説明

ネットワーク管理システム、及び装置

【課題】仮想ネットワークの構成を特定し、また各種計算機が所属する仮想ネットワーク、およびその位置を推定し、ネットワーク管理者に提示できる仮想ネットワーク管理システム及び装置を提供する。
【解決手段】ネットワーク管理装置50にて、各パケット中継装置10a、10b、10cのコンフィグレーション、およびMAC学習テーブルを管理し、それらから得られる仮想パケット中継装置識別子、VLAN識別子、MACアドレス、パケット送受信ポート番号の情報により、任意の仮想計算機40a〜40c他が接続する仮想ネットワークを特定し、また仮想ネットワークにおける仮想計算機40a〜40c他の位置を推定し、表示装置にその構成を画面描画する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワーク管理技術に係り、特に仮想ネットワーク管理システム、及びその管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1台のパケット中継装置は物理的な1台のパケット中継装置として運用されることが多かった。近年、1台のパケット中継装置を仮想的に複数の領域に分割するVR(Virtual Router)技術や、1台のパケット中継装置内に仮想的に複数のルーティングテーブルを稼動させるVRF(Virtual Router Forwarding)技術によって,1台のパケット中継装置を仮想的に複数台の装置として運用する形態が増えている。1台のパケット中継装置を、上記のように運用する目的は、装置を連結することで、1つの物理的なネットワーク上に複数の仮想的なネットワークを構築することである。こうすることで,1つの物理的なネットワークを複数用途に使うことが可能となる。例えば,1つの物理的なネットワークを,複数の会社で閉域性を保ちつつ共用することが可能となる(特許文献1、2参照)。
【0003】
一方,計算機を動作させる環境においても,仮想化が進んでいる。1台の計算機内に複数の計算機を仮想的に動作させる形態が増えている。仮想的に作成された計算機は,その作成・削除が,物理的な計算機よりも容易であり,計算機のCPU使用率やネットワーク負荷に応じて,仮想的な計算機をある物理的な計算機から別の物理的な計算機へ移動させることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−61401号公報
【特許文献2】米国特許6516345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、上述した仮想化技術を組み合わせることで,仮想的なネットワークを大規模に構築する形態が増えている。ところが,仮想的に構築されたネットワークには,そのネットワーク構成が物理的なネットワーク構成と乖離し,その構成を管理者が把握するのが難しくなる欠点がある。例えば,物理的なネットワークを仮想的に2つに分割し,また物理的な計算機上に仮想的な計算機を2台稼動させたとして,それぞれの仮想的な計算機がどちらの仮想ネットワークに接続しているのか,物理的な配線を確認しただけでは判別できない。また、仮想的な計算機の位置をIPアドレスにて特定しようにも、仮想化技術によってIPアドレスが仮想化されていると、同じIPアドレスを複数台の計算機が使用している場合もあるため、計算機の位置を把握するのが難しい。
【0006】
現在のパケット中継装置は、パケット中継装置間でLLDP(Link Layer Discovery Protocol, 隣接発見プロトコル)を交換することで、お互いの位置を確認し合っている。このプロトコルを計算機にも強制することで、上記の課題を解決することも可能ではあるが、上記プロトコルをサポートしていない計算機の方が一般的であり、また計算機にパケット中継装置用のプロトコルを強制することにも限界がある。
【0007】
一つの管理システムで、ネットワークと計算機の両運用管理を実現しようとする方向性もあるが、ネットワークと計算機とでは、運用管理用のインタフェースが異なっており、また異種の運用管理体系を共存させる必要があるため、実装が難しい。
【0008】
仮想的に構築されたネットワークの構成、および仮想的に動作している計算機のネットワークにおける位置を、計算機には何ら強制を強いず、またパケット中継装置が所有する情報のみで特定できる、ネットワーク管理システム或いは管理計算機が必要である。
【0009】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、仮想ネットワークの構成を特定し,また計算機が所属する仮想ネットワーク,およびその位置を推定し,ネットワーク管理者に提示できる仮想ネットワーク管理システム及び管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明においては、仮想ネットワークを構築できる複数のパケット中継装置と、仮想計算機を動作させることのできる複数の物理計算機が接続されるネットワークのネットワーク管理システムであって、ネットワーク管理部と表示装置を備え、ネットワーク管理部は、パケット中継装置各々から情報を収集し、収集した情報に基づき、仮想計算機が繋がる仮想ネットワークと、仮想ネットワークにおける位置を推定し、表示装置に、仮想ネットワークの構成、仮想ネットワークに繋がる仮想計算機を表示するネットワーク管理システムを提供する。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、本発明においては、仮想ネットワークを構築できる複数のパケット中継装置と、仮想計算機を動作させることのできる複数の物理計算機が接続されるネットワークを管理するためのネットワーク管理装置であって、処理部と、記憶部とを備え、処理部は、パケット中継装置各々から情報を収集し、収集した情報に基づき、仮想計算機が繋がる仮想ネットワークと、仮想ネットワークにおける位置を推定し、仮想ネットワークの構成、仮想ネットワークに繋がる仮想計算機の位置を出力するネットワーク管理装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、仮想ネットワークの構成を特定し,また仮想計算機等が所属する仮想ネットワーク,および仮想計算機等の位置を推定し,ネットワーク管理者に提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1のネットワーク管理装置と複数のパケット中継装置とが接続されるネットワーク管理システムの構成を示す説明図である。
【図2】実施例1に係る、パケット中継装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】実施例1に係る、ネットワーク管理装置の概略構成を示す説明図である。
【図4】実施例1に係る、ネットワーク管理装置のGUIの一例を示す図である。
【図5】実施例1に係る、ネットワーク管理装置がパケット中継装置に情報取得要求をする際の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図6】実施例1に係る、MAC学習テーブルの一例を示す図である。
【図7】実施例1に係る、仮想ネットワーク構成テーブルの一例を示す図である。
【図8】実施例1に係る、MAC学習データベースの一例を示す図である。
【図9】実施例1に係る、変換したMAC学習データベースの一例を示す図である。
【図10】各実施例において、ネットワーク管理装置が、計算機の所属する仮想ネットワークを特定する処理を示すフローチャート図である。
【図11】実施例1に係る、ネットワーク管理装置が、計算機の位置を推定する処理を示すフローチャート図である。
【図12】実施例2のネットワーク管理装置が、計算機の位置を推定する処理を示すフローチャート図である。
【図13】実施例3のパケット中継装置の概略構成を示す説明図である。
【図14】実施例3のパケット中継装置が他のパケット中継装置に情報取得要求をする際の処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1〜第3の実施の形態を図面に基づき順次説明する。なお、本明細書において、例えば複数のパケット中継装置10a、10b、10cを纏めて、パケット中継装置10と記述する場合がある。また、本明細書において、「物理計算機」及び「仮想計算機」を纏めて「計算機」と称す場合がある。
【実施例1】
【0015】
第1の実施例は、複数のパケット中継装置と、ネットワーク管理装置が接続されるネットワーク管理システムの一実施例である。以下、図1〜図9を用いて、本実施例のネットワーク構成、パケット中継装置の構成、ネットワーク管理システムの構成、パケット中継装置の情報を取得する手順、及び計算機の位置を推定する手順を順次説明する。
【0016】
図1は、実施例1のネットワーク管理システムを示す図である。図1に示すネットワークは、インターネット60に3台のパケット中継装置10a、10b、10c、4台の物理計算機30a、30b、30c,30d、およびネットワーク管理装置50がイーサネット(登録商標)ケーブルによって連結する構成となっている。各装置には,IPアドレスが割り当てられており、IPアドレスを指定することによって装置の場所を特定する。
【0017】
各パケット中継装置10a、10b、10c は、自身を仮想的に複数台の装置に分割できる機能、或いは仮想的に複数のルーティングテーブルを動作できる機能を有しており、パケット中継装置10aでは、仮想パケット中継装置20a,20b,20c が動作している。ネットワーク管理装置50が,各仮想パケット中継装置の設定,および情報参照をする際,仮想パケット中継装置を識別するための識別子が必要である。図では, 仮想パケット中継装置20a,20b,20cに,ぞれぞれ,識別子1,2,3が付与されており,ネットワーク管理装置50は、この識別子を指定することで,所望の仮想パケット中継装置を設定および情報参照する。
【0018】
仮想パケット中継装置を動作させることで、1つの物理ネットワーク上に仮想的に複数のネットワークを構築できる。図の場合,仮想パケット中継装置20a、20b、20cは,それぞれ別の仮想ネットワークを構築しており,以降それらを仮想ネットワークA,仮想ネットワークB,仮想ネットワークCと呼ぶことにする。
【0019】
仮想ネットワークA内には,VLAN(Virtual Local Area Network)10,11が設定されており,パケット中継装置10bが接続している。パケット中継装置10bには,物理計算機30a、30bが接続しているが,VLAN10と同じサブネットワークを利用しているのは仮想計算機40aのみであり,仮想計算機40aのみが仮想ネットワークA内に含まれる。
【0020】
仮想ネットワークB内には,VLAN20が設定されており,パケット中継装置10b,10cが接続している。パケット中継装置10b,10cには,それぞれ物理計算機30a,30b、30c,30dが接続しているが,VLAN20と同じサブネットワークを利用しているのは物理計算機30b,仮想計算機40b, 40cであることから,これらの計算機が仮想ネットワークB内に含まれる。
【0021】
仮想ネットワークC内には,VLAN30,31が設定されており,パケット中継装置10cが接続している。パケット中継装置10cには,物理計算機30dが接続しているが,VLAN30と同じサブネットワークを利用しているのは物理計算機30dのみであることから,物理計算機30dのみが仮想ネットワークC内に含まれる。
【0022】
以上のような仮想ネットワークが構築されていた場合,その構成を物理的な配線から読み取るのは難しい。また,仮想計算機が接続する仮想ネットワーク,およびその場所を,物理的な配線から読み取るのは難しい。以下、仮想ネットワークが構築されている場合に、そのネットワーク構成を特定し,また各種の計算機が所属する仮想ネットワーク,およびその位置を推定し,ネットワーク管理者に提示できるネットワーク管理方式について詳細に説明する。
【0023】
なお、ネットワークの構成や、パケット中継装置10内の仮想パケット中継装置20の数,物理計算機30内の仮想計算機40の数は、図1に示した例に限らず、適宜、他の態様とすることが可能である。
【0024】
図2は、実施例1のパケット中継装置10の概略構成を示す図である。図1のパケット中継装置10a、10b、10cに対応するパケット中継装置10の構成は、複数のネットワークインタフェースモジュール11a、11bと、スイッチングモジュール12と、制御モジュール13を備えている。
【0025】
ネットワークインタフェースモジュール11a、11bは、複数のパケット送受信ポート14a、14b、14c、14dと、コントローラ15a、15bと、メモリ16a、16bとを備えている。各パケット送受信ポート14には、イーサネットケーブルが物理的に接続する。各コントローラ15は、各パケット送受信ポート14から受信したパケットを解析して、そのパケットの宛先を識別する。宛先が他装置宛であった場合、送信先のネットワークインタフェースモジュール11、および送信先のパケット送受信ポート14を特定し,スイッチングモジュール12へ転送する。一方、宛先が自装置宛であった場合、制御モジュール13を宛先として特定し,スイッチングモジュール12へ転送する。
【0026】
以上の処理をする際,ネットワークインタフェースモジュール11は,それぞれのパケットがどの装置から送られて来たのかを把握するため,パケットに記載されている送信元MAC(Media Access Control)アドレスを,そのパケットを受信した送受信ポート番号とともに記録する。メモリ16a、16bは、パケット送受信ポート14を通じて送受信されるパケットが一時的に記憶されるバッファとして機能する。
【0027】
スイッチングモジュール12は、パケットを受信すると,各パケットに対して各コントローラ15が指示した命令に従い,パケットをネットワークインタフェースモジュール11,または制御モジュール13へ送信するためのスイッチである。
【0028】
制御モジュール13は、メモリ16cとCPU(Central Processing Unit)17aを備えている。メモリ16cにはソフトウェア処理部18の各種のプログラムが記憶されており、CPU17は、記憶されたプログラムを実行することで、ソフトウェア処理部18として機能する。
【0029】
ソフトウェア処理部18には、パケット送受信部19、装置情報管理部21、運用管理部23が存在する。パケット送受信部19は、自装置宛てのパケットの受信や、ソフトウェア処理部18内で作成された、他装置宛てのパケットの送信を司る。自装置宛てのパケットを受信し、そのパケットが図1に示したネットワーク管理装置50から送られてきた設定・情報参照要求であった場合、そのパケットを運用管理部23へ送り届ける。一方、ソフトウェア処理部18内部からのパケットを受信し、そのパケットが運用管理部23から送られてきたパケットであった場合、そのパケットを所望のネットワーク管理装置50へ向けて送信する。
【0030】
運用管理部23は、ネットワーク管理装置50から送られて来た設定・情報参照要求をパケット送受信部19経由で受信すると、受信した設定・情報参照要求を解析する。設定・情報参照要求の内容は、自身の動作に関する種々の項目であり、例えば、仮想的な領域の作成や削除、VLANの情報参照などである。運用管理部23は、設定・情報参照要求を解析すると、装置情報管理部21に設定・情報参照を要求する。
【0031】
装置情報管理部21は、その内部にコンフィグレーション24,およびMAC学習テーブル25を有す。コンフィグレーション24には、パケット中継装置全体の設定・状態情報が記録されており、例えば、パケット中継装置10で動作している各仮想パケット中継装置の設定・状態情報、各VLANの設定・状態情報が記録されている。また,MAC学習テーブル25には,ネットワークインタフェースモジュール11で学習した送信元MACアドレスが,パケット送受信ポート番号とともに記録されている。例えば,パケット中継装置10bの場合,仮想計算機40bのMACアドレス「cc:dd…」が,パケット送受信ポート番号「0/2」とともに記録されている。装置情報管理部21は,運用管理部23が要求した設定・情報参照要求に基づいて,コンフィグレーション23やMAC学習テーブル25を設定・参照し,結果を運用管理部23に返却する。なお、本明細書において、コンフィグレーション、MAC学習テーブルは、図2に示すような情報の記録領域、あるいは各記憶領域に記録された情報自身を意味するものとする。
【0032】
図3は、実施例1のネットワーク管理装置50の概略構成を示す図である。ネットワーク管理装置50は、汎用のコンピュータで動作し,パケット送受信ポート14e、ハードディスク31、メモリ16d、CPU17b 等を備えている。ハードディスク31には、ソフトウェア処理部32のプログラムが記憶されており、CPU17b は、そのプログラムを実行することで、ソフトウェア処理部32、即ちパケット送受信部33やネットワーク管理部34として機能する処理部である。パケット送受信部33は、パケット送受信ポート14eを通じたパケットの送受信を司る。43、44、45は、それぞれ、ネットワーク管理装置50に付属する表示装置、キーボード、マウスである。
【0033】
ネットワーク管理部34は、パケット中継装置10を管理するためのフロントエンドとして動作するアプリケーションであり、パケット中継装置情報取得部35と仮想ネットワーク構成管理部36と計算機位置管理部37とユーザインタフェース部38と仮想ネットワーク構成テーブル39とMAC学習データベース41と変換MAC学習データベース42とを備えている。なお、仮想ネットワーク構成テーブル39とMAC学習データベース41と変換MAC学習データベース42は、記憶部であるメモリ16dに蓄積、記憶される。
【0034】
パケット中継装置情報取得部35は、仮想ネットワーク構成管理部36,および計算機位置管理部37の要求に応じて,情報取得要求メッセージを作成し,パケット中継装置10に送信する。情報取得要求の内容は、例えば、パケット中継装置のコンフィグレーション、パケット中継装置が学習したMACアドレスの情報などである。情報を取得する処理の詳細については後述する。パケット中継装置情報取得部35は、所望の情報を取得すると,要求元である仮想ネットワーク構成管理部36,あるいは計算機位置管理部37へ転送する。
【0035】
仮想ネットワーク構成管理部36は、パケット中継装置情報取得部35を介して得られた各パケット中継装置のコンフィグレーションから,仮想ネットワークの構成に関する情報を抽出し,仮想ネットワーク構成テーブル39を作成する。この仮想ネットワーク構成テーブル39により,各仮想ネットワーク全体の接続関係が明らかとなり,その構成の特定が可能となる。特定する処理の詳細については後述する。ユーザインタフェース部38は,例えば表示装置43を用いて特定した各仮想ネットワークの構成を提示可能であり,これによりネットワーク管理者は,各仮想ネットワークの構成を確認できる。
【0036】
一方、計算機位置管理部37は、パケット中継装置情報取得部35を介して、管理対象の全パケット中継装置のMAC学習テーブル25を転送履歴情報として取得し,MAC学習データベース41を作成する。また、転送履歴情報を記録したMAC学習テーブル41の内容を、パケット送受信ポート毎に整列させた、変換MAC学習データベース42を作成する。これらの情報により,各仮想ネットワークに接続する計算機の特定と,その計算機の位置を推定できるようになる。推定する処理の詳細については後述する。ユーザインタフェース部38は,例えば表示装置43を用いて推定した計算機の位置を提示可能であり,これによりネットワーク管理者は,各仮想ネットワークに接続する計算機の位置を確認できる。
【0037】
ユーザインタフェース部38は、パケット中継装置を管理するためのGUI(Graphical User Interface)を表示装置43に表示し、ネットワーク管理者がキーボード44やマウス45を操作することによって、種々の指示を受け付ける。
【0038】
図4は、実施例1のネットワーク管理装置50の表示装置43に表示されるGUIの一例であるネットワーク管理システムを示す図である。このネットワーク管理システムのGUI430の左側のペイン431には、ネットワーク管理装置50が管理している全仮想ネットワークが一覧で表示される。右側のペイン432には,左側のペイン431で選択された仮想ネットワークの構成(ネットワークトポロジ)が、パケット中継装置10や計算機30、40やイーサネット回線を表すアイコンによって描画されている。
【0039】
図4の場合、左側のペイン431において、仮想ネットワークBが選択され、その構成がネットワーク管理装置50によって推定された結果、右側のペイン432に、パケット中継装置10aとパケット中継装置10bとパケット中継装置10cがVLAN20で繋がり,パケット中継装置10bの先に物理計算機30aと40b,パケット中継装置10cの先に物理計算機40cが繋がる構成として表示される。推定する処理の詳細については後述する。
【0040】
図5は、本実施例における、ネットワーク管理装置50がパケット中継装置10に情報取得要求をする際の処理の流れを示すシーケンス図である。各パケット中継装置10は,パケットを受信するとその送信元MACアドレスを参照し,そのパケットを受信したパケット送受信ポート番号とともにMAC学習テーブル25に記録する。
【0041】
図6は、パケット中継装置10aのMAC学習テーブル25を示す図である。701〜705は各エントリを示す。他のテーブルにおいても同様にテーブル中の数番は各エントリを示すものとする。図5の場合,エントリ701から、MACアドレス「aa:bb..」を送信元とするパケットが,パケット送受信ポート番号「0/2」で受信されていることが分かる。図1の構成においては、MACアドレス「aa:bb..」は、送信元が仮想計算機40aであることを示している。
【0042】
このときパケット中継装置10は、付加情報として、パケット送受信ポート番号に関連付くVLAN識別子を記録する。また、パケット中継装置10は、MACアドレスを学習するたびにエージングタイマ(MACアドレスをメモリから消去するまでの時間)を更新しており、付加情報として,所定時間内のエージングタイマの更新回数も記録する。図6の場合,装置情報管理部21は、内部のMAC学習テーブル25の上記エントリ701に,付加情報としてVLAN識別子「10」,エージングタイマ更新回数「5」を記録している(図5中のステップS101)。
【0043】
図5に示すように、ネットワーク管理装置50内の仮想ネットワーク構成管理部36は、定期的にパケット中継装置10に対して,コンフィグレーション情報の取得要求を発行する(ステップS102)。取得要求は,パケット中継装置10内の装置情報管理部21に届けられ,装置情報管理部21は,コンフィグレーション24の内容を記したメッセージを作成し,取得応答をネットワーク管理装置50に返信する(ステップS103)。
【0044】
仮想ネットワーク構成管理部36は、取得応答によりパケット中継装置のコンフィグレーションを受信すると、そこから仮想パケット中継装置識別子, VLAN識別子, パケット送受信ポート番号の情報を抽出し,仮想ネットワーク構成テーブルに記載する(ステップS104)。図7は、作成された仮想ネットワーク構成テーブル39を示す図である。同図において明らかなように、仮想ネットワーク構成テーブル39は、仮想ネットワーク識別子A,B,Cに対応し、エントリ101〜110が記録される。
【0045】
ネットワーク管理装置50内の計算機位置管理部37も,パケット中継装置情報取得部35を介し、定期的にパケット中継装置10に対して,MAC学習テーブル25の取得要求を発行する(ステップS105)。取得要求は,パケット中継装置10内の装置情報管理部21に届けられ,装置情報管理部21は,MAC学習テーブル25の内容を記したメッセージを作成し,取得応答をネットワーク管理装置50に返信する(ステップS106)。
【0046】
計算機位置管理部37は,取得応答によりMAC学習テーブル25の情報を受信すると,そこからMACアドレス,それを学習したパケット送受信ポート番号、およびそのパケット送受信ポートに関連付くVLAN識別子,およびエージングタイマ更新回数を抽出し,MAC学習データベース41に記載する(ステップS107)。図8は,作成されたMAC学習データベース41を示す図である。同図において、MAC学習データベース41は、パケット中継装置10a、10b、10cに対応し、エントリ201〜215が記録されている。
【0047】
更に、計算機位置管理部37は,図8のMAC学習データベース41を、各パケット中継装置10のパケット送受信ポート毎に整列させた、変換MAC学習データベース42を作成する(ステップS108)。図9は,作成された変換MAC学習データベース42を示す図である。パケット中継装置10a、10b、10cのポート番号に対応し、エントリ301〜316が記録される。ネットワーク管理装置50の計算機位置管理部37は,図7の仮想ネットワーク構成テーブル39,図8のMAC学習データベース41,図9の変換MAC学習データベース42を参照することで,計算機が所属する仮想ネットワークと,仮想ネットワークにおける位置を推定する。推定する処理の詳細については後述する。
【0048】
以上、ネットワーク管理装置50がパケット中継装置10の情報を取得する手順を説明した。続いて、上記で取得した情報をもとに、本実施例のネットワーク管理装置50が、仮想ネットワークの構成を特定し、計算機の仮想ネットワークにおける位置を推定する手順について説明する。
【0049】
図10は、実施例1におけるネットワーク管理装置50内の計算機位置管理部37が、計算機の所属する仮想ネットワークを特定する流れを示すフローチャートである。計算機位置管理部37は,はじめに図8のMAC学習テーブル41を参照し(401),各MACアドレスとともに記載されているVLAN識別子を取得する(403)。計算機位置管理部37は,取得したVLAN識別子をキーとして,図7の仮想ネットワーク構成テーブル39を参照し(404),VLAN識別子に関連付く仮想ネットワーク識別子を取得する(405)。
【0050】
例えば,図8のMAC学習テーブル41を参照し,図1の構成の場合、仮想計算機40bのMACアドレス「cc:dd…」のエントリを学習すると,そのMACアドレスに関連付くVLAN識別子は「20」である(エントリ202,207,211)。このVLAN識別子「20」をキーとして,図7の仮想ネットワーク構成テーブル39を参照すると,VLAN識別子「20」に関連付く仮想ネットワーク識別子は仮想ネットワーク「B」である(エントリ104〜107)。これにより,MACアドレス「cc:dd…」を持つ計算機は,仮想ネットワークBに所属することを特定できる。
【0051】
次に、図11は,ネットワーク管理装置50内の計算機位置管理部37が,計算機の位置を推定する流れを示すフローチャートである。計算機位置管理部37は,図8のMAC学習テーブル41を参照し(501),各MACアドレスとともに記載されているパケット中継装置名とパケット送受信ポート番号とエージングタイマ更新回数の組み合わせを取得する(503)。本実施例の計算機位置管理部37は,エージングタイマ更新回数の最も大きいパケット中継装置名,およびパケット送受信ポート番号を選出し(504),そのパケット中継装置を、計算機に最も近いパケット中継装置と推定する(505)。
【0052】
例えば,図8のMAC学習テーブル41を参照し,MACアドレス「cc:dd…」のエントリを学習すると,そのMACアドレスを学習したパケット中継装置,パケット送受信ポート番号、およびエージングタイマ更新回数の組み合わせは,次の3つである。1つ目が、パケット中継装置10a、パケット送受信ポート番号「0/2」、エージングタイマ更新回数5回の組み合わせ(エントリ202)、2つ目が、パケット中継装置10b、パケット送受信ポート番号「0/2」、エージングタイマ更新回数10回の組み合わせ(エントリ207),3つ目が、パケット中継装置10c、パケット送受信ポート番号「0/1」、エージングタイマ更新回数1回の組み合わせ(エントリ211)である。
【0053】
以上の中でエージングタイマ更新回数が最も大きいパケット送受信ポートを持つパケット中継装置が,MACアドレス「cc:dd…」を持つ計算機に最も近いと言って良い。従って,MACアドレス「cc:dd…」を持つ仮想計算機40bは,MACアドレスのエージングタイマを10回更新しているパケット中継装置10bのパケット送受信ポート番号「0/2」に,最も近いと推定する。
【0054】
図10,図11に示した処理により,MACアドレス「cc:dd…」を持つ仮想計算機は,仮想ネットワークBに所属することが特定でき,パケット中継装置10bのパケット送受信ポート番号「0/2」の先に存在することが推定できる。計算機位置管理部37が,この情報をもとに計算機の位置を表示装置43に描画するようユーザインタフェース部を制御することで,ネットワーク管理者は,計算機の仮想ネットワークにおける位置を容易に確認できる。
【0055】
本実施例においては、仮想ネットワークの構成を特定でき、計算機の仮想ネットワークにおける位置を推定できることで、例えばある仮想ネットワークにループが発生したときに、そのループを発生させている仮想ネットワークの構成を確認し、またループの影響が及ぶ計算機を確認することができる。計算機を確認できることで、ネットワーク管理者のみならず、それらの計算機の使用者にアラームを通知することも可能である。
【0056】
なお、以上の計算機の位置を推定する手順の説明を、MACアドレス「cc:dd…」を持つ仮想計算機40bを例示して説明したが、MACアドレス「gg:hh…」を持つ仮想計算機40cやMACアドレス「ee:ff…」を持つ物理計算機30b等においても同様に各計算機の位置を推定することができる。
【実施例2】
【0057】
次に、第2の実施例の仮想ネットワーク管理システムを図10、図12を用いて説明する。図10は、実施例1でも説明したように、ネットワーク管理装置50内の計算機位置管理部37が、計算機の所属する仮想ネットワークを特定する流れを示すフローチャートである。
【0058】
計算機位置管理部37は,はじめに図8のMAC学習テーブル41を参照し(401),各MACアドレスとともに記載されているVLAN識別子を取得する(403)。計算機位置管理部37は,取得したVLAN識別子をキーとして,図7の仮想ネットワーク構成テーブル39を参照し(404),VLAN識別子に関連付く仮想ネットワーク識別子を取得する(405)。
【0059】
例えば,図8のMAC学習テーブル41を参照し,MACアドレス「cc:dd…」のエントリを学習すると,そのMACアドレスに関連付くVLAN識別子は「20」である(202,207,211)。このVLAN識別子をキーとして,図7の仮想ネットワーク構成テーブル39を参照すると,VLAN識別子「20」に関連付く仮想ネットワーク識別子は仮想ネットワーク「B」である(104〜107)。これにより,MACアドレス「cc:dd…」を持つ計算機は,仮想ネットワークBに所属することを特定できる。
【0060】
図12は,実施例2のネットワーク管理装置50内の計算機位置管理部37が,計算機の位置を推定する流れを示すフローチャートである。本実施例の場合、計算機位置管理部37は,図8のMAC学習テーブル41を参照し(601),各MACアドレスとともに記載されているパケット中継装置名とパケット送受信ポート番号の組み合わせを取得する(603)。
【0061】
計算機位置管理部37は,取得したパケット中継装置名とパケット送受信ポート番号の組み合わせを指定して,図9の変換MAC学習データベース42を参照し(605),パケット送受信ポート番号で学習したMACアドレスの数を取得する(606)。計算機位置管理部37は,学習したMACアドレスの数が最も小さいパケット中継装置名,およびパケット送受信ポート番号の組み合わせを選出し(607),それを計算機に最も近いパケット中継装置と推定する(608)。
【0062】
例えば,図8のMAC学習テーブル41を参照し,MACアドレス「cc:dd…」のエントリを学習すると,そのMACアドレスを学習したパケット中継装置名,およびそのパケット送受信ポート番号の組み合わせは、次の3つである。1つ目は,パケット中継装置10aのパケット送受信ポート番号「0/2」(202),2つ目は、パケット中継装置10bのパケット送受信ポート番号「0/2」(207),3つ目は、パケット中継装置10cのパケット送受信ポート番号「0/1」(211)である。これらの組み合わせを指定して,図9の変換MAC学習データベース42を参照すると,それぞれのパケット送受信ポートで学んだMACアドレスの数は,次のようになる。
【0063】
パケット中継装置10aのパケット送受信ポート番号「0/2」は、仮想計算機40a,仮想計算機40b,物理計算機30bからパケットを受信した結果、3つのMACアドレスを学んでいる(302,303,304)。パケット中継装置10bのパケット送受信ポート番号「0/2」は、仮想計算機40a,仮想計算機40bからパケットを受信した結果、2つのMACアドレスを学んでいる(310,311)。パケット中継装置10cのパケット送受信ポート番号「0/1」は、仮想計算機40b,物理計算機30b,およびパケット中継装置10aからパケットを受信した結果、3つのMACアドレスを学んでいる(312、313,314)。パケット中継装置10aのMACアドレスを学んでいる理由は、パケット中継装置10cが属するサブネットと異なるサブネットに属する装置から送られたパケットが,パケット中継装置10aに到達し,ルーティングされた結果,パケット中継装置10cに到達したからである。
【0064】
以上の中で,学んだMACアドレスの数が最も小さいパケット送受信ポートを持つパケット中継装置が,MACアドレス「cc:dd…」を持つ計算機に最も近いと言って良い。従って,MACアドレス「cc:dd…」を持つ仮想計算機40bは,MACアドレスを2つ学んでいるパケット中継装置10bのパケット送受信ポート番号「0/2」に,最も近いと推定する。
【0065】
実施例2においては、図10,図12に示した処理により,MACアドレス「cc:dd…」を持つ計算機は,仮想ネットワークBに所属することが特定でき,パケット中継装置10bのパケット送受信ポート番号「0/2」の先に存在すること推定できる。計算機位置管理部37が,この情報をもとに計算機の位置を表示装置43に描画することで,ネットワーク管理者は,計算機の仮想ネットワークにおける位置を容易に確認できる。
【0066】
仮想ネットワークの構成を特定でき、計算機の仮想ネットワークにおける位置を推定できることで、例えばある仮想ネットワークにループが発生したときに、そのループを発生させている仮想ネットワークの構成を確認し、またループの影響が及ぶ計算機を確認することができる。計算機を確認できることで、ネットワーク管理者のみならず、それらの計算機の使用者にアラームを通知することも可能である。
【実施例3】
【0067】
次に、第3の実施例である、ネットワークの管理機能を備えたパケット中継装置を用いた仮想ネットワーク管理システムの実施例を図13、図14を用いて説明する。図13は、ネットワークの管理機能を備えたパケット中継装置である,ネットワーク管理パケット中継装置70の概略構成を示す図である。
【0068】
まず、ネットワーク管理パケット中継装置70は、上述したパケット中継装置10と同様に,複数のネットワークインタフェースモジュール11と、スイッチングモジュール12と、制御モジュール13を備えている。また、制御モジュール13内のソフトウェア処理部18は、パケット中継装置10と同様にパケット送受信部19、装置情報管理部21,運用管理部23を備えている。
【0069】
そして、本実施例のネットワーク管理パケット中継装置70は、更に,実施例1のネットワーク管理装置50が備えていたネットワーク管理部34の機能を備えている。このネットワーク管理部34は、ネットワーク管理パケット中継装置70自身、およびパケット中継装置10を管理するためのフロントエンドとして動作するアプリケーションであり、パケット中継装置情報取得部35と仮想ネットワーク構成管理部36と計算機位置管理部37とユーザインタフェース部38と仮想ネットワーク構成テーブル39とMAC学習データベース41と変換MAC学習データベース42とを備えている。
【0070】
本実施例において、パケット中継装置情報取得部35は、仮想ネットワーク構成管理部36,および計算機位置管理部37の要求に応じて,情報取得要求メッセージを作成し,自身の運用管理部23、およびネットワークに接続された他のパケット中継装置10の運用管理部23に送信する。情報取得要求の内容は、例えば、パケット中継装置10のコンフィグレーション、パケット中継装置10が学習したMACアドレスの情報などである。情報を取得する処理の詳細については後述する。パケット中継装置情報取得部35は、所望の情報を取得すると,仮想ネットワーク構成管理部36,および計算機位置管理部37へ転送する。
【0071】
仮想ネットワーク構成管理部36は、パケット中継装置情報取得部35を介して得られた自身のコンフィグレーションおよび各パケット中継装置10のコンフィグレーションから,仮想ネットワークの構成に関する情報を抽出し,仮想ネットワーク構成テーブル39を作成する。この仮想ネットワーク構成テーブル39により,各仮想ネットワーク全体の接続関係が明らかとなり,その構成の特定が可能となる。ユーザインタフェース部38は,特定した各仮想ネットワークの構成を提示可能であり,これによりネットワーク管理者は,各仮想ネットワークの構成を確認できる。
【0072】
一方の計算機位置管理部37は、パケット中継装置情報取得部35を介して、自身のMAC学習テーブル25および管理対象の全パケット中継装置10のMAC学習テーブル25を取得し,MAC学習データベース41を作成する。また、MAC学習テーブル41の内容を、パケット送受信ポート毎に整列させた、変換MAC学習データベース42を作成する。これらの情報により,各仮想ネットワークに接続する計算機の特定と,その計算機の位置を推定できるようになる。ユーザインタフェース部38は,推定した計算機の位置を提示可能であり,これによりネットワーク管理者は,各仮想ネットワークに接続する計算機の位置を確認できる。
【0073】
本実施例においては、ユーザインタフェース部38は、パケット中継装置を管理するためのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)を表示装置46に表示し、ネットワーク管理者からの種々の指示を受け付ける。
【0074】
図14は、実施例3のネットワーク管理パケット中継装置70が,自身およびパケット中継装置10に情報取得要求をする際の処理の流れを示すシーケンス図である。図示の都合上、パケット中継装置10に装置情報管理部21が存在するように示してあるが、本実施例においては、図13に示した、ネットワーク管理パケット中継装置70内部の装置情報管理部21との間で同様の要求・応答処理が実行されることは言うまでもない。
【0075】
装置情報管理部21は、パケットを受信するとその送信元MACアドレスを参照し,そのパケットを受信したパケット送受信ポート番号とともにMAC学習テーブル25に記録している。図6は、パケット中継装置10aのMAC学習テーブル25を示す図である。図の場合,MACアドレス「aa:bb…」を送信元とするパケットが,パケット送受信ポート番号「0/2」で受信されていることが分かる(701)。このときパケット中継装置10は、付加情報として、パケット送受信ポート番号に関連付くVLAN識別子を記録する。更にパケット中継装置10は、MACアドレスを学習するたびにエージングタイマ(MACアドレスをメモリから消去するまでの時間)を更新しており、付加情報として,所定時間内のエージングタイマの更新回数も記録する。図の場合,上記エントリに,付加情報としてVLAN識別子「10」,エージングタイマ更新回数「5」を記録している(ステップS101)。
ネットワーク管理パケット中継装置70内の仮想ネットワーク構成管理部36は、定期的に自身およびパケット中継装置10に対して,コンフィグレーション情報の取得要求を発行する(ステップS102)。取得要求は,パケット中継装置10内の装置情報管理部21に届けられ,装置情報管理部21は,コンフィグレーション24の内容を記したメッセージを作成し,取得応答をネットワーク管理パケット中継装置70に返信する(ステップS103)。
仮想ネットワーク構成管理部36は、取得応答によりパケット中継装置のコンフィグレーションを受信すると、そこから仮想パケット中継装置識別子, VLAN識別子, パケット送受信ポート番号の情報を抽出し,仮想ネットワーク構成テーブルに記載する(ステップS104)。図7は、作成された仮想ネットワーク構成テーブル39を示す図である。
【0076】
ネットワーク管理装置50内の計算機位置管理部37も,定期的に自身およびパケット中継装置10に対して,MAC学習テーブル25の取得要求を発行する(ステップS105)。取得要求は,パケット中継装置10内の装置情報管理部21に届けられ,装置情報管理部21は,MAC学習テーブル25の内容を記したメッセージを作成し,取得応答をネットワーク管理パケット中継装置70に返信する(ステップS106)。
【0077】
計算機位置管理部37は,取得応答によりMAC学習テーブル25の情報を受信すると,そこからMACアドレス,それを学習したパケット送受信ポート番号、およびそのパケット送受信ポートに関連付くVLAN識別子,およびエージングタイマ更新回数を抽出し,MAC学習データベース41に記載する(ステップS107)。図8は,作成されたMAC学習データベース41を示す図である。
【0078】
計算機位置管理部37は,図8のMAC学習データベース41を、パケット送受信ポート毎に整列させた、変換MAC学習データベース42を作成する(ステップS108)。図9は,作成された変換MAC学習データベース42を示す図である。
【0079】
計算機位置管理部37は,図7の仮想ネットワーク構成テーブル39,図8のMAC学習データベース41,図9の変換MAC学習データベース42を参照することで,計算機が所属する仮想ネットワークと,仮想ネットワークにおける位置を推定する。
以上、実施例3として、ネットワーク管理パケット中継装置70が、ネットワークに繋がれた他のパケット中継装置10の情報を取得する手順を説明した。上記で取得した情報をもとに仮想ネットワークの構成を特定し、計算機の仮想ネットワークにおける位置を推定する手順については,実施例1,2に準ずる。実施例3のネットワーク管理システムにおいては、ネットワーク上に専用のネットワーク管理装置を配置する必要がなく、システムのハードウェア構成を軽量化できるという効果がある。
【0080】
以上、本発明の種々の実施例を説明してきたが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したのであり、必ずしも説明の全ての構成を備えるものに限定されものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。更に、本発明は、上述したパケット中継装置およびネットワーク管理システムとしての構成のほか、ネットワーク管理方法や、コンピュータプログラムとしても構成することができる。
【0081】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、それぞれの機能を実現するプログラムを実行することによりソフトウェアで実現する場合を例示して説明したが、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報はメモリのみならず、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体におくことができるし、必要に応じてネットワーク等を介してダウンロード、インストロールすることも可能である。
【0082】
なお、以上説明した本明細書の記載によれば、特許請求の範囲に記載の各請求項の発明に加え、種々の発明を包含しており、その例を以下に示す。
【0083】
複数のパケット中継装置を管理するネットワーク管理システムであって、
ネットワークを介して前記パケット中継装置の情報を参照するパケット中継装置情報取得部と、取得して得られた情報から仮想パケット中継装置識別子、VLAN識別子、パケット送受信ポート番号を抽出し、仮想ネットワークの構成を管理する仮想ネットワーク構成管理部と、前記仮想ネットワーク構成を記憶する仮想ネットワーク構成テーブルと、取得して得られた情報からMACアドレス、VLAN識別子、パケット送受信ポート番号を抽出し、計算機の位置を管理する計算機位置管理部と、前記MACアドレス、VLAN識別子、パケット送受信ポート番号の一覧を記憶するMAC学習データベースを備え、
前記MAC学習データベース内のMACアドレス毎に、対で記録されているVLAN識別子を検索キーとして、仮想ネットワーク構成テーブルを参照し、仮想ネットワーク識別子を検索することで、MACアドレスを有する計算機の所属する仮想ネットワークを特定し、またMACアドレスを検索キーとしてMAC学習テーブルを参照し、エージングタイマ更新回数が最も多いパケット中継装置を検索することで、計算機に近接するパケット中継装置を推定し、仮想ネットワークの構成と計算機の仮想ネットワーク内における位置をネットワーク管理システムの表示装置に画面描画するネットワーク管理システムが提供される。
【0084】
また、前記ネットワーク管理システムは、前記MACアドレス、VLAN識別子、パケット送受信ポート番号の一覧を記憶するMAC学習データベース、およびMAC学習テーブルをパケット送受信ポート毎に整列させた変換MAC学習データベースを備え、前記MAC学習データベース内のMACアドレス毎に、対で記録されているVLAN識別子を検索キーとして、仮想ネットワーク構成テーブルを参照し、仮想ネットワーク識別子を検索することで、MACアドレスを有する計算機の所属する仮想ネットワークを特定し、また対で記録されているパケット送受信ポート番号を検索キーとして変換MAC学習データベースを参照し、学習したMACアドレスの数が最も少ないパケット中継装置を検索することで、計算機に近接するパケット中継装置を推定し、仮想ネットワークの構成と計算機の仮想ネットワーク内における位置をネットワーク管理システムの表示装置に画面描画するネットワーク管理システムが提供される。
【0085】
更に、複数のパケット中継装置を管理するネットワーク管理計算機であって、
ネットワークを介して前記パケット中継装置の情報を参照するパケット中継装置情報取得部と、取得して得られた情報から仮想パケット中継装置識別子、VLAN識別子、パケット送受信ポート番号を抽出し、仮想ネットワークの構成を管理する仮想ネットワーク構成管理部と、前記仮想ネットワーク構成を記憶する仮想ネットワーク構成テーブルと、取得して得られた情報からMACアドレス、VLAN識別子、パケット送受信ポート番号を抽出し、計算機の位置を管理する計算機位置管理部と、前記MACアドレス、VLAN識別子、パケット送受信ポート番号の一覧を記憶するMAC学習データベースを備え、
前記MAC学習データベース内のMACアドレス毎に、対で記録されているVLAN識別子を検索キーとして、仮想ネットワーク構成テーブルを参照し、仮想ネットワーク識別子を検索することで、MACアドレスを有する計算機の所属する仮想ネットワークを特定し、またMACアドレスを検索キーとしてMAC学習テーブルを参照し、エージングタイマ更新回数が最も多いパケット中継装置を検索することで、計算機に近接するパケット中継装置を推定し、仮想ネットワークの構成と計算機の仮想ネットワーク内における位置をネットワーク管理計算機の表示装置に画面描画するネットワーク管理計算機が提供される。
【0086】
また更に、前記ネットワーク管理計算機は、
前記MACアドレス、VLAN識別子、パケット送受信ポート番号の一覧を記憶するMAC学習データベース、およびMAC学習テーブルをパケット送受信ポート毎に整列させた変換MAC学習データベースを備え、前記MAC学習データベース内のMACアドレス毎に、対で記録されているVLAN識別子を検索キーとして、仮想ネットワーク構成テーブルを参照し、仮想ネットワーク識別子を検索することで、MACアドレスを有する計算機の所属する仮想ネットワークを特定し、また対で記録されているパケット送受信ポート番号を検索キーとして変換MAC学習データベースを参照し、学習したMACアドレスの数が最も少ないパケット中継装置を検索することで、計算機に近接するパケット中継装置を推定し、仮想ネットワークの構成と計算機の仮想ネットワーク内における位置をネットワーク管理計算機の表示装置に画面描画するネットワーク管理計算機が提供される。
【符号の説明】
【0087】
10a〜10c…パケット中継装置
11a〜11b…ネットワークインタフェースモジュール
12…スイッチングモジュール
13…制御モジュール
14a〜14d…パケット送受信ポート
15a〜15b…コントローラ
16a〜16d…メモリ
17a〜17b…CPU
18…ソフトウェア処理部
19…パケット送受信部
20a〜20c…仮想パケット中継装置
21…装置情報管理部
23…運用管理部
24…コンフィグレーション
25…MAC学習テーブル
30a〜30d…物理計算機
31…ハードディスク
32…ソフトウェア処理部
33…パケット送受信部
34…ネットワーク管理部
35…パケット中継装置情報取得部
36…仮想ネットワーク構成管理部
37…計算機位置管理部
38…ユーザインタフェース部
39…仮想ネットワーク構成テーブル
40a〜40c…仮想計算機
41…MAC学習テーブル
42…変換MAC学習テーブル
43、46…表示装置
44…キーボード
45…マウス
50…ネットワーク管理装置
60…インターネット
70…ネットワーク管理パケット中継装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想ネットワークを構築できる複数のパケット中継装置と、仮想計算機を動作させることのできる複数の物理計算機が接続されるネットワークのネットワーク管理システムであって、
ネットワーク管理部と表示装置を備え、
前記ネットワーク管理部は、
前記パケット中継装置各々から情報を収集し、収集した前記情報に基づき、前記仮想計算機が繋がる前記仮想ネットワークと、前記仮想ネットワークにおける位置を推定し、前記表示装置に、前記仮想ネットワークの構成、前記仮想ネットワークに繋がる前記仮想計算機を表示する、
ことを特徴とするネットワーク管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワーク管理システムであって、
前記ネットワーク管理部は、
前記情報として、前記パケット中継装置各々のパケットの転送履歴情報を収集し、収集した前記転送履歴情報を比較することで、前記仮想計算機の繋がる前記仮想ネットワークと、前記仮想ネットワークにおける前記仮想計算機の位置を推定する、
ことを特徴するネットワーク管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載のネットワーク管理システムであって、
前記ネットワーク管理部は、
前記ネットワークを介して前記パケット中継装置の前記情報を取得するパケット中継装置情報取得部と、
得られた前記情報から、前記仮想パケット中継装置のコンフィグレーションを抽出し、前記仮想ネットワークの構成を管理する仮想ネットワーク構成管理部と、
前記仮想ネットワークの構成を記憶する仮想ネットワーク構成テーブルと、
得られた前記情報からパケットの転送履歴情報を抽出し、ネットワークに接続する前記計算機の位置を管理する計算機位置管理部と、
前記転送履歴情報を記憶する転送履歴データベースを備え、
前記計算機位置管理部は、
前記仮想ネットワーク構成テーブルおよび前記転送履歴データベースをもとに、前記計算機の所属する前記仮想ネットワークを特定し、前記計算機に近接する前記パケット中継装置を推定する、
ことを特徴とするネットワーク管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載のネットワーク管理システムであって、
複数の前記パケット中継装置の一つが、前記ネットワーク管理部と、前記表示装置を備える、
ことを特徴とするネットワーク管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載のネットワーク管理システムであって、
前記ネットワークに接続されるネットワーク管理装置を備え、前記ネットワーク管理装置が、前記ネットワーク管理部と前記表示装置を備える、
ことを特徴とするネットワーク管理システム。
【請求項6】
仮想ネットワークを構築できる複数のパケット中継装置と、仮想計算機を動作させることのできる複数の物理計算機が接続されるネットワークを管理するためのネットワーク管理装置であって、
処理部と、記憶部とを備え、
前記処理部は、前記パケット中継装置各々から情報を収集し、収集した前記情報に基づき、前記仮想計算機が繋がる前記仮想ネットワークと、前記仮想ネットワークにおける位置を推定し、前記仮想ネットワークの構成、前記仮想ネットワークに繋がる前記仮想計算機の位置を出力する、
ことを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項7】
請求項6に記載のネットワーク管理装置であって、
前記処理部は、
前記情報として、前記パケット中継装置各々のパケットの転送履歴情報を収集し、収集した前記転送履歴情報を比較することで、前記仮想計算機の繋がる前記仮想ネットワークと、前記仮想ネットワークにおける前記仮想計算機の位置を推定する、
ことを特徴するネットワーク管理装置。
【請求項8】
請求項6に記載のネットワーク管理装置であって、
前記処理部は、
前記ネットワークを介して前記パケット中継装置の前記情報を取得するパケット中継装置情報取得部と、
得られた前記情報から、前記仮想パケット中継装置のコンフィグレーションを抽出し、前記仮想ネットワークの構成を管理する仮想ネットワーク構成管理部と、
得られた前記情報からパケットの転送履歴情報を抽出し、ネットワークに接続する前記計算機の位置を管理する計算機位置管理部と、を備え、
前記記憶部は、
前記仮想ネットワークの構成を記憶する仮想ネットワーク構成テーブルと、
前記転送履歴情報を記憶する転送履歴データベースと、を備え、
前記計算機位置管理部は、
前記仮想ネットワーク構成テーブルおよび前記転送履歴データベースをもとに、前記計算機の所属する前記仮想ネットワークを特定し、前記計算機に近接する前記パケット中継装置を推定する、
ことを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項9】
請求項8に記載のネットワーク管理装置であって、
前記仮想ネットワーク構成テーブルは、仮想ネットワーク識別子、仮想パケット中継装置識別子、VLAN識別子、パケット送受信ポート番号を記憶し、
前記転送履歴データベースは、前記パケット中継装置毎に、MACアドレス、VLAN識別子、パケット送受信ポート番号を記憶する、
ことを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項10】
請求項9に記載のネットワーク管理装置であって、
前記計算機位置管理部は、
前記転送履歴データベースに記憶された前記MACアドレス毎に、当該MACアドレスと対に記憶されている前記VLAN識別子を検索キーとして、前記仮想ネットワーク構成テーブルを参照し、前記MACアドレスを送信元とする前記計算機の所属する前記仮想ネットワーク識別子を特定し、
前記MACアドレスと対に記憶されている前記パケット送受信ポート番号を検索キーとして、前記転送履歴データベースを参照し、前記MACアドレスを送信元とする前記計算機に近接する前記パケット中継装置を推定する、
ことを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項11】
請求項10に記載のネットワーク管理装置であって、
前記転送履歴データベースは、前記パケット中継装置が、前記MACアドレスを学習するたびに更新するエージングタイマ更新回数を記憶し、
前記計算機位置管理部は、前記エージングタイマ更新回数が最大値の前記パケット中継装置を、前記計算機に近接するパケット中継装置として推定する、
ことを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項12】
請求項10に記載のネットワーク管理装置であって、
前記計算機位置管理部は、
前記転送履歴データベースの前記パケット中継装置と前記パケット送受信ポートの組み合わせで、前記パケット送受信ポートで学習した前記MACアドレスの個数が最小である前記パケット中継装置を、前記計算機に近接するパケット中継装置として推定する、
ことを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項13】
請求項6に記載のネットワーク管理装置であって、
表示装置を更に備え、
前記表示装置は、前記仮想ネットワークの構成、前記仮想ネットワークに繋がる前記仮想計算機の位置を表示する
ことを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項14】
請求項8に記載のネットワーク管理装置であって、
表示装置を更に備え、
前記表示装置は、前記仮想ネットワークの構成、前記仮想ネットワークに繋がる前記計算機の位置を表示する
ことを特徴とするネットワーク管理装置。
【請求項15】
請求項8に記載のネットワーク管理装置であって、
表示装置を更に備え、
前記表示装置は、前記仮想ネットワークの構成、前記仮想ネットワークに繋がる前記仮想計算機の位置を表示する
ことを特徴とするネットワーク管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−62775(P2013−62775A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201671(P2011−201671)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(504411166)アラクサラネットワークス株式会社 (315)
【Fターム(参考)】