説明

ノズル面清掃装置

【課題】ノズル面に洗浄液を残さずに、非接触でノズル面を清掃するノズル面清掃装置を提供する。
【解決手段】洗浄液保持プレート102に形成された洗浄液保持面104をヘッド50のノズル面52に対向させて配置する。洗浄液保持面104とノズル面52との間に洗浄液を供給し、洗浄液保持面104とノズル面52との間に洗浄液を膜状に保持させる。ノズル面54の全面が洗浄液保持面上の洗浄液に接触するように、ヘッド50を移動させる。この際、ノズル面上に洗浄液が残存しないように、ヘッド50の移動を制御する。また、洗浄液保持面側に洗浄液が引きずられるように、洗浄液保持面104は、ノズル面52よりも高い濡れ性をもって形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル面清掃装置に係り、特にインクジェットヘッドのノズル面を非接触で清掃する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから微小液滴を吐出させて画像の記録を行うインクジェット記録装置では、ヘッドのノズル面(ノズルが形成されている面)に汚れが付着していると、吐出不良等を誘発する。このため、インクジェット記録装置では、定期的にノズル面の清掃が行われる。
【0003】
特許文献1には、このノズル面の清掃方法として、ノズル面をブレードで払拭して、ノズル面を清掃した後、多孔質材料からなるクリーニングローラでノズル面を払拭して、ノズル面に残留する液体を除去する方法が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、スリットから帯状に吐出させた洗浄用液体にノズル面を接触させてノズル面を清掃した後、ノズル面にエアを噴射して、ノズル面に残留する液体を除去する方法が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、クリーニング台に液滴を形成し、そのノズル面を触れさせることによって、ノズル面を清掃する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-50590号公報
【特許文献2】特開2008-201021号公報
【特許文献3】特開平11-58752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法は、ブレードで汚れを拭い取る構成のため、ノズル面が損傷を受けやすいという欠点がある。
【0008】
一方、特許文献2の方法は、非接触でノズル面を清掃するので、ノズル面が損傷を受けることはないが、清掃後に吹き付けられるエアによってノズル内部のインクが乾燥して固化してしまうという欠点がある。
【0009】
また、特許文献3の方法は、液滴だけでノズル面を清掃するので、たとえば、ラインヘッドなどの長尺のヘッドを清掃すると、しだいに汚れが液滴に溶解してゆき、ノズル面の全体を清掃するのが難しいという欠点がある。また、洗浄液の表面張力によっては、ノズル面に洗浄液が残留してしまうという欠点がある。このノズル面に残留する洗浄液は、吐出不良等の原因となる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ノズル面に洗浄液を残さずに、非接触でノズル面を清掃するノズル面清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
課題を解決するための手段は、次のとおりである。
【0012】
[1]第1の態様は、インクジェットヘッドのノズル面を清掃するノズル面清掃装置において、前記ノズル面よりも高い濡れ性を有する洗浄液保持面を有し、該洗浄液保持面が前記ノズル面に対向して配置されて、該洗浄液保持面と前記ノズル面との間で洗浄液を膜状に保持する洗浄液保持部材と、前記洗浄液保持面と前記ノズル面との間に前記洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記洗浄液保持面が前記ノズル面に沿って相対的に平行移動するように、前記洗浄液保持部材と前記インクジェットヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、前記移動手段を制御して、前記ノズル面上に前記洗浄液が残存しないように前記洗浄液保持部材と前記インクジェットヘッドとの相対的な移動を制御する移動制御手段と、を備えた。
【0013】
本態様では、ノズル面に対向するように配置された洗浄液保持面とノズル面と間に洗浄液を供給して、洗浄液保持面とノズル面との間に洗浄液を膜状に保持する。そして、洗浄液保持面とノズル面とを相対的に移動させることにより、ノズル面を清掃する。この際、ノズル面上に洗浄液が残存しないように、洗浄液保持面とノズル面との間の移動が制御される。洗浄液保持面は、ノズル面よりも高い濡れ性をもって形成されるので、ノズル面に洗浄液が残存するのを効果的に防止することができる。なお、移動の制御(移動速度の制御)は、たとえば、ノズル面と洗浄液保持面の濡れ性(撥液性)や、洗浄液の表面張力、洗浄液保持面とノズル面との間に形成する洗浄液の膜厚、汚れの程度等を考慮して行われる。
【0014】
[2]第2の態様は、上記第1の態様において、前記洗浄液保持部材は、前記洗浄液保持面に洗浄液供給穴を有し、前記洗浄液供給手段は、前記洗浄液供給穴から前記洗浄液保持面と前記ノズル面との間に前記洗浄液を供給する。
【0015】
本態様によれば、洗浄液保持面に形成された洗浄液供給穴から洗浄液保持面とノズル面との間に洗浄液が供給される。これにより、効率よく洗浄液保持面とノズル面との間に洗浄液を供給することができ、確実に洗浄液保持面とノズル面との間に洗浄液の膜を形成することができる。
【0016】
[3]第3の態様は、上記第2の態様において、前記洗浄液供給穴は、前記ノズル面に対する前記洗浄液保持面の相対的な移動方向の上流側に形成される。
【0017】
本態様によれば、ノズル面に対する洗浄液保持面の相対的な移動方向の上流側に洗浄液供給穴が形成される。これにより、洗浄液保持面とノズル面との間に効率よく洗浄液の膜を形成することができる。
【0018】
[4]第4の態様は、上記第1から3のいずれか1の態様において、前記洗浄液供給手段は、種類の異なる前記洗浄液を選択的に供給可能に構成される。
【0019】
本態様によれば、洗浄液保持面とノズル面との間に種類の異なる洗浄液を選択的に供給することができる。これにより、たとえば、汚れの程度などに応じて適切な洗浄液を選択して、ノズル面を清掃することができる。
【0020】
[5]第5の態様は、上記第4の態様において、前記洗浄液供給手段による前記洗浄液の供給を制御する洗浄液供給制御手段を更に備え、前記移動制御手段は、前記洗浄液保持面と前記ノズル面とを複数回相対的に移動させて、前記ノズル面を複数回清掃させ、前記洗浄液供給制御手段は、清掃回数に応じて前記洗浄液保持面と前記ノズル面との間に供給する前記洗浄液の種類を切り換える。
【0021】
本態様によれば、洗浄液保持面とノズル面とを複数回相対的に移動させて、ノズル面が複数回清掃される。この際、清掃回数に応じて、洗浄液保持面とノズル面との間に供給する洗浄液の種類が切り換えられる。これにより、より適切にノズル面を清掃することができるとともに、より効果的に洗浄液の残存を防止することができる。すなわち、たとえば、2回清掃する場合において、1回目は洗浄能力の高い洗浄液を用いて清掃し、2回目は洗浄能力の低い洗浄液(たとえば、純水)を用いて清掃することができる。また、たとえば、1回目は、表面張力の低い洗浄液を用いて清掃し、2回目は、表面張力の高い洗浄液を用いて清掃することができる。
【0022】
[6]第6の態様は、上記第5の態様において、前記洗浄液供給手段は、表面張力の異なる前記洗浄液を選択的に供給可能に構成され、前記洗浄液供給制御手段は、前記清掃回数に応じて、表面張力の低い洗浄液から表面張力の高い洗浄液に切り換えて供給する。
【0023】
本態様によれば、複数回清掃する場合において、清掃回数に応じて、表面張力の低い洗浄液から表面張力の高い洗浄液に切り換えられて清掃が行われる。たとえば、2回清掃する場合、1回目は、表面張力の低い洗浄液を用いて清掃し、2回目は、表面張力の高い洗浄液を用いて清掃する。少なくとも最後に表面張力の高い洗浄液を用いて清掃することにより、ノズル面上に液体が残存するのを効果的に防止することができる。
【0024】
[7]第7の態様は、上記第1から6のいずれか1の態様において、前記洗浄液保持面には、前記ノズル面に対する前記洗浄液保持面の相対的な移動方向の下流側の領域にスリット状の洗浄液回収穴が形成される。
【0025】
本態様によれば、洗浄液保持面にスリット状の洗浄液回収穴が形成される。これにより、洗浄液を効果的に捕捉することができ、ノズル面に洗浄液が残存するのを防止することができる。
【0026】
[8]第8の態様は、上記第7の態様において、前記洗浄液回収穴は、前記洗浄液保持面と前記ノズル面との相対的な移動方向に沿って複数箇所に並列して形成されるとともに、相対的な移動方向の下流側に向かって幅が段階的に小さくなるように形成される。
【0027】
本態様によれば、洗浄液回収穴が、洗浄液保持面とノズル面との相対的な移動方向に沿って複数箇所に並列して形成される。また、各洗浄液回収穴は、ノズル面に対する洗浄液保持面の相対的な移動方向の下流側に向かって幅が段階的に小さくなるように形成される。これにより、効率よく洗浄液を捕捉することができ、ノズル面に洗浄液が残存するのを効果的に防止することができる。
【0028】
[9]第9の態様は、上記第7又は8の態様において、前記洗浄液回収穴から前記洗浄液を吸引する洗浄液吸引手段を更に備えた。
【0029】
本態様によれば、洗浄液回収穴から洗浄液の吸引が行われる。これにより、さらに効率よく洗浄液を捕捉することができ、ノズル面に洗浄液が残存するのを効果的に防止することができる。なお、このように洗浄液回収穴から洗浄液を吸引すると、同時にノズルからもインクが吸い出されてしまう。したがって、インクジェットヘッドは、ノズル内部のインクが吸い出されないように、背圧が負圧になるように制御する。
【0030】
[10]第10の態様は、上記第1から9のいずれか1の態様において、前記洗浄液保持面は、前記ノズル面に対する相対的な移動方向の下流領域が、移動方向の下流側に向かって収束して形成される。
【0031】
本態様によれば、洗浄液保持面の移動方向の下流領域が収束して形成される。これにより、ノズル面の端部において、洗浄液を収束点に集めることができ、効率よくノズル面から洗浄液を除去することができる。
【0032】
[11]第11の態様は、上記第10の態様において、前記洗浄液保持面は、幅方向の片側に向かって収束して形成される。
【0033】
本態様によれば、洗浄液保持面の移動方向下流領域が、幅方向(移動方向と直交する方向)の片側に向かって収束して形成される。一般にノズルは、ノズル面の幅方向の中央に形成されるため、幅方向の一端に収束させることにより、少なくともノズルが形成された領域に洗浄液が残存するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ノズル面に洗浄液を残さずに、非接触でノズル面を清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】インクジェット記録装置の要部の構成を示す正面図
【図2】インクジェット記録装置の要部の構成を示す平面図
【図3】インクジェット記録装置の要部の構成を示す側面図
【図4】ヘッドのノズル面の平面透視図
【図5】ヘッドの内部構造を示す縦断面図
【図6】インクの循環供給システムの概略構成図
【図7】ノズル面清掃装置の第1の実施の形態の側面図
【図8】ノズル面清掃装置の第1の実施の形態の正面図
【図9】ノズル面清掃装置の第1の実施の形態の平面図
【図10】ノズル面清掃装置の第2の実施の形態を示す側面図
【図11】ノズル面清掃装置の第3の実施の形態を示す側面図
【図12】ノズル面清掃装置の第3の実施の形態を示す平面図
【図13】ノズル面清掃装置の第3の実施の形態の変形例を示す側面図
【図14】ノズル面清掃装置の第4の実施の形態を示す平面図
【図15】ノズル面清掃装置の第4の実施の形態の変形例を示す平面図
【図16】ノズル面清掃装置の第4の実施の形態の変形例を示す平面図
【図17】ノズル面清掃装置の第4の実施の形態の変形例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
【0037】
[1]第1の実施形態
《インクジェット記録装置の構成》
まず、本発明が適用されるインクジェット記録装置の構成について概説する。
【0038】
図1、図2、図3は、それぞれ本発明が適用されるインクジェット記録装置の一実施形態の要部の構成を示す正面図、平面図、側面図である。
【0039】
同図に示すように、このインクジェット記録装置10は、シングルパス方式のラインプリンタであり、主として、用紙(枚葉紙)Pを搬送する用紙搬送機構20と、用紙搬送機構20によって搬送される用紙Pに向けてシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、クロ(K)の各色インク滴を吐出するヘッドユニット30と、ヘッドユニット30に装着された各ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス部40と、ヘッドユニット30に装着された各ヘッドのノズル面を清掃するノズル面清掃装置100とを備えて構成される。
【0040】
用紙搬送機構20は、ベルト搬送機構で構成され、走行するベルト22に用紙Pを吸着させて、用紙Pを水平に搬送する。用紙Pは、図示しない給紙機構によって給紙される。
【0041】
ヘッドユニット30は、主として、シアンのインク滴を吐出するヘッド50Cと、マゼンタのインク滴を吐出するヘッド50Mと、イエロのインク滴を吐出するヘッド50Yと、クロのインク滴を吐出するヘッド50Kと、各ヘッド50C、50M、50Y、50Kが取り付けられるヘッド支持フレーム32と、ヘッド支持フレーム32を移動させるヘッド支持フレーム移動機構(図示せず)とで構成される。
【0042】
ヘッド(インクジェットヘッド)50C、50M、50Y、50Kは、印刷対象とする用紙Pの最大用紙幅に対応したラインヘッドで構成される。なお、各ヘッド50C、50M、50Y、50Kの構成は同じなので、以下においては、特に区別する場合を除いて、ヘッド50と記載する。
【0043】
ヘッド50(50C、50M、50Y、50K)は、矩形のブロック状に形成され、その底部にノズル面52(52C、52M、52Y、52K)が形成される。
【0044】
図4は、ヘッドのノズル面の平面透視図である。
【0045】
同図に示すように、ノズル面52には、ノズル54が配置される。ノズル54は、ヘッド50の長手方向に沿って直線上に一定ピッチで配置され、ノズル列を構成する。
【0046】
ノズル面52には、撥液処理が施される。撥液処理は、たとえば、ノズル面52に撥液膜をコーティングすることにより行われる。
【0047】
図5は、ヘッドの内部構造を示す縦断面図である。同図に示すように、ノズル54は、圧力室56に連通される。
【0048】
圧力室56は、直方体形状の空間として形成され、その底面の中央にノズル54が形成される。
【0049】
圧力室56の天井面は振動板58で構成され、上下方向に変形可能に形成される。この振動板58の上には圧電素子(ピエゾ素子)60が取り付けられる。振動板58は、この圧電素子60によって上下に変形する。そして、この振動板58が上下方向に変形することにより、圧力室56が膨張、収縮し、ノズル54からインクが吐出される。
【0050】
圧電素子60は、その上部に設けられた図示しない個別電極と、共通電極として作用する振動板58との間に所定の駆動電圧を印加することにより駆動される。コントローラ(インクジェット記録装置の全体の動作を制御するコントローラ)は、各ノズル54に対応した圧電素子60の駆動を個別に制御することにより、各ノズル54から選択的にインクを吐出させる。
【0051】
圧力室56には、個別供給流路62が連通される。個別供給流路62は共通供給流路64に連通される。共通供給流路64は、インク供給口66に連通される。インクは、インクタンクからインク供給口66に供給される。また、圧力室56には、個別回収流路68が連通される。個別回収流路68は共通回収流路70に連通される。共通回収流路70は、インク回収口72に連通される。インクは、インク回収口72からインクタンクに回収される。すなわち、圧力室56には、インクが循環して供給される。
【0052】
図6は、インクの循環供給システムの概略構成図である。
【0053】
インクタンク200は、管路202を介してバッファータンク204と連結される。
【0054】
管路202には、メインポンプ206とメインバルブ208が設けられる。メインポンプ206は、インクタンク200に貯留されたインクをバッファータンク204に送液する。メインバルブ208は、管路202を開閉する。
【0055】
バッファータンク204は、天面に形成された大気開放穴204Aを介して内部が大気開放される。
【0056】
バッファータンク204は、第1供給流路210を介して供給タンク212に連通される。また、バッファータンク204は、第1回収流路218を介して回収タンク220に連通される。
【0057】
供給タンク212は、第2供給流路214を介してヘッド50のインク供給口66に連通される。
【0058】
回収タンク220は、第2回収流路222を介して、ヘッド50のインク回収口72に連通される。
【0059】
第1供給流路210には、供給ポンプ226とフィルタ228が設けられる。供給ポンプ226は、バッファータンク204から供給タンク212にインクを送液する。フィルタ228は、供給ポンプ226とバッファータンク204との間に設けられ、供給タンク212に供給するインクから不純物を除去する。
【0060】
第2供給流路214には、供給バルブ230が設けられる。供給バルブ230は、第2供給流路214を開閉する。
【0061】
第1回収流路218には、回収ポンプ232が設けられる。回収ポンプ232は、回収タンク220からバッファータンク204にインクを送液する。
【0062】
第2回収流路222には、回収バルブ234が設けられる。回収バルブ234は、第2供給流路214を開閉する。
【0063】
供給タンク212は、内部が弾性膜(弾性変形可能な材料(たとえば、ゴム、熱可塑性エラストマー等、特にフッ素ゴム、NBRが好適)で構成された膜体)236によって供給液体室212Aと供給気体室212Bとに区画される。
【0064】
供給液体室212Aには、第1供給流路210と第2供給流路214が連通される。第1供給流路210を介してバッファータンク204から供給されるインクは、一旦、この供給液体室212Aに貯留される。そして、この供給液体室212Aから第2供給流路214を介してヘッド50に供給される。
【0065】
供給気体室212Bには、気体が充填される。この供給気体室212Bには、大気開放された大気開放管240が連通される。大気開放管240には、大気開放バルブ242が設けられる。大気開放バルブ242は、大気開放管240を開閉する。
【0066】
供給タンク212は、供給液体室212Aの内部の圧力が、供給圧力検出器238によって検出される。
【0067】
回収タンク220の構成は、上記供給タンク212と同じであり、内部が弾性膜244によって回収液体室220Aと回収気体室220Bとに区画される。
【0068】
回収液体室220Aには、第1回収流路218と第2回収流路222とが連通される。ヘッド50から第2回収流路222を介して回収されるインクは、一旦、この回収液体室220Aに貯留される。そして、回収液体室220Aから第1回収流路218を介してバッファータンク204に回収される。
【0069】
回収気体室220Bには、気体が充填される。この回収気体室220Bには、大気開放された大気開放管248が連通される。大気開放管248には、大気開放バルブ250が設けられる。大気開放バルブ250は、大気開放管248を開閉する。
【0070】
回収タンク220は、回収液体室220Aの内部の圧力が、回収圧力検出器246によって検出される。
【0071】
循環供給システムの全体の動作は、図示しないコントローラ(インクジェット記録装置の全体の動作を制御するコントローラ)によって制御される。コントローラは、供給側の圧力が回収側の圧力よりも所定量高くなるように制御することにより、インクを循環させてヘッド50に供給する。具体的には、供給液体室212Aの内部圧力をP1、回収液体室220Aの内部圧力をP2、ノズルの背圧をP3、インク吐出面と供給圧力検出器238との間の高低差により生じる圧力差(水頭圧)をH1、インク吐出面と回収圧力検出器246との間の高低差により生じる圧力差(水頭圧)をH2としたとき、P1+H1>P3>P2+H2(mmH2O)となるように、ノズルに所定の背圧を付与して、インクを循環させる。
【0072】
コントローラは、供給圧力検出器238により検出される供給液体室212Aの内部圧力と、回収圧力検出器246により検出される回収液体室220Aの内部圧力とに基づいて、供給ポンプ226及び回収ポンプ232の駆動を制御し、供給液体室212Aの内部圧力と回収液体室220Aの内部圧力が、それぞれ所定の圧力P1、P2になるように制御する。これにより、ヘッド50に対して、インクが循環して供給される。
【0073】
なお、供給ポンプ226と回収ポンプ232の動作によって圧力変動が生じた場合であっても、供給タンク212に設けられた弾性膜236と、回収タンク220に設けられた弾性膜244とによって、圧力変動を吸収することができる。これにより、背圧を一定に維持して、インクを供給することができる。
【0074】
ヘッド支持フレーム32は、各ヘッド50を取り付けるためのヘッド取付部(図示せず)を備えている。各ヘッド50は、このヘッド取付部に着脱自在に取り付けられる。
【0075】
ヘッド支持フレーム32に取り付けられた各ヘッド50は、ノズル面52を下に向けて、用紙Pの搬送方向に対して直交して配置される。また、用紙Pの搬送方向に沿って所定の順で一定の間隔をもって配置され(本例では、シアン、マゼンタ、イエロ、クロの順で配置)。さらに、各ヘッド50は、ノズル面52が用紙搬送機構20によって搬送される用紙Pの記録面と平行に配置される(本例では水平に配置)。
【0076】
ヘッド取付部は、ヘッド支持フレーム32に昇降自在に設けられ、図示しない昇降機構に駆動されて昇降する。ヘッド取付部に取り付けられた各ヘッド50は、この昇降機構によって、用紙Pの搬送面に対して垂直に昇降する。
【0077】
ヘッド支持フレーム移動機構(図示せず)は、ヘッド支持フレーム32を用紙Pの搬送方向に対して直交する方向に水平にスライド移動させる。このヘッド支持フレーム移動機構は、たとえば、用紙搬送機構20を跨いで水平に設置される天井フレームと、その天井フレームに敷設されるガイドレールと、ガイドレール上をスライド移動する走行体と、その走行体をガイドレールに沿って移動させる駆動手段(たとえば、送りねじ機構など)で構成される。ヘッド支持フレーム32は、走行体に取り付けられて、水平にスライド移動する。
【0078】
ヘッド支持フレーム32に取り付けられたヘッド50は、このヘッド支持フレーム移動機構によってヘッド支持フレーム32を移動させることにより、水平にスライド移動可能に設けられる。
【0079】
ヘッド50は、水平にスライド移動して、「画像記録位置」と「メンテナンス位置」との間を移動する。
【0080】
ヘッド50は、画像記録位置に位置すると、用紙搬送機構20の上方に配置される。これにより、用紙搬送機構20によって搬送される用紙Pに対して印刷することが可能になる。一方、メンテナンス位置に位置すると、メンテナンス部40に配置される。
【0081】
メンテナンス部40には、各ヘッド50のノズル面52を覆うキャップ42(42C、42M、42Y、42K)が備えられる。装置を長時間停止する場合などは、ヘッド50をメンテナンス部40に移動させ、ヘッド50のノズル面52をキャップで覆う。これにより、乾燥による不吐出等が防止される。
【0082】
ノズル面清掃装置100は、ヘッドユニット30に装着された各ヘッドのノズル面を清掃する。このノズル面清掃装置100は、ヘッド50が、メンテナンス位置から画像記録位置に向かって移動する過程において、ヘッド50のノズル面52に洗浄液を接触させて、ノズル面52を清掃する。なお、このノズル面清掃装置100の構成については、後に詳述する。
【0083】
インクジェット記録装置10は、以上のように構成される。インクジェット記録装置10の全体の動作は、図示しないコントローラによって制御され、コントローラは、所定の制御プログラムを実行して、インクジェット記録装置10の各部の動作を制御する。
【0084】
《画像記録動作》
次に、上記のインクジェット記録装置10による画像の記録動作について概説する。
【0085】
印刷の実行が指示されると、図示しない給紙装置から用紙搬送機構20に用紙Pが給紙される。用紙Pは、一定の間隔で連続的に給紙される。用紙搬送機構20は、この給紙装置から給紙される用紙Pを受け取って、一定の速度で連続的に搬送する。
【0086】
コントローラは、用紙Pがヘッド50の下を通過するタイミングに合わせて、各ヘッド50の駆動を制御し、各ヘッド50のノズルからインクを吐出させる。これにより、用紙Pに画像が記録される。
【0087】
《ノズル面清掃装置の構成》
次に、ノズル面清掃装置100の構成について説明する。
【0088】
ノズル面清掃装置100は、ヘッド50ごとに設けられる。各ヘッド50を清掃するノズル面清掃装置100の構成は同じである。
【0089】
図7、図8、図9は、それぞれノズル面清掃装置の側面図、正面図、平面図である。
【0090】
同図に示すように、ノズル面清掃装置100は、主として、ノズル面52との間で洗浄液を膜状に保持する洗浄液保持プレート102と、洗浄液保持プレート102から滴下する洗浄液を回収する回収皿112と、ノズル面52と洗浄液保持プレート102との間に洗浄液を供給する洗浄液供給機構120とで構成される。
【0091】
洗浄液保持プレート102は、矩形の板状に形成される。洗浄液保持プレート102は、その上面部分が洗浄液保持面104とされ、この洗浄液保持面(上面部分)104とノズル面52との間で洗浄液が膜状に保持される。
【0092】
洗浄液保持面104は、ノズル面52の面形状に対応して平坦に形成され、その奥行方向の辺の長さDは、ノズル面52の奥行方向の長さ(ヘッド50の長手方向と直交する方向の長さ)とほぼ同じに形成される。一方、その横方向の辺の長さ(ヘッド50の長手方向と平行な方向の幅)Wは、所定の長さで形成される。具体的には、ノズル面52の清掃に必要十分な長さで形成される。すなわち、横方向の辺の長さを長くすることにより、ノズル面52が洗浄液に接触する時間を長くすることができるが、この長さを長くすると、装置が大型化する。したがって、ノズル面52を洗浄するのに必要十分な長さに設定することが好ましい(コンパクト化を優先すれば、十分な清掃ができる最小の長さとすることが好ましい)。
【0093】
洗浄液保持プレート102は、回収皿112の内側に立設された支柱114の頂部に取り付けられて、所定位置に配置される。具体的には、ヘッド50の移動経路上に配置される。
【0094】
この際、洗浄液保持プレート102は、洗浄液保持面104が水平になるように配置される。すなわち、洗浄液保持面104がノズル面52と平行になるように配置される。また、洗浄液保持面104の奥行方向の辺が、ヘッド50の移動方向と直交するように配置され、かつ、洗浄液保持面104の奥行方向の辺の中心が、ヘッド50のノズル面52の奥行方向の中心と一致するように配置される。これにより、ヘッド50が、画像記録位置とメンテナンス位置との間を移動する際、ヘッド50のノズル面52が、洗浄液保持プレート102の洗浄液保持面104の上を通過する。また、ノズル面52が洗浄液保持面104の上を通過する際、ノズル面52が洗浄液保持面104に対向して通過する(互いに平行な状態で向き合って通過する。)。
【0095】
また、洗浄液保持プレート102は、ヘッド50のノズル面52が洗浄液保持面104の上を通過する際、ヘッド50のノズル面52と洗浄液保持面104との間に所定の隙間δが形成されるように配置される。この隙間δは、洗浄液保持面104とノズル面52との間に洗浄液を膜状に保持可能な幅で形成される。これにより、洗浄液保持面104と対向させた領域において、ノズル面52と洗浄液保持面104との間に洗浄液を膜状に保持することができる。
【0096】
洗浄液は、洗浄液保持面104に形成された一対の洗浄液供給穴106から洗浄液保持面104の上に供給される。洗浄液供給穴106は、洗浄液保持面上の片側(メンテナンス位置側)に配置され、ノズル面52の清掃時における洗浄液保持面104の移動方向(ノズル面52に対する洗浄液保持面104の相対的な移動方向)の上流側に配置される。すなわち、上記のように、ノズル面清掃装置100は、ヘッド50がメンテナンス位置から画像記録位置に移動する過程でノズル面52を清掃するので、供給した洗浄液が、洗浄液保持面104の全面に行き渡るように、洗浄液供給穴106は、移動方向上流側のメンテナンス位置寄りの位置に配置される。これにより、清掃時に洗浄液保持面104のほぼ全面に効率よく洗浄液を供給することができる。
【0097】
各洗浄液供給穴106は、洗浄液保持プレート102の内部に形成された洗浄液供給流路108を介して、洗浄液保持プレート102の下面部に形成された洗浄液供給口110に連通される。したがって、この洗浄液供給口110から洗浄液を供給すれば、各洗浄液供給穴106から洗浄液保持面104上に洗浄液を供給することができる。
【0098】
なお、上記のように、ノズル面52は、撥液処理が施されるが、洗浄液保持面104は、この撥液処理されたノズル面52よりも濡れ性が高くなるように形成される。すなわち、ノズル面52の接触角よりも洗浄液保持面104の接触角の方が小さくなるように形成される。これにより、移動するノズル面52に対して洗浄液を引きずりやすくすることができ、ノズル面52に洗浄液が残留するのを防止することができる。
【0099】
回収皿112は、上面部が開口した皿状に形成され、架台116の上に水平に設置される。架台116は、ブラケット(図示せず)を介してインクジェット記録装置10の本体フレーム(図示せず)に取り付けられる。回収皿112には、排液口118が形成される。排液口118は、排液配管(図示せず)を介して、排液タンク(図示せず)に接続される。
【0100】
回収皿112の内部には、支柱114が垂直に立設され、この支柱114の頂部に洗浄液保持プレート102が取り付けられる。
【0101】
ノズル面52と洗浄液保持面104との間から溢れた洗浄液は、この回収皿112で回収される。
【0102】
洗浄液供給機構120は、主として、洗浄液を貯留する洗浄液タンク124と、洗浄液保持プレート102の洗浄液供給口110と洗浄液タンク124とを接続する洗浄液配管126と、洗浄液タンク124から洗浄液供給口110に洗浄液を送液する洗浄液ポンプ128と、洗浄液配管126の管路を開閉する洗浄液バルブ130とで構成される。
【0103】
洗浄液タンク124は、洗浄液を貯留する。洗浄液には、たとえば、インク汚れを溶解する成分を含む液体が用いられる。
【0104】
洗浄液配管126は、洗浄液タンク124と洗浄液保持プレート102に形成された洗浄液供給口110とを接続する。
【0105】
洗浄液ポンプ128は、洗浄液配管126の途中に設けられ、洗浄液タンク124から洗浄液ノズル122に洗浄液を送液する。
【0106】
洗浄液バルブ130は、洗浄液配管126の途中に設けられ、洗浄液配管126の管路を開閉する。
【0107】
洗浄液供給機構120の動作は、図示しないコントローラ(インクジェット記録装置の全体の動作を制御するコントローラ)によって制御される。
【0108】
ノズル面清掃装置100は、以上のように構成される。
【0109】
《ノズル面清掃装置によるノズル面の清掃動作》
次に、ノズル面清掃装置100によるノズル面52の清掃動作について説明する。
【0110】
上記のように、ノズル面52の清掃は、ヘッド50をメンテナンス位置から画像記録位置に移動させる過程で行われる。したがって、ノズル面52の清掃は、たとえば、メンテナンス後、ヘッド50がメンテナンス位置から画像記録位置に復帰する際に行われる。したがって、ここでは、メンテナンス後に実施する場合を例に説明する。
【0111】
メンテナンス位置から画像記録位置への復帰が指示されると、ヘッド支持フレーム移動機構が駆動される。これにより、ヘッド50が画像記録位置に向かって移動を開始する。
【0112】
ヘッド50は、その移動方向の先端部分(画像記録位置側の端部)が、ノズル面清掃装置100に到達すると、移動が停止される。これにより、ノズル面52の先端部分(画像記録位置側の端部)が、洗浄液保持プレート102の洗浄液保持面104の上方に所定の隙間δをもって配置される(図7の状態)。
【0113】
ヘッド50の移動が停止し、ノズル面52の先端部分が洗浄液保持面104の上方に配置されると、ノズル面52と洗浄液保持面104との間に洗浄液の供給が開始される。これにより、洗浄液保持面104とノズル面52との間に洗浄液の膜が形成される。洗浄液は、洗浄液保持面104とノズル面52との間に連続的に供給され、余剰分が洗浄液保持プレート102から滴下して回収皿112で回収される。
【0114】
洗浄液の供給開始から一定時間が経過し、洗浄液保持面104とノズル面52との間に洗浄液の膜が形成されると、ヘッド支持フレーム移動機構が再駆動され、再びヘッド50が画像記録位置に向けて移動を開始する。この際、ヘッド50は、ノズル面52が洗浄液保持面104の上に保持された洗浄液に触れながら、洗浄液保持面104の上を移動する(洗浄液保持面104には非接触で移動する。)。ノズル面52に付着したインク汚れ等は、この洗浄液に触れることにより溶解され、ノズル面52から除去される。
【0115】
その一方で、単にヘッド50を移動させて、ノズル面52を洗浄液に触れさせただけでは、汚れを含む洗浄液がノズル面52に付着、残留するおそれがある。
【0116】
そこで、本実施の形態のノズル面清掃装置100では、ノズル面52に洗浄液が残留しないように、ヘッド50の移動が制御される。すなわち、ノズル面52と洗浄液保持面104との間に保持された膜状の洗浄液が、洗浄液保持面104に引きずられて、洗浄液保持面104側に残留するように、ヘッド50の移動(移動速度)が制御される。これにより、洗浄液を残留させずに、ノズル面52を清掃することができる。
【0117】
なお、本実施の形態のノズル面清掃装置100では、ノズル面52よりも洗浄液保持面104の濡れ性を高くしている(ノズル面52の接触角よりも洗浄液保持面104の接触角を小さくしている)ので、洗浄液は、洗浄液保持面104側に引きずられやすくされており、一定以下の速度でヘッド50を移動させれば、洗浄液を残留させることなく、ノズル面52を清掃することができる。
【0118】
ここで、ヘッド50の移動速度が遅すぎると、清掃に要する時間が長くなるので、ヘッド50の移動速度は、ノズル面52に洗浄液を残留させない速度範囲のうち最大の速度に設定することが好ましい。
【0119】
ヘッド50を一定の速度で移動させたときにノズル面52に洗浄液が残存するか否かは、ノズル面52と洗浄液保持面104の濡れ性(撥液性)や、洗浄液の表面張力、洗浄液保持面104とノズル面52との間に形成する洗浄液の膜厚、汚れの程度等によるので、ヘッド50の移動速度は、これらを考慮して決定される。あるいは、ヘッド50の移動速度を変えて洗浄液の残留具合を調べる実験を行い、この実験結果からヘッド50の移動速度を決定する。
【0120】
このように、ノズル面52に洗浄液を残留させないようにして、ヘッド50を移動させ、ノズル面52に洗浄液を接触させて、ノズル面52を清掃する。この際、ノズル面52と洗浄液保持面104との間に保持される洗浄液は、ノズル面52の移動により流れが発生するので、効率よく汚れを除去することができる。
【0121】
ヘッド50の後端部(メンテナンス位置側の端部)が、洗浄液保持面104の上を通過すると、洗浄液の供給が停止される。
【0122】
ヘッド50は、そのまま画像記録位置に向かって移動し、画像記録位置に到達すると、その移動が停止される。
【0123】
以上により、ヘッド50の清掃が完了する。このように、本実施の形態のノズル面清掃装置100では、ノズル面52に洗浄液が残留しないようにヘッド50を移動させて、ノズル面52を清掃する。これにより、完全に非接触でノズル面52を清掃することができる。また、洗浄液は、ノズル面52と洗浄液保持面104との間に膜状に保持できる分だけ供給すればよいので、経済的に使用することができる。
【0124】
なお、本実施の形態では、洗浄液供給穴106を洗浄液保持面104上の2カ所に形成しているが、洗浄液供給穴106の数は、特に限定されるものではない。洗浄液保持面104の大きさ等を考慮して適宜増減して形成することが好ましい。また、その形状についても、特に限定されるものではなく、上記実施の形態のように円形の他、スリット状(ヘッド50の移動方向に対して直交するスリット状)に形成することもできる。
【0125】
[2]第2の実施の形態
《装置構成》
図10は、本発明に係るノズル面清掃装置の第2の実施の形態を示す側面図である。
【0126】
本実施の形態のノズル面清掃装置100は、ノズル面52の清掃に使用する洗浄液を切り換えられる点で上述した第1の実施の形態のノズル面清掃装置100と相違する。したがって、以下においては、この洗浄液の切換機構についてのみ説明する。
【0127】
図10に示すように、本実施の形態のノズル面清掃装置に備えられる洗浄液供給機構120は、主として、第1の洗浄液を貯留する第1洗浄液タンク124Aと、第2の洗浄液を貯留する第2洗浄液タンク124Bと、第1洗浄液タンク124Aと洗浄液保持プレート102の洗浄液供給口110とを接続する第1洗浄液配管126Aと、第2洗浄液タンク124Bと洗浄液保持プレート102の洗浄液供給口110とを接続する第2洗浄液配管126Bと、第1洗浄液タンク124Aから洗浄液供給口110に第1の洗浄液を送液する第1洗浄液ポンプ128Aと、第2洗浄液タンク124Bから洗浄液供給口110に第2の洗浄液を送液する第2洗浄液ポンプ128Bと、第1洗浄液配管126Aの管路を開閉する第1洗浄液バルブ130Aと、第2洗浄液配管126Bの管路を開閉する第2洗浄液バルブ130Bとで構成される。
【0128】
第1洗浄液タンク124Aは、第1の洗浄液を貯留する。
【0129】
第2洗浄液タンク124Bは、第2の洗浄液を貯留する。
【0130】
第1洗浄液配管126Aは、第1洗浄液タンク124Aと洗浄液保持プレート102に形成された洗浄液供給口110とを接続する。
【0131】
第2洗浄液配管126Bは、第2洗浄液タンク124Bと洗浄液保持プレート102に形成された洗浄液供給口110とを接続する。
【0132】
第1洗浄液ポンプ128Aは、第1洗浄液配管126Aの途中に設けられ、第1洗浄液タンク124Aから洗浄液ノズル122に第1の洗浄液を送液する。
【0133】
第2洗浄液ポンプ128Bは、第2洗浄液配管126Bの途中に設けられ、第2洗浄液タンク124Bから洗浄液ノズル122に第2の洗浄液を送液する。
【0134】
第1洗浄液バルブ130Aは、第1洗浄液配管126Aの途中に設けられ、第1洗浄液配管126Aの管路を開閉する。
【0135】
第2洗浄液バルブ130Bは、第2洗浄液配管126Bの途中に設けられ、第2洗浄液配管126Bの管路を開閉する。
【0136】
洗浄液供給機構120の動作は、図示しないコントローラ(インクジェット記録装置の全体の動作を制御するコントローラ)によって制御される。
【0137】
《作用》
上記のように、本実施の形態のノズル面清掃装置100は、ノズル面52の清掃に使用する洗浄液を切り換えることができる。したがって、第1洗浄液タンク124Aと第2洗浄液タンク124Bとに異なる種類の洗浄液を貯留することにより、たとえば、汚れの程度に応じた洗浄を行うことができる。
【0138】
たとえば、第1洗浄液タンク124Aには、洗浄能力の高い洗浄液(たとえば、インク汚れを溶解する成分を含む洗浄液)を貯留し、第2洗浄液タンク124Bには、第1の洗浄液よりも洗浄能力が低い洗浄液を貯留する。汚れの程度が高い場合や前回の清掃から一定時間以上経過している場合などには、第1の洗浄液を使用して清掃する。一方、汚れの程度が低い場合や前回の清掃からそれほど時間が経過していない場合には、第2の洗浄液を使用して清掃する。これにより、汚れの程度に応じて適切にノズル面52を清掃することができる。この場合、第1の洗浄液を用いる場合と第2の洗浄液を用いる場合とでヘッド50の移動速度を変えるようにしてもよい。これにより、より適切にノズル面52を清掃することができる。
【0139】
また、洗浄液を切り換えてノズル面52を複数回清掃することもできる。すなわち、たとえば、2回清掃する場合において、1回目は、洗浄能力の高い洗浄液を用いて清掃し、2回目は、1回目の洗浄液よりも表面張力の高い洗浄液(純水が好ましい)を用いて清掃する。これにより、1回目の清掃でノズル面52に付着した汚れを除去でき、2回目の清掃でノズル面に残留した洗浄液を除去することができる。
【0140】
以下、この洗浄液を切り換えてノズル面52を複数回清掃する場合について説明する。
【0141】
なお、本例では、ノズル面52を2回清掃する場合を例に説明する。この場合、1回目は、洗浄能力の高い洗浄液を用いて清掃し、2回目は、1回目の洗浄液よりも表面張力の高い洗浄液を用いて清掃する。したがって、第1洗浄液タンク124Aには、洗浄能力の高い洗浄液(たとえば、インク汚れを溶解する成分を含む洗浄液)を貯留し、第2洗浄液タンク124Bには、第1の洗浄液よりも表面張力の高い洗浄液(本例では純水)を貯留する。
【0142】
1回目の清掃も2回目の清掃もヘッド50をメンテナンス位置から画像記録位置に移動させる過程で行われる。
【0143】
1回目の清掃を行うため、まず、ヘッド50がメンテナンス位置から画像記録位置に向かって移動を開始する。
【0144】
ヘッド50は、その移動方向の先端部分(画像記録位置側の端部)が、ノズル面清掃装置100に到達すると、移動が停止される。これにより、ノズル面52の先端部分(画像記録位置側の端部)が、洗浄液保持プレート102の洗浄液保持面104の上方に所定の隙間δをもって配置される(図10の状態)。
【0145】
ヘッド50の移動が停止し、ノズル面52の先端部分が洗浄液保持面104の上方に配置されると、ノズル面52と洗浄液保持面104との間に第1の洗浄液の供給が開始される。すなわち、第1洗浄液バルブ130Aが開かれるとともに、第1洗浄液ポンプ128Aが駆動される。これにより、洗浄液保持面104とノズル面52との間に洗浄能力の高い第1の洗浄液の膜が形成される。
【0146】
第1の洗浄液の供給が開始されてから一定時間が経過し、洗浄液保持面104とノズル面52との間に第1の洗浄液の膜が形成されると、ヘッド支持フレーム移動機構が再駆動され、再びヘッド50が画像記録位置に向けて移動を開始する。この際、ヘッド50は、ノズル面52が洗浄液保持面104の上に保持された第1の洗浄液に触れながら、洗浄液保持面104の上を移動する。ノズル面52に付着したインク汚れ等は、この第1の洗浄液に触れることにより溶解され、ノズル面52から除去される。
【0147】
なお、上記第1の実施の形態と同様に、ヘッド50は、ノズル面52に第1の洗浄液が残留しないように、移動が制御される。これにより、ノズル面52に第1の洗浄液が残留するのを防止することができる。
【0148】
ヘッド50の後端部(メンテナンス位置側の端部)が、洗浄液保持面104の上を通過すると、第1の洗浄液の供給が停止される。すなわち、第1洗浄液バルブ130Aが閉じられるとともに、第1洗浄液ポンプ128Aの駆動が停止される。
【0149】
ヘッド50は、そのまま画像記録位置に向かって移動し、画像記録位置に到達すると、その移動が停止される。以上により1回目の清掃が終了する。
【0150】
次いで、2回目の清掃が行われる。2回目の清掃を行うため、再度、ヘッド50がメンテナンス位置に移動する。
【0151】
ヘッド50がメンテナンス位置に到達すると、方向転換され、メンテナンス位置から画像記録位置に向かって移動を開始する。
【0152】
ヘッド50は、その移動方向の先端部分(画像記録位置側の端部)が、ノズル面清掃装置100に到達すると、移動が停止される。これにより、ノズル面52の先端部分(画像記録位置側の端部)が、洗浄液保持プレート102の洗浄液保持面104の上方に所定の隙間δをもって配置される(図10の状態)。
【0153】
ヘッド50の移動が停止し、ノズル面52の先端部分が洗浄液保持面104の上方に配置されると、ノズル面52と洗浄液保持面104との間に第2の洗浄液の供給が開始される。すなわち、第2洗浄液バルブ130Bが開かれるとともに、第2洗浄液ポンプ128Bが駆動される。これにより、洗浄液保持面104とノズル面52との間に第2の洗浄液(本例では純水)の膜が形成される。
【0154】
第2の洗浄液の供給が開始されてから一定時間が経過し、洗浄液保持面104とノズル面52との間に第2の洗浄液の膜が形成されると、ヘッド支持フレーム移動機構が再駆動され、再びヘッド50が画像記録位置に向けて移動を開始する。この際、ヘッド50は、ノズル面52が洗浄液保持面104の上に保持された第2の洗浄液に触れながら、洗浄液保持面104の上を移動する。ここで、この2回目の清掃では、1回目の清掃時よりも表面張力の高い洗浄液が用いられているので、より効果的にノズル面52への洗浄液の残留を防止することができる。これにより、たとえば、1回目の清掃でノズル面52への洗浄液の残留を防ぎきれなかった場合であっても、2回目の清掃で、この残留した洗浄液を捕捉することができ、効果的にノズル面52への付着を防止することができる。
【0155】
なお、この2回目の清掃においても、ヘッド50はノズル面52に第2の洗浄液が残留しないように、移動が制御される。
【0156】
ヘッド50の後端部(メンテナンス位置側の端部)が、洗浄液保持面104の上を通過すると、第2の洗浄液の供給が停止される。すなわち、第2洗浄液バルブ130Bが閉じられるとともに、第2洗浄液ポンプ128Bの駆動が停止される。
【0157】
ヘッド50は、そのまま画像記録位置に向かって移動し、画像記録位置に到達すると、その移動が停止される。
【0158】
以上により、ヘッド50の清掃が完了する。このように、洗浄液の種類を変えてノズル面52を複数回清掃することにより、ノズル面52の汚れを効果的に除去しつつ、ノズル面52への洗浄液の残留を効果的に防止することができる。
【0159】
なお、上記の例では、洗浄液を2種類のみ切換可能に構成しているが、さらに多くの種類の洗浄液を切換可能に構成してもよい。
【0160】
また、上記の例では、2種類の洗浄液を用いて2回清掃する場合を例に説明したが、複数種類の洗浄液を用いて、複数回清掃する構成とすることもできる。
【0161】
また、2種類の洗浄液を用いて、多数回清掃する構成とすることもできる。たとえば、第1の洗浄液を用いて複数回清掃し、最後に第2の洗浄液を用いて清掃する構成とすることもできる。すなわち、少なくとも最後の1回を第2の洗浄液(表面張力の高い洗浄液)で清掃する構成とすることもできる。
【0162】
また、上記の例では、2回ともヘッド50をメンテナンス位置から画像記録位置に移動させる過程でノズル面52を清掃する構成としているが、1回目は、ヘッド50をメンテナンス位置から画像記録位置に移動させる過程で清掃し、2回目は、ヘッド50を画像記録位置からメンテナンス位置に戻す過程で清掃する構成とすることもできる。すなわち、ヘッド50の往復動の双方でノズル面52を清掃する構成とすることもできる。この場合、洗浄液保持面104の中央位置に洗浄液供給穴106を形成することが好ましい。
【0163】
[3]第3の実施の形態
図11、図12は、それぞれ本発明に係るノズル面清掃装置の第3の実施の形態を示す側面図、平面図である。
【0164】
同図に示すように、本実施の形態のノズル面清掃装置100は、洗浄液保持プレート102に洗浄液を回収するための洗浄液回収穴が形成される点で上述した第1の実施の形態のノズル面清掃装置100と相違する。したがって、以下においては、洗浄液保持プレート102の構成についてのみ説明する。
【0165】
図11、図12に示すように、本実施の形態の洗浄液保持プレート102は、洗浄液保持面104にスリット状の分割溝140が形成され、この分割溝140によって、洗浄液保持面104が、洗浄領域104Aと洗浄液回収領域104Bとに分割される。分割溝140は、ヘッド50の移動方向(=ヘッド50の長手方向)と直交して形成され、洗浄液保持プレート102の下面に貫通して形成される。洗浄液保持面104は、この分割溝140の前後で洗浄領域104Aと洗浄液回収領域104Bとに分割される。すなわち、ノズル面52の清掃時における洗浄液保持面104の移動方向(ノズル面52に対する洗浄液保持面104の相対的な移動方向)の上流側に位置する洗浄領域104Aと、下流側に位置する洗浄液回収領域104Bとに分割される。
【0166】
洗浄領域104Aは、ノズル面52の清掃に供される領域であり、この洗浄領域104Aとノズル面52との間に洗浄液が供給されて、ノズル面52が清掃される。したがって、洗浄液供給穴106は、この洗浄領域104Aに形成される。
【0167】
一方、洗浄液回収領域104Bは、ノズル面52に残留した洗浄液を捕捉する領域であり、洗浄液を回収するための洗浄液回収穴142が複数形成される。この洗浄液回収穴142は、スリット状に形成され、ヘッド50の移動方向(長手方向)に対して直交して形成される。各洗浄液回収穴142は、ヘッド50の移動方向(長手方向)に沿って一定の間隔で並列して配置される。
【0168】
本実施の形態の洗浄液保持プレート102は、以上のように構成される。
【0169】
本実施の形態のノズル面清掃装置100によれば、洗浄液保持面104にスリット状の洗浄液回収穴142が形成されることにより、さらに効果的にノズル面52に洗浄液が残存するのを防止することができる。すなわち、上記のように、洗浄液保持面104はノズル面52よりも高い濡れ性をもって形成され、また、ヘッド50もノズル面52に洗浄液が残留しないように移動が制御されるが、万が一、洗浄領域104Aで洗浄液を引きずりきれずに、ノズル面52に洗浄液が残留した場合であっても、洗浄液回収領域104Bに形成されたスリット状の洗浄液回収穴142によってノズル面52に残留した洗浄液を回収(トラップ)できるので、より確実にノズル面52に洗浄液を残留させることなく、ノズル面52を清掃することができる。
【0170】
なお、洗浄液回収穴142の数は、特に限定されるものではなく、洗浄液保持面104の大きさ等に応じて適宜増減して形成することが好ましい。
【0171】
また、洗浄液回収穴142の幅は、洗浄液を捕捉可能な幅に設定される。これは使用する洗浄液などにもよるが、たとえば、1mm〜数百μm程度の幅に設定される。
【0172】
また、本例では、各洗浄液回収穴142が同じ幅で形成されているが、各洗浄液回収穴142の幅を変えて形成することもできる。特に、画像記録位置側(ノズル面52の清掃時における洗浄液保持面104の移動方向(ノズル面52に対する洗浄液保持面104の相対的な移動方向)の下流側)に向かって、その幅が段階的に狭くなるように形成することが好ましい。これにより、ノズル面52に残留する洗浄液の液滴のサイズに応じて段階的に捕捉でき(大きいサイズのものから段階的に捕捉できる)、ノズル面52に残留する洗浄液をさらに効率よく捕捉することができる。
【0173】
さらに、図13に示すように、洗浄液回収穴142に吸引機構144を接続し、洗浄液回収穴142から洗浄液を強制的に吸引する構成とすることもできる。
【0174】
吸引機構144は、主として、排液タンク146と、吸引配管148と、吸引ポンプ150とで構成される。
【0175】
排液タンク146は、吸引により各洗浄液回収穴142から回収された洗浄液を貯留する。
【0176】
吸引配管148は、各洗浄液回収穴142と排液タンク146とを接続し、各洗浄液回収穴142から回収された洗浄液を排液タンク146に導く。
【0177】
吸引ポンプ150は、吸引配管148の途中に設置される。この吸引ポンプ150を駆動することにより、各洗浄液回収穴142から洗浄液が吸引され、排液タンク146に送液される。
【0178】
このような吸引機構144を備えることにより、ノズル面52に残留する洗浄液をより確実に除去することができる。
【0179】
なお、このように洗浄液回収穴142から吸引すると、ノズル54からインクが吸い出されるおそれがあるので、このように洗浄液回収穴142から吸引しながらノズル面52を清掃する場合は、ヘッド50の背圧を調整しながら清掃することが好ましい。具体的には、ノズル54からインクが吸い出されないように、ヘッド50の背圧を負圧にして清掃することが好ましい。
【0180】
なお、図13に示す例では、すべての洗浄液回収穴142から吸引する構成としているが、一部の洗浄液回収穴142からだけ吸引する構成とすることもできる。
【0181】
[4]第4の実施の形態
図14は、本発明に係るノズル面清掃装置の第4の実施の形態を示す平面図である。
【0182】
同図に示すように、本実施の形態のノズル面清掃装置100は、洗浄液保持プレート102の後端部(ノズル面52の清掃時における洗浄液保持面104の移動方向(ノズル面52に対する洗浄液保持面104の相対的な移動方向)の後端部(=画像記録位置側の端部))152が、幅方向の片側に収束して形成される点で上述した第1の実施の形態のノズル面清掃装置100と相違する。したがって、以下においては、洗浄液保持プレート102の構成についてのみ説明する。
【0183】
図14に示すように、洗浄液保持プレート102の後端部152(=洗浄液保持面104の後端部)は、幅方向(洗浄液保持面104の移動方向と直交する方向)の片側に収束して形成され、三角形状に形成される(幅方向の片側に頂点を有する形状に形成される。)。
【0184】
このように、洗浄液保持プレート102の後端部を収束させて形成することにより、図15に示すように、ヘッド50の後端部(ノズル面52の清掃時における移動方向の後端部(=メンテナンス位置側の端部))が、洗浄液保持面104を通過する際、洗浄液保持プレート102の後端部152の傾斜部分の作用で、洗浄液をノズル面52の幅方向の端に集めることができる。これにより、ノズル面52が、洗浄液保持面104から離間する際の液切れ性をよくすることができ、ノズル面52の端部における洗浄液の付着を効果的に防止することができる。
【0185】
なお、上記の例では、洗浄液保持プレート102の後端部152を幅方向の片側に収束させる形状としているが、図16に示すように、幅方向の中央に収束させる形状にしてもよい。あるいは、図17に示すように、幅方向の両方の端部に収束させる形状にしてもよい。ただし、ノズル面52の中央には、通常、ノズル54が配列されるので、幅方向の端部に収束させる形状とすることが好ましい。
【0186】
また、本実施の形態の洗浄液保持プレートにおいても、上記第3の実施の形態の洗浄液保持プレートと同様に、後端部に洗浄液回収穴を形成するようにしてもよい。
【0187】
≪その他の実施の形態≫
上記実施の形態では、ノズル面清掃装置を固定し、ヘッド側を移動させて、ヘッドのノズル面を清掃する構成としているが、ノズル面清掃装置側を移動させて、ヘッドのノズル面を清掃する構成とすることもできる。また、ヘッドとノズル面清掃装置の双方を移動させて、ヘッドのノズル面を清掃する構成とすることもできる。
【0188】
また、本発明のノズル面清掃装置は、洗浄液保持面とノズル面との間に液膜を形成して、ノズル面を清掃するので、洗浄液保持面とノズル面との間に液膜が形成されているか否かを検出するセンサを設置することが好ましい。これにより、確実に液膜を形成して洗浄することができる。液膜が形成されているか否かの検出は、たとえば、洗浄液保持面に所定の検出領域を設定し、その検出領域の静電容量の変化を検出して、液膜の有無を検出する構成とすることができる。また、検出領域の抵抗値の変化を検出して、液膜の有無を検出する構成とすることもできる。
【0189】
また、洗浄に供する洗浄液は、常温のものを用いてもよいが、たとえば、洗浄液タンクに加熱機構(たとえば、ヒータ)を備え、所定温度に加熱した洗浄液を使用するようにしてもよい。これにより、洗浄効果を向上させることができる。この場合、たとえば、洗浄液保持面104の温度を検出して液膜の有無を検出する構成とすることができる。
【0190】
また、上記実施の形態では、ノズル面清掃装置を固定して設置しているが、全体を昇降可能に形成し、洗浄液保持面とノズル面との隙間の間隔を調整できるようにしてもよい。これにより、ノズル面との間で確実に液体を保持できる位置に洗浄液保持面を調整して設定することができる。
【符号の説明】
【0191】
10…インクジェット記録装置、20…用紙搬送機構、22…ベルト、30…ヘッドユニット、32…ヘッド支持フレーム、42…キャップ、50(50C、50M、50Y、50K)…ヘッド、52…ノズル面、54…ノズル、56…圧力室、58…振動板、60…圧電素子、62…個別供給流路、64…共通供給流路、66…インク供給口、68…個別回収流路、70…共通回収流路、72…インク回収口、100…ノズル面清掃装置、102…洗浄液保持プレート、104…洗浄液保持面、104A…洗浄領域、104B…洗浄液回収領域、106…洗浄液供給穴、108…洗浄液供給流路、110…洗浄液供給口、112…回収皿、114…支柱、116…架台、118…排液口、120…洗浄液供給機構、122…洗浄液ノズル、124…洗浄液タンク、124A…第1洗浄液タンク、124B…第2洗浄液タンク、126…洗浄液配管、126A…第1洗浄液配管、126B…第2洗浄液配管、128…洗浄液ポンプ、128A…第1洗浄液ポンプ、128B…第2洗浄液ポンプ、130…洗浄液バルブ、130A…第1洗浄液バルブ、130B…第2洗浄液バルブ、140…分割溝、142…洗浄液回収穴、144…吸引機構、146…排液タンク、148…吸引配管、150…吸引ポンプ、152…洗浄液保持プレートの後端部(=洗浄液保持面の後端部)、200…インクタンク、202…管路、204…バッファータンク、204A…大気開放穴、206…メインポンプ、208…メインバルブ、210…第1供給流路、212…供給タンク、212A…供給液体室、212B…供給気体室、214…第2供給流路、218…第1回収流路、220…回収タンク、220A…回収液体室、220B…回収気体室、222…第2回収流路、226…供給ポンプ、228…フィルタ、230…供給バルブ、232…回収ポンプ、234…回収バルブ、236…弾性膜、238…供給圧力検出器、240…大気開放管、242…大気開放バルブ、244…弾性膜、246…回収圧力検出器、248…大気開放管、250…大気開放バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドのノズル面を清掃するノズル面清掃装置において、
前記ノズル面よりも高い濡れ性を有する洗浄液保持面を有し、該洗浄液保持面が前記ノズル面に対向して配置されて、該洗浄液保持面と前記ノズル面との間で洗浄液を膜状に保持する洗浄液保持部材と、
前記洗浄液保持面と前記ノズル面との間に前記洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
前記洗浄液保持面が前記ノズル面に沿って相対的に平行移動するように、前記洗浄液保持部材と前記インクジェットヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、
前記移動手段を制御して、前記ノズル面上に前記洗浄液が残存しないように前記洗浄液保持部材と前記インクジェットヘッドとの相対的な移動を制御する移動制御手段と、
を備えたことを特徴とするノズル面清掃装置。
【請求項2】
前記洗浄液保持部材は、前記洗浄液保持面に洗浄液供給穴を有し、前記洗浄液供給手段は、前記洗浄液供給穴から前記洗浄液保持面と前記ノズル面との間に前記洗浄液を供給することを特徴とする請求項1に記載のノズル面清掃装置。
【請求項3】
前記洗浄液供給穴は、前記ノズル面に対する前記洗浄液保持面の相対的な移動方向の上流側に形成されることを特徴とする請求項2に記載のノズル面清掃装置。
【請求項4】
前記洗浄液供給手段は、種類の異なる前記洗浄液を選択的に供給可能に構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項5】
前記洗浄液供給手段による前記洗浄液の供給を制御する洗浄液供給制御手段を更に備え、
前記移動制御手段は、前記洗浄液保持面と前記ノズル面とを複数回相対的に移動させて、前記ノズル面を複数回清掃させ、
前記洗浄液供給制御手段は、清掃回数に応じて前記洗浄液保持面と前記ノズル面との間に供給する前記洗浄液の種類を切り換えることを特徴とする請求項4に記載のノズル面清掃装置。
【請求項6】
前記洗浄液供給手段は、表面張力の異なる前記洗浄液を選択的に供給可能に構成され、
前記洗浄液供給制御手段は、前記清掃回数に応じて、表面張力の低い洗浄液から表面張力の高い洗浄液に切り換えて供給することを特徴とする請求項5に記載のノズル面清掃装置。
【請求項7】
前記洗浄液保持面には、前記ノズル面に対する前記洗浄液保持面の相対的な移動方向の下流側の領域にスリット状の洗浄液回収穴が形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項8】
前記洗浄液回収穴は、前記洗浄液保持面と前記ノズル面との相対的な移動方向に沿って複数箇所に並列して形成されるとともに、相対的な移動方向の下流側に向かって幅が段階的に小さくなるように形成されることを特徴とする請求項7に記載のノズル面清掃装置。
【請求項9】
前記洗浄液回収穴から前記洗浄液を吸引する洗浄液吸引手段を更に備えたことを特徴とする請求項7又は8に記載のノズル面清掃装置。
【請求項10】
前記洗浄液保持面は、前記ノズル面に対する相対的な移動方向の下流領域が、移動方向の下流側に向かって収束して形成されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のノズル面清掃装置。
【請求項11】
前記洗浄液保持面は、幅方向の片側に向かって収束して形成されることを特徴とする請求項10に記載のノズル面清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−31962(P2013−31962A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169355(P2011−169355)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】