説明

ナフタレンの製造方法

【課題】需要の少ないメチルナフタレンからナフタレンを効率的に製造する。
【解決手段】塩基成分がキノリン換算で1質量%未満であるメチルナフタレンを原材料とし、水素または不活性ガスの存在下、かつ硫酸化ジルコニアを触媒として、脱メチル化を行い、ナフタレンを製造する。硫酸化ジルコニアは、貴金属が担持された硫酸化ジルコニアであるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メチルナフタレンからナフタレンを製造する技術に関し、特に、ナフタレンと同様にコールタールから得られるがナフタレンに比べ需要の少ないメチルナフタレンの有効利用に関する。
【背景技術】
【0002】
ナフタレンは、旧来防虫剤として用いられてきたばかりでなく、スルフォン化してコンクリート減水剤としても用いられてきた。また水素化したテトラリンやデカリンは、ドライクリーニングの溶剤として用いられている。さらには部分酸化して製造される無水フタル酸は、塩化ビニルの可塑剤原料として、国内外で多く用いられてきており、ナフタレンの最大用途と言える。
通常、ナフタレンは石炭の乾留により発生するコールタールを原料として製造されている。コールタールの蒸留によりナフタレン油が分離されるが、ナフタレン油中には、ナフタレン以外に有用な化合物であるフェノール等のいわゆる石炭酸が含まれている。このため、ナフタレン油よりナフタレンを製造するためには、ナフタレン油を苛性ソーダなどのアルカリを用いてフェノール類を抽出する必要がある。この脱酸された脱酸ナフタレン油を蒸留により精製し、95%ナフタレンが製造されている。95%ナフタレンは、その用途に応じて、さらに精製されたり、化学反応により他の物質に変換されたりしている。
一方、ナフタレンよりやや重質な蒸留留分は、通常洗浄油と呼ばれる。この洗浄油はメチルナフタレンが主成分であり、十〜数十%含まれている。しかしながら、メチルナフタレンは需要がほとんど無く、洗浄油は混合物のまま、溶剤や吸収剤などの用途に用いられているに過ぎない。
【0003】
アルキル芳香族炭化水素の脱アルキル化方法として、水素化脱アルキル法が提案されている。
例えば、トルエン等の脱メチル化方法として、黒鉛とアルカリ金属をアルミナに担持した触媒が提案されている(特許文献1参照)。
また、メチルベンゼン等の水素化脱メチル方法が提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)。特許文献2では、貴金属をアルミナに担持した触媒を使用する方法が提案されている。また特許文献3では、Cr、Mo、Wを担持した触媒を使用する方法が提案されている。さらに特許文献4では、アルカリ酸化物あるいはアルカリ土類酸化物あるいはアルミナを活性炭に担持した触媒が提案されている。
白金族金属をZSM−5などのゼオライトに担持した触媒が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
アルミナまたはアルミナにパラジウム等を担持した触媒を用い、流動層を用いたメチルナフタレンの水素化脱メチル方法が提案されている(例えば、特許文献6、7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭49−52791号公報
【特許文献2】特開昭50−93926号公報
【特許文献3】特開昭57−167928号公報
【特許文献4】特開昭57−167929号公報
【特許文献5】特開昭56−115728号公報
【特許文献6】特開平2−298347号公報
【特許文献7】特開平2−304033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
需要の少ないメチルナフタレンのメチル基を取り除けば、有用なナフタレンに変換できる。それには、メチルナフタレンからナフタレンを効率的に製造する有効な技術が不可欠である。
しかしながら、特許文献1に開示されているトルエン等の脱メチル化方法の実施例では、空間速度が小さく、しかも原料の転化率は20%程度である。例えばトルエンの脱メチル化反応の場合、空間速度は790hr−1と小さく、トルエンの転化率は19%、ベンゼンの選択率は80%となっており、ベンゼンの収率は15%に過ぎない。
特許文献2〜4は、メチルベンゼン等の水素化脱メチル方法を記載し、これらの方法の反応温度は400〜600℃となっているが、水素化脱メチルにおいて有効な収率を得るためには500℃以上の高温を必要としている。
特許文献5の方法は250〜420℃と比較的低温で脱アルキル反応が進行する。しかしながら、進行するのは脱エチル化反応、脱プロピル化反応などであり、メチル基は選択的に保護されてしまう。このため、メチルナフタレンからナフタレンを製造するための技術としては、利用することが出来ない。
特許文献6、7では、反応温度としては350〜700℃とされている。しかしながら実質的反応率を得るには500℃以上の温度(実施例は580〜630℃)を必要としている。さらに提案されている循環流動層を形成するためには、大規模な装置が必要となるばかりでなく、生成物中に触媒が混在し、これを単に除去する必要があるばかりでなく、貯蔵タンクに蓄積して、定期的に清掃が必要になるなどの欠点がある。
このように従来技術では、効率的かつ経済的にメチルナフタレンあるいはその混合物からナフタレンを製造することは困難である。
【0006】
解決しようとする問題点は、メチルナフタレンがナフタレンの原料として有効利用されていない点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、メチルナフタレンからナフタレンを製造するにあたり、原材料に対し、水素または不活性ガスの存在下、かつ硫酸化ジルコニアを触媒として用いて、塩基成分がキノリン換算で1質量%未満である条件下に、メチルナフタレンの脱メチル化を行う工程を具えることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、これまで溶剤としか利用されていなかった洗浄油中のメチルナフタレンを有用なナフタレンに効率的に変換することが出来る。ナフタレンは、防虫剤として用いられているほか、コンクリート減水剤、ドライクリーニング用溶剤、塩化ビニルの可塑剤などの製造原料として広く用いられている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
メチルナフタレンをナフタレンの原料として有効利用するという目的を、硫酸化ジルコニアを触媒として用いた効率的な脱メチル化により、経済性を損なわずに実現した。
【0010】
メチルナフタレンからナフタレンを製造するにあたり、塩基成分がキノリン換算で1質量%未満のメチルナフタレンを原材料とし、水素または不活性ガスの存在下、かつ硫酸化ジルコニアを触媒として、脱メチル化を行うことができる。
前記硫酸化ジルコニアは、貴金属が担持された硫酸化ジルコニアがよい。
前記ナフタレンは、コールタールから得られる洗浄油に由来することができる。
【0011】
原材料は、メチルナフタレンからなるもの、またはメチルナフタレンを主成分とするものを用いることができる。メチルナフタレンは、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレンの単独、またはこれらの混合物でもよい。反応を阻害しない範囲で、他の化合物が混入していてもよい。
【0012】
試薬等級のメチルナフタレンは、キノリン換算の塩基性化合物の濃度が1質量%未満であるため、そのまま硫酸化ジルコニア触媒を用いた水素化脱メチル反応を行うことにより、本発明の目的を達成することができる。一方、コールタールから得られる通常の洗浄油では、キノリン、イソキノリンが合計で約10質量%程度含まれており、これを分離する必要がある。この分離方法としては、硫酸等の適当な鉱酸水溶液と接触させ、塩基性成分を抽出後、鉱酸水溶液を分離する方法が挙げられる。使用する酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の鉱酸以外に、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、コハク酸などの有機酸でもよい。また上記のような酸で塩基性成分をある程度下げた後に、活性白土や酸性白土、アルミナといった酸性吸着剤を用いて、キノリン換算の塩基性化合物の濃度を1質量%未満に低減しても良い。
【0013】
ここでキノリン換算の質量とは、原料に含まれる塩基性化合物のモル数にキノリンの分子量(129g/モル)と一分子中に含まれる塩基の数を乗じた質量である。ピリジン、メチルピリジン、キノリン、イソキノリン、メチルキノリン、メチルイソキノリン、インドリンなどの一塩基性化合物は、そのモル数にキノリンの分子量を乗ずればよく、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジンなどの二塩基性化合物は、そのモル数にキノリンの分子量および塩基数(2)を乗ずればよい。
【0014】
本発明では、メチルナフタレンの脱メチル化に先立って、原材料中のメチルナフタレンを100質量%としたとき、キノリン換算の塩基性化合物重量が1質量%未満、好ましくは、0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下の原料を用いればよく、その塩基性成分の除去方法によって制限されるものではない。
【0015】
硫酸化ジルコニアは、種々の調製法が提案されている。その標準的な製造方法は、社団法人・触媒学会の参照触媒委員会にて討議され、以下のように公表されている。
ジルコニア(酸化ジルコニウム)100質量部に対して硫酸アンモニウム20質量部を加える。これを自動乳鉢にて30分間混練する。この混練物を100℃にて24時間以上乾燥する。さらに室温から200℃/時間にて600℃まで昇温して、3時間600℃にて保持する。
【0016】
本発明にて使用する硫酸化ジルコニアは、上記の方法に基づいて調製すれば、本発明の目的を達成できる。上記以外の方法、例えば、ジルコニアに硫酸を担持して、そのまま焼成する方法でも調製でき、本発明の目的を達成できる。また、市販の硫酸化ジルコニアを用いても、本発明の目的を達成できる。
【0017】
脱メチル反応は、反応が阻害されない限り、メチルナフタレンの濃度、条件等、特に制限されることがない。
反応温度は、300〜600℃、好ましくは300〜550℃、または400〜550℃にて行えばよい。300℃未満では反応速度が遅いため、脱メチル化反応が効率的に進みにくい。また、600℃を超えると生成したナフタレンや原料の重質化が進みやすいため、好ましくない。
【0018】
水素や、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスの圧力は、ゲージ圧力で8MPa以下、好ましくは3MPa以下がよい。圧力は1MPa以下でも可能である。圧力が高いと、エネルギー的に不利なばかりでなく、特に水素圧力が高いと脱メチル反応速度が僅かに遅くなる傾向が認められるため、好ましくない。
【0019】
反応時間は、反応温度に到達した後、1時間〜16時間、好ましくは、4〜16時間である。反応時間が短いと十分なナフタレンの収率が得られず、反応時間が長いとナフタレンの収率が反応時間に対し一次の関係より低くなり、効率が低下するので好ましくない。
【0020】
硫酸化ジルコニアの添加量は、メチルナフタレン100質量部に対し、硫酸化ジルコニアを、1〜10質量部、好ましくは4〜10質量部配合するのがよい。1質量部未満ではナフタレンの収率が低下し、10質量部を超えてもナフタレン収率の増加は少ないため、効率的ではない。
【0021】
担持する貴金属としては、パラジウム、白金、イリジウム、ロジウムなどからなる群より選ばれる少なくとも1種が例示されるが、価格、存在量からパラジウムを利用することが好ましい。担持量(対硫酸化ジルコニア)としては、0.2質量%以下、好ましくは0.15質量%以下であり、その好ましい下限は0.01質量%以上である。担持量が少ないと、本発明の効果が十分発揮されず、担持量が多いと触媒製造価格が高くなり、経済的に不利である。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
酸化ジルコニウム(第一希元素化学工業株式会社製、EP−D)100質量部に対して硫酸アンモニウム20質量部を加え、乳鉢にて2時間混練した。この混練物を100℃にて24時間以上乾燥した。さらに室温から200℃/時間にて600℃まで昇温して、3時間600℃にて保持し、硫酸化ジルコニウムを調製した。
1−メチルナフタレン(キノリン基準塩基性化合物濃度=0質量%)50gを200ccオートクレーブに入れ、上記で調製した硫酸化ジルコニアを2g加えた。オートクレーブに水素を1MPaの圧力まで導入し、密閉した。これを撹拌しながら昇温して、450℃にて4時間保持した。オートクレーブを冷却後、オートクレーブ中の液成分を分析したところ、ナフタレンの濃度は、18.3質量%であった。また、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の合計は78.0質量%であった。
【0023】
(実施例2)
市販の硫酸化ジルコニア(販売元:和光純薬製)の粉砕品を用いた以外は、実施例1と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は19.5質量%であった。また、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の総計は78.6質量%であった。
【0024】
(実施例3)
キノリン基準の塩基性化合物濃度が0.2質量%である1−メチルナフタレンを用いた以外は、実施例2と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は18.9質量%であった。また、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の合計は78.8質量%であった。
【0025】
(実施例4)
反応時間を16時間とした以外は、実施例2と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は42.7質量%であった。また、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の合計は85.3質量%であった。
【0026】
(実施例5)
市販の硫酸化ジルコニア(販売元:和光純薬)にパラジウムを0.05質量%となるように担持した。この触媒2gを粉砕し、1−メチルナフタレン(キノリン基準塩基性化合物濃度=0質量%)50gを入れた200ccオートクレーブに加えた。オートクレーブに水素を1MPaの圧力まで導入し、密閉した。これを撹拌しながら昇温して、450℃にて4時間保持した。オートクレーブを冷却後、オートクレーブ中の液成分をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、ナフタレンの濃度は、19.9質量%であった。また、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の総計は91.2質量%であった。
【0027】
(実施例6)
パラジウムの担持量を0.1質量%としたパラジウム担持硫酸化ジルコニア触媒を用いた以外は、実施例5と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は20.3質量%であり、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の総計は90.1質量%であつた。
【0028】
(実施例7)
パラジウムの代わりに白金を担持した触媒を用いた以外は、実施例5と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は19.8質量%であり、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の総計は89.6質量%であった。
【0029】
(実施例8)
白金の担持量を0.1質量%とした白金担持硫酸化ジルコニア触媒を用いた以外は、実施例7と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は19.9質量%であり、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の総計は89.5質量%であった。
【0030】
(実施例9)
反応原料として表1に示した混合物を用いた以外は、実施例6と同じ方法にて反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は10.4質量%であり、これは反応原料中の1−メチルナフタレンおよび2−メチルナフタレンに対するモル収率は19.9質量%となった。また、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の合計は89.0質量%であった。
【0031】
【表1】

【0032】
(比較例1)
キノリン基準の塩基性化合物濃度が1.0質量%である1−メチルナフタレンを用いた以外は、実施例2と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は14.4質量%と大きく低下した。
(比較例2)
キノリン基準の塩基性化合物濃度が9.1質量%である1−メチルナフタレンを用いた以外は、実施例2と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は9.0質量%とさらに大きく低下した。
(比較例3)
硫酸化ジルコニアの代わりにZSM−5(ゼオライト)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で反応試験を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は、7.0質量%と低く、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の総計は40.1質量%と大きく減少し、ガスクロマトグラフィーで検出されない重質分が増加していた(100%−40.1%=59.9%が重質化した)。
【0033】
(実施例10)
水素の代わりに窒素を用いた以外は、実施例6と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は22.3質量%であり、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の総計は84.4質量%であった。
【0034】
(実施例11)
用いた触媒量を5gとした以外は、実施例10と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は23.1質量%であり、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の総計は82.4質量%であった。
【0035】
(実施例12)
用いた触媒量を3.5gとした以外は、実施例10と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は23.7質量%であり、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の総計は84.4質量%であった。
【0036】
(比較例4)
硫酸化ジルコニア触媒の代わりにアルミナ触媒(水澤工業製:GP−20)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は12.4質量%と低く、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の総計は79.4質量%であった。
(比較例5)
硫酸化ジルコニア触媒の代わりにアルミナ触媒(水澤工業製:GP−20)を用い、水素圧力を2MPaとした以外は、実施例1と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は11.4質量%と低く、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の総計は83.5質量%であった。
(比較例6)
触媒を添加しなかった以外は、比較例5と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は6.9質量%と低く、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の総計は84.3質量%であった。
(比較例7)
硫酸化ジルコニア触媒の代わりにアルミナ触媒(水澤工業製:GP−20)を用いた以外は、実施例10と同じ方法で反応を行った。生成した液成分中のナフタレン濃度は15.4質量%と低く、ガスクロマトグラフィーで検出された液成分の総計は87.0質量%であった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、利用価値の少ないメチルナフタレンあるいはその混合物から有用なナフタレンを製造する技術として有用である。メチルナフタレン混合物の一つであるコールタールから製造した洗浄油を原料として用いる場合、ナフタレンは最も軽質な成分となるため、蒸留分離が容易となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチルナフタレンからナフタレンを製造するにあたり、塩基成分がキノリン換算で1質量%未満のメチルナフタレンを原材料とし、水素または不活性ガスの存在下、かつ硫酸化ジルコニアを触媒として、脱メチル化を行うことを特徴とするナフタレンの製造方法。
【請求項2】
前記硫酸化ジルコニアは、貴金属が担持された硫酸化ジルコニアであることを特徴とする請求項1に記載のナフタレンの製造方法。
【請求項3】
前記メチルナフタレンは、コールタールから得られる洗浄油に由来することを特徴とする請求項1または2に記載のナフタレンの製造方法。
【請求項4】
前記脱メチル化は、300〜550℃にて行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のナフタレンの製造方法。
【請求項5】
前記メチルナフタレン100質量部に対し、硫酸化ジルコニア1〜10質量部配合することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のナフタレンの製造方法。

【公開番号】特開2010−285410(P2010−285410A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142294(P2009−142294)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(591067794)JFEケミカル株式会社 (220)
【Fターム(参考)】