ナノ粒子製剤に基づく光学イメージング用診断物質
本発明は、PEG−アルキルブロックコポリマー及び近赤外線蛍光色素を含むナノ粒子製剤の提供、これらのナノ粒子製剤の調製、本発明に係るナノ粒子製剤を含む医薬組成物、並びにそれらの造影剤としての使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PEG−アルキルブロックコポリマー及び近赤外線(NIR)蛍光色素を含むナノ粒子製剤の提供、これらのナノ粒子製剤の調製、本発明に係るナノ粒子製剤を含む医薬組成物、並びにそれらの造影剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、イメージングプロセスの使用は、疾病の診断、治療、及び予防において重要な役割を果たしている。臨床医療において、毎年3億以上の画像検査が実施されている。超音波技術又はX線に基づく検査等の、技術的観点から容易に実施できるプロセスは、これらの検査の主要なものとして挙げられる。技術的観点から容易に実施できる他のプロセスは、光学イメージングである。
【0003】
光学イメージングは、十分に確立された診断イメージングプロセスである。このプロセスの最も単純な種類においては、器官の検査に白色光が使用される(徹照法)が、技術的により洗練されたプロセスは、明確に規定されたスペクトル特性を有する光を使用する。この方法は、非特異的なバックグラウンドシグナルを減少することができるが、同時に診断光の浸透深度が増大する。いずれのパラメーターも、光学イメージングの診断精度に顕著に影響する。
【0004】
光学イメージングの特異性及び感度を改善する他の可能な方法は、蛍光色素の使用である。最近の約30〜40年間で、様々な診断的蛍光色素が使用できるようになった。ポリメチン色素の物質のクラス、特にシアニン色素が、この点において特に重要である。インドシアニングリーン(ICG)は、光学イメージングにおいて広く使用される既知の蛍光色素である。ICG適用の主要な分野は、眼科及び血管外科の蛍光血管造影である。ICGの使用により、血管の描画が可能となる。内科医は、この方法により、例えば疾病を示す病理的血管の新生を検出することができる。他の非常に重要な適用は、血管手術である。蛍光色素を使用して、血管における特定の形成術が所望の結果をもたらしたか否かを評価することができる。例えば、血管内に注入した造影剤が血管内の特定の位置でもれていたとき、執刀医はその手術が失敗していたことを明確に認識する。ICGは、血漿タンパク質に完全に結合していることから、血管床に残留して濃縮されることが無いため、これらの適用に適している。
【0005】
しかしながら、ICGは循環系から迅速に排除されるために、診断シグナル強度は迅速に減衰する(Photochem. Photobiol. 2000, 72, 392)。故に、医師は、長時間にわたり微小な血管を確実に表示することができない。他のICGの短所は、溶解度特性が乏しいことである。ICG分子の分子凝集体を形成する強い傾向は、一方で、投与されるべき物質の完全な溶液の調製を妨げる。他の短所は、凝集したICG分子により引き起こされる傾向活性の低下である(Microvascular Res. 1998, 55;Survey Opthalmol. 2000, 45, 15)。なおも他のICGの短所は、該有効成分の医薬組成物の不安定性である。水性媒体中の該有効成分の分解の短所は、ポリメチン色素のクラスの他の有効成分においても観察される。この不利な特性は、水性液の収率を低下させ、生産コストの増大をもたらす。
【0006】
当業者は、頻繁に使用されるICGの前記短所を克服する幾つかの方法を知っている。まず、特性を改善した新規蛍光色素の合成は、当該技術分野で既知である。該新規蛍光色素の合成により、ICGと比較して、溶解度特性が改善され、そして蛍光量子効率が向上した有効成分がもたらされた。しかしながら、既知の物質は全て、注射の一定時間後に血管系を脱出し、そして血管外スペースの蓄積する傾向を有する(Acad. Radiol. 2006, 13, 4; J Fluoresc. 2005, 15, 443)。血管外溢出のプロセスは、血管内注射後僅か一分で開始する。この挙動の理由の一つは、血漿タンパク質への結合が不完全なことである。ICGの血管外溢出は、血漿タンパク質への完全な結合により防止される。
【0007】
血管系を脱出する傾向を有する蛍光色素は、血管外組織における蛍光シグナルの増大を引き起こす。その結果、該既知の物質は、ICGと比較して、蛍光量子収率は改善しているが、シグナル対バックグラウンドが悪化している。
【0008】
当業者に知られたICGと比較して特性が改善した新規蛍光色素を提供する他の方法は、色素−タンパク質コンジュゲートの合成である(Technol. Cancer Res. Treat. 2004, 3, 393)。70kDaを超える分子量を有するタンパク質とのカップリングにより、又はポリエチレングリコールをコンジュゲートすることによりそれだけの分子量に至らしめるAdv. Drug Deliv. Rev. 2003, 55, 1261−77)ことにより、その色素の腎排出は著しく低下する。故に、この方法は、循環時間の直接的な延長をもたらす。しかしながら、このプロセスは、ICGと比較して、新たな短所を生じる。短所の一つは、タンパク質の追加的使用による望ましくない効果のリスクの増大である。アルブミン又はイムノグロブリン等のカップリングパートナーとして使用されるタンパク質は、免疫応答の増大を引き起こす場合があることが知られている。診断プロセスは高いレベルの薬物安全性を要求するので、蛍光色素−タンパク質コンジュゲートの使用は好ましくない。ICGと比較して著しく高い蛍光色素−タンパク質コンジュゲートの生産コストは、もう一つの短所である。
【0009】
特性を改善したICGの取得を目標とする改変医薬組成物の調製も知られている。Photochem. Photobiol. 2000, 71, 347 (Rajagopalan et al.), WO2007/025768 (Fischer et al.), Polymeric nanoparticulate delivery system for Indocyamne green: Biodistribution in healthy mice. Int. J. Pharm, 2004, 278, 93−301, Saxena, V. et al.: Enhanced photo−stability, thermal stability and aqueous−stability of indocyanine green in polymeric nanoparticulate systems, J. Photochem. Photobiol. B., 2004, 74, 29−38, WO2004/064751に、様々な医薬組成物が記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
故に、特性を改善したナノ粒子製剤を提供することが、本発明の目的の一つであった。これらのナノ粒子製剤は、造影剤として特に適している。
【0011】
本発明は、PEG−アルキルブロックコポリマー及びNIR(近赤外線)蛍光色素を含む、ナノ粒子製剤を対象とする。PEG−アルキルブロックコポリマーは、ポリマー性両親媒性物質又は界面活性剤であり、水性媒体中で仕切られた分子構造、特にミセル又はエマルジョンを形成する。本発明の意味において、ミセルは、ナノ粒子製剤の一つの構成材である。
【0012】
故に、本発明の枠組み内で、「ナノ粒子製剤」という用語は、前記構成材を含む、本質的に区分単位(separate unit)を意味する。ミセルは、そのような区分単位の一例である。
【0013】
本発明の枠組み内で、「水性媒体」という用語は、少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも90重量%の水を含有する水性液を意味する。本発明において、前記水性媒体の追加的な成分として、塩、例えば無機塩又は有機塩等の生理的に適合する成分が含まれてもよい。無機塩として、例えば、塩化物、炭酸塩、酢酸塩、二水素リン酸塩(dihydrogen phosphate)、一水素リン酸塩(hydrogen phosphate)等が挙げられる。有機塩として、例えば、TRIS、HEPES、メグルミン、リシン、グリシン、アスパラギンの塩酸塩等が挙げられる。該塩は、水酸化ナトリウム溶液、炭酸水素ナトリウム、塩酸、リン酸、酢酸、アスコルビン酸又はクエン酸等の酸及び塩基と組み合わされ、緩衝系を形成する場合がある。更に、そのような緩衝系は、共溶媒、例えばエタノール、ジエタノールアミン、グリセリン、ポリエチレングリコール等を含む場合がある。他の生理的に適合する成分として、糖、例えばグルコース、フルクトース、サッカロース、マンニトール、ソルビトール、デキストラン、デキストロース等を含む。本発明において使用される緩衝系の概説は、Remington’s Science and Practice of Pharmacy, 21 ed, Lippincott Williams & Wilkinsで読むことができる。
【0014】
本発明の枠組み内で、PEG−アルキルブロックコポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)又はメトキシポリエチレングリコールを親水性構造要素として含み、アルキル鎖を親油性構造要素として含む化合物である。本発明において、3〜150オキシエチレン単位(−CH2CH2O−)、好ましくは3〜50オキシエチレン単位のポリエチレングリコールが好ましい。PEGは一様(uniform)である必要は無く、むしろ平均分子量が一定の、様々な個数のオキシエチレン単位から成る混合物である。好ましくは、PEG−アルキルブロックコポリマーの分子量は、200〜10,000g/moleである。好ましくは、PEG−アルキルブロック子ポリマーの分子量は、250〜3,000g/moleである。PEG−アルキルブロック子ポリマーの分子量は、300〜1,000g/moleであるのが特に好ましい。ここで、PEG−アルキルブロック子ポリマーは、親水性構造要素及び親油性構造要素が連結し、好ましくは共有結合を通じて結合している分子である。
【0015】
本発明に係るナノ粒子製剤の平均分子量は、好ましくは、100,000〜10,000,000g/moleの範囲内である。これは、水性媒体中で形成される区分単位の1分子の平均質量を意味する。
【0016】
本発明に係る製剤の臨界ミセル濃度(CMC)は、PEG−アルキルブロックコポリマーの1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、そして特に好ましくは0.01重量%未満である。ここで、重量%は、水性製剤中の相対重量%を示す。
【0017】
本出願の枠組み内で、「アルキル鎖」という用語は、飽和又は不飽和炭化水素を意味する。本発明のアルキル鎖は、独立してC1−C3アルキル、ヒドロキシル又はフェニルで一置換又は多置換されている場合がある、3〜30個の炭素原子を含むアルキル鎖である。飽和、不飽和、又は化学的に/生化学的に修飾された脂肪酸由来のアルキル鎖が好ましい。ここで、化学的又は生化学的修飾は、特に、以下:ヒドロキシル化、エポキシド化、アセチル化、カルボキシル化、エステル化、任意で上記修飾の一つを含み得るアルキル基による分岐化を含む群から選択される。
【0018】
例えば、飽和脂肪酸は、酪酸、ヘキサノン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、マルガリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリル酸、デカン酸、オクタン酸を含む。不飽和脂肪酸は、例えば、パルミトレイン酸、バクセン酸、エライジン酸、オレイン酸、イコセン酸、ネルボン酸、エルカ酸、セトール酸、リノール酸、リノレン酸、チムノドン酸(timnodonic acid)、クルパンドン酸、アラキドン酸を含む。化学的に又は生化学的に修飾された脂肪酸は、ヒドロキシル脂肪酸又はアリール脂肪酸、例えば12−ヒドロキシステアリン酸である。
【0019】
よって、特に好ましいナノ粒子製剤は、PEG−アルキルブロックコポリマーがPEG−脂肪酸エステルブロックコポリマーであるものである。
【0020】
ポリエチレングリコール−12−ヒドロキシステアリン酸は、特に好ましい。
【0021】
本発明において、脂肪酸は、前記酸性基(acid group)、又は前記酸性基の誘導体を有するPEGとの結合を形成する。結合は、エーテル、エステル、アミド、カルバメート、チオカルバメート、チオエーテル、又は尿素結合であってもよい。PEGの末端ヒドロキシル基は、アミン、チオール、又は他の官能基に転換している場合がある。脂肪酸の三世紀とPEGとの直接の結合が好ましい。エステル結合は、特に好ましい。
【0022】
更に、本発明は、PEG−脂肪酸エステルブロックコポリマーに関し、ここで、構造要素としてのグリセロールがPEGと共有結合し、そして脂肪酸は該グリセロールのヒドロキシル基とエステルを形成する。ポリエチレングリコール−ポリグリセロール−リシノレアート(ricinoleate)は、特に好ましい。
【0023】
NIR−蛍光色素は、近赤外線(NIR)蛍光を発するクロモフォア又はフルオロフォアである。
【0024】
親油性のNIR蛍光色素が好ましい。本発明の意味における親油性NIR蛍光色素は、スルホネート、硫酸、カルボキシル、ポリヒドロキシアルキル(4〜6ヒドロキシル基)から選択される最大で2つの官能基を担持するものである。
【0025】
前記NIR蛍光色素は、ポリメチン色素、フタロシアニン、ナフタロシアニン、トリフェニルメチン(triphenylmethine)、クロコニウム色素、スクアリリウム(squarilium)を含む群から選択されるものが特に好ましい。
【0026】
前記NIR蛍光色素は、ポリメチン色素、シアニン色素、インドトリカルボシアニン、3,3’−ジエチルオキサジカルボ−シアニンヨーダイド(DODCI)、3,3’−ジエチルチオジカルボシアニンヨーダイド(DTDCI)、3,3’−ジエチルオキサトリカルボシアニンヨーダイド(DOTCI)、3,3’−ジエチルチオトリカルボシアニンヨーダイド(DTTCI)、インドシアニングリーンを含む群から選択されるものが最も好ましい。
【0027】
好ましいインドトリカルボシアニンは、ベンゾインドレニン(benzoindolenine)及び不飽和若しくは飽和ペンタメチン鎖、並びにアルキル基を基礎として、該ベンゾインドール構造中の各窒素が親水基で置換されている。特に、NIR蛍光色素のインドシアニングリーン(ICG、CardioGreen、IC Green、DiagnoGreen)が好ましい。インドシアニングリーンに加えて、インドシアニングリーンの誘導体も、特に好ましい。インドシアニングリーンの誘導体は、独立してC1−C3アルキル、クロリン、アルコキシ及び/又は該インドシアニングリーンのヘプタメチン鎖と共に5〜6員環を形成するアルキル基で置換されたポリメチン鎖を有するインドシアニングリーン構造である。
【0028】
インドシアニングリーンは、
a)インドール窒素における1つ又は2つのスルホブチル鎖が、−C1−6−alkyl−R2で置換され、ここでR2は、−OH、−OSO3H、−OSO3−Na+、−NH2、−N3、−COOH、−SH、−SO3H、−SO3−Na+、−C≡C、−C1−20−アルキル、−CONH−C1−20−アルキル、−NHC(O)−C1−20−アルキル、及び−0−C1−20−アルキルを含む群から選択され、ここでC1−20−アルキルは、1つ以上の(好ましくは1〜3個)の非連続的メチレン単位が、O、S、NH、C(O)NH、SO2、SO、アリール、エテン(ethen)又はエチン(ethine)を含む群から選択される単位で置換されている場合がある分岐鎖又は直鎖アルキルであり、そして、ここでアルキルは、−OH、−OSO3H、−OSO3−Na+、−NH2、−N3、−COOH、−SH、−SO3H、−SO3Na+、−C≡Cを含む群から選択される少なくとも1つの(好ましくは1〜3個の)基で置換され;及び/又は
b)ポリメチン鎖は、中心炭素原子がR3基で置換されたポリメチン鎖で置換され、ここで2つの隣接する炭素原子が、ポリメチン鎖の3つの炭素原子と共に5〜6員環を形成し得て、ここでR3は、−フェニル−C1−6アルキル−R2、−フェニル−C1−6アルキル−R2、−S−フェニル−C1−6アルキル−R2、−O−フェニル−C1−6アルキル−R2を含む群から選択され、ここでR2は上記のものであり、及び/又は
c)外側のベンズインドール環(outer benzindole ring)は、独立して−SO3−Na+、−COOH又は−OHから選択される1つ以上の基で置換された
ものが好ましい。
【0029】
本発明に係るICG及び誘導体の構造を示す図8を、そのような構造の例として示す。
【0030】
ICGの誘導体は、
a)インドール窒素における1つ又は2つのスルホブチル鎖が、−C1−4−alkyl−R2で置換され、ここでR2は、−OH、−OSO3H、−OSO3−Na+、−COOH、−SO3H、−SO3−Na+を含む群から選択され、及び/又は
b)ポリメチン鎖は、中心炭素原子がR3基で置換されたポリメチン鎖で置換され、ここで2つの隣接する炭素原子が、ポリメチン鎖の3つの炭素原子と共に6員環を形成し得て、ここでR3は、−フェニル−C1−6アルキル−R2、−C1−6アルキル−R2、−O−フェニル−C1−6アルキル−R2を含む群から選択され、ここでR2は、−COOH又は−SO3−Na+を表し、及び/又は
c)外側のベンズインドール環は1つ又は2つの−SO3−Na+で置換された
ものが好ましい。
【0031】
インドシアニングリーン(図8A)の誘導体の模式図を、図8Bに示す。
【0032】
本発明に係るナノ粒子製剤の直径は、1〜1,000nm、好ましくは5 nm〜500 nmの範囲内であってもよい。
【0033】
本発明に係る製剤の蛍光又はNIR蛍光は、600nm〜1,000nm、好ましくは750nm〜900nmの範囲内である。
【0034】
本発明に係る製剤の蛍光量子効率は、少なくとも水中の色素溶液と同等、好ましくは2倍、そして特に好ましくは4倍である。インドシアニングリーンにおいて、ナノ粒子製剤の蛍光量子効率は、少なくとも4%、特に好ましくは少なくとも8%である。
【0035】
クエンチング、即ち濃度が増大したときの蛍光強度の低下は、本発明に係る製剤の場合、純水性製剤(purely aqueous formulation)と比較して、より高濃度のときに限って生じる。インドシアニングリーンの場合、クエンチングは、純水性製剤の10倍の濃度で優位に生じる。
【0036】
更に、本発明に係る製剤は、前記色素の精製水性製剤よりも高濃度で得られる。少なくとも0.5mg/mL、好ましくは1mg/mLの濃度が好ましい。
【0037】
本発明に係る製剤の保存安定性は、純水性製剤及びSaxena et alに記載される製剤と比較して、顕著に改善されている。製造の7日後に、製剤化NIR蛍光色素の90%以上が、なおも活性状態として検出され得る。
【0038】
本発明に係る製剤中のICGの血漿タンパク質への結合は、ICGのそれに対応する。ヒト血清中でミセル製剤を4時間インキュベーションし、未結合のICGを超遠心分離により除去し多後、遊離部分(free portion)ICGを測定すると、遊離部分は5%未満である。この値は、ICGの水性液を用いた類似の実験において得られる。
【0039】
ICGの水性液(吸収極大780nm)と比較して、ICGミセル製剤中のICGの吸収極大は797nmであり、長波長側に17nmシフトしている(赤方偏移)。組織の光学的特性のため、このシフトは、励起光の透過深度を増大させ、それにより組織中の検出が改善する。更に、吸収極大の797nmは、血漿中のICGの吸収極大(805nm)に近い。既存の診断装置は、この特性が製剤を直接使用できるように、この波長に調整される。
【0040】
更に、本発明は、本発明に係るナノ粒子製剤を含む医薬組成物に関する。
【0041】
また、本発明は、造影剤として使用するための本発明に係るナノ粒子製剤に関する。
【0042】
本発明の他の目的は、以下のプロセスを含むナノ粒子製剤を調製するプロセスである。
【0043】
ナノ粒子製剤の調製の本質的な工程は、(1)PEG−アルキルブロックコポリマーを、好ましくは0.05〜1g/mlの濃度となるように水に溶解する工程、及び(2)該溶液に蛍光色素を加えてミセル製剤を形成する工程である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1A】水中のICG (点線)及び実施例1に従い調製した水中のICGミセル(実線)の吸収スペクトルを示す。ミセル溶液に対する標準化=1とした。
【図1B】水中のICG (点線)及び実施例1に従い調製した水中のICGミセル(実線)の蛍光発光スペクトルを示す。ミセル溶液に対する標準化=1とした。
【図1C】ICGの濃度(0.001mg/mL〜5mg/mL)に対する、水中のICG (正方形)及び水中のICGミセルの蛍光強度を示す。
【図1D】動的光散乱を利用した粒子サイズ分布を示す。
【図1E】様々な製剤の時間に対する最高の吸光度を測定することによる、安定性の決定を示す。水中のICG(正方形)及び3つのミセル製剤;Solutol 10%(円)、20%(三角形)、40%(逆三角形)を比較している。
【図2A】水中のICG及びICG Cithrol 10MSミセルの吸収スペクトルを示す。
【図2B】DMSO中のICG及びICG Cithrol 10MSミセルの発光スペクトルを示す。
【図2C】Cithrol 10MSミセル中のICG(0.005% ICG)の安定性を示す。
【図3A】水中のICG及びICG−Crodet S40 LDミセルの吸収スペクトルを示す。
【図3B】DMSO中のICG及びICG−Crodet S40 LDミセルの発光スペクトルを示す。
【図3C】Crodet S40 LDミセル中のICG(0.005% ICG)の安定性を示す。
【図4A】水中のICG及びICG−Birj(登録商標) 58ミセルの吸収スペクトルを示す。
【図4B】DMSO中のICG及びICG−Birj(登録商標) 58ミセルの発光スペクトルを示す。
【図4C】Birj(登録商標) 58ミセル中のICG(0.005% ICG)の安定性を示す。
【図5A】水中のICG及びICG−Birj(登録商標) 98ミセルの吸収スペクトルを示す。
【図5B】DMSO中のICG及びICG−Birj(登録商標) 98ミセルの発光スペクトルを示す。
【図5C】Birj(登録商標) 98ミセル中のICG(0.005% ICG)の安定性を示す。
【図6A】ICG誘導体NW003.5の構造を示す。
【図6B】水中のNW003.5及びNW003.5−Solutol HS 15ミセルの吸収スペクトルを示す。
【図6C】DMSO中のNW003.5及びNW003.5−Solutol HS 15ミセルの発光スペクトルを示す。
【図6D】Solutol HS 15ミセル中のNW003.5(0.005% NW003.5)の安定性を示す。
【図7A】ICG誘導体IR−783の構造を示す。
【図7B】水中のIR−783及びIR−783−Solutol HS 15ミセルの吸収スペクトルを示す。
【図7C】DMSO中のIR−783及びIR−783−Solutol HS 15ミセルの発光スペクトルを示す。
【図7D】Solutol HS 15ミセル中のIR−783 (0.005% IR−783)の安定性を示す。
【図8A】本発明において使用される色素の例であるインドシアニングリーン(ICG)の模式図を示す。
【図8B】本発明において使用される色素の例であるインドシアニングリーンの誘導体の模式図を示す。
【0045】
以下の実施例において、本発明はより詳細に説明される。
【実施例】
【0046】
実施例1
ミセル製剤の調製
例示物1:2gのSolutol HS 15を、65℃に加熱する。注射用の水10mlを攪拌しながら添加し、得られた透明の溶液を室温まで冷却する。50mlのICGを該ミセル溶液中に溶解し、0.2μmメンブレンフィルターを通して濾過滅菌する。
【0047】
例示物2:2gのSolutol HS 15を、室温で、攪拌しながら10mlの注射用の水に添加する。透明の溶液が得られる。50mlのICGを該ミセル溶液中に溶解し、0.2μmメンブレンフィルターを通して濾過滅菌する。
【0048】
吸収及び蛍光測定
UVIKON 933分光光度計(Kontron社製)700nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において測定する。その結果、水中ICGのλmax=780nm、ICGミセルのλmax=797nmであった(図1A)。
【0049】
Spex社製FluoroLog−2蛍光分光光度計(350 Wキセノンランプ)を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、700nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、それぞれの製剤の吸収スペクトルの吸収極大と対応していた(水中ICGのλmax=780nm及びICGミセルのλmax=797nm)。DM3000ソフトウェアのs及びrモーダス(modus)により、評価の際に、異なる励起波長の異なるランプ強度が考慮され得る。
【0050】
放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.13)。
【0051】
その結果、水中ICGの量子効率はΦ=0.02であるのに対し、ICGミセルの量子効率はΦ=0.08であることが分かった。クエンチングは、より高濃度(ICGが0.1mg/mlから発生する)の場合にのみ起こる(図1B及び図1C)。
【0052】
安定性試験
安定性試験において、時間に対する様々な製剤の最高の吸光度を測定した。ここでは、0.0005%のICG溶液を調製し、これを常温で保存した。純水性ICG製剤の安定性としては、僅か7日後に、標準吸光度が10%を下回るところまで低下を示す。一方、ICGのミセル製剤は、7日の保存後にあっても初期の数値と比較してなおも90%を上回る吸光度を示し、4週間を経過してもなお、吸光度は70%を下回らない(図1E)。
【0053】
粒子サイズ
動的光散乱(Malvern社製 Zetasizer NS)を利用して、粒子サイズ分布を決定した。He−Ne−レーザー(633nm、4mW)を用いて、測定を実施した。45μlクォーツキュベット中で、試料を希釈せずに直接測定した。
【0054】
その結果、PDI(多分散性指数(polydispersity index))0.061で、流体力学的直径が12nmであることが分かった(図1D)。
【0055】
血漿タンパク質との結合
血漿タンパク質との結合を判定するために、吸収スペクトルの波長のシフトを測定した。ここでは、水中及び血漿中のICGの700nm〜900nmのスペクトルを、水中及び血漿中のICミセルのスペクトルと比較した。
【0056】
その結果、両製剤において、血漿中の吸収極大が、805nmにシフトすることが分かった。本発明に係る製剤中のICGの血漿タンパク質との結合の挙動は、水性媒体中のICGの挙動と対応する。
【0057】
溶血アッセイ
ICGミセルの溶血活性の実験において、まず、ヘパリン化した全血から血漿を除去したものを、3回PBSで洗浄した。赤血球のPBS中2%懸濁物を調製して、これを37℃で1時間、ICGミセル製剤を加えてインキュベーションした。純粋なPBS溶液をブランク読取り値(0%溶血)として、及び2%トライトン溶液を100%溶血値として使用した。インキュベーション後、赤血球を遠心分離で除去し、上澄の赤色の色素を、光度的に540nmで測定した。
【0058】
その結果、ICGミセルは、溶血活性を示さないことが分かった。
【0059】
PEG−アルキル化合物
実施例2:
10mlの注射用水に、室温攪拌下で、0.3gのCitlirol 10MS(PEG 20ステアリン酸)を溶解する。透明な溶液が得られる。50μlの1%(w/v)50mgICG溶液を該ミセル溶液に溶解し、そして0.2μmメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。
【0060】
吸光度及び蛍光の測定
DU(登録商標)530 Beckman分光光度計を用いて、600nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において測定する。その結果、水中ICGのλmax=779nm、ICG Cithrol 10MSミセルのλmax=800nmであった(図2A)。
【0061】
JASCO社製FP−6500分光光度計を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、770nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、各ケースで760nmであった。放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.12)。その結果、量子効率は、水中ICGはφ=0.02であるのに対して、ICG Cithrol 10MSミセルはφ=0.08であることが分かった(図2B)。
【0062】
安定性試験
安定性試験において、前記様々な製剤の時間に対する吸収スペクトルを測定した。遮光下4℃で2ヶ月保存後、ICG Cithrol 10MSミセルは、初期の値と比較して、なおも94%を超える吸光度を示した(図2C)。
【0063】
実施例3:
10mlの注射用水に、室温攪拌下で、0.4gのCrodet S40 LD(PEG 40ステアリン酸)を溶解する。透明な溶液が得られる。50μlの1%(w/v)ICG溶液を該ミセル溶液に溶解し、そして0.2μmメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。
【0064】
吸光度及び蛍光の測定
DU(登録商標)530 Beckman分光光度計を用いて、600nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において記録した。その結果、水中ICGのλmax=779nm、ICG Crodet S40 LDミセルのλmax=800nmであった(図3A)。
【0065】
JASCO社製FP−6500分光光度計を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、770nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、各ケースで760nmであった。放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.12)。その結果、量子効率は、水中ICGはφ=0.02であるのに対して、ICG Crodet S40 LDミセルはφ=0.07であることが分かった(図3B)。
【0066】
安定性試験
安定性試験において、前記様々な製剤の時間に対する吸収スペクトルを測定した。遮光下4℃で2ヶ月保存後、ICG Crodet S40 LDミセル製剤は、初期の値と比較して、なおも97%を超える吸光度を示した(図3C)。
【0067】
実施例4:
10mlの注射用水に、室温攪拌下で、0.5gのBrij(登録商標) 58(PEG 20セチルエーテル(cetylethel))を溶解する。透明な溶液が得られる。50μlの1%(w/v)50mgICG溶液を該ミセル溶液に溶解し、そして0.2μmメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。
【0068】
吸光度及び蛍光の測定
DU(登録商標)530 Beckman分光光度計を用いて、600nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において記録した。その結果、水中ICGのλmax=779nm、ICG Brij(登録商標) 58ミセルのλmax=800nmであった(図4A)。
【0069】
JASCO社製FP−6500分光光度計を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、770nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、各ケースで760nmであった。放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.12)。その結果、量子効率は、水中ICGはφ=0.02であるのに対して、ICG Brij(登録商標) 58ミセルはφ=0.07であることが分かった(図4B)。
【0070】
安定性試験
安定性試験において、前記様々な製剤の時間に対する吸収スペクトルを測定した。遮光下4℃で2ヶ月保存後、ICG Brij(登録商標) 58ミセル製剤は、初期の値と比較して、なおも97%を超える吸光度を示した(図4C)。
【0071】
実施例5:
10mlの注射用水に、室温攪拌下で、1gのBrij(登録商標) 98(PEG 20オレイルエーテル(oleylethel))を溶解する。透明な溶液が得られる。50μlの1%(w/v)50mgICG溶液を該ミセル溶液に溶解し、そして0.2μmメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。
【0072】
吸光度及び蛍光の測定
DU(登録商標)530 Beckman分光光度計を用いて、600nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において記録した。その結果、水中ICGのλmax=779nm、ICG Brij(登録商標) 98ミセルのλmax=800nmであった(図5A)。
【0073】
JASCO社製FP−6500分光光度計を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、770nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、各ケースで760nmであった。放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.12)。その結果、量子効率は、水中ICGはφ=0.02であるのに対して、ICG Brij(登録商標) 98ミセルはφ=0.06であることが分かった(図5B)。
【0074】
安定性試験
安定性試験において、前記様々な製剤の時間に対する吸収スペクトルを測定した。遮光下4℃で2ヶ月保存後、ICG Brij(登録商標) 98ミセル製剤は、初期の値と比較して、なおも95%を超える吸光度を示した(図5C)。
【0075】
ICG誘導体
実施例6:
10mlの注射用水に、室温攪拌下で、1gのSolutol(登録商標)HS15を溶解する。透明な溶液が得られる。50μlの1%(w/v)NW0003.5 (図6A)溶液を該ミセル溶液に溶解し、そして0.2μmメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。
【0076】
吸光度及び蛍光の測定
DU(登録商標)530 Beckman分光光度計を用いて、600nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において記録した。その結果、水中NW0003.5 のλmax(モノマー)=788nm、NW0003.5 Solutol(登録商標)HS15ミセルのλmax=806nmであった(図6B)。
【0077】
JASCO社製FP−6500分光光度計を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、770nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、各ケースで760nmであった。放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.12)。その結果、量子効率は、水中ICGはφ=0.02であるのに対して、NW0003.5 Solutol(登録商標)HS15ミセルはφ=0.06であることが分かった(図6C)。
【0078】
安定性試験
安定性試験において、前記様々な製剤の時間に対する吸収スペクトルを測定した。遮光下4℃で1ヶ月保存後、NW0003.5 Solutol(登録商標)HS15ミセル製剤は、初期の値と比較して、なおも95%を超える吸光度を示した。
【0079】
実施例6:
10mlの注射用水に、室温攪拌下で、1gのSolutol(登録商標)HS15を溶解する。透明な溶液が得られる。50μlの1%(w/v)IR−783溶液(図7A)溶液を該ミセル溶液に溶解し、そして0.2μmメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。
【0080】
吸光度及び蛍光の測定
DU(登録商標)530 Beckman分光光度計を用いて、600nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において記録した。その結果、水中IR−783のλmax(モノマー)=775nm、IR−783 Solutol(登録商標)HS15ミセルのλmax=797nmであった(図7B)。
【0081】
JASCO社製FP−6500分光光度計を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、770nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、各ケースで760nmであった。放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.12)。その結果、量子効率は、水中ICGはφ=0.02であるのに対して、IR−783 Solutol(登録商標)HS15ミセルはφ=0.11であることが分かった(図7C)。
【0082】
安定性試験
安定性試験において、前記様々な製剤の時間に対する吸収スペクトルを測定した。遮光下4℃で1ヶ月保存後、IR−783 Solutol(登録商標)HS15ミセル製剤は、初期の値と比較して、顕著に変化しなかった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、PEG−アルキルブロックコポリマー及び近赤外線(NIR)蛍光色素を含むナノ粒子製剤の提供、これらのナノ粒子製剤の調製、本発明に係るナノ粒子製剤を含む医薬組成物、並びにそれらの造影剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、イメージングプロセスの使用は、疾病の診断、治療、及び予防において重要な役割を果たしている。臨床医療において、毎年3億以上の画像検査が実施されている。超音波技術又はX線に基づく検査等の、技術的観点から容易に実施できるプロセスは、これらの検査の主要なものとして挙げられる。技術的観点から容易に実施できる他のプロセスは、光学イメージングである。
【0003】
光学イメージングは、十分に確立された診断イメージングプロセスである。このプロセスの最も単純な種類においては、器官の検査に白色光が使用される(徹照法)が、技術的により洗練されたプロセスは、明確に規定されたスペクトル特性を有する光を使用する。この方法は、非特異的なバックグラウンドシグナルを減少することができるが、同時に診断光の浸透深度が増大する。いずれのパラメーターも、光学イメージングの診断精度に顕著に影響する。
【0004】
光学イメージングの特異性及び感度を改善する他の可能な方法は、蛍光色素の使用である。最近の約30〜40年間で、様々な診断的蛍光色素が使用できるようになった。ポリメチン色素の物質のクラス、特にシアニン色素が、この点において特に重要である。インドシアニングリーン(ICG)は、光学イメージングにおいて広く使用される既知の蛍光色素である。ICG適用の主要な分野は、眼科及び血管外科の蛍光血管造影である。ICGの使用により、血管の描画が可能となる。内科医は、この方法により、例えば疾病を示す病理的血管の新生を検出することができる。他の非常に重要な適用は、血管手術である。蛍光色素を使用して、血管における特定の形成術が所望の結果をもたらしたか否かを評価することができる。例えば、血管内に注入した造影剤が血管内の特定の位置でもれていたとき、執刀医はその手術が失敗していたことを明確に認識する。ICGは、血漿タンパク質に完全に結合していることから、血管床に残留して濃縮されることが無いため、これらの適用に適している。
【0005】
しかしながら、ICGは循環系から迅速に排除されるために、診断シグナル強度は迅速に減衰する(Photochem. Photobiol. 2000, 72, 392)。故に、医師は、長時間にわたり微小な血管を確実に表示することができない。他のICGの短所は、溶解度特性が乏しいことである。ICG分子の分子凝集体を形成する強い傾向は、一方で、投与されるべき物質の完全な溶液の調製を妨げる。他の短所は、凝集したICG分子により引き起こされる傾向活性の低下である(Microvascular Res. 1998, 55;Survey Opthalmol. 2000, 45, 15)。なおも他のICGの短所は、該有効成分の医薬組成物の不安定性である。水性媒体中の該有効成分の分解の短所は、ポリメチン色素のクラスの他の有効成分においても観察される。この不利な特性は、水性液の収率を低下させ、生産コストの増大をもたらす。
【0006】
当業者は、頻繁に使用されるICGの前記短所を克服する幾つかの方法を知っている。まず、特性を改善した新規蛍光色素の合成は、当該技術分野で既知である。該新規蛍光色素の合成により、ICGと比較して、溶解度特性が改善され、そして蛍光量子効率が向上した有効成分がもたらされた。しかしながら、既知の物質は全て、注射の一定時間後に血管系を脱出し、そして血管外スペースの蓄積する傾向を有する(Acad. Radiol. 2006, 13, 4; J Fluoresc. 2005, 15, 443)。血管外溢出のプロセスは、血管内注射後僅か一分で開始する。この挙動の理由の一つは、血漿タンパク質への結合が不完全なことである。ICGの血管外溢出は、血漿タンパク質への完全な結合により防止される。
【0007】
血管系を脱出する傾向を有する蛍光色素は、血管外組織における蛍光シグナルの増大を引き起こす。その結果、該既知の物質は、ICGと比較して、蛍光量子収率は改善しているが、シグナル対バックグラウンドが悪化している。
【0008】
当業者に知られたICGと比較して特性が改善した新規蛍光色素を提供する他の方法は、色素−タンパク質コンジュゲートの合成である(Technol. Cancer Res. Treat. 2004, 3, 393)。70kDaを超える分子量を有するタンパク質とのカップリングにより、又はポリエチレングリコールをコンジュゲートすることによりそれだけの分子量に至らしめるAdv. Drug Deliv. Rev. 2003, 55, 1261−77)ことにより、その色素の腎排出は著しく低下する。故に、この方法は、循環時間の直接的な延長をもたらす。しかしながら、このプロセスは、ICGと比較して、新たな短所を生じる。短所の一つは、タンパク質の追加的使用による望ましくない効果のリスクの増大である。アルブミン又はイムノグロブリン等のカップリングパートナーとして使用されるタンパク質は、免疫応答の増大を引き起こす場合があることが知られている。診断プロセスは高いレベルの薬物安全性を要求するので、蛍光色素−タンパク質コンジュゲートの使用は好ましくない。ICGと比較して著しく高い蛍光色素−タンパク質コンジュゲートの生産コストは、もう一つの短所である。
【0009】
特性を改善したICGの取得を目標とする改変医薬組成物の調製も知られている。Photochem. Photobiol. 2000, 71, 347 (Rajagopalan et al.), WO2007/025768 (Fischer et al.), Polymeric nanoparticulate delivery system for Indocyamne green: Biodistribution in healthy mice. Int. J. Pharm, 2004, 278, 93−301, Saxena, V. et al.: Enhanced photo−stability, thermal stability and aqueous−stability of indocyanine green in polymeric nanoparticulate systems, J. Photochem. Photobiol. B., 2004, 74, 29−38, WO2004/064751に、様々な医薬組成物が記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
故に、特性を改善したナノ粒子製剤を提供することが、本発明の目的の一つであった。これらのナノ粒子製剤は、造影剤として特に適している。
【0011】
本発明は、PEG−アルキルブロックコポリマー及びNIR(近赤外線)蛍光色素を含む、ナノ粒子製剤を対象とする。PEG−アルキルブロックコポリマーは、ポリマー性両親媒性物質又は界面活性剤であり、水性媒体中で仕切られた分子構造、特にミセル又はエマルジョンを形成する。本発明の意味において、ミセルは、ナノ粒子製剤の一つの構成材である。
【0012】
故に、本発明の枠組み内で、「ナノ粒子製剤」という用語は、前記構成材を含む、本質的に区分単位(separate unit)を意味する。ミセルは、そのような区分単位の一例である。
【0013】
本発明の枠組み内で、「水性媒体」という用語は、少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも90重量%の水を含有する水性液を意味する。本発明において、前記水性媒体の追加的な成分として、塩、例えば無機塩又は有機塩等の生理的に適合する成分が含まれてもよい。無機塩として、例えば、塩化物、炭酸塩、酢酸塩、二水素リン酸塩(dihydrogen phosphate)、一水素リン酸塩(hydrogen phosphate)等が挙げられる。有機塩として、例えば、TRIS、HEPES、メグルミン、リシン、グリシン、アスパラギンの塩酸塩等が挙げられる。該塩は、水酸化ナトリウム溶液、炭酸水素ナトリウム、塩酸、リン酸、酢酸、アスコルビン酸又はクエン酸等の酸及び塩基と組み合わされ、緩衝系を形成する場合がある。更に、そのような緩衝系は、共溶媒、例えばエタノール、ジエタノールアミン、グリセリン、ポリエチレングリコール等を含む場合がある。他の生理的に適合する成分として、糖、例えばグルコース、フルクトース、サッカロース、マンニトール、ソルビトール、デキストラン、デキストロース等を含む。本発明において使用される緩衝系の概説は、Remington’s Science and Practice of Pharmacy, 21 ed, Lippincott Williams & Wilkinsで読むことができる。
【0014】
本発明の枠組み内で、PEG−アルキルブロックコポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)又はメトキシポリエチレングリコールを親水性構造要素として含み、アルキル鎖を親油性構造要素として含む化合物である。本発明において、3〜150オキシエチレン単位(−CH2CH2O−)、好ましくは3〜50オキシエチレン単位のポリエチレングリコールが好ましい。PEGは一様(uniform)である必要は無く、むしろ平均分子量が一定の、様々な個数のオキシエチレン単位から成る混合物である。好ましくは、PEG−アルキルブロックコポリマーの分子量は、200〜10,000g/moleである。好ましくは、PEG−アルキルブロック子ポリマーの分子量は、250〜3,000g/moleである。PEG−アルキルブロック子ポリマーの分子量は、300〜1,000g/moleであるのが特に好ましい。ここで、PEG−アルキルブロック子ポリマーは、親水性構造要素及び親油性構造要素が連結し、好ましくは共有結合を通じて結合している分子である。
【0015】
本発明に係るナノ粒子製剤の平均分子量は、好ましくは、100,000〜10,000,000g/moleの範囲内である。これは、水性媒体中で形成される区分単位の1分子の平均質量を意味する。
【0016】
本発明に係る製剤の臨界ミセル濃度(CMC)は、PEG−アルキルブロックコポリマーの1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、そして特に好ましくは0.01重量%未満である。ここで、重量%は、水性製剤中の相対重量%を示す。
【0017】
本出願の枠組み内で、「アルキル鎖」という用語は、飽和又は不飽和炭化水素を意味する。本発明のアルキル鎖は、独立してC1−C3アルキル、ヒドロキシル又はフェニルで一置換又は多置換されている場合がある、3〜30個の炭素原子を含むアルキル鎖である。飽和、不飽和、又は化学的に/生化学的に修飾された脂肪酸由来のアルキル鎖が好ましい。ここで、化学的又は生化学的修飾は、特に、以下:ヒドロキシル化、エポキシド化、アセチル化、カルボキシル化、エステル化、任意で上記修飾の一つを含み得るアルキル基による分岐化を含む群から選択される。
【0018】
例えば、飽和脂肪酸は、酪酸、ヘキサノン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、マルガリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリル酸、デカン酸、オクタン酸を含む。不飽和脂肪酸は、例えば、パルミトレイン酸、バクセン酸、エライジン酸、オレイン酸、イコセン酸、ネルボン酸、エルカ酸、セトール酸、リノール酸、リノレン酸、チムノドン酸(timnodonic acid)、クルパンドン酸、アラキドン酸を含む。化学的に又は生化学的に修飾された脂肪酸は、ヒドロキシル脂肪酸又はアリール脂肪酸、例えば12−ヒドロキシステアリン酸である。
【0019】
よって、特に好ましいナノ粒子製剤は、PEG−アルキルブロックコポリマーがPEG−脂肪酸エステルブロックコポリマーであるものである。
【0020】
ポリエチレングリコール−12−ヒドロキシステアリン酸は、特に好ましい。
【0021】
本発明において、脂肪酸は、前記酸性基(acid group)、又は前記酸性基の誘導体を有するPEGとの結合を形成する。結合は、エーテル、エステル、アミド、カルバメート、チオカルバメート、チオエーテル、又は尿素結合であってもよい。PEGの末端ヒドロキシル基は、アミン、チオール、又は他の官能基に転換している場合がある。脂肪酸の三世紀とPEGとの直接の結合が好ましい。エステル結合は、特に好ましい。
【0022】
更に、本発明は、PEG−脂肪酸エステルブロックコポリマーに関し、ここで、構造要素としてのグリセロールがPEGと共有結合し、そして脂肪酸は該グリセロールのヒドロキシル基とエステルを形成する。ポリエチレングリコール−ポリグリセロール−リシノレアート(ricinoleate)は、特に好ましい。
【0023】
NIR−蛍光色素は、近赤外線(NIR)蛍光を発するクロモフォア又はフルオロフォアである。
【0024】
親油性のNIR蛍光色素が好ましい。本発明の意味における親油性NIR蛍光色素は、スルホネート、硫酸、カルボキシル、ポリヒドロキシアルキル(4〜6ヒドロキシル基)から選択される最大で2つの官能基を担持するものである。
【0025】
前記NIR蛍光色素は、ポリメチン色素、フタロシアニン、ナフタロシアニン、トリフェニルメチン(triphenylmethine)、クロコニウム色素、スクアリリウム(squarilium)を含む群から選択されるものが特に好ましい。
【0026】
前記NIR蛍光色素は、ポリメチン色素、シアニン色素、インドトリカルボシアニン、3,3’−ジエチルオキサジカルボ−シアニンヨーダイド(DODCI)、3,3’−ジエチルチオジカルボシアニンヨーダイド(DTDCI)、3,3’−ジエチルオキサトリカルボシアニンヨーダイド(DOTCI)、3,3’−ジエチルチオトリカルボシアニンヨーダイド(DTTCI)、インドシアニングリーンを含む群から選択されるものが最も好ましい。
【0027】
好ましいインドトリカルボシアニンは、ベンゾインドレニン(benzoindolenine)及び不飽和若しくは飽和ペンタメチン鎖、並びにアルキル基を基礎として、該ベンゾインドール構造中の各窒素が親水基で置換されている。特に、NIR蛍光色素のインドシアニングリーン(ICG、CardioGreen、IC Green、DiagnoGreen)が好ましい。インドシアニングリーンに加えて、インドシアニングリーンの誘導体も、特に好ましい。インドシアニングリーンの誘導体は、独立してC1−C3アルキル、クロリン、アルコキシ及び/又は該インドシアニングリーンのヘプタメチン鎖と共に5〜6員環を形成するアルキル基で置換されたポリメチン鎖を有するインドシアニングリーン構造である。
【0028】
インドシアニングリーンは、
a)インドール窒素における1つ又は2つのスルホブチル鎖が、−C1−6−alkyl−R2で置換され、ここでR2は、−OH、−OSO3H、−OSO3−Na+、−NH2、−N3、−COOH、−SH、−SO3H、−SO3−Na+、−C≡C、−C1−20−アルキル、−CONH−C1−20−アルキル、−NHC(O)−C1−20−アルキル、及び−0−C1−20−アルキルを含む群から選択され、ここでC1−20−アルキルは、1つ以上の(好ましくは1〜3個)の非連続的メチレン単位が、O、S、NH、C(O)NH、SO2、SO、アリール、エテン(ethen)又はエチン(ethine)を含む群から選択される単位で置換されている場合がある分岐鎖又は直鎖アルキルであり、そして、ここでアルキルは、−OH、−OSO3H、−OSO3−Na+、−NH2、−N3、−COOH、−SH、−SO3H、−SO3Na+、−C≡Cを含む群から選択される少なくとも1つの(好ましくは1〜3個の)基で置換され;及び/又は
b)ポリメチン鎖は、中心炭素原子がR3基で置換されたポリメチン鎖で置換され、ここで2つの隣接する炭素原子が、ポリメチン鎖の3つの炭素原子と共に5〜6員環を形成し得て、ここでR3は、−フェニル−C1−6アルキル−R2、−フェニル−C1−6アルキル−R2、−S−フェニル−C1−6アルキル−R2、−O−フェニル−C1−6アルキル−R2を含む群から選択され、ここでR2は上記のものであり、及び/又は
c)外側のベンズインドール環(outer benzindole ring)は、独立して−SO3−Na+、−COOH又は−OHから選択される1つ以上の基で置換された
ものが好ましい。
【0029】
本発明に係るICG及び誘導体の構造を示す図8を、そのような構造の例として示す。
【0030】
ICGの誘導体は、
a)インドール窒素における1つ又は2つのスルホブチル鎖が、−C1−4−alkyl−R2で置換され、ここでR2は、−OH、−OSO3H、−OSO3−Na+、−COOH、−SO3H、−SO3−Na+を含む群から選択され、及び/又は
b)ポリメチン鎖は、中心炭素原子がR3基で置換されたポリメチン鎖で置換され、ここで2つの隣接する炭素原子が、ポリメチン鎖の3つの炭素原子と共に6員環を形成し得て、ここでR3は、−フェニル−C1−6アルキル−R2、−C1−6アルキル−R2、−O−フェニル−C1−6アルキル−R2を含む群から選択され、ここでR2は、−COOH又は−SO3−Na+を表し、及び/又は
c)外側のベンズインドール環は1つ又は2つの−SO3−Na+で置換された
ものが好ましい。
【0031】
インドシアニングリーン(図8A)の誘導体の模式図を、図8Bに示す。
【0032】
本発明に係るナノ粒子製剤の直径は、1〜1,000nm、好ましくは5 nm〜500 nmの範囲内であってもよい。
【0033】
本発明に係る製剤の蛍光又はNIR蛍光は、600nm〜1,000nm、好ましくは750nm〜900nmの範囲内である。
【0034】
本発明に係る製剤の蛍光量子効率は、少なくとも水中の色素溶液と同等、好ましくは2倍、そして特に好ましくは4倍である。インドシアニングリーンにおいて、ナノ粒子製剤の蛍光量子効率は、少なくとも4%、特に好ましくは少なくとも8%である。
【0035】
クエンチング、即ち濃度が増大したときの蛍光強度の低下は、本発明に係る製剤の場合、純水性製剤(purely aqueous formulation)と比較して、より高濃度のときに限って生じる。インドシアニングリーンの場合、クエンチングは、純水性製剤の10倍の濃度で優位に生じる。
【0036】
更に、本発明に係る製剤は、前記色素の精製水性製剤よりも高濃度で得られる。少なくとも0.5mg/mL、好ましくは1mg/mLの濃度が好ましい。
【0037】
本発明に係る製剤の保存安定性は、純水性製剤及びSaxena et alに記載される製剤と比較して、顕著に改善されている。製造の7日後に、製剤化NIR蛍光色素の90%以上が、なおも活性状態として検出され得る。
【0038】
本発明に係る製剤中のICGの血漿タンパク質への結合は、ICGのそれに対応する。ヒト血清中でミセル製剤を4時間インキュベーションし、未結合のICGを超遠心分離により除去し多後、遊離部分(free portion)ICGを測定すると、遊離部分は5%未満である。この値は、ICGの水性液を用いた類似の実験において得られる。
【0039】
ICGの水性液(吸収極大780nm)と比較して、ICGミセル製剤中のICGの吸収極大は797nmであり、長波長側に17nmシフトしている(赤方偏移)。組織の光学的特性のため、このシフトは、励起光の透過深度を増大させ、それにより組織中の検出が改善する。更に、吸収極大の797nmは、血漿中のICGの吸収極大(805nm)に近い。既存の診断装置は、この特性が製剤を直接使用できるように、この波長に調整される。
【0040】
更に、本発明は、本発明に係るナノ粒子製剤を含む医薬組成物に関する。
【0041】
また、本発明は、造影剤として使用するための本発明に係るナノ粒子製剤に関する。
【0042】
本発明の他の目的は、以下のプロセスを含むナノ粒子製剤を調製するプロセスである。
【0043】
ナノ粒子製剤の調製の本質的な工程は、(1)PEG−アルキルブロックコポリマーを、好ましくは0.05〜1g/mlの濃度となるように水に溶解する工程、及び(2)該溶液に蛍光色素を加えてミセル製剤を形成する工程である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1A】水中のICG (点線)及び実施例1に従い調製した水中のICGミセル(実線)の吸収スペクトルを示す。ミセル溶液に対する標準化=1とした。
【図1B】水中のICG (点線)及び実施例1に従い調製した水中のICGミセル(実線)の蛍光発光スペクトルを示す。ミセル溶液に対する標準化=1とした。
【図1C】ICGの濃度(0.001mg/mL〜5mg/mL)に対する、水中のICG (正方形)及び水中のICGミセルの蛍光強度を示す。
【図1D】動的光散乱を利用した粒子サイズ分布を示す。
【図1E】様々な製剤の時間に対する最高の吸光度を測定することによる、安定性の決定を示す。水中のICG(正方形)及び3つのミセル製剤;Solutol 10%(円)、20%(三角形)、40%(逆三角形)を比較している。
【図2A】水中のICG及びICG Cithrol 10MSミセルの吸収スペクトルを示す。
【図2B】DMSO中のICG及びICG Cithrol 10MSミセルの発光スペクトルを示す。
【図2C】Cithrol 10MSミセル中のICG(0.005% ICG)の安定性を示す。
【図3A】水中のICG及びICG−Crodet S40 LDミセルの吸収スペクトルを示す。
【図3B】DMSO中のICG及びICG−Crodet S40 LDミセルの発光スペクトルを示す。
【図3C】Crodet S40 LDミセル中のICG(0.005% ICG)の安定性を示す。
【図4A】水中のICG及びICG−Birj(登録商標) 58ミセルの吸収スペクトルを示す。
【図4B】DMSO中のICG及びICG−Birj(登録商標) 58ミセルの発光スペクトルを示す。
【図4C】Birj(登録商標) 58ミセル中のICG(0.005% ICG)の安定性を示す。
【図5A】水中のICG及びICG−Birj(登録商標) 98ミセルの吸収スペクトルを示す。
【図5B】DMSO中のICG及びICG−Birj(登録商標) 98ミセルの発光スペクトルを示す。
【図5C】Birj(登録商標) 98ミセル中のICG(0.005% ICG)の安定性を示す。
【図6A】ICG誘導体NW003.5の構造を示す。
【図6B】水中のNW003.5及びNW003.5−Solutol HS 15ミセルの吸収スペクトルを示す。
【図6C】DMSO中のNW003.5及びNW003.5−Solutol HS 15ミセルの発光スペクトルを示す。
【図6D】Solutol HS 15ミセル中のNW003.5(0.005% NW003.5)の安定性を示す。
【図7A】ICG誘導体IR−783の構造を示す。
【図7B】水中のIR−783及びIR−783−Solutol HS 15ミセルの吸収スペクトルを示す。
【図7C】DMSO中のIR−783及びIR−783−Solutol HS 15ミセルの発光スペクトルを示す。
【図7D】Solutol HS 15ミセル中のIR−783 (0.005% IR−783)の安定性を示す。
【図8A】本発明において使用される色素の例であるインドシアニングリーン(ICG)の模式図を示す。
【図8B】本発明において使用される色素の例であるインドシアニングリーンの誘導体の模式図を示す。
【0045】
以下の実施例において、本発明はより詳細に説明される。
【実施例】
【0046】
実施例1
ミセル製剤の調製
例示物1:2gのSolutol HS 15を、65℃に加熱する。注射用の水10mlを攪拌しながら添加し、得られた透明の溶液を室温まで冷却する。50mlのICGを該ミセル溶液中に溶解し、0.2μmメンブレンフィルターを通して濾過滅菌する。
【0047】
例示物2:2gのSolutol HS 15を、室温で、攪拌しながら10mlの注射用の水に添加する。透明の溶液が得られる。50mlのICGを該ミセル溶液中に溶解し、0.2μmメンブレンフィルターを通して濾過滅菌する。
【0048】
吸収及び蛍光測定
UVIKON 933分光光度計(Kontron社製)700nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において測定する。その結果、水中ICGのλmax=780nm、ICGミセルのλmax=797nmであった(図1A)。
【0049】
Spex社製FluoroLog−2蛍光分光光度計(350 Wキセノンランプ)を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、700nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、それぞれの製剤の吸収スペクトルの吸収極大と対応していた(水中ICGのλmax=780nm及びICGミセルのλmax=797nm)。DM3000ソフトウェアのs及びrモーダス(modus)により、評価の際に、異なる励起波長の異なるランプ強度が考慮され得る。
【0050】
放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.13)。
【0051】
その結果、水中ICGの量子効率はΦ=0.02であるのに対し、ICGミセルの量子効率はΦ=0.08であることが分かった。クエンチングは、より高濃度(ICGが0.1mg/mlから発生する)の場合にのみ起こる(図1B及び図1C)。
【0052】
安定性試験
安定性試験において、時間に対する様々な製剤の最高の吸光度を測定した。ここでは、0.0005%のICG溶液を調製し、これを常温で保存した。純水性ICG製剤の安定性としては、僅か7日後に、標準吸光度が10%を下回るところまで低下を示す。一方、ICGのミセル製剤は、7日の保存後にあっても初期の数値と比較してなおも90%を上回る吸光度を示し、4週間を経過してもなお、吸光度は70%を下回らない(図1E)。
【0053】
粒子サイズ
動的光散乱(Malvern社製 Zetasizer NS)を利用して、粒子サイズ分布を決定した。He−Ne−レーザー(633nm、4mW)を用いて、測定を実施した。45μlクォーツキュベット中で、試料を希釈せずに直接測定した。
【0054】
その結果、PDI(多分散性指数(polydispersity index))0.061で、流体力学的直径が12nmであることが分かった(図1D)。
【0055】
血漿タンパク質との結合
血漿タンパク質との結合を判定するために、吸収スペクトルの波長のシフトを測定した。ここでは、水中及び血漿中のICGの700nm〜900nmのスペクトルを、水中及び血漿中のICミセルのスペクトルと比較した。
【0056】
その結果、両製剤において、血漿中の吸収極大が、805nmにシフトすることが分かった。本発明に係る製剤中のICGの血漿タンパク質との結合の挙動は、水性媒体中のICGの挙動と対応する。
【0057】
溶血アッセイ
ICGミセルの溶血活性の実験において、まず、ヘパリン化した全血から血漿を除去したものを、3回PBSで洗浄した。赤血球のPBS中2%懸濁物を調製して、これを37℃で1時間、ICGミセル製剤を加えてインキュベーションした。純粋なPBS溶液をブランク読取り値(0%溶血)として、及び2%トライトン溶液を100%溶血値として使用した。インキュベーション後、赤血球を遠心分離で除去し、上澄の赤色の色素を、光度的に540nmで測定した。
【0058】
その結果、ICGミセルは、溶血活性を示さないことが分かった。
【0059】
PEG−アルキル化合物
実施例2:
10mlの注射用水に、室温攪拌下で、0.3gのCitlirol 10MS(PEG 20ステアリン酸)を溶解する。透明な溶液が得られる。50μlの1%(w/v)50mgICG溶液を該ミセル溶液に溶解し、そして0.2μmメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。
【0060】
吸光度及び蛍光の測定
DU(登録商標)530 Beckman分光光度計を用いて、600nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において測定する。その結果、水中ICGのλmax=779nm、ICG Cithrol 10MSミセルのλmax=800nmであった(図2A)。
【0061】
JASCO社製FP−6500分光光度計を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、770nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、各ケースで760nmであった。放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.12)。その結果、量子効率は、水中ICGはφ=0.02であるのに対して、ICG Cithrol 10MSミセルはφ=0.08であることが分かった(図2B)。
【0062】
安定性試験
安定性試験において、前記様々な製剤の時間に対する吸収スペクトルを測定した。遮光下4℃で2ヶ月保存後、ICG Cithrol 10MSミセルは、初期の値と比較して、なおも94%を超える吸光度を示した(図2C)。
【0063】
実施例3:
10mlの注射用水に、室温攪拌下で、0.4gのCrodet S40 LD(PEG 40ステアリン酸)を溶解する。透明な溶液が得られる。50μlの1%(w/v)ICG溶液を該ミセル溶液に溶解し、そして0.2μmメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。
【0064】
吸光度及び蛍光の測定
DU(登録商標)530 Beckman分光光度計を用いて、600nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において記録した。その結果、水中ICGのλmax=779nm、ICG Crodet S40 LDミセルのλmax=800nmであった(図3A)。
【0065】
JASCO社製FP−6500分光光度計を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、770nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、各ケースで760nmであった。放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.12)。その結果、量子効率は、水中ICGはφ=0.02であるのに対して、ICG Crodet S40 LDミセルはφ=0.07であることが分かった(図3B)。
【0066】
安定性試験
安定性試験において、前記様々な製剤の時間に対する吸収スペクトルを測定した。遮光下4℃で2ヶ月保存後、ICG Crodet S40 LDミセル製剤は、初期の値と比較して、なおも97%を超える吸光度を示した(図3C)。
【0067】
実施例4:
10mlの注射用水に、室温攪拌下で、0.5gのBrij(登録商標) 58(PEG 20セチルエーテル(cetylethel))を溶解する。透明な溶液が得られる。50μlの1%(w/v)50mgICG溶液を該ミセル溶液に溶解し、そして0.2μmメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。
【0068】
吸光度及び蛍光の測定
DU(登録商標)530 Beckman分光光度計を用いて、600nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において記録した。その結果、水中ICGのλmax=779nm、ICG Brij(登録商標) 58ミセルのλmax=800nmであった(図4A)。
【0069】
JASCO社製FP−6500分光光度計を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、770nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、各ケースで760nmであった。放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.12)。その結果、量子効率は、水中ICGはφ=0.02であるのに対して、ICG Brij(登録商標) 58ミセルはφ=0.07であることが分かった(図4B)。
【0070】
安定性試験
安定性試験において、前記様々な製剤の時間に対する吸収スペクトルを測定した。遮光下4℃で2ヶ月保存後、ICG Brij(登録商標) 58ミセル製剤は、初期の値と比較して、なおも97%を超える吸光度を示した(図4C)。
【0071】
実施例5:
10mlの注射用水に、室温攪拌下で、1gのBrij(登録商標) 98(PEG 20オレイルエーテル(oleylethel))を溶解する。透明な溶液が得られる。50μlの1%(w/v)50mgICG溶液を該ミセル溶液に溶解し、そして0.2μmメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。
【0072】
吸光度及び蛍光の測定
DU(登録商標)530 Beckman分光光度計を用いて、600nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において記録した。その結果、水中ICGのλmax=779nm、ICG Brij(登録商標) 98ミセルのλmax=800nmであった(図5A)。
【0073】
JASCO社製FP−6500分光光度計を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、770nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、各ケースで760nmであった。放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.12)。その結果、量子効率は、水中ICGはφ=0.02であるのに対して、ICG Brij(登録商標) 98ミセルはφ=0.06であることが分かった(図5B)。
【0074】
安定性試験
安定性試験において、前記様々な製剤の時間に対する吸収スペクトルを測定した。遮光下4℃で2ヶ月保存後、ICG Brij(登録商標) 98ミセル製剤は、初期の値と比較して、なおも95%を超える吸光度を示した(図5C)。
【0075】
ICG誘導体
実施例6:
10mlの注射用水に、室温攪拌下で、1gのSolutol(登録商標)HS15を溶解する。透明な溶液が得られる。50μlの1%(w/v)NW0003.5 (図6A)溶液を該ミセル溶液に溶解し、そして0.2μmメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。
【0076】
吸光度及び蛍光の測定
DU(登録商標)530 Beckman分光光度計を用いて、600nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において記録した。その結果、水中NW0003.5 のλmax(モノマー)=788nm、NW0003.5 Solutol(登録商標)HS15ミセルのλmax=806nmであった(図6B)。
【0077】
JASCO社製FP−6500分光光度計を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、770nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、各ケースで760nmであった。放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.12)。その結果、量子効率は、水中ICGはφ=0.02であるのに対して、NW0003.5 Solutol(登録商標)HS15ミセルはφ=0.06であることが分かった(図6C)。
【0078】
安定性試験
安定性試験において、前記様々な製剤の時間に対する吸収スペクトルを測定した。遮光下4℃で1ヶ月保存後、NW0003.5 Solutol(登録商標)HS15ミセル製剤は、初期の値と比較して、なおも95%を超える吸光度を示した。
【0079】
実施例6:
10mlの注射用水に、室温攪拌下で、1gのSolutol(登録商標)HS15を溶解する。透明な溶液が得られる。50μlの1%(w/v)IR−783溶液(図7A)溶液を該ミセル溶液に溶解し、そして0.2μmメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。
【0080】
吸光度及び蛍光の測定
DU(登録商標)530 Beckman分光光度計を用いて、600nm〜900nmの範囲の波長の吸収スペクトルを、前記様々な溶媒において記録した。その結果、水中IR−783のλmax(モノマー)=775nm、IR−783 Solutol(登録商標)HS15ミセルのλmax=797nmであった(図7B)。
【0081】
JASCO社製FP−6500分光光度計を用いて、蛍光測定を実行した。ここでは、770nm〜900nmの発光スペクトルを記録した。励起波長は、各ケースで760nmであった。放出曲線下表面積により、量子効率を計算する。DMSO中のICGを、標準として使用した(Φ=0.12)。その結果、量子効率は、水中ICGはφ=0.02であるのに対して、IR−783 Solutol(登録商標)HS15ミセルはφ=0.11であることが分かった(図7C)。
【0082】
安定性試験
安定性試験において、前記様々な製剤の時間に対する吸収スペクトルを測定した。遮光下4℃で1ヶ月保存後、IR−783 Solutol(登録商標)HS15ミセル製剤は、初期の値と比較して、顕著に変化しなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PEG−アルキルブロックコポリマー及び近赤外線蛍光色素を含むナノ粒子製剤であり、ここで、該PEG−アルキルブロックコポリマーが、以下の構造要素:
親水構造要素としてポリエチレングリコール(PEG)又はメトキシポリエチレングリコール、及び
親油性構造要素として、独立してC1−C3アルキル、ヒドロキシル又はフェニルで一置換又は多置換されたものであり得る、3〜30個の炭素原子を有する炭化水素鎖;
を含み、ここで、直径が1nm〜1,000nmの範囲内であり、蛍光が600nm〜1,000nmの範囲内であり、水性媒体中でミセルを形成する、該ナノ粒子製剤。
【請求項2】
前記炭化水素鎖が、飽和、不飽和又は化学的に/生化学的に修飾された脂肪酸に由来する、請求項1に記載のナノ粒子製剤。
【請求項3】
前記近赤外線蛍光色素が親油性蛍光色素である、請求項1又は2のいずれかに記載のナノ粒子製剤。
【請求項4】
前記近赤外線蛍光色素が、ポリメチン色素、フタロシアニン、ナフタロシアニン、トリフェニルメチン(triphenylmethine)、クロコニウム色素、スクアリリウム(squarylium)色素から成る群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載のナノ粒子製剤。
【請求項5】
前記近赤外線蛍光色素が、ポリメチン色素、シアニン色素、インドトリカルボシアニン、3,3’−ジエチルオキサジカルボ−シアニンヨーダイド(DODCI)、3,3’−ジエチルチオジカルボシアニンヨーダイド(DTDCI)、3,3’−ジエチルオキサトリカルボシアニンヨーダイド(DOTCI)、3,3’−ジエチルチオトリカルボシアニンヨーダイド(DTTCI)、インドシアニングリーン及びインドシアニングリーンの誘導体を含む群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載のナノ粒子製剤。
【請求項6】
前記NIR蛍光色素が、インドシアニングリーンである、請求項1〜5のいずれかに記載のナノ粒子製剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のナノ粒子製剤を含む医薬組成物。
【請求項8】
インビボ造影剤として使用するための、請求項1〜6のいずれかに記載のナノ粒子製剤。
【請求項9】
以下の:(1)前記PEG−アルキルブロックコポリマーを水に溶解し、(2)該溶液に前記蛍光色素を添加してミセル製剤を形成する工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のナノ粒子製剤を調製するプロセス。
【請求項1】
PEG−アルキルブロックコポリマー及び近赤外線蛍光色素を含むナノ粒子製剤であり、ここで、該PEG−アルキルブロックコポリマーが、以下の構造要素:
親水構造要素としてポリエチレングリコール(PEG)又はメトキシポリエチレングリコール、及び
親油性構造要素として、独立してC1−C3アルキル、ヒドロキシル又はフェニルで一置換又は多置換されたものであり得る、3〜30個の炭素原子を有する炭化水素鎖;
を含み、ここで、直径が1nm〜1,000nmの範囲内であり、蛍光が600nm〜1,000nmの範囲内であり、水性媒体中でミセルを形成する、該ナノ粒子製剤。
【請求項2】
前記炭化水素鎖が、飽和、不飽和又は化学的に/生化学的に修飾された脂肪酸に由来する、請求項1に記載のナノ粒子製剤。
【請求項3】
前記近赤外線蛍光色素が親油性蛍光色素である、請求項1又は2のいずれかに記載のナノ粒子製剤。
【請求項4】
前記近赤外線蛍光色素が、ポリメチン色素、フタロシアニン、ナフタロシアニン、トリフェニルメチン(triphenylmethine)、クロコニウム色素、スクアリリウム(squarylium)色素から成る群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載のナノ粒子製剤。
【請求項5】
前記近赤外線蛍光色素が、ポリメチン色素、シアニン色素、インドトリカルボシアニン、3,3’−ジエチルオキサジカルボ−シアニンヨーダイド(DODCI)、3,3’−ジエチルチオジカルボシアニンヨーダイド(DTDCI)、3,3’−ジエチルオキサトリカルボシアニンヨーダイド(DOTCI)、3,3’−ジエチルチオトリカルボシアニンヨーダイド(DTTCI)、インドシアニングリーン及びインドシアニングリーンの誘導体を含む群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載のナノ粒子製剤。
【請求項6】
前記NIR蛍光色素が、インドシアニングリーンである、請求項1〜5のいずれかに記載のナノ粒子製剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のナノ粒子製剤を含む医薬組成物。
【請求項8】
インビボ造影剤として使用するための、請求項1〜6のいずれかに記載のナノ粒子製剤。
【請求項9】
以下の:(1)前記PEG−アルキルブロックコポリマーを水に溶解し、(2)該溶液に前記蛍光色素を添加してミセル製剤を形成する工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のナノ粒子製剤を調製するプロセス。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2010−539138(P2010−539138A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524512(P2010−524512)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062193
【国際公開番号】WO2009/034177
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510040134)ミフェニオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062193
【国際公開番号】WO2009/034177
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510040134)ミフェニオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【Fターム(参考)】
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