説明

ノズル式バーナー及び熱供給システム

【課題】燃料詰まり等に基づく燃焼効率の悪化を抑制するノズル式バーナーを提供すること、メンテナンスの頻度を抑え、十数時間以上の連続運転或いは自動運転を可能としうるノズル式バーナーを提供すること、及び、長時間の連続運転や自動運転が可能な熱供給システムを提供する。
【解決手段】燃焼室1内の下部にて後方から前方に向かって下方傾斜して設けられたロストル3と、ロストル3の下方に設けた一次空送路41からロストル3上方の燃焼室1内に向かって一次燃焼空気を送出する一次空気送出装置4と、木質燃料を燃焼室1の後部から前方へ向かう所定の押し出し方向D1へ押し出してロストル3上に供給する燃料供給装置5とを具備してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質チップ、ペレット等の木質燃料を主燃焼材とし、これをバーナー燃焼によって処理するノズル式バーナー、およびこのノズル式バーナーを含む熱供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固形燃料の燃焼装置には、空間燃焼方式、固定床燃焼方式、流動床燃焼方式が採用されるが、このうち固定床燃焼装置は燃焼部の機械的構造が簡易で、比較的小型の塵芥処理燃焼装置に適するとされる。
【0003】
従来の固定床の固形燃料燃焼装置として、第一空気供給管に穿設した空気流出孔からの空気流出により一次燃焼を行い、一次燃焼ガスを第二空気供給管の端部で二次燃焼を行い、第一空気供給管の延長方向に沿って水平の火格子を設けたものが存在した(例えば、特許文献1参照)。これは、第一空気供給管の側面に微小な空気流出孔を多数穿設しており、この空気流出孔からの空気流出により一次燃焼を行った不完全燃焼状態のガスが二次燃焼によって火炎を噴出して完全燃焼される。空気流出孔からの空気流出により、炉内に堆積された固形燃料との間に空隙層が形成され、一次燃焼が持続される効果があるとされる。
【特許文献1】特開昭58−80407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の燃焼装置では、不燃材が残っている場合にも燃料が供給されるものであり、またロストル3上での灰化をもって、燃焼後の燃焼材を自然排出するものとしている。このため、燃料の供給、排出タイミングと燃焼状態との適正化が行われず、燃焼状態によっては、燃料の供給を行うたびに水平ロストル3に木質燃料が貯留して燃料詰まりを起こし、燃焼効率が悪化する場合があった。また、これを回避するために頻繁な燃焼状態の確認、調整や、炉内消火を伴う灰の交換が必要であり、長時間の連続運転或いは自動運転が困難であった。
【0005】
そこで本発明では、燃料詰まり等に基づく燃焼効率の悪化を抑制するノズル式バーナーを提供すること、また、燃焼状態の確認、調整や、炉内消火を伴う灰の交換といったメンテナンスの頻度を抑え、十数時間以上の連続運転或いは自動運転を可能としうるノズル式バーナーを提供すること、及び、このノズル式バーナーを備えて長時間の連続運転や自動運転が可能な熱供給システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本発明では下記(1)〜(6)の手段を採用している。
(1)本発明のノズル式バーナーは、燃焼室1内で木質燃料を燃焼すると共に、燃焼室1内からこれに接続したノズル2のノズル方向D2に燃焼気をバーナー噴射するノズル式バーナーである。そして、
燃焼室1内の下部にて一方向へ傾斜支持されたロストル3と、ロストル3の下方に設けた一次空送路41からロストル3の上方の燃焼室1内に向かって一次燃焼空気を送出する一次空気送出装置4と、木質燃料を燃焼室1の一側部から燃焼室1内に所定の押し出し方向D1で押し出してロストル3上に供給する燃料供給装置5とを具備してなることを特徴とする。
【0007】
上記のものにおいて、下方の一次空送路41と上方の燃焼室1とはロストル3を介して連通され、一次燃焼空気は下方からロストル3を通過して上方の燃焼室1内に吹き込むものとなっている。この一次空気の上方吹き込みと、ロストル3の下方傾斜構造とによって、木質燃料がロストル3上で傾斜下方である前方に向かって自動的に転動、或いは拡散される。これにより、燃焼前の木質燃料及び燃焼後の灰が、ロストル3上で詰まりにくいものとなる。
【0008】
(2)前記ノズル式バーナーにおいて、ロストル3を、燃焼室1内の所定の領域内でその支持固定位置を変動させながら支持固定しうる変動支持装置6を具備することが好ましい。
【0009】
すなわち本発明のノズル式バーナーとして、燃焼室1内の後壁からノズル2方向にバーナー噴射して木質燃料Pを燃焼するノズル式バーナーであって、
燃焼室1内の下部に設けられたロストル3と、
ロストル3の下方に設けた一次空送路41からロストル3上方の燃焼室1内に向かって一次燃焼空気を送出する一次空気送出装置4と、
木質燃料Pを、燃焼室の後部から前方へ押し出してロストル3上に供給する燃料供給装置5と、
ロストル3を連続的又は断続的に振動または揺動させることによって、ロストル3を、燃焼室1内の所定の領域内でその支持固定位置を変動させながら支持固定しうる変動支持装置6とを具備してなることを特徴とする。
【0010】
この変動支持装置6によって、木質燃料或いは灰をロストル3上で適度に分散させ、ロストル3上で塊状のまま詰まるといった状態を回避して、良好な燃焼状態を保持することができる。特に、ロストル3が一次燃焼空気を通過させるロストル孔31や前切欠きを有している場合には、振動又は揺動によって不完全燃焼物や灰をロストル孔31や前切欠きを落下させてロストル3上から排除することも可能である。なお上記の構成においてはロストル3が必ずしも下方傾斜していることを要さず、略水平に配置されたものであってもよい。
【0011】
変動支持装置6は、燃焼室1の後壁に設けられた貫通孔61hを遊貫通してロストル3を支持する支持腕61と、燃焼室1外に設けられ、支持腕61の燃焼室外部分へ連続又は断続的に変動外力を加える変動装置62とを有する。変動装置62は例えば、音波式、回転式、ピストン式の各種バイブレータ、打撃装置、または弾性支持による揺動装置等を用いることができる。尚実施例ではピストン式のバイブレーターを使用している。なお前記記載のノズル式バーナーにおいて、変動支持装置6を具備せず、ロストル3を振動または揺動させることによって、ロストル3を、燃焼室1内の所定の領域内でその支持固定位置を変動させずに支持固定するものとしてもよい。
【0012】
(3)前記記載のノズル式バーナーにおいて、燃料供給装置5から燃焼室1への燃料供給口を燃焼室1内の側部に設け、この燃料供給口から燃焼室1内に向かって二次空気を送出し、燃焼時の燃焼室1内を正圧にする二次空気送出装置7を具備してなることが好ましい。
【0013】
このような二次空気送出装置7として例えば、燃料供給装置5の連通路内へ二次空気を送りこんで、燃焼室1の後壁に設けた燃料供給口から二次空気を燃焼室1内に送出するものが挙げられる。特に二次空気の送出中は、燃焼室1内を常に大気圧よりも大きい圧力に保つものが好ましい。
【0014】
上記二次空気送出装置7によって燃焼室1の後壁に設けた燃料供給口を二次空気送出口12とし、ここから二次空気を燃焼室1内に送出することすることで、燃料供給装置内への逆火、すなわち燃料供給口から燃料供給装置の供給路等の供給元へ向かって燃焼空気が流れ込むことを防止しうる。
【0015】
すなわち燃料供給装置5は、燃焼室1の後壁に設けた燃料供給口と、この燃料供給口に木質燃料を供給すべく連通させた連通路とを具備し、二次空気送出装置7は、この燃焼室1後壁に設けた燃料供給口を二次空気送出口12として使用し、この燃料供給口兼二次空気送出口12から、木質燃料及び二次空気を共に送出する。なお二次空気送出口、燃料供給口は複数個設けても良い。
【0016】
例えば後述の実施例のように、燃焼室後部のノズル軸中央に設けた二次空気送出口12とは別に、燃料供給口を第二の二次空気送出口122として設けてもよい。他に、燃料供給機能を有さない二次空気送出のみのための二次空気送出専用口を設けず、燃料供給口・二次空気送出口12兼用の後部口を設けたものでも良い。
【0017】
燃料供給口を二次空気送出口として使うことで、二次空気送出による燃焼室内の整流機能を比較的簡易な構成によって向上させうる。また、下流となるべき燃焼気流の上流側への逆火現象、すなわち燃焼室から二次空気送出装置7内への燃焼ガスや燃焼炎の逆流現象を防止することができる。これによって、燃焼室内を正圧状態としたままで高効率の完全燃焼を継続させることができ、燃焼気圧の減調整、すなわち燃焼気流を下流側へ吸引するために燃焼室の一部を負圧にするといった減圧調整を必要としない。
【0018】
更に二次空気を燃料供給装置5の連通路に合流させて送り込むことで、燃料供給装置5のうち、燃焼室に近い合流部以降の部分を冷却することが出来る。
【0019】
(4)前記記載のノズル式バーナーにおいて、二次空気送出装置7は、燃焼室1内の側部後方に設けた二次空気送出口12から平面視にて燃焼室1内前方、すなわちノズル方向D2前方に向かって二次空気を送出し、この二次空気の送出によって燃焼室内の空気をノズル先端方向に沿って整流しうることが好ましい。
【0020】
例えば、燃焼室1後部中央のノズル軸と重なる位置に二次空気送出口12が設けられる。実施例では第一の二次空気送出口121として燃焼室1後部中央に円形の二次空気送出口を設けると共に、第二の二次空気送出口122として燃料供給口を用いており、この第一、第二の二次空気送出口121、122から二次空気を送出するものとしている。
【0021】
二次空気をノズル方向D2へ送出して燃焼室内の燃焼気流を整えることで、一次空気を、ロストル3下方の一次送路から燃焼室内を通してノズル方向D2に整流することができる。これによりロストル3上の木質燃料の燃焼によって発生した燃焼ガスの排出が促進され、不完全燃焼等による燃焼効率の低下が抑制される。
【0022】
(5)前記記載のノズル式バーナーにおいて、燃料供給装置5が、燃焼室1の後方に設けたロータリーバルブ53の燃料供給口から燃焼室1内に供給するものであって、
燃焼室1の後方上部にて受給した木質燃料を下方分岐させて複数の縦方向の縦連通路52に導く分岐路51と、
分岐路51の分岐後の複数の縦連通路52をロータリー回転軸方向に並接続したロータリーバルブ53とを具備してなるものとしてもよい。
【0023】
このように複数の縦連通路52を並接続することで、木質燃料がロータリー回転軸の軸方向に分散して均等に供給される。これによりロータリーバルブ53内での木質燃料の詰まりや排出不良が抑制され、長時間の運転により適したものとなる。
【0024】
燃料供給装置5は、燃焼室1の後方にて、木質燃料を上部に設けた燃料落下口51hから自然落下させて、下部に設けたロータリーバルブ53の燃料供給口から燃焼室1内に供給するものである。木質燃料は送給管から燃焼室1の後方上部の燃料落下口に送給された後、分岐路内及び複数の縦連通路52内を続けて自然落下し、ロータリーバルブ53内に入り、ロータリーバルブ53によって、所定量毎に区切られて燃料供給口から燃焼室内へ送られる。
【0025】
ここで複数の縦連通路52は、ロータリーバルブ53の回転軸方向である幅方向に並んで、幅方向に伸びたロータリーバルブ53の上方にそれぞれ並接続される。このため分岐路を自然落下した木質燃料は、複数の縦連通路52によって幅方向に分散してロータリーバルブ53内に供給される。
【0026】
また燃料供給装置5は少なくとも、燃焼室1の後方上部にて受給した木質燃料を下方分岐させて複数の縦方向の縦連通路52に導く分岐路51と、分岐路51に連通された複数の縦連通路52と、各縦連通路52それぞれに並接続されたロータリーバルブ53とを具備することが好ましい。ロータリーバルブ53は、幅方向を回転軸(バルブ軸53a)とする回転式間隙容体53fを有し、この回転式間隙容体53fによって、各縦連通路52から供給された木質燃料を所定量毎に区切って燃料供給口から排出することが好ましい。
【0027】
(6)また、本発明の熱供給システムは、前記いずれか記載のノズル式バーナー10と、木質燃料をノズル式バーナーへ自動送給する自動送給装置50と、ノズル式バーナーの燃焼熱を回収して供給する熱供給装置90とを具備してなる。
【0028】
前記ノズル式バーナー10は長時間の高効率燃焼を継続できるため、木質燃料を自動送給させることで、長時間の熱供給の継続が可能となる。特にペレット等の凝縮木質燃料であれば高い燃焼熱を発生しうるため好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明のノズル式バーナーは上記手段を講じており、変動支持装置6が固定位置を変動させながらロストル3を支持することで、供給された木質燃料はロストル3上で塊状にならずに分散される。これにより、燃焼状態に悪影響を及ぼすような木質燃料の滞留を回避することができ、木質燃料の供給を繰り返したのちも良好な燃焼状態を保つことができる。
【0030】
また、燃焼状態の確認、調整や、炉内消火を伴う灰の交換といったメンテナンスの頻度を抑え、十数時間以上の安定燃焼状態の継続による連続運転或いは自動運転を可能としている。
【0031】
さらに本発明の熱供給システムは、このノズル式バーナーを備えることで、長時間の連続運転や自動運転が可能なものとなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の最良の実施形態を、実施例として示す各図と共に説明する。図1ないし図5は実施例1のノズル式バーナーを示し、図6ないし図10は実施例2のノズル式バーナー及びこれを備えた熱供給システムを示し、図11、12は実施例3のノズル式バーナーを示し、そして図13は実施例4のノズル式バーナーを示す。
【0033】
本発明のノズル式バーナーは、燃焼室1の前方又は上方にノズル2を連通接続してなり、燃焼室1内で木質燃料等を燃焼させて燃焼気を発生させると共に、燃焼室1内に一次燃焼空気又は二次燃焼空気を燃焼室1内に吹き込み、燃焼室1内の燃焼気をノズル方向D2へバーナー噴射として噴出するノズル式バーナーである。
【0034】
このうち実施例1ないし3に示す本発明のノズル式バーナーは、燃焼室1内の後壁からノズル2方向にバーナー噴射して木質燃料Pを燃焼するノズル式バーナーであり、少なくとも下記構成を具備する。
・燃焼室1内の下部にて後方から前方に向かって下方傾斜して設けられたロストル3
・ロストル3の下方に設けた一次空送路41からロストル3上方の燃焼室1内に向かって一次燃焼空気を送出する一次空気送出装置4
・木質燃料Pを、燃焼室の後部から前方へ向かう所定の押し出し方向D1へ押し出してロストル3上に供給する燃料供給装置5
・ロストル3を、燃焼室1内の所定の領域内でその支持固定位置を変動させながら支持固定しうる変動支持装置6
・燃焼室1内の後部に設けた二次空気送出口から燃焼室1内のノズル方向D2前方に向かって二次空気を送出する二次空気送出装置7
また実施例4に示す本発明のノズル式バーナーは、燃焼室1内からノズル2方向である上方にバーナー噴射して木質燃料Pを燃焼するノズル式バーナーであり、少なくとも下記構成を具備する。
・燃焼室1内の下部に水平支持されたロストル3
・ロストル3の下方に設けた一次空送路41からロストル3上方の燃焼室1内に向かって一次燃焼空気を送出する一次空気送出装置4
・木質燃料Pを、燃焼室1の側方にて上部から下部へ落下供給し、燃焼室1の側壁に設けた燃料供給口からロストル3上に供給する燃料供給装置5
・燃料供給装置5に合流して当該装置内に二次空気を送出し、燃料供給口から燃焼室1内の中央部側に向かって二次空気を送出する二次空気送出装置7
以下、本発明の特徴のひとつとなりうる各構成につき説明する。
<燃料拡散機構>
ロストル3の傾斜配置、ロストル3の変動支持装置によって、本発明のノズル式バーナーは、ロストル3上へ押し出して供給した木質燃料をロストル3上で拡散させる燃料拡散機構を有する。
【0035】
ロストル3の傾斜配置とは、ロストル3を、燃焼室前後の高さの異なる各固定具上に載せて所定のロストル傾斜角度3Θで下方傾斜して配置することであり、これによりロストル3後方の傾斜上方部分から押し出された木質燃料Pは、ロストル3の押し出し方向D1への下方傾斜によってロストル3上で傾斜下方である前方に向かって拡散される。
【0036】
また、下方の一次空送路41と上方の燃焼室1とはロストル3を介して連通され、一次燃焼空気は下方からロストル3を通過して上方の燃焼室1内に吹き込むものとなっている。これらにより、燃焼前の木質燃料及び燃焼後の灰が、ロストル3上で詰まりにくいものとなる。
【0037】
(ロストル3の傾斜角度3Θ)
ロストル3の水平基準の傾斜角度3Θは、ロストル3上面が平坦な場合、大きくとも25度以内、好ましくは5度〜15度の範囲である(図1)。
【0038】
押し出された木質燃料Pは、ロストル3の押し出し方向D1への下方傾斜構造によってロストル3上に拡散される。押し出し方向D1は、前方へ向かって下方傾斜した方向であり、ロストル3の傾斜方向と同一方向であるか、ロストル3の傾斜方向に対する水平基準の傾斜角度3Θ差がプラスマイナス10度以内であることが好ましい。
【0039】
後述の実施例1、2ではノズル2が燃焼室1の一側部である前方側に通気接続されたものであって、ロストル3は、平板状の上面に多数のロストル孔31が形成された孔あき平板からなるとともに、支持腕固定具61cによって裏面から棒状の支持腕61に固定され、後方に傾斜して伸びる支持腕61によって、平面視ノズル方向D2後方からノズル方向D2前方に向かって下方傾斜して支持される。
【0040】
なお燃料供給装置5による燃料供給口は、ロストル3の傾斜上部の延長線付近である燃焼室1の後方側の側部に設けられ、所定の押し出し方向D1は平面視ノズル方向D2後方からノズル方向D2前方に向かう方向であって、ロストル3の傾斜角度3Θよりも小さい角度であることが好ましい。
【0041】
実施例1および2のロストル3は平板状であり側面視にて一定の傾斜角度3Θで支持されるが、このほか、支持される傾斜角度3Θが、ロストル3の前後箇所によって25度未満までの範囲内で漸次増減するものとしても良い。
【0042】
例えば、後方の支持側部分では略水平に支持されると共に、ロストル3が前方部分で二次曲線状或いは円弧状の弯曲上面を有して下方に弯曲するものとしても良い(図示せず)。この場合、傾斜角度3Θは前方に行くに従って大きくなり、燃焼に応じて灰化の進んだ木質燃料が、新たな木質燃料によって前方の傾斜角度3Θが大きな箇所へ押し出されると、ロストル3前方へ落下排出されやすいものとなる。
【0043】
他に例えば、ロストル3周縁から平面視中心部まで高さが徐々に変わる、すり鉢状の凹面、或いは部分球冠状の凸面を形成したものでもよい(図示せず)。この場合、凹面の中心部或いは凸面の周縁部に、木質燃料を下方排出するための排出孔34hを設けると、灰化の進んだ木質燃料が排出孔34hから自然と落下しやすいものとなる。このような周縁から平面視中心部までの中央対称曲面を有するロストル3は、後述の実施例4のような上方ノズル形式のものに適する。
【0044】
(押し出し方向D1)
また燃料供給装置5による木質燃料の所定の押し出し方向D1は、ロストル3と同様に平面視ノズル方向D2後方からノズル方向D2前方に向かって下方傾斜した方向であることが好ましい。
【0045】
(変動支持装置6)
変動支持装置6は、ロストル3を振動させる、または水平/上下揺動させることによって、ロストル3を、燃焼室1内の所定の領域内でその支持固定位置を変動させながら支持固定しうる装置である。特にロストル3を断続的に振動または揺動させることによって変動させるものであることが好ましい。断続的に振動または揺動させるとは連続運転ではないことを意味し、例えば、所定時間の振動または揺動に続いて振動または揺動を停止させたまま所定の休止時間を経るという、一定の変動及び停止サイクルを繰り返すことをいう。
【0046】
具体的には、燃焼室1を遊貫通する支持腕61によって、燃焼室1の下部にて水平振動分の隙間を有した支持固定位置にロストル3を固定支持するものであり、燃焼室1外にてこの支持腕61を変動装置62と接触させ、変動装置62から支持腕61へ変動力を伝えることで水平又は垂直方向へ微細振動させる。
【0047】
実施例1の変動支持装置6は、燃焼室1壁に設けられた貫通孔61hを遊貫通してロストル3を支持する支持腕61と、燃焼室1外に設けられ、支持腕61の燃焼室外部分へ連続又は断続的に変動外力を加える変動装置62とを有する。変動装置62は例えば、音波式、回転式、ピストン式の各種バイブレータ、打撃装置、または弾性支持による揺動装置等を用いることができる。尚実施例ではピストン式のバイブレーターを使用している。支持腕61が遊貫通した貫通孔61hの隙間部分には耐火、耐熱材であるロックウールが詰められる。
【0048】
実施例2の変動装置には、変動装置を冷却するための冷却装置が設けられる。この冷却装置は具体的には、バイブレーター上方に設けられ、冷却風の吹き出し口を下方に設けた冷却チャンバーと、これに後方連通された冷却ファンとから構成される。冷却ファンは二次空気ファンの両側にそれぞれ設けられ、冷却チャンバーは左右それぞれの縦連通路52の後方であって、左右それぞれのバイブレーターの上方に噴出し口を開口させて設けられる。
【0049】
(振動方法)
振動方法として、実施例ではピストン式のバイブレーターによって上下方向への微振動を発生させ、この上下微振動を変動伝達片62lを介してロストル3に接続した支持腕61へ伝達させるものとしている。上下振動のほか、左右方向の振動でも良い。
【0050】
また全運転時間中の連続振動ではなく、所定時間ごとに振動と停止を繰り替えす、断続振動としている。ただし、長時間の停止によって、ロストル3上に木質燃料や灰が塊となって排出されず溜まってしまう一方、長時間の振動継続によって木質燃料が十分に燃焼する前に落下してしまう。これらを避けるために、振動時間を30秒以内とすると共に、所定の振動時間後に振動時間の倍以上、好ましくは振動時間の3〜5倍程度の停止時間を設けることが好ましい。例えば10秒の振動時間の後に30秒の停止時間を設ける、或いは20秒の振動時間の後に60秒の停止時間を設けるものとする。実施例1、2では7秒間の振動とその後の30秒の停止とを交互に繰り返す定期的断続運動を行なうものとしている。
【0051】
このほか、燃料供給装置5の燃料供給に応じて振動させるものとしてもよい。例えばロータリーバルブ535のバルブ軸の回転が所定の位相を越えるごとに、予め定められた所定時間の振動を加えるもの、或いは、回転式間隙容体53fが回転して、間隙間の所定の仕切り部分が燃料供給口に露出する時間だけ振動を加えるもの、としても良い。
【0052】
(燃料供給装置5)
燃料供給装置5は、少なくとも燃料を落下させるための縦連通路52を有し、この縦連通路52を介して燃焼室1に設けた燃料供給口から燃料を供給するものである。さらに具体的に特定すると、燃料供給装置は、上部の燃料落下口51hとその下方に連通する縦連通路52、さらに縦連通路52が連通するロータリーバルブ53が設けられ、上部の燃料落下口51hから投入された木質燃料を縦連通路52を通して自然落下させ、下部のロータリーバルブ53によって燃料供給口から燃焼室内に排出する態様とすることができる。木質燃料は、自然落下時には分岐路と分岐後の縦連通路52とを通ることで、ロータリーバルブ53内へ分散されて供給される。
【0053】
(二次空気送出装置7)
二次空気を送出する二次空気送出装置7は、燃焼室1内の後部に設けた二次空気送出口から燃焼室1内のノズル方向D2前方に向かって二次空気を送出するものである。二次空気送出装置7は、二次空気ファンからの二次空気を前記縦連通路52に合流させ、縦連通路52内に設けた整流板によって二次空気を下方へ送出する。
【0054】
また燃焼室1内の一側部である側部前方にノズル2が設けられている場合、燃焼室1内の他側部である側部後方に二次空気送出口を設け、そこから側方向であるノズル方向D2前方に向かって送出することで、燃焼室内の空気をノズル方向D2に沿って整流しうる。
【0055】
例えば、燃焼室1後部中央のノズル軸と重なる位置に二次空気送出口12が設けられる。実施例では第一の二次空気送出口121として燃焼室1後部中央に円形の二次空気送出口12を設けると共に、第二の二次空気送出口122として燃料供給口を用いており、この第一、第二の二次空気送出口121、122から二次空気を送出するものとしている。
【0056】
二次空気をノズル方向D2へ送出して燃焼室内の燃焼気流を整えることで、一次空気を、ロストル3下方の一次送路から燃焼室内を通して、ノズル軸に沿ったバーナー噴出方向に整流することができる。これによりロストル3上の木質燃料の燃焼が促進され、木質燃料の滞留や不完全燃焼等による燃焼効率の低下が抑制される。
【0057】
(燃料供給口からの二次空気送出)
前記記載のノズル式バーナーにおいて、二次空気送出装置7は、複数の縦連通路52と合流口75で合流する。この合流口75から二次空気を送り込み、各縦連通路52からの二次空気をロータリーバルブ53内で合流させ、燃料供給口から燃焼室内に二次空気を送出する。すなわち二次空気送出口、燃料供給口を兼用した兼用口を、燃焼気流の燃焼室1内上流側である後壁またはその周辺壁に設ける。このような兼用口を一つまたは複数個設けても良く、後述の実施例のように、兼用口とは別にそれぞれ単独機能を有する二次空気送出専用口、燃料供給専用口を設けても良い。
【0058】
例えば実施例1、2では共に、燃焼室後部のノズル軸中央に設けた第一の二次空気送出口12を二次空気送出専用口として設けると共に、これとは別に第二の二次空気送出口を燃料供給兼用口として設けている。
【実施例1】
【0059】
図1ないし図5に示す実施例1のノズル式バーナーは、その基本的構成として、燃焼室1内の下部にて後方の一側壁からこれに対向する前方の他側壁に向かって一定角度3Θで下方傾斜して設けられたロストル3と、
ロストル3の下方に設けた一次空送路41からロストル3の上方の燃焼室1内に向かって一次燃焼空気を送出する一次空気送出装置4と、
木質燃料Pを、燃焼室1の後部から前方へ向かう所定の押し出し方向D1へ押し出してロストル3上に供給する燃料供給装置5と、
燃料供給装置の供給経路の途中に合流接続するひとつの二次空気ファン71と、
ロストル3を燃焼室1の外部から変動可能に支持するひとつの変動支持装置6とを具備してなる(図1等)。実施例2のような冷却装置は有さない。
【0060】
また、実施例1の燃料供給装置5は少なくとも、燃料落下口51hを上部に有して下方に分岐する分岐路51と、分岐路51の分岐部分にそれぞれ接続されて縦方向に伸びる複数の縦連通路52とを具備し、さらにその下方の燃料供給口にて燃焼室1と連通する。また複数の縦連通路52それぞれの後部側面には縦長矩形の二次空気の合流口75が設けられ、合流口75には二次空気ファン71の噴出部に接続された分流チャンバー72が分岐接続される。燃料供給装置5の後部に配置された二次空気ファン71からの二次空気は分留チャンバー72内に入り、この分流チャンバー72から、2本の縦連通路52それぞれへの合流口75と第一送出管73とに分流される(図1、図4)。
【0061】
(燃料供給装置5)
燃料供給装置5は、上部の燃料落下口51hが自動送給装置50の送給接続管50cに接続されると共に下方に分岐した分岐路51と、分岐路51の分岐先から縦方向に走る管状の縦連通路52と、そして縦連通路52の連通下部に設けられると共に燃焼室1に開口する燃料供給口を有したロータリーバルブ53とから構成される。
【0062】
具体的には、
・木質燃料Pを燃焼室1の後上方の燃料落下口51hまで送給して接続される自動送給装置50の送給接続管50cと、
・燃焼室1の後方上部に設けられ、送給接続管50c燃料送給管50sからの木質燃料を受給する燃料落下口51hと、
・燃料落下口から自然落下する木質燃料を、下方分岐構造によって下方分岐させ、複数の縦方向の燃料縦連通路52に導く分岐路51と、
・分岐路52の分岐部それぞれに下方連通された複数の縦連通路52と、
・複数の縦連通路52が下方で合流するロータリーバルブ53とを具備する。
【0063】
ロータリーバルブ53のケーシング53cは、後上部で複数の縦連通路52が並接続される。分岐管及び並接続された縦連通路52によって、木質燃料が幅方向に分散されてロータリーバルブ53内に供給される。また、正面側部に横長矩形の燃料供給口が設けられ、この燃料供給口にて燃焼室1の後部に連通している。
【0064】
詳述するに、各縦連通路52の下部は、ロータリーバルブ53のケーシング53cに並接続される。ケーシング53c内の回転式間隙容体53f及びこれを覆うケーシング53cは、共に幅方向に伸長してなり、このケーシングの伸長方向に亘って、各縦連通路52が分散して並接続される。つまり燃料落下口から自然落下した木質燃料は、分岐路によって分岐された後、ロータリー送給バルブ内で再び合流してロータリーバルブ53の回転式間隙容体53fによって区分排出される。
【0065】
(縦連通路52)
縦連通路52は縦方向に伸びたロータリーバルブ53への連通路であり、木質燃料がその内部を落下すると共に、二次空気がその合流口以降の内部を下方へ送出される。実施例では2本の縦連通路52であるが、分岐管を有さない1本の縦連通路52でもよく、また3本以上のものでも良い。
【0066】
複数の縦連通路52は、ロータリーバルブ53の回転軸方向である幅方向に並んで、幅方向に伸びたロータリーバルブ53の上方にそれぞれ並接続される。このため分岐路を自然落下した木質燃料は、複数の縦連通路52によって幅方向に分散してロータリーバルブ53内に供給される。
【0067】
(ロータリーバルブ53)
ロータリーバルブ53は、幅方向を回転軸とする回転式間隙容体53fを有し、この回転式間隙容体53fによって、各縦連通路52から供給された木質燃料を所定量毎に区切って燃料供給口から排出する。
【0068】
(自動送給装置50)
自動送給装置50は例えば図10に示すものと同様、木質燃料を貯留する縦型の貯留ホッパー50hと、その下部に接続され、管内のフィーダー機構によって木質燃料を分岐路51の上方まで自動送給する自動送給管50sと、自動送給管50sと燃料落下口5とを管接続する送給接続管50cとからなる。木質燃料は、自動送給装置50の自動送給管50sによって自動送給され、自動送給管50sの先に接続された送給接続管50cによって、燃料供給装置5の上部にある燃料落下口51h内に投入される。
【0069】
(二次空気送出装置7)
実施例1の二次空気送出装置7は、燃焼室1後部上方に配置されて前方へ排風する二次空気ファン71と、二次空気ファン71の排風先に連通配置された分流チャンバー72と、分流チャンバー72の幅方向中央部から前方へ向かって配設された第一送出管73と、第一送出管73の前方に連通されて燃焼室1の後壁と隣接して設けられた第一送出チャンバー74とから構成される。第一送出チャンバー74はその前面板の一部が燃焼室1の後壁と円形貫通しており、この貫通部が燃焼室1内に設けられた第一の二次空気送出口121となっている。
【0070】
分流チャンバー72は、二次空気ファン71から排風される二次空気を第一送出管73内と2本の縦連通路52内に分け、幅方向中央部にて第一の二次空気と両側部にて第二の二次空気とに分流させる。このチャンバーは横長矩形の前面板と後面板に囲われた箱型のチャンバーであり、前面板が左右の縦連通路52の後部にそれぞれ接して設けられるとともに、後面板が二次空気ファン71に連通されて設けられる。チャンバーの前面板は、左右の縦連通路52を覆う幅であり、幅方向中央部の縦連通路52間にて円形断面の第一送出管73と連通すると共に、その左右それぞれの縦連通路52との接面に矩形の合流口75が設けられ、この合流口75にて縦連通路52と連通する。
【0071】
分流チャンバー73に設けた合流口75から、2本の縦連通路52それぞれの内部へ二次空気を送り込む。縦連通路52の内部へ送り込まれた二次空気は、縦連通路52の内部であって合流口75前方に傾斜して設けられた整流板によって下方へ整流され、各縦連通路52より下方のロータリーバルブ53側へ向かう。2本の縦連通路52を通った第二の二次空気は、ロータリーバルブ53内で合流し、燃料供給口から燃焼室内に送出される。この第二の二次空気によって燃焼室1内を正圧に保ち、良好な燃焼状態を確保しながら、燃料供給口から燃料供給装置内への燃焼気の逆流を防ぐものとしている。
【0072】
また第二の二次空気によって、燃料供給装置の縦連通路52及びロータリーバルブ53が冷却され、燃料供給機構の連続過熱による運転異常を抑制することができる。特に、これらは木質燃料を機械動作によって木質燃料を移送排出するものであるため、運転時に冷却しつづけることで燃料供給の機械的構造が熱変形、熱劣化するのを防ぐことは重要である。
【0073】
また第二の二次空気によって、ロータリーバルブ53による木質燃料の押し出しが促進されることで目詰まりが防止される。
【0074】
なおペレットよりも燃焼効率の低い、木質チップ等の木質燃料やその他の有機廃棄物(生ゴミ等)を燃焼燃料とするときには、第二の二次空気がこの燃焼燃料を冷却乾燥し、含水量を減らすことで燃焼室内の温度低下を防止するものとなる。
【0075】
(ロストル3とその周辺構造)
図5に示すように、実施例1のロストル3はロストル孔31として真円形状のパンチング孔が設けられた金属薄板と、この下面に並行して貼り付けられた桟33とから構成され、前辺を前保持具34に保持され、後辺を後保持具35に保持されると共に、幅方向中央にて下面から固定された支持腕61によって燃焼室1のケーシング1c内に傾斜支持される。
【0076】
下方傾斜したロストル3の前辺の中央には前切り欠き32を設け、前保持具34の中央であってこの前切り欠き32と重なる部分には灰を落下排出するための複数の排出孔34hを設けている。また前保持具34の前部上方には、燃焼室の前面側のうちノズル下方を遮るようにして耐火ブロック11を配置している。耐火ブロック11はロストル3の前辺付近から立設し、後保持具35よりも高い位置をブロック上辺とする。一次空気及び第二の二次空気の一部の流れがこの耐火ブロック11によって遮られ、図示するように一部で乱流が発生することで、ノズル部よりも手前の燃焼室内での完全燃焼が促進される(図1、図2)。また耐火ブロック11によって燃焼室前下部が遮られることで、ロストル3上で発生した木質燃料や灰の、ノズル前方への飛散が防止され、灰ボックス8内への灰の落下排出が促進される。
【0077】
下部の灰ボックス8は錠81lによって扉81が開閉される。メンテナンス時には灰ボックス8内の灰を取り出す。また灰ボックスの外部には移動のための車輪8rが設けられる。
【0078】
支持腕61は燃焼室1外にて緩衝材61bを介して一次ファン接続管43の外面に固定したアングル上に固定される(図2、図4)。また燃焼室1外に伸びる支持腕61の伸長軸上に変動装置62であるバイブレーターを、変動伝達片を介して伝達片固定具62cで固定している。
【0079】
(燃焼圧)
実施例1、実施例2のノズル式バーナーによって、少なくとも燃焼室1の下部での一次燃焼と燃焼室1の中央部での二次燃焼とが連続的に行なわれる。一次燃焼空気と二次燃焼空気の吹込みによって、燃焼室1内は大気圧よりも高い正圧状態となるが、二次燃焼空気をノズル軸方向先端側へ噴出させることで、一次空送路や燃料供給装置側への燃焼気の逆流、すなわち逆火を防ぐことができる。
【実施例2】
【0080】
図6ないし図9に示す実施例2のノズル式バーナーは、2つの変動支持装置6を有し、またそれぞれの変動支持装置6上方に、変動支持装置6を冷却する冷却ファン63及び冷却チャンバー64からなる2つの冷却装置を有する。冷却ファン63は二次空気ファンの両側に配置される(図6〜図8)。
【0081】
また実施例2の二次空気送出装置7は、ファン送出口の代表長さの2倍以下の細幅の分流チャンバー72が、2本の縦連通路52間を通るようにして二次空気ファン71の送出口から水平に前方延伸して設置され、その略延長線上或いはそこからわずかに下方オフセットされた位置に第一の二次空気送出口121を設け、燃焼室1内に連通する(図6、図7)。この分流チャンバー72の両側面の矩形領域に、それぞれ両側の縦連通路52と合流する合流口75が設けられる(図6、図8)。両側面に合流口75を設けることで、分流チャンバーへの逆流を抑制し、効率的な分流構造を達成している。
【0082】
また実施例2のロストル3の表面に形成された多数のロストル孔31は、押し出し方向D1へ伸びる長円形の長孔となっており、ロストル3下面からの一次空気の取入れを効率化すると共に木質燃料のスライド落下を補助しうるものとなっている(図9)。
【0083】
実施例2ではまた、燃焼室1の前面のノズル2周辺部にかけて室前部ブロック11aを配置し、及び側面から上面にかけて室側部ブロック11bを囲うように配置している(図6、7)。これらは耐火ブロック11であり、外部への熱の放出を抑え、燃焼室1内の燃焼温度を保持すると共に外部接触時の安全性を確保している。また室前部ブロック11aを含む燃焼室全面部は、メンテナンス時において前部着脱機構1clによってノズル2とともに外したり付け戻したりすることができる。
【0084】
木質燃料の一次燃焼によって、ノズル2内及びその先部に燃焼ガスが発生する。本実施例ではノズル2の先側に熱供給装置90を備えており、この熱供給装置90内に設けた三次燃焼室91で燃焼ガスを燃焼させるものとしている(図10)。
【0085】
(本体外カバー、ノズルカバー)
実施例2ではまた、燃焼室1、その後部の燃料供給装置5、一次空気送出装置4及び二次空気送出装置7までを、両側方から上方にかけて、及び後方にかけて纏めて囲った本体外カバー10cを具備しており、またノズルの両側方から上方に掛けて囲ったノズルカバー2cを具備している(図6、図7)。本体外カバー10cは、一次点火送風装置42に含まれる一次空気ファン、二次空気ファン71、或いは変動装置62等による騒音の発生を抑え、また燃焼室1の燃焼熱の放出を抑えるものである。ノズルカバー2cは安全上、ノズル2外部の熱の放出を抑えるものである。
【0086】
(本発明の熱供給システム)
図10に示す本発明の熱供給システムは、前記いずれか記載のノズル式バーナー10と、ノズル式バーナー10の着火時に使用すべく一次着火送風装置に接続された着火燃料タンク40と、木質燃料をノズル式バーナー10へ自動送給する燃料自動送給装置50と、ノズル式バーナーの燃焼熱を回収して室内へ供給する熱供給装置90とを具備してなる(図11)。燃焼材の自動投入、ノズル式バーナーの燃焼処理熱の再熱利用によって、最適な植物栽培条件を連続供給する。
【0087】
実施例2の自動送給装置50は、図10に示すように、木質燃料を貯留する縦型の貯留ホッパー50hと、その下部に接続され、管内のフィーダー機構によって木質燃料を分岐路51燃料落下口5の上方まで自動送給する自動送給管50sと、自動送給管50sと燃料落下口5とを管接続する送給接続管50cとからなる。
【0088】
(三次燃焼室91)
三次燃焼室91は、ノズル2先部にて三次燃焼を行う室部であり、熱供給装置90内に設けられる。三次燃焼室91にはノズル式バーナー10のノズル2の先端部が侵入しうる侵入口が設けられ、この侵入口から室内へ向かって三次燃焼ノズル92が伸設される(図6、10)。侵入口および三次燃焼ノズル92はノズル2よりも一回り大きく成形され、これによって、熱供給装置90の設置状態においてノズル2外周部に環状断面の隙間が設けられる(図6)。この隙間が三次燃焼のための三次空気取込口92oとなり、バーナー噴出時には、ノズル2の外周面付近の三次空気取込口92oから外部の新鮮空気が巻き込まれ、巻き込まれた新鮮空気が三次燃焼空気として三次燃焼室内に噴出する。
【0089】
バーナーの噴出によって三次燃焼室91で発生した燃焼気は、三次燃焼室91上部にある集気部93へ集気され、そこから熱交換部へ流入し、排気ファン96によって煙道97から外部へ排気される。熱交換部では熱交換によって加温空気が生成され、この加温空気は熱供給ファン94によって送られ、熱供給ダクト95を通じて任意の場所へスポット供給される(図10)。燃焼室1内での燃焼に続いてノズル先で三次燃焼を連続的に行うことで、より高温の完全燃焼処理が可能となり、有害ガスの発生しないノズル式バーナーとなる。
【0090】
実施例2のノズル式バーナーによって、少なくとも燃焼室1の下部での一次燃焼、燃焼室1の中央先側ないしノズル2部での二次燃焼、及びノズル先側ないし三次燃焼室91での三次燃焼が連続的に行なわれる。二次燃焼空気によって、正圧の燃焼室1を正圧にして室内の燃焼気をノズル先側へ噴出させることで、三次燃焼空気の巻き込みを促進させることができる。
【0091】
本実施例のようなノズル式バーナーは、木質燃料の自動分散供給を行い、複数室内ないし複数箇所を連続的に加温する比較的大型の横型バーナーとして好適に使用され、例えば12万キロカロリー程度までの燃焼能力を発揮し、メンテナンスを行なわずに5時間程度或いはそれ以上の連続運転が可能である。
【実施例3】
【0092】
図11,12に示す実施例3のノズル式バーナーは、燃料供給口を二次空気送出口として用いたものであり、燃料供給装置内に二次空気送出装置を合流させて燃料供給の下流方向へ二次空気を送出し、燃料供給口から二次空気を送出することを特徴とする。二次空気送出装置7の二次空気ファン71は、燃料供給装置の縦方向連通路55の後方側壁に設けた合流口75に合流接続される。縦方向連通路55内の合流口75の上部には、下方に傾斜した整流板55fが設けられ、これにより、縦方向連通路55内に送出された二次空気が下方の燃料供給口側へ整流される。運転中は燃料供給口から常に二次空気が送出され、燃焼気が燃焼室1の燃料供給口から燃料供給装置へ逆流することを防止することができる。
【0093】
また実施例3のノズル式バーナーは実施例1と同様、燃焼室1の一側方である前方ノズル2を接続してなり、燃焼室1内からノズル2の先端側であるノズル方向D2にバーナー噴射し、木質燃料を燃焼するノズル式バーナーである。ただし実施例1と比較して、ロストル31が傾斜せず略水平に支持され、単独の二次空気送出口である第一の二次空気送出口を有さず、燃料供給装置もロータリーバルブ53を有さない。
【0094】
すなわち本実施例は、燃焼室1内の下部にて略水平支持されたロストル3と、ロストル3の下方に設けた一次空送路41からロストル3上方の燃焼室1内に向かって一次燃焼空気を送出する一次空気送出装置4と、燃焼室1の後部に設けた燃料供給口から所定の押し出し方向D1で木質燃料を押し出してロストル3上に供給する燃料供給装置5と、燃料供給装置5に合流し、木質燃料の供給方向に沿って燃料供給口から二次空気を燃焼室内に送出する二次空気送出装置7とを具備してなる。
【0095】
実施例3の燃料供給装置5は縦型の燃料供給ホッパー54と、これに下方接続され、下部側面に燃料供給口を有した縦方向連通路55とから構成される。燃料供給ホッパー54は、内部の傾斜間仕切りによって、一部が開口されつつ上下に区分される。傾斜間仕切りの上部側は、天蓋を有した木質燃料のストック部54hとされ、木質燃料を貯留すると共に、2枚の傾斜間仕切りと緩傾斜した側壁に囲われた排出口から、木質燃料を少量ずつ間仕切りの下方へ排出する。
【0096】
傾斜間仕切りの下部側には、ギヤモーターユニット54mに動力接続されたスプリングフィーダー54fが内設され、ストック部54から排出された木質燃料を、縦方向連通路55の上端の連通口までフィーダーによって運搬する。
【0097】
縦方向連通路55は縦方向に延びる一本の連通路であり、上部が燃料供給ホッパー54に接続されると共に、下部の前方側側面に設けた燃料供給口が燃焼室1に接続される。燃料供給口と対向する後方側側面には、二次空気ファン71と合流する合流口75が設けられ、合流口75の上部の連通路内には二次空気を燃料供給口側へと整流する整流板55fが傾斜配設される。また縦方向連通路55の下端の底部には、合流口75の下部から対向位置にある燃料供給口の下部に向かって下方傾斜した燃料供出板53lが形成される。燃料供出板53lは燃焼室1内の下部のロストル3付近まで延出形成され、縦方向連通路55の上部から供給された木質燃料を燃焼室1内のロストル3上に投入する。燃料供出板53lは、整流板55fと並行した、ロストル3と同じ傾斜角度3Θで配設される。
【0098】
実施例3のロストル3は、下部耐火ブロック11cを底板とする灰ボックス8の天井部分の前方寄りへ、ロストル固定具3cに載置固定されて設けられる。燃焼室1はこのロストル3の部分を下端とした側面視略T字状の燃焼空間を有し、後側壁が燃料供給口兼二次空気送出口12として開口すると共に、前側壁がノズル2に連通されて開口する。本実施例のようなノズル式バーナーは、木質燃料の分散供給を必要としない比較的小型の横型バーナーとして好適に使用され、例えば2万キロカロリー程度までの燃焼能力を発揮する。また実施例2と同様の熱供給装置90ないし三次燃焼室91を備えたものとすることができる。他の特記しない主構成は実施例1と同様である。
【実施例4】
【0099】
図13に示す実施例4のノズル式バーナーは、実施例3のノズル式バーナーにおいて燃焼室1の上方に燃焼気を排出する縦型のものであり、図示しないノズル2が、必要に応じて燃焼室1の天井開放口に連通接続される。縦方向を燃焼気流とすることで、加熱による気流上昇作用が働き、燃焼室内の燃焼気流の安定化を図ることができ、一次空気送出装置や二次空気送出装置を小型化し、或いはこれらの運転時間を削減し得るものとなる。
【0100】
実施例4のノズル式バーナーにおけるロストル3は傾斜せずに同一高さのロストル固定具3cによって水平支持されており、また変動支持装置を有さず変動しない。ただし、燃料供給口を二次空気送出口12として二次空気を連続送出することで、燃料供給装置5内へ燃焼気流が入らず、燃料供給装置5内の一部を連続冷却するため、燃焼室内の燃焼状態を安定させ得る。このような縦型のノズル式バーナーは例えば0.5ないし2万キロカロリー程度の燃焼能力を発揮し、簡易構成による小型のノズル式バーナーとして、或いは加温器や暖房器として利用できる。他の特記しない主な構成は実施例3と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明のノズル式バーナー及び熱供給システムは、熱供給バーナーとして加温或いは任意の被加熱材を加熱利用して、植物栽培用温室、プラスチック等熱溶融体の成形機械、製鋼プラント、化学プラントのほか、さまざまな熱源利用施設や加熱工程で使用することができる。また、被燃焼材を燃焼処理或いは焼却処理することも可能である。
【0102】
その他本発明は上述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更、構成ないし要素の抽出、代替、組み合わせが可能である。例えばロストル3の燃焼室1内の支持においては、変動支持装置を有さずにロストル3を傾斜支持するもの、ロストル3を水平支持したまま変動支持装置によって変動させるもの、変動支持装置を有さずにロストル3を水平支持或いは傾斜支持するものなど、様々な要素の組み合わせが考えられる。またロストル3や支持腕61の形状、ひいては支持方法も様々な要素の組み合わせや代替手段が考えられる。
【0103】
他に例えば一次空気、二次空気の送出においては、二次空気送出口を燃料供給口とし、二次空気の送出によってもロストル3上の燃料の分散状態を良好に保つもの、一次空気と二次空気のうちいずれかを選択して切り替えて送出するもの、ファンの数を減らして一次空気ファンと二次空気ファンを同一のファンとし、ダクトの分岐接続とこれに内蔵したダンパの調節によって風量を調節するもの、逆にファンの数を増やして一次空気ファンと二次空気ファンをそれぞれ補助ファン付の複数個とし、必要に応じて補助ファンを作動させるもの、或いは一次空気送出口をロストル3下方ないしロストル固定具3c付近に複数個設ける、二次空気送出口を燃焼室1の後壁以外の側壁や天井に設けるといった送出口の形態を変えたものなどが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施例1のノズル式バーナーの側面視構造説明図である。
【図2】図1における燃焼室1後部ないし下部付近の拡大構造説明図である。
【図3】実施例1のノズル式バーナーの正面視構造説明図である。
【図4】図1における背面視A−A線断面説明図である。
【図5】図2における平面視B−B線断面説明図である。
【図6】本発明の実施例2のノズル式バーナーの側面視構造説明図である。
【図7】図6における正面視C−C線断面説明図である。
【図8】図6における背面視D−D線断面説明図である。
【図9】図6における平面視E−E線拡大断面部分説明図である。
【図10】実施例2の熱供給システムの構成説明図である。
【図11】実施例3のノズル式バーナーの側面視構造説明図である。
【図12】実施例3のノズル式バーナーにおける燃料供給装置の側面視一部破断説明図である。
【図13】実施例4のノズル式バーナーの側面視構造説明図である。
【符号の説明】
【0105】
1 燃焼室
1c ケーシング
1cl 前部着脱機構
10c 本体外カバー
10 ノズル式バーナー
11 耐火ブロック
11a 室前部ブロック
11b 室側部ブロック
12 二次空気送出口
121 第一の二次空気送出口
122 第二の二次空気送出口
61h 貫通孔
2 ノズル
2c ノズルカバー
3 ロストル
3c ロストル固定具
31 ロストル孔
32 前切り欠き
33 桟
34 前保持具
34h 排出孔
3Θ 傾斜角度
35 後保持具
4 一次空気送出装置
40 点火燃料タンク
41 一次空送路
42 一次点火送風装置
43 一次ファン接続管
5 燃料供給装置
50 自動送給装置
50c 送給接続管
50h 貯留ホッパー
50s 自動送給管
51 分岐路
51h 燃料落下口
52 縦連通路
52f 整流板
53 ロータリーバルブ
53a バルブ軸
53c ケーシング
53f 回転式間隙容体
53l 燃料供出板
53m ロータリーモータ
6 変動支持装置
61 支持腕
61b 緩衝材
61c 支持腕固定具
62 変動装置
62l 変動伝達片
62c 伝達片固定具
63 冷却ファン
64 冷却チャンバー
64o 吹き出し口
7 二次空気送出装置
71 二次空気ファン
72 分流チャンバー
73 第一送出管
74 第一送出チャンバー
75 合流口
8 灰ボックス
8r 車輪
81 扉
81l 錠
90 熱供給装置
91 三次燃焼室
92 三次燃焼ノズル
92o 三次空気取込口
93 集気部
94 熱供給ファン
95 熱供給ダクト
96 排気ファン
97 煙道
D1 押し出し方向
D2 ノズル方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室1内からこれに接続したノズル2のノズル方向D2に燃焼気をバーナー噴射するノズル式バーナーであって、燃焼室1内の下部にて一方向へ傾斜支持されたロストル3と、ロストル3の下方に設けた一次空送路41からロストル3の上方の燃焼室1内に向かって一次燃焼空気を送出する一次空気送出装置4と、木質燃料を燃焼室1の一側部から燃焼室1内に所定の押し出し方向で押し出してロストル3上に供給する燃料供給装置5とを具備してなることを特徴とするノズル式バーナー。
【請求項2】
ロストル3を、燃焼室1中の領域内でその支持固定位置を変動させながら支持固定しうる変動支持装置6を具備してなる請求項1記載のノズル式バーナー。
【請求項3】
燃料供給装置5から燃焼室1への燃料供給口を燃焼室1内の側部に設け、この燃料供給口から燃焼室1内に向かって二次空気を送出し、燃焼時の燃焼室1内を正圧にする二次空気送出装置7を具備してなる請求項1または2記載のノズル式バーナー。
【請求項4】
二次空気送出装置7は、燃焼室1内の側部後方に設けた二次空気送出口12からノズル方向前方に向かって二次空気を送出し、燃焼室1内の燃焼気をノズル先端方向に沿って整流しうる請求項3記載のノズル式バーナー。
【請求項5】
燃料供給装置5が、燃焼室1の後方に設けたロータリーバルブ53の燃料供給口から燃焼室1内に供給するものであって、燃焼室1の後方上部にて受給した木質燃料を下方分岐させて複数の縦方向の縦連通路52に導く分岐路51と、分岐路51の分岐後の各縦連通路52に並接続されたロータリーバルブ53とを具備してなる請求項1、2、3または4のいずれか記載のノズル式バーナー。
【請求項6】
請求項1、2、3、4、または5のいずれか記載のノズル式バーナー10と、木質燃料をノズル式バーナーへ自動送給する自動送給装置50と、ノズル式バーナーの燃焼熱を回収して熱供給する熱供給装置90とを具備してなる熱供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−287824(P2009−287824A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140209(P2008−140209)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(304045077)株式会社相愛 (11)
【Fターム(参考)】