説明

ネットワークシステム

【課題】ネットワークを構成するノードへの識別子の設定に当たって、マスタノードを用いて識別子設定用メッセージを送信する必要が無いネットワークシステムを得る。
【解決手段】チャネルA105を介してデイジーチェーン接続された識別子設定対象ノードに、受信するタイムスロット番号と識別子とを対応付けた識別子設定テーブルと、識別子とこの識別子が割当てられた識別子設定対象ノードがメッセージの送信及び受信に利用するタイムスロット番号とを対応付けたタイムスロット設定テーブルとをそれぞれ持たせ、同期ノード101から識別子設定対象ノードを同期させるための同期メッセージが送信されると、この同期メッセージを受信した識別子設定対象ノードは、順次、識別子設定テーブル及びタイムスロット設定テーブルを参照して、自ノードの識別子及びタイムスロットを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、共通の通信スケジュールに従って互いに同期して通信を行う各ノードに対し、識別子を設定可能にしたネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のノードで制御対象の一部、乃至全体の制御を行うようなシステムにおいては、システム全体で協調した動作を実現するために、各ノードが持つ制御に関する情報を共有する必要がある。このため、各ノードは通信機能を持ち、互いにネットワークに接続され、ネットワークを介して必要な情報を格納したメッセージ(以下、制御メッセージ)を送受信している。
このようなネットワークシステムでは、ノード間で共通の通信規格に準拠してメッセージの送受信が行われる。この通信規格の一つに、全ノードが共通の時間と通信スケジュールを持ち、各ノードが決まった時間にメッセージの送受信を行う、時分割多重方式がある。
【0003】
例えば、通信規格FlexRay(非特許文献1)では、通信スケジュールは複数のタイムスロットで構成されている。そして、全ノードで共通の時間を持つために、時間の基準となる同期用のメッセージ(以下、同期メッセージ)を、特定のノード(同期ノード)が特定のタイムスロットで送信する。この同期メッセージを受信したノードは、同期メッセージの受信時刻を基に、自身の時間を同期ノードと共通の時間へ同期させる。
このようにして、同期メッセージを受信した全ノードは、同期ノードと同期することができる。そして同期したノードは、制御メッセージの送受信を開始できるようになる。制御メッセージは、同期メッセージと同様に、タイムスロットで送受信される。したがって、制御メッセージが衝突しないように、各ノードに異なるタイムスロットを割り当てなくてはならない。
【0004】
特に、1つのネットワークシステムに、同じソフトウェアを実装した複数の同一ノードを接続した場合には、夫々に異なるタイムスロットを割り当てる方法が必要となる。その1つに、これらのノードに識別子を設定して識別し、識別子に応じたタイムスロットを割り当てて、制御メッセージの衝突を回避する方法が考えられる。
【0005】
各ノードへの識別子の設定方法としては、これまで、同じノード(以下、スレーブノード)をデイジーチェーン接続し、各スレーブノードが、次段のスレーブノードと通信線との接続をオン・オフするスイッチを備え、識別子設定側のノード(以下、マスタノード)から、スレーブノードへ、設定すべき識別子情報を含んだ識別子設定用メッセージを送信し、識別子が割り当てられたスレーブノードは、識別子設定完了メッセージをマスタノードへ送信するとともに、スイッチを使って次段のスレーブノードを通信線へ接続し、識別子設定完了メッセージを受信したマスタノードは、次段のスレーブノード用の識別子情報を含んだ識別子設定用メッセージを送信する、ということを繰り返して、全スレーブノードへ識別子を設定する方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3988753号公報(第5〜10頁、図1)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】FlexRay Protocol Specification(http://www.flexray.com/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、スレーブノードに識別子を割り当てるために、マスタノードから設定すべき識別子情報を含んだ識別子設定用メッセージを送信する必要があった。そして、マスタノードは、識別子設定を終えたスレーブノードから、識別子設定完了メッセージを受信するのを待って、識別子情報を更新し、次段のスレーブノードへ識別子設定用メッセージを送信する必要があった。その上、これらの処理を全てのスレーブノードの識別子を設定するまで継続して実行する必要があった。
したがって、識別子を設定すべきスレーブノードに加えて、識別子設定を行うマスタノードが必要であり、これらの処理に関する開発工数がかかるという問題があった。
さらにまた、全スレーブノードの識別子設定後に、一部のスレーブノードを交換するなどして、識別子設定済みのスレーブノードと識別子未設定のスレーブノードが混在した場合、識別子設定済みのスレーブノードと、識別子未設定のスレーブノードを区別できないマスタノードは、全スレーブノードの識別子設定を再度実行する必要があり、全識別子の再設定に時間がかかるという問題があった。
【0009】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、ネットワークを構成するノードへの識別子の設定に当たって、マスタノードを用いて識別子設定用メッセージを送信する必要が無いネットワークシステムを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係わるネットワークシステムにおいては、第一の通信線を介してデイジーチェーン接続される第一のノードと1つ以上の第二のノードが、複数のタイムスロットで構成される通信スケジュールに従って、タイムスロット内で、このタイムスロットに割り付けられた番号(以下、タイムスロット番号)を持つメッセージを送受信する時分割多重通信方式のネットワークシステムであって、第一のノードは、通信スケジュールに従ってメッセージを送受信する第一の通信制御手段、及び通信スケジュールに従って第一のノードと第二のノードとを同期して通信させるための同期メッセージを生成し、第一の通信制御手段を介して送信する同期メッセージ設定手段を備え、第二のノードは、通信スケジュールに従ってメッセージを送受信する第二の通信制御手段、全ての第二のノードで共通になるように予め生成され、第二の通信制御手段により受信するメッセージのタイムスロット番号と第二のノードに割当てられる識別子とを対応付けた識別子設定テーブル、全ての第二のノードで共通になるように予め生成され、識別子とこの識別子が割当てられた第二のノードがメッセージの送信及び受信に利用するタイムスロット番号とを対応付けたタイムスロット設定テーブル、及び自ノードの識別子が未設定の場合は、次段のノードに繋がる第一の通信線を切断し、自ノードの識別子が設定済みの場合は、次段のノードに繋がる第一の通信線を接続するスイッチを備え、第一のノードは、予め自ノードに割り当てられたタイムスロットで、第一の通信線を介して同期メッセージを送信し、第二のノードは、同期メッセージを受信した場合に第一のノードと同期するように構成され、自ノードの識別子が未設定の場合には、第一の通信線を介して受信したメッセージのタイムスロット番号に基づき、識別子設定テーブルを用いて自ノードの識別子を設定するとともに、この設定した識別子に基づき、タイムスロット設定テーブルを用いて自ノードがメッセージの送信及び受信に利用するタイムスロット番号をそれぞれ設定し、この設定した送信用のタイムスロット番号を有するメッセージを第一の通信線を介して送信するものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、以上説明したように、第一の通信線を介してデイジーチェーン接続される第一のノードと1つ以上の第二のノードが、複数のタイムスロットで構成される通信スケジュールに従って、タイムスロット内で、このタイムスロットに割り付けられた番号(以下、タイムスロット番号)を持つメッセージを送受信する時分割多重通信方式のネットワークシステムであって、第一のノードは、通信スケジュールに従ってメッセージを送受信する第一の通信制御手段、及び通信スケジュールに従って第一のノードと第二のノードとを同期して通信させるための同期メッセージを生成し、第一の通信制御手段を介して送信する同期メッセージ設定手段を備え、第二のノードは、通信スケジュールに従ってメッセージを送受信する第二の通信制御手段、全ての第二のノードで共通になるように予め生成され、第二の通信制御手段により受信するメッセージのタイムスロット番号と第二のノードに割当てられる識別子とを対応付けた識別子設定テーブル、全ての第二のノードで共通になるように予め生成され、識別子とこの識別子が割当てられた第二のノードがメッセージの送信及び受信に利用するタイムスロット番号とを対応付けたタイムスロット設定テーブル、及び自ノードの識別子が未設定の場合は、次段のノードに繋がる第一の通信線を切断し、自ノードの識別子が設定済みの場合は、次段のノードに繋がる第一の通信線を接続するスイッチを備え、第一のノードは、予め自ノードに割り当てられたタイムスロットで、第一の通信線を介して同期メッセージを送信し、第二のノードは、同期メッセージを受信した場合に第一のノードと同期するように構成され、自ノードの識別子が未設定の場合には、第一の通信線を介して受信したメッセージのタイムスロット番号に基づき、識別子設定テーブルを用いて自ノードの識別子を設定するとともに、この設定した識別子に基づき、タイムスロット設定テーブルを用いて自ノードがメッセージの送信及び受信に利用するタイムスロット番号をそれぞれ設定し、この設定した送信用のタイムスロット番号を有するメッセージを第一の通信線を介して送信するので、識別子の設定が必要な第二のノードは、自身で判断して識別子及びタイムスロット番号を設定することができ、識別子設定用メッセージを送信するためのノードが不要である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1による、全ての識別子設定対象ノードの識別子が設定されていない状態のネットワークシステムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるネットワークシステムの識別子設定テーブルを示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるネットワークシステムのタイムスロット設定テーブルを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるネットワークシステムの各識別子設定対象ノードの通信制御手段による識別子設定処理を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1による、識別子設定対象ノードB、Cの識別子が設定されていない状態のネットワークシステムを示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態1による、識別子設定対象ノードBの識別子が設定されていない状態のネットワークシステムを示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態1による同期ノードが複数存在するネットワークシステムを示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態2による識別子設定完了検出ノードが接続されたネットワークシステムを示す構成図である。
【図9】この発明の実施の形態2によるネットワークシステムの識別子設定完了検出ノードによる識別子設定完了検出処理を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態3によるチャネルAとチャネルBが接続されたネットワークシステムを示す構成図である。
【図11】この実施の形態3によるネットワークシステムにおいて、識別子設定状態に依存して送信されるメッセージと識別子設定にかかる時間を、チャネルAのみのネットワークシステムと比較したタイミングチャートである。
【図12】この発明の実施の形態4によるネットワークシステムの各識別子設定対象ノードの通信制御手段による識別子設定処理を示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施の形態4によるネットワークシステムの識別子設定テーブルを示す図である。
【図14】この発明の実施の形態5によるチャネルAとチャネルBが接続されたネットワークシステムを示す構成図であり、識別子設定対象ノードBのスイッチがオフになった状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による、全ての識別子設定対象ノードの識別子が設定されていない状態のネットワークシステムを示す構成図である。
図1において、このネットワークシステムでは、同期ノード101(第一のノード)と、識別子設定対象ノードA102、B103、C104(第二のノード)が、通信プロトコルFlexRayに準拠して動作するチャネルA105(第一の通信線)の通信線を介してデイジーチェーン接続される。
ネットワークシステムは、同期ノード101と識別子設定対象ノードA102、B103、C104とが、複数のタイムスロットで構成される通信スケジュールに従って、タイムスロット内で、このタイムスロットに割り付けられた番号(以下、タイムスロット番号)を持つメッセージを送受信する時分割多重通信方式のネットワークシステムである。
同期ノード101と、識別子割り当てを完了した識別子設定対象ノードA102、B103、C104は、同期すると、夫々制御メッセージを送受信して、各ノード101〜104での処理に必要な情報をやり取りする。
【0014】
同期ノード101は、FlexRayに準拠して動作する通信制御手段110(第一の通信制御手段)と、この通信制御手段110から送信するメッセージを、同期メッセージとして設定する同期メッセージ設定手段114を備えている。ここで同期メッセージは、タイムスロット番号1と2で送信するように設定されている。
【0015】
識別子設定対象ノードA102、B103、C104は、同じ構成であり、FlexRayに準拠して動作する通信制御手段111、112、113(第二の通信制御手段)、識別子設定テーブル115、116、117、タイムスロット設定テーブル118、119、120、記憶手段121、122、123、チャネルA105をオン・オフするスイッチ124、125、126を、それぞれに対応して備える。
各識別子設定対象ノードA102、B103、C104の識別子設定テーブル115、116、117、タイムスロット設定テーブル118、119、120は夫々同一のものである。ここでは便宜上、識別子設定対象ノードを、同期ノード101との接続順に識別子設定対象ノードA102、識別子設定対象ノードB103、識別子設定対象ノードC104として区別しているが、初期状態では、識別子が未設定であるため、自ノードの接続箇所を判断することはできない。
【0016】
通信制御手段111、112、113は、同期メッセージを受信すると、同期ノード101と同期し、メッセージを送受信する。ただし、初期状態では識別子が設定されていないため、メッセージの送信設定はまだ行われていない。また、後述の識別子設定テーブル115、116、117やタイムスロット設定テーブル118、119、120や記憶手段121、122、123を参照し、識別子の設定処理を行う。
【0017】
識別子設定テーブル115、116、117は、後述する図2に示すように、受信したメッセージのタイムスロット番号と、識別子を対応付けている。通信制御手段111、112、113が識別子を設定するのに用いられる。
【0018】
タイムスロット設定テーブル118、119、120は、後述する図3のように、それぞれ対応する識別子設定テーブル115、116、117で設定した識別子と、送受信に使用するタイムスロット番号を対応付けている。通信制御手段111、112、113が、自ノードのメッセージ送受信用のタイムスロットを設定するのに用いる。
【0019】
記憶手段121、122、123は、通信制御手段111、122、113がそれぞれ対応する識別子設定テーブル115、116、117を用いて設定した自ノードの識別子を格納するのに用いられる。この記憶手段121、122、123は、バッテリーによってバックアップされるRAMメモリや、フラッシュメモリや、EEPROMメモリなどであり、ノードの電源が切れたりリセットしたりしても、記憶した識別子を保持し、通信制御手段111、112、113はこの識別子を読み込むことができる。
【0020】
スイッチ124、125、126は、初期状態など、識別子が未設定の状態ではオフであり、識別子が設定されると、それぞれ対応する通信制御手段111、112、113によりオンに切替えられる。
例えば、識別子設定対象ノードA102は、自ノードの識別子を設定すると、スイッチ124をオンにし、次段の識別子設定対象ノードB103とチャネルA105を介して接続される。
【0021】
図2は、この発明の実施の形態1によるネットワークシステムの識別子設定テーブルを示す図である。
図2において、識別子設定テーブル115、116、117を示し、受信したメッセージのタイムスロット番号と、識別子を対応付けている。例えば、タイムスロット番号1と2のメッセージを受信した場合は、識別子をaに、タイムスロット番号1と2と3のメッセージを受信した場合は識別子をbに、というように、通信制御手段111、112、113が識別子を設定するのに用いる。
【0022】
図3は、この発明の実施の形態1によるネットワークシステムのタイムスロット設定テーブルを示す図である。
図3において、タイムスロット設定テーブル118、119、120は、対応する識別子設定テーブル115、116、117で設定した識別子と、送信に使用するタイムスロット番号及び受信に使用するタイムスロット番号を対応付けたテーブルである。
例えば、識別子設定テーブル115、116、117を用いて識別子aを設定した通信制御手段111、112、113は、タイムスロット番号を参照して、自ノードの制御メッセージの送信タイムスロットを3、受信タイムスロットを1、2、4、5、6として設定する、というように、通信制御手段111、112、113が、自ノードのメッセージ送受信用のタイムスロットを設定するのに用いる。
なお、本実施の形態1では、識別子設定対象ノードA102、B103、C104が識別子設定後に送信するメッセージは1つとしているが、1つ以上であってもよいし、これらのタイムスロット番号が連番になっている必要も無いことはいうまでもない。
【0023】
図4は、この発明の実施の形態1によるネットワークシステムの各識別子設定対象ノードの通信制御手段による識別子設定処理を示すフローチャートである。
【0024】
図5は、この発明の実施の形態1による、識別子設定対象ノードB、Cの識別子が設定されていない状態のネットワークシステムを示す構成図である。
図5において、101〜105、110〜126は図1におけるものと同一のものである。図5では、識別子設定対象ノードB、Cの識別子が設定されていない状態を示している。
【0025】
図6は、この発明の実施の形態1による、識別子設定対象ノードBの識別子が設定されていない状態のネットワークシステムを示す構成図である。
図6において、101〜105、110〜126は図1におけるものと同一のものである。図6では、識別子設定対象ノードBの識別子が設定されていない状態を示している。
【0026】
図7は、この発明の実施の形態1による同期ノードが複数存在するネットワークシステムを示す構成図である。
図7において、101〜105、110〜126は図1におけるものと同一のものである。図7では、同期ノードが複数存在する場合のものである。すなわち、同期ノード101と同じ構成の同期ノード2(701)を有し、同期ノード2(701)は、同期ノード101と同様に、通信制御手段702と同期メッセージ設定手段703とを有している。
同期ノード101と同期ノード2(701)は、それぞれ同期メッセージを1つずつ送信するようになっている。
【0027】
次に、動作について説明する。
実施の形態1のネットワークシステムの識別子設定対象ノードA102において、電源投入やリセットなどで初期化してから、識別子設定処理を終了するまでの手順を、図4のフローチャートに沿って説明する。
【0028】
ST401
通信制御手段111が、自ノードの記憶手段121を参照する。識別子が格納されていない場合には、スイッチ124はオフであり、識別子が未設定であるため、ST402へ進む。
記憶手段121に識別子が格納されており、自ノードの識別子が設定済みである場合には、ST408へ進む。
ST402
通信制御手段111は、全タイムスロットでメッセージを受信するように設定する。これにより、他の識別子設定対象ノードとメッセージが衝突しない。
ST403
通信制御手段111は、チャネルA105を介して、タイムスロット1と2で同期メッセージを受信するまで待機する。タイムスロット1と2で同期メッセージを受信すると、同期ノード101に同期し、ST404へ進む。
ST404
通信制御手段111は、所定の期間、チャネルA105を介してメッセージの受信を行う。この期間は、各メッセージの送信間隔に応じて設定すればよい。
ST405
通信制御手段111は、識別子設定テーブル115を参照し、受信したメッセージのタイムスロット番号と関連付けられる自ノードの識別子を設定する。そして、設定した識別子を自ノードの記憶手段121へ格納する。
ST406
通信制御手段111は、タイムスロット設定テーブル118を参照し、ST405で設定した自ノードの識別子と関連付けられる送信用及び受信用メッセージのタイムスロット番号を設定し、このタイムスロットでメッセージの送受信を開始する。
ST407
通信制御手段111は、自ノードに備え付けられたスイッチ124をオンにする。これにより、次段の識別子設定対象ノードB103がチャネルA105と接続される。
【0029】
ST408
識別子設定済みの識別子設定対象ノードA102の通信制御手段111は、タイムスロット設定テーブル118を参照し、自ノードの識別子と関連付けられる送信用メッセージのタイムスロット番号及び受信用メッセージのタイムスロット番号を設定する。
ST409
通信制御手段111は、チャネルA105を介して、タイムスロット1と2で同期メッセージを受信するまで待機する。タイムスロット1と2で同期メッセージを受信すると、同期ノード101に同期し、ST410へ進む。
ST410
通信制御手段111は、設定した送信用及び受信用のタイムスロットでメッセージの送受信を開始する。
【0030】
識別子設定対象ノードB103、C104のフローチャートも、識別子設定対象ノードA102のフローチャート図4と同じであるため、その説明を省略する。
【0031】
次に、識別子設定対象ノードA102、B103、C104が初期状態であり、識別子が未設定であるときの、フローについて、図4のフローチャートに沿って説明する。
識別子設定対象ノードA102は、ST401において、自ノードの識別子が設定されていないため、ST402へ進む。ST402では、全タイムスロットでメッセージを受信するように設定する。
識別子設定対象ノードA102は、初めからチャネルA105を介して同期ノード101と接続されているため、ST403において、タイムスロット1と2で同期ノード101が送信する同期メッセージを受信すると、同期ノード101と同期する。
続いて、ST404において、所定の期間、メッセージの受信を行う。ここでは同期ノード101とのみ接続しているため、同期ノード101が送信するタイムスロット番号1と2の同期メッセージのみ受信することになる。
【0032】
次に、ST405において、図2の識別子設定テーブル115を参照し、タイムスロット番号1と2のメッセージのみを受信した場合の自ノードの識別子としてaを設定する。そして、この識別子aを自ノードの記憶手段121へ格納する。
さらに、ST406において、図3のタイムスロット設定テーブル118を参照し、ST405で設定した自ノードの識別子aより、自ノードのメッセージ送信用タイムスロット番号を3、受信用タイムスロット番号を1、2、4、5、6に設定し、メッセージの送受信を開始する。
その後、ST407において、自ノードのスイッチ124をオンにし、次段の識別子設定対象ノードB103とチャネルA105を介して接続する。
【0033】
次に、識別子設定対象ノードB103は、ST401において、自ノードの識別子が設定されていないため、ST402へ進む。ST402では、全タイムスロットでメッセージを受信するように設定する。
識別子設定対象ノードB103は、自ノードが初期化された直後は、図1に示すように、前段の識別子設定対象ノードA102のスイッチ124がオフであるため、同期ノード101や識別子設定対象ノードA102と接続されていない。
したがって、ST403において、タイムスロット1と2で同期メッセージを受信するまで待機する。続いて、前述のとおり、識別子設定対象ノードA102の識別子aが設定され、スイッチ124がオンになると、図5に示すように、識別子設定対象ノードB103はチャネルA105を介して同期ノード101や識別子設定対象ノードA102と接続される。そして、同期ノード101がタイムスロット1と2で送信する同期メッセージを受信するようになると、同期ノード101と同期する。
【0034】
続いて、ST404において、所定の期間、メッセージの受信を行う。ここでは同期ノード101および識別子設定対象ノードA102と接続しているため、同期ノード101が送信するタイムスロット番号1と2の同期メッセージと、識別子設定対象ノードA102が送信するタイムスロット番号3のメッセージを受信することになる。
次に、ST405において、図2の識別子設定テーブル116を参照し、タイムスロット番号1、2、3のメッセージを受信した場合の自ノードの識別子としてbを設定する。そして、この識別子bを自ノードの記憶手段122へ格納する。
さらに、ST406において、図3のタイムスロット設定テーブル119を参照し、ST405で設定した自ノードの識別子bより、自ノードのメッセージ送信用タイムスロット番号を4、受信用タイムスロット番号を1、2、3、5、6に設定し、メッセージの送受信を開始する。
その後、ST407において、自ノードのスイッチ125をオンにし、次段の識別子設定対象ノードC104とチャネルA105を介して接続する。
【0035】
識別子設定対象ノードC104のフローも、識別子設定対象ノードA102、B103と同じであるため、その説明を省略する。なお、このネットワークシステムにおいて識別子設定対象ノードC104の次段にはノードが存在しておらず、識別子設定対象ノードC104がST406でスイッチ126をオンにしても接続されるノードがない。しかしその場合も、識別子設定対象ノードC104やその他のノード101、102、103の識別子設定処理には影響しない。
【0036】
このように、識別子が未設定の識別子設定対象ノードA102、B103、C104において、図4のフローチャートに沿った処理を実行することにより、夫々異なる識別子を自ノードで設定することができる。
【0037】
次に、識別子設定対象ノードA102、B103、C104の識別子を設定完了後、識別子設定対象ノードB103が故障するなどして交換され、識別子設定対象ノードB103のみ識別子未設定となった場合について説明する。
このときの各ノードの状態を図6に示す。このとき、識別子設定対象ノードA102は同期ノード101との通信を継続し、またスイッチ124はオンのままであるため、識別子設定対象ノードB103は、ST404において、チャネルA105を介して同期ノード101が送信するタイムスロット番号1と2の同期メッセージと、識別子設定対象ノードA102が送信するタイムスロット番号3のメッセージを受信することになる。
したがって、前述の識別子設定対象ノードB103の識別子設定フローと同じ手順でST405において自ノードの識別子bを設定することができる。
また、識別子設定対象ノードB103がST407において、自ノードのスイッチ125をオンにすると、次段の識別子設定対象ノードC104が、チャネルA105を介して接続される。次段の識別子設定対象ノードC104は、識別子cを設定済みであるため、ST401からST408へ進み、ST408で送信用及び受信用のタイムスロット番号を設定し、ST409で同期メッセージを受信して同期ノード101と同期すると、ST410で直ちに送信用及び受信用のタイムスロットでメッセージの送受信を開始し、このフローを終了する。
【0038】
このように、識別子設定後に、一部の識別子設定対象ノードの識別子が未設定となった場合でも、図4のフローチャートに沿った処理を実行することにより、識別子を未設定となった識別子設定対象ノード自身で設定することができる。
【0039】
次に、識別子設定対象ノードA102、B103、C104の全識別子が設定完了後、このネットワークシステムの電源が遮断されるなどして、全てのノードがリセットされた場合について説明する。
このとき、識別子設定対象ノードA102、B103、C104の識別子a、b、cは、夫々記憶手段121、122、123へ格納されている。したがって、スイッチ124、125、126はオンであり、ST401からST408へ進む。ST408で送信用及び受信用のタイムスロット番号を設定し、ST409で同期メッセージを受信して同期ノードと同期すると、ST410で直ちに送信用及び受信用のタイムスロットでメッセージの送受信を開始し、このフローを終了する。
【0040】
このように、識別子設定後に、電源を遮断しても、記憶手段121〜123を備えているため、図4のフローチャートに沿った処理を実行することにより、識別子を再設定する必要がない。
なお、識別子設定対象ノードA102とC104など、一部の識別子設定対象ノードのみが記憶手段を備えており、電源を遮断すると識別子の再設定が必要になる識別子設定対象ノード(例えばB103)が混在している場合であっても、前述の通り、これらの再設定が必要な識別子設定対象ノードB103でのみ図4のフローチャートST402〜407を実行すればよく、記憶手段121、123を備えた識別子設定対象ノードA102、C104では、これらの処理を実行する必要はない。
【0041】
以上のように、実施の形態1によれば、各識別子設定対象ノードA102、B103、C104は、夫々同一の識別子設定テーブル115、116、117、タイムスロット設定テーブル118、119、120と、チャネルA105を介して受信したメッセージのタイムスロット番号を用いることにより、夫々異なる識別子、異なる送受信用タイムスロットを設定することができる。そのため、同期ノード101が、識別子設定用のメッセージを送信したり、識別子設定の情報を更新したりする必要が無い。したがって、同期ノード101は識別子設定に関する処理を実行する必要は無く、これらの開発工数が不要である。
また、各識別子設定対象ノードA102、B103、C104は、識別子設定完了後に識別子設定完了メッセージを送信する必要が無く、直ちに夫々の制御に必要なメッセージの送受信を開始することができる。
【0042】
さらにまた、識別子設定対象ノードB103のみが識別子未設定となった場合のように、一部の識別子設定対象ノードに識別子の再設定が必要になっても、同期ノード101や識別子設定済みのノードでは識別子を再度設定する必要が無い。したがって、再設定に必要な時間は、識別子未設定の識別子設定対象ノード個数分の時間のみで済み、識別子設定にかかる時間を短縮できる。
【0043】
さらにまた、識別子設定対象ノードが、記憶手段121〜123を備えることによって、一度識別子を設定すると、電源投入毎やリセット毎の識別子の設定処理は不要となり、ネットワークシステムの起動後、直ちに制御を開始することができる。
【0044】
なお、本実施の形態1におけるネットワークシステムでは、1つの同期ノード101で2つの同期メッセージを送信するようになっているが、識別子設定対象ノードA102、B103、C104を間に挟まずに複数の同期ノードをチャネルA105で接続し、夫々1つずつ同期メッセージを送信するような構成であっても良い。
例えば、図7に示すように、同期ノード101、同期ノード2(701)が同期メッセージをそれぞれタイムスロット1、2で送信する場合であっても、識別子設定対象ノードA102、B103、C104における識別子設定のフローに影響は無い。
【0045】
実施の形態2.
図8は、この発明の実施の形態2による識別子設定完了検出ノードが接続されたネットワークシステムを示す構成図である。
図8において、101〜105、110〜126は図1におけるものと同一のものである。図8では、全識別子設定対象ノードの識別子が設定されていない状態を示している。
図8では、識別子設定完了検出ノード801(第三のノード)が追加されている。
識別子設定完了検出ノード801は、識別子設定対象ノードA102、B103、C104の最終段である識別子設定対象ノードC104の次段に接続されている。実施の形態1で示したように識別子設定対象ノードC104の識別子cが設定され、スイッチ126がオンになると、識別子設定完了検出ノード801は、チャネルA105を介して他のノード101〜104と接続される。
【0046】
識別子設定完了検出ノード801は、通信制御手段802(第三の通信制御手段)と、識別子設定完了検出手段803を備える。
通信制御手段802は、他の通信制御手段111〜113と同様に、同期メッセージを受信すると同期ノード101と同期し、メッセージの送受信が可能になる。
識別子設定完了検出手段803は、同期メッセージを受信したことを検出すると、全識別子設定完了メッセージを送信するよう、通信制御手段802へ指示する。
【0047】
図9は、この発明の実施の形態2によるネットワークシステムの識別子設定完了検出ノードによる識別子設定完了検出処理を示すフローチャートである。
【0048】
次に、実施の形態2のネットワークシステムの識別子設定完了検出ノード801の処理を、図9のフローチャートに沿って説明する。
ST901
識別子設定完了検出ノード801は、チャネルA105を介して、タイムスロット1と2で同期メッセージを受信するまで待機する。タイムスロット1と2で同期メッセージを受信すると、同期ノード101に同期し、ST902へ進む。
ST902
同期メッセージを受信すると、識別子設定完了検出手段803は、全ての識別子設定対象ノードA102、B103、C104の識別子設定が完了したことを検出し、通信制御手段802へ全識別子設定完了メッセージの送信を指示する。
ST903
通信制御手段802は、全識別子設定完了メッセージを送信し、識別子設定完了検出処理を終了する。
【0049】
このように、実施の形態2によれば、識別子設定完了検出ノード801により、前段までの全ての識別子設定対象ノードA102、B103、C104の識別子の設定が完了したことを検出することができる。これによって、識別子設定完了検出ノード801から全識別子設定完了メッセージを送信し、全ての識別子設定対象ノードA102、B103、C104の識別子設定が完了したことを知ったノードが、完了後にのみ必要となる電源管理用メッセージやダイアグメッセージなどの送受信を開始したり、逆にこの全識別子設定完了メッセージを受信できなかった場合に、エラーとして検出したりすることができる。
また、識別子設定完了検出ノード801内での制御に識別子設定完了検出結果を反映させることもできる。
【0050】
なお、実施の形態2における識別子設定完了検出ノード801は、識別子設定対象ノードA102、B103、C104の識別子設定完了を検出すると、チャネルA105を介して全識別子設定完了メッセージを送信したが、識別子設定完了検出ノード801が接続する、他のネットワークシステムにメッセージを送信するものであってもよい。
さらにまた、他のノード101〜104が全識別子設定完了を知る必要が無ければ、識別子設定完了検出ノード801が全識別子設定完了メッセージを送信する必要は無い。
【0051】
実施の形態3.
図10は、この発明の実施の形態3によるチャネルAとチャネルBが接続されたネットワークシステムを示す構成図である。
図10において、101〜105、110〜126は図1におけるものと同一のものである。図10では、全識別子設定対象ノードの識別子が設定されていない状態を示している。
図10では、チャネルA105に加え、チャネルB1001(第二の通信線)の通信線が追加されている。各ノード101〜104は、チャネルA105とチャネルB1001の両方に接続されている。
チャネルB1001は、通信プロトコルFlexRayに準拠し、チャネルA105と共通の通信スケジュールに従って動作する。
【0052】
図11は、この実施の形態3によるネットワークシステムにおいて、識別子設定状態に依存して送信されるメッセージと識別子設定にかかる時間を、チャネルA105のみのネットワークシステムと比較したタイミングチャートである。
図11(a)は、チャネルAとチャネルBを用いた本実施の形態3のタイミングチャートであり、図11(b)は、チャネルAのみを用いた場合のタイミングチャートである。
図11において、Sは同期ノードが送信する同期メッセージ、Aは識別子設定対象ノードAが送信するメッセージ。Bは識別子設定対象ノードBが送信するメッセージ、Cは識別子設定対象ノードCが送信するメッセージである。
【0053】
このネットワークシステムの各識別子設定対象ノードA102、B103、C104において、電源投入やリセットなどで初期化してから、識別子設定処理の終了までの手順は、図4のフローチャートと同じである。
【0054】
次に、チャネルAとチャネルBに接続され、識別子未設定の識別子設定対象ノードA102、B103、C104に、識別子を設定するまでの状態を、図11(a)の(a−1)〜(a−8)に沿って説明する。
【0055】
(a−1) 識別子設定対象ノードA102、B103、C104の識別子が未設定である(図4のフローチャートST401〜402)。
(a−2) 識別子設定対象ノードA102、B103、C104が、チャネルB1001を介して同期メッセージを受信し、同期ノード101と同期する(図4のフローチャート ST403)。
(a−3) 識別子設定対象ノードA102は、チャネルA105を介して同期メッセージを受信し、所定の期間、メッセージを受信すると、自ノードの識別子a、そして送信用及び受信用のタイムスロット番号を設定し、メッセージの送信を開始する(図4のフローチャート ST404〜406)。
(a−4) 識別子設定対象ノードA102は、スイッチ124をオンにし、次段の識別子設定対象ノードB103がチャネルA105と接続される。
【0056】
(a−5) 識別子設定対象ノードB103は、チャネルA105を介して同期メッセージを受信し、所定の期間、メッセージを受信すると、自ノードの識別子b、そして送信用及び受信用のタイムスロット番号を設定し、メッセージの送信を開始する(図4のフローチャート ST404〜406)。
(a−6) 識別子設定対象ノードB103は、スイッチ125をオンにし、次段の識別子設定対象ノードC104がチャネルA105と接続される。
(a−7) 識別子設定対象ノードC104は、チャネルA105を介して同期メッセージを受信し、所定の期間、メッセージを受信すると、自ノードの識別子c、そして送信用及び受信用のタイムスロット番号を設定し、メッセージの送信を開始する(図4のフローチャート ST404〜406)。これにより全ての識別子設定対象ノードA102、B103、C104の識別子設定が完了する。
(a−8) 識別子設定対象ノードC104は、スイッチ126をオンにする。
【0057】
次に、チャネルA105のみで接続され、識別子未設定の識別子設定対象ノードA102、B103、C104に、識別子を設定するまでの状態を、図11(b)の(b−1)〜(b−10)に沿って説明する。
(b−1) 識別子設定対象ノードA102、B103、C104の識別子が未設定である(図4のフローチャートST401〜402)。
(b−2) 識別子設定対象ノードA102が、チャネルA105を介して同期メッセージを受信し、同期ノード101と同期する(図4のフローチャート ST403)。
(b−3) 識別子設定対象ノードA102は、チャネルA105を介して同期メッセージを受信し、所定の期間、メッセージを受信すると、自ノードの識別子a、そして送信用及び受信用のタイムスロット番号を設定し、メッセージの送信を開始する(図4のフローチャート ST404〜406)。
(b−4) 識別子設定対象ノードA102は、スイッチ124をオンにし、次段の識別子設定対象ノードB103がチャネルA105と接続される。
【0058】
(b−5) 識別子設定対象ノードB103が、チャネルA105を介して同期メッセージを受信し、同期ノード101と同期する(図4のフローチャート ST403)。
(b−6) 識別子設定対象ノードB103は、チャネルA105を介して同期メッセージを受信し、所定の期間、メッセージを受信すると、自ノードの識別子b、そして送信用及び受信用のタイムスロット番号を設定し、メッセージの送信を開始する(図4のフローチャート ST404〜406)。
(b−7) 識別子設定対象ノードB103は、スイッチ125をオンにし、次段の識別子設定対象ノードC104がチャネルA105と接続される。
(b−8) 識別子設定対象ノードC104が、チャネルA105を介して同期メッセージを受信し、同期ノード101と同期する(図4のフローチャート ST403)。
(b−9) 識別子設定対象ノードC104は、チャネルA105を介して同期メッセージを受信し、所定の期間、メッセージを受信すると、自ノードの識別子c、そして送信用及び受信用のタイムスロット番号を設定し、メッセージの送信を開始する(図4のフローチャート ST404〜406)。これにより全ての識別子設定対象ノードA102、B103、C104の識別子設定が完了する。
(b−10) 識別子設定対象ノードC104は、スイッチ126をオンにする。
【0059】
図11(b)に示すように、チャネルA105のみで接続する場合は、各識別子設定対象ノードB103、C104は、前段のスイッチ124、125がオンになった後に、チャネルA105を介して同期メッセージを受信して同期する時間が必要となる。
一方、実施の形態3によれば、図11(a)に示すように、同期ノード101がチャネルB1001を接続して同期メッセージを送信することにより、識別子設定対象ノードB103、C104も、前段のスイッチ124、125の状態に依らず、同期ノード101と同期することができる。
したがって、前段のスイッチ124、125がオンになり、チャネルA105で接続したときには、同期ノード101と同期するための時間は必要なく、直ちにメッセージを受信し、識別子設定に入ることができる。
【0060】
これにより、実施の形態3によれば、図11(b)と比較して、全ての識別子設定対象ノードA102、B103、C104の識別子を設定するまで、(同期ノード101と同期するのに必要な時間)×(識別子設定対象ノード数−1)分の時間を短縮することができ、ネットワークシステムの起動から制御開始までの時間を短くすることができる。
また、識別子設定対象ノードB103が故障するなどして、識別子設定対象ノードC104がチャネルA105を介してメッセージを送受信できなくなっても、チャネルB1001を介して通信を継続することができる。
【0061】
なお、図11では、識別子設定対象ノードA102、B103、C104が識別子を設定するのに必要なメッセージを受信する時間(図4のST404の所定の期間)を、同期メッセージの送信周期(1サイクル)としているが、識別子を設定するのに必要なメッセージを受信する時間は、これより短くても、長くてもよい。
【0062】
実施の形態4.
図12は、この発明の実施の形態4によるネットワークシステムの各識別子設定対象ノードの通信制御手段による識別子設定処理を示すフローチャートである。
図12においては、チャネルBで受信したメッセージのタイムスロット番号を参照する場合の識別子設定処理であり、図4のフローチャートと同じステップ番号のものは同じ処理を行うため、その説明を省略する。
【0063】
本実施の形態4のネットワークシステムは、識別子設定テーブル115、116、117を除き実施の形態3のネットワークシステムの構成(図10)と同じであり、その説明を省略する。
【0064】
図13は、この発明の実施の形態4によるネットワークシステムの識別子設定テーブルを示す図である。
図13において、本実施の形態4の識別子設定テーブル115、116、117は、受信しないメッセージのタイムスロット番号と、識別子を対応付けている。例えば、タイムスロット番号3のメッセージを受信していない場合は、識別子をaに、タイムスロット番号4のメッセージを受信していない場合は、識別子をbに、というように、通信制御手段111、112、113が識別子を設定するのに用いる。
ここで、識別子設定対象ノードA102、B103、C104に識別子が割り当てられていない状態では、識別子設定対象ノードA102は、タイムスロット番号4、5のメッセージも受信していないことになるが、図12のフローチャートのST405での識別子設定時には、識別子設定テーブル115、116、117の上から走査し、最初に条件にあてはまった識別子を自ノードの識別子とすることとする。
【0065】
このネットワークシステムの各識別子設定対象ノードA102、B103、C104において、電源投入やリセットなどで初期化してから、識別子設定処理を終了するまでの手順を、図12のフローチャートに沿って説明する。
ST1201
同期ノード101に同期した識別子設定対象ノードA102、B103、C104の通信制御手段111〜113は、同期メッセージを、チャネルA105を介して受信したかどうか確認する。
チャネルA105を介して受信している場合、前段までの識別子設定対象ノードの識別子が設定され、識別子が設定された識別子設定対象ノードのスイッチがオンであることを示している。したがって、ST404へ進み、自ノードの識別子設定に入る。
一方、ST403で同期ノード101に同期したが、同期メッセージを、チャネルA105を介して受信していない場合、同期メッセージはチャネルB1001のみを介して受信したことになり、前段の識別子設定対象ノードの識別子が設定されておらず、スイッチがオフであることを示している。したがって、自ノードの識別子設定を行うことはできない。この場合はST1202へ進む。
なお、ST1201での条件分岐の実施タイミングは、ここでは特に規定しない。一定の時間周期で実行するものや、メッセージ受信割込で実行するものであってもよい。
【0066】
ST1202
識別子設定対象ノードA102、B103、C104の通信制御手段111〜113は、チャネルB1001を介して、他の識別子設定対象ノードからメッセージを受信しているかどうか確認する。
受信している場合は、すでに識別子を設定した識別子設定対象ノードが存在していることになり、ST1203へ進む。
受信していない場合は、まだ他の識別子設定対象ノードに識別子が設定されていないことになる。したがって、ST1201へ戻る。
ST1203
チャネルB1001を介して受信したメッセージのタイムスロット番号を用いて、このタイムスロット番号を受信しない識別子を、自ノードの識別子設定テーブルから削除する。前述のとおり、ST405においては識別子設定テーブルを上から走査し、最初に条件に当てはまった時点で走査を終了し、識別子を設定するが、ST1203においては、受信したメッセージ毎に識別子設定テーブルを走査し、条件に当てはまった識別子を削除する。
【0067】
次に、図12のフローチャートにおいて、識別子設定対象ノードA102は識別子aの設定を完了し、自ノードのタイムスロット3でメッセージの送信を開始しているが、識別子設定対象ノードB103、C104の識別子は未設定であるときの、識別子設定対象ノードC104の動作について説明する。ただし、実施の形態1で示したフロー(図4)と同じステップ番号の処理については、同一の処理であり、その説明を省略する。
【0068】
識別子設定対象ノードC104は、ST403において、識別子設定対象ノードB103の識別子が設定される前に、チャネルB1001を介して同期メッセージを受信し、同期ノード101と同期することができる。そこで、ST1201へ進む。識別子設定対象ノードB103の識別子が設定される前は、ノードBのスイッチ125がオフであるため、まだチャネルA105を介して同期メッセージを受信していないことになる。したがってST1202へ進む。
続いてST1202において、識別子設定対象ノードC104は、チャネルB1001で識別子設定対象ノードA102が送信しているタイムスロット3のメッセージを受信できるため、ST1203へ進む。そして、ST1203において、図13に示す識別子設定テーブル117から、タイムスロット番号3においてメッセージを受信しない識別子、すなわち識別子aを削除することができる。その後、ST1201へ戻る。
【0069】
このように、実施の形態4によれば、識別子設定対象ノードA102、B103、C104は、チャネルA105を介して同期メッセージを受信し、自ノードの識別子設定に入る前に、識別子設定テーブル115〜117内の自ノードの識別子の設定候補数を減らすことができる。したがって、その後チャネルA105を介しての同期メッセージの受信が可能になり、ST404以降のフローに沿って自ノードの識別子設定を行う際に、識別子設定テーブル115〜117内を走査する時間を短くすることができる。
このため、チャネルA105を介して受信したメッセージのタイムスロット番号のみを用いる場合よりも、設定するまでの時間を短くすることができる。
【0070】
実施の形態5.
図14は、この発明の実施の形態5によるチャネルAとチャネルBが接続されたネットワークシステムを示す構成図であり、識別子設定対象ノードBのスイッチがオフになった状態を示している。
図14において、101、105、110〜126、1001は図10におけるものと同一のものである。
図14では、図10の構成に加えて、識別子設定対象ノードA1301(図10の102に対応)、B1302(図10の103に対応)、C1303(図10の104に対応)が、それぞれ通知メッセージ送信手段1311、1312、1313を備えたものである。
通知メッセージ送信手段1311、1312、1313は、識別子設定後に、チャネルA105を介して同期メッセージを受信しなくなると、チャネルB1001を介して、これを通知するための通知メッセージを送信するよう、それぞれ通信制御手段111、112、113へ指示する。
【0071】
識別子設定完了後、図14のように、識別子設定対象ノードB1302が故障するなどしてスイッチ125がオフになった場合、識別子設定対象ノードC1303は、チャネルA105から同期メッセージを受信できなくなってしまう。そこで、識別子設定対象ノードC1303の通知メッセージ送信手段1313は、チャネルA105から同期メッセージを受信できなくなったことを通知メッセージとしてチャネルB1001を介して送信する。
一方、識別子設定対象ノードA1301、B1302は、チャネルA105を介した同期メッセージの受信を継続するため、この通知メッセージは送信しない。
【0072】
したがって、たとえばネットワークシステムの診断用に接続するテスタなどの外部装置をチャネルB1001に接続し、識別子設定対象ノードC1303からの通知メッセージを受信すると、識別子設定対象ノードC1303の前段で異常が発生しているということを検出することができる。
【0073】
このように、実施の形態5によれば、チャネルA105を介して同期メッセージを受信しなくなったノードが、このことを通知メッセージとしてチャネルB1001から送信することにより、どの識別子設定対象ノードが故障したのかを検出でき、交換が必要な識別子設定対象ノードを特定して、直ちに交換することができる。
【0074】
なお、同期ノード101がこの通知メッセージを受信してもよく、例えば同期ノード101はこの通知メッセージを受信したことを記憶して、次に外部装置が接続された際にこのメッセージを故障メッセージとして送信し、どの識別子設定対象ノードが故障したのかを検出できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
101 同期ノード
102、1301 識別子設定対象ノードA
103、1302 識別子設定対象ノードB
104、1303 識別子設定対象ノードC
105 チャネルA
110、111、112、113、702、802 通信制御手段
114、703 同期メッセージ設定手段
115、116、117 識別子設定テーブル
118、119、120 タイムスロット設定テーブル
121、122、123 記憶手段
124、125、126 スイッチ
701 同期ノード2
801 識別子設定完了検出ノード
803 識別子設定完了検出手段
1001 チャネルB
1311、1312、1313 通知メッセージ送信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の通信線を介してデイジーチェーン接続される第一のノードと1つ以上の第二のノードが、複数のタイムスロットで構成される通信スケジュールに従って、上記タイムスロット内で、このタイムスロットに割り付けられた番号(以下、タイムスロット番号)を持つメッセージを送受信する時分割多重通信方式のネットワークシステムであって、
上記第一のノードは、
上記通信スケジュールに従ってメッセージを送受信する第一の通信制御手段、
及び上記通信スケジュールに従って上記第一のノードと上記第二のノードとを同期して通信させるための同期メッセージを生成し、上記第一の通信制御手段を介して送信する同期メッセージ設定手段を備え、
上記第二のノードは、
上記通信スケジュールに従ってメッセージを送受信する第二の通信制御手段、
全ての第二のノードで共通になるように予め生成され、上記第二の通信制御手段により受信するメッセージのタイムスロット番号と上記第二のノードに割当てられる識別子とを対応付けた識別子設定テーブル、
全ての第二のノードで共通になるように予め生成され、上記識別子とこの識別子が割当てられた第二のノードがメッセージの送信及び受信に利用するタイムスロット番号とを対応付けたタイムスロット設定テーブル、
及び自ノードの識別子が未設定の場合は、次段のノードに繋がる上記第一の通信線を切断し、自ノードの識別子が設定済みの場合は、次段のノードに繋がる上記第一の通信線を接続するスイッチを備え、
上記第一のノードは、予め自ノードに割り当てられたタイムスロットで、上記第一の通信線を介して上記同期メッセージを送信し、
上記第二のノードは、上記同期メッセージを受信した場合に上記第一のノードと同期するように構成され、
自ノードの識別子が未設定の場合には、上記第一の通信線を介して受信したメッセージのタイムスロット番号に基づき、上記識別子設定テーブルを用いて自ノードの識別子を設定するとともに、
この設定した識別子に基づき、上記タイムスロット設定テーブルを用いて自ノードがメッセージの送信及び受信に利用するタイムスロット番号をそれぞれ設定し、この設定した送信用のタイムスロット番号を有するメッセージを上記第一の通信線を介して送信することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
最終段の上記第二のノードに上記第一の通信線を介して第三のノードが接続され、
上記第三のノードは、
上記通信スケジュールに従ってメッセージを送受信する第三の通信制御手段、
及びこの第三の通信制御手段により上記第一の通信線を介して上記同期メッセージを受信した場合に、全ての上記第二のノードの識別子の設定が完了したことを検出する識別子設定完了検出手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のネットワークシステム。
【請求項3】
上記第二のノードは、自ノードの識別子を設定した場合に、この設定した識別子を格納する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のネットワークシステム。
【請求項4】
上記第一のノードと第二のノードとは、上記第一の通信線と共通の通信スケジュールに従ってメッセージを送受信する第二の通信線により接続され、
上記第一のノードは、上記第二の通信線を介して、上記同期メッセージを送信し、
上記第二のノードは、上記第一のノードによって送信された上記同期メッセージを上記第二の通信線を介して受信した場合に、上記第一のノードと同期することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のネットワークシステム。
【請求項5】
上記第二のノードは、自ノードの識別子が未設定の場合に、上記第二の通信線を介して受信したメッセージのタイムスロット番号を用いて、このタイムスロット番号と関連付けられる識別子を上記識別子設定テーブルから削除することを特徴とする請求項4記載のネットワークシステム。
【請求項6】
上記第二のノードは、自ノードの識別子を設定した後に、上記第一の通信線を介して上記同期メッセージを受信しなくなった場合に、上記第一の通信線を介する同期メッセージを受信しなくなったことを通知する通知メッセージを、上記第二の通信線を介して送信する通知メッセージ送信手段を備えたことを特徴とする請求項4または請求項5記載のネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−49681(P2012−49681A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188140(P2010−188140)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】