説明

ニンニク臭の消臭剤および消臭方法

【課題】食べる時には臭いはするが、体内での滞留時間の長い臭い成分の生成を阻害または分解して、翌日には影響のないニンニク産品を得ることができるニンニク臭の消臭剤および消臭方法を提供するものである。
【解決手段】海藻灰または海藻灰抽出物の単独、もしくは海藻灰または海藻灰抽出物と、海藻または海藻抽出物もしくは極性基を有する多糖類との混合物からなるニンニク臭の消臭剤を水または調味液に浸したニンニクに、ニンニクと水および調味液の合計重量の0.01〜3.0重量%混合することにより、海藻類が有する消臭機能を複合的に活用することにより食後ニンニク臭の消臭効果が得られるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海藻灰や海藻灰抽出物を用いた食後ニンニク臭の消臭剤および消臭方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アメリカの国立ガン研究所は、植物性食品のフィトケミカルに関する研究の成果として、ガンなどの生活習慣病を予防する食品のトップにニンニクをあげた。また、ニンニクは料理に欠かせない食材として広く普及しているが、翌日まで残る特有な臭いのために食べることを制限する人も多い。こうしたことからニンニクの消臭については多くの方法が開発されている。また、ニンニクの加工品、例えば漬物に代表される調味ニンニクは25%程度の塩分濃度で保存した塩蔵ニンニクを原料にする。塩蔵ニンニクは塩分1〜2%まで脱塩してから使用する。従って、脱塩過程で、ニンニクの機能性成分、有臭成分はほぼ100%流出する。そのために殆どの市販調味ニンニクはニンニクの機能を期待できない。
【0003】
従来のニンニクの消臭方法として、例えば水にアルギン酸ナトリウムを分散させ、カルシウム塩、マグネシウム塩またはこれらの混合物を添加し、生成した水不溶性アルギン酸塩を分散させてからゼオライトまたは珪澡土を添加し、ニンニクを浸漬させて消臭する方法が示されている(特許文献1)。
【0004】
また、40〜70℃で加熱処理したニンニクを低濃度のカルシウム塩溶液に浸漬した後にペクチン等々の極性基を有する低濃度の多糖類分散液に浸漬することによる食後無臭化法が開発されている( 特許文献2)。
【0005】
また、漬物などに用いる生ニンニクに関しては、例えば皮剥きした生のニンニクまたは細断したニンニクを(1)クエン酸またはクエン酸を主とする酢酸、酒石酸の混合物と、(2)塩化ナトリウムまたは塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムの群から選ばれた1種または2種以上の無機塩類とからなる混合水溶液に浸漬し、10〜40℃で保持し脱臭する方法が記載されている(特許文献3)。しかしながらこの方法は効果が少なく不安定である。
【0006】
また、すり下ろしたニンニクまたはニンニク搾汁にタマネギエキスとビタミンB を添加することによるニンニクの消臭方法が示されている(特許文献4)。しかしながらこの方法は、タマネギエキスの酵素を使用するので、処理条件によって効果が大きく左右されて不安定であり、また産業廃棄物の処理コストが高く、実用的な方法ではない。
【0007】
更に、水または調味液に浸したニンニクに、海藻または海藻抽出物を消臭剤として混合することにより消臭する方法が示されている(特許文献5)。この方法は同種の海藻でも、海藻の栽培地や収穫時期等々により消臭効果に差異があるので、消臭が不安定である。
【0008】
ニンニク臭の発生原因について考察すると、ニンニクは組織が破壊されない状態では無臭である。これは臭い成分の前駆物質であるアリーンを代表とするS- アルケニル- L- システインスルホキシド類が細胞質、その分解酵素のアリナーゼが維管束鞘に存在するためである。すなわち、切断や磨砕等により組織が破壊され両成分が接触すると、無臭のSーアルケニル- Lーシステインスルホキシド類はアリナーゼにより有臭成分のアリシン等々のチオスルフィネート類に変化する。
【0009】
生成したアリシンは化学的に変化して有臭成分のスルフィド類、アホエン類、ビニルジチン類等々になる。また、ニンニクを食した後の呼気にはジアリルジスルフィド、ジアリルスルフィド、アリルメチルジスルフィド、アリルメチルスルフィド等々が検出される。これら有臭成分の中でアリルメチルスルフィドは一日後でも呼気に残る。しかし、他は食後20分程度でピークに達し、2〜3時間で消失する。この事実はニンニク臭の成分には体内で速やかに消費されるタイプと、代謝に時間のかかるタイプのあることを示唆している。
【0010】
したがって、ニンニク臭の無臭化はアリナーゼを失活させるか、Sーアルケニル- Lーシステインスルホキシド類を分解するか、安定な物質に変えるか、包摂することにより達成できる。更に、翌日まで体臭として残る成分の生成抑制または消去によっても食後無臭を達成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平06ー253769号
【特許文献2】特開2005ー204510号
【特許文献3】特開平09ー187247号
【特許文献4】特開平11ー215961号
【特許文献5】特開2007ー53980号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題を改善するために、海藻灰または海藻灰抽出物を主成分として、体内での滞留時間の長いニンニクの有臭成分を食後速やかに且つ確実に無臭化し、翌日には影響のない食後無臭化ニンニク産品を安価に、大量に生産することができるニンニク臭の消臭剤および消臭方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1記載のニンニク臭の消臭剤は、海藻灰または海藻灰抽出物の単独、もしくは海藻灰または海藻灰抽出物と、海藻または海藻抽出物もしくは極性基を有する多糖類との混合物からなることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項2記載のニンニク臭の消臭剤は、請求項1において、海藻抽出物が、海藻の水または湯に浸して抽出した抽出液の50〜80%アルコール可溶性または不溶性物質であることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項3記載のニンニク臭の消臭方法は、請求項1記載のニンニク臭の消臭剤を、水または調味液に浸したニンニクに、ニンニクと水および調味液の合計重量の0.01〜3.0重量%混合することを特徴とするものである。
【0016】
本発明の請求項4記載のニンニク臭の消臭方法は、請求項3において、請求項1記載のニンニク臭の消臭剤を、水または調味液に浸したニンニクに混合してから包装袋または包装容器に密封後、加熱殺菌することを特徴とするものである。
【0017】
本発明の請求項5記載のニンニク臭の消臭方法は、請求項1記載のニンニク臭の消臭剤を溶液として、スライスしたニンニクに噴霧することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る請求項1記載のニンニク臭の消臭剤によれば、水または調味液に浸したニンニクに、海藻灰または海藻灰抽出物の単独、もしくは海藻灰または海藻灰抽出物と、海藻または海藻抽出物もしくは極性基を有する多糖類との混合物を消臭剤として添加する。この場合、海藻中のアルギン酸やフコイダン、カラーギーナン等々のような極性基を有する多糖類の中で水溶性であって、比較的低分子量の画分が溶出し、ニンニクに浸透して、ニンニクに内在するカルシウムやマグネシウムのような多価陽イオンまたは浸透した海藻の多価陽イオンと架橋または配位結合して多糖類分子が網状化し、その結果、新たに生成した電場に有臭成分が結合し、また網状化した極性基を有する多糖類分子が有臭成分の包摂媒体として作用してニンニク臭を消臭する。
【0019】
また、海藻中に微量に含まれるヨウ素化合物も、酸化作用によりニンニク臭を消臭する。海藻のヨウ素化合物は種類や部位、栽培地の海流、収穫時期等々により異なるので、同種の海藻でも、ヨウ素化合物の少ない場合は消臭機能が低下する。本発明で用いる、海藻灰または海藻灰抽出物は有機物を焼却した無機物のために、海藻よりもヨウ素化合物が格段に多く、それ自体でもニンニク臭を消臭する。この結果、本発明のニンニク臭の消臭剤を添加することは、極性基を有する多糖類の消臭作用に、ヨウ素化合物の消臭機能を定量的に付与することであり、消臭を確実にすることができる。
【0020】
その結果、食す際にはニンニク臭を有するが、体内での滞留時間の長い有臭成分の生成阻害、分解または包摂、結合、酸化等々が起こり、食後速やかに且つ確実に無臭化し、翌日には影響のないニンニク産品を極めて簡単な方法で製造ことができる。また製造する際に特別な設備や素材を必要としないので安価に、大量に生産することができる。このニンニクを餃子のニンニク具材として活用すれば、食す時にはニンニク臭がするが、食後気にならない餃子を製造できる。またこのニンニクをペースト化したものをキムチに配合すれば食後臭わないキムチを製造することができる。また極性基を有する多糖類を使用する場合、消臭剤の製剤化が容易である。
【0021】
また請求項2記載のニンニク臭の消臭剤によれば、海藻抽出物として、海藻抽出物のアルコール可溶性または不溶性物質を用いることにより、ニンニク臭を消臭することができる。この消臭剤は、製剤化が容易で、無臭化ニンニクや保存性の高い調味無臭化ニンニクを極めて簡単な方法で製造することができる。
【0022】
また請求項3記載のニンニク臭の消臭方法によれば、請求項1記載のニンニク臭の消臭剤を、水または調味液に浸したニンニクに、ニンニクと水および調味液の合計重量の0.01〜3.0重量%混合することにより、極性基を有する多糖類の消臭作用に、ヨウ素化合物の消臭機能が定量的に付与されて、消臭を確実にすることができる。
【0023】
また請求項4記載のニンニク臭の消臭方法によれば、水または調味液に浸したニンニクに、請求項1記載の消臭剤を混合後、包装袋または包装容器に密封してから加熱することにより室温放置でも6ヵ月以上の保存が可能な調味無臭化ニンニクを得ることができる。
【0024】
また請求項5記載のニンニク臭の消臭方法によれば、請求項1記載のニンニク臭の消臭剤を溶液として、スライスしたニンニクに噴霧することにより短時間で食後臭わない産品を極めて容易に製造することができる。このニンニクは、例えば、処理後乾燥すれば食後臭わないニンニクフレークになる。また、それを粉砕すれば食後臭わないニンニクパウダーになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明のニンニク臭の消臭剤として用いる海藻灰は海藻類を例えば500〜1000℃で灰化した海藻灰化物のことである。灰化温度を500〜1000℃にしたことは、500℃未満では黒色の未灰化物が多量に残存し、無機化合物が抽出されにくいためである。また、1000℃を超えると、ヨウ化カリウムのようなヨウ素化合物が焼失しやすくなるからである。例えば、乾燥ヒジキを600℃で白色になるまで焼却した場合に得られる灰化物は乾燥ヒジキの18〜25%である。
【0026】
また本発明のニンニク臭の消臭剤として用いる海藻灰抽出物は、海藻灰に2〜50倍量の水を加えて、30〜100℃で5〜60分加熱して、抽出した抽出物を、減圧また常圧で加熱濃縮または直火で煮詰めて水分を蒸発させた粉末である。また、海藻灰に加える水に酢酸、クエン酸、リンゴ酸々の有機酸またはリン酸、塩酸等々の無機酸を混合して酸性にしてもよい。また、海藻灰抽出物として、食品添加物として認可されている海藻灰抽出物を用いてもよい。更に、海藻を焼いて製造する藻塩、藻塩混合塩を用いてもよい。
【0027】
この場合、海藻灰に加える水を2〜50倍としたのは、2倍未満では十分な抽出物が得られず、50倍以上にしてもそれ以上、抽出物の収量の増加が認められないためである。また、30〜100℃で5〜60分加熱することは、5分以内の加熱では十分な抽出物が得られず、60分以上の加熱では抽出物の増加が認められないためである。例えば、ヒジキ灰化物に20倍量の水を加えて80℃、30分の加熱抽出を3回繰り返した時の海藻灰抽出物(ヒジキ)はヒジキ灰化物の75〜85%である。
【0028】
本発明のニンニク臭の消臭剤の構成成分として海藻灰または海藻灰抽出物に混合する海藻は、緑藻類のアオサ、ヒトエグサ、スジアオノリ、ウスバオアノリ、ボウアオノリ、イワズタ、褐藻類のワカメ、コンブ、モズク、ヒジキ、アラメ、ホンダワラ、マツモ、カジメ、紅藻類のオゴノリ、トサカノリ、アサクサノリ、スサビノリ、テングサ、フノリ、ツノマタ、キリンサイ、エゴノリ等々をあげることができる。これらは単独でもよいが二種以上を併用してもよい。
【0029】
また本発明のニンニク臭の消臭剤の構成成分として海藻灰または海藻灰抽出物に混合する海藻抽出物は、前記海藻を水または湯に浸して抽出した抽出液、または抽出液から調製した粉末を用いる。
【0030】
海藻を水または湯に浸して抽出する海藻抽出物の製造方法としては、例えば、乾燥した海藻を5〜100倍量の2〜100℃の水や湯に浸し、常圧または加圧下で2分〜120時間保持し、十分に冷却してからろ過する。この操作で海藻に含まれるアルギン酸やフコイダン、カラーギーナンのような多糖類の内、水溶性の低分子量画分がろ液に溶出する。しかし、多価陽イオンと結合して巨大分子化している不溶性の高分子多糖類は残渣に残る。ろ液をそのまま、または濃縮して消臭剤として用いても良い。濃縮方法としては減圧濃縮でもよいが、直火での煮詰め操作でもよい。また、これに酢酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等々の有機酸またはリン酸、塩酸等々の無機酸を加えてpH5以下にしてもよい。
【0031】
この場合、2℃未満で2分未満の浸漬では十分な抽出物が得られず、また100℃を超えて120時間を超える浸漬では、抽出物の収量の増加が認められず、抽出液が濁って製品が変色する恐れがある。
【0032】
また海藻抽出物として、海藻を水または湯に浸して、抽出した抽出液の50〜80%アルコール可溶性または不溶性物質を用いてもよい。この場合、例えば、乾燥した海藻を5〜100倍の水に浸漬し、2〜100℃で2分〜120時間保持して抽出した抽出物に、エチルまたはメチルアルコールを、濃度が50〜80%になるように混合して上清と沈殿物とを分離し、上清をアルコール可溶性画分、沈殿物をアルコール不溶性画分とする。
【0033】
アルコール可溶性画分はアルコールを減圧または常圧で濃縮除去してから水に溶解させてアルコール可溶性物質とする。またアルコール不溶性画分はアルコールを風乾してから水に溶解してアルコール不溶性物質とする。このアルコール可溶性及び不溶性物質を消臭剤として利用する。アルコール濃度を50〜80%としたのは、50%未満ではアルコール可溶性物質の収量が多く、80%を超えると少ないからであり、特に70〜75%濃度が望ましい。
【0034】
また本発明のニンニク臭の消臭剤の構成成分として海藻灰または海藻灰抽出物に混合する極性基を有する多糖類としては例えば、アルギン酸、フコイダン、カラーギーナン、キサンタンガム、ペクチン等々のような増粘多糖類でよいが、海藻類やリンゴ、ミカン等々の果物類、パセリ、パースニップ、セリ等々の野菜類等々から抽出した極性基を有する多糖類画分を用いてもよい。
【0035】
この場合、海藻灰または海藻灰抽出物と、海藻または海藻抽出物もしくは極性基を有する多糖類との混合率は、海藻のヨウ素含量が多ければ海藻灰または海藻灰抽出物が少なくてよい。
【0036】
次に上記海藻灰または海藻灰抽出物、またはこれと海藻または海藻抽出物の混合物を消臭剤として、ニンニクを処理する方法について説明する。先ず水または調味液に浸したニンニクに、乾燥海藻として換算した海藻または海藻抽出物と海藻灰または海藻灰抽出物の混合物または、海藻灰または海藻灰抽出物を消臭剤としてニンニクと水または調味液の合計重量の0.01〜3.0重量%になるように混合する。調味液としては例えば、食酢、塩、醤油などの調味料を調整したものを用いる。
【0037】
また消臭剤の添加量をニンニクと水および調味液の合計重量に対して0.01〜3.0重量%に限定したのは、0.01重量%以下では効果がなく、3.0重量%以上ではそれ以上の効果が認められず、処理コストが高くなるからである。
【0038】
本発明の消臭作用のメカニズムは明確ではないが、海藻類に特徴的に含まれるアルギン酸やフコイダン、カラーギーナンのような極性基を有する多糖類で比較的低分子量の水溶性多糖類やヨウ素がニンニクに浸透し、(+)ーSーアリルーLーシステインスルホキシドのアリシンへの分解抑制、阻害または阻止を起こし、臭い成分のジアリルジスルフィド、ジアリルトリスルフィド、アリルメチルスルフィド等々の生成が抑制または阻害または阻止をすると考えられる。また、海藻類に多いカルシウムが極性基を有する多糖類の網状組織の緻密化を促進し、有臭成分の包摂の助長や新たに生成した電場と有臭成分のイオン的な結合等々による無臭化を促進すると考えることができる。また、海藻類や海藻灰化物に特異的に多いヨウ素は酸化作用を呈するので無臭化に関与すると考えられる。
【0039】
消臭剤を添加したニンニクと水および調味液は、30℃以下の温度で保持することにより、食す際にはニンニク臭を有し、食感が生ニンニクのように歯切れが良く、体内での滞留時間の長い有臭成分を食後速やかに且つ確実に無臭化し、翌日には影響のないニンニク産品を得ることができる。
【0040】
また請求項4記載の発明では、水または調味液に浸したニンニクを包装袋または包装容器に密封してから55〜90℃で3〜60分加熱することにより殺菌して、無臭化と長期保存性を同時に得ることができる。
【0041】
また請求項5記載の発明ではスライスしたニンニクに、ニンニク臭の消臭剤を噴霧する場合、溶液として噴霧する。この場合、溶液は水溶液またはエチルアルコール水溶液とする。エチルアルコールの濃度は消臭剤の溶解性で異なるが、20〜60重量%が望ましい。エチルアルコール水溶液は、アルコール可溶性物質またはアルコール不溶性物質が好ましく、スライスしたニンニクの0.01〜20.0重量%の溶液とする。この場合、0.01重量%未満では噴霧量が多くなり効率が悪く、20.0重量%以上では濃度が濃すぎるために均一な噴霧がし難い。
【0042】
またスライスしたニンニクの代わりにニンニクフレークを用いることもできる。さらに、噴霧する代わりに各消臭剤溶液に浸漬してもよい。このようにスライスしたニンニクに消臭剤を噴霧して処理後に乾燥すると、食べる時には臭いがあるが、食後臭いのないニンニクチップスやニンニク粉末を容易に製造することができる。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
(実施例1)
水1L(リットル)に、消臭剤として乾燥ヒジキ粉末0.5g(水とニンニクの合計量の0.028重量%)を懸濁後、海藻灰抽出物(ヒジキ)0.5g(水とニンニクの合計量の0.028重量%)を混合してから、皮を剥いたニンニク800gを入れ、攪拌しながら5℃で5時間放置した(処理ニンニク−1)。この場合、消臭剤の添加量は合計で、調味液とニンニクの合計量の0.056重量%である。また、消臭剤として海藻灰抽出物(ヒジキ)1.0gを用いて、処理ニンニク−1と同様な方法で処理したニンニクを処理ニンニク−2とした。海藻灰抽出物は、水とニンニクの合計量の0.056重量%である。また、消臭剤として乾燥ヒジキ粉末4.0を用いて、同様に処理したニンニクを処理ニンニク−3とした。乾燥ヒジキ粉末は、ニンニクの合計量の0.056重量%である。
【0044】
これらの処理ニンニクについて官能検査を行った。生のニンニクと本発明により処理したニンニク( 処理ニンニク−1、−2、−3)を切片とし、各8 gを食事の際に生味噌をつけて食させ、匂いに敏感な第三者に口臭を評価させた。また、消臭効果を厳密に判断するために翌朝起床時( 食後13〜15時間)に寝室(6畳)の臭いを家人に評価させた。パネリストは各5名、計20名とした官能検査の結果は表1に示す通りである。
【0045】
【表1】

【0046】
表1の結果から、食した直後のパネリストの口臭の評価は生ニンニクが「極めて臭い」、処理ニンニク−1、−2、−3は、いずれも「臭い」であった。生ニンニクを食した者は5時間後でも「極めて臭い」、翌朝起床時の寝室の臭いも「臭い」であった。処理ニンニク−1を食した者は、1時間後に「殆ど臭くない」、3 時間には「全く臭くない」であった。また、翌朝起床時の寝室の臭いも「全く臭くない」であった。処理ニンニク−2を食した者の口臭は、1時間後は「やや臭い」、3、5時間後は「殆ど臭くない」であった。また、翌朝起床時の寝室の臭いは「全く臭くない」であった。処理ニンニク−3は3時間後に「やや臭い」、5時間後に「殆ど臭くない」と評価され、翌朝起床時の寝室の臭いは「全くない」であった。以上のことから乾燥ひじき粉末に海藻灰抽出物(ヒジキ)を混合した消臭剤により消臭処理したニンニクは、食後、明らかに減臭または消臭されることが確認できた。
【0047】
(実施例2)
食酢、塩、醤油等々の調味料を混合して調製した調味液1Lに、消臭剤として乾燥ヒジキ粉末2.0gを懸濁後、海藻灰抽出物(ヒジキ)2.0gを混合する。この調味液100mLを入れたプラスチックの袋に、予め20重量%の食塩水に約5時間漬けて塩分濃度を1〜2%にしたニンニク80gを充填密封した。プラスチック袋中の乾燥ひじき粉末と海藻灰抽出物は、調味液とニンニクの合計量の各0.11重量%、合計で0.22重量%である。これを85℃で30分間加熱してから直ちに流水中で冷却した(袋詰加熱処理ニンニク−1)。また、消臭剤として海藻灰抽出物4.0gを用いて、袋詰加熱処理ニンニク−1と同様に処理したニンニクを袋詰加熱処理ニンニク−2とした。海藻灰抽出物は、調味液とニンニクの合計量の0.22%である。また、消臭剤として乾燥ひじき粉末4.0gを用いて袋詰加熱処理ニンニク−1と同様に処理したニンニクを袋詰加熱処理ニンニク−3とした。乾燥ヒジキ粉末は、調味液とニンニクの合計量の0.22%である。これらを5℃に2日間放置して味を均質化させてから前記実施例1と同様の方法で官能検査を行った。また、比較のために消臭剤を混合しない調味液100mLと、予め20%食塩水に約5時間漬けて塩分濃度を1〜2%とした塩漬けニンニク80gをプラスチックの袋に充填密封後、加熱処理したニンニクを袋詰加熱生ニンニクとした。これらのニンニクについて実施例1と同様な方法で官能検査を行いその結果を表2に示した。
【0048】
【表2】

【0049】
表2の結果から、食した直後のパネリストの口臭は袋詰加熱生ニンニクが「極めて臭い」、袋詰処理ニンニク−1、−2、−3が「臭い」と評価された。また、袋詰加熱生ニンニクを食したパネリストの口臭は5時間後でも「極めて臭い」、翌朝起床時の寝室の臭いは「臭い」であった。袋詰加熱処理ニンニク−1を食した者の口臭は1時間後に「殆ど臭くない」、3時間後に「全く臭くない」、翌朝起床時の部屋の臭いも「全く臭くない」であった。また、袋詰加熱処理ニンニク−2と−3を食した者の口臭は1時間後に「やや臭い」、5時間後には「全く臭くない」、翌朝起床時の寝室の臭いは「全く臭くない」であった。以上のことからニンニクは本発明の処理により調味液中でも明らかに減臭または消臭されることが確認できた。この結果、乾燥ひじき粉末に海藻灰抽出物(ヒジキ)を混合した消臭剤は、より消臭が確実になることが明らかになった。
【0050】
更に上記方法で調製した袋詰加熱処理ニンニク−1、袋詰加熱処理ニンニク−2を20℃に7ヶ月間放置し保存性を検討した。プラスチック袋に充填密封した野菜加工品、例えば漬物は品質が劣化すると充填液の白濁や袋の膨張が起るので、充填液の透明性と袋の膨張の有無を保存性の評価基準とした。また比較のために、塩分濃度1〜2%の塩漬けニンニクを、消臭剤を混合しない調味液でプラスチック袋に充填密封し、加熱処理は行わなかった( 袋詰生ニンニク)。試験結果は表3に示す通りである。
【0051】
【表3】

【0052】
表3の結果から、調味液でプラスチック袋に充填密封した生ニンニクは僅か7日後には充填液が明らかに白濁し袋が膨張した。しかし、本発明による消臭剤を添加して加熱殺菌した調味ニンニクは7ヶ月後でも白濁や袋の膨張はなく高い保存性が確認された。
【0053】
(実施例3)
水1Lに、消臭剤としてアルギン酸ナトリウム20g(水とニンニクの合計量の1.11重量%)を懸濁後、海藻灰抽出物(ヒジキ)20g(水とニンニクの合計量の1.11重量%)を混合し、皮を剥いたニンニク800gを入れ、攪拌しながら5℃で5時間放置した(処理ニンニク−1)。この場合、消臭剤量は合計で、水とニンニクの2.22重量%である。また、消臭剤としてアルギン酸ナトリウム40gを用いて、処理ニンニク−1と同様に処理したニンニクを処理ニンニク−2とした。アルギン酸ナトリウムは、水とニンニクの合計量の2.22重量%である。また、消臭剤として海藻灰抽出物40gを用いて、同様に処理したニンニクを処理ニンニク−3とした。海藻灰抽出物は水とニンニクの合計量の2.22重量%である。これらを5℃で5時間攪拌した。また、対照として生ニンニクの官能検査を行った。これらの処理ニンニクについて実施例1と同様な方法で官能検査を行った。その結果を表4に示した。
【0054】
【表4】

【0055】
表4の結果から、食した直後のパネリストの口臭は生ニンニクが「極めて臭い」、処理ニンニク−1は「殆ど臭くない」、処理ニンニク−2は「臭い」、処理ニンニク−3は「やや臭い」と評価された。生ニンニクを食した者の口臭は5時間後でも「極めて臭い」、翌朝起床時の寝室の臭いも「臭い」であった。処理ニンニク−1を食した者の口臭は、1時間後に「全く臭くない」であった。また、翌朝起床時の寝室の臭いも「全く臭くない」であった。処理ニンニク−2を食したパネリストの口臭は、1時間後は「やや臭い」、3、5時間後は「殆ど臭くない」であった。また、翌朝起床時の寝室の臭いは「全く臭くない」であった。処理ニンニク−3を食した者の口臭は1時間後に「殆ど臭くない」、3時間後に「全く臭くない」と評価され、翌朝起床時の寝室の臭いは「全くない」であった。以上のことからアルギン酸ナトリウムに海藻灰抽出物(ヒジキ)を混合した消臭剤で処理したニンニクは、食後、明らかに減臭または消臭されることが確認できた。
【0056】
更に、食酢、塩、醤油等々の調味料を混合して調製した調味液1Lに、消臭剤としてアルギン酸ナトリウム2.0gを懸濁後、海藻灰抽出物(ヒジキ)2.0gを混合する。この調味液100mLを入れたプラスチックの袋に、塩分濃度1〜2%の塩漬けニンニク80gを充填密封する。プラスチック袋中のアルギン酸ナトリウムと海藻灰抽出物は、調味液とニンニクの合計量の各0.11重量%、合計で0.22重量%である。これを85℃で30分間加熱してから直ちに流水中で冷却した(袋詰加熱処理ニンニク−1)。また、消臭剤としてアルギン酸ナトリウム4.0gを用いて、袋詰処理ニンニク−1と同様に処理したニンニクを袋詰加熱処理ニンニク−2とした。アルギン酸ナトリウムは、調味液とニンニクの全計量の0.22重量%である。また比較のために、塩分濃度1〜2%の塩漬けニンニクを、消臭剤を混合しない調味液でプラスチック袋に充填密封し、加熱処理は行わなかった( 袋詰生ニンニク)。これらのニンニクを20℃に7ヶ月間放置し保存性を検討した。その結果は表5に示すとおりである。
【0057】
【表5】

【0058】
表5の結果から、消臭剤を混合しない調味液でプラスチック袋に充填密封した袋詰生ニンニクは僅か7日後には充填液が明らかに白濁し袋が膨張した。しかし、本発明による消臭剤を添加し殺菌した調味ニンニクは7ヶ月後でも白濁や袋の膨張はなく高い保存性が確認された。
【0059】
(実施例4)
水1Lに乾燥ヒジキ粉末50gを懸濁させて5℃で12時間攪拌してからろ過する。同様な操作を再度繰り返す。得られたろ液を60℃以下で100mLに減圧濃縮してヒジキ抽出物を調製する(1mL中の乾燥ヒジキ粉末としての換算量は0.5g)。これに99.5%エチルアルコールをアルコール濃度75%になるまで混合し、5℃で一晩放置した後にろ過した。ろ液をアルコール可溶性画分、残渣をアルコール不溶性画分とした。アルコール可溶性画分とアルコール不溶性画分の乾燥重量はほぼ同量であった。アルコール可溶性画分を60℃で減圧濃縮してアルコールを除去してから水に溶かして50mLとして、アルコール可溶性物質とした(1mL中の乾燥ヒジキ粉末としての換算量は0.25g)。アルコール不溶性画分は室内に放置してアルコールを風乾してから水に溶かして50mLとし、アルコール不溶性物質とした(1mL中の乾燥ヒジキ粉末としての換算量は0.25g)。
【0060】
このように調製したアルコール可溶性物質とアルコール不溶性物質を消臭剤の構成成分として用いた。すなわち、消臭剤としてアルコール可溶性物質8mL(乾燥ヒジキ粉末としての換算含量は2.0g)と海藻灰抽出物(ヒジキ)2.0gを水1Lに混合し、皮を剥いたニンニク800gを入れた。アルコール可溶性物質の乾燥ヒジキ換算量と海藻灰抽出物は、水とニンニクの合計量に対して、それぞれ0.11重量%、計0.22%である。これを、攪拌しながら5℃で5時間放置した(処理ニンニク−1)。また、アルコール可溶性物質の代わりにアルコール不溶性物質8mL(乾燥ヒジキ粉末としての換算含量は2.0g)を用いて、処理ニンニク−1と同様に処理したニンニクを処理ニンニク−2とした。アルコール可溶性物質は水とニンニクの合計量に対して0.22重量%である。また、アルコール可溶性物質16.0mL(乾燥ヒジキ粉末として4.0g、水とニンニクの合計量の0.22%)を消臭剤としたニンニクを処理ニンニク−3、アルコール不溶性物質16. 0ml(乾燥ヒジキ粉末としての換算含量は4.0g、水とニンニクの合計量の0.22%)を消臭剤としたニンニクを処理ニンニク−4とした。また、対照は生ニンニクとした。これらについて実施例1と同様な方法で官能検査を行った。その結果を表6に示した。
【0061】
【表6】

【0062】
表6の結果から、食した直後のパネリストの口臭は生ニンニクが「極めて臭い」、処理ニンニク−1、−2、−3は、「臭い」と評価された。生ニンニクを食した者の口臭は5時間後でも「極めて臭い」、翌朝起床時の寝室の臭いも「臭い」であった。処理ニンニク−1、−2を食した者の口臭は、1時間後に「殆ど臭くない」、3時間には「全く臭くない」と評価された。また、翌朝起床時の寝室の臭いも「全く臭くない」であった。処理ニンニク−3、−4は1時間後に「やや臭い」、3、5時間後に「殆ど臭くない」であり、翌朝起床時の寝室の臭いは「全く臭くない」であった。これらの結果はアルコール可溶性及び不溶性物質はニンニク臭の消臭機能を呈することを示唆している。以上のことから、本発明の方法により消臭処理したニンニクは、食後、明らかに減臭または消臭されることが確認できた。また、ニンニクをプラスチック袋に充填密封した場合であっても、アルコール可溶性物質または不溶性物質に海藻灰抽出物(ヒジキ)を混合することにより消臭が確実になることが明らかになった。
【0063】
(実施例5)
食酢、塩、醤油等々の調味料を混合して調製した調味液1Lに、消臭剤としてアルコール可溶性物質8mL(乾燥ヒジキ粉末としての換算含量は2.0g)と海藻灰抽出物(ヒジキ)2.0gを水1Lに混合する。この調味液100mLを入れたプラスチックの袋に、塩分濃度が1〜2%の塩漬けニンニク80gを充填密封する。アルコール可溶性物質の乾燥ヒジキ換算量と海藻灰抽出物は、水とニンニクの合計量に対して、それぞれ0.11重量%、計0.22重量%である。これを85℃で30分間加熱してから直ちに流水中で冷却した(袋詰加熱処理ニンニク−1)。また、アルコール可溶性物質の代わりにアルコール不溶性物質8mL(乾燥ヒジキ粉末としての換算含量は2.0g)を用いて、処理ニンニク−1と同様に処理したニンニクを処理ニンニク−2とした。消臭剤の合計量は水とニンニクの合計の0.22%である。また、アルコール可溶性物質16.0mL(乾燥ヒジキ粉末としての換算含量は4.0g、水とニンニクの合計量の0.22%)を消臭剤としたニンニクを処理ニンニク−3、アルコール不溶性物質16.0ml(乾燥ヒジキ粉末としての換算含量は4.0g、水とニンニクの合計量の0.22%)を消臭剤としたニンニクを処理ニンニク−4とした。また、比較のために消臭剤を混合しない調味液100mLと塩漬けしたニンニク80gをプラスチックの袋に充填密封後、加熱処理したニンニクを袋詰加熱生ニンニクとした。これらのニンニクについて実施例1と同様な方法で官能検査を行いその結果を表7 に示した。
【0064】
【表7】

【0065】
表7の結果から、食した直後のパネリストの口臭は袋詰加熱生ニンニクが「極めて臭い」、袋詰め加熱処理ニンニク−1、−2、−3、−4は、「臭い」と評価された。生ニンニクを食した者の口臭は5 時間後でも「極めて臭い」、翌朝起床時の寝室の臭いも「臭い」であった。袋詰加熱処理ニンニク−1、−2を食した者の口臭は、1 時間後に「殆ど臭くない」、3時間には「全く臭くない」と評価された。また、翌朝起床時の寝室の臭いも「全く臭くない」であった。袋詰加熱処理ニンニク−3、−4は1 時間後に「やや臭い」、3.5時間後に「殆ど臭くない」であったが、翌朝起床時の寝室の臭いも「全く臭くない」であった。以上の結果、ニンニクをプラスチック袋に充填密封した場合であっても、本発明の方法により消臭処理したニンニクは、食後、明らかに減臭または消臭されることが確認できた。また、アルコール可溶性物質または不溶性物質に海藻灰抽出物(ヒジキ)を混合することにより消臭が確実になることが明らかになった。
【0066】
(実施例6)
皮を剥いてスライスし、厚さ2 〜3mmの切片としたニンニク100gをプラスチック製の平型ザルに敷き詰め、霧吹器に入れた消臭剤を10秒間噴霧後、30分放置してから、40℃で1時間通風乾燥して水切りをした。消臭剤溶液には消臭剤A:海藻灰抽出物(ヒジキ)の0.5重量%水溶液または、消臭剤B液:海藻灰抽出物(ヒジキ)0.25gと乾燥海藻(ヒジキ)抽出物0.5mL(乾燥ヒジキ粉末としての換算量は0.25g)の0.5重量%混合水溶液または、消臭剤C液:海藻灰抽出物(ヒジキ)0.25gとアルギン酸ナトリウム0.25gの0.5重量%混合水溶液または、消臭剤D液:海藻灰抽出物(ヒジキ)0.25gと乾燥海藻(ヒジキ)抽出物のアルコール可溶性物質1.0mL(乾燥ヒジキ粉末としての換算量は0.25g)の0.5%混合水溶液または、消臭剤E液:海藻灰抽出物(ヒジキ)0.25gと乾燥ヒジキ抽出物のアルコール不溶性物質1. 0mL(乾燥ヒジキ粉末としての換算量は0.25g)の0.5%混合水溶液を用いた。また、対照として水を噴霧した(生ニンニク)。これらについて、実施例1と同様な方法で官能検査を行った。その結果を表8に示した。
【0067】
【表8】

【0068】
表8の結果から、食した直後のパネリストの口臭は生ニンニクが「極めて臭い」、消臭剤A〜Dは「臭い」と評価された。生ニンニクを食した者の口臭は5時間後でも「極めて臭い」、翌朝起床時の寝室の臭いも「臭い」であった。消臭剤Aを噴霧したニンニクを食した者の口臭は食後1時間に「殆ど臭くない」、2時間後は「臭くない」であり、翌朝起床時の寝室の臭いも「全く臭くない」であった。消臭剤Bを噴霧したニンニクを食した者の口臭は、1時間後には「全く臭くない」であり、翌朝起床時の寝室の臭いも「全く臭くない」であった。消臭剤C、D、Eは食後1時間に「殆ど臭くない」、2時間後は「全く 臭くない」であり、翌朝起床時の寝室の臭いも「全く臭くない」であった。以上のことから本発明の方法により消臭処理したニンニクは、食後、明らかに減臭または消臭されることが確認できた。また、極めて短時間に消臭できることも併せて確認した。更にまた、海藻抽出物(ヒジキ)に海藻灰抽出物(ヒジキ)を混合することにより消臭が確実になることも明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のニンニク臭の消臭剤で処理したニンニクは、スライスして料理用とすることができる。また、すりおろして刺身等々の薬味とすることもできるので料理へのニンニクの利用を拡大することができる。また、ペースト化してキムチに使用すれば、新しいタイプの食後臭いの消えるキムチを開発できる。このため食品製造現場に限らず、飲食店や家庭でも広く使用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
海藻灰または海藻灰抽出物の単独、もしくは海藻灰または海藻灰抽出物と、海藻または海藻抽出物もしくは極性基を有する多糖類との混合物からなることを特徴とするニンニク臭の消臭剤。
【請求項2】
海藻抽出物が、海藻の水または湯に浸して抽出した抽出液の50〜80%アルコール可溶性または不溶性物質であることを特徴とする請求項1記載のニンニク臭の消臭剤。
【請求項3】
請求項1記載のニンニク臭の消臭剤を、水または調味液に浸したニンニクに、ニンニクと水および調味液の合計重量の0.01〜3.0重量%混合することを特徴とするニンニク臭の消臭方法。
【請求項4】
請求項1記載のニンニク臭の消臭剤を、水または調味液に浸したニンニクに混合してから包装袋または包装容器に密封後、加熱殺菌することを特徴とする請求項3記載のニンニク臭の消臭方法。
【請求項5】
請求項1記載のニンニク臭の消臭剤を溶液として、スライスしたニンニクに噴霧することを特徴とするニンニク臭の消臭方法。

【公開番号】特開2011−188840(P2011−188840A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60197(P2010−60197)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(504304167)吉田商事株式会社 (1)
【出願人】(303055475)株式会社 GREENSTUFF (3)
【Fターム(参考)】