説明

ナフタルイミド誘導体およびそれを用いた電子写真感光体

【課題】 高感度な電子写真感光体を提供することのできる新規なナフタルイミド誘導体と、電子写真感光体の感度特性、感光層の耐久性および耐溶剤性に優れた電子写真感光体とを提供すること。
【解決手段】 本発明のナフタルイミド誘導体は、下記一般式(1)で示されることを特徴とする。本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に、電荷発生剤と、下記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体と、バインダ樹脂とを含む感光層を備えることを特徴とする。
【化1】


(RaおよびRは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数7〜18のアラルキル基を示す。mは0から5の整数を示す。Aは、フタルイミド類などのイミドを示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なナフタルイミド誘導体と、そのナフタルイミド誘導体を用いた電子写真感光体とに関する。
【背景技術】
【0002】
静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタなどの画像形成装置に使用される電子写真感光体は、導電性基体上に、電荷発生剤と、電荷輸送剤と、バインダ樹脂とを含む感光層を形成した、いわゆる有機感光体(OPC)が主流である。
有機感光体の感度特性を向上させることを目的として、従来、電荷輸送能に優れた種々の電荷輸送剤が開発されており、特許文献1には、電荷輸送能(電子輸送能)に優れた化合物として、下記一般式(I)に示すナフタルイミド誘導体が挙げられている。
【0003】
【化1】

【0004】
Rは置換基を有してもよい炭化水素残基を表す。
【特許文献1】特開平7−49579 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、画像処理のさらなる高速化や高画質化が要求されているところ、従来公知の電子輸送剤では、このような要求に応え得る高感度な感光体を作製することが困難である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、高感度な電子写真感光体を提供することのできる新規なナフタルイミド誘導体と、電子写真感光体の感度特性に優れた電子写真感光体とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ナフタルイミド誘導体に、電子受容性基としてのフタルイミドなどの基を導入したときには、この化合物を電子写真感光体の電子輸送剤として使用することにより、従来のナフタルイミド誘導体を使用した電子写真感光体に比べて、その感度特性を向上させることができるという知見を得て、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)下記一般式(1)で示されることを特徴とする、ナフタルイミド誘導体、
【0009】
【化2】

【0010】
(RaおよびRは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基を示す。mは0から5の整数を示す。式中Aは、下記一般式(1−1)、一般式(1−2)または一般式(1−3)で示される基を示す。)
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、R〜Rは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、-COOR、または-OCORで表される基を示す。RおよびRは各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基を示す。nおよびoはそれぞれ1〜3の整数を示す。pおよびqはそれぞれ1〜2の整数を示す。rは1〜2の整数を示し、sは1〜4の整数を示す。R〜Rのうち隣り合う炭素に置換された基は結合して環を巻いてもよい。)
(2)導電性基体上に感光層を備える電子写真感光体であって、前記感光層が、電荷発生剤と、下記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体と、バインダ樹脂とを含むことを特徴とする、電子写真感光体。
【0013】
【化4】

【0014】
(RaおよびRは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基を示す。mは0から5の整数を示す。式中Aは、下記一般式(1−1)、一般式(1−2)または一般式(1−3)で示される基を示す。)
【0015】
【化5】

【0016】
(式中、R〜Rは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、-COOR、または-OCORで表される基を示す。RおよびRは各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基を示す。nおよびoはそれぞれ1〜3の整数を示す。pおよびqはそれぞれ1〜2の整数を示す。rは1〜2の整数を示し、sは1〜4の整数を示す。R〜Rのうち隣り合う炭素に置換された基は結合して環を巻いてもよい。)
(3) 前記感光層が単層型であることを特徴とする、前記(2)に記載の電子写真感光体を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体、および、それを含む本発明の電子写真感光体によれば、電子写真感光体の感度特性を向上させることができる。さらに、一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体は、バインダ樹脂との相溶性が優れていることから、感光層の耐磨耗性、耐ガス性といった耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のナフタルイミド誘導体は、上記一般式(1)で示される。
【0019】
一般式(1)中、RaおよびRとしては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基が挙げられる。
【0020】
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、2−メチルペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシルなどが挙げられる。
炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ;パーフルオロメトキシ等などが挙げられる。
【0021】
炭素数3〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。
炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル、o、mまたはp−トリル、2,3−、2,4−、2,5−、3,4−または3,5−キシリル、o、mまたはp−クメニル、メシチル、ナフチル、ビフェニルなどが挙げられる。
【0022】
炭素数7〜18のアラルキル基としては、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、フェネチル、1−フェニルプロピル、ベンズヒドリル、o、mまたはp−メチルベンジル、2,3−、2,4−、2,5−、3,4−または3,5−ジメチルベンジルなどが挙げられる。
一般式(1)中、Aで示されるイミドとしては、上記一般式(1−1)、一般式(1−2)、および一般式(1−3)で示されるイミドが挙げられる。
一般式(1−1)〜(1−3)中、R〜Rとしては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、-COOR、または-OCORで表される基が挙げられる。RおよびRは上述した通りである。
炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基としては、上述した例と同じである。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0023】
一般式(1−1)〜(1−3)のR〜Rは、好ましくは、水素原子またはニトロ基である。
本発明のナフタルイミド誘導体は、具体的には、下記一般式(11)、一般式(12)または一般式(13)で示される。
【0024】
【化6】

【0025】
(式中、Ra、R、R1〜R6、m〜sは、上述したとおりである。)
一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体の合成方法は、特に限定されないが、例えば、上記一般式(11)で示されるナフタルイミド誘導体の一例である下記式(11’)で示されるナフタルイミド誘導体は、下記の反応式(1)に示すように、式(22)で示されるニトロ基置換ナフタル酸無水物を出発原料として合成することができる。
すなわち、下記式(22)で表されるニトロ基置換ナフタル酸無水物と下記式(21)で表される第1級アミンを類を酢酸中混合し加熱還流することで下記式(23)で表されるナフタル酸無水物を得る。得られたナフタル酸無水物を還元し、下記式(24)で表される化合物を得、化合物(24)と下記式(25)で表されるナフタル酸無水物を酢酸溶液中で脱水反応させることで、化合物(11’)を得る。
【0026】
【化7】

【0027】
(式中、Rは、上記と同じである。)
上記一般式(12)で示されるナフタルイミド誘導体の一例である下記式(12’)で示されるナフタルイミド誘導体は式(25)で示されるナフタルイミド系化合物に代えて、式(26)で示される化合物を出発原料とすること以外は、上記と同様にして合成することができる。
【0028】
【化8】

【0029】
(式中、Rは、上記と同じである。)
上記一般式(13)で示されるナフタルイミド誘導体の一例である下記式(13’)で示されるナフタルイミド誘導体は式(25)で示されるナフタルイミド系化合物に代えて、式(27)で示される化合物を出発原料とすること以外は、上記と同様にして合成することができる。
【0030】
【化9】

【0031】
(式中、Rは、上記と同じである。)
【0032】
本発明のナフタルイミド誘導体を、電子写真感光体の感光層に含有させる場合には、上記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体を単独で含有させてもよく、2種以上を混合して含有させてもよい。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に、電荷発生剤と、上記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体と、バインダ樹脂とを含む感光層を備えている。
【0033】
本発明の電子写真感光体において、導電性基体としては、特に限定されず、基体自体が導電性を有するか、または、基体の表面が導電性を有する種々の材料が挙げられる。具体的には、例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮などの金属単体、例えば、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、例えば、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどで被覆されたガラス、例えば、カーボンブラックなどの導電性微粒子を分散させた樹脂基体などが挙げられる。導電性基体の形状は、電子写真感光体を使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状などの種々の形状を採用することができる。
【0034】
本発明の電子写真感光体において、感光層の層構成は、特に限定されず、同一の層内に電荷発生剤と、上記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体とを含有させる、いわゆる単層型感光層と、電荷発生剤を含有する層(電荷発生層)と電荷輸送剤を含有する層(電荷輸送層)とを分離してなる、いわゆる積層型感光層のいずれであってもよい。好ましくは、単層型である。
【0035】
本発明の電子写真感光体において、電荷発生剤としては、特に限定されず、例えば、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン(TiOPc)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、例えば、ジスアゾ顔料、ジスアゾ縮合顔料、モノアゾ顔料、ペリレン系顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料などが挙げられる。
【0036】
電荷発生剤は、電子写真感光体が所望の吸収波長域で感度を有するように、上記例示の中から種々選択すればよい。上記の電荷発生剤は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
レーザビームプリンタなどのデジタル光学系の画像形成装置には、一般に、露光光源として、半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)が使用されており、その波長は680〜830nm前後の長波長領域(いわゆる「近赤外領域」)が主流である。従って、デジタル光学系の画像形成装置に用いられる電子写真感光体においては、電荷発生剤として、好ましくは、近赤外領域での感度に優れている無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料が挙げられる。
【0037】
上記フタロシアニン系顔料の結晶形は、特に限定されるものではないが、例えば、無金属フタロシアニンはX型またはτ型であることが好ましく、チタニルフタロシアニンはα型(X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)7.6°および28.6°に主たる回折ピークを有するもの)、または、Y型(ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に主たる回折ピークを有するもの)であることが好ましく、ヒドロキシガリウムフタロシアニンはV型であることが好ましく、クロロガリウムフタロシアニンはII型であることが好ましい。
【0038】
露光光源として、ハロゲンランプなどの白色光源を使用しているアナログ光学系の画像形成装置においては、電荷発生剤として、好ましくは、可視領域に感度を有するペリレン系顔料、ビスアゾ系顔料などが挙げられる。
本発明の電子写真感光体において、上記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体は、電子輸送剤として感光層に含有される。このナフタルイミド誘導体としては、本発明のナフトキノンについて例示したものと同様のものが挙げられる。
【0039】
本発明の電子写真感光体において、バインダ樹脂としては、特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールZ型、ビスフェノールA型、ビスフェノールC型、ビスフェノールZC型などのビスフェノールを用いてなるポリカーボネート、例えば、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレンおよびポリ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。このなかでも、ポリカーボネートは、感光層の強度、耐磨耗性などをより一層良好なものにすることができ、とりわけ、感光層が単層型である場合に好適である。しかも、電荷輸送剤との相溶性に優れ、その分子内に、電荷輸送剤の電荷輸送能を妨害する部位を有しないものであることから、高感度な電子写真感光体を得る上でも好適である。
【0040】
本発明の電子写真感光体においては、上記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体とともに、任意の電子輸送剤として、他の電子輸送剤を含有させてもよい。
他の電子輸送剤としては、例えば、ベンゾキノン系化合物、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、ジナフタルイミド誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド系化合物、フルオレノン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、ニトロアントアラキノン系化合物、ジニトロアントラキノン系化合物などが挙げられる。
【0041】
また、本発明の電子写真感光体においては、感光層に、上記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体とともに、正孔輸送剤を含有させてもよい。
正孔輸送剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ビフェニル、o−,m−,p−ターフェニル、ビナフタレン、スチルベン、スチリルスチルベンなどの芳香族炭化水素に、置換基を有していてもよいジアリールアミノ基を1、2または3個置換してなる化合物(具体的には、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン系化合物、例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなどのスチリル系化合物など。)、例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、例えば、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、例えば、有機ポリシラン化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物が挙げられる。
【0042】
上記芳香族炭化水素は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基などの置換基を有していてもよい。
アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基としては、R2で示されるものと同様の基が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ペンテニル、2−ヘキセニルなどの炭素数が1〜6のアルケニル基が挙げられる。
【0043】
アリールアルケニル基としては、例えば、スチリル、シンナミルなどの炭素数が8〜12のアリールアルケニル基が挙げられる。
置換基を有していてもよいジアリールアミノ基のジアリールアミノ基としては、例えば、ジフェニルアミノ、ジナフチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジスチリルアミノなどが挙げられる。
【0044】
置換基を有していてもよいジアリールアミノ基の置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基などが挙げられる。これらの置換基は、上記のものと同様の基が挙げられる。
本発明においては、感光層に、必須成分としての電荷発生剤と、上記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体(電子輸送剤)と、バインダ樹脂と、さらに必要に応じて、任意成分としての他の電子輸送剤と、正孔輸送剤とを含有させること以外に、例えば、分散剤、増感剤、例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤などの劣化防止剤、例えば、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー、例えば、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするための界面活性剤やレベリング剤などを含有させることができる。
【0045】
分散剤としては、例えば、電荷発生剤のバインダ樹脂中での分散性を向上させるための分散剤として、ジスアゾイエロー、ジアニシジンオレンジ、ピラゾロンオレンジ、ピラゾロンレッドなどのアゾ系顔料が挙げられる。増感剤としては、例えば、テルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレンなどが挙げられる。
本発明の電子写真感光体のうち、感光層が単層型である電子写真感光体は、例えば、電荷発生剤と、上記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体(電子輸送剤)と、バインダ樹脂と、さらに必要に応じて、他の電子輸送剤、正孔輸送剤および他の成分とを、分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた感光層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることによって製造することができる。
【0046】
分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、例えば、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族系炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素類、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類、例えば、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの分散媒は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0047】
上記感光層は、導電基体上に、直接に形成してもよく、または、下引き層(バリア層)を介して形成してもよい。また、感光体の表面には保護層を形成してもよい。
感光層形成用塗布液は、例えば、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂などを、分散媒とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて分散混合することによって、調製することができる。
【0048】
単層型感光層において、感光層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは、5〜100μmであり、より好ましくは、10〜50μmである。
単層型感光層において、電荷発生剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、0.1〜50重量部、より好ましくは、0.5〜30重量部である。上記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、5〜100重量部、より好ましくは、10〜80重量部である。一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体と、他の電子輸送剤とを併用する場合において、両者の総量に占める一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体の割合は、好ましくは、5重量%以上であり、より好ましくは、20重量%以上である。任意に正孔輸送剤を含有させる場合において、正孔輸送剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、10〜200重量部、より好ましくは、20〜100重量部である。また、電子輸送剤と正孔輸送剤との総量は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、20〜300重量部、より好ましくは、30〜200重量部である。
【0049】
本発明の電子写真感光体のうち、感光層が積層型である電子写真感光体は、例えば、まず、電荷発生剤と、バインダ樹脂と、さらに必要に応じて、正孔輸送剤および他の成分とを、分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた電荷発生層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることによって、電荷発生層を形成する。次いで、上記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体(電子輸送剤)と、バインダ樹脂と、さらに必要に応じて、他の電子輸送剤、正孔輸送剤および他の成分とを、分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布し、乾燥させることによって、電荷輸送層を形成する。こうして、導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層とをこの順序で積層してなる電子写真感光体を製造することができる。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は、上記の場合と逆の順序であってもよいが、一般に、電荷発生層はその膜厚が薄く、強度が十分ではないことから、上記のとおりの積層順序とするのが好ましい。
【0050】
分散媒としては、上記したものと同様のものが挙げられる。
上記電荷発生層または電荷輸送層は、導電基体上に、直接に形成してもよく、または、下引き層を介して形成してもよい。また、感光体の表面には保護層を形成してもよい。
電荷発生層形成用塗布液および電荷輸送層形成用塗布液は、例えば、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂などの所定の成分を、分散媒とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて分散混合することによって、調製することができる。
【0051】
積層型感光層において、感光層の厚さは、特に限定されないが、電荷発生層が、好ましくは、0.01〜5μm、より好ましくは、0.1〜3μmであり、電荷輸送層が、好ましくは、2〜100μm、より好ましくは、5〜50μmである。
積層型感光層の電荷発生層において、電荷発生剤の含有割合は、特に限定されないが、バインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、5〜1000重量部であり、より好ましくは、30〜500重量部である。また、積層型感光層の電荷輸送層において、上記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体の含有割合は、特に限定されないが、好ましくは、10〜500重量部、より好ましくは、25〜200重量部である。
【0052】
本発明の電子写真感光体は、静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタなどの画像形成装置において、とりわけ、画像処理のさらなる高速化や高画質化が要求されている用途において、好適である。
【実施例】
【0053】
次に、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
合成例1
【0054】
下記式(29)で表される4−ニトロ−1,8−ナフタル酸無水物27g(0.111mol)の酢酸200ml溶液に、下記式(28)で表されるアニリン誘導体15g(0.111mol)を滴下し撹拌下に加熱、環流を4時間行なった。反応終了後、反応溶液を冷却し、そこにメタノール200mlを加え撹拌し、析出した固体をろ別した。得られた固体をクロロホルムに溶解して有機層を水で洗浄した後、有機層に無水硫酸ナトリウム及び活性白土を加え、乾燥及び吸着処理を行った。クロロホルムを減圧留去し、得られた残渣をクロロホルムで再結晶を行い、下記式(30)で表される固体を得た。下記反応式(i)参照。
化合物(30):黄色結晶 収量31.8g、収率79.5%
【化10】

次いで、200mlのテトラヒドロフランとLiAlH2.78g(0.0733mol)を収容した1Lのフラスコをアルゴン雰囲気下30分撹拌を行った後、上記反応式(i)で得られた化合物(30)22g(0.0611mol)のTHF溶液を滴下し、0℃で2時間撹拌を行った。
反応終了後反応溶液を水に注ぎ、クロロホルムで抽出後、有機層を水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルム展開)で精製し、下記式(31)で表される化合物を得た。下記反応式(ii)参照。
化合物(31):淡黄色結晶 収量15.8g、収率78.3%
【化11】

次いで、下記式(32)で表される1,8-ナフタル酸無水物6g(0.0303mol)と酢酸100mlを収容した500mlのフラスコに、上記式(ii)で得られた化合物(31)(化合物(31)10g(0.00303mol)の酢酸150ml溶液)を滴下し、加熱、還流を4時間行った。反応終了後、反応溶液を冷却し、そこにメタノール200mlを加え、析出した固体をろ別後クロロホルムに溶解した。固体を溶解したクロロホルム溶液を水で洗浄し、有機層に無水硫酸ナトリウム及び活性白土を加え、乾燥および吸着処理を行った。クロロホルムを減圧留去後、残渣をクロロホルムによって再結晶を行い、得られた結晶を乾燥することによって、下記式(11−1)で表される化合物を得た。下記反応式(iii)参照。
化合物(11−1):黄色結晶 収量12.4g、収率80.2%
【化12】

【0055】
合成例2
上記合成例1の反応式(i)に示す反応において、4−ニトロ−1,8−ナフタル酸無水物(29)に代えて、下記式(34)で示される3−ニトロ−1,8−ナフタル酸無水物27g(0.111mol)と、式(28)で表されるアニリン誘導体に代えて、下記式(33)で表されるアニリン誘導体15.01g(0.111mol)とを反応させて、下記式(35)で表される化合物を得た。次いで、上記合成例1の反応式(ii)に示す反応において化合物(30)に代えて、下記式(35)で表される化合物22.02g(0.0611mol)を還元し下記式(36)で表される化合物を得た。次いで反応式(iii)に示す反応において、1,8-ナフタル酸無水物に代えて下記式(37)で表される無水フタル酸4.49g(0.0303mol)を用いたこと以外は、合成例1と同様に合成反応を実施して、下記式(12−1)で示されるナフタルイミド誘導体を得た。
下記反応式(iv)参照。
化合物(12−1):黄色結晶 収量11.5g、収率82.4%
【化13】

【0056】
合成例3
上記合成例1の反応式(i)に示す反応において、式(28)で表されるアニリン誘導体に代えて、下記式(38)で表されるアニリン誘導体16.56g(0.111mol)を4−ニトロ−1,8−ナフタル酸無水物(29)と反応させて、下記式(39)で表される化合物を得た。上記合成例1の反応式(ii)に示す反応において化合物(30)に代えて、下記式(39)で表される化合物22.88g(0.0611mol)を還元し下記式(40)で表される化合物を得た。反応式(iii)に示す反応において、1,8-ナフタル酸無水物に代えて4−ニトロ−1,8−ナフタル酸無水物(29)7.37g(0.0303mol)を用いたこと以外は、合成例1と同様に合成反応を実施して、下記式(11−2)で示されるナフタルイミド誘導体を得た。
下記反応式(v)参照。
化合物(11−2):黄色結晶 収量13.1g、収率75.9%
【化14】

【0057】
合成例4
反応式(iii)に示す反応において、1,8-ナフタル酸無水物に代えて下記式(41)で表される化合物6.00g(0.0303mol)を用いたこと以外は、合成例1と同様に合成反応を実施して、下記式(13−1)で示されるナフタルイミド誘導体を得た。
【0058】
化合物(13−1):収量11.2g、収率72.4%。
【0059】
【化15】

【0060】
実施例1
X型無金属フタロシアニン(電荷発生剤)5重量部と、上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体(電子輸送剤)20重量部と、下記式(HT−1)で示されるN,N,N’,N’−テトラ(3,4−キシリル)−1,3−フェニレンジアミン(正孔輸送剤)60重量部と、Z型ポリカーボネート(結着樹脂)100重量部と、テトラヒドロフラン(溶剤)800重量部とを配合して、ボールミルにて50時間、混合分散させることにより、単層型感光層用の塗布液を得た。
【0061】
次いで、この塗布液を、アルミニウム素管(導電性基材)上に、ディップコート法にて塗布し、100℃で30分間熱風乾燥することにより、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
【0062】
【化16】

【0063】
実施例2
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(12−1)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
実施例3
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(11−2)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
実施例4
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(13−1)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
【0064】
比較例1
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、下記式(ET−1)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
【0065】
比較例2
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、下記式(ET−2)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
比較例3
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、下記式(ET−3)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
【0066】
【化17】

【0067】
感度特性試験
上記実施例1〜4および比較例1〜3で得られた電子写真感光体の感度を、GENTEC社製のドラム感度試験機を用いて測定した。
この感度特性試験では、まず、感光体の表面に印加電圧を加えて、表面電位(初期表面電位V0)が+700Vとなるように帯電させた後、ハロゲンランプ(露光光源)の白色光からバンドパスフィルタを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅20nm、光強度1.5μJ・cm-2)を、感光体表面に照射した。次いで、露光開始から0.5秒経過した時点での表面電位を測定して、残留電位Vrとした。また、感光体の表面電位が露光前電位(Vo)の1/2の電位に低下するときまでの露光量(μJ/cm2)、すなわち半減露光量E1/2(μJ/cm2)を測定した。
【0068】
上記感度特性試験の測定結果を、表1に示す。
【0069】
【表1】

「結晶化」は、結晶化のため測定できなかったことを示す。
【0070】
実施例5
N,N,N’,N’−テトラ(3,4−キシリル)−1,3−フェニレンジアミンに代えて、下記式(HT−2)で示されるビス−1,4−〔4’−〔N−(2''−エチル−6''−メチル)フェニル−N−m−トリル〕アミノ−2’−メチルスチリル〕ベンゼン60重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
【0071】
【化18】

【0072】
実施例6
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(12−1)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
実施例7
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(11−2)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
実施例8
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(13−1)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
【0073】
比較例4
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(ET−1)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
比較例5
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(ET−2)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
比較例6
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(ET−3)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例5と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。上記実施例5〜8および比較例4〜6で得られた電子写真感光体について、上記と同様にして、感度特性試験を実施した。その結果を表2に示す。
【0074】
【表2】

「結晶化」は、結晶化のため測定できなかったことを示す。
【0075】
実施例9
N,N,N’,N’−テトラ(3,4−キシリル)−1,3−フェニレンジアミンに代えて、下記式(HT−3)で示されるビス−1,2−〔4’−〔N,N−ジ(p−トリル)〕アミノスチリル〕ベンゼン60重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
【0076】
【化19】

【0077】
実施例10
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(12−1)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例9と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
実施例11
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(11−2)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例9と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
【0078】
実施例12
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(13−1)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例9と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
比較例7
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(ET−1)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例9と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
比較例8
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(ET−2)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例9と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
比較例9
上記式(11−1)で示されるナフタルイミド誘導体に代えて、上記式(ET−3)で示されるナフタルイミド誘導体20重量部を使用したこと以外は、実施例9と同様にして、膜厚25μmの単層型感光層を備える電子写真感光体を得た。
【0079】
上記実施例9〜12および比較例7〜9で得られた電子写真感光体について、上記と同様にして、感度特性試験を実施した。その結果を表3に示す。
【0080】
【表3】

「結晶化」は、結晶化のため測定できなかったことを示す。
【0081】
上記表1〜3より明らかなように、上記一般式(1)で示されるナフタルイミド誘導体を電子輸送剤として使用した場合には、電気特性に優れた電子写真感光体を得ることができた。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。












【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されることを特徴とする、ナフタルイミド誘導体。
【化1】


(RaおよびRは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基を示す。mは0から5の整数を示す。式中Aは、下記一般式(1−1)、一般式(1−2)または一般式(1−3)で示される基を示す。)
【化2】


(式中、R〜Rは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、-COOR、または-OCORで表される基を示す。RおよびRは各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基を示す。nおよびoはそれぞれ1〜3の整数を示す。pおよびqはそれぞれ1〜2の整数を示す。rは1〜2の整数を示し、sは1〜4の整数を示す。R〜Rのうち隣り合う炭素に置換された基は結合して環を巻いてもよい。)
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【請求項3】
前記感光層が単層型であることを特徴とする、請求項2に記載の電子写真感光体。

【公開番号】特開2006−182682(P2006−182682A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376627(P2004−376627)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】