ネットワーク設計装置及び方法並びにネットワーク設計プログラム
【課題】 数理計画法における問題を効率的に解くことで、ネットワークへの配置用品を決定する。
【解決手段】 ネットワーク設計装置100は、ネットワーク内の線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す情報、伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び線形区間における所定の区間における伝送装置の配置コストの和の夫々を取得する情報取得手段121と、線形区間に配置する伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成手段122と、数理計画法における問題を、伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、線形区間に配置する伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択手段123とを備える。装置選択手段は、伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に数理計画法における問題を解く伝送装置の候補を決定する。
【解決手段】 ネットワーク設計装置100は、ネットワーク内の線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す情報、伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び線形区間における所定の区間における伝送装置の配置コストの和の夫々を取得する情報取得手段121と、線形区間に配置する伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成手段122と、数理計画法における問題を、伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、線形区間に配置する伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択手段123とを備える。装置選択手段は、伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に数理計画法における問題を解く伝送装置の候補を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークへの用品配置を決定するためのネットワーク設計装置及び方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システム等において利用されるこの種のネットワークでは、ネットワーク上のトラヒックを処理するために最低限必要とされる装置構成がある。ネットワーク上の装置構成とは、例えば、信号の中継局など、所謂信号の伝送に係る装置である。
【0003】
一般に、ネットワーク上に配置されるこれらの信号伝送装置のコストと、これらの信号伝送装置上を経由する信号の伝送品質とはトレードオフの関係にある。すなわちコストの高い信号伝送装置が配置されると信号の伝送品質が向上する。これによりネットワーク上の信号の伝送路上において必要とされる信号伝送装置の数が減少する。他方で、コストが低い信号伝送装置の配置数を増やすと全体としての装置の配置数が増加する。
【0004】
また、ネットワークの性質上、上述したネットワーク上のトラヒックを処理するために求められるコストを大きく下回るネットワークは許容されない。
【0005】
上述した性質を考慮して、ネットワークの設計においては、トラヒックより決定される目標コストに対して、信号伝送装置のコストの総和、言い換えればネットワークを敷設する際の所要コストを可能な限り近付けることが好ましい。このようなネットワークの設計のために、整数計画法を用いてネットワークを設計する手法が提案されている。
【0006】
下記に示される先行技術文献には、基板に部品を装着する際の割り振り方法を混合整数計画問題としてモデル化し、該問題を解くことにより割り振り方法を決定する方法について説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−38087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ネットワークの設計においても、数理計画法における整数計画問題又は混合整数計画問題等の問題を用いて、ネットワーク上に設置される装置のコストの総和と目標コストとの差分が最小となる配置を決定することで、好適なネットワーク設計が可能となる。
【0009】
しかしながら、数理計画法における問題を解くことによるネットワーク上の装置の配置決定は、装置数が増えることにより解法に係る処理量が増大するという技術的な問題がある。
【0010】
例えば、あるネットワークについて、現在考えられている配置から装置を一つ変更することを考える場合、装置交換後の目的関数を再計算することが要求される。また、かかる変更がネットワーク設計において適しているか否かを判定するためには、変更候補の装置全てについて目的関数を計算し直す必要がある。
【0011】
本発明は、上述した問題点に鑑み為されたものであり、数理計画法における問題を用いるネットワークの設計方法において、要求される処理量を低減し得るネットワークの設計装置及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、開示のネットワーク設計装置は、情報取得手段と、問題生成手段と、装置選択手段とを備える。
【0013】
情報取得手段は、線形区間を含むネットワークにおいて、該線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び線形区間における一又は複数の配置点を含む所定の区間における伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する。
【0014】
問題生成手段は、装置候補情報、配置コスト、及び目標コストに基づいて、線形区間に配置する伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する。
【0015】
装置選択手段は、生成された数理計画法における問題を、伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、線形区間に配置する伝送装置の候補の組み合わせを決定する。尚、装置選択手段は、伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に数理計画法における問題を解く伝送装置の候補を決定する。
【0016】
上記課題を解決するために、開示のネットワーク設計方法は、情報取得工程と、問題生成工程と、装置選択工程とを備える。情報取得工程では、上述した情報取得手段と同様の処理が実施される。問題生成工程では、上述した問題生成手段と同様の処理が実施される。装置選択工程では、上述した装置選択手段と同様の処理が実施される。
【発明の効果】
【0017】
開示のネットワーク設計装置によれば、配置される伝送装置の組み合わせの候補について算出した被約費用に基づいて、次に目的関数を算出するために数理計画法における問題を解くための伝送装置の組み合わせの候補が選択される。このため、好適に目的関数の改善の可能性がある伝送装置の組み合わせについて、目的関数の検証が可能となるため、計算量を低減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】設計対象となるネットワークを示す図である。
【図2】ネットワーク設計装置のハードウェア構成及び機能部構成を示す図である。
【図3】ネットワーク設計装置に入力されるネットワークについての情報を示す図である。
【図4】ネットワーク設計装置の動作例における動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】動作例における配置候補の用品について、コスト及び目標コストを示す図である。
【図6】被約費用の算出の具体例を示す図である。
【図7】目的関数費用の算出の具体例を示す図である。
【図8】ネットワーク設計装置の動作例における目的関数及び被約費用の推移の様子を示すフローチャートである。
【図9】ネットワーク設計装置の第1変形動作例における動作の流れを示すフローチャートである。
【図10】ネットワーク設計装置の第1変形動作例における目的関数及び被約費用の推移の様子を示すフローチャートである。
【図11】ネットワーク設計装置の第2変形動作例における動作の流れを示すフローチャートである。
【図12】ネットワーク設計装置の第2変形動作例における目的関数及び被約費用の推移の様子を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(1)構成例
図1に、開示のネットワーク設計装置による設計の対象となるネットワークの一例を示す。図1に示されるネットワーク200は、移動通信システム等を構成するネットワークの一部を示すものである。ネットワーク200では、信号分岐装置又は信号中継装置等のノード装置1乃至6が配置される線形区間について示している。尚、ネットワーク200は、所謂メッシュ型のネットワークにおける或る線形区間について示しているが、例えば、ネットワーク200はその他の態様のネットワークの一部であってもよい。
【0021】
線形区間は2つ以上のノード装置が縦続接続されることにより形成される区間である。例えば、図1の例では、ノード装置1の出力がノード装置2の入力に、ノード装置2の出力がノード装置3の入力に、ノード装置3の出力がノード装置4の入力に、ノード装置4の出力がノード装置5の入力に、ノード装置5の出力がノード装置6の入力に、夫々接続されている。尚、接続端子の向きは逆向きであっても、双方向であってもよい。また、線形区間においては、ノード装置間の接続は、物理的に直線である必要はなく、曲線的に接続されていてもよい。
【0022】
開示のネットワーク設計装置は、ネットワーク200における線形区間において、該線形区間に配置されるノード装置の組み合わせを決定する。以降、ノード装置について「用品」と記載し、ノード装置の配置の組み合わせについて「用品配置」と記載して説明することがある。
【0023】
ネットワーク200上に配置される用品は、夫々トラヒックを処理するためのコストを有している。コストの高い用品が配置されると、ネットワーク200における該用品を経由する信号の伝送品質が大きく向上する。他方で、コストの低い用品が配置されると、伝送品質の大きな向上は生じない。
【0024】
ネットワーク200上では、所定の区間ごとにトラヒック処理のための目標コストが設定される。かかる目標コストは、ネットワーク200上において、シミュレーションや統計処理等により得られる予測トラヒック量を処理するために必要とされるコストである。区間ごとの該目標コストに対して、多少の変動幅は許容されるものの、該区間に配置される用品のコスト総和と目標コストとの差分が可能な限り近付くよう、ネットワーク200が設計されることが好ましい。
【0025】
以下に説明するように、ネットワーク設計装置100は、ネットワーク200において区間ごとに設定される目標コストに対して、より近いコスト総和を有する用品配置の決定を行う。
【0026】
図2を参照して、ネットワーク設計装置100の構成について説明する。図2は、ネットワーク設計装置100の基本的な構成を示すブロック図である。
【0027】
図2に示されるように、ネットワーク設計装置100は、入出力インタフェース110と、CPU120と、メモリ130とを備える。
【0028】
入出力インタフェース110は、例えば、外部のネットワークノード装置や、コンピュータ等との間でデータの入出力を行うためのインタフェースであって、入力部111及び出力部112の機能部を有する。
【0029】
入力部111は、外部からのデータを入力するための機能部であって、設計対象となるネットワークトポロジー情報、該ネットワーク200におけるトラヒック情報(言い換えれば、ネットワーク上の各区間における配置用品の目標コスト)及び該ネットワーク200上に配置される用品についてのデータ等の入力を受け、CPU120に出力する。用品についてのデータとは、例えば、ネットワークトポロジーにおける或る区間における配置候補となり得る各用品についてコストを示したものである。
【0030】
出力部112は、CPU120において算出された用品配置情報を外部に出力する。
【0031】
CPU120は、ネットワーク設計装置100における各部の動作の制御を行うための演算装置であり、また入力された情報を処理することで、用品配置情報の算出を行う。CPU120は、用品候補選択部121、問題生成部122及び用品選択部123の機能部を有する。
【0032】
用品候補選択部121は、入力部111より入力される用品のデータに基づいて、ネットワーク200上の用品配置情報の算出を行うための用品候補データの生成を行う。また、用品候補選択部121は、生成した用品候補データについて、メモリ130内部にデータベースとして格納してもよい。
【0033】
問題生成部122は、入力部111より入力されるネットワークトポロジー情報及びトラヒック情報に基づいて、用品配置情報の算出を行うための数理計画法における整数計画問題又は混合整数計画問題等の問題の生成を行う。また、問題生成部122は、入力されるネットワークトポロジー情報及びトラヒック情報、並びに生成した数理計画法における問題をメモリ130内部に格納してもよい。
【0034】
用品選択部123は、用品候補選択部121において生成される用品候補データと、問題生成部122において生成される数理計画法における問題とに基づいて、ネットワーク200上への用品配置情報の算出を行う。用品選択部123は、例えば、数理計画法における問題を、用品候補データについて解くことによって、用品配置情報の算出を行う。
【0035】
メモリ130は、CPU120を動作させるためのソフトウェアや、ネットワーク設計装置100の動作の上での各種情報等を格納するための記憶装置である。
【0036】
図3に、問題生成部122が生成する数理計画法における問題をネットワークトポロジー図として示す。図3は、図1に示されるネットワーク200における線形区間についてネットワークトポロジー図として示すものである。
【0037】
図3に示されるように、問題生成部122は、入力部111より入力されるネットワークトポロジー情報及びトラヒック情報に基づいて、用品が配置される区間を指定するネットワークトポロジー図を生成する。図3の例では、問題生成部122は、図1のネットワーク200をノード装置1が配置される区間1’と、ノード装置2が配置される区間2’と、ノード装置3が配置される区間3’と、ノード装置4が配置される区間4’と、ノード装置5が配置される区間5’と、ノード装置6が配置される区間6’とに分割する。
【0038】
また、問題生成部122は、トラヒック情報に基づいて、ネットワークトポロジーにおける区間毎の目標コストを設定する。図3の例では、区間1’、2’、3’における用品コストの総和が15、区間3’、4’、5’における用品コストの総和が20、区間1’、2’、3’、4’、5’、6’における用品コストの総和が40に夫々設定される。
【0039】
用品候補選択部121は、用品候補データを参照して、区間毎に配置される用品の識別番号とコストとを用品選択部123に通知する。図3の例では、区間1’に配置される用品の候補としてx1(1)、x2(2)及びx3(3)が挙げられている。区間2’に配置される用品の候補としてx4(7)、x5(8)及びx6(9)が挙げられている。区間3’に配置される用品の候補としてx7(4)、x8(5)及びx9(6)が挙げられている。区間4’に配置される用品の候補としてx10(11)、x11(12)及びx12(13)が挙げられている。区間5’に配置される用品の候補としてx13(2)及びx14(3)が挙げられている。区間6’に配置される用品の候補としてx15(9)、x16(10)、x17(11)及びx18(12)が挙げられている。尚、カッコ内の数字は各用品のコストを示す。
【0040】
問題生成部122は、用品候補選択部121から入力される区間毎の配置用品とそのコスト、並びにネットワークトポロジーに示されるネットワーク200上の区間及び目標コストを参照し、下記の式(1)乃至(3)に示される整数計画問題を生成する。
【0041】
上述した整数計画問題又は混合整数計画問題を解くことにより、適切な用品配置の決定を行う数理計画法では、上述したように区間毎に設定される配置用品の候補より、複数の区間を跨いで設定される目標コスト等に基づいて、各区間に配置される用品が決定される。また、図3に示されるネットワークトポロジーの例においては、各区間に一つずつ用品が配置される。このように、区間毎に配置される用品の数、及び目標コストを条件として、問題生成部122は、用品の配置を決定するための制約式を生成する。
【0042】
用品選択部123は、このような制約式により示される条件の下、数理計画法に基づいて算出する対象である目的関数(objective function)を最適な値(例えば、最大値又は最小値)となるよう整数計画問題を解くことで、好適な用品の配置を決定する。
【0043】
以下に示す例では、用品選択部123は、ネットワーク200の区間毎に配置される用品の目標コストと配置される用品のコストの和との差分を目的関数に設定する。そして、ネットワーク200の区間毎に配置される用品のコストの和を可能な限り目標コストに近付けるよう、用品選択部123は、このような目的関数を制約式により示される条件下で最小とする最適解を算出することで用品の配置を決定する。
【0044】
(2)動作例
以下、本実施例で用いる整数計画問題及びその解法について説明する。
【0045】
問題生成部122は、上述のように生成されたネットワークトポロジーに基づいて、数理計画法における問題を生成する。
【0046】
問題生成部122は、例えば、入力情報として、ネットワーク200における区間情報及びトラフィック情報、各区間において配置可能な用品の候補、各用品のコスト、並びに各トラフィックに基づく所定の区間毎の目標コスト等の入力を受ける。そして、問題生成部122は、ネットワーク200における各区間において、トラフィックに基づいて決定される目標コストに対して、配置される用品のコストの総和が最適となるよう、各区間に配置可能な用品候補から夫々1つの用品を選択することを目標とする問題を生成する。
【0047】
数理計画法における問題は、例えば、整数計画問題又は混合整数計画問題に係る目的関数と制約式との集合となる。以下に示される式(1)式は、問題生成部122により生成される数理計画法における問題に基づき、上述した用品選択部123が解く整数計画問題における目的関数を表現する数式である。
【0048】
【数1】
式(1)において、pe(t)及びne(t)は、配置される用品のコストの和と、目標コストとの差分、つまり誤差を示す成分である。尚、pe(t)は、正の誤差について、ne(t)は負の誤差について夫々示す成分であり、pe(t)+ne(t)により誤差の絶対量を示す。変数tは、ネットワーク200上におけるトラヒックが生じる所定の経路(トラヒック経路)を示す。関数w(t)は、或る経路tにおける配置用品のコストと目標コストとの誤差に重みづけを行うための係数である。かかる係数を設定することにより、ネットワーク200における特定の箇所をトラヒック毎に決定し、優先的に用品の配置決定を行うことが出来る。重みづけ係数w(t)は、用品候補選択部121、問題生成部122又は用品交換部123等において設定される。尚、その他の態様で、用品配置の決定に係る優先度を別途指定してもよい。
【0049】
式(1)に示した目的関数に係る制約条件を示す制約式を以下の式(2)及び式(3)に示す。
【0050】
【数2】
【0051】
【数3】
式(2)は、ネットワーク200に配置される用品について、各区間(つまり、図3における区間1’乃至6’のいずれか)の用品の候補より1つずつ選択するという条件を示す制約式である。式(2)において、x(c)は、区間(segment)sにおける用品cについての存在又は非存在を示す関数である。x(c)=1である場合、用品cが配置され、x(c)=0である場合、用品cが配置されていないことを夫々示す。つまり、式(2)によれば、或る区間sにおいて配置される用品は、該区間に配置される用品候補(candidate c on s)のうち、1つが選択されることを示している。
【0052】
式(3)は、ネットワーク200に配置される用品について、コストの総和と、所定の1又は複数の区間毎に設定される目標コストとの誤差を決定する制約式である。式(3)において、ideal_cost(t)は、所定の経路tについて算出された目標コストを示す。cost(c)は、所定の経路t中の区間cに配置される用品のコストを示す。用品のコストcost(c)と、配置される用品x(c)との積cost(c)・x(c)は、所定のトラヒック経路tにおける区間cに配置される用品のコストを示す。また、トラヒック経路t中の区間cのコストの総和は、Σcost(c)・x(c)により表される。
従って、式(3)によれば、所定のトラヒック経路tにおける各区間に配置される用品のコストの総和と該トラヒック経路における目標コストとの差分が誤差成分pe(t)+ne(t)により表される。
【0053】
上記のように設定された整数計画問題について、用品選択部123は、最適解の算出を行う。以下に、用品選択部123が行う算出処理の流れについて、図4を参照して説明する。
【0054】
図4は、最適解の算出処理に係る用品選択部123の動作の流れを示すフローチャートである。図5は、図3に示されるネットワーク200における区間毎の用品候補のコストと、被約費用(Reduced Cost)とを含むデータを示すテーブルである。
【0055】
図5には、図3に示されるように、区間1’、2’、3’における用品コストの総和が15、区間3’、4’、5’における用品コストの総和が20、区間1’、2’、3’、4’、5’、6’における用品コストの総和が40に夫々設定される場合についての用品の配置に係るデータが示される。以降の説明においては、区間毎の目標コストについて、区間1’、2’、3’における用品コストの総和が15となる条件を条件1と記載して説明する。また、区間3’、4’、5’における用品コストの総和が20となる条件を条件2と記載して説明する。また、区間1’、2’、3’、4’、5’、6’における用品コストの総和が40となる条件を条件3と記載して説明する。
【0056】
図5のテーブルの第1行には、各用品についての用品番号xn及び誤差成分が記載される。誤差成分の内、ne1及びpe1は、条件1における誤差成分、ne2及びpe2は、条件2における誤差成分、ne3及びpe3は、条件3における誤差成分を夫々示す。
【0057】
図5のテーブル第2行には、各用品及び誤差成分についての存在又は非存在を示すベクトルcが記述される。
【0058】
図5のテーブル第3行から第12行までには、ネットワーク200に対する各用品の配置状態及びコスト、並びに誤差成分の状態を示す行列Aが記述される。
【0059】
図5のテーブル第13行には、各用品候補xnについて、夫々の被約費用c^が記述される。被約費用c^は、例えば、行列Aについて、条件1、条件2又は条件3について連立方程式を生成することで算出可能である。
【0060】
以下の説明では、用品x1、x4、x7、x10、x13及びx15が仮に配置されたネットワーク200において、より効率的な(つまり、目標コストと配置される用品コストの総和との誤差が最小となる)用品の配置を決定する際の動作について説明する。
【0061】
図4に示されるように、先ず用品選択部123は、上述のように生成された整数計画問題における目的関数及び制約式に基づいて、各区間の用品の候補についての被約費用の算出を行う(ステップS100)。
【0062】
図6を参照して、被約費用の具体的な算出動作について説明する。
【0063】
被約費用c^は、以下に示す式(4)により表される。
【0064】
【数4】
ここに、Nは、非基底成分の(言い換えれば、選択されていない)変数(つまり、各用品xn並びに誤差成分pe及びneを含む変数)に対応する行列である。具体的には、図5に示す行列Aにおいて、非基底成分である用品xn、誤差成分pe、neについての列の集合が行列Nにあたる。また、cNは、行列cの非基底成分を示す行列である。具体的には、図5に示す行列cにおいて、非基底成分である用品xn、誤差成分pe、neについての列(値)の集合がcNにあたる。尚、πは以下の式(5)により表される。
【0065】
【数5】
ここに、Bは基底成分の(言い換えれば、ネットワーク200に仮に配置されている)用品候補を示す行列である。具体的には、図5に示す行列Aにおいて、基底成分である用品xn、誤差成分pe、neについての列の集合が行列Bにあたる。また、cBは、行列cの基底成分を示す行列である。具体的には、図5に示す行列cにおいて、基底成分である用品xn、誤差成分pe、neについての列(値)の集合がcBにあたる。図3及び図5の例に基づく行列B及びcBは、図6(1)に示されるものとなる。また、行列Bの逆行列B−1は、図6(2)に示されるものとなる。
【0066】
尚、π=cBB−1は、図6(3)に示されるものとなる。
【0067】
以上、示した式を用いることで、現在ネットワーク200に配置されていない用品(つまり、非基底成分N)の被約費用c^は、以下の式(6)より求められる。
【0068】
【数6】
尚、図5に示される例では、cBは、誤差成分以外の用品については0となるため、被約費用c^=−cBB−1Nとなる。なお、ここでは誤差成分に関する被約費用は省略している。
【0069】
目的関数を最小化することを目的とする、所謂最小化問題においては、被約費用c^成分が負であり、且つ絶対量の大きい(言い換えれば、最小の)被基底変数を新たに基底変数として、現在基底変数に選択されている変数と交換することで、目的関数が改善される可能性がある。用品選択部123は、算出された被約費用を参照して、被約費用が負である配置候補の用品が存在するか否かを確認する(ステップS101)。
【0070】
被約費用が負である配置候補の用品が存在する場合(ステップS101:Yes)、用品選択部123は、図5のテーブルのように示される配置用品の候補から、被約費用が負であり、且つ最小のものを選択する(ステップS102)。用品選択部123は、現在ネットワーク200に配置される用品を、該選択された配置候補の用品に配置を変更した場合の目的関数の算出を行う(ステップS103)。
【0071】
目的関数の算出の態様について、図7に例を示して説明する。初回の算出時には、用品x1、x4、x7、x10、x13及びx15が仮に配置された状態であるため、図7は、これらの用品を配置した際の目的関数の算出の態様について示している。このように配置される用品の組み合わせによれば、条件1に該当する区間1’、2’、3’におけるコスト総和は1+7+4=12となり、目標コスト15とのコスト差分は3となる。また、条件2に該当する区間3’、4’、5’におけるコスト総和は4+11+2=17となり、目標コスト20とのコスト差分は3となる。また、条件3に該当する区間1’、2’、3’、4’、5’、6’におけるコスト総和は1+7+4+11+2+9=34となり、目標コスト40とのコスト差分は6となる。以上のことから、条件1乃至3を同時に満たすよう設定される目的関数は、コスト差分の和3+3+6=12となる。
【0072】
用品選択部123は、用品の配置変更後の目的関数と、変更前の目的関数とを比較して、変更前に比べて目的関数が改善しているか(つまり、変更前より値が小さくなっているか)否かの判定を行う(ステップS104)。
【0073】
用品選択部123は、用品の配置の変更により、目的関数が改善されると判断される場合(ステップS105:Yes)、該選択された配置候補の用品を配置用品として設定する(ステップS106)。その後、用品選択部123は、選択された配置用品について被約費用の算出を行い、ステップS100乃至S105の処理を繰り返す。
【0074】
他方で、用品の配置の変更により、目的関数が改善されない、又は悪化すると判断される場合(ステップS105:No)、該選択された配置候補の用品を配置用品としては不適であると判断する(ステップS107)。その後、用品選択部123は、ステップS100において算出された被約費用のうち、不適とされた配置候補の用品を除いて、被約費用が負である配置候補の用品が存在するか否かの確認を行い、ステップS101乃至S105の処理を繰り返す。
【0075】
用品選択部123は、目的関数が改善しない、又は悪化することから不適と判断された用品を除いて、被約費用が負である用品が存在しない場合(ステップS101:No)、現在設定される配置用品の組み合わせを、配置用品情報として決定する(ステップS108)。
【0076】
上述した動作の流れにおける用品の選択及び目的関数の算出の態様について、図8を参照して説明する。図8は、図3及び図5に示される例における被約費用に基づく用品の選択と、選択された用品を配置した場合の目的関数の算出の態様について示すテーブルの集合である。なお、以降の例では、記載を省略するが、各区間の誤差成分pe、neのうち、いずれか一方の誤差量が正となる成分が基底として選択されているものとする。また、誤差量が0の場合はneが基底として選択される。
【0077】
図8(1)に示されるように、用品x1、x4、x7、x10、x13及びx15が仮に配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、配置候補として、被約費用が負であり、且つ絶対量が最大の用品を選択する。用品選択部123は、図8(1)の例では、被約費用が−6の用品x9を配置候補として選択する。次に、用品選択部123は、用品x9が配置される区間3’において、現在仮に配置される用品x7をx9に変更した場合について、目的関数の算出を行う。
【0078】
用品選択部123は、図5に示されるものと同様の手順で、用品x1、x4、x9、x10、x13及びx15が配置される場合の目的関数の算出を行う。図8(2)に示されるように、変更後の目的関数は6となり、変更前と比較して改善が見られる。このため、用品選択部123は、区間3’において配置される用品をx9に決定する。尚、配置される用品をx7からx9に変更することにより、各用品の被約費用が変化する。用品選択部123は、ネットワーク200における他の区間についての配置用品を選択するために、被約費用の算出を行い、図4に示される動作の流れを繰り返す。
【0079】
用品x1、x4、x9、x10、x13及びx15が配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、次の配置候補として用品x3、x6及びx12を検出する。以下の説明では、便宜上、用品x3、x6、x12のように順番で配置変更後の目的関数の算出と判定を行うものとする。
【0080】
用品x3が配置される区間1’において、用品x1を用品x3に変更する場合、目的関数は、図8(3)に示されるように、4となり、更に改善が見られる。このため、用品選択部123は、区間1’において配置される用品をx3に決定する。
【0081】
用品x3、x4、x9、x10、x13及びx15が配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、他の区間についての配置用品を選択するために、被約費用の算出を行い、図4に示される動作の流れを繰り返す。用品選択部123は、図8(3)に示されるように算出される用品の被約費用から、次の配置候補として、被約費用が−4である用品x12を選択する。用品x12が配置される区間4’において、用品x10を用品x12に変更する場合、目的関数は、図8(4)に示されるように、2となり、更に改善が見られる。このため、用品選択部123は、区間4’において配置される用品をx12に決定する。
【0082】
用品x3、x4、x9、x12、x13及びx15が配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、他の区間についての配置用品を選択するために、被約費用の算出を行い、図4に示される動作の流れを繰り返す。用品選択部123は、図8(4)に示されるように算出される用品の被約費用から、次の配置候補として、被約費用が−3である用品x18を選択する。用品x18が配置される区間6’において、用品x15を用品x18に変更する場合、目的関数は、図8(5)に示されるように、5となり、却って悪化する。このため、用品選択部123は、区間6’において配置される用品がx18では不適であると判断する。用品選択部123は、図8(5)に示される用品x3、x4、x9、x12、x13及びx18が配置された状態のネットワーク200において、被約費用が負であり最も小さい用品x15を配置候補として選択し、目的関数の算出を行う。
【0083】
用品x18を用品x15に交換することで、図8(6)に示されるように、目的関数及び各用品の被約費用は、図8(4)と同様の状態となる。用品選択部123は、不適であると判断した用品x18を除いて、被約費用が次に小さい(且つ、負である)用品である配置候補として、用品x7及び用品x17を選択する。尚、配置される用品を用品x7及び用品x17に変更する場合、目的関数はいずれも4となり悪化するため、用品選択部123は、これらの用品x7及び用品x17についても配置候補としては不適であると判断する。
【0084】
用品x3、x4、x9、x12、x13及びx15が配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、不適であるとして除外された用品x7、用品x17及び用品18に次いで被約費用が小さい用品x8を配置候補として選択する。
【0085】
用品x8が配置される区間3’において、用品x9を用品x8に変更する場合、目的関数は、図8(7)に示されるように、1となり、更に改善が見られる。このため、用品選択部123は、区間3’において配置される用品をx8に決定する。
【0086】
用品x3、x4、x8、x12、x13及びx15が配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、被約費用が小さい用品について、配置候補として選択して目的関数の算出を更に行う。用品選択部123は、図8(7)に示されるよう、被約費用が小さい用品x6、x9、x18、x14、x17、x16の順で各用品に配置を変更した場合の目的関数の算出を行う。尚、用品x6に配置を変更する場合、目的関数は3となり悪化する。用品x9に配置を変更する場合、目的関数は2となり悪化する。用品x18に配置を変更する場合、目的関数は2となり悪化する。用品x14に配置を変更する場合、目的関数は1となり改善が見られない。用品x17に配置を変更する場合、目的関数は1となり改善が見られない。
【0087】
用品x16に配置を変更する場合、図8(8)に示されるように、目的関数が0となり改善が見られるため、用品選択部123は、用品x15の代わりに用品x16を配置するよう決定する。
【0088】
用品x3、x4、x8、x12、x13及びx16が配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、被約費用が小さい用品について、配置候補として選択して目的関数の算出を更に行う。用品選択部123は、図8(8)に示されるよう、被約費用が小さい用品x6、x9、x5、x14、x18、x17の順で各用品に配置を変更した場合の目的関数の算出を行う。尚、用品x6に配置を変更する場合、目的関数は4となり悪化する。用品x9に配置を変更する場合、目的関数は3となり悪化する。用品x14に配置を変更する場合、目的関数は2となり悪化する。用品x18に配置を変更する場合、目的関数は2となり悪化する。用品x17に配置を変更する場合、目的関数は1となり悪化する。以上のように、被約費用が負である用品で、目的関数が改善するものがないため、用品選択部123は、以降の処理を終了する。
【0089】
用品選択部123は、用品x3、x4、x8、x12、x13及びx16が配置される場合に目的関数が最小値となることから、これらの用品を配置するよう用品配置情報を決定する。
【0090】
以上、説明した一連の動作によれば、全ての配置候補の用品について、目的関数を算出することなく、好適な配置用品を決定することが出来る。用品毎の被約費用は、該用品に配置を変更する場合の目的関数に与える影響の大小を示す指標である。特に、目的関数を最小化する数理計画法における問題においては、被約費用が負となる用品を次の配置候補として選択することにより、好適に、目的関数を改善する可能性のある用品を選択することが出来る。このため、被約費用を比較することで、目的関数を改善する可能性のない(例えば、被約費用が正又は0の)用品を配置候補から除外することが出来る。
【0091】
従って、全ての配置候補の用品について、目的関数の算出を行うことなく、目的関数の改善の可能性がある用品を選択可能となる。
【0092】
上述した数理計画法における問題は、整数計画問題又は混合整数計画問題等の問題としてモデル化が可能である。しかしながら、整数計画問題又は混合整数計画問題を用いて台規模問題を解く場合、計算量が増大することにより、短時間で最適解を算出することは困難な場合が多い。例えば、上述した動作例によらない(言い換えれば、従来の)最適解の算出法においては、用品についてのある組み合わせから次に配置を変更する用品を決定する場合、各用品について配置した場合の目的関数を算出していた。しかしながら、目的関数の算出には、行列演算が生じるため、計算負荷が多く、算出に多くの時間が必要とされる。
【0093】
他方で、上述した動作例によれば、ある用品を配置用品として決定した場合の途中解から、次に目的関数が改善される可能性のある用品についての実行可能解に至る計算量を低減し、効率的に遷移を行うことが可能となる。このため、最適解の算出に係る計算量を低減し、より短時間で算出することが可能となる。
【0094】
尚、例えば、目的関数を最大化するような数理計画法における問題を設定する場合、被約費用が正となる用品の内、最大のものから順番に目的関数を算出することで、同様の効果を得ることが出来る。従って、上述した例以外の数理計画法における問題についても、上述した一連の動作及びその効果が適用可能である。
【0095】
(3)第1変形動作例
図9及び図10を参照して、ネットワーク設計装置100の第1変形動作例について説明する。図9は、第1変形動作例における配置用品の選択動作の流れを示すフローチャートである。図10は、第1変形動作例における被約費用に基づく用品の選択と、選択された用品を配置した場合の目的関数の算出の態様について示すテーブルの集合である。
【0096】
第1変形動作例においては、ネットワーク設計装置100の用品選択部123は、被約費用が負であり最小である用品の代わりに、被約費用が負であり最小である用品が存在する区間において、現在配置されている用品からコストが最も近いものを次の配置候補として選択する。
【0097】
以下に、具体的な動作の流れを説明する。
【0098】
用品x1、x4、x7、x10、x13及びx15が仮に配置された状態において、用品選択部123は、各用品についての被約費用を算出する(ステップS200)。用品選択部123は、被約費用が負である用品が存在するか否かの確認を行う(ステップS201)。
【0099】
被約費用が負である用品が存在する場合(ステップS201:Yes)、用品選択部123は、被約費用が負であり且つ最小の用品を検出し、該用品が存在する区間を選択する(ステップS202)。そして、用品選択部123は、該区間において、被約費用が負であり、現在の配置用品からコストが最も近い用品を選択する(ステップS203)。
【0100】
図10(1)の例では、用品選択部123は、被約費用が負であり且つ最小の用品として用品x9を選択する。そして、用品x9が存在する区間3’において、被約費用が負であり、且つ現在配置される用品x7からコストが最も近い用品x8を選択する。
【0101】
用品選択部123は、選択された用品x8を用品x7に換えて配置した場合の目的関数を算出する(ステップS204)。図10(2)に示されるように、算出される目的関数は、9となる。
【0102】
用品選択部123は、算出した目的関数と、用品変更前の目的関数とを比較して(ステップS205)、目的関数が改善したか否かの判定を行う(ステップS206)。図10(1)及び(2)に示される例では、目的関数が12から9になり、改善が見られる。
【0103】
そこで、用品選択部123は、用品x8を配置用品として選択する(ステップS207)。その後、ステップS201乃至S206の処理を繰り返す。
【0104】
図10(2)に示されるように、用品x1、x4、x8、x10、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x2を配置候補として選択する。図10(3)に示されるように、用品x1を用品x2に変更する場合の目的関数は7となり、図10(2)に示される目的関数9より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x2を配置用品として選択する。
【0105】
図10(3)に示されるように、用品x2、x4、x8、x10、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x5を配置候補として選択する。図10(4)に示されるように、用品x4を用品x5に変更する場合の目的関数は5となり、図10(3)に示される目的関数7より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x5を配置用品として選択する。
【0106】
図10(4)に示されるように、用品x2、x5、x8、x10、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x11を配置候補として選択する。図10(5)に示されるように、用品x10を用品x11に変更する場合の目的関数は3となり、図10(4)に示される目的関数5より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x11を配置用品として選択する。
【0107】
図10(5)に示されるように、用品x2、x5、x8、x11、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x9を配置候補として選択する。図10(6)に示されるように、用品x8を用品x9に変更する場合の目的関数は2となり、図10(5)に示される目的関数3より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x9を配置用品として選択する。
【0108】
図10(6)に示されるように、用品x2、x5、x9、x11、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x16を配置候補として選択する。図10(7)に示されるように、用品x15を用品x16に変更する場合の目的関数は1となり、図10(6)に示される目的関数2より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x16を配置用品として選択する。
【0109】
図10(7)に示されるように、用品x2、x5、x9、x11、x13及びx16が配置された状態では、用品選択部123は、用品x12、x14、x17、x18の順で配置候補を選択するが、いずれの用品を配置した場合でも、目的関数に改善が見られない。そこで、用品選択部123は、用品x2、x5、x9、x11、x13及びx16が配置される状態を配置用品情報として決定し(ステップS209)、処理を終了する。
【0110】
上述した、第1変形動作例においても、ネットワーク設計装置100の動作例と同様に、一の途中解から次の実行可能解への遷移において、被約費用に基づくことで、目的関数の改善の可能性がある用品を好適に選択することが出来る。従って、最適な用品の配置を決定するための数理計画法における問題を解く際の計算量を低減した上で、好適な解を算出することが出来る。
【0111】
(4)第2変形動作例
図11及び図12を参照して、ネットワーク設計装置100の第2変形動作例について説明する。図11は、第2変形動作例における配置用品の選択動作の流れを示すフローチャートである。図12は、第2変形動作例における被約費用に基づく用品の選択と、選択された用品を配置した場合の目的関数の算出の態様について示すテーブルの集合である。
【0112】
第2変形動作例においては、ネットワーク設計装置100の用品選択部123は、現在配置されている用品からコストが最も近い用品群から順に、被約費用が負であり且つ最小である用品を次の配置候補として選択する。
【0113】
以下に、具体的な動作の流れを説明する。
【0114】
用品x1、x4、x7、x10、x13及びx15が仮に配置された状態において、用品選択部123は、各用品についての被約費用を算出する(ステップS300)。用品選択部123は、被約費用が負である用品が存在するか否かの確認を行う(ステップS301)。
【0115】
被約費用が負である用品が存在する場合(ステップS301:Yes)、用品選択部123は、現在の配置用品からコストが最も近い用品を一又は複数選択する(ステップS302)。そして、用品選択部123は、選択された用品の内、被約費用が負であり且つ最小の用品を配置候補として選択する(ステップS303)。
【0116】
図12(1)の例では、用品選択部123は、現在配置される用品群x2、x5、x8、x11、x14、x16のうち,被約費用が最小のい用品x8を選択する。
【0117】
用品選択部123は、選択された用品x8を用品x7に換えて配置した場合の目的関数を算出する(ステップS304)。図12(2)に示されるように、算出される目的関数は、9となる。
【0118】
用品選択部123は、算出した目的関数と、用品変更前の目的関数とを比較して(ステップS305)、目的関数が改善したか否かの判定を行う(ステップS306)。図12(1)及び(2)に示される例では、目的関数が12から9になり、改善が見られる。
【0119】
そこで、用品選択部123は、用品x8を配置用品として選択する(ステップS307)。その後、ステップS301乃至S306の処理を繰り返す。
【0120】
図12(2)に示されるように、用品x1、x4、x8、x10、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x9を配置候補として選択する。図12(3)に示されるように、用品x8を用品x9に変更する場合の目的関数は6となり、図12(2)に示される目的関数9より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x9を配置用品として選択する。
【0121】
図12(3)に示されるように、用品x2、x4、x9、x10、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x2を配置候補として選択する。図12(4)に示されるように、用品x1を用品x2に変更する場合の目的関数は4となり、図12(3)に示される目的関数6より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x2を配置用品として選択する。
【0122】
図12(4)に示されるように、用品x2、x4、x9、x10、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x11を配置候補として選択する。図12(5)に示されるように、用品x10を用品x11に変更する場合の目的関数は2となり、図12(4)に示される目的関数4より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x11を配置用品として選択する。
【0123】
図12(5)に示されるように、用品x2、x4、x9、x11、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x17を配置候補として選択する。図12(6)に示されるように、用品x15を用品x17に変更する場合の目的関数は0となり、図12(5)に示される目的関数2より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x9を配置用品として選択する。
【0124】
図12(6)に示されるように、用品x2、x4、x9、x11、x13及びx17が配置された状態では、目的関数が0となるため、用品選択部123は、用品x2、x4、x9、x11、x13及びx17が配置される状態を配置用品情報として決定し(ステップS309)、処理を終了する。
【0125】
上述した、第2変形動作例においても、ネットワーク設計装置100の動作例と同様に、一の途中解から次の実行可能解への遷移において、被約費用に基づくことで、目的関数の改善の可能性がある用品を好適に選択することが出来る。従って、最適な用品の配置を決定するための数理計画法における問題を解く際の計算量を低減した上で、好適な解を算出することが出来る。
【0126】
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0127】
(付記1)
線形区間を含むネットワークにおいて、前記線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、前記伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び前記線形区間における一又は複数の前記配置点を含む所定の区間における前記伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する情報取得手段と、
前記装置候補情報、前記配置コスト、及び前記目標コストに基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成手段と、
前記数理計画法における問題を、前記伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択手段と
を備え、
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補を決定することを特徴とするネットワーク設計装置。
【0128】
(付記2)
前記装置選択手段は、(1)前記伝送装置の候補から第1の組み合わせを選択し、(2)該第1の組み合わせについて前記数理計画法における問題の目的関数及び被約費用を算出し、(3)算出された前記被約費用に基づいて、前記伝送装置の候補から前記第1の組み合わせとは異なる第2の組み合わせを選択し、(4)該第2の組み合わせについて算出した、前記数理計画法における問題の目的関数と、前記第1の組み合わせについて算出した、前記数理計画法における問題の目的関数とを比較し、(5)目的関数が前記数理計画法における問題の目標値により近い組み合わせを前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせとして決定することを特徴とする付記1に記載のネットワーク設計装置。
【0129】
(付記3)
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補として決定することを特徴とする付記1又は2に記載のネットワーク設計装置。
【0130】
(付記4)
前記装置選択手段は、前記第1の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記第2の組み合わせに含めることを特徴とする付記2に記載のネットワーク設計装置。
【0131】
(付記5)
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置と同一の前記配置点に配置される前記伝送装置のうち、被約費用が負であり、前記同一の配置点に配置されるものとして前記伝送装置の候補の組み合わせに含まれる前記伝送装置と最も配置コストが近い前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補として決定することを特徴とする付記1又は2に記載のネットワーク設計装置。
【0132】
(付記6)
前記装置選択手段は、前記第1の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置と同一の前記配置点に配置される前記伝送装置のうち、被約費用が負であり、前記同一の配置点に配置されるものとして前記第1の組み合わせに含まれている前記伝送装置と最も配置コストが近い前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記第2の組み合わせに含めることを特徴とする付記2に記載のネットワーク設計装置。
【0133】
(付記7)
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせに含まれる一つの前記伝送装置と最も配置コストが近く且つ前記伝送装置の候補の組み合わせに含まれない前記伝送装置のうち、該伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補として決定することを特徴とする付記1又は2に記載のネットワーク設計装置。
【0134】
(付記8)
前記装置選択手段は、前記第1の組み合わせに含まれる一つの前記伝送装置と最も配置コストが近く且つ前記第1の組み合わせに含まれない前記伝送装置のうち、前記第1の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記第2の組み合わせに含めることを特徴とする付記2に記載のネットワーク設計装置。
【0135】
(付記9)
線形区間を含むネットワークにおいて、前記線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、前記伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び前記線形区間における一又は複数の前記配置点を含む所定の区間における前記伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する情報取得工程と、
前記装置候補情報、前記配置コスト、及び前記目標コストに基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成工程と、
前記数理計画法における問題を、前記伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択工程
とを備え、
前記装置選択工程は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補を決定することを特徴とするネットワーク設計方法。
【0136】
(付記10)
コンピュータを、
線形区間を含むネットワークにおいて、前記線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、前記伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び前記線形区間における一又は複数の前記配置点を含む所定の区間における前記伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する情報取得手段と、
前記装置候補情報、前記配置コスト、及び前記目標コストに基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成手段と、
前記数理計画法における問題を、前記伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択手段と
して機能させ、
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補を決定することを特徴とするネットワーク設計プログラム。
【0137】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うネットワーク設計装置及び方法などもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0138】
100 ネットワーク設計装置、
110 入出力インタフェース、
111 入力部、
112 出力部、
120 CPU、
121 用品候補選択部、
122 問題生成部、
123 用品選択部、
130 メモリ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークへの用品配置を決定するためのネットワーク設計装置及び方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システム等において利用されるこの種のネットワークでは、ネットワーク上のトラヒックを処理するために最低限必要とされる装置構成がある。ネットワーク上の装置構成とは、例えば、信号の中継局など、所謂信号の伝送に係る装置である。
【0003】
一般に、ネットワーク上に配置されるこれらの信号伝送装置のコストと、これらの信号伝送装置上を経由する信号の伝送品質とはトレードオフの関係にある。すなわちコストの高い信号伝送装置が配置されると信号の伝送品質が向上する。これによりネットワーク上の信号の伝送路上において必要とされる信号伝送装置の数が減少する。他方で、コストが低い信号伝送装置の配置数を増やすと全体としての装置の配置数が増加する。
【0004】
また、ネットワークの性質上、上述したネットワーク上のトラヒックを処理するために求められるコストを大きく下回るネットワークは許容されない。
【0005】
上述した性質を考慮して、ネットワークの設計においては、トラヒックより決定される目標コストに対して、信号伝送装置のコストの総和、言い換えればネットワークを敷設する際の所要コストを可能な限り近付けることが好ましい。このようなネットワークの設計のために、整数計画法を用いてネットワークを設計する手法が提案されている。
【0006】
下記に示される先行技術文献には、基板に部品を装着する際の割り振り方法を混合整数計画問題としてモデル化し、該問題を解くことにより割り振り方法を決定する方法について説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−38087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ネットワークの設計においても、数理計画法における整数計画問題又は混合整数計画問題等の問題を用いて、ネットワーク上に設置される装置のコストの総和と目標コストとの差分が最小となる配置を決定することで、好適なネットワーク設計が可能となる。
【0009】
しかしながら、数理計画法における問題を解くことによるネットワーク上の装置の配置決定は、装置数が増えることにより解法に係る処理量が増大するという技術的な問題がある。
【0010】
例えば、あるネットワークについて、現在考えられている配置から装置を一つ変更することを考える場合、装置交換後の目的関数を再計算することが要求される。また、かかる変更がネットワーク設計において適しているか否かを判定するためには、変更候補の装置全てについて目的関数を計算し直す必要がある。
【0011】
本発明は、上述した問題点に鑑み為されたものであり、数理計画法における問題を用いるネットワークの設計方法において、要求される処理量を低減し得るネットワークの設計装置及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、開示のネットワーク設計装置は、情報取得手段と、問題生成手段と、装置選択手段とを備える。
【0013】
情報取得手段は、線形区間を含むネットワークにおいて、該線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び線形区間における一又は複数の配置点を含む所定の区間における伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する。
【0014】
問題生成手段は、装置候補情報、配置コスト、及び目標コストに基づいて、線形区間に配置する伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する。
【0015】
装置選択手段は、生成された数理計画法における問題を、伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、線形区間に配置する伝送装置の候補の組み合わせを決定する。尚、装置選択手段は、伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に数理計画法における問題を解く伝送装置の候補を決定する。
【0016】
上記課題を解決するために、開示のネットワーク設計方法は、情報取得工程と、問題生成工程と、装置選択工程とを備える。情報取得工程では、上述した情報取得手段と同様の処理が実施される。問題生成工程では、上述した問題生成手段と同様の処理が実施される。装置選択工程では、上述した装置選択手段と同様の処理が実施される。
【発明の効果】
【0017】
開示のネットワーク設計装置によれば、配置される伝送装置の組み合わせの候補について算出した被約費用に基づいて、次に目的関数を算出するために数理計画法における問題を解くための伝送装置の組み合わせの候補が選択される。このため、好適に目的関数の改善の可能性がある伝送装置の組み合わせについて、目的関数の検証が可能となるため、計算量を低減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】設計対象となるネットワークを示す図である。
【図2】ネットワーク設計装置のハードウェア構成及び機能部構成を示す図である。
【図3】ネットワーク設計装置に入力されるネットワークについての情報を示す図である。
【図4】ネットワーク設計装置の動作例における動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】動作例における配置候補の用品について、コスト及び目標コストを示す図である。
【図6】被約費用の算出の具体例を示す図である。
【図7】目的関数費用の算出の具体例を示す図である。
【図8】ネットワーク設計装置の動作例における目的関数及び被約費用の推移の様子を示すフローチャートである。
【図9】ネットワーク設計装置の第1変形動作例における動作の流れを示すフローチャートである。
【図10】ネットワーク設計装置の第1変形動作例における目的関数及び被約費用の推移の様子を示すフローチャートである。
【図11】ネットワーク設計装置の第2変形動作例における動作の流れを示すフローチャートである。
【図12】ネットワーク設計装置の第2変形動作例における目的関数及び被約費用の推移の様子を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(1)構成例
図1に、開示のネットワーク設計装置による設計の対象となるネットワークの一例を示す。図1に示されるネットワーク200は、移動通信システム等を構成するネットワークの一部を示すものである。ネットワーク200では、信号分岐装置又は信号中継装置等のノード装置1乃至6が配置される線形区間について示している。尚、ネットワーク200は、所謂メッシュ型のネットワークにおける或る線形区間について示しているが、例えば、ネットワーク200はその他の態様のネットワークの一部であってもよい。
【0021】
線形区間は2つ以上のノード装置が縦続接続されることにより形成される区間である。例えば、図1の例では、ノード装置1の出力がノード装置2の入力に、ノード装置2の出力がノード装置3の入力に、ノード装置3の出力がノード装置4の入力に、ノード装置4の出力がノード装置5の入力に、ノード装置5の出力がノード装置6の入力に、夫々接続されている。尚、接続端子の向きは逆向きであっても、双方向であってもよい。また、線形区間においては、ノード装置間の接続は、物理的に直線である必要はなく、曲線的に接続されていてもよい。
【0022】
開示のネットワーク設計装置は、ネットワーク200における線形区間において、該線形区間に配置されるノード装置の組み合わせを決定する。以降、ノード装置について「用品」と記載し、ノード装置の配置の組み合わせについて「用品配置」と記載して説明することがある。
【0023】
ネットワーク200上に配置される用品は、夫々トラヒックを処理するためのコストを有している。コストの高い用品が配置されると、ネットワーク200における該用品を経由する信号の伝送品質が大きく向上する。他方で、コストの低い用品が配置されると、伝送品質の大きな向上は生じない。
【0024】
ネットワーク200上では、所定の区間ごとにトラヒック処理のための目標コストが設定される。かかる目標コストは、ネットワーク200上において、シミュレーションや統計処理等により得られる予測トラヒック量を処理するために必要とされるコストである。区間ごとの該目標コストに対して、多少の変動幅は許容されるものの、該区間に配置される用品のコスト総和と目標コストとの差分が可能な限り近付くよう、ネットワーク200が設計されることが好ましい。
【0025】
以下に説明するように、ネットワーク設計装置100は、ネットワーク200において区間ごとに設定される目標コストに対して、より近いコスト総和を有する用品配置の決定を行う。
【0026】
図2を参照して、ネットワーク設計装置100の構成について説明する。図2は、ネットワーク設計装置100の基本的な構成を示すブロック図である。
【0027】
図2に示されるように、ネットワーク設計装置100は、入出力インタフェース110と、CPU120と、メモリ130とを備える。
【0028】
入出力インタフェース110は、例えば、外部のネットワークノード装置や、コンピュータ等との間でデータの入出力を行うためのインタフェースであって、入力部111及び出力部112の機能部を有する。
【0029】
入力部111は、外部からのデータを入力するための機能部であって、設計対象となるネットワークトポロジー情報、該ネットワーク200におけるトラヒック情報(言い換えれば、ネットワーク上の各区間における配置用品の目標コスト)及び該ネットワーク200上に配置される用品についてのデータ等の入力を受け、CPU120に出力する。用品についてのデータとは、例えば、ネットワークトポロジーにおける或る区間における配置候補となり得る各用品についてコストを示したものである。
【0030】
出力部112は、CPU120において算出された用品配置情報を外部に出力する。
【0031】
CPU120は、ネットワーク設計装置100における各部の動作の制御を行うための演算装置であり、また入力された情報を処理することで、用品配置情報の算出を行う。CPU120は、用品候補選択部121、問題生成部122及び用品選択部123の機能部を有する。
【0032】
用品候補選択部121は、入力部111より入力される用品のデータに基づいて、ネットワーク200上の用品配置情報の算出を行うための用品候補データの生成を行う。また、用品候補選択部121は、生成した用品候補データについて、メモリ130内部にデータベースとして格納してもよい。
【0033】
問題生成部122は、入力部111より入力されるネットワークトポロジー情報及びトラヒック情報に基づいて、用品配置情報の算出を行うための数理計画法における整数計画問題又は混合整数計画問題等の問題の生成を行う。また、問題生成部122は、入力されるネットワークトポロジー情報及びトラヒック情報、並びに生成した数理計画法における問題をメモリ130内部に格納してもよい。
【0034】
用品選択部123は、用品候補選択部121において生成される用品候補データと、問題生成部122において生成される数理計画法における問題とに基づいて、ネットワーク200上への用品配置情報の算出を行う。用品選択部123は、例えば、数理計画法における問題を、用品候補データについて解くことによって、用品配置情報の算出を行う。
【0035】
メモリ130は、CPU120を動作させるためのソフトウェアや、ネットワーク設計装置100の動作の上での各種情報等を格納するための記憶装置である。
【0036】
図3に、問題生成部122が生成する数理計画法における問題をネットワークトポロジー図として示す。図3は、図1に示されるネットワーク200における線形区間についてネットワークトポロジー図として示すものである。
【0037】
図3に示されるように、問題生成部122は、入力部111より入力されるネットワークトポロジー情報及びトラヒック情報に基づいて、用品が配置される区間を指定するネットワークトポロジー図を生成する。図3の例では、問題生成部122は、図1のネットワーク200をノード装置1が配置される区間1’と、ノード装置2が配置される区間2’と、ノード装置3が配置される区間3’と、ノード装置4が配置される区間4’と、ノード装置5が配置される区間5’と、ノード装置6が配置される区間6’とに分割する。
【0038】
また、問題生成部122は、トラヒック情報に基づいて、ネットワークトポロジーにおける区間毎の目標コストを設定する。図3の例では、区間1’、2’、3’における用品コストの総和が15、区間3’、4’、5’における用品コストの総和が20、区間1’、2’、3’、4’、5’、6’における用品コストの総和が40に夫々設定される。
【0039】
用品候補選択部121は、用品候補データを参照して、区間毎に配置される用品の識別番号とコストとを用品選択部123に通知する。図3の例では、区間1’に配置される用品の候補としてx1(1)、x2(2)及びx3(3)が挙げられている。区間2’に配置される用品の候補としてx4(7)、x5(8)及びx6(9)が挙げられている。区間3’に配置される用品の候補としてx7(4)、x8(5)及びx9(6)が挙げられている。区間4’に配置される用品の候補としてx10(11)、x11(12)及びx12(13)が挙げられている。区間5’に配置される用品の候補としてx13(2)及びx14(3)が挙げられている。区間6’に配置される用品の候補としてx15(9)、x16(10)、x17(11)及びx18(12)が挙げられている。尚、カッコ内の数字は各用品のコストを示す。
【0040】
問題生成部122は、用品候補選択部121から入力される区間毎の配置用品とそのコスト、並びにネットワークトポロジーに示されるネットワーク200上の区間及び目標コストを参照し、下記の式(1)乃至(3)に示される整数計画問題を生成する。
【0041】
上述した整数計画問題又は混合整数計画問題を解くことにより、適切な用品配置の決定を行う数理計画法では、上述したように区間毎に設定される配置用品の候補より、複数の区間を跨いで設定される目標コスト等に基づいて、各区間に配置される用品が決定される。また、図3に示されるネットワークトポロジーの例においては、各区間に一つずつ用品が配置される。このように、区間毎に配置される用品の数、及び目標コストを条件として、問題生成部122は、用品の配置を決定するための制約式を生成する。
【0042】
用品選択部123は、このような制約式により示される条件の下、数理計画法に基づいて算出する対象である目的関数(objective function)を最適な値(例えば、最大値又は最小値)となるよう整数計画問題を解くことで、好適な用品の配置を決定する。
【0043】
以下に示す例では、用品選択部123は、ネットワーク200の区間毎に配置される用品の目標コストと配置される用品のコストの和との差分を目的関数に設定する。そして、ネットワーク200の区間毎に配置される用品のコストの和を可能な限り目標コストに近付けるよう、用品選択部123は、このような目的関数を制約式により示される条件下で最小とする最適解を算出することで用品の配置を決定する。
【0044】
(2)動作例
以下、本実施例で用いる整数計画問題及びその解法について説明する。
【0045】
問題生成部122は、上述のように生成されたネットワークトポロジーに基づいて、数理計画法における問題を生成する。
【0046】
問題生成部122は、例えば、入力情報として、ネットワーク200における区間情報及びトラフィック情報、各区間において配置可能な用品の候補、各用品のコスト、並びに各トラフィックに基づく所定の区間毎の目標コスト等の入力を受ける。そして、問題生成部122は、ネットワーク200における各区間において、トラフィックに基づいて決定される目標コストに対して、配置される用品のコストの総和が最適となるよう、各区間に配置可能な用品候補から夫々1つの用品を選択することを目標とする問題を生成する。
【0047】
数理計画法における問題は、例えば、整数計画問題又は混合整数計画問題に係る目的関数と制約式との集合となる。以下に示される式(1)式は、問題生成部122により生成される数理計画法における問題に基づき、上述した用品選択部123が解く整数計画問題における目的関数を表現する数式である。
【0048】
【数1】
式(1)において、pe(t)及びne(t)は、配置される用品のコストの和と、目標コストとの差分、つまり誤差を示す成分である。尚、pe(t)は、正の誤差について、ne(t)は負の誤差について夫々示す成分であり、pe(t)+ne(t)により誤差の絶対量を示す。変数tは、ネットワーク200上におけるトラヒックが生じる所定の経路(トラヒック経路)を示す。関数w(t)は、或る経路tにおける配置用品のコストと目標コストとの誤差に重みづけを行うための係数である。かかる係数を設定することにより、ネットワーク200における特定の箇所をトラヒック毎に決定し、優先的に用品の配置決定を行うことが出来る。重みづけ係数w(t)は、用品候補選択部121、問題生成部122又は用品交換部123等において設定される。尚、その他の態様で、用品配置の決定に係る優先度を別途指定してもよい。
【0049】
式(1)に示した目的関数に係る制約条件を示す制約式を以下の式(2)及び式(3)に示す。
【0050】
【数2】
【0051】
【数3】
式(2)は、ネットワーク200に配置される用品について、各区間(つまり、図3における区間1’乃至6’のいずれか)の用品の候補より1つずつ選択するという条件を示す制約式である。式(2)において、x(c)は、区間(segment)sにおける用品cについての存在又は非存在を示す関数である。x(c)=1である場合、用品cが配置され、x(c)=0である場合、用品cが配置されていないことを夫々示す。つまり、式(2)によれば、或る区間sにおいて配置される用品は、該区間に配置される用品候補(candidate c on s)のうち、1つが選択されることを示している。
【0052】
式(3)は、ネットワーク200に配置される用品について、コストの総和と、所定の1又は複数の区間毎に設定される目標コストとの誤差を決定する制約式である。式(3)において、ideal_cost(t)は、所定の経路tについて算出された目標コストを示す。cost(c)は、所定の経路t中の区間cに配置される用品のコストを示す。用品のコストcost(c)と、配置される用品x(c)との積cost(c)・x(c)は、所定のトラヒック経路tにおける区間cに配置される用品のコストを示す。また、トラヒック経路t中の区間cのコストの総和は、Σcost(c)・x(c)により表される。
従って、式(3)によれば、所定のトラヒック経路tにおける各区間に配置される用品のコストの総和と該トラヒック経路における目標コストとの差分が誤差成分pe(t)+ne(t)により表される。
【0053】
上記のように設定された整数計画問題について、用品選択部123は、最適解の算出を行う。以下に、用品選択部123が行う算出処理の流れについて、図4を参照して説明する。
【0054】
図4は、最適解の算出処理に係る用品選択部123の動作の流れを示すフローチャートである。図5は、図3に示されるネットワーク200における区間毎の用品候補のコストと、被約費用(Reduced Cost)とを含むデータを示すテーブルである。
【0055】
図5には、図3に示されるように、区間1’、2’、3’における用品コストの総和が15、区間3’、4’、5’における用品コストの総和が20、区間1’、2’、3’、4’、5’、6’における用品コストの総和が40に夫々設定される場合についての用品の配置に係るデータが示される。以降の説明においては、区間毎の目標コストについて、区間1’、2’、3’における用品コストの総和が15となる条件を条件1と記載して説明する。また、区間3’、4’、5’における用品コストの総和が20となる条件を条件2と記載して説明する。また、区間1’、2’、3’、4’、5’、6’における用品コストの総和が40となる条件を条件3と記載して説明する。
【0056】
図5のテーブルの第1行には、各用品についての用品番号xn及び誤差成分が記載される。誤差成分の内、ne1及びpe1は、条件1における誤差成分、ne2及びpe2は、条件2における誤差成分、ne3及びpe3は、条件3における誤差成分を夫々示す。
【0057】
図5のテーブル第2行には、各用品及び誤差成分についての存在又は非存在を示すベクトルcが記述される。
【0058】
図5のテーブル第3行から第12行までには、ネットワーク200に対する各用品の配置状態及びコスト、並びに誤差成分の状態を示す行列Aが記述される。
【0059】
図5のテーブル第13行には、各用品候補xnについて、夫々の被約費用c^が記述される。被約費用c^は、例えば、行列Aについて、条件1、条件2又は条件3について連立方程式を生成することで算出可能である。
【0060】
以下の説明では、用品x1、x4、x7、x10、x13及びx15が仮に配置されたネットワーク200において、より効率的な(つまり、目標コストと配置される用品コストの総和との誤差が最小となる)用品の配置を決定する際の動作について説明する。
【0061】
図4に示されるように、先ず用品選択部123は、上述のように生成された整数計画問題における目的関数及び制約式に基づいて、各区間の用品の候補についての被約費用の算出を行う(ステップS100)。
【0062】
図6を参照して、被約費用の具体的な算出動作について説明する。
【0063】
被約費用c^は、以下に示す式(4)により表される。
【0064】
【数4】
ここに、Nは、非基底成分の(言い換えれば、選択されていない)変数(つまり、各用品xn並びに誤差成分pe及びneを含む変数)に対応する行列である。具体的には、図5に示す行列Aにおいて、非基底成分である用品xn、誤差成分pe、neについての列の集合が行列Nにあたる。また、cNは、行列cの非基底成分を示す行列である。具体的には、図5に示す行列cにおいて、非基底成分である用品xn、誤差成分pe、neについての列(値)の集合がcNにあたる。尚、πは以下の式(5)により表される。
【0065】
【数5】
ここに、Bは基底成分の(言い換えれば、ネットワーク200に仮に配置されている)用品候補を示す行列である。具体的には、図5に示す行列Aにおいて、基底成分である用品xn、誤差成分pe、neについての列の集合が行列Bにあたる。また、cBは、行列cの基底成分を示す行列である。具体的には、図5に示す行列cにおいて、基底成分である用品xn、誤差成分pe、neについての列(値)の集合がcBにあたる。図3及び図5の例に基づく行列B及びcBは、図6(1)に示されるものとなる。また、行列Bの逆行列B−1は、図6(2)に示されるものとなる。
【0066】
尚、π=cBB−1は、図6(3)に示されるものとなる。
【0067】
以上、示した式を用いることで、現在ネットワーク200に配置されていない用品(つまり、非基底成分N)の被約費用c^は、以下の式(6)より求められる。
【0068】
【数6】
尚、図5に示される例では、cBは、誤差成分以外の用品については0となるため、被約費用c^=−cBB−1Nとなる。なお、ここでは誤差成分に関する被約費用は省略している。
【0069】
目的関数を最小化することを目的とする、所謂最小化問題においては、被約費用c^成分が負であり、且つ絶対量の大きい(言い換えれば、最小の)被基底変数を新たに基底変数として、現在基底変数に選択されている変数と交換することで、目的関数が改善される可能性がある。用品選択部123は、算出された被約費用を参照して、被約費用が負である配置候補の用品が存在するか否かを確認する(ステップS101)。
【0070】
被約費用が負である配置候補の用品が存在する場合(ステップS101:Yes)、用品選択部123は、図5のテーブルのように示される配置用品の候補から、被約費用が負であり、且つ最小のものを選択する(ステップS102)。用品選択部123は、現在ネットワーク200に配置される用品を、該選択された配置候補の用品に配置を変更した場合の目的関数の算出を行う(ステップS103)。
【0071】
目的関数の算出の態様について、図7に例を示して説明する。初回の算出時には、用品x1、x4、x7、x10、x13及びx15が仮に配置された状態であるため、図7は、これらの用品を配置した際の目的関数の算出の態様について示している。このように配置される用品の組み合わせによれば、条件1に該当する区間1’、2’、3’におけるコスト総和は1+7+4=12となり、目標コスト15とのコスト差分は3となる。また、条件2に該当する区間3’、4’、5’におけるコスト総和は4+11+2=17となり、目標コスト20とのコスト差分は3となる。また、条件3に該当する区間1’、2’、3’、4’、5’、6’におけるコスト総和は1+7+4+11+2+9=34となり、目標コスト40とのコスト差分は6となる。以上のことから、条件1乃至3を同時に満たすよう設定される目的関数は、コスト差分の和3+3+6=12となる。
【0072】
用品選択部123は、用品の配置変更後の目的関数と、変更前の目的関数とを比較して、変更前に比べて目的関数が改善しているか(つまり、変更前より値が小さくなっているか)否かの判定を行う(ステップS104)。
【0073】
用品選択部123は、用品の配置の変更により、目的関数が改善されると判断される場合(ステップS105:Yes)、該選択された配置候補の用品を配置用品として設定する(ステップS106)。その後、用品選択部123は、選択された配置用品について被約費用の算出を行い、ステップS100乃至S105の処理を繰り返す。
【0074】
他方で、用品の配置の変更により、目的関数が改善されない、又は悪化すると判断される場合(ステップS105:No)、該選択された配置候補の用品を配置用品としては不適であると判断する(ステップS107)。その後、用品選択部123は、ステップS100において算出された被約費用のうち、不適とされた配置候補の用品を除いて、被約費用が負である配置候補の用品が存在するか否かの確認を行い、ステップS101乃至S105の処理を繰り返す。
【0075】
用品選択部123は、目的関数が改善しない、又は悪化することから不適と判断された用品を除いて、被約費用が負である用品が存在しない場合(ステップS101:No)、現在設定される配置用品の組み合わせを、配置用品情報として決定する(ステップS108)。
【0076】
上述した動作の流れにおける用品の選択及び目的関数の算出の態様について、図8を参照して説明する。図8は、図3及び図5に示される例における被約費用に基づく用品の選択と、選択された用品を配置した場合の目的関数の算出の態様について示すテーブルの集合である。なお、以降の例では、記載を省略するが、各区間の誤差成分pe、neのうち、いずれか一方の誤差量が正となる成分が基底として選択されているものとする。また、誤差量が0の場合はneが基底として選択される。
【0077】
図8(1)に示されるように、用品x1、x4、x7、x10、x13及びx15が仮に配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、配置候補として、被約費用が負であり、且つ絶対量が最大の用品を選択する。用品選択部123は、図8(1)の例では、被約費用が−6の用品x9を配置候補として選択する。次に、用品選択部123は、用品x9が配置される区間3’において、現在仮に配置される用品x7をx9に変更した場合について、目的関数の算出を行う。
【0078】
用品選択部123は、図5に示されるものと同様の手順で、用品x1、x4、x9、x10、x13及びx15が配置される場合の目的関数の算出を行う。図8(2)に示されるように、変更後の目的関数は6となり、変更前と比較して改善が見られる。このため、用品選択部123は、区間3’において配置される用品をx9に決定する。尚、配置される用品をx7からx9に変更することにより、各用品の被約費用が変化する。用品選択部123は、ネットワーク200における他の区間についての配置用品を選択するために、被約費用の算出を行い、図4に示される動作の流れを繰り返す。
【0079】
用品x1、x4、x9、x10、x13及びx15が配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、次の配置候補として用品x3、x6及びx12を検出する。以下の説明では、便宜上、用品x3、x6、x12のように順番で配置変更後の目的関数の算出と判定を行うものとする。
【0080】
用品x3が配置される区間1’において、用品x1を用品x3に変更する場合、目的関数は、図8(3)に示されるように、4となり、更に改善が見られる。このため、用品選択部123は、区間1’において配置される用品をx3に決定する。
【0081】
用品x3、x4、x9、x10、x13及びx15が配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、他の区間についての配置用品を選択するために、被約費用の算出を行い、図4に示される動作の流れを繰り返す。用品選択部123は、図8(3)に示されるように算出される用品の被約費用から、次の配置候補として、被約費用が−4である用品x12を選択する。用品x12が配置される区間4’において、用品x10を用品x12に変更する場合、目的関数は、図8(4)に示されるように、2となり、更に改善が見られる。このため、用品選択部123は、区間4’において配置される用品をx12に決定する。
【0082】
用品x3、x4、x9、x12、x13及びx15が配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、他の区間についての配置用品を選択するために、被約費用の算出を行い、図4に示される動作の流れを繰り返す。用品選択部123は、図8(4)に示されるように算出される用品の被約費用から、次の配置候補として、被約費用が−3である用品x18を選択する。用品x18が配置される区間6’において、用品x15を用品x18に変更する場合、目的関数は、図8(5)に示されるように、5となり、却って悪化する。このため、用品選択部123は、区間6’において配置される用品がx18では不適であると判断する。用品選択部123は、図8(5)に示される用品x3、x4、x9、x12、x13及びx18が配置された状態のネットワーク200において、被約費用が負であり最も小さい用品x15を配置候補として選択し、目的関数の算出を行う。
【0083】
用品x18を用品x15に交換することで、図8(6)に示されるように、目的関数及び各用品の被約費用は、図8(4)と同様の状態となる。用品選択部123は、不適であると判断した用品x18を除いて、被約費用が次に小さい(且つ、負である)用品である配置候補として、用品x7及び用品x17を選択する。尚、配置される用品を用品x7及び用品x17に変更する場合、目的関数はいずれも4となり悪化するため、用品選択部123は、これらの用品x7及び用品x17についても配置候補としては不適であると判断する。
【0084】
用品x3、x4、x9、x12、x13及びx15が配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、不適であるとして除外された用品x7、用品x17及び用品18に次いで被約費用が小さい用品x8を配置候補として選択する。
【0085】
用品x8が配置される区間3’において、用品x9を用品x8に変更する場合、目的関数は、図8(7)に示されるように、1となり、更に改善が見られる。このため、用品選択部123は、区間3’において配置される用品をx8に決定する。
【0086】
用品x3、x4、x8、x12、x13及びx15が配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、被約費用が小さい用品について、配置候補として選択して目的関数の算出を更に行う。用品選択部123は、図8(7)に示されるよう、被約費用が小さい用品x6、x9、x18、x14、x17、x16の順で各用品に配置を変更した場合の目的関数の算出を行う。尚、用品x6に配置を変更する場合、目的関数は3となり悪化する。用品x9に配置を変更する場合、目的関数は2となり悪化する。用品x18に配置を変更する場合、目的関数は2となり悪化する。用品x14に配置を変更する場合、目的関数は1となり改善が見られない。用品x17に配置を変更する場合、目的関数は1となり改善が見られない。
【0087】
用品x16に配置を変更する場合、図8(8)に示されるように、目的関数が0となり改善が見られるため、用品選択部123は、用品x15の代わりに用品x16を配置するよう決定する。
【0088】
用品x3、x4、x8、x12、x13及びx16が配置された状態のネットワーク200において、用品選択部123は、被約費用が小さい用品について、配置候補として選択して目的関数の算出を更に行う。用品選択部123は、図8(8)に示されるよう、被約費用が小さい用品x6、x9、x5、x14、x18、x17の順で各用品に配置を変更した場合の目的関数の算出を行う。尚、用品x6に配置を変更する場合、目的関数は4となり悪化する。用品x9に配置を変更する場合、目的関数は3となり悪化する。用品x14に配置を変更する場合、目的関数は2となり悪化する。用品x18に配置を変更する場合、目的関数は2となり悪化する。用品x17に配置を変更する場合、目的関数は1となり悪化する。以上のように、被約費用が負である用品で、目的関数が改善するものがないため、用品選択部123は、以降の処理を終了する。
【0089】
用品選択部123は、用品x3、x4、x8、x12、x13及びx16が配置される場合に目的関数が最小値となることから、これらの用品を配置するよう用品配置情報を決定する。
【0090】
以上、説明した一連の動作によれば、全ての配置候補の用品について、目的関数を算出することなく、好適な配置用品を決定することが出来る。用品毎の被約費用は、該用品に配置を変更する場合の目的関数に与える影響の大小を示す指標である。特に、目的関数を最小化する数理計画法における問題においては、被約費用が負となる用品を次の配置候補として選択することにより、好適に、目的関数を改善する可能性のある用品を選択することが出来る。このため、被約費用を比較することで、目的関数を改善する可能性のない(例えば、被約費用が正又は0の)用品を配置候補から除外することが出来る。
【0091】
従って、全ての配置候補の用品について、目的関数の算出を行うことなく、目的関数の改善の可能性がある用品を選択可能となる。
【0092】
上述した数理計画法における問題は、整数計画問題又は混合整数計画問題等の問題としてモデル化が可能である。しかしながら、整数計画問題又は混合整数計画問題を用いて台規模問題を解く場合、計算量が増大することにより、短時間で最適解を算出することは困難な場合が多い。例えば、上述した動作例によらない(言い換えれば、従来の)最適解の算出法においては、用品についてのある組み合わせから次に配置を変更する用品を決定する場合、各用品について配置した場合の目的関数を算出していた。しかしながら、目的関数の算出には、行列演算が生じるため、計算負荷が多く、算出に多くの時間が必要とされる。
【0093】
他方で、上述した動作例によれば、ある用品を配置用品として決定した場合の途中解から、次に目的関数が改善される可能性のある用品についての実行可能解に至る計算量を低減し、効率的に遷移を行うことが可能となる。このため、最適解の算出に係る計算量を低減し、より短時間で算出することが可能となる。
【0094】
尚、例えば、目的関数を最大化するような数理計画法における問題を設定する場合、被約費用が正となる用品の内、最大のものから順番に目的関数を算出することで、同様の効果を得ることが出来る。従って、上述した例以外の数理計画法における問題についても、上述した一連の動作及びその効果が適用可能である。
【0095】
(3)第1変形動作例
図9及び図10を参照して、ネットワーク設計装置100の第1変形動作例について説明する。図9は、第1変形動作例における配置用品の選択動作の流れを示すフローチャートである。図10は、第1変形動作例における被約費用に基づく用品の選択と、選択された用品を配置した場合の目的関数の算出の態様について示すテーブルの集合である。
【0096】
第1変形動作例においては、ネットワーク設計装置100の用品選択部123は、被約費用が負であり最小である用品の代わりに、被約費用が負であり最小である用品が存在する区間において、現在配置されている用品からコストが最も近いものを次の配置候補として選択する。
【0097】
以下に、具体的な動作の流れを説明する。
【0098】
用品x1、x4、x7、x10、x13及びx15が仮に配置された状態において、用品選択部123は、各用品についての被約費用を算出する(ステップS200)。用品選択部123は、被約費用が負である用品が存在するか否かの確認を行う(ステップS201)。
【0099】
被約費用が負である用品が存在する場合(ステップS201:Yes)、用品選択部123は、被約費用が負であり且つ最小の用品を検出し、該用品が存在する区間を選択する(ステップS202)。そして、用品選択部123は、該区間において、被約費用が負であり、現在の配置用品からコストが最も近い用品を選択する(ステップS203)。
【0100】
図10(1)の例では、用品選択部123は、被約費用が負であり且つ最小の用品として用品x9を選択する。そして、用品x9が存在する区間3’において、被約費用が負であり、且つ現在配置される用品x7からコストが最も近い用品x8を選択する。
【0101】
用品選択部123は、選択された用品x8を用品x7に換えて配置した場合の目的関数を算出する(ステップS204)。図10(2)に示されるように、算出される目的関数は、9となる。
【0102】
用品選択部123は、算出した目的関数と、用品変更前の目的関数とを比較して(ステップS205)、目的関数が改善したか否かの判定を行う(ステップS206)。図10(1)及び(2)に示される例では、目的関数が12から9になり、改善が見られる。
【0103】
そこで、用品選択部123は、用品x8を配置用品として選択する(ステップS207)。その後、ステップS201乃至S206の処理を繰り返す。
【0104】
図10(2)に示されるように、用品x1、x4、x8、x10、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x2を配置候補として選択する。図10(3)に示されるように、用品x1を用品x2に変更する場合の目的関数は7となり、図10(2)に示される目的関数9より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x2を配置用品として選択する。
【0105】
図10(3)に示されるように、用品x2、x4、x8、x10、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x5を配置候補として選択する。図10(4)に示されるように、用品x4を用品x5に変更する場合の目的関数は5となり、図10(3)に示される目的関数7より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x5を配置用品として選択する。
【0106】
図10(4)に示されるように、用品x2、x5、x8、x10、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x11を配置候補として選択する。図10(5)に示されるように、用品x10を用品x11に変更する場合の目的関数は3となり、図10(4)に示される目的関数5より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x11を配置用品として選択する。
【0107】
図10(5)に示されるように、用品x2、x5、x8、x11、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x9を配置候補として選択する。図10(6)に示されるように、用品x8を用品x9に変更する場合の目的関数は2となり、図10(5)に示される目的関数3より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x9を配置用品として選択する。
【0108】
図10(6)に示されるように、用品x2、x5、x9、x11、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x16を配置候補として選択する。図10(7)に示されるように、用品x15を用品x16に変更する場合の目的関数は1となり、図10(6)に示される目的関数2より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x16を配置用品として選択する。
【0109】
図10(7)に示されるように、用品x2、x5、x9、x11、x13及びx16が配置された状態では、用品選択部123は、用品x12、x14、x17、x18の順で配置候補を選択するが、いずれの用品を配置した場合でも、目的関数に改善が見られない。そこで、用品選択部123は、用品x2、x5、x9、x11、x13及びx16が配置される状態を配置用品情報として決定し(ステップS209)、処理を終了する。
【0110】
上述した、第1変形動作例においても、ネットワーク設計装置100の動作例と同様に、一の途中解から次の実行可能解への遷移において、被約費用に基づくことで、目的関数の改善の可能性がある用品を好適に選択することが出来る。従って、最適な用品の配置を決定するための数理計画法における問題を解く際の計算量を低減した上で、好適な解を算出することが出来る。
【0111】
(4)第2変形動作例
図11及び図12を参照して、ネットワーク設計装置100の第2変形動作例について説明する。図11は、第2変形動作例における配置用品の選択動作の流れを示すフローチャートである。図12は、第2変形動作例における被約費用に基づく用品の選択と、選択された用品を配置した場合の目的関数の算出の態様について示すテーブルの集合である。
【0112】
第2変形動作例においては、ネットワーク設計装置100の用品選択部123は、現在配置されている用品からコストが最も近い用品群から順に、被約費用が負であり且つ最小である用品を次の配置候補として選択する。
【0113】
以下に、具体的な動作の流れを説明する。
【0114】
用品x1、x4、x7、x10、x13及びx15が仮に配置された状態において、用品選択部123は、各用品についての被約費用を算出する(ステップS300)。用品選択部123は、被約費用が負である用品が存在するか否かの確認を行う(ステップS301)。
【0115】
被約費用が負である用品が存在する場合(ステップS301:Yes)、用品選択部123は、現在の配置用品からコストが最も近い用品を一又は複数選択する(ステップS302)。そして、用品選択部123は、選択された用品の内、被約費用が負であり且つ最小の用品を配置候補として選択する(ステップS303)。
【0116】
図12(1)の例では、用品選択部123は、現在配置される用品群x2、x5、x8、x11、x14、x16のうち,被約費用が最小のい用品x8を選択する。
【0117】
用品選択部123は、選択された用品x8を用品x7に換えて配置した場合の目的関数を算出する(ステップS304)。図12(2)に示されるように、算出される目的関数は、9となる。
【0118】
用品選択部123は、算出した目的関数と、用品変更前の目的関数とを比較して(ステップS305)、目的関数が改善したか否かの判定を行う(ステップS306)。図12(1)及び(2)に示される例では、目的関数が12から9になり、改善が見られる。
【0119】
そこで、用品選択部123は、用品x8を配置用品として選択する(ステップS307)。その後、ステップS301乃至S306の処理を繰り返す。
【0120】
図12(2)に示されるように、用品x1、x4、x8、x10、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x9を配置候補として選択する。図12(3)に示されるように、用品x8を用品x9に変更する場合の目的関数は6となり、図12(2)に示される目的関数9より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x9を配置用品として選択する。
【0121】
図12(3)に示されるように、用品x2、x4、x9、x10、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x2を配置候補として選択する。図12(4)に示されるように、用品x1を用品x2に変更する場合の目的関数は4となり、図12(3)に示される目的関数6より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x2を配置用品として選択する。
【0122】
図12(4)に示されるように、用品x2、x4、x9、x10、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x11を配置候補として選択する。図12(5)に示されるように、用品x10を用品x11に変更する場合の目的関数は2となり、図12(4)に示される目的関数4より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x11を配置用品として選択する。
【0123】
図12(5)に示されるように、用品x2、x4、x9、x11、x13及びx15が配置された状態では、用品選択部123は、次に用品x17を配置候補として選択する。図12(6)に示されるように、用品x15を用品x17に変更する場合の目的関数は0となり、図12(5)に示される目的関数2より改善が見られるため、用品選択部123は、用品x9を配置用品として選択する。
【0124】
図12(6)に示されるように、用品x2、x4、x9、x11、x13及びx17が配置された状態では、目的関数が0となるため、用品選択部123は、用品x2、x4、x9、x11、x13及びx17が配置される状態を配置用品情報として決定し(ステップS309)、処理を終了する。
【0125】
上述した、第2変形動作例においても、ネットワーク設計装置100の動作例と同様に、一の途中解から次の実行可能解への遷移において、被約費用に基づくことで、目的関数の改善の可能性がある用品を好適に選択することが出来る。従って、最適な用品の配置を決定するための数理計画法における問題を解く際の計算量を低減した上で、好適な解を算出することが出来る。
【0126】
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0127】
(付記1)
線形区間を含むネットワークにおいて、前記線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、前記伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び前記線形区間における一又は複数の前記配置点を含む所定の区間における前記伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する情報取得手段と、
前記装置候補情報、前記配置コスト、及び前記目標コストに基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成手段と、
前記数理計画法における問題を、前記伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択手段と
を備え、
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補を決定することを特徴とするネットワーク設計装置。
【0128】
(付記2)
前記装置選択手段は、(1)前記伝送装置の候補から第1の組み合わせを選択し、(2)該第1の組み合わせについて前記数理計画法における問題の目的関数及び被約費用を算出し、(3)算出された前記被約費用に基づいて、前記伝送装置の候補から前記第1の組み合わせとは異なる第2の組み合わせを選択し、(4)該第2の組み合わせについて算出した、前記数理計画法における問題の目的関数と、前記第1の組み合わせについて算出した、前記数理計画法における問題の目的関数とを比較し、(5)目的関数が前記数理計画法における問題の目標値により近い組み合わせを前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせとして決定することを特徴とする付記1に記載のネットワーク設計装置。
【0129】
(付記3)
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補として決定することを特徴とする付記1又は2に記載のネットワーク設計装置。
【0130】
(付記4)
前記装置選択手段は、前記第1の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記第2の組み合わせに含めることを特徴とする付記2に記載のネットワーク設計装置。
【0131】
(付記5)
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置と同一の前記配置点に配置される前記伝送装置のうち、被約費用が負であり、前記同一の配置点に配置されるものとして前記伝送装置の候補の組み合わせに含まれる前記伝送装置と最も配置コストが近い前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補として決定することを特徴とする付記1又は2に記載のネットワーク設計装置。
【0132】
(付記6)
前記装置選択手段は、前記第1の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置と同一の前記配置点に配置される前記伝送装置のうち、被約費用が負であり、前記同一の配置点に配置されるものとして前記第1の組み合わせに含まれている前記伝送装置と最も配置コストが近い前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記第2の組み合わせに含めることを特徴とする付記2に記載のネットワーク設計装置。
【0133】
(付記7)
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせに含まれる一つの前記伝送装置と最も配置コストが近く且つ前記伝送装置の候補の組み合わせに含まれない前記伝送装置のうち、該伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補として決定することを特徴とする付記1又は2に記載のネットワーク設計装置。
【0134】
(付記8)
前記装置選択手段は、前記第1の組み合わせに含まれる一つの前記伝送装置と最も配置コストが近く且つ前記第1の組み合わせに含まれない前記伝送装置のうち、前記第1の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記第2の組み合わせに含めることを特徴とする付記2に記載のネットワーク設計装置。
【0135】
(付記9)
線形区間を含むネットワークにおいて、前記線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、前記伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び前記線形区間における一又は複数の前記配置点を含む所定の区間における前記伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する情報取得工程と、
前記装置候補情報、前記配置コスト、及び前記目標コストに基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成工程と、
前記数理計画法における問題を、前記伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択工程
とを備え、
前記装置選択工程は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補を決定することを特徴とするネットワーク設計方法。
【0136】
(付記10)
コンピュータを、
線形区間を含むネットワークにおいて、前記線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、前記伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び前記線形区間における一又は複数の前記配置点を含む所定の区間における前記伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する情報取得手段と、
前記装置候補情報、前記配置コスト、及び前記目標コストに基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成手段と、
前記数理計画法における問題を、前記伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択手段と
して機能させ、
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補を決定することを特徴とするネットワーク設計プログラム。
【0137】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うネットワーク設計装置及び方法などもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0138】
100 ネットワーク設計装置、
110 入出力インタフェース、
111 入力部、
112 出力部、
120 CPU、
121 用品候補選択部、
122 問題生成部、
123 用品選択部、
130 メモリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線形区間を含むネットワークにおいて、前記線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、前記伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び前記線形区間における一又は複数の前記配置点を含む所定の区間における前記伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する情報取得手段と、
前記装置候補情報、前記配置コスト、及び前記目標コストに基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成手段と、
前記数理計画法における問題を、前記伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択手段と
を備え、
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補を決定することを特徴とするネットワーク設計装置。
【請求項2】
前記装置選択手段は、(1)前記伝送装置の候補から第1の組み合わせを選択し、(2)該第1の組み合わせについて前記数理計画法における問題の目的関数及び被約費用を算出し、(3)算出された前記被約費用に基づいて、前記伝送装置の候補から前記第1の組み合わせとは異なる第2の組み合わせを選択し、(4)該第2の組み合わせについて算出した、前記数理計画法における問題の目的関数と、前記第1の組み合わせについて算出した、前記数理計画法における問題の目的関数とを比較し、(5)目的関数が前記数理計画法における問題の目標値により近い組み合わせを前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせとして決定することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク設計装置。
【請求項3】
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項4】
前記装置選択手段は、前記第1の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記第2の組み合わせに含めることを特徴とする請求項2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項5】
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置と同一の前記配置点に配置される前記伝送装置のうち、被約費用が負であり、前記同一の配置点に配置されるものとして前記伝送装置の候補の組み合わせに含まれる前記伝送装置と最も配置コストが近い前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項6】
前記装置選択手段は、前記第1の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置と同一の前記配置点に配置される前記伝送装置のうち、被約費用が負であり、前記同一の配置点に配置されるものとして前記第1の組み合わせに含まれている前記伝送装置と最も配置コストが近い前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記第2の組み合わせに含めることを特徴とする請求項2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項7】
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせに含まれる一つの前記伝送装置と最も配置コストが近く且つ前記伝送装置の候補の組み合わせに含まれない前記伝送装置のうち、該伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項8】
前記装置選択手段は、前記第1の組み合わせに含まれる一つの前記伝送装置と最も配置コストが近く且つ前記第1の組み合わせに含まれない前記伝送装置のうち、前記第1の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記第2の組み合わせに含めることを特徴とする請求項2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項9】
線形区間を含むネットワークにおいて、前記線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、前記伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び前記線形区間における一又は複数の前記配置点を含む所定の区間における前記伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する情報取得工程と、
前記装置候補情報、前記配置コスト、及び前記目標コストに基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成工程と、
前記数理計画法における問題を、前記伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択工程
とを備え、
前記装置選択工程は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補を決定することを特徴とするネットワーク設計方法。
【請求項10】
コンピュータを、
線形区間を含むネットワークにおいて、前記線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、前記伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び前記線形区間における一又は複数の前記配置点を含む所定の区間における前記伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する情報取得手段と、
前記装置候補情報、前記配置コスト、及び前記目標コストに基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成手段と、
前記数理計画法における問題を、前記伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択手段と
して機能させ、
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補を決定することを特徴とするネットワーク設計プログラム。
【請求項1】
線形区間を含むネットワークにおいて、前記線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、前記伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び前記線形区間における一又は複数の前記配置点を含む所定の区間における前記伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する情報取得手段と、
前記装置候補情報、前記配置コスト、及び前記目標コストに基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成手段と、
前記数理計画法における問題を、前記伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択手段と
を備え、
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補を決定することを特徴とするネットワーク設計装置。
【請求項2】
前記装置選択手段は、(1)前記伝送装置の候補から第1の組み合わせを選択し、(2)該第1の組み合わせについて前記数理計画法における問題の目的関数及び被約費用を算出し、(3)算出された前記被約費用に基づいて、前記伝送装置の候補から前記第1の組み合わせとは異なる第2の組み合わせを選択し、(4)該第2の組み合わせについて算出した、前記数理計画法における問題の目的関数と、前記第1の組み合わせについて算出した、前記数理計画法における問題の目的関数とを比較し、(5)目的関数が前記数理計画法における問題の目標値により近い組み合わせを前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせとして決定することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク設計装置。
【請求項3】
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項4】
前記装置選択手段は、前記第1の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記第2の組み合わせに含めることを特徴とする請求項2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項5】
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置と同一の前記配置点に配置される前記伝送装置のうち、被約費用が負であり、前記同一の配置点に配置されるものとして前記伝送装置の候補の組み合わせに含まれる前記伝送装置と最も配置コストが近い前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項6】
前記装置選択手段は、前記第1の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置と同一の前記配置点に配置される前記伝送装置のうち、被約費用が負であり、前記同一の配置点に配置されるものとして前記第1の組み合わせに含まれている前記伝送装置と最も配置コストが近い前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記第2の組み合わせに含めることを特徴とする請求項2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項7】
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせに含まれる一つの前記伝送装置と最も配置コストが近く且つ前記伝送装置の候補の組み合わせに含まれない前記伝送装置のうち、該伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項8】
前記装置選択手段は、前記第1の組み合わせに含まれる一つの前記伝送装置と最も配置コストが近く且つ前記第1の組み合わせに含まれない前記伝送装置のうち、前記第1の組み合わせについて算出した被約費用が負であり且つ最小の前記伝送装置を、次に前記数理計画法における問題を解く前記第2の組み合わせに含めることを特徴とする請求項2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項9】
線形区間を含むネットワークにおいて、前記線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、前記伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び前記線形区間における一又は複数の前記配置点を含む所定の区間における前記伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する情報取得工程と、
前記装置候補情報、前記配置コスト、及び前記目標コストに基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成工程と、
前記数理計画法における問題を、前記伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択工程
とを備え、
前記装置選択工程は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補を決定することを特徴とするネットワーク設計方法。
【請求項10】
コンピュータを、
線形区間を含むネットワークにおいて、前記線形区間内に含まれる複数の配置点に配置される伝送装置の候補を示す装置候補情報、前記伝送装置の候補の夫々の配置コスト、及び前記線形区間における一又は複数の前記配置点を含む所定の区間における前記伝送装置の配置コストの和である目標コストの夫々を取得する情報取得手段と、
前記装置候補情報、前記配置コスト、及び前記目標コストに基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定するための数理計画法における問題を生成する問題生成手段と、
前記数理計画法における問題を、前記伝送装置の候補のうち少なくとも一つについて解き、得られた目的関数に基づいて、前記線形区間に配置する前記伝送装置の候補の組み合わせを決定する装置選択手段と
して機能させ、
前記装置選択手段は、前記伝送装置の候補の組み合わせについて算出した被約費用に基づいて、次に前記数理計画法における問題を解く前記伝送装置の候補を決定することを特徴とするネットワーク設計プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−73705(P2012−73705A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216412(P2010−216412)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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