説明

ニーマンピック病A型に対する遺伝子治療

この開示は、外因的に投与される酸スフィンゴミエリナーゼのポリペプチドに対して哺乳動物の脳を耐性化するための方法および組成物であって、最初に、前記ポリペプチドをコードする有効量の導入遺伝子を哺乳動物の肝組織に送達し、次いで、有効量の導入遺伝子を哺乳動物の中枢神経系(CNS)に投与することによる方法および組成物に関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国法典第35編119条(e)項の下で2006年2月8日に提出した米国仮出願第60/771,628号および2006年2月9日に提出した米国仮出願第60/772,360号についての優先権を主張するものであり、その内容を出典明示により本明細書に援用する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、脳および内臓に罹患する疾患、例えばニーマンピック病A型を処置するための組成物および方法に関する。
【0003】
(発明の要約)
リソソーム蓄積症(LSD)として知られる代謝性疾患のグループは、40種類以上の遺伝子疾患を含み、それらの多くは多様なリソソーム加水分解酵素における遺伝子欠損に関する。代表的なリソソーム蓄積症および関連する欠損酵素が表1に記載される。
表1
【表1】

【表2】

【表3】

CNS関連
【0004】
LSDの顕著な特徴はリソソーム代謝産物の異常な蓄積であり、核周辺部における多数の膨張したリソソームの形成を生じる。(肝臓特異的な酵素病の処置に対峙する)LSDを処置する主な試みには、複数の別々の組織において、リソソーム蓄積の病態を逆行させることが必要となる。いくつかのLSDは、酵素補充療法(ERT)として知られる喪失した酵素の経静脈内注入により効果的に処置され得る。例えば、ゴーシェ病1型患者が内臓疾患のみを示す場合、組み換えグルコセレブロシダーゼ(Cerezyme(登録商標)、ジェンザイム社)を用いるERTに対して有利に反応する。しかし、CNSに罹患する代謝性疾患にかかっている患者(例、2または3型のゴーシェ病)は、補充酵素が血液脳関門(BBB)により脳に入ることを阻害されるため、静脈内のERTに対して部分的にしか反応しない。さらに、タンパク質の直接注入による脳へと補充酵素を導入する試みは、部分には、局所的な高濃度による酵素の毒性および脳における限られた柔組織への拡散速度のために限定されている(Pardridge,Peptide Drug Delivery to the Brain,Raven Press,1991)。
【0005】
さらに、酵素補充療法に用いられる注入酵素に対して、抗体が開発されうる。かかる抗体は、臨床的有意性がなく、または治療タンパク質の超過敏反応もしくは生物学的利用能の減少をもたらしうる。Hunley, T.E. et al. (2004) Pediatrics 114(4):e532-e535。例えば、Kakkis E. et al. (2004) PNAS 101(3):829-834は、リソソーム蓄積症の酵素補充療法における抗体の有害な効果がムコ多糖症I型(MPSI)のイヌモデルで観察されたことを報告する。本発明者らはまた、MPSI、MPSVIおよびMPSVIIを含むMPS症の他の動物モデルにおいても同様の結果を報告する。これらのタンパク質により生じる免疫応答の軽減が望まれうる。抗原特異的耐性の誘導は、かかる免疫応答を軽減させる有望な方法であるが、遂行することの困難性が報告されてきた。
【0006】
遺伝子治療は、LSDを含むCNSに罹患する疾患に対する新たな処置様式である。公認の動物モデルにおける実証は、ニーマンピック病A型(NPA)の処置のための遺伝子治療を用いて行われた。Dodge et al. (2005) PNAS 102(49):18722-17827。NPAは、酸スフィンゴミエリナーゼ(ASM)活性の欠乏により引き起こされるリソソーム蓄積症である。ASM活性の喪失は、リソソームのスフィンゴミエリナーゼ(SPM)蓄積、異常なコレステロール代謝のごとき二次的な代謝欠損、ならびに中枢神経系(CNS)を含む臓器系における細胞機能の喪失を生じる。Schuchman and Desnick, The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, McGraw-Hill, New York, pp. 3589-3610 and Horinouchi et al. (1995) Nat. Genet. 10:288-293。
【0007】
本発明は、免疫原をコードする導入遺伝子を含む有効量のウイルスベクターを哺乳動物の肝臓組織に投与し、次いで、免疫原をコードする導入遺伝子を含む有効量の第2のウイルスベクターを哺乳動物の脳に投与する工程を含む方法を提供する。
【0008】
また、哺乳動物のニーマンピック病A型を処置する方法であって、酸スフィンゴミエリナーゼポリペプチドをコードする導入遺伝子を含む有効量のウイルスベクターを哺乳動物の肝臓組織に投与し、次いで、酸スフィンゴミエリナーゼポリペプチドをコードする導入遺伝子を含む有効量の第2のウイルスベクターを前記哺乳動物の脳に投与し、それにより哺乳動物のニーマンピック病A型を処置する工程を含む方法が提供される。
【0009】
本発明はまた、前選択した免疫原に対して哺乳動物の脳を耐性化するための方法および組成物であって、最初に、有効量の免疫原を導入遺伝子により全身的に送達し、次いで有効量の免疫原を哺乳動物の中枢神経系(CNS)に投与することによる方法および組成物を提供する。
【0010】
それはまた、酸スフィンゴミエリナーゼポリペプチドに対して哺乳動物の脳を耐性化するための方法および組成物であって、最初に、前記ポリペプチドをコードする有効量の導入遺伝子を哺乳動物の肝臓に送達し、次いで、前記ポリペプチドの有効量の導入遺伝子を哺乳動物の中枢神経系(CNS)に投与することによる方法および組成物を提供する。
【0011】
本発明はまた、ニーマンピック病A型(NPA)にかかっている哺乳動物のNPAに関連した症状を改善する方法および組成物であって、酸スフィンゴミエリナーゼポリペプチドをコードする有効量の導入遺伝子による哺乳動物の肝臓への形質導入後に、哺乳動物の脳組織に同一の導入遺伝子により形質導入することによる方法および組成物を提供する。
【0012】
本発明のさらなる利点は、以下の記載で一部説明され、その記載から部分的に理解されるか、または本発明の実施例により理解されてもよい。
【0013】
(図面の簡単な説明)
図1は、マウスの中枢神経系への導入遺伝子の様々な投与部位を図で示す。
【0014】
図2は、健康状態の測定として処置したマウスの体重を図で示す。測定を6週齢で開始した(処置は4週齢で始めた)。6から36週(導入遺伝子の全身注入2から32週後)、全ての群を未処置ASMKOマウスと比較した。図の説明:p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;ns(有意ではない)。
【0015】
図3は、運動機能の回復の測定として加速ロータロッド試験の結果を図で示す。測定を10週齢で開始した(処置は4週齢で始めた)。10から36週(導入遺伝子の全身注入6から32週後)、全ての群を未処置ASMKOマウスと比較した。図の説明:p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;ns(有意ではない)。
【0016】
図4は、運動機能の回復の測定としてロッキングロータロッド試験の結果を図で示す。測定を10週齢で開始した(処置は4週齢で始めた)。10から36週(導入遺伝子の全身注入6から32週後)、全ての群を未処置ASMKOマウスと比較した。図の説明:p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;ns(有意ではない)。
【0017】
図5は、認知機能の回復の測定としてバーンズメイズ(Barnes Maze)試験の結果を図で示す。測定を17週齢で開始した(処置は4週齢で始めた)。17から33週(導入遺伝子の全身注入13から29週間後)、全ての群を未処置ASMKOマウスと比較した。図の説明:p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;ns(有意でない)。
【0018】
図6は、ASM組合せ遺伝子治療がASMKOマウスの寿命を延ばすことを図で示す。ASMKOの平均寿命は34週であった。全身的な導入遺伝子を受けたマウスの平均寿命は45週であった(p<0.0001)。頭蓋内導入遺伝子を受けたマウスの平均寿命は43週であった(p<0.0001)。頭蓋内と全身的な導入遺伝子の治療を受けたマウスの平均寿命は、100%が54週間であった。
【0019】
図7Aから7Dは、処置および未処置マウスにおける血中の抗hASM抗体レベルを図で示す。図の説明:p<0.05;**p<0.01;***p<0.001。図7Eは、経時的な血清中のヒトASMタンパク質レベルを示す。
【0020】
図8Aから8Fは、処置および未処置マウスの脳におけるスフィンゴミエリンレベルを図で示す。
【0021】
図9Aから9Dは、処置および未処置マウスの様々な内臓におけるスフィンゴミエリンレベルを図で示す。
【0022】
(発明の詳細な説明)
この開示の全体を通して、あらゆる文献、特許文献および公表された特許明細書は、引用を特定することにより参照される。これらの文献、特許文献および公表された特許明細書は、本開示中で援用することにより本発明に関する技術分野の水準を十分に記載する。
【0023】
(定義)
本発明の実施は、特に示すことがない限り、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学および組み換えDNAの従来技術を用い、それらは当該技術分野の範囲内である。例えば、Sambrook, Fritsch and Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition (1989); Current Protocols In Molecular Biology (F. M. Ausubel et al. eds., (1987)); the series Methods In Enzymology (Academic Press, Inc.): Pcr 2: A Practical Approach (M.J. MacPherson, B.D. Hames and G.R. Taylor eds. (1995)), Harlow and Lane, eds. (1988) ANTIBODIES, A LABORATORY MANUAL And ANIMAL CELL CULTURE (R.I. Freshney, ed. (1987))を参照。
【0024】
本明細書で用いられるように、一定の用語は以下に定義される意味を有する。本明細書および特許請求の範囲で用いられるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかに別のことを示さない限り、複数への言及を含む。例えば、用語「細胞」は、その混合物を含む、複数の細胞を含む。
【0025】
用語「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は同じ意味で用いられ、いずれの長さのヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのどちらか、またはそれらの類似物の多量体形態を意味する。ポリヌクレオチドはいずれかの三次構造を有することができ、周知または未周知のいずれかの機能を示しうる。以下は、ポリヌクレオチドの非制限的な例示である:遺伝子もしくは遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、ESTまたはSAGEタグ)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組み換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、いずれかの配列の単離DNA、いずれかの配列の単離RNA、核酸プローブおよびプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化されたヌクレオチドおよびヌクレオチド類似物のごとき改変されたヌクレオチドを含みうる。現在では、ヌクレオチド構造に対する改変は、多量体の構築前または後に付与されうる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド要素により挿入することができる。ヌクレオチドは、標識成分との抱合などにより重合後にさらに改変されうる。前記用語はまた、二または一本鎖分子の両方を意味する。他で特定されるかまたは要求されない限り、ポリヌクレオチドである本発明のいずれの具体例は、二本鎖形態および二本鎖形態を構成することが知られるかまたは予想される2つの相補的な一本鎖形態の各々の両方を含む。
【0026】
ポリヌクレオチドは、4個のヌクレオチド塩基:アデニン(A);シトシン(C);グアニン(G);チミン(T);およびポリヌクレオチドがRNAである場合、グアニンに代わりウラシル(U)の特定の配列からなる。それゆえ、用語「ポリヌクレオチド配列」は、ポリヌクレオチド分子のアルファベット表記である。このアルファベット表記は、中央処理装置を有するコンピューター中のデータベースに入力され、機能ゲノミクスおよびホモロジー検索のごときバイオインフォマティックスの応用に用いられ得る。
【0027】
「遺伝子」は、転写および翻訳された後に、特定のポリペプチドまたはタンパク質をコードすることができる少なくとも1つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含むポリヌクレオチドを意味する。本明細書に記載されるいずれのポリヌクレオチド配列は、それらが関連する遺伝子のより大きなフラグメントまたは全長のコーディング配列を同定するのに用いられてもよい。より大きなフラグメントの配列を単離する方法は当業者間で知られている。
【0028】
「遺伝子産物」または代替的には「遺伝子発現産物」は、遺伝子が転写および翻訳される時に作成されるアミノ酸(例えば、ペプチドまたはポリペプチド)を意味する。
【0029】
用語「ポリペプチド」は、用語「タンパク質」と同じ意味で用いられ、その最も広範な意味において、2つまたはそれ以上のサブユニットのアミノ酸、アミノ酸類似物またはペプチド模倣体の化合物を意味する。前記サブユニットはペプチド結合により結合されていてもよい。別の具体例では、前記サブユニットは、他の結合、例えば、エステル、エーテルなどにより結合されてもよい。本明細書で用いられるように、用語「アミノ酸」は、グリシンおよびDとL型光学異性体の両方、アミノ酸類似物およびペプチド模倣体を含む、自然および/または非自然もしくは合成アミノ酸のどちらかを意味する。3個またはそれ以上のアミノ酸のペプチドは、ペプチド鎖が短い場合、一般的にオリゴペプチドと呼ばれる。ペプチド鎖が長い場合、ペプチドは、一般的にポリペプチドまたはタンパク質と呼ばれる。
【0030】
「転写制御下」は、当該技術分野で十分理解される用語であり、ポリヌクレオチド配列、通常DNA配列の転写が転写の開始に寄与するか、または転写を促進するエレメントに作動可能に結合されることに依存することを示す。「作動可能に結合される」とは、エレメントが機能することができる配置であって近位にあることを意味する。
【0031】
本明細書で用いられるように、用語「含む」は、列挙される構成要素を含むが、それら以外を排除するものではない組成物および方法を意味することとされる。組成物および方法を定義するのに用いられる場合の「から必須としてなる」は、組成物と方法を定義することに用いられる場合、組合せに対して必須な意義のある他の構成要素を排除することを意味するものとする。それゆえ、本明細書で定義される構成要素から必須としてなる組成物は、単離や精製の方法による微量な混入物質ならびにリン酸緩衝生理食塩水、保存料、およびそれらの類似物質のごとき医薬上許容される担体を排除しない。「からなる」は、他の活性物質の微量な構成要素よりも多くのものを排除し、本発明により組成物を投与するための実質的な方法の工程を排除することを意味するものとする。これらの移行部の用語のそれぞれにより定義される具体例は、本発明の範囲内である。
【0032】
用語「単離される」は、通常自然界に存在するポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体またはそのフラグメントを構成物、細胞およびその他から分離されることを意味する。本発明の一の態様では、単離されたポリヌクレオチドは、通常、本来または自然環境に存在する3’および5’隣接ヌクレオチド、例えば、染色体から分離される。当業者にとって明白であるように、非自然発生的なポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体またはそのフラグメントは、自然発生的な対応物から分別する「単離」を必要としない。さらに、「濃縮された」、「分離された」または「希釈された」ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体またはそれらのフラグメントは、体積あたりの分子の濃度または数が、その自然発生的な対応物のそれと比べてより大幅に「濃縮される」、またはより少なく「分離される」という点でその自然発生的な対応物から区別可能である。ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体またはそれらのフラグメントは、その一次配列の点でまたは例えば、グリコシル化パターンによって自然発生的な対応物と異なり、その一次配列によりまたは、代替的には、グリコシル化パターンのごとき別の性質によりその自然発生的な対応物から区別できるため、必ずしも単離された形態で存在しない。それゆえ、非自然発生的なポリヌクレオチドは、単離された自然発生的なポリヌクレオチドから別々の具体例として提供される。細菌細胞で産生されるタンパク質は、それが本来産生される真菌細胞から単離される自然発生的なタンパク質とは別個の具体例として提供される。
【0033】
本明細書で用いられる「遺伝子送達」、「遺伝子導入」およびそれらの類似語は、導入に用いられる方法にかかわらず、宿主細胞への外因性ポリヌクレオチド(時には「導入遺伝子」とも呼ばれる)の導入を意味する用語である。かかる方法は、(例えば、ウイルス感染/トランスフェクションまたは様々な他のタンパク質に基づいたもしくは脂質に基づいた遺伝子送達複合体による)ベクター介在遺伝子導入、ならびに(エレクトロポレーション、「遺伝子銃」送達およびポリヌクレオチドの導入に用いられる様々な他の技術などの)「裸の」ポリヌクレオチドの送達を促進する技術のごとき多くの周知技術を含む。導入されるポリヌクレオチドは、宿主細胞内で安定的または一過的に維持されてもよい。安定な維持には、典型的に、導入されるポリヌクレオチドが、宿主細胞に適合する複製点を含むか、または染色体外レプリコン(例えば、プラスミド)のごとき宿主細胞のレプリコンに挿入されるかのどちらかが必要とされる。遺伝子の哺乳動物細胞への導入を介在することができる多くのベクターが当該技術分野で知られている。
【0034】
「遺伝子送達ビヒクル」は、宿主細胞に挿入されたポリヌクレオチドを輸送することが可能な分子として定義される。遺伝子送達ビヒクルの例は、リポソーム、天然ポリマーおよび合成ポリマーを含む生体適合性ポリマー、リポタンパク質、ポリペプチド、多糖類、リポ多糖類、人工ウイルス外被、組み換え酵母細胞、金属粒子、バキュロウイルス、アデノウイルスおよびレトロウイルスのごとき細菌またはウイルス、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、真菌ベクターならびに多種の真核生物および原核生物宿主における発現が記載される技術分野で典型的に用いられるその他の組み換えビヒクルであり、単なるタンパク質の発現と同様に遺伝子治療に用いられてもよい。
【0035】
「ウイルスベクター」は、組み換えで産生されるウイルスまたはウイルス粒子として定義され、インビボ、エクソビボまたはインビトロのどれかにおいて宿主細胞に送達されるポリヌクレオチドを含む。ウイルスベクターの例は、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、アルファウイルスベクターおよびその類似ベクターを含む。セムリキ森林ウイルスに基づいたベクターおよびシンドビスウイルスに基づいたベクターのごときアルファウイルスベクターはまた、遺伝子治療および免疫治療に用いるために開発されてきた。Schlesinger and Dubensky (1999) Curr. Opin. Biotechnol. 5:434-439およびYing et al. (1999) Nat. Med. 5(7):823-827を参照。遺伝子導入がレトロウイルスベクターにより介在される態様では、ベクター構築物は、レトロウイルスゲノムまたはその部分および治療用の遺伝子を含むポリヌクレオチドを意味する。本明細書で用いられるように、「レトロウイルス介在遺伝子導入」または「レトロウイルス形質導入」は同じ意味であり、ウイルスが細胞に進入し、そのゲノムを宿主細胞のゲノムに挿入することにより、遺伝子または核酸配列が安定的に宿主細胞に導入されることによる方法を意味する。ウイルスは、感染の通常のメカニズムにより宿主細胞に進入しうるか、あるいは異なる宿主の細胞表面受容体またはリガンドに結合して細胞に進入するように改変されうる。本明細書で用いられるように、「レトロウイルスベクター」は、ウイルスまたはウイルス様進入メカニズムを介して細胞に外因性の核酸を導入することができるウイルス粒子を意味する。
【0036】
遺伝子導入がアデノウイルス(Ad)またはアデノ随伴ウイルス(AAV)のごときDNAウイルスベクターにより介在される態様では、ベクター構築物は、ウイルスゲノムまたはその部分および導入遺伝子を含むポリヌクレオチドを意味する。アデノウイルス(Ads)は比較的よく特徴付けされた、50種を超える血清型を含む同種群のウイルスである。例えば、WO 95/27071を参照。Adsは増殖が容易であり、宿主細胞ゲノムへの挿入を必要としない。組み換えAdに由来するベクター、特に、野生型ウイルスの組み換えおよび産生の能力を下げたベクターもまた構築された。例えば、WO 95/00655およびWO 95/11984を参照。野生型AAVは、宿主細胞のゲノムに挿入する高い感染性および特異性を示す。Hermonat and Muzyczka (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6466-6470およびLebkowski et al. (1988) Mol. Cell. Biol. 8:3988-3996を参照。組み換えAAVベクターはまた、当業者間で知られる。例えばWO 01/36620 A2を参照。
【0037】
ポリヌクレオチドが作動可能に結合することができるプロモーターおよびクローニング部位の両方を含むベクターは、当業者間で周知である。かかるベクターは、インビトロまたはインビボでRNAを転写することができ、Stratagene(カリフォルニア州、ラホーヤ)およびPromega Biotech(ウィスコンシン州、マディソン)のごとき発売元から市販されている。発現および/またはインビトロ転写を最適化するために、クローンの5’および/または3’非翻訳部分を除去、付加または変更することにより、余分で潜在的に不適当な代替的な翻訳開始コドン、あるいは発現を阻害するまたは下げうる他の配列を、転写または翻訳レベルのいずれかで取り除く必要がありうる。代替的には、共通リボソーム結合部位が5’開始コドン近くに挿入されて発現を高めることが可能である。
【0038】
遺伝子送達ビヒクルはまた、DNA/リポソーム複合体、組み換え酵母細胞および標的としたウイルスタンパク質−DNA複合体を含む、数種の非ウイルスベクターを含む。リポソームはまた、標的とする抗体またはそのフラグメントを含み、本発明の方法に用いることができる。細胞への送達を高めるために、本発明の核酸またはタンパク質は、細胞表面抗原、例えば、TCR、CD3またはCD4に結合する抗体またはその結合フラグメントに抱合することができる。
【0039】
ウイルス力価に関連して用いられるように、用語「ゲノム粒子(gp)」または「ゲノム等価物」は、感染性または機能性にかかわらず、組み換えAAVのDNAゲノムを含むビリオンの数を意味する。個々のベクター調製物のゲノム粒子の数は、本明細書の実施例、または例えば、Clark et al. (1999) Hum. Gene Ther. 10:1031 1039およびVeldwijk et al. (2002) Mol. Ther. 6:272 278に記載されるごとき手順により測定することができる。
【0040】
ウイルス力価に関連して用いられるように、用語「感染単位(iu)」、「感染粒子」または「複製単位」は、感染中心アッセイにより測定されるごとき感染ベクター粒子の数を意味し、例えば、McLaughlin et al. (1988) J. Virol. 62:1963 1973に記載されるごとき複製中心アッセイとしても知られる。
【0041】
ウイルス力価に関連して用いられるように、用語「形質導入単位(tu)」は、機能的導入遺伝子産物の産生を生じる感染ベクター粒子の数を意味し、Xiao et al. (1997) Exp. Neurobiol. 144:113 124 or in Fisher et al. (1996) J. Virol. 70:520 532 (LFU assay)で記載されるごとき機能アッセイで測定される。
【0042】
用語「治療上」、「治療上有効な量」およびそれらの関連用語は、対象における症状の開始または軽減の予防または遅延、あるいは神経病理、例えば、本明細書またはWalkley (1998) Brain Pathol. 8:175 193に記載されるようなリソソーム蓄積症に関連した細胞病理の修正のごとき望まれる生物学的な成果の達成を生じる化合物の量を意味する。用語「治療上の修正」は、対象における症状の開始または軽減の予防または遅延を生じる修正の程度を意味する。有効量は、後述の項に記載されるように当業者において周知の方法により調べることができる。
【0043】
「組成物」は、活性な薬剤と、不活性(例えば、検出薬剤または標識薬剤)または活性なアジュバンドのごとき別の化合物または組成物との組合せを意味するものとする。
【0044】
「医薬組成物」は、活性な薬剤と、不活性または活性な担体との組合せを含み、組成物をインビトロ、インビボまたはエクソビボにおける診断上または治療上の使用に適するものとする。
【0045】
本明細書で用いられるように、用語「医薬上許容される担体」は、リン酸緩衝生理食塩水、油/水または水/油の乳剤のような水と乳剤、ならびに様々な型の湿潤剤のごとき一般的な医薬担体のいずれかを含む。組成物はまた、安定化剤および保存剤を含みうる。担体、安定化剤およびアジュバンドの例は、Martin, Remington's Pharm. Sci., 15th Ed. (Mack Publ. Co., Easton (1975))を参照。
【0046】
「有効量」は、予防または治療のごとき利益的または望まれる結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、1回またはそれ以上の投与、適用または用量で投与されうる。
【0047】
「対象」、「個体」または「患者」は、本明細書において同じ意味として用いられ、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを意味する。哺乳動物は、マウス、サル、ヒト、家畜、娯楽動物およびペットを含むが、これらだけに限らない。
【0048】
「コントロール」は、比較目的の実験で用いられる代替の対象またはサンプルである。コントロールは「陽性」または「陰性」であり得る。例えば、実験の目的が、疾患を有する遺伝子の変化した発現レベルの修正を調べることであるならば、一般的に、陽性コントロール(かかる変化を保持し、その病気を特徴付ける症候群を示す、対象または対象由来のサンプル)および陰性コントロール(変化した発現およびその病気の臨床的な症候群を欠如する対象または対象由来のサンプル)を使用することが好ましい。
【0049】
ウイルスベクターの遺伝子治療を媒介するタンパク質の投与は、分裂後の神経細胞に感染することができる。CNSへの遺伝子送達におけるウイルスベクターの総説については、Davidson et al. (2003) Nature Rev. 4:353-364を参照。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、実質的に非毒性、非免疫原性、神経向性であり、CNSの発現を維持することができることから、CNSの遺伝子治療に有用である。本明細書で示されるように、動物の脳における導入遺伝子の発現は、導入遺伝子産物に対する免疫応答を引き起こした。図7Aを参照。
【0050】
出願人は、導入遺伝子に対して耐性化された哺乳動物のCNSへの導入遺伝子の投与が処置の効率を上げることを知見した。それにより、一の態様では、本発明は、哺乳動物のCNSへの有効量の前選択された免疫原の投与前に、哺乳動物に有効量の前選択された免疫原を全身投与することにより、前選択された免疫原に対して哺乳動物の脳を耐性化する方法を提供する。本明細書で用いられるように、用語「耐性化する」は、免疫原への免疫応答を減少させることを意味するものとする。用語「免疫原」は、最初に(T細胞またはB細胞が介在する)免疫応答を上昇させるいずれかの因子を含むものとする。Ziegler et al. (2004)により示されるように、肝臓特異的エンハンサー/プロモーターの制御下において導入遺伝子をコードする組み換えAAVベクターの投与後の肝臓における導入遺伝子の発現は、発現した導入遺伝子に対する抗体反応の減少を生じた。
【0051】
前記方法は、いずれかの哺乳動物に適し、かかる「哺乳動物」として、マウス、サル、ヒト、家畜、娯楽動物およびペットを含むが、これらだけに限らない。一の特定の態様では、哺乳動物は、ASKMOマウスであって、AおよびB型ニーマンピック病の公認の動物モデルである。Horinouchi et al. (1995) Nat. Genetics 10:288 293; Jin et al. (2002) J. Clin. Invest. 109:1183 1191;およびOtterbach (1995) Cell 81:1053 1061。
【0052】
ニーマン−ピック病A型(NPA)はリソソーム蓄積症に分類され、酸スフィンゴミエリナーゼ(ASM;スフィンゴミエリンコリンリン酸加水分解酵素、EC3.1.3.12)の遺伝子欠損により特徴付けられる遺伝性神経代謝疾患である。機能的なASMタンパク質の欠如は、脳全域にわたる神経とグリアのリソソーム内のスフィンゴミエリン基質の蓄積を生じる。このことが核周辺に多数の膨張したリソソームの形成を引き起こし、それがNPDのA型の特徴および主な細胞の表現型である。膨張したリソソームの存在は、正常な細胞の機能の喪失および進行性の神経変性に関連し、小児期の初期における罹患した個体の死を導く(The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Diseases, eds. Scriver et al., McGraw-Hill, New York, 2001, pp. 3589-3610)。第2の細胞の表現型(例えば、さらなる代謝異常)はまた、この病気に付随し、リソソーム区画におけるコレステロールの著しく高いレベルの蓄積である。スフィンゴミエリンはコレステロールに対して強い結合性を示すため、ASMKOマウスとヒト患者のリソソームにおいて大量のコレステロールの隔離が生じる。Leventhal et al. (2001) J. Biol. Chem., 276:44976-44983; Slotte (1997) Subcell. Biochem., 28:277-293;およびViana et al. (1990) J. Med. Genet., 27:499-504。
【0053】
一の特定の態様では、全身への投与部位はヒトの肝臓である。投与のいずれかの方法を用いることができ、その例は下記に提供される。
【0054】
導入遺伝子の全身投与後、それは、哺乳動物のCNSに、特に、哺乳動物の脳に直接頭蓋内に、さらに特に、脳幹、海馬、線条体、髄質、脳橋、中脳、小脳、中脳、視床、視床下部、大脳皮質、後頭葉、側頭葉、頭頂葉、および前頭葉からなる群から選択される部位に投与される。一の具体例では、投与は、小脳の深部小脳核に特異的である。
【0055】
特に上記に示すように、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする導入遺伝子が哺乳動物に投与されることにより、適切な遺伝子送達方法のいずれかを用いて最終的にポリペプチドまたはタンパク質が送達される。その例が上記および米国特許第6,066,626号に記載される。一の態様では、導入遺伝子はASMをコードする。ヒトASMのゲノム配列および機能的なcDNA配列が、例えば、米国特許第5,773,278および6,541,218号に公表された。CNS関連を示す他の適するタンパク質免疫原は、表1で同定される。
【0056】
ウイルスベクターは有用な遺伝子送達ベクターである。特定の具体例では、ウイルスベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ワクニシア、ヘルペスウイルス、バキュロウイルスおよびレトロウイルスからなる群から選択される。
【0057】
適するAAVベクターは、米国特許第6,066,626号およびPCT公開第WO01/36620 A2号全体に記載される。それの段落番号9の第14〜66行目に記載の改変されたベクターを用いることもできる。適する血清型は、AAV1、AAV2、AAV3、AAv4、AAV5、AAV6、AAV7またはAAV8を含むが、これらだけに限定されない。AAVベクターは、組み換え型または複合型AAVベクター、例えば、AAV2/1、AAV2/5、AAV2/7、AAV2/8、AAV1/2、AAV1/3、AAV1/5、AAV1/7およびAAV1/8の血清型ベクターからなる群から選択される1つであってもよい。ここで、前記血清型ベクターの命名法は、作成されたITRが由来する血清型/作成された外被が由来する血清型を意味する。
【0058】
ポリペプチドが作成される導入遺伝子を含むウイルスベクターの投与による有効量のポリペプチドが、哺乳動物に送達される。一の態様では、導入遺伝子を含むウイルスベクターが肝臓に送達され、次いで、肝臓送達後迅速に、前記導入遺伝子を含むウイルスベクターがCNSに送達される。
【0059】
代替の具体例では、CNSへの後のウイルスベクター投与は、前記ポリペプチドへの哺乳動物の耐性化を生じる適正な有効な時間数において、哺乳動物でポリペプチドが発現された後に行われる。これは、処置される患者、送達されるポリペプチド、および望ましい治療効果により変動してもよい。適切な時間経過およびCNSへの後の投与回数は、治療する医師により決められる。哺乳動物がポリペプチドに耐性化されているかどうかを調べるために、哺乳動物がポリペプチドを用いて誘発されることにより、かかる誘発がポリペプチドに対する免疫応答を生じるかどうかを決定されてもよい。免疫応答は、誘発後にポリペプチドに対する抗体力価を測定することにより調べられてもよい。誘発後に適切なコントロールと比較して減少したまたはわずかな抗体力価は、耐性化された状態の指標であってもよい。哺乳動物において抗体反応を測定するおよび生じさせる、抗原または免疫原を用いて哺乳動物を誘発する、ならびに抗体力価を調べる手法は、当該技術分野でよく知られている。哺乳動物の耐性化を生じるまでの適正な量の時間はまた、試験被験者において発現がかかる耐性化を生じる間の有効な量の時間を調べることにより選択されてもよい。次いで、選択された量の時間は、各患者を試験する必要のない本方法に適用されてもよい。
【0060】
一の具体例では、CNSへのウイルスベクターの後の投与は、肝臓に送達されるウイルスベクターによりコードされるポリペプチドの発現が検出された後に行われる。ポリペプチドの発現の検出は、当該技術分野で周知な方法のいずれかにより行われ、それらは、(mRNAを検出することによる)分子学的または(タンパク質の発現を検出することによる)免疫学的または(酵素学的活性のごときポリペプチド活性を検出することによるものであって、かかる活性が存在する)生化学的なものを含むが、これらだけに限られない。
【0061】
代替的に、後の投与は、最初の投与後の時間または日または週であってもよい。複数のCNS投与部位への複数のCNS投与の使用はまた、本発明の範囲内である。
【0062】
従って、本発明の特定の態様では、哺乳動物の脳を酸スフィンゴミエリナーゼポリペプチドに対して耐性化する方法が提供される。前記方法は、哺乳動物の中枢神経系組織(CNS)へのポリペプチドをコードする導入遺伝子の有効量の投与前に、哺乳動物の肝臓にポリペプチドをコードする導入遺伝子の有効量を全身的に投与する。
【0063】
本発明のさらなる特定の態様では、ニーマン−ピック病A型(NPA)にかかっている哺乳動物におけるNPA関連の症状を改善する方法が提供される。この方法は、哺乳動物の中枢神経系(CNS)に酸スフィンゴミエリナーゼポリペプチドをコードする導入遺伝子の有効量を投与し、前記投与が哺乳動物の肝臓組織への有効量の全身投与後であって、ポリペプチドに対する抗原特異的な免疫応答を高める哺乳動物の能力が、CNS投与前に抑制されるかまたは有意に減少されることを必要とする。
【0064】
別の態様では、本発明は、ニーマン−ピック病A型(NPA)にかかっている哺乳動物におけるNPA関連の症状を改善する方法を提供する。かかる症状は、体重減少または悪液質、運動機能の喪失、認知機能の喪失および早死を含むが、これらだけに限らない。前記方法は、哺乳動物の肝臓組織への酸スフィンゴミエリナーゼポリペプチドをコードする導入遺伝子を含むウイルスベクターの有効量の投与後に、哺乳動物のCNSに前記導入遺伝子を含むウイルスベクターの有効量を投与することを必要とする。別の具体例では、ウイルスベクターが送達されるCNS領域は、脳である。
【0065】
よりさらなる態様では、本発明は、ニーマン−ピック病A型(NPA)にかかっている哺乳動物におけるNPAを処置する方法であって、酸スフィンゴミエリナーゼポリペプチドをコードする導入遺伝子を含むAAVウイルスベクターの有効量を哺乳動物の肝臓組織に投与し、次いで酸スフィンゴミエリナーゼポリペプチドをコードする導入遺伝子を含むAAVベクターの有効量を哺乳動物のCNSに送達し、それにより哺乳動物のNPAを処置することによる方法を提供する。別の具体例では、ウイルスが送達されるCNS領域は、脳である。
【0066】
本明細書で用いられるように、用語「処置する」、「処置」およびそれらの類似語は、本明細書において、望ましい治療上、薬理学的および/または生理学的な効果を得ることを意味するものとして用いられる。前記効果は、疾患またはその徴候もしくは症状を完全にまたは部分的に防ぐことに関する予防であってもよく、ならびに/あるいは障害および/または障害に起因する不利な効果のための部分的または完全な治療および/または疾病に貢献しうる有利な効果に関する治療であってもよい。
【0067】
「処置する」はまた、哺乳動物における障害の処置を網羅し、障害にかかりやすいが、それにかかっていることについてまだ診断されていない対象、例えば、病気の遺伝子マーカーに陽性であるかどうかを試験した患者における障害の発生を防ぐこと;障害を抑制すること、例えば、その進行を止めること;あるいは障害を軽減または改善すること、例えば、障害、例えばNPA病の退行を生じること:を含む。
【0068】
本明細書で用いられるように、「処置する」ことは、病変に関連した症状の全身的な改善および/または症状の開始の遅延をさらに含む。「処置」の臨床的および亜臨床的な証拠は、病変、個体および処置により変動する。
【0069】
いくつかの具体例では、方法は、導入遺伝子産物が選択された部位において治療上のレベルで発現されるために、前選択された免疫原または導入遺伝子を保持するAAVベクターを投与することを含む。いくつかの具体例では、組成物のウイルス力価は、少なくとも:(a)1.5、2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、8.4、9、9.3、10、15、20、25、または50(×1011ゲノムコピー/注入(gc));(b)1.5、2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、8.4、9、9.3、10、15、20、25、または50(×10tu/ml);あるいは(c)1.5、2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、8.4、9、9.3、10、15、20、25、または50(×1010感染単位[iu]/ml)である。
【0070】
頭蓋内投与は脳のいずれの領域であってもよく、1回より多くの頭蓋内送達で投与される場合に複数の領域を含む。かかる部位は、例えば、脳幹(髄質および脳橋)、中脳、中脳、(深部小脳核を含む)小脳、間脳(視床、視床下部)、終脳(線条体、中脳、大脳皮質、あるいは皮質内の後頭葉、側頭葉、頭頂葉または前頭葉)を含む。頭蓋内注入部位の特定の例が図1に示される。
【0071】
ヒトの脳における構造の同定には、例えば、The Human Brain: Surface, Three Dimensional Sectional Anatomy With MRI, and Blood Supply, 2nd ed., eds. Deuteron et al., Springer Vela, 1999; Atlas of the Human Brain, eds. Mai et al., Academic Press; 1997;およびCo Planar Sterotaxic Atlas of the Human Brain: 3 Dimensional Proportional System: An Approach to Cerebral Imaging, eds. Tamarack et al., Thyme Medical Pub., 1988を参照。マウスの脳における構造の同定には、例えば、The Mouse Brain in Sterotaxic Coordinates, 2nd ed., Academic Press, 2000を参照。必要に応じて、ヒトの脳構造は、別の哺乳類の脳における同様の構造と相互に関連付けられ得る。例えば、ヒトと齧歯類を含むほとんどの哺乳類は、内側海馬の投射において類似の解剖学的組織を示す。それは、側面と内側の両方の嗅内皮質の側面部分の神経が海馬の背側部分または中隔ポール(septal pole)に投射し、一方で、腹側の海馬への投射が嗅内皮質の内側部分の神経から始まることにある(Principles of Neural Science, 4th ed., eds Kandel et al., McGraw Hill, 1991; The Rat Nervous System, 2nd ed., ed. Paxinos, Academic Press, 1995)。さらに、嗅内皮質の層II細胞は歯状回に投射し、それらは歯状回の外側3分の2で終結する。層III細胞からの軸索は、海馬のアンモン角領域CA1とCA3の両側に投射し、網状分子層で終結する。
【0072】
中枢神経系の特定の領域に、特に脳の特定の領域に特異的にベクターを送達するために、定位固定マイクロインジェクション(stereotaxic microinjection)により投与されてもよい。例えば、外科手術の日に、患者は(頭蓋内にネジ止めされた)位置を固定された定位固定フレーム基材を取り付ける。(基準点マーカーとMRI互換性のある)定位固定フレーム基材を取り付けた脳は、高分解能MRIを用いて画像化される。次いで、MRI画像は、定位固定ソフトウェアを作動するコンピューターに移行される。一連の冠状、矢状および軸状の画像が用いられることにより、ベクター注入の標的部位および軌道が調べられる。ソフトウェアは、定位固定フレームに合致した三次元座標へ軌道を直接翻訳する。頭蓋穿孔が入り口部位の上部に穿孔され、所定の深部に埋め込まれたニードルにて定位固定装置が設置された。次いで、医薬上許容される担体中のベクターが注入される。その後、AAVベクターは、最初の標的部位への直接注入により投与され、軸索を経由して先端の標的部位に逆行的に送達される。さらなる投与経路は、例えば、直接の視覚化における表層皮質適用、または他の非定位固定適用が用いられてもよい。
【0073】
投与されるべき物質の総体積、および投与されるべきベクター粒子の総数は、周知の遺伝子治療の態様に基づいて当業者により決定される。治療上の有効性および安全性は、適切な動物モデルにおいて試験することができる。例えば、多種類のよく特徴付けされた動物モデルがLSD用に存在し、例えば、本明細書、またはWatson et al. (2001) Methods Mol. Med., 76:383 403;またはJeyakumar et al. (2002) Neuropath. Appl. Neurobiol., 28:343 357;またはMcGraw-Hillにより公表されたMetabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 8th edition (2001)に記載される。
【0074】
実験マウスでは、注入されるAAV溶液の総体積は、例えば、注入部位あたり1から5μlの間または約3μl、あるいは代替的に10から400μlの間、あるいは代替的に100から400μlの間、代替的に150から250μlの間あるいは代替的に約200μlである。ヒトの脳を含む他の哺乳動物では、体積および送達速度が適切に調整される。例えば、150μlの体積が霊長類の脳に安全に注入されうることが示されている(Janson et al. (2002) Hum. Gene Ther., 13:1391 1412)。処置は、標的部位あたり単回の注入からなってもよく、または、必要ならば、注入路に沿って繰り返されてもよい。複数の注入部位を用いることができる。例えば、いくつかの具体例では、最初の投与部位に加えて、導入遺伝子を保持するAAVを含む組成物が、最初の投与部位に対して同側または対側であり得る別の部位に投与される。
【0075】
本発明の方法では、いずれの血清型のAAVを用いることができる。本発明の一の具体例では、逆行性軸索輸送を経ることが可能なAAVベクターが用いられてもよい。ウイルスベクターの血清型は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、およびAAV8から成る群から選択されてもよい(例えば、Gao et al. (2002) PNAS, 99:11854 11859;およびViral Vectors for Gene Therapy: Methods and Protocols, ed. Machida, Humana Press, 2003を参照)。本明細書に記載されるもの以外の他の血清型を用いることができる。また、偽型AAVベクターが用いられてもよく、それらは、第2のAAV血清型;例えば、AAV2外被およびAAV1ゲノムを含むAAVベクターまたはAAV5外被およびAAV2ゲノムを含むAAVベクターの外被における一のAAV血清型のITRを含むものであってもよい(Auricchio et al. (2001) Hum. Mol. Genet., 10(26):3075-81)。
【0076】
AAVベクターは、哺乳動物に対して非病原性である一本鎖(ss)DNAのパルボウイルスに由来する(Muzyscka (1992) Curr. Top. Microb. Immunol., 158:97 129で総説される)。簡潔に説明すると、AAVに基づくベクターは、ウイルスゲノムの96%を占めるrepおよびcapウイルス遺伝子が取り除かれ、2つの隣接する145塩基(bp)の末端逆位配列(ITR)を残し、それらはウイルスのDNA複製、パッケージングおよび挿入を開始するのに用いられる。ヘルパーウイルスの非存在下では、野生型AAVが染色体19q 13.3において優先的な部位特異性を有するヒト宿主細胞ゲノムに挿入されるか、またはエピソームとして発現されていてもよい。単一のAAV粒子は、5kbのssDNAまで収容することができ、それゆえに導入遺伝子および調節エレメントに約4.5kbを残すことができ、典型的には十分である。しかしながら、例えば、米国特許第6,544,785号に記載されるごときトランス−スプライシングシステムは、この限度が2倍近くになりうる。
【0077】
例示的な具体例では、AAVはAAV2またはAAV8である。AAV2のごとき多くの血清型のアデノ随伴ウイルスは、遺伝子治療のベクターとして広範に研究され、特徴付けされてきた。当業者は、機能的なAAVに基づいた遺伝子治療用ベクターの調製に精通している。ヒトの対象への投与のためのAAV産生、精製および調製の様々な方法についての多くの参考文献は、公表された文献に幅広い形で見出すことができる(例えば、Viral Vectors for Gene Therapy: Methods and Protocols, ed. Machida, Humana Press, 2003を参照)。さらに、CNSの細胞を標的としたAAVに基づく遺伝子治療が米国特許第6,180,613および6,503,888号に記載されている。
【0078】
真核細胞における導入遺伝子の発現レベルは、導入遺伝子発現カセット内の転写プロモーターおよび/またはエンハンサーにより調節されてもよい。肝臓特異的プロモーターのごとき組織特異的プロモーターがいくつかの具体例で用いられてもよい。肝臓特異的プロモーターおよびエンハンサーのごとき組織特異的プロモーターおよび組織特異的エンハンサーの組合せが、本発明の実施に用いられてもよい。
【0079】
プロモーターの非限定的な例は、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(Kaplitt et al. (1994) Nat. Genet. 8:148 154)、CMV/ヒトβ3−グロビンプロモーター(Mandel et al. (1998) J. Neurosci. 18:4271 4284)、GFAPプロモーター(Xu et al. (2001) Gene Ther., 8:1323 1332)、1.8kb神経特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター(Klein et al. (1998) Exp. Neurol. 150:183 194)、ニワトリベータアクチン(CBA)プロモーター(Miyazaki (1989) Gene 79:269 277)およびβ−グルクロニダーゼ(GUSB)プロモーター(Shipley et al. (1991) Genetics 10:1009 1018)、ヒト血清アルブミンプロモーター、アルファ−1−アンチトリプシンプロモーターを含むが、これらだけに限らない。発現を向上させるために、他の調節エレメントが、例えば、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)またはウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化部位のごとき導入遺伝子にさらに作動可能に連結されてもよい。
【0080】
本発明に適するさらなるプロモーターは、肝臓において関連したコーディングDNA配列の発現を促進できる強力な構成性プロモーターのいずれかであってもよい。かかる強力な構成性プロモーターは、ヒトおよびマウスのサイトメガロウイルスプロモーター、切断型CMVプロモーター、ヒト血清アルブミンプロモーター[HSA]ならびにアルファ−1−アンチトリプシンプロモーターを含む。
【0081】
本発明に有用な肝臓特異的エンハンサーエレメントは、肝臓において関連したコーディングDNA配列の組織特異的発現を増強できる肝臓特異的エンハンサーのいずれかであってもよい。かかる肝臓特異的エンハンサーは、1個またはそれ以上のヒト血清アルブミンエンハンサー(HSA)、ヒトプロトロンビンエンハンサー(HPrT)、アルファ−1 マイクログロブリンエンハンサー(A1MB)、およびイントロンアルドラーゼエンハンサーを含む。より高い発現を達成するために、複数のエンハンサーエレメントが組み合わされてもよい。例えば、2つの同一のエンハンサーが肝臓特異的プロモーターと組み合わされてもよい。
【0082】
下記のプロモーター/エンハンサーの組合せを含むウイルスベクターが本発明の実施に用いられてもよい:CMVプロモーターまたはHSAプロモーターのどちらかと組み合わせる1個またはそれ以上のHSAエンハンサー;CMVプロモーターと組み合わせるヒトプロトロンビン(HPrT)エンハンサーおよびアルファ−1 マイクログロブリンA1MBエンハンサーから成る群から選択される1個またはそれ以上のエンハンサー;ならびにa−1−アンチトリプシンプロモーターと組み合わせるHPrTエンハンサーまたはA1MBエンハンサーから成る群から選択される1個またはそれ以上のエンハンサーエレメント。
【0083】
肝臓特異的構築物に関するさらなる情報は、PCT公開出願第WO01/36620号に記載される。代替的に、神経特異的プロモーターおよび/またはエンハンサーは、CNSにおける導入遺伝子の標的とした送達および発現に有用である。
【0084】
いくつかの態様では、転写活性を制御することが望まれる。このため、AAVベクターによる遺伝子発現の薬理学的な調節は、例えば、Habermaet al. (1998) Gene Ther., 5:1604 16011;およびYe et al. (1995) Science 283:88 91に記載されるごとく様々な調節エレメントおよび薬剤応答プロモーターを含むことにより得ることができる。
【0085】
AAV調製は、例えば、米国特許第5,658,776号およびViral Vectors for Gene Therapy: Methods and Protocols, ed. Machida, Humana Press, 2003に記載されるごとき当業者間で周知の技術を用いて行うことができる。
【0086】
特定の態様では、導入遺伝子の発現の検出および/またはレベルが望まれてもよい。遺伝子発現を検出する方法が当該技術分野で知られ、下記に考察されるように容易に適用され、または当業者により改変されうる。
【0087】
様々な方法が目的の遺伝子の発現を定量化することについて周知であり、ハイブリダイゼーションアッセイ(ノーザンブロット解析)およびPCRに基づくハイブリダイゼーションアッセイを含むが、これらだけに限らない。
【0088】
mRNAレベルの変化を測定する際、サンプルに含まれる核酸が当該技術分野で一般的な方法により最初に抽出される。例えば、mRNAは、上記のSambrook et al. (1989)で説明される手順に従って様々な溶解酵素または化学溶液を用いて単離することができるか、あるいは製造業者により提供される添付の説明書に従って核酸結合樹脂により抽出することできる。
【0089】
少なくとも10ヌクレオチドを有し、発現産物に対して配列の相補性もしくは相同性を示す核酸分子は、ハイブリダイゼーションのプローブまたはPCRプライマーとして用いることができる。「完全に一致した」プローブが特異的なハイブリダイゼーションに要求されないことが当該技術分野において知られている。少数の塩基の置換、欠失または挿入により達せられるプローブ配列のわずかな変化は、ハイブリダイゼーションの特異性に影響を与えない。一般に、(最適に配列された場合に)20%までの塩基対のミスマッチが許容されうる。例えば、mRNAを検出するのに有用なプローブは、これまでに同定された配列、例えば、ASM配列に含まれる比較可能な大きさの相同領域に対して少なくとも約80%同一である。代替的に、前記プローブは、相同領域の並置比較に対応する遺伝子配列に対して少なくとも85%または少なくとも90%同一である。フラグメントの全体の大きさ、ならびに相補的な鎖の大きさは、特定の核酸領域の目的とする使用または適用に依存する。遺伝子のより小さなフラグメントは、一般的にハイブリダイゼーションの実施形態の中で見出され、相補的な領域の大きさは、約10および約100ヌクレオチドの間、または検出することが望まれる相補的な配列の全長まで変動されてよい。
【0090】
約10ヌクレオチドより大きい鎖にわたり相補的な配列を有するヌクレオチドプローブは、ハイブリッドの安定性および選択性を増加させ、それにより得られた特定のハイブリッド分子の特異性が改善される。約25およびより好ましくは約50ヌクレオチドの大きさ、または望ましくはより長いヌクレオチドの遺伝子相補性の鎖を有する核酸分子を設計することができる。かかるフラグメントは、例えば、化学的手法によりフラグメントを直接合成することにより、米国特許第4,603,102号に記載されるような2つのプライマー用オリゴヌクレオチドを用いるPCR(登録商標)技術のごとき核酸複製技術の適用により、あるいは選択された配列を組み換え体産生用の組み換えベクターに導入することにより容易に調製されてもよい。
【0091】
特定の具体例では、ハイブリダイゼーション、それゆえ相補的な配列を検出するために標識のごとき適する手法を組み合わせた本発明の核酸配列を用いることが有利である。多種多様で適切な標識方法が当該技術分野で知られ、それらには、蛍光性、放射性、酵素またはアビジン/ビオチンのごとき他のリガンドが含まれ、検出可能なシグナルを付すことができる。放射性または他の環境に望ましくない試薬に代わり、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼまたはペルオキシダーゼのごとき蛍光標識または酵素タグを用いることもできる。酵素タグの場合、ヒトの目で見ることができる手法を提供するか、あるいは相補的な核酸含有サンプルとの特異的なハイブリダイゼーションを分光測定で同定することに適用することができる比色指示基質が知られる。
【0092】
ハイブリダイゼーション反応は、異なる「ストリンジェント」の条件下で行うことができる。関連する条件は、温度、イオン強度、インキュベーション時間、ホルムアミドのごとき反応混合物における付加的な溶液の存在、および洗浄手順を含む。より高いストリンジェントな条件は、より高い温度およびより低いナトリウムイオン濃度のごとき条件であって、安定なハイブリダイゼーション複合体を形成するためにはハイブリダイズするエレメント間でより高い最小限の相補性を必要とする。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェントを高める条件は、当該技術分野で広く知られ、公表されている。上記のSambrook, et al. (1989)を参照。
【0093】
定量的PCRまたはVelculescu, V. et al. (1995) Science 270:484-487に記載されるごときSerial Analysis of Gene Expression(SAGE)のようなハイスループット解析を用いてmRNAレベルまたはその発現を検出および定量化することにも利用することができる。簡単に説明すると、前記方法は、転写物を含む懸濁された細胞または組織サンプルから複数のmRNAを単離することを含む。必要に応じて、遺伝子転写物はcDNAに変換されうる。遺伝子転写物の試料は配列特異的な解析にかけられ、定量化される。これらの遺伝子転写物の配列の存在量を、疾患にかかっている患者と健康な患者の通常のデータセットを含む対照のデータベース配列の存在量と比較する。
【0094】
プローブはまた、当該技術分野で周知の方法を用いるハイスループットスクリーニングアッセイにおいて、固相担体に結合されうる。国際PCT出願第WO97/10365号および米国特許第5,405,783、5,412,087および5,445,934号は、例えば、1つまたはそれ以上の配列を含むことができる高密度オリゴヌクレオチドチップの構築物を開示する。前記チップは、米国特許第5,405,783;5,412,087および5,445,934号で開示される方法を用いて被覆されたガラス表面上で合成されうる。光防護されたヌクレオシドホスホラミダイトがガラス表面にカップルされ、フォトリソグラフィーマスク(photolithographic mask)を通して光分解により選択的に脱保護され、次いで2番目の保護されたヌクレオシドホスホラミダイトと反応されうる。カップリング/脱保護プロセスは、望まれるプローブが完成するまで繰り返される。
【0095】
遺伝子の発現レベルは、プローブ改変チップへのポリヌクレオチドを含む懸濁されたサンプルの露出により調べることができる。抽出された核酸は、例えば、蛍光タグとともに、好ましくは増幅段階の間に標識される。標識されたサンプルのハイブリダイゼーションは、適切なストリンジェントレベルで行われる。プローブ−核酸のハイブリダイゼーションの程度は、共焦点顕微鏡のごとき検出装置を用いて定量的に測定される。米国特許第5,578,832および5,631,734号を参照。得られた測定値は遺伝子発現レベルと直接相関される。
【0096】
ハイブリダイズされたプローブおよびサンプルの核酸は、当業者間で知られる様々な方法により検出されうる。例えば、ハイブリダイズされた核酸は、サンプルの核酸に結合した1種またはそれ以上の標識物質を検出することにより検出されうる。前記標識物質は、当業者に周知の多くの方法のいずれかにより取り込まれうる。一の態様では、前記標識物質は、サンプルの核酸の調製における増幅段階の間に同時に取り込まれる。それゆえ、例えば、標識されたプライマーまたは標識されたヌクレオチドを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、標識された増幅産物を提供する。別個の具体例では、標識されたヌクレオチド(例、蛍光標識されたUTPおよび/またはCTP)を用いる上記記載の転写増幅は、転写された核酸に標識物質を取り込む。
【0097】
代替的に、標識物質は、元々の核酸サンプル(例、mRNA、ポリA、mRNA、cDNAm等)または増幅が終了した後の増幅サンプルに直接付加されてもよい。標識物質を核酸に結合する方法は当業者に知られており、例えば、核酸をリン酸化し、次いで、サンプルの核酸を標識物質(例、フルオロフォア)に繋げる核酸リンカーの結合(ライゲーション)による(例えば、標識されたRNAを用いる)ニックトランスレーションまたは末端標識を含む。
【0098】
本発明の使用に適する検出可能な標識物質は、分光学、光化学、生化学、免疫化学、電気、光学または化学的な方法により検出可能ないずれかの組成物を含む。本発明に有用な標識物質は、標識されたストレプタビジン抱合体で染色するためのビオチン、電磁ビーズ(例、Dynabeads(登録商標))、蛍光色素(例、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、およびそれらの類似物質)、放射性標識(例、H、125I、35S、14C、または32P)酵素(例、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびELISAで一般的に用いられる他の酵素)、ならびにコロイド金または色ガラスまたはプラスティック(例、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等)ビーズのごとき比色標識を含む。かかる標識物質の使用を教示する特許は、米国特許第3,817,837;3,850,752;3,939,350;3,996,345;4,277,437;4,275,149;および4,366,241号を含む。
【0099】
かかる標識物質を検出する方法は、当業者に周知である。それゆえ、例えば、放射性標識は、写真用フィルムまたはシンチレーションカウンターを用いて検出されてもよく、蛍光マーカーは、放射された光を検出する光検出器を用いて検出することができる。酵素標識は、典型的には、酵素に基質を供し、基質に対する酵素の作用により産生される反応産物を検出することにより検出され、比色標識は、単に着色された標識を視覚化することにより検出される。
【0100】
特許公開第WO97/10365号は、ハイブリダイゼーションの前に、または代替的には後に、標的(サンプル)の核酸に標識物質を付加する方法を記載する。これらは、ハイブリダイゼーションの前に、標的(サンプル)の核酸に直接結合されるか、または取り込まれる検出可能な標識物質である。対照的に、「間接標識物質」は、ハイブリダイゼーション後にハイブリッド二本鎖に結合される。高頻度で、間接標識物質は、ハイブリダイゼーション前に標的の核酸に結合されている結合部分に結合される。それゆえ、例えば、標的の核酸は、ハイブリダイゼーション前にビオチン化されてもよい。ハイブリダイゼーション後、アビジンが抱合されたフルオロフォアは、容易に検出される標識物質を提供するハイブリッド二本鎖を生むビオチンに結合する。核酸を標識し、標識されてハイブリダイズした核酸を検出する方法の詳細な総説について、Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Vol. 24: Hybridization with Nucleic Acid Probes, P. Tijssen, ed. Elsevier, N.Y. (1993)を参照。
【0101】
核酸サンプルはまた、サンプルの複雑性を減少させるために、国際PCT出願番号第WO97/10365号に開示される方法を用いて、ハイブリダイゼーション前に高密度プローブ配列に改変され、それによりバックグラウンドのシグナルを下げ、測定の感度を改善してもよい。
【0102】
チップアッセイからの結果は、典型的には、コンピューターソフトウェアのプログラムを用いて解析される。例えば、EP0717113 A2およびWO95/20681を参照。ハイブリダイゼーションのデータがプログラムに読み込まれ、そのプログラムが標的遺伝子の発現レベルを計算する。この数字が、疾患にかかっている個体と健康な個体の遺伝子発現レベルの存在するデータセットと比較される。得られたデータと疾患にかかっている個体の一組のデータの間の相関関係が、対象の患者における病気の発症を示す。
【0103】
発現を検出および定量化する公知の免疫アッセイを改変することもできる。遺伝子産物の検出は、遺伝子産物に反応する抗体との間で生じる免疫特異的な結合量を測定することを必要とする。免疫特異的な結合、またはハイブリダイゼーションもしくは増幅手順の間に生じたシグナルを検出および定量化するために、プローブの放射能または化学発光を検出するデジタル画像解析システムを含み、用いることができるが、これらだけに限らない。
【0104】
ポリペプチド産物の発現はまた、発現された特定のポリペプチドについて当該技術分野で周知の生化学的手法を用いて検出されてもよい。
【0105】
以下の実施例は、本発明の例示的な具体例を提供する。当業者は、本発明の思想または範囲を変えることなく実施することができる多くの改変と変化を理解するであろう。かかる改変と変化は本発明の範囲内に包含される。実施例は決して本発明を限定するものではない。
【0106】
実施例
組み換えベクターの力価
AAVベクターの力価をゲノムコピー数(ミリリットルあたりのゲノム粒子)により測定することができる。ゲノム粒子濃度は、以前報告されたように、ベクターDNAのTaqman(登録商標)PCRを基にしてもよい(Clark et al. (1999) Hum. Gene Ther. 10:1031 1039; Veldwijk et al. (2002) Mol. Ther. 6:272 278)。簡単に説明すると、AAVベクターをDNAse溶液で処理してウイルスDNAの正確な測定を妨げうる混入DNAを除去する。次いで、AAVベクターを外被消化緩衝液(50mM Tris−HCl pH8.0、1.0mM EDTA、0.5% SDS、1.0mg/ml プロテイナーゼK)を用いて50℃で1時間処理してベクターDNAを遊離させる。DNAサンプルを、プロモーター領域、導入遺伝子、またはポリA配列のごときベクターDNAにおける特異的な配列にアニールするプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)にかける。次に、PCRの結果を、Perkin Elmer−Applied Biosystems(カリフォルニア州のフォスターシティー)Prism 7700 Sequence Detector Systemにより提供されるごときReal time Taqman(登録商標)ソフトウェアにより定量化する。
【0107】
β−ガラクトシダーゼまたは緑色蛍光タンパク質遺伝子(GFP)のごとき測定可能なマーカー遺伝子を有するベクターを、感染性試験を用いて力価を測定することができる。感染しやすい細胞(例、Hela、またはCOS細胞)をAAVで形質導入し、β−ガラクトシダーゼベクターが形質導入された細胞をX−gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)で染色またはGFPが形質導入された細胞における蛍光顕微鏡のごとき遺伝子発現を調べるアッセイを行う。例えば、アッセイを以下の通りに行う:4×10個のHela細胞を、通常の増殖培地を用いて24ウェルの培養プレートの各ウェルに撒いた。接着後、すなわち、約24時間後、細胞に10の多重感染度(MOI)でAd5を感染させ、パッケージされたベクターの連続希釈を用いて形質導入させ、37℃でインキュベートさせた。1から3日後、広範な細胞変性効果が観察される前に、適切なアッセイを細胞に行う(例、X−galまたは蛍光顕微鏡)。β−ガラクトシダーゼのごときレポーター遺伝子を用いる場合、細胞を2% パラホルムアルデヒド、0.5% グルタルアルデヒドで固定し、X−galを用いてβ−ガラクトシダーゼ活性を染色する。よく分離した細胞を付与するベクター希釈液をカウントする。各陽性細胞は、1形質導入単位(tu)のベクターを表す。
【0108】
全長ヒトASMのcDNAをAAV血清型2および8に由来するITRを含むプラスミドにクローン化した。Jin et al. (2002) J Clin Invest. 109:1183-1191。AAV8−hASMは、血清型2−末端逆位配列(ITR)およびDC−190肝臓制限プロモーター[Ziegler et al. (2004). Mol. Ther. 9:231-240]の制御下にあるヒト酸スフィンゴミエリナーゼ(hASM)cDNAを含有した。AAV2−hASMは、血清型2−末端逆位配列(ITR)およびCMVエンハンサーとニワトリβ−アクチンプロモーターの制御下にあるヒト酸スフィンゴミエリナーゼ(hASM)cDNAを含有した。両方の組み換えベクターを、ヒト293細胞の3回のプラスミド共トランスフェクションにより生成し、次いでカラム精製した。AAV8−hASMおよびAAV2−hASMの調製物の最終力価は、各ベクターが包含するウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列のTaqMan PCRにより調べ、5.0×1012mlあたりのゲノムコピー(gc)であった。
【0109】
AAV血清型複製遺伝子に加えて血清型特異的外被コーディング領域を含む一連のヘルパープラスミドを用いる3回のトランスフェクションにより、ハイブリッドベクターを産生することができる。このストラテジーは、AAV ITRベクターの各血清型特異的なビリオンへのパッケージングを可能にする。Rabinowitz, et al. (2002) J Virol. 76:791-801。この方法とともに、hASM組み換えゲノムを、一連の偽型rAAV−hASMベクターを作成するのに用いることができる。組み換えAAVベクターをイオン交換クロマトグラフィーにより精製することができる。O'Riordan, et al. (2000) J Gene Med 2: 444-54。組み換えAAVベクターはまた、CsCl超遠心分離により精製することもできる。Rabinowitz et al. (2002) J. Urrol. 76:791-801。AAV−ASMビリオン粒子(DNAse−耐性粒子)の最終力価は、CMV配列のTaqMan PCRにより調べることができる。Clark et al. (1999) Hum. Gene Therapy 10:1031-1039。
【0110】
ASMKOマウスにおける脳と全身の遺伝子治療の組合せ
酸スフィンゴミエリナーゼ欠損マウス(ASMKO)(K. Horinouchi et al., Nat. Genet. 10 (1995), pp. 288-292)を以下の通りに処置した:
【0111】
グループ1)4週齢のマウスに、尾静脈注入により、2個のHPrTエンハンサー、ヒト血清アルブミンプロモーター、およびヒトASM導入遺伝子を含むAAV2/8ベクターの3e11gcを注入した;
【0112】
グループ2)6週齢のマウスに、8部位に分けた脳注入により、エンハンサー、プロモーター、およびヒトASM導入遺伝子を含む2e11gcを注入した;
【0113】
グループ3)4週齢のマウスに、尾静脈注入により、2個のHPrTエンハンサー、ヒト血清アルブミンプロモーター、およびヒトASM導入遺伝子を含むAAV2/8ベクターの3e11gcを注入し、2週間後に、同一のマウスに、8部位に分けた脳注入により、エンハンサー、プロモーター、およびヒトASM導入遺伝子を含むAAV2ベクターの2e11gcを注入した;ならびに
【0114】
グループ4)注入を受けていないか、またはビヒクルのみの偽注入を受けたマウス。
【0115】
グループ5)ASMKOでないマウス、または注入を受けていない野生型マウス。
【0116】
定位脳外科手術を受けた全てのASMKOマウスに、脳の8領域に1部位あたり3μlのAAV2−hASM(1.5e10gc)であって、脳あたり24μl(1.2e11gc)を注入した。右半球に注入した部位は、視床下部(−0.50、−1.00mm、−3.50mm)、海馬(−2.00mm、−1.75mm、−1.75mm)、髄質(−6.00mm、−1.50mm、−3.75mm)および小脳(−6.00mm、−1.50mm、−2.25mm)であった;右半球に注入した部位は、線条体(0.50mm、1.75mm、−2.75mm)、運動皮質(0.50mm、1.75mm、−1.25mm)、中脳(−4.50mm、1.00mm、−3.50mm)および小脳(−6.00mm、1.50mm、−2.25mm)であった。ハミルトンシリンジ(米国、ネバダ州、リーノーのハミルトン)にて0.5μl/分の速度で注入を行い、ニードルを各注入後2分間その場に残すことにより、ニードルを上げた時のウイルス溶液の逆流を最小にした。
【0117】
全ての未処置ASMKOマウス、およびAAV2脳−とAAV8全身−のみのASMKOマウスのグループは、最終的に瀕死となった。対照的に、脳および全身の組合せ注入により処理したASMKOマウスは瀕死状態にはならなかったが、比較解析のために54週で屠殺した。動物を広範に灌流して全血液を除去し、次いで生化学および組織学集団に分けた。生化学的集団では、肝臓、肺、脾臓および骨格筋を2つの断片に切断した。1つの断片をhASMレベルについて解析し、他方の断片をスフィンゴミエリン蓄積について解析した。脳では、左および右の半球に分け、各半球をA−P軸に沿って5つの2mmスラブにさらに切断した。左半球からのスラブをhASMタンパク質および抗hASMについて解析した。
【0118】
酸スフィンゴミエリナーゼ(ASM)の血清レベルおよび抗ASM血清抗体レベルを、研究を通して測定した。マウスを研究中様々なテストにかけた:体重評価、加速ロータロッド試験、ロッキングロータロッド試験、およびバーンズメイズ試験。生存曲線データもまた、試験中を通して採取した。マウスの死後、組織を採取し、スフィンゴミエリンレベルを各マウスの脳、肝臓、肺、脾臓、および筋肉組織において測定した。脳および肝臓におけるヒトASMタンパク質の発現はまた、免疫組織化学を用いて定性的にも評価した。54週で研究を終えた;グループ3(組合せ)由来の全てのマウスは、研究終了時に生存し、健康であった。
【0119】
酸スフィンゴミエリナーゼの血清レベルを、ヒト酵素に対して特異的に作成されたポリクローナル抗体を用いる酵素結合免疫吸着法(ELISA)により定量した。図7は、ある期間中の血液の血清中におけるASMタンパク質のレベルを図で示す。ASMを、死んだマウスの脳および肝臓における免疫組織化学によっても測定した。グループ2と3由来のマウスの脳における陽性ASM染色を観察し、グループ3由来のマウスでは、定性的により明るい染色を観察した。線条体、海馬、中脳、および小脳において染色を観察した。グループ1由来のマウスの脳または未処置ASMKOマウスでは、ASM染色は観察されなかった。グループ1と3由来のマウスの肝臓では、陽性ASM染色を観察した。グループ2由来のマウスの肝臓または未処置ASMKOマウスでは、ASM染色は観察されなかった。
【0120】
組織スフィンゴミエリンレベルを以下の通りに定量した。10から50mgの組織をクロロホルム:メタノール(1:2)中でホモジェナイズし、37℃で1時間インキュベートすることにより組織抽出物を調製した。遠心分離による細胞片の除去後、破砕物を水で2回抽出し、有機層(脂質を含む)を無菌のガラス管に移し、次いで窒素下で37℃に加熱しながら乾燥させた。抽出物中に存在するスフィンゴミエリナーゼの量をAmplex Redスフィンゴミエリナーゼアッセイキット(Molecular Probes)を用いて間接的に調べた。抽出物をAmplex Red使用溶液中のバチルス・セレウス由来の外因性細菌のスフィンゴミエリナーゼ(米国、ミズーリ州、セントルイスのシグマ−アルドリッチ)の固定量で処理した。スフィンゴミエリンを細菌の酵素で加水分解させることによりセラミドおよびホスホリルコリンを得た。後者をさらにコリンに加水分解させ、順にベタインおよび過酸化水素に酸化させた。解離した過酸化水素をAmplex Redと反応させることにより、590nmの蛍光放射により検出可能な高い蛍光性レゾルフィンを生じさせることで定量した。C57BL/6マウスの組織における正常なスフィンゴミエリンレベルは、週齢が一致するASMKOにおいて観察されるレベルの約5−10%である。図8および9は、脳と内臓器官におけるスフィンゴミエリンのレベルを図で示す。
【0121】
血清中の抗ヒト酸スフィンゴミエリナーゼ特異的抗体のレベルをELISAにより調べた。図7Eを参照。血清の連続希釈を、酵素または熱のどちらかで不活性化されたAAV粒子でコートされた96ウェルプレートのウェルに添加した。結合した抗体をセイヨウワサビペルオキシダーゼが抱合されたヤギ抗マウス免疫グロブリンG(IgG)、IgM、およびIgA(米国、カリフォルニア州、サンフランシスコのザイメッド社)を用いて検出した。発色のために、プレートを基質(シグマ−アルドリッチ社)と室温で20分間インキュベートした。力価を0.1以下のOD450を生じた血清の最も高い希釈率の逆数として定義した。図7Aから図7Dは、処置および未処置マウスの血液中の抗hASM抗体レベルを図で示した。
【0122】
脳実質内の抗体を下記の通りに改変したアッセイで測定した。組織溶解液を抗体希釈緩衝液で1:20に希釈し、100ng hASMでコートした96ウェルプレートに2系でアプライした。二次抗体HRP抱合体および発色基質の反応を上記記載の通りに行った。結合したhASM特異的抗体の濃度は、抱合体からのHRP反応の色彩強度と直接的に相関されるべきである。それゆえ、最終的なデータを1:20の溶解液希釈により作成されたOD450における吸光度の変化として報告することにより、血清に用いられる力価の測定方法と比較して抗体レベルのより高感度の結果が提供される。
【0123】
1:200で希釈した抗hASMがビオチン化されたモノクローナル抗体を用いてhASMについて脳切片を解析し、次いで赤色蛍光下においてストレプタビジン−Cy3が抱合された二次抗体を視覚化した[Passini, M.A. et al. (2005). Mol. Ther. 11:754-762]。脳におけるコレステロール基質を報告されたフィリピン染色のプロトコル[Passini, M.A. et al. (2005). Mol. Ther. 11:754-762]を用いて検出した。簡単に説明すると、フィリピン(ミズーリ州、セントルイスのシグマ−アルドリッチ)を10mg/mlの使用濃度まで100%メタノールに溶解させた。脳切片を暗室において室温(RT)で3時間インキュベートし、続いてPBSを用いてRTで3回洗浄し、青色蛍光下で試験した。報告されるように[Shihabuddin, L.S. et al. (2004). J. Neurosci. 24:10642-10651]、ライセニン染色を行うことにより、in situにおけるスフィンゴミエリン基質パターンを調べた。簡単に説明すると、ライセニン(ケンタッキー州、ルーイビルのPeptide international)を0.5% BSA、0.02% サポリン(Sigma)、および5% 通常のロバ血清を含むPBS中10mg/mlに溶解させた。脳の切片をライセニンと4℃で一晩インキュベートし、続いてウサギ抗ライセニン抗体(Peptides International)の1:250希釈液で一晩インキュベートした。ライセニン陽性細胞をFITC抗ウサギ抗体(ペンシルベニア州、ウェストグルーブのJackson ImmunoResearch)の1:250希釈液で視覚化し、緑色蛍光を用いて試験した。
【0124】
各マウスを、当該技術分野で周知であり、Sleat et al. (2004) J. Neurosci. 24:9117-9126中で再現されている方法を用いるSmartrod(AccuScan)における運動機能について加速およびロッキングロータロッドによりテストした。マウスをSmartrod ロータロッドプログラム(オハイオ州、コロンバスのAccuScan Instruments)を用いる加速およびロッキングロータロッドにおいてテストして運動機能を測定した。加速ロータロッドのシリンダー回転の速度を60秒で0−30rpmの一定速度で加速するようにプログラムし、ロッキングロータロッドを54秒で25rpmの最終速度まで2.5秒毎に前後に加速するようにプログラムした。各時点で各マウスに4回の実験を行い、台から落ちるまでの時間を記録した。台から落ちるまでの時間のスコアが高いことは優れた成績である。各実験の間を少なくとも15分に分けて動物に休息の時間を与えた。図3および4は、運動機能の回復の測定としてロータロッドテストの結果を図で示す。
【0125】
各マウスをバーンズメイズ試験を用いてテストした。4個の頭上のハロゲンランプにより明るく照らされる大きく、平らなプラスティックのディスクの周辺付近に位置される20個の穴のうちの1個の下に隠された暗いトンネルを突き止めるようにマウスを訓練した。迷路を通って進み正確な暗い穴を突き止める時間は、認知機能に逆比例的に関連する−より短い突き止める時間はより優れた認知機能の指標である。図5は、認知機能の回復の測定としてバーンズメイズ試験の結果を図で示す。
【0126】
生存曲線を図6に図で示す。
【0127】
脳および内蔵の両方を標的とするAAVhASMの組合せ注入のプロトコルを、ASMKOマウスの機能異常および疾患後遺症を扱う際に評価した。組合せグループ(n=11)において、4週齢のASMKOマウスは尾静脈注入を通してAAV8−hASMの3.0×1011ゲノムコピー(gc)を受容した。2週間後、6週齢の同一のマウスに、AAV2−hASMを、左半球の運動皮質、線条体、中脳、および小脳、ならびに右半球の視床下部、海馬、髄質、および小脳において注入した。各構造に1.5×1010gcであって、脳あたり合計1.2×1011gcを注入した。処置したコントロールグループは、4週齢でAAV8−hASMの全身注入のみ(n=12)および6週齢でAAV2−hASMの脳注入のみ(n=14)を受容し、未処置コントロールグループは、ASMKO(n=23)および野生型(n=10)マウスを包含した。
【0128】
血液中のhASMおよび抗hASM抗体のレベルを測定するために、定期的に眼内採血(eye bleeds)を行った。全身注入のみおよび組合せ注入により処置されたASMKOマウス由来の血清の解析は、血中hASMの最も高いレベルを示した。AAV8−hASMによる形質導入および後の発現は、このウイルスの指向性および発現カセットの設計により肝臓に制限されるプロモーター(DC190)の選択のため、主に肝臓を介在した。両グループは注入2週間後にhASMのピークレベルに達し、後に研究期間中に10倍まで減退した。未処置のASMKOおよびAAV2−脳のみのグループ由来の血清は、hASMの検出レベルを示さなかった。血清のさらなる解析は、組合せまたはAAV8全身のみの注入により処置されたマウスにおける抗hASM抗体のレベルが、未処置ASMKOマウスで観察される低い基本レベルに近似することを示した。対照的に、AAV2脳のみのグループに由来するマウスは、抗hASM抗体力価の迅速かつ強力(200倍の大きさ)な誘導を示した。従って、AAV8−hASMの全身注入により処置されたマウスは、発現したhASMに対して免疫耐性化されているらしい。
【0129】
酵素の高いレベルは、恐らく血液中の酵素のマンノース6−リン酸受容体介在エンドサイトーシス後に、組合せまたはAAV8全身のみの注入により処置されたマウスの肝臓、肺、脾臓および筋肉で顕著に表れた。AAV2脳のみのグループに由来する内臓器官におけるヒトASMレベルは、未処置ASMKOコントロールマウスで観察されるレベルを超えて有意に上昇しなかった。組合せおよびAAV2脳のみのグループに由来する脳の解析は、脳脊髄幹全体でhASMの高いレベルを示した。しかしながら、組合せのグループは、両集団における同一の組み換えAAV2ベクターの使用にも関わらず、脳のみの処置に比較して有意により高いレベルのhASMを示した。単に全身注入のみにより処置したマウスの脳におけるhASMのレベルは低く、未処置ASMKOマウスと同程度であった。このことは、血液中において肝臓に由来するhASMがCNSへと血液脳関門を通過することができないことを示した。興味深いことに、脳の粉砕物における抗hASM抗体の力価は、AAV2脳のみのグループでは、組合せのグループを含む他のグループと比較して約10倍高かった。それゆえ、脳における発現レベルは、抗体力価の逆数であった;組合せのグループはhASMの高いレベルおよび抗hASM抗体の低いレベルを示す一方、AAV2脳のみのグループはhASMの低いレベルおよび抗hASM抗体の高いレベルを示した。
【0130】
ASMKOマウスの内臓と脳において、蓄積病変の修正についてのhASM発現の効果を調べた。AAV8全身のみおよび組合せのグループから調べた全内臓組織においてスフィンゴミエリン蓄積の完全な修正が存在した。対照的に、脳注入のみを受けた動物は、未処置ASMKOマウスと同様に内臓における高いレベルのスフィンゴミエリンを含んだ。組合せの注入により処置されたASMKOマウスの脳におけるスフィンゴミエリンレベルの解析は、野生型のレベルに対して基質の広範囲な減少を示した。このことは、AAV2脳のみのグループを超えた改善であり、注入部位に相当する脳スラブのみにおけるスフィンゴミエリンの有意な減少を示した。従って、脳のみのグループにおける修正の程度は、有意に小さく、組合せのグループで観察される有効性には程遠かった。AAV2脳のみのグループにおけるスフィンゴミエリン蓄積の非有効性の減少は、このグループで観察される酵素のより低いレベルと相関関係にあった。未処置マウスと同様であるAAV8全身のみのグループにおいて、脳スフィンゴミエリンの高いレベルを観察した。
【0131】
hASMの発現について、ならびにスフィンゴミエリンおよびコレステロールの蓄積についても脳の切片をin situにて組織学的に解析した。hASMの発現パターンおよびスフィンゴミエリン蓄積のクリアランスは、AAV2脳のみのグループにおいて重なった。対照的に、スフィンゴミエリン蓄積の修正は、組合せ治療を受けた動物において注入部位を優に超えて展開した。これは、組合せ治療による形質導入領域と比較して、病変の反転の重なったおよび重なっていないパターンの両方を生じた。この関係をコレステロールマーカー、フィリピンでも観察した。組合せグループでは、脳の広い領域でコレステロール蓄積が除去されている一方で、AAV2脳のみのグループでは、局所のみおよびより限定されたコレステロールの除去が観察された。従って、注入部位から拡散して脳の末端領域で蓄積病変を修正するhASMの能力は、脳のみの注入を受けたマウスと比較して、組合せ注入により処理されたマウスでは有意により改善した。生化学的データから期待されうるように、AAV8全身のみのグループは、脳におけるスフィンゴミエリンまたはコレステロール蓄積の測定可能な修正を全く示さなかった。
【0132】
10週齢になったマウスを、加速およびロッキングロータロッド上の運動機能について2週間に1度テストした。組合せグループにおける動物は、試験した全時点において、両ロータロッドテストにおける運動能力の有意な改善を示した(p<0.001)。AAV2脳の注入により処置されたマウスは、未処置ASMKOマウスと比較した場合に、早い時点で加速ロータロッドにおける運動能力の最も低い改善を示した。しかしながら、それらの能力はより後の時点で衰え、脳のみの注入が運動機能の修正を維持するのに十分ではないことを示した。運動機能と協調のより厳格なテストであるロッキングロータロッドを用いると、AAV2脳のみのグループは研究全体を通じて低かった。AAV8全身のみのグループはロータロッドのどちらにおいても皆無かそれに近い利益を示した。
【0133】
17週齢になったマウスを、バーンズメイズにおける認知機能についても4週間に1度テストした。マウスは、記憶が介在した空間ナビゲーションの手がかりを利用して逆光の刺激のもとで迷路を脱出した。AAV2脳のみのグループは未処置ASMKOよりより上手に遂行したが、野生型マウスで観察された遂行レベルには程遠かった。全身注入のみにより処置されたマウスは、未処置コントロールと比較した場合にわずかな改善を示した。対照的に、組合せグループは、野生型マウスと同程度の能力によってバーンズマメイズを遂行した(p>0.05)。ロータロッドのデータを一緒にすると、脳と内臓の両方における病変の修正が最も大きな機能的な結果に必要であった。
【0134】
マウスを2週間に1度重量を測定して総体的な健康状態を評価し、それらの生存度をカプラン−マイヤープロットにより解析した。組合せのグループは野生型動物と同様の重量獲得プロフィールを示し、それはAAV2脳−およびAAV8全身−のみのグループより有意に良好であった(p<0.001)。瀕死の動物を、重度の運動失調、転倒なしに直線に歩行不能、毛繕い不可能、体重の20%喪失および脱水症状として定義し、動物愛護のために屠殺した。組合せ、AAV2脳−およびAAV8全身−のみのグループは、34週の平均寿命を示す未処置ASMKOマウスと比較して生存率の上昇を示した。しかしながら、組合せ治療により処置された全てのASMKOマウスは54週齢まで生存し、運動失調の徴候を示さなかった。このことは、全ての動物が48と47週の平均寿命を伴い瀕死となった(p<0.0001)、AAV2脳−およびAAV8全身−のみのグループを超える有意な改善であった。単独で注入されたグループの動物は54週まで生存しなかった。それゆえ、脳または内臓のみを処置することは有意な生存の利益を提供するが、これは、組合せ治療により両方の体の部分を処置することより効果が少ない。
【0135】
本明細書は、明細書内で列挙される参考文献の教示によりほとんど十分に理解される。明細書内の具体例は、本発明の態様の1つの例示を提供し、本発明の範囲を限定するために解釈されるべきではない。当業者は、多くの他の態様が本発明に包含されることを容易に理解する。この開示における全ての刊行物、特許文献、および生物学的な配列は、出典明示により本明細書に一体化させる。出典明示により一体化された文献の材料が本明細書と相反するか、不一致である範囲において、本明細書はかかる材料のいずれにも取って代わる。本明細書の参考文献の引用は、かかる文献が本発明に対する従来技術であることを認めることではない。
【0136】
特に示されていなければ、特許請求の範囲を含む、本明細書中で用いられる成分、細胞培養、処理条件等の量を表す全ての数字は、用語「約」により全ての例が修飾されるように理解されるものとする。従って、特に矛盾することが示されていなければ、数字のパラメータは近似であり、本発明により得ようとする望ましい特性によって変動してもよい。特に示されなければ、一連の構成要素の前に位置する用語「少なくとも」は、一組の各構成要素を意味することと理解される。当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の具体例とほとんど同等であるごく一般的な実験を用いて理解するか、確かめることができる。かかる同等なものは特許請求の範囲に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】マウスの中枢神経系への導入遺伝子の様々な投与部位を図で示す。
【図2】健康状態の測定として処置したマウスの体重を図で示す。測定を6週齢で開始した(処置は4週齢で始めた)。6から36週(導入遺伝子の全身注入2から32週後)、全ての群を未処置ASMKOマウスと比較した。図の説明:p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;ns(有意ではない)。
【図3】運動機能の回復の測定として加速ロータロッド試験の結果を図で示す。測定を10週齢で開始した(処置は4週齢で始めた)。10から36週(導入遺伝子の全身注入6から32週後)、全ての群を未処置ASMKOマウスと比較した。図の説明:p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;ns(有意ではない)。
【図4】運動機能の回復の測定としてロッキングロータロッド試験の結果を図で示す。測定を10週齢で開始した(処置は4週齢で始めた)。10から36週(導入遺伝子の全身注入6から32週後)、全ての群を未処置ASMKOマウスと比較した。図の説明:p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;ns(有意ではない)。
【図5】認知機能の回復の測定としてバーンズメイズ(Barnes Maze)試験の結果を図で示す。測定を17週齢で開始した(処置は4週齢で始めた)。17から33週(導入遺伝子の全身注入13から29週間後)、全ての群を未処置ASMKOマウスと比較した。図の説明:p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;ns(有意でない)。
【図6】ASM組合せ遺伝子治療がASMKOマウスの寿命を延ばすことを図で示す。ASMKOの平均寿命は34週であった。全身的な導入遺伝子を受けたマウスの平均寿命は45週であった(p<0.0001)。頭蓋内導入遺伝子を受けたマウスの平均寿命は43週であった(p<0.0001)。頭蓋内と全身的な導入遺伝子の治療を受けたマウスの平均寿命は、100%が54週間であった。
【図7】図7Aから7Dは、処置および未処置マウスにおける血中の抗hASM抗体レベルを図で示す。図の説明:p<0.05;**p<0.01;***p<0.001。図7Eは、経時的な血清中のヒトASMタンパク質レベルを示す。
【図8】処置および未処置マウスの脳におけるスフィンゴミエリンレベルを図で示す。
【図9】処置および未処置マウスの様々な内臓におけるスフィンゴミエリンレベルを図で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)免疫原をコードする導入遺伝子を含む有効量のウイルスベクターを哺乳動物の肝臓に投与し、次いで
b)免疫原をコードする導入遺伝子を含む有効量の第2のウイルスベクターを前記哺乳動物の脳に投与する
工程を含む方法。
【請求項2】
前記第2のベクターが、導入遺伝子の発現が前記哺乳動物で検出された後に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記導入遺伝子が、リソソーム蓄積症タンパク質またはポリペプチドをコードする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記タンパク質またはポリペプチドが、酸スフィンゴミエリナーゼポリペプチドまたはタンパク質である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記哺乳動物がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
哺乳動物の脳への投与が、脳幹、中脳、海馬、線条体、髄質、脳橋、中脳、小脳、視床、視床下部、大脳皮質、後頭葉、側頭葉、頭頂葉、および前頭葉からなる群から選択される部位である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
哺乳動物の脳への投与が、小脳の深部小脳核である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記AAVベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、およびAAV8からなる群から選択される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記AAVが、組み換えAAVベクターである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記組み換えAAVベクターが、AAV2/1、AAV2/2、AAV2/5、AAV2/7およびAAV2/8血清型ベクターからなる群から選択される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記組み換えAAVベクターが、肝臓特異的エンハンサーおよびプロモーターエレメントを含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記工程b)が繰り返される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
哺乳動物のニーマンピック病A型を処置するための方法であって、
a)酸スフィンゴミエリナーゼポリペプチドまたはタンパク質をコードする導入遺伝子を含む有効量のウイルスベクターを哺乳動物の肝臓組織に投与し、次いで
b)酸スフィンゴミエリナーゼポリペプチドまたはタンパク質をコードする導入遺伝子を含む有効量の第2のウイルスベクターを前記哺乳動物の脳に投与し、それにより哺乳動物のニーマンピック病A型を処置する
工程を含む方法。
【請求項15】
前記工程b)が繰り返される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記第2のベクターが、導入遺伝子の発現が前記哺乳動物で検出された後に投与される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記哺乳動物がヒトである、請求項14記載の方法。
【請求項18】
哺乳動物の脳への投与が、脳幹、中脳、海馬、線条体、髄質、脳橋、中脳、小脳、視床、視床下部、大脳皮質、後頭葉、側頭葉、頭頂葉、および前頭葉からなる群から選択される部位である、請求項14記載の方法。
【請求項19】
哺乳動物の脳への投与が、小脳の深部小脳核である、請求項14記載の方法。
【請求項20】
前記ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)である、請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記AAVベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、およびAAV8からなる群から選択される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記AAVが、組み換えAAVベクターである、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記組み換えAAVベクターが、AAV2/1、AAV2/2、AAV2/5、AAV2/7およびAAV2/8血清型ベクターからなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記組み換えAAVベクターが、肝臓特異的エンハンサーおよびプロモーターエレメントを含む、請求項20記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−526067(P2009−526067A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554342(P2008−554342)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/003388
【国際公開番号】WO2007/092563
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(500579888)ジェンザイム・コーポレーション (34)
【Fターム(参考)】