説明

ノンフライ即席麺の製造方法

【課題】 熱湯復元後の食感が麺類本来のなめらかで粘弾性のある食感をもち、茹伸びも遅いノンフライ即席麺の製造方法を提供すること。
【解決手段】 穀粉類を主体とする原料粉に水を加え、蒸練して蒸練してα化度が80%以上の生地を得、該生地を急圧延して麺帯とし、麺線に切り出した後、膨化乾燥することを特徴とする、ノンフライ即席麺の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノンフライ即席麺の製造方法に関する。詳細には、穀粉類を主体とする原料粉を蒸練してα化した生地を急圧延することおよび麺線に切り出した後に膨化乾燥することを特徴とするノンフライ即席麺の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノンフライ即席麺は、一般に、小麦粉、α化小麦粉、そば粉などの穀粉類に必要に応じ各種澱粉類を添加したものを主原料とし、うどん、中華麺、そばなど麺の種類に応じて全卵粉、卵白粉、増粘剤、レシチン、植物油、乳化油脂、炭酸カルシウム、食塩、リン酸塩類、かん粉などを配合し、次のようにして製造されている。まず、穀粉類などの主原料に対して30〜35重量%の加水を行い、縦型または横型ミキサーにて混練を行い、生地を得る。次いで、該生地を整形ロールで整形し、複合ロールで複合し、さらに4〜6段の連続圧延ロールにて所定の麺帯厚まで圧延後、切り出しを行う。次いで、麺線を蒸し機にてα化し、α化した所定量の麺線を型枠容器に収納後、熱風乾燥する。乾燥後、常温まで冷却した後型抜きし、袋物は粉末スープと一緒に包装し、 カップ物はカップに麺を収納後、粉末スープと乾燥具材を一緒に包装する。
しかしながら、このような従来の製造法で得られるノンフライ即席麺は、復元後の食感が、生麺を茹でた直後のなめらかで粘弾性のある麺類本来の食感とはややかけ離れたものになり、茹伸びも早いものであった。
【0003】
これらの欠点を解消するために種々の方法が提案されている。例えば、「穀粉を含水膨潤させた後蒸熱処理してα化度を少なくとも90%にし、次いで攪拌混練し気泡を含有せしめた後適宜な線状に吐出して乾燥するノンフライ乾燥即席麺の製造法(特許文献1参照)」や、「小麦粉を主体とし、水分含有量が少なくとも30重量%の生麺帯を蒸煮し、次いでその蒸煮麺帯を予備乾燥して、水分含有量を15〜35重量%に調整した後切断して麺線となし、さらに乾燥する、ノンフライ乾燥即席麺の製造法(特許文献2参照)」などが知られている。
しかしながら、これらの方法でも、復元後の食感や茹伸びの早さについて、いまだ十分に満足できないという問題があった。
【0004】
また、乾燥蒸練麺の製造方法として、小麦粉などの原料粉に温水を添加し、次いで蒸気を供給し、小麦粉の澱粉をほぼ完全にα化し、生ゴム状の団塊となしてから、圧延麺帯を形成し、冷却裁断して蒸練麺とし、該蒸練麺に加熱、乾燥、冷却の工程を施す、乾燥蒸練麺の製造方法(特許文献3参照)が提案されている。
しかしながら、この方法により得られる麺類は食感がゴム状になるため、そのような独特の食感が求められる韓国冷麺など麺類にしか適用することができない。
【特許文献1】特開昭53−127847号公報
【特許文献2】特開昭54−95755号公報
【特許文献3】特公昭50−34614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、熱湯復元後の食感が、冷麺のようなゴム状の食感ではなく、麺類本来のなめらかで粘弾性のある食感をもち、茹伸びも遅いノンフライ即席麺の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究した結果、穀粉類を主体とする原料粉を蒸練してα化した生地を急圧延して麺帯とし、麺線に切り出した後に膨化乾燥することにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、穀粉類を主体とする原料粉に水を加え、蒸練してα化度が80%以上の生地を得、該生地を急圧延して麺帯とし、麺線に切り出した後、膨化乾燥することを特徴とするノンフライ即席麺の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法によれば、生麺を茹でた直後の麺に劣らないなめらかさと粘弾性のある食感をもち、茹伸びも遅い優れた品質のノンフライ即席麺を得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、ノンフライ即席麺において食感の改良に従来用いられてきた各種澱粉類や、増粘剤、レシチン、炭酸カルシウム、リン酸塩類などの種々の添加剤を用いなくとも、良好な食感をもつノンフライ即席麺を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のノンフライ即席麺の製造方法を、その好ましい実施態様について詳述する。
本発明のノンフライ即席麺の製造方法を実施するには、まず、穀粉類に必要に応じ各種澱粉類を添加した主原料(以下、「穀粉類を主体とする原料粉」または「原料粉」という。)に常温以下の水を配合し、加圧蒸気を供給しながら混練、すなわち蒸練してα化した生地を得る。
配合する水の量は、穀粉類を主体とする原料粉に対し、好ましくは30〜60質量%、より好ましくは35〜55質量%である。その際の水温は、常温以下であれば常温または冷却した水のいずれでもよく、温水を用いる必要はない。
蒸練する際に供給する加圧蒸気としては、飽和水蒸気または過熱水蒸気のいずれでもよいが、その蒸気圧は0.049〜0.2MPaの範囲であることが好ましい。
【0009】
また、蒸練は、加圧蒸気を供給しながら回転数10〜200rpmの条件で行うことが好ましく、温度100〜130℃、回転数30〜150rpmの条件で行うことがより好ましい。このような条件下で蒸練を行うことにより、好ましい状態の生地のα化が促進される。
また、蒸練後、蒸気供給を止めて混練を回転数50〜120rpmで1〜4分間行うことがより好ましい。該混練を行うことにより、より均質な状態の蒸練生地が得られる。
【0010】
本発明において、生地のα化度は、通常は80%以上であり、85%以上〜100%未満であることが好ましい。生地のα化度を前記範囲にすることにより、進展性に富み弾力性のある生地が得られる。なお、α化度が80%未満であると、生地の進展性や弾力性が不十分である。また生地を完全にα化させようとすると、蒸練が過度なものとなり、その結果、得られる麺類の食感が歯に付着するようなべたついたものとなり好ましくない。
【0011】
次いで、得られたα化した生地を急圧延して所定の麺帯厚にまで一気に圧延する。従来、麺生地の形成後は、常温下において整形ロール、複合ロールを経て、4〜6段の圧延ロールで段階的に所定の麺帯厚(うどんの場合2〜4mm程度、そばや中華麺の場合1〜2mm程度)まで薄くするという工程を採るのが常法であり、作業の短縮を図って一気に圧延すると、生地に無理な力が掛かりグルテン構造が破壊されるので良くないため、採用されなかった。本発明では、α化した生地を、生地の温度が高いうちに、好ましくは生地の温度が70℃以上のうちに、1〜2段の圧延ロールで一気に所望の麺帯厚(1〜5mm程度)にまで急圧延する。このような条件下で急圧延を行っても、生地中のグルテン構造が破壊されることなく、必要な薄さの均質な麺帯を得ることができる。
【0012】
次いで、得られた麺帯を好ましくは常温付近(約10〜25℃)まで冷却し、切り出して麺線とする。切り出す麺線の太さに制限は無く、麺類の種類や原料粉等により適宜選択することができる。
【0013】
次いで、上記麺線は、型容器に所定重量を収納後、好ましくは100〜135℃、より好ましくは105〜130℃の温度雰囲気下に10〜30分間、好ましくは10〜20分間保持して、膨化乾燥する。
上記膨化乾燥とは、生地状態でα化した麺線を、前記温度雰囲気下に保持する、例えば前記温度の熱風などに露呈することによって短時間で乾燥することにより、水分含量を15%以下にすると同時に、麺線を膨化させることである。乾燥温度が前記温度より低かったり、または前記温度範囲であっても緩慢に乾燥すると、麺線は膨化せずに固化してしまう。そのような麺類は、熱湯で復元しても粘弾性のある良好な食感は得られず、硬くゴム感の強いバランスの悪い食感となってしまう。
【0014】
膨化乾燥後、麺塊を常温まで冷却し、以下常法に従ってノンフライ即席麺の製品とする。
このようにして製造される本発明に係るノンフライ即席麺は、その復元方法および喫食方法に特に制限されるものではなく、従来のノンフライ即席麺と同様の方法により復元し、喫食することができる。
【0015】
本発明のノンフライ即席麺の製造方法により製造される麺の種類としては、好ましくはうどん、ひやむぎ、そうめん、中華麺、そばなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0016】
また、本発明のノンフライ即席麺の製造方法で用いられる主原料の穀粉類としては、小麦粉、そば粉、米粉、コーンフラワー、大麦粉などが挙げられる。
上記穀粉類以外の副原料として、必要に応じて、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、およびこれらの加工澱粉(α化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋化)などの澱粉類;食塩;全卵粉、卵白粉などの卵粉;アルギン酸およびその塩、増粘多糖類、ゼラチン、ペクチンなどの増粘剤;グルタミン酸ナトリウムなどの調味料;植物油、動物油、ショートニングなどの油脂類;その他、レシチン、無機塩類(炭酸塩、リン酸塩)、エチルアルコール、かん粉、ソルビット、活性グルテン、大豆蛋白、酵素剤、色素類などの通常の即席麺に使用するものを配合することができる。
【0017】
上記穀粉類および副原料の種類およびその配合量は、目的とする麺の種類に応じて適宜決定すればよい。本発明のノンフライ即席麺の製造方法によれば、原料配合に依存することなく、麺の食感を改良することができるので、従来のノンフライ即席麺に比べて澱粉類の配合量を少なくすることができる。また、本発明のノンフライ即席麺の製造方法によれば、従来のノンフライ即席麺において食感の改良に用いられてきた各種澱粉類や、増粘剤、レシチン、炭酸カルシウム、リン酸塩類などの添加剤を用いないか、あるいはそれら添加剤の量を減らしても、良好な食感の麺を得ることができる。
【実施例】
【0018】
次に本発明をさらに具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0019】
実施例1
中力小麦粉(日清製粉株式会社製「さざんか」)60質量部、馬鈴薯澱粉25質量部および小麦澱粉15質量部を均一に混合し、蒸練ミキサーに投入し、次いで水35質量部、かん粉0.1質量部、食塩1.0質量部および天然色素0.1質量部を均一に混合して該蒸練ミキサーに投入した。該蒸練ミキサー内に0.098MPaの加圧蒸気を供給しながら回転数60rpmで6.5分間蒸練を行い、次いで蒸気の供給を止めて混練を2分間行って、α化した生地(α化度85.8%)を得た。
この生地(生地温度98℃)を直ちに1段の圧延ロールに通し、麺帯厚1.35mmに急圧延した。得られた麺帯を5〜10℃の冷蔵庫内で約20℃まで冷却し、切刃#22にて切り出して麺線とした。この麺線100gを丸型のステンレス製パンチング容器に収納し、乾燥機中にて110℃で20分間膨化乾燥して麺塊を得た。
得られた麺塊を、常温まで冷却し、型抜きして、どんぶり型の発泡スチロール製容器に、袋入りの中華麺用粉末スープおよび乾燥具材とともに入れて包装し、ノンフライ即席カップラーメンを得た。
【0020】
比較例1
実施例1と同じ原料を均一に混合して蒸練ミキサーに投入した。蒸気を供給せずに回転数60rpmで3分間混練を行い、次いで0.098MPaの加圧蒸気を供給しながら回転数60rpmで2.5分間混練して生地(α化度80%未満)を得た。次いで、これ以後は実施例1と同じ処理を施して、ノンフライ即席カップラーメンを得た。この即席麺は、非常にもろく折れやすいものであった。
【0021】
比較例2
麺線の乾燥を乾燥機中にて80℃で2時間かけて行い、麺線を膨化させないこと以外は、実施例1と同じ処理を施して、ノンフライ即席カップラーメンを得た。なお、得られた麺は、熱湯で戻した場合、通常の戻し時間では麺線の中心部が戻りきらずに硬く、バランスの悪い食感であった。
【0022】
比較例3
中力小麦粉(日清製粉株式会社製「さざんか」)60質量部、馬鈴薯澱粉25質量部および小麦澱粉15質量部を均一に混合し、横型一軸ミキサーに投入し、次いで水35質量部、かん粉0.1質量部、食塩1.0質量部および天然色素0.1質量部を均一に混合して該ミキサーに投入した。該ミキサーにて回転数80rpmで15分間混練を行って生地を得た。
この生地を複合し、4〜6段の圧延ロールに通し、麺帯厚1.10mmに圧延した。得られた麺帯を切刃#22にて切り出して麺線とし、該麺線を連続蒸機内(開放系)で温度100℃で2.5分間蒸してα化を行った。該α化処理した麺線100gを丸型のステンレス製パンチング容器に収納し、90℃、風速7m/秒の熱風下で20分間乾燥した。
乾燥後、実施例1と同様にしてノンフライ即席カップラーメンを得た。
【0023】
比較例4
中力小麦粉37.5質量部、とうもろこし澱粉50質量部および馬鈴薯澱粉12.5質量部を均一に混合し、横型一軸ミキサーに投入し、次いで水62.5質量部、ポリリン酸ナトリウム0.1質量部およびかん粉0.1質量部を均一に混合して該ミキサーに投入した。該ミキサーにて温度40〜80℃で30分間混練を行って生地を得た。
この生地をトレーに入れて、厚さ0.6mm以下にし、0.098MPaの加圧蒸気で4分間蒸してα化した後、再度キサーに投入して温度70℃で10分間混練した。得られた生地をスクリュー回転数200rpmの押出機に投入し、0.8mmの円形シリンダにて押出して麺線を得た。この麺線100gを丸型のステンレス製パンチング容器に収納し、100℃、風速8m/秒の熱風下で20分間乾燥した。
乾燥後、実施例1と同様にしてノンフライ即席カップラーメンを得た。
【0024】
試験例1
実施例1および比較例1〜4で得られたノンフライ即席カップラーメンを、保存一週間後、各容器の蓋を開け、スープおよび具材の袋を破って中身を容器内に入れた後、450mlの熱湯を注ぎ、容器の蓋を閉めて5分間放置後、蓋を開け、スープ、具材、麺を良く混ぜて、それらの食感(なめらかさおよび粘弾性)および茹伸びについて評価した。評価方法は、熟練した10名のパネラーに表1に示す評価基準に従って採点させ、その平均値を各製品の評価得点とした。また、茹で戻した際の麺線の外観を表1に示す基準によって評価した。これらの結果を表2に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】
実施例2
中力小麦粉(日清製粉株式会社製「金すずらん」)60質量部、馬鈴薯澱粉20質量部、タピオカ澱粉5質量部および小麦澱粉15質量部を均一に混合し、蒸練ミキサーに投入し、次いで水38質量部および食塩1.5質量部を均一に混合して該蒸練ミキサーに投入した。該蒸練ミキサー内に0.098MPaの加圧蒸気を供給しながら回転数60rpmで5分間蒸練を行い、次いで蒸気を止めて混練を3分間行って、α化した生地(α化度94.7%)を得た。
この生地(生地温度98.6℃)を直ちに1段の圧延ロールに通し、麺帯厚1.20mmに急圧延した。得られた麺帯を5〜10℃の冷蔵庫内で約10℃まで冷却し、切刃#12角刃にて切り出して麺線とした。この麺線100gを丸型のステンレス製パンチング容器に収納し、乾燥機中にて120℃で15分間膨化乾燥して乾燥麺塊を得た。
得られた麺塊を、常温まで冷却し、型抜きして、どんぶり型の発泡スチロール製容器に、袋入りのうどん用粉末スープおよび乾燥具材とともに入れて包装し、ノンフライ即席カップうどんを得た。
【0028】
比較例5
中力小麦粉(日清製粉株式会社製「金すずらん」)60質量部、馬鈴薯澱粉20質量部、タピオカ澱粉5質量部および小麦澱粉15質量部を均一に混合し、横型一軸ミキサーに投入し、次いで水38質量部および食塩1.5質量部を均一に混合して該横型一軸ミキサーに投入した。該横型一軸ミキサーにて回転数80rpmで5分間、次いで回転数60rpmで8分間混練を行って生地を得た。
この生地を複合し、4〜6段の圧延ロールに通し、麺帯厚1.20mmに圧延した。得られた麺帯を切刃#12角刃にて切り出して麺線とし、該麺線を連続蒸機内(開放系)で入口0.06MPa、出口0.03MPa、温度100℃で2分20秒間蒸してα化を行った。該α化処理した麺線100gを丸型のステンレス製パンチング容器に収納し、95℃、風速7m/秒の熱風下で20分間乾燥した。
乾燥後、実施例2と同様にして、ノンフライ即席カップうどんを得た。
【0029】
試験例2
実施例2および比較例5で得られたノンフライ即席カップうどんを、保存一週間後、各容器の蓋を開け、スープおよび具材の袋を破って中身を容器内に入れた後、450mlの熱湯を注ぎ、容器の蓋を閉めて5分間放置後、蓋を開け、スープ、具材、麺を良く混ぜて、それらの食感(なめらかさおよび粘弾性)および茹伸びについて評価した。評価方法は、粘弾性の評価基準を表3に示す評価基準とした以外は、試験例1と同様である。その結果を表4に示す。
【0030】
【表3】

【0031】
【表4】

【0032】
実施例3
薄力小麦粉(日清製粉株式会社製「フラワー」)70質量部および中力小麦粉(日清製粉株式会社製「さざんか」)30質量部を均一に混合し、蒸練ミキサーに投入し、次いで水55質量部および食塩1.5質量部を均一に混合して該蒸練ミキサーに投入した。該蒸練ミキサー内に0.180MPaの加圧蒸気を供給しながら回転数120rpmで2分間蒸練を行い、次いで蒸気の供給を止めて混練を1分間行って、α化した生地(α化度97.3%)を得た。
この生地(生地温度99.4℃)を直ちに2段の圧延ロールに通し、麺帯厚1.35mmに急圧延した。得られた麺帯を5〜10℃の冷蔵庫内で約10℃まで冷却し、切刃#12角刃にて切り出して麺線とした。この麺線110gを丸型のステンレス製パンチング容器に収納し、乾燥機中にて130℃で12分間膨化乾燥して乾燥麺塊を得た。
得られた麺塊を、常温まで冷却し、型抜きして、どんぶり型の発泡スチロール製容器に、袋入りのうどん用粉末スープおよび乾燥具材とともに入れて包装し、ノンフライ即席カップうどんを得た。
【0033】
比較例6
実施例3と同じ原料粉を均一に混合し、横型一軸ミキサーに投入し、水55質量部および食塩1.5質量部を均一に混合して該ミキサーに投入した。該横型一軸ミキサーにて回転数100rpmで3分間、70rpmで2分間混練して生地を得た。
この生地を複合し、4〜6段の圧延ロールに通し、麺帯厚1.35mmに圧延した。得られた麺帯を切刃#12角刃にて切り出して麺線とし、該麺線を連続蒸機内(開放系)で入口0.06MPa、出口0.03MPa、温度100℃で2分間蒸してα化を行った。該α化処理した麺線110gを丸型のステンレス製パンチング容器に収納し、95℃、風速7m/秒の熱風下で25分間乾燥した。
乾燥後、実施例3と同様にして、ノンフライ即席カップうどんを得た。
【0034】
試験例3
実施例3および比較例6で得られたノンフライ即席カップうどんを、保存一週間後、各容器の蓋を開け、スープおよび具材の袋を破って中身を容器内に入れた後、450mlの熱湯を注ぎ、容器の蓋を閉めて5分間放置後、蓋を開け、スープ、具材、麺を良く混ぜて、それらの食感(なめらかさおよび粘弾性)および茹伸びについて評価した。評価方法は、試験例2と同様にして行った。その結果を表5に示す。
【0035】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粉類を主体とする原料粉に水を加え、蒸練してα化度が80%以上の生地を得、該生地を急圧延して麺帯とし、麺線に切り出した後、膨化乾燥することを特徴とするノンフライ即席麺の製造方法。
【請求項2】
加圧蒸気を供給して、生地のα化度が85%以上〜100%未満の状態になるまで蒸練する、請求項1記載のノンフライ即席麺の製造方法。
【請求項3】
急圧延が、生地温度70℃以上で、かつロール圧延1〜2段で行うことからなる、請求項1または2記載のノンフライ即席麺の製造方法。
【請求項4】
膨化乾燥が、麺線を100〜135℃の温度雰囲気下に10〜30分間保持することからなる、請求項1〜3のいずれかに記載のノンフライ即席麺の製造方法。