説明

ナフタレン環を有する液晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素子

【課題】 低い透明点、小さい粘度、正の誘電率異方性、大きな光学異方性、および他の液晶性化合物との優れた相溶性を有する化合物を提供し、この化合物を含有し、小さい粘度、適切な誘電率異方性、大きな光学異方性、および低いしきい値電圧を有する液晶組成物を提供し、この組成物を含有し、短い応答時間、高いコントラストおよび低い駆動電圧を有する液晶表示素子を提供する。
【解決手段】 式(1)で表される化合物、この化合物を含有する組成物、およびこの組成物を含有する液晶表示素子。



式中、RaおよびRbは炭素数1〜20のアルキルなどであり;A1、A2、およびA3は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレンまたは1,4−フェニレンなどであり;Z1は単結合、−(CH22−などであり;Z2は単結合であり;YおよびYは独立して水素またはフッ素であり;pは0または1であり;qは1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素子に関する。さらに詳しくはジフルオロメチレンオキシとナフタレン環とが結合した構造を有する液晶性化合物、これを含有する液晶組成物、およびこの組成物を含有する液晶表示素子に関する。
【0002】
液晶性化合物の用語は、液晶相を有する化合物および液晶相を有しないが液晶組成物の成分として有用な化合物の総称として用いる。液晶性化合物、液晶組成物、液晶表示素子をそれぞれ化合物、組成物、素子と表記することがある。式(1)から式(12)で表わされる化合物をそれぞれ化合物(1)から化合物(12)と表記することがある。式(2)から式(12)において、六角形で囲んだB、D、Eなどの構造単位は環B、環D、環Eなどを示す。そのほかの六角形は1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンおよびピリミジン−2,5−ジイルである。
【背景技術】
【0003】
液晶表示素子は、表示方式に基づいてTN(Twisted nematic)、TN−TFT(Twisted nematic-Thin film transistor)、BTN(Bistable twisted nematic)、STN(Super twisted nematic)、IPS(In-plane switching)、GH(Guest host)、DS(Dynamic scattering)、VA(Vertical alignment)、OCB(Optically compensated bend)、ECB(Electrically controlled birefringence)、PC(Phase change)などのモードに分類される。
【0004】
素子に用いる液晶組成物に適切な物性は、これらのモードによって異なる。物性には粘度(η)、光学異方性(Δn)、誘電率異方性(Δε)、電気伝導度、および弾性定数比K33/K11(K33:ベンド弾性定数、K11:スプレイ弾性定数)などがある。化学的な安定性、液晶相の広い温度範囲、低温における相溶性などの物性も組成物に必要である。この組成物は多くの液晶性化合物を混合して調製されるので、組成物が必要とする物性を有する化合物が開発された。
【0005】
既知の液晶性化合物は、透明点(液晶相−等方相の転移温度)が高い化合物は光学異方性が一般的に小さい。一方、透明点が低くそして光学異方性が大きいい化合物の例は多くない。特に、三環または四環を有する化合物においてはこのような例が少ない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第一の目的は、低い透明点、小さい粘度、正の誘電率異方性、大きな光学異方性、および他の液晶性化合物との優れた相溶性を有する化合物である。第二の目的は、この化合物を含有し、小さい粘度、適切な誘電率異方性、大きな光学異方性、および低いしきい値電圧を有する液晶組成物である。第三の目的は、この組成物を含有し、そして短い応答時間、高いコントラスト、および低い駆動電圧を有する液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、化合物(1)が低い透明点、小さい粘度、正の誘電率異方性、大きな光学異方性、および他の液晶性化合物との優れた相溶性を有することを見いだした。この化合物を含有する液晶組成物が小さい粘度、適切な誘電率異方性、大きな光学異方性、および低いしきい値電圧を有することも見いだした。さらに、この組成物を含有する液晶表示素子が短い応答時間、高いコントラスト、および低い駆動電圧を有することも見いだした。本発明の目的を達するための本発明の態様は下記のとおりである。化合物(1)における末端基、環、および結合基に関して、好ましい例も述べた。
1.下記の式(1)で表わされる化合物。
【0008】

【0009】
式中、Rは炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−CO−、または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよく;Rは炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよい。
【0010】
「アルキルにおいて任意の−CH−は−O−、−CH=CH−などで置き換えられてもよい」の句の意味を一例で示す。C−において任意の−CH−を−O−または−CH=CH−で置き換えた基の一部は、CO−、CH−O−(CH−、CH−O−CH−O−、HC=CH−(CH−、CH−CH=CH−(CH−、およびCH−CH=CH−CH−O−である。このように「任意の」語は、「区別なく選択された少なくとも1つの」を意味する。化合物の安定性を考慮して、酸素と酸素とが隣接したCH−O−O−CH−よりも、酸素と酸素とが隣接しないCH−O−CH−O−の方が好ましい。
【0011】
好ましいRまたはRは、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アルキルチオ、アルキルチオアルコキシ、アシル、アシルオキシ、アシルアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルケニルオキシアルキル、およびアルコキシアルケニルである。少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたこれらの基も好ましい。好ましいハロゲンはフッ素および塩素である。少なくとも1つの水素が−CNで置き換えられたこれらの基も好ましい。これらの基は分岐鎖よりも直鎖の方が好ましい。分岐したRまたはRは化合物(1)が光学活性であるときに好ましい。特に好ましいRまたはRはアルキル、アルコキシ、アルケニル、およびアルケニルオキシである。
【0012】
アルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランス配置が好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシス配置が好ましい。好ましい立体配置を有するアルケニルは、高い透明点または液晶相の広い温度範囲を有する。Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 109.を参照。
【0013】
具体的なRまたはRは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、プロポキシメチル、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、2−プロペニルオキシ、2−ブテニルオキシ、2−ペンテニルオキシ、1−プロピニル、および1−ペンチニルである。
【0014】
具体的なRまたはRは、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−フルオロビニル、2,2−ジフルオロビニル,2−フルオロ−2−シアノビニル、3−フルオロ−1−プロペニル、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル、4−フルオロ−1−プロペニル、および4,4−ジフルオロ−3−ブテニルである。特に好ましいRまたはRは、エチル、プロピルおよびペンチルである。
【0015】
1、A2、およびA3は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレンまたは1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0016】
「これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく」の句の意味を例で示す。1,4−シクロヘキシレンにおいて2つの−CH−が−O−で置き換えられた環の一例は1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである。これらの環において任意の−CH=が−N=で置き換えられた環の一例はピリジン−2,5−ジイルである。
【0017】
好ましいA、A、またはA3は、下記の環(r−1)から環(r−25)およびピリダジン−3,6−ジイルである。1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルなどにおける黒い丸印は立体配置がトランスであることを示す。
【0018】

【0019】
特に好ましいA、A、またはA3は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,3,5−トリフルオロ−1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、3−フルオロピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、およびピリダジン−3,6−ジイルである。1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置はシスよりもトランスが好ましい。
【0020】
1は単結合、−(CH22−、−(CF22−、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−(CH23O−、または−O(CH23−であり、Zは単結合である。
【0021】
好ましいZ1は単結合、−(CH22−、−(CF22−、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=CH−、−CF=CF−、および−(CH24−である。−CH=CH−および−CF=CF−の立体配置はシスよりもトランスが好ましい。
【0022】
およびYは独立して水素またはフッ素である。pは0または1であり、qは1である。ナフタレン環を1つの環として数える。pが0である化合物は三環を有する。pが1である化合物は四環を有する。化合物の物性に大きな差異がないので、化合物(1)はH(重水素)、13Cなどの同位体を天然存在比の量より多く含んでもよい。
【0023】
2. 式(1)において、Rは炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Rは炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;A1、A2およびA3は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、任意の水素がハロゲンで置き換えられたピリジン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;Z1は単結合、−(CH22−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、または−(CH24−であり;Zは単結合であり;YおよびYは独立して水素またはフッ素であり;そして、pは0または1であり、qは1である項1に記載の化合物。
【0024】
3. 項1に記載の式(1)において、pが0である項1または項2に記載の化合物。
4. 項1に記載の式(1)において、pが1である項1または項2に記載の化合物。
5. 下記の式(1−b−2)または(1−d−2)で表される化合物。
【0025】

【0026】
式中、Rは炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Rは炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;A1およびA3は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、任意の水素がハロゲンで置き換えられたピリジン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;Z1は単結合、−(CH22−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、または−(CH24−であり;Zは単結合であり;YおよびYは独立して水素またはフッ素であり;pは0または1であり;qは1であり;そして、かっこの中のFが垂直な線で連結した1,4−フェニレンは、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンである。
【0027】
6. 項1〜項5のいずれか1項に記載した少なくとも1つの化合物を含有する液晶組成物。
7. 下記の式(2)、(3)および(4)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項6に記載の組成物。
【0028】

【0029】
式中、Rは炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xはフッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHF、または−OCFCHFCFであり;環Bおよび環Dは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり、環Eは1,4−シクロヘキシレンまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して−(CH)−、−(CH)−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、または単結合であり;そしてLおよびLは独立して水素またはフッ素である。
【0030】
8. 下記の式(5)および(6)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項6に記載の組成物。
【0031】

【0032】
式中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xは−CNまたは−C≡C−CNであり;環Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;環Jは1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2、5−ジイルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;環Kは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Zは−(CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または単結合であり;L、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり;そしてb、cおよびdは独立して0または1である。
【0033】
9. 下記の式(7)、(8)および(9)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項6に記載の組成物。
【0034】

【0035】
式中、RおよびR5は独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;環Mおよび環Pは独立して1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して−(CH)−、−COO−または単結合であり;そしてLおよびLは独立して水素またはフッ素であり、LとLの少なくとも1つはフッ素である。
【0036】
10. 下記の式(10)、(11)および(12)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項7に記載の組成物。
【0037】

【0038】
式中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;環Q、環Tおよび環Uは独立して1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2、5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;そしてZおよびZ10は独立して、−C≡C−、−COO−、−(CH)−、−CH=CH−、または単結合である。
【0039】
11. 項10に記載の式(10)、(11)および(12)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項8に記載の組成物。
12. 項11に記載の式(10)、(11)および(12)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項9に記載の組成物。
13. 項8に記載の式(5)および(6)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する項10に記載の組成物。
【0040】
14. 少なくとも1つの光学活性化合物をさらに含有する項6〜13のいずれか1項に記載の組成物。
15. 項6〜項14のいずれか1項に記載の組成物を含有する液晶表示素子。
【0041】
化合物(2)から化合物(12)において、好ましい基は次のとおりである。分岐のアルキルよりも直鎖のアルキルが好ましい。1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置はシスよりもトランスが好ましい。「アルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよい」の句の意味は、本発明の態様の項1において述べた。R、環Bなどの記号を複数の化合物において用いたが、これらのR(または環Bなど)は同一であってもよいし、異なってもよい。化合物の物性に大きな差異がないので、これらの化合物はH(重水素)、13Cなどの同位体を天然存在比の量より多く含んでもよい。
【発明の効果】
【0042】
本発明の化合物は、低い透明点、小さい粘度、正の誘電率異方性、大きな光学異方性、および他の液晶性化合物との優れた相溶性を有する。この化合物を含有する組成物は、小さい粘度、適切な誘電率異方性、大きな光学異方性、および低いしきい値電圧を有する。この組成物を含有する液晶表示素子は短い応答時間、高いコントラストおよび低い駆動電圧を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
第一に、本発明の化合物(1)をさらに説明する。化合物(1)はジフルオロメチレンオキシとナフタレン環とが結合した構造を有する。この化合物は、素子が通常使用される条件下で物理的および化学的に安定である。この化合物は低い透明点、小さい粘度、正の誘電率異方性、大きな光学異方性、および低いしきい値電圧を有する。この化合物は他の液晶性化合物との相溶性に優れる。この化合物を含有する組成物は、素子が通常使用される条件下で安定である。この組成物を−20℃以下の低温で保管しても、この化合物が固体として析出しない。
【0044】
三環または四環を有する化合物(1)の特徴、およびこの化合物を組成物に添加したときの効果は次のとおりである。
三環を有する化合物(1)は、小さい粘度、大きな光学異方性、および−20℃以下における優れた相溶性を有する。この化合物の透明点は他の三環を有する化合物に比べると比較的低い。そこで、この化合物は組成物の透明点を大幅に上げることなく光学異方性を大きくすることができる。
【0045】
四環を有する化合物(1)は、大きな光学異方性および、他の化合物との優れた相溶性を有する。この化合物の透明点は他の四環を有する化合物に比べると比較的低い。そこで、この化合物は組成物の透明点を大幅に上げることなく光学異方性を大きくすることができる。化合物(1)は他の化合物との相溶性に優れるので、組成物のその他の物性を調整する目的で添加されることもある。
【0046】
化合物(1)の末端基、環および結合基を適当に選択することによって、物性を任意に調整することが可能である。末端基R、R、環A〜A、および結合基Z、Zの種類が、化合物(1)の物性に与える効果を以下に説明する。化合物(1)を組成物に添加すると、化合物(1)の物性が組成物のそれに影響する。
【0047】
化合物(1)のRまたはRが直鎖であるときは液晶相の温度範囲が広く、そして粘度が小さい。RまたはRが分岐鎖であるときは他の液晶性化合物との相溶性がよい。RまたはRが光学活性基である化合物は、キラルドーパントとして有用である。この化合物を組成物に添加することによって、素子に発生するリバース・ツイスト・ドメイン(Reverse twisted domain)を防止することができる。RaまたはRbが光学活性基でない化合物は組成物の成分として有用である。
【0048】
化合物(1)の環A、AまたはAが、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイルまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルのときは、誘電率異方性が大きい。この環が、任意の水素がハロゲンで置き換えられてもよい1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリダジン−3,6−ジイルのときは光学異方性が大きい。この環が、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレンまたは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルのときは光学異方性が小さい。
【0049】
少なくとも2つの環が1,4−シクロヘキシシレンであるときは、透明点が高く、光学異方性が小さく、そして粘度が小さい。少なくとも1つの環が1,4−フェニレンのときは、光学異方性が比較的大きく、そして配向秩序パラメーター(orientational order parameter)が大きい。少なくとも2つの環が1,4−フェニレンのときは、光学異方性が大きく、液晶相の温度範囲が広く、そして透明点が高い。
【0050】
結合基Zが単結合、−(CH22−、−CH2O−、−OCH2−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、または−(CH2−のときは粘度が小さい。結合基が単結合、−(CH22−、−OCF−、−CFO−、−CH=CH−、または−(CH24−のときは粘度がより小さい。結合基が−CF=CF−または−CH=CH−のときは液晶相の温度範囲が広く、そして弾性定数比が大きい。
【0051】
化合物(1)が三環を有するときは粘度が小さく、三環または四環を有するときは透明点が高い。以上のように、末端基、環および結合基の種類、環の数を適当に選択することにより目的の物性を有する化合物を得ることができる。したがって、化合物(1)はTN、STNおよびTN−TFTのモードの素子に用いられる組成物の成分として好適である。
【0052】
化合物(1)の好ましい例は、化合物(1−9)〜(1−12)、および(1−37)〜(1−72)である。これらの化合物におけるRおよびRの記号の意味は、本発明の態様の項1に記載したそれと同一である。かっこの中のFが垂直な線で連結した1,4−フェニレンの記号は、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンである。かっこの中のFが直線で連結したナフタレン環の記号は、水素がフッ素で置き換えられてもよいナフタレン環である。
【0053】

【0054】


【0055】


【0056】

【0057】
化合物(1)は有機合成化学における手法を適当に組み合わせることによって合成できる。出発物質に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、オーガニックシンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニックリアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブオーガニックシンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載されている。
【0058】
化合物(1)を合成する方法の二例を下記のスキームに示す。これらのスキームにおいて、R、R、A、A、A3、Z、Z、pおよびqの記号の意味は本発明の態様における項1の記号の意味と同一である。これらのスキームを説明したあと、結合基を生成する方法の一例を述べる。

【0059】
US6,231,785B1に記載された方法に従い、化合物(13)にn−ブチルリチウム、次いでジブロモジフルオロメタンを反応させて、ブロモジフルオロメタン誘導体(14)を得る。一方、パラジウム触媒の存在下で、化合物(15)とマグネシウムブロミドまたはボロン酸誘導体(16)とのカップリング反応により、ナフタレン誘導体(17)を得る。この化合物(17)を三臭化ホウ素などで脱保護して、ナフトール誘導体(18)を得る。このナフトール誘導体(18)とブロモジフルオロメタン誘導体(14)とを炭酸パラジウムなどの塩基の存在下で反応させて化合物(1)を得る。
【0060】

【0061】
化合物(1)は、P.Kirsch et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2001, 40, 1480.に記載された方法によっても合成できる。化合物(19)にアルキルジチオール、次いでトリフルオロメタンスルホン酸を反応させて、ジチアニリウム塩(20; dithianylium salt)を得る。スキーム1の方法で得たナフトール誘導体(18)とジチアニリウム塩(20)を得る。その後にEt3N・3HF、次いで臭素を作用させることにより、化合物(1)を得る。
【0062】
結合基Zを生成する方法の一例に関して、最初にスキームを示し、次に項(I)〜項(XI)でスキームを説明する。このスキームにおいて、MSGまたはMSGは少なくとも1つの環を有する1価の有機基である。スキームで用いた複数のMSG(またはMSG)は、同一であってもよいし、異なってもよいし。化合物(1A)から(1K)は化合物(1)に相当する。
【0063】

【0064】

【0065】

【0066】

【0067】

【0068】
(I)単結合の生成
アリールホウ酸(21)と公知の方法で合成される化合物(22)とを、炭酸塩水溶液とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で反応させて化合物(1A)を合成する。この化合物(1A)は、公知の方法で合成される化合物(23)にn−ブチルリチウムを、次いで塩化亜鉛を反応させ、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で化合物(22)を反応させることによっても合成される。
【0069】
(II)−COO−と−OCO−の生成
化合物(23)にn−ブチルリチウムを、続いて二酸化炭素を反応させてカルボン酸(24)を得る。化合物(24)と、公知の方法で合成されるフェノール(25)とをDDC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)の存在下で脱水させて−COO−を有する化合物(1B)を合成する。この方法によって−OCO−を有する化合物も合成できる。
【0070】
(III)−CFO−と−OCF−の生成
化合物(1B)をローソン試薬のような硫黄化剤で処理して化合物(26)を得る。化合物(26)をフッ化水素ピリジン錯体とNBS(N−ブロモスクシンイミド)でフッ素化し、−CFO−を有する化合物(1C)を合成する。M. Kuroboshi et al., Chem. Lett., 1992,827.を参照。化合物(1C)は化合物(26)を(ジエチルアミノ)サルファ トリフルオリドでフッ素化しても合成される。William H. Bunnelle et al., J. Org. Chem. 1990, 55, 768.を参照。この方法によって−OCF−を有する化合物も合成できる。
【0071】
(IV)−CH=CH−の生成
化合物(23)をn−ブチルリチウムで処理した後、N,N−ジメチルホルムアミドなどのホルムアミドと反応させてアルデヒド(28)を得る。公知の方法で合成されるホスホニウム塩(27)をカリウムt−ブトキシドのような塩基で処理して発生させたリンイリドを、アルデヒド(28)に反応させて化合物(1D)を合成する。反応条件によってはシス体が生成するので、必要に応じて公知の方法によりシス体をトランス体に異性化する。
【0072】
(V)−(CH−の生成
化合物(1D)をパラジウム炭素のような触媒の存在下で水素化することにより、化合物(1E)を合成する。
【0073】
(VI)−(CH−の生成
ホスホニウム塩(27)の代わりにホスホニウム塩(29)を用い、項(IV)の方法に従って−(CH−CH=CH−を有する化合物を得る。これを接触水素化して化合物(1F)を合成する。
【0074】
(VIII)−CF=CF−の生成
化合物(23)をn−ブチルリチウムで処理したあと、テトラフルオロエチレンを反応させて化合物(31)を得る。化合物(22)をn−ブチルリチウムで処理したあと化合物(31)と反応させて化合物(1H)を合成する。
【0075】
(IX)−CHO−または−OCH−の生成
化合物(28)を水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で還元して化合物(32)を得る。これを臭化水素酸などでハロゲン化して化合物(33)を得る。炭酸カリウムなどの存在下で、化合物(33)を化合物(25)と反応させて化合物(1J)を合成する。
【0076】
(X)−(CH23O−または−O(CH23−の生成
化合物(32)の代わりに化合物(34)を用いて、項(IX)の方法に従って化合物(1K)を合成する。
【0077】
(XI)−(CF22−の生成
J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 5414.に記載された方法に従い、ジケトン(−COCO−)をフッ化水素触媒の存在下、四フッ化硫黄でフッ素化して−(CF22−を有する化合物を得る。
【0078】
第二に、本発明の組成物をさらに説明する。以下で述べる化合物の量(百分率)は組成物の全重量に基づいた重量%である。この組成物は化合物(1)から選ばれる複数の化合物のみを成分として含有してもよい。好ましい組成物は化合物(1)から選択された少なくとも1つの化合物を1〜99%の割合で含有する。この組成物は化合物(2)、(3)および(4)の群から選択された少なくとも1つの化合物、化合物(5)および(6)の群から選択された少なくとも1つの化合物、または化合物(7)、(8)および(9)の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有してもよい。この組成物は、液晶相の温度範囲、粘度、光学異方性、誘電率異方性、しきい値電圧などを調整する目的で、化合物(10)、(11)および(12)の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有してもよい。この組成物は、物性を調整する目的で、その他の化合物をさらに含有してもよい。
【0079】
化合物(2)、(3)および(4)は、誘電率異方性が正で大きく、熱的安定性と化学的安定性が優れるので、主としてTN−TFTモード用の組成物に用いられる。この組成物において、これらの化合物の量は1〜99%である。好ましい量は10〜97%である。より好ましい量は40〜95%である。液晶相の温度範囲、粘度、光学異方性、誘電率異方性、しきい値電圧を調整する、などの目的で化合物(10)、(11)または(12)を組成物にさらに添加してもよい。
【0080】
化合物(5)および(6)は、誘電率異方性が正で非常に大きいので、主としてSTNおよびTNモード用の組成物に用いられる。これらの化合物は組成物の液晶相の温度範囲を広げる、粘度と光学異方性とを調整する、しきい値電圧を下げる、しきい値電圧の急峻性を改良する、などの目的に使用される。STNまたはTNモード用の組成物において、化合物(5)または(6)の量は1〜99%の範囲である。好ましい量は10〜97%である。より好ましい量は10〜70%である。液晶相の温度範囲、粘度、光学異方性、誘電率異方性、またはしきい値電圧を調整する目的で化合物(10)、(11)または(12)を組成物にさらに添加してもよい。
【0081】
化合物(7)、(8)および(9)は誘電率異方性が負であるので、主としてVAモード用の組成物に用いられる。化合物(7)は粘度、光学異方性、およびしきい値電圧を調整する目的で使用される。化合物(8)は透明点を高くする、光学異方性を大きくする、しきい値電圧を下げる、などの目的に使用される。これらの化合物の量を増加させるとしきい値電圧が小さくなるが、粘度が大きくなる。従って、しきい値電圧の要求値を満たすかぎり、より少ない量が好ましい。これらの化合物は誘電率異方性が負であり、かつその絶対値は5以下であるので、好ましい量は40%以上である。より好ましい量は40〜80%である。弾性定数および電圧透過率曲線を調整する目的で、これらの化合物を誘電率異方性が正である組成物に添加してもよい。この場合の好ましい量は30%以下である。
【0082】
化合物(10)、(11)および(12)において、誘電率異方性の絶対値は小さい。化合物(10)は粘度または光学異方性を調整する目的で主に使用される。化合物(11)および(12)は透明点をあげて液晶相の温度範囲を広げる、または光学異方性を調整する目的で使用される。化合物(10)、(11)および(12)の量を増加させると組成物のしきい値電圧が高くなり、粘度が小さくなる。したがって、組成物のしきい値電圧の要求値を満たすかぎり多量に使用してもよい。TN−TFTモード用の組成物において、これらの化合物の好ましい量は40%以下である。より好ましい量は35%以下である。STNまたはTNモード用の組成物において、これらの化合物の好ましい量は70%以下である。より好ましい量は60%以下である。
【0083】
好ましい化合物(2)から(12)は、それぞれ化合物(2−1)〜(2−9)、化合物(3−1)〜(100)、化合物(4−1)〜(4−36)、化合物(5−1)〜(5−60)、化合物(6−1)〜(6−3)、化合物(7−1)〜(7−3)、化合物(8−1)〜(8−5)、化合物(9−1)〜(9−3)、化合物(10−1)〜(10−11)、化合物(11−1)〜(11−16)、および化合物(12−1)〜(12−6)である。これらの化合物において、R1、R、R、R4、R、R6、R、X1、およびXの記号の意味は、本発明の態様の項で記載した記号の意味と同一である。
【0084】

【0085】

【0086】

【0087】

【0088】

【0089】

【0090】

【0091】

【0092】

【0093】

【0094】

【0095】

【0096】

【0097】

【0098】

【0099】
本発明の組成物は公知の方法によって調製される。例えば、成分である化合物を混合し、加熱によって互いに溶解させる。組成物に適当な添加物を加えて組成物の物性を調整してもよい。このような添加物は当業者によく知られている。液晶のらせん構造を誘起して必要なねじれ角を与える目的でキラルドーパントが添加される。キラルドーパントの例は上記の光学活性化合物(Op−1)〜(Op−12)である。
【0100】
キラルドーパントを組成物に添加してねじれのピッチを調整する。TNおよびTN−TFTモード用の好ましいピッチは40〜200μmの範囲である。STNモード用の好ましいピッチは6〜20μmの範囲である。BTNモード用の好ましいピッチは1.5〜4μmの範囲である。PCモード用の組成物にはキラルドーパントを比較的多量に添加する。ピッチの温度依存性を調整する目的で少なくとも2つのキラルドーパントを添加してもよい。
【0101】
本発明の組成物は、TN、TN−TFT、STN、GH、DS、ECBなどのモード用に使用できる。メロシアニン、スチリル、アゾ、アゾメチン、アゾキシ、キノフタロン、アントラキノン、テトラジンなどの化合物である二色性色素を添加してGHモード用の組成物を調製する。本発明の組成物は、ネマチック液晶をマイクロカプセル化して作製したNCAPおよび液晶中に三次元網目状高分子を形成させたポリマー分散型液晶表示素子(PD−LCD)、例えばポリマーネットワーク液晶表示素子(PN−LCD)など、にも使用できる。
【実施例】
【0102】
第三に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例によって制限されない。No.35などの化合物番号は、実施例8で示した化合物に対応する。化合物の相転移温度において、Cr、S、NおよびIsoは、それぞれ、結晶、スメクチック相、ネマチック相、および等方相である。温度の単位は℃である。得られた化合物は核磁気共鳴スペクトル、質量スペクトルなどのデータに基づいて同定した。核磁気共鳴スペクトルにおいて、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、mはマルチプレットである。反応は乾燥した窒素雰囲気下でおこなった。「後処理」は、得られた有機層(抽出液)を炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥したことを意味する。
【0103】
実施例7 2−(4−(4’−ペンチル−3,5−ジフルオロビフェニル)ジフルオロメトキシ)−6−(4−エチルフェニル)ナフタレン(化合物No.35)の合成
【0104】

【0105】
第7−1段
2−メトキシ−6−ブロモナフタレン(2.50 g;0.0105 mol)、4−エチルフェニルボロン酸(1.90 g;0.0127 mol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4;0.050 g)、炭酸カリウム(3.20 g;0.0232 mol)、トルエン(25 mL)、およびエタノール(25 mL)の混合物を、80℃で6時間加熱した。反応終了後、反応混合物を水に注ぎ、トルエンで抽出した。抽出液を後処理し、そして減圧下で溶媒を留去した後、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:トルエン/酢酸エチル)で精製し、2−メトキシ−6−(4−エチルフェニル)ナフタレン(2.62 g;0.0100 mol;収率 95%)を得た。
【0106】
第7−2段
前段で得た2−メトキシ−6−(4−エチルフェニル)ナフタレン(2.62 g;0.0100 mol)のジクロロメタン(50 mL)溶液を−65℃に冷却し、−60℃以下の温度を維持するように三臭化ホウ素(3.01 g;0.0120 mol)を滴下した。25℃で7時間攪拌したあと、反応混合物を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去した後、シリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:トルエン/酢酸エチル)で精製し、6−(4−エチルフェニル)−2−ナフトール(2.23 g;0.0090 mol;収率 90%)を得た。
【0107】
第7−3段
実施例3−1段で得られた4’−ペンチル−3,5−ジフルオロ−(4−ブロモジフルオロメチル)ビフェニル(2.85 g;0.0073 mol)、前段で得られた6−(4−エチルフェニル)−2−ナフトール(2.00 g;0.0081 mol)、炭酸カリウム(2.22 g;0.016 mol)、およびDMF(50 mL)の混合物を110℃で2時間加熱した。反応終了後、反応混合物を水に加え、トルエンで抽出した。抽出液を後処理し、そして減圧下で溶媒を留去した後、残査をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘプタン)で精製し、標題の化合物(1.33 g;0.0028 mol;収率 38%)を得た。このものは液晶相を有した。
GC-MS(EI):480(M+, 10%), 309(100%).
【0108】
実施例8
化合物(1)の合成法に関する記載と実施例1の記載に基づいて、下記の化合物No.8〜No.37を合成する。これらには実施例1で合成された化合物も含まれる。
【0109】

【0110】

【0111】

【0112】
本発明の代表的な組成物を使用例1〜35にまとめた。最初に、組成物の成分である化合物とその量(重量%)を示した。化合物は上記の表1の取り決めに従い、左末端基、結合基、環構造、および右末端基の記号によって表示した。1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置はトランスである。末端基の記号がない場合は、末端基が水素であることを意味する。かっこ中の番号は実施例8で示した化合物に対応する。次に組成物の物性値を示した。物性値の測定は、日本電子機械工業規格(Standard of Electronic Industries Association of Japan)、EIAJ ED−2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法に従った。
【0113】
ネマチック−等方性液体の相転移温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。
【0114】
粘度(η;20℃で測定;mPa・s):粘度の測定にはE型粘度計を用いた。
【0115】
光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):光学異方性は、波長が589nmの光によりアッベ屈折計を用いて測定した。
【0116】
誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
1)Δεの値が正の組成物:2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が9μm、ツイスト角が80度の液晶セルに試料を入れた。このセルに20ボルトを印加して、液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。0.5ボルトを印加して、液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0117】
2)Δεの値が負の組成物:ホメオトロピック配向処理した液晶セルに試料を入れ、0.5ボルトを印加して誘電率(ε‖)を測定した。ホモジニアス配向処理した液晶セルに試料を入れ、0.5ボルトを印加して誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0118】
しきい値電圧(Vth;25℃で測定;ボルト):2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が(0.5/Δn)μmであり、ツイスト角が80度である、ノーマリーホワイトモード(normally white mode)の液晶表示素子に試料を入れた。Δnは上記の方法で測定した光学異方性の値である。この素子に周波数が32Hzである矩形波を印加した。矩形波の電圧を上昇させ、素子を通過する光の透過率が90%になったときの電圧の値を測定した。
【0119】
使用例1
5−BB(F,F)CF2ONp−3 6.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 10.0%
5−BBCF2ONp−V 4.0%
1V2−BEB(F,F)−C 5.0%
3−HB−C 15.0%
1−BTB−3 5.0%
2−BTB−1 10.0%
3−HH−4 11.0%
3−HHB−1 11.0%
3−HHB−3 9.0%
3−H2BTB−2 4.0%
3−H2BTB−3 4.0%
3−HB(F)TB−2 6.0%
NI=90.4(℃);η=23.8(mPa・s);Δn=0.167;
Δε=7.2;Vth=2.09(V).
【0120】
使用例2
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 7.0%
V−HHCF2ONp(F,F)−1 2.0%
5−BB(F,F)CF2ONpB−2 (No.35) 4.0%
2O1−BEB(F)−C 5.0%
3O1−BEB(F)−C 15.0%
4O1−BEB(F)−C 13.0%
5O1−BEB(F)−C 13.0%
2−HHB(F)−C 8.0%
3−HHB(F)−C 15.0%
3−HB(F)TB−3 4.0%
3−HB(F)TB−4 4.0%
3−HHB−1 8.0%
3−HHB−O1 2.0%
NI=87.9(℃);η=83.8(mPa・s);Δn=0.156;
Δε=30.9;Vth=0.85(V).
【0121】
使用例3
5−HCF2ONp−2 2.0%
3−B(F,F)CF2ONp−2 2.0%
3−BB(F,F)CF2ONp−2 3.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 6.0%
5−BBCF2ONp−V 5.0%
5−PyB−F 2.0%
3−PyB(F)−F 4.0%
2−BB−C 5.0%
4−BB−C 4.0%
5−BB−C 5.0%
3−PyB−2 2.0%
4−PyB−2 2.0%
6−PyB−O5 3.0%
6−PyB−O6 3.0%
6−PyB−O7 3.0%
3−PyBB−F 6.0%
4−PyBB−F 6.0%
3−HHB−1 6.0%
3−HHB−3 8.0%
2−H2BTB−2 4.0%
2−H2BTB−3 4.0%
3−H2BTB−2 5.0%
3−H2BTB−3 5.0%
3−H2BTB−4 5.0%
NI=92.1(℃);η=33.9(mPa・s);Δn=0.201;
Δε=6.2;Vth=2.26(V).
【0122】
使用例4
3−B(F,F)CF2ONp−2 3.0%
3−BB(F,F)CF2ONp−2 5.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 5.0%
3−HHCF2ONp(F)B(F)−1 (No.27) 3.0%
3−GB−C 10.0%
4−GB−C 5.0%
2−BEB−C 12.0%
3−BEB−C 4.0%
3−PyB(F)−F 3.0%
3−HEB−O4 8.0%
4−HEB−O2 6.0%
5−HEB−O1 6.0%
5−HEB−O2 4.0%
5−HEB−5 5.0%
4−HEB−5 5.0%
1O−BEB−2 4.0%
3−HHB−1 6.0%
3−HHEBB−C 3.0%
3−HBEBB−C 3.0%
NI=71.0(℃);η=37.9(mPa・s);Δn=0.131;
Δε=11.0;Vth=1.33(V).
【0123】
使用例5
5−HCF2ONp−2 2.0%
3−BB(F,F)CF2ONp−T 3.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 9.0%
5−BBCF2ONp−V 3.0%
3−HB−C 9.0%
7−HB−C 3.0%
1O1−HB−C 10.0%
3−HB(F)−C 10.0%
3−PyB−2 2.0%
4−PyB−2 2.0%
1O1−HH−3 7.0%
2−BTB−O1 7.0%
3−HHB−1 7.0%
3−HHB−F 4.0%
3−HHB−O1 4.0%
3−HHB−3 8.0%
3−H2BTB−2 3.0%
2−PyBH−3 4.0%
3−PyBB−2 3.0%
NI=82.4(℃);η=20.0(mPa・s);Δn=0.150;
Δε=8.0;Vth=1.78(V).
【0124】
使用例11
3−BB(F,F)CF2ONp−T 5.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 4.0%
5−BBCF2ONp−V 7.0%
3−BEB(F)−C 8.0%
3−HB−C 8.0%
V−HB−C 8.0%
1V−HB−C 4.0%
3−HB−O2 3.0%
3−HH−2V 14.0%
3−HH−2V1 7.0%
V2−HHB−1 8.0%
3−HHB−1 5.0%
3−HHEB−F 7.0%
3−H2BTB−2 6.0%
3−H2BTB−3 6.0%
NI=99.2(℃);η=19.4(mPa・s);Δn=0.146;
Δε=8.4;Vth=2.22(V).
【0125】
使用例12
5−HCF2ONp−2 6.0%
3−BB(F,F)CF2ONp−2 6.0%
5−BB(F,F)CF2ONp−3 4.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 12.0%
5−BB(F,F)CF2ONpB−2 (No.35) 3.0%
V2−HB−C 6.0%
1V2−HB−C 6.0%
3−HB−C 12.0%
3−HB(F)−C 5.0%
2−BTB−1 2.0%
3−HH−4 8.0%
3−HH−VFF 6.0%
2−HHB−C 3.0%
3−HHB−C 3.0%
3−HB(F)TB−2 8.0%
3−H2BTB−2 5.0%
3−H2BTB−3 5.0%
NI=87.8(℃);η=18.4(mPa・s);Δn=0.164;
Δε=8.3;Vth=2.01(V).
【0126】
使用例13
5−HCF2ONp−2 5.0%
5−BBCF2ONp−V 7.0%
3−HHCF2ONp(F)B(F)−1 (No.27) 2.0%
5−BEB(F)−C 5.0%
V−HB−C 6.0%
5−PyB−C 6.0%
4−BB−3 11.0%
3−HH−2V 10.0%
5−HH−V 11.0%
V−HHB−1 7.0%
V2−HHB−1 8.0%
3−HHB−1 9.0%
1V2−HBB−2 10.0%
3−HHEBH−3 3.0%
NI=92.1(℃);η=15.0(mPa・s);Δn=0.123;
Δε=4.8;Vth=2.37(V).
【0127】
使用例14
5−HCF2ONp−2 5.0%
3−BB(F,F)CF2ONp−2 7.0%
3−BB(F,F)CF2ONp−T 4.0%
5−BB(F,F)CF2ONpB−2 (No.35) 4.0%
1V2−BEB(F,F)−C 8.0%
3−HB−C 5.0%
V2V−HB−C 7.0%
V2V−HH−3 19.0%
3−HB−O2 4.0%
3−HHB−1 10.0%
3−HHB−3 15.0%
3−HB(F)TB−3 4.0%
3−H2BTB−2 4.0%
3−H2BTB−3 4.0%
NI=102.2(℃);η=22.6(mPa・s);Δn=0.135;
Δε=7.8;Vth=2.12(V).
【0128】
使用例15
5−HCF2ONp−2 5.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 3.0%
5−BBCF2ONp−V 3.0%
5−BB(F,F)CF2ONpB−2 (No.35) 5.0%
V2−HB−TC 10.0%
3−HB−TC 10.0%
3−HB−C 5.0%
5−HB−C 4.0%
5−BB−C 3.0%
2−BTB−1 10.0%
2−BTB−O1 5.0%
3−HH−4 5.0%
3−HHB−1 10.0%
3−HHB−3 11.0%
3−H2BTB−2 3.0%
3−HB(F)TB−2 3.0%
5−BTB(F)TB−3 5.0%
NI=101.4(℃);η=15.2(mPa・s);Δn=0.198;
Δε=6.7;Vth=2.13(V).
【0129】
使用例17
5−HCF2ONp−2 9.0%
5−BB(F,F)CF2ONp−3 5.0%
V−HHCF2ONp(F,F)−1 5.0%
5−BB(F,F)CF2ONpB−2 (No.35) 4.0%
5−HBCF2OB(F,F)−C 3.0%
3−HB(F,F)CF2OB(F,F)−C 3.0%
3−HB−C 9.0%
2−BTB−1 10.0%
5−HH−VFF 30.0%
1−BHH−VFF 4.0%
1−BHH−2VFF 6.0%
3−H2BTB−3 4.0%
3−H2BTB−4 4.0%
3−HHB−1 4.0%
NI =83.2(℃);η=15.3(mPa・s);Δn=0.130;
Δε=4.7;Vth=2.50(V).
【0130】
使用例18
3−BB(F,F)CF2ONp−2 17.0%
5−BB(F,F)CF2ONp−3 10.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 13.0%
3−HHB(F)−F 17.0%
5−HHB(F)−F 16.0%
2−H2HB(F)−F 10.0%
3−H2HB(F)−F 5.0%
2−HBB(F)−F 6.0%
3−HBB(F)−F 6.0%
NI=98.6(℃);η=28.1(mPa・s);Δn=0.134;
Δε=5.7;Vth=2.12(V).
【0131】
使用例20
5−HCF2ONp−2 8.0%
3−BB(F,F)CF2ONp−T 3.0%
5−BB(F,F)CF2ONp−3 8.0%
5−BB(F,F)CF2ONpB−2 (No.35) 3.0%
5−HB−CL 8.0%
3−HH−4 12.0%
3−HH−5 4.0%
3−HHB−F 4.0%
3−HHB−CL 3.0%
4−HHB−CL 4.0%
3−HHB(F)−F 10.0%
4−HHB(F)−F 9.0%
5−HHB(F)−F 9.0%
5−HBB(F)−F 4.0%
5−HBBH−1O1 3.0%
3−HHBB(F,F)−F 2.0%
4−HHBB(F,F)−F 3.0%
3−HH2BB(F,F)−F 3.0%
NI=115.1(℃);η=21.5(mPa・s);Δn=0.110;
Δε=4.1;Vth=2.54(V).
【0132】
使用例21
5−HCF2ONp−2 5.0%
3−BB(F,F)CF2ONp−2 8.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 10.0%
3−HHB(F,F)−F 9.0%
3−H2HB(F,F)−F 8.0%
4−H2HB(F,F)−F 8.0%
3−HBB(F,F)−F 21.0%
5−HBB(F,F)−F 10.0%
3−H2BB(F,F)−F 5.0%
5−HHBB(F,F)−F 3.0%
5−HHEBB−F 2.0%
3−HH2BB(F,F)−F 3.0%
4−HBBH−1O1 4.0%
5−HBBH−1O1 4.0%
NI=99.3(℃);η=32.7(mPa・s);Δn=0.134;
Δε=8.9;Vth=1.78(V).
【0133】
使用例23
3−BB(F,F)CF2ONp−2 10.0%
3−BB(F,F)CF2ONp−T 5.0%
5−BB(F,F)CF2ONp−3 7.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 10.0%
2−HHB(F)−F 3.0%
2−HBB(F)−F 7.0%
3−HBB(F)−F 7.0%
4−HBB(F)−F 2.0%
5−HBB(F)−F 8.0%
2−H2BB(F)−F 10.0%
3−HBB(F,F)−F 12.0%
5−HBB(F,F)−F 6.0%
2−HHBB(F,F)−F 5.0%
3−HHBB(F,F)−F 5.0%
3−HHB−F 3.0%
NI=97.6(℃);η=35.4(mPa・s);Δn=0.163;
Δε=7.1;Vth=1.95(V).
【0134】
使用例24
3−BB(F,F)CF2ONp−2 3.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 10.0%
V−HHCF2ONp(F,F)−1 3.0%
5−HB−CL 11.0%
3−HH−4 8.0%
3−HBB(F,F)−F 20.0%
5−HBB(F,F)−F 5.0%
3−HHB(F,F)−F 8.0%
3−HHEB(F,F)−F 10.0%
4−HHEB(F,F)−F 3.0%
2−HBEB(F,F)−F 3.0%
3−HBEB(F,F)−F 5.0%
5−HBEB(F,F)−F 3.0%
3−HHBB(F,F)−F 3.0%
3−HHB−1 5.0%
NI=82.2(℃);η=19.5(mPa・s);Δn=0.115;
Δε=8.5;Vth=1.56(V).
【0135】
使用例26
5−HCF2ONp−2 8.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 16.0%
3−HH−4 4.0%
3−H2HB(F,F)−F 10.0%
4−H2HB(F,F)−F 10.0%
3−HBB(F,F)−F 33.0%
5−HBB(F,F)−F 16.0%
3−HHBB(F,F)−F 3.0%
NI=65.0(℃);η=25.4(mPa・s);Δn=0.122;
Δε=8.7;Vth=1.47(V).
【0136】
使用例27
3−B(F,F)CF2ONp−2 2.0%
3−BB(F,F)CF2ONp−2 10.0%
5−BB(F,F)CF2ONp−3 5.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 3.0%
5−BB(F,F)CF2ONpB−2 (No.35) 3.0%
7−HB(F,F)−F 3.0%
3−H2HB(F,F)−F 12.0%
3−HHB(F,F)−F 10.0%
3−HBB(F,F)−F 10.0%
3−HHEB(F,F)−F 10.0%
4−HHEB(F,F)−F 3.0%
2−HBEB(F,F)−F 3.0%
3−HBEB(F,F)−F 5.0%
5−HBEB(F,F)−F 3.0%
3−HGB(F,F)−F 15.0%
3−HHBB(F,F)−F 3.0%
NI=76.8(℃);η=34.4(mPa・s);Δn=0.112;
Δε=12.9;Vth=1.41(V).
【0137】
使用例29
3−BB(F,F)CF2ONp−2 5.0%
5−BB(F,F)CF2ONp−3 7.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 3.0%
5−HB−CL 17.0%
7−HB(F,F)−F 3.0%
3−HH−4 10.0%
3−HH−5 5.0%
3−HB−O2 15.0%
3−H2HB(F,F)−F 5.0%
3−HHB(F,F)−F 3.0%
2−HHB(F)−F 7.0%
3−HHB(F)−F 7.0%
3−HHB−1 8.0%
3−HHB−O1 5.0%
NI=70.2(℃);η=14.9(mPa・s);Δn=0.092;
Δε=3.0;Vth=1.98(V).
【0138】
使用例30
5−HCF2ONp−2 11.0%
3−BB(F,F)CF2ONp−2 6.0%
5−BB(F,F)CF2ONp−3 9.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 3.0%
V−HHCF2ONp(F,F)−1 6.0%
5−HB−CL 4.0%
4−HHB(F)−F 4.0%
5−HHB(F)−F 9.0%
3−HHB(F,F)−F 8.0%
3−H2HB(F,F)−F 6.0%
3−HBB(F,F)−F 11.0%
2−HHBB(F,F)−F 6.0%
3−GHB(F,F)−F 3.0%
4−GHB(F,F)−F 8.0%
5−GHB(F,F)−F 6.0%
NI=83.1(℃);η=31.0(mPa・s);Δn=0.114;
Δε=8.7;Vth=1.27(V).
【0139】
使用例31
5−HCF2ONp−2 5.0%
3−BB(F,F)CF2ONp−2 7.0%
5−BB(F,F)CF2ONp−3 3.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 10.0%
3−HHB(F)−F 8.0%
5−HHB(F)−F 7.0%
3−HHB(F,F)−F 8.0%
3−HBB(F,F)−F 11.0%
3−H2HB(F,F)−F 5.0%
3−HHEB(F,F)−F 10.0%
2−HBEB(F,F)−F 2.0%
3−HBEB(F,F)−F 3.0%
3−GHB(F,F)−F 3.0%
4−GHB(F,F)−F 7.0%
5−GHB(F,F)−F 7.0%
3−HHBB(F,F)−F 4.0%
NI=81.5(℃);η=35.7(mPa・s);Δn=0.112;
Δε=10.5;Vth=1.12(V).
【0140】
使用例33
5−HCF2ONp−2 10.0%
3−HHCF2ONp(F)B(F)−1 (No.27) 10.0%
3−H2HB(F,F)−F 5.0%
5−H2HB(F,F)−F 5.0%
3−HBB(F,F)−F 30.0%
5−HBB(F,F)−F 20.0%
5−HBB(F)B−2 10.0%
3−BB(F)B(F,F)−F 5.0%
5−B2B(F,F)B(F)−F 5.0%
NI=103.4(℃);η=48.9(mPa・s);Δn=0.144;
Δε=10.4;Vth=1.71(V).
【0141】
使用例34
3−BB(F,F)CF2ONp−T 6.0%
5−BB(F,F)CF2ONp−3 2.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 3.0%
3−HB(F,F)CF2OB(F,F)−F 11.0%
5−HB(F,F)CF2OB(F,F)−F 11.0%
5−HB−CL 7.0%
3−HH−4 14.0%
2−HH−5 4.0%
3−HHB−1 4.0%
3−HHEB−F 6.0%
3−HHB(F,F)−F 6.0%
3−HHEB(F,F)−F 8.0%
4−HHEB(F,F)−F 3.0%
2−HBEB(F,F)−F 3.0%
3−HBEB(F,F)−F 3.0%
5−HBEB(F,F)−F 3.0%
2−HHBB(F,F)−F 3.0%
3−HHBB(F,F)−F 3.0%
NI=81.3(℃);η=24.4(mPa・s);Δn=0.098;
Δε=8.3;Vth=1.26(V).
【0142】
使用例35
3−BB(F,F)CF2ONp−2 5.0%
7−BCF2ONp(F,F)B−V (No.9) 5.0%
V−HHCF2ONp(F,F)−1 3.0%
3−HHCF2ONp(F)B(F)−1 (No.27) 3.0%
3−BB(F,F)CF2OB(F,F)−F 35.0%
3−HH−4 8.0%
3−HHB(F,F)−F 5.0%
3−H2HB(F,F)−F 9.0%
3−HBB(F,F)−F 10.0%
2−HHBB(F,F)−F 3.0%
3−HH2BB(F,F)−F 4.0%
3−HHB−1 6.0%
5−HBBH−1O1 4.0%
NI=82.3(℃);η=27.8(mPa・s);Δn=0.126;
Δε=12.2;Vth=1.41(V).
【0143】
上記の使用例1において、組成物に基づいて0.8重量%の光学活性化合物(Op−4)を添加したところ、ピッチの値は11.0μmであった。上記の使用例18において、組成物に基づいて0.3重量%の光学活性化合物(Op−8)を添加したところ、ピッチの値は78.7μmであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(1)で表される化合物。


式中、Rは炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−、−S−、−CO−、または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよく;Rは炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は、−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンまたは−CNで置き換えられてもよく;A1、A2、およびA3は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレンまたは1,4−フェニレンであり、これらの環において任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Z1は単結合、−(CH22−、−(CF22−、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−または−(CH24−であり;Zは単結合であり;YおよびYは独立して水素またはフッ素であり;そしてpは0または1であり;qは1である。
【請求項2】
請求項1に記載の式(1)において、Rは炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Rは炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;A1、A2およびA3は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、任意の水素がハロゲンで置き換えられたピリジン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;Z1は単結合、−(CH22−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、または−(CH24−であり;YおよびYは独立して水素またはフッ素であり;Zは単結合であり;そしてpは0または1であり、qは1である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の式(1)において、pが0である請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の式(1)において、pが1である請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
下記の式(1−b−2)または(1−d−2)で表される化合物。


式中、Rは炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;Rは炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH2−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;A1およびA3は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、任意の水素がハロゲンで置き換えられた1,4−フェニレン、ピリジン−2,5−ジイル、任意の水素がハロゲンで置き換えられたピリジン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;Z1は単結合、−(CH22−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、または−(CH24−であり;Zは単結合であり;YおよびYは独立して水素またはフッ素であり;pは0または1であり;qは1であり;そして、かっこの中のFが垂直な線で連結した1,4−フェニレンは、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンである。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載した少なくとも1つの化合物を含有する液晶組成物。
【請求項7】
下記の式(2)、(3)および(4)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項6に記載の組成物。



式中、Rは炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xはフッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHF、または−OCFCHFCFであり;環Bおよび環Dは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり、環Eは1,4−シクロヘキシレンまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して−(CH)−、−(CH)−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、または単結合であり;そしてLおよびLは独立して水素またはフッ素である。
【請求項8】
下記の式(5)および(6)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項6に記載の組成物。


式中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xは−CNまたは−C≡C−CNであり;環Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;環Jは1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2、5−ジイルまたは任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;環Kは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Zは−(CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または単結合であり;L、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり;そしてb、cおよびdは独立して0または1である。
【請求項9】
下記の式(7)、(8)および(9)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項6に記載の組成物。


式中、RおよびR5は独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;環Mおよび環Pは独立して1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して−(CH)−、−COO−または単結合であり;そしてLおよびLは独立して水素またはフッ素であり、LとLの少なくとも1つはフッ素である。
【請求項10】
下記の式(10)、(11)および(12)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項7に記載の組成物。


式中、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルにおいて任意の−CH−は−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;環Q、環Tおよび環Uは独立して1,4−シクロヘキシレン、ピリミジン−2、5−ジイル、または任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンであり;そしてZおよびZ10は独立して、−C≡C−、−COO−、−(CH)−、−CH=CH−、または単結合である。
【請求項11】
請求項10に記載の式(10)、(11)および(12)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
請求項10に記載の式(10)、(11)および(12)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
請求項8に記載の式(5)および(6)で表される化合物群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの光学活性化合物をさらに含有する請求項6〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項6〜14のいずれか1項に記載の組成物を含有する液晶表示素子。

【公開番号】特開2008−280337(P2008−280337A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100265(P2008−100265)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【分割の表示】特願2002−96781(P2002−96781)の分割
【原出願日】平成14年3月29日(2002.3.29)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】