説明

ネットワークにおいて報告メッセージを生成する方法

本発明は、ステーションがインターバルごとに送信を行うネットワークにおいて、あるインターバルの媒体の予約を他のステーションに報告するために、ステーションによってメッセージを生成する方法に関し、前記ステーションは、一セットの予約情報要素を生成し、各々の予約情報要素は、前記インターバル中の前記予約のうちの一つを識別し、前記ステーションはさらに、予約情報要素を含む少なくとも一つのメッセージを作成し、他のステーションに前記メッセージを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークにおける媒体の予約を報告するための方法に関し、当該ネットワークは、インターバル(例えば時間インターバル)ごとに送信を行うステーションを含む。
【0002】
本発明は特に無線ネットワークにとって重要であり、特に、IEEE 802.11規格(特に次のIEEE 802.11s規格(現在ドラフト中))に基づくWLAN(無線ローカルエリアネットワーク)のようなメッシュ無線ネットワークにとって重要である。
【背景技術】
【0003】
通信システムにおいて、特に無線システムにおいて、送信は干渉に対して脆弱である。例えば、同時に送信されたフレームは衝突する可能性があり、互いを損なう可能性がある。これらのシステムは通常、衝突の数を低減するために複数の予防措置をとる。よく知られるIEEE802.11規格からの例は、衝突防止を伴う搬送波検知多重アクセス方式(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance: CSMA/CA)、及び、送信要求/受信準備完了(Request to Send/Clear to Send: RTS/CTS) バーチャルキャリア検出プロトコルを含む。これら2つのプロトコルのうちのいずれかのためにステーションが従う動作及びプロトコルに関する詳細については、IEEE802.11規格が参照される。
【0004】
媒体アクセス問題は、無線ノード密度が高く、多くの隠れたノードがあるシナリオにおいて悪化することがよく知られている。これが発生して重大な問題が生じるおそれがある主要な例は、メッシュネットワークにある。
【0005】
IEEE802.11s標準化委員会グループは、メッシュ用の802.11規格の拡張に関して現在作業している。現在のIEEE802.11s規格仕様(バージョンD1.05)(参照として本明細書に組み込まれる)は、IEEE MAC/PHYレイヤを用いるIEEE802.11 WLANメッシュを定める。802.11s規格によるメッシュネットワーク、いわゆるメッシュは、多数の個々の無線トランシーバ間の無線協調通信インフラストラクチャとして動作する。ネットワーク中のステーション即ちメッシュポイント(MP)は、それらの近くにある隣接したMPだけと通信して、したがって、近くのノードから、到達するにはあまりに遠いピアまで、メッセージデータを送信する中継器として作用する。本発明を説明するために、以下の段落において802.11s規格の用語が用いられる。
【0006】
そのようなメッシュネットワークにおいて、MPは通常、インターバルごとに、例えば時間インターバルごとに、定期的な送信のように送信を行う。例は、予約された時間スロットにおけるビーコン送信又はVOIP送信である。ロバストネスを改善するため及び/又はスペクトラムを得るための競合を低減するために、送信器及びこれらの送信の受信器の周りの環境に、これらの定期的な送信を通知することは有益である。
【0007】
現在の802.11sドラフト規格(802.11s D1.05)では、この目的のための2つの情報要素がある。
【0008】
IEEE802.11s D1.05仕様のセクション7.3.2.65に示されるように、第1の情報要素はビーコンタイミング要素(Beacon Timing Element)である。この情報要素は、その近傍のMPのビーコン送信時間と同様に、この要素を送信するメッシュポイント(MP)のビーコン送信の時間を知らせる。この情報要素は、ビーコン送信時間を近傍のステーションに知らせる。したがって、ステーションは、例えばNAVを設定することによって又はそれら自身のビーコンの予定を変更することによって、これらの時間の間に送信を行うことを回避することができ、衝突及び競合を回避することができる。
【0009】
第2の情報要素は、MDAOP通知要素(MDAOP advertisements element)である。この情報要素は、MDA(Mesh Deterministic Access)送信のために予約されたタイムスロットを通知する。それは、この要素を送信するMPが送信器又は受信器として関与する予約(TX-RX時間報告)と、その近傍MPのうちの1つが送信器として又は受信器として関与する予約(干渉時間報告)との両方をリストアップする。そのような手段の有効性は、MilCom07に提出されたHiertz、Max、Junge、Denteneer及びBerlemannによる"IEEE 802.11s mesh deterministic access"のような、さまざまな刊行物において報告されている。
【0010】
したがって、これらの第1及び第2の情報要素は、MPが予約することを意図する通信時間を近傍に報告するために構築される。
【0011】
この目的のために、IEEE 802.11s D1.05仕様のセクション7.2.3.1に示されるように、第1及び第2の要素は、メッセージ(いわゆるビーコンフレーム)中に埋め込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のメカニズムは媒体上の通信ロバストネスを改良して、MP間の競合を防止するが、それでもやはりビーコンフレームは、予約の報告専用の多くの帯域幅を、ひいてはより大きなビーコンフレームを必要として、「ビーコン膨張」(あまりに多くの帯域幅を必要とする非常に大きなサイズを有するビーコン)として一般的に知られているものを生じさせる密集したメッシュネットワークでは特に、多くの帯域幅を必要とする場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、ネットワークに負荷をかけすぎるリスクを減少させることである。
【0014】
第1の実施の形態において、本発明は、ステーションがインターバルごとに送信を行うネットワークにおいて、あるインターバルにおける媒体の予約を他のステーションに報告するためにステーションによってメッセージを生成する方法であって、前記ステーションが、各々の予約情報要素が前記インターバル中の前記予約のうちの1つを識別する一セットの予約情報要素を生成し、情報要素の前記セットの予約情報要素を複数のメッセージに分配するように予約情報要素を含む複数のメッセージを作成する方法を提案する。
【0015】
さまざまなメッセージへの予約情報のそのような分配を実施することによって、一つのメッセージ中に全ての予約情報要素を含めることは必要ない。したがって、予約情報要素がネットワーク中で見いだされる頻度は低減されることができ、したがってその情報レートは、ネットワーク中で低減されることができる。
【0016】
本発明の第2の実施の形態は、ステーションがインターバルごとに送信を行うネットワークにおいて、あるインターバルにおける媒体の予約を他のステーションに報告するためにステーションによってメッセージを生成する方法であって、前記ステーションが、各々の予約情報要素が現在の予約を識別するための情報を有する予約情報要素を生成し、前記予約情報要素のセットのうち、以前の予約から変更された現在の予約に関する予約情報要素だけを含むメッセージを作成する方法を提案する。
【0017】
特に、前記予約情報要素のそれぞれに含まれる情報は、現在の予約を識別する予約情報と以前の予約を識別する予約情報との間の差の結果か又はその逆であり、これらの情報は、以前の予約と現在の予約との間に発生した変化を識別する。
【0018】
その結果として、第1又は第2の実施の形態による方法は、メッセージが、全ての予約情報要素を必ずしも含むというわけではないので(第1の実施の形態)、又は、前の予約以後に発生した予約変更に関する情報のみを含むので(第2の実施の形態)、小さなサイズのメッセージを生成する。
【0019】
これは、全ての予約情報を含む苛酷な形態のメッセージ膨張を回避する。
【0020】
これはさらに、非常に大きなメッセージを生成することを回避することができる。
【0021】
メッセージサイズを低減することによって、送信されるデータの量は低減され、送信継続時間は減少し、それによって、無線媒体はあまりビジーでなくなる。
【0022】
したがって、本発明によって生成されるメッセージは、他の変調及び符号化スキーム(MCS)へ切り替えること無く、高速で送信されることができる(後者は、ビーコンフレーム送信のためのPHYレイヤ上の通信速度を増加させるために用いられる)。メッセージが遠い距離でも同様に受信されることができることを保証するために、最も強力なMCSが、メッセージの送信のために好ましくは選択される。
【0023】
本発明はさらに、あるインターバルにおける媒体の予約を他のステーションに知らせるために、ステーションによってネットワークの中にメッセージを送信する方法に関し、当該方法は、ステーションによって実施される、第1又は第2の実施の形態の方法に従ってメッセージを生成するステップ、他のMPに前記メッセージを送信するステップを有する。
【0024】
本発明は同様に、ネットワーク中のステーション用の電子装置に関し、当該装置は、インターバルごとにデータを送信するための手段、及び、第1又は第2の実施の形態による方法を実施するための手段を有する。
【0025】
本発明はさらに、複数のこれらの電子装置を有するネットワークに関する。
【0026】
本発明はさらに、第1又は第2の実施の形態の方法を実施するための手段を有するコンピュータプログラムに関する。
【0027】
本発明はさらに、予約情報要素を含み、第1又は第2の実施の形態の方法によって生成されるメッセージを形成する信号に関する。
【0028】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に記載される実施の形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【0029】
本発明は、添付の図面を参照して、さらに詳細に一例として以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態による、送信器"A"がどのように、"A"が媒体上で行った予約を受信器"B"に通知するためのいくつかのメッセージを生成して受信器"B"に送信するのかを示す概略図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の特定のケースによる、送信器"A"がどのように、"A"が媒体上で行った予約を受信器"B"に通知するためのいくつかのメッセージを生成して受信器"B"に送信するのかを示す概略図。
【図3】本発明の第2の実施の形態による、送信器"A"がどのように、"A"が媒体上で行った予約を受信器"B"に通知するためのいくつかのメッセージを生成して受信器"B"に送信するのかを示す概略図。
【図4】本発明の第2の実施の形態によるメッセージの構造の例を示す図。
【図5】図4のメッセージの詳細を示す図。
【図6】図4のメッセージの詳細を示す図。
【図7】図4のメッセージの詳細を示す図。
【図8】図4のメッセージの詳細を示す図。
【図9】図4のメッセージの詳細を示す図。
【図10】図4のメッセージの詳細を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を説明するために以下に記載される特定の実施の形態は、メッシュポイントが時間インターバルを置いて、例えば定期的に又は周期的に送信を行うメッシュ無線ネットワークにおけるメッシュポイントによる媒体の予約に関する。以下で記載される例は、予約された時間スロットにおけるビーコン送信又はVOIP送信である。しかしながら、本発明は同様に周波数及び/又は符号及び/又は他の次元に適用されることができる。
【0032】
本発明は、より詳しくは、インターバル中の媒体の予約をネットワークの他のMPに知らせるために、メッシュネットワークのメッシュポイント(MP)によってメッセージ(いわゆるビーコン)を生成することに関する。
【0033】
この目的のために、MPは、
- 一セットの予約情報要素を生成し、
- その予約情報要素の少なくとも一部を含む少なくとも1つのメッセージ(いわゆるビーコンフレーム)を作成し、
- 他のMPに、特に近傍のMPにメッセージを送信する。
【0034】
予約情報要素は、考慮されたインターバル中の予約を識別するために、媒体の一つの予約に関する情報を順序づけて収容するように、その符号化された構造が配置される任意の種類の要素であることができる。
【0035】
MPによって実行される情報の送信は、1つあるいは複数の他のMPによって送信される特定のリクエストの下で開始されることができる。
【0036】
このようにしてMPは、考慮された時間インターバル中にどのような予約が近傍のMPによって実行されたかについて通知される。
【0037】
したがってこれらのMPは、予約情報要素に含まれる予約情報を考慮して、それらの自身の予約を準備することができる。
【0038】
第1の例示的な実施の形態によれば、本発明は、以下のステップにより、MPによってメッセージ(いわゆるビーコンフレーム)を生成することを提案する。
(a)各々の予約情報要素がインターバル中の前記予約のうちの1つを定める一セットの予約情報要素を生成するステップ、及び
(b)情報要素の前記セットの予約情報要素を複数のメッセージに分配するように予約情報要素を含む複数のメッセージを作成するステップ。
【0039】
現在の802.11sドラフト規格(802.11s D1.05)に従うメッシュネットワークを用いる例において、時間インターバルは、Mesh DTIM(Mail Delivery traffic Indication Message)インターバルと呼ばれる。
【0040】
さらに、現在の802.11sドラフト規格(802.11s D1.05)に従うメッシュネットワークを用いる例において、メッセージは、各々が、参照として本明細書に組み込まれるセクション7.3.2.65に記載されるビーコンタイミング要素と同様の、及び/又は、参照として本明細書に組み込まれるセクション7.3.2.69に記載されるMDAOP通知要素と同様の構造を有するように、符号化されることができる。
【0041】
しかし、本発明によるメッセージは、いくつかのメッセージにわたって予約が分配されるので、立案された規格のビーコンタイミング要素及びMDAOP通知要素に反して、DTIM全体にわたる全ての予約を含むというわけではない。
【0042】
メッセージがそのようなビーコンタイミング要素を含む場合、各々のビーコンタイミング予約のための情報は、考慮されるMP(すなわちメッセージを送信するMP)によって予約されたビーコン時間を識別する、セクション7.3.2.65において"自己ビーコンタイミング(Self Beacon Timing)"サブフィールドと呼ばれる対応する予約情報要素中に含まれる。特に、この予約情報要素の符号化は、このセクションの図s29に示される。さらにメッセージがビーコンタイミング要素を含む場合、少なくとももう一つの予約情報要素が、セクション7.3.2.65に記載されるように、考慮されるMPの少なくとも1つの近傍MPによって予約されたビーコン時間を識別する、セクション7.3.2.65の"同期ビーコンタイミングMP1(Synchronized Beacon Timing MP1)"サブフィールドに対応することができる。特に、この予約情報要素の符号化は、このセクションの図s30に示される。
【0043】
ここで、メッセージがMDAOP通知要素を含む場合、各々のMDAOPタイプの予約の情報は、セクション7.3.2.69において"MDAOPk"(kは1-nの範囲に含まれる)サブフィールドと呼ばれる、このセクションの図s37に示される対応する予約情報要素に含まれ、各々のMDAOPは、考慮されるMP(すなわちメッセージを送信するMP)によって予約されたDTIM中の通信時間又はスロットを識別する。そのような予約情報要素の設定は、参照として本明細書に組み込まれる規格のセクション7.3.2.66に記載された設定と同様である。さらに、メッセージがMDAOP通知要素を含む場合、少なくとももう一つの予約情報要素が、セクション7.3.2.69に記載されるように、考慮されるMPの一つの近傍MPに対して少なくとも予約されるDTIMにおける各々の通信時間又はスロットを識別する"干渉時間報告(Interfering times report)"に含まれる"MDAOP"サブフィールドに対応することができる。この予約情報要素の符号化は、考慮されるMPの"MDAOP1"の符号化と同様である。
【0044】
これらのタイプの予約情報要素の両方は、定期的な予約が情報要素のサイズを低減するように行われる、巧妙だが異なる時間エンコーディングを特徴とする。同様に、2種類の情報要素の処理は異なる。ビーコン時間要素では、報告を行うMPは、それ自身のビーコン送信時間について、及び近傍MPのビーコン送信時間に関して、それが知っていることを報告する。MDAOP通知では、報告を行うMPは、それが送信器又は受信器として関与する予約("TX-RX時間")を広告する。加えてそれは、隠れノード衝突を回避するために、この情報要素の"干渉時間"要素にその近傍MPのTX-RX時間をコピーすることができる。
【0045】
本発明の例示的な第1の実施の形態によるメッセージはそれぞれ、同様に、セクション7.3.2.65に記載されるビーコンタイミング要素の構造及びセクション7.3.2.69に記載されるMDAOP通知要素の構造を一つの構造に組み合わせるように符号化されることができる。
【0046】
特に、いくつかの前記"自己ビーコンタイミング"サブフィールドは、符号化ルールに従って、"MP1"サブフィールドと一つのサブフィールドに組み合わせられることができる。この場合には、前記"予約情報要素"は、これらの2つのサブフィールドの組み合わせである。
【0047】
このメッセージは、第1のもの(ビーコンタイミング要素のみ)及び第2のもの(MDAOP通知要素のみ)と比べて、複数の利点を示す。
- 異なる定期的な通信時間予約を一つの構造に組み合わせることによって、符号化はより効率的である。これは以下のように説明されることができる。広告される予約が示されるフォーマットは、個々の送信のフォーマットと同一でないことを必要とする。例えば、装置がビーコンを送信して、その後に直ちに予約スロット中でVOIPメッセージを送る場合、2つのエントリを用いるのではなく1つのエントリを用いて、組み合わせた態様で効率的に、これらを広告することができる。
- MPとして動作する装置の実装は単純化されることができる。実際、情報を解析して解釈するための一つのルーチンだけが必要である。
- 装置の基本的な機能を変えることなく、新たな定期的情報(例えば経路情報又は管理情報)を広告して保護するための適切なメカニズムがある。
【0048】
前記ステップ(a)及び(b)による予約の方法は、図1に示されるように、異なるビーコン上に予約情報を分配することを提案する。
【0049】
図1を参照して、"A"として参照されるMPは、(1, 2, ..., nとして参照される)一セットのスロットを予約することを望む。この目的のために、MP"A"は、n個の予約情報要素(A.1, A.2, ..., A.n)のセット(10)を生成し、20で示されるブロードキャストメッセージ(いわゆるビーコンフレーム)においてそれらを周期的に送信する。各々のメッセージは、予約情報要素のうちのいくつかのみを含む。第1のメッセージ21は、要素{A.1 ... A.k-1}を含む。第2のメッセージ22は、要素{A.k ... A.m-1}を含む。第3のメッセージ23は、要素{A.m+1 ... A.n}を含む。第4のメッセージ24は、新たな{A.1 ... A.k-1}要素を含む。この例では、考慮された時間インターバル中のn個のスロットの予約情報は、3つのメッセージ21, 22, 23にわたって分配される。第4のメッセージは、次のインターバルのための第1の予約情報要素{A.1 ... A.k-1}を含む。
【0050】
この静的トポロジに関しては、各々の予約要素を高レートで繰り返すことは不要であり、したがって、その情報がビーコン中に含まれる頻度を低減する。
【0051】
さらに、メッセージは小さく、したがってビーコン膨張の苛酷な形態及び低レートの問題を回避する。
【0052】
メッセージ受信の観点から、MPがその近傍MPのうちの1つからの予約情報のセット全体(1 ... n)を知る必要があるならば、それは、例えばユニキャストを介して直接これを要求することができ、その場合、その情報は、より高速で及び/又は"オンデマンドで"送信されることができる。
【0053】
本発明の第1の例示的な実施の形態の特定の実施において、いくつかの予約情報要素は静的であるが他の予約情報要素は頻繁に変化する場合がある。
【0054】
図2は、このメッシュ装置Aの予約情報要素が5つのブロードキャストメッセージ(ビーコンフレーム)31-35を通じて分配される特定のシナリオを図示する。
【0055】
この複数のメッセージ31-35への予約要素の分配は、予約情報要素A1, A2, A3が前記5つのメッセージの中のいくつかのメッセージに含まれるように実施される。A.1はブロードキャストメッセージごとに繰り返され(最高反復インターバル)、予約情報A.2は1メッセージおきに送信され、予約情報A.3は2メッセージおきに送信される。
【0056】
このように、特定のインターバルにおける予約に割り当てられるメッセージにわたる予約情報要素の分配の周期性は調整されることができる。この調整は、例えば、緊急基準、予約要素の重要度、ネットワークトポロジの最近の変更又は他のニーズのような、確定的な基準に応じて選択されることができる。
【0057】
第2の例示的な実施の形態において、本発明は、以下のステップにより、MPによってメッセージ(いわゆるビーコン)を生成することを提案する。
- 予約情報要素を生成するステップ。各々の予約情報要素が現在の予約を識別するための情報を含む。予約情報要素は、前の予約から変更された現在の予約についてのみ生成される。
- 前記予約情報要素の少なくとも一部を含むメッセージを作成するステップ。
【0058】
この特定の第2の実施の形態において、「現在の予約」は、現在のインターバルにおける通信時間又はスロットの予約を指し、そして「前の予約」は、前のインターバルにおける通信時間又はスロットの予約を指す。あるいは、「現在の予約」は現在のメッセージにおいて報告される予約を指し、そして「前の予約」は前のメッセージにおいて報告された予約を指す。この特定のケースにおいて、いくつかのメッセージは、現在のインターバルのための予約情報を全て報告することができ、この現在のインターバルと関連する前に報告されたメッセージ以降の現在のインターバルに対する予約変更を他のMPに通知する。
【0059】
予約情報要素は、前の予約と現在の予約との間の変化を明確に識別するように、現在の予約の情報と前の予約の情報との間の示差予約情報(differential reservation information)を含むことができる。予約情報間の差分は、現在の802.11sドラフト規格(802.11s D1.05)のセクション7.3.2.65に記載されるようなビーコンタイプの予約情報間、現在の802.11sドラフト規格(802.11s D1.05)のセクション7.3.2.69に記載されるようなMDAOPタイプの予約情報間、又は、それらの組合せの予約情報間で、実施されることができる。他の場合において、予約情報の各々の差分は、他のフォーマットで構築された予約情報間で実施されることができる。他のフォーマットは、例えば、特定の符号化ルールに従って、MDAOPタイプの予約情報とビーコンタイプの予約情報を一つの予約情報に組み合わせることから取得されることができる。
【0060】
他の場合において、予約情報要素は、示差予約情報ではなく、現在の予約の予約情報全体を含むことができる。予約情報全体は、現在の802.11sドラフト規格(802.11s D1.05)のセクション7.3.2.65に記載されるようなビーコンタイプ、若しくは、現在の802.11sドラフト規格(802.11s D1.05)のセクション7.3.2.69に記載されるようなMDAOPタイプ、又はそれらの組合せであることができる。他の場合において、予約情報は他のフォーマットで構築される。他のフォーマットは、例えば、特定の符号化ルールに従って、MDAOPタイプの予約情報とビーコンタイプの予約情報を一つの予約情報に組み合わせることから取得されることができる。
【0061】
ビーコンタイプの情報は、考慮されるMP(すなわちメッセージを送信するMP)によって予約されるビーコン時間を識別するセクション7.3.2.65において"自己ビーコンタイミング"サブフィールドと呼ばれる対応する予約情報要素に含まれる。特に、この予約情報要素の符号化は、このセクションの図s29に図示される。なお、メッセージがビーコンタイミング要素を含む場合には、少なくとももう一つのビーコンタイプの予約情報が、考慮されるMPの少なくとも1つの近傍MPによって予約されるビーコン時間を識別するセクション7.3.2.65で"同期ビーコンタイミングMP1(Synchronized Beacon Timing MP1)"サブフィールドと呼ばれる対応する予約情報要素に含まれることができる。特に、この予約情報要素の符号化は、このセクションの図s30に図示される。
【0062】
ここで、メッセージがMDAOP通知要素を含む場合、MDAOPタイプの各々の予約のための情報は、セクション7.3.2.69において"MDAOPk"サブフィールド(kは1-nの範囲)と呼ばれる、このセクションの図s37に示される予約情報要素に含まれ、各々のMDAOPは、考慮されるMP(すなわちメッセージを送信するMP)によって予約されるDTIM中の通信時間又はスロットを識別する。そのような予約情報要素の構成は、参照として本明細書に組み込まれる規格のセクション7.3.2.66に記載された構成と同様である。なお、メッセージがMDAOP通知要素を含む場合には、少なくとももう一つの予約情報要素が、セクション7.3.2.69に記載されるように、考慮されるMPの少なくとも一つの近傍MPに対して予約されるDTIMにおける各々の通信時間又はスロットを識別するセクション7.3.2.69の"干渉時間報告"に含まれる"MDAOP"サブフィールドに対応することができる。この予約情報要素の符号化は、考慮されるMPの"MDAOP1"の符号化と同様である。
【0063】
メッシュの他のMPは、直接フレーム交換を介してそれらの近傍の予約について知る。
【0064】
メッセージ(ビーコンフレーム)が変更された要素に関する情報のみを保持することは、予約変更の迅速なアナウンスを可能にする。したがって、長期の予約は放送される必要がなく、オーバーヘッドを増さない。
【0065】
図3は、この第2の実施の形態を図示する。t0, t1, t2, t3において、特定のスロットのセット11, 12, 13, 14のそれぞれが予約されなければならない。
【0066】
t0において、ブロードキャストメッセージ(ビーコンフレーム)はn個の予約を持つ。装置Aの周りのメッシュ装置は、前のメッセージ交換から、現在のn個の予約について知っている。t1において、予約kは無効になる。直後にスケジューリングされたブロードキャストメッセージ(ビーコンフレーム)42において、装置Aは、予約kの削除のみを通知する。t2において、予約A.2及びA.3は失効し、新たな予約A.n+1, A.n+2及びA.n+3が追加され、そして他の予約は変化しないままである。したがって、次のビーコンフレーム44は、新たに構成される予約要素A.n+1, A.n+2及びA.n+3並びに要素A.2及びA.3の失効のみをアナウンスする。t3において、通信時間予約A.n+1が失効する。後続のメッセージ45はその失効を通知する。
【0067】
図4-10は、第2の実施の形態によるメッセージ中の予約情報を符号化するための一つの可能な方法を示す。符号化は、差分だけを通知するための示差符号化である。
【0068】
図4は、(101)にインターバル若しくはサブインターバル識別子又はメッセージ識別子(ID)を含むメッセージ(100)を示す。隣接MPがそれらの情報が最新かどうかを確認することを可能にするために、この要素はさらに、(102中に)総予約時間を含む。
【0069】
図4の"予約情報(Reservation information)"と称されるセル(103)は、図5に詳述され、そのMP自体が関与するTx-Rx動作のために予約された時間の総数、すなわち最後の報告から変更された予約の時間の総数を(104)に含む。セル(103)はさらに、報告MPの第一の近傍MPが予約した総干渉時間(105)を含む。総Tx-Rx及び総干渉(105)は共に負でない数である。
【0070】
図5の"示差情報(Differential information)"セル(106)は図6に詳述され、最後の報告から変化した情報を含む。この情報は、Tx-Rx情報(108-109)及び干渉情報(110-111)に分割される。
【0071】
図6の差分数(Differential numbers)要素(107)は、図7に詳述され、TX-RX時間(112)及び干渉時間(114)として追加される予約の数並びにTX-RX時間(113)及び干渉時間(115)として除去される予約の数を含む。これらの量(112-115)の各々のためには、ちょうど2ビットで十分である。これらは負でない数と解釈され、変更の数を4つに制限する。
【0072】
より多くの変更が報告される必要がある場合には、これは次のメッセージを送信することで実行されることができる。
【0073】
図6のTx-Rx追加(Tx-Rx Add)要素(108)は、図8に詳述される。それは、"追加要素(Add element)"(116)によって、MPが関与する追加されるTx-RX予約の数mを報告する。"追加要素"は、前述のような、個々の予約を識別することを可能にする"予約情報要素"である。
【0074】
"干渉追加(Interference add)"(110)は"追加要素"と同様であるので、それらはここで詳述されない。
【0075】
各々の個々の"追加要素"(116)は図9に詳述される。この追加要素の型式は、現在の802.11sドラフト規格(802.11s D1.05), セクション7.3.2.66に記載されるMDAOP要素の形式と同様である。例えば、"Id"(117)はスロット予約を識別し、"Duration"(118)は予約スロットの継続時間を特定し、"Periodicity"(119)は(前記インターバルが分割されたところの)サブインターバルの数を与え、そして"Offset"(120)は、サブインターバル及びインターバル中の予約スロットの位置を特定する。この"追加要素"は、送信器又は受信器のMACアドレスと組み合わせて固有であるId" (117)を含むことに留意すべきである。予約を設定する際、送信器及び受信器のみが関与するので、一意性を保証することは問題ない。
【0076】
ここで図10に詳述される図6の削除セル(109)を参照して、このセル(109)は、MPが除去することを決定したのでもはや必要ない予約のIdのリストを含む。
【0077】
本発明は、メッシュネットワーク又は無線ネットワークに限定されず、そのステーションがインターバルごとに互いに通信することができる任意のネットワークに拡張されることができることに留意すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステーションがインターバルごとに送信を行うネットワークにおいて、あるインターバルにおける媒体の予約を他のステーションに報告するためにステーションによってメッセージを生成する方法であって、前記ステーションが、
各々の予約情報要素が前記インターバルにおける前記予約のうちの一つを識別する一セットの予約情報要素を生成し、
情報要素の前記セットの前記予約情報要素を複数のメッセージに分配するように、予約情報要素を含む複数のメッセージを作成する方法。
【請求項2】
前記ネットワークが、IEEE802.11s規格による無線メッシュネットワークであり、前記ステーションがメッシュポイントである、請求項1に記載のメッセージ生成方法。
【請求項3】
複数のメッセージを作成する前記ステップが、前記予約情報要素のうちの少なくとも一つを、前記複数のメッセージのうちの複数のメッセージに分配するように実施される、請求項1に記載のメッセージ生成方法。
【請求項4】
複数のメッセージに含まれる前記予約情報要素のうちの少なくとも一つが、予め定められた繰り返しレートで、前記複数のメッセージのうちのいくつかにおいて繰り返される、請求項3に記載のメッセージ生成方法。
【請求項5】
ステーションがインターバルごとに送信を行うネットワークにおいて、あるインターバルにおける媒体の予約を他のステーションに報告するためにステーションによってメッセージを生成する方法であって、前記ステーションが、
各々の予約情報要素が現在の予約を識別するための情報を含む予約情報要素を生成し、
予約情報要素の前記セットのうち、以前の予約から変更された現在の予約に関する予約情報要素のみを含むメッセージを作成する方法。
【請求項6】
前記予約情報要素の各々に含まれる情報は、現在の予約を識別する予約情報と以前の予約を識別する予約情報との間の差の結果であるか又はその逆であり、これらの情報は、以前の予約と現在の予約との間に発生した変化を特定する、請求項5に記載のメッセージ生成方法。
【請求項7】
前記予約情報要素はさらに、現在の予約と以前の予約との間に発生した変化の性質に従ってメッセージ中で並べられる、請求項5又は請求項6に記載のメッセージ生成方法。
【請求項8】
予約情報要素の収容は、現在の予約と以前の予約との間に発生した変化の性質に応じて異なる、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載のメッセージ生成方法。
【請求項9】
前記ステーションによって、少なくとも一つの他のステーションから少なくとも一つの受信メッセージを受信し、各々の受信メッセージは、前記少なくとも一つの他のMPが前記インターバルにおける媒体の予約を既に行ったことを前記ステーションに知らせる予約情報要素を含み、予約情報要素を生成する前記ステップは、前記少なくとも一つの他のステーションによって既に行われた前記予約を考慮するように前記ステーションによって実施される、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のメッセージ生成方法。
【請求項10】
前記予約情報要素のいくつかが、考慮されるステーションの近傍のステーションによって行われるいくつかの予約を特定する、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のメッセージ生成方法。
【請求項11】
前記メッセージがビーコンフレームである、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のメッセージ生成方法。
【請求項12】
ステーションがインターバルごとに送信を行うネットワークにおいて、あるインターバルにおける媒体の予約を他のステーションに知らせるために、ステーションによってネットワークにメッセージを送信する方法であって、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法によってメッセージを生成し、当該メッセージを他のステーションに送信する方法。
【請求項13】
ネットワーク中のステーション用の電子装置であって、インターバルごとのデータの送信器及び請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の方法を実施する処理ユニットを有する電子装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電子装置を複数含むネットワーク。
【請求項15】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の方法を実施するためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−534021(P2010−534021A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516619(P2010−516619)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052774
【国際公開番号】WO2009/010903
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】