説明

ナノファイバ製造装置、および、ナノファイバ製造方法

【課題】均一な膜厚で品質も均一なナノファイバの堆積物を製造する。
【解決手段】原料液300を空間に流出させる流出孔118を有する流出体115と、流出体115と所定の間隔を隔てて配置される帯電電極128と、流出体115と帯電電極128との間に所定の電圧を印加する帯電電源122と、空間中で製造されたナノファイバ301を誘引する電界を発生させる誘引電極121であって、誘引したナノファイバ301を堆積させる面状の堆積領域Aを表面に有する誘引電極121と、誘引電極121に所定の電位を印加する誘引電源123と、堆積領域Aにおける堆積したナノファイバによる抵抗値のばらつきを抑制する堆積領域A全体に配置される絶縁層101とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、静電延伸現象によりサブミクロンオーダーやナノオーダーの細さである繊維(ナノファイバ)を製造するナノファイバ製造装置、ナノファイバ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂などから成り、サブミクロンスケールやナノスケールの直径を有する糸状(繊維状)物質を製造する方法として、静電延伸現象(エレクトロスピニング)を用いた方法が知られている。
【0003】
この静電延伸現象とは、溶媒中に樹脂などの溶質を分散または溶解させた原料液を空間中にノズルなどにより流出(噴射)させるとともに、原料液に電荷を付与して帯電させ、空間を飛行中の原料液を電気的に延伸させることにより、ナノファイバを得る方法である。
【0004】
より具体的に静電延伸現象を説明すると次のようになる。すなわち、帯電され空間中に流出された原料液は、空間を飛行中に徐々に溶媒が蒸発していく。これにより、飛行中の原料液の体積は、徐々に減少していくが、原料液に付与された電荷は、原料液に留まる。この結果として、空間を飛行中の原料液は、電荷密度が徐々に上昇することとなる。そして、溶媒は、継続して蒸発し続けるため、原料液の電荷密度がさらに高まり、原料液の中に発生する反発方向のクーロン力が原料液の表面張力より勝った時点で原料液が爆発的に線状に延伸される現象が生じる。これが静電延伸現象である。この静電延伸現象が、空間において次々と幾何級数的に発生することで、直径がサブミクロンオーダーやナノオーダーの樹脂から成るナノファイバが製造される。
【0005】
以上のような静電延伸現象を用いてナノファイバを製造する場合、特許文献1に記載の装置のように、原料液を空間中に流出させるノズルと、前記ノズルと離れて配置され、前記ノズルとの間に高電圧が印加される電極とを備える装置が用いられる。そして、空間中で製造されたナノファイバは、ノズルと電極との間に発生する電界に誘引され、電極上に堆積する。
【0006】
堆積したナノファイバが不織布などとして用いられる場合、不織布全体の膜厚の均一性や、不織布を構成するナノファイバの密度の均一性などの堆積状態の均一性が問題になる場合がある。そこで、特許文献1に記載のナノファイバ製造装置は、複数のノズルをマトリクス状に配置すると共に、ノズル相互間の電気的な影響を抑制するためにノズルの間に制御板などを配置することで、ナノファイバが均一に堆積するように制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−174867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、本願発明者らがナノファイバの堆積状態の均一性を向上させるべく、実験と研究とを続けた結果、原料液が流出するノズルなどの流出体の形状や配置ばかりでなく、ナノファイバが堆積する電極側の状態によってもナノファイバの堆積状態の均一性が崩れることを見出すに至った。例えば、電極側に配置した絶縁性の被堆積部材にナノファイバを堆積した場合、ナノファイバの堆積状態の均一性が崩れることを見出した。そして、この現象が、被堆積部材の帯電状態の不均一性に起因することを見出した。さらに、被堆積部材を介さずに直接電極上にナノファイバを堆積させる場合でも、ナノファイバは、電極側に徐々に降り積もって堆積していくため、先に積もったナノファイバによって電極側の状態が変化して(電極上の帯電ムラが発生して)後から降り積もるナノファイバに影響し、ナノファイバの堆積を重ねるにつれて堆積状態の均一性が大きく崩れていくことも見出した。
【0009】
本願発明は、上記知見に基づきなされたものであり、堆積状態の高い均一性を維持してナノファイバを堆積させることのできるナノファイバ製造装置、および、ナノファイバ製造方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本願発明にかかるナノファイバ製造装置は、ナノファイバを製造するための原料液を空間中で電気的に延伸させてナノファイバを製造するナノファイバ製造装置であって、原料液を空間に流出させる流出孔を有する流出体と、前記流出体と所定の間隔を隔てて配置され、前記流出体を帯電させる帯電電極と、前記流出体と前記帯電電極との間に所定の電圧を印加する帯電電源と、空間中で製造されたナノファイバを誘引する電界を発生させる誘引電極であって、誘引したナノファイバを堆積させる面状の堆積領域を表面に有する誘引電極と、前記誘引電極に所定の電位を印加する誘引電源と、前記誘引電極の表面であって前記堆積領域全体に配置される絶縁層とを備えることを特徴とする。
【0011】
これにより、堆積するナノファイバと誘引電極との間に絶縁層が介在するため、堆積領域の一部においてナノファイバと誘引電極との間で電荷が流れることを抑止でき、堆積領域に存在する電荷が不均一になることを抑止することができる。従って、堆積領域全体にわたってナノファイバに残存する電荷の密度が均一となり、誘引電極から発生する電界を乱すこと無くナノファイバを均一な状態で誘引し、均一な状態で堆積させることが可能となる。
【0012】
上記目的を達成するために、本願発明にかかるナノファイバ製造方法は、ナノファイバを製造するための原料液を空間中で電気的に延伸させてナノファイバを製造するナノファイバ製造方法であって、原料液を空間に流出させる流出孔を有する流出体から原料液を流出させ、前記流出体と所定の間隔を隔てて配置され、前記流出体を帯電させる帯電電極と前記流出体との間に帯電電源により所定の電圧を印加し、ナノファイバを堆積させる面状の堆積領域を表面に有し、前記堆積領域全体に配置される絶縁層を有する誘引電極に誘引電源により所定の電位を印加することにより、前記堆積領域に空間中で製造されたナノファイバを誘引し堆積させることを特徴とする。
【0013】
これにより、堆積するナノファイバと誘引電極との間に絶縁層が介在するため、堆積領域の一部においてナノファイバと誘引電極との間で電荷が流れることを抑止でき、堆積領域に存在する電荷が不均一になることを抑止することができる。従って、堆積領域全体にわたってナノファイバに残存する電荷の密度が均一となり、誘引電極から発生する電界を乱すこと無くナノファイバを均一な状態で誘引し、均一な状態で堆積させることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明によれば、誘引電極上に先に堆積したナノファイバの帯電状態にあまり影響を受けることなく、さらにナノファイバを堆積させることができ、堆積領域全体にわたって均一な品質の不織布を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ナノファイバ製造装置を示す斜視図である。
【図2】ナノファイバ製造装置の要部を一部切り欠いて示す側面図である。
【図3】流出体を切り欠いて示す斜視図である。
【図4】ナノファイバ製造装置を示す斜視図である。
【図5】ナノファイバ製造装置の要部を一部切り欠いて示す側面図である。
【図6】(a)は、流出体の別例を示す斜視図であり、(b)は、流出体の別例を一部切り欠いて示す側面図である。
【図7】他の実施の形態にかかるナノファイバ製造装置を示す斜視図である。
【図8】他の実施の形態にかかるナノファイバ製造装置を示す斜視図である。
【図9】絶縁層と誘引電極と被堆積部材との関係のバリエーションの一つを側方から示す平面図である。
【図10】絶縁層と誘引電極と被堆積部材との関係のバリエーションの一つを側方から示す平面図である。
【図11】絶縁層と誘引電極と被堆積部材との関係のバリエーションの一つを側方から示す平面図である。
【図12】絶縁層と誘引電極と被堆積部材との関係のバリエーションの一つを側方から示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本願発明に係るナノファイバ製造装置、ナノファイバ製造方法を、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、ナノファイバ製造装置を示す斜視図である。
【0018】
図2は、ナノファイバ製造装置の要部を一部切り欠いて示す側面図である。
【0019】
これらの図に示すように、ナノファイバ製造装置100は、ナノファイバ301を製造するための原料液300を空間中で電気的に延伸させてナノファイバ301を製造する装置であって、流出体115と、帯電電極128と、帯電電源122と、誘引電極121と、誘引電源123と、絶縁層101とを備えている。
【0020】
なお、本実施の形態の場合、誘引電極121が帯電電極128としても機能している。つまり、一つの電極が、誘引電極121としても機能すると共に帯電電極128としても機能している。また、誘引電源123が帯電電源122としても機能している。つまり、一つの電源が、誘引電源123としても機能すると共に、帯電電源122としても機能している。
【0021】
また、本明細書や図面において、原料液300とナノファイバ301とを便宜上区別して記載しているが、ナノファイバ301の製造過程、つまり、静電延伸現象が発生している段階においては原料液300からナノファイバ301が徐々に製造されるものであるため、必ずしも原料液300とナノファイバ301の境界が明確ではない。
【0022】
図3は、流出体を切り欠いて示す斜視図である。
【0023】
流出体115は、原料液300の圧力(重力も含む場合がある)により原料液300を空間中に流出させるための部材であり、流出孔118と貯留槽113とを備えている。流出体115は、流出する原料液300に電荷を供給する電極としても機能しており、原料液300と接触する部分の少なくとも一部は導電性を備えた部材で形成されている。本実施の形態の場合、流出体115全体が金属で形成されている。なお、金属の種類は導電性を備えていれば、特に限定されるものではなく、黄銅やステンレス鋼など任意の材料を選定しうる。
【0024】
流出孔118は、原料液300を一定の方向に流出させるための孔である。本実施の形態の場合、流出孔118は、流出体115に複数個設けられており、流出体115が備える細長い短冊状の面に、流出孔118の先端にある先端開口部119が並んで配置されるように設けられている。そして、流出孔118から流出する原料液300の流出方向が流出体115に対して同じ方向となるように流出孔118は流出体115に設けられている。
【0025】
なお、流出孔118の孔長や孔径は、特に限定されるものではなく、原料液300の粘度などにより適した形状を選定すれば良い。具体的には、孔長は、1mm以上、5mm以下の範囲から選定されるのが好ましい。孔径は、0.1mm以上、2mm以下の範囲から選定されるのが好ましい。また、流出孔118の形状は、円筒形状に限定されるわけではなく、任意の形状を選定しうる。特に先端開口部119の形状は、円形に限定されるわけではなく、三角形や四角形などの多角形、星形など内側に突出する部分のある形状などでもかまわない。また、流出体115は、帯電電極128に対し移動してもかまわない。
【0026】
また、本実施の形態の場合、図1に示すように、ナノファイバ製造装置100は、供給手段107を備えている。供給手段107は、流出体115に原料液300を供給する装置であり、原料液300を大量に貯留する容器151と、原料液300を所定の圧力で搬送するポンプ(図示せず)と、原料液300を案内する案内管114とを備えている。
【0027】
誘引電極121は、空間中で製造されたナノファイバ301を誘引する電界を発生させる電極であって、誘引したナノファイバ301を堆積させる面状の堆積領域Aを表面に有する電極である。誘引電極121は、本実施の形態の場合、流出体115と所定の間隔を隔てて配置され、流出体115との間で高電圧が印加される部材である帯電電極128としても機能している。つまり、誘引電極121は、流出体115と帯電電極128として機能する誘引電極121との間に印加される高電圧により、流出体115に電荷を集めて原料液300を帯電させる部材でもある。
【0028】
具体的に誘引電極121(帯電電極128)は、流出体115に向かって(z軸方向)緩やかに突出するように湾曲した面を一面に持つブロック状の導体からなる部材である。また、本実施の形態の場合、帯電電極128は、接地されている。誘引電極121(帯電電極128)を湾曲させることにより、誘引電極121(帯電電極128)に載置される被堆積部材201(後述)もナノファイバ301が堆積する部分が突出するように湾曲させることができる。これにより、被堆積部材201に堆積された後のナノファイバ301が収縮することによって被堆積部材201が反ってしまうことを防止することが可能となる。
【0029】
なお、誘引電極121(帯電電極128)は、湾曲した形状ばかりではなく、表面が平面であってもかまわない。
【0030】
誘引電源123は、誘引電極121に所定の電位を印加する電源である。誘引電源123は、本実施の形態の場合、流出体115と誘引電極121(帯電電極128)との間に高電圧を印加することのできる帯電電源122としても機能している。誘引電源123(帯電電源122)は、直流電源であり、印加する電圧は、5kV以上、100kV以下の範囲の値から設定されるのが好適である。
【0031】
本実施の形態のように、誘引電源123(帯電電源122)の一方の電極を接地電位とし、誘引電極121(帯電電極128)を接地するものとすれば、比較的大型の誘引電極121(帯電電極128)を接地状態とすることができ、安全性の向上に寄与することが可能となる。
【0032】
また、一つの導電性の部材に誘引電極121の機能と帯電電極128の機能とを併有させることで、ナノファイバ製造装置100の構造を単純化できる。これにより、高電圧が印加される部分が簡単になるため、簡単な絶縁構造を採用しても充分に安全を維持することができ、装置コストの低減にも寄与することができる。
【0033】
なお、誘引電極121(帯電電極128)に電源を接続して誘引電極121(帯電電極128)を高電圧に維持し、流出体115を接地することで原料液300に電荷を付与してもよい。また、誘引電極121(帯電電極128)と流出体115とのいずれも接地しないような接続状態であってもかまわない。
【0034】
絶縁層101(図2参照)は、堆積領域Aにおける堆積したナノファイバ301による抵抗値のばらつきを抑制するための絶縁性を備えた層であり、堆積領域Aの全体に渡って配置されている。本実施の形態の場合、絶縁層101は、基材層200と堆積したナノファイバ301とによって発生する抵抗値のばらつきを抑制して許容範囲内に納める層であり、誘引電極121(帯電電極128)の表面と常時接触する状態で膜状に配置される絶縁体であって、堆積領域A全体にわたって配置される部材である。
【0035】
絶縁層101を構成する材質は、特に限定されるものではないが、体積抵抗率が1×10^15(Ω・cm)以上の物質で構成されることが望ましい(^はべき乗を示す)。このように、体積抵抗率が高い物質で絶縁層101を構成すると、絶縁層101を薄くしても膜厚方向(z軸方向)の抵抗値である膜厚抵抗値を高く維持することができる。以上により、流出体115と誘引電極121(帯電電極128)との間に発生する電界に大きな影響を与えることなく、ナノファイバ301の堆積領域の一部においてナノファイバ301と誘引電極121(帯電電極128)との間で電荷が流れることを抑止でき、ナノファイバ301の堆積領域に存在する電荷が不均一になることを抑止することができる。
【0036】
特に、絶縁層101を構成する材質の体積抵抗率は、製造するナノファイバ301を構成する材質(溶質)もしくは被堆積部材201の体積抵抗率の10倍以上が好ましい。
【0037】
このように、堆積するナノファイバ301の体積抵抗率と絶縁層101の体積抵抗率との間に10倍以上の差が存在すると、ある程度ナノファイバ301が堆積した状態においても、堆積領域A全体における絶縁層101と膜厚とを合わせた抵抗値のばらつきが無視できる程度となる。従って、堆積領域A全体における帯電量がほぼ均一になるため、その後に堆積するナノファイバ301は、堆積領域Aに均等に堆積することが可能となる。以上から、堆積領域Aの全体にわたって均一な品質のナノファイバ301の堆積物である不織布を得ることが可能となる。
【0038】
なお、上記では、絶縁層101を構成する材質の体積抵抗率がナノファイバ301を構成する材質(溶質)もしくは被堆積部材201の体積抵抗率の10倍以上が好ましいと記載したが、絶縁層101の膜厚方向(z軸方向)の抵抗値である膜厚抵抗値がナノファイバ301もしくは被堆積部材201の膜厚抵抗値の10倍以上であっても好適である。このような条件によっても、堆積領域Aの全体にわたって均一な品質のナノファイバ301の堆積物である不織布を得ることが可能となる。
【0039】
また、絶縁層101を構成する材質は、絶縁耐力が20(kV/mm)以上の物質で構成されることが望ましい。流出体115と誘引電極121(帯電電極128)との間には5kV以上、100kV以下の範囲から選定される電圧が印加されるため、絶縁耐力が20(kV/mm)未満の物質で絶縁層101を構成すると、絶縁破壊が発生する可能性が上昇し、堆積領域Aにおけるナノファイバ301の品質の安定性を維持できなくなる場合が考えられるからである。
【0040】
絶縁層101を構成する好ましい材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、PTFE、塩化ビニル、シリコンゴムを例示することができる。特にシリコンゴムは、上記条件に合致する特性に容易に調整可能であるため、特に好適と考えられる。
【0041】
基材層200は、空間中で製造されたナノファイバ301が堆積する層であって、絶縁層101の表面に堆積領域Aを覆うように配置される層である。従って、既に堆積したナノファイバ301も基材層200に含まれる。
【0042】
本実施の形態の場合、基材層200は、堆積したナノファイバ301を収集するための被堆積部材201も含まれている。被堆積部材201は、絶縁性を有するシート状の部材であり、移動可能となされ、供給ロール127に巻き付けられた状態で供給される。また、被堆積部材201は、回収手段129に巻き取られることによって、図1中に矢印で示される方向に移動可能となっている。また、被堆積部材201は、誘引電極121(帯電電極128)の湾曲に沿って配置され、また、移動できるように、誘引電極121(帯電電極128)の両端縁近傍に配置され、回転可能に取り付けられる棒状の押さえ部材125で上方から押さえつけられている。
【0043】
なお、被堆積部材201の送り方向が、図1において流出孔118の並び方向と一致しているように記載されているが、被堆積部材201の送り方向は、これに限定されるものではない。例えば、被堆積部材201の送り方向は、流出孔118の並び方向(流出体115の長手方向)に垂直な方向に沿うものでもかまわない。
【0044】
以上の装置構成のナノファイバ製造装置100において、絶縁層101は、ナノファイバ301の堆積する厚みが所望の厚みとなるまで、次式を満たし続けることのできる層であることが好ましい。すなわち、絶縁層101と基材層200とを合わせた場合における厚さ方向の抵抗値(以下「総膜厚抵抗値」と記す。)の堆積領域Aにおける最大値をrmaxとし、総膜厚抵抗値の堆積領域Aにおける最小値をrminとし、総膜厚抵抗値の堆積領域Aにおける平均値をRとし、ばらつきの許容値をkとした場合、式:(rmax−rmin)/R≦kである。
【0045】
上記ばらつきの許容値kは、ナノファイバ301を堆積させて得られる不織布の要求される仕様により異なるが、例えば、許容値kは0.1以下が好ましく、さらに、0.3以下であればよい。
【0046】
絶縁層101の膜厚抵抗値が被堆積部材201や堆積したナノファイバ301の膜厚抵抗値に比して充分に高く、かつ、絶縁層101の膜厚抵抗値が堆積領域Aにおいて充分に均一であれば、絶縁層101は上記式を満足することが可能である。
【0047】
次に、上記構成のナノファイバ製造装置100を用いたナノファイバ301の製造方法を説明する。
【0048】
まず、供給手段107により流出体115に原料液300を供給する(供給工程)。以上により、流出体115の貯留槽113に原料液300が満たされる。
【0049】
ここで、ナノファイバ301を構成する樹脂であって、原料液300に溶解、または、分散する溶質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、アラミド、ポリイミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等およびこれらの共重合体等の高分子物質を例示できる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明は上記樹脂に限定されるものではない。
【0050】
原料液300に使用される溶媒としては、揮発性のある有機溶剤などを例示することができる。具体的に例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、ピリジン、水等を挙示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明に用いられる原料液300は上記溶媒を採用することに限定されるものではない。
【0051】
さらに、原料液300に無機質固体材料を添加してもよい。当該無機質固体材料としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等を挙げることができるが、製造されるナノファイバ301の耐熱性、加工性などの観点から酸化物を用いることが好ましい。当該酸化物としては、Al23、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B23、P25、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb23、As23、CeO2、V25、Cr23、MnO、Fe23、Co
O、NiO、Y23、Lu23、Yb23、HfO2、Nb25等を例示することができ
る。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明の原料液300に添加される物質は、上記添加剤に限定されるものではない。
【0052】
原料液300における溶媒と溶質との混合比率は、選定される溶媒の種類と溶質の種類とにより異なるが、溶媒量は、約60重量%から98重量%の間が望ましい。好適には溶質が5〜30重量%となる。
【0053】
次に、誘引電源123(帯電電源122)により流出体115を正または負の高電圧とする。接地されている誘引電極121(帯電電極128)と対向する流出体115の先端部に電荷が集中し、当該電荷が流出孔118を通過して空間中に流出する原料液300に転移し、原料液300が帯電する(帯電工程)。
【0054】
前記帯電工程と供給工程とは同時期に実施され、流出体115の先端開口部119から帯電した原料液300が流出する(流出工程)。
【0055】
次にある程度空間中を飛行した原料液300に静電延伸現象が作用することによりナノファイバ301が製造される(ナノファイバ製造工程)。
【0056】
この状態において、ナノファイバ301は、流出体115と誘引電極121(帯電電極128)との間に発生する電界に沿って誘引電極121(帯電電極128)に向かって飛行し、基材層200にナノファイバ301が堆積して収集される(堆積工程)。
【0057】
充分にナノファイバ301が堆積すると、回収手段129が稼働して被堆積部材201を移動させ、堆積したナノファイバ301を被堆積部材201と共に回収する(回収工程)。
【0058】
以上の様なナノファイバ製造装置100を用い、ナノファイバ製造方法を実施すれば、ナノファイバ301が堆積するにつれて基材層200の厚さは増加していくが、絶縁層101によって、堆積したナノファイバ301に帯電する電荷が誘引電極121(帯電電極128)に局所的に流れることを抑止することができ、ナノファイバ301の均一な品質の堆積物(不織布)を得ることが可能となる。さらに、絶縁層101の膜厚抵抗値を充分に高く、かつ、均一なものとすることで、先に堆積したナノファイバ301に大きく影響されること無くナノファイバ301を堆積させることができ、ナノファイバ301を厚く堆積する場合でも、堆積領域Aにおいて均一な品質のナノファイバ301の堆積物(不織布)を得ることが可能となる。
【0059】
(実施の形態2)
次に、本願発明にかかる第二の実施の形態を図面に基づき説明する。本実施の形態に係るナノファイバ製造装置100は、絶縁層101の上に直接ナノファイバ301が堆積する装置である。また、ナノファイバ製造装置100は、誘引電極121と帯電電極128とを別体として備え、誘引電極121と帯電電極128とに印加する電位は独立して調整できるものとなっている。
【0060】
なお、本実施の形態も、上記実施の形態1と同様に本願発明の一例を示したものに過ぎず、本願発明を実現しうるナノファイバ製造装置100のバリエーションの一つを示したものである。従って、以下に示す複数のノズルを一列に配置した流出体115を実施の形態1に記載した流出体115(複数の流出孔118が一列に並べて設けられ、これら流出孔118と共通に接続される貯留槽113を備える)に交換することは勿論かまわない。つまり、本願発明の本質は誘引電極121の表面に配置される絶縁層101であり、他の構成要素の違いは本願発明に影響を与えるものではない。従って、本実施の形態に示すナノファイバ製造装置100であっても、実施の形態1に示したように、誘引電極121に帯電電極128としての機能を併有させてもかまわない。
【0061】
以上の様に、本願発明を実現しうる実施の形態はきわめて多数存在すると考えられるが、全てを例示することはできないため、上記実施の形態1とは異なる構成要素が採用される別のナノファイバ製造装置100の一つを以下で説明する。ただし、本願発明の外縁は、特許請求の範囲に記載される文言が示す意味により定められるべきであり、以下の記載に本願発明を限定する意図はない。
【0062】
また、実施の形態1で説明した項目と同じ機能を備えるものは同じ符号を付し、その機能の説明を省略する。
【0063】
図4は、ナノファイバ製造装置を示す斜視図である。
【0064】
図5は、ナノファイバ製造装置の要部を一部切り欠いて示す側面図である。
【0065】
これらの図に示すように、ナノファイバ製造装置100は、複数のノズルを一列に配置した流出体115を備えている。また、一列に配置されたノズルの先端開口部119の近傍には、丸棒状の帯電電極128が配置されている。
【0066】
本実施の形態の場合、帯電電極128は、流出孔118の先端開口部119の近傍にノズルのならびに沿って2本配置されている。このように、帯電電極128が流出孔118の先端開口部119の近傍に配置されることで、流出体115と帯電電極128との間に印加する電圧を比較的低い値に設定することが可能となる。
【0067】
誘引電極121は、矩形板状の導電性の部材である。絶縁層101は、誘引電極121の表面上であって、流出体115から臨む面全体にわたって設けられている。なお、本実施の形態における絶縁層101の特徴、例えば性質や材質などは前記実施の形態1の絶縁層101の特徴と同様である。
【0068】
誘引電源123は、空間で製造されたナノファイバ301を堆積領域Aに誘引しうる電界を誘引電極121から発生させることのできる電源である。
【0069】
以上の様に、原料液300の帯電にほぼ寄与することが無い誘引電極121であって、専ら空間中で製造されたナノファイバ301を誘引する誘引電極121の表面に絶縁層101を備えたナノファイバ製造装置100であっても、前記実施の形態1と同様に、ナノファイバ301が堆積するにつれて基材層200の厚さは増加していくが、絶縁層101によって、堆積したナノファイバ301に帯電する電荷が誘引電極121に局所的に流れることを抑止することができ、ナノファイバ301の均一な品質の堆積物(不織布)を得ることが可能となる。さらに、絶縁層101の膜厚抵抗値を充分に高く、かつ、均一なものとすることで、先に堆積したナノファイバ301に大きく影響されること無くナノファイバ301を堆積させることができ、ナノファイバ301を厚く堆積する場合でも、堆積領域Aにおいて均一な品質のナノファイバ301の堆積物(不織布)を得ることが可能となる。
【0070】
また、実施の形態1の場合に比べ、本実施の形態の場合、誘引電極121に印加する電位を比較的低く設定することが可能であるため、絶縁層101を構成する材質として比較的絶縁耐力の低い材質を採用することが可能となる。従って、絶縁層101を構成する材質の選択の幅を広げることが可能となる。
【0071】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて実現される別の実施の形態を本願発明としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、特許請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【0072】
例えば、誘引電極121と帯電電極128とを別体として備えるナノファイバ製造装置100に、被堆積部材201を適用しても本願発明に含まれる。また、流出体115は、図6に示すように、流出体115が円筒形状となっていて、周壁に流出孔118が設けられており、モータ303の回転駆動力により流出体115が回転することによる遠心力で原料液300を空間中に流出させるものでもかまわない。
【0073】
また、誘引電極121(帯電電極128)は、一体のものばかりでなく、図7に示すように、複数に分離したものでもかまわない。この場合、絶縁層101は平板状の絶縁性を備える部材であって、分離された誘引電極121の全体にまたがるように配置されている。
【0074】
(実施の形態3)
次に、本願発明にかかる第三の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0075】
図8は、本実施の形態にかかるナノファイバ製造装置100を示す斜示図である。
【0076】
同図に示すように、ナノファイバ製造装置100は、無端ベルト状の絶縁層101と、無端ベルト状の絶縁層101を循環状態で移動可能に保持する循環手段130と、製造されたナノファイバが堆積する基材層200としての被堆積部材201であって、絶縁層101の表面に堆積領域Aを覆うように配置され、絶縁層101とともに移動する基材層200とを備えている。なお、前記実施の形態1、実施の形態2と同様の機能を有する部材、装置などは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0077】
絶縁層101は、本実施の形態の場合、シート状の部材の端部を無端ベルト状となるようにつなぎ合わせたものである。具体的には、構造的な強度を担保する芯材に前記絶縁性能を備えた樹脂をコーティングしたものが好適に用いられる。芯材としては、特に限定されるものでは無いが、例えば、ポリエステル製の布帛などが例示でき、絶縁性能を高めるコーティング用の材質としては、シリコンゴムやポリプロピレン、塩化ビニルなどを例示することができる。
【0078】
循環手段130は、本実施の形態の場合、絶縁層101にある程度の張力を与えて張り、かつ、絶縁層101を図中の矢印方向に循環可能に保持する二つのローラ131を備えている。ローラ131は、本実施の形態の場合、軸を中心として自由に回転可能なフリーローラである。なお、ローラ131は、フリーローラばかりでなく動力源を備え、絶縁層101を積極的に循環させるものでもかまわない。また、ローラ131が誘引電極121として機能するものでも良い。
【0079】
本実施の形態の場合も前記実施の形態と同様、基材層200は、堆積したナノファイバ301を収集するための被堆積部材201も含まれている。被堆積部材201は、供給ロール127に巻き付けられた状態で供給され、回収手段129に巻き取られることによって、図中に矢印で示される方向に移動可能となっている。
【0080】
誘引電極121は、絶縁層101の軌道に囲まれるように配置され、かつ、被堆積部材201と誘引電極121とで絶縁層101を挟むことができる位置に配置されている。また、誘引電極121は、複数の円筒状の部材であり、絶縁層101の移動に追随して回転することができるものとなっている。
【0081】
以上の構成によれば、絶縁層101は、被堆積部材201の移動に追随して循環状に移動することができるため、絶縁層101と被堆積部材201(基材層200)との間に発生する電気的な吸引力によって強められる摩擦を可及的に抑止することができ、絶縁層101や被堆積部材201に摩擦による損傷を与えることが抑制できる。従って、絶縁層101の損耗を抑止できナノファイバ製造装置100の寿命を向上させることができ、回収されるナノファイバ301の品質を高い状態で維持させることが可能となる。
【0082】
なお、絶縁層101と誘引電極121と被堆積部材201との関係は上記ばかりでなく、種々のバリエーションを提示できる。
【0083】
例えば、図9に示すように、誘引電極121を固定された板状の部材としてもかまわない。
【0084】
このような構成を採用した場合、広範囲にナノファイバ301を誘引することが可能となる。
【0085】
また、図10に示すように、誘引電極121を柔軟なシート状の導電性部材からなる無端ベルトとし、これを絶縁層101と同様に、二つのローラで移動可能としてもかまわない。
【0086】
この構成を採用すれば、図9に示した場合と同様、ナノファイバ301を広範囲に誘引できるとともに、絶縁層101との摩擦を軽減させることが可能となる。
【0087】
また、図11に示すように、誘引電極121を大きなローラとし、絶縁層101を誘引電極121の表面に設け、誘引電極121と絶縁層101とをともに被堆積部材201の動きに同期させて回転させてもかまわない。
【0088】
また、図12に示すように、柔軟で導電性のある無端ベルト状の誘引電極121の表面に絶縁層101を設け、ローラ131を介して誘引電極121を所定の電位にするものでもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本願発明は、ナノファイバを用いた紡績や、不織布の製造に利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
100 ナノファイバ製造装置
101 絶縁層
107 供給手段
113 貯留槽
114 案内管
115 流出体
118 流出孔
119 先端開口部
121 誘引電極
122 帯電電源
123 誘引電源
125 押さえ部材
127 供給ロール
128 帯電電極
129 回収手段
151 容器
200 基材層
201 被堆積部材
300 原料液
301 ナノファイバ
303 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノファイバを製造するための原料液を空間中で電気的に延伸させてナノファイバを製造するナノファイバ製造装置であって、
原料液を空間に流出させる流出孔を有する流出体と、
前記流出体と所定の間隔を隔てて配置され、前記流出体を帯電させる帯電電極と、
前記流出体と前記帯電電極との間に所定の電圧を印加する帯電電源と、
空間中で製造されたナノファイバを誘引する電界を発生させる誘引電極であって、誘引したナノファイバを堆積させる面状の堆積領域を表面に有する誘引電極と、
前記誘引電極に所定の電位を印加する誘引電源と、
前記堆積領域における堆積したナノファイバによる抵抗値のばらつきを抑制する前記堆積領域全体に配置される絶縁層と
を備えるナノファイバ製造装置。
【請求項2】
さらに、
製造されたナノファイバが堆積する基材層であって、前記絶縁層の表面に前記堆積領域を覆うように配置される基材層を備え、
前記絶縁層と前記基材層とを合わせた場合における厚さ方向の抵抗値(以下「総膜厚抵抗値」と記す。)の堆積領域における最大値をrmaxとし、
総膜厚抵抗値の堆積領域における最小値をrminとし、
総膜厚抵抗値の堆積領域における平均値をRとした場合、
前記絶縁層と前記基材層とが次式を満たす
(rmax−rmin)/R≦0.3
請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項3】
前記基材層は、当該ナノファイバ製造装置が製造するナノファイバの堆積により形成される層であって、所望の膜厚に至っていない堆積途中のナノファイバで構成される
請求項2に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項4】
前記絶縁層は、体積抵抗率が1×10^15(Ω・cm)以上の物質で構成される
請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項5】
前記絶縁層は、絶縁耐力が20(kV/mm)以上の物質で構成される
請求項4に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項6】
前記絶縁層を構成する物質の体積抵抗率は、ナノファイバを構成する物質もしくはナノファイバが堆積する被堆積部材を構成する物質の体積抵抗率の10倍以上である
請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項7】
絶縁層の膜厚方向の抵抗値である膜厚抵抗値は、ナノファイバもしくはナノファイバが堆積する被堆積部材の前記膜厚抵抗値の10倍以上である
請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項8】
前記絶縁層は、無端ベルト状となされ、
さらに、
無端ベルト状の前記絶縁層を循環状態で移動可能に保持する循環手段と、
製造されたナノファイバが堆積する基材層であって、前記絶縁層の表面に前記堆積領域を覆うように配置され、前記絶縁層とともに移動する基材層と
を備える請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項9】
ナノファイバを製造するための原料液を空間中で電気的に延伸させてナノファイバを製造するナノファイバ製造方法であって、
原料液を空間に流出させる流出孔を有する流出体から原料液を流出させ、
前記流出体と所定の間隔を隔てて配置され、前記流出体を帯電させる帯電電極と前記流出体との間に帯電電源により所定の電圧を印加し、
ナノファイバを堆積させる堆積領域における堆積したナノファイバによる抵抗値のばらつきを抑制する前記堆積領域全体に配置される絶縁層を有する誘引電極に誘引電源により所定の電位を印加することにより、前記堆積領域に空間中で製造されたナノファイバを誘引し堆積させる
ナノファイバ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−140740(P2011−140740A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271614(P2010−271614)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】