説明

ナノファイバ製造装置および製造方法

【課題】メンテナンス性の向上を図る。原料液の種類などに対する対応力を向上させる。
【解決手段】原料液300を空間中に流出させる複数の流出孔216を放射方向に備える流出体と、流出体211と所定の間隔を隔てて配置される帯電電極221と、流出体211と帯電電極221との間に所定の電圧を印加する帯電電源222とを備え、流出体211は、組み合わせた際に複数の流出孔216を形成し、分解した際に複数の流出孔216を原料液300の流通方向に沿って分割する第一流出体241と第二流出体242とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、静電延伸現象によりサブミクロンオーダーからナノオーダーの細さである繊維(ナノファイバ)を製造することが可能なナノファイバ製造装置、ナノファイバ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂などから成り、サブミクロンスケールの直径を有する糸状(繊維状)物質を製造する方法として、静電延伸現象(エレクトロスピニング)を用いた方法が知られている。
【0003】
この静電延伸現象とは、溶媒中に樹脂などの溶質を分散または溶解させた原料液を空間中にノズルなどにより流出(噴射)させるとともに、原料液に電荷を付与して帯電させ、空間を飛行中の原料液を電気的に延伸させることにより、ナノファイバを得る方法である。
【0004】
より具体的に静電延伸現象を説明すると次のようになる。すなわち、帯電され空間中に流出された原料液は、空間を飛行中に徐々に溶媒が蒸発していく。これにより、飛行中の原料液の体積は、徐々に減少していくが、原料液に付与された電荷は、原料液に留まる。この結果として、空間を飛行中の原料液は、電荷密度が徐々に上昇することとなる。そして、溶媒は、継続して蒸発し続けるため、原料液の電荷密度がさらに高まり、原料液の中に発生する反発方向のクーロン力が原料液の表面張力より勝った時点で原料液が爆発的に線状に延伸される現象が生じる。これが静電延伸現象である。この静電延伸現象が、空間において次々と幾何級数的に発生することで、直径がサブミクロンからナノオーダーの樹脂から成るナノファイバが製造される。
【0005】
以上のような静電延伸現象を用いてナノファイバを製造する場合、特許文献1に記載の発明のように、円筒形の部材である流出体の周壁に原料液を流出させるための孔である流出孔を放射方向に設け、当該円筒形の部材を軸を中心として回転させることで、原料液を空間中に流出させるナノファイバ製造装置が用いられる。
【0006】
このようなナノファイバ製造装置により品質の高い(例えば直径が細い)ナノファイバを製造するために、流出体に設けられる流出孔の孔径を細くする場合がある。また、使用する原料液の粘度によっては、流出体から想定外に原料液が漏れるいわゆる液だれを抑止するため、流出孔の孔径を細くする場合がある。
【0007】
一方、原料液に含まれるナノファイバを構成するための溶質が流出孔を詰まらせることが多々あり、流出孔の孔径が細いほど、目詰まりが発生する可能性が高くなる。
【0008】
このような流出孔の目詰まりを放置すると、空間中に流出する原料液の量が減少し、ナノファイバの生産効率が低下する。また、堆積させてナノファイバを収集する場合、堆積厚さにムラが発生する場合がある。
【0009】
また、前述のように原料液の種類や原料液の粘度などで流出孔の孔径や孔長を変化させて、製造されるナノファイバの品質を調整したり、液だれを抑制したりする場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−150769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、溶質による流出孔の目詰まりをメンテナンスの際に除去するが、流出孔の孔径が細いため、目詰まりを除去することが非常に困難であり、メンテナンスに長時間を費やす必要がある。
【0012】
また、流出孔の孔径や孔長を変更する場合、流出体全体を交換する必要があるため、流出孔の孔径や孔長を変更する段取り替えに長時間を費やす必要がある。
【0013】
本願発明は上記問題に鑑みなされたものであり、流出孔の目詰まりを容易に除去できるナノファイバ製造装置、ナノファイバ製造方法の提供を第一の目的とする。
【0014】
また、流出孔の孔径や孔長を容易に変更することのできるナノファイバ製造装置、ナノファイバ製造方法の提供を第二の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本願発明にかかるナノファイバ製造装置は、原料液を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバを製造するナノファイバ製造装置であって、原料液を空間中に流出させる複数の流出孔を放射方向に備える流出体と、前記流出体と所定の間隔を隔てて配置される帯電電極と、前記流出体と前記帯電電極との間に所定の電圧を印加する帯電電源とを備え、前記流出体は、組み合わせた際に複数の流出孔を形成し、分解した際に複数の流出孔を当該流出孔の向きとほぼ垂直な方向に分割する第一流出体と第二流出体とを備えることを特徴とする。
【0016】
これにより、第一流出体と第二流出体とを分解することで、原料液が流通する方向に沿って流出孔を分割することができ、流出孔の周面に対応する第一流出体の面と第二流出体の面とを直接臨むことが可能となる。
【0017】
従って、第一流出体や第二流出体に付着した原料液に含まれる溶質などに物理的、化学的に直接作用させることができ、目詰まりの原因を容易に除去することが可能となる。
【0018】
また、前記第一流出体は、複数の流出孔を形成する平面の第一接合部を複数備え、前記第二流出体は、複数の前記第一接合部と接合され流出孔を形成する溝が設けられる第二接合部を複数備えてもかまわない。
【0019】
これによれば、溝の深さや形状、長さなどが異なる複数種類の第二流出体を備えておけば、第二流出体を交換するだけで、流出体が備える流出孔の孔径や孔長を容易に変更することが可能となる。
【0020】
さらに、両端が開口する筒形状の第三流出体であって、複数の前記第一接合部と接合され複数の流出孔を形成する溝が設けられる複数の第三接合部を一端部に有し、複数の前記第二接合部と接合され複数の前記流出孔を形成する平面の第四接合部を他端部に有する第三流出体を備えるものでもよい。
【0021】
これによれば、第一流出体と第二流出体との間に第三流出体を介在配置するだけで、流出孔の数を増加させることが可能となる。
【0022】
従って、溝の深さや形状、長さなどが異なる複数種類の第二流出体や第三流出体を備えておけば、第二流出体や第三流出体を交換するだけで、流出体が備える流出孔の孔径や孔長ばかりでなく、流出孔の数を容易に変更することが可能となる。
【0023】
また、上記目的を達成するために、本願発明にかかるナノファイバ製造方法は、原料液を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバを製造するナノファイバ製造方法であって、原料液を空間中に流出させる複数の流出孔を放射方向に備える流出体であって、組み合わせた際に複数の流出孔を形成し、分解した際に複数の流出孔を当該流出孔の向きとほぼ垂直な方向に分割する第一流出体と第二流出体とを備える流出体から原料液を流出させる流出工程と、前記流出体と所定の間隔を隔てて配置される帯電電極と、前記流出体との間に所定の電圧を印加する帯電工程とを含むことを特徴とする。
【0024】
これにより、第一流出体と第二流出体とを分解することで、原料液が流通する方向に沿って流出孔を分割することができ、流出孔の周面に対応する第一流出体の面と第二流出体の面とを直接臨むことが可能となる。
【0025】
従って、第一流出体や第二流出体に付着した原料液に含まれる溶質などに物理的、化学的に直接作用させることができ、目詰まりの原因を容易に除去することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本願発明によれば、メンテナンスに費やす時間を短縮でき、流出孔の孔長や孔径を容易に変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ナノファイバ製造装置を模式的に一部を切り欠いて正面から示す平面図である。
【図2】ナノファイバ製造装置を模式的に一部を切り欠いて上面から示す平面図である。
【図3】放出手段を切り欠いて示す正面から示す平面図である。
【図4】放出手段を示す斜視図である。
【図5】流出体を分解した状態を示す図であり、(a)は外観を正面から示す平面図、(b)は断面を正面から示す平面図である。
【図6】組み合わされた流出体を示す正面図である。
【図7】分解した状態の流出体を示す斜視図である。
【図8】圧力により原料液を流出させる状態を示す図である。
【図9】(a)第一流出体と第二流出体と第三流出体とを組み合わせた状態を外観で示す正面図、(b)分解した状態を断面で示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本願発明に係るナノファイバ製造装置、ナノファイバ製造方法を、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
図1は、ナノファイバ製造装置を模式的に一部を切り欠いて正面から示す平面図である。
【0030】
図2は、ナノファイバ製造装置を模式的に一部を切り欠いて上面から示す平面図である。
【0031】
これらの図に示すように、ナノファイバ製造装置100は、放出手段200と、収集手段110と、誘引手段120とを備えている。
【0032】
ここで、ナノファイバを製造するための原料液については、原料液300と記し、製造されたナノファイバについてはナノファイバ301と記すが、製造に際しては原料液300が電気的に延伸しながらナノファイバ301に変化していくため、原料液300とナノファイバ301との境界は曖昧であり、明確に区別できるものではない。
【0033】
図3は、放出手段を切り欠いて示す正面から示す平面図である。
【0034】
図4は、放出手段を示す斜視図である。
【0035】
これらの図に示すように、放出手段200は、帯電した原料液300や製造されるナノファイバ301を放出することができるユニットであり、流出手段201と、帯電手段202とを備えている。本実施の形態の場合、放出手段200は、原料液300やナノファイバ301を気体流に乗せて搬送する機能を備えており、風洞体209と、気体流発生手段203とをさらに備えている。なお、本願発明のナノファイバ製造装置100は、本実施の形態で説明する放出手段200単体で実現することが可能である。
【0036】
帯電手段202は、原料液300に電荷を付与して帯電させる装置である。本実施の形態の場合、帯電手段202は、帯電電極221と、帯電電源222と、接地手段223とを備えている。また、流出体211(流出手段201の構成部材で後述)も帯電手段202の一つとして機能している。
【0037】
帯電電極221は、流出体211に対し高い電圧もしくは低い電圧となることで、流出体211に電荷を誘導するための部材である。本実施の形態の場合、帯電電極221は、流出体211の周囲を取り囲むように配置される円環状の部材であり、アースに対して所定の電圧が印加されている。また、図1〜図4に示すように、帯電電極221の断面は円形となっている。帯電電極221に正の電圧が印加されると流出体211には、負の電荷が誘導され、帯電電極221に負の電圧が印加されると流出体211には、正の電荷が誘導される。
【0038】
なお、帯電電極221の形状は、円環状に限ったものではなく、流出体211の形状との関係によって、多角形の環状でもよい。また、断面形状は矩形などであってもよい。
【0039】
また、帯電電極221は、流出体211の周囲近傍に配置されていなくともよい。例えば、後述の誘引電極121を帯電電極221として機能させるなど、原料液300の帯電と製造されるナノファイバ301の誘引との二つの機能を併有させるものでもよい。
【0040】
接地手段223は、流出体211と電気的に接続され、流出体211を接地電位に維持することができる部材である。接地手段223の一端は、流出体211が回転状態であっても電気的な接続状態を維持することができるようにブラシとして機能するものであり、他端は大地と接続されている。
【0041】
帯電電源222は、帯電電極221と流出体211との間に高電圧を印加することのできる電源である。本実施の形態の場合、帯電電源222は、帯電電極221に接続され、また、アースを介して流出体211に接続されている。帯電電源222は、一般には、直流電源が採用される場合が多いが、交流電源の採用を排除するものではない。製造されるナノファイバ301の帯電極性に影響を受けないような場合や、生成したナノファイバ301の帯電を利用して、電極上に回収するような場合には、直流電源が好ましい。また、帯電電源222が直流電源である場合、帯電電源222が帯電電極221に印加する電圧は、10KV以上、200KV以下の範囲の値から設定されるのが好適である。帯電電源222に負の電圧が印加される場合には、前記の印加する電圧の極性は、負になる。特に、流出体211と帯電電極との間の電界強度が重要であり、帯電電極221と流出体211との距離が最も近い空間において1KV/cm以上の電界強度になるように印加電圧を調整するのが好ましい。
【0042】
本実施の形態のように帯電手段202に誘導方式を採用すれば、流出体211を接地電位に維持したまま原料液300に電荷を付与することができる。流出体211が接地電位の状態であれば、流出体211に接続される駆動源213などの部材を流出体211から電気的に絶縁する必要が無くなり、流出手段201として簡単な構造を採用しうることになり好ましい。
【0043】
なお、帯電手段202として、流出体211に電源を接続し、流出体211を高電圧に維持し、帯電電極221を接地することで原料液300に電荷を付与してもよい。また、流出体211を絶縁体で形成すると共に、流出体211に貯留される原料液300に直接接触する電極を流出体211内部に配置し、当該電極を用いて原料液300に電荷を付与するものでもよい。さらに、流出体211と帯電電極221とのいずれも接地することなく、流出体211と帯電電極221との間に高電圧をかけることで、原料液300に電荷を付与するものでもよい。
【0044】
流出手段201は、原料液300を空間中に流出させる装置であり、本実施の形態では、原料液300を圧力と遠心力により放射状に流出させる装置である。流出手段201は、流出体211と、回転軸体212と、駆動源213と、加圧手段130とを備えている。
【0045】
図5は、流出体を分解した状態を示す図であり、(a)は外観を正面から示す平面図、(b)は断面を正面から示す平面図である。
【0046】
図6は、組み合わされた流出体を示す正面図である。
【0047】
図7は、分解した状態の流出体を示す斜視図である。
【0048】
流出体211は、原料液300を空間中に流出させる複数の流出孔216(図6参照)を放射方向に備える部材であり、組み合わせた際に複数の流出孔216を形成し、分解した際に複数の流出孔216を流出孔216の向きとほぼ垂直な方向(図5中矢印)に分割する第一流出体241と第二流出体242とを備えている。また、流出体211は、流出する原料液300に電荷を供給する電極としても機能しており、原料液300と接触する部分の少なくとも一部は導電性を備えた部材で形成される。本実施の形態の場合、流出体211全体が金属で形成されている。なお、金属の種類は導電性を備えておれば、特に限定されるものではなく、黄銅やステンレス鋼など任意の材料を選定しうる。
【0049】
第一流出体241は、流出体211の本体を構成する部材である。これらの図に示すように、第一流出体241は、筒部231と、フランジ部232と、ピストン235とを備えている。
【0050】
筒部231は、内方に原料液300が流通する筒形状の部材であり、流出体211の胴体となる部分である。本実施の形態の場合、流出体211は、回転による遠心力により原料液300を流出させるものであり、筒部231は、流出体211の回転軸体としても機能している。また、筒部231は、内方に原料液300を貯留する貯留空間を備えており、一端部は圧力を調整するための比較的細い孔が設けられ、他方はピストン235で閉塞されている。筒部231は、内方の貯留空間に貯留された原料液300がピストン235によって圧縮されることで、フランジ部232側に原料液300を吐出できるものとなっている。
【0051】
フランジ部232は、筒部231の一端から全周にわたって放射方向に突出する第一流出体241の部分である。また、フランジ部232には、複数の流出孔216を形成する平面の第一接合部243を複数備えている。本実施の形態の場合、第一接合部243は、一面に円環状に配置されている。
【0052】
第二流出体242は、流出体211の一部を構成する部材である。これらの図に示すように、第二流出体242は、第一流出体241のフランジ部232と突き合わせ状態で接合されて、複数の流出孔216を形成している。また、第二流出体242は、複数の流出孔216の全てと連通し原料液を貯留する空間を形成する凹部255を備えている。また、第二流出体242は、第一接合部243と接合され流出孔216を形成する溝245が設けられる第二接合部244を備えている。
【0053】
第一流出体241の第一接合部243と第二流出体242の第二接合部244とを突き合わせて、第一流出体241と第二流出体242を組み合わせれば、第二接合部244に設けられている溝245が第一接合部243の面で塞がれて、流出孔216が形成される。本実施の形態の場合、流出体211は、第二接合部244の溝245と、第一接合部243の面との組合せは複数個、具体的には24個備えている。
【0054】
第一流出体241と第二流出体が組み合わされた流出体211(図6参照)は、筒部231を通過する原料液300を空間中に流出させる流出孔216が放射方向に設けられる部材となる。また、第一流出体241のフランジ部232と第二流出体242とは、流出孔216の先端開口部が円周上に並んで配置される先端部116と、先端部116から中央方向に向かって相互の間隔が徐々に広がるように配置され、先端部116から流出孔216を挟むように延設される二つの側面部117とを備える。
【0055】
本実施の形態の場合、フランジ部232の直径は、10mm以上、300mm以下の範囲から採用されることが好適である。あまり大きすぎると、流出体211の回転軸が偏心するなど、重量バランスが少しでも偏ると大きな振動が発生してしまい、当該振動を抑制するために流出体211を強固に支持する構造が必要となるからである。一方、小さすぎると遠心力により原料液300を流出させるための回転を高めなければならず、駆動源の負荷や振動など問題が発生するためである。
【0056】
流出体211は、上記フランジ部232と第二流出体242とを備えることで、隣り合う流出孔216と流出孔216との間が先端部116で繋がっているので、イオン風の発生を抑制し、安定した状態でナノファイバ301を製造することが可能となる。また、側面部117は先端部116に向かって徐々に細くなるように配置されているため、先端部116に電荷を集中させやすく、原料液300に効率的に電荷を供給することができる。
【0057】
また、流出体211は、図3に示すように、筒部231が軸受215で回転可能に固定されており、駆動源213によって軸を中心に回転するものとなっている。一方、流出体211は、図8に示すように、加圧手段130により筒部231の内部に配置されるピストン235に力Aが与えられ、筒部231内部に貯留される原料液300が第一流出体241と第二流出体242とで囲われた空間に供給することができるものとなっている。
【0058】
以上により流出体211は、回転による遠心力と加圧手段130による圧力により原料液300を流出させることができるものとなっている。
【0059】
加圧手段130は、筒部231の内方に配置されるピストン235に力Aを付与する装置である。本実施の形態の場合、気体の圧力でピストン235に力Aを付与するものとなっている。なお、加圧手段130は、流出体211の回転を維持したままピストン235に力Aを加えることができるものであれば、ステムなどを利用して機械的に力Aをピストン235に付与するものでもよい。また、加圧手段130は、筒部231の内部に原料液300を圧送するポンプなどでもよい。この場合、ポンプにより原料液300に対して与えられる供給圧力が原料液300を流出させる圧力となる。
【0060】
なお、上記本願発明の実施の形態を説明したが、本願発明は上記に限定されるものではない。
【0061】
例えば、図9に示すように、両端が開口する筒形状の第三流出体236を備えてもかまわない。第三流出体236は、複数の第一接合部243と接合され複数の流出孔216を形成する溝245が設けられる複数の第三接合部247を一端部に有し、第二接合部244と接合され複数の流出孔216を形成する平面の第四接合部248を他端部に有する部材である。第三流出体236と第一流出体241と第二流出体242とを組み合わせることで、第一流出体241と第二流出体242とからなる流出体211より流出孔216の数を増加させることが可能となる。
【0062】
また、第二接合部244や第三接合部247に設けられる溝245の断面形状は、図示するような半円形ばかりでなく矩形など任意の形状を採用しうる。また、第一接合部243も平面に限定されるわけではなく、第二接合部244に設けられる溝245に対応する位置に溝が設けられてもかまわない。当該溝の断面形状も半円形や矩形等任意の形状を採用しうる。
【0063】
また、溝245の断面形状や大きさ、数などが異なる第二流出体242の種類を複数準備し、使用する原料液300の粘度などに応じて、第二流出体242を交換するだけで、流出孔216の孔径や流出孔216の数が異なる流出体211を実現することが可能となる。さらに、溝245の形状が異なる第三流出体236の種類を複数準備すれば、第二流出体242や第三流出体236の組合せによりバリエーションに飛んだ流出体211を容易に実現することが可能となる。この場合、第一流出体241の第一接合部243は、平面であることが好ましい。種類の異なる第二流出体242や第三流出体236の組合せに柔軟に対応することができるからである。
【0064】
次に、本願発明に必須の構成ではないが、原料液300の飛行経路を制御する気体流発生手段203等について説明する。
【0065】
気体流発生手段203は、図3に示すように、流出体211から流出される原料液300の飛行方向を所定の方向に変更するための気体流を発生させる装置である。気体流発生手段203は、流出体211の背部に備えられ、流出体211の後方から先端に向かう気体流を発生させる。本実施の形態の場合、気体流発生手段203は、流出体211から径方向に流出される原料液300を軸方向に変更することができる風力を発生させることができるものとなっている。図3において、気体流は矢印で示している。本実施の形態の場合、気体流発生手段203として、放出手段200の周囲にある雰囲気を強制的に送風する軸流ファンを備える送風機が採用されている。
【0066】
風洞体209は、気体流発生手段203で発生した気体流を帯電電極221から流出体211の流出孔216近傍に案内する導管である。本実施の形態の場合、風洞体209により案内された気体流は、帯電電極221の内側を通過した後、流出体211の流出孔216から流出された原料液300と交差し、原料液300の飛行方向を変更する。
【0067】
次に、ナノファイバ製造装置100が備える収集手段110、誘引手段120について説明する。
【0068】
収集手段110は、図1、図2に示すように、放出手段200から放出されるナノファイバ301を収集するための装置であり、被堆積部材101と、移送手段104と、供給手段111とを備えている。
【0069】
被堆積部材101は、静電延伸現象により製造され飛来するナノファイバ301を堆積させる部材である。本実施の形態の場合、被堆積部材101は、堆積したナノファイバ301と容易に分離可能な材質で構成された薄く柔軟性のある長尺のシート状の部材である。
【0070】
移送手段104は、被堆積部材101を移送することができる装置である。本実施の形態の場合、長尺の被堆積部材101を巻き取りながら供給手段111から引き出し、堆積するナノファイバ301と共に被堆積部材101を搬送するものとなっている。移送手段104は、不織布状に堆積しているナノファイバ301を被堆積部材101とともに巻き取ることができるものとなっている。
【0071】
誘引手段120は、空間中を飛行するナノファイバ301を所定の場所に誘引するための装置である。ナノファイバ301を誘引する方法としては、気体流を吸引することでナノファイバ301を誘引する方法と、帯電しているナノファイバ301を電界(電場)により誘引する方法とを例示することができる。本実施の形態の場合、誘引手段120は、気体流を吸引する方式と電界で誘引する方式とを選択的に、または、同時に実施することができる装置が採用されており、吸引手段102と、誘引電極121と誘引電源122とを備えている。
【0072】
吸引手段102は、被堆積部材101を通過する気体流を強制的に吸引する装置である。本実施の形態では、吸引手段102は、漏斗状のフード103と送風機105とを備えている。送風機105は、シロッコファンや軸流ファンなどの送風機であって、被堆積部材101から送風機105に向かう気体流を発生させることができる装置である。
【0073】
また、吸引手段102は、原料液300から蒸発した溶媒が混ざったほとんどの気体流を吸引し、吸引手段102に接続される溶剤回収装置106まで前記気体流を搬送することができるものとなっている。
【0074】
誘引電極121は、帯電したナノファイバ301を誘引するための電界を発生させるための電極である。本実施の形態の場合、気体流を通過させることのできる金属製の網が採用されている。
【0075】
誘引電源122は、誘引電極121を所定の電圧及び極性に維持することができる直流電源である。本実施の形態の場合、誘引電源122は、0V(接地状態)から200KV以下の範囲で自由に電圧と極性を変更することができる直流電源である。
【0076】
次に、上記構成のナノファイバ製造装置100を用いたナノファイバ301の製造方法を説明する。
【0077】
まず、放出手段200に回転可能に取り付けられている第一流出体241に、第二流出体242を組み付ける。これにより、流出体211が形成される(組み立て工程)。具体的には、フランジ部232の外径がΦ60mmの第一流出体241を用いた。第一流出体241と第二流出体242との組合せにより形成される流出孔216は、周方向等間隔に24個設けられており、孔径は0.3mmであった。
【0078】
次に、気体流発生手段203により、流出体211から収集手段110に向かう気体流を発生させる(気体流発生工程)。一方、吸引手段102により、気体流を吸引する。以上の状態で、風量が30m3/分となるよう調整した。
【0079】
ここで、ナノファイバ301を構成する樹脂であって、原料液300に溶解、または、分散する溶質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、アラミド、ポリイミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等およびこれらの共重合体等の高分子物質を例示できる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明は、上記樹脂に限定されるものではない。
【0080】
原料液300に使用される溶媒としては、揮発性のある有機溶剤などを例示することができる。具体的に例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、ピリジン、水等を挙示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明に用いられる原料液300は上記溶媒を採用することに限定されるものではない。
【0081】
さらに、原料液300に無機質固体材料を添加してもよい。当該無機質固体材料としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等を挙げることができるが、製造されるナノファイバ301の耐熱性、加工性などの観点から酸化物を用いることが好ましい。当該酸化物としては、Al23、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B23、P25、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb23、As23、CeO2、V25、Cr23、MnO、Fe23、CoO、NiO、Y23、Lu23、Yb23、HfO2、Nb25等を例示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明の原料液300に添加される物質は、上記添加剤に限定されるものではない。
【0082】
原料液300における溶媒と溶質との混合比率は、選定される溶媒の種類と溶質の種類とにより異なるが、溶媒量は、約60重量%から98重量%の間が望ましい。好適には溶質が5〜30重量%となる。
【0083】
本実施の形態の場合、ナノファイバ301の材質はPVA(ポリビニルアルコール)を選定し、原料液300は、溶媒を水とし、水にPVAを10重量%で溶解したものを用いた。
【0084】
次に、帯電電源222により帯電電極221を正または負の高電圧とする。これにより先端部116に電荷が集中し、当該電荷が流出孔216を通過する原料液300に転移し、原料液300が帯電する(帯電工程)。このように、先端部116に電荷が集中し、当該電荷で原料液300が帯電するため、原料液300は強い帯電状態(高い電荷密度)で空間中に流出することとなる。
【0085】
前記帯電工程と同時期に、加圧手段130により筒部231の内部のピストン235を押圧し、原料液300を第一流出体241と第二流出体242との間に吐出すると共に、流出体211を駆動源213により回転させて、遠心力により流出孔216から帯電した原料液300を流出する(流出工程)。
【0086】
流出体211は、2000rpmで回転させ、原料液300を流出させた。一方、帯電電極221は内径Φ600mmのものを用い、帯電電源222により帯電電極221を接地電位に対して負の60KVとした。これにより、流出体211には正の電荷が誘導され、正に帯電した原料液300が流出することとなる。
【0087】
流出体211の径方向に流出された原料液300は、気体流により飛行方向が変更され、気体流により案内される。ここで、原料液300の帯電状態と帯電電極221とは逆極性であるため、クーロン力により引きつけられて帯電電極221の方向に向いて飛行しようとするが、帯電電極221に向かうほとんどの原料液300が気体流により押し戻され、被堆積部材101に向かって飛行することとなる。
【0088】
原料液300は静電延伸現象によりナノファイバ301を製造しつつ(ナノファイバ製造工程)放出手段200から放出される。ここで、原料液300は、強い帯電状態(高い電荷密度)で流出しているため、静電延伸現象が容易に発生し、流出した原料液300のほとんどがナノファイバ301に変化していく。また、原料液300は、強い帯電状態(高い電荷密度)で流出しているため、静電延伸現象が何次にもわたって発生し、線径の細いナノファイバ301が大量に製造される。
【0089】
また、前記気体流を、図示しない加熱手段により加熱してもかまわない。そうすることにより、原料液300に熱を与えて溶媒の蒸発を促進し静電延伸現象を促進することができる。
【0090】
この状態において、被堆積部材101の背方に配置される吸引手段102は、蒸発した蒸発成分である溶媒と共に気体流を吸引し、ナノファイバ301を被堆積部材101上に誘引する(誘引工程)。また、電圧が印加された誘引電極121により電界が発生し、当該電界によってもナノファイバ301が誘引される(誘引工程)。
【0091】
以上により、被堆積部材101上にナノファイバ301が堆積していく(堆積工程)。被堆積部材101は、移送手段104によりゆっくり移送されているため、ナノファイバ301も移送方向に延びた長尺の帯状部材として回収される。
【0092】
ナノファイバ301の製造が終了すると、第一流出体241から第二流出体242を取り外す。これにより、溝245の全体が広く開放されるため、第二接合部244の溝245の内面や、第一接合部243の対応する面に付着したPVAを溶剤やブラッシングにより容易に取り除くことが可能となる(メンテナンス工程)。
【0093】
以上のような構成のナノファイバ製造装置100を用いてナノファイバ301を製造することによって、メンテナンスを容易にすることが可能となる。これにより、ナノファイバ301の高い生産効率を得ることが可能となる。また、流出体211の形状からイオン風などに影響されることなく、品質の高いナノファイバ301を高密度で製造することが可能となる。
【0094】
また、異なる種類の原料液300を用いてナノファイバ301を製造しようとする場合でも、第二流出体242や、第三流出体236を組み合わすことで、原料液300の性質やナノファイバ301の品質に応じた流出体211を容易に実現することが可能となる。
【0095】
なお、上記実施の形態では、原料液300を遠心力を用いて流出させたが、本願発明はこれに限定されるわけではない。流出体211を回転させることなく加圧手段130のみにより原料液300を流出させるものでもかまわない。
【0096】
また、本願発明において流出体211の形状は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、特許請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。例えば、フランジ部232および第二流出体242の側面部117が傾斜しなくてもよく、フランジ部232と第二流出体242が合体したものが、筒部231より径が大きい円筒形状であってもよい。フランジ部232がなくて、筒部231のみで流出体211を構成してもよい。この場合、筒部211の周壁に流出孔216が一周配置され、流出孔216の位置において、第一流出体と第二流出体とが分離されるものとなる。また、筒部が存在せず、フランジ部232のみで流出体211を構成してもよい。この場合、フランジ部23に直接原料液300が供給される。
【0097】
また、図面には放出手段に対し収集手段を左右方向に記載しているが、これは単なる本願発明を実現しうる態様の一つを例示したに過ぎない。すなわち、特許請求の範囲において原料液を放出する方向や、製造されたナノファイバを収集する方向を限定する文言は記載していないが、これは図面の記載に限定する意図を示しているのではなく、本願発明にとって前記方向は本質的な要素ではないことを示している。従って、原料液を放出する方向は全球方向のいずれであっても本願発明の範囲内であり、ナノファイバを収集する方向は全球方向のいずれであっても本願発明の範囲内である。また、放出手段と収集手段との位置関係も本願発明の本質的な要素ではない。よって、放出手段が収集手段の上方に配置されても、放出手段が収集手段の下方に配置されていても、放出手段と収集手段とを仮想的に結ぶ線が鉛直方向に交差していてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本願発明は、ナノファイバを用いた不織布の製造、特に膜厚の厚い不織布の製造に利用可能である。
【符号の説明】
【0099】
100 ナノファイバ製造装置
101 被堆積部材
102 吸引手段
103 フード
104 移送手段
105 送風機
106 溶剤回収装置
110 収集手段
111 供給手段
116 先端部
117 側面部
120 誘引手段
121 誘引電極
122 誘引電源
130 加圧手段
200 放出手段
201 流出手段
202 帯電手段
203 気体流発生手段
205 加熱手段
209 風洞体
211 流出体
212 回転軸体
213 駆動源
215 軸受
216 流出孔
221 帯電電極
222 帯電電源
223 接地手段
231 筒部
232 フランジ部
235 ピストン
236 第三流出体
241 第一流出体
242 第二流出体
243 第一接合部
244 第二接合部
245 溝
247 第三接合部
248 第四接合部
255 凹部
300 原料液
301 ナノファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料液を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバを製造するナノファイバ製造装置であって、
原料液を空間中に流出させる複数の流出孔を放射方向に備える流出体と、
前記流出体と所定の間隔を隔てて配置される帯電電極と、
前記流出体と前記帯電電極との間に所定の電圧を印加する帯電電源とを備え、
前記流出体は、
組み合わせた際に複数の流出孔を形成し、分解した際に複数の流出孔を当該流出孔の向きとほぼ垂直な方向に分割する第一流出体と第二流出体とを備える
ナノファイバ製造装置。
【請求項2】
前記第一流出体は、
複数の流出孔を形成する平面の第一接合部を複数備え、
前記第二流出体は、
複数の前記第一接合部と接合され流出孔を形成する溝が設けられる第二接合部を複数備える
請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項3】
さらに、
両端が開口する筒形状の第三流出体であって、複数の前記第一接合部と接合され複数の流出孔を形成する溝が設けられる複数の第三接合部を一端部に有し、複数の前記第二接合部と接合され複数の前記流出孔を形成する平面の第四接合部を他端部に有する第三流出体
を備える
請求項2に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項4】
前記第二流出体は、複数の流出孔の全てと連通し原料液を貯留する貯留空間を形成する凹部を備える
請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項5】
前記第一流出体は、
内方に原料液が流通する筒形状の筒部と、前記筒部の一端から全周にわたって放射方向に突出するフランジ部とを備え、
前記第一流出体の前記フランジ部と前記第二流出体とが組み合わされて流出孔を形成し、前記流出孔を挟んで対向する前記フランジ部の側面と前記第二流出体の側面とが、前記フランジ部の放射方向の先端から中央方向に向かって相互の間隔が徐々に広がるように配置される
請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項6】
前記第一流出体は、
内部に原料液が流通する筒部であって、軸受によって回転可能に保持される筒部を備え、
当該ナノファイバ製造装置はさらに
前記第一流出体に回転力を付与する駆動源を備える
請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項7】
原料液を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバを製造するナノファイバ製造方法であって、
原料液を空間中に流出させる複数の流出孔を放射方向に備える流出体であって、組み合わせた際に複数の流出孔を形成し、分解した際に複数の流出孔を当該流出孔の向きとほぼ垂直な方向に分割する第一流出体と第二流出体とを備える流出体から原料液を流出させる流出工程と、
前記流出体と所定の間隔を隔てて配置される帯電電極と、前記流出体との間に所定の電圧を印加する帯電工程と
を含むナノファイバ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−144488(P2011−144488A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8538(P2010−8538)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「革新的部材産業創出プログラム/新産業創造高度部材基盤技術開発/先端機能発現型新構造繊維部材基盤技術の開発」にかかる委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】