説明

ナノ光触媒ゾル及びその用途

【課題】 本発明は、ナノサイズ化された光触媒のゾル及びその適用に関する。
【解決手段】 本発明は、基材上に光触媒層を被覆するために、球形のナノ光触媒及び非球形のナノ光触媒ゾルを利用する。球形の光触媒と非球形の光触媒との間のステレオ的な、絡み合った複合構造のために、結合剤なしで、硬く、接着性の良い、良好な光触媒活性を持つ光触媒の被覆層を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球形のナノ光触媒及び非球形のナノ光触媒から構成されるナノ光触媒ゾルに関する。このナノ光触媒ゾルによって高い接着性及び良好な活性を持つ光触媒層を作製すればよい。
【背景技術】
【0002】
ナノ技術は、10−9メータ(1ナノメータは、10−9メータに等しい)のサイズで材料を製造し、その特性を評価し、そのようなナノサイズの材料の特定の特性を装置の作製に応用する技術である。ナノ材料は多種多様の役割を担い、半導体、金属、ポリマー、生体医学、カーボンチューブなどの分野にわたる。ナノ材料は通常、その電気的、光学的、磁気的及び化学的な特性と共に適用される。ナノ材料の新規の特徴はまた、触媒の表面積を高めるために工業用の触媒にも適用可能である。装置の機械的強度を高めるためにナノ材料のドーピングを使用することもできる。半導体をナノサイズに変えることは、電子及びホールの高い量子閉じ込めを成し、照明効率及び半導体レーザーの分解温度を高めることができる。ナノサイズ化された半導体の利用性によって光学成分及び電気成分のサイズをさらに小さくすることができる。ナノ技術によって電子成分、光学成分、磁気成分及びバイオ成分の一体化が可能になるであろう。
【0003】
ナノ光触媒は、我々の生活環境を改善するために広範に使用され、徐々に世間に受け入れられてきた。ナノ光触媒は一般に30ナノメートルより小さい粒度を意味する。紫外線(波長380ナノメートル未満)照射下で、汚染物質を酸化又は還元することができるナノ粒子の表面に活性種を生じる。さらに、ナノ光触媒コーティング層は、光誘起の親水性が高く、くもり防止剤、防塵剤及びそのほかの自己清浄機能に適用することができる。ナノ光触媒は、汚染物質の除去、空気清浄、浄水、脱臭、抗菌、防塵及びくもり防止の目的で広範に使用されている。
【0004】
抗菌効果及び汚染物質除去効果のその活性にもかかわらず、粒子形態でのナノ光触媒はそのままでは使用することができない。ナノ粒子は、たとえば、セラミック、ガラス、壁、金属又は一部のプラスチック材のような特定の基材の表面に固定化しなければならない。また、基材の表面はナノ光触媒で酸化されず、又は分解されない。不動化後のナノ光触媒粒子と基材との間の接着性は、光触媒の耐用期間を決定する主な因子である。便宜上、不動化の工程は、水性ゾルに調製されたナノ光触媒によって行われる。現在、ナノ光触媒のゾルは出発材料としての金属塩から生成される。一般のチタニア光触媒の例では、前駆体としてチタンアルカノ酸化物塩及びチタン無機塩を用いて粒度100ナノメートル未満のチタニア光触媒ゾルを合成する。ナノ光触媒ゾルを調製するそのほかのアプローチは、ナノ光触媒の粉末を直接水と混合することを含む。しかしながら、そのようなアプローチは、後に続く接着工程でナノ粒子をさらに耐久的且つ機能的にするための分散の問題に対処する必要がある。すなわち、ナノ光触媒が基材に強く接着すれば、機能を発揮し続け、脱塵、脱臭、抗菌、くもり防止及び自己清浄の作用が長期間維持される製品になるであろう。
【0005】
チタニアのナノ光触媒技術の開発では、台湾特許第349981号が非結晶性の過酸化チタンのゾルを製造する方法を開示しており、その際、TiClを出発材料として用い、アンモニア水でpH2から6に滴定した後、低温で(15℃未満)過酸化水素と共に加え、次いで、常温で7から10日間培養して、非結晶性の過酸化チタンのゾルを得る。この過酸化チタンのゾルはコーティングに関して問題がある。しかし、ナノ光触媒コーティングとして使用するためにそれをさらに、高温の仮焼(250から940℃)に供さねば
ならず、基材の表面は、ナノ光触媒ゾルの接着性を高めるために界面活性剤による親水性の前処理を受けなければならない。台湾特許第460321号は、非晶性の過酸化チタンのゾルを提案しており、それは、基材のコーティングの前に100℃での熱処理の後結晶性の過酸化チタンのゾルになるか、又は基材のコーティングの前に二酸化チタン粉末が光触媒ゾルに混合される。別の台湾特許第491883号は、コーティング剤として非晶性の過酸化チタンのゾルを、及び基材コーティングのための中間層として誘電性又は導電体を含有するセラミックの使用を提案している。台湾特許第448219号では、基材表面を覆うための下塗りとして界面活性剤及び溶媒又は二酸化ケイ素が使用されている。台湾特許第279175号は、光触媒コーティング組成物を形成するための非分解性の結合剤(フルオロポリマー)とチタニア粒子との混合物を提案している。
【特許文献1】台湾特許第349981号
【特許文献2】台湾特許第460321号
【特許文献3】台湾特許第491883号
【特許文献4】台湾特許第448219号
【特許文献5】台湾特許第279175号
【特許文献6】台湾特許第1230690号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術から見ると、一部は、有機添加剤を光触媒ゾルに直接加えて基材へのナノ光触媒の接着性を改善する。しかし、添加剤とナノ光触媒粒子の不均一な混合物及び化学的/物理的な不適合性の問題があり、それは、ナノ光触媒ゾルの安定性及び機能性に影響を与える。一部は、ナノ光触媒ゾルのコーティングの前に基材表面への接着剤の層の表面を覆い、基材へのその接着を高める。しかし、そのようなアプローチはさらなる工程を必要とし、基材の材料の使用を限定する。実際、現在利用可能なナノ光触媒ゾルは、基材上のコーティング層が剥れ易く、それによって光触媒の耐用期間に悪影響が出るという接着の問題に陥る傾向がある。
【0007】
従来技術の欠点に対処するために、本発明の目的は、優れた光触媒効果を備えた、さらに硬く接着性の高いコーティング層を形成する光触媒ゾルを提供することである。光触媒のコーティング層は剥がれにくく、従って、光触媒の耐用期間が延長される。本発明のもう1つの目的は、結合剤の使用によって光触媒活性が抑えられないように、結合剤なしの光触媒ゾルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するために、本発明のナノ光触媒ゾルは、少なくとも実質的に球形のナノ光触媒及び非球形のナノ光触媒ゾルを含み、非球形のナノ光触媒ゾルは非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の光触媒材料を含有する。
【0009】
ナノ光触媒ゾルの実施態様は、少なくとも実質的に球形のナノ光触媒及び非球形のナノ光触媒ゾルを混合することによって調製され、この際非球形のナノ光触媒ゾルは非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の光触媒材料を含有する。
【0010】
球形のナノ光触媒は、粉末又はゾルの形態であり、好ましくはゾルの形態である。
さらに、本発明のナノ光触媒ゾルは、物体の表面のコーティングに使用される。従って、本発明はまた、少なくとも実質的に球形のナノ光触媒及び非球形のナノ光触媒ゾルを含み、その際、非球形のナノ光触媒ゾルは非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の光触媒材料を含有する、ナノ光触媒コーティングゾルを提供する。
【0011】
ナノ光触媒コーティングゾルが基材の表面に塗布されると、ナノ光触媒膜を伴った基材
を形成し、その際、ナノ光触媒膜は、少なくとも実質的に球形のナノ光触媒、非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の光触媒材料を含有する。
【0012】
本発明のナノ光触媒ゾルは、少なくとも実質的に球形のナノ光触媒、非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の光触媒材料を含む。本発明は、部分的に非結晶性の光触媒材料の存在下で、球形のナノ光触媒及び非球形のナノ光触媒の構造的交差架橋及びスタッキングを利用して、結合剤を使用することなく、良好な光触媒活性を備え、硬度の高いコーティングを基材上に形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のナノ光触媒ゾルは、少なくとも実質的に球形のナノ光触媒及び非球形のナノ光触媒ゾルを含み、非球形のナノ光触媒ゾルは非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の光触媒材料を含有する。
【0014】
「実質的に球形のナノ光触媒」という表現は、ナノ光触媒が顕微鏡的に、長軸対短軸の比率が1.5未満で球形に似た外見を有し、粒子の表面が凸凹(たとえば、突起又はへこみ)を有してもよいことを意味する。実質的に球形のナノ光触媒の実際の例は、日本の石原産業株式会社により製造されたSTS−01及びSTS−21並びにドイツのザハトレーベン・ケミー(Sachtleben Chemie)によって製造されたHombikatXXS−100である。
【0015】
「非球形のナノ光触媒」という表現は、ナノ光触媒が顕微鏡的に、長軸対短軸の比率が1.5を超える、好ましくは2を超える非球形の外見を有することを意味する。たとえば、台湾特許第1230690号で開示されたチタニアのナノ光触媒では、粒子の長軸は、10から60ナノメートルの範囲であり、短軸は5から20ナノメートルの範囲である。
【0016】
本発明のナノ光触媒ゾルにおける実質的に球形のナノ光触媒と非球形のナノ光触媒の質量比は、好ましくは1:3から3:1の範囲内である。
「ナノ光触媒」とは、紫外線又は可視光もしくはその両方の照射のもとで化合物を触媒する/分解することができるナノサイズ化された材料を意味する。球形のナノ光触媒の材料には、二酸化チタン、セレン化カドミウム、酸化亜鉛及び二酸化スズのような光触媒活性を有することが知られるナノ材料が挙げられる。
【0017】
本発明のナノ光触媒ゾルは、少なくとも実質的に球形のナノ光触媒、非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の光触媒材料を混合することによって調製される。部分的に非結晶性の光触媒材料には、二酸化チタン、セレン化カドミウム、酸化亜鉛、二酸化スズ又はこれらの混合物が挙げられる。実施態様の1つでは、本発明のナノ光触媒ゾルは、少なくとも実質的に球形のナノ光触媒及び非球形のナノ光触媒ゾルを混合することによって作製され、その際、非球形のナノ光触媒ゾルは非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の光触媒材料を含有する。
【0018】
加水分解及び加熱(すなわち、酸化金属を調製するための既知のゾルゲル法)によって酸化金属の非球形のナノ光触媒ゾルを調製する際、加熱還流の最終工程が緩慢な結晶化工程を含む場合、得られる酸化金属の外見は、非球形(長軸対短軸の比が2を超える)である傾向がある。すなわち、本発明の非球形のナノ光触媒は、工程での冷却速度を落とすことによって形成されてもよい。さらに、加熱還流工程における時間が不十分であれば、光触媒における結晶化度を変化させることができ、その結果、ゾルにおいて結晶性の非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の酸化金属を生じる。
【0019】
本発明で使用される非球形のナノ光触媒には、二酸化チタン、酸化亜鉛及び二酸化スズ
を含む光触媒活性を備えた既知のナノ材料が挙げられる。
二酸化チタンのナノ光触媒の例では、その調製は台湾特許第1230690号に含まれている。手短に言えば、前駆体としてチタン塩を用い、アルカリ性ゾル(たとえば、アンモニア水又は水酸化ナトリウム)と混合することによってそれを沈殿させて水酸化チタンを得る。次いで過酸化水素又は酸性種(たとえば、硝酸、塩酸又はシュウ酸)を用いてそれを解膠する。さらに、無機改質剤を用いて二酸化チタンゾルの特性を変更する。最終的に、解膠したゾルを40から110℃にて2時間から48時間加熱した後、非球形の光触媒の粒子を持つ二酸化チタンが得られる。
【0020】
本発明のナノ光触媒ゾルにおけるナノ光触媒は、粉末の形態で直接添加してもよいし、先ず、ゾルの形態に調製してもよい。好ましい実施態様では、ナノ光触媒を先ずゾルの形態に調製すると、液体/液体混合を容易にするが、粉末を直接添加すると凝集を招く可能性がある。
【0021】
本発明のナノ光触媒ゾルは、スプレー、塗装、スピンコート及び浸漬を含む既知の技法によって基材の表面上にコーティング層を形成してもよい。本発明の光触媒コーティング層は、上述した球形のナノ光触媒、非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の光触媒材料を含み、その中で、球形のナノ光触媒がコーティングの主要な構造を構成する一方で、非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の光触媒材料は、コーティング層の骨格要素及び接着成分を提供する。コンクリートのような絡み合ったコーティング層の構造は、良好な接着をもたらし、及び加熱又は乾燥の工程の後、高い硬度を示す。コーティング層の表面は、絡み合った構造のために、従来技術よりもさらに多孔性である。光触媒層の多孔性構造は、さらに良好な光誘発の活性を提供し、特に結合剤は添加しない。
【0022】
本発明の利点を実施例の説明においてさらに記載するが、実施例における記載は、本発明の実際の適用における限定として解釈すべきではない。
(実施例1)本発明の光触媒ゾルの接着性、硬度及び親水性
先ず、最後の加熱還流工程を減らす台湾特許第1230690号公報に開示された方法に従って、部分的に非結晶性の二酸化チタンを含有するチタニア光触媒ゾルを調製する。次に、ゾルにおける二酸化チタンの含量に基づいて、調製されたそのゾルを、市販の球形二酸化チタンナノ光触媒ゾル(ザハトレーベン・ケミーによるHombikatXXS−100;その二酸化チタン含量は15.2パーセント)と混合する。よく混合した後、球形の二酸化チタンのナノ光触媒をそれぞれ、ゾルの40パーセント、50パーセント及び60パーセントとする。次に、球形の二酸化チタン及び非球形の二酸化チタン(部分的に非結晶性の二酸化チタンも含む)を含有する調製されたゾル(コントラスト群)をセラミックタイルの表面にスプレーして薄膜を形成する。各試験検体を600℃で5分間加熱する。この時、各試験検体上の光触媒の重量は0.002±0.0005グラムである。次に、各試験検体の接着性及び硬度を測定する。2から3センチメートルの試験検体を45度の角度で30回こするステッドラー社の消しゴムによって接着性を調べた。鉛筆硬度計によって硬度を調べた。親水性の試験は、自己清浄性能を反映するので、親水性表面は、疎水性の油又は塵の接着は少ない傾向がある。一般に、親水性は検体表面と水との間の接触角によって測定される。接触角が小さければ小さいほど、基材表面の親水性は良好である。逆に、接触角が大きいと基材表面が疎水性であることを意味する。平方センチメートル当たり1ミリワット強度(315から400ナノメートル)の2時間照射の後、4マイクロリットルの脱イオン水を検体に滴下するファーストテンオングストローム社のFTA−125を用いて親水性を調べた。
【0023】
試験結果を以下の表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
*接着性試験については、「チェックマーク」は検体がパスしたことを意味し、「X」は剥がれが生じたことを意味する。
表1に示すように、基材表面上の本発明の光触媒ゾルのコーティングは、良好な接着性、高い硬度及び良好な親水性を示す。
【0026】
(比較例1)本発明の光触媒ゾルの接着性、硬度及び空気浄化性能の市販製剤との比較
基材表面上の様々な製剤によるコーティング層の接着性及び硬度を比較した。比較下の製品には、1.市販の球形光触媒ゾル、2.市販の球形光触媒ゾル+0.1パーセントSiO結合剤、3.非球形の光触媒ゾル、4.本発明の光触媒ゾルが含まれる。上述4種の製剤をセラミックタイルの表面にスプレーし、それを600℃未満で5分間加熱することによって比較を行った。2から3センチメートルの試験検体を45度の角度で30回こするステッドラー社の消しゴムによって接着性を調べた。鉛筆硬度計によって硬度を調べた。
【0027】
空気浄化性能について試験検体を調べた。試験は、JIS R1701−1に従って行われ、試験の気体流は1リットル/分であり、各試験検体上の光触媒の重量は0.002±0.0005グラムであり、標準の気体は一酸化窒素(NO)であった。乾燥及び湿潤の空気が流量計に供給され、相対湿度を50パーセント及びNOの濃度を1ppmに制御した。試験気体の濃度が安定した後、それを光触媒の反応器に導入し、紫外線を作動させる前に検体が吸収反応を示すかどうかについて30分間観察した。その光触媒活性を調べるためにUV光のもとで検体を5時間照射した後、標準気体を止め、脱離が生じるかどうかについて検体をさらに30分間観察した。
【0028】
試験結果を以下の表2に示す。
【0029】
【表2】

【0030】
*接着性試験については、「チェックマーク」は検体がパスしたことを意味し、「X」は剥がれが生じたことを意味する。
表2に示すように、市販の球形光触媒ゾルは、空気浄化能は最良であるが、コーティングが擦った際、剥がれる傾向があり、良好な接着性を示さない。SiO結合剤を加えた検体は、良好な接着性を示すが、消しゴムで30回擦った後、それはやはり剥がれた。本発明の光触媒ゾルは、台湾特許第1230690号に従って行ったものに類似する接着性及び硬度を示すので、商業的用途の価値を持つ。
【0031】
表2に示すように、本発明の光触媒ゾルを用いて調製された検体は、NOx除去という点では市販の光触媒コーティングに次いで2番目にすぎないが、上述の接着性試験で示されるように、その接着性は市販の製剤にはるかに優れる。本発明の光触媒ゾルの空気浄化性能は、それが結合剤を含まず、さらに大きな反応面積を提供しているので、結合剤を添加した製品よりもはるかに良好である。本発明の光触媒ゾルは、台湾特許第1230690号で開示された特許の製品の光触媒効果をさらに高める。
【0032】
要約すれば、本発明のナノ光触媒ゾルを用いて基材表面上に光触媒のコーティング層を形成してもよい。球形のナノ光触媒、非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の光触媒材料が絡み合った構造であるために、その形成されたコーティング層は、高い接着性、高い硬度及び優れた光触媒活性を持つ。
【0033】
(他の実施態様)
本明細書で開示される本発明の特徴はすべて、他の方法と組み合わせることができ、各特徴は、同一の、同等の又は類似の目的によって選択的に置き換えられてもよい。従って、特に卓越した特徴を除いて、記載で開示される特徴はすべて同等の又は類似の特徴の例示にすぎない。
【0034】
本発明の好ましい実施態様が実施例で開示されている。しかしながら、実施例は、本発明の実際の適用可能な範囲における限定として解釈されるべきではなく、従って、本発明の精神から逸脱しない修正及び変更のすべて、並びに添付のクレームは保護された本発明の範囲及びクレームの範囲内にとどまらなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ光触媒ゾルであって、
少なくとも1種類の実質的に球形のナノ光触媒と、
非球形のナノ光触媒ゾルとを含有し、
前記非球形のナノ光触媒ゾルは非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の光触媒材料を含有するナノ光触媒ゾル。
【請求項2】
前記球形のナノ光触媒と前記非球形のナノ光触媒の質量比が、1:3から3:1の範囲にある、請求項1に記載のナノ光触媒ゾル。
【請求項3】
前記球形のナノ光触媒が、二酸化チタン、セレン化カドミウム、酸化亜鉛又は二酸化スズである、請求項1に記載のナノ光触媒ゾル。
【請求項4】
非球形のナノ光触媒が、二酸化チタン、酸化亜鉛又は二酸化スズである、請求項1に記載のナノ光触媒ゾル。
【請求項5】
部分的に非結晶性の光触媒材料が、二酸化チタン、セレン化カドミウム、酸化亜鉛又は二酸化スズである、請求項1に記載のナノ光触媒ゾル。
【請求項6】
ナノ光触媒ゾルが、光触媒コーティングに使用される請求項1に記載のナノ光触媒ゾル。
【請求項7】
少なくとも1種類の実質的に球形のナノ光触媒と、
非球形のナノ光触媒と、
部分的に非結晶性の光触媒材料とを含有する、ナノ光触媒コーティングゾル。
【請求項8】
球形のナノ光触媒が、二酸化チタン、セレン化カドミウム、酸化亜鉛又は二酸化スズである、請求項7に記載のナノ光触媒コーティングゾル。
【請求項9】
非球形のナノ光触媒が、二酸化チタン、酸化亜鉛又は二酸化スズである、請求項7に記載のナノ光触媒コーティングゾル。
【請求項10】
部分的に非結晶性の光触媒材料が、二酸化チタン、セレン化カドミウム、酸化亜鉛又は二酸化スズである、請求項7に記載のナノ光触媒コーティングゾル。
【請求項11】
少なくとも1種類の実質的に球形のナノ光触媒と、
非球形のナノ光触媒と、
部分的に非結晶性の光触媒材料とを含有するナノ光触媒ゾル。
【請求項12】
ナノ光触媒ゾルが、前記実質的に球形のナノ光触媒と非球形のナノ光触媒ゾルを混合することによって作製され、非球形のナノ光触媒ゾルが
非球形のナノ光触媒と、
部分的に非結晶性の光触媒材料を含む、請求項11に記載のナノ光触媒ゾル。
【請求項13】
球形のナノ光触媒が粉末又はゾルの形態である、請求項12に記載のナノ光触媒ゾル。
【請求項14】
球形のナノ光触媒がゾルの形態である、請求項12に記載のナノ光触媒ゾル。
【請求項15】
球形のナノ光触媒が、二酸化チタン、セレン化カドミウム、酸化亜鉛又は二酸化スズで
ある、請求項11に記載のナノ光触媒ゾル。
【請求項16】
非球形のナノ光触媒が、二酸化チタン、酸化亜鉛又は二酸化スズである、請求項11に記載のナノ光触媒ゾル。
【請求項17】
部分的に非結晶性の光触媒材料が、二酸化チタン、セレン化カドミウム、酸化亜鉛又は二酸化スズである、請求項11に記載のナノ光触媒ゾル。
【請求項18】
表面にナノ光触媒膜を持つ基材であって、ナノ光触媒膜が、少なくとも球形のナノ光触媒、非球形のナノ光触媒及び部分的に非結晶性の光触媒材料を含む基材。
【請求項19】
球形のナノ光触媒が、二酸化チタン、セレン化カドミウム、酸化亜鉛又は二酸化スズである、請求項18に記載の基材。
【請求項20】
非球形のナノ光触媒が、二酸化チタン、酸化亜鉛又は二酸化スズである、請求項18に記載の基材。
【請求項21】
部分的に非結晶性の光触媒材料が、二酸化チタン、セレン化カドミウム、酸化亜鉛又は二酸化スズである、請求項18に記載の基材。

【公開番号】特開2007−167833(P2007−167833A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−223463(P2006−223463)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(598132657)インダストリアル テクノロジー リサーチ インスティチュート (26)
【Fターム(参考)】