説明

ナノ粒子材料の制御作製

ナノ粒子を生成する方法であって、ナノ粒子前駆体組成物のナノ粒子材料への転化を生じさせることを含み、前記前駆体組成物は、成長しているナノ粒子に組み込まれる第1イオンを含有する第1前駆体種及び成長しているナノ粒子に組み込まれる第2イオンを含有する第2前駆体種を有し、前記転化は、ナノ粒子のシーディング及び成長が可能な条件の下で分子クラスター化合物が存在する場合に生じ、該方法は、分子クラスター化合物と、前記ナノ粒子を生成するために用いられるナノ粒子前駆体組成物の総量より少ないナノ粒子前駆体組成物の最初の分量とを、適切な分散媒体において第1温度で分散させることと、クラスター化合物及び前駆体組成物を含む分散媒体の温度を、前記分子クラスター化合物の分子クラスター上のナノ粒子のシーディング及び成長を生じさせるのに十分な第2温度に上昇させることと、成長しているナノ粒子を含む分散媒体にナノ粒子前駆体組成物の1又は複数の更なる分量を加えることとを含み、ナノ粒子前駆体組成物の前記又は各更なる分量を加える前、加えている間、及び/又は加えた後に、成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を上昇させる方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多くの場合量子ドット及び/又はナノ結晶と呼ばれる、2〜100nm程度の寸法の粒子からなる化合物半導体の作製及び特徴づけに対して多くの関心が持たれてきた(非特許文献1〜8)。この関心は、主にそれらの光学的、電子的及び化学的特性のためである。これらの研究は、サイズ調整可能な電子的、光学的、化学的特性により主に生じ、また、多くの新たな新進の応用の中で、生物学的ラベリング、太陽電池、触媒作用、生物学的イメージング、発光ダイオードのように多様な、現在の商業的応用からの範囲に及ぶ光学的及び電子的装置における更なる小形化の必要性により生じた(非特許文献9、10)。
【背景技術】
【0002】
以前の例が幾つか文献に見られるが(非特許文献11)、最近、より微細な粉末へと固体を砕くことを含む「トップダウン」技術からではなく、再現可能な「ボトムアップ」技術から方法が開発されてきた。それによって、粒子は原子毎に、即ち「湿式」化学法を用いて分子からクラスターへそして粒子へと作製される(非特許文献12、13)。
【0003】
現在まで最も多く研究され作製されてきた半導体材料は、カルコゲニドII−VI材料、即ちZnS、ZnSe、CdS、CdSe、CdTeである。最も顕著であるのは、そのスペクトルの可視域上の調整能力のため、CdSeである。上述の如く、半導体ナノ粒子は、同一材料ではあるがマクロ結晶バルク形状のものとは異なるそれらの独特の特性のため、学術的及び商業的な関心が持たれている。共に個々のナノ粒子のサイズに関係がある2つの根本的要因が、それらの独特の特性の原因である。第1には、大きい表面積対体積比であり、粒子がより小さくなるにつれて、内部の原子に対する表面原子の数の比率が増加する。このため、材料全体の特性において表面特性が重要な役割を果たすことになる。第2の要因は、半導体ナノ粒子はサイズと共に材料の電子的特性が変化するということ、更に言えば、粒子のサイズが減少するにつれて、量子閉じ込め効果のためバンドギャップが徐々により大きくなるということである。この効果は、『箱の中の電子』の閉じ込めによって、対応するバルク半導体材料における連続的バンドではなく、原子及び分子において観察されるエネルギー準位と同様の離散的エネルギー準位が生じている結果である。このように、半導体ナノ粒子においては、第1励起子遷移より大きいエネルギーを有する電磁放射、光子の吸収によって生じた「電子及び正孔」が、物理パラメータのため、対応する巨視的結晶質材料においてより互いに間近であるので、クーロンの交互作用を無視できない。このことは狭バンド幅放出につながり、これは粒子サイズ及び組成に依存する。このように、量子ドットは対応する巨視的結晶質材料より高い運動エネルギーを有するので、第1励起子遷移(バンドギャップ)は、エネルギーにおいて増加し、それと共に粒径は減少する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単一半導体材料と共に外側の有機不動態化層からなる単一コアナノ粒子は、欠陥において起こっている電子正孔再結合、及び非放射電子正孔再結合につながるナノ粒子表面上のダングリングボンドのため、比較的低い量子効率を有する傾向がある。欠陥及びダングリングボンドを除去する1つの方法は、バンドギャップがより広く、コア材料との格子不整合が小さい第2の材料をコア粒子の表面にエピタキシャルに成長させ、(例えば他のII−VI材料)「コアシェル粒子」を生成することである。コアシェル粒子は、コアに閉じ込められたあらゆるキャリアを非放射再結合の中心として働くおそれのある表面状態から分離する。1つの例は、CdSeコアの表面に成長させたZnSである。シェルは通常、バンドギャップがコア材料より広く、コア材料の格子に対してほとんど格子不整合がない材料であり、2つの材料間の界面の格子歪みを可及的に小さくする。過度の歪みは更に、結果として欠陥及び非放射電子正孔再結合を生じ、その結果、量子効率が低くなることがある。
【0005】
如何なるコア、コアシェル又はコアマルチシェル(非特許文献14)ナノ粒子においても、最終無機表面原子の周りの配位は、反応性の高い「ダングリングボンド」が表面上にあって不完全であり、これは粒子の凝集につながることがある。この問題は、保護用有機基で「裸の」表面原子を不動態化(キャッピング)することによって解決される。粒子のキャッピング又は不動態化は、粒子の凝集が起こることを防止するだけでなく、その周囲の化学環境から粒子を保護すると共に、コア材料の場合において粒子を電子的に安定(不動態化)させている。キャッピング剤は通常、粒子の最外側無機層の表面金属原子に共有結合したルイス塩基化合物という形をとるが、最近では、粒子を複合体に含められる様、有機系又は生物系が、更なる化学合成のために化学官能基で粒子周辺に束を形成している有機ポリマー、又は更なる化学合成のために化学官能基で粒子の表面に直接結合された有機基という形をとることができる。
【0006】
半導体ナノ粒子の作製のための多くの合成方法が報告されてきた。初期のルートは従来のコロイド水性化学を利用したが、より最近の方法は、有機金属化合物を用いたナノ結晶子の動力学的に制御された沈殿を含んでいる。
【0007】
過去6年にわたって、重要な問題は、均一の形状、サイズ分布及び量子効率の点で高品質な半導体ナノ粒子の合成に関わってきた。このことが、単分散度<5%、量子収量>50%で半導体ナノ粒子を日常的に生成することができる多くの方法につながってきた。これらの方法のほとんどは、Murray、Norris及びBawendiによって説明された当初の「核生成及び成長」方法(非特許文献15)に基づくが、用いられた有機金属前駆体以外のものを用いている。Murrayらは当初、金属アルキル(RM)、M=Cd、Zn、Te、R=Me、Etの有機金属溶液、及びトリ−n−オクチルホスフィン(TOP)に溶解させたトリ−n−オクチルホスフィンスルフィド/セレニド(TOPS/Se)を用いた。これらの前駆体溶液を、作製されている材料に応じて温度範囲120〜400℃の熱いトリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)に注入する。これによって、II−VI材料のTOPOコート/キャップ半導体ナノ粒子が作製される。粒子のサイズは、温度、用いられる前駆体の濃度及び合成が行なわれる延べ時間によって制御され、より高い温度、より高い前駆体濃度及び長期にわたる反応時間でより大きい粒子が得られる。この有機金属のルートは、他の合成方法に勝る効果があり、<5%近い単分散度及び高い粒子の結晶化度を含む。上述の如く、単分散度が<5%及び量子収量が>50%(作製された溶液のコアシェル粒子について)の高品質コア及びコアシェルナノ粒子を日常的に生じさせるこの方法の多くのバリエーションが現在文献に現われ、多くの方法が高度なサイズ(非特許文献16)及び形状(非特許文献17)制御を示してきた。
【0008】
最近、よりエキゾチックでなくてより高価でもないが必ずしもより環境にやさしいというわけでもない「よりグリーンな」前駆体の使用が着目されてきた。これらの新たな前駆体には、酸化物、CdO(非特許文献18)、炭酸塩MCO、M=Cd、Zn、酢酸塩M(CHCO)、M=Cd、Zn、及びアセチルアセタネート[CHCOCH=C(C)CH]、M=Cd、Zn等が含まれる。(非特許文献19、20)
【0009】
(半導体粒子合成において「よりグリーンな」前駆体という用語を用いることは、揮発性で空気及び水分に敏感な当初用いられた有機金属より安価で、すぐに利用でき、そして容易に扱える前駆体出発材料という意味を一般にとってきていて、「よりグリーンな前駆体」は環境にやさしいということをもはや必ずしも意味しない)。
【0010】
単一源前駆体は、他の化合物半導体ナノ粒子と同様に、II−VIの半導体ナノ粒子材料の合成においても役立ってきた。ビス(ジアルキルジチオ/ジセレノカルバメート)カドミウム(II)/亜鉛(II)化合物、M(ECNR)(M=Zn又はCd、E=S又はSe及びR=アルキル)は同様の『ワンポット』合成法を用いてきて、それは、前駆体をトリ−n−オクチルホスフィン(TOP)に溶解させてから200℃を超える熱いトリ−n−オクチルホスフィンオキシド/トリ−n−オクチルホスフィン(TOPO/TOP)へ急速に注入することを含んでいた。
【0011】
それらの増加した共有結合的性質のため、III−V及びIV−VI高結晶質半導体ナノ粒子は作製がより困難であり、ずっと長いアニーリング時間が通常要求される。しかしながら、同様の手法によって作製されているII−VI及びIV−VI材料GaN(非特許文献21)、GaP(非特許文献22)、GaAs(非特許文献22、23、24、25、26)、InP(非特許文献27、28、29)、InAs(非特許文献30、27)、そしてPbS(非特許文献31)及びPbSe(非特許文献32)について現在多くの報告(非特許文献15)がある。
【0012】
上記全ての方法について、急速な粒子核生成に続く遅い粒子成長が、狭い粒子サイズ分布のために不可欠である。これらの合成方法は全て、Murrayらによる当初の有機金属「核生成及び成長」方法(非特許文献15)に基づく。これは、ルイス塩基配位性溶媒(キャッピング剤)の熱溶液へ前駆体を急速に注入することを含み、この溶媒も前駆体の1つを含有していてもよい。それより冷たい溶液を追加することで、その後反応温度が低下し、粒子成長は促進されるが、更なる核生成は阻害される。温度はそれから一定期間維持され、結果として生じる粒子のサイズは、反応時間、温度、及び用いられた前駆体に対するキャッピング剤の比率によって決まる。結果として生じる溶液を冷却してから過度の極性溶媒(メタノール又はエタノール又は時にはアセトン)を添加し、濾過又は遠心によって隔離できる粒子の沈殿物を生成する。
【0013】
根本的に、これらの製法は全て、粒子の核生成に続く成長という原理に依存していて、更に言えば、ナノ粒子の単分散集合を有するため、ナノ粒子の核生成は、より後で、より低い温度において生じるナノ粒子の成長から適切に分離しなければならない。これは、一方又は両方の前駆体を、粒子の核生成を起こす熱い配位性溶媒(別の方法で存在しない場合、他方の前駆体を含有する)へ急速に注入することによって達成される。しかしながら、注入後突然それより冷たい溶液を添加することで、その後反応温度が低下し(添加する溶液の容量は全溶液の約1/3である)、更なる核生成が阻害されて狭いナノ粒子サイズ分布が維持される。粒子成長は、成長する粒子に利用可能な前駆体の量によるが、表面触媒過程であるか又はオストワルド熟成を経ていて(非特許文献33)、その低下した温度で続き、このように核生成と成長が分離される。この方法は、反応の全体にわたって相同温度を保ちながら1つの溶液を急速に他のものに添加することができる小規模合成でよく機能する。しかしながら、大容積の溶液同士を互いに急速に注入する必要があるより大きな作製規模のとき、反応中に温度差が生じることがあり、これがその後大きな粒子サイズ分布につながることがある。
【0014】
単一源分子クラスターからの作製で、Cooney及び共同研究者らは、クラスター[SCd10(SPh)16][MeNH]を用い、ヨウ素による表面キャッピングSPh配位子の酸化を経てCdSのナノ粒子を生成した。このルートは、大多数のクラスターのイオンへの細分化に続き、これらが残りの[SCd10(SPh)16]4−クラスターによって消費され、これらが後にCdSのナノ粒子へと成長する(非特許文献34)。Strouse(非特許文献35)及び共同研究者らは、同様の合成手法を用いたが、化学剤よりむしろ熱分解(分散熱温度上昇)を使用して粒子成長を起こした。更に言えば、単一源前駆体[M10Se(SPh)16][X]、X=Li又は(CH)NH、M=Cd又はZnを熱分解することによって幾つかのクラスターの細分化を起こし、続いて、その他のものを、自由M及びSeイオンのスカベンジングから、又は、単に、凝集してより大きいクラスターそして後により大きい粒子へと成長し続ける小さいナノ粒子を形成しているクラスターから成長させた。
【0015】
分子クラスターの完全性が維持され、これが作製済みのシードテンプレートとしての役割を果たし、ナノ粒子を生成するために存在する化学前駆体と反応する条件の下で、分子クラスター化合物の存在下で化学前駆体からナノ粒子を生成する方法は、同時係属国際特許出願PCT/GB2005/001611号において説明される。
【0016】
本発明の重要な特徴は、前駆体組成物のナノ粒子への転化が、分子クラスター化合物が存在する場合に生じるということである。それによって、クラスター化合物の同一の分子がシード、つまり、ナノ粒子成長が開始され得る核生成点として働く。このように、分子クラスターによって適当な核生成サイトが既に系に提供されているので、ナノ粒子成長を生じさせるのに高温核生成ステップが必要でない。クラスター化合物の分子は、テンプレートとして働いてナノ粒子成長を導く。『分子クラスター』は、関連技術分野で広く理解されている用語であるが、明確にするため、ここでは、クラスター化合物の全ての分子が同じ相対分子式を所有するように十分に明確に定義された化学構造の3つ以上の金属原子及びそれらに関連した配位子のクラスターに関するものであると理解されるべきである。このように、1つのHO分子が他のHO分子と同一であるのと同様に、分子クラスターは互いに同一である。他の方法で使用される核生成サイトより非常に明確に定義されている核生成サイトを提供することによる。分子クラスター化合物を用いることで、本質的に単分散であるナノ粒子の集合が提供できる。この方法の有意な利点は、容易に拡大することができるということである。適当な分子クラスター化合物を生成する方法は当該技術内で知られていて、その例はケンブリッジ結晶学データセンター(www.ccdc.ca.ac.uk)で見ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の態様によると、ナノ粒子を生成する方法を提供し、該方法は、ナノ粒子前駆体組成物のナノ粒子材料への転化を生じさせることを含み、前記前駆体組成物は、成長しているナノ粒子に組み込まれる第1イオンを含有する第1前駆体種及び成長しているナノ粒子に組み込まれる第2イオンを含有する第2前駆体種を有し、前記転化は、ナノ粒子のシーディング及び成長が可能な条件の下で分子クラスター化合物が存在する場合に生じ、前記方法は、分子クラスター化合物と、前記ナノ粒子を生成するために用いられるナノ粒子前駆体組成物の総量より少ないナノ粒子前駆体組成物の最初の分量とを、適切な分散媒体において第1温度で分散させることと、クラスター化合物及び前駆体組成物を含む分散媒体の温度を、前記分子クラスター化合物の分子クラスター上のナノ粒子のシーディング及び成長を生じさせるのに十分な第2温度に上昇させることと、成長しているナノ粒子を含む分散媒体にナノ粒子前駆体組成物の1又は複数の更なる分量を加えることとを含み、ナノ粒子前駆体組成物の前記又は各更なる分量を加える前、加えている間、及び/又は加えた後に、成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を上昇させる。
【0018】
本発明の第2の態様によると、ナノ粒子を生成する方法を提供し、該方法は、ナノ粒子前駆体組成物のナノ粒子材料への転化を生じさせることを含み、前記前駆体組成物は、成長しているナノ粒子に組み込まれる第1イオンを含有する第1前駆体種及び成長しているナノ粒子に組み込まれる第2イオンを含有する別個の第2前駆体種を有し、前記転化は、ナノ粒子のシーディング及び成長が可能な条件の下で分子クラスター化合物が存在する場合に生じ、前記方法は、分子クラスター化合物と、前記ナノ粒子を生成するために用いられる前記第1及び第2前駆体種のうちの1つの総量より少ない、前記第1及び第2前駆体種のうちの1つの最初の分量とを、適切な分散媒体において第1温度で分散させることと、クラスター化合物及び前記第1及び第2前駆体種のうちの1つを含む分散媒体の温度を、前記分子クラスター化合物の分子クラスター上のナノ粒子のシーディング及び成長を生じさせるのに十分な第2温度に上昇させることと、成長しているナノ粒子を含む分散媒体に前記第1及び第2前駆体種のうちの1つの1又は複数の更なる分量を加えることとを含み、前記第1及び第2前駆体種のうちの1つの前記又は各更なる分量を加える前、加えている間、及び/又は加えた後に、成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を上昇させる。
【0019】
本発明は、任意の所望の形状のナノ粒子を生成する方法に関するものであり、結果的に高純度となるこのような粒子の単分散集団の簡単な生成を可能にするものである。本発明は、あらゆる特定のサイズ、形状又は化学組成のナノ粒子を生成することに適していると想定される。ナノ粒子は、2〜100nmの範囲内のサイズを有することができる。特に関心の持たれているナノ粒子のサブクラスは、量子ドット又はナノ結晶としても知られている化合物半導体粒子に関するそれである。
【0020】
本発明は、他の前駆体がある場合には、粒子成長を開始するためにシーディング分子クラスターを溶媒(配位又はその他)に入れる反応によるナノ粒子の大規模な合成に関する。本発明は、シーディング分子クラスターが、反応溶液内に存在する他の前駆体からの粒子成長を生じさせるテンプレートとして使用される国際特許出願PCT/GB2005/001611号において開示された技術と類似の技術を用いる。シーディング剤として用いられる分子クラスターは、前もって製造するか又はシーディング剤としての役割を果たす前にその場で作製してもよい。本発明で、ナノ粒子を生成するために用いられる総量よりも少ない前駆体が、ナノ粒子成長が生じる前に、クラスター化合物を含む分散媒体に存在し、そして、反応が進行して温度を上昇させるにつれて、前駆体の更なる量が分散媒体の反応混合物に周期的に追加される。好ましくは、前記更なる前駆体は、溶液として液滴で、又は固体として加えられる。
【0021】
本発明の方法は、ナノ粒子前駆体組成物の、所望のナノ粒子への転化に関する。本発明の第1の態様に関する適当な前駆体は、成長しているナノ粒子に2つ以上のイオンが組み込まれる単一源前駆体、又は、2つ以上の別個の前駆体それぞれが、成長しているナノ粒子に包含されるイオンを少なくとも1つ有する多源前駆体を含む。本発明の第2の態様に関する好適な前駆体には、多源前駆体が含まれる。
【0022】
用いられている分子クラスター化合物及びナノ粒子前駆体組成物の性質によって、成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を任意の適切な率で上昇させてもよい。好ましくは、分散媒体の温度は0.05℃/分〜1℃/分の範囲の率で上昇させ、より好ましくは、0.1℃/分〜1℃/分の範囲の率で、そして最も好ましくは、成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度は、約0.2℃/分の率で上昇させる。前記分散媒体の温度は、第1温度から第2温度に、0.05℃/分〜2℃/分、更に好ましくは、0.5℃/分〜1.5℃/分の率で上昇させてもよい。
【0023】
分子クラスター化合物に対する第1及び第2ナノ粒子前駆体のモル比は、形成されているナノ粒子の構造、サイズ及び組成と共に、ナノ粒子前駆体、キャッピング剤、サイズ支配化合物及び溶媒のような他の試剤の性質及び濃度に応じて任意適当なものを用いればよい。クラスター化合物のモル数の第1及び第2前駆体種に対する総モル数の特に有用な比率は、好ましくは0.0001〜0.1(クラスター化合物のモル数):1(第1及び第2前駆体種の総モル数)、より好ましくは0.001〜0.1:1、更に好ましくは0.001〜0.060:1の範囲内であることが見出されている。クラスター化合物のモル数の第1及び第2前駆体種の総モル数に対する更に好ましい比率は、0.002〜0.030:1、より好ましくは0.003〜0.020:1の範囲内である。特に、クラスター化合物のモル数の第1及び第2前駆体種に対する総モル数の比率は、0.0035〜0.0045:1の範囲内であることが好ましい。
【0024】
第1前駆体種の第2前駆体種に対するモル比は、任意適当なものを用いればよいと想定される。例えば、第1前駆体種の第2前駆体種に対するモル比は、100〜1(第1前駆体種):1(第2前駆体種)、より好ましくは50〜1:1の範囲内であってもよい。第1前駆体種の第2前駆体種に対するモル比の更に好ましい範囲は、40〜5:1、より好ましくは、30〜10:1の範囲内である。幾つかの用途では、ほぼ等しいモル量の第1及び第2前駆体種が本発明の方法において用いられることが好ましい。第1前駆体種の第2前駆体種に対するモル比は、好ましくは0.1〜1.2:1、より好ましくは0.9〜1.1:1、そして最も好ましくは1:1の範囲内である。他の用途では、一方の前駆体種のモル数を他方の前駆体種と比較してほぼ2倍用いることが適当であってもよい。このように、第1前駆体種の第2前駆体種に対するモル比は、0.4〜0.6:1の範囲内であってよく、より好ましくは、第1前駆体種の第2前駆体種に対するモル比は、0.5:1である。上記前駆体モル比は、第2前駆体種の第1前駆体種に対するモル比に関連するように逆にしてもよいということが理解されるべきである。従って、第2前駆体種の第1前駆体種に対するモル比は、100〜1(第2前駆体種):1(第1前駆体種)、より好ましくは50〜1:1、40〜5:1、又は30〜10:1の範囲内であってよい。更に、第2前駆体種の第1前駆体種に対するモル比は、0.1〜1.2:1、0.9〜1.1:1、0.4〜0.6:1の範囲内であってもよく、又、0.5:1であってもよい。
【0025】
前記第1イオンは、周期表の2族、周期表の12族、周期表の13族、及び周期表の14族からなる群から選択されることが好ましい。
【0026】
好ましくは、前記第2イオンは、周期表の14族、周期表の15族、及び周期表の16族からなる群から選択される。
【0027】
分散媒体の第1及び第2温度は任意の適当な値をとることができるが、本発明の第1の態様の好ましい実施形態では、前記第1温度は、15℃〜60℃の範囲内である。前記第2温度は90℃〜150℃であってよい。本発明の第2の態様の好ましい実施形態においては、第1温度は15℃〜80℃の範囲内である。第2温度は、140℃〜300℃の範囲内であってよい。
【0028】
ナノ粒子前駆体組成物の前記又は各更なる分量を、成長しているナノ粒子を含む分散媒体に液滴で加えるのが好ましい。
【0029】
ナノ粒子前駆体組成物の前記又は各更なる分量を、成長しているナノ粒子を含む分散媒体に任意の望ましい率で加えてもよい。前記前駆体組成物は前記分散媒体に、分散媒体1リットルにつき0.1ml/分〜20ml/分の範囲の率で加えるのが好ましく、より好ましくは、分散媒体1リットルにつき1ml/分〜15ml/分の範囲の率で、また最も好ましくは、1リットルの分散媒体につき約5ml/分の率である。
【0030】
好ましくは、ナノ粒子前駆体組成物の前記最初の分量は、前記ナノ粒子を生成するために用いられるナノ粒子前駆体組成物の総量の約90%以下である。ナノ粒子前駆体組成物の前記最初の分量は、前記ナノ粒子を生成するために用いられるナノ粒子前駆体組成物の総量の約10%以下であってもよい。
【0031】
成長しているナノ粒子を含む分散媒体にナノ粒子前駆体組成物の1つの更なる分量を加える好ましい実施形態において、前記1つの更なる分量は、前記ナノ粒子を生成するために用いられるナノ粒子前駆体組成物の総量の約90%以下である。
【0032】
成長しているナノ粒子を含む分散媒体にナノ粒子前駆体組成物の複数の更なる分量を加える更なる好ましい実施形態において、前記各更なる分量は、前記ナノ粒子を生成するために用いられるナノ粒子前駆体組成物の総量の約45%以下である。前記各更なる分量は、前記ナノ粒子を生成するために用いられるナノ粒子前駆体組成物の総量の約10%以下であってもよい。
【0033】
前記分子クラスター化合物は、該分子クラスター化合物及びナノ粒子前駆体組成物の最初の分量を前記分散媒体において分散させる前に、前記分散媒体においてその場で形成されることが好ましい。
【0034】
本発明の好適な実施形態において、前記プロセスは、ナノ粒子前駆体組成物がCd(CHCOを含まないという条件を前提とする。更なる好適な実施形態は、前記プロセスが、ナノ粒子前駆体組成物がTOPSeを含まないという条件を前提とすると定める。前記プロセスは、ナノ粒子前駆体組成物がCd(CHCO及びTOPSeを含まないという条件を前提としてもよい。なお更なる好適な実施形態において前記プロセスは、成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を、24時間にわたり50℃以外の率で上昇させるという条件を前提とする。
【0035】
本発明の第2の態様を形成している方法に関して、前記方法が、分散媒体が前記第2温度にある時、前記ナノ粒子を生成するために用いられる第1及び第2前駆体種の他方の総量より少ない前記第1及び第2前駆体種の前記他方の最初の分量を分散媒体に加えることを、更に含むことが好ましい。
【0036】
好ましくは、前記第1及び第2前駆体種の前記他方の1又は複数の更なる分量を、成長しているナノ粒子を含む分散媒体に加える。
【0037】
成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度は、第1及び第2前駆体種の前記他方の前記又は各更なる分量を加える前、加えている間、及び/又は加えた後に上昇させてもよい。
【0038】
成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度は、第1及び第2前駆体種の前記他方の前記又は各更なる分量を加える間、およそ前記第2温度で維持されることが好ましい。
【0039】
ナノ粒子成長は、溶液の温度を第2温度から第3温度に下げることによって終了させることができる。
【0040】
前駆体のナノ粒子材料への転化は、任意の適当な溶媒において行なってもよい。本発明の方法において、クラスター化合物の分子の完全性を維持することは重要である。従って、クラスター化合物及びナノ粒子前駆体が溶媒に導入されるとき、クラスター化合物が充分に溶解し、混合することを確実にするために、溶媒の温度は十分に高くなくてはならない。存在する化合物が完全に溶解することは、必要ではないが望ましい。最も好ましくは、クラスター及び前駆体を含む分散媒体の温度が、クラスター化合物分子の完全性を崩壊させるほど高くてはならない。一旦クラスター化合物及び前駆体組成物が溶媒において十分によく溶解すると、このように形成される溶液の温度を、ある温度又は温度範囲まで上昇させる。該温度又は温度範囲は、ナノ粒子成長を生じさせるのに十分に高いが、クラスター化合物分子の完全性を損なうほど高くない。温度の上昇につれて、前駆体の更なる分量を、好ましくは液滴で、又は固体として反応物に加える。そして溶液の温度を、この温度又はこの温度範囲内で、所望の特性を具えたナノ粒子を形成するのに必要な時間維持してもよい。
【0041】
多様な適当な溶媒が利用できる。使用する特定の溶媒は通常、反応種、即ちナノ粒子前駆体及び/又はクラスター化合物の性質、及び/又は形成されるナノ粒子のタイプに、少なくとも部分的に依存する。代表的な溶媒としては、ホスフィン(例えばTOP)、ホスフィンオキシド(例えばTOPO)又はアミン(例えばHDA)のようなルイス塩基型配位性溶媒、又は、アルカン及びアルケンのような非配位性有機溶媒が挙げられる。非配位性溶媒が用いられる場合、以下の理由により、それは、キャッピング剤としての役割を果たす更なる配位剤の存在下で通常使用される。
【0042】
形成されているナノ粒子が量子ドットとして機能することを目的とする場合、完全には配位結合されなかった「ダングリングボンド」である表面原子をキャップして、非放射電子正孔再結合を最小にすると共に、量子効率を低下させ得る又はナノ粒子の凝集を形成し得る粒子凝集を抑制することが重要である。キャッピング剤又は不動態化剤としての役割を果たすこともできる多くの異なる配位性溶媒が知られており、例えばTOP、TOPO、had又はミリスチン酸のような長鎖有機酸である。キャッピング剤としての役割を果たすことができない溶媒が選択される場合、ナノ粒子が成長する間、任意の望ましいキャッピング剤を反応混合物に加えてもよい。このようなキャッピング剤は一般的にルイス塩基であるが、ナノ粒子周辺で保護シースを形成する有機ポリマー及びオレイン酸のような広範囲の他の試剤が利用できる。
【0043】
本発明は、ナノ粒子材料を生成する方法を含む。それは主に、分子クラスターを使用した化合物半導体ナノ粒子であるがそれに制限されず、本質的に分子クラスターの匿名性が欠如している小さいナノ粒子の集合と比較して、クラスターは同一の分子的実体に定義される。本発明は、ナノ粒子の成長をシードするテンプレートとして分子クラスターを用い、これによって、他の分子源、即ち前駆体化合物又は「分子フィードストック」が粒子成長を促すために消費される。分子源(即ち前駆体組成物)は、自由イオンの濃度を最低限に保つように、しかしOswards熟成の発生及びナノ粒子サイズ範囲のばらつきの発生を抑制するため、自由イオンの濃度の維持もするように反応溶液に周期的に加えられる。
【0044】
フィードストック
これらの分子フィードストックは、ナノ粒子の成長のために必要な全ての元素が単一化合物前駆体の中に存在する単一源前駆体の形、又は成長したナノ粒子となるために必要な1又は複数の元素/イオンをそれぞれが含む前駆体の組み合わせであることができる。フィードストックの1つの分量を反応の初めに加え、更なる分量を、粒子成長の反応の全体にわたって周期的に加える。これらのフィードストックは、液体、溶液、固体、スラリー又は気体の形であってもよい。
【0045】
シーディングクラスターのその場での形成
シーディングテンプレートとして使用されるクラスターは、反応の前に予め作製して反応過程の初めに反応溶液に加えてもよく、又はナノ粒子の成長のために用いられる前駆体を加える前に、反応溶液においてその場で形成してもよい。
【0046】
ナノ粒子成長のための条件
ナノ粒子成長は、成長が生じる分散媒体の温度上昇を必要とするが、加熱(熱分解)、塩基又は酸の追加のような反応条件の変化、圧力の上昇(即ち大気圧より非常に大きい圧力を使用)、マイクロ波又は他の電磁放射によって生じさせることができる。
【0047】
作成される系のタイプ
本発明の1つの側面は、多くのナノ粒子材料の作製を目的としていて、量子ドット又はナノ結晶とも呼ばれる化合物半導体粒子を含む。これは、2〜100nmのサイズ範囲内で、以下を含むコア材料を含む。
周期表の2族からの第1元素と、周期表の16族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIIA−VIB(2−16)材料。ナノ粒子材料は、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTeを含むが、これに制限されない。
周期表の12族からの第1元素と、周期表の16族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIIB−VIB(12−16)材料。ナノ粒子材料は、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTeを含むが、これに制限されない。
周期表の12族からの第1元素と、周期表の15族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むII−V材料。ナノ粒子材料は、Zn、ZnAs、Cd、CdAs、Cd、Znを含むが、これに制限されない。
周期表の13族からの第1元素と、周期表の15族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIII−V材料。ナノ粒子材料は、BP、AlP、AlAs、AlSb;GaN、GaP、GaAs、GaSb;InN、InP、InAs、InSb、AlN、BNを含むが、これに制限されない。
周期表の13族からの第1元素と、周期表の14族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIII−IV材料。ナノ粒子材料は、BC、Al、GaCを含むが、これに制限されない。
周期表の13族からの第1元素と、周期表の16族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料を含むIII−VI材料。ナノ粒子材料は、Al、AlSe、AlTe、Ga、GaSe、GeTe;In、InSe、GaTe、InTe、InTeを含むが、これに制限されない。
周期表の14族からの第1元素と、周期表の16族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIV−VI材料。ナノ粒子材料は、PbS、PbSe、PbTe、SbTe、SnS、SnSe、SnTeを含むが、これに制限されない。
周期表の遷移金属における任意の族からの第1元素と、周期表のd−ブロック元素の任意の族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むナノ粒子材料。ナノ粒子材料は、NiS、CrS、CuInSを含むが、これに制限されない。
明細書及び請求項のためのドープナノ粒子という用語によって、上記のナノ粒子、及び1以上の主族又は希土類元素を含むドーパントを指す。これは、多くの場合、MnでドープされたZnSナノ粒子のような、マンガンを有する硫化亜鉛のような遷移金属又は希土類元素であるが、これに制限されない。
【0048】
三元相
明細書及び請求項のための三元相ナノ粒子という用語によって、上記のナノ粒子であるが3成分材料を指す。3つの成分は通常、前述したような族からの元素の組成物であり、例は(ZnCdx−1S)ナノ結晶(Lはキャッピング剤)である。
【0049】
四元相
明細書及び請求項のための四元相ナノ粒子という用語によって、上記のナノ粒子であるが4成分材料を指す。4つの成分は通常、前述したような族からの元素の組成物であり、例は(ZnCdx−1Sey−1)ナノ結晶(Lはキャッピング剤)である。
【0050】
ソルボサーマル
明細書及び請求項のためのソルボサーマルという用語によって、粒子成長を生じさせて持続させるために反応溶液を加熱することを指し、ソルボサーマル、熱分解、thermolsolvol、溶液熱分解、分散熱という意味をとることもできる。
【0051】
コアシェル及びコア/マルチシェル粒子
コア粒子上へ成長する任意のシェル又はそれに続く複数のシェルに用いられる材料は、ほとんどの場合、コア材料と同様の格子形材料となり、即ち、コア上へエピタキシャルに成長することができるようにコア材料に近い格子整合を有するが、この適合性を持った材料に必ずしも制限されるというわけではない。存在するコア上へ成長する任意のシェル又はそれに続く複数のシェルに用いられる材料は、ほとんどの場合、コア材料より広いバンドギャップを有することになるが、この適合性を持った材料に必ずしも制限されるというわけではない。コア上へ成長する任意のシェル又はそれに続く複数のシェルの材料は、以下を含む材料を含むことができる。
周期表の2族からの第1元素と、周期表の16族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIIA−VIB(2−16)材料。ナノ粒子材料は、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTeを含むが、これに制限されない。
周期表の12族からの第1元素と、周期表の16族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIIB−VIB(12−16)材料。ナノ粒子材料は、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTeを含むが、これに制限されない。
周期表の12族からの第1元素と、周期表の15族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むII−V材料。ナノ粒子材料は、Zn、ZnAs、Cd、CdAs、Cd、Znを含むが、これに制限されない。
周期表の13族からの第1元素と、周期表の15族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIII−V材料。ナノ粒子材料は、BP、AlP、AlAs、AlSb;GaN、GaP、GaAs、GaSb;InN、InP、InAs、InSb、AlN、BNを含むが、これに制限されない。
周期表の13族からの第1元素と、周期表の14族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIII−IV材料。ナノ粒子材料は、BC、Al、GaCを含むが、これに制限されない。
周期表の13族からの第1元素と、周期表の16族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料を含むIII−VI材料。ナノ粒子材料は、Al、AlSe、AlTe、Ga、GaSe、GaTe;In、InSe、GaTe、InTe InTeを含むが、これに制限されない。
周期表の14族からの第1元素と、周期表の16族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むIV−VI材料。ナノ粒子材料は、PbS、PbSe、PbTe、SbTe、SnS、SnSe、SnTeを含むが、これに制限されない。
周期表の遷移金属における任意の族からの第1元素と、周期表のd−ブロック元素の任意の族からの第2元素とからなり、又、三元及び四元材料とドープ材料とを含むナノ粒子材料。ナノ粒子材料は、NiS、CrS、CuInS、CuInSeを含むが、これに制限されない。
【0052】
最外側粒子層
キャッピング剤
有機材料又はシース材料の最外側層(キャッピング剤)は、粒子凝集を阻害してナノ粒子を周囲の化学環境から保護すると共に、他の無機、有機又は生物学的材料に対する化学結合の手段を提供するものである。キャッピング剤は、ナノ粒子作製が中で行なわれている溶媒であってもよく、ナノ粒子の表面に対して供与型配位が可能である孤立電子対があるルイス塩基化合物からなり、この型の単又は多座配位子を含むことができるが、ホスフィン(トリオクチルホスフィン、トリフェノールホスフィン、t−ブチルホスフィン)、ホスフィンオキシド(トリオクチルホスフィンオキシド)、アルキルアミン(ヘキサデシルアミン、オクチルアミン)、アリアミン、ピリジン、及びチオフェンに制限されない。
【0053】
最外側層(キャッピング剤)は、メルカプト官能化アミン又はメルカプトカルボン酸に制限されないが、このような、他の無機、有機又は生物学的材料に対する化学結合として用いることができる官能基を処理する配位リガンドからなることができる。
【0054】
最外側層(キャッピング剤)は、重合可能であると共に粒子の周囲でポリマーを形成するために用いることができる官能基を処理する配位リガンド、スチレン官能化アミン、ホスフィン又はホスフィンオキシド配位子に制限されないが、このような重合可能配位子からなることができる。
【0055】
ナノ粒子形状
ナノ粒子の形状は、球体に制限されず、桿体、球体、円板、四脚又は星形からなることができるが、これに制限されない。ナノ粒子の形状は、成長している粒子の特定の格子面と優先して結合し、その後特定の方向の粒子成長を阻害又は遅延させる化合物の添加によって制御する。添加することができる化合物の例は、ホスホン酸(n−テトラデシルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、1−デカンスルホン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、n−オクタデシルホスホン酸)を含むが、これに制限されない。
【0056】
調製方法の説明
本発明は、ZnSコアを包囲するトリオクチルホスフィンオキシド配位子(TOPO)で構成されたII−VI半導体(ZnS)(TOPO)ナノ粒子のような、(ME)粒子においてM及びEが2つの異なる元素であり、Lが配位性有機層/キャッピング剤である、有機層によって粒子凝集及び周囲の化学環境から安定化されてよい純粋な単分散のナノ結晶粒子に導いてもよい。
【0057】
液滴での追加
最初にいくらかの分子クラスター、[HNEt[Cd10Se(SPh)16]そして、少量のMeCd・TOP及びTOPSe(4mmols)を、HDAの融解した溶液に追加し、それから温度を110℃に上昇させ、反応を1時間撹拌し、結果としてCdSe粒子を形成した。MeCd・TOP及びTOPSe(4mmols)を更に液滴で加えることによってPL発光最大の赤方偏移を導き、その場PLプローブ(in situ PL probe)によって監視した。この段階で更なる前駆体が追加される場合、PL最大の更なる赤方偏移はなく、従って粒子はそれ以上成長しなかった。しかしながら、温度を上昇させると(20℃)、再度PL最大は約10nm赤方偏移した。より多くの前駆体が反応溶液に加えられると、PL最大値は10nm赤方偏移した。従って、続いて反応温度を追加的に上昇させるこの前駆体追加のサイクルは、PLピーク最大値が約600nmで、反応温度が240℃になるまで繰り返された(図2C)。それから反応を、80℃に冷却し、更に6時間アニールした。分離の後、これは595nmで最大PLを有し、35nmのFWHMを有する、HDAキャップされたCdSeナノ粒子を生成した。それは粒子と同等であり、従来方法を用いて生成された。
【0058】
半導体材料のナノ粒子を作製するための第1ステップは、分子クラスターをテンプレートとして用いて他の元素源前駆体からのナノ粒子の成長をシードすることである。TOP、TOPO又はHDAのようなホスフィン、ホスフィンオキシド又はアミンに制限されないが、このようなルイス塩基配位化合物、又はオレイン酸のようなキャッピング剤化合物を添加したアルカン(オクタデセンス)のような不活性溶媒である、キャッピング剤ともなり得る高沸点溶媒と、テンプレートとして用いられるべき少量のクラスターを混合することによってこれが達成される。ナノ粒子成長の開始に続いて、反応温度を上昇させ、M及びEの源の前駆体の更なる分量が、好ましくは、液体であれば液滴で、又は多量の固体粉末として、周期的に加えられる。M及びE前駆体源は、一方がMを含有し、他方がEを含有している2つの別々の前駆体の形であるか、又は単一分子の中でM及びEを両方含有する単一源前駆体の形であってもよい。
【0059】
これに更に、成長したナノ粒子の形状を制御する能力を有する他の試剤を反応に添加してもしなくてもよい。これらの添加物は、成長しているナノ粒子の特定の面(格子面)と優先して結合し、粒子のその特定の方向に沿う成長を阻害又は遅延させることができる化合物の形である。三元、四元又はドープ粒子を生成するために、他の元素源前駆体を反応に添加してもしなくてもよい。
【0060】
分子クラスターを配位化合物と混合し、それから、分子クラスターテンプレートの表面に粒子成長が生じるまで、反応混合物を安定した速度で加熱する。多量のM及びE前駆体を、適当な温度で反応混合物に加えてよい。更なる前駆体の追加は、固体の前駆体又は前駆体を含む溶液を一定時間にわたって加えるバッチ追加、又は、連続した液滴での追加の形であってもよい。粒子の核生成及び成長を完全に分離するため、本発明では、反応の温度及び存在する前駆体の濃度によって制御される粒子サイズに関して高度な制御を示す。その場光学プローブ(in situ optical probe)によって、又は反応溶液の分取から、反応溶液のUV及び/又はPLスペクトルから証明されるように、所望の粒子サイズが得られると、温度は約30〜40℃減少してもしなくてもよく、混合物を10分から72時間の期間にわたって「サイズフォーカス」する。
【0061】
コアシェル又はコアマルチシェル粒子を形成するための、形成されたナノ粒子の更なる継続的処理を行なってもよい。ナノ粒子隔離の前又は後にコアシェル粒子作製を行なうことによって、ナノ粒子は反応から隔離されて新たな(きれいな)キャッピング剤に再溶解し、これが結果としてより良好な量子収量となる。N源及びY前駆体源を反応混合物に加えるが、ME/NYコアシェル材料のコアシェル粒子を形成するために、一方がNを含有し、他方がYを含有している2つの別々の前駆体の形でも、又、単一分子の中でN及びYを両方含有する単一源前駆体としてでもよい。
【0062】
所望のコアマルチシェル材料が形成されるまで、適当な元素前駆体でこの過程を繰り返してもよい。粒子の集合におけるナノ粒子サイズ及びサイズ分布は、成長時間、温度及び溶液中の反応物の濃度に依存し、温度が高くなると共に、大きいナノ粒子が生成される。
【0063】
シーディングに用いるクラスターのタイプ
本発明は分子クラスターの使用を含み、これによって用いられるクラスターは、集合における分子クラスターの匿名性を本質的に欠くナノ粒子と比較して、同一の分子的実体である。ナノ粒子の成長のためにクラスターが「胚型」テンプレートとして働くことによって他の分子源前駆体はイオンを成長過程に貢献させるので、クラスターがその後粒子へと成長する。用いられるべき分子クラスターは以下から構成され得る。
他の元素の存在、更に有機部分の有無を問わず、成長すべきようなナノ粒子中で要求される両方の元素。
他の元素の存在、更に有機部分の有無を問わず、成長すべきようなナノ粒子中で要求される一方の元素。
他の元素の存在、更に有機部分の有無を問わず、成長すべきようなナノ粒子中で要求されない元素。
【0064】
用いるクラスターの要件は、他のクラスターの消費を経て、又は存在する前駆体との反応から粒子成長を生じさせることである。このように、粒子成長のテンプレートとしてクラスターを用いることができる。
【0065】
例、用いられるべきクラスターは以下を含むが、これに制限されない。
IIB−VIB:[{(PPh)Hg}(SPh)]:(PhP)[(SEt)(Br)(HgBr)]:(PhP)[Hg(SEt)Br]:[HgTe12][N(CHCHEt)]
IIB−VIB:[EtNH][Cd10Se(SPh)16];[RMEBu]、M=Zn、Cd、Hg;E=S、Se、Te;R=Me、Et、Ph:[X][E10(SR)16]、E=S、Se、Te、M=Zn、Cd、Hg;X=MeNH、Li、EtNH:[Cd3214(SPh)36]L:[Hg10Se(SePh)(PPhPr)];[Hg32Se14(SePh)36];[Cd10Se(SePh)12(PPr)];[Cd32Sel4(SePh)36(PPh)];[M(SPh)12][X]、M=Zn、Cd、Hg;X=Me、Li:[Zn(SEt)Et]10:[MeMEiPr]、M=Zn、Cd、Hg;E=S、Se、Te:[RCdSR’]、R=O(ClO)、R’=PPhPr:[Cd10(E’Ph)12(PR)]、E、E’=Te、Se、S:[CdSe(SePh)12Cl]2−:[MTe12]4−、M=Cd、Hg:[Ph1218Cd10(PEt)]、M=Te、Se。
II−V:[RCdNR’]、R=Cl、Br、I、PEt、C=CSMe;R’=PEt、I:[RCdNR’]、R=アルキル又はアリール基及びR’=アルキル又はアリール基:[{RZn}{PR’}]、R=I、PEtPh、R’=SiMe:[MCl(PPh)(PPr)]、M=Zn、Cd:[Li(thf)][(PhP)10Cd]:[Zn(PPh)Cl(PRR’)]、PRR’=PMePr、PBu、PEtPh:[Zn(pBu)Cl]。
III−V:[EtGaNEt];[MeGaN(4−CF)];(MeGaNiBu);[RAlNR’]、R=Me、CHPr、Ph;R’=Pr、CHPr、CMe;[(SiPr)AsAlH];[PrNAlH];[RAlNR’]、R=Me、Et、Cl、CHPh、CHPr、Ph;R’=Me、H、Br、C=CPh、Pr、(CH)Me、(CH)2NMe、SiPh:[CHGa−NCHCH(CH)]:[MeGaNBu]:[RGaNR’]、R=Ph、Me;R’=Ph、C、SiMeBu:[EtGaNEt]:[RGaPR’]、R=Pr、CMe;R’=Bu:CMe:[RNInR’]、R=Cl、Br、I、Me;R’=Bu、C、CF:[RInPR’]、R=Pr、CMe、Et;R’=SiPh、CMe、SiPr:[RInPR’]、R=Et、R’=SiMe(CMePr)。
III−VI:[(Bu)GaSe];[BuGaS];[RInSe]、R=Bu、CMeEt、Si(Bu)、C((SiMe));[RInS]、R=Bu、CMeEt;[RGaS]、R=Bu、CMeEt、CEt:[SAlR’]、R=C(SMe)、CEtMe:[SAlNMe]:[TeAlR]4、R=Cp*、CEtMe:[(C(SiMe))GaS]:[BuGaS]:[RGaSe]、R=Bu、CMeEt、CEt、C(SiMe)、Cp*、Bu:CdIn1633(HO)20(C1028)2.5
IV−VI:[S{SnR}]、R=C(SiMe)、Me、Ph;[Se{SnR}]、R=C、CMe、p−Tol、C(SiMe)
【0066】
周期表の遷移金属における任意の族からの第1元素と、d−ブロック元素の任意の族からの第2元素とからなる材料は、[Cu12Se(PR)]、R=EtPh、Pr、Cy;[Cu18Te(Bu)(PPhEt)];[Cu19Te(Bu)(PEt)];[CU27Te15(PPrMe)12];[Ni34Se22(PPh)10];[Ag30(TePh)12Te(PEt)12];[Ag30Se(SeBu)14(PnPr)];[Co4(μ−Se)(PPh)];[Co−Se)(PPh)];[WSe(dmPe)Br];RuBi(CO)12;Fe(CO)12;Fe(CO)12を含むが、これに制限されない。
【0067】
M源
元素(ME)からなる化合物半導体ナノ粒子のため、反応に元素M源を更に加えるが、成長している粒子にMイオン源を供給する能力を有する任意のM含有種からなることができる。この前駆体は、有機金属化合物、無機塩、配位化合物又はその元素からなることができるが、これに制限されない。
第1元素のためのII−VI、III−V、III−VI又はIV−Vのための例は、以下を含むが、これに制限されない。
MR、但しM=Mg、R=アルキル又はアリール基(MgBu);MR、但しM=Zn、Cd、Te;R=アルキル又はアリール基(MeZn、EtZn、MeCd、EtCd);MR、但しM=Ga、In、Al、B;R=アルキル又はアリール基[AlR、GaR、InR(R=Me、Et、Pr)]に制限されないが、このような有機金属。
MCO、M=Ca、Sr、Ba、[水酸化炭酸マグネシウム[(MgCO)Mg(OH)];MCO、M=Zn、Cd、;MCO、M=Pb:アセテート:Cd(CHCO)、M(CHCO)、M=Mg、Ca、Sr、Ba;Zn、Cd、Hg;M(CHCO)、M=B、Al、Ga、又はIn、M(CHC)、M=B、Al、Ga、In:アセチルアセトネート(2,4−ペンタンジオネート)のようなβ−ジケトネート又はその誘導体、M[CHCOCH=C(O)CH]、M=Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、又はHg;[CHCOCH=C(O)CH]、M=B、Al、Ga、In。オキザラートSrC、CaC、BaC、SnC、MC、M=Sr、Ca、Ba又はSnC、CdOH)、M=Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Hg及びM(C1735COO)、M=Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hgに制限されないが、このような炭酸塩のような配位化合物。
酸化物SrO、ZnO、CdO、In、Ga、SnO、PbO;硝酸塩Mg(NO)、Ca(NO)、Sr(NO)、Ba(NO)、Cd(NO)、Zn(NO)、Hg(NO)、Al(NO)、In(NO)、Ga(NO)、Sn(NO)、Pb(NO)に制限されないが、このような無機塩。
元素Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg、B、Al、Ga、In、Sn、Pb。
【0068】
E源
元素(ME)からなる化合物半導体ナノ粒子のため、反応に元素E源を更に加えるが、この元素E源は、成長している粒子にEイオン源を供給する能力を有する任意のE含有種から構成されることができる。この前駆体は、有機金属化合物、無機塩、配位化合物又は元素源から構成されることができるが、これに制限されない。第2元素のためのII−VI、III−V、III−VI又はIV−V半導体のための例は、以下を含むが、これに制限されない。
NR、PR、AsR、SbR(R=Me、Et、Bu、Bu、Pr、Ph等);NHR、PHR、AsHR、SbHR(R=Me、Et、Bu、Bu、Pr、Ph等);NHR、PHR、AsHR、SbH(R=Me、Et,Bu、Bu、Pr、Ph等);PH、AsH;M(NMe)、M=P、Sb、As;ジメチルドラジン(MeNNH);エチルアジド(Et−NNN);ヒドラジン(HNNH);MeSiNに制限されないが、このような有機又は水素化物化合物。
MR(M=S、Se、Te;R=Me、Et、Bu、Bu等);HMR(M=S、Se、Te;R=Me、Et、Bu、Bu、Pr、Ph等);チオ尿素S=C(NH);Se=C(NH)
Sn(CH)、Sn(C)、Sn(CH)(OOCH)
炭酸塩、MCO M=二価金属イオンであり、好ましくはM=P、オキシ炭酸ビスマス(BiO)CO;M(CO) M=一価金属イオンである;アセテートM(CHCO)、M=S、Se、Teである:M(CHC)又はM(CHCO)又はM(CHCO)、M=Sn、Pb:アセチルアセトネート(2,4−ペンタンジオネート)のようなβ−ジケトネート又はその誘導体、[CHCOCH=C(O)CH]M、M=Biである;[CHCOCH=C(O)CH]M、M=S、Se、Te:[CHCOCH=C(O)CH]M、M=Sn、Pb:チオ尿素、セレノ尿素(HNC(=Se)NHに制限されないが、このような配位化合物。
酸化物P、As、Sb、Sb、Sb、Bi、SO、SeO、TeO、SnO、PbO、PbO;硝酸塩Bi(NO)、Sn(NO)、Pb(NO)に制限されないが、このような無機塩。
元素:Sn、Ge、N、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Sn、Pb。
【0069】
ME単一源前駆体
元素MEからなる化合物半導体ナノ粒子では、M及びE元素の供給源が、単一源前駆体である単一の化学物質であることも可能であり、用いられる前駆体は、単一分子の中でM及びEを両方含む。この前駆体は、有機金属化合物及び無機塩又は配位化合物(M)Lであることが可能である。ここで、M及びEはナノ粒子の中で要求される元素であり、Lはキャッピング配位子である。
【0070】
M=II及びE=VI元素であるII―VI半導体の例は以下であるが、それに制限されない。ビス(ジアルキルジチオカルバメート)M、(II)複合体又は同族、式M(SCNR M=Zn、Cd、Hg、S=S、Se、O、Te及びR=アルキル基又はアリー(ary)基、CdS Cd[SSiMe、Cd(SCNHNHCl、Cd(SOCR)・py、CdSe[Cd(SePh)
【0071】
III−V半導体には、前駆体は以下であるが、それに制限されない。GaNのために[(Me)GaN(H)Bu] [HGaNH、Gapのために[PhGaP(SiMeGa(Ph)Cl][EtGaP(SiMe3、[EtGaPEt]、[BuGaPH] [MeGaP(Pr)3BuGaPAr´]、[BuGaP(H)C]、GaAsのためにGa(AsBu [EtGaAs(SiMe]、[BuGaAs(SiMe]、GaSbのために[EtGaSb(SiMe]、InPのために[(MeSiCHInP(SiMe] [RInP(SiMe]、[MeInPBu]、InSbのために[MeInSbBu] [EtInSb(SiMe]、[MeInNEt]、[EtAlAsBu]、AlSbのために[BuAlSb(SiMe]、GaAsのために[BuGaAsBu] [MeGaAsBu] [EtGaAsBu]
【0072】
II―V半導体には、前駆体は以下であるが、これに制限されない。Cdのために[MeCdPBu]、Cd[P(SiPh]、Zn又はZn[P(SiPh]
【0073】
IV―VI半導体には、以下であるが、これに制限されない。PbSのために鉛(II)ジチオカルバメート、PbSeのために鉛(II)セレノカルバメート。
【0074】
本発明は、後述の非限定の実施例及び添付の図を参照して説明する。
【実施例】
【0075】
全ての合成及び操作は、乾燥無酸素アルゴン又は窒素雰囲気の下で、標準的なシュレンク及びグローブボックス技術を用いて実行した。全ての溶媒は分析用であって、使用前に適当な乾燥剤から精製される(THF、EtO、トルエン、ヘキサン、ペンタンのためのNa/K−ベンゾフェノン、メタノール及びエタノールのためのマグネシウム、そしてアセトンのための水素化カルシウム)。全ての化学物質は、分析用であり、ヘキサデシルアミン(HDA)(セレン及びTOP)は、商業的に調達され(Adrich)、更なる精製なしで用いた。ジメチルカドミウム(MeCd)は、極度に高純度であって、親切な贈り物としてエピケムから得た。
【0076】
元素分析は、カルロエルバCHNS−O EA1108・元素分析計にて行った。UV−Vis吸収スペクトルは、Heλiosβサーモスペクトロニック上で測定した。光ルミネセンス(PL)スペクトルは、フルオロログ3(FL3-22)光分光器によって励起波長380nmで測定し、スペクトルは、2nmに設定された切れ込みで1秒の統合時間で、又はOcean Optics 2000 USBプローブを用いてその場で測定した。粉末X線回折(PXRD)測定は、モノクロマトのCu−Kα放射線を使用してブルカーAXS D8回折計で行い、試料を平らに取り付け、10°から70°まで0.04°の刻み幅で2.5秒の計数率で走査した。測定は、20°〜60°にわたって、3°の角度で2θ値で、1秒の計測時間で0.04°ずつ視射角発生率検出器を用いて行なった。
【0077】
ナノ粒子の形態及び粒度分布を観察するため、そして蛍光X線(EDAX)のエネルギー分散方式分析のために、フィリップスCM200透過電子顕微鏡を用いた。TEM及びEDAXのサンプルは、トルエンにおけるサンプルの希釈した懸濁液を一滴、銅グリッド(300メッシュ、Agar Scientific)に置くことによって調製した。過剰な溶媒は、室温で乾燥させた。
【0078】
クラスター作製
[HNEt[Cd(SPh)10]の作製
ベンゼンチオール(20.00g、182mmol)及びトリエチルアミン(18.50g、182mmoL)の撹拌されたメタノール(60ml)溶液に、あらかじめメタノール(60mL)に溶解させたCd(NO4HO(21.00g、68.00mmol)を液滴で加えた。リチウム塩を作製する試みにおいて、40ml mLにおいて溶解させた硝酸リチウム(18.50g、182mmol)を加えた。それから、沈殿物が完全に溶解して透明溶液になるまで溶液を温め、その間撹拌した。それから24時間の間5℃で置かれ、その間に[HNEt[Cd(SPh)10]の大きな無色の結晶が形成された。FW=1745.85。C728210CdのAnal.Calcu C=49.53、H=4.70、N=1.61、S=18.37、Cd=25.75%;Found、C=49.73、H=4.88、N=1.59、S=17.92%。
【0079】
[HNEt][Cd10Se(SPh)16]の作製
Danceら(非特許文献47)によって説明された方法と同様の方法による。
[HNEt][Cd(SPh)10](80.00g、45.58mmol)の撹拌したアセトニトリル(100ml)溶液に、3.57g、45.21mmolのセレニウム粉末を加え、結果として生じたスラリーを12時間放置して攪拌すると白い沈殿物が生成された。更に750mlのアセトニトリルを加え、この溶液を75℃まで温めて澄んだ淡黄色の溶液にして、これを5℃まで冷却すると、大きな無色の結晶が生じた。これらの結晶をヘキサン中で洗浄して、熱いアセトニトリルから再結晶させた。22.50gの[HNEt][Cd10Se(SPh)16]を生じさせるため。FW=3595.19、C120144Se16Cd10のAnal.Calc、C=40.08、H=4.00、N=1.56、S=14.27、Se=8.78、Cd=31.26%、Found、C=40.04、H=4.03、N=1.48、S=14.22、Cd=31.20%。
【0080】
ナノ粒子作製
MeCdTOPを液滴で加えることによる、HDAにおける[HNEt][Cd10Se(SPh)16]/TOPSe/MeCdTOPからの作製
HDA(500g)を3つ首丸底フラスコに入れ、動的真空の下、120℃まで1時間より長い時間加熱することによって、乾燥してガス抜きをした。溶液をそれから60℃に冷却した。0.718gの[HNEt][Cd10Se(SPh)16](0.20mmols)をこれに加えた。合計で42mmols、22.0mlのTOPSe及び42mmols(19.5ml、2.15M)のMeCd・TOPを用いた。最初に、4mmolのTOPSe及び4mmolsのMeCd・TOPが室温で反応に加えられ、温度は110℃に上昇し、2時間撹拌した。反応は濃い黄色であり、温度は〜1℃/5分の率で次第に上昇し、そのとき等モル量のTOPSe及びMeCd・TOPを液滴で加えた。PL発光最大が〜600nmに到達したとき、60℃まで冷却し、続いて300mlの乾燥エタノール又はアセトンを加えることによって反応を止めた。これによって深い赤色の粒子の沈殿が生成され、それは更に濾過によって分離された。結果として生じるCdSe粒子を、トルエンにおいて再溶解させ、続いてセライトによってろ過し、続いて、存在する過剰HDA、セレン又はカドミウムを除去するために暖かいエタノールから再沈殿させることによって再結晶させた。これによって、10.10gのHDAキャップされたCdSeナノ粒子を生成した。元素分析C=20.88、H=3.58、N=1.29、Cd=46.43%。最大PL=585nm、FWHM=35nm。38.98mmols、93%のMeCdが量子ドットを形成するために消費された。
【0081】
EtZn及びS−オクチルアミンを液滴で加えることによる、HDAにおける[EtNH]Zn10(SPh)16]シードからのZnSナノ粒子の作製
200gの分量のヘキサデシルアミン(HDA)を3つ首丸底フラスコに入れ、動的真空の下、120℃まで1時間より長い時間加熱することによって、乾燥してガス抜きをした。溶液を60℃に冷却し、反応フラスコを窒素で充填し、以下の試剤を標準的な空気のない技術を用いてフラスコへ入れた。即ち、0.6gの[HNEt[Zn10(SPh)16](0.2mmol)、トリオクチルホスフィン(2mmol)における4mLのEtZnの0.5M溶液、そしてオクチルアミン(2mmol)における4mLの元素硫黄の0.5M溶液である。温度を120℃まで上昇させ、2時間撹拌した。この時点で、120℃から210℃への、〜0.2℃/分の率でのプログラムされた温度傾斜を始めた。同時に、8mLの0.5MのEtZn及び8mLの0.5MのS−オクチルアミンを〜0.05mL/分の率で液滴で加えた。PL発光最大が要求される発光(λmax=391nm、FWHM=95nm、図8参照)に到達するとき、60℃まで冷却し、続いて300mlの乾燥エタノール又はアセトンを加えて溶液から粒子を沈殿させて反応を止めた。この沈殿物を濾過によって分離した。結果として生じるZnS粒子は、トルエンにおいて再溶解させ、セライトによって溶液を濾過し、暖かいエタノール(製品収量0.9g)から再沈殿させることによって精製した(過剰HDA、硫黄及び亜鉛を除去するため)。
【0082】
キャップされたナノ粒子の作製
CdSe/ZnS−HDAキャップされたナノ粒子の作製
HDA(800g)を3つ首丸底フラスコに入れ、動的真空の下、120℃まで1時間より長い時間加熱することによって、乾燥してガス抜きをした。それから溶液を60℃に冷却し、これに、585nmのPL最大発光を有するCdSeナノ粒子9.23gを加えた。それからHDAを220℃まで熱した。これに、合計20mlの0.5MのMeZn・TOP及びオクチルアミンにおいて溶解する0.5Mの20mlの硫黄を交互に液滴で加えた。それぞれの3.5、5.5及び11.0mlの3つが交互に加えられ、最初に3.5mlの硫黄を、PL最大の強度がゼロに近くなるまで液滴で加えた。それから、PL最大の強度が最大に到達するまで、3.5mlのMeZn・TOPを液滴で加えた。このサイクルを繰り返し、各サイクルにおいて、PL最大はより高い強度に到達した。最後のサイクルにおいて、一旦PL最大強度が最大強度を5〜10%の間で下回る点に到達すると、更なる前駆体を加え、そして反応を150℃で1時間アニールした。それから混合物を60℃まで冷却し、その温度で、結果として粒子沈殿した「暖かい」乾燥エタノールを300ml加えた。結果として生じるCdSe−ZnS粒子は、過剰HDAを除去するために、トルエンにおける再溶解、それに続くセライトによるろ過、及びそれに続く暖かいエタノールからの再沈殿の前に乾燥した。これによって、12.08gのHDAキャップされたCdSe/ZnSコアシェルナノ粒子を生成した。元素分析C=20.27、H=3.37、N=1.25、Cd=40.11、Zn=4.43%、最大PL590nm、FWHM36nm。
【0083】
ZnSe/ZnSナノ粒子の作製
1.80gのヘキサデシルアミン及び磁気回転棒を、250mL丸底フラスコに入れた。
2.フラスコをシュレンクの線に取り付け、溶媒をガス抜きするために、真空下で約1時間、100℃まで加熱した。
3.溶媒温度を70℃まで下げ、フラスコを窒素で充填した。
4.2.5gの亜鉛クラスター及び5mLの1.0Mのセレン原液(トリオクチルホスフィンにおいて溶解させたセレン粉末)をフラスコに加えた。
5.反応溶液温度を1〜2時間かけて70℃から160℃まで上昇させ、その間、吸光度分光法及び/又は光ルミネセンス分光法によって、ナノ結晶成長を監視した。
6.2mLの0.5Mのジエチル亜鉛原液(トリオクチルホスフィンにおいて希釈されたジエチル亜鉛)及び1mlの1.0Mのセレン原液を、160℃で、反応混合物に液滴で加えた。
7.反応溶液温度を、2〜3時間かけて160℃から250℃まで上昇させ、その間、吸光度分光法及び/又は光ルミネセンス分光法によってナノ結晶成長を監視した。
8.2mLの0.5Mのジエチル亜鉛原液及び1mlの1.0Mのセレン原液を、245℃で反応混合物に液滴で加えた。
9.反応混合物を245℃で約30分間維持し、ナノ結晶成長を監視した。
10.2mLの0.5Mのジエチル亜鉛原液及び1mlの1.0Mのセレン原液を、245℃で反応混合物に液滴で加えた。
11.反応溶液温度は、245℃から280℃まで1〜2時間かけて上昇させ、その間、吸光度分光法及び/又は光ルミネセンス分光法によってナノ結晶成長を監視した。
12.2mLの0.5Mのジエチル亜鉛原液及び1mlの1.0Mのセレン原液を、280℃で反応混合物に液滴で加えた。
13.反応混合物を280℃で約30分間維持し、ナノ結晶成長を監視した。
14.2mLの0.5Mのジエチル亜鉛原液及び1mlの1.0Mのセレン原液を、280℃で反応混合物に液滴で加えた。
15.更なるナノ結晶成長が生じていないことを確認するとすぐに、反応混合物温度を170℃まで下げた。
16.4mLの0.5Mのジエチル亜鉛原液及び2mLの1.0Mのビス―トリメチルシリルスルフィド原液(トリオクチルホスフィンにおいて希釈されたビス―トリメチルシリルスルフィド)を、170℃で反応混合物に液滴で加えた。
17.反応温度を150℃まで下げ、一晩維持した。
18.4mLの0.5Mのジエチル亜鉛原液及び2mLの1.0Mのビス―トリメチルシリルスルフィドの原液を、140℃で反応混合物に液滴で加えた。
19.数時間後に、ナノ結晶を分離するために反応温度を下げた。
20.ナノ結晶の分離は、大過剰のメタノールを加えることによって達成し、ナノ粒子を沈殿させた。
21.この沈殿物を遠心分離によって分離し、上清を廃棄した。
22.前記沈殿物を、様々な有機溶媒(クロロホルム、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等)において、容易に溶解させた。
最初のZn(Et)2及びSeを加える前、PL=414nm。
【0084】
ZnSe/ZnSナノ粒子の別の作製
23.100gのヘキサデシルアミン及び磁気回転棒を、250mL丸底フラスコへ入れた。
24.フラスコをシュレンクの線に取り付け、溶媒をガス抜きするために、真空下で約1時間、100℃まで加熱した。
25.溶媒温度を70℃まで下げ、フラスコを窒素で充填した。
26.2.5gの亜鉛クラスター及び5mLの1.0Mのセレン原液(トリオクチルホスフィンにおいて溶解させたセレン粉末)をフラスコに加えた。
27.反応溶液温度を6〜8時間かけて70℃から280℃まで上昇させ、その間、吸光度分光法及び/又は光ルミネセンス分光法によって、ナノ結晶成長を監視した。
28.2mLの0.5Mのジエチル亜鉛原液(トリオクチルホスフィンにおいて希釈されたジエチル亜鉛)及び1mlの1.0Mのセレン原液を、280℃で、反応混合物に液滴で加えた。
29.反応混合物を280℃で約30分間維持し、ナノ結晶成長を監視した。
30.6mLの0.5Mのジエチル亜鉛原液及び3mlの1.0Mのセレン原液を、280℃で反応混合物に液滴で加えた。
31.反応混合物は約30分間280℃で維持され、ナノ結晶成長を監視した。
32.更なるナノ結晶成長が生じていないことを確認するとすぐに、反応混合物温度を150℃まで下げた。
33.4mLの0.5Mのジエチル亜鉛原液及び2mLの1.0Mのビス―トリメチルシリルスルフィド原液(トリオクチルホスフィンにおいて希釈されたビス―トリメチルシリルスルフィド)を、150℃で反応混合物に液滴で加えた。
34.反応温度を140℃まで下げ、一晩維持した。
35.反応温度を150℃まで上昇させ、4mLの0.5Mのジエチル亜鉛原液及び2mLの1.0Mのビス―トリメチルシリルスルフィドの原液を反応混合物に液滴で加えた。
36.数時間後に、ナノ結晶を分離するために反応温度を下げた。
37.ナノ結晶の分離は、大過剰のメタノールを加えることによって達成し、ナノ粒子を沈殿させた。
38.この沈殿物を遠心分離によって分離し、上清を廃棄した。
39.前記沈殿物を、様々な有機溶媒(クロロホルム、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等)において、容易に溶解させた。
この合成ルートによって得られたコア/シェルZnSe/ZnSナノ結晶は414nmのPL最大を有する。
【0085】
【非特許文献1】Henglein, A. Chem Rev. 1989, 89, 1861。
【非特許文献2】Steigerwald, M. L.; Brus, L. E. Ace. Chem. Res. 1990, 23, 183。
【非特許文献3】Bawendi, M. G.; Steigerwald, M. L.; Brus, L. E. Annu. Rev. Phys. Chem., 1990, 41, 477。
【非特許文献4】Weller, H. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1993, 32, 41。
【非特許文献5】Weller, H. Adv. Mater, 1993, 5, 88。
【非特許文献6】Hagfeldt, A.; Gratzel, M. Chem. Rev. 1995, 95, 49。
【非特許文献7】Fendler, J. H.; Meldrum, F. C. Adv. Mater. 1995, 7, 607。
【非特許文献8】Alivisatos, A. P.; J. Phys. Chem. 1996, 100, 13226。
【非特許文献9】Stroscio, J. A.; Eigler, D. M. Science 1991, 254, 1319。
【非特許文献10】Lieber, C. M.; Liu, J.; Sheehan, P. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1996, 35, 687。
【非特許文献11】Berry, C. R. Phys. Rev. 1967, 161, 848。
【非特許文献12】Matijevic, E. Ann. Rev. Mater. Sd. 1985, 15, 483。
【非特許文献13】Matijevic, E. Langmuir 1986, 2, 12。
【非特許文献14】A Eychmuller, A. Mews, and H. Weller, Chem. Phys. Lett. 208, p.59 (1993)。
【非特許文献15】Murray, C. B.; Norris, D. J.; Bawendi, M. G. J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 8706。
【非特許文献16】A. P. Alivisatos, J. Wickham, X. G. Peng, J. Am. Chem. Soc, 1998, 120, 5343。
【非特許文献17】X. G. Peng, L. Manna, W. D. Yang, J. Wickham, E. Scher, A. Kadavanich, A. P. Alivisatos, Nature 2000, 404, 59。
【非特許文献18】Peng, Z. A.; Peng, X. G. J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 1389。
【非特許文献19】a) Bunge, S. D.; Krueger, K. M.; Boyle, T. J.; Rodriguez, M. A.; Headley, T. J.; Colvin, V. L., J. Mater. Chem., 2003, 13, 1705: b) Aldana, J.; Wang, Y. A.; Peng, X. J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 8844。
【非特許文献20】Pradhan N.; Efrima S, J. Am. Chem Soc 2003, 125, 2050; Qu, L.; Peng, Z. A.; Peng, X. Nano Lett. 2001, 1, 333。
【非特許文献21】Jegier, J. A.; McKernan, S.; Gladfelter, W. L. Chem. Mater., 1998, 10, 2041。
【非特許文献22】Kher, S. S.; Wells, R. L. Chem. Mater., 1994, 6, 2056。
【非特許文献23】Salata, O. V.; Dobson, P. J.; Hull, P. J.; Hutchison, J. L. Appl. Phys. Letters 1994, 65, 189。
【非特許文献24】Sercel, P. C; Saunders, W. A.; Atwater, H. A.; Vahala, K. J.; Flagan, R. C. Appl. Phys. Lett, 1992, 61, 696。
【非特許文献25】Olshavsky, M. A.; Goldstein, A. N.; Alivisatos, A. P. J. Am. Chem. Soc, 1990, 112, 9438。
【非特許文献26】Guzelian, A. A.; Katari, J. E. B.; Kadavanich, A. V.; Banin, U.; Hamad, K.; Juban, E.; Alivisatos, A. P.; Wolters, R. H.; Arnold, C. C; Heath, J. R. J. Phys. Chem., 1996, 100, 7212。
【非特許文献27】Wells, R. L.; Aubuchon, S. R.; Kher, S. S.; Lube, M. S.; White, P. Chem. Mater., 1995, 7, 793。
【非特許文献28】Agger, J. R.; Anderson, M. W.; Pemble, M. E.; Terasaki, O.; Nozue, Y. J. Phys. Chem. B 1998, 102, 3345。
【非特許文献29】Micic, O. L; Sprague, J. R.; Curtis, C. J.; Jones, K. M.; Machol, J. L.; Nozic, A.; Giessen, J.H.; Fluegel, B.; Mohs, G.; Peyghambarian, N. J. Phys. Chem., 1995, 99, 7754.。
【非特許文献30】Guzelian, A. A.; Banin, U.; Kadavanich, A. V.; Peng, X.; Alivisatos, A. P. Appl. Phys. Lett, 1996, 69, 1432。
【非特許文献31】Wang, Y.; Suna, Mahler, A. W.; Kasowski, R. J. Chem. Phys., 1987, 87, 7315。
【非特許文献32】Gao, M.; Yang, Y.; Yang, B.; Bian, F.; Shen, J. J. Chem. Soc. Commun., 1994, 2779。
【非特許文献33】Mekis, L; Talapin, D. V.; Kornowski, A.; Haase, M.; Weller, H. J. Phys. Chem. B., 2003, 107, 7454。
【非特許文献34】LOver, T.; Bowmaker, G. A.; Seakins, J. M.; Cooney, R. P.; Henderson, W. J. Mater. Chem., 1997, 7(4), 647。
【非特許文献35】Cumberland, S. L.; Hanif, K. M.; Javier, A.; Khitov, K. A.; Strouse, G. F.; Woessner, S. M.; Yun, C. S. Chem. Mater. 2002, 14, 1576。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】a)CdSeコア及び有機キャッピング剤としてのHDAからなるコア粒子、b)CdSeコア、ZnSシェル及び有機キャッピング剤としてのHDAからなるコアシェル粒子、c)CdSeコア、HgSシェル及びそれに続く、HDAキャッピング剤を有するZnSシェルからなるコアマルチシェル有機キャップされた粒子、を示す図である。
【図2】シーディング剤として用いられる分子クラスター、a)Zn10(SEt)10Et10、b)[RGaS]、c)[BuGaS]、d)[RInSe]、e)[X][M10Se(SPh)16]X=陽イオン、M=Zn、Cd、Te。
【図3】以下を用いたカドミウムセレニド量子ドットの形成。[M10Se(SPh)16][X]X=Li又は(CHNH、分子シードとしてEtNH、そしてカドミウム及びセレニウム元素源前駆体としてカドミウムアセテート及びトリ−n−オクチルホスフィンセレニド、そしてキャッピング剤としてのヘキサデシルアミン。
【図4】以下を用いた硫化ガリウム量子ドットの形成。分子シードとして[BuGaS]、ガリウム及び硫化物元素源前駆体としてガリウム(II)アセチルアセトネート及びトリ−n−オクチルホスフィンスルフィド、そしてキャッピング剤としてヘキサデシルアミン。
【図5】以下を用いたインジウムセレニド量子ドットの形成。分子シードとして、そしてインジウム及びセレニド元素源前駆体としてインジウム(II)アセチルアセトネート及びトリ−n−オクチルホスフィンスルフィド、そしてキャッピング剤としてヘキサデシルアミン及びトリ−n−オクチルホスフィンオキシド。
【図6】(A)HDAにおけるジメチルカドミウム及びセレン化トリオクチルホスフィンの反応から分離されたCdSe粒子のPLスペクトル。(B)以下を用いたカドミウムセレニド量子ドットの形成を示しているPLスペクトルの推移。シーディングテンプレートとして[HNEt][Cd10Se(SPh)16]、そしてMeCd・TOP、セレン化トリオクチルホスフィンとキャッピング剤として用いるヘキサデシルアミン、そして反応溶液の温度は、a)185℃、b)215℃、c)10分後に250℃、d)1時間後に250℃である。(C)以下を用いたカドミウムセレニド量子ドットの形成を示しているPLスペクトルの推移。分子テンプレートとして[HNEt][[Cd10Se(SPh)16]、そしてカドミウム及びセレニウム元素源前駆体としてそれぞれMeCd・TOP及びセレン化トリオクチルホスフィン。ヘキサデシルアミンはキャッピング剤として用いられ、続いて温度を上昇させ、MeCd・TOP及びセレン化トリオクチルホスフィンを液滴で加えるが、そのとき、a)165℃で20%のジメチルカドミウムを加える、b)185℃で30%のMeCdを加える、c)230℃で、60%のジメチルカドミウムを加える、d)240℃で、80%のジメチルカドミウムを加える、e)250℃で、100%のジメチルカドミウムを加える。
【図7】CdSeコア粒子の粉末XRD。
【図8】HDAにおいて[EtNH][Zn10(SPh)16]シードにEtZn及びS−オクチルアミンを液滴で加えることによるZnSナノ粒子の形成のためのPLスペクトルの推移。より多くの前駆体が加えられ、反応温度が上昇したときの青色発光スペクトルの偏移に注目のこと。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子を生成する方法であって、ナノ粒子前駆体組成物のナノ粒子材料への転化を生じさせることを含み、前記前駆体組成物は、成長しているナノ粒子に組み込まれる第1イオンを含有する第1前駆体種及び成長しているナノ粒子に組み込まれる第2イオンを含有する第2前駆体種を有し、前記転化は、ナノ粒子のシーディング及び成長が可能な条件の下で分子クラスター化合物が存在する場合に生じ、該方法は、分子クラスター化合物と、前記ナノ粒子を生成するために用いられるナノ粒子前駆体組成物の総量より少ないナノ粒子前駆体組成物の最初の分量とを、適切な分散媒体において第1温度で分散させることと、クラスター化合物及び前駆体組成物を含む分散媒体の温度を、前記分子クラスター化合物の分子クラスター上のナノ粒子のシーディング及び成長を生じさせるのに十分な第2温度に上昇させることと、成長しているナノ粒子を含む分散媒体にナノ粒子前駆体組成物の1又は複数の更なる分量を加えることとを含み、ナノ粒子前駆体組成物の前記又は各更なる分量を加える前、加えている間、及び/又は加えた後に、成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を上昇させる方法。
【請求項2】
成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を、0.05℃/分〜1℃/分の範囲の率で上昇させる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を、およそ0.2℃/分の率で上昇させる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
クラスター化合物のモル数の第1及び第2前駆体種の総モル数に対する比率は、0.0001〜0.1:1の範囲内である請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
クラスター化合物のモル数の第1及び第2前駆体種の総モル数に対する比率は、0.001〜0.1:1の範囲内である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1前駆体種の第2前駆体種に対するモル比は、100〜1:1の範囲内である請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項7】
第1前駆体種の第2前駆体種に対するモル比は、50〜1:1の範囲内である請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項8】
前記第1温度は15℃〜60℃の範囲内である上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項9】
前記第2温度は90℃〜150℃の範囲内である上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項10】
ナノ粒子前駆体組成物の前記又は各更なる分量を、成長しているナノ粒子を含む分散媒体に液滴で加える上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項11】
ナノ粒子前駆体組成物の前記又は各更なる分量を、成長しているナノ粒子を含む分散媒体に、分散媒体1リットルにつき0.1ml/分〜20ml/分の範囲内の率で加える上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項12】
ナノ粒子前駆体組成物の前記最初の分量は、前記ナノ粒子を生成するために用いられるナノ粒子前駆体組成物の総量の約90%以下である上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項13】
ナノ粒子前駆体組成物の前記最初の分量は、前記ナノ粒子を生成するために用いられるナノ粒子前駆体組成物の総量の約10%以下である請求項1乃至11の何れか1つに記載の方法。
【請求項14】
成長しているナノ粒子を含む分散媒体にナノ粒子前駆体組成物の1つの更なる分量を加え、前記1つの更なる分量は、前記ナノ粒子を生成するために用いられるナノ粒子前駆体組成物の総量の約90%以下である上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項15】
成長しているナノ粒子を含む分散媒体にナノ粒子前駆体組成物の複数の更なる分量を加え、前記各更なる分量は、前記ナノ粒子を生成するために用いられるナノ粒子前駆体組成物の総量の約45%以下である請求項1乃至13の何れか1つに記載の方法。
【請求項16】
成長しているナノ粒子を含む分散媒体にナノ粒子前駆体組成物の複数の更なる分量を加え、前記各更なる分量は、前記ナノ粒子を生成するために用いられるナノ粒子前駆体組成物の総量の約10%以下である請求項1乃至13の何れか1つに記載の方法。
【請求項17】
前記分子クラスター化合物は、該分子クラスター化合物及びナノ粒子前駆体組成物の前記最初の分量を前記分散媒体において分散させる前に、前記分散媒体においてその場で形成される上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項18】
前記プロセスは、ナノ粒子前駆体組成物がCd(CHCOを含まないという条件を前提とする上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項19】
前記プロセスは、ナノ粒子前駆体組成物がTOPSeを含まないという条件を前提とする上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項20】
前記プロセスは、ナノ粒子前駆体組成物がCd(CHCO及びTOPSeを含まないという条件を前提とする請求項1乃至17の何れか1つに記載の方法。
【請求項21】
前記プロセスは、成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を、24時間にわたって50℃以外の率で上昇させるという条件を前提とする上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項22】
前記分散媒体は、ホスフィン、ホスフィンオキシド及びアミンからなる群から選択されるルイス塩基配位化合物である上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項23】
前記溶媒は、TOP、TOPO及びHDAからなる群から選択される請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒は非配位性溶媒である請求項1乃至21の何れか1つに記載の方法。
【請求項25】
前記溶媒は有機溶媒である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記有機溶媒は、アルカン及びアルケンからなる群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記アルケンは、オクタデセンである請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、成長しているナノ粒子の平均サイズを監視することと、平均ナノ粒子サイズが所定の値に達するときにナノ粒子の成長を終了させることとを含んでいる上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項29】
紫外可視吸収分光法によって、成長しているナノ粒子の平均サイズを監視する請求項28に記載の方法。
【請求項30】
光ルミネセンス分光法によって、成長しているナノ粒子の平均サイズを監視する請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
溶液の温度を第2温度から第3温度に下げることによって、ナノ粒子の成長を終了させる請求項28乃至30の何れか1つに記載の方法。
【請求項32】
前記方法は、沈殿試剤を加えることによってナノ粒子材料の沈殿物を形成することを含む上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項33】
前記沈殿試剤はエタノール及びアセトンからなる群から選択される請求項32に記載の方法。
【請求項34】
分子クラスター化合物は、成長しているナノ粒子に組み込まれる第3及び第4イオンを含む上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項35】
前記第3イオンは周期表の12族から選択され、前記第4イオンは周期表の16族から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記分子クラスター化合物は、[{(PPh)Hg}(SPh)]、(PhP)[(SEt)(Br)(HgBr)]、(PhP)[Hg(SEt)Br]、[HgTe12][N(CHCHEt)、[EtNH][Cd10Se(SPh)16]、[RMEBu]但しM=Zn,Cd又はHg、E=S,Se又はTeでありR=Me又はEt、[X][E10(SR)16]但しM=Zn,Cd又はHg、E=S,Se又はTe、X=MeNH,Li又はEtNHでありR=Me,Et又はPh、[Cd3214(SPh)36]L但しLは配位リガンドである、[Hg10Se(SePh)(PPhPr)]、[Hg32Se14(SePh)36]、[Cd10Se(SePh)12(PPr]、[Cd32Se14(SePh)36(PPh]、[M(SPh)12[X]但しM=Zn,Cd又はHgでありX=Me,Li、[Zn(SEt)Et]10、[MeMEPr]但しM=Zn,Cd又はHgでありE=S,Se又はTe、[RCdSR’]但しR=O(ClO)、R’=PPh又はPr、[Cd10(E’Ph)12(PR]但しE=Te,Se又はS、E’=Te,Se又はSでありRが配位リガンドである、[CdSe(SePh)12Cl2−、[MTe124−但しM=Cd又はHg、[Ph1218Cd10(PEt]但しM=Te又はSeからなる群から選択される分子を含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第3イオンは周期表の12族から選択され、前記第4イオンは周期表の15族から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記分子クラスター化合物は、[RCdNR’]但しR=Cl,Br,I,PEt又はC=CSMeでありR’=PEt又はI、[RCdNR’]但しR=アルキル又はアリール基でありR’=アルキル又はアリール基、[{RZn}{PR’}]但しR=I又はPEtPhでありR’=SiMe、[MCl(PPh(PPr]但しM=Zn又はCd、[Li(thf)[(PhP)10Cd]、[Zn(PPhCl(PRR’)]但しPRR’=PMePr,PBu又はPEtPh、[Zn(PBuCl]からなる群から選択される分子を含む請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第3イオンは周期表の13族から選択され、前記第4イオンは周期表の15族から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記分子クラスター化合物は、[EtGaNEt]、[MeGaN(4−CF)]、(MeGaNiBu)、[RAlNR’]但しR=Me,CHPr又はPhでありR’=Pr,CHPr,CMe、[(SiPrAsAlH]、[PrNAlH]、[RAlNR’]但しR=Me,Et,Cl,CHPh,CHPr又はPhでありR’=Me,H,Br、C=CPh,Pr,(CHMe,(CH)2NMe又はSiPh、[CHGa−NCHCH(CH、[MeGaNBu]、[RGaNR’]但しR=Ph又はMeでありR’=Ph,C,SiMe又はBu、[EtGaNEt]、[RGaPR’]但しR=Pr又はCMeでありR’=Bu又はCMe、[RNInR’]但しR=Cl,Br,I又はMeでありR’=Bu,C又はCF、[RInPR’]但しR=Pr,CMe又はEtでありR’=SiPh,CMe,SiPr、[RInPR’]但しR=EtでありR’=SiMe(CMePr)からなる群から選択される分子を含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第3イオンは周期表の13族から選択され、前記第4イオンは周期表の16族から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記分子クラスター化合物は、[(Bu)GaSe]、[BuGaS]、[RInSe]但しR=Bu,CMeEt,Si(Bu)又はC((SiMe、[RInS]但しR=Bu又はCMeEt、[RGaS]但しR=Bu,CMeEt又はCEt、[SAlR]但しR=C(SMe又はCEtMe、[SAlNMe、[TeAlR]但しR=Cp又はCEtMe、[(C(SiMe)GaS]、[BuGaS]、[RGaSe]但しR=Bu,CMeEt,CEt,C(SiMe,Cp又はBu、CdIn1633.(HO)20(C10282.5からなる群から選択される分子を含む請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第3イオンは周期表の14族から選択され、前記第4イオンは周期表の16族から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記分子クラスター化合物は、[S{SnR}]但しR=C(SiMe,Me又はPh、[Se{SnR}]但しR=C,CMe,p−Tol又はC(SiMeからなる群から選択される分子を含む請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第3イオンは周期表の遷移金属族から選択され、前記第4イオンは周期表のd―ブロックから選択される請求項34に記載の方法。
【請求項46】
前記分子クラスター化合物は、[Cu12Se(PR)]但しR=EtPh,Pr又はCy、[Cu18TeBu)(PPhEt)]、[Cu19TeBu)(PEt]、[Cu27Te15(PPrMe)12]、[Ni34Se22(PPh10]、[Ag30(TePh)12Te(PEt12]、[Ag30Se(SeBu)14(PPr]、[Co4(μ−Se)(PPh]、[Co(μ−Se)(PPh]、[WSe(dmpe)Br、RuBi(CO)12、Fe(CO)12、Fe(CO)12からなる群から選択される分子を含む請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第1イオンは、周期表の2族、周期表の12族、周期表の13族及び周期表の14族からなる群から選択される上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項48】
前記第2イオンは、周期表の14族、周期表の15族及び周期表の16族からなる群から選択される上記請求項の何れかに記載の方法。
【請求項49】
ナノ粒子前駆体組成物において、前記第2前駆体種は前記第1前駆体種とは別個である請求項1乃至46の何れか1つに記載の方法。
【請求項50】
前記第1前駆体種は、有機金属化合物、無機塩及び配位化合物からなる群から選択される請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記有機金属化合物は、MR但しM=MgでありR=アルキル又はアリール基,MgBu、MR但しM=Zn,Cd又はTeでありR=アルキル又はアリール基,MeZn,EtZn,MeCd,EtCd、MR但しM=Ga,In,Al又はBでありR=アルキル又はアリール基、AlR,GaR又はInR但しR=Me,Et又はPrからなる群から選択される請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記無機塩は、酸化物及び硝酸塩からなる群から選択される請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記酸化物は、SrO、ZnO、CdO、In、Ga、SnO、PbOからなる群から選択される請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記硝酸塩は、Mg(NO、Ca(NO、Sr(NO、Ba(NO、Cd(NO、Zn(NO、Hg(NO、Al(NO、In(NO、Ga(NO、Sn(NO、Pb(NOからなる群から選択される請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記配位化合物は、MCO但しM=Ca,Sr,Ba又はPb、[(MgCOMg(OH)]、MCO但しM=Zn又はCdからなる群から選択される炭酸塩である請求項50に記載の方法。
【請求項56】
前記配位化合物は、Cd(CHCO、M(CHCO但しM=Mg,Ca,Sr,Ba,Zn又はHg、M(CHCO但しM=B,Al,Ga又はIn、M[CHCOCH=C(O)CH但しM=Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd又はHg、M[CHCOCH=C(O)CH但しM=B,Al,Ga又はIn、MC但しM=Sr,Ca,Ba又はSnC、Cd(OH)、M(OH)但しM=Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Hg、M(C1735COO)但しM=Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Hgからなる群から選択される請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記第1前駆体種は、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg、B、Al、Ga、In、Sn、Pbからなる群から選択される元素源を適切な溶媒に溶解させることによって得られる請求項49に記載の方法。
【請求項58】
前記第2前駆体種は、有機化合物、ヒドリド化合物、無機塩及び配位化合物からなる群から選択される請求項49に記載の方法。
【請求項59】
前記有機又はヒドリド化合物は、NR、PR、AsR、SbR、NHR、PHR、AsHR、SbHR、NHR、PHR、AsHR、SbH、PH、AsH、M(NMe)但しM=P,Sb又はAs、MeNNH、Et−NNN、HNNH、MeSiN、MR但しM=S,Se又はTe、HMR但しM=S,Se又はTeでありR=Me,Et,Bu,Bu,Pr又はPh、S=C(NH,Se=C(NH,Sn(CH,Sn(C),Sn(CH(OOCHからなる群から選択される請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記無機塩は、酸化物及び硝酸塩からなる群から選択される請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記酸化物は、P、As、Sb、Sb、Sb、Bi、SO、SeO、TeO、SnO、PbO、PbOからなる群から選択される請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記硝酸塩は、Bi(NO、Sn(NO、Pb(NOからなる群から選択される請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記配位化合物は、MCO但しM=P、(BiO)CO、M(CO但しM=一価の金属イオンからなる群から選択される炭酸塩である請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記配位化合物は、M(CHCO但しM=S,Se又はTe、M(CHCO但しM=Sn,Pbのとき、M(CHCO但しM=Sn,Pb、[CHCOCH=C(O)CHM但しM=Bi、[CHCOCH=C(O)CHM但しM=S,Se又はTe、[CHCOCH=C(O)CHM但しM=Sn又はPb、チオ尿素、HNC(=Se)NHからなる群から選択される請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記第2前駆体種は、Sn、Ge、N、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Sn、Pbからなる群から選択される元素源を適切な溶媒に溶解させることによって得られる請求項49に記載の方法。
【請求項66】
前記第1及び第2前駆体種は、ナノ粒子前駆体組成物における単一の化学物質の一部である請求項1乃至46の何れか1つに記載の方法。
【請求項67】
前記単一の化学物質は、有機金属化合物、無機塩及び配位化合物からなる群から選択される請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記単一の化学物質は、周期表の12族及び16族からのイオンを組み込む請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記単一の化学物質は、ビス(ジアルキルジチオカルバメート)M(II)複合体、又は化学式M(ECNR(但しM=Zn,Cd,Hg、E=S,Se,O,Teであり、R=アルキル又はアリー(ary)基)の、同属のSe及びTe化合物である請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記単一の化学物質は、CdS、Cd[SSiMe、Cd(SCNHNHCl、Cd(SOCR)・py、CdSe[Cd(SePh)からなる群から選択される請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記単一の化学物質は、周期表の13族及び15族からのイオンを組み込む請求項66に記載の方法。
【請求項72】
前記単一の化学物質は、[(Me)GaN(H)Bu]、[HGaNH、[PhGaP(SiMeGa(Ph)Cl][EtGaP(SiMe、[EtGaPEt、[BuGaPH[MeGaP(Pr)、[BuGaPAr’]、[BuGaP(H)C、Ga(AsBu[EtGaAs(SiMe、[BuGaAs(SiMe、[EtGaSb(SiMe、[(MeSiCHInP(SiMe、[RInP(SiMe、[MeInPBu、[MeInSbBu、[EtInSb(SiMe、[MeInNEt、[EtAlAsBu、[BuAlSb(SiMe、[BuGaAsBu、[MeGaAsBu、[EtGaAsBuからなる群から選択される請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記単一の化学物質は、周期表の12族及び15族からのイオンを組み込む請求項66に記載の方法。
【請求項74】
前記単一の化学物質は、[MeCdPBu、Cd[P(SiPh、Zn、Zn[P(SiPhからなる群から選択される請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記単一の化学物質は、周期表の14族及び16族からのイオンを組み込む請求項66に記載の方法。
【請求項76】
前記単一の化学物質は、鉛(II)ジチオカルバメート及び鉛(II)セレノカルバメートからなる群から選択される請求項75に記載の方法。
【請求項77】
ナノ粒子は、第5及び第6イオンからなるコア化合物を含むコアを有している請求項1乃至33の何れか1つに記載の方法。
【請求項78】
前記第5イオンは周期表の2族から選択され、前記第6イオンは周期表の16族から選択される請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記コア化合物は、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTeからなる群から選択される請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記第5イオンは周期表の12族から選択され、前記第6イオンは周期表の16族から選択される請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記コア化合物は、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTeからなる群から選択される請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記第5イオンは周期表の12族から選択され、前記第6イオンは周期表の15族から選択される請求項77に記載の方法。
【請求項83】
前記コア化合物は、Zn、ZnAs、Cd、CdAs、Cd、Znからなる群から選択される請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記第5イオンは周期表の13族から選択され、前記第6イオンは周期表の15族から選択される請求項77に記載の方法。
【請求項85】
前記コア化合物は、BP、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、BNからなる群から選択される請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記第5イオンは周期表の13族から選択され、前記第6イオンは周期表の14族から選択される請求項77に記載の方法。
【請求項87】
前記コア化合物は、BC、Al、GaCからなる群から選択される請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記第5イオンは周期表の13族から選択され、前記第6イオンは周期表の16族から選択される請求項77に記載の方法。
【請求項89】
前記コア化合物は、Al、AlSe、AlTe、Ga、GaSe、GeTe,In、InSe、GaTe、InTe、InTeからなる群から選択される請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記第5イオンは周期表の14族から選択され、前記第6イオンは周期表の16族から選択される請求項77に記載の方法。
【請求項91】
前記コア化合物は、PbS、PbSe、PbTe、SbTe、SnS、SnSe、SnTeからなる群から選択される請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記第5イオンは周期表の遷移金属族から選択され、前記第6イオンは周期表のd―ブロックから選択される請求項77に記載の方法。
【請求項93】
前記コア化合物は、NiS、CrS、CuInSからなる群から選択される請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記ナノ粒子コアは、主族元素及び希土類元素からなる群から選択されるドーパントを含む請求項77乃至93の何れか1つに記載の方法。
【請求項95】
各ナノ粒子は、前記ナノ粒子コア上に成長する少なくとも1つのシェルを含む請求項77乃至94の何れか1つに記載の方法。
【請求項96】
前記又は各シェルは、前記ナノ粒子コアと類似した格子形を有する請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記又は各シェルは、前記ナノ粒子コアより広いバンドギャップを有する請求項95又は96に記載の方法。
【請求項98】
前記又は各シェルは、第7及び第8イオンからなるシェル化合物を含む請求項95、96又は97に記載の方法。
【請求項99】
前記第7イオンは周期表の2族から選択され、前記第8イオンは周期表の16族から選択される請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記シェル化合物は、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTeからなる群から選択される請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記第7イオンは周期表の12族から選択され、前記第8イオンは周期表の16族から選択される請求項98に記載の方法。
【請求項102】
前記シェル化合物は、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTeからなる群から選択される請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記第7イオンは周期表の12族から選択され、前記第8イオンは周期表の15族から選択される請求項98に記載の方法。
【請求項104】
前記シェル化合物は、Zn、ZnAs、Cd、CdAs、Cd、Znからなる群から選択される請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記第7イオンは周期表の13族から選択され、前記第8イオンは周期表の15族から選択される請求項98に記載の方法。
【請求項106】
前記シェル化合物は、BP、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、BNからなる群から選択される請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記第7イオンは周期表の13族から選択され、前記第8イオンは周期表の14族から選択される請求項98に記載の方法。
【請求項108】
前記又は各シェル化合物は、BC、Al、GaCからなる群から選択される請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記第7イオンは周期表の13族から選択され、前記第8イオンは周期表の16族から選択される請求項98に記載の方法。
【請求項110】
前記シェル化合物は、Al、AlSe、AlTe、Ga、GaSe、In、InSe、GaTe、InTeからなる群から選択される請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記第7イオンは周期表の14族から選択され、前記第8イオンは周期表の16族から選択される請求項98に記載の方法。
【請求項112】
前記シェル化合物は、PbS、PbSe、PbTe、SbTe、SnS、SnSe、SnTeからなる群から選択される請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記第7イオンは周期表の遷移金属族から選択され、前記第8イオンは周期表のd―ブロックから選択される請求項98に記載の方法。
【請求項114】
前記シェル化合物は、NiS、CrS、CuInSからなる群から選択される請求項113に記載の方法。
【請求項115】
ナノ粒子を生成する方法であって、ナノ粒子前駆体組成物のナノ粒子材料への転化を生じさせることを含み、前記前駆体組成物は、成長しているナノ粒子に組み込まれる第1イオンを含有する第1前駆体種及び成長しているナノ粒子に組み込まれる第2イオンを含有する別個の第2前駆体種を有し、前記転化は、ナノ粒子のシーディング及び成長が可能な条件の下で分子クラスター化合物が存在する場合に生じ、該方法は、分子クラスター化合物と、前記ナノ粒子を生成するために用いられる前記第1及び第2前駆体種のうちの1つの総量より少ない、前記第1及び第2前駆体種のうちの1つの最初の分量とを、適切な分散媒体において第1温度で分散させることと、クラスター化合物及び前記第1及び第2前駆体種のうちの1つを含む分散媒体の温度を、前記分子クラスター化合物の分子クラスター上のナノ粒子のシーディング及び成長を生じさせるのに十分な第2温度に上昇させることと、成長しているナノ粒子を含む分散媒体に、前記第1及び第2前駆体種のうちの1つの、1又は複数の更なる分量を加えることとを含み、前記第1及び第2前駆体種のうちの1つの前記又は各更なる分量を加える前、加えている間、及び/又は加えた後に、成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を上昇させる方法。
【請求項116】
前記方法は、分散媒体が前記第2温度にあるとき、前記ナノ粒子を生成するために用いられる前記第1及び第2前駆体種の他方の総量より少ない、前記第1及び第2前駆体種の前記他方の最初の分量を前記分散媒体に加えることを更に含んでいる請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記第1及び第2前駆体種の前記他方の1又は複数の更なる分量を、成長しているナノ粒子を含む分散媒体に加える請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記第1及び第2前駆体種の前記他方の、前記又は各更なる分量を加える前、加えている間、及び/又は加えた後に、成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を上昇させる請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記第1及び第2前駆体種の前記他方の前記又は各更なる分量を加えている間、成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を、およそ前記第2温度において維持する請求項117に記載の方法。
【請求項120】
溶液の温度を第2温度から第3温度に下げることによって、ナノ粒子成長を終了させる請求項115乃至119の何れか1つに記載の方法。
【請求項121】
成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を、0.05℃/分〜2℃/分の範囲の率で、第1温度から第2温度に上昇させる請求項115乃至120の何れか1つに記載の方法。
【請求項122】
成長しているナノ粒子を含む分散媒体の温度を、0.5℃/分〜1.5℃/分の範囲の率で、第1温度から第2温度に上昇させる請求項115乃至120の何れか1つに記載の方法。
【請求項123】
前記第1温度は、15℃〜80℃の範囲内である請求項115乃至122の何れか1つに記載の方法。
【請求項124】
前記第2温度は、140℃〜300℃の範囲内である請求項115乃至123の何れか1つに記載の方法。
【請求項125】
前記第1及び第2前駆体種のうち少なくとも1つの前記又は各更なる分量を、成長しているナノ粒子を含む分散媒体に液滴で加える請求項115乃至124の何れか1つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−514993(P2009−514993A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537195(P2008−537195)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004003
【国際公開番号】WO2007/049052
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(506198447)ナノコ テクノロジーズ リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Nanoco Technologies Limited
【住所又は居所原語表記】48 Grafton Street,Manchester M13 9XX,United Kingdom
【Fターム(参考)】