説明

ナースコールシステム

【課題】 点滴の終了と患者の呼び出しとを一つの重量検出装置にて検出する場合に患者が呼び出しを行ったことを確実に検出できる。
【解決手段】 輸液が入っている容器を吊り下げるスタンドに患者が腕を乗せるための台を設け、スタンドの重量を重量検出装置1が検出する。重量算出部は最初に重量検出装置1が計測した荷重から、現在計測した荷重を減らした修正値を算出し、記憶部に記憶されている第一のしきい値から修正値を減らした値を新たな第一のしきい値とする。計測した荷重が重量算出部にて算出した第一のしきい値以上になると、報知部は患者が医療従事者を呼び出したことを報知し、計測した荷重が第二のしきい値以下になると、報知部は点滴の終了を報知する。点滴の実施によって輸液が減ることによるスタンドの重量の減少分だけ第一のしきい値が小さくされるので、患者が腕を台の上に乗せると重量検出装置1が検出する荷重が必ず第一のしきい値以上になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や介護施設などで患者や被介護者からの要求に応じて医療従事者や介護者を呼び出すナースコールシステムに関し、特に患者や被介護者に対して実施している点滴の終了を医療従事者や介護者に知らせるためのナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や介護施設(以下、単に病院とする)では、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病院の部屋(例えば、病室など)内の患者や被介護者(以下、単に患者とする)の近辺(例えば、ベッド近傍など)やトイレなどに設置されたナースコール子機および医療従事者や介護者(以下、単に医療従事者とする)の居る部屋(例えば、ナースステーションなど)に設置されたナースコール親機を有線などにより接続して構成されている。また、ナースコール親機によっては、医療従事者が携行している携帯通信端末(例えば、PHS(Personal Handyphone System)やコードレス電話など)を無線によって接続するものも存在する。そして、患者によりナースコール子機が操作されると、ナースコール親機や携帯通信端末(以下、単にナースコール親機とする)は、自装置に設けられた報知部を動作させて、報知用スピーカーから呼び出し音を出力させたり、表示ディスプレイなどに呼び出し表示を行わせたりして、呼び出しを報知している。医療従事者は、呼び出し音を聞いたり、呼び出し表示を見たりして、患者からの呼び出しを把握する。
【0003】
通常、ナースコール子機は、患者が医療従事者を呼び出すための呼出操作部を備えている。患者は、医療従事者を呼び出す場合に呼出操作部を操作する。また、患者は、自分に対して実施している点滴が終了したことを、ナースコール子機を使用して医療従事者に知らせることがある。患者が点滴終了時に呼出操作部を操作することにより、ナースコール親機や携帯通信端末による報知が行われるので、医療従事者は、点滴実施場所(例えば、病室など)から離れた所(例えば、ナースステーション)に居ても、点滴の終了を把握することができる。しかしながら、患者が点滴中に寝てしまうなどして点滴の終了に気付かなければ、患者が呼出操作部を操作しないので、医療従事者は、点滴の終了を把握できなくなってしまうという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、薬剤や輸液(以下、まとめて輸液と記載する)が入っている容器をスタンドに吊り下げた際に、容器の重量を検出するセンサーを使用して、ナースコール装置にて点滴の終了を報知する技術が知られている(例えば、特許文献1など)。特許文献1に記載の点滴の終了報知装置では、点滴開始時の容器の重量から点滴終了時の基準重量を予め算出し、点滴開始後、センサーが検出した容器の重量が予め算出しておいた基準重量に達した場合に、ナースコール信号をナースコール装置などへ出力するようにしている。これにより、点滴実施場所から離れた所で点滴の終了が報知されるので、点滴が終了したことを医療従事者に知らせることができる。
【0005】
ところで、ナースコール子機は、患者がナースコール子機の呼出操作部を操作し易くするために、一般的に患者の近傍に置かれることが多い。しかしながら、特許文献1に記載の点滴の終了報知装置を使用する場合には、ナースコール子機が点滴の邪魔になったり、点滴の終了時にナースコール子機を用いて点滴の終了を知らせる必要が無くなったりするなどの理由で、ナースコール子機が患者の近傍から移動させられることがある。このように、ナースコール子機が患者の近傍に存在していない場合には、点滴中の患者が、点滴の終了以外の用件でナースコール子機の呼出操作部を操作しようとしても、点滴により動くことができる範囲が決まっているため、呼出操作部を操作できなくなってしまうケースが生じるという問題があった。
【0006】
また、荷重を検出するシート状センサーを使用して、ナースコールシステムにて医療従事者を呼び出す技術が知られている(例えば、特許文献2など)。特許文献2に記載の簡易型徘徊報知器では、患者がシート状センサーに乗ると、シート状センサーが人体を検出し、ナースコールシステムなどへ信号を出力するようにしている。このような特許文献2に記載の技術を応用すると、輸液の入っている容器を吊り下げたスタンドをシート状センサーの上に置き、患者がスタンドに設けた台の上に自分の腕を乗せることで、シート状センサーが腕の重さを検出してナースコールシステムへ信号を出力する技術が考えられる。ここで、スタンドは患者の近傍に設置されているため、患者は、自分の腕を動くことができる範囲が決まっていても、腕を台の上に乗せるだけで医療従事者を呼び出すことができる。
【0007】
ところで、乗客コンベアの乗り口床板にかかる下向きの荷重を検出し、検出した荷重が第一検出荷重以上であり、かつ第一検出荷重よりも大きい値である第二検出荷重未満である場合に乗客コンベアを減速させ、検出した荷重が第二検出荷重以上である場合に乗客コンベアを停止させる技術が知られている(例えば、特許文献3など)。
【0008】
このような、特許文献3に記載の技術では、二つのしきい値を用いて異なる動作を行うことが可能であるが、この特許文献3に記載の技術を上述した従来技術に適用すると、シート状センサーが腕の重さに該当する第一のしきい値以上の荷重を検出した場合に、患者が医療従事者を呼び出したことを示す報知を行い、シート状センサーが容器内の輸液が減って、点滴が終了したことを示す第二のしきい値以下の荷重をシート状センサーにて検出するようになった場合に、点滴が終了したことを示す報知を行うことが考えられる。ここで、第一のしきい値は、スタンドの重さを考慮して設定される。これにより、点滴の終了の検出と患者の呼び出しの検出とを一つのシート状センサーで実施することができる。
【0009】
しかしながら、第一のしきい値が腕の重さに対してぎりぎりの値(換言すると、腕の重さと略同じ値)に設定されており、点滴を実施して輸液が減り、シート状センサーで検出される荷重が小さくなると、患者が腕を台の上に乗せても、シート状センサーが検出する荷重が第一のしきい値以下のままになり、報知が行われなくなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−224418号公報
【特許文献2】特開平11−213266号公報
【特許文献3】特開2010−228876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、患者への点滴の終了と患者の呼び出しとを一つの重量検出装置にて検出する場合に、患者が呼び出しを行ったことを確実に検出することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明のナースコールシステムでは、輸液が入っている容器を吊り下げるスタンドに患者が腕を乗せるための台を設け、スタンドの重量を常に検出する重量検出装置をナースコール親機に接続する。そして、患者が台に腕を乗せた場合のスタンドの荷重を示す第一のしきい値と点滴の終了時のスタンドの荷重を示す第二のしきい値とを記憶しておき、点滴の実施によって輸液が減ることによるスタンドの重量の減少分だけ第一のしきい値を小さくし、重量検出装置にて検出した重量が第一のしきい値以上になった場合に、患者が医療従事者を呼び出したことを示す報知をナースコール親機にて行わせ、重量検出装置にて検出した重量が第二のしきい値以下になった場合に、点滴の終了を示す報知をナースコール親機にて行わせるようにしている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、重量検出装置にて検出した重量が第一のしきい値以上になった場合には、患者が医療従事者を呼び出したことを示す報知がナースコール親機にて行われる。また、重量検出装置にて検出した重量が第二のしきい値以下になった場合には、点滴の終了を示す報知がナースコール親機にて行われる。これにより、患者への点滴の終了と患者の呼び出しとを一つの重量検出装置にて検出することができる。また、点滴の実施によって輸液が減ることによるスタンドの重量の減少分だけ第一のしきい値が小さくされるので、患者が腕を台の上に乗せると、重量検出装置が検出する荷重が必ず第一のしきい値以上になる。従って、患者が呼び出しを行ったことを確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるナースコールシステムの重量検出装置を使用した点滴の状態例を示す図である。
【図3】本実施形態によるナースコールシステムのナースコール親機の記憶部の記憶内容の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図を図1に示す。同図に示すように、本実施形態によるナースコールシステムは、重量検出装置1、ナースコール親機2を備えて構成されている。
【0016】
図1および図2において、重量検出装置1は、シート状センサーなどにより構成されており、シート上の荷重を常に計測する。図2(a)に示すように、重量検出装置1は、点滴を実施する患者が居るベッド近傍に設置されている。また、重量検出装置1には、輸液が入った容器を吊り下げるとともに、ベッドに居る患者の腕を乗せるための台を設けたスタンドが載せられている。ここで、重量検出装置1は、伝送線を介してナースコール親機2に接続されている。また、重量検出装置1は、シート上の荷重を計測すると、重量検出信号を生成してナースコール親機2へ出力する。また、重量検出信号は、この重量検出装置1が計測した荷重を示す荷重情報およびこの重量検出装置1を他の重量検出装置1と識別するための重量検出装置識別情報を含む。また、重量検出装置1は、シート上の荷重を計測している間、重量検出信号を出力し続ける。
【0017】
ナースコール親機2は、医療従事者の居る部屋(例えば、ナースステーションなど)に設置されており、患者が医療従事者を呼び出したことを報知したり、点滴の終了を報知したりするために使用される。また、ナースコール親機2は、医療従事者が患者からの呼び出しや点滴が終了したことによる呼び出しに対して応答するために使用される。また、ナースコール親機2と重量検出装置1との間には、図示しない制御機と図示しない廊下灯とが設置されている。制御機は、重量検出装置1とナースコール親機2との間の通信を制御する。また、廊下灯は、自装置に設けた表示灯を点灯または点滅させて患者が医療従事者を呼び出したことや点滴が終了したことを報知する。また、ナースコール親機2が図示しない携帯通信端末(例えば、PHSやコードレス電話など)を無線によって接続している場合、携帯通信端末は患者から医療従事者への呼び出しや点滴の終了を報知する。
【0018】
また、ナースコール親機2は、制御部(特許請求の範囲の制御装置に該当する)3、インターフェース部(以下、I/F部と記載する)4、記憶部(特許請求の範囲の記憶装置に該当する)5、重量算出部(特許請求の範囲の重量算出装置に該当する)6、報知部(特許請求の範囲の報知装置に該当する)7、復旧操作部8を備えて構成されている。
【0019】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されており、ナースコール親機2の各構成要素を後述するように制御する。I/F部4は、ナースコール親機2に重量検出装置1を接続しており、重量検出装置1から出力された重量検出信号を入力する。
【0020】
記憶部5は、荷重を測定している重量検出装置1の重量検出装置識別情報、その重量検出装置1を使用している患者がスタンドの台に腕を乗せた場合のスタンドの荷重である第一のしきい値、その重量検出装置1を使用している患者に実施している点滴の終了時のスタンドの荷重である第二のしきい値を関連付けて予め記憶している。
【0021】
重量算出部6は、最初にI/F部4が入力した重量検出信号の荷重情報から現在I/F部4が入力している重量検出信号の荷重情報を減らした値を、記憶部5に記憶されている第一のしきい値から減らす。すなわち、患者の腕の重量および点滴開始時の輸液が入っている容器を吊り下げた状態のスタンドの荷重を合わせた状態の荷重が点滴の開始時における第一のしきい値となる。一方、点滴を開始すると、第一のしきい値は、重量検出装置1にて検出したスタンドの重量の減少分だけ小さくなる。それに伴い、重量算出部6は算出した第一のしきい値から点滴を実施して容器から減った輸液の重量を減算して新たな第一のしきい値を算出する。ここで、重量算出部6は第一のしきい値の算出を常に行う。
【0022】
報知部7は、患者が医療従事者を呼び出したことを示す報知および点滴の終了を示す報知を行うためのものである。ここで、報知部7は、スピーカーや表示ディスプレイ、表示灯などにより構成されており、スピーカーから呼び出し音や音声を出力させたり、表示ディスプレイに呼び出し表示を行わせたり、表示灯を点灯または点滅させたり、これらを組み合わせたりして報知を行う。また、報知部7は、患者が医療従事者を呼び出したことを示す報知と点滴の終了を示す報知とを区別するために報知のパターンを異ならせて報知する。
【0023】
復旧操作部8は、ボタンなどにより構成されており、報知部7による報知を停止するために操作される。報知部7による報知が行われている状態で、復旧操作部8が操作されると、制御部3は報知部7の動作を停止させる。
【0024】
次に、図2を用いて点滴の状態例を説明する。まず、医療従事者は、図示しない入力部などによって重量検出装置識別情報、第一のしきい値および第二のしきい値を入力して記憶部5に記憶させる。例えば、スタンドの重量が5kgであり、患者の腕の重量が4kgであり、点滴を実施する前の輸液が入っている容器の重量が1kgであるとすると、医療従事者は、重量検出装置識別情報として「1a」を入力し、第一のしきい値として「10」を入力して、第二のしきい値として「5.1」を入力する。そのため、記憶部5には、図3に示すように、重量検出装置識別情報「1a」、第一のしきい値「10」および第二のしきい値「5.1」が関連付けて記憶される。
【0025】
その後、医療従事者は、輸液が入っている容器を吊り上げたスタンドを重量検出装置1の上に載せる。すると、重量検出装置1は、荷重を計測して得られた荷重情報および重量検出装置識別情報を含む重量検出信号を生成してナースコール親機2へ出力する。次に、医療従事者は、患者の左腕に点滴針を刺して、患者への点滴を開始する(図2(a)を参照)。これにより、容器に入っている輸液は、予め設定された速さで容器内から無くなり、患者の体内へ輸液が入る。
【0026】
制御部3は、I/F部4が重量検出装置1から出力された重量検出信号を入力したと判定すると、I/F部4が入力した重量検出信号に含まれる重量検出装置識別情報および荷重情報を抽出し、記憶部5を参照して、抽出した重量検出装置識別情報に関連付けて記憶されている第一のしきい値および第二のしきい値を取得するとともに、重量算出部6を動作させる。
【0027】
重量算出部6は、最初にI/F部4が入力した重量検出信号に含まれていた荷重情報から、抽出した荷重情報を減らした値を修正値として算出する。また、重量算出部6は、記憶部5から取得した第一のしきい値から修正値を減らして新たな第一のしきい値を算出する。一方、制御部3は、抽出した荷重情報により特定される荷重が重量算出部6にて算出した第一のしきい値以上になったか否かを判定するとともに、抽出した荷重情報により特定される荷重が記憶部5から取得した第二のしきい値以下になったか否かを判定する。
【0028】
図2(b)に示すように、点滴中の患者が医療従事者を呼び出すためにスタンドの台に左腕を乗せると、スタンドの重量には患者の左腕の重量が加わるようになる。すると、制御部3は、抽出した荷重情報により特定される荷重が重量算出部6にて算出した第一のしきい値以上になったと判定し、患者が医療従事者を呼び出したことを示す報知を報知部7に行わせる。また、図2(c)に示すように、容器に入っている輸液が減って抽出した荷重情報により特定される荷重が第二のしきい値以下になったと制御部3にて判定すると、制御部3は、点滴の終了を示す報知を報知部7に行わせる。
【0029】
以上、詳しく説明したように、本実施形態のナースコールシステムでは、輸液が入っている容器を吊り下げるスタンドに患者が腕を乗せるための台を設け、スタンドの重量を重量検出装置1にて検出する。また、患者がスタンドの台に腕を乗せた場合のスタンドの荷重である第一のしきい値および点滴の終了時のスタンドの荷重である第二のしきい値を関連付けて予め記憶部5に記憶しておく。また、重量算出部6は、最初に重量検出装置1が計測した荷重から、現在重量検出装置1が計測した荷重を減らした修正値を算出し、記憶部5に記憶されている第一のしきい値から修正値を減らした値を新たな第一のしきい値とする。そして、現在重量検出装置1が計測した荷重が重量算出部6にて算出した第一のしきい値以上になった場合に、制御部3は、患者が医療従事者を呼び出したことを示す報知を報知部7に行わせるようにしている。また、現在重量検出装置1が計測した荷重が記憶部5に記憶されている第二のしきい値以下になった場合に、制御部3は、点滴の終了を示す報知を報知部7に行わせるようにしている。
【0030】
これにより、重量検出装置1が検出した重量が重量算出部6にて算出した第一のしきい値以上になった場合には、患者が医療従事者を呼び出したことを示す報知がナースコール親機2の報知部7にて行われる。また、重量検出装置1が検出した重量が第二のしきい値以下になった場合には、点滴の終了を示す報知がナースコール親機2の報知部7にて行われる。このことから、患者への点滴の終了と患者の呼び出しとを一つの重量検出装置1にて検出することができる。また、点滴の実施によって輸液が減ることによるスタンドの重量の減少分だけ第一のしきい値が小さくされるので、患者が腕を台の上に乗せると、重量検出装置1が検出する荷重が必ず第一のしきい値以上になる。従って、患者が呼び出しを行ったことを確実に検出することができる。
【0031】
なお、前述した実施形態では、制御部3は、入力した重量検出信号に含まれる荷重情報により特定される荷重が重量算出部6にて算出した第一のしきい値以上になったと判定した場合に報知部7を動作させているが、これに限定されない。例えば、入力した重量検出信号に含まれる荷重情報により特定される荷重が重量算出部6にて算出した第一のしきい値により特定される値以上になったと制御部3にて判定した場合に、制御部3が時間を計測する図示しないタイマーを動作させ、タイマーが計測した時間が所定時間に達しても、入力した重量検出信号に含まれる荷重情報により特定される荷重が重量算出部6にて算出した第一のしきい値以上を維持していると制御部3にて判定したときに、制御部3が報知部7を動作させるようにしても良い。この場合、所定時間は、誤作動ではないことを判定できる程度の時間(例えば、3秒など)である。これにより、スタンドに第一のしきい値以上の重量が一瞬だけ加わっても、制御部3は報知部7を動作させないので、報知部7による誤報を防ぐことができる。
【0032】
また、前述した実施形態では、記憶部5は、点滴の開始時における第一のしきい値のみを記憶しているが、これに限定されない。例えば、記憶部5が重量算出部6にて算出して得られた新しい第一のしきい値を記憶するようにしても良い。この場合、重量算出部6は、前回I/F部4が入力した重量検出信号に含まれていた荷重情報から、抽出した荷重情報を減らした値を修正値として算出する。また、重量算出部6は、前回算出した第一のしきい値から修正値を減らして新たな第一のしきい値を算出する。そして、制御部3は、記憶部5に記憶されている第一のしきい値を重量算出部6にて算出した第一のしきい値に更新して記憶部5に記憶させる。
【0033】
その他、ナースコールシステムの構成、処理手順、内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除するようにしても良い。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせるようにしても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 重量検出装置
2 ナースコール親機
3 制御部
4 インターフェース(I/F)部
5 記憶部
6 重量算出部
7 報知部
8 復旧操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液が入っている容器を吊り下げるとともに患者の腕を乗せるための台を設けたスタンドの重量を常に検出する重量検出装置と、
前記患者が医療従事者を呼び出したことを示す報知を行うとともに、点滴の終了を示す報知を行う報知装置と、
前記患者が台に腕を乗せた場合のスタンドの荷重である第一のしきい値を記憶するとともに、前記点滴の終了時のスタンドの荷重である第二のしきい値を記憶する記憶装置と、
前記輸液の減少によって前記重量検出装置にて検出したスタンドの重量の減少分だけ前記第一のしきい値を小さくして算出する重量算出装置と、
前記重量検出装置にて検出した重量が前記重量算出装置によって算出された第一のしきい値以上になった場合に、前記患者が医療従事者を呼び出したことを示す報知を前記報知装置に行わせ、前記重量検出装置にて検出した重量が前記記憶装置に記憶されている第二のしきい値以下になった場合に、前記点滴の終了を示す報知を前記報知装置に行わせる制御装置と、
を備えることを特徴とするナースコールシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−48794(P2013−48794A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189148(P2011−189148)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】