可溶性を持たせ溶液中に分散させた状態にして保持することができる。
【0015】
〔発熱方法〕
次に、本発明のナノチューブ構造体を無酸素の状態で燃料として利用する方法について説明する。燃料用材料は、上述した粉末状、マット状、あるいは溶液中に分散させた状態で保存される。図6に示される材料における端の部分(図4参照)を、例えば前掲の非特許文献4に記載された方法で開口し、その後、ある衝撃を与えた場合、図7に示すように、カーボンナノチューブ20の端よりシリコンナノチューブ10を排出することができる。上述の衝撃は、加熱、通電、急激な応力などにより与えられる。材料が溶液中に溶けている場合、超音波を用いたバブリングによる衝撃を利用することができる。ナノチューブの内部の空間に閉じ込められ、圧力下にあったシリコンナノチューブ10は、カーボンナノチューブ20より排出されると圧力から開放されてシリコン本来の安定構造である単結晶シリコン11に瞬時にして戻り、その際に多量の熱量を発熱する。発熱量はシリコン原子一個当たり1eVにもなり、質量比に換算すると3.44kJ/gという酸素を用いない割には大きく、既存の燃料の約10分の一の出力を得ることができる。
上述の説明では、カーボンナノチューブの開口と衝撃の付与の2段階過程により発火を行なっていたが、十分に大きい衝撃を印加する場合には、開口過程を経ることなく衝撃を加えるようにしてもよい。衝撃の付与により開口が行なわれシリコンナノチューブの排出とそれに続く相変化が起こる。
【0016】
燃料用としての利用形態を考えた場合、シリコンナノチューブを内包しカーボンナノチューブの端を閉口したナノチューブ構造体は、粉末状ないし膜状(マット状)にして保管しておくのが好都合である。図8、図9に粉末状態ないし膜状になされたナノチューブ構造体を示す。図8、図9において、31、32はそれぞれ粉末状ナノチューブ群、膜状ナノチューブ群であって、それらを構成するナノチューブ構造体30は互いに絡み合って粉末状ないし膜状になっている。
【0017】
図10は、この材料の発熱方法の第1の実施の形態を示す概略図である。本実施の形態では、ナノチューブに機械的な衝撃力を加えて点火する。図10に示すように、膜状ナノチューブ群32を、衝撃印加ユニット4の支持台42上にセットする。そして、衝撃印加ユニット4に衝撃力Fを加え、衝撃印加ユニット4の先端部41により膜状ナノチューブ群32の一部領域に急激な機械的応力を与える。機械的応力は、図10に示すように、試料のごく一部に与えるだけでよく、その領域において点火が行なわれると後は連鎖反応的に発熱が広がり、連続的に熱を取り出すことができる。
【0018】
図11は、発熱方法の第2の実施の形態を示す概略図である。本実施の形態では、機械的な力に代え、急激な通電加熱によって点火を行う。図11に示すように、膜状ナノチューブ群32を、通電加熱ユニット5の支持台52上にセットする。そして、膜状ナノチューブ群32の近傍に配置されたフィラメント51に通電を行なう。これにより、膜状ナノチューブ群32は瞬間的に摂氏1000度から2000度の温度に加熱され、点火される。その後は膜状ナノチューブ群32全面に発熱領域が広がり、連続的に熱を取り出すことができる。
図10、図11に示した実施の形態において、衝撃の印加や通電に先立って短時間酸素を供給するなどしてカーボンナノチューブの端部を開口しておいてもよい。
以上に述べた実施形態は、酸素を完全に遮断した反応炉内部で行うことが可能であるが、もちろん大気中で行っても通常の固形(液体)燃料と同等の熱量を発生させることができる。
【0019】
次に、図12を参照して図10ないし図11に示した発熱ユニットの具体的な利用例について説明する。図12において、33は発熱ユニットであって図10ないし図11に示されたものである。また、6は熱伝達部であって内部を熱媒体(例えば水)が循環するものである。発熱ユニット33は、熱量伝達部6に囲まれており、発熱ユニット33が発生する熱は、熱量伝達部6に伝達される。そして、熱量伝達部6において加熱された熱媒体は、例えば暖房ユニットへ、あるいは発電用ユニットへ送られる。あるいは、熱量伝達部6にノズルを直結し、エンジンとして利用することもできる。この場合には、酸素のない宇宙空間におけるロケットエンジンとして、発熱ユニット33により得られた熱はジェット推進力に変換される。
【0020】
以上好ましい実施の形態により本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。例えば、実施の形態ではシリコンナノチューブを内包するナノチューブとしてカーボンナノチューブが用いられていたが、外側ナノチューブの材料は炭素に限定されず、例えばBNなどであってもよい。また、ナノチューブ構造体の点火(発熱開始)は、放電を利用して行なうこともできる。また、点火に際して外側ナノチューブの端部の開口を行なうのではなく、外側ナノチューブを破壊するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明に係るナノチューブ構造体は、酸素の供給が見込めない環境での、発電用燃料の用途に適用できる。また、ジェット推進用燃料としても活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のナノチューブ構造体に内包されるシリコンナノチューブの原子構造図。
【図2】シリコンナノチューブが発熱後に変換される単結晶シリコンの原子構造図。
【図3】本発明のナノチューブ構造体の外側ナノチューブを構成するカーボンナノチューブの原子構造図。
【図4】本発明のナノチューブ構造体の外側ナノチューブを構成するカーボンナノチューブの先端部の原子構造図。
【図5】本発明のナノチューブ構造体の製造方法を説明するための概念図。
【図6】本発明のナノチューブ構造体の原子構造図。
【図7】本発明のナノチューブ構造体の発熱現象を説明する概念図。
【図8】本発明のナノチューブ構造体を燃料用材料として貯蔵する際の形態を示す図(粉末状)。
【図9】本発明のナノチューブ構造体を燃料用材料として貯蔵する際の形態を示す図(膜状)。
【図10】本発明のナノチューブ構造体を急激な機械応力により発熱させる状態を示す概略図。
【図11】本発明のナノチューブ構造体を急激な電流印加により発熱させる状態を示す概略図。
【図12】本発明のナノチューブ構造体を発熱させた際の熱の利用形態の一例を示す概略図。
【符号の説明】
【0023】
1 シリコン原子
10 シリコンナノチューブ
11 単結晶シリコン
12 シリコンクラスタービーム
2 炭素原子
20 カーボンナノチューブ
21 炭素原子からなる5員環構造
4 衝撃印加ユニット
41 先端部
42 支持台
5 通電加熱ユニット
51 フィラメント
52 支持台
6 熱量伝達部
30 ナノチューブ構造体
31 粉末状ナノチューブ群
32 膜状ナノチューブ群
33 発熱ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ナノチューブの内部に、シリコンナノチューブを有することを特徴とするナノチューブ構造体。
【請求項2】
前記外側ナノチューブがカーボンナノチューブまたはBNナノチューブであることを特徴とする請求項1に記載のナノチューブ構造体。
【請求項3】
内部にシリコンナノチューブを有するナノチューブ構造体の製造方法であって、シリコンナノチューブを内包するための外側ナノチューブを製造する工程と、前記外側ナノチューブの端部を開口する工程と、開口したナノチューブにシリコンクラスターを照射する工程と、前記外側ナノチューブの開口部を閉口する工程と、を有することを特徴とするナノチューブ構造体の製造方法。
【請求項4】
前記外側ナノチューブを製造する工程は、外側ナノチューブが垂直に配向するように製造する工程であることを特徴とする請求項3に記載のナノチューブ構造体の製造方法。
【請求項5】
前記シリコンクラスターを照射する工程は、非酸化性雰囲気下で行なわれることを特徴とする請求項3または4に記載のナノチューブ構造体の製造方法。
【請求項6】
前記シリコンクラスターを照射する工程は、分子線結晶成長装置を用いて行なわれることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のナノチューブ構造体の製造方法。
【請求項7】
複数の、外側ナノチューブの内部にシリコンナノチューブを有するナノチューブ構造体を準備する第1の過程と、シリコンナノチューブに化学変化または相変化を誘起して発熱させる第2の過程と、を有することを特徴とするナノチューブ構造体の発熱方法。
【請求項8】
前記第1の過程と前記第2の過程との間に、前記外側ナノチューブの端部を開口する過程が挿入されることを特徴とする請求項7に記載のナノチューブ構造体の発熱方法。
【請求項9】
準備されたナノチューブ構造体は、互いに絡み合って粉末状ないし膜状の形態をなしていることを特徴とする請求項7または8に記載のナノチューブ構造体の発熱方法。
【請求項10】
前記第2の過程の相変化により、シリコンナノチューブはダイアモンド構造の結晶体へと変化することを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のナノチューブ構造体の発熱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−274941(P2009−274941A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130337(P2008−130337)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度 独立行政法人科学技術振興機構「ナノ・バイオ物質での電子励起量子シミュレーション手法の開発とその応用」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】