説明

ノイズ低減機能を備えた回路基板

【課題】
デジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとが同一平面上に混在して実装された回路基板において、各回路ブロック間に混入するノイズを低減できるようにする。
【解決手段】
回路基板1の中央にアナログ回路ブロック10が形成され、そのアナログ回路ブロック10の両側にデジタル回路ブロック4A,4Bが形成されている。アナログ回路ブロック10と各デジタル回路ブロック4A,4Bの間に複数の電解コンデンサ15を接続する共通のグランドパターン16が形成される。電解コンデンサ15は極性を一方向に揃えるようにグランドパターン16に接続され、回路基板1に形成されたアナログ回路ブロック10と各デジタル回路ブロック4A,4Bとの間を遮るように立設され、これら電解コンデンサ15群によってデジタル回路ブロック4A,4Bから放射される高周波ノイズをシールドし、アナログ回路ブロック10への混入を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとを共通した回路基板に実装した回路基板、特に、各回路ブロック間のノイズの混入を抑制するノイズ低減機能を備えた回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとが混在して実装された回路基板において、デジタル回路の扱う高周波信号やその高周波成分がアナログ回路に高周波ノイズとして混入することを抑制するための技術として、例えば、特許文献1には、アナログ回路と、アナロググランドと、デジタル回路と、外部に接続される外部接続部とを有する第1の表面層と、第2の表面層と、デジタルグランドプレーン層を含む中間層と、アナロググランドとデジタルグランドとの間に接続された第1のコンデンサとを備え、高周波ノイズが混入したアナロググランドを第1のコンデンサを介して、デジタルグランドプレーンに接続することにより、高周波ノイズを第1のコンデンサを介してデジタルグランドに分流されるように構成したプリント基板が開示されている。また、特許文献2には、両面間を電磁遮蔽する電磁遮蔽層を挟んで形成される配線基板を設け、平面型アンテナと受信回路のアナログ回路部とを重ね合わせて配置して実装し、受信回路のデジタル回路部を、受信回路のアナログ回路部とは遮蔽板を挟んで配線基板の表裏反対面に実装した受信装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−284828号公報
【特許文献2】特開平10−197662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1及特許文献2で示すノイズを低減する方法は、導体から構成されたデジタルグランドプレーン層(特許文献1)あるいは遮蔽板(特許文献2)を挟んでプリント基板の表裏にデジタル回路やアナログ回路、外部接続部などの電子部品が実装された表面層を積層した多層構造であり、プリント基板自体の構造が複雑で生産コストの上昇を招くばかりでなく、プリント基板の表面層にデジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとを同一平面上に近接させて実装した場合、デジタル回路の扱う高周波信号やその高周波成分が輻射ノイズとしてアナログ回路に混入する虞れがあった。
【0005】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、デジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとを同一平面上に並設して実装した回路基板において、回路ブロック間に混入するノイズを効果的に低減することができるとともに、回路基板の構造を簡略化して製造コストの削減することが可能なノイズ低減機能を備えた回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1のノイズ低減機能を備えた回路基板は、デジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとを同一平面上に並べて共通した回路基板に実装し、これらデジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとの間に複数の電子部品を並べて実装するとともに、その並設した各電子部品群によって各回路ブロックからのノイズをシールドするように構成したことを特徴とする。
【0007】
請求項1の構成によれば、回路基板に実装した電子部品がアナログ回路ブロックとデジタル回路ブロックとの間を遮るように立設され、これら電子部品群によってデジタル回路ブロックから放射される高周波ノイズをシールドし、アナログ回路ブロックへの混入を抑制することができる。
【0008】
本発明の請求項2のノイズ低減機能を備えた回路基板は、前記デジタル回路ブロックは、外部機器からの映像信号などのデジタル信号を入出力するための前記回路基板に実装されたHDMI端子を含むとともに、前記アナログ回路ブロックは、外部機器からの音声信号などのアナログ信号を入出力するための前記回路基板に実装されたアナログ入出力端子を含み、少なくとも、前記HDMI端子と前記アナログ回路ブロックとの間にも前記電子機器が実装されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2の構成によれば、HDMI端子を含むデシタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとの間に介在する電子部品によってHDMI端子へのノイズの混入を低減することができる。
【0010】
本発明の請求項3のノイズ低減機能を備えた回路基板は、前記電子部品が電解コンデンサであることを特徴とする。
【0011】
請求項3の構成によれば、オーディオ回路、映像音声入力回路などには、ノイズ除去用として回路構成上、多数の電解コンデンサが実装され、こうした回路構成上、不可欠な電解コンデンサを利用してノイズ対策を行うことが可能となる。
【0012】
本発明の請求項4のノイズ低減機能を備えた回路基板は、前記各電解コンデンサは、前記デシタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとの間に形成された共通のグランドパターンにアース接続されるとともに、該電解コンデンサは、その極性の向きを同一方向に揃えるようにして前記回路基板に実装されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の構成によれば、アナログ回路ブロックとデジタル回路ブロックとを遮るように形成されたグランドパターンによってもノイズをシールドすることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1のノイズ低減機能を備えた回路基板によれば、デジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとを同一平面上に並べて共通した回路基板に実装し、これらデジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとの間に複数の電子部品を並べて実装するとともに、その並設した各電子部品群によって各回路ブロックからのノイズをシールドするように構成したものであるから、アナログ回路ブロックとデジタル回路ブロックとを混在してもアナログ回路ブロックとデジタル回路ブロックとの間を遮るように立設された電子部品によってデジタル回路ブロックから放射される高周波ノイズをシールドし、アナログ回路ブロックへの混入を抑制することができる。また、アナログ回路ブロックとデジタル回路ブロックとを相互に近接させて形成することが可能となるから、回路基板の小型化も可能となる。
【0015】
本発明の請求項2のノイズ低減機能を備えた回路基板によれば、前記デジタル回路ブロックは、外部機器からの映像信号などのデジタル信号を入出力するための前記回路基板に実装されたHDMI端子を含むとともに、前記アナログ回路ブロックは、外部機器からの音声信号などのアナログ信号を入出力するための前記回路基板に実装されたアナログ入出力端子を含み、少なくとも、前記HDMI端子と前記アナログ回路ブロックとの間にも前記電子機器が実装されているから、HDMI端子へのノイズの混入を低減することができ、より効果的にノイズを低減することができる。
【0016】
本発明の請求項3のノイズ低減機能を備えた回路基板によれば、前記電子部品が電解コンデンサであるから、回路構成上、不可欠な電解コンデンサを利用して特別なシールド部材を用いることなくノイズ対策を行うことが可能となり、回路基板の製造コストを削減することができるとともに、回路基板に実装する部品点数も少なく抑えることが可能となり、回路基板のコンパクト化にも寄与できる。
【0017】
本発明の請求項4のノイズ低減機能を備えた回路基板によれば、前記各電解コンデンサは、前記デシタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとの間に形成された共通のグランドパターンにアース接続されるとともに、該電解コンデンサは、その極性の向きを同一方向に揃えるようにして前記回路基板に実装させてものであるから、アナログ回路ブロックとデジタル回路ブロックとを遮るように形成されたグランドパターンによってもノイズをシールドすることが可能となる。また、電解コンデンサの極性を揃えることで、信号の流れの方向を統一して整流化することができ、ノイズを効果的に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の具体的実施例について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施態様は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するためのものではない。
【0019】
図1は、回路構成の概略を示す回路基板の平面図、図2及び図3は、デジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックの配置を変えた変形例を示す回路基板の平面図である。図1に示すように、回路基板1の両側縁にシールド板2で覆われたICチップ3を含むデジタル回路ブロック4A,4Bが形成され、その各デジタル回路ブロック4A,4Bの間に位置して回路基板1の中央にはアナログ回路ブロック10が形成されている。これらのデジタル回路ブロック4A,4Bとアナログ回路ブロック10とが相互に近接して形成されている。すなわち、本実施例では、回路基板1の一方の縁部(図1において下縁)からデジタル回路ブロック4A,アナログ回路ブロック10、デジタル回路ブロック4Bの順にそれぞれ分離して形成されている。そして、デジタル回路ブロック4A,アナログ回路ブロック10、デジタル回路ブロック4Bの間に位置して、電子部品として複数の電解コンデンサ15がほぼ直線的に並んで回路基板1に実装されている。この電解コンデンサ15は、マイナス側は、デジタル回路ブロック4A,4Bとアナログ回路ブロック10の間に形成された共通のグランドパターン16に接続され、かつ、その極性を一方向に揃えた状態で回路基板1に実装されている。すなわち、デジタル回路ブロック4A,4Bとアナログ回路ブロック10との間には、これらデジタル回路ブロック4A,4Bとアナログ回路ブロック10を遮るように電解コンデンサ15のグランドパターン16が形成されている。
【0020】
また、デジタル回路ブロック4A,4Bは、外部機器(図示せず)からの映像信号などのデジタル信号を入出力するためのHDMI端子20を含み、一方、前記アナログ回路ブロック10A,10Bは、それぞれ外部機器(図示せず)からの音声信号などのアナログ信号を入出力するためのアナログ入出力端子21を含んでおり、HDMI端子20とアナログ回路ブロック10との遮るように電解コンデンサ15が実装されている。
【0021】
以上のように構成される本実施例では、デジタル回路ブロック4Aとアナログ回路ブロック10との間及びアナログ回路ブロック10とデジタル回路ブロック4Bとの間に複数の電解コンデンサ15をほぼ直線的に並設することにより、電解コンデンサ15が回路基板1に形成されたアナログ回路ブロック10と各デジタル回路ブロック4A,4Bとの間を遮るように立設され、これら電解コンデンサ15群によってデジタル回路ブロック4Bから放射される高周波ノイズをシールドし、アナログ回路ブロック10への混入を抑制することができる。さらに、デジタル回路ブロック4Aとアナログ回路ブロック10との間及びアナログ回路ブロック10とデジタル回路ブロック4Bとを遮るように各電解コンデンサ15をアース接続するグランドパターン16が形成されることになるから、そのグランドパターン16によってもノイズをシールドすることが可能となる。特に、オーディオ回路、映像音声入力回路には、ノイズ除去用として回路構成上、多数の電解コンデンサ15を実装し、このように、回路構成上、不可欠な電解コンデンサ15を利用してデジタル回路ブロック4A,4Bとアナログ回路ブロック10との間に配置してデジタル回路ブロック4A,4Bから輻射される高周波ノイズをシールドすることから、回路基板1の製造コストを削減することができるとともに、ノイズにより悪影響を抑えることができる。また、デジタル回路ブロック4A,4Bとアナログ回路ブロック10とを近接させて形成することも可能となるから、回路基板1の小型化を図ることができる。さらに、電解コンデンサ15の極性を揃えることで、信号の流れの方向を統一して整流化することができ、ノイズを効果的に低減することができる。また、HDMI端子20を含むデシタル回路ブロック4A,4Bとアナログ回路ブロック10との間にも電解コンデンサ15が介在するように実装されているから、デジタル回路ブロック4A,4Bとアナログ回路ブロック10とが混在するにもかかわらず、高周波ノイズをきわめて効果的に低減することができる。
【0022】
以上、本発明の一実施例を詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、図1においては、回路基板1の中央にアナログ回路ブロック10が形成し、その両側にデジタル回路ブロック4A,4Bを形成した例を示すたが、例えば、図2に示すように、図2において下縁側からアナログ回路ブロック10A,デジタル回路ブロック4A,アナログ回路ブロック10B,デジタル回路ブロック4Bを交互に形成したり、図3に示すように、回路基板1の中央にデジタル回路ブロック4A,4Bを形成し、その両側にアナログ回路ブロック10A,10Bを形成してもよく、要は、回路基板1にデジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとが隣接するように相互に近接させて形成し、そのデジタル回路ブロック4A,4Bとアナログ回路ブロック10A,10Bとの間に電解コンデンサ15を実装すればよく、デジタル回路ブロック4A,4Bとアナログ回路ブロック10A,10Bの配置は適宜選定可能である。また、前記実施例では電子部品として電解コンデンサ15を例として示したが、回路構成上、必要な電子部品をデジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとの間に介在させて各回路ブロック間のノイズの混入を抑制するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例を示す回路構成の概略を示す回路基板の平面図
【図2】本発明のデジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックの配置を変えた変形例を示す回路基板の平面図である。
【図3】本発明のデジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックの配置を変えた変形例を示す回路基板の平面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 回路基板
4,4A,4B デシタル回路ブロック
10,10A,10B アナログ回路ブロック
20 HDMI端子
21 アナログ入出力端子
15 電解コンデンサ(電子部品)
16 グランドパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとを同一平面上に並べて共通した回路基板に実装し、これらデジタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとの間に複数の電子部品を並べて実装するとともに、その並設した各電子部品群によって各回路ブロックからのノイズをシールドするように構成したことを特徴とするノイズ低減機能を備えた回路基板。
【請求項2】
前記デジタル回路ブロックは、外部機器からの映像信号などのデジタル信号を入出力するための前記回路基板に実装されたHDMI端子を含むとともに、前記アナログ回路ブロックは、外部機器からの音声信号などのアナログ信号を入出力するための前記回路基板に実装されたアナログ入出力端子を含み、少なくとも、前記HDMI端子と前記アナログ回路ブロックとの間にも前記電子機器が実装されていることを特徴とする請求項1記載のノイズ低減機能を備えた回路基板。
【請求項3】
電子部品が電解コンデンサであることを特徴とする請求項1又は2に記載のノイズ低減機能を備えた回路基板。
【請求項4】
前記各電解コンデンサは、前記デシタル回路ブロックとアナログ回路ブロックとの間に形成された共通のグランドパターンにアース接続されるとともに、該電解コンデンサは、その極性の向きを同一方向に揃えるようにして前記回路基板に実装されていることを特徴とする請求項3記載のノイズ低減機能を備えた回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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