説明

ニューロパシー痛の治療のための1−フェニル−3−ジメチルアミノ−プロパン化合物の使用

本発明は、ニューロパシー痛、好ましくはポリニューロパシー痛、さらに好ましくは糖尿病によるニューロパシー痛、特に糖尿病による末梢のニューロパシー痛を治療するための、更に特に糖尿病による末梢ニューロパシーを治療するための医薬を製造するための1−フェニル−3−ジメチルアミノ−プロパン化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニューロパシー痛、特にモノニューロパシー痛及び/又はポリニューロパシー痛、特に好ましくはポリニューロパシー痛、更に特に糖尿病によるニューロパシー痛、特に糖尿病による末梢のニューロパシー痛を治療するための、更に特に糖尿病による末梢ニューロパシーを治療するための医薬を製造するための1−フェニル−3−ジメチルアミノ−プロパン化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
生物に保護機能として備わっている通常の生理学的疼痛感覚は、神経繊維を経由して相応する痛みの刺激により伝達される。これは侵害受容性痛と言われる。この侵害受容性痛は、急性又は慢性、身体性又は内臓性で、炎症成分を有するか又は有しないで存在することができる。適切な刺激は、機械的(例えば圧力)、熱的(例えば熱)又は化学的(例えば酸)であることができる。電気的な刺激も、痛みとして知覚することができる。
【0003】
侵害受容性痛とは反対に、大抵は同じ薬剤を用いて治療することができない、ニューロパシー痛(非侵害受容性痛;概要についてHansson et al.著, 2001 Neuropathic Pain: Patophysiology and Treatment in Progress in Pain Research and Management, Vol.21 eds. Hansson et al.著 IASP Press, Seattle; Bridges et al.著, 2001 Br J Anaesthesia 87:12-26を参照)は、自発痛及び/又は異常な刺激により引き起こされる痛みの出現を特徴とする。自発的に生じる痛みは、例えば痛みを伝達する神経繊維のいわゆる異所性の活性から生じる。この場合、前記神経繊維は、適切な刺激が存在していないが疼痛シグナルを末梢からCNSに伝える。異常な刺激により生じる痛みの例は、アロディニアの現象である。このアロディニアは、通常では痛みではない刺激の痛みの感覚として定義される。このアロディニアは、ニューロパシー痛には限定されない。アロディニアは非ニューロパシー性条件、例えば日焼け又は関節炎において生じる。このアロディニアの根本的なメカニズムは、しかしながら基本的に互いに異なっており、綿密な医学的な病歴及び検査によって分類可能である。
【0004】
異常な痛みの感覚の他の例は痛覚過敏症である。この場合、通常では痛みの刺激が、健康な状態の場合よりも激しい痛みとして感じられる場合である。この種の増強された痛みの知覚は、ニューロパシー痛の場合だけでなく、例えば炎症性痛の場合でも生じ、この場合では、ニューロパシー痛の場合とは異なる原因(炎症)を有する。
【0005】
多様な物質代謝疾患は、ニューロパシー性変質の原因となることができ、引き続きニューロパシー痛を伴って現れる。このようなニューロパシーの例は、糖尿病によるニューロパシーであり、これは糖尿病を患う大多数の患者において出現し、多くの臨床的症状、例えば聴覚障害感覚、いらつき又は痛みを伴うことがある。糖尿病によるニューロパシーの最もよくある形態は、末梢の対称性の感覚運動性の多発性ニューロパシーである。
【0006】
ニューロパシー痛は、特に末梢神経又は中枢神経の障害により生じ、それに応じて動物実験により個々の神経の適切な損傷により誘導及び観察される。2種の可能な動物モデルは、ベネットによる神経損傷(Bennett and Xie, 1988 Pain 33: 87-107)並びにチュングによる神経損傷(Kim and Chung, 1992 Pain 50:355-363)である。ベネット(Benett)モデルの場合には坐骨神経の片側に緩く結紮が設けられる;チュング(Chung)モデルの場合には2つの脊髄神経の片側が結紮される。両方の場合に、ニューロパシー痛の兆候の発生を観察することができ、温熱性又は機械的なアロディニアによって定量化することができる。
【0007】
糖尿病によるニューロパシーを調査するための公知の動物モデルは、ストレプトゾトシン(ストレプトミセス アクロモゲネスからの抗生物質性の抽出物、これは膵臓のβ細胞を選択的に傷害する)の一回に投与による齧歯類の場合の糖尿病の誘導である。前記動物は、数時間後の糖尿病によるニューロパシー痛の典型的な症状、例えば機械的、温熱性又は化学的な痛覚過敏を示す(Courteix et al.著, 1993 Pain 53: 81-88)。
【0008】
治療のために、特にガバペンチンが使用されるが、前記ガバペンチンは比較的低い有効性を示すだけであるか、もしくはかなりの用量の場合に初めて作用する。他には、モルヒネも頻繁に使用され、この副作用プロフィールは周知のように問題がないとはいえない。これらの従来技術に直面して、有効性と副作用との間の適切な関係を有する化合物又はニューロパシー痛を治療するための化合物の必要性が生じる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Hansson et al.著, 2001 Neuropathic Pain: Patophysiology and Treatment in Progress in Pain Research and Management, Vol.21 eds.
【非特許文献2】Hansson et al.著, IASP Press, Seattle
【非特許文献3】Bridges et al.著, 2001 Br J Anaesthesia 87:12-26
【非特許文献4】Bennett and Xie著, 1988 Pain 33: 87-107
【非特許文献5】Kim and Chung著, 1992 Pain 50:355-363
【非特許文献6】Courteix et al.著, 1993 Pain 53: 81-88
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の課題は、ニューロパシー痛、特にポリニューロパシー痛及び特に糖尿病による痛みにおいて有効性を示す化合物を探し出すことであった。これは、侵害受容性痛、例えば急性痛において有効な物質の大部分からほとんどの部分までがニューロパシー痛には全く有効でないか又は有効性が弱いことにより困難になっている。
【0011】
意外にも、下記の化合物が、ニューロパシー痛において、意外にも特にポリニューロパシー痛及び糖尿病によるニューロパシー痛において極度に有効であることが見いだされた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明の対象は、次の一般式I
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、
Xは、OH、F、Cl、OC(O)CH又はH、好ましくはOH、F、OC(O)CH又はHから選択され、
及び/又は
は、C〜C−アルキル(飽和及び非置換、分枝又は非分枝である);好ましくはCH、C、C又はt−ブチル、特にCH又はCから選択され、
及び/又は
及びRは、相互に無関係に、H、C〜C−アルキル(飽和及び非置換、分枝又は非分枝);好ましくはH、CH、C、i−プロピル又はt−ブチル、特にH又はCH、好ましくはR=Hから選択され、
及び/又は
〜R13(その際、基R〜R13の3〜4個はHを表さなければならない)は、相互に無関係に、次のものから選択される:
H、Cl、F、OH、CFH、CF又はC〜C−アルキル(飽和及び非置換、分枝又は非分枝である);OR14又はSR14(その際、R14はC〜C−アルキル(飽和及び非置換、分枝又は非分枝);
好ましくは、H、Cl、F、OH、CFH、CF、OCH又はSCH
又はR12及びR11は3,4−OCH=CH環を形成し、
特に、
、R11及びR13がHである場合に、R10又はR12の一方は同様にHを表し、他方は次のものから選択される:
Cl、F、OH、CFH、CF、OR14又はSR14、好ましくはOH、CFH、OCH又はSCH
又は、
及びR13はHを表し、かつR11はOH、OCH、Cl又はF、好ましくはClを表す場合に、R10又はR12の一方はHを表し、他方はOH、OCH、Cl又はF、好ましくはClを表し、
又は、
、R10、R12及びR13はHを表す場合に、R11は、CF、CFH、Cl又はF、好ましくはFから選択され、
又は、
10、R11及びR12がHである場合に、R又はR13の一方は同様にHを表し、他方はOH、OC又はOCから選択される)の1−フェニル−3−ジメチルアミノ−プロパン化合物の、場合により、そのラセミ体、その純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマーの形態で、又は任意の混合比での立体異性体の混合物、特にエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物の形態;表示された形態又はその酸又はその塩基の形態又はその塩、特に生理学的に許容される塩の形態、又はその溶媒和物、特に水和物の形態の、ニューロパシー痛、好ましくはモノニューロパシー性及び/又はポリニューロパシー痛、特に好ましくはポリニューロパシー痛、さらに好ましくは糖尿病によるニューロパシー痛、好ましくは糖尿病による末梢のニューロパシー痛の治療のための、さらに好ましくは糖尿病によるニューロパシー、極めて好ましくは糖尿病による末梢のニューロパシーの治療のための医薬の製造のための使用である。
【0015】
人口の約1%はニューロパシー痛、特にポリニューロパシー痛を患い、これは最も重い治療すべき種類の痛みである。特にNSAID系鎮痛剤及び市場に存在しているμオピオイドアゴニスト、抗抑鬱剤及び抗痙攣剤の副作用に関して敏感な患者のための、特に糖尿病によるニューロパシー痛、又は他の非オピオイド類鎮痛剤、抗抑鬱剤及び抗痙攣剤を用いて十分に治療することができない痛みを治療するために有効な医薬の必要性が生じる。
【0016】
意外にも、前記の物質はニューロパシー痛の2つの最も重要なインビボモデルにおいて優れた有効性を示すことが判明し、かつこれは糖尿病によるニューロパシーについてのインビボモデルにおいて特に意外でかつ顕著であった。ポリニューロパシー痛及び糖尿病によるニューロパシー痛に関する特別な選択性は、さらに、インビボモデル(実施例6)において示されていて;作用強度において明らかな差異があることが証明された(実施例3!)。そのほかの点で、ガバペンチンは前記化合物よりも明らかに有効性が低かった。
【0017】
本発明の特別な対象は、物質である(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、「作用のデュアルモード(dual mode of action)」(μオピオイドレセプターアゴニスト及びノルアドレナリン取り込みの阻害剤)を有し、かつ低いオピオイドに特有の副作用と関連する中枢作用鎮痛剤の、ポリニューロパシー痛、好ましくは糖尿病によるニューロパシー痛、好ましくは糖尿病による末梢ニューロパシー痛の治療のための使用である。
【0018】
本発明の範囲内で、アルキル基又はシクロアルキル基とは、飽和又は不飽和(しかし芳香族ではない)、分枝、非分枝及び環式の炭化水素であり、前記炭化水素は非置換であるか又はモノ又はポリ置換されてもよいと解釈される。この場合、C〜C−アルキルは、C−アルキル又はC−アルキルを表し、C〜Cアルキルは、C−アルキル、C−アルキル又はC−アルキルを表し、C〜C−アルキルは、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル又はC−アルキルを表し、C〜C−アルキルは、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル又はC−アルキルを表し、C〜C−アルキルは、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル又はC−アルキルを表し、C〜C−アルキルは、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル又はC−アルキルを表し、C〜C−アルキルは、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル又はC−アルキルを表し、C〜C10−アルキルは、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル又はC10−アルキルを表し、C〜C18−アルキルは、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C−アルキル、C10−アルキル、C11−アルキル、C12−アルキル、C13−アルキル、C14−アルキル、C15−アルキル、C16−アルキル、C17−アルキル又はC18−アルキル、を表す。さらに、C〜C−シクロアルキルは、C−シクロアルキル又はC−シクロアルキルを表し、C〜C−シクロアルキルは、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル又はC−シクロアルキルを表し、C〜C−シクロアルキルは、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル又はC−シクロアルキルを表し、C〜C−シクロアルキルは、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル又はC−シクロアルキルを表し、C〜C−シクロアルキルは、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル又はC−シクロアルキルを表し、C〜C−シクロアルキルは、C−シクロアルキル又はC−シクロアルキルを表し、C〜C−シクロアルキルは、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル又はC−シクロアルキルを表し、C〜C−シクロアルキルは、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル又はC−シクロアルキルを表し、C〜C−シクロアルキルは、C−シクロアルキル又はC−シクロアルキルを表し、及びC〜C−シクロアルキルは、C−シクロアルキル、C−シクロアルキル又はC−シクロアルキルを表す。シクロアルキルに関して、この概念は1又は2個の炭素原子がヘテロ原子S、N又はOに置き換えられている飽和シクロアルキルを含む。シクロアルキルの概念には、しかしながら、特に、前記シクロアルキルが芳香族系を表さない限り、環中にヘテロ原子を含まない1箇所又は数箇所、好ましくは1箇所不飽和のシクロアルキルも含まれる。好ましくは、前記アルキル基又はシクロアルキル基は、メチル、エチル、ビニル(エテニル)、プロピル、アリル(2−プロペニル)、1−プロピニル、メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、1−メチルペンチル、シクロプロピル、2−メチルシクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、さらにアダマンチル、CHF、CF又はCHOH並びにピラゾリノン、オキソピラゾリノン、[1,4]ジオキサン又はジオキソランである。
【0019】
この場合、アルキル及びシクロアルキルとの関連で、これらが明確に他に定義されていない限り、置換された の概念は、本発明の範囲内で、1つ又は複数の水素原子基の少なくとも1つがF、Cl、Br、I、NH、SH又はOHにより置き換えられていることであると解釈され、その際、「ポリ置換された」又は「置換された」とは、複数箇所の置換であると解釈され、前記置換は異なる原子に関して並びに同じ原子に関して複数箇所同じ又は異なる置換基で行われ、例えば同じC原子で3箇所行われる(例えばCFの場合)又は異なる箇所で3箇所行われる(例えば−CH(OH)−CH=CH−CHClの場合)。特に有利な置換基は、この場合、F、Cl及びOHである。シクロアルキルに関して、水素原子基は、OC〜C−アルキル又はC〜C−アルキル(それぞれモノ又はポリ置換されているか又は非置換である)、特にメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、CF、メトキシ又はエトキシにより置き換えられてもよい。
【0020】
(CH3−6の概念は、−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−CH−及びCH−CH−CH−CH−CH−CH−であると解釈され、(CH1−4の概念は−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−及び−CH−CH−CH−CH−であると解釈され、(CH4−5の概念は−CH−CH−CH−CH−及び−CH−CH−CH−CH−CH−であると解釈される、等。
【0021】
アリール基とは、少なくとも1つの芳香環を有する環系であるが、前記環の1つだけにはヘテロ原子を含まないと解釈される。例えば、フェニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、フルオレニル基、テトラリニル基又はインダニル基、特に9H−フルオレニル基、又はアントラセニル基であり、前記基は非置換であるか又はモノ又はポリ置換されてもよい。
【0022】
ヘテロアリール基とは、窒素、酸素及び/又は硫黄のグループからなる1個又は数個のヘテロ原子を有しかつモノ又はポリ置換されてもよい少なくとも1つの不飽和環を有する複素環式の環系であると解釈される。例えば、ヘテロアリールのグループからフラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール、ベンゾチアゾール、インドール、ベンゾトリアゾール、ベンゾジオキソラン、ベンゾジオキサン、カルバゾール、インドール及びキナゾリンを挙げることができる。
【0023】
塩の概念は、本発明による作用物質がイオンの形を採るか又は荷電されていてかつ対イオン(カチオン又はアニオン)と結合しているか、又は溶液中に存在する形態であると解釈される。これは前記作用物質と他の分子及びイオンとの錯体、特にイオン相互作用を介して錯形成されている錯体とも解釈される。特に、これには生理学的に許容される塩、特にカチオン又は塩基との生理学的に許容される塩及びアニオン又は酸との生理学的に許容される塩又は生理学的に許容される酸又は生理学的に許容されるカチオンと形成される塩であるとも解釈される(そしてこれは本発明の有利な実施態様でもある)。
【0024】
生理学的に許容されるとは、前記物質、特に塩自体が、ヒト又は哺乳動物に適用される場合に許容される、つまり例えば非生理学的(例えば毒性)ではないと解釈される。
【0025】
アニオン又は酸との生理学的に許容される塩の概念は、本発明の範囲内で、本発明による化合物の少なくとも1種の塩であると解釈され、たいていは、例えば窒素原子がプロトン化され、カチオンとして、生理学的に特にヒト及び/又は哺乳動物に適用する場合に許容可能な少なくとも1種のアニオンとの塩であると解釈される。特にこれは、本発明の範囲内で、生理学的に許容される酸と形成される塩、つまり、それぞれの作用物質と、生理学的に、特にヒト及び/又は哺乳動物に適用する際に許容される無機酸もしくは有機酸との塩であると解釈される。特定の酸との生理学的に許容される塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、1,1−ジオキソ−1,2−ジヒドロ1b6−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−オン(サッカリン酸)、モノメチルセバシン酸、5−オキソ−プロリン、ヘキサン−1−スルホン酸、ニコチン酸、2−,3−又は4−アミノ安息香酸、2,4,6−トリメチル−安息香酸、α−リポ酸、アセチルグリシン、アセチルサリチル酸、馬尿酸及び/又はアスパラギン酸の塩である。特に、塩酸塩が有利である。
【0026】
生理学的に許容される酸と形成される塩の概念とは、本発明の範囲内で、それぞれの作用物質と、生理学的に、特にヒト及び/又は哺乳動物に適用する際に許容される無機酸もしくは有機酸との塩であると解釈される。特に、塩酸塩が有利である。生理学的に許容される塩の例は次のものである:塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、1,1−ジオキソ−1,2−ジヒドロ1λ−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−オン(サッカリン酸)、モノメチルセバシン酸、5−オキソ−プロリン、ヘキサン−1−スルホン酸、ニコチン酸、2−,3−又は4−アミノ安息香酸、2,4,6−トリメチル−安息香酸、α−リポ酸、アセチルグリシン、アセチルサリチル酸、馬尿酸及び/又はアスパラギン酸。
【0027】
カチオン又は塩基との生理学的に許容される塩の概念は、本発明の範囲内で、本発明による化合物の少なくとも1種の塩であると解釈され、たいていは(脱プロトンされた)酸のアニオンとしての、生理学的に特にヒト及び/又は哺乳動物に適用する場合に許容可能な少なくとも1種の、好ましくは無機のカチオンとの塩であると解釈される。特に有利なのは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、並びにNHの塩、特に(一)又は(二)ナトリウム塩、(一)又は(二)カリウム塩、マグネシウム塩又はカルシウム塩である。
【0028】
生理学的に許容されるカチオンと形成される塩の概念とは、本発明の範囲内で、アニオンとしてそれぞれの化合物の少なくとも1種と、生理学的に、特にヒト及び/又は哺乳動物に適用する際に許容される少なくとも1種の無機カチオンとの塩であると解釈される。特に有利なのは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、並びにNHの塩、特に(一)又は(二)ナトリウム塩、(一)又は(二)カリウム塩、マグネシウム塩又はカルシウム塩である。
【0029】
本発明により使用される化合物及びその製造は、一般式Iによる1−フェニル−3−ジメチルアミノ−プロパン化合物に関してDE 44 26 245 A1から原則として公知である。この他の全ての化合物は、そこに記載された合成経路と同様に当業者に容易に製造可能である。
【0030】
前記実施態様の特に有利なバリエーションの場合に、本発明により使用された一般式I(式中、R=H)による1−フェニル−3−ジメチルアミノ−プロパン化合物は、相対配置Iaを有するジアステレオマーの形で存在し、
【0031】
【化2】

【0032】
特に、他のジアステレオマーと比較して前記ジアステレオマーの高い割合を有する混合物の形で又は純粋なジアステレオマーとして使用される。
【0033】
一般式Iの本発明により使用される1−フェニル−3−ジメチルアミノ−プロパン化合物が次のグループから選択される場合が特に有利である:
(2RS,3RS)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(+)−(2R,3R)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、又は
(2R,3R)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(−)−(2S,3S)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(2S,3S)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(2RS,3RS)−3−(3,4−ジクロロフェニル)−1−ジメチルアミノ−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(2RS,3RS)−3−(3−ジフルオロメチル−フェニル)−1−ジメチルアミノ−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(2RS,3RS)−1−ジメチルアミノ−2−メチル−3−(3−メチルスルファニル−フェニル)−ペンタン−3−オール、
(3RS)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシ−フェニル)−4,4−ジメチル−ペンタン−3−オール、
(2RS,3RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−1−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(1RS,2RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル)−フェノール、
(+)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル)−フェノール、
(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル)−フェノール、
(−)−(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル)−フェノール、
(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル)−フェノール、
(RS,RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(−)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(+)−(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(+)−(1R,2R)−酢酸−3−ジメチルアミノ−1−エチル−1−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−プロピルエステル、
(2RS、3RS)−3−(4−クロロフェニル)−1−ジメチルアミノ−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(+)−(2R,3R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−1−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(2RS,3RS)−4−ジメチルアミノ−2−(3−メトキシ−フェニル)−3−メチル−ブタン−2−オール及び
(+)−(2R,3R)−4−ジメチルアミノ−2−(3−メトキシ−フェニル)−3−メチル−ブタン−2−オール、
好ましくは、塩酸塩として、
特に、
(RS,RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(−)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(−)−(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
好ましくは、
(−)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、又は
(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール。
【0034】
ニューロパシー痛、好ましくはモノニューロパシー性及び/又はポリニューロパシー痛、特に好ましくはポリニューロパシー痛、その中で好ましくは糖尿病によるニューロパシー痛、好ましくは糖尿病による末梢のニューロパシー痛を治療するための、更に好ましくは糖尿病によるニューロパシー、極めて好ましくは糖尿病による末梢のニューロパシーを治療するための医薬(前記医薬の製造のために、本発明の場合に前記の化合物が利用される)は、少なくとも1種の本発明により使用される、前記の作用物質及び場合により適した添加剤及び/又は助剤を含有する。
【0035】
適当な添加剤及び/又は助剤は本発明の範囲内で、当業者に先行技術から公知の、製剤調製物を達成するための全ての物質である。前記助剤の選択並びにその使用すべき量は、前記医薬が経口、静脈内、腹膜腔内、皮内、筋肉内、鼻腔内、バッカル又は局所に適用されるかどうかに依存する。経口適用のために、錠剤、チュアブル錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、顆粒剤、滴剤、液剤又はシロップ剤の形態の調製物が適しており、腸管外、局所及び吸入適用のために、溶液、懸濁液、容易に再構築可能な乾燥調製物並びにスプレー剤が適している。他の可能性は、直腸に使用するための坐剤である。場合により皮膚浸透を促進する薬剤の添加下で、溶液の形態のデポー剤、キャリアシート又はプラスターの形態での適用は、適当な経皮適用調製物の例である。経口適用のための助剤及び添加剤の例は、崩壊剤、滑剤、結合剤、充填剤、離型剤、場合により溶剤、矯味剤、糖、特に担持剤、希釈剤、着色剤、酸化防止剤等である。坐剤のために、特にワックス又は脂肪酸エステルを使用することができ、腸管外適用剤のために担持剤、保存剤、懸濁助剤等を使用することができる。患者に投与すべき作用物質量は、患者の体重、適応症及び疾患の重度に依存して変えられる。経口、直腸又は経皮で適用可能な調製剤から、本発明による化合物は遅延放出されることができる。本発明による適応症の場合には、特に1日に1回摂取しなければならない「1日1回型」の調製物の形態の相応する遅延調製物が有利である。
【0036】
作用物質を少なくとも0.05〜90.0%含有する、特に副作用を抑制するために低い作用の用量を有する医薬が有利である。通常では、本発明により使用される少なくとも1種の化合物、体重1kgあたり0.1〜5000mg、特に1〜500mg、好ましくは2〜250mgが適用される。同様に、体重1kgあたり0.01〜5mg、好ましくは0.03〜2mg、特に0.05〜1mgの適用も有利でありかつ通常である。
【0037】
助剤は、例えば次のものであることができる:水、エタノール、2−プロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グルコース、フルクトース、ラクトース、サッカロース、デキストロース、糖蜜、デンプン、化工デンプン、ゼラチン、ソルビトール、イノシトール、マンニトール、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、セラック、セチルアルコール、ポリビニルピロリドン、パラフィン、ワックス、天然ゴム及び合成ゴム、アラビアゴム、アルギナート、デキストラン、飽和及び不飽和の脂肪酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウム、食用油、ごま油、ココナッツ油、落花生油、大豆油、レシチン、乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−及び−プロピレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビン酸、安息香酸、クエン酸、アスコルビン酸、タンニン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化チタン、二酸化チタン、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸カルシウム、炭酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、タルク、カオリン、ペクチン、クロスポビドン、寒天及びベントナイト。
【0038】
本発明による医薬及び調剤学的組成物の製造は、調剤学的調製物の従来の技術から公知の通常の手段、装置、手法及び方法を用いて、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences」, 編者A.R. Gennaro, 第17版, Mack Publishing Company, Easton, Pa, 1985, 特に第8部、第76章〜第93章に記載されているように行われる。
【0039】
例えば固体の調製剤、例えば錠剤について、前記医薬の作用物質は、製剤学的担持剤、例えば慣用の錠剤内容物質、例えばトウモロコシデンプン、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又は製剤学的に許容されるゴム及び製剤学的希釈剤、例えば水と一緒に造粒され、均一な分布で作用物質を含有する固体の組成物が形成される。均一な分布とは、作用物質が全体の組成物にわたって均質に分配され、同じ作用の単位用量の形態、例えば錠剤、ピル又はカプセルの形に容易に分けることができることであると解釈される。前記の固体の組成物は単位用量の形態に分けられる。本発明による医薬又は本発明による組成物の前記錠剤又はピル、遅延放出を有する投与形状を準備するために被覆するか又は他の方法で配合することもできる。適当な被覆材料は、特にポリマーの酸及びポリマーの酸と材料、例えばシェラック、セチルアルコール及び/又は酢酸セルロースとの混合物である。
【0040】
本発明により製造される医薬が単に低い副作用を示す場合であっても、例えば所定の形の依存性を避けるために、前記の本発明の化合物の他に、モルフィンアンタゴニスト、特にナロキソン、ナルトレキソン及び/又はレバロルファンを使用することも有利である。試験において、例えばモルフィンと化合物10(後記の実施例0を参照)について、前記物質がナロキソンと一緒でもニューロパシー痛において有効であることが示された。
【0041】
更に、本発明は、上記の化合物の少なくとも1種を本発明により使用する、ニューロパシー痛の治療のため、ニューロパシー性の、好ましくはモノニューロパシー性及び/又はポリニューロパシー痛、特に好ましくはポリニューロパシー痛、更に好ましくは糖尿病によるニューロパシー痛、好ましくは糖尿病による末梢のニューロパシー痛の治療のため、更に好ましくは糖尿病によるニューロパシー、好ましくは糖尿病による末梢のニューロパシーの治療のための方法にも関する。
【0042】
次の実施例は本発明を説明するが、本発明の対象を次の実施例に制限するものではない。
【0043】
実施例
実施例0:供試物質:
次の化合物が試験され、次の相応する表1中では、化合物(又はVerb.)1等として省略されている:
表1:
【0044】
【表1】

【0045】

【0046】
実施例1:ベネット
ラットに関するニューロパシー痛
ニューロパシー痛における有効性に関するこの調査は、ベネットモデル(chronic constriction injury; Bennett及びXie, 1988, Pain 33: 87-107)で試験した。
【0047】
体重140〜160gのスプラーグドリー(Sprague-Dawley)ラットに、ネンブタール−麻酔のもとで、右坐骨神経の4つの緩い結紮を行った。これらの動物は、損傷された神経から刺激される脚に神経過敏を発症し、この神経過敏は1週間の回復期間の後で約4週間にわたり、4℃の冷たい金属プレートを用いて数値化した(寒冷アロディニア)。これらの動物を前記プレート上で2分観察し、損傷された脚の逃避反応の数を測定した。物質投与前の値に関して、物質作用を1時間の期間にわたり4回の時点(投与後の約15、30、45、60分)で測定し、生じた曲線下面積(AUD)並びに個々の測定時点に対する寒冷−アロディニアの阻害率を付形剤対照に対する作用(AUD)及び出発値に対する作用(個々の測定点)をパーセンテージで表した。このグループサイズはn=10であった。
【0048】
この結果は実施例2からの結果と一緒に表2(下記参照)にまとめてある。
【0049】
実施例2:チュング
チュングによるインビボ試験
雄のスプラーグドリー(Sprague-Dawley)ラットの左側のL5/L6脊髄神経に、キム及びチュング(1992 Pain 50, 355-363)による脊髄神経結紮を行った。手術の4〜6日後に、電子的なフォンフレーアネテシオメータ(von Frey-Anethesiometer)(IITC Life Science, USA)により同側性又は対側性の後脚での接触による閾値ベースライン(逃避閾値/withdrawal threshholds)を測定した。この試験及びベースライン測定の後に、モルフィン、ガバペンチン及び上記の本発明により使用されるいくつかの化合物を投与した。接触による逃避閾値(withdrawal threshholds)は、投与後の30分に測定した。この結果は、ED50又は% maximal possible effect(%MPE;%最大可能効果)として同側性について記載し、その際、ベースラインを0%と仮定し、対称グループの逃避閾値を100%MPEと仮定した。
【0050】
この結果は実施例1からの結果と一緒に次の表2にまとめてある:
表2:試験物質の腹膜腔内(i.p.)又は経口(p.o.)投与後のラットに関するニューロパシー痛における阻害率の試験
【0051】
【表2】

【0052】
前記化合物は、全て、ベネット動物における寒冷アロディニア及びチュング動物における接触によるアロディニアの、明らかでかつ用量依存の阻害を示す。さらに、チュング動物において、部分的にip適用後の30分までの著しく長い作用時間が観察された。
【0053】
実施例3:糖尿病によるニューロパシーを患うラットにおけるインビボ試験
体重160〜180gの雄のスプラーグドーリーラット(Sprague Dawley Ratten)に、pH4.6のクエン酸塩緩衝液中に溶かしたストレプトゾトシン(75mg/kg体重)を腹膜腔内に注射した。1週間後に、糖尿病動物をグルコース血中濃度の測定によって同定し、≧17mMのグルコース血中濃度の場合に前記試験で使用した。ストレプトゾトシン投与の3〜4週間後に、糖尿病動物において、ランダル(Randall)及びセリト(Sellito)(1957 Arch. Int. Pharmacodyn. 61: 409-419)の方法により試験物質又は賦形剤の投与前(試験前)及び投与後(試験後)の多様な時点で機械的反応閾値を測定した。糖尿病動物は、ストレプトゾトシンの代わりに同じ時点で賦形剤溶液を投与された対照動物と比較して、低下した機械的反応閾値及びそれによる機械的痛覚過敏を示す。後ろ脚に押しつけられる最大圧力は250gであった。グラムで示す機械的反応閾値の終点は、動物の反応(後ろ脚の逃避、鳴く行動又は逃走反応)によって決定した。個々の投与段階でのグループサイズはn=10であった。パーセントで示す最大可能応答(%MPE=%最大可能効果)は、式%MPE=(試験後−試験前)/(250−試験前)×100により計算した。ED50値(半値有効阻害が生じる用量)は、最大作用の時点での%MPEから回帰分析によって決定した。
【0054】
表3:試験物質の腹膜腔内(i.p.)投与後のラットに関する糖尿病によるニューロパシー痛における阻害率の試験
【0055】
【表3】

【0056】
化合物9は試験した化合物の中で最も高い最大効果を達成した。
【0057】
実施例4:モルフィンに対する耐性
根本的な問題提起は、モルフィンに対して耐性又は治療耐性が発症した患者においておそらくオピオイド系の作用メカニズムを有する試験物質の作用である。モルフィンに対して耐性があるベネット動物(実施例1による)の場合には、前記の試験された化合物はなお明らかな耐アロディニア作用を示した。表4中では、未処理の(モルフィン耐性でない)動物及びモルフィン耐性の動物の場合の試験物質の作用を対比した。モルフィン(Mor)は、勿論もはや効果を示さないが、他の試験化合物は、この動物において寒冷アロディニアの明らかな阻害を引き起こした。実施例1と同様に、モルフィン[10mg/kg i.p.]、化合物9[10及び21.5mg/kg i.p.]、化合物10[0.46及び1mg/kg i.p.]、化合物4[21.5mg/kg i.p.]及び化合物11[21.5mg/kg i.p.]を試験した。
【0058】
表4:%AUDにおける未処理の動物及びモルフィンに耐性の動物中の腹膜腔内(i.p.)物質投与によるラットに関するニューロパシー痛中の阻害の試験
【0059】
【表4】

【0060】
実施例5:腸管外適用
化合物9 20gを注射目的で室温で水1リットル中に溶かし、引き続きNaClの添加によって等張条件に調節する。
【0061】
実施例6:モノニューロパシー痛とポリニューロパシー痛との比較
実験の実施
雄のスプラーグドーリーラット(Sprague Dawley Ratten)(140〜180g、Janvier,フランス国)を、標準条件(6.00〜18.00時に明るくし、18.00〜6.00時に暗くする;20〜24℃の室温;35〜70%の相対湿度;水道水及び標準試料は任意量)で5匹の動物のグループで、マクロンタイプ4(Macrolon Typ 4)のケージ中で飼育した。
【0062】
モノニューロパシー(脊髄神経結紮、SNL)
ペントバルビタール麻酔(麻酔、60mg/kg i.p.、Merial GmbH、ドイツ国)の下で、片側性の左側で、脊髄神経L5及びL6を絹糸(NC-silk black, USP 5/0, metric 1, Braun Melsungen AG社、ドイツ国)で強固に結紮する(Kim及びChung, Pain 1992; 50: 355-63)。手術後に、前記動物を1週間休養させ、この期間内に同側性(左側)の後ろ脚に神経過敏が生じる。加圧刺激に対するこの神経過敏は、電気的なフォンフレー(von Frey)フィラメント(Somedic、スウェーデン国)を用いて測定することができる。このために、前記動物をカバーの下のケージにおいた。この環境に慣れた後に、損傷した(同側性、左側)及び損傷していない(対側性、右側)の後ろ脚は、前記後ろ脚の下側で対応する後ろ脚が逃避行動するまで高められた圧力にさらす。5回の試験の平均値により、試験時点の逃避閾値を決定する。前記動物は、両方の後ろ脚で、物質投与又は賦形剤投与の前又はその後の多様な時間に試験する。それぞれの動物について、同側及び対側の試験値及び試験前値の間の差異を測定し、それぞれ10匹の動物から構成されるグループについて、その結果を平均値(MW)及び前記平均値の標準偏差(SEM)として表す。同側性及び対側性の平均的な相違の値の差異により、モノニューロパシーにより引き起こされる神経過敏を定義する。物質の作用の有意性は、同側性及び対側性についての賦形剤グループに対する相違の値に基づき、二要因分散分析により及びボンフェローニ(Bonferroni)によるポストホック(posthoc)分析により決定される。
【0063】
ポリニューロパシー(ストレプトゾトシンにより誘導された糖尿病によるニューロパシー、STZ)
ラットは、ストレプトゾトシン(STZ, Sigma Aldrich Chemie,ドイツ国)又は賦形剤(0.1mMクエン酸塩緩衝液、pH4.6)を1回でi.p.で投与された。1週間後に血糖値を測定し、≧17mMの血糖値を有するSTZ処理された動物を糖尿病の動物として試験で使用した。糖尿病の動物は後ろ脚の神経過敏が生じた。加圧刺激に対する神経過敏が、ランダル及びセリト(Randall及びSelitto)(Arch. Int. Pharmcodyn. 1957; 111: 409-19)の方法による加圧疼痛装置(Algesiometer; Ugo Basile、イタリア国)を用いて、同じ体重の健康な対照動物と比較した糖尿病の動物において、STZ処理の3週間後に測定することができる。この環境に慣らした後に、損傷した(糖尿病の)動物及び損傷していない(健康な)動物の右側の後ろ脚は、前記脚の上側に、相応する脚が逃避行動するか又は前記動物が鳴くまで高められた圧力にさらす。前記値により試験時点の逃避閾値を決定する。糖尿病の動物及び健康な動物は、物質投与又は賦形剤投与の前及びその後の多様な時間に試験される。それぞれの動物について、試験値及び試験前値の間の差異を測定し、それぞれ10匹の動物から構成されるグループについて、その結果を平均値(MW)及び前記平均値の標準偏差(SEM)として表す。糖尿病の動物及び健康な動物の平均的な相違の値の差異により、ポリニューロパシーにより引き起こされる神経過敏を定義する。物質の作用の有意性は、糖尿病の動物及び健康な動物についての賦形剤グループに対する相違の値に基づき、二要因分散分析により及びボンフェローニ(Bonferroni)によるポストホック(posthoc)分析により決定される。
【0064】
結果
モノニューロパシー痛
(1R、2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール塩酸塩9(0.1−10mg/kg、i.v.、表1)は、同側性の後ろ脚の逃避閾値の用量依存性の向上を示す。統計学的に有意を達成する場合のこの最小有効用量は1mg/kgである。未処理の対照動物の同側性の逃避閾値とモノニューロパシー性動物の同側性の逃避閾値との間の平均的な差は、この試験系列において36gである。モノニューロパシーにより誘導される逃避閾値低下の完全な阻害は、従って同側での≧36gの値(試験値−試験前値)で達成される。前記値を達成するか又は上回る時点は、表中に太枠で記載されている。対側性の測定値はこの考察において用いられていない。10mg/kg i.v.の最も高い用量グループの場合、モノニューロパシーにより引き起こされる逃避閾値低下の完全な阻害が達成される。
【0065】
対側性の逃避閾値も、用量依存性に高められる。統計学的に有意を達成する場合のこの最小有効用量は10mg/kgである。
【0066】
表1:(1R、2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール塩酸塩(9)モノニューロパシー(試験値−試験前(g);*賦形剤に対してp<0.05;n.s.賦形剤に対して有意ではない)
【0067】
【表5】

【0068】

【0069】
ポリニューロパシー痛
(1R、2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)塩酸塩9(0.1−1mg/kg、i.v.、表2)は、糖尿病のラットの後ろ脚の逃避閾値の用量依存性の向上を示す。統計学的に有意を達成する場合のこの最小有効用量は0.3mg/kgである。未処理の対照動物の逃避閾値とポリニューロパシー性動物の逃避閾値との間の平均的な差は、この試験系列において43gである。ポリニューロパシーにより誘導される逃避閾値低下の完全な阻害は、従って糖尿病の動物において≧43gの値(試験値−前値)で達成される。前記値を達成するか又は上回る時点は、表中に正確に記載されている。未処理の動物の測定値は、この考察に含まれていない。1mg/kg i.v.の最も高い用量グループの場合、15〜30分で、ポリニューロパシーにより引き起こされる逃避閾値低下の完全な阻害が達成される。
【0070】
健康な対照動物の逃避閾値も用量に依存して高まる。統計学的に有意を達成する場合のこの最小有効用量は1mg/kgである。
【0071】
表2:(1R、2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)塩酸塩(9)ポリニューロパシー(試験値−試験前(g);*賦形剤に対してp<0.05;n.s.賦形剤に対して有意ではない)
【0072】
【表6】

【0073】

【0074】
(1R、2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール塩酸塩9はモノニューロパシー痛及びポリニューロパシー痛において圧力により引き起こされる逃避閾値の用量依存性の向上を生じさせる。両方の痛みモデルにおいて、(1R、2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールは、通常の痛み応答には影響を及ぼすことなく、同時に病気により引き起こされた痛み応答の選択的阻害を生じさせる。明確な差異は、両方のモデルにおいて(1R、2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールの作用強度に現れる。ポリニューロパシー痛モデルにおいてすでに0.316mg/kg i.v.で有意な阻害を検出することができ、モノニューロパシー痛モデルにおいて有利な阻害は初めて1mg/kg i.v.で、つまり3倍高い用量で生じる。最大効果を達成する用量でも同様のことが生じる。ポリニューロパシー痛モデルにおいて完全な阻害は1mg/kg i.v.で達成され、モノニューロパシー痛モデルにおいて完全な阻害は10mg/kg i.v.、つまり10倍高い用量で初めて達成される。
【0075】
これらのデータは、(1R、2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールが、ポリニューロパシー痛状態の治療のために特に適していることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

(式中、
Xは、OH、F、Cl、OC(O)CH又はH、好ましくはOH、F、OC(O)CH又はHから選択され、
及び/又は
は、C〜C−アルキル(飽和及び非置換、分枝又は非分枝である);好ましくはCH、C、C又はt−ブチル、特にCH又はCから選択され、
及び/又は
及びRは、相互に無関係に、H、C〜C−アルキル(飽和及び非置換、分枝又は非分枝);好ましくはH、CH、C、i−プロピル又はt−ブチル、特にH又はCH、好ましくはR=Hから選択され、
又は
及びRは、一緒になってC〜C−シクロアルキル基(飽和又は不飽和の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換された、好ましくは飽和及び非置換)、特にシクロヘキシルを形成し、
及び/又は
〜R13(その際、基R〜R13の3〜4個はHを表さなければならない)は、相互に無関係に、次のものから選択される:
H、Cl、F、OH、CFH、CF又はC〜C−アルキル(飽和及び非置換、分枝又は非分枝である);OR14又はSR14(その際、R14はC〜C−アルキル(飽和及び非置換、分枝又は非分枝);
好ましくは、H、Cl、F、OH、CFH、CF、OCH又はSCH
又はR12及びR11は3,4−OCH=CH環を形成し、
特に、
、R11及びR13がHである場合に、R10又はR12の一方は同様にHを表し、他方は次のものから選択される:
Cl、F、OH、CFH、CF、OR14又はSR14、好ましくはOH、CFH、OCH又はSCH
又は、
及びR13はHを表し、かつR11はOH、OCH、Cl又はF、好ましくはClを表す場合に、R10又はR12の一方はHを表し、他方はOH、OCH、Cl又はF、好ましくはClを表し、
又は、
、R10、R12及びR13はHを表す場合に、R11は、CF、CFH、Cl又はF、好ましくはFから選択され、
又は、
10、R11及びR12がHである場合に、R又はR13の一方は同様にHを表し、他方はOH、OC又はOCから選択される)の1−フェニル−3−ジメチルアミノ−プロパン化合物の、場合により、そのラセミ体、その純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマーの形態で、又は任意の混合比での立体異性体の混合物、特にエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物の形態;表示された形態又はその酸又はその塩基の形態又はその塩、特に生理学的に許容される塩の形態、又はその溶媒和物、特に水和物の形態のニューロパシー痛、好ましくはモノニューロパシー性及び/又はポリニューロパシー痛、特に好ましくはポリニューロパシー痛、さらに好ましくは糖尿病によるニューロパシー痛、好ましくは糖尿病による末梢のニューロパシー痛の治療のための、さらに好ましくは糖尿病による末梢のニューロパシーの治療のための医薬の製造のための使用。
【請求項2】
=Hの式Iの化合物が、相対配置Iaを有するジアステレオマーの形で存在し、
【化2】

特に、他のジアステレオマーと比較して前記ジアステレオマーの高い割合を有する混合物の形で又は純粋なジアステレオマーとして使用されることを特徴とする、請求項2記載の使用。
【請求項3】
次のグループ:
(2RS,3RS)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(+)−(2R,3R)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、又は
(2R,3R)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(−)−(2S,3S)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(2S,3S)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(2RS,3RS)−3−(3,4−ジクロロフェニル)−1−ジメチルアミノ−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(2RS,3RS)−3−(3−ジフルオロメチル−フェニル)−1−ジメチルアミノ−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(2RS,3RS)−1−ジメチルアミノ−2−メチル−3−(3−メチルスルファニル−フェニル)−ペンタン−3−オール、
(3RS)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシ−フェニル)−4,4−ジメチル−ペンタン−3−オール、
(2RS,3RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−1−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(1RS,2RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル)−フェノール、
(+)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル)−フェノール、
(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル)−フェノール、
(−)−(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル)−フェノール、
(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−1,2−ジメチル−プロピル)−フェノール、
(RS,RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(−)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(+)−(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(+)−(1R,2R)−酢酸−3−ジメチルアミノ−1−エチル−1−(3−メトキシ−フェニル)−2−メチル−プロピルエステル、
(2RS、3RS)−3−(4−クロロフェニル)−1−ジメチルアミノ−2−メチル−ペンタン−3−オール、
(+)−(2R,3R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−1−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(2RS,3RS)−4−ジメチルアミノ−2−(3−メトキシ−フェニル)−3−メチル−ブタン−2−オール及び
(+)−(2R,3R)−4−ジメチルアミノ−2−(3−メトキシ−フェニル)−3−メチル−ブタン−2−オール、
好ましくは、塩酸塩として、
特に、
(RS,RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(−)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(−)−(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
好ましくは、
(−)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、又は
(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノール、
から選択される式Iの化合物を使用することを特徴とする、請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
ポリニューロパシー痛、好ましくは糖尿病によるニューロパシー痛、極めて好ましくは糖尿病による末梢のニューロパシー痛を治療するための医薬を製造するための、(1RS,2RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールの、好ましくは(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールの、極めて好ましくは塩酸塩としての使用。
【請求項5】
ポリニューロパシー痛、好ましくは糖尿病によるニューロパシー痛、極めて好ましくは糖尿病による末梢のニューロパシー痛を治療するための、請求項1〜3のいずれか1つに記載の式Iの化合物の、好ましくは式Iaの化合物の、極めて好ましくは化合物の(1RS,2RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールの、特に好ましくは(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールの使用。
【請求項6】
ポリニューロパシー痛、好ましくは糖尿病によるニューロパシー痛、極めて好ましくは糖尿病による末梢のニューロパシー痛を治療するための、請求項1〜3のいずれか1つに記載の式Iの化合物の、好ましくは(1RS,2RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールの、極めて好ましくは(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールの使用。
【請求項7】
糖尿病によるニューロパシー、好ましくは糖尿病による末梢のニューロパシーを治療するための、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物の、好ましくは(1RS,2RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールの、極めて好ましくは(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールの使用。
【請求項8】
糖尿病によるニューロパシー、好ましくは糖尿病による末梢のニューロパシーを治療するための医薬を製造するための、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物の、好ましくは(1RS,2RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールの、極めて好ましくは(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)−フェノールの使用。

【公表番号】特表2010−520907(P2010−520907A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553058(P2009−553058)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001884
【国際公開番号】WO2008/110323
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(390035404)グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (127)
【Fターム(参考)】