説明

ネットワークアーキテクチャ、ローカル・モビリティ・アンカー、及びモビリティ・アンカー・ゲートウェイ

【課題】モバイルノードに確立されている既存のIPパケットフローを、モバイルノードからの指示に従って、現在使用中の無線アクセス技術から別の無線アクセス技術に対して動的に移転することが可能なネットワークアーキテクチャを提供する。
【解決手段】モバイルノード10のホーム・ネットワーク・プレフィックスとモビリティ・アンカー・ゲートウェイ16,22のプロキシ気付アドレスとの間のバインディングを登録するローカル・モビリティ・アンカー26を備える。モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス又は既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスと、移転されるIPパケットフローF2との間でさらにバインディングを登録する。モバイルノード10の既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスは、ターゲット・モビリティ・アンカー・ゲートウェイ22のプロキシ気付アドレスと既に関連付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には無線通信に関し、より具体的には、プロキシ・モバイル・インターネット・プロトコル・バージョン6(PMIPv6)に基づくIPフローモビリティをサポートするためのネットワークアーキテクチャ、ローカル・モビリティ・アンカー、及びモビリティ・アンカー・ゲートウェイに関する。
【背景技術】
【0002】
1.1 IPフローモビリティの意義
近年、インターネット用移動端末(例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、ネットブック等)の急速な浸透により、モバイル・データ・トラヒックが急激に増大している。また、新たなモバイル・ブロードバンド・サービスが増々出現して広まりつつあるため、アプリケーション要求に応じて、モバイル・データ・トラヒックの形態が非常に多様化している。例えば、1セッションに大量のデータ・トラヒックを長期間に亙って必要とするアプリケーション(例えば、動画ストリーミング、ファイル転送等)もあれば、1セッションで短期間(例えば、オンラインでのニュース視聴、電子メール送信等)必要なものもある。他方で、少ないデータ・トラヒックでもシグナリング負荷が高いアプリケーション(例えば、ナビゲーションなどの位置ベースのサービス、近年のソーシャル・ネットワーキング等のプッシュ技術ベースのサービス、近年のインスタント・メッセージング等)がある。
この傾向により、モバイルネットワーク事業者は、新たに出現するモバイル・サービスをサポートし、且つ、ユーザの新たな要求を満たすべく、重大な課題に直面している。
【0003】
最も重要な課題は、緊急に解決が必要なモバイルデータの爆発問題に如何に対処すべきかということにある。安定した無線アクセス環境及び安定したモバイル・サービスを提供するためには、例えば、3G(第3世代)システムから4G(第4世代)又は4Gを超えるシステムへのアップグレード、又は基地局又はルータなどの追加装置の配備といった、移動ネットワークシステムの向上によりトラヒックの処理能力を拡大することは、考慮すべき重要課題である。ところが、これらの解決策はモバイルネットワーク事業者にとって必須ではあることは確かであるが、その配備には高額の投資が必要であり、且つ長期間を要することから、事業者にとって重荷となる。
【0004】
一方、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、HSPA(High Speed Packet Access)、LTE(Long Term Evolution)、WiFi、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等といった多種の無線ネットワークシステムは絶え間なく進化しており、この結果、異なる無線アクセス技術が供給する無線サービス圏は相互に重複している。さらに、移動端末装置の多くは異なる無線アクセス技術をサポートする複数の無線インタフェース、典型的には、3GとWiFiを装備している。ヘテロジーニアスネットワーク環境においては、モバイルデータの爆発問題の解決のためには、補完的な無線アクセス技術を用いたトラヒックオフローディングがより効果的なアプローチとなる。複数の無線アクセス技術を使用することにより、無線ネットワークのトラヒックロードの分散、無線リソースの最適使用、ユーザの好みに応じた各種無線ネットワークへの接続機会の提供が可能となる。
【0005】
ヘテロジーニアスネットワーク環境が実現されるとともに、ユーザからの要求がより多様化されるにつれて、モバイルユーザは、選択されたIPパケットフロー(IPフロー)の異なる無線インタフェース間のシームレスな移動(移転)だけでなく、複数の無線ネットワークへの同時アクセスを望むことが考えられる。ユーザの新たな要求をサポートするために、インターネット技術標準化委員会(IETF:Internet Engineering Task Force)はフローの要求とユーザの好みに応じてIPフローを複数のリンクで分割可能なIPフローモビリティ技術を開発している。
【0006】
IPフローモビリティは、シームレスなモバイルデータのオフロードだけでなくユーザ経験の向上のためのキーとなる技術である。例えば、モバイル機器が2つの無線アクセス技術(例えば3GとWiFi)に適合した2つの無線インタフェースを備えており、且つ、VoIPストリーミングと動画ストリーミング等の2つの目的に使われる2つのIPフローが3Gネットワークとモバイル機器との間で確立されていると仮定する。3GとWiFiの両方が利用可能な地域(例えば、オフィス、家、ホットスポット等)へモバイル機器が移動した場合、ユーザは、シームレスな接続性と保証されたQoS(サービスの品質)を確保するために3GネットワークにおいてVoIPストリーミング及び動画ストリーミングの両方の既存接続を維持したいと考えるかもしれない。あるいは、ユーザは、動画ストリーミングのフローだけを3GネットワークからWiFiネットワークへ移転(移動)し、低コストでベストエフォート型ネットワーク・サービスの利益を享受する方を望むかもしれない。
【0007】
1.2 IPモビリティ管理
IPフローの移動(移転)の間、中断なしでセッションの接続性を維持するためには、モビリティ管理プロトコルが必要である。かかるプロトコルは、ホストベースのモビリティ管理プロトコル又はネットワークベースのモビリティ管理プロトコルに分類できる。
【0008】
1.2.1 ホストベースのIPモビリティ管理
RFC3775(非特許文献1)に記載のモバイルIPv6(MIPv6)及びRFC5555(非特許文献2)に記載のデュアルスタックモバイルIPv6(DSMIPv6)は、移動中に中断なしでセッションの接続性を維持するためのホストベースのモビリティ管理プロトコルである。MIPv6又はDSMIPv6プロトコルにより、モバイルノードは、そのホームエージェント(HA)とシグナリングメッセージ(例えば、バインディング更新メッセージとバインディング確認メッセージ)を交わすことによってそのモビリティを管理できる。MIPv6ではパケットを送受信するインタフェースを1つだけサポートするため、モバイルノードは、モバイルノードの気付アドレス(CoA)を一度に1つだけモバイルノードのホームアドレスでバインディングすることができる。
【0009】
RFC5648(非特許文献3)は、モバイルIPv6の拡張を提案するものであり、これによれば、モバイルノードは、1つのホームアドレスに気付アドレスを複数登録し、複数のバインディング・キャッシュ・エントリを作成できる。具体的には、RFC5648では、複数の気付アドレス登録(MCoA:Multiple Care of Address Registration)が提案されおり、新たなバインディング識別番号(BID(binding identification)番号)を用いて、モバイルノードによって登録された複数のバインディングを識別する。各バインディングは、気付アドレスとホームアドレスとの組み合わせである。MCoAでは、複数の無線インタフェースを含むモバイルノードが、モバイルIPv6が提供するセッションの持続性を活用しつつ、その複数の無線インタフェースを使用してパケットを送受信することができるように、複数のBID番号を用いてホームアドレスに複数の気付アドレスをバインド可能である。モバイルノードによってホームアドレスの気付アドレスを登録すると、ホームエージェントはBID用の個別のバインディングを作成することにより、複数のバインディング・キャッシュ・エントリを記憶する。
【0010】
RFC6089(非特許文献4)は、MIPv6、DSMIPv6及びNEMO(Network Mobility)プロトコルの更なる拡張を提案している。RFC6089では、ホストベースのIPフローモビリティ管理が提案されており、これにより、モバイルノードは、セッションの持続性を壊すことなく、選択したIPフローを、ある無線技術から異なる無線技術へと移動(再関連付け)することが可能である。つまり、モバイルノードは、いくつかのフローをある無線インタフェースへ、他のフローを別の無線インタフェースへ関連付けすることができる。より具体的には、このホストベースのIPフローモビリティ管理は、同じホームアドレスを使用する1以上の異なるCoA(すなわち、1以上の異なるBID)で特定のフローをバインドするフローバインディング更新スキームを提供する。
【0011】
IPフロー(すなわち、IPパケットフロー)は、例えば、HTTP(ハイパーテキスト転送プロトコル)、動画、VoIP等に使われる一連のIPパケットを意味する。RFC6089では、IPフローは、トラヒックセレクタに適合する一組のIPパケットとして定義される。トラヒックセレクタは、パケットを分類するために用いられる1以上のパラメータ(例えば、発信元IPアドレス、宛先IPアドレス、発信元ポート番号、宛先ポート番号とトランスポートプロトコル番号)を含む情報である。RFC6089によると、各フローバインディングはフロー識別子(FID)によって一意に識別され、トラヒックセレクタと1以上のバインディング識別子(BID)から成る。IPパケットがトラヒックセレクタに適合すると、IPパケットのコピーは、フローバインディングにおいてトラヒックセレクタに関連付けられた複数のBIDに関連付けられた複数の気付アドレスの各々に転送される。モバイルノードは、ローカルポリシー、リンクの特徴、その時に実行中のアプリケーションの種類、又はユーザの好みに基づいて、複数のインタフェースのうちの1つに、特定のフローを移動(再関連付け)することができる。この移動は、フローバインディングを確立するために必要な情報、例えば、BID、FID、トラヒックセレクタ等を示すバインディング更新メッセージを送信することにより可能となる。
【0012】
しかし、どのホストベースのIPフローモビリティ管理においても、モバイルノードが別のアクセスネットワークへ移るときは、常に、自己のHAとシグナリングメッセージの交換を実行しなければならず、全てのモバイルノードは大量のモビリティ・プロトコル・スタックを処理しなければならない。これらの理由から、ホストベースのIPフローモビリティ管理は、高電力消費、無線リンクを介した第3層シグナリングを用いることによる無線資源の大量消費、及びモバイルノードとそのHA間の大量トンネリングといった課題を伴うものである。
【0013】
1.2.2 ネットワークベースのIPモビリティ管理
これに対し、ネットワークベースのモビリティ・サポート・スキームでは、モバイルノード(MN)は、大量のモビリティ・プロトコル・スタックを処理する必要はなく、どんなモビリティ関連のシグナリングもネットワークと交換する必要はない。ネットワークベースのローカライズされたモビリティ管理(NETLMM:Network-based Localized Mobility Management)IETF作業部会は、ネットワークベースのモビリティ・サポート・スキームのためのプロキシモバイルIPv6プロトコル(RFC5213(非特許文献5)に記載のPMIPv6)を標準化した。PMIPv6は、モビリティ関連のシグナリングを実行し、各モバイルノードのプロキシとしてモビリティ管理を処理するために、ローカル・モビリティ・アンカー(LMA:local mobility anchor)とモバイル・アクセス・ゲートウェイ(MAG:mobile access gateway)を含むネットワークにおける特別なモビリティエージェントを提案した。LMAは、モバイルノードごとにRFC5213で定められるバインディング情報を維持するためのHA動作(すなわち、ホームエージェントとしての行為)を実行し、各モバイルノードのホーム・ネットワーク・プレフィックス(HNP:home network prefix)のためのトポロジカル・アンカー・ポイントである。MAGは、そのアクセス・リンクに接続している各モバイルノードに代わってモビリティ関連のシグナリングを管理するアクセスルータである。MAGは、アクセス・リンクへの各モバイルノードの移動及びアクセス・リンクからの移動を追跡し、モバイルノードのローカル・モビリティ・アンカーにシグナリングする役割を担う。
【0014】
PMIPv6プロトコルの基本的な動作は、以下の通りである。MNがMAGに接続すると、MAGはMNの識別子を含むMNのプロファイルを取得する。そして、MAGは、MNの現在の接続点を更新又は登録する目的で、プロキシバインディング更新(PBU:proxy binding update)メッセージをLMAに送信する。LMAがPBUメッセージを受け取ると、LMAはバインディング・キャッシュ・エントリを更新又は作成し、MNのHNP用にLMAとMAGとの間で双方向性トンネルを確立する。そして、LMAは、MNのHNPを含むプロキシバインディング確認応答(PBA:proxy binding acknowledgement)メッセージをMAGに送信する。MAGは、MNに対して、MNのHNPを含むルータ広告(RA)メッセージを送信することによって、アクセス・リンクをMNのホームネットワークにエミュレートする。したがって、MNは自機がホームネットワークにあると常に信じている。
【0015】
PMIPv6で定めるネットワークベースのモビリティ管理アプローチは、無線リンク上でモビリティ関連のシグナリングメッセージを交換しないため、MNのモビリティのサポートにより好適である。したがって、ネットワークベースのモビリティ管理では、ホストベースのモビリティ管理スキームと比較して、電力消費、シグナリングのコスト及びハンドオフ遅延を確実に低減可能である。
【0016】
1.2.3 ネットワークベースのIPモビリティ管理への拡張
PMIPv6基本仕様(RFC5213)は、LMAとMAGとの間で交換されるPBU及びPBAメッセージで使用可能な追加のオプションを定めている。このオプションには、モバイルノードのマルチホーミングとバーチカルハンドオーバを可能にするための、ハンドオフ指標(HI:handoff indicator)オプション、アクセス・テクノロジー・タイプ(ATT:access technology type)オプション及びモバイルノードのリンク層ID(MN−LL−ID:mobile node link-layer identification)オプションがある。
【0017】
それにもかかわらず、PMIPv6基本仕様には、いくつかの制約があるために、モバイルノードにおける複数の無線インタフェースの使用を完全にはサポートしていない。仮に、モバイルノードが、同時に、複数の無線インタフェースを介してプロキシモバイルIPv6ドメインに接続した場合、一組のホーム・ネットワーク・プレフィックスがインタフェースの各々に割り当てられ、あるインタフェースに割り当てられたホーム・ネットワーク・プレフィックスは全て、LMAによって1つのモビリティセッションの下で管理される。例えば、インタフェースI1に割り当てられたホーム・ネットワーク・プレフィックスP1及びP2は1つのモビリティセッションで管理され、モバイルノードのインタフェースI2に割り当てられたプレフィックスP3、P4及びP5は異なるモビリティセッションで管理される。これは、PMIPv6基本仕様においては、LMAはMNについて一度に一組のHNPを管理できるに過ぎず、ひいては、LMAは一度に一組のHNPだけをMNの1つのインタフェースに対して割り当てできるに過ぎないことを意味する。PMIPv6基本仕様は、ホーム・ネットワーク・プレフィックスの新たな組をMNに割り当てる必要がある場合に、LMA又はMAGがいかに動作可能であるかについて詳細に定めていない。さらに、MNが複数の無線インタフェースを使用する異なる無線ネットワーク間でバーチカルハンドオーバを行う場合、セッションの持続性を維持することができない。MNが前に使用していたインタフェースから、全てのIPフローを新たなインタフェースへ移動(移転)しようとした場合、前に割り当てられたHNPを新たに割り当てられたHNPに変更すべきである。しかし、PMIPv6基本仕様によれば、MNに割り当てられたHNPは、MNが別のネットワークへ移動した場合でも、セッションが維持されている期間中は変更してはならない。上述した理由により、PMIPv6基本仕様におけるネットワークベースのIPフローモビリティ管理は、モバイルノードにおける複数の無線インタフェースの同時使用、又は、バーチカルハンドオーバに適していない。
【0018】
さらに、IPフローモビリティ管理においては、前に使用された無線アクセスネットワーク上でいくつかのフローを維持し、且つ、他のフローを別の無線アクセスネットワークへ移動又は移転できるようにすることが好ましい。このシナリオにおいては、セッションの切断を避けるために、前に使用していたHNPをフローの移動中は維持しつつ、その一方で、新たなHNPをMNに割り当てるべきである。
【0019】
上述した制約を克服し、IPフローモビリティだけでなくバーチカルハンドオーバを実現すべく、非特許文献6にあるように、IETFのネットワークベースのモビリティ機能拡張(NETEXT:Network-based Mobility Extensions)作業部会は、複数の無線インタフェースの同時使用をサポートする論理インタフェースを導入した。図1で示すように、論理インタフェース層は、異なる物理インタフェースを論理的にグループ化することによって、IP層又はその上位層で1つのインタフェースビューを提供する。論理インタフェース層は物理インタフェース(物理無線インタフェース)の実際の使用をIP層から隠すことができるので、論理インタフェースにより、バーチカルハンドオーバ及びIPフローモビリティをサポートする複数のインタフェースを、連続且つ同時に使用可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】D.ジョンソン(D. Johnson)外、「IPv6におけるモビリティサポート(Mobility Support in IPv6)」、RFC3775、インターネット技術標準化委員会(the Internet Engineering Task Force)、2004年6月
【非特許文献2】H.ソリマン(H. Soliman)、「デュアル・スタック・ホストとルータのモバイルIPv6サポート(Mobile IPv6 Support for Dual Stack Hosts and Routers)」、RFC5555、インターネット技術標準化委員会(the Internet Engineering Task Force)、2009年6月
【非特許文献3】R.ワキカワ(R. Wakikawa)、「複数の気付アドレス登録(Multiple Care-of Addresses Registration)」、RFC5648、インターネット技術標準化委員会(the Internet Engineering Task Force)、2009年10月
【非特許文献4】G.チルチス(G. Tsirtsis)外、「モバイルIPv6におけるフローバインディングとネットワークモビリティ(NEMO: network mobility)基本サポート (Flow Bindings in Mobile IPv6 and Network Mobility (NEMO) Basic Support)」、RFC6089、インターネット技術標準化委員会(the Internet Engineering Task Force)、2011年1月
【非特許文献5】S.ガンダベリ(S. Gundavelli)、「プロキシモバイルIPv6(Proxy Mobile IPv6)」、RFC5213、インターネット技術標準化委員会(the Internet Engineering Task Force)、2008年8月
【非特許文献6】T.メリア(T. Melia)、「マルチモードIPホストの論理インタフェース・サポート(Logical Interface Support for multi-mode IP Hosts)」、[online]、インターネット技術標準化委員会(the Internet Engineering Task Force)、2011年3月14日、インターネット(URL:http://tools.ietf.org/html/draft-ietf-netext-logical-interface-support-02)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上述したように、PMIPv6によるネットワークベースのモビリティ管理は、電力消費、シグナリングのコスト、ハンドオフ遅延に関して多くの効果を達成し得る。さらに、IETFのNETEXT作業部会によって提案される複数の無線インタフェースの同時使用は、多くの点で便利である。
これらの利点にもかかわらず、PMIPv6ではMAGとLMAとの間で実行されるモビリティ関連のシグナリング交換にMNが介入することを許さないことから、PMIPv6を基礎としたネットワークベースのIPフローモビリティには制約がある。無線環境(例えば、無線信号の強度、訪問した無線通信ネットワークの新たな検出等)に関するMNのユーザの好みに従って、又は、MN周辺の無線環境に従って、MNとネットワーク基盤との間で利用されるフローのルーティング・ポリシー・ルールを動的に変更可能とすることが好ましい。
【0022】
例えば、3Gインタフェース及びWiFiインタフェースを含むモバイルノードが2以上のIPフロー、例えば、3G無線ネットワークに対してモバイルIPテレビフロー(モバイルIPTVフロー)とボイスオーバIPフロー(VoIPフロー)を既に確立しており、MNが、WiFiと3G無線技術の両方が利用可能なゾーンを訪問すると仮定する。WiFi技術の方がより良いスループットと低いコストを提供するため、MNのユーザは、3G技術からWiFi技術へ既存のフローの全てを移転することを望むかもしれない。あるいは、既存のフローの1つ又は一部(例えば、VoIPフロー)だけをWiFi技術へ移転し、他のフロー(例えば、移動IPTVフロー)を3G技術で維持することを望むかもしれない。しかし、MNとPMIPv6のネットワーク基盤との間でモビリティ関連のシグナリングが欠如しているため、MNのユーザの希望を満たすための解決策はない。
【0023】
さらに、3GインタフェースとWiFiインタフェースを含むモバイルノードが3G無線ネットワークへの2以上のIPフローとWiFiネットワークへの別のIPフローを既に確立しており、MNで受信するWiFi信号の強度が増加していると仮定する。MNのユーザは、既存のフローの1つ又は一部を3G技術からWiFi技術へ移転することを望むかもしれない。この場合にも、MNのユーザの希望を満たすための解決策はない。
【0024】
さらに、3GインタフェースとWiFiインタフェースを含むモバイルノードが3G無線ネットワークへの1つのIPフローとWiFiネットワークへの別のIPフローを既に確立しており、ユーザがWiFiの利用可能ゾーンを離れようとしているためにMNで受信するWiFi信号の強度が減少しているが、MNで受信する3G信号の強度は十分であると仮定する。MNのユーザは、WiFiインタフェースで確立されている既存のフローをWiFi技術から3G技術に移転することを望むかもしれない。この場合にも、MNのユーザの希望を満たすための解決策はない。
【0025】
そこで、本発明は、モバイルノードに確立されている1以上の既存のIPパケットフローを、モバイルノードからの指示に従って、現在使用中の無線アクセス技術から別の無線アクセス技術に対して動的に移転することが可能なネットワークアーキテクチャを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の一態様によれば、プロキシ・モバイル・インターネット・プロトコル・バージョン6に基づいて動作し、第1の無線アクセス技術を用いて第1の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第1の無線インタフェースと、当該第1の無線アクセス技術とは異なる第2の無線アクセス技術を用いて第2の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第2の無線インタフェースとを有する少なくとも1のモバイルノードと通信するためのネットワークアーキテクチャであって、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術を用いて通信可能な前記第1の無線通信ネットワークシステムと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術とは異なる前記第2の無線アクセス技術を用いて通信可能な前記第2の無線通信ネットワークシステムと、インターネットを介して前記第1の無線通信ネットワークシステムに接続されるとともに、インターネットを介して前記第2の無線通信ネットワークシステムに接続され、前記モバイルノードの相手方ノードと通信可能なローカル・モビリティ・アンカーであって、前記モバイルノードが、前記第1の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにするとともに、前記第2の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにする、ローカル・モビリティ・アンカーと、を有し、前記第1の無線通信ネットワークシステムは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能な第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを有し、前記第2の無線通信ネットワークシステムは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第2の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能な第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを有し、前記第1の無線通信ネットワークシステムの前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、少なくとも1のIPパケットフローが前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立されている場合であって、且つ、前記モバイルノードが少なくとも1の既に確立されたIPパケットフローを前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい場合に前記モバイルノードから送信されるフロー移転指示であって、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースとを特定するとともに、前記第2の無線インタフェースが現在アクティブにされているか否かを示す現在状態情報を含むフロー移転指示を受信することが可能なフロー移転指示受信部と、前記フロー移転指示受信部で前記フロー移転指示を受信すると、前記第2の無線通信ネットワークシステムの前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対して、フロー移転要求を送信することが可能なフロー移転要求送信部とを有し、当該フロー移転要求は、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定するとともに、前記第2の無線インタフェースが現在はアクティブにされていないことを前記フロー移転指示における前記現在状態情報が示す場合には、前記ローカル・モビリティ・アンカーに対して新たな接続要求を送信するよう前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに指示する第1の送信指示を含み、前記第2の無線インタフェースが現在アクティブにされていることを前記フロー移転指示における前記現在状態情報が示す場合には、前記ローカル・モビリティ・アンカーに対してフローバインディング更新要求を送信するよう前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに指示する第2の送信指示を含み、前記第2の無線通信ネットワークシステムの前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを示すプロキシ気付アドレスと、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記フロー移転要求を受信することが可能なフロー移転要求受信部と、前記フロー移転要求受信部で受信した前記フロー移転要求が前記第1の送信指示を含む場合には、前記モバイルノードと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとを特定する新たな接続要求を、前記ローカル・モビリティ・アンカーへ送信することが可能な新接続要求送信部とを有し、前記ローカル・モビリティ・アンカーは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記新たな接続要求を受信することが可能な新接続要求受信部と、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記第2の無線通信ネットワークシステムを介した通信に用いられる、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記モバイルノードに割り当てることが可能であり、前記新接続要求受信部で前記新たな接続要求を受信すると、前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとの間の新たなバインディングを登録することが可能な新接続要求登録部と、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス及び前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスに基づいて、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルの確立を促すべく、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイへ送信する新ホーム・ネットワーク・プレフィックス送信部と、を有し、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記ローカル・モビリティ・アンカーから受信することが可能な新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部と、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部で受信すると、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を促すべく、前記フロー移転要求で特定される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースを起動することが可能なインタフェース起動部と、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を確認することが可能な接続確認部と、前記接続確認部で前記接続の確立を確認すると、フローバインディング更新要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーへ送信することが可能であり、前記第2の送信指示を含む前記フロー移転要求を前記フロー移転要求受信部で受信すると、前記フローバインディング更新要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーに送信することが可能なフローバインディング更新要求送信部とを更に有し、前記フローバインディング更新要求は、前記モバイルノードと、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定し、前記ローカル・モビリティ・アンカーは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記フローバインディング更新要求を受信することが可能なフローバインディング更新要求受信部と、前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス又は既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記フローバインディング更新要求で特定される前記IPパケットフローとのバインディングを登録することが可能なフローバインディング登録部であって、前記モバイルノードの前記既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の既存の双方向IPトンネルを確立するための前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイ及び前記ローカル・モビリティ・アンカーによって、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと既に関連付けられている、フローバインディング登録部と、前記フローバインディング登録部における前記バインディングの登録が完了したことを示すフローバインディング完了メッセージを、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに送信することが可能なフローバインディング完了報告送信部と、を更に有し、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記ローカル・モビリティ・アンカーから、前記フローバインディング完了メッセージを受信することが可能なフローバインディング完了報告受信部と、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続及び前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記双方向IPトンネルを用いて、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローを、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立することが可能なフロー確立部と、を更に有するネットワークアーキテクチャを提供する。
【0027】
この構成によれば、モバイルノードに確立された1以上の既存のIPパケットフローは、モバイルノードからの指示に従って、現在使用中の無線アクセス技術(サービス無線アクセス技術)から別の無線アクセス技術(ターゲット無線アクセス技術)へダイナミックに移転可能である。モバイルノードの第2の無線インタフェースが現在アクティブにされているか否かを示す現在状態情報に従い、第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに、第1の送信指示又は第2の送信指示を含むフロー移転要求を送信する。第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイが第1の送信指示を含むフロー移転要求を受信すると、第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイはローカル・モビリティ・アンカーに新たな接続要求を送信し、その結果、ローカル・モビリティ・アンカーは第2の無線通信ネットワークシステムへのモバイルノードの新たな接続(新たなコネクション)のための手順を実行する。(すなわち、新たな双方向IPトンネルのために、新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス及び、この新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの気付アドレスプロキシとの間の新たなバインディングを割り当てる)。モバイルノードと第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を確かめた後、第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、ローカル・モビリティ・アンカーにフローバインディング更新要求を送信する。第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイが第2の送信指示を含むフロー移動要求を受信すると、第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイはローカル・モビリティ・アンカーに新たな接続要求を送信することなくローカル・モビリティ・アンカーにフローバインディング更新要求を送信する。フローバインディング更新要求を受信すると、ローカル・モビリティ・アンカーは、移転されるIPパケットフローを第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対応する新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス又は既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスに関連付けるための手順を実行し、その結果、IPパケットフローは新たな又は既存の双方向IPトンネルと関連付けられる。このように、モバイルノードの第2の無線インタフェースの現在の状態に基づいて、ネットワーク側は、IPパケットフローを移転するための適切な手順を選択的に実行することができる。ローカル・モビリティ・アンカーが新たな接続の手順を行い、続いて、IPパケットフローを双方向IPトンネルに関連付ける手順を実行するので、ハンドオーバ遅延を最小にすることができ、IPパケットの欠落やバッファリングが回避できる。この結果、IPパケットフロー移動にかかるハンドオーバのパフォーマンスは格段に向上する。これは、複数のインタフェースを同時に使用可能とすることにより、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへの移動が決定されたIPパケットフローを、フローバインディング登録(IPパケットフローを双方向IPトンネルに関連付けるための手順)が完全に終わるまで、サービス無線ネットワークシステムを介して維持することが可能だからである。
【0028】
前記第1の無線インタフェースがアクティブであるべきことを示す所望動作情報を含むとともに、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立されている複数のIPパケットフローの一部を、前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転すべきことを特定する前記フロー移転指示を、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転指示受信部が受信すると、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転要求送信部は、前記フロー移転指示で特定される前記IPパケットフローを特定する前記フロー移転要求を、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイへ送信し、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー確立部が前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定された前記IPパケットフローを前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立した後であっても、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立された前記複数のIPパケットフローのうち、他のIPパケットフローを維持するようにしてもよい。モバイルノードからの所望の動作情報によると、第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、第1の無線通信ネットワークシステムを介した、モバイルノードの第1の無線インタフェースとローカル・モビリティ・アンカーとの間で既に確立したIPパケットフローを維持することができるとともに、複数のIPパケットフローの一部を第1の無線アクセス技術から第2の無線アクセス技術へ移転することができる。
【0029】
前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転指示受信部が、前記第1の無線インタフェースをアクティブにされた状態から非アクティブにすべきであることを示す所望動作情報を含む前記フロー移転指示を受信すると、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転要求送信部は、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立されている1又は複数のIPパケットフローの全てを、前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転すべきことを特定する前記フロー移転要求を送信し、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー確立部は、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求によって特定される、1又は複数のIPパケットフローの全てを、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立するようにしてもよい。モバイルノードからの所望の動作情報によると、第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対して、第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイが処理している複数のIPパケットフローの一部又は全部を処理するように指示することが可能である。
【0030】
前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフロー上で送信されるIPパケットのコピーを前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに転送しない。これにより、IPフロー移転中における、エンドツーエンドのパケット遅延が最小となる。
【0031】
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転要求受信部で受信した前記フロー移転要求が前記第1の送信指示を含む場合には、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記インタフェース起動部は、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースをアクティブにするようにしてもよい。この構成によれば、第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、第2の無線インタフェースをアクティブにすべき場合に第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから送信されるフロー移転要求における第1送信指示に基づいて、モバイルノードの第2の無線インタフェースをアクティブにする。
【0032】
本発明の別の態様によれば、プロキシ・モバイル・インターネット・プロトコル・バージョン6に基づいて動作し、第1の無線アクセス技術を用いて第1の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第1の無線インタフェースと、当該第1の無線アクセス技術とは異なる第2の無線アクセス技術を用いて第2の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第2の無線インタフェースとを有する少なくとも1のモバイルノードと通信するためのネットワークアーキテクチャであって、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術を用いて通信可能な前記第1の無線通信ネットワークシステムと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術とは異なる前記第2の無線アクセス技術を用いて通信可能な前記第2の無線通信ネットワークシステムと、インターネットを介して前記第1の無線通信ネットワークシステムに接続されるとともに、インターネットを介して前記第2の無線通信ネットワークシステムに接続され、前記モバイルノードの相手方ノードと通信可能なローカル・モビリティ・アンカーであって、前記モバイルノードが、前記第1の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにするとともに、前記第2の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにする、ローカル・モビリティ・アンカーと、を有し、前記第1の無線通信ネットワークシステムは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能な第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを有し、前記第2の無線通信ネットワークシステムは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第2の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能な第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを有し、前記第1の無線通信ネットワークシステムの前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、複数のIPパケットフローが前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立される一方、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間では前記第2の無線通信ネットワークシステムを介したIPパケットフローは確立されていない場合であって、且つ、前記モバイルノードが既に確立された前記IPパケットフローの少なくとも1を前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい場合に前記モバイルノードから送信されるフロー移転指示であって、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースとを特定するフロー移転指示を受信することが可能なフロー移転指示受信部と、前記フロー移転指示受信部で前記フロー移転指示を受信すると、前記第2の無線通信ネットワークシステムの前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対して、フロー移転要求を送信することが可能なフロー移転要求送信部とを有し、当該フロー移転要求は、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定し、前記第2の無線通信ネットワークシステムの前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを示すプロキシ気付アドレスと、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記フロー移転要求を受信することが可能なフロー移転要求受信部と、前記フロー移転要求受信部で前記フロー移転要求を受信すると、前記モバイルノードと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとを特定する新たな接続要求を、前記ローカル・モビリティ・アンカーへ送信することが可能な新接続要求送信部とを有し、前記ローカル・モビリティ・アンカーは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記新たな接続要求を受信することが可能な新接続要求受信部と、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記第2の無線通信ネットワークシステムを介した通信に用いられる、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記モバイルノードに割り当てることが可能であり、前記新接続要求受信部で前記新たな接続要求を受信すると、前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとの間の新たなバインディングを登録することが可能な新接続要求登録部と、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとに基づいて、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルの確立を促すべく、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイへ送信する新ホーム・ネットワーク・プレフィックス送信部と、を有し、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記ローカル・モビリティ・アンカーから受信することが可能な新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部と、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部で受信すると、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を促すべく、前記フロー移転要求で特定される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースを起動することが可能なインタフェース起動部と、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を確認することが可能な接続確認部と、前記接続確認部で前記接続の確立を確認すると、フローバインディング更新要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーへ送信することが可能なフローバインディング更新要求送信部とを更に有し、前記フローバインディング更新要求は、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローを特定し、前記ローカル・モビリティ・アンカーは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記フローバインディング更新要求を受信することが可能なフローバインディング更新要求受信部と、前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記フローバインディング更新要求で特定される前記IPパケットフローとの新たなバインディングを登録することが可能なフローバインディング登録部と、前記フローバインディング登録部における前記新たなバインディングの登録が完了したことを示すフローバインディング完了メッセージを、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに送信することが可能なフローバインディング完了報告送信部と、を更に有し、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記ローカル・モビリティ・アンカーから、前記フローバインディング完了メッセージを受信することが可能なフローバインディング完了報告受信部と、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の前記接続及び前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記双方向IPトンネルを用いて、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローを、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立することが可能なフロー確立部と、を更に有する、ネットワークアーキテクチャを提供する。
【0033】
この構成によれば、モバイルノードに確立された1以上の既存のIPパケットフローは、モバイルノードからの指示に従って、現在使用中の無線アクセス技術(サービス無線アクセス技術)から別の無線アクセス技術(ターゲット無線アクセス技術)へ動的に移転可能である。第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイが第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからフロー移転要求を受信すると、第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、ローカル・モビリティ・アンカーに新たな接続要求を送信し、その結果、ローカル・モビリティ・アンカーは第2の無線通信ネットワークシステムへのモバイルノードの新たな接続(新たなコネクション)のための手順を実行する。(すなわち、新たな双方向IPトンネルのために、新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス及び、この新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの気付アドレスプロキシとの間の新たなバインディングを割り当てる)。モバイルノードと第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を確かめた後、第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、ローカル・モビリティ・アンカーにフローバインディング更新要求を送信する。フローバインディング更新要求を受信すると、ローカル・モビリティ・アンカーは、移転されるIPパケットフローを第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対応する新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスに関連付けるための手順を実行し、その結果、IPパケットフローは新たな双方向IPトンネルと関連付けられる。ローカル・モビリティ・アンカーが新たな接続の手順を行い、続いて、IPパケットフローを双方向IPトンネルに関連付ける手順を実行するので、ハンドオーバ遅延を最小にすることができ、IPパケットの欠落やバッファリングが回避できる。この結果、IPパケットフロー移動にかかるハンドオーバのパフォーマンスは格段に向上する。これは、複数のインタフェースを同時に使用可能とすることにより、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへの移動が決定されたIPパケットフローを、フローバインディング登録(IPパケットフローを双方向IPトンネルに関連付けるための手順)が完全に終わるまで、サービス無線ネットワークシステムを介して維持することが可能だからである。
【0034】
本発明の別の態様によれば、プロキシ・モバイル・インターネット・プロトコル・バージョン6に基づいて動作し、第1の無線アクセス技術を用いて第1の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第1の無線インタフェースと、当該第1の無線アクセス技術とは異なる第2の無線アクセス技術を用いて第2の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第2の無線インタフェースとを有する少なくとも1のモバイルノードと通信するためのネットワークアーキテクチャであって、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術を用いて通信可能な前記第1の無線通信ネットワークシステムと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術とは異なる前記第2の無線アクセス技術を用いて通信可能な前記第2の無線通信ネットワークシステムと、インターネットを介して前記第1の無線通信ネットワークシステムに接続されるとともに、インターネットを介して前記第2の無線通信ネットワークシステムに接続され、前記モバイルノードの相手方ノードと通信可能なローカル・モビリティ・アンカーであって、前記モバイルノードが、前記第1の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにするとともに、前記第2の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにする、ローカル・モビリティ・アンカーと、を有し、前記第1の無線通信ネットワークシステムは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能な第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを有し、前記第2の無線通信ネットワークシステムは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第2の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能な第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを有し、前記第1の無線通信ネットワークシステムの前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、少なくとも1のIPパケットフローが前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立される一方、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間では前記第2の無線通信ネットワークシステムを介した少なくとも1のIPパケットフローが確立されている場合であって、且つ、前記モバイルノードが少なくとも1の既に確立されたIPパケットフローを前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい場合に前記モバイルノードから送信されるフロー移転指示であって、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースとを特定するとともに前記第2の無線インタフェースが現在アクティブにされているか否かを示す現在状態情報を含むフロー移転指示を受信することが可能なフロー移転指示受信部と、前記フロー移転指示受信部で前記フロー移転指示を受信すると、前記第2の無線通信ネットワークシステムの前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対して、フロー移転要求を送信することが可能なフロー移転要求送信部とを有し、当該フロー移転要求は、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定し、前記第2の無線通信ネットワークシステムの前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを示すプロキシ気付アドレスと、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記フロー移転要求を受信することが可能なフロー移転要求受信部と、前記フロー移転要求を前記フロー移転要求受信部で受信すると、フローバインディング更新要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーへ送信することが可能なフローバインディング更新要求送信部とを有し、前記フローバインディング更新要求は、前記モバイルノードと、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定し、前記ローカル・モビリティ・アンカーは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記フローバインディング更新要求を受信することが可能なフローバインディング更新要求受信部と、前記モバイルノードの既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記フローバインディング更新要求で特定される前記IPパケットフローとのバインディングを登録することが可能なフローバインディング登録部であって、前記モバイルノードの前記既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の既存の双方向IPトンネルを確立するための前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイ及び前記ローカル・モビリティ・アンカーによって、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと既に関連付けられている、フローバインディング登録部と、前記フローバインディング登録部における前記バインディングの登録が完了したことを示すフローバインディング完了メッセージを、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに送信することが可能なフローバインディング完了報告送信部と、を有し、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記ローカル・モビリティ・アンカーから、前記フローバインディング完了メッセージを受信することが可能なフローバインディング完了報告受信部と、前記フローバインディング完了報告受信部が前記フローバインディング完了メッセージを受信した後に、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の既存の接続及び前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記双方向IPトンネルを用いて、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローを、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立することが可能なフロー確立部と、を更に有する、ネットワークアーキテクチャを提供する。
【0035】
この構成によれば、モバイルノードに確立された1以上の既存のIPパケットフローは、モバイルノードから指示に従って、現在使用中の無線アクセス技術(サービス無線アクセス技術)から別の無線アクセス技術(ターゲット無線アクセス技術)へ動的に移転できる。第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイが第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからフロー移動要求を受信すると、第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイはローカル・モビリティ・アンカーにフローバインディング更新要求を送信する。フローバインディング更新要求を受信すると、ローカル・モビリティ・アンカーは、移転されるIPパケットフローと、第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対応する既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスとを関連付ける手順を実行し、その結果、IPパケットフローは既存の双方向IPトンネルと関連付けられる。第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイがローカル・モビリティ・アンカーからフローバインディング完了メッセージを受け取ると、移転されたIPパケットフローが使われるため、IPパケットの欠落とバッファリングが回避される。
【0036】
本発明の別の態様によれば、プロキシ・モバイル・インターネット・プロトコル・バージョン6に基づいて動作し、少なくとも1のモバイルノードと通信するためのネットワークアーキテクチャにおけるローカル・モビリティ・アンカーであって、当該ローカル・モビリティ・アンカーは、前記ローカル・モビリティ・アンカーインターネットを介して第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに接続され、インターネットを介して第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに接続され、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードと通信するために第1の無線アクセス技術を使用する第1の無線通信ネットワークシステムの前記モバイルノード用のアクセスルータとして動作するとともに、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理し、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードと通信するために第2の無線アクセス技術を使用する第2の無線通信ネットワークシステムの前記モバイルノード用のアクセスルータとして動作するとともに、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第2の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理し、当該ローカル・モビリティ・アンカーは、前記モバイルノードの相手方ノードと通信可能であって、前記モバイルノードが、前記第1の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにするとともに、前記第2の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにし、当該ローカル・モビリティ・アンカーは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記モバイルノード及び前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイのプロキシ気付アドレスを特定する新たな接続要求を受信することが可能な新接続要求受信部と、前記モバイルノードの無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記第2の無線通信ネットワークシステムを介した通信に用いられる、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記モバイルノードに割り当てることが可能であり、前記新接続要求受信部で前記新たな接続要求を受信すると、前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとの間の新たなバインディングを登録することが可能な新接続要求登録部と、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス及び前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスに基づいて、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルの確立を促すべく、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイへ送信する新ホーム・ネットワーク・プレフィックス送信部と、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記モバイルノードと、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい少なくとも1のIPパケットフローを特定するフローバインディング更新要求を受信することが可能なフローバインディング更新要求受信部と、前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス又は既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記フローバインディング更新要求で特定される前記IPパケットフローとのバインディングを登録することが可能なフローバインディング登録部であって、前記モバイルノードの前記既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の既存の双方向IPトンネルを確立するための前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイ及び前記ローカル・モビリティ・アンカーによって、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと既に関連付けられている、フローバインディング登録部と、前記フローバインディング登録部における前記バインディングの登録が完了したことを示すフローバインディング完了メッセージを、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに送信することが可能なフローバインディング完了報告送信部と、を有するローカル・モビリティ・アンカーを提供する。
【0037】
この構成によれば、モバイルノードに確立された1以上の既存のIPパケットフローは、モバイルノードからの指示に従って、現在使用中の無線アクセス技術(サービス無線アクセス技術)から別の無線アクセス技術(ターゲット無線アクセス技術)へ動的に移転できる。ローカル・モビリティ・アンカーが第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから新たな接続要求を受信すると、ローカル・モビリティ・アンカーは第2の無線通信ネットワークシステムへのモバイルノードの新たな接続(新たなコネクション)のための手順を実行する(すなわち、新たな双方向IPトンネルのために、新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス及び、この新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの気付アドレスプロキシとの間の新たなバインディングを割り当てる)。第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからフローバインディング更新要求を受信すると、ローカル・モビリティ・アンカーは移転されるIPパケットフローを、第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対応する新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス又は既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスに対応付けるための手順を実行し、その結果、IPパケットフローは新たな又は既存の双方向IPトンネルと関連付けられる。ローカル・モビリティ・アンカーが新たな接続のための手順を実行し、続いて、IPパケットフローを双方向IPトンネルに関連付けるため、ハンドオーバ遅延は最小となり、IPパケットの欠落及びバッファリングが回避可能である。この結果、IPパケットフロー移動にかかるハンドオーバのパフォーマンスは格段に向上する。これは、複数のインタフェースを同時に使用可能とすることにより、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへの移動が決定されたIPパケットフローを、フローバインディング登録(IPパケットフローを双方向IPトンネルに関連付けるための手順)が完全に終わるまで、サービス無線ネットワークシステムを介して維持することが可能だからである。
【0038】
本発明の別の態様によれば、プロキシ・モバイル・インターネット・プロトコル・バージョン6に基づいて動作し、第1の無線アクセス技術を用いて第1の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第1の無線インタフェースと、当該第1の無線アクセス技術とは異なる第2の無線アクセス技術を用いて第2の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第2の無線インタフェースとを有する少なくとも1のモバイルノードと通信するためのモビリティ・アンカー・ゲートウェイであって、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイは前記第1の無線通信ネットワークシステムに属するとともに、前記モバイルノードの相手方ノードと通信することが可能なローカル・モビリティ・アンカーに接続されており、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第2の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能であり、モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、少なくとも1のIPパケットフローが前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立されている場合であって、且つ、前記モバイルノードが少なくとも1の既に確立されたIPパケットフローを前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい場合に前記モバイルノードから送信されるフロー移転指示であって、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースとを特定するとともに前記第2の無線インタフェースが現在アクティブにされているか否かを示す現在状態情報を含むフロー移転指示を受信することが可能なフロー移転指示受信部と、前記フロー移転指示受信部で前記フロー移転指示を受信すると、前記第2の無線アクセス技術を用いる別の無線通信ネットワークシステムの別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対して、フロー移転要求を送信することが可能なフロー移転要求送信部とを有し、当該フロー移転要求は、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定するとともに、前記フロー移転指示における前記現在状態情報が、前記第2の無線インタフェースが現在はアクティブにされていないことを示す場合には、前記別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルの確立を促すべく、前記ローカル・モビリティ・アンカーに対して新たな接続要求を送信するよう前記別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに指示する第1の送信指示を含み、前記第2の無線インタフェースが現在アクティブにされていることを前記フロー移転指示における前記現在状態情報が示す場合には、前記フロー移転指示で特定される前記IPパケットフローを、前記別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルに関連付けるために、前記ローカル・モビリティ・アンカーに対してフローバインディング更新要求を送信するよう前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに指示する第2の送信指示を含む、モビリティ・アンカー・ゲートウェイを提供する。
【0039】
この構成によれば、モバイルノードに確立された1以上の既存のIPパケットフローは、モバイルノードからの指示に従って、現在使用中の無線アクセス技術(サービス無線アクセス技術)から別の無線アクセス技術(ターゲット無線アクセス技術)へ動的に移転可能である。モバイルノードの第2の無線インタフェースが現在アクティブにされているか否かを示す現在状態情報に従い、モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに、第1の送信指示又は第2の送信指示を含むフロー移転要求を送信する。当該別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイが第1の送信指示を含むフロー移転要求を受信すると、当該別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイはローカル・モビリティ・アンカーに新たな接続要求を送信し、その結果、ローカル・モビリティ・アンカーは第2の無線通信ネットワークシステムへのモバイルノードの新たな接続(新たなコネクション)のための手順を実行する。(すなわち、新たな双方向IPトンネルのために、新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス及び、この新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスとの第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの気付アドレスプロキシとの間の新たなバインディングを割り当てる)。モバイルノードと第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を確かめた後、上記別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、ローカル・モビリティ・アンカーにフローバインディング更新要求を送信する。当該別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイが第2の送信指示を含むフロー移動要求を受信すると、当該別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイはローカル・モビリティ・アンカーに新たな接続要求を送信することなくローカル・モビリティ・アンカーにフローバインディング更新要求を送信する。フローバインディング更新要求を受信すると、ローカル・モビリティ・アンカーは、移転されるIPパケットフローを別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対応する新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス又は既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスに関連付けるための手順を実行し、その結果、IPパケットフローは新たな又は既存の双方向IPトンネルと関連付けられる。このように、モバイルノードの第2の無線インタフェースの現在の状態に基づいて、モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、IPパケットフローを移転するための適切な手順を開始するための第1の送信指示又は第2の送信指示を含むフロー転送要求を選択的に送信することができる。ローカル・モビリティ・アンカーが新たな接続の手順を行い、続いて、IPパケットフローを双方向IPトンネルに関連付ける手順を実行するので、ハンドオーバ遅延を最小にすることができ、IPパケットの欠落やバッファリングが回避できる。この結果、IPパケットフロー移動にかかるハンドオーバのパフォーマンスは格段に向上する。これは、複数のインタフェースを同時に使用可能とすることにより、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへの移動が決定されたIPパケットフローを、フローバインディング登録(IPパケットフローを双方向IPトンネルに関連付けるための手順)が完全に終わるまで、サービス無線ネットワークシステムを介して維持することが可能だからである。
【0040】
本発明の別の態様によれば、プロキシ・モバイル・インターネット・プロトコル・バージョン6に基づいて動作し、第1の無線アクセス技術を用いて第1の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第1の無線インタフェースと、当該第1の無線アクセス技術とは異なる第2の無線アクセス技術を用いて第2の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第2の無線インタフェースとを有する少なくとも1のモバイルノードと通信するためのモビリティ・アンカー・ゲートウェイであって、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記第2の無線通信ネットワークシステムに属し、前記モバイルノードの相手方ノードと通信可能なローカル・モビリティ・アンカーに接続され、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第2の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能であり、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイを示すプロキシ気付アドレスと、前記第1の無線アクセス技術を用いる別の無線通信ネットワークシステムの別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記モバイルノードと、移転対象である前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定するとともに、前記ローカル・モビリティ・アンカーに対して新たな接続要求を送信するよう当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイに指示する第1の送信指示又は、前記ローカル・モビリティ・アンカーに対してフローバインディング更新要求を送信するよう当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイに指示する第2の送信指示を含むフロー移転要求を受信することが可能なフロー移転要求受信部と、前記フロー移転要求受信部で受信した前記フロー移転要求が前記第1の送信指示を含む場合に、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルの確立を促すべく、前記モバイルノードと当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとを特定する新たな接続要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーに送信することが可能な新接続要求送信部と、前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとに基づいて、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルの確立を促すべく、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記ローカル・モビリティ・アンカーから受信することが可能な新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部と、前記新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部で前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを受信すると、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を促すべく、前記フロー移転要求で特定される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースをアクティブにすることが可能なインタフェース起動部と、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を確認することが可能な接続確認部と、前記接続確認部において、前記接続の確立を確認すると、前記フロー移転要求で特定された前記IPパケットフローを、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルに関連づけるべく、フローバインディング更新要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーに送信することが可能であるとともに、前記第2の送信指示を含む前記フロー移転要求を前記フロー移転要求受信部で受信すると、前記フローバインディング更新要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーに送信することが可能なフローバインディング更新要求送信部であって、前記フローバインディング更新要求は、前記モバイルノードと、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定する、フローバインディング更新要求送信部と、
フローバインディング完了メッセージを前記ローカル・モビリティ・アンカーから受信するフローバインディング完了報告受信部と、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続及び当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記双方向IPトンネルを用いて、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローであって、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記IPパケットフローを、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立することが可能なフロー確立部と、を有するモビリティ・アンカー・ゲートウェイを提供する。
【0041】
この構成によれば、モバイルノードに確立された1以上の既存のIPパケットフローは、モバイルノードからの指示に従って、現在使用中の無線アクセス技術(サービス無線アクセス技術)から別の無線アクセス技術(ターゲット無線アクセス技術)へ動的に移転可能である。モビリティ・アンカー・ゲートウェイが第1の送信指示を含むフロー移転要求を受信すると、モビリティ・アンカー・ゲートウェイはローカル・モビリティ・アンカーに新たな接続要求を送信し、その結果、ローカル・モビリティ・アンカーは第2の無線通信ネットワークシステムへのモバイルノードの新たな接続(新たなコネクション)のための手順を実行する。(すなわち、新たな双方向IPトンネルのために、新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス及び、この新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスとモビリティ・アンカー・ゲートウェイの気付アドレスプロキシとの間の新たなバインディングを割り当てる)。モバイルノードとモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を確かめた後、モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、ローカル・モビリティ・アンカーにフローバインディング更新要求を送信する。モビリティ・アンカー・ゲートウェイが第2の送信指示を含むフロー移動要求を受信すると、モビリティ・アンカー・ゲートウェイはローカル・モビリティ・アンカーに新たな接続要求を送信することなくローカル・モビリティ・アンカーにフローバインディング更新要求を送信する。フローバインディング更新要求を受信すると、ローカル・モビリティ・アンカーは、移転されるIPパケットフローをモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対応する新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス又は既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスに関連付けるための手順を実行し、その結果、IPパケットフローは新たな又は既存の双方向IPトンネルと関連付けられる。このように、ローカル・モビリティ・アンカーは、IPパケットフローを移転するための適切な手順を選択的に実行することができる。ローカル・モビリティ・アンカーが新たな接続の手順を行い、続いて、IPパケットフローを双方向IPトンネルに関連付ける手順を実行するので、ハンドオーバ遅延を最小にすることができ、IPパケットの欠落やバッファリングが回避できる。この結果、IPパケットフロー移動にかかるハンドオーバのパフォーマンスは格段に向上する。これは、複数のインタフェースを同時に使用可能とすることにより、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへの移動が決定されたIPパケットフローを、フローバインディング登録(IPパケットフローを双方向IPトンネルに関連付けるための手順)が完全に終わるまで、サービス無線ネットワークシステムを介して維持することが可能だからである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【図1】最近提案された技術による機能階層モデルを示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るネットワークアーキテクチャを示す概念図である。
【図3】図2に示されるネットワークアーキテクチャを使うことが可能な各モバイルノードの構造を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係るローカル・モビリティ・アンカー(LMA)で使われるバインディング・キャッシュ・エントリ(BCE)テーブルを示す図である。
【図5】本実施形態に係るLMAで使われるフロー・バインディング・キャッシュ・エントリ(FCE)テーブルを示す図である。
【図6】LMAの物理的な構造を示すブロック図である。
【図7】LMAの機能的な構造を示すブロック図である。
【図8】本実施形態に係るモビリティ・アンカー・ゲートウェイ(MAG)の物理的な構造を示すブロック図である。
【図9】MAGの機能的な構造を示すブロック図である。
【図10】MAGで使用されるバインディング更新リストテーブルの一例を示す図である。
【図11】MAGで使用されるフローバインディング更新リストテーブルの一例を示す図である。
【図12】本実施形態に係る各モバイルノード(MN)で使用可能なローカル・ポリシー・プロファイル・テーブルを示す図である。
【図13】本実施形態に係るMAG間で送信されるHIF(Handover Initiate for Flow mobility)メッセージのフォーマットを示す図である。
【図14】本実施形態に係るMAG間で送信されるHAF(Handover Acknowledgement for Flow mobility)メッセージのフォーマットを示す図である。
【図15】HIFメッセージに含まれるインタフェース状態及び動作の情報のフォーマットを示す図である。
【図16】本実施形態に係るIPフロー移転の第1のシナリオを示す概念図である。
【図17】図18とともに、本実施形態に係るIPフロー移転の第1のシナリオの情報フロー図を成す。
【図18】図17とともに、本実施形態に係るIPフロー移転の第1のシナリオの情報フロー図を成す。
【図19】本実施形態に係るIPフロー移転の第2のシナリオを示す概念図である。
【図20】本実施形態に係るIPフロー移転の第2のシナリオの情報フロー図である。
【図21】本実施形態に係るIPフロー移転の第3のシナリオを示す概念図である。
【図22】図23とともに、本実施形態に係るIPフロー移転の第3のシナリオの情報フロー図を成す。
【図23】図22とともに、本実施形態に係るIPフロー移転の第3のシナリオの情報フロー図を成す。
【図24】本実施形態に係るIPフロー移転の第4のシナリオを示す概念図である。
【図25】図26とともに、本実施形態に係るIPフロー移転の第4のシナリオの情報フロー図を成す。
【図26】図25とともに、本実施形態に係るIPフロー移転の第4のシナリオの情報フロー図を成す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
2.1 ネットワークアーキテクチャの概要
図2は、本発明にかかるネットワークアーキテクチャの配置を例示する。ネットワークアーキテクチャは、PMIPv6に基づいて動作することが可能である。ネットワークアーキテクチャは、モバイルノード(MN)10が、異なる無線アクセス技術に従って通信可能な複数の無線通信ネットワークシステムを含むヘテロジーニアスネットワークアーキテクチャである。例えば、ネットワークアーキテクチャは複数のMN10と通信するために3G無線アクセス技術が使われる3G(第三世代)ネットワークシステム12とWiFi無線アクセス技術が複数のMN10と通信するために使われるWiFiネットワークシステム18とを含む。
【0044】
図3は、図2に示されるネットワークアーキテクチャを使うことが可能な各MN10の構造を示すブロック図である。MN10はスマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、ネットブック等であってもよく、インターネット24と通信することが可能である。MN10は、異なる無線アクセス技術に従ってインターネット24と通信するための複数の無線インタフェースを含む。例えば、MN10は3Gネットワークシステム12による3G通信のための3Gインタフェース31とWiFiネットワークシステム18によるWiFi通信のためのWiFiインタフェース32とを含む。MN10は、MN10全体の動作を制御するためのプロセッサ33と、プロセッサ33の制御の下、静止画像及び動画を表示するための表示部34と、プロセッサ33の制御の下、音声を発するためのスピーカ35と、ヒューマンインタフェース36も含む。ヒューマンインタフェース36は、マイクでもよく、プロセッサ33に指示を入力するためのボタンから成ってもよい。
【0045】
図2で示すように、3Gネットワークシステム12は、複数のMN10が無線を介して通信可能な基地局14と、これら基地局14が、典型的にはケーブルを介して通信可能なモビリティ・アンカー・ゲートウェイ(MAG)を含む。WiFiネットワークシステム18は、複数のMN10が無線を介して、典型的にはケーブルを介して通信可能な基地局(アクセスノード)20と、アクセスノードが通信可能な複数のMAG22を含む。理解の容易のため、図2には、1のMN10と、1の基地局14と、1のMAG16と、1のアクセスノード20と、1のMAG22のみを示す。
【0046】
ネットワークアーキテクチャは、インターネット24を介して複数の無線通信ネットワークシステム12及び18に接続されたローカル・モビリティ・アンカー(LMA)26も含む。LMA26は、複数のMN10の複数の相手方ノード(CN:correspondent node)28と通信し、これにより、各MN10は、3Gネットワークシステム12及びLMA26を介して、及び、WiFiネットワークシステム18及びLMA26を介して複数のCN28と通信することが可能となる。
【0047】
MAG及びLMAは、PMIPv6(RFC5213に記載)及びプロキシモバイルIPv6の高速ハンドオーバ(RFC5949で記述されるF−PMIPv6: Fast Handovers for Proxy Mobile IPv6)において定義されるIPモビリティのための中心的な機能エンティティである。本発明の実施の形態では、モバイルノードが開始するIPフローモビリティ(すなわち、移動局主導のIPフローモビリティ)を可能とし、より有用なネットワークベースのモビリティ管理プロトコルを提供するために、PMIPv6やF−PMIPv6と比較して、MAG及びLMAの機能は強化されている。
【0048】
LMA26は、モバイルノード10ごとにRFC5213で定められるバインディング情報を維持するためのHA(home agent)活動(すなわち、ホームエージェントとしての行為)を実行し、各モバイルノード10のホーム・ネットワーク・プレフィックス(HNP:home network prefix)のためのトポロジカル・アンカー・ポイントである。
【0049】
MAG(MAG16とMAG22の各々)は、MAGが位置する無線通信ネットワークシステム(例えば、3Gネットワークシステム12又はWiFiネットワークシステム18)に接続する各モバイルノード10の代わりに、モビリティ関連のシグナリングを管理するアクセスルータの働きをする。MAGは、MAGが設けられている無線通信ネットワークシステムへの及び当該システムからのモバイルノードの移動を追跡し、モバイルノードのLMA26にシグナリングをする役割を担う。
【0050】
より具体的には、インターネット24を介してMN10とCN28との間の通信を開始するに際して、LMA26はモバイルノードのホーム・ネットワーク・プレフィックス(MN−HNP)をMN10に割り当て、MN10のホーム・ネットワーク・プレフィックスと、MN10が接続中の無線通信ネットワークシステムにおけるMAGのプロキシ気付アドレス(プロキシCoA)との間でバインディングを確立する。LMA26は、MAGに、MN10のホーム・ネットワーク・プレフィックスを通知し、MAGは、MN10自身にMN10のホーム・ネットワーク・プレフィックスを通知する。そして、MN10は、ホーム・ネットワーク・プレフィックスから当該モバイルノードのホームアドレス(MN−HoA)を構成する。MN10がこの無線通信ネットワークシステムに接続される限り、MN10はMN−HoAを使う。さらに、LMA26とMAGは、両者の間で、MN10のホーム・ネットワーク・プレフィックスとRFC5213に記載のMAGのプロキシ気付アドレス(プロキシCoA)との間のバインディングを利用した双方向IPトンネルを確立する。この結果、各バインディングは、双方向IPトンネルに一致する。
【0051】
MN10のホーム・ネットワーク・プレフィックス(HNP)とMAGのプロキシ気付アドレス(プロキシCoA)との間の各バインディングを管理するために、LMA26は、図4に示されるバインディング・キャッシュ・エントリ(BCE)テーブルをそのメモリ装置に記憶している。BCEテーブルは、各々、MN−ID(モバイルノード識別子)、BID(バインディング識別子)、優先順位、HNP、プロキシCoA、ATT(アクセス・テクノロジー・タイプ)及びMN−LL−ID(モバイルノード・リンク層識別)等をそれぞれ含む複数のバインディング・キャッシュ・エントリを記録する。
【0052】
MN−IDはMN10を一意に特定する。BIDは、RFC5648に記載の1つのMN10によって登録される複数のバインディングを区別するのに用いられる。優先順位は、1つのMN10が複数のバインディングを登録している場合に、バインディングの優先権の順位を特定する。例えば、図4にBID1と2で示されるMN#1が複数のバインディングを登録しているとき、3Gネットワークシステムに関連付けられたBID1は、最高位の優先順位(第1優先順位)を有し、この第1優先順位は、3Gネットワークシステムを用いたIPパケットフローを可能な限り維持すべきことを意味している。WiFiネットワークシステムに関連付けられたBID2は、WiFiネットワークシステムを用いたIPパケットフローを別のネットワークシステム(例えば、3Gネットワークシステム)へ移転してもよいことを意味する第2の優先順位(第2優先順位)を有する。HNPは、MN10に割り当てられたホーム・ネットワーク・プレフィックスである。プロキシCoAは、MN10が接続されているMAGのプロキシ気付アドレスである。ATTは、MN10が現在MAGとの接続に用いるアクセス技術の種別(例えば、3G又はWiFi)を特定する。MN−LL−IDは、MN10がMAGに接続するのに用いるMN10の無線インタフェース(例えば、3Gインタフェース31又はWiFiインタフェース32)を特定(識別)する。
【0053】
図4から理解されるように、1つのMN10は3Gネットワークシステム12(MAG16を含む)及び、3Gインタフェース31を使用するLMA26を通して1以上のCN28と通信することができる。同時に、1つのMN10は、WiFiネットワークシステム18(MAG22を含む)及び、WiFiインタフェース32を使用するLMA26を通して1以上のCN28と通信することができる。
【0054】
RFC5213とRFC5648で定められる要件に加えて、LMA26はMN10及びCN28間のIPパケットフローを全て管理する。IPフロー(すなわち、IPパケットフロー)は、一連のIPパケットを意味する。RFC6089では、IPフローは、トラヒックセレクタに適合する一組のIPパケットと定義される。IPフローはMN10の3Gインタフェース31とLMA26との間の3Gネットワークシステム12を介した接続上で確立されてもよく、MN10のWiFiインタフェース32とLMA26との間のWiFiネットワークシステム18を介した接続上で確立されてよい。さらにまた、IPフローは、現在使用中の無線アクセス技術から別の無線アクセス技術へ(3GからWiFiへ、及びWiFiから3Gへ)移転されてもよい。LMA26は、各IPフローと、HNP及びプロキシCoA間のバインディングとの関係を管理する。言い換えると、LMA26はRFC6089で定められるIPフローとバインディング識別子(BID)との間の各フローバインディングを管理する。
【0055】
IPフローとBIDとの間の各フローバインディングを管理するために、LMA26は、そのメモリ装置に、図5に示されるフロー・バインディング・キャッシュ・エントリ(FCE)テーブルを記憶する。FCEテーブルは、フローID(フロー識別子)、優先順位、トラヒックセレクタ、BID及びフロータイプをそれぞれが含むフロー・バインディング・キャッシュ・エントリ(すなわち、フロー・バインディング・エントリ)を記録する。
フローIDは、フローバインディングを一意に識別し、MN10によって生成される。優先順位は、1つのバインディングが複数のIPフローに関連付けられている場合におけるIPフローの優先順を特定する。トラヒックセレクタはパケットを分類するために用いる1以上のパラメータ(例えば、発信元IPアドレス、宛先IPアドレス、発信元ポート番号、宛先ポート番号とトランスポートプロトコル番号)を含む情報であり、IPフローを特定する。フロータイプは、IPフローのタイプを特定する。フロータイプの「動的」は、対応するIPフローが現在使用中の無線アクセス技術から別の無線アクセス技術へ移転可能であることを意味する。フロータイプの「静的」は、対応するIPフローが移転不能であることを意味する。図5から理解されるように、1つのBIDが複数のフローと関連付けられる場合があるのに対して、各フロー・バインディング・キャッシュ・エントリ(すなわち、フロー・バインディング・エントリ)は特定のBIDを含む。
【0056】
本発明の実施の形態によると、モバイルノードからの指示に応じて、MN10に確立されている1以上の既存のIPフローは、現在使用中の無線アクセス技術から別の無線アクセス技術へ動的に移転可能である。言い換えると、1以上の既存のIPフローを、現在使用中の無線通信ネットワークシステムから別の無線通信ネットワークシステムへ動的に移転可能である。IPフローの無線アクセス技術の変更に伴い、図5に示されるFCEテーブルで当該IPフローに対応するフロー・バインディング・キャッシュ・エントリ(フロー・バインディング・エントリ)におけるBIDも変更すべきである。
【0057】
以下の説明において、IPフローに現在使用している移動(すなわち、移転)対象の無線アクセス技術を第1の無線アクセス技術又はサービス無線アクセス技術と呼ぶ場合があり、IPフローに新しく使用する無線アクセス技術を第2の無線アクセス技術又はターゲット無線アクセス技術と呼ぶ場合がある。同様に、移動(すなわち、移転)対象のIPフローに現在使用されている無線通信ネットワークシステムを第1の無線ネットワークシステム又はサービス無線ネットワークシステムと呼ぶ場合があり、IPフローに新しく使用される無線通信ネットワークシステムを第2の無線ネットワークシステム又はターゲット無線ネットワークシステムと呼ぶ場合がある。同様に、移動(すなわち、移転)対象のIPフローに現在使われているモビリティ・アンカー・ゲートウェイ(MAG)を第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイ又はサービス・モビリティ・アンカー・ゲートウェイ(sMAG)と呼ぶ場合があり、IPフローに新しく使われるモビリティ・アンカー・ゲートウェイ(MAG)を第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイ又はターゲット・モビリティ・アンカー・ゲートウェイ(tMAG)と呼ぶ場合がある。同様に、移動(すなわち、移転)対象のIPフローに現在使われているMN10の無線インタフェースを第1の無線インタフェース又はサービス無線インタフェースと呼ぶ場合があり、IPフローに新しく使われるMN10の無線インタフェースを第2の無線インタフェース又はターゲット無線インタフェースと呼ぶ場合がある。
【0058】
後述するように、MN10がサービス無線アクセス技術からターゲット無線アクセス技術へ移転したいIPフローに関連付けられた少なくとも1のFID(フローID)を含むプロキシバインディング更新(PBU:proxy binding update)メッセージをLMA26がターゲットMAG(tMAG)から受信すると、LMA26は、フロー・バインディング・エントリにおける既存のFIDに対応するBID(IPフローに現在使用されている、MN10のHNPとsMAGのプロキシCoAとの間のバインディングを識別するもの)を、ターゲット無線インタフェースに対応する別のBID(IPフローに将来使われる、MN10のHNPとtMAGのプロキシCoAとの間のバインディングを識別するもの)で更新する。
【0059】
上述のように、MAG(MAG16とMAG22の各々)は各MN10のアクセスルータとして機能し、各MN10に代わってIPフローモビリティ管理手順を実行する。MAGはMNの移動を検知するとともに、MN10から送られるフローモビリティ指示(Flow Mobility Indication)メッセージ(フロー移転指示)を検知する役割を有する。フローモビリティ指示メッセージは、MN10がサービス無線アクセス技術からターゲット無線アクセス技術へ移転したい少なくとも1のIPフローを特定するものである。フローモビリティ指示メッセージは、サービス無線インタフェースがIPフローの移動(移転)完了後にアクティブ又は非アクティブであるべきことを示すとともに、ターゲット無線インタフェースがIPフローの移転の完了後にアクティブ又は非アクティブであるべきことを示す所望動作情報を含む。MAGは、所望動作情報を使って、指定されたIPフロー用のIPフローハンドオーバ(IPフロー移転)のタイプを決定する。
【0060】
MAGがターゲットMAGの場合、MN10がターゲット無線ネットワークシステムに接続されていなければ、tMAGはLMA26に予備登録を実行させる。この予備登録では、LMAは、MN10がターゲット無線ネットワークシステムに対する新たな接続を開始するための、MN10の新たなバインディングを登録する。より具体的には、予備登録においては、MN−ID、MNの新たなHNP及びtMAGのプロキシCoAを示す新たなバインディング・キャッシュ・エントリが、バインディング・キャッシュ・エントリ(BCE)テーブルに追加される。予備登録は、tMAGからLMA26に対して、プレ・プロキシ・バインディング更新(Pre-PBU)メッセージ(新接続要求)を送信することによって実行される。
【0061】
MAGがターゲットMAGの場合、MN10がターゲット無線ネットワークシステムに接続されていれば、tMAGはMN10がサービス無線アクセス技術からターゲット無線アクセス技術へ移転したいIPフローと関連した少なくとも1つのFIDを含むPBUメッセージ(フローバインディング更新要求)を送信する。PBUメッセージは、LMA26にフローバインディング登録を実行させる。このフローバインディング登録では、LMAが、ターゲット無線インタフェースに対応する別のBID(IPフローに将来使われるものであり、MN10のHNPとtMAGのプロキシCoAとの間のバインディングを識別するもの)で、FIDに対応するBID(IPフローに現在使用中のものであり、MN10のHNPとsMAGのプロキシCoAとの間のバインディングを識別するもの)を更新する。
【0062】
tMAGがLMAに対してプレPBUメッセージとPBUメッセージを送信できるように、本願では、ハンドオーバ開始フローモビリティ(HIF:Handover Initiate Flow mobility)メッセージ及びハンドオーバ確認応答フローモビリティ(HAF:Handover Acknowledge Flow mobility)メッセージが新たに提案されている。これらのメッセージの詳細を、更に詳細に記載する。
【0063】
IPフロー移転中におけるエンドツーエンドのパケット遅延を最小にするために、本発明の実施の形態においては、IPフロー移転の期間、sMAGとtMAGとの間で双方向IPトンネルは確立されない。つまり、sMAGは、MN10がサービス無線アクセス技術からターゲット無線アクセス技術へ移転したいアップリンク又はダウンリンクIPパケットフロー上では、IPパケットのコピーをtMAGに転送しない。
【0064】
さらに、IPフロー移転期間中におけるサービス無線ネットワークシステム上のパケット損失又はターゲット無線ネットワークシステム上のバッファリングを避けるために、MN10は、L2/L3(第2層及び第3層)コネクションがターゲット無線ネットワークシステム上で完全に確立されるまで、サービス無線ネットワークシステム上でアップリンク経路とダウンリンク経路の両方を維持することによって複数の無線インタフェースを同時に利用する。
【0065】
2.2 LMA(ローカル・モビリティ・アンカー)の構造
図6は、LMA26の物理的な構造を示す。LMA26は、送信部回路41と、受信部回路42と、プロセッサ43と、メモリ44とを含む。送信部回路41は、プロセッサ43の制御の下、CN28及びMAG(例えば、MAG16及び22)に信号を送信する。受信部回路42は、プロセッサ43の制御の下、CN28及びMAG(例えば、MAG16及び22)から信号を受信する。受信部回路42は、LMA26の全体的な動作を制御する。メモリ44は、図4に示されるBCEテーブルと図5に示されるFCEテーブルを記憶する。
【0066】
図7は、各MAGと通信することが可能なLMA26の機能的な構造を示す。図7で示すように、LMA26は、IPフロー受信部51と、IPフロー送信部52と、プレPBU受信部53と、予備登録実行部54と、プレPBA送信部55と、PBU受信部56と、フローバインディング登録実行部57と、PBA送信部58と、BRI送信部と、59BRA受信部60とを含む。
【0067】
IPフロー受信部51は、受信部回路42とプロセッサ43との組合せから成るとみなされ、双方向IPトンネルを介してMAGsからのIPフローを受信する。IPフロー送信部52は、送信部回路41とプロセッサ43との組合せから成るとみなされ、双方向IPトンネルを介して、IPフローをMAGに送信する。
【0068】
プレPBU受信部53(新接続要求受信部)は、受信部回路42とプロセッサ43との組合せから成るとみなされる。プレPBU受信部53は、tMAGからプレPBUメッセージ(新たな接続要求)を受信する。プレPBUメッセージは、少なくとも、サービス無線アクセス技術からターゲット無線アクセス技術へIPフローを移転したいMN10のMN−IDとtMAGのプロキシCoAとを示す。プレPBUメッセージは、MN−ID、MN−LL−ID、新たなBID、ATT、tMAGのプロキシCoA等を示し得る。MN−LL−IDは、IPフローが移転されるために使われるMN10のターゲット無線インタフェース(例えば、3Gインタフェース31又はWiFiインタフェース32)を確認する。新たなBIDはLMA26でつくられる新たなバインディングを識別するのに用いられる。新たなバインディングは、LMA26に割り当てられるMN10の新たなHNPとtMAGのプロキシCoAとの間のバインディングである。ATTは、MN10がtMAGに接続するのに将来用いるターゲットアクセス技術(例えば、3G又はWiFi)のタイプを特定する。
【0069】
予備登録実行部54(新接続登録部)は、プロセッサ43であるとみなされる。プレPBU受信部53でプレPBUメッセージ(新たな接続要求)を受信すると、予備登録実行部54は、MN10に、MN10の新たなHNPを割り当てる。MN10はMN10のターゲット無線インタフェースとtMAGとの間の通信に用いるモバイルノードのホームアドレス(MN−HoA)を、HNPから構成する。HNP自体が、tMAGとLMA26との間の通信に使われる。このように、HNPは、MN10のターゲット無線インタフェースとLMA26との間のターゲット無線通信ネットワークシステムを介した通信に使われる。予備登録実行部54は予備登録を実行する。この予備登録において、予備登録実行部54は、新たなHNPとtMAGのプロキシCoAとの間で新たなバインディングを登録する。より具体的には、予備登録実行部54は、この予備登録において、メモリ44に記憶されているBCEテーブルに、MN−IDと、新たなHNPと、tMAGのプロキシCoAとを示す新たなBCE(バインディング・キャッシュ・エントリ)とを追加する。
【0070】
プレPBA送信部55(新ホーム・ネットワーク・プレフィックス送信部)は、送信部回路41とプロセッサ43との組合せから成るとみなされる。予備登録実行部54が予備登録を正常に完了した場合、プレPBA送信部55は、tMAGとLMA26との間の新たな双方向IPトンネルの確立を促すべく、MN10の新たなHNPをtMAGに送信する。より正確には、プレPBA送信部55は、予備登録が成功したこととMN10の新たなHNPを示すプレPBA(Pre-PBA: Pre-Proxy Binding Acknowledgement)メッセージを送信する。
【0071】
PBU受信部56(フローバインディング更新要求受信部)は、受信部回路42とプロセッサ43との組合せから成るとみなされる。PBU受信部56は、tMAGからPBUメッセージ(フローバインディング更新要求)を受信する。PBUメッセージは、サービス無線アクセス技術からターゲット無線アクセス技術へIPフローを移転したいMN10と、tMAGのプロキシCoAと、MN10がサービス無線アクセス技術からターゲット無線アクセス技術へ移転したいIPパケットフローとを特定する。PBUメッセージは、MN10のMN−IDと、ターゲット無線インタフェースを識別するMN−LL−IDと、BIDと、ターゲットアクセス技術のタイプを特定するATTと、tMAGのプロキシCoAと、FIDとを示すことができる。PBUメッセージのBIDは、移転対象のIPフローに用いられるMN10のHNPとtMAGのプロキシCoAとの間のバインディングを識別するBIDであり、このBIDは、tMAGとLMA26との間で既存の双方向IPトンネルを確立するための既存のBCEにおいて、MN10と既に関連付けられている。PBUメッセージのFIDは、FCEテーブルの既存のフロー・バインディング・エントリ中に存在するFIDであり、MN10がサービス無線アクセス技術からターゲット無線アクセス技術へ移転したいIPフローと関連付けられている。したがって、FIDは、tMAGに対して移転されるべきIPパケットフローを識別する。
【0072】
フローバインディング登録実行部57(フローバインディング登録部)は、プロセッサ43であるとみなされる。フローバインディング登録実行部57は、tMAGへ移転されるべきIPパケットフローを、MN10用の、tMAGとLMA26との間の新たな又は既存の双方向IPトンネルと関連付ける。フローバインディング登録実行部57は、フローバインディング登録を実行する。このフローバインディング登録において、フローバインディング登録実行部57は、tMAGへ移転すべきIPパケットフローを識別するFIDと、移転対象のIPフローに新たに使われるMN10のHNPとtMAGのプロキシCoAとの間のバインディングを識別する新たなBIDとの間のバインディングを登録する。フローバインディング登録実行部57は、より具体的には、前のBIDが新たなBIDで更新されるように、メモリ44に記憶されるFCEテーブルにおいて、上記FIDを含むFCEを更新する。したがって、フローバインディング登録実行部57は、MN10の新たな又は既存のHNPと、PBUメッセージ(フローバインディング更新要求)によって特定されるIPパケットフローとの間でバインディングを登録する。
【0073】
PBA送信部58(フローバインディング完了報告送信部)は、送信部回路41とプロセッサ43との組合せから成るとみなされる。フローバインディング登録実行部57がフローバインディング登録を正常に完了した場合には、PBA送信部58は、フローバインディング登録実行部57におけるフローバインディング登録の完了を示すPBA(プロキシバインディング確認応答)メッセージ(フローバインディング完了メッセージ)をtMAGに送信する。
【0074】
BRI送信部59は、送信部回路41とプロセッサ43との組合せから成るとみなされる。IPフローがsMAGからtMAGへ正常に移転されたら、BRI送信部59は、sMAGにおける、移転されたIPフローに関する情報を削除するために、sMAGに対して、RFC5846で定められるBRI(Binding Revocation Indication)メッセージを送信する。BRIを受信すると、sMAGは移転されたIPフローに関する情報を削除し、LMA26に対してBRA(Binding Revocation Acknowledgement)で返信する。
【0075】
BRA受信部60は、受信部回路42とプロセッサ43との組合せから成るとみなされる。BRA受信部60はBRAメッセージを受信する。
【0076】
2.3 MAG(モビリティ・アンカー・ゲートウェイ)の構造
図8は、MAGの各々の物理的な構造を表す。MAGは、送信部回路71と、受信部回路72と、プロセッサ73と、メモリ74とを含む。送信部回路71は、プロセッサ73の制御の下、LMA26、MN10及び他のMAGsに対して信号を送信する。受信部回路72は、プロセッサ73の制御の下、LMA26、MN10及び他のMAGから信号を受信する。受信部回路72は、MAGの全体的な活動を制御する。メモリ74は、MAGのプロキシCoAとIPフローモビリティの情報リストを記憶する。
【0077】
図9はMAGの機能的な構造を表す。図9で示すように、MAGは、MN10と通信するための、IPフロー送信部81と、IPフロー受信部82と、フローモビリティ指示受信部85と、インタフェース起動部86と、接続確認部87と、RA送信部100と、RS受信部101と、フロー移動完了報告部102とを含む。MAGは、LMA26と通信するためのIPフロー受信部83と、IPフロー送信部84と、プレPBU送信部93と、プレPBA受信部94と、PBU送信部95と、PBA受信部96と、BRI受信部97と、BRA送信部98とを含む。MAGは、他のMAGと通信するためのHIF送信部89と、HIF受信部90と、HAF送信部91と、HAF受信部92とを含む。
【0078】
MAGは、IPフローモビリティに必要な情報を管理するための情報管理部99も含む。情報管理部99は、プロセッサ73であるとみなされ、IPフローモビリティに必要な情報を記憶する。
【0079】
IPフロー送信部81は、送信部回路71とプロセッサ73との組合せから成るとみなされ、IPフローをMN10に対して送信する。IPフロー受信部82は、受信部回路72とプロセッサ73との組合せから成るとみなされ、MN10からIPフローを受信する。IPフロー受信部83は、受信部回路72とプロセッサ73との組合せから成るとみなされ、双方向IPトンネルを介してLMA26からIPフローを受信する。IPフロー送信部84は、送信部回路71とプロセッサ73との組合せから成るとみなされ、双方向IPトンネルを介してIPフローをLMA26に送信する。IPフロー送信部81,84及びIPフロー受信部82,83はフロー確立部を構成する。MAGがtMAGの場合、フロー確立部は、MN10がサービス無線アクセス技術からターゲット無線アクセス技術へ移転したいIPパケットフローを、MN10のターゲット無線インタフェースとtMAGとの間の接続及び、tMAGとLMA26との間の双方向IPトンネルを使用して確立する。
【0080】
MAGがsMAGの場合には、フローモビリティ指示受信部85と、インタフェース起動部86と、HIF送信部89と、HAF受信部92と、BRI受信部97と、BRA送信部98とが使われる。MAGがtMAGの場合には、RA送信部100と、RS受信部101と、フロー移動完了報告部102と、HAF送信部91と、HIF受信部90と、プレPBU送信部93と、プレPBA受信部94と、接続確認部87と、PBU送信部95と、PBA受信部96とが使われる。
【0081】
フローモビリティ指示受信部85(フロー移転指示受信部)は、受信部回路72とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがsMAGの場合、フローモビリティ指示受信部85はMN10からフローモビリティ指示メッセージ(Flow Transfer Indication)を受信する。フローモビリティ指示メッセージは、少なくとも1のIPパケットフローが、サービス無線通信ネットワークシステムを介してMN10のサービス無線インタフェースとLMA26との間で確立され、且つ、MN10が、少なくとも1の既に確立されたIPパケットフローを、サービス無線アクセス技術からターゲット無線アクセス技術へ移動(すなわち、移転)したいときに、MN10から送信される。
【0082】
フローモビリティ指示メッセージはL2(第2層)トリガであり、モバイルノードと、モバイルノードがサービス無線アクセス技術からターゲット無線アクセス技術へ移転したい少なくとも1のIPパケットフローとを特定する。フローモビリティ指示メッセージは、ターゲット無線インタフェースが現在アクティブにされているか否かを示す現在状態情報を含む。フローモビリティ指示メッセージは、サービス無線インタフェースがIPフロー移転の完了後、アクティブにされた状態から非アクティブにされるべきか否かを示す所望動作情報も含んでもよい。要は、フローモビリティ指示メッセージは、MN10のMN−IDと、tMAGのアドレスと、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報と、少なくとも1のFIDとを示すようにしてもよい。フローモビリティ指示受信部85は、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報をチェックして、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報に基づいて、指定されたIPフローのIPフローハンドオーバ(IPフロー移転)のタイプを決定する。
【0083】
HIF送信部89(フロー移転要求送信部)は、送信部回路71とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがsMAGの場合、HIF送信部89は、フローモビリティ指示受信部85でフローモビリティ指示メッセージ(フロー移転指示)を受信すると、HIFメッセージ(フロー移転要求)をtMAGに送信する。HIFは、「Handover Initiate for Flow mobility」の略語である。
【0084】
HIFメッセージは、フローモビリティ指示メッセージで特定される、MN10とMN10がサービス無線アクセス技術からターゲット無線アクセス技術へ移転したいIPパケットフローとを特定する。HIFメッセージは、ターゲット無線インタフェースが現在アクティブにされていないことをフローモビリティ指示メッセージの現在状態情報が示す場合に、LMA26に対してプレPBUメッセージ(新たな接続要求)を送信するようtMAGに指示する第1の送信指示を含むことができる。HIFメッセージは、ターゲット無線インタフェースが現在アクティブにされていることをフローモビリティ指示メッセージの現在状態情報が示す場合に、LMA26に対してPBUメッセージ(フローバインディング更新要求)を送信するようtMAGに指示する第2の送信指示を含むことができる。要は、HIFメッセージは、MN10を識別するMN−IDと、ターゲット無線インタフェースを識別するMN−LL−IDと、LMA26のアドレス(LMAA)と、移転対象のIPフローに対応するFIDと、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報と、第1の送信指示又は第2の送信指示を示すことができる。また、HIFメッセージは、指定されたIPフローに対応するトラヒックセレクタと、IPフローのフロータイプも示すことができる。
【0085】
HIF送信部89は、フローモビリティ指示受信部85によって決定されるIPフローハンドオーバのタイプに基づいて第1の送信指示又は第2の送信指示をHIFメッセージに含むべきことを定める。より具体的には、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報が、ターゲット無線インタフェースが現在アクティブにされていないことを示す現在状態情報を含む場合、フローモビリティ指示受信部85は、IPフローハンドオーバのタイプがターゲット無線ネットワークシステムに対するMN10の新たな接続(新たなコネクション)を伴うことを決定する。この場合、HIF送信部89は第1の送信指示を送信する。無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報が、ターゲット無線インタフェースが現在アクティブにされていることを示す現在状態情報を含む場合には、フローモビリティ指示受信部85は、IPフローハンドオーバのタイプが、ターゲット無線ネットワークシステムに対するMN10の新たな接続(新たなコネクション)を伴わないことを決定する。この場合、HIF送信部89は第2の送信指示を送信する。
【0086】
HIF受信部90(フロー移転要求受信部)は、受信部回路72とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがtMAGの場合、HIF受信部90はsMAGからHIFメッセージ(フロー移転要求)を受信する。HIFメッセージ(特に、第1又は第2の送信指示)に基づいて、HIF受信部90は、プレPBUメッセージ又はPBUメッセージをLMA26に送信すべきことを決定する。
【0087】
プレPBU送信部93(新接続要求送信部)は、送信部回路71とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがtMAGの場合、プレPBU送信部93は、HIF受信部90で受信したHIFメッセージが第1の送信指示を含む場合、プレPBUメッセージ(新たな接続要求)をLMA26に送信する。上述のように、プレPBUメッセージは、MN10のMN−ID、ターゲット無線インタフェースを識別するMN−LL−ID、新たなバインディングのための新たなBID、ターゲットアクセス技術のタイプを特定するATT、tMAGのプロキシCoA等を示し得る。
【0088】
プレPBA受信部94(新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部)は受信部回路72とプロセッサ73との組合せとから成るとみなされる。MAGがtMAGの場合、プレPBA受信部94は、予備登録の完了の後、プレPBUメッセージに応じてLMA26から送られるプレPBAメッセージを受信する。上述のように、プレPBAメッセージは、予備登録が成功したこととMN10の新たなHNPとを示す。tMAGとLMAとの間でプレPBUメッセージとプレPBAメッセージとを交換した後に、LMA26のIPフロー受信部51及びIPフロー送信部52と、tMAGのIPフロー受信部83及びIPフロー送信部84は、tMAGとLMAとの間の双方向IPトンネルを使って通信することができる。
【0089】
HAF送信部91(登録完了報告送信部)は、送信部回路71とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。HAFは、「Handover Acknowledge for Flow mobility」の略語である。MAGがtMAGの場合、プレPBA受信部94において、LMA26からプレPBUメッセージを受信するか、又は、PBA受信部96において、LMA26からPBUメッセージを受信すると、HAF送信部91はHAFメッセージをsMAGに送信する。
【0090】
HAF送信部91の振る舞いは、HIF受信部90で受信したHIFメッセージの内容に依存する。HIFメッセージが第1の送信指示を示す場合、IPフローハンドオーバのタイプはターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続(新たなコネクション)を伴う。この場合、HAF送信部91は、プレPBAメッセージを受信すると、HAFメッセージを送信し、PBAメッセージに従って行動しない。この場合、HAFメッセージは、ターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続のための新たな双方向IPトンネルが完了したことを示すとともに、HIFメッセージにおいてMN−LL−IDによって特定されるMN10のターゲット無線インタフェースを起動させるようにとのMN10への指示を含む。この場合、HAF送信部91は新IPトンネル完了報告送信部であり、プレPBA受信部94でMN10の新たなHNPを受信すると、MN10のターゲット無線インタフェースとtMAGとの間の接続を確立するためにMN10のターゲット無線インタフェースをアクティブにするためのtMAGの上のインタフェース起動部である。
【0091】
HAF受信部92(登録完了報告受信部)は、受信部回路72とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがsMAGの場合、HAF受信部92はtMAGからHAFメッセージを受信する。
【0092】
他のインタフェース起動部86は、送信部回路71とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがsMAGの場合、MN10のターゲット無線インタフェースをアクティブにさせるようsMAGに対する指示を示すHAFメッセージをHAF受信部92で受信すると、インタフェース起動部86は、MN10のサービス無線インタフェースに、ターゲット・インタフェース・アクション(Target Interface Action)メッセージを送信する。ターゲット・インタフェース・アクション・メッセージは、MN10のターゲット無線インタフェースとtMAGの接続の確立を促すためにMN10のターゲット無線インタフェースをアクティブにするためのL2トリガである。
【0093】
接続確認部87は、受信部回路72とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがtMAGの場合、接続確認部87はMN10のターゲット無線インタフェースとtMAGとの間のL2コネクションの確立を確認する。したがって、tMAGは、ターゲット無線ネットワークシステムに対するMN10の新たな接続を確認する。
【0094】
PBU送信部95(フローバインディング更新要求送信部)は、送信部回路71とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがtMAGの場合、PBU送信部95は、接続確認部87で接続の確立を確かめると、PBUメッセージ(フローバインディング更新要求)をLMA26に送信する。PBU送信部95は、HIF受信部90で第2の送信指示を含むHIFメッセージを受信すると、PBUメッセージもLMA26に送信する。いずれにせよ、PBUメッセージは、MN10のMN−ID、ターゲット無線インタフェースを識別するMN−LL−ID、新たなバインディングの新たなBID、ターゲットアクセス技術のタイプを特定するATT、tMAGのプロキシCoA、移転されるべきIPフローに対応するFIDを示すことができる。
【0095】
PBA受信部96(フローバインディング完了報告受信部)は、受信部回路72とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがtMAGの場合、PBA受信部96は、フローバインディング登録の完了を示すPBAメッセージ(フローバインディング完了メッセージ)をLMA26から受信する。
【0096】
RA送信部100は、送信部回路71とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがtMAGの場合、PBA受信部96でPBAメッセージを受信した後に、RA送信部100は、tMAGの存在をMN10に通知するとともに、MN10の新たなHNPをMN10に通知するために、RA(Router Advertisement)メッセージをMN10のターゲット無線インタフェースに送信する。IPフローハンドオーバのタイプがターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続(新たなコネクション)を伴う時だけRA送信部100は動作する。つまり、HIFメッセージにおける、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報が、ターゲット無線インタフェースが現在アクティブにされていることを示す現在状態情報を含む場合又はHIFメッセージが第2の送信指示を示す場合には、RA送信部100はRAメッセージを送信する。RA送信部100は、PBAメッセージを受信すると、RAメッセージを定期的に送信するようにしてもよい。あるいは、RA送信部100は、PBAメッセージが既に受信されている場合には、RS受信部101で受信したRS(Router Solicitation)メッセージに応じてRAメッセージを送信するようにしてもよい。
【0097】
RS受信部101は、受信部回路72とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがtMAGの場合、RS受信部101はMN10からRSメッセージを受信するようにしてもよい。RSメッセージは、tMAGにRAにメッセージの送信を要求するために、L2コネクションの確立の後にMN10から送られる。
【0098】
フロー移動完了報告部102は、送信部回路71とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがtMAGの場合、RA送信部100からのRAメッセージの伝送の後、フロー移動完了報告部102はMN10にフロー移動完了メッセージを送信する。フロー移動完了メッセージは、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムまでのフロー移動(フロー移転)の完了をMN10に知らせるためのL2トリガである。MN10でフロー移動完了メッセージを受信した後、MN10は、ターゲット無線ネットワークシステム及びLMA26を介して、指定されたIPフローのアップリンクパケットをCN28へ送信することができ、ターゲット無線ネットワークシステム及びLMA26を介して、指定されたIPフローのダウンリンクパケットをCN28から受信することができる。MN10にフロー移動完了メッセージを送った後に、フロー確立部(IPフロー送信部81,84とIPフロー受信部82,83)は、MN10のターゲット無線インタフェースとtMAGとの間の接続と、tMAGとLMA26との間の双方向IPトンネルを使用して、指定されたIPパケットフローを確立する。
【0099】
BRI受信部97は、受信部回路72とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがsMAGの場合、指定されたIPフローがサービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへ正常に移転されると、BRI受信部97はLMA26からBRI(Binding Revocation Indication)メッセージを受信する。BRI受信部97でBRIメッセージを受信すると、情報管理部99は、メモリ74に記憶された移転されたIPフローに関する情報を削除する。
【0100】
BRA送信部98は、送信部回路71とプロセッサ73との組合せから成るとみなされる。MAGがsMAGの場合、情報管理部99が、BRIメッセージに応じて移転されたIPフローに関する情報を削除すると、BRA送信部98はLMA26に対して、BRA(Binding Revocation Acknowledgement)メッセージで応じる。
【0101】
上述のように、tMAGのHAF送信部91(登録完了報告送信部)の振る舞いは、HIF受信部90で受信されるHIFメッセージの内容に依存する。HIFメッセージが第2の送信指示を示すならば、IPフローハンドオーバのタイプはターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続(新たなコネクション)を含まない。この場合、HAF送信部91は、LMA26からPBAメッセージを受信すると、HAFメッセージを送信する。この場合、HAFメッセージは指定されたIPフローの移動(移転)の完了を示すが、MN10のターゲット無線インタフェースをアクティブにするようにとのMN10への指示を含まない。これは、ターゲット無線インタフェースが既にアクティブにされているからである。
【0102】
さらに、HAFメッセージを、MN10のターゲット無線インタフェースをアクティブにする旨の指示を伴わずに送信した後、フロー移動完了報告部102は、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへのフロー移動(フロー移転)の完了をMN10に知らせるために、MN10にフロー移動完了メッセージを送信する。MN10でフロー移動完了メッセージを受信した後、MN10はターゲット無線ネットワークシステム及びLMA26を介して、指定されたIPフローのアップリンクパケットをCN28に送信することができ、ターゲット無線ネットワークシステム及びLMA26を介して、指定されたIPフローのダウンリンクパケットをCN28から受信することができる。MN10にフロー移動完了メッセージを送信した後、フロー確立部(IPフロー送信部81,84及びIPフロー受信部82,83)は、MN10のターゲット無線インタフェースとtMAGとの間の接続及びtMAGとLMA26との間の双方向IPトンネル間の接続を使用して、指定されたIPパケットフローを確立する。
【0103】
図10は、MN10の無線通信ネットワークシステムへの移動及び無線通信ネットワークシステムからの移動を管理するために、各MAGのメモリ74に記憶されるバインディング更新リストテーブルの例を表す。バインディング更新リストテーブルは、複数のレコードを含む。各レコードはMN10を識別するMN−IDと、MN10の無線インタフェースを識別するMN−LL−IDと、MN10のホーム・ネットワーク・プレフィックスと、LMA26(LMAA)のアドレスと、このレコードで示されるバインディングを識別するBID(バインディングID)とを含む。
【0104】
図11は、IPフローの移動(移転)を管理するために、各MAGのメモリ74に記憶されたフローバインディング更新リストテーブルの一例を示す。フローバインディング更新リストは、複数のレコードを含む。各レコードは、MN10を識別するMN−IDと、IPフローに対応するFID(フローID)と、IPフローに対応するトラヒックセレクタと、IPフローのフロータイプを含む。
【0105】
本発明の実施の形態によると、MN10は、MN10がサービス無線アクセス技術からターゲット無線アクセス技術へ移転したい少なくとも1のIPフローを特定するフローモビリティ指示メッセージを送信する。MN10周囲の無線環境が変化する(例えば、WiFiと3G無線技術の両方が利用可能なゾーンにMNが入る又はそこから離れる)ときはいつでも、MN10のユーザが移転すべきIPフローを決定するようにしてもよい。このため、MNは、無線環境が変わるときはいつでも、移転する1以上のIPフローを決定するよう促すためにユーザとの対話をすることができる。
【0106】
あるいは、MN10はユーザのポリシーを反映するMN10に記憶された記憶内容に基づいて、移転するIPフローを自動的に決定するようにしてもよい。図12は、各MN10に記憶可能なローカル・ポリシー・プロファイル・テーブルを表す。ローカル・ポリシー・プロファイル・テーブルは複数のレコードを含み、それぞれには、IPフローのフローIDと、IPフローの優先順位と、IPフローに対応するトラヒックセレクタと、フロー移動ポリシーと、IPフローのフロータイプとを含むようにしてもよい。フロー移転ポリシーでは、「3GからWiFi」はMN10がWiFiと3G無線技術の両方が利用可能なゾーンに一旦入ると、IPフローの無線アクセス技術を3GからWiFiに変更すべきことを意味する。全てのIPフローのフロー移転ポリシーを「3GからWiFi」に設定することが可能である。フロー移動ポリシーにおいて、「ネットワーク状態に依存」は、MN10がWiFiと3G無線技術の両方が利用可能なゾーンに入るとき、IPフローの無線アクセス技術が3G信号の強度とWiFi信号の強度に応じて変更又は維持すべきことを意味する。
【0107】
MN10のユーザは、ローカル・ポリシー・プロファイル・テーブルに各レコードをセットすることができる。したがって、MN10はユーザの意図に従って、移転すべきIPフローを自動的に決定することができる。
【0108】
2.4 MAG間で送信されるメッセージ
本実施形態は、PMIPv6環境における移動機主導型フローモビリティをサポートするための新たなモビリティ・ヘッダ・メッセージを使う。新たなモビリティ・ヘッダ・メッセージは、sMAGからtMAGへ送信されるHIF(Handover Initiate for Flow mobility)メッセージ及びtMAGからsMAGへ送信されるHAF(Handover Acknowledgement for Flow mobility)メッセージである。また、HIFメッセージは、IPフローを移転したいMN10の無線インタフェースの現在の状態を示すとともに、MN10の無線インタフェースの所望の動作を示すインタフェース状態及び動作の情報(インタフェースアクション情報)を含む。インタフェース状態及び動作の情報は、無線インタフェースの現在の状態と所望の動作に関する上記の情報である。MN10からsMAGに送られるフローモビリティ指示メッセージも、インタフェース状態及び動作の情報も含んでもよいが、これに限られない。
【0109】
2.4.1 モビリティ・ヘッダ・メッセージ
(1) HIF(Handover Initiate for Flow mobility)
HIFメッセージはHI(Handover Initiate)メッセージの拡張版であり、RFC5949(F−PMIPv6)で規定される。RFC5949で定められるHIメッセージは、RFC5568で規定されたHIメッセージの拡張版でもある。図13は、HIFメッセージのフォーマットを例示する。
【0110】
HIFメッセージのIPフィールド(図示せず)には、発信元アドレス(sMAGのIPアドレス)と宛先アドレス(tMAGのIPアドレス)を示すべきである。
【0111】
HIFメッセージのメッセージデータは、シーケンス番号と、「S」フラグと、「U」フラグと、「P」フラグと、「F」フラグと、「M」フラグと、「R」フラグと、予約フィールドと、コードフィールドとを含む。シーケンス番号はRFC5568のHIメッセージの場合と同様であり、送信側(sMAG)に設定されるべきである。「S」フラグはRFC5568でHIメッセージに規定されている割り当て済みアドレス構成フラグであり、本実施形態ではゼロに設定されるべきである。「U」フラグはRFC5568でHIメッセージに規定されるバッファフラグであり、本実施の形態ではゼロに設定されるべきである。「P」フラグはRFC5949でHIメッセージに規定されるプロキシフラグであり、本実施形態ではゼロに設定されるべきである。「F」フラグはRFC5949でHIメッセージのために定められる転送フラグであり、本実施形態でゼロに設定されるべきである。
【0112】
「M」フラグと「R」フラグとコードフィールドは、RFC5568及びRFC5949の従来のHIメッセージに対する改良版HIFメッセージである。「M」フラグはフロー・モビリティ・サポート・フラグであり、当該メッセージと、RFC5568及びRFC5949で規定されたHIFメッセージとの区別に用いられる。本実施形態による指定されたIPフロー移転にメッセージが使用される場合は、1に設定されるべきである。
【0113】
「R」フラグは登録フラグである。sMAGが、tMAGに対して、予備登録のためにプレPBUメッセージをLMA26に送信することを要求するならば、このフラグは本実施形態ではゼロに設定されるべきである。他方、sMAGが、tMAGに対して、フローバインディング登録のためにPBUメッセージをLMA26に送信することを要求するならば、このフラグは本実施形態では1に設定されるべきである。上記の第1の送信指示では「R」フラグがゼロに設定され、上記第2の送信指示では「R」フラグが1に設定される。
【0114】
本実施形態によると、RFC5213で定められる最初のバインディング登録は、2つのステップ、すなわち、ターゲット無線ネットワークシステムに対するMN10の新たな接続(新たなコネクション)を伴う指定されたIPフロー移動(移転)のための予備登録とフローバインディング登録とに分けられる。ターゲット無線ネットワークシステムにMN10の新たな接続(新たなコネクション)を必要としない指定されたIPフロー移動(移転)では、フローバインディング登録だけが実行される。
【0115】
MNがターゲット無線ネットワークシステムに接続されていない場合、sMAGはゼロに設定された「R」フラグを含むHIFメッセージを送信し、tMAGはプレPBUメッセージをLMAに送信する。そして、LMA26は予備登録を実行する。予備登録においては、LMAは、新たなHNPの割り当て、HNPと新たなBIDを有するターゲット無線ネットワークシステムのtMAGのプロキシCoAとの間の新たなバインディング用の新たなバインディング・キャッシュ・エントリの生成、tMAGとLMAとの間の双方向IPトンネルの確立といったMNの新たな接続処理を実行する。新たなバインディング・キャッシュ・エントリは、BCEテーブルに加えられる。
【0116】
MNが既にターゲット無線ネットワークシステムに接続されている場合、sMAGは1が設定された「R」フラグを含むHIFメッセージを送信し、tMAGはPBUにサービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへ指定されたIPフローを移動するために、指定されたIPフローに対応するFID(フローID)を含むメッセージをLMAに送信する。そして、LMA26はフローバインディング登録を実行する。フローバインディング登録では、LMAは、新たなフロー・バインディング・キャッシュ・エントリのFCEテーブルへの追加、又は、前のBIDを新たなBIDに変更することにより、FIDに対応するIPフローの既存のフロー・バインディング・キャッシュ・エントリの更新を実行する。
【0117】
このように2つのステップに分離することにより、ハンドオーバ遅延が最小となり、IPパケットの欠落とバッファリングを避けることが可能となり、これにより、IPフロー移動時のハンドオーバのパフォーマンスが著しく向上することになる。これは、フローバインディング登録が完全に終わるまで複数のインタフェースを同時に使用可能とすることにより、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへ移動することが決まった指定されたIPフローを、サービス無線ネットワークシステムを介して維持するからである。本実施形態と対照的に、新たな接続処理とフローバインディング登録処理とがPBUとPBAとを交換することによって一時に実行されるとなると、パケット損失だけでなくハンドオーバ遅延は必然的に増加する。
【0118】
予約フィールドは、RFC5568のHIメッセージの場合と同様であり、受信部(tMAG)に無視されるものとなるように、送信者(sMAG)によってゼロに設定されるべきである。従来のHIメッセージの場合には、RFC5568は、コードフィールドと、その値「0」及び「1」とを特定の目的のために定めている。これに加え、RFC5949では、HIメッセージに、他の特定の目的のためにコード値「2」及び「3」を規定する。本実施形態では、「M」フラグが1の場合に、コードフィールドは「4」又は「5」に設定される。
【0119】
「M」フラグが1(指定されたIPフロー移動にメッセージが使われることを特定)に設定されている場合、コード値4が設定され、「R」フラグはゼロ(プレPBUメッセージの送信を指示)に設定される。この場合、HAFメッセージを受信すると、tMAGは、LMAに対して、移転対象の1又は複数のIPフローに対応する1又は複数のFIDを示さないプレPBUメッセージを送信すべきである。したがって、コード値4は、「FIDなし」を示し、FIDなしのプレPBUメッセージに起因するMNの新たな接続に使われる。
【0120】
「M」フラグが1(指定されたIPフロー移動にメッセージが使われることを特定)に設定されている場合には、コード値5が設定され、「R」フラグは1(PBUメッセージの送信を指示)に設定される。この場合、tMAGは、HAFメッセージを受信すると、LMAに対して、移転対象の1又は複数のIPフローに対応する1又は複数のFIDを示すPBUメッセージを送るべきである。したがって、コード値5は、「FID付き」を示し、FID付きのPBUメッセージに起因する指定されたIPフローの移動の指示に使われる。
【0121】
モビリティ・オプション・フィールドは1以上のモビリティオプションを含み、その符号化とフォーマットはRFC3775において規定されている。HIFメッセージのこのフィールドに含まれ、本実施形態における指定されたIPフロー移動のために必要とされるモビリティオプションは、モバイルノード識別子(MN−ID)オプションと、ローカル・モビリティ・アンカー・アドレス(LMAA)オプションと、モバイルノード・リンク・ローカル識別子(MN−LL−ID)オプションと、フロー識別子オプションと、トラヒックセレクタ(TS)オプションと、フロー・サマリ・オプションと、インタフェースアクション(IA)オプションである。MN−IDオプションと、LMAAオプションと、MN−LL−IDオプションは、RFC5213で定められる。FIDオプションと、TSオプションと、フロー・サマリ・オプションは、RFC6089で定められる。インタフェースアクション(IA)オプションは、後に詳述するように、本実施形態で新たに定められる。IAオプションは、インタフェース状態及び動作の情報と呼ぶことができる。
【0122】
(2) HAF(Handover Acknowledgement for Flow mobility)
HAFメッセージはHAck(Handover Acknowledge)メッセージの拡張版であり、RFC5949(F−PMIPv6)で定められる。RFC5949で定められるHAckメッセージは、RFC5568で定められるHAckメッセージの拡張版でもある。図14は、HAFメッセージのフォーマットを例示する。
【0123】
HAFメッセージのIPフィールド(図示せず)には、送信元アドレス(tMAGのIPアドレス)と宛先アドレス(sMAGのIPアドレス)を示すべきである。
【0124】
HIFメッセージのメッセージデータは、シーケンス番号と、「U」フラグと、「P」フラグと、「F」フラグと、「M」フラグと、「T」フラグと、予約フィールドと、コードフィールドとを含む。シーケンス番号はRFC5568のHAckメッセージの場合と同様であり、このHIFメッセージが応答となるHAFメッセージにおいて、対応するフィールドからコピーされるべきである。「U」フラグはRFC5949でHAckメッセージについて定められるバッファフラグであり、本実施形態ではゼロに設定されるべきである。「P」フラグはRFC5949でHAckメッセージについて定められるプロキシフラグであり、本実施形態ではゼロに設定されるべきである。「F」フラグはRFC5949でHAckメッセージについて定められる転送フラグで、本実施形態ではゼロに設定されるべきである。
【0125】
「M」フラグと、「T」フラグと、コードフィールドとは、RFC5568とRFC5949における従来のHAckメッセージに対する、改良版HAFメッセージである。「M」フラグはフロー・モビリティ・サポート・フラグであり、当該メッセージとRFC5568及びRFC5949で定められるHAckメッセージとの区別に用いられ、本実施形態による指定されたIPフロー移動にメッセージを用いるときは1に設定されるべきである。
【0126】
「T」フラグは、L2トリガフラグである。「T」フラグが1に設定されている場合、「T」フラグはMNのターゲット無線インタフェースをアクティブにするためのL2トリガ(ターゲット・インタフェース・アクション・メッセージ)をMNに送信するように受信者(sMAG)に命じる。より具体的には、tMAGが、「M」フラグが1に設定されており、且つ、「R」フラグがゼロに設定されているHIFメッセージ(第1の送信指示)を受信すると、tMAGはHAFメッセージを送信することによってsMAGに返信しなければならない。この場合、「T」フラグはtMAGとLMAとの間で双方向IPトンネルを確立することによって予備登録プロセスを終えた後に(又は、LMAからプレPBAを受信すると)1に設定される。sMAGが、「T」フラグが1に設定されたHAFメッセージを受信すると、sMAGはL2トリガ(ターゲット・インタフェース・アクション・メッセージ)をMNに送信すべきであり、これにより、MNのターゲット無線インタフェースをアクティブにする。したがって、上述のように、tMAGのHAF送信部91は、tMAGのHIF受信部90(フロー移転要求受信部)で受信したHIFメッセージ(フロー移転要求)が第1の送信指示を含む場合のみ、MN10のターゲット無線インタフェースをアクティブにするためのtMAG上のインタフェース起動部として機能する。
【0127】
他方、「M」フラグが1に設定されており、且つ、「R」フラグが1に設定されているHIFメッセージ(第2の送信指示)をtMAGが受信したならば、tMAGはHAFメッセージを送信することによってsMAGに返信すべきである。このHAFメッセージでは、「T」フラグは、フローバインディング登録完了後(LMAからPBAメッセージを受信すると)、ゼロに設定されている。sMAGが、「T」フラグがゼロに設定されたHAFメッセージを受信すると、sMAGは、L2トリガ(ターゲット・インタフェース・アクション・メッセージ)をMNに送信すべきではない。これは、tMAGがHIFメッセージ(第2の送信指示)を受信した場合、ターゲット無線インタフェースは既にアクティブにされているからである。
【0128】
予約フィールドはRFC5568のHAckメッセージの場合と同様であり、送信者(tMAG)によってゼロに設定されるべきであり、受信者(sMAG)には無視されるべきである。
【0129】
従来のHAckメッセージについては、RFC5568はコードフィールドとその値、「0」から「4」及び「128」から「130」を特定の目的のために規定している。さらに、HAckメッセージについては、RFC5949は、特定の目的のためにコード値「0」、「5」、「6」及び「129」から「132」を規定する。このように、コード値は「0」から「6」、及び「128」から「132」はRFC5568及びRFC5949で定義されている。本実施形態では、「M」フラグに1を設定することにより、コードフィールドは、「7」、「8」、「133」又は「134」に設定される。
【0130】
コード値7は、予備登録が正常に完了したことを意味する。コード値8は、フローバインディング登録が正常に完了した(要求されたFIDは全て正常に更新又は追加された)ことを意味する。コード値133は、予備登録が受け入れられなかったことを意味する。コード値134は、フローバインディング登録が受け入れられなかったことを意味する。
【0131】
モビリティ・オプション・フィールドは1以上のモビリティオプションを含む。この符号化とフォーマットはRFC3775で規定される。
【0132】
2.4.2 インタフェースアクション情報
本実施形態では、sMAGからtMAGに送信されるHIFメッセージは、MN10の無線インタフェースの現在の状態を示すとともに、MN10の無線インタフェースの所望の動作を示すインタフェース状態及び動作の情報(IAオプション)を含む。したがって、インタフェース状態及び動作の情報は、MNのIPフローハンドオーバのタイプを示す。
図15は、HIFメッセージにおけるインタフェース状態及び動作の情報のフォーマットを例示する。インタフェース状態及び動作の情報は、オプション・タイプ・フィールドと、オプション長フィールドと、ターゲット・インタフェース・アクション(TIA)フィールドと、サービス・インタフェース・アクション(SIA:Serving Interface Action)フィールドと、ターゲット・インタフェース・ステータス(TIS)フィールドと、サービス・インタフェース・ステータス(SIS)フィールドとを含む。オプション・タイプ・フィールドは、この情報がインタフェース状態及び動作の情報(IAオプション)であることを示す。オプション長フィールドは、この情報(オプション・タイプ・フィールドとオプション長フィールドを含まない)の長さをオクテットで示す。
【0133】
ターゲット・インタフェース・アクション(TIA)フィールドは、IPフローの移転の完了の後における、MNのターゲット無線インタフェースの所望の動作を示す。このフィールドがゼロであるとき、ターゲット無線インタフェースは非アクティブであるべきである。(ターゲット無線インタフェースがアクティブであるならば、非アクティブにされるべきである。ターゲット無線インタフェースが非アクティブであるならば、非アクティブ状態が維持されるべきである。)このフィールドが1の場合、ターゲット無線インタフェースはアクティブであるべきである。(ターゲット無線インタフェースが非アクティブであるならば、アクティブにされるべきである。ターゲット無線インタフェースがアクティブであるならば、アクティブ状態が維持されるべきである)。
【0134】
サービス・インタフェース・アクション(SIA)フィールドは、IPフロー移転の完了の後における、MNのサービス無線インタフェースの所望の動作を示す。このフィールドがゼロの場合、サービス無線インタフェースは非アクティブであるべきである。(サービス無線インタフェースがアクティブであるならば、非アクティブにされるべきである。サービス無線インタフェースが非アクティブであるならば、非アクティブな状態が維持されるべきである。)このフィールドが1の場合、サービス無線インタフェースはアクティブであるべきである。(サービス無線インタフェースが非アクティブであるならば、アクティブにされるべきである。サービス無線インタフェースがアクティブであるならば、アクティブ状態が維持されるべきである)。
【0135】
ターゲット・インタフェース・ステータス(TIS)フィールドは、ターゲット無線インタフェースの現在の状態を示す。このフィールドがゼロの場合、ターゲット無線インタフェースは現在非アクティブである。このフィールドが1の場合、ターゲット無線インタフェースは現在アクティブである。
【0136】
サービス・インタフェース・ステータス(SIS)フィールドは、サービス無線インタフェースの現在の状態を示す。このフィールドがゼロの場合、サービス無線インタフェースは現在非アクティブである。このフィールドが1の場合、サービス無線インタフェースは現在アクティブである。
【0137】
2.5 動作
本実施形態にかかるPMIPv6に基づく移動機主導型IPフローモビリティの動作例として、4つのシナリオについて説明する。
【0138】
2.5.1 第1のシナリオ(選択したIPフロー移転を伴う新たな接続)
図16は第1のシナリオを示す。第1のシナリオでは、ターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続と、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへの選択した(指定された)IPフローの移転を伴う。このシナリオでは、MNが最初は3Gネットワークシステム12に接続されており、MNはWiFiネットワークシステム18に新しく接続されるべきである。従って、3Gネットワークシステム12はサービス無線ネットワークシステムであり、WiFiネットワークシステム18はターゲット無線ネットワークシステムである。MNの3Gインタフェース31はサービス無線インタフェースであり、MNのWiFiインタフェース32はターゲット無線インタフェースである。
【0139】
最初の段階では、MN10は、3G技術が利用可能なゾーン13に在圏しており、WiFi技術が利用可能なゾーン19には在圏していない。MN10は、3Gネットワークシステム12を介して、LMA26に向けて2以上のIPフロー(例えば、IPフローF1とF2)を既に確立している。WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)が非アクティブであるのに対して、3Gインタフェース31(サービス無線インタフェース)はアクティブである。そして、全てのIPフローは3Gネットワークシステム12を介して通信される。
【0140】
ここで、MNが3Gゾーン13とWiFiゾーン19とが重なる重複ゾーンへ移動し、MNのプロセッサ33は3G技術でIPフローF1を維持している間に、3G技術(サービス無線アクセス技術)からWiFi技術(ターゲット無線アクセス技術)へIPフローF2を移転することを決定すると仮定する。上述のように、この決定はローカル・ポリシー・プロファイル・テーブル(図12)に基づいて自動的に行ってもよいが、MN10とMN10のユーザとの間での対話に基づいて行ってもよい。いずれの場合においても、この決定は、WiFi無線技術が利用可能なときに、IPフローF2をWiFi技術に移転すべきであるというユーザの意図を反映したものである。このシナリオでは、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)は非アクティブな状態からアクティブに(スイッチをオン状態に)するべきであり、3Gインタフェース31(サービス無線インタフェース)はアクティブなままに維持すべきである。
【0141】
MN10は、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報及び、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへ移転する対象として選択したIPフロー(IPフローF2)に関する情報を送信する。ネットワーク側はターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続を実行して、MNに代わってMNをする意図に従い、指定されたIPフローを移転する。
【0142】
図17及び図18は、第1のシナリオにおける一連のイベントを示す情報フロー図である。
一連のイベントは、詳細には以下に記載のとおりである。
【0143】
(a)MN10とCN(相手方ノード)28との間の全てのIPフローは、MN10の3Gインタフェース31と、3Gネットワークシステム12におけるsMAG16と、sMAG16とLMA26との間で確立される双方向IPトンネルとを介して確立される。
【0144】
(b)MN10のプロセッサ33は、IPフローF2を3Gネットワークシステム12(サービス無線ネットワークシステム)からWiFiネットワークシステム18(ターゲット無線ネットワークシステム)へ移転すべきことを決定する。MN10は、sMAG16にフローモビリティ指示メッセージ(フロー移転指示)を送信する。フローモビリティ指示メッセージは、MN10のMN−IDと、tMAG22のアドレスと、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報と、移転すべきIPフローF2に対応するFIDといったユーザの意図を反映した情報を含む。フローモビリティ指示メッセージによって示される無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報は、上述したインタフェース状態及び動作の情報であってもよく、そうでなくてもよい。このシナリオでは、当該情報は、3Gインタフェース31(サービス無線インタフェース)がアクティブな状態に保たれ、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)は非アクティブな状態からアクティブにされるべきことを示すべきである。
【0145】
(c)sMAG16のフローモビリティ指示受信部85がL2トリガ、すなわち、MN10からのフローモビリティ指示メッセージを受信すると、sMAG16のフローモビリティ指示受信部85はまず、IPフローハンドオーバのタイプを決定するために、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報をチェックする。このシナリオでは、インタフェース31(サービス無線インタフェース)をアクティブに保つべきなので、選択したIPフローの移転の後も3Gネットワークシステム12(サービス無線ネットワークシステム)を続けて使用すべきことが決定される。また、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)は、非アクティブな状態からアクティブにされるべきであるため、IPフローハンドオーバのタイプとして、ターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続(新たなコネクション)を伴うことが決定される。
【0146】
次に、sMAG16のHIF送信部89はtMAG22にHIFメッセージを送信する。このHIFメッセージは、LMA26がMN10の予備登録を実行するように、第1の送信指示を示す。HIFメッセージでは、「M」フラグは、このメッセージが指定されたIPフロー移動に使われることを示す1に設定され、「R」フラグは、LMA26にプレPBUメッセージを送信することをtMAG22に要求するためのゼロに設定される。そして、コード値は、MN10の新たな接続に使われる「FIDなし」を示す「4」である。HIFメッセージは、MN10を識別するMN−IDと、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)を識別するMN−LL−IDと、LMA26のアドレス(LMAA)と、移転すべき選択したIPフローに対応するIDと、選択したIPフローに対応するトラヒックセレクタと、インタフェース状態及び動作の情報とを示す。HIFメッセージを構成するために、sMAG16のHIF送信部89は、バインディング更新リストテーブル(図10)からMN−LL−ID及びLMAAを読み込み、フローバインディング更新リストテーブル(図11)から、トラヒックセレクタを読み込む。
【0147】
(d)「M」と「R」フラグがそれぞれ1と0に設定されコード値が「4」であるHIFメッセージをtMAG22のHIF受信部90が受信すると、tMAG22のプレPBU送信部93は、LMA26がMN10の予備登録を実行するように、プレPBUメッセージ(新たな接続要求)をLMA26に送信する。プレPBUメッセージは、MN10のMN−ID、ターゲット無線インタフェースを識別するMN−LL−ID、新たなバインディング用の新たなBID、ターゲットアクセス技術のタイプを特定するATT、tMAG22のプロキシCoA等を示す。LMA26における予備登録はFIDを使わないため、プレPBUメッセージはHIFメッセージによって示されるFIDを示さない。代わりに、FIDは、指定されたフローを更新又は登録するためのフローバインディング登録で用いられる。
【0148】
この時、tMAG22の情報管理部99はバインディング更新リストテーブル(図10)に新たな接続用の新規レコードを追加する。ただし、新規レコードのHNPは空である。
【0149】
LMA26のプレPBU受信部53がtMAG22からプレPBUメッセージを受信すると、LMA26の予備登録実行部54はMN10の新たなHNPをMN10のWiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)に割り当て、新たなHNPとtMAG22のプロキシCoAとの間の新たなバインディングを追加する。より具体的には、予備登録実行部54は新たなバインディング・キャッシュ・エントリをBCEテーブル(図4)に追加する。この新たなバインディング・キャッシュ・エントリの内容は新たなHNP及びプレPBUメッセージの内容である。
【0150】
MNの新たな接続の予備登録が正常に完了すると、LMA26のプレPBA送信部55はMN10の新たなHNPを示すプレPBAメッセージをtMAG22に送信する。tMAG22でMN10の新たなHNPを受信した結果、tMAG22とLMA26との間で新たな双方向IPトンネルが確立される。この時、tMAG22の情報管理部99は、バインディング更新リストテーブル(図10)の新たな接続用の新規レコードにMN10の新たなHNPを追加する。
【0151】
(e)予備登録が正常に完了したことを示すプレPBAメッセージをtMAG22のプレPBA受信部94が受信すると、tMAG22のHAF送信部91はsMAG16にHAFメッセージを送信する。HAFメッセージでは、コード値は、WiFiネットワークシステム18(ターゲット無線ネットワークシステム)へのMN10の新たな接続の正常終了を意味する「7」に設定される。HAFメッセージでは、「M」フラグは、このメッセージが指定されたIPフロー移動に使われることを示す1に設定され、「T」フラグも、sMAG16がL2トリガ(ターゲット・インタフェース・アクション・メッセージ)をMNに送ることによりMNのターゲット無線インタフェースをアクティブにするように、1に設定される。
【0152】
(f)MN10のターゲット無線インタフェースをアクティブにするようにとのsMAGへの指示を示すHAFメッセージをsMAG16のHAF受信部92が受信すると、sMAG16のインタフェース起動部86は、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)をアクティブに(スイッチをオン状態に)するために、MN10の3Gインタフェース31(サービス無線インタフェース)に、ターゲット・インタフェース・アクション・メッセージを送信する。
【0153】
(g)WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)のスイッチを入れた後、MN10は、MN10の新たな接続のために、WiFiネットワークシステム18(ターゲット無線ネットワークシステム)とのリンク層コネクションを確立する。
【0154】
(h)tMAG22の接続確認部87がMN10のWiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)とtMAG22と間のL2コネクションの確立が成功したことを確認すると、tMAG22のPBU送信部95は、LMA26がフローバインディング登録を実行するように、LMA26にPBUメッセージを送信する。PBUメッセージは、sMAGからのHIFメッセージにおいて示された移転対象の選択したIPフローに対応するFIDを示す。さらに、tMAG22の情報管理部99は、フローバインディング更新リストテーブル(図11)におけるFIDを含む新規レコードを追加する。
【0155】
LMA26のPBU受信部56がFIDを示すPBUメッセージをtMAG22から受信すると、前のBIDが新たなBIDで更新されるように、LMA26のフローバインディング登録実行部57はFCEテーブル(図5)におけるFIDを含む既存のFCE(フロー・バインディング・キャッシュ・エントリ)を更新する。このように、BCEテーブル(図4)における新たなバインディング・キャッシュ・エントリのMN10の新たなHNPは、BIDを介してFIDに対応するIPパケットフローに関連付けられ、ひいては、IPパケットフローが新たなHNPに対応する新たな双方向IPトンネルに関連付けられる。
【0156】
選択したIPフローの移転のフローバインディング登録が正常に完了すると、LMA26のPBA送信部58はtMAG22にPBAメッセージを送信する。
【0157】
(i)tMAG22のPBA受信部96でPBAメッセージを受信すると、tMAG22のRA送信部100は、MN10の新たなHNPをMN10に通知するために、MN10にRA(Router Advertisement)メッセージを送信する。RA送信部100は、PBAメッセージを受信するとRAメッセージを定期的に送信するようにしてもよい。あるいは、RA送信部100は、MN10のWiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)からのRS(Router Solicitation)メッセージに応じてRAメッセージを送信するようにしてもよい。新たなHNPを示すRAメッセージを受信すると、MN10のプロセッサ33は、新たなHNPから、ターゲット無線インタフェース用のモバイルノードのホームアドレスを構成する。そして、このアドレスは、tMAG22に新たに接続するのに使用し得る。
【0158】
(j)RAメッセージを送信した後、tMAG22のフロー移動完了報告部102は、フロー移動完了(Flow Movement Completion)メッセージ(L2トリガ)をMN10に送信することにより、3Gネットワークシステム12(サービス無線ネットワークシステム)からWiFiネットワークシステム18(ターゲット無線ネットワークシステム)へのフロー移動(フロー移転)の完了をMN10に通知する。
【0159】
(k)MN10でフロー移動完了メッセージを受信した後、選択したIPフロー(IPフローF2)は、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへ完全に移転される。つまり、この時から、選択したIPフローは、MN10のWiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)とtMAG22との間の接続及びtMAG22とLMA26との間の双方向IPトンネルを用いて通信することができる。
【0160】
(l)LMA26のBRI送信部59は、sMAG16が、移転されたIPフローに関する情報を削除するように、BRI(Binding Revocation Indication)メッセージをsMAG16に送信する。sMAG16のBRI受信部97でBRIメッセージを受信すると、sMAG16の情報管理部99は、フローバインディング更新リストテーブル(図11)における、移転されたIPフローに対応するレコードを削除する。sMAG16の情報管理部99が、取り消すべきレコードを正常に削除すると、sMAG16のBRA送信部98は、このシナリオの最後のステップとして、LMA26にBRA(Binding Revocation Acknowledgement)メッセージで応じる。
【0161】
第1のシナリオに関する上記の説明では、1つのIPフローF2がサービス無線技術からターゲット無線技術へ移転されるが、1つのIPフローF1はサービス無線技術に残る。移転されるIPフローの数は1に限られず、2以上のIPフローをサービス無線技術からターゲット無線技術へ移転してもよい。残りのIPフローの数は1に限られず、2以上のIPフローが残ってもよい。
【0162】
第1のシナリオに関する上記の説明では、MNは最初は3Gネットワークシステム12に接続されており、MNはWiFiネットワークシステム18に新たに接続すべきである。しかし、MNは、最初はWiFiネットワークシステム18に接続(例えば、MNはWiFiネットワークシステム18とだけ通信可能)していてもよく、次に3Gネットワークシステム12に新たに接続(例えば、MNは3Gゾーン13とWiFiゾーン19とが重なる重複ゾーンへ移動)するようにしてもよい。シナリオ1は、この場合にも適用可能である。この場合、sMAGはWiFiネットワークシステム18(サービス無線ネットワークシステム)のMAG22であり、tMAGは3Gネットワークシステム12(ターゲット無線ネットワークシステム)のMAG16であり、MNのWiFiインタフェース32はサービス無線インタフェースであり、MNの3Gインタフェース31はターゲット無線インタフェースである。
【0163】
2.5.2 第2のシナリオ(新たな接続を伴わない選択したIPフロー移転)
図19は第2のシナリオを示す。第2のシナリオは、ターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続なしで、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムに選択した(指定された)IPフローを移転するものである。このシナリオでは、MNは最初に3Gネットワークシステム12とWiFiネットワークシステム18の両方に接続されている。そして、IPフローF2が3Gネットワークシステム12からWiFiネットワークシステム18へ移転される。従って、3Gネットワークシステム12はサービス無線ネットワークシステムであり、WiFiネットワークシステム18はターゲット無線ネットワークシステムである。MNの3Gインタフェース31はサービス無線インタフェースであり、MNのWiFiインタフェース32はターゲット無線インタフェースである。
【0164】
MN10は3Gゾーン13とWiFiゾーン19とが重なる重複ゾーンにある。よって、WiFiと3G無線技術の両方が利用可能である。最初は、MN10は3Gネットワークシステム12を介して、LMA26への2以上のIPフロー(例えば、IPフローF1とF2)を既に確立しており、WiFiネットワークシステム18を介して、LMA26への少なくとも1のIPフロー(例えば、IPフローF3)を既に確立している。3Gインタフェース31(サービス無線インタフェース)はアクティブであり、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)もアクティブである。
【0165】
MNは同じゾーンに残るが、MNのプロセッサ33は、3G技術においてIPフローF1を維持するとともにWiFi技術においてIPフローF3を維持しつつ、IPフローF2を3G技術(サービス無線アクセス技術)からWiFi技術(ターゲット無線アクセス技術)へ移すことを決定すると仮定する。上述のように、この決定はローカル・ポリシー・プロファイル・テーブル(図12)に基づいて自動的に行われてもよく、MN10とMN10のユーザとの間の対話に基づいて行われてもよい。いずれの場合にも、決定は、IPフローF2が3G信号とWiFi信号の強さに応じて移転すべきであるとのユーザの意図を表す。このシナリオでは、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)と3Gインタフェース31(サービス無線インタフェース)との両方が、アクティブに維持されるべきである。
【0166】
MN10は、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報と、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへ移転すべきものとして選択したIPフロー(IPフローF2)に関する情報を送信する。ネットワーク側は、MNに代わり、MNの意図に応じて、指定されたIPフローの移転を実行する。
【0167】
図20は、第2のシナリオにおける一連のイベントを示す情報フロー図である。一連のイベントの詳細は以下に記載される。
【0168】
(a)IPフローF1とIPフローF2は、MN10の3Gインタフェース31と、3Gネットワークシステム12のsMAG16と、sMAG16とLMA26との間で確立された双方向IPトンネルとを介して、MN10とCN28との間で確立される。他方、IPフローF3はMN10のWiFiインタフェース32と、WiFiネットワークシステム18のtMAG22と、tMAG22とLMA26との間で確立された双方向IPトンネルとを介して、MN10とCN28との間で確立される。
【0169】
(b)MN10のプロセッサ33は、IPフローF2を3Gネットワークシステム12(サービス無線ネットワークシステム)からWiFiネットワークシステム18(ターゲット無線ネットワークシステム)へ移転すべきことを決定する。MN10は、フローモビリティ指示メッセージ(フロー移転指示)をsMAG16に送信する。フローモビリティ指示メッセージは、例えば、MN10のMN−ID、tMAG22のアドレス、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報と、移転すべきIPフローF2に対応するFIDといった、ユーザの意図を反映した情報を含む。フローモビリティ指示メッセージによって示される無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報は、上記のインタフェース状態及び動作の情報であっても、そうでなくてもよい。このシナリオでは、この情報は、3Gインタフェース31(サービス無線インタフェース)がアクティブな状態を維持し、且つ、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)もアクティブな状態を維持すべきことを示すべきである。
【0170】
(c)sMAG16のフローモビリティ指示受信部85がL2トリガ、すなわち、フローモビリティ指示メッセージをMN10から受信すると、sMAG16のフローモビリティ指示受信部85はまず、3G無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報をチェックしてIPフローハンドオーバのタイプを決定する。このシナリオでは、インタフェース31(サービス無線インタフェース)とWiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)の両方がアクティブに維持されるべきであるため、3Gネットワークシステム12(サービス無線ネットワークシステム)とWiFiネットワークシステム18(ターゲット無線ネットワークシステム)の両方を、選択したIPフローの移転後も継続して使用することが決定され、IPフローハンドオーバのタイプはMN10の新たな接続(新たなコネクション)を伴わない。
【0171】
次に、sMAG16のHIF送信部89は、tMAG22にHIFメッセージを送信する。このHIFメッセージは、LMA26がMN10のためにフローバインディング登録を実行するように、第2の送信指示を示す。ターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続は不要なので、予備登録手順は省略できる。HIFメッセージでは、「M」フラグは、このメッセージが指定されたIPフロー移動に使われることを示す1に設定される、「R」フラグは、LMA26にPBUメッセージを送信することをtMAG22に要求するために1に設定され、コード値は、指定されたIPフローを移転するために使われる「FID有り」を示す「5」である。HIFメッセージは、MN10を識別するMN−IDと、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)を識別するMN−LL−IDと、LMA26のアドレス(LMAA)と、移転対象として選択したIPフローに対応するFIDと、選択したIPフローに対応するトラヒックセレクタと、インタフェース状態及び動作の情報を示す。HIFメッセージを構成するために、sMAG16のHIF送信部89は、バインディング更新リストテーブル(図10)からMN−LL−ID及びLMAAを読み込み、フローバインディング更新リストテーブル(図11)から、トラヒックセレクタを読み込む。
【0172】
(d)tMAG22のHIF受信部90が「M」と「R」フラグが1に設定されており、コード値が「5」であるHIFメッセージを受信すると、tMAG22のPBU送信部95は、LMA26がフローバインディング登録を実行するように、tMAG22のPBUメッセージ(フローバインディング更新要求)をLMA26に送信する。PBUメッセージは、sMAGからのHIFメッセージにおいて示された移転対象として選択したIPフローに対応するFIDを示す。さらに、tMAG22の情報管理部99は、フローバインディング更新リストテーブル(図11)に、FIDを含む新規レコードを追加する。
【0173】
LMA26のPBU受信部56がFIDを示すPBUメッセージをtMAG22から受信すると、前のBIDが新たなBIDで更新されるように、LMA26のフローバインディング登録実行部57はFCEテーブル(図5)でFIDを含む既存のFCE(フロー・バインディング・キャッシュ・エントリ)を更新する。このように、BCEテーブル(図4)における既存のバインディング・キャッシュ・エントリのMN10の既存のHNPは、BIDを介して、FIDに対応するIPパケットフローと関連付けられ、ひいては、IPパケットフローは既存のHNPに対応する既存の双方向IPトンネルに関連付けられる。
【0174】
選択したIPフローの移転のフローバインディング登録が正常に完了すると、LMA26のPBA送信部58はtMAG22にPBAメッセージを送信する。
【0175】
(e)tMAG22のPBA受信部96が、フローバインディング登録が正常に完了したことを示すPBAメッセージを受信すると、tMAG22のHAF送信部91はsMAG16にHAFメッセージを送信する。HAFメッセージでは、コード値は、選択したIPフローの移動の正常終了を意味する「8」に設定される。HAFメッセージでは、「M」フラグは、このメッセージが指定されたIPフロー移動に使われることを示す1に設定され、「T」フラグはゼロに設定される。よって、sMAG16は、MNにL2トリガ(ターゲット・インタフェース・アクション・メッセージ)を送らない(ターゲット無線インタフェースは既にアクティブだからである)。
【0176】
(f)HAFメッセージを送信した後、tMAG22のフロー移動完了報告部102は、3Gネットワークシステム12(サービス無線ネットワークシステム)からWiFiネットワークシステム18(ターゲット無線ネットワークシステム)へのフロー移動(フロー移転)の完了をMN10に知らせるために、MN10にフロー移動完了メッセージ(L2トリガ)を送信する。
【0177】
(g)MN10でフロー移動完了メッセージを受信すると、選択したIPフロー(IPフローF2)は、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへ完全に移転される。つまり、この時から、選択したIPフローは、MN10のWiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)とtMAG22との間の接続と、tMAG22とLMA26との間の双方向IPトンネルを用いて通信が可能となる。
【0178】
第2のシナリオの上記の説明では、1のIPフローF2がサービス無線技術からターゲット無線技術へ移転され、1のIPフローF1がサービス無線技術に残る。移転されるIPフローの数は1に限られず、2以上のIPフローをサービス無線技術からターゲット無線技術へ移転してもよい。残りのIPフローの数は1に限られず、2以上のIPフローが残ってもよい。
【0179】
第2のシナリオの上記の説明では、MN10はWiFiと3G無線技術の両方が利用可能なゾーンに位置し、IPフローF2が3Gネットワークシステム12からWiFiネットワークシステム18へ移転される。しかし、1以上のIPフローを、WiFiネットワークシステム18から3Gネットワークシステム12へ移転してもよい(例えば、使用するシステムは、3G信号とWiFi信号の強度に依存してもよい)。第2のシナリオは、この場合にも適用可能である。この場合、sMAGはWiFiネットワークシステム18(サービス無線ネットワークシステム)のMAG22であり、tMAGは3Gネットワークシステム12(ターゲット無線ネットワークシステム)のMAG16であり、MNのWiFiインタフェース32はサービス無線インタフェースであり、MNの3Gインタフェース31はターゲット無線インタフェースである。
【0180】
2.5.3 第3のシナリオ(バーチカルハンドオーバを伴う新たな接続)
図21は第3のシナリオを示す。このシナリオでは、ターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続と、全てのIPフローがサービス無線技術からターゲット無線技術へ移転されるバーチカルハンドオーバが行われる。このシナリオでは、MNは最初は3Gネットワークシステム12に接続されており、WiFiネットワークシステム18に新たに接続されるべきである。従って、3Gネットワークシステム12はサービス無線ネットワークシステムであり、WiFiネットワークシステム18はターゲット無線ネットワークシステムである。MNの3Gインタフェース31はサービス無線インタフェースであり、MNのWiFiインタフェース32はターゲット無線インタフェースである。
【0181】
最初の段階では、MN10は、3G技術が利用可能なゾーン13に位置しており、WiFi技術が利用可能なゾーン19には位置していない。MN10は、3Gネットワークシステム12を介して、LMA26への2以上のIPフロー(例えば、IPフローF1及びF2)を既に確立している。3Gインタフェース31(サービス無線インタフェース)はアクティブであり、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)は非アクティブであり、全てのIPフローは3Gネットワークシステム12を介して通信されている。
【0182】
MNがWiFiゾーン19へ移動し、MNのプロセッサ33が、IPフローF1とF2の全てを3G技術(サービス無線アクセス技術)からWiFi技術(ターゲット無線アクセス技術)に移転するためにバーチカルハンドオーバを実行すべきことを決定したと仮定する。上述したように、この決定はローカル・ポリシー・プロファイル・テーブル(図12)に基づいて自動的に行ってもよく、MN10とMN10のユーザとの間の対話に基づいて行ってもよい。いずれの場合にも、この決定はWiFi無線技術が利用可能なときには、IPフローF1とF2をWiFi技術へ移転すべきであるというユーザの意図を表す。このシナリオでは、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)は非アクティブな状態からアクティブ(スイッチをオン状態)にされるべきであり、3Gインタフェース31(サービス無線インタフェース)はアクティブな状態から非アクティブ(スイッチをオフ状態)にされるべきである。
【0183】
MN10は、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報を送信する。このシナリオでは、MN10はサービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへ移転されるIPフローに関する情報を送信する必要はない。ネットワーク側が、MN10が1以上のIPフローを移転したいということと、MN10のサービス無線インタフェースがアクティブな状態から非アクティブにされるべきことを認識できれば、ネットワーク側は全てのフローがサービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへ移動されるべきであると認識可能である。ただし、本発明はこの開示内容に限定されるものではなく、MN10は移転されるIPフローに関する情報を送信するようにしてもよい。ネットワーク側はターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続を実行し、MNに代わってMNの意図に従い、全てのIPフローを移転する。
【0184】
図22及び図23は、第3のシナリオにおける一連のイベントを示す情報フロー図である。一連のイベントの詳細は、以下に記載する。
【0185】
(a)全てのIPフローは、MN10の3Gインタフェース31と、3Gネットワークシステム12のsMAG16と、sMAG16とLMA26との間で確立された双方向IPトンネルを介して、MN10とCN28との間で確立される。
【0186】
(b)MN10のプロセッサ33は、全てのIPフローが3Gネットワークシステム12(サービス無線ネットワークシステム)からWiFiネットワークシステム18(ターゲット無線ネットワークシステム)へ移転されるべきことを決定する。MN10は、sMAG16にフローモビリティ指示メッセージ(フロー移転指示)を送信する。フローモビリティ指示メッセージは、例えば、MN10のMN−IDと、tMAG22のアドレスと、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報といった、ユーザの意図を反映した情報を含む。なお、フローモビリティ指示メッセージは、移転すべきIPフローF1とF2に対応するFIDを含む必要はない点に留意する必要がある。フローモビリティ指示メッセージによって示される、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報は、上記のインタフェースの状態及び動作の情報であっても、そうでなくてもよい。このシナリオでは、当該情報は、3Gインタフェース31(サービス無線インタフェース)がアクティブな状態から非アクティブにされるべきであり、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)が非アクティブな状態からアクティブにされることを示すべきである。
【0187】
(c)sMAG16のフローモビリティ指示受信部85がL2トリガ、すなわち、MN10からのフローモビリティ指示メッセージを受信すると、sMAG16のフローモビリティ指示受信部85は、まず、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報をチェックして、IPフローハンドオーバのタイプを決定する。このシナリオでは、3Gインタフェース31(サービス無線インタフェース)をアクティブな状態から非アクティブにすべきなので、3Gネットワークシステム12(サービス無線ネットワークシステム)はIPフローの移転の後にMN10から切断すべきことと、全てのIPフローが3Gネットワークシステム12(サービス無線ネットワークシステム)からWiFiネットワークシステム18(ターゲット無線ネットワークシステム)へ移転すべきことを決定する。さらに、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)を非アクティブな状態からアクティブにすべきなので、IPフローハンドオーバのタイプが、ターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続(新たなコネクション)を伴うことが決定される。
【0188】
次に、sMAG16のHIF送信部89はHIFメッセージをtMAG22に送信する。このHIFメッセージは、LMA26がMN10の予備登録を実行するように、第1の送信指示を示す。HIFメッセージでは、「M」フラグは、このメッセージが指定されたIPフロー移動に使われることを示す1に設定され、「R」フラグは、LMA26にプレPBUメッセージを送信するようtMAG22に要求するためにゼロに設定されており、コード値は、MN10の新たな接続のために使われる「FIDなし」を示す「4」である。HIFメッセージは、MN10を識別するMN−IDと、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)を識別するMN−LL−IDと、LMA26のアドレス(LMAA)と、移転すべき全てのIPフローに対応するFIDと、IPフローに対応するトラヒックセレクタと、インタフェース状態及び動作の情報を示す。HIFメッセージを構成するために、sMAG16のHIF送信部89は、バインディング更新リストテーブル(図10)からMN−LL−ID及びLMAAを読み込み、フローバインディング更新リストテーブル(図11)から、FIDとトラヒックセレクタを読み込む。MN10からのフローモビリティ指示メッセージは、移転すべきIPフローに対応するFIDを示していないが、フローモビリティ指示メッセージがMN−IDを示すため、sMAG16のHIF送信部89は、フローバインディング更新リストテーブルのMNに対応するFIDを特定することができる。
【0189】
(d)tMAG22のHIF受信部90が、「M」と「R」フラグがそれぞれ1と0に設定されており、コード値が「4」であるHIFメッセージを受信すると、tMAG22のプレPBU送信部93は、LMA26がMN10の予備登録を実行するように、プレPBUメッセージ(新たな接続要求)をLMA26に送信する。プレPBUメッセージは、MN10のMN−IDと、ターゲット無線インタフェースを識別するMN−LL−IDと、新たなバインディング用の新たなBIDと、ターゲットアクセス技術のタイプを特定するATTと、tMAG22のプロキシCoA等を示す。LMA26における予備登録がFIDを使わないため、プレPBUメッセージはHIFメッセージによって示されるFIDを示さない。代わりに、FIDは、フローを更新又は登録するためのフローバインディング登録で使われる。
【0190】
この時、tMAG22の情報管理部99は、バインディング更新リストテーブル(図10)に新たな接続用の新規レコードを追加する。ただし、新規レコードのHNPは空である。
【0191】
LMA26のプレPBU受信部53がtMAG22からプレPBUメッセージを受信すると、LMA26の予備登録実行部54は、MN10の新たなHNPをMN10のWiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)に割り当て、新たなHNPとtMAG22のプロキシCoAとの間の新たなバインディングを追加する。より具体的には、予備登録実行部54は、新たなバインディング・キャッシュ・エントリをBCEテーブル(図4)に追加する。BCEテーブルでは、新たなバインディング・キャッシュ・エントリの内容は、新たなHNP及びプレPBUメッセージの内容である。
【0192】
MNの新たな接続の予備登録が正常終了すると、LMA26のプレPBA送信部55は、MN10の新たなHNPを示すプレPBAメッセージをtMAG22に送信する。tMAG22が、MN10の新たなHNPを受信した結果、新たな双方向IPトンネルがtMAG22とLMA26との間で確立される。この段階で、tMAG22の情報管理部99は、バインディング更新リストテーブル(図10)の新たな接続の新規レコードにMN10の新たなHNPを追加する。
【0193】
(e)tMAG22のプレPBA受信部94が、予備登録が正常に完了したことを示すプレPBAメッセージを受信すると、tMAG22のHAF送信部91は、sMAG16にHAFメッセージを送信する。HAFメッセージでは、コード値は、WiFiネットワークシステム18(ターゲット無線ネットワークシステム)へのMN10の新たな接続の正常終了を意味する「7」に設定される。HAFメッセージでは、「M」フラグは、このメッセージが指定されたIPフロー移動に使われることを示す1に設定され、「T」フラグも、sMAG16がL2トリガ(ターゲット・インタフェース・アクション・メッセージ)をMNに送信することによりMNのターゲット無線インタフェースをアクティブにするように、1に設定される。
【0194】
(f)MN10のターゲット無線インタフェースをアクティブにするようにとのsMAGへの指示を示すHAFメッセージをsMAG16のHAF受信部92で受信すると、sMAG16のインタフェース起動部86は、WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)をアクティブに(スイッチをオン状態に)するために、MN10の3Gインタフェース31(サービス無線インタフェース)に、ターゲット・インタフェース・アクション・メッセージを送信する。
【0195】
(g)WiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)のスイッチをオン状態にした後、MN10はMN10の新たな接続のために、WiFiネットワークシステム18(ターゲット無線ネットワークシステム)とのリンク層コネクションを樹立する。
【0196】
(h)tMAG22の接続確認部87が、MN10のWiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)とtMAG22とのL2コネクションの確立が成功したことを確認すると、tMAG22のPBU送信部95は、LMA26がフローバインディング登録を実行するように、LMA26にPBUメッセージを送信する。PBUメッセージは、sMAGからのHIFメッセージで示される移転対象の全てのIPフローに対応するFIDを示す。さらに、tMAG22の情報管理部99は、フローバインディング更新リストテーブル(図11)に、FIDを含む新規レコードを追加する。
【0197】
LMA26のPBU受信部56が、tMAG22からFIDを示すPBUメッセージを受信すると、LMA26のフローバインディング登録実行部57は、前のBIDが新たなBIDで更新されるように、FCEテーブル(図5)のFIDを含む既存のFCE(フローバインディング・キャッシュ・エントリ)を更新する。このように、BCEテーブル(図4)の新たなバインディング・キャッシュ・エントリにおけるMN10の新たなHNPは、BIDを介してFIDに対応するIPパケットフローと関連付けられ、ひいては、IPパケットフローは、新たなHNPに対応する新たな双方向IPトンネルに関連付けられる。
【0198】
IPフロー移転のフローバインディング登録が正常に完了すると、LMA26のPBA送信部58は、tMAG22にPBAメッセージを送信する。
【0199】
(i)tMAG22のPBA受信部96でPBAメッセージを受信した後、tMAG22のRA送信部100は、MN10の新たなHNPをMN10に通知するために、MN10にRA(Router Advertisement)メッセージを送信する。RA送信部100は、PBAメッセージを受信すると、RAメッセージを定期的に送信するようにしてもよい。あるいは、RA送信部100は、MN10のWiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)からのRS(Router Solicitation)メッセージに応じて、RAメッセージを送信するようにしてもよい。新たなHNPを示すRAメッセージを受信すると、MN10のプロセッサ33は、新たなHNPから、ターゲット無線インタフェースのためのモバイルノードのホームアドレスを構成する。このホームアドレスは、tMAG22に接続するために新たに用いられる。
【0200】
(j)RAメッセージを送信した後、tMAG22のフロー移動完了報告部102は、3Gネットワークシステム12(サービス無線ネットワークシステム)からWiFiネットワークシステム18(ターゲット無線ネットワークシステム)へのフロー移動(フロー移転)の完了をMN10に知らせるために、MN10にフロー移動完了メッセージ(L2トリガ)を送信する。
【0201】
(k)MN10でフロー移動完了メッセージを受信した後、全てのIPフロー(IPフローF1とF2)は、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへ完全に移転される。つまり、この時から、全てのIPフローは、MN10のWiFiインタフェース32(ターゲット無線インタフェース)とtMAG22との間の接続及びtMAG22とLMA26との間の双方向IPトンネルを用いて通信可能である。
【0202】
(l)LMA26のBRI送信部59は、sMAG16が移転されたIPフローの全てに関する情報を削除するための登録解除を実行するように、BRI(Binding Revocation Indication)メッセージをsMAG16に送信する。sMAG16のBRI受信部97でBRIメッセージを受信すると、sMAG16の情報管理部99は、バインディング更新リストテーブル(図10)における、移転されたIPフロー全てに対応するレコードを削除するとともに、フローバインディング更新リストテーブル(図11)における、移転されたIPフロー全てに対応するレコードを削除する。sMAG16の情報管理部99が、取り消し対象のレコードを正常に削除すると、sMAG16のBRA送信部98は、LMA26にBRA(Binding Revocation Indication)メッセージで応じる。
【0203】
(m)MN10とsMAG16は移転されたIPフローに用いるリンク層コネクションを解除し、MNは、このシナリオの最後のステップとして3Gインタフェース31(サービス無線インタフェース)を非アクティブにする(スイッチをオフ状態にする)。
【0204】
第3のシナリオの上記の説明では、2つのIPフローF1とF2は、サービス無線技術からターゲット無線技術へ移転される。移転されるIPフローの数は2に限られず、1のIPフロー又は3以上のIPフローを、サービス無線技術からターゲット無線技術へ移転してもよい。
【0205】
第3のシナリオの上記の説明では、MNは最初は3Gネットワークシステム12に接続されており、次に、WiFiネットワークシステム18に新しく接続されるべきである。しかし、MNは、最初はWiFiネットワークシステム18に接続されていてもよく(例えば、MNはWiFiネットワークシステム18とだけ通信可能でもよく)、3Gネットワークシステム12に新たに接続されてもよい(例えば、MNが3Gゾーン13とWiFiゾーン19とが重なる重複ゾーンへ移ってもよい)。第3のシナリオは、この場合にも適用可能である。この場合、sMAGはWiFiネットワークシステム18(サービス無線ネットワークシステム)のMAG22であり、tMAGは3Gネットワークシステム12(ターゲット無線ネットワークシステム)のMAG16であり、MNのWiFiインタフェース32はサービス無線インタフェースであり、MNの3Gインタフェース31はターゲット無線インタフェースである。
【0206】
2.5.4 第4のシナリオ(新たな接続を伴わない部分的なバーチカルハンドオーバ)
図24は部分的なバーチカルハンドオーバを伴う第4のシナリオを示す。このシナリオでは、既存のIPフローの一部が、ターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続なしでサービス無線技術からターゲット無線技術へ移転される(既存のIPフローの他のものは、既にターゲット無線ネットワークシステムを介して送信されている)。このシナリオでは、MNは、最初は3Gネットワークシステム12及びWiFiネットワークシステム18に接続されており、次に、IPフローF2が、WiFiネットワークシステム18から3Gネットワークシステム12へ移転される。従って、WiFiネットワークシステム18はサービス無線ネットワークシステムであり、3Gネットワークシステム12はターゲット無線ネットワークシステムである。MNのWiFiインタフェース32はサービス無線インタフェースであり、MNの3Gインタフェース31はターゲット無線インタフェースである。
【0207】
最初の段階では、MN10は3Gゾーン13とWiFiゾーン19とが重なる重複ゾーンに位置するため、WiFiと3G無線技術の両方が利用可能である。MN10は、3Gネットワークシステム12を介して、LMA26へのIPフローを少なくとも1つ(例えば、IPフローF1)を既に確立しており、WiFiネットワークシステム18を介して、LMA26へのIPフローを少なくとも1つ(例えば、IPフローF2)を既に確立している。WiFiインタフェース32(サービス無線インタフェース)はアクティブであり、3Gインタフェース31(ターゲット無線インタフェース)もアクティブである。
【0208】
MNがWiFiゾーン19を離れ、MNのプロセッサ33がWiFi技術(サービス無線アクセス技術)から3G技術(ターゲット無線アクセス技術)へIPフローF2を移転し、そのために、部分的なバーチカルハンドオーバを実行すべきことを決定したと仮定する。上述のように、この決定はローカル・ポリシー・プロファイル・テーブル(図12)に基づいて自動的に行われてもよく、MN10とMN10のユーザとの間の対話に基づいて行ってもよい。いずれの場合においても、この決定は、WiFi無線技術が利用できないときにはIPフローF2を3G技術へ移転すべきであるというユーザの意図を示す。このシナリオでは、3Gインタフェース31(ターゲット無線インタフェース)はアクティブな状態を維持されるべきであり、WiFiインタフェース32(サービス無線インタフェース)はアクティブな状態から非アクティブな状態(スイッチをオフ状態)にされるべきである。
【0209】
MN10は、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報を送信する。このシナリオでは、MN10はサービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへ移転されるIPフローに関する情報を送信する必要はない。ネットワーク側が、MN10が1以上のIPフローを移転したいことと、MN10のサービス無線インタフェースをアクティブな状態から非アクティブな状態にすべきことを認識できれば、1又は複数のフローの全てをサービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへ移動すべきことをネットワーク側は認識できる。しかし、本発明はこの開示内容に限定されるものではなく、MN10は、移転するIPフローに関する情報を送信してもよい。ネットワーク側は、MNに代わって、MNの意図に従って、1又は複数のIPフローの全てを移転する。
【0210】
図25及び図26は、第4のシナリオにおける一連のイベントを表す情報フロー図である。一連のイベントの詳細を以下に記載する。
【0211】
(a)IPフローF1は、MN10の3Gインタフェース31と、3Gネットワークシステム12のsMAG16と、sMAG16とLMA26との間で確立された双方向IPトンネルを介して、MN10とCN28との間で確立される。他方、IPフローF2は、MN10のWiFiインタフェース32と、WiFiネットワークシステム18のtMAG22と、tMAG22とLMA26との間で確立された双方向IPトンネルを介して、MN10とCN28との間で確立される。
【0212】
(b)MN10のプロセッサ33は、WiFiネットワークシステム18(サービス無線ネットワークシステム)を使用している1又は複数のIPフロー(例えば、IPフローF2)の全てをWiFiネットワークシステム18(サービス無線ネットワークシステム)から3Gネットワークシステム12(ターゲット無線ネットワークシステム)へ移転すべきことを決定する。MN10は、sMAG22にフローモビリティ指示メッセージ(フロー移転指示)を送信する。フローモビリティ指示メッセージは、例えばMN10のMN−ID、sMAG16のアドレス、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報といったユーザの意図を反映する情報を含む。なお、フローモビリティ指示メッセージは、移転すべきIPフローF2に対応するFIDを含む必要はない点に留意すべきである。フローモビリティ指示メッセージによって示される無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報は、上記のインタフェース状態及び動作の情報であってもよく、そうでなくてもよい。このシナリオでは、当該情報はWiFiインタフェース32(サービス無線インタフェース)をアクティブな状態から非アクティブにし、3Gインタフェース31(ターゲット無線インタフェース)をアクティブな状態に維持することを示すべきである。
【0213】
(c)sMAG22のフローモビリティ指示受信部85がL2トリガ、すなわち、MN10からのフローモビリティ指示メッセージを受信すると、sMAG22のフローモビリティ指示受信部85はまず、無線インタフェースの現在の状態及び所望の動作に関する情報をチェックし、IPフローハンドオーバのタイプを決定する。このシナリオでは、WiFiインタフェース32(サービス無線インタフェース)をアクティブな状態から非アクティブにすべきであるから、選択したIPフローの移転の後に、WiFiネットワークシステム18(サービス無線ネットワークシステム)をMN10から切断すべきこと、そして、1又は複数のIPフローの全てをWiFiネットワークシステム18(サービス無線ネットワークシステム)から3Gネットワークシステム12(ターゲット無線ネットワークシステム)へ移転すべきことが決定される。さらに、3Gインタフェース31(ターゲット無線インタフェース)はアクティブな状態のままにすべきであるから、選択したIPフローの移転後も、WiFiネットワークシステム18(サービス無線ネットワークシステム)を継続して使用すべきことが決定され、IPフローハンドオーバのタイプは、MN10の新たな接続(新たなコネクション)を伴わない。
【0214】
次に、sMAG22のHIF送信部89は、tMAG16にHIFメッセージを送信する。このHIFメッセージは、LMA26がMN10にフローバインディング登録を実行するように、第2の送信指示を示す。ターゲット無線ネットワークシステムへのMN10の新たな接続を行う必要はないので、予備登録手順は省略できる。HIFメッセージでは、「M」フラグは、このメッセージが指定されたIPフロー移動のために使われることを示す1に設定され、「R」フラグは、LMA26にPBUメッセージを送信するようtMAG16に要求するために1に設定され、そして、コード値は指定されたIPフローを移転するために使われる「FID有り」を示す「5」である。HIFメッセージは、MN10を識別するMN−IDと、3Gインタフェース31(ターゲット無線インタフェース)を識別するMN−LL−IDと、LMA26のアドレス(LMAA)と、移転すべき1又は複数のIPフローの全てに対応するFIDと、これらのIPフローに対応するトラヒックセレクタと、インタフェース状態及び動作の情報とを示す。HIFメッセージを構成するために、sMAG22のHIF送信部89は、バインディング更新リストテーブル(図10)からMN−LL−IDとLMAAを読み込み、フローバインディング更新リストテーブル(図11)から、FIDとトラヒックセレクタを読み込む。MN10からのフローモビリティ指示メッセージは、移転すべきIPフローに対応するFIDを示さないが、フローモビリティ指示メッセージがMN−IDを示すので、sMAG22のHIF送信部89は、フローバインディング更新リストテーブルにおけるMNに対応するFIDを特定できる。
【0215】
(d)「M」と「R」フラグが1に設定され、コード値が「5」であるHIFメッセージをtMAG16のHIF受信部90が受信すると、tMAG16のPBU送信部95は、LMA26がフローバインディング登録を実行するように、tMAG16のPBUメッセージ(フローバインディング更新要求)をLMA26に送信する。PBUメッセージは、MAGからのHIFメッセージにおいて示される移転されるIPフローに対応するFIDを示す。さらに、tMAG16の情報管理部99は、フローバインディング更新リストテーブル(図11)に、FIDを含む新規レコードを追加する。
【0216】
LMA26のPBU受信部56が、FIDを示すPBUメッセージをtMAG16から受信すると、LMA26のフローバインディング登録実行部57は、前のBIDが新たなBIDで更新されるように、FCEテーブル(図5)において、FIDを含む既存のFCEを更新する。このように、BCEテーブル(図4)の既存のバインディング・キャッシュ・エントリにおけるMN10の既存のHNPは、BIDを介して、FIDに対応するIPパケットフローに関連付けられ、ひいては、IPパケットフローは既存のHNPに対応する既存の双方向IPトンネルに関連付けられる。
【0217】
選択したIPフローの移転のためフローバインディング登録が正常に完了したら、LMA26のPBA送信部58はtMAG16にPBAメッセージを送信する。
【0218】
(e)フローバインディング登録が正常に完了されたことを示すPBAメッセージをtMAG16のPBA受信部96が受信すると、tMAG16のHAF送信部91はsMAG22にHAFメッセージを送信する。HAFメッセージでは、コード値は、選択したIPフローの移転を正常に完了したことを意味する「8」に設定される。HAFメッセージでは、「M」フラグは、このメッセージが、指定されたIPフロー移動に使われることを示す1に設定される一方、「T」フラグはゼロに設定されて、sMAG22はMNにL2トリガ(ターゲット・インタフェース・アクション・メッセージ)を送らない(ターゲット無線インタフェースが既にアクティブだからである)。
【0219】
(f)HAFにメッセージを送った後に、tMAG16のフロー移動完了報告部102は、WiFiネットワークシステム18(サービス無線ネットワークシステム)から3Gネットワークシステム12(ターゲット無線ネットワークシステム)へのフロー移動(フロー移転)の完了をMN10に知らせるために、MN10にフロー移動完了メッセージ(L2トリガ)を送信する。
【0220】
(g)MN10でフロー移動完了メッセージを受信した後、IPフロー(IPフローF2)は、サービス無線ネットワークシステムからターゲット無線ネットワークシステムへ完全に移転される。つまり、この時から、IPフローは、MN10の3Gインタフェース31(ターゲット無線インタフェース)とtMAG16との間の接続及びtMAG16とLMA26との間の双方向IPトンネル間を使って通信可能である。
【0221】
(h)LMA26のBRI送信部59は、移転されたIPフロー全てに関する情報を削除するための登録解除をsMAG22が実行するように、sMAG22にBRI(Binding Revocation Indication)メッセージを送信する。sMAG22のBRI受信部97でBRIメッセージを受信すると、sMAG22の情報管理部99は、バインディング更新リストテーブル(図10)の1又は複数の移転されたIPフローの全てに対応するレコードを削除し、フローバインディング更新リストテーブル(図11)の1又は複数の移転されたIPフローの全てに対応するレコードを削除する。sMAG16の情報管理部99が、取り消し対象のレコードを正常に削除すると、sMAG16のBRA送信部98はLMA26にBRA(Binding Revocation Acknowledgement)メッセージで応じる。
【0222】
(i)MN10とsMAG22は移転されたIPフローに使われるリンク層コネクションを解放し、MNは、このシナリオの最後のステップとして、WiFiインタフェース32(サービス無線インタフェース)非アクティブにする(スイッチをオフ状態にする)。
第4のシナリオの上記の説明では、1つのIPフローF2が、サービス無線技術からターゲット無線技術へ移転される。移転されたIPフローの数は1に限られず、2以上のIPフローはサービス無線技術からターゲット無線技術へ移転してもよい。
【0223】
第4のシナリオの上記の説明では、MN10はWiFiと3G無線技術の両方が利用可能なゾーンにあり、IPフローF2がWiFiネットワークシステム18から3Gネットワークシステム12へ移転される。しかし、1以上のIPフローが、3Gネットワークシステム12からWiFiネットワークシステム18へ移転されてもよい(例えば、MNは3Gゾーン13を離れる)。第4のシナリオは、この場合にも適用可能である。この場合、tMAGはWiFiネットワークシステム18(ターゲット無線ネットワークシステム)のMAG22であり、sMAGは、3Gネットワークシステム12(サービス無線ネットワークシステム)のMAG16であり、MNの3Gインタフェース31はサービス無線インタフェースであり、MNのWiFiインタフェース32はターゲット無線インタフェースである。
【0224】
2.6 注記
本実施形態によって移転されるIPフローは、アップリンクフロー又はダウンリンクフローに限られない。つまり、本実施形態によって、アップリンクIPフローとダウンリンクIPフローを移転してもよい。
【0225】
上記の実施形態は、IPフローがWiFiと3G無線技術を介して通信される例を採用する。しかし、それは、本発明を当該開示内容に限定するものではない。IPフローは、他の無線テクノロジー(例えば、WiMax又は、4G若しくは4Gを超える無線技術を含む他のモバイルデータ通信テクノロジー)を介して通信可能である。
【符号の説明】
【0226】
10: MN(モバイルノード)
12: 3Gネットワークシステム
13: 3G利用可能ゾーン
14: 基地局
16: MAG(モビリティ・アンカー・ゲートウェイ)
18: WiFiネットワークシステム
19: WiFi利用可能ゾーン
20: アクセスノード
22: MAG
24: インターネット
26: LMA(ローカル・モビリティ・アンカー)
28: CN(相手方ノード)
31: 3Gインタフェース
32: WiFiインタフェース
33: プロセッサ
34: 表示部
35: スピーカ
36: ヒューマンインタフェース
41: 送信部回路
42: 受信部回路
43: プロセッサ
44: メモリ
51: IPフロー受信部
52: IPフロー送信部
53: プレPBU受信部(新接続要求受信部)
54: 予備登録実行部(新接続登録部)
55: プレPBA送信部(新ホーム・ネットワーク・プレフィックス送信部)
56: PBU受信部(フローバインディング更新要求受信部)
57: フローバインディング登録実行部(フローバインディング登録部)
58: PBA送信部(フローバインディング完了報告送信部)
59: BRI送信部
60: BRA受信部
71: 送信部回路
72: 受信部回路
73: プロセッサ
74: メモリ
81: IPフロー送信部
82: IPフロー受信部
83: IPフロー受信部
84: IPフロー送信部
85: フローモビリティ指示受信部(フロー移転指示受信部)
86: インタフェース起動部
87: 接続確認部
89: HIF送信部(フロー移転要求送信部)
90: HIF受信部(フロー移転要求受信部)
91: HAF送信部(登録完了報告送信部、インタフェース起動部)
92: HAF受信部(登録完了報告受信部)
93: プレPBU送信部(新接続要求送信部)
94: プレPBA受信部(新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部)
95: PBU送信部(フローバインディング更新要求送信部)
96: PBA受信部(フローバインディング完了報告受信部)
97: BRI受信部
98: BRA送信部
99: 情報管理部
100: RA送信部
101: RS受信部
102: フロー移動完了報告部
F1〜F3: IPフロー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロキシ・モバイル・インターネット・プロトコル・バージョン6に基づいて動作し、第1の無線アクセス技術を用いて第1の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第1の無線インタフェースと、当該第1の無線アクセス技術とは異なる第2の無線アクセス技術を用いて第2の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第2の無線インタフェースとを有する少なくとも1のモバイルノードと通信するためのネットワークアーキテクチャであって、
前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術を用いて通信可能な前記第1の無線通信ネットワークシステムと、
前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術とは異なる前記第2の無線アクセス技術を用いて通信可能な前記第2の無線通信ネットワークシステムと、
インターネットを介して前記第1の無線通信ネットワークシステムに接続されるとともに、インターネットを介して前記第2の無線通信ネットワークシステムに接続され、前記モバイルノードの相手方ノードと通信可能なローカル・モビリティ・アンカーであって、前記モバイルノードが、前記第1の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにするとともに、前記第2の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにする、ローカル・モビリティ・アンカーと、を有し、
前記第1の無線通信ネットワークシステムは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能な第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを有し、
前記第2の無線通信ネットワークシステムは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第2の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能な第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを有し、
前記第1の無線通信ネットワークシステムの前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、
少なくとも1のIPパケットフローが前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立されている場合であって、且つ、前記モバイルノードが少なくとも1の既に確立されたIPパケットフローを前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい場合に前記モバイルノードから送信されるフロー移転指示であって、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースとを特定するとともに、前記第2の無線インタフェースが現在アクティブにされているか否かを示す現在状態情報を含むフロー移転指示を受信することが可能なフロー移転指示受信部と、
前記フロー移転指示受信部で前記フロー移転指示を受信すると、前記第2の無線通信ネットワークシステムの前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対して、フロー移転要求を送信することが可能なフロー移転要求送信部とを有し、
当該フロー移転要求は、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定するとともに、前記第2の無線インタフェースが現在はアクティブにされていないことを前記フロー移転指示における前記現在状態情報が示す場合には、前記ローカル・モビリティ・アンカーに対して新たな接続要求を送信するよう前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに指示する第1の送信指示を含み、前記第2の無線インタフェースが現在アクティブにされていることを前記フロー移転指示における前記現在状態情報が示す場合には、前記ローカル・モビリティ・アンカーに対してフローバインディング更新要求を送信するよう前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに指示する第2の送信指示を含み、
前記第2の無線通信ネットワークシステムの前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを示すプロキシ気付アドレスと、
前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記フロー移転要求を受信することが可能なフロー移転要求受信部と、
前記フロー移転要求受信部で受信した前記フロー移転要求が前記第1の送信指示を含む場合には、前記モバイルノードと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとを特定する新たな接続要求を、前記ローカル・モビリティ・アンカーへ送信することが可能な新接続要求送信部とを有し、
前記ローカル・モビリティ・アンカーは、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記新たな接続要求を受信することが可能な新接続要求受信部と、
前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記第2の無線通信ネットワークシステムを介した通信に用いられる、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記モバイルノードに割り当てることが可能であり、前記新接続要求受信部で前記新たな接続要求を受信すると、前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとの間の新たなバインディングを登録することが可能な新接続要求登録部と、
前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス及び前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスに基づいて、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルの確立を促すべく、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイへ送信する新ホーム・ネットワーク・プレフィックス送信部と、を有し、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、
前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記ローカル・モビリティ・アンカーから受信することが可能な新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部と、
前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部で受信すると、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を促すべく、前記フロー移転要求で特定される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースを起動することが可能なインタフェース起動部と、
前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を確認することが可能な接続確認部と、
前記接続確認部で前記接続の確立を確認すると、フローバインディング更新要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーへ送信することが可能であり、前記第2の送信指示を含む前記フロー移転要求を前記フロー移転要求受信部で受信すると、前記フローバインディング更新要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーに送信することが可能なフローバインディング更新要求送信部とを更に有し、
前記フローバインディング更新要求は、前記モバイルノードと、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定し、
前記ローカル・モビリティ・アンカーは、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記フローバインディング更新要求を受信することが可能なフローバインディング更新要求受信部と、
前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス又は既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記フローバインディング更新要求で特定される前記IPパケットフローとのバインディングを登録することが可能なフローバインディング登録部であって、前記モバイルノードの前記既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の既存の双方向IPトンネルを確立するための前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイ及び前記ローカル・モビリティ・アンカーによって、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと既に関連付けられている、フローバインディング登録部と、
前記フローバインディング登録部における前記バインディングの登録が完了したことを示すフローバインディング完了メッセージを、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに送信することが可能なフローバインディング完了報告送信部と、を更に有し、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、
前記ローカル・モビリティ・アンカーから、前記フローバインディング完了メッセージを受信することが可能なフローバインディング完了報告受信部と、
前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続及び前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記双方向IPトンネルを用いて、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローを、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立することが可能なフロー確立部と、を更に有する、
ネットワークアーキテクチャ。
【請求項2】
前記第1の無線インタフェースがアクティブであるべきことを示す所望動作情報を含むとともに、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立されている複数のIPパケットフローの一部を、前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転すべきことを特定する前記フロー移転指示を、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転指示受信部が受信すると、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転要求送信部は、前記フロー移転指示で特定される前記IPパケットフローを特定する前記フロー移転要求を、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイへ送信し、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー確立部が前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定された前記IPパケットフローを前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立した後であっても、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立された前記複数のIPパケットフローのうち、他のIPパケットフローを維持する、
請求項1に記載のネットワークアーキテクチャ。
【請求項3】
前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転指示受信部が、前記第1の無線インタフェースをアクティブにされた状態から非アクティブにすべきであることを示す所望動作情報を含む前記フロー移転指示を受信すると、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転要求送信部は、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立されている1又は複数のIPパケットフローの全てを、前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転すべきことを特定する前記フロー移転要求を送信し、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー確立部は、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求によって特定される、1又は複数のIPパケットフローの全てを、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立する、
請求項1又は2記載のネットワークアーキテクチャ。
【請求項4】
前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフロー上で送信されるIPパケットのコピーを前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに転送しない、
請求項1から3のいずれか一項に記載のネットワークアーキテクチャ。
【請求項5】
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転要求受信部で受信した前記フロー移転要求が前記第1の送信指示を含む場合には、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記インタフェース起動部は、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースをアクティブにする、
請求項1から4のいずれか一項に記載のネットワークアーキテクチャ。
【請求項6】
プロキシ・モバイル・インターネット・プロトコル・バージョン6に基づいて動作し、第1の無線アクセス技術を用いて第1の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第1の無線インタフェースと、当該第1の無線アクセス技術とは異なる第2の無線アクセス技術を用いて第2の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第2の無線インタフェースとを有する少なくとも1のモバイルノードと通信するためのネットワークアーキテクチャであって、
前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術を用いて通信可能な前記第1の無線通信ネットワークシステムと、
前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術とは異なる前記第2の無線アクセス技術を用いて通信可能な前記第2の無線通信ネットワークシステムと、
インターネットを介して前記第1の無線通信ネットワークシステムに接続されるとともに、インターネットを介して前記第2の無線通信ネットワークシステムに接続され、前記モバイルノードの相手方ノードと通信可能なローカル・モビリティ・アンカーであって、前記モバイルノードが、前記第1の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにするともに、前記第2の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにする、ローカル・モビリティ・アンカーと、を有し、
前記第1の無線通信ネットワークシステムは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能な第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを有し、
前記第2の無線通信ネットワークシステムは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第2の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能な第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを有し、
前記第1の無線通信ネットワークシステムの前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、
複数のIPパケットフローが前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立される一方、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間では前記第2の無線通信ネットワークシステムを介したIPパケットフローは確立されていない場合であって、且つ、前記モバイルノードが既に確立された前記IPパケットフローの少なくとも1を前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい場合に前記モバイルノードから送信されるフロー移転指示であって、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースとを特定するフロー移転指示を受信することが可能なフロー移転指示受信部と、
前記フロー移転指示受信部で前記フロー移転指示を受信すると、前記第2の無線通信ネットワークシステムの前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対して、フロー移転要求を送信することが可能なフロー移転要求送信部とを有し、
当該フロー移転要求は、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定し、
前記第2の無線通信ネットワークシステムの前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを示すプロキシ気付アドレスと、
前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記フロー移転要求を受信することが可能なフロー移転要求受信部と、
前記フロー移転要求受信部で前記フロー移転要求を受信すると、前記モバイルノードと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとを特定する新たな接続要求を、前記ローカル・モビリティ・アンカーへ送信することが可能な新接続要求送信部とを有し、
前記ローカル・モビリティ・アンカーは、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記新たな接続要求を受信することが可能な新接続要求受信部と、
前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記第2の無線通信ネットワークシステムを介した通信に用いられる、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記モバイルノードに割り当てることが可能であり、前記新接続要求受信部で前記新たな接続要求を受信すると、前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとの間の新たなバインディングを登録することが可能な新接続要求登録部と、
前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとに基づいて、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルの確立を促すべく、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイへ送信する新ホーム・ネットワーク・プレフィックス送信部と、を有し、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、
前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記ローカル・モビリティ・アンカーから受信することが可能な新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部と、
前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部で受信すると、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を促すべく、前記フロー移転要求で特定される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースを起動することが可能なインタフェース起動部と、
前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を確認することが可能な接続確認部と、
前記接続確認部で前記接続の確立を確認すると、フローバインディング更新要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーへ送信することが可能なフローバインディング更新要求送信部とを更に有し、
前記フローバインディング更新要求は、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローを特定し、
前記ローカル・モビリティ・アンカーは、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記フローバインディング更新要求を受信することが可能なフローバインディング更新要求受信部と、
前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記フローバインディング更新要求で特定される前記IPパケットフローとの新たなバインディングを登録することが可能なフローバインディング登録部と、
前記フローバインディング登録部における前記新たなバインディングの登録が完了したことを示すフローバインディング完了メッセージを、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに送信することが可能なフローバインディング完了報告送信部と、を更に有し、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、
前記ローカル・モビリティ・アンカーから、前記フローバインディング完了メッセージを受信することが可能なフローバインディング完了報告受信部と、
前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の前記接続及び前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記双方向IPトンネルを用いて、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローを、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立することが可能なフロー確立部と、を更に有する、
ネットワークアーキテクチャ。
【請求項7】
前記第1の無線インタフェースがアクティブであるべきことを示す所望動作情報を含むとともに、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立されている複数のIPパケットフローの一部を、前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転すべきことを特定する前記フロー移転指示を、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転指示受信部が受信すると、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転要求送信部は、前記フロー移転指示で特定される前記IPパケットフローを特定する前記フロー移転要求を、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイへ送信し、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー確立部が前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定された前記IPパケットフローを前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立した後であっても、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立された前記IPパケットフローのうち、他のIPパケットフローを維持する、
請求項6に記載のネットワークアーキテクチャ。
【請求項8】
前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転指示受信部が、前記第1の無線インタフェースをアクティブにされた状態から非アクティブにすべきであることを示す所望動作情報を含む前記フロー移転指示を受信すると、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転要求送信部は、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立されている1又は複数のIPパケットフローの全てを、前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転すべきことを特定する前記フロー移転要求を送信し、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー確立部は、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求によって特定される、1又は複数のIPパケットフローの全てを、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立する、
請求項6又は7に記載のネットワークアーキテクチャ。
【請求項9】
前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフロー上で送信されるIPパケットのコピーを、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに転送しない、
請求項6から8のいずれか一項に記載のネットワークアーキテクチャ。
【請求項10】
プロキシ・モバイル・インターネット・プロトコル・バージョン6に基づいて動作し、第1の無線アクセス技術を用いて第1の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第1の無線インタフェースと、当該第1の無線アクセス技術とは異なる第2の無線アクセス技術を用いて第2の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第2の無線インタフェースとを有する少なくとも1のモバイルノードと通信するためのネットワークアーキテクチャであって、
前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術を用いて通信可能な前記第1の無線通信ネットワークシステムと、
前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術とは異なる前記第2の無線アクセス技術を用いて通信可能な前記第2の無線通信ネットワークシステムと、
インターネットを介して前記第1の無線通信ネットワークシステムに接続されるとともに、インターネットを介して前記第2の無線通信ネットワークシステムに接続され、前記モバイルノードの相手方ノードと通信可能なローカル・モビリティ・アンカーであって、前記モバイルノードが、前記第1の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにするとともに、前記第2の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにする、ローカル・モビリティ・アンカーと、を有し、
前記第1の無線通信ネットワークシステムは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能な第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを有し、
前記第2の無線通信ネットワークシステムは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第2の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能な第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを有し、
前記第1の無線通信ネットワークシステムの前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、
少なくとも1のIPパケットフローが前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立される一方、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間では前記第2の無線通信ネットワークシステムを介した少なくとも1のIPパケットフローが確立されている場合であって、且つ、前記モバイルノードが少なくとも1の既に確立されたIPパケットフローを前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい場合に前記モバイルノードから送信されるフロー移転指示であって、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースとを特定するとともに前記第2の無線インタフェースが現在アクティブにされているか否かを示す現在状態情報を含むフロー移転指示を受信することが可能なフロー移転指示受信部と、
前記フロー移転指示受信部で前記フロー移転指示を受信すると、前記第2の無線通信ネットワークシステムの前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対して、フロー移転要求を送信することが可能なフロー移転要求送信部とを有し、
当該フロー移転要求は、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定し、
前記第2の無線通信ネットワークシステムの前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイを示すプロキシ気付アドレスと、
前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記フロー移転要求を受信することが可能なフロー移転要求受信部と、
前記フロー移転要求を前記フロー移転要求受信部で受信すると、フローバインディング更新要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーへ送信することが可能なフローバインディング更新要求送信部とを有し、
前記フローバインディング更新要求は、前記モバイルノードと、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定し、
前記ローカル・モビリティ・アンカーは、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記フローバインディング更新要求を受信することが可能なフローバインディング更新要求受信部と、
前記モバイルノードの既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記フローバインディング更新要求で特定される前記IPパケットフローとのバインディングを登録することが可能なフローバインディング登録部であって、前記モバイルノードの前記既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の既存の双方向IPトンネルを確立するための前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイ及び前記ローカル・モビリティ・アンカーによって、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと既に関連付けられている、フローバインディング登録部と、
前記フローバインディング登録部における前記バインディングの登録が完了したことを示すフローバインディング完了メッセージを、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに送信することが可能なフローバインディング完了報告送信部と、を有し、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、
前記ローカル・モビリティ・アンカーから、前記フローバインディング完了メッセージを受信することが可能なフローバインディング完了報告受信部と、
前記フローバインディング完了報告受信部が前記フローバインディング完了メッセージを受信した後に、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の既存の接続及び前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記双方向IPトンネルを用いて、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローを、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立することが可能なフロー確立部と、を更に有する、
ネットワークアーキテクチャ。
【請求項11】
前記第1の無線インタフェースがアクティブであるべきことを示す所望動作情報を含むとともに、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立されている複数のIPパケットフローの一部を、前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転すべきことを特定する前記フロー移転指示を、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転指示受信部が受信すると、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転要求送信部は、前記フロー移転指示で特定される前記IPパケットフローを特定する前記フロー移転要求を、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイへ送信し、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー確立部が前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定された前記IPパケットフローを前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立した後であっても、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立された前記複数のIPパケットフローのうち、他のIPパケットフローを維持する、
請求項10に記載のネットワークアーキテクチャ。
【請求項12】
前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転指示受信部が、前記第1の無線インタフェースをアクティブにされた状態から非アクティブにするべきであることを示す所望動作情報を含む前記フロー移転指示を受信すると、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー移転要求送信部は、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立されている1又は複数のIPパケットフローの全てを、前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転すべきことを特定する前記フロー移転要求を送信し、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記フロー確立部は、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求によって特定される1又は複数のIPパケットフローの全てを前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立する、
請求項10又は11に記載のネットワークアーキテクチャ。
【請求項13】
前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフロー上で送信されるIPパケットのコピーを、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに転送しない、
請求項10から12のいずれか一項に記載のネットワークアーキテクチャ。
【請求項14】
プロキシ・モバイル・インターネット・プロトコル・バージョン6に基づいて動作し、少なくとも1のモバイルノードと通信するためのネットワークアーキテクチャにおけるローカル・モビリティ・アンカーであって、
当該ローカル・モビリティ・アンカーは、前記ローカル・モビリティ・アンカーインターネットを介して第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに接続され、インターネットを介して第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに接続され、前記第1のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードと通信するために第1の無線アクセス技術を使用する第1の無線通信ネットワークシステムの前記モバイルノード用のアクセスルータとして動作するとともに、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理し、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードと通信するために第2の無線アクセス技術を使用する第2の無線通信ネットワークシステムの前記モバイルノード用のアクセスルータとして動作するとともに、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第2の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理し、
当該ローカル・モビリティ・アンカーは、前記モバイルノードの相手方ノードと通信可能であって、前記モバイルノードが、前記第1の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにするとともに、前記第2の無線通信ネットワークシステムと当該ローカル・モビリティ・アンカーとを介して前記相手方ノードと通信することが可能であるようにし、
当該ローカル・モビリティ・アンカーは、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記モバイルノード及び前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイのプロキシ気付アドレスを特定する新たな接続要求を受信することが可能な新接続要求受信部と、
前記モバイルノードの無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記第2の無線通信ネットワークシステムを介した通信に用いられる、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記モバイルノードに割り当てることが可能であり、前記新接続要求受信部で前記新たな接続要求を受信すると、前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとの間の新たなバインディングを登録することが可能な新接続要求登録部と、
前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス及び前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスに基づいて、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルの確立を促すべく、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイへ送信する新ホーム・ネットワーク・プレフィックス送信部と、
前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記モバイルノードと、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい少なくとも1のIPパケットフローを特定するフローバインディング更新要求を受信することが可能なフローバインディング更新要求受信部と、
前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックス又は既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスと前記フローバインディング更新要求で特定される前記IPパケットフローとのバインディングを登録することが可能なフローバインディング登録部であって、前記モバイルノードの前記既存のホーム・ネットワーク・プレフィックスは、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の既存の双方向IPトンネルを確立するための前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイ及び前記ローカル・モビリティ・アンカーによって、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと既に関連付けられている、フローバインディング登録部と、
前記フローバインディング登録部における前記バインディングの登録が完了したことを示すフローバインディング完了メッセージを、前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに送信することが可能なフローバインディング完了報告送信部と、
を有するローカル・モビリティ・アンカー。
【請求項15】
プロキシ・モバイル・インターネット・プロトコル・バージョン6に基づいて動作し、第1の無線アクセス技術を用いて第1の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第1の無線インタフェースと、当該第1の無線アクセス技術とは異なる第2の無線アクセス技術を用いて第2の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第2の無線インタフェースとを有する少なくとも1のモバイルノードと通信するためのモビリティ・アンカー・ゲートウェイであって、
当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイは前記第1の無線通信ネットワークシステムに属するとともに、前記モバイルノードの相手方ノードと通信することが可能なローカル・モビリティ・アンカーに接続されており、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第2の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能であり、
モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、
少なくとも1のIPパケットフローが前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して確立されている場合であって、且つ、前記モバイルノードが少なくとも1の既に確立されたIPパケットフローを前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい場合に前記モバイルノードから送信されるフロー移転指示であって、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースとを特定するとともに前記第2の無線インタフェースが現在アクティブにされているか否かを示す現在状態情報を含むフロー移転指示を受信することが可能なフロー移転指示受信部と、
前記フロー移転指示受信部で前記フロー移転指示を受信すると、前記第2の無線アクセス技術を用いる別の無線通信ネットワークシステムの別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに対して、フロー移転要求を送信することが可能なフロー移転要求送信部とを有し、
当該フロー移転要求は、前記モバイルノードと、移転対象の前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定するとともに、前記フロー移転指示における前記現在状態情報が、前記第2の無線インタフェースが現在はアクティブにされていないことを示す場合には、前記別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルの確立を促すべく、前記ローカル・モビリティ・アンカーに対して新たな接続要求を送信するよう前記別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに指示する第1の送信指示を含み、前記第2の無線インタフェースが現在アクティブにされていることを前記フロー移転指示における前記現在状態情報が示す場合には、前記フロー移転指示で特定される前記IPパケットフローを、前記別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルに関連付けるために、前記ローカル・モビリティ・アンカーに対してフローバインディング更新要求を送信するよう前記第2のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに指示する第2の送信指示を含む、
モビリティ・アンカー・ゲートウェイ。
【請求項16】
前記フロー移転指示受信部が、前記第1の無線インタフェースがアクティブであるべきことを示す所望動作情報を含むとともに、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイを介して既に確立されている複数のIPパケットフローの一部を、前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転すべきことを特定する前記フロー移転指示を受信すると、前記フロー移転要求送信部は、前記フロー移転指示で特定される前記IPパケットフローを特定する前記フロー移転要求を前記別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに送信し、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイがインタフェース当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定された前記IPパケットフローを前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立した後であっても、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立された前記IPパケットフローのうち、他のIPパケットフローを維持する、
請求項15に記載のモビリティ・アンカー・ゲートウェイ。
【請求項17】
前記フロー移転指示受信部が、前記第1の無線インタフェースをアクティブにされた状態から非アクティブにすべきであることを示す所望動作情報を含む前記フロー移転指示を受信すると、前記フロー移転要求送信部は、前記モバイルノードの前記第1の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で前記第1の無線通信ネットワークシステムを介して既に確立されている1又は複数のIPパケットフローの全てを、前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転すべきことを特定する前記フロー移転要求を送信する、
請求項15に記載の前記モビリティ・アンカー・ゲートウェイ。
【請求項18】
当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフロー上で送信されるIPパケットのコピーを、前記別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイに転送しない、
請求項15から17のいずれか一項に記載のモビリティ・アンカー・ゲートウェイ。
【請求項19】
プロキシ・モバイル・インターネット・プロトコル・バージョン6に基づいて動作し、第1の無線アクセス技術を用いて第1の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第1の無線インタフェースと、当該第1の無線アクセス技術とは異なる第2の無線アクセス技術を用いて第2の無線通信ネットワークシステムを介してインターネットと通信するための第2の無線インタフェースとを有する少なくとも1のモバイルノードと通信するためのモビリティ・アンカー・ゲートウェイであって、
当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記第2の無線通信ネットワークシステムに属し、前記モバイルノードの相手方ノードと通信可能なローカル・モビリティ・アンカーに接続され、前記モバイルノードのアクセスルータとして動作することが可能であり、前記モバイルノードと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間に前記第2の無線通信ネットワークシステムを介して確立された少なくとも1のIPパケットフローを管理することが可能であり、
当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、
当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイを示すプロキシ気付アドレスと、
前記第1の無線アクセス技術を用いる別の無線通信ネットワークシステムの別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから、前記モバイルノードと、移転対象である前記IPパケットフローに使用される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定するとともに、前記ローカル・モビリティ・アンカーに対して新たな接続要求を送信するよう当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイに指示する第1の送信指示又は、前記ローカル・モビリティ・アンカーに対してフローバインディング更新要求を送信するよう当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイに指示する第2の送信指示を含むフロー移転要求を受信することが可能なフロー移転要求受信部と、
前記フロー移転要求受信部で受信した前記フロー移転要求が前記第1の送信指示を含む場合に、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルの確立を促すべく、前記モバイルノードと当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとを特定する新たな接続要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーに送信することが可能な新接続要求送信部と、
前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスと当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスとに基づいて、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルの確立を促すべく、前記モバイルノードの新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを前記ローカル・モビリティ・アンカーから受信することが可能な新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部と、
前記新ホーム・ネットワーク・プレフィックス受信部で前記モバイルノードの前記新たなホーム・ネットワーク・プレフィックスを受信すると、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を促すべく、前記フロー移転要求で特定される前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースをアクティブにすることが可能なインタフェース起動部と、
前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続の確立を確認することが可能な接続確認部と、
前記接続確認部において、前記接続の確立を確認すると、前記フロー移転要求で特定された前記IPパケットフローを、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の双方向IPトンネルに関連づけるべく、フローバインディング更新要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーに送信することが可能であるとともに、前記第2の送信指示を含む前記フロー移転要求を前記フロー移転要求受信部で受信すると、前記フローバインディング更新要求を前記ローカル・モビリティ・アンカーに送信することが可能なフローバインディング更新要求送信部であって、前記フローバインディング更新要求は、前記モバイルノードと、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイの前記プロキシ気付アドレスと、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローとを特定する、フローバインディング更新要求送信部と、
フローバインディング完了メッセージを前記ローカル・モビリティ・アンカーから受信するフローバインディング完了報告受信部と、
前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイとの間の接続及び当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間の前記双方向IPトンネルを用いて、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフローであって、当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイからの前記フロー移転要求で特定される前記IPパケットフローを、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースと前記ローカル・モビリティ・アンカーとの間で確立することが可能なフロー確立部と、
を有するモビリティ・アンカー・ゲートウェイ。
【請求項20】
当該モビリティ・アンカー・ゲートウェイは、前記モバイルノードが前記第1の無線アクセス技術から前記第2の無線アクセス技術へ移転したい前記IPパケットフロー上で送信されるIPパケットのコピーを、前記別のモビリティ・アンカー・ゲートウェイから受信しない、
請求項19に記載のモビリティ・アンカー・ゲートウェイ。
【請求項21】
前記インタフェース起動部は、前記フロー移転要求受信部で受信した前記フロー移転要求が前記第1の送信指示を含む場合には、前記モバイルノードの前記第2の無線インタフェースをアクティブにする、
請求項19又は20に記載のモビリティ・アンカー・ゲートウェイ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−42445(P2013−42445A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−179508(P2011−179508)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】