ハイスループットアッセイシステム
【課題】ハイスループット生物学的アッセイに有用な方法および組成物の提供。
【解決手段】組合せには、多数の試験領域、少なくとも2つ、そして、好ましい実施態様では、少なくとも20の実質的に同一の試験領域を含む表面であり、各試験領域には包括的アンカー分子のアレイが含まれる。そのアンカーは、二官能性リンカー分子に結合し、それぞれに、少なくとも1つのアンカーに特異的な部分および目的の標的に特異的なプローブである部分が含まれる。作成したプローブのアレイを用い、プローブと特異的に相互作用する1つまたはそれ以上の標的分子の存在を分析するか、または活性を試験する方法。
【解決手段】組合せには、多数の試験領域、少なくとも2つ、そして、好ましい実施態様では、少なくとも20の実質的に同一の試験領域を含む表面であり、各試験領域には包括的アンカー分子のアレイが含まれる。そのアンカーは、二官能性リンカー分子に結合し、それぞれに、少なくとも1つのアンカーに特異的な部分および目的の標的に特異的なプローブである部分が含まれる。作成したプローブのアレイを用い、プローブと特異的に相互作用する1つまたはそれ以上の標的分子の存在を分析するか、または活性を試験する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、1998年12月22日付け出願の米国出願番号09/218,166の一部係属出願であり、その開示は引用により本文書に加える。本出願は、1997年12月19日付け先の出願60/068,291および1998年7月2日付け米国出願番号09/109,076の優先権を主張するものである。それらの開示はその全体を何れも引用によりこの文書に加える。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術
本発明は、例えば、組成物、装置および方法に関係し、プローブの繰り返しアレイを用いる多種の生物学的または化学的アッセイの同時実施に有用である。多数の領域には、それぞれ遺伝的アンカー分子のアレイが含まれる。アンカーは二官能性リンカー分子を伴い、それぞれ少なくとも1つのアンカーに特異的な部分および目的の標的に特異的なプローブである部分を含む。生成したプローブのアレイを用い、プローブに特異的に相互作用する1つまたはそれ以上の標的分子の存在を分析する。本発明は、分子相互作用の性質により識別し得る多種分野に関連し、それには医薬探索、分子生物学、生物化学、生理学および医学診断技術が含まれるが、これらに限らない。
【0003】
表面または“チップ”上に配置する多数の分子プローブを、多種の生物学的および化学的アッセイに使用する。アッセイを行い、目的の標的分子が任意のプローブと相互作用するかどうか測定する。選択した試験条件下プローブを標的分子にさらした後、検出装置により、標的分子が、所定のプローブと相互作用するかどうか決定する。
【0004】
これらシステムは、様々なスクリーニング法に有用であり、プローブまたは標的分子の何れかについての情報を得ることができる。例えば、それらを用い、他のものに混じる目的のレセプターに結合するペプチドまたは可能性ある薬物をスクリーニングする;多くの他のものに混じる、例えば、遺伝的変異、固体群の中の突然変異体(allelic variant in a population)、または特定の病原体もしくは病原株の存在する、サンプルをスクリーニングする;遺伝子発現の研究をするため、例えば、特定の生理状態、発生段階または疾病状態などに発現が関連するmRNA群を同定し得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の要旨
本発明は、多種の生物学的または化学的アッセイを同時に行う組成物、装置および方法を提供し、多数のサンプルをハイスループット分析し得、そのサンプルには、例えば、診断アッセイにおいてスクリーニングされる多数の患者サンプル、または薬物探索の方法において試験される多数の可能性ある薬物もしくは治療薬がある。サンプル中の1つまたはそれ以上の標的の検出に有用な組合せを提供する。この組合せには、多数の空間的に分離された領域を含む表面が含まれ、その領域は試験領域と名付けられ、少なくとも2つの実質的に同一のウェルであり得る。各表面は、実質的に同一な領域を、少なくとも2つ、好ましくは20またはそれ以上、例えば、少なくとも約25、50、96、864または1536含む。各試験領域は、1つまたはそれ以上の標的を含む(または部分的に含む)サンプルを導入する空間であると定義され、生物学的または化学的アレイを含む。(“標的を含むサンプル”または“サンプル中の標的を検出する”という語句は、標的を含まないかまたは検出されないサンプルまたは測定(検出の試み)を除外することを意味するものではない。通常の意味において、本発明は、標的がサンプル中に含まれるかどうかを、それが検出されるかされないかにかかわらず測定するアレイを含む。)このアレイは、包括的アンカーを含み、それぞれが、アンカーに特異的な第1の部分および少なくとも1つの標的に特異的なプローブを含む第2の部分を有する二官能性リンカー分子に結合する。本発明の組合せは、1つまたはそれ以上の標的を含むサンプルとの接触にあり、所望により、ディテクター分子と反応し、次いで、試験領域中における標的分子とプローブとの間の反応を検出する検出装置により応答指令信号が送られ、それによりアッセイの結果を得る。
【0006】
本発明は、特にハイスループット生物学的アッセイに有用な方法および組成物を提供する。特に好ましい実施態様では、本発明を用い、ハイスループットな薬物探索のスクリーニングができる。例えば、ハイスループットアッセイは、1度に多くの(例えば100)96ウェルマイクロプレートに実施することができる。プレートの各ウェルには、例えば36種の試験物が含まれ、その中で、約36のアンカーおよびリンカーの対のアレイを用いることにより実施される。すなわち、プレートあたり96ウェルを有する100プレートであり、ウェルあたり36の試験物をそれぞれ有し、合計345,000試験物となり得る;例えば、9,600種の薬物候補のそれぞれに、36種のパラメーターまたはアッセイを同時に試験し得る。ハイスループットアッセイにより、1度で1パラメーターのみを試験するアッセイよりも多くの各薬物候補についての情報が提供される。例えば、単一の最初のハイスループットスクリーニングアッセイが可能であり、薬物候補が選択的であるか、特異的であるか、および/または非毒性であるかどうか決定する。非ハイスループット方法は、広範囲の追加アッセイを必要とし、目的の各薬物候補のパラメーターを試験する。幾つかの型のハイスループットスクリーニングアッセイを実施例15-17に記載する。多様な生物学的アッセイを同時に実施する能力および1度に多くのアッセイを行う能力(すなわち、超ハイスループットにおいて)は、本発明の重要な2つの利点である。
【0007】
ある実施態様では、例えば、アミノ酸または修飾オリゴヌクレオチドのような一級アミンの結合を誘導した表面を有するポリスチレンで作成した96ウェルDNA Bindプレート(Corning Costar)を用い、36種のオリゴヌクレオチドの回収物をアンカーとしての役割をする各プレートの各ウェルの表面上にスポットし得る。アンカーを誘導ポリスチレンに共有結合し、同じ36のアンカーをすべてのスクリーニングアッセイに使用し得る。任意の特定のアッセイの場合、所定の一群のリンカーを用い、36種ぐらいの目的の標的またはアッセイ型に特異的な各ウェルの表面にプログラムし得、種々の試験サンプルを各プレート中の各96のウェルに適用し得る。同じ一群のアンカーを複数時間用い、目的の他の標的およびアッセイのウェルの表面に再度プログラムするか、または同じ一群のリンカーを複数時間、再度使用し得る。この順応性および再利用性により、更に本発明の利点が示される。
【0008】
本発明のある態様は、サンプル中の1つまたはそれ以上の標的の検出に有用な組合せであって、当該サンプルの添加前に、
a)少なくとも2つの実質的に同一な空間的に分離された領域を複数含む表面、
b)少なくとも8種のオリゴヌクレオチドアンカー(これは、上記領域のそれぞれに含まれる)、
c)オリゴヌクレオチドアンカーに特異的な第1の部分、および当該標的に特異的なプローブを含む第2の部分を有する二官能性リンカー(これは、上記の各場所で、各オリゴヌクレオチドアンカーと結合する)、
を含む組合せである。
【0009】
本発明の他の態様は、サンプル中の1つまたはそれ以上の標的の検出に有用な組合せであって、それには、当該サンプルの添加前に、
a)少なくとも2つの実質的に同一な空間的に分離された領域を複数含む表面、
b)少なくとも8種のアンカー(これは、上記領域のそれぞれに含まれる)、
c)アンカーに特異的な第1の部分、および当該標的に特異的なプローブを含む第2の部分を有する二官能性リンカー(これは、上記の各場所で、各アンカーと結合する)、
を含む組合せである。
【0010】
本発明の他の実施態様は、少なくとも1つの標的を検出する方法であり、それには、当該標的が当該組合せと効率よく結合する条件下、上記のような当該組合せを、標的を含み得るサンプルと接触させることを含む。他の態様は、RNA発現パターンを決定する方法であって、それには、上記の組合せと共に少なくとも2つのRNA分子を標的として含むサンプルをインキュベーションすることを含む(少なくとも1つの組合せのプローブが、RNA標的によるプローブへの特異的なハイブリダイゼーションが効率的となる条件下、少なくとも1つのRNA標的に特異的(すなわち、選択的)となる核酸(例えばオリゴヌクレオチド)である。他の態様は、RNA発現パターンを修飾する試薬(または条件)を同定する方法であって、それは、上記RNA発現パターンを決定する方法であり、更に、当該試薬(または条件)の存在下作成するRNA発現パターンを多種の一群の条件下作成するRNA発現パターンに比較することを含む。
【0011】
実施例の方法により、図1および2は、本発明の組合せおよびmRNA標的の検出にそれを使用する方法を示す。図2に示す本発明の表面は、15の同一試験領域を含む;本発明の特に好ましい実施態様では、これら各試験領域はマイクロタイタープレート中のウェルである。各試験領域は、6種のアンカーを含み、ここでは番号1-6で示す。図1で概要を示しているのは、当該アンカーの1つ、アンカー1であり、本発明の最も好ましい態様では、オリゴヌクレオチドである。アンカー1に、2つの部分を含むリンカー分子、リンカー1を結合させる。第1の部分はアンカーに特異的であり、この図中ではアンカーに特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドである。第2の部分は、目的の標的、ここでは標的mRNA1、に特異的なプローブであり、この図中では当該標的にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドである。この図中では示していないが、残りの5つのアンカーはそれぞれ、自身のリンカーとアンカー特異的部分を介してハイブリダイズし得る;各リンカーは、例えばmRNA1と異なる(またはmRNA1と同一の)mRNAに特異的なプローブ部分を含み得る。この示した組合せを用い、15種ぐらいのサンプルをmRNA1の存在のため同時(または、アレイ中の他の5つのプローブにより特定(プログラム)されるmRNA標的の場合、同時に)にアッセイし得る。アッセイを行うため、この例において、15の独立したセルラインの1つsayのRNA抽出物となり得る各サンプルを、少量の体積で1つの領域、ウェルに加え、プローブおよび標的のハイブリダイゼーションが効率的となる条件下インキュベーションする。mRNA1がサンプル中に存在するかどうか決定するため、パターンを認識し得、および/またはシグナルの存在のため各領域内の特定位置に応答指令信号を送り得る検出装置を用いる。セルラインを、mRNAがインビボでタグで標識される条件下インキュベーションするならば、そして、mRNA1がサンプル中に存在するならば、ディテクターは、アンカー/プローブ複合体1により決まる位置でタグをつけたmRNAから放射するシグナルを検出する。他に、領域(ウェル)に添加する前または後に、mRNAを直接インビトロで標識し得る。他に、図1に示したように、プローブにハイブリダイズさせる前または後に、例えば、プローブにより認識される以外の配列に相補的であるタグをつけた“ディテクター”オリゴヌクレオチド(標的−特異的レポーターオリゴヌクレオチド)と共にRNAをインキュベーションすることにより、mRNAに間接的にタグをつけることができる。図示した例では、15のサンプルを同時に分析し得る。少なくとも20またはそれ以上、例えば1536ぐらいか、それ以上のサンプルが本発明により同時に分析され得るため、それは超ハイスループットアッセイシステムであるといえる。
【0012】
本明細書中で使用するとき、“標的”とは、存在、活性および/または量が望ましくは決定され、所定のプローブに親和性を有する物質について言及する。標的は、人工的か、または自然に生ずる物質であり得る。また、それらは、不変化の状態か、または他の種類との集合体として用い得る。標的を、共有結合的か、または非共有結合的に、結合膜に、直接かまたは特定結合物質を介して結合し得る。本発明で用い得る標的の例には、レセプター(小胞、脂質、細胞膜または様々な他のレセプターにおける)、リガンド、レセプターに特異的なアゴニストまたはアンタゴニスト、抗原決定基に特異的に反応するポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および抗血清(ウイルス、細胞または他の物質のような)、薬剤、核酸またはポリヌクレオチド(mRNA、tRNA、rRNA、オリゴヌクレオチド、DNA、ウイルス性RNAまたはDNA、EST、cDNA、RNAまたはDNAから誘導するPCR増幅産物、ならびに変異、変異体またはそれらの修飾)、タンパク質(神経伝達物質の切断に応答するようなもの、プロテイナーゼ、キナーゼなどの酵素を含む)、酵素の基質、ペプチド、補因子、レクチン、糖、ポリサッカライド、細胞(細胞表面抗原を含み得る)、細胞膜、オルガネラなど、ならびに複合、共有結合架橋などの型で存在する分子または他の物質を含むが、これらに限らない。本明細書中で使用するとき、核酸、ポリヌクレオチド、ポリ核酸およびオリゴヌクレオチドは取り換えることができる。標的はまた抗-プローブとして言及し得る。
【0013】
本明細書中で使用するときは、“プローブ”は、物質であり、例えば、特定の標的により特異的に認識され得る分子である。可能性あるプローブ/標的または標的/プローブ結合パートナーの型には、レセプター/リガンド、リガンド/アンチリガンド、DNA/DNA、DNA/RNA、PNA(ペプチド核酸)/核酸を含む核酸(ポリヌクレオチド)相互作用、酵素、他の触媒、または基質、小分子またはエフェクター分子を含む他の物質などを含むが、これらに限らない。本発明が目的とするプローブの例は、有機または無機物質または金属を含むポリマー、キレート化剤、または金属、プラスチック、細胞膜レセプターのアゴニストおよびアンタゴニスト、トキシンおよびベナム(venom)、ウイルス性エピトープ、ホルモン(例えば、オピオイドペプチド、ステロイドなど)、ホルモンレセプター、脂質(リン脂質を含む)、ペプチド、酵素(プロテーゼまたはキナーゼのような)、酵素基質、補因子、薬剤、レクチン、糖、核酸(オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、PNAもしくは修飾もしくは置換核酸を含む)、オリゴサッカロイド、タンパク質、酵素、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体、一本鎖抗体もしくはそのフラグメントと特異的に相互作用する他の化合物を含むが、これらに限らない。プローブポリマーは、直線状か、環状であり得る。プローブは、特異活性または特異結合の何れかの効力により、リン酸化および非リン酸化タンパク質を識別し得る。レクチンのようなプローブはグリコシル化タンパク質を識別し得る。本明細書中で使用するとき、核酸、ポリヌクレオチド、ポリ核酸およびオリゴヌクレオチドという語は置き換えることができる。“プローブ”として上記した任意の物質はまた“標的” 働きをし得、その逆もあり得る。
【0014】
任意の互換性のある表面を本発明のと共に用い得る。表面(通常固体)は任意の多種の有機または無機物質またはそれらの組合せであり、ポロプロピレンまたはポリスチレン、セラミック、シリコン、例えばガラス顕微鏡スライドまたはガラスカバースリップの厚さを有する(融合)シリカ、石英またはガラス、フィルターペーパーのような紙、ジアゾ化セルロース、ニトロセルロースフィルター、ナイロン膜、またはポリアクリルアミドゲルまたは他のタイプのパッド、例えば、任意の種々の慣用の方法により湿潤ゲルの乾燥により製造した、フィルムを含む非常に多孔性の固体であるエアロゲルから成る、例えば、エアロゲルパッドまたはエアロベッドが単に例として含まれる。光に透明である基体は、アッセイを実施する方法に光学的検出が含まれる際に、有用となる。好ましい態様では、表面は、マルチウェルのプラスチック表面であり、例えば、組織培養ディッシュ、例えば24-、96-、256-、384-、864-または1536-ウェルプレート(例えば、Corning Costar DNA Bind plateのような修飾プレート)である。アンカーは、例えば表面と直接結合し得るか、または1つの型の表面、例えばガラスと結合し得、次いで、例えば、二次表面、例えばマイクロタイターディッシュ中のプラスチック“ウェル”内の表面と接触して位置する。表面の形は重要ではない。例えば、四角、矩形もしくは丸形のような平坦表面、曲線表面、またはビーズ、粒子、繊維、沈殿、チューブ、球のような3次元表面であり得る。
【0015】
表面は、空間的に分離され、アドレサブル(addressable)または同定可能な領域を含む。各領域は、一群のアンカーを含む。どのように領域が分離されるか、それらはどのような物理的性質であるか、そして、どのように相互に相対的に方向付けられるかは、重要ではない。ある実施態様では、領域は、液体の通過を妨げる任意の物理的バリアーにより相互に分離され得る。例えば、好ましい実施態様では、領域は、マルチウェル(例えば、組織培養)ディッシュのウェルとなり得、例えば、24-、96-、256-、384-、864-または1536-ウェルプレートである。他に、ガラス表面のような表面をエッチングすると、例えば、864または1536の分離された浅いウェルとなり得る。他に、表面は、仕切りまたはウェルのない領域を含み得、例えば、平坦表面であり、例えば、プラスチック、ガラスまたは紙の切片であり、そして、個々の領域は、分離領域を形作る構造(例えばプラスチックまたはガラス片)を覆うことにより更に決定され得る。所望により、表面は、個々の領域が形作られる前に、アンカーまたはリンカーと結合するアンカーの1つまたはそれ以上のアレイを既に含み得る。他の実施態様では、各領域の内のアンカーのアレイは相互に分離され得、それは、アンカーのない表面上のブランクスペース(blank space)によるか、または小滴の分散を防止するワックスまたはシリコンのような化学的境界(chemical boundary)による。
【0016】
また他の実施態様では、領域は、チューブまたは液体調節チャンネルとして定義され得、例えば、Beattie et al (1995) Clin. Chem. 4, 700-706に開示するようなフロースルーアッセイとして設計され得る。チューブは任意のサイズ、例えば、キャピラリーまたは広い内径のチューブであり得る;液体の流れを可能にし得る;または部分的にまたは完全にゲル、例えば、アガロースまたはポリアクリルアミドで充たされ、それを通って化合物が、例えば、電気泳動により輸送(通過、流動、ポンプ輸送)され得る。好ましい態様では、チューブはゲルで充たされる;ゲルはアンカーの結合に関して活性化されており、異なるアンカーが連続して通過し、ゲル内のアンカーの直線的アレイの形成を可能にする;そしてリンカー、標的などが連続して通過する。表面内または表面上などの領域もまたそれ自身の表面の修飾により決まり得る。例えば、プラスチック表面はまた、修飾または誘導プラスチックで作成した部分を含み、それは、例えば、特定の型のポリマーを加える部位としての働きをし得る(例えば、PEGをポリスチレン表面に結合し得、次いで、カルボキシルまたはアミノ基で、二重結合、アルデヒドなどを誘導する。)。他に、プラスチック表面は突出(protrusion or bump)のようなモールドした構造を含み得、それは、アンカーの添加のためのプラットフォームとしての役割をし得る。他の実施態様において、領域はゲルパッド、例えばポリアクリルアミドゲルパッドまたはエアロパッドであり得、それらは、例えば、ガラスのような表面上に臨まれるパターンで配置され、または例えば、ガラスと石英プレートのような二つの表面の間にサンドイッチされ得る。アンカー、リンカー等はこのようなパッドの表面上に固定化でき、またはそれらの中に包埋され得る。ゲルパッドの種々の他の配置が、当業者には明らかであり、通常の、慣用法により製造できる。試験領域の相対的な方向付けは、任意の多様な型となり、それらには、四角または矩形または他の表面内の平行または垂直なアレイを含むがこれらに限らず、それらは、丸または他の表面、または直線状アレイなどのアレイに容易に拡張される。
【0017】
本発明の空間的に分離された領域は、マルチプルコピー(multiple copy)内に存在する。すなわち、少なくとも2つ、好ましく少なくとも20、または少なくとも約24、50、96、256、384、864、1536、2025、またはそれ以上などであり、実質的にそれらは同一であり、空間的に分離(分断された)領域である。繰り返し領域の数の増加により、ますます、より高いスループットのアッセイをし得る。本明細書中で使用するとき、実質的に同一の領域とは、同一または実質的に同一のアンカーのアレイおよび/またはアンカー/リンカー複合体を含む領域について言及する。本明細書中で使用するとき、実質的に同一とは、本発明に従い標的を分析する前後関係において、アレイまたは領域が、他のアレイまたは領域と本質的に同一の機能として働くことを意味する。機能に実質的に影響しない相違、すなわち、標的の検出可能性は、小ヌクレオチド不完全性(脱落/挿入/置換)またはオリゴ不完全性(弱い表面結合)などの系に沿い、それらは、アッセイの正確性において、標的決定結果に重要な影響を与えない。
【0018】
もちろん、当業者ならば、表面上のすべての領域が相互に実質的に同一である必要はないことを認識し得る。例えば、2種の一群のアレイが平行に試験され得るならば、単一表面上の一群のアレイを両方含むことが利点となり得る。例えば、2種の一群のアレイを、互い違いにストリッピングしたパターンに配置し、それらの間での比較を促進し得る。他の実施態様では、従事者は、表面上の他の領域と識別し得る方法で検出し得る1つまたはそれ以上の領域を含み、それによって、“登録領域”として使用し得ることを希望する。例えば、登録領域は、オリゴヌクレオチドまたはペプチドを含み、それにより、表面上の領域の位置に配置される“開始点”としてスキャンニング検出装置が認識し得る蛍光分子の明瞭なパターンが示される。
【0019】
試験領域の大きさおよび物理的空間は制限されない。典型的な領域は、面積が約1ないし約700mm2、好ましくは1ないし40mm2であり、そして約0.5ないし約5mm離れており、含まれる面積に応じて通常選択され得る。好ましい実施態様では、領域は約5mm離れている。例えば、各領域は、矩形グリッドを有し、それは、例えば、8列および6段からなり、直径約100マイクロメーターであるアンカーの粗い環状スポットで500マイクロメーター離れている;その領域は、面積20平方ミリメーターである。より大きな領域およびより小さな領域ならびに空間が含まれる。
【0020】
領域はまた、領域内の幾つかまたはすべてのアンカーは、例えば、へこみ(indentation)および小さなくぼみ(dimple)によって、隣接するアンカーから物理的に分離されるように、更に再分割される。例えば、多くの領域内の再分割(小区域)は、約10ないし約100またはそれ以上もしくはそれ未満の範囲となり得る。ある実施態様では、1536-ウェルディッシュのウェルである領域を、より小さいウェルに更に再分割し、例えば、約4ないし約900、好ましくは約16ないし約36ウェルとし、それにより、ウェル内のウェルのアレイに形成し得る。図4参照。そのくぼんだ表面により、各設計した空間(位置)に単一のアンカー(またはアンカーの群)を物理的に位置させるのに必要な強度が弱くなり、そして、アンカーを含む領域の大きさが、より均一となり、それにより、ブローブへ結合する標的の検出が促進される。
【0021】
本明細書中で使用するとき、“アンカー”という語は、任意の存在物または物質について言及し、例えば、その分子(またはその物質と実質的に同一の“グループ”(図7参照))は、表面と結合するか(例えば、表面において固定化されるか、または共有結合的もしくは非共有結合的の何れかで結合する)、またはその表面の部分であり(例えば、プラスチック表面の誘導部分)、そして、本明細書に記載のようにリンカーまたは他の物質と特異的に相互作用するか、もしくは結合し得る。本明細書中で使用する場合、アンカーおよびリンカーが特定の方法で分子会合を介して組合される際、“アンカー/リンカー複合体”が存在する。リンカーとの相互作用は、ある共有結合のように不可逆的か、または核酸ハイブリダイゼーションのように可逆的であり得る。好ましい実施態様では、アンカーは核酸であり、それは、任意の長さ(例えば、オリゴヌクレオチド)または型(例えば、DNA、RNA、またはRNAもしくはDNA分子のPCR産物)となり得る。核酸は、修飾または置換され得る(例えば、イノシンのような天然には生じないヌクレオチド;スルファメート、スルファミド、ホスホチオネート、メチルホスホネート、カルバメートなどのような様々な既知連結を介する結合;またはDNAストレプトアビジン結合のような半合成分子を含む)。一本鎖核酸が好ましい。アンカーはまたペプチドまたはタンパク質である。例えば、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体分子またはそのフラグメント、または一本鎖抗体またはそのフラグメントであり得、それらは、抗原または抗-抗体分子であるリンカーの部分に特異的に結合する;表面では、アンカーはペプチドであり得、そして、それれに結合するリンカー部分は抗体などである。他の実施態様では、アンカーはレクチン(カブトガニ、ピーナッツ、ヤエナリ、Phaseolus、小麦麦芽などのような生物由来のコンカナバリンAまたは凝集素)であり、特定の炭水化物に特異的である。他の実施態様では、アンカーは、修飾または誘導プラスチックポリマーのような有機分子であり得、それらは、例えば、オリゴヌクレオチドの特定の固体相化学合成の段階としての働きをし得る。この場合、誘導プラスチックは、製造過程の組合せのプラスチック表面に完全に形成される、分離した、誘導された位置のアレイとして分配され得る。他の実施態様では、アンカーは、金属イオン、例えば、Ni、Zn、Ca、Mgなどと特定のタンパク質もしくはキレート剤との間で特異的または選択的な結合に有利となり得る。例えば、アンカーはポリヒスチジンであり得、リンカーのアンカー特異的部分はニッケルであり得、それは、ニッケルキレート化剤を介して標的特異的プローブに結合する。他に、キレート化剤は、アンカーおよびポリヒスチジンプローブ関連部分であり得る。他に、アンカーは無機物質であり得る。例えば、カルシウムおよびマグネシウムのような金属であり得、リンカーのアンカー特異的部分は、それぞれ、EDTAまたはEGTAのような選択的キレート化剤であり、それは標的特異的プローブに結合する。当業者ならば、広範囲の他の型の分子もまた、プローブおよび標的に関連して考察される一般的な型のようなアンカーとしての働きをし得る。
【0022】
試験領域中のアンカーの数は、少なくとも2つ、好ましくは約8から約900の間(それよりも多い場合および少ない場合を含む)、より好ましくは約8から約300の間、そして最も好ましくは約30から約100の間(例えば約64)であり得る。幾つかの好ましい実施態様では、96試験領域(例えば、ウェル)を有する表面の場合約16、36、45または100のアンカー/試験領域または384試験領域(例えば、ウェル)を有する表面の場合、約9、16または25のアンカー/試験領域がある。最も好ましい実施態様では、試験領域中の各アンカーは、アレイ中、他の何れのアンカーとも異なる特異性を有する。しかし、2つまたはそれ以上のアンカーは同じ特異性を有し、すべてのアンカーは同一となり得る。本発明の組合せが非常に多くの試験領域を含み(例えば、約864、1536またはそれ以上)、そのため多数の試験サンプルが同時に処理され得る、ある実施態様では、限られた数(例えば、約2、4、6または9)のパラメーターのみに関し当該サンプルを試験することが目的とされる。換言すれば、非常に多数の領域を含む組合せの場合、領域あたり約2ないし9アンカーのみを有することが利点となる。
【0023】
試験領域内または試験領域上のアンカーの物理的空間および相対的方向付けは限定されない。典型的に、アンカー同士の距離は、約0.003ないし約5mmまたはそれ未満、好ましくは約0.03と約1との間である。より長いおよびより短いアンカー空間(および面積)が含まれる。アンカーが、相互および領域の境界に相対的な任意の方向付けで配置され得る。例えば、それらは、四角、矩形、六辺形または他のアレイ、または放射線または同心円の中心から放射するアンカーを有する環状アレイのような二次元的方向付けで配置され得る。アンカーはまた、一次元の直線アレイで配置され得る。例えば、オリゴヌクレオチドはDNAまたはRNA配列に従って特異的位置にハイブリダイズし得、超分子アレイを形成し得るか、またはフロースルーゲルにおける直線配置である。他に、アンカーは“バーコード”様型となり得る(図6参照)。例えば、アンカーは相互に平行なロングラインとなり得る。各ロングラインの間またはその幅の距離は、調節された方法で変化し得、バーコードのような単なる認識パターンが生じ、例えば、1番目および3番目のラインは残りの広さの2倍となり得、ラインは取り除かれるなどされ得る。エクストラエンプティーラインは、1つの試験領域をはっきりと区別する最後のラインの後に位置され得、バーコードパターンは連続的な試験領域で繰り返され得る。
【0024】
アンカーのパターンは、分離したアッセイウェル(試験領域)または分離アッセイ小滴の位置を明確に登録する必要はない。“アッセイ位置”という語は、アッセイサンプルが適用されるアッセイ表面の位置の言及に使用される(これらは、アッセイサンプルの分離した小滴の位置により、または例えばマルチウェルプレート上の個々のアッセイウェルを決める壁または仕切りの位置により決められる)。アンカーパターン自体(例えばオリゴヌクレオチドアンカーの“バーコード”様パターン)を用い、各分離アンカーがパターン認識により正確に決められ、ちょうど各バーコードのラインが残りのラインに相対する位置により認識される。このため、第1のアンカーは、各アッセイ位置の1つの端または1つの角を必要としない。第1のアンカーは、アッセイ位置に相対する位置よりもむしろパターン認識により発見される。各アッセイ位置(例えば、小滴の面積またはウェルの面積)で使用される面積が、アンカーの繰り返しパターンの少なくとも1つの全体の単位を含むのに十分広い限り、次の各アッセイ点は、パターンがアッセイ位置の面積内にあるところはどこでも(バーコード)パターンにより特定されるすべての標的のアッセイ位置のサンプルを試験する。
【0025】
アンカーは、各試験領域内の明確なまたは固定さえされているパターンで配置される必要はない。例えば、各アンカーは、粒子、ビーズなどに結合し得、それらは試験領域内のランダムな位置と仮定される。各アンカーの位置は、例えば検出可能なタグの使用により決定され得る。例えば、各型のアンカーに特異的なリンカー分子は、種々の蛍光、ルミネセンスなど、タグで標識され得、特定リンカー/アンカー対を含む粒子の位置は、リンカーから放射するシグナル、例えば、励起または放射スペクトルの性質により同定され得る。当業者ならば、種々の結合したタグであって、それぞれ認識し得るスペクトルを有する一群のリンカーを調製し得る。他に、アンカーは直接標識され得る。例えば、各型のアンカーをタグで標識し得、そのタグは様々なスペクトルを有する蛍光を他の型のアンカーにおいて発する。他に、粒子、ビーズなどは、大きさまたは形について相互に異なっている。本明細書中で記載する任意の標識および検出方法を用い得る。例えば、蛍光は、CCDを基にするイメージングシステムにより、スキャンニング蛍光顕微鏡またはFluorescence Activated Cell Sorter(FACS)により測定され得る。
【0026】
アンカーは、リンカー分子のある部分-アンカー特異的部分-と特異的に相互作用するか、または結合し得る。“相互作用”または“結合”という語は、本明細書中では、2つの物質または化合物(例えば、アンカーおよびリンカーのアンカー特異的部分、プローブおよびその標的、または標的および標的特異的レポーター)が相互に結合し(例えば、結合(attached, bound)、ハイブリダイズ、結合(joined)、アニール、共有結合(covalently linked)、または他の結合)、十分に目的のアッセイを行い得ることを意味する。“特異的”または“特異的に”という語は、本明細書では、2つの化合物(例えば、アンカーおよびリンカーのアンカー特異的領域、プローブおよびその標的、または標的および標的特異的レポーター)が相互に選択的に結合し、任意の保護技術のない場合、当該成分に結合することを目的としない他の成分には通常結合しない。特異的相互作用を達成する必要のあるパラメーターを、例えば当分野の通常の技術を用い、通常決定することができる。
【0027】
例えば、核酸の場合、当業者ならば、他の物質または分子(例えば、他のオリゴヌクレオチドリンカー)への非特異的ハイブリダイゼーションを最小化する一方、選択したストリンジェンシー条件下、他の核酸にハイブリダイズさせ得る核酸(例えば、オリゴヌクレオチドアンカー)の特徴(長さ、塩基組成物および相補性の程度のような)を実験的に決定することができる。典型的に、アンカーのDNAまたは他のアミノ酸配列、リンカーの部分、またはディテクターオリゴヌクレオチドは、その結合対と十分相補性があり、選択したストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズでき、Tmは室温よりも約10から20℃高くなり得る(例えば約37℃)。通常、オリゴヌクレオチドアンカーは、長さ約8ないし約50ヌクレオチド範囲となり得、好ましくは15、20、25または30ヌクレオチドとなり得る。本明細書中で使用するとき、“高いストリンジェントハイブリダイゼーション条件”とは、核酸同士で少なくとも95%、好ましくは約97%から100%のヌクレオチド相補性(同一性)があるときにハイブリダイゼーションが生じる任意の条件を意味する。しかし、望ましい目的に応じて、ハイブリダイゼーション条件は選択され得、低い相補性、例えば、約90%、85%、75%、50%などを必要とする。変わり得るハイブリダイゼーション反応パラメーターでは、塩濃度、緩衝液、pH、温度、インキュベーション時間、ホルムアミドのような変性剤の量および型などがある(例えば、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed.) Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Press, New York; Hames et al.(1985). Nucleic Acids Hybridaization, IL Press; Davis et al. (1986), Basic Methods in Molecular Biology, Elsevir Sciences Publishing, Inc., New York)。例えば、核酸(例えば、リンカーオリゴヌクレオチド)を、試験領域(例えば、マルチウェルプレートのウェル-好ましい実施態様では、96または384またはそれ以上のウェルプレート)に、体積約0.1ないし約100またはそれ以上のμl(好ましい実施態様では、約1ないし約50μl、最も好ましくは約40μl)で、例えば6XSSPE-T(0.9 M NaCl、60mM NaH2PO4、6mM EDTAおよび0.05% TritonX-100)のような緩衝液中、濃度約0.01ないし約5μM(好ましい実施態様では約0.1μM)で、加えることができ、約10分ないし少なくとも3時間(好ましい実施態様では、少なくとも約15分間)、温度約4℃ないし約37℃(好ましい実施態様では、おおよそ室温)の範囲で結合対(例えば、表面上のオリゴヌクレオチドアンカー)にハイブリダイズすることができる。条件を選択し、ハイスループットとすることができる。本発明の1つの実施態様では、反応条件はおおよそ生理条件である。
【0028】
例えば、アンカーまたはリンカーの部分としての働きをし得る他の型の物質または分子(例えば、ポリペプチド、レクチンなど)の設計、および結合対との特異的相互作用に必要な反応条件は当分野には通常であり、一般的である(例えば、Niemeyer et al (1994) Nucleic Acids Res. 22, 5530-5539; Fodor et al (1996)米国特許番号5,510,270; Pirrung et al (1992)、米国特許番号5,143,854に記載の通り)。インキュベーションパラメーターには、緩衝液、塩濃度、pH、温度、インキュベーション時間、担体および/または試薬の存在または非特異的相互作用を減少する条件がある。例えば、アンカーとして抗体を含む試験領域(例えば、マルチウェルプレートのウェル-好ましい実施態様では96または384またはそれより多いウェルプレート)に、抗-抗体(例えば、抗原または抗体特異的二次抗体)を、体積約0.1ないし約100またはそれよりも多いμl(好ましい実施態様では、約1ないし約50μl、最も好ましくは約40μl)で、例えば、6XSSPE-T、PBSまたは生理食塩水のような緩衝液中、濃度約10pMないし約10nM(好ましい実施態様では、約1nM)で加えることができ、表面上のアンカーと共に、約10分ないし少なくとも約3時間(好ましい実施態様では、少なくとも15分間)、温度約4℃ないし45℃の範囲(好ましい実施態様では、約4℃)でインキュベーションし得る。ペプチドアンカーの場合、約5ないし約20の長さのアミノ酸が好ましい。
【0029】
本発明の幾つかの実施態様では、アレイ中の各アンカーは、選択した反応条件下、アレイ中の他のアンカーと実質的に同程度に、相当するリンカーのアンカー特異的部分と相互作用し得る。これにより確実となるのは、アンカーによるリンカーおよびそのプローブの実質的に均一のアレイに対する特異性である。
【0030】
試験領域内のアンカーは、“包括的な”群であり得、1つまたはそれ以上の様々なリンカーと相互作用し得る各アンカーであり、それぞれ、異なる“プローブ”部分以外のアンカーに特異的な部分がある;そのため、包括的アンカーの単一のアレイを用い、様々な一群のプローブをプログラムまたは決定する。アンカーのその包括的アッセイの順応性を図1および2に引用して示す。図2は15の試験領域を含む表面を示し、それぞれ、6種のアンカーのアレイを含み、実施例中ではオリゴヌクレオチドである。図1は、これらアンカーの1つ(オリゴヌクレオチド)、アンカー1を概略し、それらは、アンカー1に特異的である1つの部分および標的mRNA1に特異的な第2の部分を含む、リンカー1と接触する。他に、あるものは、例えば、リンカー1のように、アンカー1に特異的な部分を含むが、標的mRNA1の代わりに標的mRNA2に特異的な第2の部分を含む、リンカー2と置換され得る。そのため、アンカー1を用い、2つまたはそれ以上の種々の標的mRNAの何れか用のプローブを明記(またはプログラム、または定義、または決定)し得る。オリゴヌクレオチドまたはペプチドのハイレゾリューションパターン(アレイ)を作成し、結びつける方法は、高価であり、時間がかかり、および/または物理的に困難となり得る。アンカーの前形成アレイを用い、多種のプローブアレイをプログラムする能力は、本発明の1つの利点である。
【0031】
図2に示す包括的アンカーにより、オリゴヌクレオチドプローブのパターンが決定されるけれども、同一アンカーアレイもまた使用され、他のタンパク質、例えば、レセプタータンパク質(図3参照)のアレイをプログラムし得る。明らかに、多くの入れ替えが可能であり、アンカー/リンカー相互作用の型の所定の範囲、例えば、タンパク質/抗体の組合せのような“サンドイッチ”または“ピギーバック”プローブの多数の複合層が得られる。そのため、この発明のアンカーの表面自身、新規な利点を提供する。
【0032】
本発明のある実施態様では、アンカーは、可逆的にリンカーと相互作用し得る;そのため、包括的一群のアンカーは再利用され、種々の一群のプローブをプログラムし得る。例えば、オリゴヌクレオチドアンカーは、例えば、2つのオリゴヌクレオチドが解離する過熱段階により、リンカーのオリゴヌクレオチド部分から分離され得、次いで、二次リンカーと再結合する。高価であり、時間がかかり、および/または作成に物理的困難を有する、アンカーアレイを再利用する能力は、本発明の他の利点である。
【0033】
アンカーが、リンカーと相互作用する必要はない。例えば、アンカーは、蛍光色素のような検出可能な分子と結合し得(直接的または間接的)、それによって、例えば、試験表面およびディテクターとの間の登録の目的で、グリッド内のスポットを位置付け得る。他に、アンカーを既知量の検出分子で標識し得る。例えば、較正の目的で内部定量マーカーとして用いるためである。
【0034】
本明細書中で使用する“リンカー”という語は、選択した(設計した)アンカーまたはアンカーのサブセット(“アンカー-特異的”)に特異的である第1の部分(成分または部分)および目的の標的(“標的-特異的”)に特異的なプローブである第2の部分を含む二官能性物質として言及する。リンカーの2つの部分は、共有結合的または非共有結合的連結を介して結合し得、中間体に直接または中間体を介して結合し得る。
【0035】
リンカーのアンカー特異的部分の化学的性質は、もちろん、アンカーまたは相互作用するアンカーの機能である。例えば、アンカーがオリゴヌクレオチドならば、相互作用するリンカーの部分は、例えば、オリゴヌクレオチドに特異的に結合するペプチドであるか、または選択したストリンジェント条件下で効率的および特異的にハイブリダイズし得る核酸である。核酸は、例えば、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、PNA、PCR産物、または置換もしくは修飾核酸(例えば、イノシンのような天然には生じないヌクレオチド;スルファメート、スルファミド、ホスホチオネート、メチルホスホネート、カルバメートなどのような様々な既知連結を介する結合;またはDNAストレプトアビジン結合のような半合成分子を含む)であり得る。一本鎖成分が好ましい。オリゴヌクレオチドアンカーに特異的なリンカー部分は、長さ約8ないし50ヌクレオチドの範囲、好ましくは約15、20、25または30ヌクレオチドである。アンカーが抗体ならば、相互作用するリンカーの部分は、例えば、抗-抗体、抗原、またはアンカーと特異的に相互作用し得る分子の1つの小フラグメントであり得る。上記他のタイプのアンカーと特異的に相互作用し、そして、アンカー-特異的なリンカー部分としての働きをする物質または分子もまた、当分野に既知であり、通常の方法を用い設計し得る(例えば上記参照)。
【0036】
標的-特異的なリンカーの部分の化学的性質は、もちろん、プローブであり、相互作用する標的の機能である。例えば、標的が、特にmRNAならば、標的-特異的なリンカーの部分は、例えば、標的に特異的に結合するオリゴヌクレオチドであるが、選択したハイブリダイゼーション条件下、RNAまたはDNAを阻害する。当業者ならば、当分野に既知の方法を用い、標的に所望によりハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの特徴を実験的に決定し、非特異的な干渉DNAまたはRNAへのハイブリダイズを最小とする(例えば、上記参照)。通常、非標的RNAの過剰のバックグラウンドに存在する標的mRNAの識別に使用するオリゴヌクレオチドプローブの長さは、約8ないし約50ヌクレオチドの範囲、好ましくは約18、20、22または25ヌクレオチドである。拮抗標的のあまりない生化学的アッセイで使用するオリゴヌクレオチドプローブはより短くなり得る。当分野に既知の方法(例えば、コンピュータープログラムBLAST)を用い、オリゴヌクレオチドプローブの配列を、既知の遺伝的データベースにおいて可能性のある干渉配列と相互に関係せず、類似しないように、選択し得る。オリゴヌクレオチドプローブによるRNAへの特異的なハイブリダイゼーションが可能なハイブリダイゼーション条件の選択が、当分野に認識される方法を用い、決定することができる(例えば、上記参照)。例えば、標的RNA[例えば、マルチウェルマイクロタイタープレート(例えば、96または384またはそれ以上のウェル)のウェルのような任意の容器において、組織または増殖細胞から抽出した全RNAまたはmRNA(および所望により目的の試薬で処理した)]を、6XSSPE-Tまたは他の緩衝液中、オリゴヌクレオチドプローブアレイを含む試験領域に添加し得(上記参照)、所望により、非特異的結合を減少させる試薬(例えば、破砕したニシンまたはサケ精子DNA、または酵母RNA、約0.5mg/ml)を含み、約10分ないし少なくとも18時間(好ましい実施態様では、約3時間)の範囲の時間、経験的に決めた温度でインキュベーションする。ハイブリダイゼーションするストリンジェンシーは、アンカー-特異的なリンカー部分にアンカーを結合させるのに用いるストリンジェンシーと同一か、またはそれよりも弱い。他の型のプローブの設計および使用はまた、例えば、上記考察したように当分野に通常である。
【0037】
アンカー-特異的および標的-特異的なリンカーの部分を、任意の様々の共有的または非共有的結合により、結合(join, attach, link)し得、その性質は本発明の本質ではない。2つの部分を直接、または中間分子を介して連結し得る。リンカーの両方の部分がオリゴヌクレオチドである、ある実施態様では、ホスホジエステル結合のように共有結合し得、単一の、同一線上の核酸を形成する。アンカー-特異的な部分がオリゴヌクレオチドであり、標的-特異的な部分がレセプター、例えばレセプタータンパク質である他の実施態様では、2つの部分はビオチンおよびストレプトアビジン分子の相互作用を介して結合し得、その例を図3に示す。多種のその連結は既知である(例えば、Niemeyer et al (1994). NAR 22, 5530-5539)。他に、2つの部分が直接結合し得、例えばオリゴヌクレオチドがアミド化され、次いでアミド結合を介してペプチドまたはタンパク質に直接結合(例えば架橋)するか、またはアミド結合または脂質結合を介して膜成分に結合し得る。その共有結合または非共有結合を形成する方法は通常であり、当業者により容易に最適化される。
【0038】
2つの物質が結合(例えば、2つの核酸、2つのタンパク質、タンパク質プラス核酸または他のもののインキュベーションにより)し、複合体(例えばアンカー/リンカー複合体のような)を形成した後、生成した複合体を所望により処理(例えば、洗浄)し、特異的相互作用未処理物を残すが、非特異的結合物質を取り除くように実験的に決定した条件を用い、非結合物質(例えば、リンカー)を取り除く。例えば、反応混合物を、1回ないし約10回またはそれ以上、複合体(例えば、アンカー/リンカー複合体)の達成に使用する条件と同じか、それより幾らか高ストリンジェンシーである条件下で洗浄し得る。
【0039】
本発明の組合せは、通常の技術を用い通常通り製造され得る。
【0040】
本発明に使用し得る幾つかの表面は、商業上の提供者より容易に利用できる。好ましい実施態様では、表面は、Corning Costerにより販売されている修飾プレートのような96-、384-または1536-ウェルマイクロタイタープレートである。他に、表面はウェルを含み、次いで、へこみまたは“くぼみ”を含み、アルミニウムまたはスチールのようなミクロ機械加工物質により形成され、モールドを調製し、次いで、プラスチックまたは同様の物質をモールドにミクロ注入し、図4に示すような構造を形成する。他に、図4に示すような構造には、ガラス、プラスチック、セラミックなどが含まれ、例えば、図5に示されるような3つの切片からアセンブリされ得る;ウェル仕切り(図5a)と呼ぶ第1の部分はサンプルウェル間の分離を形成する;サブディバイダー(subdivider)(図5b)と呼ぶ第2の部分は各試験ウェル内に再分割またはくぼみを形成する;そして、基盤(図5c)と呼ぶ3つ目の部分はプレートの基盤および試験ウェルの下側表面を形成する。例えば、仕切りは、金属、例えばシリコンの切片であり、それを通る穴があり、それぞれの穴は、3つの切片が結合するとき試験ウェルの壁を形成する。サブディバイダーは、例えば、薄い金属片、例えば、シリコンであり、スクリーンまたは良好な網の形をしている。基盤は、金属、例えばガラスの平坦切片であり、例えば、生物化学アッセイに用いる典型的なマイクロプレートの下側部分の形となる。基盤の上側表面は、図5cに示すように平坦であるか、またはサブディバイダー型で配置されるへこみを形成し得、各サンプルウェル内に完全な再分割、またはウェルを提供する。3つの切片は標準的な方法、例えばシリコンウェハーのアセンブリを用いる方法により結合され得る。
【0041】
オリゴヌクレオチドアンカー、リンカー部分、またはディテクターは、通常の技術、例えば、商業上のオリゴヌクレオチド合成機により、および/または合成されるサブフラグメントに連結することにより、合成され得る。本発明のある実施態様では、オリゴヌクレオチドアンカーのような実施する核酸アンカーの位置を定め得、それは、試験領域の表面上または表面内であり、ホトリトグラフまたはシルクスクリーン化学結合、インクジェット技術による配置、キャピラリー、スクリーンまたは液体チャンネルチップ、電極アレイを用いる電気化学的パターニング、ピンまたはクウィルとの接触、またはフィルターの加熱またはUV照射後の変性を含む、任意の様々な通常の技術による(例えば、Rava et al (1996) 米国特許番号5,545,531;Fodor et al (1996) 米国特許番号5,510,270;Zanzucchi et al (1997) 米国特許番号5,643,738;Brennan (1995) 米国特許番号5,474,796;PCT WO 92/10092; PCT WO 90/15070参照)。アンカーを試験領域の表面の上部に置くか、または例えば、表面から幾つかのアンカーを突き出す形態の表面内にはめ込まれたポリアクリルアミドゲルパッドの場合であり、リンカーとの相互作用が可能となる。好ましい実施態様では、実施したオリゴヌクレオチドアンカーは、遊離アミノ基を有する5'末端で誘導される;50mM リン酸緩衝液 pH8.5および1mM EDTAのような緩衝液中、経験的に決定された濃度で溶解する;そして、Pixus nanojet dispenser(Cartesian Technologies)で、約10.4ナノリッターの小滴で、上側表面が新しい乾燥DNA Bind plate(Corning Costar)である試験ウェル内の特定位置に分配する。オリゴヌクレオチド結合および蒸発の相対的な速さに応じて、調製の際にウェルの湿度を調整する必要がある。他の実施態様では、オリゴヌクレオチドアンカーは、試験領域の表面上に、例えば、伸張するオリゴヌクレオチド鎖の光活性化脱保護のような通常の方法を用い、直接合成され得るか、または、ナノジェットディスペンサーを用い、不活性化化合物のナノリッター小滴のパターン化した分配により、合成され得る。例えば、単一ヌクレオチドを受けるすべての伸張配列の脱保護が行われ得、次いで、ヌクレオチドを表面に加える。
【0042】
ペプチド、タンパク質、レクチン、キレート化実施態様、プラスチックおよび他の型のアンカーまたはリンカー部分もまた通常通り作成され得、アンカーは、適当に利用できる技術(例えば、Fondor et al (1996) 米国特許番号5,510,270;Pirrung et al (1992)米国特許番号5,143,854;Zanzucchi et al (1997)米国特許番号5,643,738;Lowe et al (1985) 米国特許番号4,562,157;Niemeyer et al (1994) NAR 22, 5530-5539参照)を用い、表面上または表面内に位置が定められ得る。
【0043】
本発明の幾つかの実施態様では、開示の組合せを、様々なスクリーニング法に用い、および/またはレベル、活性またはプローブもしくは標的分子構造についての情報を得る。そのアッセイはMulti Array Plate Screen(MAPS)法またはアッセイと名付けられ、その表面は、アッセイに使用するアンカーまたはアンカープラスアッセイのアレイを含み、MAPSまたはMAPSプレートと名付けられる。
【0044】
反応混合物、アッセイ、またはスクリーニング方法の内容は、任意の順序で集められる。例えば、アンカー、リンカーおよび標的は連続して集められる;または、レポーターの存在または非存在下、標的およびリンカーを溶液中に集合させ、次いで、アンカーと接触させる。本発明のある実施態様は、少なくとも1つの標的を検出する方法に関係し、
a)当該標的を含むサンプルを、当該標的と当該リンカーとの間の第1のハイブリダイゼーション産物を効率的に得る条件下、オリゴヌクレオチドアンカーに特異的な第1の部分および当該標的に特異的なプローブを含む第2の部分を含む二官能性リンカーと接触させること、
b)当該第1のハイブリダイゼーション産物と当該組合せ[当該組合せには、当該第1のハイブリダイゼーション産物の添加前に、
1)少なくとも2つは実質的に同一な多数の空間的に分離された領域を含む表面、
2)少なくとも8種のオリゴヌクレオチドアンカー(これは、上記領域のそれぞれに含まれる)
が含まれる]との間の第2のハイブリダイゼーション産物を効率的に得る条件下、当該第1のハイブリダイゼーション産物を組合せと接触させること、
c)当該第1のハイブリダイゼーション産物または当該第2のハイブリダイゼーション産物を標識したディテクタープローブと接触させること、
d)当該検出プローブを検出すること
を含む。
【0045】
以下に記載するアッセイまたは方法のそれぞれを、ハイスループット法で実施でき、それは、多数のサンプル(例えば、およそ約864、1036、1536、2025またはそれ以上であり、組合せの領域数に依存する)を各プレートまたは表面上で素早く同時にアッセイする。更に、多くのプレートまたは表面を同時に処理し得る。例えば、薬物探索の方法では、それぞれは薬物候補(例えば、様々な小分子、ペプチド、オリゴヌクレオチドまたは他の物質のような多くのコンビナトリ化学ライブラリー)を含む多くのサンプルを添加し得、既述のように組合せの領域を分離するか、または生物学的または生化学的サンプルに加え、次いで、組合せの領域に分けて加え、そして、領域内に位置するプローブアレイと共にインキュベーションする;ならびにアッセイを各サンプルで行い得る。最近の高密度マイクロプレート、DNAスポッティングツールおよびデンサーマイクロプレート、ロボット、改善ディスペンサー、精巧な検出システムおよびデータ処理ソフトウェアから作成しデータを回収する、レーザー技術のような方法の出現と連続的な開発に伴い、本発明の方法を用い、1日あたり数千または数万またはそれ以上の化合物をスクリーニングまたは分析することができる。
【0046】
例えば、プローブがオリゴヌクレオチドである実施態様では、アッセイは、遺伝的変異または欠損の存在する、多数のサンプルの診断核酸またはポリヌクレオチドスクリーン(screen)(例えば、結合または他のアッセイ)(例えば、嚢胞性繊維症のような疾患に付随する多形または特異的変異、例えばIitia et al (1992) Molecular and Cellular Probes 6, 505-512);病原体(細菌、ウイルスおよび原生動物であり、それらの宿主は動物であり、ヒトまたは植物を含む)、または特定の生理学的状態または疾患を診断するmRNA転写パターンであり得る。ESTの部分を含む核酸プローブ(全長コピーを含む)を用い、ESTが誘導される細胞により生じさせる転写パターン(または他のもの)を評価し得る。核酸プローブはまた、ペプチド、タンパク質、または特定の核酸配列に特異的に結合するタンパク質ドメインを検出し得る(およびその逆)。
【0047】
他の実施態様では、本発明の組合せを用い、例えばタンパク質、核酸、小分子などのような生化学的反応をモニターし得る。例えば、抗原および抗体;レセプター(精製レセプターまたは細胞膜に結合するレセプターのような)およびそれらのリガンド、アゴニストまたはアンタゴニスト;または酵素(プロテアーゼまたはキナーゼのような)およびそれらの基質の相互作用の効率または特異性、または産物に変換する基質量の増加または減少;ならびに他のものである。その生化学アッセイを用い、またはスクリーニングアッセイに基づき、プローブまたは標的の特性解析する。例えば、特定のプロテアーゼの存在するサンプルをスクリーニングするため(例えば、血液凝固中に含まれるプロテアーゼXaおよびVIIaのようなプロテアーゼ)、サンプルを組合せにおいてアッセイし、そのプローブは、目的の各プロテアーゼに特異的な蛍光発生物質である。標的プロテアーゼが基質に結合し、切断するならば、その基質は、通常、切断および2つのエネルギー転位対間の分離の結果として蛍光を発生し、シグナルを検出し得る。他の例では、特定のキナーゼの存在するサンプルをスクリーニングするため(例えば、Src、チロシンキナーゼ、ZAP70)、目的の1つまたはそれ以上のキナーゼを含むサンプルを組合せにおいてアッセイし、そのプローブは目的の1つのキナーゼにより選択的にリン酸化し得るペプチドである。当分野において認識される、通常に決定し得る条件を用い、サンプルを基質のアレイと共に、適当な緩衝液中、および必要な補因子と共に、実験的に決定された時間、インキュベーションし得る(幾つかのアッセイでは、例えば、目的のキナーゼの活性を調節する因子の生化学的研究の場合、各キナーゼの濃度を、各基質が同様の割合でリン酸化されるように調整し得る)。キナーゼおよび望ましくない反応成分を(所望により)取り除くための実験的に決定した条件下、各反応を処理(例えば、洗浄)した後、リン酸化基質は、例えば、蛍光標識抗ホスホチロシンまたは抗ホスホセリン抗体(例えば、約10nM濃度、またはそれ以上、またはそれ未満)のような検出可能試薬と共にインキュベーションすることにより検出し得、そのシグナルを検出し得る。他の例では、結合アッセイを行い得る。例えば、GRB2 SH2またはZAP70 SH2のようなSH2ドメインを、適当なリン酸化ペプチドのプローブアレイ上でアッセイし得る;または血清を、免疫欠損の特定レセプターのプローブアレイ上でスクリーニングし得る。また、酵素連結アッセイをアレイ型で実施し得る。本発明の組合せもまた用い得、野生型対照物よりも活性が高いかまたは低い変異酵素を検出し得るか、または除草剤または農薬を含む様々な試薬をスクリーニングし得る。
【0048】
もちろん、MAPSアッセイを用い、サンプル中の活性標的の量を定量(測定、量の測定)する。ただし、プローブは十分に占有されず、すなわち、利用可能なプローブ部位の約90%以上が標的と結合(または反応またはハイブリダイズ)しない。これら条件下、より多い標的の保有により、より多いプローブの結合を保有する結果となるため、標的を定量し得る。他方で、約90%以上の利用可能なプローブ部位が結合する条件下、より多い標的の保有の存在により、プローブに結合する標的の量は実質的には増加しない。任意の前記の型の標的をこの方法により定量し得る。例えば、実施例6はオリゴヌクレオチド標的の定量について記載する。更に、標的が過剰に存在する場合(例えば、それが多量に存在し、MAPSプローブアレイ中の利用可能なプローブの量が飽和となる場合)、結合混合物に標識していない標的を既知量加えることにより、その多量の標的を定量するため、反応の“感度がシフト”し得る。
【0049】
他の実施態様では、本発明の組合せを用い、標的および所定のプローブの相互作用を修飾する試薬をスクリーニングし得る。プローブ、標的または標的プラスプローブにより形成される複合体の何れかと直接または間接的に相互作用することにより、試薬が標的/プローブ相互作用を修飾し得る。修飾により、様々な型が形成され、プローブに対する標的の結合親和性の増加もしくは減少、標的およびプローブが結合する割合の増加もしくは減少、標的に対するプローブの結合の拮抗的または非拮抗的阻害、またはある場合にはプローブ/標的相互作用を増加もしくは減少するプローブもしくは標的の活性の増加もしくは減少が含まれるが、これらに限らない。その試薬は人工または自然に生ずる物質であり得る。また、その試薬を、不変化の状態で、または他の種類との集合体として用い得る;およびそれらを、結合要素(binding member)と共有結合的にまたは非共有結合的に、直接かまたは特定の結合物質を介して結合し得る。例えば、可能性ある“血液シンナー”、または血液凝固の原因となるプロテーゼの1つのカスケードと相互に作用する試薬を同定するために、目的のプロテアーゼのカクテルを、多量の候補試薬で試験し得、次いで、上記のように活性を試験し得る。本発明により用いられ得る試薬の他の例は非常に多様であり、除草剤および農薬を含む。実施例16および17は、特定のキナーゼを選択的に阻害する試薬、またはSH2ドメインとリン酸化ペプチドの間の相互作用の選択的阻害剤のためのハイスループットアッセイについて記載する。
【0050】
他の態様において、本発明の組合わせは、遺伝子発現のパターンを調節できる試薬のスクリーニングに使用できる。オリゴヌクレオチドのアレイは、例えば、その一連の遺伝子からの発現のパターンが特定の生理学的状態または発育段階、または疾病状態と相関しているmRNA種の同定に使用できる(“相関”遺伝子、RNA、または発現パターン)。“相関的”または“相関”なる用語は、RNAの合成パターンが、細胞の生理学的状態に関連するが、所定のRNAの発現が必ずしも特定の生理学的状態を担うか、それをもたらさないことを意味する。例えば、mRNAの小サブセットは、特定の疾病状態のモデルとして働く細胞の発現、アップコンバートおよび/またはダウンコンバートにより同定され得る;病理学的表現型を示さない、この正常細胞と比較して変えられた発現のパターンは、これらの疾病状態の指標として働くことができる(“指標”遺伝子、RNA、または発現パターン)。“相関的”および“指標”は交換可能に使用できる。例えば、ホルボールミリステートのような腫瘍促進剤で処理した細胞は、腫瘍生育の初期段階に見られるものを模倣した遺伝子発現のパターンを発現し得る。癌の他のモデルにおいて、マウスインスリノーマ細胞(例えば、細胞系TGP61)は、アデノウイルスに感染したとき、例えば、c-JunおよびMIP-2の発現の増加を示すが、一方GAPDHおよびL32のようなハウスキーピング遺伝子の発現は実質的に影響されないままである。
【0051】
疾病モデルの細胞と接触した後、直接的または間接的に、そしてインビボまたはインビトロ(例えば、組織培養において)で、指標発現パターンを変える試薬は、疾病に罹患している生物(例えば、ヒトまたは他の動物種、または植物)の治療薬または薬として作用し得る。薬剤は、また、核酸と接触させて、直接、例えば、インビトロ(試験管)発現系で発現パターンを調節できる。本明細書で使用する限り、“調節”なる用語は測定可能な反応に関与する分子などの量および/または活性の増加または減少をもたらすことを意味する。本発明の組合わせは、このような薬剤のスクリーニングに使用できる。例えば、一連の細胞(例えば、疾病モデル由来)を、一連の薬剤と(例えば、約10分から約48時間またはそれ以上の時間)接触させ、慣用的な、当分野で既知の方法(例えば、商品として入手可能なキット)を使用して、全RNAまたはmRNA抽出物を製造できる。RNAの量の増幅が望ましい場合、RT−PCR増幅のような標準法(例えば、Innis et al.編, (1996) PCR Protocols: A Guide to Methods in Amplification, Academic Press, New York参照)を使用できる。抽出物(またはこれらの増幅産物)を、適当な指標RNAのプローブを含む多くの実質的に同一のアレイと接触(例えば、それとインキュベート)させ、指標発現パターンの変化に関連するこれらの薬剤を同定できる。実施例15は疾病状態と相関する遺伝子の発現を変え得る化合物のスクリーニングのためのハイスループットアッセイを記載する。
【0052】
同様に、特定の生理学的状態または発育段階に関連する薬剤が同定できる。このような薬剤は、人工または天然に存在する物質であり、胚発育または生理学的反応の調節に関連する物質、または農薬または除草剤のような農業で重要な物質のような環境因子を含む。また、このような薬剤はその非変化状態でまたは他の種との凝集で用いることができる;そして、それらを結合メンバーに、直接または特異的結合物質を介して、共有結合的にまたは非共有結合的に結合できる。
【0053】
本発明の他の態様は
a)多分離領域を含み、少なくともその二つが実質的に同一であり、各々の領域が少なくとも8個の異なるアンカー(オリゴヌクレオチド、または本明細書に記載の他のタイプ)を含むものである表面、そして
b)該アンカーの少なくとも一部に特異的な第1部分および該標的の少なくとも一つに特異的なプローブを含む第2部分を有する、少なくとも一つの2官能性リンカー分子を含む容器
を含む、サンプル中の少なくとも一つの標的の検出に有用なキットである。
【0054】
一つの態様において、上記a)のような表面および該アンカーの少なくとも一部に特異的な第1部分および該標的の少なくとも一つに特異的なプローブを含む第2部分を有する2官能性リンカー分子を結合するための一連の指示書が提供される。指示書は、例えば(しかしこれに限定されない)、表面上の各々のアンカーの記載、いくつのアンカーがあるか、そしてそれらが表面のどこに位置するか、および特異的にリンカーをアンカーに結合(会合、結合等)させるプロトコールを含むことができる。例えば、アンカーがオリゴヌクレオチドである場合、指示書は各アンカーの配列を含むことができ、そこから、実施者がアンカーと特異的に相互作用(例えば、ハイブリダイズ)するリンカーの相補的アンカー特異的分子を設計できる;アンカーがペプチドである場合、指示書は、例えば、ペプチドと特異的に作用する抗体に関する情報を伝達できる。指示書は、アンカーおよびリンカーが会合するプロトコール、例えば、インキュベーション温度および時間、非会合分子の除去(例えば、洗浄)のための条件および試薬等のハイブリダイゼーション(または他のタイプの会合)の条件および試薬を含み得る。更に、指示書は、本明細書に記載の任意のタイプのコントロールリンカーの構築および使用における情報、および組合わせで行う定量、標準化、“微調整”または較正アッセイの方法における情報を含むことができる。指示書は、本明細書に記載のパラメーター、条件または態様を包含でき、その全て当業者により慣用的に、慣用法で行うことができる。
【0055】
本明細書の他の箇所で述べたように、アンカーの所定のアレイを含む本発明の表面に広範な型のリンカーを付着せしめて、広範なプローブアレイのいずれかをプログラミングできる。さらに、本発明の表面から所定の組のリンカーを離脱せしめ、表面に他の組のリンカーを付着せしめて(第一の組と同じかまたは異なる)、所定の表面を何回も再利用することが可能となる。この柔軟性および再利用性は本発明の別の利点である。
【0056】
他の態様において、本発明の組合わせを用いて、EST(発現配列タグ)を位置付けできる。すなわち、MAPSアッセイを用いて、EST群のどれが同じ遺伝子の異なる(または部分的に重なる)部分からつくられたか、およびどれが非反復かを(これらが存在すれば)決定できる。図18、19、20、21は、このようなアッセイを示す。この例において、アッセイで16のESTのどれが共通遺伝子に“結合”しているかを(これが存在すれば)決定する。アッセイの第1工程(参照、図18)ではアレイが集合され、位置付けしようとする各ESTが、その対応する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブにより提示される。位置付けしようとするESTの数に等しい(または多い)数のアレイが表面の単離領域(例えば、ウェル)に分散している。表示例において、組合わせの表面は16のウェルを含み、各ウェルが16種のEST特異的オリゴヌクレオチド、番号1-16、を含有する。ESTに“対応する”(EST“特異的”な)オリゴヌクレオチドとは、1つのESTに十分に相補的であって、選択されたストリンジェントなハイブリダイゼーション条件で、そのESTに特異的にハイブリダイズし、他の非関連ESTとはハイブリダイズしないオリゴヌクレオチドである。この型のEST対応オリゴヌクレオチドが特異的に(最適の条件下で)結合できるのは、ESTを本来生成した遺伝子から合成されたcDNAのコード鎖または非コード鎖、またはESTを本来生成した遺伝子から合成されたmRNAである。オリゴヌクレオチドの設計で考慮されるべき要因および特異的ハイブリダイゼーションをなすための最適化ハイブリダイゼーションパラメーターについては、本明細書の別の箇所で述べる。
【0057】
アレイを集合するために、リンカー分子を調製する。各リンカー分子は、一般的アレイの1アンカーに特異的な部分に加えて、位置付けしようとするESTの1つに対応するオリゴヌクレオチドプローブ含有の部分を含む。リンカーのアンカーへの付着については、本明細書の他の箇所で述べる。次の工程において、核酸混合物(例えば、mRNA、または1本鎖または変性cDNA)を含有するサンプルのアリコートをプローブアレイを含む各領域(ウェル)に加える。核酸混合物は、1以上のオリゴヌクレオチドプローブに相補的な配列を含有し得る。次いで、混合物を通常の最適条件でインキュベートすると、核酸が相補的なプローブに結合する。いくつかのEST特異的プローブが1本鎖核酸の異なる部分に相補的である場合、核酸は、これらのプローブの1つが位置するアレイの各位置に結合する。
【0058】
次の工程において、別個のディテクターオリゴヌクレオチド(表示例ではディテクター#1-16)を各領域(ウェル)に加える(参照、図19)。ディテクターオリゴヌクレオチドの設計は、位置付けしようとする各ESTについて行う。各EST特異的ディテクターがESTの異なる(少なくとも部分的には非重複の)部分に対応するのは、プローブオリゴヌクレオチドが対応するのよりも大きいので、プローブとディテクターの各オリゴヌクレオチドは互いに干渉しない。例えば、図21に表すESTは、図18-20のEST1、2および6に対応する。図21に表示するように、EST#1および2の両者は遺伝子Xから得られ(両者に“結合”している)、一方、EST#6は別の非関連遺伝子から得られた。mRNA混合物含有のサンプルのアリコートが遺伝子Xからつくられた混合物を含み、それを図18-20に示すプローブアレイとインキュベートしたとき、遺伝子XmRNAは、最適条件において、プローブ1および2を持つ位置でハイブリダイズするが、プローブ6を持つ位置ではハイブリダイズしない。(もちろん、各mRNAは、そのハイブリダイズできるプローブの量以上の分子過剰で加えねはならない)。ディテクターオリゴヌクレオチド1を領域(ウェル)1に加えた場合、このオリゴヌクレオチドは、プローブアレイの位置1および2で結合した遺伝子XmRNAとハイブリダイズするが、位置6のものとはしない。同様に、ディテクターオリゴヌクレオチド2を別のウェル、例えばウェル#2に加えると、このオリゴヌクレオチドは位置1および2で結合するが、位置6ではしない。このようにして、どのESTが結合するのか、すなわち同じ遺伝子の部分をコードするのか、どのESTが非反復であるのか、を決定できる。
【0059】
図20に示す仮定的例において、最初の3つのESTは同じ遺伝子の部分をコードし、最後の5つのESTは他の遺伝子の部分をコードし、残りのESTは結合されないようである。ハイブリダイゼーション条件、最適洗浄工程、検出方法などについては、MAPSアッセイに関する本明細書の他の箇所で述べる。MAPSアッセイにより得た結合データを確認するためには、PCR反応を行い、センスおよびアンチセンスプライマーとして対のEST特異的オリゴヌクレオチドプローブを用いる。各対の結合ESTがPCR産物を産生する。この対的PCR試験によって、結合MAPSアッセイを用いずに直接的に結合を調べることができる。しかし、多数の反応を必要とするかも知れないし、また、各ESTプライマーをセンスおよびアンチ両方の鎖として合成しなければならないかも知れない。表示例では、180の反応を必要とするであろう。
【0060】
1つの態様において、本発明は、複数のESTのどれが所定の核酸に相補的であるかを決定する方法であって、下記の事項を含む。
a)オリゴヌクレオチドプローブ(この少なくとも1つは該ESTの各々に対応する)の固定化アレイを、該所定の核酸を含有し得る試験サンプルとインキュベートし、該オリゴヌクレオチドプローブと該核酸とのハイブリダイゼーション産物を得る、
b)該ハイブリダイゼーション産物をディテクターオリゴヌクレオチド(該オリゴヌクレオチドの1つが対応するESTに対応するが、ESTの異なる部分に対して該オリゴヌクレオチドプローブよりも特異的である)とインキュベートし、
c)該アレイのどのオリゴヌクレオチドプローブが該ディテクターオリゴヌクレオチドにより標識されたかを検出する。
【0061】
なお、オリゴヌクレオチドプローブの該アレイは組合わせの領域上に固定化されている。該組合わせは下記を含む。
1)調べようとするESTの数に等しい数の、空間的に分離され実質的に同一の領域をもつ表面を含み、各領域が、
2)調べようとするESTの数に等しい数の、異なるアンカーを含み、各アンカーが、
3)アンカーに特異的な第1部分、および少なくとも1つの該ESTに対応するオリゴヌクレオチドプローブを含む第2部分を有する2官能的リンカーと結合している。
【0062】
他の態様において、本発明は上記のような方法に関し、ただ、1以上の該ESTが該核酸に相補的であり得、かつ該ESTの各々が2の異なるオリゴヌクレオチド配列を含み、その第1は該ESTに対応するオリゴヌクレオチドプローブであり、その第2は概ESTに対応するディテクターオリゴヌクレオチドであり、下記事項を含む。
【0063】
a)該核酸分子を含むサンプルを組合わせの少なくとも1つの領域に接触せしめ、なお、該領域はオリゴヌクレオチドプローブ(そのうち少なくとも1つは該ESTの各々に対応する)のアレイを含み、
b)該サンプルを該領域とともにインキュベートし、それによって該核酸分子を、該核酸部分に相補的な該EST対応オリゴヌクレオチドプローブに結合せしめ、
c)1以上の該EST対応オリゴヌクレオチドプローブに結合した該核酸分子を含む概領域を、該アレイの所定の1つのオリゴヌクレオチドプローブが対応するESTに対応するディテクターオリゴヌクレオチドとともにインキュベートし、それによってディテクターオリゴヌクレオチドを、該所定のオリゴヌクレオチドプローブまたは該核酸に相補的な他のオリゴヌクレオチドプローブに結合している核酸分子に結合せしめ、
d)該ディテクターオリゴヌクレオチドの存在を検出し、それによって該アレイのどのEST対応オリゴヌクレオチドプローブが、該所定のオリゴヌクレオチドEST対応プローブに結合する核酸の部分に相補的であるかを検出し、それによってどのESTが該所定の核酸に相補的かを同定する。
【0064】
なお、オリゴヌクレオチドプローブの該アレイは組合わせの領域上に固定化されている。該組合わせは下記を含む。
1)調べようとするESTの数に等しい数の、空間的に分離され実質的に同一の領域をもつ表面を含み、各領域が、
2)調べようとするESTの数に等しい数の、異なるアンカーを含み、各アンカーが、
3)アンカーに特異的な第1部分、および少なくとも1つの該ESTに対応するオリゴヌクレオチドプローブを含む第2部分を有する2官能的リンカーと結合している。
【0065】
EST位置付けアッセイの成分は、いかなる順序でも集合せしめ得る。例えば、アンカー、リンカーおよびESTを順次集合せしめ得る。あるいは、リンカーおよびESTをレポーターの存在または不存在で溶液中で集合せしめ、次いでアンカーに加える。
【0066】
別の態様において、本発明は、複数のどのESTが所定の核酸に相補的かを決定する方法に関し、下記の事項を含む。
a)2官能的オリゴヌクレオチドリンカー分子の集合体(その各々が、少なくとも1つの該ESTに対応するプローブである第1部分、およびアンカーオリゴヌクレオチドに特異的な第2部分を含む)を、該所定の核酸を含有し得る試験サンプルとインキュベートして、該オリゴヌクレオチドと該核酸との第1ハイブリダイゼーション産物を得、
b)該第1ハイブリダイゼーション産物をアンカーオリゴヌクレオチド(各アンカーオリゴヌクレオチドは少なくとも1つの該リンカー分子のアンカー特異的部分に対応している)の固定化アレイとインキュベートして、該アンカー、該オリゴヌクレオチドプローブおよび該核酸を含む第2ハイブリダイゼーション産物を形成し、
c)該第1または該第2のいずれかのハイブリダイゼーション産物をディテクターオリゴヌクレオチド(該オリゴヌクレオチドの1つが対応するESTに対応するが、ESTの異なる部分に対して該オリゴヌクレオチドプローブよりも特異的である)とインキュベートし、
d)該アレイのどのオリゴヌクレオチドプローブが該ディテクターオリゴヌクレオチドにより標識されたかを検出する。
【0067】
なお、アンカーオリゴヌクレオチドの該アレイは組合わせの領域上に固定化されている。該組合わせは下記を含む。
1)調べようとするESTの数に等しい数の、空間的に分離され実質的に同一の領域をもつ表面を含み、各領域が、
2)調べようとするESTの数に等しい数の、異なるアンカーを含む。
【0068】
勿論、ESTを位置付けするための上記方法は、試験配列(例えば、ポリヌクレオチド)を目的の任意の核酸中へ位置付けするのに使用できる。例えば、2以上のクローン化DNAフラグメントまたはcDNAが同じゲノムDNAに位置付けされるかを調べることができる。このような方法が役立ち得るのは、例えば、長い複雑な遺伝子の構造的解明おいてである。同様に、1以上の継ぎ合わせた配列またはコード配列が同じゲノムDNAに位置付けされるかを調べることができる。このような決定をなし得るのは、例えば、診断試験においてであって、分化スプライシングパターンを特徴とする正常状態と疾患状態とを識別する。位置付け方法の他の多くの適用については、当業者に明かであろう。
【0069】
他の態様において、本発明は、複数のポリヌクレオチドのどれが所定の核酸に相補的てあるかを決定する方法に関し、
なお、1以上の該ポリヌクレオチドが該核酸に相補的であり得、かつ該ポリヌクレオチドの各々が2の異なるオリゴヌクレオチド配列を含み、その第1は該ポリヌクレオチドに対応するオリゴヌクレオチドプローブであり、その第2は該ポリヌクレオチドに対応するディテクターオリゴヌクレオチドであり、下記事項を含む。
a)該核酸分子を含むサンプルを組合わせの少なくとも1つの領域に接触せしめ、なお、該領域はオリゴヌクレオチドプローブ(そのうち少なくとも1つは該ポリヌクレオチドの各々に対応する)のアレイを含み、
b)該サンプルを該領域とともにインキュベートし、それによって該核酸分子を、該核酸部分に相補的な該ポリヌクレオチド対応オリゴヌクレオチドプローブに結合せしめ、
c)1以上の該ポリヌクレオチド対応オリゴヌクレオチドプローブに結合した該核酸分子を含む該領域を、該アレイの所定の1つのオリゴヌクレオチドプローブが対応するポリヌクレオチドに対応するディテクターオリゴヌクレオチドとともにインキュベートし、それによってディテクターオリゴヌクレオチドを、該所定のオリゴヌクレオチドプローブまたは該核酸に相補的な他のオリゴヌクレオチドプローブに結合している核酸分子に結合せしめ、
d)該ディテクターオリゴヌクレオチドの存在を検出し、それによって該アレイのどのポリヌクレオチド対応オリゴヌクレオチドプローブが、該所定のオリゴヌクレオチドポリヌクレオチド対応プローブに結合する核酸の部分に相補的であるかを検出し、それによってどのポリヌクレオチドが該所定の核酸に相補的かを同定する。
【0070】
なお、オリゴヌクレオチドプローブの該アレイは組合わせの領域上に固定化されている。該組合わせは下記を含む。
1)調べようとするポリヌクレオチドの数に等しい数の、空間的に分離され実質的に同一の領域をもつ表面を含み、各領域が、
2)調べようとするポリヌクレオチドの数に等しい数の、異なるアンカーを含み、各アンカーが、
3)アンカーに特異的な第1部分、および少なくとも1つの該ポリヌクレオチドに対応するオリゴヌクレオチドプローブを含む第2部分を有する2官能的リンカーと結合している。
【0071】
本発明の別の態様において、ESTなどのポリヌクレオチドを位置付けする上記方法は、1以上の工程間でサンプルの非結合部分を離脱せしめることをさらに含む。
本発明の別の具体的態様において、目的の1以上のRNA標的(例えば、mRNAや他の型のRNA)を逆転写酵素によってcDNAに変え、このcDNAをプローブアレイにハイブリダイズする。この型のアッセイは図8に模式的に示した。RNA抽出物(または精製mRNA)を本明細書で述べるように細胞または組織から調製する。次いで、逆転写酵素および目的のRNAに特異的なオリゴヌクレオチドプライマーをRNAサンプルに加え、技術分野で認識の条件および手法(日常的に決定および最適化できる)を用いて、cDNAの第1鎖をつくる。用語“特異的”プライマーは、目的のmRNAに十分相補的であって、それに選択したストリジェントなハイブリダイゼーション条件で結合し、逆転写酵素で認識されるが、望ましくない核酸と結合しないものを意味する(特異的ハイブリダイゼーションが達成される適当な反応条件については、上記の記述を参照)。残りのRNA-特異的プライマーにより認識されなかったmRNA、および/またはRNA抽出物中の他の型の汚染性RNA、例えばtRNAまたはrRNA-は、種々のリボヌクレアーゼのいずれかにより、またはアルカリ処理などの化学的方法により除去でき、1本鎖cDNAが残り、これをMAPSプローブアレイと接触せしめる。この方法で逆転写酵素を用いると、RNAを多量に取り扱う必要を最低にする。RNAはヌクレアーゼによる変性に感受性であり、したがって扱いが難しい。さらに、特異的逆転写酵素プライマーにより生じた追加の特異性がアッセイに対する追加層の特異性をもたらす。
【0072】
選択的に、上記のcDNAをプローブアレイとのハイブリダイゼーションの前に増幅して、シグナルの長さを増すことができる。上記のオリゴヌクレオチド逆転写プライマーは、その5’末端に、RNAポリメラーゼ(例えば、T7、T3またはSP2ポリメラーゼなど)の開始部位を特定する配列(約22-27ヌクレオチド長であり得る)を含み得る。図8に示す例においては、T7プロモーター配列が逆転写酵素プライマーに加えられている。ポリメラーゼ認識部位はcDNA中に組込まれて、適当なRNAポリメラーゼによる多領域の転写(インビトロ転写またはIVT)についての認識部位として働き得る。選択的に、このようにつくられたmRNAを、PCRおよび適当なプライマーを用いて、増幅でき、またはcDNA自体を増幅できる。転写およびPCRの技法は、日常的に行われており、既知である。
【0073】
PCRの柔軟性は、本発明の方法における多くの変法を可能にする。一つの実施態様において、標的の増幅に使用する1個または両方のPCRプライマーは、得られるPCR産物が、特異的または非特異的に、固体支持体に結合するのを可能にする。このような化学修飾は、例えば、コースターDNA結合プレート(例えば、N−オキシスクシンイミドエステルで修飾された、またはPierce, Rockford, ILのPeacti-Bindプレートのようなマレイン酸無水物被覆プレート)のような表面に結合をさせる5'アミド化を含む。そのような化学修飾を含むオリゴヌクレオチドを産生させる方法は、当分野で通常であり、慣用である。このような修飾プライマーを含むPCR生産物は、固体支持体、例えば、マイクロタイターウェルの内壁、ビーズ(例えば、非磁気または磁気ビーズ)を含む任意の支持体、または本明細書に記載の任意のタイプの表面に結合できる。もちろん、PCRプライマーはまたPCR反応を開始する前に支持体に結合できる。PCRの数回のサイクルを、洗浄無しで、しかし過剰の結合プライマーででき、得られたPCR産物は支持体に結合したままである。増幅標的配列の支持体への結合は、アンカーおよび/またはリンカーを含む表面に接触(例えば、ハイブリダイズ)する前、または接触した後の標的の洗浄を容易にでき、次いでそのような表面から遊離される。
他の実施態様において、標的の増幅に使用した1個または両方のPCRプライマーは、1個以上の制限酵素部位を含み得、目的の標的配列の末端またはフランキングの隣に制限部位を挿入することを可能にする。制限部位はPCRにより、それがアンカーおよび/またはリンカーを含む表面に接触(例えば、ハイブリダイズ)する前または後に増幅した標的に添加できる。この方法で挿入した制限部位は、例えば、標的配列にフランキングなクローニング部位を提供することにより、増幅した標的のクローニングを促進する。例えば、1個以上の制限部位を、PCRプライマーにおいて標的特異的配列と支持体への結合をさせる化学修飾の間に置くことがでる。標的を、修飾PCRプライマーを使用してPCR増幅させ、そして化学修飾を介して支持体に結合させた後、洗浄し、次いで標的配列に隣接した制限部位を開裂させ、それにより洗浄標的を遊離できる。例えば、図23参照。
【0074】
もちろん、制限酵素部位以外の開裂可能部位、例えば、特異的プロテアーゼにより開裂できるペプチド、または物理的、化学的または他の手段により開裂および/または放出される他の要素を上記の方法に使用できる。
他の実施態様において、標的の増幅に使用した1個または両方のPCRプライマーは、例えば、標的特異的レポーターまたは検出リンカーに特異的な配列(標的に存在する必要なない)を含み得る。
【0075】
もちろん、上記のプライマー修飾を、任意の望ましい組合わせにおいて共に使用でき、アッセイの任意の段階で増幅した生産物に添加できる。実施例21および22は、上記のプライマー修飾の幾つかが増幅標的に取り込まれたプロトコールを証明する。
【0076】
上記の方法においてmRNAを逆転写酵素でcDNAに転換し、および/またはPCRにより増幅し、MAPSプレート上のアッセイにかけるが、この方法は、上記のRNAに基づくすべてのアッセイについての標準MAPSアッセイ法の代わりに用いることができる。
【0077】
本発明の他の具体的態様において、目的の1以上の核酸標的を特異的ポリヌクレオチド保護フラグメントにハイブリダイズし、ヌクレアーゼ保護処置を行う。目的の標的にハイブリダイズした保護フラグメントをMAPSプレートでアッセイした。目的の標的がRNAであり、保護フラグメントがDNAであると、ヌクレアーゼ保護/MAPSアッセイ(NPA-MAPS)がRNAを多量に取り扱う必要を最低にできる。RNAはヌクレアーゼによる変性に感受性であり、したがって扱いが難しい。このようなNPA-MAPSアッセイにおいて、プローブアレイ中のプローブは、目的の核酸標的と同じ鎖数のオリゴヌクレオチドであり、標準MAPSアッセイなどにおいて、むしろ核酸標的に相補的である。NPA-MAPSアッセイの1例を図9に模式的に示す。
【0078】
NPA-MAPSアッセイにおいて、目的の標的は、すべての核酸、例えば、ゲノムDNA、cDNA、ウイルスDNAまたはRNA、rRNA、tRNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、核酸フラグメント、修飾核酸、合成核酸などであり得る。本発明の好ましい具体的態様において、このアッセイが用いられるのは、組織または細胞のRNA抽出物中に存在する1以上のmRNA標的である。目的の標的を含有するサンプルは、選択されたストリンジェント条件(特異的ハイブリダイゼーションを達成するのに適当な反応条件については上記参照)で1以上の特異的保護フラグメントと最初にハイブリダイズせしめる。保護フラグメントは、ポリヌクレオチドであって、例えば、RNA、DNA(PCR産物を含む)、PNA、修飾または置換の核酸であり得て、目的の核酸標的部分に特異的である。“特異的”保護フラグメントとは、その意図する結合相手と十分に相補的であり、選択されたストリンジェント条件でそれと結合するが、他の意図していない核酸とは結合しないポリヌクレオチドを意味する。保護フラグメントは、長さが少なくとも10ヌクレオチド、好ましくは50から約100、または完全長のcDNAと同じであり得る。
【0079】
好ましい具体的態様において、保護フラグメントは1本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。100以上の標的に特異的である保護フラグメントが1回のハイブリダイゼーション反応に含まれることがある。ハイブリダイゼーション後にサンプルを1以上のヌクレアーゼのカクテルで処理し、実質的にすべての核酸を破壊する。ただし、目的の核酸にハイブリダイズした保護フラグメント、および(選択的に)ハイブリダイズし、ヌクレアーゼ保護処理の間にヌクレアーゼ消化から保護された核酸標的部分(二本鎖ハイブリッド中にある)は、別であって破壊されない。例えば、もしサンプルが細胞抽出物を含むと、望まない核酸、例えば、ゲノムDNA、rRNA、tRNA、mRNAなどの目的のもの以外は、この工程で実質的に破壊される。多様なヌクレアーゼのいずれをも用いることができ、例えば、膵臓RNAse、ヤエナリヌクレアーゼ、S1ヌクレアーゼ、RNAseA、リボヌクレアーゼT1、エキソヌクレアーゼIIIなどを含むが、ハイブリダイズされた複合体およびサンプル中の望ましくない核酸の性質に依存する。RNAseHは、DNA保護フラグメントに結合した残留RNAを消化するのに特異的に有用である。これらの酵素についての反応条件は、既存の技術でよく知られており、経験的に最適化できる。また、化学的処理もでき、例えば、RNAのアルカリ加水分解である。
【0080】
必要に応じて、サンプルを周知技術でさらに処理して、不ハイブリダイズ材料を除去するか、および/または残りの酵素を不活化または除去することができる(例えば、フェノール抽出、沈降、カラム濾過など)。ハイブリダイゼーション過程は、ヌクレアーゼ消化および(選択的に)化学的変性が続き、ヌクレアーゼ保護法と呼ばれる。様々なヌクレアーゼ保護法が報告されている(参照、例えば、Lee et al (1987), Meth. Enzymol. 152, 633-648. Zinn et al (1983), Cell 34, 865-879)。ヌクレアーゼ保護処理をしたサンプルは、選択的なヌクレアーゼを不活性化処理をした後、MAPSプローブアレイと接触せしめ、MAPSアッセイの通常の工程を行う。結合保護フラグメントを標識標的特異的レポーターとのハイブリダイゼーションで、標準的MAPSアッセイについて本明細書に記載のように検出でき、または保護フラグメント自体を検出可能な分子で共有結合的または非共有結合的に標識できる。
【0081】
好ましい具体的態様において、保護フラグメントは、標的特異的レポーターとのハイブリダイゼーションなどで標識するよりも、直接的に標識する。例えば、レポーターは保護フラグメントにリガンド-抗リガンド相互反応によって結合する。例えば、ストレプトアビジン酵素複合体をビオチン化保護オリゴヌクレオチドに加える。他の実施例において、保護フラグメントを化学的に修飾し(例えば、ホースラディシュペルオキシダーゼ(HRP)または蛍光染料の直接結合による)、この化学的修飾を、保護フラグメントの核酸部分で、またはそれなしで検出する(例えば、酵素的または化学的処理などによる修飾の開裂後)。上記方法のいずれにおいても、保護フラグメントは、対応リンカー分子とハイブリダイズする前または後に、標識できる。
【0082】
ヌクレアーゼ保護過程が適切に働くこと、すなわち非ハイブリダイズ核酸が望むように消化されることを制御するために、1以上の保護フラグメントを設計して、過程が適切に作動すればヌクレアーゼにより開裂されるオーバーハング(非ハイブリダイズ)セグメントを含有せしめる。オーバーハングフラグメントの有無を相補的標識検出プローブとのハイブリダイゼーションで検出でき、または保護フラグメントのオーバーハング部分自体を検出可能な分子で共有結合的または非共有結合的に標識できる。この制御は、サンプルをプローブアッセイと接触せしめる前、あるいはMAPSアッセイ自体の一部として行うことができる。かかる制御アッセイの例は実施例15に記載する。勿論、異なる標識を容易に識別できるので(例えば、異なる吸収スペクトルの蛍光)、いくつかの異なる標識オリゴヌクレオチドを単一のアッセイに含め得る。さらに、ゲル電気泳動による解析のような標準ヌクレアーゼ保護アッセイを、保護フラグメントが期待どおりに進められているかを調べるために、アッセイ中に使用できる。
【0083】
標的の検出後、検出プローブ(例えば、HRP−標識)シグナルを除去(例えば、変性、消滅、停止、抑制、遮断)でき、プレートを洗浄して、次段階を干渉する可能性がある残った試薬、薬剤または緩衝液(例えば、変性剤)を除去し、次いで異なる検出プローブ(例えば、またHRP−標識)でオーバーハングを検出できる。
【0084】
NPA-MAPSアッセイを用いて、サンプル中の標的量を定量できる。もし、保護フラグメントが標的に対し非常に分子過剰で加えられ、ハイブリダイゼーション反応が完了すると、ヌクレアーゼ保護工程後に残る保護フラグメントの量はサンプル中にどれほどの標的が存在していたかを示す。このような定量反応の1例を実施例12および13に記載する。
NPA-MAPSアッセイを用いて、標準MAPSアッセイを利用する上記の方法のいずれも行い得る。
【0085】
好ましい具体的態様において、ポリヌクレオチド保護フラグメントをMAPSプレート上よりも質量分析計で測定する。最も好ましい具体的態様において、ポリヌクレオチドのいずれもハイブリダイゼーションまたはヌクレアーゼ消化工程中に固相表面に結合(付着)される。ハイブリダイゼーション後、保護フラグメントを残してハイブリダイズ標的をヌクレアーゼまたは化学処理などにより分解し、直接比率で、どれほどのフラグメントが標的にハイブリダイズしていたかがわかる。あるいは、標的の(1本鎖)ハイブリダイズ部分、またはハイブリダイズ標的および保護標的から形成された表面を残すように処理し、さらに分析する。分析すべきサンプルをハイブリダイゼーションおよびヌクレアーゼ混合物の残りから分離し(例えば、エタノール沈降、または吸収またはアフィニティクロマトグラフィーなど)、溶出または固定化し、高い情報量のためにループ注入により質量分析計に入れる。好ましい具体的態様において、分析しようとするサンプル(例えば、タンパク質フラグメント)を、よく知られた既知技術で、表面に吸着し、レーザー照射により解析する。最も高感度のためには、フーリエ変換質量分析法(FTMS)(または他の類似の高度な技法)用いることができ、フェムトモル以下の各保護フラグメントを検出できる。
【0086】
一つ(またはそれ以上)のサンプルで検出する保護フラグメントは、使用するマススペクトロメーターに関して独得なシグナルを与えるように設計できる。一つの態様において、保護フラグメントは各々ハイブリダイゼーションおよびヌクレアーゼ処理後に独得な分子量を有し、特徴的イオン化および分裂パターンがその濃度の測定に十分である。より感受性を得るためにまたは複合体混合物の分析を助けるために、保護フラグメントを、明確な独得なシグナルを与えるために化学部分で修飾(例えば、誘導体化)できる。例えば、各保護フラグメントは、鎖のハイブリダイズ部分に沿った1個またはそれ以上の位置でアミド結合を介してオリゴヌクレオチド鎖に結合した異なる天然または非天然アミノ酸で誘導体化できる。適当なエネルギーのマススペクトロメーターで、分裂はアミド結合で起き、アミノ酸の特徴的割合を放出する。中程度のサイズ(おおまかに80から200分子量)の化学部分を質量分析的タグとして使用するこの種の試みは、このサイズの分子が一般に検出が容易であるため、望ましい。他の例において、化学修飾は、例えば、アミノ酸のような他の分子を例えば誘導体化できるようなテトラアルキルアンモニウム基のような、定義された質量分析的シグナルを有する有機分子である。他の例において、陽性または陰性イオンシグナルが多くの試薬との反応により促進される。例えば、陽性イオン検出を促進するために、ピリリウム塩(例えば、2,4-ジチエニル、6-エチルピリリウムテトラフルオロボレートまたは多くの他のもの)とアミンを反応させ、ピリジウム塩を形成できる;多くの他の促進剤が他の陽性荷電官能基の形成に使用できる(例えば、Quirke et al. (1994) Analytical Chemistry 66, 1302-1315参照)。同様に、多くの当分野で既知の試薬と反応させ、陰性イオン促進種を形成できる。化学修飾は、もちろん、核酸からの開裂後に、または核酸との会合中に検出できる。各保護フラグメントを別々の方法で同定できるようにすることにより、多数の異なる標的(例えば、2、6、10、16またはそれ以上の異なる標的)を1回のアッセイでアッセイ(例えばスクリーニング)可能にする。多くのこのようなアッセイが、速くそして容易に行うことができる。このようなアッセイまたは一連のアッセイは、したがって、本明細書で定義のハイスループットで行うことができる。
【0087】
オリゴヌクレオチドがその質量により直接検出されるか、または独得な分子タグを使用するかどうかに関係なく、検出する各分子のシグナルは既知の濃度の純粋調製物において十分特徴付けされる。これは、定量する(測定する、定量する)ためのシグナルの正確性を可能にする。マススペクトロメトリーにより検出する分子に関し、強度およびプロフィールは正確に予期できない。分子がイオン化する傾向、分子内の全ての化学結合の分裂への感受性、各断片が複合荷電されているか、一荷電かの程度は、全て予期するには複雑すぎる。しかし、固定されたエネルギーおよびサンプル取扱い特性の装置では、シグナルの強度およびプロフィールは非常に再現性である。これゆえ、各プローブにおいて、シグナルは純粋な標準により特徴付けでき、実験的シグナルは、正確に量が判断される。
【0088】
一つの態様において、本発明は目的の1個またはそれ以上の核酸を検出する方法に関し、目的の核酸を含むサンプルを1個またはそれ以上の保護フラグメントのヌクレアーゼ保護に付し、ハイブリダイズした二本鎖分子、または保護された核酸または保護フラグメントをマススペクトロメトリーで検出することを含む。
【0089】
マススペクトロメトリーによる核酸の分析法は当分野で既知である。例えば、Alper et al. (1998), Science 279, 2044-2045およびKoster, U.S. Pat. No. 5,605,798号参照。
種々の上記のハイスループットアッセイに加えて、多くの他のものが当業者に明白である。
【0090】
マルチプローブアッセイを使用する利点は、各プローブアレイにおいて、実際の実験プローブと同じ反応条件下に付す、多くの“コントロール”プローブを包含できる能力である。例えば、アレイの各領域は、ポジティブおよび/またはネガティブコントロールを含むことができる。“ポジティブコントロールプローブ”なる用語は、本明細書で、例えば、実質的に標的と相互作用するか、または定量的にもしくは定性的に既知の方法で相互作用し、それにより、プローブ/標的相互作用の(内部)標準として働くことが既知のコントロールプローブを意味するために使用する。“ネガティブコントロールプローブ”なる用語は、本明細書で、実質的に標的と相互作用しないことが既知のコントロールプローブを意味するために使用する。このようなプローブは、例えば、ハイブリダイゼージョン特異性を統制できる。用いることができるこのタイプのコントロールの例として、オリゴヌクレオチドプローブのアレイを、疾病の一連の相関遺伝子の発現を調節する薬剤のスクリーニングに使用するアッセイが考慮される。各サンプルの溶解細胞の数、mRNAの回収、またはハイブリダイゼージョン効率の可変性の内部標準化コントロールとして、プローブアレイは、1個またはそれ以上の基底レベルまたは、その発現が試験する薬剤により調節されることが予期されない構造遺伝子(例えば、アクチン、チューブリンその他)またはDNA結合タンパク質(例えば、転写調節因子その他)のような構成的ハウスキーピング遺伝子に特異的なプローブを含むことができる。更に、その試験した薬剤が、細胞死または毒性のような望ましくない副作用をもたらすかを測定するために、プローブアレイはアポトーシス(計画細胞死)プロセスの一部として誘導されることが既知の遺伝子に特異的な、または細胞外傷(例えば、ヒートショックタンパク質)または細胞毒性(例えば、p450遺伝子)の条件下に誘導されるプローブを含むことができる。
【0091】
他のコントロールプローブは、アッセイの感受性の“微調整”のためにアレイに包含されることができる。例えば、特定の疾病状態に関連するmRNAの産生を調節する薬剤のためのアッセイを考慮する。分析で、ある組の相関的mRNAの一つ(mRNA-Aと言う)が、そのシグナルが他のmRNAを圧倒するように他のものに比べて多量に産生されることが示される場合、リンカーは、シグナルの強度を同等にするためにアッセイを“微調整”できる。mRNA-A標的のために設計したアンカー特異的オリゴヌクレオチド配列を含むが、プローブ特異的配列を欠く“遮断リンカー”は、標的特異的リンカーのプールの希釈のために添加でき、従ってmRNAに対する活性の感受性を減少させる。遮断および非遮断リンカーの適当な比率は、当業者により、日常的な慣用法により決定できる。
【0092】
活性要素を不活性要素で希釈することによる、特定の標的のアッセイの“微調整”は、またアッセイの別の段階で行うことができる。例えば、標識、標的特異的レポーターを、“不活性”標的特異的レポーター、例えば、同じ標的特異的部分(例えば、オリゴヌクレオチド配列)であるが、シグナル伝達物体なし、またはシグナル伝達物体の不活性化または不活性形のもので希釈することにより検出のレベルで行うことができる。本明細書で使用する“シグナル伝達物体(signaling entity)”なる用語は、標識、タグ分子または検出可能なシグナルを放出する、またはそのようなシグナルを産生できる物質、例えば、蛍光分子、発光酵素、または本明細書に記載の種々のシグナル伝達物質である。特に好ましい実施態様において、“微調整”は、標的含有複合体を検出リンカー(検出リンカーは、下記、例えば、複合体サンドイッチタイプ検出法に関するセクション、実施例23および図24において記載)に接触させる段階を含む。検出リンカーのセットは、例えば、アッセイにおける各個々の標的の感受性の微調整のために設計できる。例えば、特定の標的がサンプル中に非常に高レベルで存在することが知られている場合、標的のための検出リンカーを経験的に測定可能な量の、標的特異的部分(例えば、オリゴヌクレオチド配列)を含むが、レポーター試薬に特異的な部分はないか、または標的特異的部分と、不活性レポーター試薬に予め結合したレポーター試薬特異的部分を含む、“遮断検出リンカー”で希釈することができる。即ち、レポーター試薬に特異的な部分を含む変わりに、その部分は無くてもよく、またはレポーター試薬との相互作用(例えば、ハイブリダイズ)が防止(例えば、遮断)されている。このような微調整は、ある場合、本明細書で、シグナル“弱化”と呼ぶ。
【0093】
本発明のアッセイで試験するサンプルは、上記の標的または他のものを含み得る。アッセイする液体サンプルは、試験領域のサイズに適当な用量であり得、約100ナノリットルから約100マイクロリットルの範囲である。好ましい態様において、約1マイクロリットルの液滴を1536ウェルマイクロタイター皿の各ウェルに適用する。サンプルを、ハイスループット分析に適した種々の方法により、例えば、ピペット輸送、インクジェットベースの分散または反復ピンツールにより、プローブアレイと接触させて置くことができる。サンプルをプローブと標的の結合または他の適当な相互作用を達成するための有効な条件下(例えば、塩濃度、pH、温度、インキュベーション時間等、上記参照)でインキュベートする。これらの条件は、慣用的に決定できる。インキュベーション後、サンプルを所望により処理し(例えば、洗浄)、経験的に特異的相互作用をそのままにするが、非特異的結合物質を除去する条件を使用して非結合標的を除去する。例えば、サンプルを約1回から10回またはそれ以上、プローブ/標的結合の達成に使用したのと同じまたはいくぶんよりストリンジェントな条件下で洗浄する。
【0094】
標的RNA、例えば、mRNA、rRNA、tRNA、ウイルスRNAまたは全RNAを含むサンプルを種々の方法で調製できる。例えば、mRNAを抽出するインビトロ細胞培養をマイクロタイタープレートの個々のウェル中のような表面の領域に置く。所望により、これらの細胞は、所望の細胞密度が達成された後に、刺激剤または治療剤の可能性のある薬剤のような目的の薬剤で処理でき、それは種々の手段で、例えば、複製ピンツール(Beckmanから入手可能な96または384ピンツールのような)で、ピペット輸送により、またはインクジェット分散により細胞に添加でき、細胞と適当な時間、例えば、アッセイに依存して15分から48時間の間インキュベートする。インビトロまたはインビボ源由来の組織または細胞から抽出された全RNA、mRNA等を慣用の、当分野で既知の方法(例えば、商品として入手可能なキット)を使用して調製できる。
【0095】
所望により、目的のRNAと特異的プローブとのハイブリダイゼーションにおいて競合する核酸(目的のRNAと少なくとも部分的な配列相同性を共有する、例えば、ゲノムDNA、rRNA、tRNAまたはmRNA)を、ハイブリダイゼーションに付す前に、少なくとも部分的に、サンプルをヌクレアーゼ保護(NP)法により処理することによりRNAサンプルから除去できる。目的のRNAに少なくとも一部相補的であり、その配列が部分的にまたは完全に目的のRNAに特異的なプローブと重ね合わさる核酸(例えば、RNA、DNAまたはPNAであり得る“保護フラグメント”)を過剰にサンプルに入れ、保護フラグメントが目的のRNAに特異的にハイブリダイズする(適当な反応条件の上記参照)、選択したストリンジェントなハイブリダイゼージョン条件下にインキュベートする。この段階で、サンプル内の任意のまたは全ての目的のRNAに特異的な保護フラグメントを添加できる(例えば、100倍またはそれ以上)。ハイブリダイゼーション後、サンプルを1個またはそれ以上のヌクレアーゼのカクテルで処理し、保護フラグメントに相補的な目的の各RNAの部分または保護フラグメントと保護RNAの間に形成された二本鎖以外、全ての核酸を実質的に破壊する。次ぎの段階で、保護フラグメントを、二本鎖を変性し、保護フラグメントを減衰させ、保護RNAを実質的にそのままにする適当な酵素での消化によりこのような二本鎖から除去できる。例えば、膵臓RNAse、ヤエナリヌクレアーゼ、RNAse H、S1ヌクレアーゼ(高いまたは低い塩のいずれかの消化条件下で)、RNAse A、リボヌクレアーゼT1、エキソヌクレアーゼIII、エキソヌクレアーゼVII、RNAse CL3、RNAse PhyM、Rnase U2等を含む種々のヌクレアーゼが、サンプルに存在するハイブリダイズした複合体の性質および望ましくない核酸の性質に依存して、上記消化段階に使用できる。これらの酵素の反応条件は、当分野で既知であり、経験的に最適化できる。要求に応じて、サンプルを当分野で既知の方法で処理し、非ハイブリダイズ物質を除去するおよび/または残りの酵素を不活性化または除去する(例えば、フェノール抽出、沈殿、カラム濾過等)。処置サンプルを次いでプローブアレイと接触させて置く。特異的ハイブリダイゼーションおよび続くヌクレアーゼ保護が適当に起こるように制御するために、標識保護フラグメントを反応混合物に入れることができる。ヌクレアーゼ保護法が適当に働くように、即ち、非ハイブリダイズ核酸が望ましく消化されるように制御するために、1個またはそれ以上の保護フラグメントを、アッセイが適当に働いた場合にヌクレアーゼにより開裂されるべきオーバーハンギング(非ハイブリダイズ)セグメントを含むように設計できる。オーバーハンギングフラグメントの存在または非存在は、相補的、標識プローブとのハイブリダイゼーションにより決定でき、または保護フラグメントのオーバーハンギング部分それ自体を検出可能な分子で標識できる。
【0096】
本発明の方法に関して、標的を当分野で既知の種々の方法でおよび/または本明細書に記載の方法(例えば、ヌクレアーゼ保護フラグメント検出に関して)で標識(タグ付け)できる。例えば、化学ルミネッセント分子、または化学ルミネッセント分子の産生を触媒する酵素、またはフルオレセインまたはcy5のような蛍光分子、またはキレート化ランタニド金属の一つのような時間分解蛍光分子、または放射活性化合物のような、検出用シグナルを提供する化学基と、標的分子を直接的または間接的に結合できる。あるいは、標的をそれらがプローブと反応した後に、1個またはそれ以上の標的特異的レポーターで標識できる(例えば、図1に示す抗体、オリゴヌクレオチドまたはプローブおよび標的に関連して上記の一般的タイプの分子)。
【0097】
一つのタイプの蛍光分子は、“アップコンバート蛍光団(phosphore)"であり得、即ち、長波長(例えば、IR)を吸収し、励起し、次いで短波長(例えば、可視光)を放出する蛍光である。アップコンバートした蛍光団が、分析する典型的なサンプルに存在する干渉する可能性のある殆どの物質よりも長い波長を吸収するため、アップコンバートした蛍光団は、低い波長を吸収する蛍光団と比較して、サンプルにおける物質によりもたらされる干渉を減少できる。殆どのアップコンバートした蛍光団の狭い放出スペクトルはまた多数の異なるアップコンバートした蛍光団の同時の検出を可能にする。アップコンバートした蛍光団は既知であり、当分野で慣用であり、例えば、特に酸硫化物塩の形の、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)およびプラセオジム(Pr)のような、例えば、希土類金属イオンを含む。80以上程多くの個々の検出可能な蛍光団が記載されている。(例えば、Biological Agent Detection and Identification, April 27-30, 1999, DARPA, Biological Warfare Defense, Defense Sciences Office参照)。蛍光団は、所望により、例えば、マイクロスフェアまたはラテックスビーズの表面に結合できる。他の蛍光標識と同様に、アップコンバート蛍光団は、十分に密接したリンカー、標的またはレポーター上の標識へのエネルギー伝達(またはそれによる調節)により検出可能である。更に、本明細書で記載の他のシグナル伝達物質のように、アップコンバート蛍光団は、標的の量の定量に使用でき、本明細書に記載の種々の方法、例えば、ヌクレアーゼ保護フラグメントの検出に使用できる。
【0098】
もちろん、アップコンバート蛍光団はまた表面上に任意の他の形態で分布している標的、例えば、直接表面に結合した、表面上の異なるオリゴヌクレオチドのアレイに直接結合した、または表面上に実質的に均質に、または任意の秩序のパターンで分布した二官能性リンカーを介してアンカー(異なるまたは実質的に同一の)に結合した、標的(ヌクレアーゼ保護フラグメントを含む)の検出にも使用できる。任意の表面を、例えば、フロースルーシステム、または例えば、ビーズのような固体表面に使用できる。本発明の任意のアッセイに使用するビーズは、例えば、任意の物質から成る、磁気および/または非磁気の任意のタイプであり得る;そして一つのアッセイで使用するビーズは、サイズおよび/または形が実質的に同じまたは異なり得る。
【0099】
種々の多くの複合サンドイッチタイプ検出法も用いることができる。例えば、標的を、標的に特異的な第1部分および共通(即ち、同じ)レポーター試薬、例えば、標識ポリヌクレオチド、抗体等により認識され得る第2部分を含む二官能性分子とハイブリダイズできる。二官能性分子は、所望の数の共通レポーターを各アッセイで使用できるように設計できる。
【0100】
本発明の任意の方法に関して、種々の複合体サンドイッチタイプ検出法を標識(タグ)標的に用いることができる。例えば、標的を、例えば、標的に特異的な第1部分および“レポーター試薬”に特異的な第2部分を含む二官能性(または多官能性)分子(“検出リンカー”)と相互作用、例えば、ハイブリダイズできる。“特異的”なる用語は、本明細書で使用する限り、例えば、プローブと標的の相互作用に関する。“レポーター試薬”なる用語は、本明細書で使用する限り、標的ポリヌクレオチド抗体、またはプローブと標的に関連して本明細書で記載する一般的なタイプの任意の分子を意味する。検出リンカーのこれらの二つの部分は、例えば、プローブと標的に関連して上記の方法に関する各結合パターンで認識(相互作用または関連)できる。検出リンカーはまた他の配列、例えば、標的に特異的であるが、対応するアンカー結合リンカーの標的特異的部分とは異なる(非重複である)配列を含み得る。検出リンカーに存在する任意の配列が、検出プローブまたはレポーター試薬として働き得る。好ましい実施態様において、検出リンカーはポリヌクレオチドである。
【0101】
検出リンカーは、任意の数の共通レポーター試薬がアッセイで使用できるように設計できる。例えば、1組の検出リンカーを、各検出リンカーが異なる標的に特異的であるが、レポーター試薬の同じ(共通)の、または一つの限定された数のための結合部位を含むように設計できる。限定された数(例えば、一つ)のレポーター試薬をシングルアッセイにおける種々の標的の標識に使用する能力は、費用の減少および低いバックグラウンドの利点を提供する。もちろん、検出リンカー/レポーター試薬組合わせを、例えば、アップコンバートした蛍光団により検出できる標的配置のタイプに関して上記のような、任意の形態で、表面に分布した標的の検出に使用できる。
【0102】
最も好ましい態様において、検出リンカーは、ヌクレアーゼによりコントロール“オーバーハング”配列から、ヌクレアーゼ保護法(例えば、実施例15に記載のような)の間に開裂されている保護フラグメントが、優勢に標識されるような方法で、保護ヌクレアーゼ保護フラグメントを検出するために設計できる。このタイプの検出法は、図24に模式的に記載する。本実施態様において、検出リンカーは、標的に特異的な第1部分および、好ましい実施態様においては、アッセイの開始時に実質的に全てのヌクレアーゼ保護フラグメントに存在する共通コントロールオーバーハング配列に特異的な第2部分を含む。望ましいように、コントロールオーバーハング配列が、ヌクレアーゼ保護反応の間にヌクレアーゼ保護フラグメントから開裂されている場合、検出リンカーの標的特異的部分はフラグメントの開裂保護フラグメントとハイブリダイズするが、検出リンカーのコントロールオーバーハング特異的部分は非結合であり、更なるハイブリダイゼーションに利用可能なままである。他方で、コントロールオーバーハング特異的配列が、例えば、ヌクレアーゼ保護法の間の不完全なヌクレアーゼ消化のために保護フラグメントから開裂しない場合、検出リンカーの標的特異的およびコントロールオーバーハング特異的部分の両方が更なるハイブリダイゼーションに利用可能ではない。好ましい実施態様において、ヌクレアーゼ保護フラグメントと結合した検出リンカーを含む複合体は、シグナル伝達物質(例えば、螢光色素、ハプテン、酵素または記載のような、任意の検出可能なシグナルまたはシグナル産生物質を担持する他の分子)および検出リンカーのコントロールオーバーハング特異的部分に特異的な部分(例えば、オリゴヌクレオチド)を含む、レポーター試薬に更なる段階においてハイブリダイズする。レポーター試薬は、ヌクレアーゼ保護フラグメントのコントロールオーバーハング配列が開裂しているフック剛体に優勢に結合し、標識する(すなわち、検出リンカーのコントロールオーバーハング部分がレポーター試薬の更なるハイブリダイゼーションに利用可能である)。
【0103】
多くの他のサンドイッチ検出法の変法が、当業者には明らかである。
【0104】
標的を、結合または他の安定な相互作用を達成するのに有効な条件下で標的特異的レポーターとインキュベートできる方法は、慣用的に決定できる(上記参照)。例えば、蛍光オリゴヌクレオチドレポーター(6×SSPE-Tのようなまたは他の緩衝液中、約10nMから約1μMまたはそれ以上の濃度、好ましくは約30nM)を、約15分から2時間の間またはそれ以上(好ましくは約30から60分)、約15℃から約45℃の間の温度(好ましくは室温)で、結合標的とインキュベートできる。インキュベーション後、サンプルを所望により処理し(例えば、洗浄)、経験的に特異的相互作用をそのままにするが、非特異的結合物質を除去する条件を使用して非結合標的特異的レポーターを除去する。例えば、サンプルを約1から10回またはそれ以上、標的/レポーター結合の達成に使用したのと同じまたはいくぶんよりストリンジェントな条件下で洗浄する。
【0105】
標的特異的レポーターでのタグ付けは、例えば、標的特異的オリゴヌクレオチドレポーターが、プローブオリゴヌクレオチドよりも標的核酸の配列の異なる部分を標的とする場合、または、プローブとレポーター抗体が標的抗原の別のエピトープを認識する場合、最初のハイブリダイゼーションの反応に特異的な更なる層を提供できる。更に、標的特異的レポーターでのタグ付けは、反応の感受性の“チューニング”を可能にできる。例えば、相関的発現パターンの一部である標的mRNAが非常に低いレベルで発現する場合、そのシグナルのレベルは、各々特異的に標的mRNAの異なる部分にハイブリダイズする数個の(例えば、約2個から約5個またはそれ以上)標的特異的オリゴヌクレオチドレポーターに結合標的をハイブリダイズすることにより増強(シグナル増幅)できる。
【0106】
二つのタイプのラベルを個々に検出する能力は、MAPSアッセイにおける更なるタイプのコントロールを可能にする。特定のアンカー位置(図7は3つの典型的なアンカー位置を示し、各々多くの実質的に同一のアンカー(A、BまたはC)を有する)のために設計したリンカーのいくつか(例えば、約10から約100%)は、一端に結合した標識(例えば、蛍光物質(fluor))を有し得る。例えば、ローダミンまたはCy5蛍石はリンカーの5'末端に結合できる。このような修飾リンカーは“コントロールリンカー”と名付ける。リンカーおよびコントロールリンカーの混合物がアンカーと会合し、標的を含むサンプルを得られるプローブアレイとインキュベートした後、異なる蛍光物質(例えば、フルオレセインまたは化学ルミネッセントのような他の検出標識)を担持する標的特異的レポーターを使用できる(または標的を直接蛍光物質または他の検出標識で標識できる);そして二つのシグナルの比率を決定できる。コントロールリンカーの存在は、試験領域内および間の官能的(例えば、リンカーと相互作用できる)アンカーの数の計測を可能にし(即ち、シグナル標準化の目的で、標的に結合するアレイの各位置の能力を試験する)、結合標的の量の定量の基本として働き、アンカー位置の局在化を助けおよび/または例えば、サンプルが、標的の不存在下によりシグナルがない場合、ポジティブコントロールを提供する。本発明の一つの態様において、二つの異なる標識(例えば、フルオロフォア)をまた使用して、標的分子の二つの異なる集団を検出する;しかし、シグナルの空間的分離による標的の存在の認識の能力は、異なる標的分子の標識の一つのタイプの使用を可能にする。
【0107】
標識を独立して検出する能力(例えば、フルオレセインとローダミンのような、例えば、識別可能な波長で放出される蛍光標識、または異なるアップコンバートした蛍光団)は、本発明の方法の付加的な柔軟性を可能にする。例えば、2個以上の標的の各々を、直接または間接的に、それ自体の独自の検出可能な標識で標識できる。これは、例えば、表面上に局在する標的の位置の同定、または局在するビーズのサイズによる標的の同定に加えて(またはその代わりに)、標識(例えば、放出の色)に特異的な性質に基づいた標的の検出を可能にする。本発明の他の態様において、標的の多様性は、独立して領域内の一つの場所で検出できる。例えば、2個以上(例えば、2、3、4、5、6またはそれ以上)の標的を、アンカーの一つの(実質的に同一の)グループにより定義される場所で検出できる。即ち、一連のリンカーを使用でき、その各々は、同じアンカーに特異的なアンカー特異的部分と異なる標的に関する標的特異的レポーター部分を有する。例えば、4つのこのようなリンカーのセットを使用した場合、全4つは一つの場所でアンカーのグループのメンバーに結合でき、4つの異なる標的がその場所に結合することを可能にする。これらの各々の標的を異なる、識別可能な標識で標識(直接または間接的)した場合、研究者は、4つの標的の各々の独立した位置での存在の決定ができる。したがって、例えば、1領域内の5つのアンカー(アンカーのグループ)のアレイを、20個ほど多い異なる標的の検出のために、上記のシナリオにおいて使用できる。このようなアッセイは、実施例24および図25に説明する。同様に、例えば、80個ほど多い複数の標的を、一つのタイプのアンカーが、任意の定義した形態で、例えば、ビーズまたはフロースルー装置のような固体表面に、一つの場所ではないが、均等に分布しているとき、独立して検出できる;そしてビーズサイズまたは散乱のような他の態様を使用し、標的同一性または標的のグループに関する情報を提供できる。
【0108】
本発明の他の実施態様において、目的の標的に特異的な“アンカー”は、リンカーと結合していないがむしろ、直接標的と結合している;標的は、次ぎに、所望により標的特異的レポーターと相互作用できる。標識されていても非標識でも、標的は当分野で日常的であり慣用的である種々の方法で検出できる(例えば、Fodor et al (1996) U.S. Pat. No. 5,510,270; Pirrung et al (1992) U.S. Pat. No. 5,143,854; Koster (1997) U.S. Pat. No. 5,605,798; Hollis et al (1997) U.S. Pat. No. 5,653,939; Heller (1996) U.S. Pat, No. 5,565,322; Eggers et al. (1997) U.S. Pat. No. 5,670,322; Lipshutz et al (1995), BioTechniques 19, 442-447; Southern (1996) Trends in Genetics 12, 110-115参照)。検出法は、酵素ベースの検出、比色法、SPA、オートラジオグラフィー、マススペクトロメトリー、電気的方法、吸光度または発光の検出(化学ルミネッセンスまたは電気ルミネッセンスを含む)、および、例えば、タグとして使用した微小粒子由来の光分散形の検出を含む。また、蛍光標識は、例えば、電荷結合素子(CCD)または蛍光顕微鏡(例えば、走査または共焦点蛍光顕微鏡)での結像により、または走査システムとCCDアレイまたは光電子増倍管の結合により、またはアレイベースの検出法(例えば、各10ミクロン部の試験領域の表面電位を検出でき、または解像が十分高いとき、表面プラスモン共鳴を使用できる)の使用により検出できる。あるいは、アレイはリンカー、標的またはレポーター上の標識へのエネルギー移動(またはそれによる修飾)により検出できる標識(例えば、フルオレセインおよびローダミンのような、エネルギー移動プローブの一つの対)を含むことができる。とりわけ、蛍光ベースの検出システムのホストは、蛍光強度、蛍光偏光法(FP)、時間分割蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動および均質徐放性蛍光(HTRF)である。反復バーコード様パターンの分析は、パターン認識により達成できる(各特異的標識標的の、他のスポットまたは線に対するその位置による適当なスポットまたは線の発見)、標識の強度の定量に従う。1または2次元アレイのバーコード認識装置および分析のソフトウェアは、慣用的に製造されおよび/または商品として入手可能である(例えば、Rava et al. (1996) U.S. Patent No. 5,545,531参照)。
【0109】
本明細書に記載の表面または領域の製造、本明細書に記載のアンカー、リンカー、プローブおよび検出プローブのような物質の合成または精製または結合もしくは会合、および本明細書に記載のような標識またはタグ付け物質の検出および分析を含む本発明のアレイの製造および使用法は、既知であり、慣用法である。上記に記載の引用文献に加えて、例えば、Affymax, Affymetrix, Nanogen, Protogene, Spectragen, MilliporeおよびBeckman(これらから、本発明に有用な製品が入手可能である)に譲渡された特許;上記のものを含む分子生物学およびタンパク質科学の標準テキスト;およびCozette et al (1991) U.S. Pat. 5,063,081;Southern (1996), Current Opinion in Biotechnology 1, 85-88;Chee et al (1996) Science 274, 610-614;およびFodor et al (1993) Nature 364, 555-556参照。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】リンカー1がアンカー1に特異的な部分および標的mRNA1に特異的な他の部分(プローブ)を含み、標的検出プローブ1が、リンカーの標的特異的部分の配列と異なる標的mRNA1の配列に特異的である、オリゴヌクレオチドの設計スキームを図解する。
【図2】15個の試験領域を含み、各々6アンカーオリゴヌクレオチドのアレイを含む、表面を図解する。
【図3】リンカーのアンカー特異的部分がプローブ部分(レセプタータンパク質)にビオチンおよびストレプトアビジン分子を介して結合し、レセプターに特異的なリガンドが蛍光標識分子で標識されている、レセプター結合アッセイのリンカーの設計を図解する。B:ビオチン。SA:ストレプトアビジン。Rec:レセプタータンパク質。リガンド:レセプターのための天然または合成リガンド。*:リガンドに結合する蛍光標識分子。
【図4】21個の試験領域を含み、その各々が更に16個の小領域に分割(へこみ、くぼみ)されている表面を図解する。
【図5】図5aはウェルセパレーターを示し、図5bはサブディバイダーを示し、そして図5cは基盤を示す。
【図6】各々“バーコード”様形であるプローブ(またはアンカー)の直線アレイを含む、二つの試験領域を示す。
【図7】各々で多コピー(“グループ”)で存在する3アンカー(A、BおよびC)を含む試験領域を模式的に示す。アンカーの各グループの位置は、“位置”と名付ける。
【図8】特異的逆転写酵素により産生されるcDNAがMAPSプレート上でアッセイさせるアッセイを図説する。
【図9】ヌクレアーゼ保護法を使用するアッセイを図説する(NPA-MAPSアッセイ)。サンプルRNAを細胞または組織から調製し、薄波状線として示す。RNAサンプルにポリヌクレオチド保護フラグメントのグループを添加し、太い、濃いそして薄い線で描く。保護フラグメントの濃い部分は特異的RNA標的に相補的であり、これらの標的にハイブリダイズするセグメントを示す。薄い部分はオーバーハンギング部分を示す;配列は相補的配列と接触するが、標的と相補的ではない。保護フラグメントを過剰に添加する。全ての利用可能な標的の保護フラグメントへのハイブリダイズに続いて、サンプルをヌクレアーゼの適当なカクテルおよび化学処理で処理し、望ましくない非ハイブリダイズRNAおよび非ハイブリダイズポリヌクレオチドを破壊する。例えば、S1ヌクレアーゼは、存在する一本鎖DNAを破壊できる。これ故、過剰の保護フラグメントを結合保護フラグメントのオーバーハンギング非ハイブリダイズ部分として加水分解する。RNAはリボヌクレアーゼHを含むリボヌクレアーゼの添加によりまたは塩基中でサンプルを加熱することにより破壊できる。残りは、各RNA標的がサンプルにどの程度存在するかを反映する開裂保護フラグメントの収集物である。残りの保護フラグメントwMAPSハイブリダイゼーションアッセイで測定する。
【図10】MAPSアッセイにおけるハイブリダイゼーション特異性を図説する。
【図11】アンカーのリンカーへの結合動態を図説する。
【図12】二つのオリゴヌクレオチド標的のMAPSアッセイを図説する。
【図13】感受性シフトの定量を図説する。
【図14】4つのリンカー/アンカー組合わせの融点温度決定を図説する。
【図15】NPA-MAPSによるmRNAアッセイを図説する。
【図16】NPA-MAPでの希釈曲線を図説する。
【図17】ホスホチロシン残基を含むペプチドの検出のためのアッセイを図説する。
【図18】マップESTのアッセイの第1段階を図説する:MAPSプレートの一般的アンカーのアレイにマップするESTの各々に対応する凝集リンカーの凝集。16ウェルのマイクロプレートの各表面に16個の異なるオリゴヌクレオチドプローブを含むリンカーが結合し、4×4マトリックスに配置する。第1位置はオリゴ1を有し、これは第1EST配列の部分に相補的であり、試験する16ESTのためにこのようにする。 ESTを得た遺伝子から産生されたcDNAまたはmRNAを全16ウェルに添加し、適当な条件下でハイブリダイズさせた。それ故、16EST配列の一つを含むcDNAまたはmRNAが、相補的プローブが置かれる位置に凝集する。
【図19】マップESTの続く段階を図説する:MAPSプレートへのディテクターオリゴヌクレオチドの添加。プレートの各ウェルに、マップするESTの一つに対応するディテクターオリゴヌクレオチドを入れる。各ディテクターオリゴヌクレオチドは検出に使用する分子、例えば、検出の方法が蛍光イメージングである場合、フルオレセインに結合したオリゴヌクレオチドである。各ディテクターオリゴヌクレオチドはESTの一つに相補的であるが、EST特異的プローブが異なり、一つのESTに相補的なプローブおよびディテクターオリゴヌクレオチドが同時に両方結合できる。 洗浄後、単一ディテクターオリゴヌクレオチドを、図に番号付けするように各ウェルに添加する。即ち、第1ESTに相補的な配列を有するディテクターオリゴヌクレオチドを第1ウェルになどである。
【図20a】図18および19に示すマップESTのアッセイの結果を示す。ディテクターオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよび適当なストリンジェンシーの条件下のでの洗浄後、例えば、マイクロプレートの16ウェルをCCDベースの蛍光イメージャーで結像する。図20aは様式化した結果を示す。各EST特異的ディテクターオリゴヌクレオチドは、対応するEST特異的プローブにより抑制されたmRNAまたはcDNAを標識すべきであることは予期される。例えば、プローブ5はその位置で第5EST配列を含むcDNAまたはmRNAを凝集し、第5ディテクターヌクレオチドがまた同じ位置でcDNAまたはmRNAをハイブリダイズしなければならない。これは、各検出オリゴヌクレオチドが適合プローブを標識する、これらの様式化データで当て嵌まる。加えて、最初の3つのディテクターオリゴヌクレオチドは、各々最初の3個により固定されたcDNAまたはmRNAを標識を標識し、これらの配列が同じ遺伝子に並んでいることを示す。同様に、最後の5個のESTは結合しているように見える。これらのデータからの結合を図20bにグラフ的に示す。
【図20b】図18および19に示すマップESTのアッセイの結果を示す。ディテクターオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよび適当なストリンジェンシーの条件下のでの洗浄後、例えば、マイクロプレートの16ウェルをCCDベースの蛍光イメージャーで結像する。図20aは様式化した結果を示す。各EST特異的ディテクターオリゴヌクレオチドは、対応するEST特異的プローブにより抑制されたmRNAまたはcDNAを標識すべきであることは予期される。例えば、プローブ5はその位置で第5EST配列を含むcDNAまたはmRNAを凝集し、第5ディテクターヌクレオチドがまた同じ位置でcDNAまたはmRNAをハイブリダイズしなければならない。これは、各検出オリゴヌクレオチドが適合プローブを標識する、これらの様式化データで当て嵌まる。加えて、最初の3つのディテクターオリゴヌクレオチドは、各々最初の3個により固定されたcDNAまたはmRNAを標識を標識し、これらの配列が同じ遺伝子に並んでいることを示す。同様に、最後の5個のESTは結合しているように見える。これらのデータからの結合を図20bにグラフ的に示す。
【図21】図18-20に示すプローブ、ディテクターオリゴヌクレオチドおよびEST番号1、2および6の関係を図説する。
【図22】ハイスループットアッセイを図説する。
【図23】増幅標的の製造法を説明する。
【図24】検出リンカーとレポーター試薬でのアッセイを説明する。
【図25】複数の蛍光物質(flour)の使用を説明する。
【実施例】
【0111】
(実施例)
実施例1 ハイブリダイゼーション特異性(図10)
一般的MAPSプレートをインクジェットディスペンサーであるPixusシステム(Cartesian Technologies, Inc., Irvine, CA)を使用して製造し、マイクロタイタープレートの各ウェル内にDNAの同一グリッドを形成した。全てのオリゴヌクレオチドはBiosourse International (Camarillo, CA)から購入した。このプレートに、7個の異なるオリゴヌクレオチドアンカーを、キーとして示す(図の左側)各ウェル内に分配した。各オリゴヌクレオチドを、500mMリン酸ナトリウムpH8.5および1mM EDTAを含む2μM溶液から、DNA Bindプレート(Corning Corstar)に10ナノリットル滴から2個のスポットで分配し、乾燥させた。結合後、ウェルを50mM Tris pH8で遮断し、次いで、表面に共有結合しないオリゴヌクレオチドを5×SSP緩衝液中の0.1%SDSで洗い流した。
【0112】
洗浄プレートに蛍光標識したリンカーオリゴヌクレオチドを添加し、6×SSPE中、0.1%Triton X-100と室温で30分ハイブリダイズさせた。これは、リンカーの結合の好ましいプロトコールである。リンカーオリゴヌクレオチドは合成中にcy5誘導体化され、特異的固定オリゴヌクレオチドに25塩基対セグメントで相補的であった。7個のアンカーおよびリンカーの配列は下記の通りである(全て3'から5'で示す):
【表1】
*アンカーを、5'末端でアミドを有するC12スペーサーで合成した。
**リンカーを5'末端に結合したCy5で合成した。
***ディテクターオリゴヌクレオチドを5'末端に結合したビオチンで合成した。
【0113】
各ウェルにリンカーまたはリンカー混合物(図に示すような)を大量に添加した。(“全て”と記したウェルに全7個のリンカーの混合物を添加した。)インキュベーションおよび5×SSPで3回の洗浄の後、図面の右側に示す蛍光画像をTundraイメージャー(IRI, St. Catherines, Ontrario)で撮った。見られるように、リンカーは、それらの相補的アンカーと特異的に会合することにより、表面に自己凝集する。
この方法を8個の異なるアンカーおよびそれらと実質的に優先的に会合するリンカーを各ウェルに分配する以外、繰り返す。方法全部を、24、96、384、864または1536ウェルプレートの各ウェルで、36、64などの異なるアンカーで繰り返す。
【0114】
実施例2 結合動態(図11参照)
Cy5誘導体化リンカー番号1のその相補的結合アンカーへのハイブリダイゼーションの速度を、異なる濃度のリンカーに関して示す。一般的MAPSプレートを、アンカー1がウェル当り4スポットで結合している以外、図1のように調製する。インキュベーションを、室温で0.1%Tween-20含有5×SSP中、室温で行い、ウェルを3回5×SSPで洗浄し、結合蛍光を測定した。プレートの蛍光画像をTundraで撮り、背景を引いて各ウェル内の各スポットでの結合強度をTundraソフトウェアで計算した。プロットしたのは、二つのデュプリケートウェルの4点の結合強度の平均と標準分散である。
【0115】
実施例3 蛍光リンカー
一般的MAPSプレートを、ウェルあたり1スポット(上の二つの列)、ウェル当り4スポット(次ぎの4列)またはウェル当り16スポット(下の2列)にスポットした一つの固定オリゴヌクレオチドを含むように、上記の方法に従って製造する。各ウェルに、相補的、蛍光標識リンカーを実施例1に記載の好ましいプロトコールで結合する。洗浄に続いて、プレートの蛍光画像をTundraで撮る。各スポットでの蛍光の量は、どの程度官能的リンカーが標的へのハイブリダイズに利用可能であるかを報告する。反復スポットで検出したシグナルの量は非常に再現性である。
【0116】
実施例4 結合曲線
実施例3のように調製したプレートに、異なる濃度の標的オリゴヌクレオチドを添加する。会合しているリンカーは標的の部分に相補的な25量体配列を含む。標的を、全量30または100マイクロリットルの0.05%SDS含有5×SSC中に添加し、プレートを覆い、50℃で一晩インキュベートする。標的の結合リンカーへのハイブリダイゼーションに続き、標的を化学ルミネッセンスを使用した好ましいプロトコールにより可視化する。標的の別々の部分に相補的な(リンカーに相補的な部分と同じではない)25量体配列を含むビオチニル化ディテクターオリゴヌクレオチドを30nMで添加する。ビオチニル化ディテクターは、過剰の非結合標的を洗い流した後30分間添加できるか、または一晩のハイブリダイゼージョン中に標的と一緒に添加できる。ディテクターの添加に続いて、表面を2回5×SSC、1回0.1%Tween-20および1%PEG含有1×SSP(SSPTP)で洗浄し、250μg/mlのストレプトアビジンに接合したホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP:SA、Pierce, Rockford, IIlから)の1:50,000希釈を、SSPTP中5時間室温で添加する。ウェルを4回SSPTPで洗浄し、1回洗浄し、次いでSuper Signal Ultra試薬(Pierce)とインキュベートする。数分後、蛍光の画像をTundraイメージャーで集め、例えば、画像を5分CCDアレイ内に蓄積できる。低レベルの標的を、標的の濃度が〜5×10-13Mほど少なくてもいくつかのウェルでは可視化できる;シグナルの量は、一般に〜10-10Mの濃度の標的で飽和される。反復スポットで検出されるシグナルの量は、非常に再現性である。
実施例5 二つのオリゴヌクレオチドのアッセイ(図12参照)
上記の好ましいプロトコールを使用した二つの異なる標的オリゴヌクレオチドのMAPSハイブリダイゼーションアッセイを証明する結合曲線を示す。一般的MAPSプレートを、各々4回各ウェル内にスポットされた4つの異なる固定オリゴヌクレオチドで調製する。第2および第4のアンカーに関して、相補的リンカーオリゴヌクレオチドは、記載のように自己凝集した。二つの標的を40マイクロリットル中に示す濃度で、記載のように各ウェルに添加し、50℃で一晩インキュベートする。各標的の結合量は、記載のように、HRP:SAおよび化学ルミネッセンス結像後に、各標的に特異的なビオチニル化検出オリゴヌクレオチドの結合により可視化された。下部パネルにおいて、イメージの強度を定量する。Tundra Imagaerパッケージの一部であるソフトウェアを使用して上部パネルに示す矢印の間の線に沿って画像の強度をスキャンした。標的の最低濃度である1.1pMで、スキャンしたイメージは十分に定義されたガウスピークを各スポットで示し、一方、標的の0濃度では、最も左のサンプルで検出可能な背景ピークはなかった。
【0117】
実施例6 感受性変化(図13参照)
MAPSハイブリダイゼーションアッセイは、一連のオリゴヌクレオチドの濃度の測定に、それらを表面に結合させ、それらを標識することにより使用できる。これは、中程度のまたは低い濃度であるこれらのオリゴヌクレオチドで十分に働く。二つのサンプルを、一つのサンプルがよりオリゴヌクレオチドを含み、より結合する場合、区別できる。他方、標的オリゴヌクレオチドの濃度が表面を飽和している場合(即ち、全ての結合部位を占領するのに十分高い場合)、そして濃度が上がってもより結合できない場合、量は測定できない。しかし、標的の結合曲線は、非標識競合リガンドの添加により変化できる。
【0118】
結合データは、4つの異なるオリゴヌクレオチド標的に関して得られ、その全てがおおまかに3nMで表面を飽和している(即ち、最大結合に到達)。非標識競合標的を全てのウェルに添加することにより、標的オリゴヌクレオチドの結合は移動し、低い濃度で結合は少なく、飽和が起こるレベルが上に移動する。競合オリゴヌクレオチドを、例えば標的1および3に添加できるが、2および4にはできない。アッセイの感受性のこの変化は、標的1および3のみにである。この方法で、予期されるオリゴヌクレオチドの相対的量が既知であるなら、大きく異なる濃度のオリゴヌクレオチド標的を一つのアッセイで十分測定できる。
データは一つのオリゴヌクレオチド標的への結合に関して上記に例示のように定量できる。図13は、高い濃度のこの標的のアッセイに使用する結合曲線のアッセイシフトにおける競合オリゴヌクレオチドの包含を定量的に示す。
【0119】
実施例7 4つのプローブの融点(図14参照)
MAPSアッセイでアンカーオリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする4つの異なる蛍光標識リンカーオリゴヌクレオチドの量を、温度の上昇にしたがってプロットする。4つのオリゴヌクレオチドは最初に50℃で1時間、300nM中でハイブリダイズさせた。次いで、ウェルをプローブなしのSSCで洗浄し、結合した量を上記のように蛍光(50℃点)で測定する。次いで、表面を55℃で30分インキュベートし、結合した蛍光を測定するなど、全ての示した温度で行う。
【0120】
実施例8 検出法
二つの検出法を直接比較する。各々ウェル当り4スポットで、4つのオリゴヌクレオチドアンカーが結合したMAPSプレートに、二つのオリゴヌクレオチドを各ウェルに添加し、両方とも共有結合したcy5部分を含むか、両方ともビオチン基を含む。落射蛍光測定を、記載のように可視化および蛍光リンカーの測定に関して行う。化学ルミネッセンス測定をMASPアッセイに記載のように、HRP:SAの続く連続添加および化学ルミネッセンス基質を使用して行う。産生したシグナルは大まかに同じ強度である。しかし、各ウェルを離す壁があるマイクロプレートの外形、および液体の泡または流体のミニスカス(miniscus)のために、落射蛍光画像の反射がデータ解析に影響し得る。
【0121】
実施例9 化学ルミネッセンス産物
ホースラディッシュペルオキシダーゼの化学ルミネッセンス基質として利用可能な二つの生産物を、MAPSアッセイの検出法で比較できる。MAPSプレートを実施例8のように調製し、ビオチニル化リンカーオリゴヌクレオチドとインキュベートする。次いで、ストレプトアビジンに結合したアルカリホスファターゼ(AlkPhos:SA)またはHRP:SAのいずれかを添加し、続いて、洗浄し、AlkPhos:SAのプレートにはCDP-Star(Tropix)またはHRP:SAのウェルにはELC-Plusを添加する。SA誘導酵素および基質での標識は、ウェスタンブロットの標識における使用に関して製造者が指示する通りである。これらの二つ(および他の利用可能な基質)は、両方ともMAPSプレートへのオリゴヌクレオチドハイブリダイゼージョンの評価に使用できる。
【0122】
実施例10 0.6mmでの解析
MAPSアッセイの現在のシステムの解析は、各々ウェルあたり4回、0.6mmのピッチ(中心から中心の空間)でスポットしたMAPSプレートをウェル当り4つの異なるオリゴヌクレオチドアンカーで調製して試験する。次いで、cy5誘導体化リンカーまたはビオチニル化リンカーをハイブリダイズし、検出し、上記のようにスキャンする。落射蛍光測定に関して、解析は高い(そしてピッチは減少できるようである)。化学ルミネッセンス検出法に関して、隣のスポットと完全に離れておらず、この空間で、まだ個々のピークはコンピューターデコンヴォルーションにより明白に解析し得る。
【0123】
実施例11 試験ヌクレアーゼ保護プロトコール
ヌクレアーゼ保護プロトコールのハイブリダイゼーションおよびヌクレアーゼ処理の最適条件の試験のアッセイにおいて、Ambion(Austin, Texas)のNuclease Protection Assay Kitを使用して条件、緩衝液および酵素を提供する。8個のサンプルを3つの緩衝液の一つに調製する。Hyb Buff 1は100%Hybridization Buffer(Ambion);Hyb Buff 2は75%Hybridization Bufferおよび25%Hybridization Dilution Buffer(Ambion)およびHyb Buff 3は各々50%である。試験mRNAに相補的な60残基を含む70量体オリゴヌクレオチドを合成し(Biosource International, Camarillo, CA)、Ambionによりソラレン-ビオチンの標識について示されるプロトコールにしたがって、ソラレン-フルオレセイン(Schleicher and Schuell, Keene, NH)で標識する。簡単に、保護フラグメントを20μlのTE緩衝液(10mM Tris、1mM EDTA、pH8)中50μg/mlに希釈し、10分間沸騰させ、急速に氷水で冷やす。DMF中の4μlの130μg/mlソラレン-フルオレセインを添加し、サンプルを45分、40℃で手持ちの長波長UV源で照射する。遊離ソラレンフルオレセインを飽和ブタノールでの抽出により除去する。使用したmRNAは、アンチセンスプラスミド(AmbionのpTRI-GAPDF-MouseアンチセンスControl Template)から、T7プロモーターおよびMaxiScriptキット(Ambion)を使用して製造したGAPDHアンチセンスmRNAである。短保護フラグメントは、別々に合成し、同様に標識した60量体相補的部分である。保護フラグメントの配列は下記の通りである:
【表2】
【0124】
ハイブリダイゼーションを、保護フラグメントを20nMでGAPDH mRNAを60nMで10μlの最終容量に2時間、22℃または37℃で混合することにより行う。ハイブリダイゼーションに続いてヌクレアーゼの混合物200μlを、製造者(Ambion Nuclease Protection Kit, ヌクレアーゼ混合物の1:200希釈)の指示にしたがって添加し、再び同じ温度で30分インキュベートする。加水分解をHybridization Inhibition Buffer (Ambion)で停止させ、オリゴヌクレオチドをペレット化し、エタノールで洗浄する。10μlの1×Gel Loading Buffer (Ambion)を添加し、オリゴヌクレオチドを15%TBE-尿素ゲルで分離する。ゲルを30分、流出緩衝液で渦を巻かせ、プラスチックプレート上におき、励起および放出波長の選択のためのフルオレッセインフィルターを使用してTundraで結像させる。画像をCCDアレイに2分蓄積する。最良の条件は、Hyb Buff 2で37℃またはHyb Buff 3で22℃でインキュベートしたサンプルである。これらのサンプルにおいて、検出可能な完全長保護フラグメントは残っておらず、あきらかに短保護フラグメントと同じサイズの有意な量の完全長保護フラグメントの部分が見られる。
【0125】
実施例12 NPA-MAPSによるmRNAアッセイ(図15参照)
完全NPA-MAPSプロトコールを、実施例11に記載のものと同じハイブリダイゼーションおよびヌクレアーゼ処理の条件で使用した。10個のサンプルをアッセイで流した。全て、同じ量の70量体オリゴヌクレオチド保護フラグメントおよび異なる量のGAPDA mRNAを含んだ。0.08mg/ml Yeast RNA(Ambion)含有50%Hybridization Bufferおよび50%Dilution Bufferの10μlの中のハイブリダイゼーションサンプルを90℃で6分加熱し、70℃で5分加熱して短く遠心し、19℃に冷やして19時間インキュベーションした。次いで、200μlのヌクレアーゼ混合物を各サンプルに30分、19℃で添加した。各サンプルを、MAPSアッセイのために60μlに等分した。2μlの10N NaOHおよび2μlの0.5M EDTAを添加し、サンプルを90℃に15分、37℃に15分加熱し、20分室温で放置した。次いで、サンプルを2μlの10M HClで中和し、2M HEPES pH7.5および保護フラグメントに特異的な200nMのビオチニル化ディテクターオリゴヌクレオチドを含む12μlの20×SSCを、1μlの10%SDSと共に添加した。サンプルを混合し、80℃で5分加熱し、各サンプルの2個の35μl量をMAPSプレートの二つのウェルにピペット輸送した(各サンプルを二つにわけ、MAPSプレートでデュプリケートで流す)。プレートは標準MAPSプロトコールのために調製されており、保護フラグメントに特異的な自己凝集CY5誘導体化リンカーが既に結合している。MAPSプレートを覆い、50℃で一晩インキュベートし、発光の検出を記載のように行った。最後のサンプルにおいて、保護フラグメント単独ではMAPSでどのように検出されるかの可視化のコントロールとして、ヌクレアーゼをアッセイ中に添加しない。図の下部において、ウェルの上の列の強度スキャン(イメージャーの分析として)を示す。サンプルに存在するGAPDH mRNAの量(即ち、MAPSプレートに等分した後の各デュプリケートにおける量)を図に列記する。
【0126】
MAPSプレートに使用したオリゴヌクレオチドは下記の通りである:
【表3】
*アンカーを5'末端でC12スペーサーにより合成した。
**リンカーを5'末端に結合したCy5で合成した。
***ディテクターオリゴヌクレオチドを5'末端に結合したビオチンで合成した。
【0127】
実施例13 希釈曲線、NPA-MAPS(図16参照)
実施例12に記載のおよび図15に示すデータを定量し、希釈曲線としてプロットした。二つのデュプリケートウェルの全8スポットの平均および標準分散をmRNAの各濃度に対してプロットした。結合曲線は、式:
フラクション結合=最大結合*1/(1+IC50/L)
〔式中、最大結合は飽和時の最大結合、フラクション結合はリガンド濃度Lで結合する量、およびIC50はフラクション結合が最大結合の半分であるリガンドの濃度〕
に入れた。曲線は図上に点で示し、図で標識するように、IC50=4.2フェムトモルの値で最も適合した。
【0128】
実施例14 全マウス肝臓RNA抽出物におけるGAPDH mRNAのNPA-MAPSアッセイ
全マウスRNA抽出物を、NPA-MAPSアッセイでGAPDH mRNAについてアッセイし、希釈曲線を作る。マウス肝臓由来の全RNAは、Quiagenキットを使用して調製する。RNAを0.5M Mg-アセテート含有70%EtOHに沈殿させ、10μlの0.8nM保護フラグメント含有0.05%SDS含有5×SSC中に再懸濁した。添加した保護フラグメントはオリゴヌクレオチド70塩基長であり、その60塩基がマウスGAPDHに相補的である。マウスGAPDH mRNAに相補的なフラグメントを使用する(“保護フラグメント”)か、これらの配列の相補物をネガティブコントロールとして使用する(“アンチセンスフラグメント”)。
【0129】
保護フラグメント含有RNAサンプルを90℃で5分加熱し、ハイブリダイゼーションを、サンプルを70℃にし、それらをゆっくり一晩で室温に冷却することにより行う。1:10希釈のS1ヌクレアーゼ(Promega)を、30分、19℃で30μlの1×S1 Nuclease Buffer(Promega)に添加し、1.6μlの10N NaOHおよび2.7μlの0.5M EDTAで停止させる。サンプルを90℃で15分、次いで37℃で15分加熱し、変性させてRNAを破壊し、1.6μlの10M HClで中和し、MAPSプレート上で一晩、200mM HEPES pH7.5添加5×SSCと一晩インキュベートし、それに30nMビオチニル化検出オリゴヌクレオチドを添加する。洗浄およびSA-HRPでの可視化を記載のように行う。シグナルの量は、マウスRNAの量の減少(サンプルは500、170、50、5または0.5μgのマウスRNAを含む)と並行して減少する。二つのコントロールサンプルは、S1ヌクレアーゼが添加されていないものを含む。シグナルは、相補的保護フラグメントにのみ見られる。
【0130】
使用したオリゴヌクレオチド:
【表4】
*アンカーを、5'末端でアミドを有するC12スペーサーで合成した。
**リンカーを5'末端に結合したCy5で合成した。
***プローブを5'末端に結合したビオチンで合成した。
【0131】
実施例15 コントロールを含むヌクレアーゼ保護MAPSアッセイ
mRNAはマウス肝臓から抽出され、ヌクレアーゼ保護は、GADPH特異的保護フラグメントがマウスGAPDHに相補的な60ヌクレオチドを含み、標的に相補的ではないフラグメントの3'で15“オーバーハンギング”ヌクレオチドが続く以外、本質的に実施例14に記載のように行う。ハイブリダイゼーションおよびヌクレアーゼ消化後、残りの保護フラグメントを、二つの異なるオリゴヌクレオチド検出フラグメントを固定化保護フラグメントの検出に使用する以外、本質的に実施例14に示すようにMAPSプレートとハイブリダイズさせる。一つの検出フラグメントは保護フラグメントのGAPDH特異的部分に相補的であり、他方、コントロールは保護フラグメントの15塩基オーバーハング部分に相補的である。各検出フラグメントは異なる複製サンプル(即ち、異なるウェル)で使用し、両方の検出フラグメントが同じ検出分子で標識できるようにする。本実施例においては、両フラグメントをHRPで標識する。ヌクレアーゼの添加なしに、両方の検出フラグメントのからのシグナルが見られる;一方、ヌクレアーゼ消化が行われたときは、GAPDH配列に対応するシグナルのみが検出できる。GAPDH特異的シグナルの量は、保護フラグメントを存在するGAPDH mRNAの量に対し対して過剰に添加したため、ヌクレアーゼ消化の不存在下で見られるものに相対して減少する。これは、GAPDH mRNAの量が保護ハイブリダイゼーションを限定し、形成された二本鎖の量(したがって、ヌクレアーゼから保護された保護フラグメントの量)がmRNAを反映するようにする。mRNAが反応混合物に含まれないとき、ヌクレアーゼを添加したときシグナルは検出できない。上記の発見は、アッセイのハイブリダイゼーションおよび消化段階が所望により起こっていることを証明する。
【0132】
種々の標的に対応する保護フラグメントがアッセイに包含される場合、各保護フラグメントは同じオーバーハング部分の15塩基を含むことができる。これは、全てのサンプルの残りのオーバーハングのテストに使用するためのフラグメントの検出を可能にする。
【0133】
実施例16 疾病状態と相関する遺伝子の発現を変え得る化合物のスクリーニングの転写アッセイ
ヒト腫瘍由来の細胞系を使用する。正常細胞よりも高いレベルで30遺伝子が発現されることが判明している。(即ち、これらの30遺伝子は正常細胞でよりも使用されおり、mRNAを造り、続いて遺伝子が指示するタンパク質を製造する。転写アッセイは、各遺伝子のmRNAがどの程度存在するかにより、どの程度遺伝子が使用されているかを測定する。)MAPSプレートでのヌクレアーゼ保護アッセイ(NPA-MAPS)を使用して、8800個の化学化合物を試験して、化合物存在下での細胞の成長が、6個の正常(構造的、“ハウスキーピング”)遺伝子の発現に影響することなく30個の相関的遺伝子のいくつかの発現を減少できるかを見るために試験する。効果を有する化合物は、この種の腫瘍の処置の医薬の開発に将来的に有用であるかも知れない。
【0134】
約10,000から100,000細胞を、100個の96ウェルポリスチレンプレートの各ウェルに添加し、それらが各ウェルの表面を覆うまで2日間生育させる。各プレートの8ウェルに関して、細胞を添加なしで生育させる。残りの各プレートの88ウェルに、異なる量の化学化合物を添加し、その効果単独を試験できるようにする。同時に100プレートを使用することにより、8800個の化合物が同時に試験またはスクリーニングできる。細胞を24時間、化合物の存在下で生育させ、次いで細胞をアッセイのために回収する。各プレートの細胞を96ウェルプレートのサンプル中のRNAの調製に関する指示にしたがって(例えば、Quiagen RNeasy 96キットにしたがって)処理する。RNAを調製した後、30個の相関的遺伝子および6個の正常“ハウスキーピング”遺伝子を含む36個の異なるmRNA種の量をNPA-MAPS試験により定量する。各々目的の遺伝子の一つに対応する36DNAオリゴヌクレオチド保護フラグメントを各ウェルに添加し、その標的mRNA配列に、選択したストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせる。次いで、S1ヌクレアーゼを添加して過剰の非ハイブリダイズDNAを破壊させ、サンプルを化学的に処理して同様にRNAを破壊する。左は、どの程度のmRNAが各サンプルの処理細胞に含まれているかに比例する、各36遺伝子のオリゴヌクレオチド保護フラグメントである。
【0135】
各々36個の異なるアンカーオリゴヌクレオチドの複数のアレイを各ウェルに含む100個の96ウェルプレートを各ウェルに36個の異なるリンカーオリゴヌクレオチドを添加することにより調製する。リンカーは各ウェルに表面に自己凝集し、一般的プレートを36個のオリゴヌクレオチド保護フラグメントの各々に特異的なプローブを含むMAPSプレートに変える。各リンカーは36個のアンカーの一つに特異的な部分および36個の保護オリゴヌクレオチドのセグメントの一つに特異的な部分を含む。100個のサンプルプレートの各ウェルからのオリゴヌクレオチドサンプルを100個のMAPSプレートの対応するウェルに添加する。選択したストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション後、結合した化学ルミネッセント酵素を有する各標的のための検出オリゴヌクレオチドを添加し、各ウェルの各特異的スポットが、サンプル中にどの程度mRNAが存在するかに依存して照らされる。6個のハウスキーピング遺伝子への作用無しに相関的遺伝子の量が減少したウェルは、興味深い。これらのサンプルの細胞に添加した化合物は、抗腫瘍剤の開発の出発点の可能性がある。
【0136】
実施例17 誘導および構造的遺伝子発現
RNAを、本質的に実施例14に記載のように、アデノウイルスに感染していない(“コントロール”)または感染1時間後(“感染”)のマウスの肝臓から調製した。肝臓RNAの60μgを各サンプルに使用し、サンプルをデュプリケートで調製した。各アッセイウェルはデュプリケート位置を3組含み、上記の3つの遺伝子に対応する。各位置はアンカーを含み、3つの遺伝子の一つの対応する保護フラグメントに相補的なプローブを含むリンカーに結合する。ヌクレアーゼ保護MAPSアッセイを、本質的に図12に記載のように行い、記載のように画像を集めてスキャンした。3個のmRNA標的の各々に関してデュプリケートのウェルの回収した生データおよびスキャンした強度を示す。スキャン線上の数は、統合強度値および各条件の標準偏差(n=4)である。変化が予期されないハウスキーピング遺伝子、GAPDHは、統計的に有意ではない1.3倍の僅かな増加を感染サンプルで示した。MIP-2およびc-junの転写は各々4および6倍に増加した。これらの発見は、二つの遺伝子、MIP-2およびc-junが、コントロールの構造的発現遺伝子GAPDHと比較して、アデノウイルス感染に反応して促進された反応を示すことを証明する。
【0137】
実施例18 チロシンまたはセリンキナーゼを選択的に阻害する化合物のスクリーニングの酵素アッセイ
キナーゼはタンパク質にリン酸を結合させる酵素である。多くは正常および新生物形成的細胞生育を刺激することが示されている。これ故、特異的キナーゼ(しかし、全てのキナーゼではない)を阻害する化合物は、どのキナーゼが病因に関与するかの試験に使用でき、そしてもしそうなら医薬開発の出発点として働く。例えば、細胞生育の刺激または炎症性反応の調節に関与する5個のチロシンキナーゼはsrc、lck、fyn、Zap70およびyesである。各キナーゼは、チロシンを含む短いペプチドとして、基質が部分的に同定される。キナーゼ種のいくつかは重複し、異なるキナーゼがあるペプチドを、同等に、しかし、他のものが優性にリン酸化し得る。5個のキナーゼに関して、36個のペプチド基質は、特異的および重複特性を示すものを選択する。
【0138】
100個の96ウェルプレートを使用する;各ウェルは36個の一般的オリゴヌクレオチドアンカーを含む。36個のリンカーを調製し、一般的オリゴヌクレオチドアレイ(アンカーのみ)からペプチド基質を含むアレイに変換する。36個のペプチド基質を合成し、各々アミド結合を介して、例えば、5'アミノ基を含むオリゴヌクレオチドに共有結合的に結合させる。オリゴヌクレオチドは、アンカーに特異的にハイブリダイズする配列を含む。ペプチド/オリゴリンカーは、それらをMAPSプレートの全てのウェルに添加することにより表面に自己凝集させる。
【0139】
スクリーニングのために、適当な濃度(基質のリン酸化の速度ができるだけ平衡している)の5個のキナーゼを各ウェルに、8800個の異なる試験する化合物と共に添加する。化合物を、単離酵素を直接阻害する能力に関して試験する。各アレイ化ペプチドのリン酸化の量を、チロシンがリン酸化されたペプチドのみに結合する標識抗体の添加により検出する。ホスホチロシンスポットのいくつかで減少を示すが、全てのスポットではないウェルが興味深い。これらのウェルに添加した化合物は、更に、試験したキナーゼのいくつかの選択的阻害剤の可能性について試験できる。
【0140】
アッセイのスキームを図17の上部パネルに示す。25個の塩基対オリゴヌクレオチドがアンカーの一つに相補的なキメラリンカー分子をチロシンホスホキナーゼ酵素のペプチド基質に架橋する。キメラオリゴペプチド基質はオリゴヌクレオチドアンカーのアレイに自己凝集し、キナーゼ酵素をキメラのペプチド部分のリン酸化に使用し、酵素反応を進行させた後、ペプチドのリン酸化の量を抗ホスホチロシンまたは抗ホスホセリン抗体により、結合検出蛍光または酵素で検出する。
【0141】
アッセイの結果を下部パネルに示す。同一2官能性架橋剤であるDSS(Pierce)を使用して、オリゴヌクレオチドリンカーの5'アミノ基をリン酸化チロシンで合成したペプチドのN末端に結合させた。一文字標記のペプチドの配列はTSEPQpYQPGENL(配列番号32)であり、pYはホスホチロシンを意味する。キメラは直接使用したか、または最初に60分pH14にし、チロシンのホスフェート基を部分的に加水分解させて使用した。リン酸化または部分的脱リン酸化キメラ分子はMAPSプレート内の相補的アンカー分子に、示す濃度で1時間自己凝集する。洗浄およびウェルをSSPTP中の0.3%BSAで遮断後、HRPに架橋した抗ホスホチロシン抗体(Upstate Biotechnology, Lake Placid, NYからの抗体4G10)をSSPTP中1:3000希釈で1時間添加し、結合した抗体の量を化学ルミネッセンス基質であるSuper Signal Blazeで検出した。示す画像は1分、CCDアレイに蓄積させた。予期されるように、オリゴペプチドに結合したリン酸の量に差異が見られた。この差異は、一連のキナーゼが、阻害剤の可能性のある異なる薬剤で処理したときにどのように作用するかを測定するアッセイの基本である。
【0142】
実施例19 SH2ドメインとリン酸化ペプチドの間の相互作用の選択的阻害剤の検出のための結合アッセイ
SH2ドメインはある成長調節タンパク質で結合サブユニットとして働く。ドメインはリン酸化ホスホチロシン含有タンパク質またはペプチドに不完全な特異性で結合する。即ち、あるホスホチロシンペプチドは1個または数個のSH2タンパク質に特異的に結合するが、他方は多くのSH2タンパク質に広く結合する。
【0143】
このアッセイに関して、リンカーはオリゴヌクレオチドに共有結合的に結合するリン酸化ペプチドである。ペプチド部分は、選択SH2タンパク質の基に結合する能力に関して選択する。リンカーは、一般的MAPSプレートをSH2タンパク質の基に特異的なリガンドを有するプレートに変える。リガンドを担持する100個の96ウェルMAPSプレートを造る。タンパク質を単離し、例えば、cy5蛍光分子で標識する。
【0144】
SH2ドメイン/ホスホペプチド相互作用のスクリーニングのために、標識SH2タンパク質の基を100個の96ウェルMAPSプレートの各ウェルに添加し、各ウェルに異なる試験化合物を添加する。これゆえ、各化合物の個々のSH2タンパク質とそのホスホペプチドリガンドへの相互作用の効果が、試験される。アッセイは、各表面結合ペプチドリンカーに付随した結合SH2タンパク質の蛍光の測定のためである。減少した蛍光をあるスポットで示すが、全てのスポットでは示さないウェルについて、添加した化合物を更にSH2ドッキングの推定選択的阻害剤として試験できる。
【0145】
実施例20 ハイスループットスクリーニング(図22参照)
一つの実験における96ウェルからのシグナルの検出を証明するハイスループットMAPSプレートを示す。同じオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを80ウェルの16個の複製で測定した。示されるように、1280個のハイブリダイゼーションアッセイの再現性は非常に高かった。最も左および最も右のカラムは、異なる濃度のオリゴヌクレオチドのシグナルの標準化のためのコントロールとして働く。
【0146】
同じ形態で、16個の異なるオリゴヌクレオチドを各ウェルで試験でき、試験をプレートの80個の異なるウェルで繰り返す。もちろん、もっと多い数の異なるオリゴヌクレオチドまたは他のプローブ(例えば、100ヌクレオチドプローブ)も各ウェルで試験でき、多くのプレートを同時に試験できる(例えば、96ウェルマイクロタイタープレート、100プレート)。各サンプルに関して行うことができるアッセイの多い数(例えば、後者の場合、約100個の異なるアッセイ)および同時にアッセイできるサンプルの多い数(例えば、後者の場合、約96×100または9600の異なるサンプル)は超ハイスループットを提供する。
【0147】
実施例21 増幅した標的の調製(図23参照)
PCRプライマー(Primer One)を、プライマーオリゴヌクレオチドの5'末端に導入された化学修飾を介して、固体支持体(例えば、ビーズまたは反応容器)に結合せる。プライマーは、5'から3'で、化学修飾、制限酵素部位、および目的の標的に相補的な配列(例えば、目的のmRNAのcDNAコピー)を含む。標的を、結合したPrimer Oneプラス、5'から3'で、ディテクターオリゴヌクレオチドに特異的な配列およびPrimer Oneの標的と異なる部分に相補的な配列を含むPrimer TwoをPCRプライマーとして使用したPCRにより増幅する。PCR増幅に続いて、増幅した標的DNAを洗浄して過剰の反応物質を除去し、Primer Oneの制限部位に特異的な制限酵素での開裂により、固体支持体から放出させる。熱および/または化学法を使用して、制限酵素を不活性化し、二本鎖DNA産物を変性する。放出された、一本鎖DNA標的分し、次いで、アンカーおよび/またはリンカーを含む表面と接触させ得、標的をPrimer Twoのディテクター特異的配列に相補的なディテクターオリゴヌクレオチドを使用して検出できる。
【0148】
実施例22 増幅した標的の調製
PCRプライマー(Primer One)を、プライマーオリゴヌクレオチドの5'末端に導入された化学修飾を介して、固体支持体(例えば、ビーズまたは反応容器)に結合せる。プライマーは、5'から3'で、化学修飾、プロテアーゼにより開裂できるペプチド配列、および目的の標的に相補的な配列(例えば、目的のmRNAのcDNAコピー)を含む。ペプチドの代わりに、特異的に開裂できる他の要素も使用できる。例えば、実施例21に記載のようなPCR増幅に続いて、まだ固体支持体に結合しているPCR産物を変性し、(所望により)洗浄し、支持体に結合した一本鎖分子を残す。洗浄し、結合した分子を、次いで、(例えば、適当なプロテアーゼでの処理により)放出させ、アンカーおよび/またはリンカーを含む表面と接触させる。あるいは、変性に続いて放出された増幅標的の鎖を、アンカーおよび/またはリンカーを含む表面と接触できる。いずれの場合も、増幅した標的の一つの鎖のみ、リンカーと接触(例えばハイブリダイズ)し、増幅した標的の逆の鎖からのハイブリダイゼーションとの競合が排除され、バックグラウンドが減少する。リンカーは、増幅した標的配列のいずれか、または両方に特異的に設計できる。
【0149】
実施例23 検出リンカーとレポーター試薬でのアッセイ(図24参照)
目的のmRNAを含むサンプルを、mRNAに相補的ではない、標的特異的部分およびコントロールオーバーハング部分を含むオリゴヌクレオチドを保護フラグメントとして使用したヌクレアーゼ保護法に付す。ヌクレアーゼ消化に続き、コントロールオーバーハング部分を、図の左部分に説明にように、望ましいように、開裂できる;またはオーバーハングは、図の右部分に説明するように、消化されないようにできる。得られるヌクレアーゼ保護フラグメントを、標的特異的部分およびコントロールオーバーハング部分を含む検出リンカーとハイブリダイズさせる。図の左部分に示すアッセイにおいて、検出リンカーのコントロールオーバーハング部分は、ハイブリダイズしないままである;対照的に、図の右部分に示すアッセイにおいて、検出リンカーのオーバーハング部分は、保護フラグメントの残りのコントロールオーバーハング配列とハイブリダイズする。アッセイの次段階において、検出と相互作用できる部分を含むレポーター試薬を複合体と相互作用させる。図の左部分に示すアッセイにおいて、レポーター試薬は検出リンカーのハイブリダイゼーションに利用可能なままであるコントロールオーバーハング特異的部分とハイブリダイズし、複合体がレポーター試薬のシグナル伝達物質のために検出できる。対照的に、図の右部分に示すアッセイにおいて、レポーター試薬は相補的配列がハイブリダイズエーションのために利用可能でないため、複合体と結合できず、シグナルは複合体に結合しない。
【0150】
本発明の多くのアッセイにおいて、レポーター試薬は検出リンカーに存在する任意の配列と相互作用でき、コントロールオーバーハングに特異的な配列に限定されない。
【0151】
実施例24 多重蛍光物質(fluor)(図25参照)
5つの場所、A−Eを含む領域を図25に示す。各場所は異なるグループの実質的に同一のアンカー、アンカーA−Eを含む。場所Aのアンカーに、4つの異なるタイプのリンカーをハイブリダイズし、その各々はアンカーAに特異的な部分を含む。しかし、アンカーの各々は:標的1、2、3および4に対する異なる標的特異的部分を含む。したがって、標的のアンカー/リンカー複合体へのハイブリダイゼーション後、標的1、2、3または4は全て場所Aで局在化するようにできる。同様に、4つの異なるタイプのリンカーが場所Bにハイブリダイズできる。各リンカーは、アンカーBに特異的な部分を含むが、標的特異的部分は標的5、6、7または8に特異的である。同様の形態で、標的9−12は場所Cと、標的13−16は場所Dとおよび標的17−20は場所Eと関連する。これらの標的のいずれかを直接的または間接的に、例えば、アップコンタート可能な蛍光団のような異なる、独立した検出可能な蛍光物質で標的する場合、5つの独立した場所での全20個の標的を独立して検出できる。
【0152】
実施例25 ハイスループット形態のアッセイ
本実施例において、本発明の転写アッセイを使用して遺伝子発現パターンにおける変化を、ハイスループットスクリーニングに容易な形態で検出し、定量する。アッセイにおける全段階はロボットを利用して行う。慣用の洗浄段階は明確に
記載されていない。
【0153】
THP−1ヒト単球を96ウェルV底マイクロタイタープレートで、50,000または150,000細胞/ウェルで生育させる。細胞は未処理であるか、フォルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)で48時間分化させ。続いてリポポリサッカライド(LPS)で4時間活性化する。処理に続き、細胞をグアニジウムイソチオシアネート(guanidium isothyocyanate)で処理し、必要になるまで凍結させる。mRNAを、ビオチン−ポリdTが結合したストレプトアビジン常磁性粒子を使用して得る。あるいは、全RNAをtri試薬(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)での抽出により得る。mRNAまたは全RNAのいずれかを含むサンプルを、DNA保護フラグメントとして、各々が5'から3'で、目的の13個の標的の一つの特異的な25量体(GAPDH、IL−1、TNF−α、カテプシンG、cox-2、シクリン−2、ビメンチン、LD78-β、HMG−17、オステオポンチン、β−トロンボグロビン、アンギオテンシンまたはアクチン);10量体スペーサー;共通オリゴヌクレオチドディテクタープローブに特異的な25量体;および15量体共通オーバーハング配列を含むオリゴヌクレオチドの13個の60量体一本鎖の混合物を使用したヌクレアーゼ保護法に付す。mRNAはそれにより、アッセイにおいて標的として働く化学量論量の“対応するDNA保護フラグメント”に変換する。これらの対応するDNA保護フラグメントをコントロールオーバーハング配列とインキュベートするコントロール実験は、ヌクレアーゼ消化が望まれるように行われた場合に予測されるように、実質的に目的のmRNA標的に特異的な配列のみが対応する保護フラグメントに存在することを示す。
【0154】
表面は本発明の方法により調製する。96ウェルDNA Bind Plateの各ウェルにおいて、16個の異なる25量体オリゴヌクレオチドアンカーのアレイを置く。一つのアンカー種はアレイの4つのうち3つのアレイのコーナーに使用し、13の異なるアンカー種を使用し、1個はそれぞれにアレイにおける残りの位置で使用した。アンカーを次いで、定義された直交パターンにおいて、各々5'から3'で、目的の13個の標的の一つに対応する25量体、10量体スペーサーおよびアンカーの一つに特異的な25量体を含む60量体オリゴヌクレオチドリンカーとハイブリダイズする。したがって、複数反復16スポットアレイのいずれかで、13個の標的特異的リンカーの各々はアレイの異なる位置(場所)に局在化する。このような直交アレイの説明に関して図18参照。内部標準化コントロールとして働く構造的に発現されるハウスキーピング遺伝子であるGAPDHに対応するリンカーが、各アレイ内の3つの場所に示される。コントロール実験は、実験に使用したリンカー、ならびに保護フラグメントおよびディテクターオリゴヌクレオチドが、望ましい特性を示すことを示す。
【0155】
上記のように調製した対応する保護フラグメントの混合物を含むサンプルを、アンカー/リンカーアレイにハイブリダイズする。未処理または誘導したクラスターのいずれか由来のサンプルを使用する。次いでハイブリダイズした保護フラグメントの各場所での存在および量を、標識ディテクターオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより検出する。各場所でのシグナルの量を標準化するために、本明細書に記載のように、ディテクターオリゴヌクレオチドを適当な量の遮断されたオリゴマーで希釈する。各場所でのシグナルの量を処理し、コントロールGAPDHシグナルに対して標準化する。得られたデータは、違う日に行った8回繰り返したサンプルで、ならびに3つの異なる実験で調製したサンプルで再現性がある。一つの実験における13個の転写物の相対的な発生量を下記の表に示す。
【表5】
【0156】
実施例26 複数アレイプレートデータの定量のためのコンピューターアルゴリズム
好ましいアルゴリズムは、MAPSプレートの全スポットの位置を発見し、各データポイントに関するシグナルの振幅の適合度概算を自動的に計算する。好ましくは、アルゴリズムはコンピュータープログラムにより実行される。
【0157】
1 − 試験する最初のウェルを含むイメージの各ピクセル(画素)の強度値を含むイメージデータの小部分、40×40ボックスを選択する。
2 − 16の未知数を使用した各ピクセル位置で予測される強度を計算する関数を定義する。未知数は:
各13個の異なるマイクロアレイスポットの振幅(即ち、DNAアレイの各位置で、実際のシグナルがどのくらい明るいか)。各ウェル内の4×4(=16)スポットに関して、16スポットの幾つかがある標的に関して2重であるため、13個ある。
この特定のウェル内のスポットの4×4アレイの正確な位置を定義するxオフセットおよびyオフセット。
ウェル内の図のバックグラウンド強度。
【0158】
各ピクセル位置の関数は、ピクセルと各スポットの間の距離を計算し、各スポットを一定の距離に関するインパルス反応関数によりスポット振幅を増幅することにより、そのピクセルで観察される強度とする寄与と合う。インパルス反応関数に使用する画像は、適当な(一定)半径のGaussian およびLorentzianの合計により定義する。
【0159】
3 − パラメーターの値を素早く推測することにより現在のウェルへの適合を開始する。これを行うために、スポットがあると予測される図の16個の領域に関して平均イメージ強度を計算する。これらの16の平均kらオフセットを引き、一定計数により差異を測る。結果を再整理し、16スポットを13振幅と適合させる。バックグラウンドおよびオフセットに関して、任意の小さな数を使用する。
【0160】
4 − 適合した値(16の未知数に関して)を、曲線適合により適合させる。特に、16の未知数を40×40=1600等式に適合させるため(もちろん全ての式が直線的に独立しているが)、適合関数を直線化するため、Marquadt法の非直線最小2乗アルゴリズムを使用する。
【0161】
5 − 現在のウェルに関して適合させたx、yオフセットを使用して、グリッドがマイクロプレートの次ぎのウェルに関してである改善された精度で概算する。9ミリメートルオフセットが次ぎの隣接ウェルに関して比例すると予測される(ピクセルの数における距離を、イメージングシステムの倍率計数により変換して)。ウェルの間の距離はプレートのサイズに対して小さいため、位置の局所概算の使用が最も正確である。
【0162】
6 − 位置の改善された概算で、ピクセルの30×30ボックスに移動した、隣のウェルのイメージの小さいボックスを定義する。これは適合法をより速くする。
段階2に戻り、各ウェルに関して繰り返す。
【0163】
前記から、当業者は本発明の本質的特徴を容易に確認でき、その精神および範囲から逸脱することなく、本発明を種々の使用および条件に適応するように変化および修飾できる。
更に努力することなく、当業者は、前記を使用して、本発明をその完全な範囲で利用できると考えられる。前記は好ましい具体的態様を記載し、したがって、単に説明的であり、如何なる方法でも明細書の残りの記載を限定しない。
上記および図面で引用した全ての出願、特許および刊行物は、本明細書に引用して包含させる。
【技術分野】
【0001】
本出願は、1998年12月22日付け出願の米国出願番号09/218,166の一部係属出願であり、その開示は引用により本文書に加える。本出願は、1997年12月19日付け先の出願60/068,291および1998年7月2日付け米国出願番号09/109,076の優先権を主張するものである。それらの開示はその全体を何れも引用によりこの文書に加える。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術
本発明は、例えば、組成物、装置および方法に関係し、プローブの繰り返しアレイを用いる多種の生物学的または化学的アッセイの同時実施に有用である。多数の領域には、それぞれ遺伝的アンカー分子のアレイが含まれる。アンカーは二官能性リンカー分子を伴い、それぞれ少なくとも1つのアンカーに特異的な部分および目的の標的に特異的なプローブである部分を含む。生成したプローブのアレイを用い、プローブに特異的に相互作用する1つまたはそれ以上の標的分子の存在を分析する。本発明は、分子相互作用の性質により識別し得る多種分野に関連し、それには医薬探索、分子生物学、生物化学、生理学および医学診断技術が含まれるが、これらに限らない。
【0003】
表面または“チップ”上に配置する多数の分子プローブを、多種の生物学的および化学的アッセイに使用する。アッセイを行い、目的の標的分子が任意のプローブと相互作用するかどうか測定する。選択した試験条件下プローブを標的分子にさらした後、検出装置により、標的分子が、所定のプローブと相互作用するかどうか決定する。
【0004】
これらシステムは、様々なスクリーニング法に有用であり、プローブまたは標的分子の何れかについての情報を得ることができる。例えば、それらを用い、他のものに混じる目的のレセプターに結合するペプチドまたは可能性ある薬物をスクリーニングする;多くの他のものに混じる、例えば、遺伝的変異、固体群の中の突然変異体(allelic variant in a population)、または特定の病原体もしくは病原株の存在する、サンプルをスクリーニングする;遺伝子発現の研究をするため、例えば、特定の生理状態、発生段階または疾病状態などに発現が関連するmRNA群を同定し得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の要旨
本発明は、多種の生物学的または化学的アッセイを同時に行う組成物、装置および方法を提供し、多数のサンプルをハイスループット分析し得、そのサンプルには、例えば、診断アッセイにおいてスクリーニングされる多数の患者サンプル、または薬物探索の方法において試験される多数の可能性ある薬物もしくは治療薬がある。サンプル中の1つまたはそれ以上の標的の検出に有用な組合せを提供する。この組合せには、多数の空間的に分離された領域を含む表面が含まれ、その領域は試験領域と名付けられ、少なくとも2つの実質的に同一のウェルであり得る。各表面は、実質的に同一な領域を、少なくとも2つ、好ましくは20またはそれ以上、例えば、少なくとも約25、50、96、864または1536含む。各試験領域は、1つまたはそれ以上の標的を含む(または部分的に含む)サンプルを導入する空間であると定義され、生物学的または化学的アレイを含む。(“標的を含むサンプル”または“サンプル中の標的を検出する”という語句は、標的を含まないかまたは検出されないサンプルまたは測定(検出の試み)を除外することを意味するものではない。通常の意味において、本発明は、標的がサンプル中に含まれるかどうかを、それが検出されるかされないかにかかわらず測定するアレイを含む。)このアレイは、包括的アンカーを含み、それぞれが、アンカーに特異的な第1の部分および少なくとも1つの標的に特異的なプローブを含む第2の部分を有する二官能性リンカー分子に結合する。本発明の組合せは、1つまたはそれ以上の標的を含むサンプルとの接触にあり、所望により、ディテクター分子と反応し、次いで、試験領域中における標的分子とプローブとの間の反応を検出する検出装置により応答指令信号が送られ、それによりアッセイの結果を得る。
【0006】
本発明は、特にハイスループット生物学的アッセイに有用な方法および組成物を提供する。特に好ましい実施態様では、本発明を用い、ハイスループットな薬物探索のスクリーニングができる。例えば、ハイスループットアッセイは、1度に多くの(例えば100)96ウェルマイクロプレートに実施することができる。プレートの各ウェルには、例えば36種の試験物が含まれ、その中で、約36のアンカーおよびリンカーの対のアレイを用いることにより実施される。すなわち、プレートあたり96ウェルを有する100プレートであり、ウェルあたり36の試験物をそれぞれ有し、合計345,000試験物となり得る;例えば、9,600種の薬物候補のそれぞれに、36種のパラメーターまたはアッセイを同時に試験し得る。ハイスループットアッセイにより、1度で1パラメーターのみを試験するアッセイよりも多くの各薬物候補についての情報が提供される。例えば、単一の最初のハイスループットスクリーニングアッセイが可能であり、薬物候補が選択的であるか、特異的であるか、および/または非毒性であるかどうか決定する。非ハイスループット方法は、広範囲の追加アッセイを必要とし、目的の各薬物候補のパラメーターを試験する。幾つかの型のハイスループットスクリーニングアッセイを実施例15-17に記載する。多様な生物学的アッセイを同時に実施する能力および1度に多くのアッセイを行う能力(すなわち、超ハイスループットにおいて)は、本発明の重要な2つの利点である。
【0007】
ある実施態様では、例えば、アミノ酸または修飾オリゴヌクレオチドのような一級アミンの結合を誘導した表面を有するポリスチレンで作成した96ウェルDNA Bindプレート(Corning Costar)を用い、36種のオリゴヌクレオチドの回収物をアンカーとしての役割をする各プレートの各ウェルの表面上にスポットし得る。アンカーを誘導ポリスチレンに共有結合し、同じ36のアンカーをすべてのスクリーニングアッセイに使用し得る。任意の特定のアッセイの場合、所定の一群のリンカーを用い、36種ぐらいの目的の標的またはアッセイ型に特異的な各ウェルの表面にプログラムし得、種々の試験サンプルを各プレート中の各96のウェルに適用し得る。同じ一群のアンカーを複数時間用い、目的の他の標的およびアッセイのウェルの表面に再度プログラムするか、または同じ一群のリンカーを複数時間、再度使用し得る。この順応性および再利用性により、更に本発明の利点が示される。
【0008】
本発明のある態様は、サンプル中の1つまたはそれ以上の標的の検出に有用な組合せであって、当該サンプルの添加前に、
a)少なくとも2つの実質的に同一な空間的に分離された領域を複数含む表面、
b)少なくとも8種のオリゴヌクレオチドアンカー(これは、上記領域のそれぞれに含まれる)、
c)オリゴヌクレオチドアンカーに特異的な第1の部分、および当該標的に特異的なプローブを含む第2の部分を有する二官能性リンカー(これは、上記の各場所で、各オリゴヌクレオチドアンカーと結合する)、
を含む組合せである。
【0009】
本発明の他の態様は、サンプル中の1つまたはそれ以上の標的の検出に有用な組合せであって、それには、当該サンプルの添加前に、
a)少なくとも2つの実質的に同一な空間的に分離された領域を複数含む表面、
b)少なくとも8種のアンカー(これは、上記領域のそれぞれに含まれる)、
c)アンカーに特異的な第1の部分、および当該標的に特異的なプローブを含む第2の部分を有する二官能性リンカー(これは、上記の各場所で、各アンカーと結合する)、
を含む組合せである。
【0010】
本発明の他の実施態様は、少なくとも1つの標的を検出する方法であり、それには、当該標的が当該組合せと効率よく結合する条件下、上記のような当該組合せを、標的を含み得るサンプルと接触させることを含む。他の態様は、RNA発現パターンを決定する方法であって、それには、上記の組合せと共に少なくとも2つのRNA分子を標的として含むサンプルをインキュベーションすることを含む(少なくとも1つの組合せのプローブが、RNA標的によるプローブへの特異的なハイブリダイゼーションが効率的となる条件下、少なくとも1つのRNA標的に特異的(すなわち、選択的)となる核酸(例えばオリゴヌクレオチド)である。他の態様は、RNA発現パターンを修飾する試薬(または条件)を同定する方法であって、それは、上記RNA発現パターンを決定する方法であり、更に、当該試薬(または条件)の存在下作成するRNA発現パターンを多種の一群の条件下作成するRNA発現パターンに比較することを含む。
【0011】
実施例の方法により、図1および2は、本発明の組合せおよびmRNA標的の検出にそれを使用する方法を示す。図2に示す本発明の表面は、15の同一試験領域を含む;本発明の特に好ましい実施態様では、これら各試験領域はマイクロタイタープレート中のウェルである。各試験領域は、6種のアンカーを含み、ここでは番号1-6で示す。図1で概要を示しているのは、当該アンカーの1つ、アンカー1であり、本発明の最も好ましい態様では、オリゴヌクレオチドである。アンカー1に、2つの部分を含むリンカー分子、リンカー1を結合させる。第1の部分はアンカーに特異的であり、この図中ではアンカーに特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドである。第2の部分は、目的の標的、ここでは標的mRNA1、に特異的なプローブであり、この図中では当該標的にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチドである。この図中では示していないが、残りの5つのアンカーはそれぞれ、自身のリンカーとアンカー特異的部分を介してハイブリダイズし得る;各リンカーは、例えばmRNA1と異なる(またはmRNA1と同一の)mRNAに特異的なプローブ部分を含み得る。この示した組合せを用い、15種ぐらいのサンプルをmRNA1の存在のため同時(または、アレイ中の他の5つのプローブにより特定(プログラム)されるmRNA標的の場合、同時に)にアッセイし得る。アッセイを行うため、この例において、15の独立したセルラインの1つsayのRNA抽出物となり得る各サンプルを、少量の体積で1つの領域、ウェルに加え、プローブおよび標的のハイブリダイゼーションが効率的となる条件下インキュベーションする。mRNA1がサンプル中に存在するかどうか決定するため、パターンを認識し得、および/またはシグナルの存在のため各領域内の特定位置に応答指令信号を送り得る検出装置を用いる。セルラインを、mRNAがインビボでタグで標識される条件下インキュベーションするならば、そして、mRNA1がサンプル中に存在するならば、ディテクターは、アンカー/プローブ複合体1により決まる位置でタグをつけたmRNAから放射するシグナルを検出する。他に、領域(ウェル)に添加する前または後に、mRNAを直接インビトロで標識し得る。他に、図1に示したように、プローブにハイブリダイズさせる前または後に、例えば、プローブにより認識される以外の配列に相補的であるタグをつけた“ディテクター”オリゴヌクレオチド(標的−特異的レポーターオリゴヌクレオチド)と共にRNAをインキュベーションすることにより、mRNAに間接的にタグをつけることができる。図示した例では、15のサンプルを同時に分析し得る。少なくとも20またはそれ以上、例えば1536ぐらいか、それ以上のサンプルが本発明により同時に分析され得るため、それは超ハイスループットアッセイシステムであるといえる。
【0012】
本明細書中で使用するとき、“標的”とは、存在、活性および/または量が望ましくは決定され、所定のプローブに親和性を有する物質について言及する。標的は、人工的か、または自然に生ずる物質であり得る。また、それらは、不変化の状態か、または他の種類との集合体として用い得る。標的を、共有結合的か、または非共有結合的に、結合膜に、直接かまたは特定結合物質を介して結合し得る。本発明で用い得る標的の例には、レセプター(小胞、脂質、細胞膜または様々な他のレセプターにおける)、リガンド、レセプターに特異的なアゴニストまたはアンタゴニスト、抗原決定基に特異的に反応するポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および抗血清(ウイルス、細胞または他の物質のような)、薬剤、核酸またはポリヌクレオチド(mRNA、tRNA、rRNA、オリゴヌクレオチド、DNA、ウイルス性RNAまたはDNA、EST、cDNA、RNAまたはDNAから誘導するPCR増幅産物、ならびに変異、変異体またはそれらの修飾)、タンパク質(神経伝達物質の切断に応答するようなもの、プロテイナーゼ、キナーゼなどの酵素を含む)、酵素の基質、ペプチド、補因子、レクチン、糖、ポリサッカライド、細胞(細胞表面抗原を含み得る)、細胞膜、オルガネラなど、ならびに複合、共有結合架橋などの型で存在する分子または他の物質を含むが、これらに限らない。本明細書中で使用するとき、核酸、ポリヌクレオチド、ポリ核酸およびオリゴヌクレオチドは取り換えることができる。標的はまた抗-プローブとして言及し得る。
【0013】
本明細書中で使用するときは、“プローブ”は、物質であり、例えば、特定の標的により特異的に認識され得る分子である。可能性あるプローブ/標的または標的/プローブ結合パートナーの型には、レセプター/リガンド、リガンド/アンチリガンド、DNA/DNA、DNA/RNA、PNA(ペプチド核酸)/核酸を含む核酸(ポリヌクレオチド)相互作用、酵素、他の触媒、または基質、小分子またはエフェクター分子を含む他の物質などを含むが、これらに限らない。本発明が目的とするプローブの例は、有機または無機物質または金属を含むポリマー、キレート化剤、または金属、プラスチック、細胞膜レセプターのアゴニストおよびアンタゴニスト、トキシンおよびベナム(venom)、ウイルス性エピトープ、ホルモン(例えば、オピオイドペプチド、ステロイドなど)、ホルモンレセプター、脂質(リン脂質を含む)、ペプチド、酵素(プロテーゼまたはキナーゼのような)、酵素基質、補因子、薬剤、レクチン、糖、核酸(オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、PNAもしくは修飾もしくは置換核酸を含む)、オリゴサッカロイド、タンパク質、酵素、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体、一本鎖抗体もしくはそのフラグメントと特異的に相互作用する他の化合物を含むが、これらに限らない。プローブポリマーは、直線状か、環状であり得る。プローブは、特異活性または特異結合の何れかの効力により、リン酸化および非リン酸化タンパク質を識別し得る。レクチンのようなプローブはグリコシル化タンパク質を識別し得る。本明細書中で使用するとき、核酸、ポリヌクレオチド、ポリ核酸およびオリゴヌクレオチドという語は置き換えることができる。“プローブ”として上記した任意の物質はまた“標的” 働きをし得、その逆もあり得る。
【0014】
任意の互換性のある表面を本発明のと共に用い得る。表面(通常固体)は任意の多種の有機または無機物質またはそれらの組合せであり、ポロプロピレンまたはポリスチレン、セラミック、シリコン、例えばガラス顕微鏡スライドまたはガラスカバースリップの厚さを有する(融合)シリカ、石英またはガラス、フィルターペーパーのような紙、ジアゾ化セルロース、ニトロセルロースフィルター、ナイロン膜、またはポリアクリルアミドゲルまたは他のタイプのパッド、例えば、任意の種々の慣用の方法により湿潤ゲルの乾燥により製造した、フィルムを含む非常に多孔性の固体であるエアロゲルから成る、例えば、エアロゲルパッドまたはエアロベッドが単に例として含まれる。光に透明である基体は、アッセイを実施する方法に光学的検出が含まれる際に、有用となる。好ましい態様では、表面は、マルチウェルのプラスチック表面であり、例えば、組織培養ディッシュ、例えば24-、96-、256-、384-、864-または1536-ウェルプレート(例えば、Corning Costar DNA Bind plateのような修飾プレート)である。アンカーは、例えば表面と直接結合し得るか、または1つの型の表面、例えばガラスと結合し得、次いで、例えば、二次表面、例えばマイクロタイターディッシュ中のプラスチック“ウェル”内の表面と接触して位置する。表面の形は重要ではない。例えば、四角、矩形もしくは丸形のような平坦表面、曲線表面、またはビーズ、粒子、繊維、沈殿、チューブ、球のような3次元表面であり得る。
【0015】
表面は、空間的に分離され、アドレサブル(addressable)または同定可能な領域を含む。各領域は、一群のアンカーを含む。どのように領域が分離されるか、それらはどのような物理的性質であるか、そして、どのように相互に相対的に方向付けられるかは、重要ではない。ある実施態様では、領域は、液体の通過を妨げる任意の物理的バリアーにより相互に分離され得る。例えば、好ましい実施態様では、領域は、マルチウェル(例えば、組織培養)ディッシュのウェルとなり得、例えば、24-、96-、256-、384-、864-または1536-ウェルプレートである。他に、ガラス表面のような表面をエッチングすると、例えば、864または1536の分離された浅いウェルとなり得る。他に、表面は、仕切りまたはウェルのない領域を含み得、例えば、平坦表面であり、例えば、プラスチック、ガラスまたは紙の切片であり、そして、個々の領域は、分離領域を形作る構造(例えばプラスチックまたはガラス片)を覆うことにより更に決定され得る。所望により、表面は、個々の領域が形作られる前に、アンカーまたはリンカーと結合するアンカーの1つまたはそれ以上のアレイを既に含み得る。他の実施態様では、各領域の内のアンカーのアレイは相互に分離され得、それは、アンカーのない表面上のブランクスペース(blank space)によるか、または小滴の分散を防止するワックスまたはシリコンのような化学的境界(chemical boundary)による。
【0016】
また他の実施態様では、領域は、チューブまたは液体調節チャンネルとして定義され得、例えば、Beattie et al (1995) Clin. Chem. 4, 700-706に開示するようなフロースルーアッセイとして設計され得る。チューブは任意のサイズ、例えば、キャピラリーまたは広い内径のチューブであり得る;液体の流れを可能にし得る;または部分的にまたは完全にゲル、例えば、アガロースまたはポリアクリルアミドで充たされ、それを通って化合物が、例えば、電気泳動により輸送(通過、流動、ポンプ輸送)され得る。好ましい態様では、チューブはゲルで充たされる;ゲルはアンカーの結合に関して活性化されており、異なるアンカーが連続して通過し、ゲル内のアンカーの直線的アレイの形成を可能にする;そしてリンカー、標的などが連続して通過する。表面内または表面上などの領域もまたそれ自身の表面の修飾により決まり得る。例えば、プラスチック表面はまた、修飾または誘導プラスチックで作成した部分を含み、それは、例えば、特定の型のポリマーを加える部位としての働きをし得る(例えば、PEGをポリスチレン表面に結合し得、次いで、カルボキシルまたはアミノ基で、二重結合、アルデヒドなどを誘導する。)。他に、プラスチック表面は突出(protrusion or bump)のようなモールドした構造を含み得、それは、アンカーの添加のためのプラットフォームとしての役割をし得る。他の実施態様において、領域はゲルパッド、例えばポリアクリルアミドゲルパッドまたはエアロパッドであり得、それらは、例えば、ガラスのような表面上に臨まれるパターンで配置され、または例えば、ガラスと石英プレートのような二つの表面の間にサンドイッチされ得る。アンカー、リンカー等はこのようなパッドの表面上に固定化でき、またはそれらの中に包埋され得る。ゲルパッドの種々の他の配置が、当業者には明らかであり、通常の、慣用法により製造できる。試験領域の相対的な方向付けは、任意の多様な型となり、それらには、四角または矩形または他の表面内の平行または垂直なアレイを含むがこれらに限らず、それらは、丸または他の表面、または直線状アレイなどのアレイに容易に拡張される。
【0017】
本発明の空間的に分離された領域は、マルチプルコピー(multiple copy)内に存在する。すなわち、少なくとも2つ、好ましく少なくとも20、または少なくとも約24、50、96、256、384、864、1536、2025、またはそれ以上などであり、実質的にそれらは同一であり、空間的に分離(分断された)領域である。繰り返し領域の数の増加により、ますます、より高いスループットのアッセイをし得る。本明細書中で使用するとき、実質的に同一の領域とは、同一または実質的に同一のアンカーのアレイおよび/またはアンカー/リンカー複合体を含む領域について言及する。本明細書中で使用するとき、実質的に同一とは、本発明に従い標的を分析する前後関係において、アレイまたは領域が、他のアレイまたは領域と本質的に同一の機能として働くことを意味する。機能に実質的に影響しない相違、すなわち、標的の検出可能性は、小ヌクレオチド不完全性(脱落/挿入/置換)またはオリゴ不完全性(弱い表面結合)などの系に沿い、それらは、アッセイの正確性において、標的決定結果に重要な影響を与えない。
【0018】
もちろん、当業者ならば、表面上のすべての領域が相互に実質的に同一である必要はないことを認識し得る。例えば、2種の一群のアレイが平行に試験され得るならば、単一表面上の一群のアレイを両方含むことが利点となり得る。例えば、2種の一群のアレイを、互い違いにストリッピングしたパターンに配置し、それらの間での比較を促進し得る。他の実施態様では、従事者は、表面上の他の領域と識別し得る方法で検出し得る1つまたはそれ以上の領域を含み、それによって、“登録領域”として使用し得ることを希望する。例えば、登録領域は、オリゴヌクレオチドまたはペプチドを含み、それにより、表面上の領域の位置に配置される“開始点”としてスキャンニング検出装置が認識し得る蛍光分子の明瞭なパターンが示される。
【0019】
試験領域の大きさおよび物理的空間は制限されない。典型的な領域は、面積が約1ないし約700mm2、好ましくは1ないし40mm2であり、そして約0.5ないし約5mm離れており、含まれる面積に応じて通常選択され得る。好ましい実施態様では、領域は約5mm離れている。例えば、各領域は、矩形グリッドを有し、それは、例えば、8列および6段からなり、直径約100マイクロメーターであるアンカーの粗い環状スポットで500マイクロメーター離れている;その領域は、面積20平方ミリメーターである。より大きな領域およびより小さな領域ならびに空間が含まれる。
【0020】
領域はまた、領域内の幾つかまたはすべてのアンカーは、例えば、へこみ(indentation)および小さなくぼみ(dimple)によって、隣接するアンカーから物理的に分離されるように、更に再分割される。例えば、多くの領域内の再分割(小区域)は、約10ないし約100またはそれ以上もしくはそれ未満の範囲となり得る。ある実施態様では、1536-ウェルディッシュのウェルである領域を、より小さいウェルに更に再分割し、例えば、約4ないし約900、好ましくは約16ないし約36ウェルとし、それにより、ウェル内のウェルのアレイに形成し得る。図4参照。そのくぼんだ表面により、各設計した空間(位置)に単一のアンカー(またはアンカーの群)を物理的に位置させるのに必要な強度が弱くなり、そして、アンカーを含む領域の大きさが、より均一となり、それにより、ブローブへ結合する標的の検出が促進される。
【0021】
本明細書中で使用するとき、“アンカー”という語は、任意の存在物または物質について言及し、例えば、その分子(またはその物質と実質的に同一の“グループ”(図7参照))は、表面と結合するか(例えば、表面において固定化されるか、または共有結合的もしくは非共有結合的の何れかで結合する)、またはその表面の部分であり(例えば、プラスチック表面の誘導部分)、そして、本明細書に記載のようにリンカーまたは他の物質と特異的に相互作用するか、もしくは結合し得る。本明細書中で使用する場合、アンカーおよびリンカーが特定の方法で分子会合を介して組合される際、“アンカー/リンカー複合体”が存在する。リンカーとの相互作用は、ある共有結合のように不可逆的か、または核酸ハイブリダイゼーションのように可逆的であり得る。好ましい実施態様では、アンカーは核酸であり、それは、任意の長さ(例えば、オリゴヌクレオチド)または型(例えば、DNA、RNA、またはRNAもしくはDNA分子のPCR産物)となり得る。核酸は、修飾または置換され得る(例えば、イノシンのような天然には生じないヌクレオチド;スルファメート、スルファミド、ホスホチオネート、メチルホスホネート、カルバメートなどのような様々な既知連結を介する結合;またはDNAストレプトアビジン結合のような半合成分子を含む)。一本鎖核酸が好ましい。アンカーはまたペプチドまたはタンパク質である。例えば、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体分子またはそのフラグメント、または一本鎖抗体またはそのフラグメントであり得、それらは、抗原または抗-抗体分子であるリンカーの部分に特異的に結合する;表面では、アンカーはペプチドであり得、そして、それれに結合するリンカー部分は抗体などである。他の実施態様では、アンカーはレクチン(カブトガニ、ピーナッツ、ヤエナリ、Phaseolus、小麦麦芽などのような生物由来のコンカナバリンAまたは凝集素)であり、特定の炭水化物に特異的である。他の実施態様では、アンカーは、修飾または誘導プラスチックポリマーのような有機分子であり得、それらは、例えば、オリゴヌクレオチドの特定の固体相化学合成の段階としての働きをし得る。この場合、誘導プラスチックは、製造過程の組合せのプラスチック表面に完全に形成される、分離した、誘導された位置のアレイとして分配され得る。他の実施態様では、アンカーは、金属イオン、例えば、Ni、Zn、Ca、Mgなどと特定のタンパク質もしくはキレート剤との間で特異的または選択的な結合に有利となり得る。例えば、アンカーはポリヒスチジンであり得、リンカーのアンカー特異的部分はニッケルであり得、それは、ニッケルキレート化剤を介して標的特異的プローブに結合する。他に、キレート化剤は、アンカーおよびポリヒスチジンプローブ関連部分であり得る。他に、アンカーは無機物質であり得る。例えば、カルシウムおよびマグネシウムのような金属であり得、リンカーのアンカー特異的部分は、それぞれ、EDTAまたはEGTAのような選択的キレート化剤であり、それは標的特異的プローブに結合する。当業者ならば、広範囲の他の型の分子もまた、プローブおよび標的に関連して考察される一般的な型のようなアンカーとしての働きをし得る。
【0022】
試験領域中のアンカーの数は、少なくとも2つ、好ましくは約8から約900の間(それよりも多い場合および少ない場合を含む)、より好ましくは約8から約300の間、そして最も好ましくは約30から約100の間(例えば約64)であり得る。幾つかの好ましい実施態様では、96試験領域(例えば、ウェル)を有する表面の場合約16、36、45または100のアンカー/試験領域または384試験領域(例えば、ウェル)を有する表面の場合、約9、16または25のアンカー/試験領域がある。最も好ましい実施態様では、試験領域中の各アンカーは、アレイ中、他の何れのアンカーとも異なる特異性を有する。しかし、2つまたはそれ以上のアンカーは同じ特異性を有し、すべてのアンカーは同一となり得る。本発明の組合せが非常に多くの試験領域を含み(例えば、約864、1536またはそれ以上)、そのため多数の試験サンプルが同時に処理され得る、ある実施態様では、限られた数(例えば、約2、4、6または9)のパラメーターのみに関し当該サンプルを試験することが目的とされる。換言すれば、非常に多数の領域を含む組合せの場合、領域あたり約2ないし9アンカーのみを有することが利点となる。
【0023】
試験領域内または試験領域上のアンカーの物理的空間および相対的方向付けは限定されない。典型的に、アンカー同士の距離は、約0.003ないし約5mmまたはそれ未満、好ましくは約0.03と約1との間である。より長いおよびより短いアンカー空間(および面積)が含まれる。アンカーが、相互および領域の境界に相対的な任意の方向付けで配置され得る。例えば、それらは、四角、矩形、六辺形または他のアレイ、または放射線または同心円の中心から放射するアンカーを有する環状アレイのような二次元的方向付けで配置され得る。アンカーはまた、一次元の直線アレイで配置され得る。例えば、オリゴヌクレオチドはDNAまたはRNA配列に従って特異的位置にハイブリダイズし得、超分子アレイを形成し得るか、またはフロースルーゲルにおける直線配置である。他に、アンカーは“バーコード”様型となり得る(図6参照)。例えば、アンカーは相互に平行なロングラインとなり得る。各ロングラインの間またはその幅の距離は、調節された方法で変化し得、バーコードのような単なる認識パターンが生じ、例えば、1番目および3番目のラインは残りの広さの2倍となり得、ラインは取り除かれるなどされ得る。エクストラエンプティーラインは、1つの試験領域をはっきりと区別する最後のラインの後に位置され得、バーコードパターンは連続的な試験領域で繰り返され得る。
【0024】
アンカーのパターンは、分離したアッセイウェル(試験領域)または分離アッセイ小滴の位置を明確に登録する必要はない。“アッセイ位置”という語は、アッセイサンプルが適用されるアッセイ表面の位置の言及に使用される(これらは、アッセイサンプルの分離した小滴の位置により、または例えばマルチウェルプレート上の個々のアッセイウェルを決める壁または仕切りの位置により決められる)。アンカーパターン自体(例えばオリゴヌクレオチドアンカーの“バーコード”様パターン)を用い、各分離アンカーがパターン認識により正確に決められ、ちょうど各バーコードのラインが残りのラインに相対する位置により認識される。このため、第1のアンカーは、各アッセイ位置の1つの端または1つの角を必要としない。第1のアンカーは、アッセイ位置に相対する位置よりもむしろパターン認識により発見される。各アッセイ位置(例えば、小滴の面積またはウェルの面積)で使用される面積が、アンカーの繰り返しパターンの少なくとも1つの全体の単位を含むのに十分広い限り、次の各アッセイ点は、パターンがアッセイ位置の面積内にあるところはどこでも(バーコード)パターンにより特定されるすべての標的のアッセイ位置のサンプルを試験する。
【0025】
アンカーは、各試験領域内の明確なまたは固定さえされているパターンで配置される必要はない。例えば、各アンカーは、粒子、ビーズなどに結合し得、それらは試験領域内のランダムな位置と仮定される。各アンカーの位置は、例えば検出可能なタグの使用により決定され得る。例えば、各型のアンカーに特異的なリンカー分子は、種々の蛍光、ルミネセンスなど、タグで標識され得、特定リンカー/アンカー対を含む粒子の位置は、リンカーから放射するシグナル、例えば、励起または放射スペクトルの性質により同定され得る。当業者ならば、種々の結合したタグであって、それぞれ認識し得るスペクトルを有する一群のリンカーを調製し得る。他に、アンカーは直接標識され得る。例えば、各型のアンカーをタグで標識し得、そのタグは様々なスペクトルを有する蛍光を他の型のアンカーにおいて発する。他に、粒子、ビーズなどは、大きさまたは形について相互に異なっている。本明細書中で記載する任意の標識および検出方法を用い得る。例えば、蛍光は、CCDを基にするイメージングシステムにより、スキャンニング蛍光顕微鏡またはFluorescence Activated Cell Sorter(FACS)により測定され得る。
【0026】
アンカーは、リンカー分子のある部分-アンカー特異的部分-と特異的に相互作用するか、または結合し得る。“相互作用”または“結合”という語は、本明細書中では、2つの物質または化合物(例えば、アンカーおよびリンカーのアンカー特異的部分、プローブおよびその標的、または標的および標的特異的レポーター)が相互に結合し(例えば、結合(attached, bound)、ハイブリダイズ、結合(joined)、アニール、共有結合(covalently linked)、または他の結合)、十分に目的のアッセイを行い得ることを意味する。“特異的”または“特異的に”という語は、本明細書では、2つの化合物(例えば、アンカーおよびリンカーのアンカー特異的領域、プローブおよびその標的、または標的および標的特異的レポーター)が相互に選択的に結合し、任意の保護技術のない場合、当該成分に結合することを目的としない他の成分には通常結合しない。特異的相互作用を達成する必要のあるパラメーターを、例えば当分野の通常の技術を用い、通常決定することができる。
【0027】
例えば、核酸の場合、当業者ならば、他の物質または分子(例えば、他のオリゴヌクレオチドリンカー)への非特異的ハイブリダイゼーションを最小化する一方、選択したストリンジェンシー条件下、他の核酸にハイブリダイズさせ得る核酸(例えば、オリゴヌクレオチドアンカー)の特徴(長さ、塩基組成物および相補性の程度のような)を実験的に決定することができる。典型的に、アンカーのDNAまたは他のアミノ酸配列、リンカーの部分、またはディテクターオリゴヌクレオチドは、その結合対と十分相補性があり、選択したストリンジェントハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズでき、Tmは室温よりも約10から20℃高くなり得る(例えば約37℃)。通常、オリゴヌクレオチドアンカーは、長さ約8ないし約50ヌクレオチド範囲となり得、好ましくは15、20、25または30ヌクレオチドとなり得る。本明細書中で使用するとき、“高いストリンジェントハイブリダイゼーション条件”とは、核酸同士で少なくとも95%、好ましくは約97%から100%のヌクレオチド相補性(同一性)があるときにハイブリダイゼーションが生じる任意の条件を意味する。しかし、望ましい目的に応じて、ハイブリダイゼーション条件は選択され得、低い相補性、例えば、約90%、85%、75%、50%などを必要とする。変わり得るハイブリダイゼーション反応パラメーターでは、塩濃度、緩衝液、pH、温度、インキュベーション時間、ホルムアミドのような変性剤の量および型などがある(例えば、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed.) Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Press, New York; Hames et al.(1985). Nucleic Acids Hybridaization, IL Press; Davis et al. (1986), Basic Methods in Molecular Biology, Elsevir Sciences Publishing, Inc., New York)。例えば、核酸(例えば、リンカーオリゴヌクレオチド)を、試験領域(例えば、マルチウェルプレートのウェル-好ましい実施態様では、96または384またはそれ以上のウェルプレート)に、体積約0.1ないし約100またはそれ以上のμl(好ましい実施態様では、約1ないし約50μl、最も好ましくは約40μl)で、例えば6XSSPE-T(0.9 M NaCl、60mM NaH2PO4、6mM EDTAおよび0.05% TritonX-100)のような緩衝液中、濃度約0.01ないし約5μM(好ましい実施態様では約0.1μM)で、加えることができ、約10分ないし少なくとも3時間(好ましい実施態様では、少なくとも約15分間)、温度約4℃ないし約37℃(好ましい実施態様では、おおよそ室温)の範囲で結合対(例えば、表面上のオリゴヌクレオチドアンカー)にハイブリダイズすることができる。条件を選択し、ハイスループットとすることができる。本発明の1つの実施態様では、反応条件はおおよそ生理条件である。
【0028】
例えば、アンカーまたはリンカーの部分としての働きをし得る他の型の物質または分子(例えば、ポリペプチド、レクチンなど)の設計、および結合対との特異的相互作用に必要な反応条件は当分野には通常であり、一般的である(例えば、Niemeyer et al (1994) Nucleic Acids Res. 22, 5530-5539; Fodor et al (1996)米国特許番号5,510,270; Pirrung et al (1992)、米国特許番号5,143,854に記載の通り)。インキュベーションパラメーターには、緩衝液、塩濃度、pH、温度、インキュベーション時間、担体および/または試薬の存在または非特異的相互作用を減少する条件がある。例えば、アンカーとして抗体を含む試験領域(例えば、マルチウェルプレートのウェル-好ましい実施態様では96または384またはそれより多いウェルプレート)に、抗-抗体(例えば、抗原または抗体特異的二次抗体)を、体積約0.1ないし約100またはそれよりも多いμl(好ましい実施態様では、約1ないし約50μl、最も好ましくは約40μl)で、例えば、6XSSPE-T、PBSまたは生理食塩水のような緩衝液中、濃度約10pMないし約10nM(好ましい実施態様では、約1nM)で加えることができ、表面上のアンカーと共に、約10分ないし少なくとも約3時間(好ましい実施態様では、少なくとも15分間)、温度約4℃ないし45℃の範囲(好ましい実施態様では、約4℃)でインキュベーションし得る。ペプチドアンカーの場合、約5ないし約20の長さのアミノ酸が好ましい。
【0029】
本発明の幾つかの実施態様では、アレイ中の各アンカーは、選択した反応条件下、アレイ中の他のアンカーと実質的に同程度に、相当するリンカーのアンカー特異的部分と相互作用し得る。これにより確実となるのは、アンカーによるリンカーおよびそのプローブの実質的に均一のアレイに対する特異性である。
【0030】
試験領域内のアンカーは、“包括的な”群であり得、1つまたはそれ以上の様々なリンカーと相互作用し得る各アンカーであり、それぞれ、異なる“プローブ”部分以外のアンカーに特異的な部分がある;そのため、包括的アンカーの単一のアレイを用い、様々な一群のプローブをプログラムまたは決定する。アンカーのその包括的アッセイの順応性を図1および2に引用して示す。図2は15の試験領域を含む表面を示し、それぞれ、6種のアンカーのアレイを含み、実施例中ではオリゴヌクレオチドである。図1は、これらアンカーの1つ(オリゴヌクレオチド)、アンカー1を概略し、それらは、アンカー1に特異的である1つの部分および標的mRNA1に特異的な第2の部分を含む、リンカー1と接触する。他に、あるものは、例えば、リンカー1のように、アンカー1に特異的な部分を含むが、標的mRNA1の代わりに標的mRNA2に特異的な第2の部分を含む、リンカー2と置換され得る。そのため、アンカー1を用い、2つまたはそれ以上の種々の標的mRNAの何れか用のプローブを明記(またはプログラム、または定義、または決定)し得る。オリゴヌクレオチドまたはペプチドのハイレゾリューションパターン(アレイ)を作成し、結びつける方法は、高価であり、時間がかかり、および/または物理的に困難となり得る。アンカーの前形成アレイを用い、多種のプローブアレイをプログラムする能力は、本発明の1つの利点である。
【0031】
図2に示す包括的アンカーにより、オリゴヌクレオチドプローブのパターンが決定されるけれども、同一アンカーアレイもまた使用され、他のタンパク質、例えば、レセプタータンパク質(図3参照)のアレイをプログラムし得る。明らかに、多くの入れ替えが可能であり、アンカー/リンカー相互作用の型の所定の範囲、例えば、タンパク質/抗体の組合せのような“サンドイッチ”または“ピギーバック”プローブの多数の複合層が得られる。そのため、この発明のアンカーの表面自身、新規な利点を提供する。
【0032】
本発明のある実施態様では、アンカーは、可逆的にリンカーと相互作用し得る;そのため、包括的一群のアンカーは再利用され、種々の一群のプローブをプログラムし得る。例えば、オリゴヌクレオチドアンカーは、例えば、2つのオリゴヌクレオチドが解離する過熱段階により、リンカーのオリゴヌクレオチド部分から分離され得、次いで、二次リンカーと再結合する。高価であり、時間がかかり、および/または作成に物理的困難を有する、アンカーアレイを再利用する能力は、本発明の他の利点である。
【0033】
アンカーが、リンカーと相互作用する必要はない。例えば、アンカーは、蛍光色素のような検出可能な分子と結合し得(直接的または間接的)、それによって、例えば、試験表面およびディテクターとの間の登録の目的で、グリッド内のスポットを位置付け得る。他に、アンカーを既知量の検出分子で標識し得る。例えば、較正の目的で内部定量マーカーとして用いるためである。
【0034】
本明細書中で使用する“リンカー”という語は、選択した(設計した)アンカーまたはアンカーのサブセット(“アンカー-特異的”)に特異的である第1の部分(成分または部分)および目的の標的(“標的-特異的”)に特異的なプローブである第2の部分を含む二官能性物質として言及する。リンカーの2つの部分は、共有結合的または非共有結合的連結を介して結合し得、中間体に直接または中間体を介して結合し得る。
【0035】
リンカーのアンカー特異的部分の化学的性質は、もちろん、アンカーまたは相互作用するアンカーの機能である。例えば、アンカーがオリゴヌクレオチドならば、相互作用するリンカーの部分は、例えば、オリゴヌクレオチドに特異的に結合するペプチドであるか、または選択したストリンジェント条件下で効率的および特異的にハイブリダイズし得る核酸である。核酸は、例えば、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、PNA、PCR産物、または置換もしくは修飾核酸(例えば、イノシンのような天然には生じないヌクレオチド;スルファメート、スルファミド、ホスホチオネート、メチルホスホネート、カルバメートなどのような様々な既知連結を介する結合;またはDNAストレプトアビジン結合のような半合成分子を含む)であり得る。一本鎖成分が好ましい。オリゴヌクレオチドアンカーに特異的なリンカー部分は、長さ約8ないし50ヌクレオチドの範囲、好ましくは約15、20、25または30ヌクレオチドである。アンカーが抗体ならば、相互作用するリンカーの部分は、例えば、抗-抗体、抗原、またはアンカーと特異的に相互作用し得る分子の1つの小フラグメントであり得る。上記他のタイプのアンカーと特異的に相互作用し、そして、アンカー-特異的なリンカー部分としての働きをする物質または分子もまた、当分野に既知であり、通常の方法を用い設計し得る(例えば上記参照)。
【0036】
標的-特異的なリンカーの部分の化学的性質は、もちろん、プローブであり、相互作用する標的の機能である。例えば、標的が、特にmRNAならば、標的-特異的なリンカーの部分は、例えば、標的に特異的に結合するオリゴヌクレオチドであるが、選択したハイブリダイゼーション条件下、RNAまたはDNAを阻害する。当業者ならば、当分野に既知の方法を用い、標的に所望によりハイブリダイズするオリゴヌクレオチドの特徴を実験的に決定し、非特異的な干渉DNAまたはRNAへのハイブリダイズを最小とする(例えば、上記参照)。通常、非標的RNAの過剰のバックグラウンドに存在する標的mRNAの識別に使用するオリゴヌクレオチドプローブの長さは、約8ないし約50ヌクレオチドの範囲、好ましくは約18、20、22または25ヌクレオチドである。拮抗標的のあまりない生化学的アッセイで使用するオリゴヌクレオチドプローブはより短くなり得る。当分野に既知の方法(例えば、コンピュータープログラムBLAST)を用い、オリゴヌクレオチドプローブの配列を、既知の遺伝的データベースにおいて可能性のある干渉配列と相互に関係せず、類似しないように、選択し得る。オリゴヌクレオチドプローブによるRNAへの特異的なハイブリダイゼーションが可能なハイブリダイゼーション条件の選択が、当分野に認識される方法を用い、決定することができる(例えば、上記参照)。例えば、標的RNA[例えば、マルチウェルマイクロタイタープレート(例えば、96または384またはそれ以上のウェル)のウェルのような任意の容器において、組織または増殖細胞から抽出した全RNAまたはmRNA(および所望により目的の試薬で処理した)]を、6XSSPE-Tまたは他の緩衝液中、オリゴヌクレオチドプローブアレイを含む試験領域に添加し得(上記参照)、所望により、非特異的結合を減少させる試薬(例えば、破砕したニシンまたはサケ精子DNA、または酵母RNA、約0.5mg/ml)を含み、約10分ないし少なくとも18時間(好ましい実施態様では、約3時間)の範囲の時間、経験的に決めた温度でインキュベーションする。ハイブリダイゼーションするストリンジェンシーは、アンカー-特異的なリンカー部分にアンカーを結合させるのに用いるストリンジェンシーと同一か、またはそれよりも弱い。他の型のプローブの設計および使用はまた、例えば、上記考察したように当分野に通常である。
【0037】
アンカー-特異的および標的-特異的なリンカーの部分を、任意の様々の共有的または非共有的結合により、結合(join, attach, link)し得、その性質は本発明の本質ではない。2つの部分を直接、または中間分子を介して連結し得る。リンカーの両方の部分がオリゴヌクレオチドである、ある実施態様では、ホスホジエステル結合のように共有結合し得、単一の、同一線上の核酸を形成する。アンカー-特異的な部分がオリゴヌクレオチドであり、標的-特異的な部分がレセプター、例えばレセプタータンパク質である他の実施態様では、2つの部分はビオチンおよびストレプトアビジン分子の相互作用を介して結合し得、その例を図3に示す。多種のその連結は既知である(例えば、Niemeyer et al (1994). NAR 22, 5530-5539)。他に、2つの部分が直接結合し得、例えばオリゴヌクレオチドがアミド化され、次いでアミド結合を介してペプチドまたはタンパク質に直接結合(例えば架橋)するか、またはアミド結合または脂質結合を介して膜成分に結合し得る。その共有結合または非共有結合を形成する方法は通常であり、当業者により容易に最適化される。
【0038】
2つの物質が結合(例えば、2つの核酸、2つのタンパク質、タンパク質プラス核酸または他のもののインキュベーションにより)し、複合体(例えばアンカー/リンカー複合体のような)を形成した後、生成した複合体を所望により処理(例えば、洗浄)し、特異的相互作用未処理物を残すが、非特異的結合物質を取り除くように実験的に決定した条件を用い、非結合物質(例えば、リンカー)を取り除く。例えば、反応混合物を、1回ないし約10回またはそれ以上、複合体(例えば、アンカー/リンカー複合体)の達成に使用する条件と同じか、それより幾らか高ストリンジェンシーである条件下で洗浄し得る。
【0039】
本発明の組合せは、通常の技術を用い通常通り製造され得る。
【0040】
本発明に使用し得る幾つかの表面は、商業上の提供者より容易に利用できる。好ましい実施態様では、表面は、Corning Costerにより販売されている修飾プレートのような96-、384-または1536-ウェルマイクロタイタープレートである。他に、表面はウェルを含み、次いで、へこみまたは“くぼみ”を含み、アルミニウムまたはスチールのようなミクロ機械加工物質により形成され、モールドを調製し、次いで、プラスチックまたは同様の物質をモールドにミクロ注入し、図4に示すような構造を形成する。他に、図4に示すような構造には、ガラス、プラスチック、セラミックなどが含まれ、例えば、図5に示されるような3つの切片からアセンブリされ得る;ウェル仕切り(図5a)と呼ぶ第1の部分はサンプルウェル間の分離を形成する;サブディバイダー(subdivider)(図5b)と呼ぶ第2の部分は各試験ウェル内に再分割またはくぼみを形成する;そして、基盤(図5c)と呼ぶ3つ目の部分はプレートの基盤および試験ウェルの下側表面を形成する。例えば、仕切りは、金属、例えばシリコンの切片であり、それを通る穴があり、それぞれの穴は、3つの切片が結合するとき試験ウェルの壁を形成する。サブディバイダーは、例えば、薄い金属片、例えば、シリコンであり、スクリーンまたは良好な網の形をしている。基盤は、金属、例えばガラスの平坦切片であり、例えば、生物化学アッセイに用いる典型的なマイクロプレートの下側部分の形となる。基盤の上側表面は、図5cに示すように平坦であるか、またはサブディバイダー型で配置されるへこみを形成し得、各サンプルウェル内に完全な再分割、またはウェルを提供する。3つの切片は標準的な方法、例えばシリコンウェハーのアセンブリを用いる方法により結合され得る。
【0041】
オリゴヌクレオチドアンカー、リンカー部分、またはディテクターは、通常の技術、例えば、商業上のオリゴヌクレオチド合成機により、および/または合成されるサブフラグメントに連結することにより、合成され得る。本発明のある実施態様では、オリゴヌクレオチドアンカーのような実施する核酸アンカーの位置を定め得、それは、試験領域の表面上または表面内であり、ホトリトグラフまたはシルクスクリーン化学結合、インクジェット技術による配置、キャピラリー、スクリーンまたは液体チャンネルチップ、電極アレイを用いる電気化学的パターニング、ピンまたはクウィルとの接触、またはフィルターの加熱またはUV照射後の変性を含む、任意の様々な通常の技術による(例えば、Rava et al (1996) 米国特許番号5,545,531;Fodor et al (1996) 米国特許番号5,510,270;Zanzucchi et al (1997) 米国特許番号5,643,738;Brennan (1995) 米国特許番号5,474,796;PCT WO 92/10092; PCT WO 90/15070参照)。アンカーを試験領域の表面の上部に置くか、または例えば、表面から幾つかのアンカーを突き出す形態の表面内にはめ込まれたポリアクリルアミドゲルパッドの場合であり、リンカーとの相互作用が可能となる。好ましい実施態様では、実施したオリゴヌクレオチドアンカーは、遊離アミノ基を有する5'末端で誘導される;50mM リン酸緩衝液 pH8.5および1mM EDTAのような緩衝液中、経験的に決定された濃度で溶解する;そして、Pixus nanojet dispenser(Cartesian Technologies)で、約10.4ナノリッターの小滴で、上側表面が新しい乾燥DNA Bind plate(Corning Costar)である試験ウェル内の特定位置に分配する。オリゴヌクレオチド結合および蒸発の相対的な速さに応じて、調製の際にウェルの湿度を調整する必要がある。他の実施態様では、オリゴヌクレオチドアンカーは、試験領域の表面上に、例えば、伸張するオリゴヌクレオチド鎖の光活性化脱保護のような通常の方法を用い、直接合成され得るか、または、ナノジェットディスペンサーを用い、不活性化化合物のナノリッター小滴のパターン化した分配により、合成され得る。例えば、単一ヌクレオチドを受けるすべての伸張配列の脱保護が行われ得、次いで、ヌクレオチドを表面に加える。
【0042】
ペプチド、タンパク質、レクチン、キレート化実施態様、プラスチックおよび他の型のアンカーまたはリンカー部分もまた通常通り作成され得、アンカーは、適当に利用できる技術(例えば、Fondor et al (1996) 米国特許番号5,510,270;Pirrung et al (1992)米国特許番号5,143,854;Zanzucchi et al (1997)米国特許番号5,643,738;Lowe et al (1985) 米国特許番号4,562,157;Niemeyer et al (1994) NAR 22, 5530-5539参照)を用い、表面上または表面内に位置が定められ得る。
【0043】
本発明の幾つかの実施態様では、開示の組合せを、様々なスクリーニング法に用い、および/またはレベル、活性またはプローブもしくは標的分子構造についての情報を得る。そのアッセイはMulti Array Plate Screen(MAPS)法またはアッセイと名付けられ、その表面は、アッセイに使用するアンカーまたはアンカープラスアッセイのアレイを含み、MAPSまたはMAPSプレートと名付けられる。
【0044】
反応混合物、アッセイ、またはスクリーニング方法の内容は、任意の順序で集められる。例えば、アンカー、リンカーおよび標的は連続して集められる;または、レポーターの存在または非存在下、標的およびリンカーを溶液中に集合させ、次いで、アンカーと接触させる。本発明のある実施態様は、少なくとも1つの標的を検出する方法に関係し、
a)当該標的を含むサンプルを、当該標的と当該リンカーとの間の第1のハイブリダイゼーション産物を効率的に得る条件下、オリゴヌクレオチドアンカーに特異的な第1の部分および当該標的に特異的なプローブを含む第2の部分を含む二官能性リンカーと接触させること、
b)当該第1のハイブリダイゼーション産物と当該組合せ[当該組合せには、当該第1のハイブリダイゼーション産物の添加前に、
1)少なくとも2つは実質的に同一な多数の空間的に分離された領域を含む表面、
2)少なくとも8種のオリゴヌクレオチドアンカー(これは、上記領域のそれぞれに含まれる)
が含まれる]との間の第2のハイブリダイゼーション産物を効率的に得る条件下、当該第1のハイブリダイゼーション産物を組合せと接触させること、
c)当該第1のハイブリダイゼーション産物または当該第2のハイブリダイゼーション産物を標識したディテクタープローブと接触させること、
d)当該検出プローブを検出すること
を含む。
【0045】
以下に記載するアッセイまたは方法のそれぞれを、ハイスループット法で実施でき、それは、多数のサンプル(例えば、およそ約864、1036、1536、2025またはそれ以上であり、組合せの領域数に依存する)を各プレートまたは表面上で素早く同時にアッセイする。更に、多くのプレートまたは表面を同時に処理し得る。例えば、薬物探索の方法では、それぞれは薬物候補(例えば、様々な小分子、ペプチド、オリゴヌクレオチドまたは他の物質のような多くのコンビナトリ化学ライブラリー)を含む多くのサンプルを添加し得、既述のように組合せの領域を分離するか、または生物学的または生化学的サンプルに加え、次いで、組合せの領域に分けて加え、そして、領域内に位置するプローブアレイと共にインキュベーションする;ならびにアッセイを各サンプルで行い得る。最近の高密度マイクロプレート、DNAスポッティングツールおよびデンサーマイクロプレート、ロボット、改善ディスペンサー、精巧な検出システムおよびデータ処理ソフトウェアから作成しデータを回収する、レーザー技術のような方法の出現と連続的な開発に伴い、本発明の方法を用い、1日あたり数千または数万またはそれ以上の化合物をスクリーニングまたは分析することができる。
【0046】
例えば、プローブがオリゴヌクレオチドである実施態様では、アッセイは、遺伝的変異または欠損の存在する、多数のサンプルの診断核酸またはポリヌクレオチドスクリーン(screen)(例えば、結合または他のアッセイ)(例えば、嚢胞性繊維症のような疾患に付随する多形または特異的変異、例えばIitia et al (1992) Molecular and Cellular Probes 6, 505-512);病原体(細菌、ウイルスおよび原生動物であり、それらの宿主は動物であり、ヒトまたは植物を含む)、または特定の生理学的状態または疾患を診断するmRNA転写パターンであり得る。ESTの部分を含む核酸プローブ(全長コピーを含む)を用い、ESTが誘導される細胞により生じさせる転写パターン(または他のもの)を評価し得る。核酸プローブはまた、ペプチド、タンパク質、または特定の核酸配列に特異的に結合するタンパク質ドメインを検出し得る(およびその逆)。
【0047】
他の実施態様では、本発明の組合せを用い、例えばタンパク質、核酸、小分子などのような生化学的反応をモニターし得る。例えば、抗原および抗体;レセプター(精製レセプターまたは細胞膜に結合するレセプターのような)およびそれらのリガンド、アゴニストまたはアンタゴニスト;または酵素(プロテアーゼまたはキナーゼのような)およびそれらの基質の相互作用の効率または特異性、または産物に変換する基質量の増加または減少;ならびに他のものである。その生化学アッセイを用い、またはスクリーニングアッセイに基づき、プローブまたは標的の特性解析する。例えば、特定のプロテアーゼの存在するサンプルをスクリーニングするため(例えば、血液凝固中に含まれるプロテアーゼXaおよびVIIaのようなプロテアーゼ)、サンプルを組合せにおいてアッセイし、そのプローブは、目的の各プロテアーゼに特異的な蛍光発生物質である。標的プロテアーゼが基質に結合し、切断するならば、その基質は、通常、切断および2つのエネルギー転位対間の分離の結果として蛍光を発生し、シグナルを検出し得る。他の例では、特定のキナーゼの存在するサンプルをスクリーニングするため(例えば、Src、チロシンキナーゼ、ZAP70)、目的の1つまたはそれ以上のキナーゼを含むサンプルを組合せにおいてアッセイし、そのプローブは目的の1つのキナーゼにより選択的にリン酸化し得るペプチドである。当分野において認識される、通常に決定し得る条件を用い、サンプルを基質のアレイと共に、適当な緩衝液中、および必要な補因子と共に、実験的に決定された時間、インキュベーションし得る(幾つかのアッセイでは、例えば、目的のキナーゼの活性を調節する因子の生化学的研究の場合、各キナーゼの濃度を、各基質が同様の割合でリン酸化されるように調整し得る)。キナーゼおよび望ましくない反応成分を(所望により)取り除くための実験的に決定した条件下、各反応を処理(例えば、洗浄)した後、リン酸化基質は、例えば、蛍光標識抗ホスホチロシンまたは抗ホスホセリン抗体(例えば、約10nM濃度、またはそれ以上、またはそれ未満)のような検出可能試薬と共にインキュベーションすることにより検出し得、そのシグナルを検出し得る。他の例では、結合アッセイを行い得る。例えば、GRB2 SH2またはZAP70 SH2のようなSH2ドメインを、適当なリン酸化ペプチドのプローブアレイ上でアッセイし得る;または血清を、免疫欠損の特定レセプターのプローブアレイ上でスクリーニングし得る。また、酵素連結アッセイをアレイ型で実施し得る。本発明の組合せもまた用い得、野生型対照物よりも活性が高いかまたは低い変異酵素を検出し得るか、または除草剤または農薬を含む様々な試薬をスクリーニングし得る。
【0048】
もちろん、MAPSアッセイを用い、サンプル中の活性標的の量を定量(測定、量の測定)する。ただし、プローブは十分に占有されず、すなわち、利用可能なプローブ部位の約90%以上が標的と結合(または反応またはハイブリダイズ)しない。これら条件下、より多い標的の保有により、より多いプローブの結合を保有する結果となるため、標的を定量し得る。他方で、約90%以上の利用可能なプローブ部位が結合する条件下、より多い標的の保有の存在により、プローブに結合する標的の量は実質的には増加しない。任意の前記の型の標的をこの方法により定量し得る。例えば、実施例6はオリゴヌクレオチド標的の定量について記載する。更に、標的が過剰に存在する場合(例えば、それが多量に存在し、MAPSプローブアレイ中の利用可能なプローブの量が飽和となる場合)、結合混合物に標識していない標的を既知量加えることにより、その多量の標的を定量するため、反応の“感度がシフト”し得る。
【0049】
他の実施態様では、本発明の組合せを用い、標的および所定のプローブの相互作用を修飾する試薬をスクリーニングし得る。プローブ、標的または標的プラスプローブにより形成される複合体の何れかと直接または間接的に相互作用することにより、試薬が標的/プローブ相互作用を修飾し得る。修飾により、様々な型が形成され、プローブに対する標的の結合親和性の増加もしくは減少、標的およびプローブが結合する割合の増加もしくは減少、標的に対するプローブの結合の拮抗的または非拮抗的阻害、またはある場合にはプローブ/標的相互作用を増加もしくは減少するプローブもしくは標的の活性の増加もしくは減少が含まれるが、これらに限らない。その試薬は人工または自然に生ずる物質であり得る。また、その試薬を、不変化の状態で、または他の種類との集合体として用い得る;およびそれらを、結合要素(binding member)と共有結合的にまたは非共有結合的に、直接かまたは特定の結合物質を介して結合し得る。例えば、可能性ある“血液シンナー”、または血液凝固の原因となるプロテーゼの1つのカスケードと相互に作用する試薬を同定するために、目的のプロテアーゼのカクテルを、多量の候補試薬で試験し得、次いで、上記のように活性を試験し得る。本発明により用いられ得る試薬の他の例は非常に多様であり、除草剤および農薬を含む。実施例16および17は、特定のキナーゼを選択的に阻害する試薬、またはSH2ドメインとリン酸化ペプチドの間の相互作用の選択的阻害剤のためのハイスループットアッセイについて記載する。
【0050】
他の態様において、本発明の組合わせは、遺伝子発現のパターンを調節できる試薬のスクリーニングに使用できる。オリゴヌクレオチドのアレイは、例えば、その一連の遺伝子からの発現のパターンが特定の生理学的状態または発育段階、または疾病状態と相関しているmRNA種の同定に使用できる(“相関”遺伝子、RNA、または発現パターン)。“相関的”または“相関”なる用語は、RNAの合成パターンが、細胞の生理学的状態に関連するが、所定のRNAの発現が必ずしも特定の生理学的状態を担うか、それをもたらさないことを意味する。例えば、mRNAの小サブセットは、特定の疾病状態のモデルとして働く細胞の発現、アップコンバートおよび/またはダウンコンバートにより同定され得る;病理学的表現型を示さない、この正常細胞と比較して変えられた発現のパターンは、これらの疾病状態の指標として働くことができる(“指標”遺伝子、RNA、または発現パターン)。“相関的”および“指標”は交換可能に使用できる。例えば、ホルボールミリステートのような腫瘍促進剤で処理した細胞は、腫瘍生育の初期段階に見られるものを模倣した遺伝子発現のパターンを発現し得る。癌の他のモデルにおいて、マウスインスリノーマ細胞(例えば、細胞系TGP61)は、アデノウイルスに感染したとき、例えば、c-JunおよびMIP-2の発現の増加を示すが、一方GAPDHおよびL32のようなハウスキーピング遺伝子の発現は実質的に影響されないままである。
【0051】
疾病モデルの細胞と接触した後、直接的または間接的に、そしてインビボまたはインビトロ(例えば、組織培養において)で、指標発現パターンを変える試薬は、疾病に罹患している生物(例えば、ヒトまたは他の動物種、または植物)の治療薬または薬として作用し得る。薬剤は、また、核酸と接触させて、直接、例えば、インビトロ(試験管)発現系で発現パターンを調節できる。本明細書で使用する限り、“調節”なる用語は測定可能な反応に関与する分子などの量および/または活性の増加または減少をもたらすことを意味する。本発明の組合わせは、このような薬剤のスクリーニングに使用できる。例えば、一連の細胞(例えば、疾病モデル由来)を、一連の薬剤と(例えば、約10分から約48時間またはそれ以上の時間)接触させ、慣用的な、当分野で既知の方法(例えば、商品として入手可能なキット)を使用して、全RNAまたはmRNA抽出物を製造できる。RNAの量の増幅が望ましい場合、RT−PCR増幅のような標準法(例えば、Innis et al.編, (1996) PCR Protocols: A Guide to Methods in Amplification, Academic Press, New York参照)を使用できる。抽出物(またはこれらの増幅産物)を、適当な指標RNAのプローブを含む多くの実質的に同一のアレイと接触(例えば、それとインキュベート)させ、指標発現パターンの変化に関連するこれらの薬剤を同定できる。実施例15は疾病状態と相関する遺伝子の発現を変え得る化合物のスクリーニングのためのハイスループットアッセイを記載する。
【0052】
同様に、特定の生理学的状態または発育段階に関連する薬剤が同定できる。このような薬剤は、人工または天然に存在する物質であり、胚発育または生理学的反応の調節に関連する物質、または農薬または除草剤のような農業で重要な物質のような環境因子を含む。また、このような薬剤はその非変化状態でまたは他の種との凝集で用いることができる;そして、それらを結合メンバーに、直接または特異的結合物質を介して、共有結合的にまたは非共有結合的に結合できる。
【0053】
本発明の他の態様は
a)多分離領域を含み、少なくともその二つが実質的に同一であり、各々の領域が少なくとも8個の異なるアンカー(オリゴヌクレオチド、または本明細書に記載の他のタイプ)を含むものである表面、そして
b)該アンカーの少なくとも一部に特異的な第1部分および該標的の少なくとも一つに特異的なプローブを含む第2部分を有する、少なくとも一つの2官能性リンカー分子を含む容器
を含む、サンプル中の少なくとも一つの標的の検出に有用なキットである。
【0054】
一つの態様において、上記a)のような表面および該アンカーの少なくとも一部に特異的な第1部分および該標的の少なくとも一つに特異的なプローブを含む第2部分を有する2官能性リンカー分子を結合するための一連の指示書が提供される。指示書は、例えば(しかしこれに限定されない)、表面上の各々のアンカーの記載、いくつのアンカーがあるか、そしてそれらが表面のどこに位置するか、および特異的にリンカーをアンカーに結合(会合、結合等)させるプロトコールを含むことができる。例えば、アンカーがオリゴヌクレオチドである場合、指示書は各アンカーの配列を含むことができ、そこから、実施者がアンカーと特異的に相互作用(例えば、ハイブリダイズ)するリンカーの相補的アンカー特異的分子を設計できる;アンカーがペプチドである場合、指示書は、例えば、ペプチドと特異的に作用する抗体に関する情報を伝達できる。指示書は、アンカーおよびリンカーが会合するプロトコール、例えば、インキュベーション温度および時間、非会合分子の除去(例えば、洗浄)のための条件および試薬等のハイブリダイゼーション(または他のタイプの会合)の条件および試薬を含み得る。更に、指示書は、本明細書に記載の任意のタイプのコントロールリンカーの構築および使用における情報、および組合わせで行う定量、標準化、“微調整”または較正アッセイの方法における情報を含むことができる。指示書は、本明細書に記載のパラメーター、条件または態様を包含でき、その全て当業者により慣用的に、慣用法で行うことができる。
【0055】
本明細書の他の箇所で述べたように、アンカーの所定のアレイを含む本発明の表面に広範な型のリンカーを付着せしめて、広範なプローブアレイのいずれかをプログラミングできる。さらに、本発明の表面から所定の組のリンカーを離脱せしめ、表面に他の組のリンカーを付着せしめて(第一の組と同じかまたは異なる)、所定の表面を何回も再利用することが可能となる。この柔軟性および再利用性は本発明の別の利点である。
【0056】
他の態様において、本発明の組合わせを用いて、EST(発現配列タグ)を位置付けできる。すなわち、MAPSアッセイを用いて、EST群のどれが同じ遺伝子の異なる(または部分的に重なる)部分からつくられたか、およびどれが非反復かを(これらが存在すれば)決定できる。図18、19、20、21は、このようなアッセイを示す。この例において、アッセイで16のESTのどれが共通遺伝子に“結合”しているかを(これが存在すれば)決定する。アッセイの第1工程(参照、図18)ではアレイが集合され、位置付けしようとする各ESTが、その対応する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブにより提示される。位置付けしようとするESTの数に等しい(または多い)数のアレイが表面の単離領域(例えば、ウェル)に分散している。表示例において、組合わせの表面は16のウェルを含み、各ウェルが16種のEST特異的オリゴヌクレオチド、番号1-16、を含有する。ESTに“対応する”(EST“特異的”な)オリゴヌクレオチドとは、1つのESTに十分に相補的であって、選択されたストリンジェントなハイブリダイゼーション条件で、そのESTに特異的にハイブリダイズし、他の非関連ESTとはハイブリダイズしないオリゴヌクレオチドである。この型のEST対応オリゴヌクレオチドが特異的に(最適の条件下で)結合できるのは、ESTを本来生成した遺伝子から合成されたcDNAのコード鎖または非コード鎖、またはESTを本来生成した遺伝子から合成されたmRNAである。オリゴヌクレオチドの設計で考慮されるべき要因および特異的ハイブリダイゼーションをなすための最適化ハイブリダイゼーションパラメーターについては、本明細書の別の箇所で述べる。
【0057】
アレイを集合するために、リンカー分子を調製する。各リンカー分子は、一般的アレイの1アンカーに特異的な部分に加えて、位置付けしようとするESTの1つに対応するオリゴヌクレオチドプローブ含有の部分を含む。リンカーのアンカーへの付着については、本明細書の他の箇所で述べる。次の工程において、核酸混合物(例えば、mRNA、または1本鎖または変性cDNA)を含有するサンプルのアリコートをプローブアレイを含む各領域(ウェル)に加える。核酸混合物は、1以上のオリゴヌクレオチドプローブに相補的な配列を含有し得る。次いで、混合物を通常の最適条件でインキュベートすると、核酸が相補的なプローブに結合する。いくつかのEST特異的プローブが1本鎖核酸の異なる部分に相補的である場合、核酸は、これらのプローブの1つが位置するアレイの各位置に結合する。
【0058】
次の工程において、別個のディテクターオリゴヌクレオチド(表示例ではディテクター#1-16)を各領域(ウェル)に加える(参照、図19)。ディテクターオリゴヌクレオチドの設計は、位置付けしようとする各ESTについて行う。各EST特異的ディテクターがESTの異なる(少なくとも部分的には非重複の)部分に対応するのは、プローブオリゴヌクレオチドが対応するのよりも大きいので、プローブとディテクターの各オリゴヌクレオチドは互いに干渉しない。例えば、図21に表すESTは、図18-20のEST1、2および6に対応する。図21に表示するように、EST#1および2の両者は遺伝子Xから得られ(両者に“結合”している)、一方、EST#6は別の非関連遺伝子から得られた。mRNA混合物含有のサンプルのアリコートが遺伝子Xからつくられた混合物を含み、それを図18-20に示すプローブアレイとインキュベートしたとき、遺伝子XmRNAは、最適条件において、プローブ1および2を持つ位置でハイブリダイズするが、プローブ6を持つ位置ではハイブリダイズしない。(もちろん、各mRNAは、そのハイブリダイズできるプローブの量以上の分子過剰で加えねはならない)。ディテクターオリゴヌクレオチド1を領域(ウェル)1に加えた場合、このオリゴヌクレオチドは、プローブアレイの位置1および2で結合した遺伝子XmRNAとハイブリダイズするが、位置6のものとはしない。同様に、ディテクターオリゴヌクレオチド2を別のウェル、例えばウェル#2に加えると、このオリゴヌクレオチドは位置1および2で結合するが、位置6ではしない。このようにして、どのESTが結合するのか、すなわち同じ遺伝子の部分をコードするのか、どのESTが非反復であるのか、を決定できる。
【0059】
図20に示す仮定的例において、最初の3つのESTは同じ遺伝子の部分をコードし、最後の5つのESTは他の遺伝子の部分をコードし、残りのESTは結合されないようである。ハイブリダイゼーション条件、最適洗浄工程、検出方法などについては、MAPSアッセイに関する本明細書の他の箇所で述べる。MAPSアッセイにより得た結合データを確認するためには、PCR反応を行い、センスおよびアンチセンスプライマーとして対のEST特異的オリゴヌクレオチドプローブを用いる。各対の結合ESTがPCR産物を産生する。この対的PCR試験によって、結合MAPSアッセイを用いずに直接的に結合を調べることができる。しかし、多数の反応を必要とするかも知れないし、また、各ESTプライマーをセンスおよびアンチ両方の鎖として合成しなければならないかも知れない。表示例では、180の反応を必要とするであろう。
【0060】
1つの態様において、本発明は、複数のESTのどれが所定の核酸に相補的であるかを決定する方法であって、下記の事項を含む。
a)オリゴヌクレオチドプローブ(この少なくとも1つは該ESTの各々に対応する)の固定化アレイを、該所定の核酸を含有し得る試験サンプルとインキュベートし、該オリゴヌクレオチドプローブと該核酸とのハイブリダイゼーション産物を得る、
b)該ハイブリダイゼーション産物をディテクターオリゴヌクレオチド(該オリゴヌクレオチドの1つが対応するESTに対応するが、ESTの異なる部分に対して該オリゴヌクレオチドプローブよりも特異的である)とインキュベートし、
c)該アレイのどのオリゴヌクレオチドプローブが該ディテクターオリゴヌクレオチドにより標識されたかを検出する。
【0061】
なお、オリゴヌクレオチドプローブの該アレイは組合わせの領域上に固定化されている。該組合わせは下記を含む。
1)調べようとするESTの数に等しい数の、空間的に分離され実質的に同一の領域をもつ表面を含み、各領域が、
2)調べようとするESTの数に等しい数の、異なるアンカーを含み、各アンカーが、
3)アンカーに特異的な第1部分、および少なくとも1つの該ESTに対応するオリゴヌクレオチドプローブを含む第2部分を有する2官能的リンカーと結合している。
【0062】
他の態様において、本発明は上記のような方法に関し、ただ、1以上の該ESTが該核酸に相補的であり得、かつ該ESTの各々が2の異なるオリゴヌクレオチド配列を含み、その第1は該ESTに対応するオリゴヌクレオチドプローブであり、その第2は概ESTに対応するディテクターオリゴヌクレオチドであり、下記事項を含む。
【0063】
a)該核酸分子を含むサンプルを組合わせの少なくとも1つの領域に接触せしめ、なお、該領域はオリゴヌクレオチドプローブ(そのうち少なくとも1つは該ESTの各々に対応する)のアレイを含み、
b)該サンプルを該領域とともにインキュベートし、それによって該核酸分子を、該核酸部分に相補的な該EST対応オリゴヌクレオチドプローブに結合せしめ、
c)1以上の該EST対応オリゴヌクレオチドプローブに結合した該核酸分子を含む概領域を、該アレイの所定の1つのオリゴヌクレオチドプローブが対応するESTに対応するディテクターオリゴヌクレオチドとともにインキュベートし、それによってディテクターオリゴヌクレオチドを、該所定のオリゴヌクレオチドプローブまたは該核酸に相補的な他のオリゴヌクレオチドプローブに結合している核酸分子に結合せしめ、
d)該ディテクターオリゴヌクレオチドの存在を検出し、それによって該アレイのどのEST対応オリゴヌクレオチドプローブが、該所定のオリゴヌクレオチドEST対応プローブに結合する核酸の部分に相補的であるかを検出し、それによってどのESTが該所定の核酸に相補的かを同定する。
【0064】
なお、オリゴヌクレオチドプローブの該アレイは組合わせの領域上に固定化されている。該組合わせは下記を含む。
1)調べようとするESTの数に等しい数の、空間的に分離され実質的に同一の領域をもつ表面を含み、各領域が、
2)調べようとするESTの数に等しい数の、異なるアンカーを含み、各アンカーが、
3)アンカーに特異的な第1部分、および少なくとも1つの該ESTに対応するオリゴヌクレオチドプローブを含む第2部分を有する2官能的リンカーと結合している。
【0065】
EST位置付けアッセイの成分は、いかなる順序でも集合せしめ得る。例えば、アンカー、リンカーおよびESTを順次集合せしめ得る。あるいは、リンカーおよびESTをレポーターの存在または不存在で溶液中で集合せしめ、次いでアンカーに加える。
【0066】
別の態様において、本発明は、複数のどのESTが所定の核酸に相補的かを決定する方法に関し、下記の事項を含む。
a)2官能的オリゴヌクレオチドリンカー分子の集合体(その各々が、少なくとも1つの該ESTに対応するプローブである第1部分、およびアンカーオリゴヌクレオチドに特異的な第2部分を含む)を、該所定の核酸を含有し得る試験サンプルとインキュベートして、該オリゴヌクレオチドと該核酸との第1ハイブリダイゼーション産物を得、
b)該第1ハイブリダイゼーション産物をアンカーオリゴヌクレオチド(各アンカーオリゴヌクレオチドは少なくとも1つの該リンカー分子のアンカー特異的部分に対応している)の固定化アレイとインキュベートして、該アンカー、該オリゴヌクレオチドプローブおよび該核酸を含む第2ハイブリダイゼーション産物を形成し、
c)該第1または該第2のいずれかのハイブリダイゼーション産物をディテクターオリゴヌクレオチド(該オリゴヌクレオチドの1つが対応するESTに対応するが、ESTの異なる部分に対して該オリゴヌクレオチドプローブよりも特異的である)とインキュベートし、
d)該アレイのどのオリゴヌクレオチドプローブが該ディテクターオリゴヌクレオチドにより標識されたかを検出する。
【0067】
なお、アンカーオリゴヌクレオチドの該アレイは組合わせの領域上に固定化されている。該組合わせは下記を含む。
1)調べようとするESTの数に等しい数の、空間的に分離され実質的に同一の領域をもつ表面を含み、各領域が、
2)調べようとするESTの数に等しい数の、異なるアンカーを含む。
【0068】
勿論、ESTを位置付けするための上記方法は、試験配列(例えば、ポリヌクレオチド)を目的の任意の核酸中へ位置付けするのに使用できる。例えば、2以上のクローン化DNAフラグメントまたはcDNAが同じゲノムDNAに位置付けされるかを調べることができる。このような方法が役立ち得るのは、例えば、長い複雑な遺伝子の構造的解明おいてである。同様に、1以上の継ぎ合わせた配列またはコード配列が同じゲノムDNAに位置付けされるかを調べることができる。このような決定をなし得るのは、例えば、診断試験においてであって、分化スプライシングパターンを特徴とする正常状態と疾患状態とを識別する。位置付け方法の他の多くの適用については、当業者に明かであろう。
【0069】
他の態様において、本発明は、複数のポリヌクレオチドのどれが所定の核酸に相補的てあるかを決定する方法に関し、
なお、1以上の該ポリヌクレオチドが該核酸に相補的であり得、かつ該ポリヌクレオチドの各々が2の異なるオリゴヌクレオチド配列を含み、その第1は該ポリヌクレオチドに対応するオリゴヌクレオチドプローブであり、その第2は該ポリヌクレオチドに対応するディテクターオリゴヌクレオチドであり、下記事項を含む。
a)該核酸分子を含むサンプルを組合わせの少なくとも1つの領域に接触せしめ、なお、該領域はオリゴヌクレオチドプローブ(そのうち少なくとも1つは該ポリヌクレオチドの各々に対応する)のアレイを含み、
b)該サンプルを該領域とともにインキュベートし、それによって該核酸分子を、該核酸部分に相補的な該ポリヌクレオチド対応オリゴヌクレオチドプローブに結合せしめ、
c)1以上の該ポリヌクレオチド対応オリゴヌクレオチドプローブに結合した該核酸分子を含む該領域を、該アレイの所定の1つのオリゴヌクレオチドプローブが対応するポリヌクレオチドに対応するディテクターオリゴヌクレオチドとともにインキュベートし、それによってディテクターオリゴヌクレオチドを、該所定のオリゴヌクレオチドプローブまたは該核酸に相補的な他のオリゴヌクレオチドプローブに結合している核酸分子に結合せしめ、
d)該ディテクターオリゴヌクレオチドの存在を検出し、それによって該アレイのどのポリヌクレオチド対応オリゴヌクレオチドプローブが、該所定のオリゴヌクレオチドポリヌクレオチド対応プローブに結合する核酸の部分に相補的であるかを検出し、それによってどのポリヌクレオチドが該所定の核酸に相補的かを同定する。
【0070】
なお、オリゴヌクレオチドプローブの該アレイは組合わせの領域上に固定化されている。該組合わせは下記を含む。
1)調べようとするポリヌクレオチドの数に等しい数の、空間的に分離され実質的に同一の領域をもつ表面を含み、各領域が、
2)調べようとするポリヌクレオチドの数に等しい数の、異なるアンカーを含み、各アンカーが、
3)アンカーに特異的な第1部分、および少なくとも1つの該ポリヌクレオチドに対応するオリゴヌクレオチドプローブを含む第2部分を有する2官能的リンカーと結合している。
【0071】
本発明の別の態様において、ESTなどのポリヌクレオチドを位置付けする上記方法は、1以上の工程間でサンプルの非結合部分を離脱せしめることをさらに含む。
本発明の別の具体的態様において、目的の1以上のRNA標的(例えば、mRNAや他の型のRNA)を逆転写酵素によってcDNAに変え、このcDNAをプローブアレイにハイブリダイズする。この型のアッセイは図8に模式的に示した。RNA抽出物(または精製mRNA)を本明細書で述べるように細胞または組織から調製する。次いで、逆転写酵素および目的のRNAに特異的なオリゴヌクレオチドプライマーをRNAサンプルに加え、技術分野で認識の条件および手法(日常的に決定および最適化できる)を用いて、cDNAの第1鎖をつくる。用語“特異的”プライマーは、目的のmRNAに十分相補的であって、それに選択したストリジェントなハイブリダイゼーション条件で結合し、逆転写酵素で認識されるが、望ましくない核酸と結合しないものを意味する(特異的ハイブリダイゼーションが達成される適当な反応条件については、上記の記述を参照)。残りのRNA-特異的プライマーにより認識されなかったmRNA、および/またはRNA抽出物中の他の型の汚染性RNA、例えばtRNAまたはrRNA-は、種々のリボヌクレアーゼのいずれかにより、またはアルカリ処理などの化学的方法により除去でき、1本鎖cDNAが残り、これをMAPSプローブアレイと接触せしめる。この方法で逆転写酵素を用いると、RNAを多量に取り扱う必要を最低にする。RNAはヌクレアーゼによる変性に感受性であり、したがって扱いが難しい。さらに、特異的逆転写酵素プライマーにより生じた追加の特異性がアッセイに対する追加層の特異性をもたらす。
【0072】
選択的に、上記のcDNAをプローブアレイとのハイブリダイゼーションの前に増幅して、シグナルの長さを増すことができる。上記のオリゴヌクレオチド逆転写プライマーは、その5’末端に、RNAポリメラーゼ(例えば、T7、T3またはSP2ポリメラーゼなど)の開始部位を特定する配列(約22-27ヌクレオチド長であり得る)を含み得る。図8に示す例においては、T7プロモーター配列が逆転写酵素プライマーに加えられている。ポリメラーゼ認識部位はcDNA中に組込まれて、適当なRNAポリメラーゼによる多領域の転写(インビトロ転写またはIVT)についての認識部位として働き得る。選択的に、このようにつくられたmRNAを、PCRおよび適当なプライマーを用いて、増幅でき、またはcDNA自体を増幅できる。転写およびPCRの技法は、日常的に行われており、既知である。
【0073】
PCRの柔軟性は、本発明の方法における多くの変法を可能にする。一つの実施態様において、標的の増幅に使用する1個または両方のPCRプライマーは、得られるPCR産物が、特異的または非特異的に、固体支持体に結合するのを可能にする。このような化学修飾は、例えば、コースターDNA結合プレート(例えば、N−オキシスクシンイミドエステルで修飾された、またはPierce, Rockford, ILのPeacti-Bindプレートのようなマレイン酸無水物被覆プレート)のような表面に結合をさせる5'アミド化を含む。そのような化学修飾を含むオリゴヌクレオチドを産生させる方法は、当分野で通常であり、慣用である。このような修飾プライマーを含むPCR生産物は、固体支持体、例えば、マイクロタイターウェルの内壁、ビーズ(例えば、非磁気または磁気ビーズ)を含む任意の支持体、または本明細書に記載の任意のタイプの表面に結合できる。もちろん、PCRプライマーはまたPCR反応を開始する前に支持体に結合できる。PCRの数回のサイクルを、洗浄無しで、しかし過剰の結合プライマーででき、得られたPCR産物は支持体に結合したままである。増幅標的配列の支持体への結合は、アンカーおよび/またはリンカーを含む表面に接触(例えば、ハイブリダイズ)する前、または接触した後の標的の洗浄を容易にでき、次いでそのような表面から遊離される。
他の実施態様において、標的の増幅に使用した1個または両方のPCRプライマーは、1個以上の制限酵素部位を含み得、目的の標的配列の末端またはフランキングの隣に制限部位を挿入することを可能にする。制限部位はPCRにより、それがアンカーおよび/またはリンカーを含む表面に接触(例えば、ハイブリダイズ)する前または後に増幅した標的に添加できる。この方法で挿入した制限部位は、例えば、標的配列にフランキングなクローニング部位を提供することにより、増幅した標的のクローニングを促進する。例えば、1個以上の制限部位を、PCRプライマーにおいて標的特異的配列と支持体への結合をさせる化学修飾の間に置くことがでる。標的を、修飾PCRプライマーを使用してPCR増幅させ、そして化学修飾を介して支持体に結合させた後、洗浄し、次いで標的配列に隣接した制限部位を開裂させ、それにより洗浄標的を遊離できる。例えば、図23参照。
【0074】
もちろん、制限酵素部位以外の開裂可能部位、例えば、特異的プロテアーゼにより開裂できるペプチド、または物理的、化学的または他の手段により開裂および/または放出される他の要素を上記の方法に使用できる。
他の実施態様において、標的の増幅に使用した1個または両方のPCRプライマーは、例えば、標的特異的レポーターまたは検出リンカーに特異的な配列(標的に存在する必要なない)を含み得る。
【0075】
もちろん、上記のプライマー修飾を、任意の望ましい組合わせにおいて共に使用でき、アッセイの任意の段階で増幅した生産物に添加できる。実施例21および22は、上記のプライマー修飾の幾つかが増幅標的に取り込まれたプロトコールを証明する。
【0076】
上記の方法においてmRNAを逆転写酵素でcDNAに転換し、および/またはPCRにより増幅し、MAPSプレート上のアッセイにかけるが、この方法は、上記のRNAに基づくすべてのアッセイについての標準MAPSアッセイ法の代わりに用いることができる。
【0077】
本発明の他の具体的態様において、目的の1以上の核酸標的を特異的ポリヌクレオチド保護フラグメントにハイブリダイズし、ヌクレアーゼ保護処置を行う。目的の標的にハイブリダイズした保護フラグメントをMAPSプレートでアッセイした。目的の標的がRNAであり、保護フラグメントがDNAであると、ヌクレアーゼ保護/MAPSアッセイ(NPA-MAPS)がRNAを多量に取り扱う必要を最低にできる。RNAはヌクレアーゼによる変性に感受性であり、したがって扱いが難しい。このようなNPA-MAPSアッセイにおいて、プローブアレイ中のプローブは、目的の核酸標的と同じ鎖数のオリゴヌクレオチドであり、標準MAPSアッセイなどにおいて、むしろ核酸標的に相補的である。NPA-MAPSアッセイの1例を図9に模式的に示す。
【0078】
NPA-MAPSアッセイにおいて、目的の標的は、すべての核酸、例えば、ゲノムDNA、cDNA、ウイルスDNAまたはRNA、rRNA、tRNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、核酸フラグメント、修飾核酸、合成核酸などであり得る。本発明の好ましい具体的態様において、このアッセイが用いられるのは、組織または細胞のRNA抽出物中に存在する1以上のmRNA標的である。目的の標的を含有するサンプルは、選択されたストリンジェント条件(特異的ハイブリダイゼーションを達成するのに適当な反応条件については上記参照)で1以上の特異的保護フラグメントと最初にハイブリダイズせしめる。保護フラグメントは、ポリヌクレオチドであって、例えば、RNA、DNA(PCR産物を含む)、PNA、修飾または置換の核酸であり得て、目的の核酸標的部分に特異的である。“特異的”保護フラグメントとは、その意図する結合相手と十分に相補的であり、選択されたストリンジェント条件でそれと結合するが、他の意図していない核酸とは結合しないポリヌクレオチドを意味する。保護フラグメントは、長さが少なくとも10ヌクレオチド、好ましくは50から約100、または完全長のcDNAと同じであり得る。
【0079】
好ましい具体的態様において、保護フラグメントは1本鎖DNAオリゴヌクレオチドである。100以上の標的に特異的である保護フラグメントが1回のハイブリダイゼーション反応に含まれることがある。ハイブリダイゼーション後にサンプルを1以上のヌクレアーゼのカクテルで処理し、実質的にすべての核酸を破壊する。ただし、目的の核酸にハイブリダイズした保護フラグメント、および(選択的に)ハイブリダイズし、ヌクレアーゼ保護処理の間にヌクレアーゼ消化から保護された核酸標的部分(二本鎖ハイブリッド中にある)は、別であって破壊されない。例えば、もしサンプルが細胞抽出物を含むと、望まない核酸、例えば、ゲノムDNA、rRNA、tRNA、mRNAなどの目的のもの以外は、この工程で実質的に破壊される。多様なヌクレアーゼのいずれをも用いることができ、例えば、膵臓RNAse、ヤエナリヌクレアーゼ、S1ヌクレアーゼ、RNAseA、リボヌクレアーゼT1、エキソヌクレアーゼIIIなどを含むが、ハイブリダイズされた複合体およびサンプル中の望ましくない核酸の性質に依存する。RNAseHは、DNA保護フラグメントに結合した残留RNAを消化するのに特異的に有用である。これらの酵素についての反応条件は、既存の技術でよく知られており、経験的に最適化できる。また、化学的処理もでき、例えば、RNAのアルカリ加水分解である。
【0080】
必要に応じて、サンプルを周知技術でさらに処理して、不ハイブリダイズ材料を除去するか、および/または残りの酵素を不活化または除去することができる(例えば、フェノール抽出、沈降、カラム濾過など)。ハイブリダイゼーション過程は、ヌクレアーゼ消化および(選択的に)化学的変性が続き、ヌクレアーゼ保護法と呼ばれる。様々なヌクレアーゼ保護法が報告されている(参照、例えば、Lee et al (1987), Meth. Enzymol. 152, 633-648. Zinn et al (1983), Cell 34, 865-879)。ヌクレアーゼ保護処理をしたサンプルは、選択的なヌクレアーゼを不活性化処理をした後、MAPSプローブアレイと接触せしめ、MAPSアッセイの通常の工程を行う。結合保護フラグメントを標識標的特異的レポーターとのハイブリダイゼーションで、標準的MAPSアッセイについて本明細書に記載のように検出でき、または保護フラグメント自体を検出可能な分子で共有結合的または非共有結合的に標識できる。
【0081】
好ましい具体的態様において、保護フラグメントは、標的特異的レポーターとのハイブリダイゼーションなどで標識するよりも、直接的に標識する。例えば、レポーターは保護フラグメントにリガンド-抗リガンド相互反応によって結合する。例えば、ストレプトアビジン酵素複合体をビオチン化保護オリゴヌクレオチドに加える。他の実施例において、保護フラグメントを化学的に修飾し(例えば、ホースラディシュペルオキシダーゼ(HRP)または蛍光染料の直接結合による)、この化学的修飾を、保護フラグメントの核酸部分で、またはそれなしで検出する(例えば、酵素的または化学的処理などによる修飾の開裂後)。上記方法のいずれにおいても、保護フラグメントは、対応リンカー分子とハイブリダイズする前または後に、標識できる。
【0082】
ヌクレアーゼ保護過程が適切に働くこと、すなわち非ハイブリダイズ核酸が望むように消化されることを制御するために、1以上の保護フラグメントを設計して、過程が適切に作動すればヌクレアーゼにより開裂されるオーバーハング(非ハイブリダイズ)セグメントを含有せしめる。オーバーハングフラグメントの有無を相補的標識検出プローブとのハイブリダイゼーションで検出でき、または保護フラグメントのオーバーハング部分自体を検出可能な分子で共有結合的または非共有結合的に標識できる。この制御は、サンプルをプローブアッセイと接触せしめる前、あるいはMAPSアッセイ自体の一部として行うことができる。かかる制御アッセイの例は実施例15に記載する。勿論、異なる標識を容易に識別できるので(例えば、異なる吸収スペクトルの蛍光)、いくつかの異なる標識オリゴヌクレオチドを単一のアッセイに含め得る。さらに、ゲル電気泳動による解析のような標準ヌクレアーゼ保護アッセイを、保護フラグメントが期待どおりに進められているかを調べるために、アッセイ中に使用できる。
【0083】
標的の検出後、検出プローブ(例えば、HRP−標識)シグナルを除去(例えば、変性、消滅、停止、抑制、遮断)でき、プレートを洗浄して、次段階を干渉する可能性がある残った試薬、薬剤または緩衝液(例えば、変性剤)を除去し、次いで異なる検出プローブ(例えば、またHRP−標識)でオーバーハングを検出できる。
【0084】
NPA-MAPSアッセイを用いて、サンプル中の標的量を定量できる。もし、保護フラグメントが標的に対し非常に分子過剰で加えられ、ハイブリダイゼーション反応が完了すると、ヌクレアーゼ保護工程後に残る保護フラグメントの量はサンプル中にどれほどの標的が存在していたかを示す。このような定量反応の1例を実施例12および13に記載する。
NPA-MAPSアッセイを用いて、標準MAPSアッセイを利用する上記の方法のいずれも行い得る。
【0085】
好ましい具体的態様において、ポリヌクレオチド保護フラグメントをMAPSプレート上よりも質量分析計で測定する。最も好ましい具体的態様において、ポリヌクレオチドのいずれもハイブリダイゼーションまたはヌクレアーゼ消化工程中に固相表面に結合(付着)される。ハイブリダイゼーション後、保護フラグメントを残してハイブリダイズ標的をヌクレアーゼまたは化学処理などにより分解し、直接比率で、どれほどのフラグメントが標的にハイブリダイズしていたかがわかる。あるいは、標的の(1本鎖)ハイブリダイズ部分、またはハイブリダイズ標的および保護標的から形成された表面を残すように処理し、さらに分析する。分析すべきサンプルをハイブリダイゼーションおよびヌクレアーゼ混合物の残りから分離し(例えば、エタノール沈降、または吸収またはアフィニティクロマトグラフィーなど)、溶出または固定化し、高い情報量のためにループ注入により質量分析計に入れる。好ましい具体的態様において、分析しようとするサンプル(例えば、タンパク質フラグメント)を、よく知られた既知技術で、表面に吸着し、レーザー照射により解析する。最も高感度のためには、フーリエ変換質量分析法(FTMS)(または他の類似の高度な技法)用いることができ、フェムトモル以下の各保護フラグメントを検出できる。
【0086】
一つ(またはそれ以上)のサンプルで検出する保護フラグメントは、使用するマススペクトロメーターに関して独得なシグナルを与えるように設計できる。一つの態様において、保護フラグメントは各々ハイブリダイゼーションおよびヌクレアーゼ処理後に独得な分子量を有し、特徴的イオン化および分裂パターンがその濃度の測定に十分である。より感受性を得るためにまたは複合体混合物の分析を助けるために、保護フラグメントを、明確な独得なシグナルを与えるために化学部分で修飾(例えば、誘導体化)できる。例えば、各保護フラグメントは、鎖のハイブリダイズ部分に沿った1個またはそれ以上の位置でアミド結合を介してオリゴヌクレオチド鎖に結合した異なる天然または非天然アミノ酸で誘導体化できる。適当なエネルギーのマススペクトロメーターで、分裂はアミド結合で起き、アミノ酸の特徴的割合を放出する。中程度のサイズ(おおまかに80から200分子量)の化学部分を質量分析的タグとして使用するこの種の試みは、このサイズの分子が一般に検出が容易であるため、望ましい。他の例において、化学修飾は、例えば、アミノ酸のような他の分子を例えば誘導体化できるようなテトラアルキルアンモニウム基のような、定義された質量分析的シグナルを有する有機分子である。他の例において、陽性または陰性イオンシグナルが多くの試薬との反応により促進される。例えば、陽性イオン検出を促進するために、ピリリウム塩(例えば、2,4-ジチエニル、6-エチルピリリウムテトラフルオロボレートまたは多くの他のもの)とアミンを反応させ、ピリジウム塩を形成できる;多くの他の促進剤が他の陽性荷電官能基の形成に使用できる(例えば、Quirke et al. (1994) Analytical Chemistry 66, 1302-1315参照)。同様に、多くの当分野で既知の試薬と反応させ、陰性イオン促進種を形成できる。化学修飾は、もちろん、核酸からの開裂後に、または核酸との会合中に検出できる。各保護フラグメントを別々の方法で同定できるようにすることにより、多数の異なる標的(例えば、2、6、10、16またはそれ以上の異なる標的)を1回のアッセイでアッセイ(例えばスクリーニング)可能にする。多くのこのようなアッセイが、速くそして容易に行うことができる。このようなアッセイまたは一連のアッセイは、したがって、本明細書で定義のハイスループットで行うことができる。
【0087】
オリゴヌクレオチドがその質量により直接検出されるか、または独得な分子タグを使用するかどうかに関係なく、検出する各分子のシグナルは既知の濃度の純粋調製物において十分特徴付けされる。これは、定量する(測定する、定量する)ためのシグナルの正確性を可能にする。マススペクトロメトリーにより検出する分子に関し、強度およびプロフィールは正確に予期できない。分子がイオン化する傾向、分子内の全ての化学結合の分裂への感受性、各断片が複合荷電されているか、一荷電かの程度は、全て予期するには複雑すぎる。しかし、固定されたエネルギーおよびサンプル取扱い特性の装置では、シグナルの強度およびプロフィールは非常に再現性である。これゆえ、各プローブにおいて、シグナルは純粋な標準により特徴付けでき、実験的シグナルは、正確に量が判断される。
【0088】
一つの態様において、本発明は目的の1個またはそれ以上の核酸を検出する方法に関し、目的の核酸を含むサンプルを1個またはそれ以上の保護フラグメントのヌクレアーゼ保護に付し、ハイブリダイズした二本鎖分子、または保護された核酸または保護フラグメントをマススペクトロメトリーで検出することを含む。
【0089】
マススペクトロメトリーによる核酸の分析法は当分野で既知である。例えば、Alper et al. (1998), Science 279, 2044-2045およびKoster, U.S. Pat. No. 5,605,798号参照。
種々の上記のハイスループットアッセイに加えて、多くの他のものが当業者に明白である。
【0090】
マルチプローブアッセイを使用する利点は、各プローブアレイにおいて、実際の実験プローブと同じ反応条件下に付す、多くの“コントロール”プローブを包含できる能力である。例えば、アレイの各領域は、ポジティブおよび/またはネガティブコントロールを含むことができる。“ポジティブコントロールプローブ”なる用語は、本明細書で、例えば、実質的に標的と相互作用するか、または定量的にもしくは定性的に既知の方法で相互作用し、それにより、プローブ/標的相互作用の(内部)標準として働くことが既知のコントロールプローブを意味するために使用する。“ネガティブコントロールプローブ”なる用語は、本明細書で、実質的に標的と相互作用しないことが既知のコントロールプローブを意味するために使用する。このようなプローブは、例えば、ハイブリダイゼージョン特異性を統制できる。用いることができるこのタイプのコントロールの例として、オリゴヌクレオチドプローブのアレイを、疾病の一連の相関遺伝子の発現を調節する薬剤のスクリーニングに使用するアッセイが考慮される。各サンプルの溶解細胞の数、mRNAの回収、またはハイブリダイゼージョン効率の可変性の内部標準化コントロールとして、プローブアレイは、1個またはそれ以上の基底レベルまたは、その発現が試験する薬剤により調節されることが予期されない構造遺伝子(例えば、アクチン、チューブリンその他)またはDNA結合タンパク質(例えば、転写調節因子その他)のような構成的ハウスキーピング遺伝子に特異的なプローブを含むことができる。更に、その試験した薬剤が、細胞死または毒性のような望ましくない副作用をもたらすかを測定するために、プローブアレイはアポトーシス(計画細胞死)プロセスの一部として誘導されることが既知の遺伝子に特異的な、または細胞外傷(例えば、ヒートショックタンパク質)または細胞毒性(例えば、p450遺伝子)の条件下に誘導されるプローブを含むことができる。
【0091】
他のコントロールプローブは、アッセイの感受性の“微調整”のためにアレイに包含されることができる。例えば、特定の疾病状態に関連するmRNAの産生を調節する薬剤のためのアッセイを考慮する。分析で、ある組の相関的mRNAの一つ(mRNA-Aと言う)が、そのシグナルが他のmRNAを圧倒するように他のものに比べて多量に産生されることが示される場合、リンカーは、シグナルの強度を同等にするためにアッセイを“微調整”できる。mRNA-A標的のために設計したアンカー特異的オリゴヌクレオチド配列を含むが、プローブ特異的配列を欠く“遮断リンカー”は、標的特異的リンカーのプールの希釈のために添加でき、従ってmRNAに対する活性の感受性を減少させる。遮断および非遮断リンカーの適当な比率は、当業者により、日常的な慣用法により決定できる。
【0092】
活性要素を不活性要素で希釈することによる、特定の標的のアッセイの“微調整”は、またアッセイの別の段階で行うことができる。例えば、標識、標的特異的レポーターを、“不活性”標的特異的レポーター、例えば、同じ標的特異的部分(例えば、オリゴヌクレオチド配列)であるが、シグナル伝達物体なし、またはシグナル伝達物体の不活性化または不活性形のもので希釈することにより検出のレベルで行うことができる。本明細書で使用する“シグナル伝達物体(signaling entity)”なる用語は、標識、タグ分子または検出可能なシグナルを放出する、またはそのようなシグナルを産生できる物質、例えば、蛍光分子、発光酵素、または本明細書に記載の種々のシグナル伝達物質である。特に好ましい実施態様において、“微調整”は、標的含有複合体を検出リンカー(検出リンカーは、下記、例えば、複合体サンドイッチタイプ検出法に関するセクション、実施例23および図24において記載)に接触させる段階を含む。検出リンカーのセットは、例えば、アッセイにおける各個々の標的の感受性の微調整のために設計できる。例えば、特定の標的がサンプル中に非常に高レベルで存在することが知られている場合、標的のための検出リンカーを経験的に測定可能な量の、標的特異的部分(例えば、オリゴヌクレオチド配列)を含むが、レポーター試薬に特異的な部分はないか、または標的特異的部分と、不活性レポーター試薬に予め結合したレポーター試薬特異的部分を含む、“遮断検出リンカー”で希釈することができる。即ち、レポーター試薬に特異的な部分を含む変わりに、その部分は無くてもよく、またはレポーター試薬との相互作用(例えば、ハイブリダイズ)が防止(例えば、遮断)されている。このような微調整は、ある場合、本明細書で、シグナル“弱化”と呼ぶ。
【0093】
本発明のアッセイで試験するサンプルは、上記の標的または他のものを含み得る。アッセイする液体サンプルは、試験領域のサイズに適当な用量であり得、約100ナノリットルから約100マイクロリットルの範囲である。好ましい態様において、約1マイクロリットルの液滴を1536ウェルマイクロタイター皿の各ウェルに適用する。サンプルを、ハイスループット分析に適した種々の方法により、例えば、ピペット輸送、インクジェットベースの分散または反復ピンツールにより、プローブアレイと接触させて置くことができる。サンプルをプローブと標的の結合または他の適当な相互作用を達成するための有効な条件下(例えば、塩濃度、pH、温度、インキュベーション時間等、上記参照)でインキュベートする。これらの条件は、慣用的に決定できる。インキュベーション後、サンプルを所望により処理し(例えば、洗浄)、経験的に特異的相互作用をそのままにするが、非特異的結合物質を除去する条件を使用して非結合標的を除去する。例えば、サンプルを約1回から10回またはそれ以上、プローブ/標的結合の達成に使用したのと同じまたはいくぶんよりストリンジェントな条件下で洗浄する。
【0094】
標的RNA、例えば、mRNA、rRNA、tRNA、ウイルスRNAまたは全RNAを含むサンプルを種々の方法で調製できる。例えば、mRNAを抽出するインビトロ細胞培養をマイクロタイタープレートの個々のウェル中のような表面の領域に置く。所望により、これらの細胞は、所望の細胞密度が達成された後に、刺激剤または治療剤の可能性のある薬剤のような目的の薬剤で処理でき、それは種々の手段で、例えば、複製ピンツール(Beckmanから入手可能な96または384ピンツールのような)で、ピペット輸送により、またはインクジェット分散により細胞に添加でき、細胞と適当な時間、例えば、アッセイに依存して15分から48時間の間インキュベートする。インビトロまたはインビボ源由来の組織または細胞から抽出された全RNA、mRNA等を慣用の、当分野で既知の方法(例えば、商品として入手可能なキット)を使用して調製できる。
【0095】
所望により、目的のRNAと特異的プローブとのハイブリダイゼーションにおいて競合する核酸(目的のRNAと少なくとも部分的な配列相同性を共有する、例えば、ゲノムDNA、rRNA、tRNAまたはmRNA)を、ハイブリダイゼーションに付す前に、少なくとも部分的に、サンプルをヌクレアーゼ保護(NP)法により処理することによりRNAサンプルから除去できる。目的のRNAに少なくとも一部相補的であり、その配列が部分的にまたは完全に目的のRNAに特異的なプローブと重ね合わさる核酸(例えば、RNA、DNAまたはPNAであり得る“保護フラグメント”)を過剰にサンプルに入れ、保護フラグメントが目的のRNAに特異的にハイブリダイズする(適当な反応条件の上記参照)、選択したストリンジェントなハイブリダイゼージョン条件下にインキュベートする。この段階で、サンプル内の任意のまたは全ての目的のRNAに特異的な保護フラグメントを添加できる(例えば、100倍またはそれ以上)。ハイブリダイゼーション後、サンプルを1個またはそれ以上のヌクレアーゼのカクテルで処理し、保護フラグメントに相補的な目的の各RNAの部分または保護フラグメントと保護RNAの間に形成された二本鎖以外、全ての核酸を実質的に破壊する。次ぎの段階で、保護フラグメントを、二本鎖を変性し、保護フラグメントを減衰させ、保護RNAを実質的にそのままにする適当な酵素での消化によりこのような二本鎖から除去できる。例えば、膵臓RNAse、ヤエナリヌクレアーゼ、RNAse H、S1ヌクレアーゼ(高いまたは低い塩のいずれかの消化条件下で)、RNAse A、リボヌクレアーゼT1、エキソヌクレアーゼIII、エキソヌクレアーゼVII、RNAse CL3、RNAse PhyM、Rnase U2等を含む種々のヌクレアーゼが、サンプルに存在するハイブリダイズした複合体の性質および望ましくない核酸の性質に依存して、上記消化段階に使用できる。これらの酵素の反応条件は、当分野で既知であり、経験的に最適化できる。要求に応じて、サンプルを当分野で既知の方法で処理し、非ハイブリダイズ物質を除去するおよび/または残りの酵素を不活性化または除去する(例えば、フェノール抽出、沈殿、カラム濾過等)。処置サンプルを次いでプローブアレイと接触させて置く。特異的ハイブリダイゼーションおよび続くヌクレアーゼ保護が適当に起こるように制御するために、標識保護フラグメントを反応混合物に入れることができる。ヌクレアーゼ保護法が適当に働くように、即ち、非ハイブリダイズ核酸が望ましく消化されるように制御するために、1個またはそれ以上の保護フラグメントを、アッセイが適当に働いた場合にヌクレアーゼにより開裂されるべきオーバーハンギング(非ハイブリダイズ)セグメントを含むように設計できる。オーバーハンギングフラグメントの存在または非存在は、相補的、標識プローブとのハイブリダイゼーションにより決定でき、または保護フラグメントのオーバーハンギング部分それ自体を検出可能な分子で標識できる。
【0096】
本発明の方法に関して、標的を当分野で既知の種々の方法でおよび/または本明細書に記載の方法(例えば、ヌクレアーゼ保護フラグメント検出に関して)で標識(タグ付け)できる。例えば、化学ルミネッセント分子、または化学ルミネッセント分子の産生を触媒する酵素、またはフルオレセインまたはcy5のような蛍光分子、またはキレート化ランタニド金属の一つのような時間分解蛍光分子、または放射活性化合物のような、検出用シグナルを提供する化学基と、標的分子を直接的または間接的に結合できる。あるいは、標的をそれらがプローブと反応した後に、1個またはそれ以上の標的特異的レポーターで標識できる(例えば、図1に示す抗体、オリゴヌクレオチドまたはプローブおよび標的に関連して上記の一般的タイプの分子)。
【0097】
一つのタイプの蛍光分子は、“アップコンバート蛍光団(phosphore)"であり得、即ち、長波長(例えば、IR)を吸収し、励起し、次いで短波長(例えば、可視光)を放出する蛍光である。アップコンバートした蛍光団が、分析する典型的なサンプルに存在する干渉する可能性のある殆どの物質よりも長い波長を吸収するため、アップコンバートした蛍光団は、低い波長を吸収する蛍光団と比較して、サンプルにおける物質によりもたらされる干渉を減少できる。殆どのアップコンバートした蛍光団の狭い放出スペクトルはまた多数の異なるアップコンバートした蛍光団の同時の検出を可能にする。アップコンバートした蛍光団は既知であり、当分野で慣用であり、例えば、特に酸硫化物塩の形の、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)およびプラセオジム(Pr)のような、例えば、希土類金属イオンを含む。80以上程多くの個々の検出可能な蛍光団が記載されている。(例えば、Biological Agent Detection and Identification, April 27-30, 1999, DARPA, Biological Warfare Defense, Defense Sciences Office参照)。蛍光団は、所望により、例えば、マイクロスフェアまたはラテックスビーズの表面に結合できる。他の蛍光標識と同様に、アップコンバート蛍光団は、十分に密接したリンカー、標的またはレポーター上の標識へのエネルギー伝達(またはそれによる調節)により検出可能である。更に、本明細書で記載の他のシグナル伝達物質のように、アップコンバート蛍光団は、標的の量の定量に使用でき、本明細書に記載の種々の方法、例えば、ヌクレアーゼ保護フラグメントの検出に使用できる。
【0098】
もちろん、アップコンバート蛍光団はまた表面上に任意の他の形態で分布している標的、例えば、直接表面に結合した、表面上の異なるオリゴヌクレオチドのアレイに直接結合した、または表面上に実質的に均質に、または任意の秩序のパターンで分布した二官能性リンカーを介してアンカー(異なるまたは実質的に同一の)に結合した、標的(ヌクレアーゼ保護フラグメントを含む)の検出にも使用できる。任意の表面を、例えば、フロースルーシステム、または例えば、ビーズのような固体表面に使用できる。本発明の任意のアッセイに使用するビーズは、例えば、任意の物質から成る、磁気および/または非磁気の任意のタイプであり得る;そして一つのアッセイで使用するビーズは、サイズおよび/または形が実質的に同じまたは異なり得る。
【0099】
種々の多くの複合サンドイッチタイプ検出法も用いることができる。例えば、標的を、標的に特異的な第1部分および共通(即ち、同じ)レポーター試薬、例えば、標識ポリヌクレオチド、抗体等により認識され得る第2部分を含む二官能性分子とハイブリダイズできる。二官能性分子は、所望の数の共通レポーターを各アッセイで使用できるように設計できる。
【0100】
本発明の任意の方法に関して、種々の複合体サンドイッチタイプ検出法を標識(タグ)標的に用いることができる。例えば、標的を、例えば、標的に特異的な第1部分および“レポーター試薬”に特異的な第2部分を含む二官能性(または多官能性)分子(“検出リンカー”)と相互作用、例えば、ハイブリダイズできる。“特異的”なる用語は、本明細書で使用する限り、例えば、プローブと標的の相互作用に関する。“レポーター試薬”なる用語は、本明細書で使用する限り、標的ポリヌクレオチド抗体、またはプローブと標的に関連して本明細書で記載する一般的なタイプの任意の分子を意味する。検出リンカーのこれらの二つの部分は、例えば、プローブと標的に関連して上記の方法に関する各結合パターンで認識(相互作用または関連)できる。検出リンカーはまた他の配列、例えば、標的に特異的であるが、対応するアンカー結合リンカーの標的特異的部分とは異なる(非重複である)配列を含み得る。検出リンカーに存在する任意の配列が、検出プローブまたはレポーター試薬として働き得る。好ましい実施態様において、検出リンカーはポリヌクレオチドである。
【0101】
検出リンカーは、任意の数の共通レポーター試薬がアッセイで使用できるように設計できる。例えば、1組の検出リンカーを、各検出リンカーが異なる標的に特異的であるが、レポーター試薬の同じ(共通)の、または一つの限定された数のための結合部位を含むように設計できる。限定された数(例えば、一つ)のレポーター試薬をシングルアッセイにおける種々の標的の標識に使用する能力は、費用の減少および低いバックグラウンドの利点を提供する。もちろん、検出リンカー/レポーター試薬組合わせを、例えば、アップコンバートした蛍光団により検出できる標的配置のタイプに関して上記のような、任意の形態で、表面に分布した標的の検出に使用できる。
【0102】
最も好ましい態様において、検出リンカーは、ヌクレアーゼによりコントロール“オーバーハング”配列から、ヌクレアーゼ保護法(例えば、実施例15に記載のような)の間に開裂されている保護フラグメントが、優勢に標識されるような方法で、保護ヌクレアーゼ保護フラグメントを検出するために設計できる。このタイプの検出法は、図24に模式的に記載する。本実施態様において、検出リンカーは、標的に特異的な第1部分および、好ましい実施態様においては、アッセイの開始時に実質的に全てのヌクレアーゼ保護フラグメントに存在する共通コントロールオーバーハング配列に特異的な第2部分を含む。望ましいように、コントロールオーバーハング配列が、ヌクレアーゼ保護反応の間にヌクレアーゼ保護フラグメントから開裂されている場合、検出リンカーの標的特異的部分はフラグメントの開裂保護フラグメントとハイブリダイズするが、検出リンカーのコントロールオーバーハング特異的部分は非結合であり、更なるハイブリダイゼーションに利用可能なままである。他方で、コントロールオーバーハング特異的配列が、例えば、ヌクレアーゼ保護法の間の不完全なヌクレアーゼ消化のために保護フラグメントから開裂しない場合、検出リンカーの標的特異的およびコントロールオーバーハング特異的部分の両方が更なるハイブリダイゼーションに利用可能ではない。好ましい実施態様において、ヌクレアーゼ保護フラグメントと結合した検出リンカーを含む複合体は、シグナル伝達物質(例えば、螢光色素、ハプテン、酵素または記載のような、任意の検出可能なシグナルまたはシグナル産生物質を担持する他の分子)および検出リンカーのコントロールオーバーハング特異的部分に特異的な部分(例えば、オリゴヌクレオチド)を含む、レポーター試薬に更なる段階においてハイブリダイズする。レポーター試薬は、ヌクレアーゼ保護フラグメントのコントロールオーバーハング配列が開裂しているフック剛体に優勢に結合し、標識する(すなわち、検出リンカーのコントロールオーバーハング部分がレポーター試薬の更なるハイブリダイゼーションに利用可能である)。
【0103】
多くの他のサンドイッチ検出法の変法が、当業者には明らかである。
【0104】
標的を、結合または他の安定な相互作用を達成するのに有効な条件下で標的特異的レポーターとインキュベートできる方法は、慣用的に決定できる(上記参照)。例えば、蛍光オリゴヌクレオチドレポーター(6×SSPE-Tのようなまたは他の緩衝液中、約10nMから約1μMまたはそれ以上の濃度、好ましくは約30nM)を、約15分から2時間の間またはそれ以上(好ましくは約30から60分)、約15℃から約45℃の間の温度(好ましくは室温)で、結合標的とインキュベートできる。インキュベーション後、サンプルを所望により処理し(例えば、洗浄)、経験的に特異的相互作用をそのままにするが、非特異的結合物質を除去する条件を使用して非結合標的特異的レポーターを除去する。例えば、サンプルを約1から10回またはそれ以上、標的/レポーター結合の達成に使用したのと同じまたはいくぶんよりストリンジェントな条件下で洗浄する。
【0105】
標的特異的レポーターでのタグ付けは、例えば、標的特異的オリゴヌクレオチドレポーターが、プローブオリゴヌクレオチドよりも標的核酸の配列の異なる部分を標的とする場合、または、プローブとレポーター抗体が標的抗原の別のエピトープを認識する場合、最初のハイブリダイゼーションの反応に特異的な更なる層を提供できる。更に、標的特異的レポーターでのタグ付けは、反応の感受性の“チューニング”を可能にできる。例えば、相関的発現パターンの一部である標的mRNAが非常に低いレベルで発現する場合、そのシグナルのレベルは、各々特異的に標的mRNAの異なる部分にハイブリダイズする数個の(例えば、約2個から約5個またはそれ以上)標的特異的オリゴヌクレオチドレポーターに結合標的をハイブリダイズすることにより増強(シグナル増幅)できる。
【0106】
二つのタイプのラベルを個々に検出する能力は、MAPSアッセイにおける更なるタイプのコントロールを可能にする。特定のアンカー位置(図7は3つの典型的なアンカー位置を示し、各々多くの実質的に同一のアンカー(A、BまたはC)を有する)のために設計したリンカーのいくつか(例えば、約10から約100%)は、一端に結合した標識(例えば、蛍光物質(fluor))を有し得る。例えば、ローダミンまたはCy5蛍石はリンカーの5'末端に結合できる。このような修飾リンカーは“コントロールリンカー”と名付ける。リンカーおよびコントロールリンカーの混合物がアンカーと会合し、標的を含むサンプルを得られるプローブアレイとインキュベートした後、異なる蛍光物質(例えば、フルオレセインまたは化学ルミネッセントのような他の検出標識)を担持する標的特異的レポーターを使用できる(または標的を直接蛍光物質または他の検出標識で標識できる);そして二つのシグナルの比率を決定できる。コントロールリンカーの存在は、試験領域内および間の官能的(例えば、リンカーと相互作用できる)アンカーの数の計測を可能にし(即ち、シグナル標準化の目的で、標的に結合するアレイの各位置の能力を試験する)、結合標的の量の定量の基本として働き、アンカー位置の局在化を助けおよび/または例えば、サンプルが、標的の不存在下によりシグナルがない場合、ポジティブコントロールを提供する。本発明の一つの態様において、二つの異なる標識(例えば、フルオロフォア)をまた使用して、標的分子の二つの異なる集団を検出する;しかし、シグナルの空間的分離による標的の存在の認識の能力は、異なる標的分子の標識の一つのタイプの使用を可能にする。
【0107】
標識を独立して検出する能力(例えば、フルオレセインとローダミンのような、例えば、識別可能な波長で放出される蛍光標識、または異なるアップコンバートした蛍光団)は、本発明の方法の付加的な柔軟性を可能にする。例えば、2個以上の標的の各々を、直接または間接的に、それ自体の独自の検出可能な標識で標識できる。これは、例えば、表面上に局在する標的の位置の同定、または局在するビーズのサイズによる標的の同定に加えて(またはその代わりに)、標識(例えば、放出の色)に特異的な性質に基づいた標的の検出を可能にする。本発明の他の態様において、標的の多様性は、独立して領域内の一つの場所で検出できる。例えば、2個以上(例えば、2、3、4、5、6またはそれ以上)の標的を、アンカーの一つの(実質的に同一の)グループにより定義される場所で検出できる。即ち、一連のリンカーを使用でき、その各々は、同じアンカーに特異的なアンカー特異的部分と異なる標的に関する標的特異的レポーター部分を有する。例えば、4つのこのようなリンカーのセットを使用した場合、全4つは一つの場所でアンカーのグループのメンバーに結合でき、4つの異なる標的がその場所に結合することを可能にする。これらの各々の標的を異なる、識別可能な標識で標識(直接または間接的)した場合、研究者は、4つの標的の各々の独立した位置での存在の決定ができる。したがって、例えば、1領域内の5つのアンカー(アンカーのグループ)のアレイを、20個ほど多い異なる標的の検出のために、上記のシナリオにおいて使用できる。このようなアッセイは、実施例24および図25に説明する。同様に、例えば、80個ほど多い複数の標的を、一つのタイプのアンカーが、任意の定義した形態で、例えば、ビーズまたはフロースルー装置のような固体表面に、一つの場所ではないが、均等に分布しているとき、独立して検出できる;そしてビーズサイズまたは散乱のような他の態様を使用し、標的同一性または標的のグループに関する情報を提供できる。
【0108】
本発明の他の実施態様において、目的の標的に特異的な“アンカー”は、リンカーと結合していないがむしろ、直接標的と結合している;標的は、次ぎに、所望により標的特異的レポーターと相互作用できる。標識されていても非標識でも、標的は当分野で日常的であり慣用的である種々の方法で検出できる(例えば、Fodor et al (1996) U.S. Pat. No. 5,510,270; Pirrung et al (1992) U.S. Pat. No. 5,143,854; Koster (1997) U.S. Pat. No. 5,605,798; Hollis et al (1997) U.S. Pat. No. 5,653,939; Heller (1996) U.S. Pat, No. 5,565,322; Eggers et al. (1997) U.S. Pat. No. 5,670,322; Lipshutz et al (1995), BioTechniques 19, 442-447; Southern (1996) Trends in Genetics 12, 110-115参照)。検出法は、酵素ベースの検出、比色法、SPA、オートラジオグラフィー、マススペクトロメトリー、電気的方法、吸光度または発光の検出(化学ルミネッセンスまたは電気ルミネッセンスを含む)、および、例えば、タグとして使用した微小粒子由来の光分散形の検出を含む。また、蛍光標識は、例えば、電荷結合素子(CCD)または蛍光顕微鏡(例えば、走査または共焦点蛍光顕微鏡)での結像により、または走査システムとCCDアレイまたは光電子増倍管の結合により、またはアレイベースの検出法(例えば、各10ミクロン部の試験領域の表面電位を検出でき、または解像が十分高いとき、表面プラスモン共鳴を使用できる)の使用により検出できる。あるいは、アレイはリンカー、標的またはレポーター上の標識へのエネルギー移動(またはそれによる修飾)により検出できる標識(例えば、フルオレセインおよびローダミンのような、エネルギー移動プローブの一つの対)を含むことができる。とりわけ、蛍光ベースの検出システムのホストは、蛍光強度、蛍光偏光法(FP)、時間分割蛍光、蛍光共鳴エネルギー移動および均質徐放性蛍光(HTRF)である。反復バーコード様パターンの分析は、パターン認識により達成できる(各特異的標識標的の、他のスポットまたは線に対するその位置による適当なスポットまたは線の発見)、標識の強度の定量に従う。1または2次元アレイのバーコード認識装置および分析のソフトウェアは、慣用的に製造されおよび/または商品として入手可能である(例えば、Rava et al. (1996) U.S. Patent No. 5,545,531参照)。
【0109】
本明細書に記載の表面または領域の製造、本明細書に記載のアンカー、リンカー、プローブおよび検出プローブのような物質の合成または精製または結合もしくは会合、および本明細書に記載のような標識またはタグ付け物質の検出および分析を含む本発明のアレイの製造および使用法は、既知であり、慣用法である。上記に記載の引用文献に加えて、例えば、Affymax, Affymetrix, Nanogen, Protogene, Spectragen, MilliporeおよびBeckman(これらから、本発明に有用な製品が入手可能である)に譲渡された特許;上記のものを含む分子生物学およびタンパク質科学の標準テキスト;およびCozette et al (1991) U.S. Pat. 5,063,081;Southern (1996), Current Opinion in Biotechnology 1, 85-88;Chee et al (1996) Science 274, 610-614;およびFodor et al (1993) Nature 364, 555-556参照。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】リンカー1がアンカー1に特異的な部分および標的mRNA1に特異的な他の部分(プローブ)を含み、標的検出プローブ1が、リンカーの標的特異的部分の配列と異なる標的mRNA1の配列に特異的である、オリゴヌクレオチドの設計スキームを図解する。
【図2】15個の試験領域を含み、各々6アンカーオリゴヌクレオチドのアレイを含む、表面を図解する。
【図3】リンカーのアンカー特異的部分がプローブ部分(レセプタータンパク質)にビオチンおよびストレプトアビジン分子を介して結合し、レセプターに特異的なリガンドが蛍光標識分子で標識されている、レセプター結合アッセイのリンカーの設計を図解する。B:ビオチン。SA:ストレプトアビジン。Rec:レセプタータンパク質。リガンド:レセプターのための天然または合成リガンド。*:リガンドに結合する蛍光標識分子。
【図4】21個の試験領域を含み、その各々が更に16個の小領域に分割(へこみ、くぼみ)されている表面を図解する。
【図5】図5aはウェルセパレーターを示し、図5bはサブディバイダーを示し、そして図5cは基盤を示す。
【図6】各々“バーコード”様形であるプローブ(またはアンカー)の直線アレイを含む、二つの試験領域を示す。
【図7】各々で多コピー(“グループ”)で存在する3アンカー(A、BおよびC)を含む試験領域を模式的に示す。アンカーの各グループの位置は、“位置”と名付ける。
【図8】特異的逆転写酵素により産生されるcDNAがMAPSプレート上でアッセイさせるアッセイを図説する。
【図9】ヌクレアーゼ保護法を使用するアッセイを図説する(NPA-MAPSアッセイ)。サンプルRNAを細胞または組織から調製し、薄波状線として示す。RNAサンプルにポリヌクレオチド保護フラグメントのグループを添加し、太い、濃いそして薄い線で描く。保護フラグメントの濃い部分は特異的RNA標的に相補的であり、これらの標的にハイブリダイズするセグメントを示す。薄い部分はオーバーハンギング部分を示す;配列は相補的配列と接触するが、標的と相補的ではない。保護フラグメントを過剰に添加する。全ての利用可能な標的の保護フラグメントへのハイブリダイズに続いて、サンプルをヌクレアーゼの適当なカクテルおよび化学処理で処理し、望ましくない非ハイブリダイズRNAおよび非ハイブリダイズポリヌクレオチドを破壊する。例えば、S1ヌクレアーゼは、存在する一本鎖DNAを破壊できる。これ故、過剰の保護フラグメントを結合保護フラグメントのオーバーハンギング非ハイブリダイズ部分として加水分解する。RNAはリボヌクレアーゼHを含むリボヌクレアーゼの添加によりまたは塩基中でサンプルを加熱することにより破壊できる。残りは、各RNA標的がサンプルにどの程度存在するかを反映する開裂保護フラグメントの収集物である。残りの保護フラグメントwMAPSハイブリダイゼーションアッセイで測定する。
【図10】MAPSアッセイにおけるハイブリダイゼーション特異性を図説する。
【図11】アンカーのリンカーへの結合動態を図説する。
【図12】二つのオリゴヌクレオチド標的のMAPSアッセイを図説する。
【図13】感受性シフトの定量を図説する。
【図14】4つのリンカー/アンカー組合わせの融点温度決定を図説する。
【図15】NPA-MAPSによるmRNAアッセイを図説する。
【図16】NPA-MAPでの希釈曲線を図説する。
【図17】ホスホチロシン残基を含むペプチドの検出のためのアッセイを図説する。
【図18】マップESTのアッセイの第1段階を図説する:MAPSプレートの一般的アンカーのアレイにマップするESTの各々に対応する凝集リンカーの凝集。16ウェルのマイクロプレートの各表面に16個の異なるオリゴヌクレオチドプローブを含むリンカーが結合し、4×4マトリックスに配置する。第1位置はオリゴ1を有し、これは第1EST配列の部分に相補的であり、試験する16ESTのためにこのようにする。 ESTを得た遺伝子から産生されたcDNAまたはmRNAを全16ウェルに添加し、適当な条件下でハイブリダイズさせた。それ故、16EST配列の一つを含むcDNAまたはmRNAが、相補的プローブが置かれる位置に凝集する。
【図19】マップESTの続く段階を図説する:MAPSプレートへのディテクターオリゴヌクレオチドの添加。プレートの各ウェルに、マップするESTの一つに対応するディテクターオリゴヌクレオチドを入れる。各ディテクターオリゴヌクレオチドは検出に使用する分子、例えば、検出の方法が蛍光イメージングである場合、フルオレセインに結合したオリゴヌクレオチドである。各ディテクターオリゴヌクレオチドはESTの一つに相補的であるが、EST特異的プローブが異なり、一つのESTに相補的なプローブおよびディテクターオリゴヌクレオチドが同時に両方結合できる。 洗浄後、単一ディテクターオリゴヌクレオチドを、図に番号付けするように各ウェルに添加する。即ち、第1ESTに相補的な配列を有するディテクターオリゴヌクレオチドを第1ウェルになどである。
【図20a】図18および19に示すマップESTのアッセイの結果を示す。ディテクターオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよび適当なストリンジェンシーの条件下のでの洗浄後、例えば、マイクロプレートの16ウェルをCCDベースの蛍光イメージャーで結像する。図20aは様式化した結果を示す。各EST特異的ディテクターオリゴヌクレオチドは、対応するEST特異的プローブにより抑制されたmRNAまたはcDNAを標識すべきであることは予期される。例えば、プローブ5はその位置で第5EST配列を含むcDNAまたはmRNAを凝集し、第5ディテクターヌクレオチドがまた同じ位置でcDNAまたはmRNAをハイブリダイズしなければならない。これは、各検出オリゴヌクレオチドが適合プローブを標識する、これらの様式化データで当て嵌まる。加えて、最初の3つのディテクターオリゴヌクレオチドは、各々最初の3個により固定されたcDNAまたはmRNAを標識を標識し、これらの配列が同じ遺伝子に並んでいることを示す。同様に、最後の5個のESTは結合しているように見える。これらのデータからの結合を図20bにグラフ的に示す。
【図20b】図18および19に示すマップESTのアッセイの結果を示す。ディテクターオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよび適当なストリンジェンシーの条件下のでの洗浄後、例えば、マイクロプレートの16ウェルをCCDベースの蛍光イメージャーで結像する。図20aは様式化した結果を示す。各EST特異的ディテクターオリゴヌクレオチドは、対応するEST特異的プローブにより抑制されたmRNAまたはcDNAを標識すべきであることは予期される。例えば、プローブ5はその位置で第5EST配列を含むcDNAまたはmRNAを凝集し、第5ディテクターヌクレオチドがまた同じ位置でcDNAまたはmRNAをハイブリダイズしなければならない。これは、各検出オリゴヌクレオチドが適合プローブを標識する、これらの様式化データで当て嵌まる。加えて、最初の3つのディテクターオリゴヌクレオチドは、各々最初の3個により固定されたcDNAまたはmRNAを標識を標識し、これらの配列が同じ遺伝子に並んでいることを示す。同様に、最後の5個のESTは結合しているように見える。これらのデータからの結合を図20bにグラフ的に示す。
【図21】図18-20に示すプローブ、ディテクターオリゴヌクレオチドおよびEST番号1、2および6の関係を図説する。
【図22】ハイスループットアッセイを図説する。
【図23】増幅標的の製造法を説明する。
【図24】検出リンカーとレポーター試薬でのアッセイを説明する。
【図25】複数の蛍光物質(flour)の使用を説明する。
【実施例】
【0111】
(実施例)
実施例1 ハイブリダイゼーション特異性(図10)
一般的MAPSプレートをインクジェットディスペンサーであるPixusシステム(Cartesian Technologies, Inc., Irvine, CA)を使用して製造し、マイクロタイタープレートの各ウェル内にDNAの同一グリッドを形成した。全てのオリゴヌクレオチドはBiosourse International (Camarillo, CA)から購入した。このプレートに、7個の異なるオリゴヌクレオチドアンカーを、キーとして示す(図の左側)各ウェル内に分配した。各オリゴヌクレオチドを、500mMリン酸ナトリウムpH8.5および1mM EDTAを含む2μM溶液から、DNA Bindプレート(Corning Corstar)に10ナノリットル滴から2個のスポットで分配し、乾燥させた。結合後、ウェルを50mM Tris pH8で遮断し、次いで、表面に共有結合しないオリゴヌクレオチドを5×SSP緩衝液中の0.1%SDSで洗い流した。
【0112】
洗浄プレートに蛍光標識したリンカーオリゴヌクレオチドを添加し、6×SSPE中、0.1%Triton X-100と室温で30分ハイブリダイズさせた。これは、リンカーの結合の好ましいプロトコールである。リンカーオリゴヌクレオチドは合成中にcy5誘導体化され、特異的固定オリゴヌクレオチドに25塩基対セグメントで相補的であった。7個のアンカーおよびリンカーの配列は下記の通りである(全て3'から5'で示す):
【表1】
*アンカーを、5'末端でアミドを有するC12スペーサーで合成した。
**リンカーを5'末端に結合したCy5で合成した。
***ディテクターオリゴヌクレオチドを5'末端に結合したビオチンで合成した。
【0113】
各ウェルにリンカーまたはリンカー混合物(図に示すような)を大量に添加した。(“全て”と記したウェルに全7個のリンカーの混合物を添加した。)インキュベーションおよび5×SSPで3回の洗浄の後、図面の右側に示す蛍光画像をTundraイメージャー(IRI, St. Catherines, Ontrario)で撮った。見られるように、リンカーは、それらの相補的アンカーと特異的に会合することにより、表面に自己凝集する。
この方法を8個の異なるアンカーおよびそれらと実質的に優先的に会合するリンカーを各ウェルに分配する以外、繰り返す。方法全部を、24、96、384、864または1536ウェルプレートの各ウェルで、36、64などの異なるアンカーで繰り返す。
【0114】
実施例2 結合動態(図11参照)
Cy5誘導体化リンカー番号1のその相補的結合アンカーへのハイブリダイゼーションの速度を、異なる濃度のリンカーに関して示す。一般的MAPSプレートを、アンカー1がウェル当り4スポットで結合している以外、図1のように調製する。インキュベーションを、室温で0.1%Tween-20含有5×SSP中、室温で行い、ウェルを3回5×SSPで洗浄し、結合蛍光を測定した。プレートの蛍光画像をTundraで撮り、背景を引いて各ウェル内の各スポットでの結合強度をTundraソフトウェアで計算した。プロットしたのは、二つのデュプリケートウェルの4点の結合強度の平均と標準分散である。
【0115】
実施例3 蛍光リンカー
一般的MAPSプレートを、ウェルあたり1スポット(上の二つの列)、ウェル当り4スポット(次ぎの4列)またはウェル当り16スポット(下の2列)にスポットした一つの固定オリゴヌクレオチドを含むように、上記の方法に従って製造する。各ウェルに、相補的、蛍光標識リンカーを実施例1に記載の好ましいプロトコールで結合する。洗浄に続いて、プレートの蛍光画像をTundraで撮る。各スポットでの蛍光の量は、どの程度官能的リンカーが標的へのハイブリダイズに利用可能であるかを報告する。反復スポットで検出したシグナルの量は非常に再現性である。
【0116】
実施例4 結合曲線
実施例3のように調製したプレートに、異なる濃度の標的オリゴヌクレオチドを添加する。会合しているリンカーは標的の部分に相補的な25量体配列を含む。標的を、全量30または100マイクロリットルの0.05%SDS含有5×SSC中に添加し、プレートを覆い、50℃で一晩インキュベートする。標的の結合リンカーへのハイブリダイゼーションに続き、標的を化学ルミネッセンスを使用した好ましいプロトコールにより可視化する。標的の別々の部分に相補的な(リンカーに相補的な部分と同じではない)25量体配列を含むビオチニル化ディテクターオリゴヌクレオチドを30nMで添加する。ビオチニル化ディテクターは、過剰の非結合標的を洗い流した後30分間添加できるか、または一晩のハイブリダイゼージョン中に標的と一緒に添加できる。ディテクターの添加に続いて、表面を2回5×SSC、1回0.1%Tween-20および1%PEG含有1×SSP(SSPTP)で洗浄し、250μg/mlのストレプトアビジンに接合したホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP:SA、Pierce, Rockford, IIlから)の1:50,000希釈を、SSPTP中5時間室温で添加する。ウェルを4回SSPTPで洗浄し、1回洗浄し、次いでSuper Signal Ultra試薬(Pierce)とインキュベートする。数分後、蛍光の画像をTundraイメージャーで集め、例えば、画像を5分CCDアレイ内に蓄積できる。低レベルの標的を、標的の濃度が〜5×10-13Mほど少なくてもいくつかのウェルでは可視化できる;シグナルの量は、一般に〜10-10Mの濃度の標的で飽和される。反復スポットで検出されるシグナルの量は、非常に再現性である。
実施例5 二つのオリゴヌクレオチドのアッセイ(図12参照)
上記の好ましいプロトコールを使用した二つの異なる標的オリゴヌクレオチドのMAPSハイブリダイゼーションアッセイを証明する結合曲線を示す。一般的MAPSプレートを、各々4回各ウェル内にスポットされた4つの異なる固定オリゴヌクレオチドで調製する。第2および第4のアンカーに関して、相補的リンカーオリゴヌクレオチドは、記載のように自己凝集した。二つの標的を40マイクロリットル中に示す濃度で、記載のように各ウェルに添加し、50℃で一晩インキュベートする。各標的の結合量は、記載のように、HRP:SAおよび化学ルミネッセンス結像後に、各標的に特異的なビオチニル化検出オリゴヌクレオチドの結合により可視化された。下部パネルにおいて、イメージの強度を定量する。Tundra Imagaerパッケージの一部であるソフトウェアを使用して上部パネルに示す矢印の間の線に沿って画像の強度をスキャンした。標的の最低濃度である1.1pMで、スキャンしたイメージは十分に定義されたガウスピークを各スポットで示し、一方、標的の0濃度では、最も左のサンプルで検出可能な背景ピークはなかった。
【0117】
実施例6 感受性変化(図13参照)
MAPSハイブリダイゼーションアッセイは、一連のオリゴヌクレオチドの濃度の測定に、それらを表面に結合させ、それらを標識することにより使用できる。これは、中程度のまたは低い濃度であるこれらのオリゴヌクレオチドで十分に働く。二つのサンプルを、一つのサンプルがよりオリゴヌクレオチドを含み、より結合する場合、区別できる。他方、標的オリゴヌクレオチドの濃度が表面を飽和している場合(即ち、全ての結合部位を占領するのに十分高い場合)、そして濃度が上がってもより結合できない場合、量は測定できない。しかし、標的の結合曲線は、非標識競合リガンドの添加により変化できる。
【0118】
結合データは、4つの異なるオリゴヌクレオチド標的に関して得られ、その全てがおおまかに3nMで表面を飽和している(即ち、最大結合に到達)。非標識競合標的を全てのウェルに添加することにより、標的オリゴヌクレオチドの結合は移動し、低い濃度で結合は少なく、飽和が起こるレベルが上に移動する。競合オリゴヌクレオチドを、例えば標的1および3に添加できるが、2および4にはできない。アッセイの感受性のこの変化は、標的1および3のみにである。この方法で、予期されるオリゴヌクレオチドの相対的量が既知であるなら、大きく異なる濃度のオリゴヌクレオチド標的を一つのアッセイで十分測定できる。
データは一つのオリゴヌクレオチド標的への結合に関して上記に例示のように定量できる。図13は、高い濃度のこの標的のアッセイに使用する結合曲線のアッセイシフトにおける競合オリゴヌクレオチドの包含を定量的に示す。
【0119】
実施例7 4つのプローブの融点(図14参照)
MAPSアッセイでアンカーオリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする4つの異なる蛍光標識リンカーオリゴヌクレオチドの量を、温度の上昇にしたがってプロットする。4つのオリゴヌクレオチドは最初に50℃で1時間、300nM中でハイブリダイズさせた。次いで、ウェルをプローブなしのSSCで洗浄し、結合した量を上記のように蛍光(50℃点)で測定する。次いで、表面を55℃で30分インキュベートし、結合した蛍光を測定するなど、全ての示した温度で行う。
【0120】
実施例8 検出法
二つの検出法を直接比較する。各々ウェル当り4スポットで、4つのオリゴヌクレオチドアンカーが結合したMAPSプレートに、二つのオリゴヌクレオチドを各ウェルに添加し、両方とも共有結合したcy5部分を含むか、両方ともビオチン基を含む。落射蛍光測定を、記載のように可視化および蛍光リンカーの測定に関して行う。化学ルミネッセンス測定をMASPアッセイに記載のように、HRP:SAの続く連続添加および化学ルミネッセンス基質を使用して行う。産生したシグナルは大まかに同じ強度である。しかし、各ウェルを離す壁があるマイクロプレートの外形、および液体の泡または流体のミニスカス(miniscus)のために、落射蛍光画像の反射がデータ解析に影響し得る。
【0121】
実施例9 化学ルミネッセンス産物
ホースラディッシュペルオキシダーゼの化学ルミネッセンス基質として利用可能な二つの生産物を、MAPSアッセイの検出法で比較できる。MAPSプレートを実施例8のように調製し、ビオチニル化リンカーオリゴヌクレオチドとインキュベートする。次いで、ストレプトアビジンに結合したアルカリホスファターゼ(AlkPhos:SA)またはHRP:SAのいずれかを添加し、続いて、洗浄し、AlkPhos:SAのプレートにはCDP-Star(Tropix)またはHRP:SAのウェルにはELC-Plusを添加する。SA誘導酵素および基質での標識は、ウェスタンブロットの標識における使用に関して製造者が指示する通りである。これらの二つ(および他の利用可能な基質)は、両方ともMAPSプレートへのオリゴヌクレオチドハイブリダイゼージョンの評価に使用できる。
【0122】
実施例10 0.6mmでの解析
MAPSアッセイの現在のシステムの解析は、各々ウェルあたり4回、0.6mmのピッチ(中心から中心の空間)でスポットしたMAPSプレートをウェル当り4つの異なるオリゴヌクレオチドアンカーで調製して試験する。次いで、cy5誘導体化リンカーまたはビオチニル化リンカーをハイブリダイズし、検出し、上記のようにスキャンする。落射蛍光測定に関して、解析は高い(そしてピッチは減少できるようである)。化学ルミネッセンス検出法に関して、隣のスポットと完全に離れておらず、この空間で、まだ個々のピークはコンピューターデコンヴォルーションにより明白に解析し得る。
【0123】
実施例11 試験ヌクレアーゼ保護プロトコール
ヌクレアーゼ保護プロトコールのハイブリダイゼーションおよびヌクレアーゼ処理の最適条件の試験のアッセイにおいて、Ambion(Austin, Texas)のNuclease Protection Assay Kitを使用して条件、緩衝液および酵素を提供する。8個のサンプルを3つの緩衝液の一つに調製する。Hyb Buff 1は100%Hybridization Buffer(Ambion);Hyb Buff 2は75%Hybridization Bufferおよび25%Hybridization Dilution Buffer(Ambion)およびHyb Buff 3は各々50%である。試験mRNAに相補的な60残基を含む70量体オリゴヌクレオチドを合成し(Biosource International, Camarillo, CA)、Ambionによりソラレン-ビオチンの標識について示されるプロトコールにしたがって、ソラレン-フルオレセイン(Schleicher and Schuell, Keene, NH)で標識する。簡単に、保護フラグメントを20μlのTE緩衝液(10mM Tris、1mM EDTA、pH8)中50μg/mlに希釈し、10分間沸騰させ、急速に氷水で冷やす。DMF中の4μlの130μg/mlソラレン-フルオレセインを添加し、サンプルを45分、40℃で手持ちの長波長UV源で照射する。遊離ソラレンフルオレセインを飽和ブタノールでの抽出により除去する。使用したmRNAは、アンチセンスプラスミド(AmbionのpTRI-GAPDF-MouseアンチセンスControl Template)から、T7プロモーターおよびMaxiScriptキット(Ambion)を使用して製造したGAPDHアンチセンスmRNAである。短保護フラグメントは、別々に合成し、同様に標識した60量体相補的部分である。保護フラグメントの配列は下記の通りである:
【表2】
【0124】
ハイブリダイゼーションを、保護フラグメントを20nMでGAPDH mRNAを60nMで10μlの最終容量に2時間、22℃または37℃で混合することにより行う。ハイブリダイゼーションに続いてヌクレアーゼの混合物200μlを、製造者(Ambion Nuclease Protection Kit, ヌクレアーゼ混合物の1:200希釈)の指示にしたがって添加し、再び同じ温度で30分インキュベートする。加水分解をHybridization Inhibition Buffer (Ambion)で停止させ、オリゴヌクレオチドをペレット化し、エタノールで洗浄する。10μlの1×Gel Loading Buffer (Ambion)を添加し、オリゴヌクレオチドを15%TBE-尿素ゲルで分離する。ゲルを30分、流出緩衝液で渦を巻かせ、プラスチックプレート上におき、励起および放出波長の選択のためのフルオレッセインフィルターを使用してTundraで結像させる。画像をCCDアレイに2分蓄積する。最良の条件は、Hyb Buff 2で37℃またはHyb Buff 3で22℃でインキュベートしたサンプルである。これらのサンプルにおいて、検出可能な完全長保護フラグメントは残っておらず、あきらかに短保護フラグメントと同じサイズの有意な量の完全長保護フラグメントの部分が見られる。
【0125】
実施例12 NPA-MAPSによるmRNAアッセイ(図15参照)
完全NPA-MAPSプロトコールを、実施例11に記載のものと同じハイブリダイゼーションおよびヌクレアーゼ処理の条件で使用した。10個のサンプルをアッセイで流した。全て、同じ量の70量体オリゴヌクレオチド保護フラグメントおよび異なる量のGAPDA mRNAを含んだ。0.08mg/ml Yeast RNA(Ambion)含有50%Hybridization Bufferおよび50%Dilution Bufferの10μlの中のハイブリダイゼーションサンプルを90℃で6分加熱し、70℃で5分加熱して短く遠心し、19℃に冷やして19時間インキュベーションした。次いで、200μlのヌクレアーゼ混合物を各サンプルに30分、19℃で添加した。各サンプルを、MAPSアッセイのために60μlに等分した。2μlの10N NaOHおよび2μlの0.5M EDTAを添加し、サンプルを90℃に15分、37℃に15分加熱し、20分室温で放置した。次いで、サンプルを2μlの10M HClで中和し、2M HEPES pH7.5および保護フラグメントに特異的な200nMのビオチニル化ディテクターオリゴヌクレオチドを含む12μlの20×SSCを、1μlの10%SDSと共に添加した。サンプルを混合し、80℃で5分加熱し、各サンプルの2個の35μl量をMAPSプレートの二つのウェルにピペット輸送した(各サンプルを二つにわけ、MAPSプレートでデュプリケートで流す)。プレートは標準MAPSプロトコールのために調製されており、保護フラグメントに特異的な自己凝集CY5誘導体化リンカーが既に結合している。MAPSプレートを覆い、50℃で一晩インキュベートし、発光の検出を記載のように行った。最後のサンプルにおいて、保護フラグメント単独ではMAPSでどのように検出されるかの可視化のコントロールとして、ヌクレアーゼをアッセイ中に添加しない。図の下部において、ウェルの上の列の強度スキャン(イメージャーの分析として)を示す。サンプルに存在するGAPDH mRNAの量(即ち、MAPSプレートに等分した後の各デュプリケートにおける量)を図に列記する。
【0126】
MAPSプレートに使用したオリゴヌクレオチドは下記の通りである:
【表3】
*アンカーを5'末端でC12スペーサーにより合成した。
**リンカーを5'末端に結合したCy5で合成した。
***ディテクターオリゴヌクレオチドを5'末端に結合したビオチンで合成した。
【0127】
実施例13 希釈曲線、NPA-MAPS(図16参照)
実施例12に記載のおよび図15に示すデータを定量し、希釈曲線としてプロットした。二つのデュプリケートウェルの全8スポットの平均および標準分散をmRNAの各濃度に対してプロットした。結合曲線は、式:
フラクション結合=最大結合*1/(1+IC50/L)
〔式中、最大結合は飽和時の最大結合、フラクション結合はリガンド濃度Lで結合する量、およびIC50はフラクション結合が最大結合の半分であるリガンドの濃度〕
に入れた。曲線は図上に点で示し、図で標識するように、IC50=4.2フェムトモルの値で最も適合した。
【0128】
実施例14 全マウス肝臓RNA抽出物におけるGAPDH mRNAのNPA-MAPSアッセイ
全マウスRNA抽出物を、NPA-MAPSアッセイでGAPDH mRNAについてアッセイし、希釈曲線を作る。マウス肝臓由来の全RNAは、Quiagenキットを使用して調製する。RNAを0.5M Mg-アセテート含有70%EtOHに沈殿させ、10μlの0.8nM保護フラグメント含有0.05%SDS含有5×SSC中に再懸濁した。添加した保護フラグメントはオリゴヌクレオチド70塩基長であり、その60塩基がマウスGAPDHに相補的である。マウスGAPDH mRNAに相補的なフラグメントを使用する(“保護フラグメント”)か、これらの配列の相補物をネガティブコントロールとして使用する(“アンチセンスフラグメント”)。
【0129】
保護フラグメント含有RNAサンプルを90℃で5分加熱し、ハイブリダイゼーションを、サンプルを70℃にし、それらをゆっくり一晩で室温に冷却することにより行う。1:10希釈のS1ヌクレアーゼ(Promega)を、30分、19℃で30μlの1×S1 Nuclease Buffer(Promega)に添加し、1.6μlの10N NaOHおよび2.7μlの0.5M EDTAで停止させる。サンプルを90℃で15分、次いで37℃で15分加熱し、変性させてRNAを破壊し、1.6μlの10M HClで中和し、MAPSプレート上で一晩、200mM HEPES pH7.5添加5×SSCと一晩インキュベートし、それに30nMビオチニル化検出オリゴヌクレオチドを添加する。洗浄およびSA-HRPでの可視化を記載のように行う。シグナルの量は、マウスRNAの量の減少(サンプルは500、170、50、5または0.5μgのマウスRNAを含む)と並行して減少する。二つのコントロールサンプルは、S1ヌクレアーゼが添加されていないものを含む。シグナルは、相補的保護フラグメントにのみ見られる。
【0130】
使用したオリゴヌクレオチド:
【表4】
*アンカーを、5'末端でアミドを有するC12スペーサーで合成した。
**リンカーを5'末端に結合したCy5で合成した。
***プローブを5'末端に結合したビオチンで合成した。
【0131】
実施例15 コントロールを含むヌクレアーゼ保護MAPSアッセイ
mRNAはマウス肝臓から抽出され、ヌクレアーゼ保護は、GADPH特異的保護フラグメントがマウスGAPDHに相補的な60ヌクレオチドを含み、標的に相補的ではないフラグメントの3'で15“オーバーハンギング”ヌクレオチドが続く以外、本質的に実施例14に記載のように行う。ハイブリダイゼーションおよびヌクレアーゼ消化後、残りの保護フラグメントを、二つの異なるオリゴヌクレオチド検出フラグメントを固定化保護フラグメントの検出に使用する以外、本質的に実施例14に示すようにMAPSプレートとハイブリダイズさせる。一つの検出フラグメントは保護フラグメントのGAPDH特異的部分に相補的であり、他方、コントロールは保護フラグメントの15塩基オーバーハング部分に相補的である。各検出フラグメントは異なる複製サンプル(即ち、異なるウェル)で使用し、両方の検出フラグメントが同じ検出分子で標識できるようにする。本実施例においては、両フラグメントをHRPで標識する。ヌクレアーゼの添加なしに、両方の検出フラグメントのからのシグナルが見られる;一方、ヌクレアーゼ消化が行われたときは、GAPDH配列に対応するシグナルのみが検出できる。GAPDH特異的シグナルの量は、保護フラグメントを存在するGAPDH mRNAの量に対し対して過剰に添加したため、ヌクレアーゼ消化の不存在下で見られるものに相対して減少する。これは、GAPDH mRNAの量が保護ハイブリダイゼーションを限定し、形成された二本鎖の量(したがって、ヌクレアーゼから保護された保護フラグメントの量)がmRNAを反映するようにする。mRNAが反応混合物に含まれないとき、ヌクレアーゼを添加したときシグナルは検出できない。上記の発見は、アッセイのハイブリダイゼーションおよび消化段階が所望により起こっていることを証明する。
【0132】
種々の標的に対応する保護フラグメントがアッセイに包含される場合、各保護フラグメントは同じオーバーハング部分の15塩基を含むことができる。これは、全てのサンプルの残りのオーバーハングのテストに使用するためのフラグメントの検出を可能にする。
【0133】
実施例16 疾病状態と相関する遺伝子の発現を変え得る化合物のスクリーニングの転写アッセイ
ヒト腫瘍由来の細胞系を使用する。正常細胞よりも高いレベルで30遺伝子が発現されることが判明している。(即ち、これらの30遺伝子は正常細胞でよりも使用されおり、mRNAを造り、続いて遺伝子が指示するタンパク質を製造する。転写アッセイは、各遺伝子のmRNAがどの程度存在するかにより、どの程度遺伝子が使用されているかを測定する。)MAPSプレートでのヌクレアーゼ保護アッセイ(NPA-MAPS)を使用して、8800個の化学化合物を試験して、化合物存在下での細胞の成長が、6個の正常(構造的、“ハウスキーピング”)遺伝子の発現に影響することなく30個の相関的遺伝子のいくつかの発現を減少できるかを見るために試験する。効果を有する化合物は、この種の腫瘍の処置の医薬の開発に将来的に有用であるかも知れない。
【0134】
約10,000から100,000細胞を、100個の96ウェルポリスチレンプレートの各ウェルに添加し、それらが各ウェルの表面を覆うまで2日間生育させる。各プレートの8ウェルに関して、細胞を添加なしで生育させる。残りの各プレートの88ウェルに、異なる量の化学化合物を添加し、その効果単独を試験できるようにする。同時に100プレートを使用することにより、8800個の化合物が同時に試験またはスクリーニングできる。細胞を24時間、化合物の存在下で生育させ、次いで細胞をアッセイのために回収する。各プレートの細胞を96ウェルプレートのサンプル中のRNAの調製に関する指示にしたがって(例えば、Quiagen RNeasy 96キットにしたがって)処理する。RNAを調製した後、30個の相関的遺伝子および6個の正常“ハウスキーピング”遺伝子を含む36個の異なるmRNA種の量をNPA-MAPS試験により定量する。各々目的の遺伝子の一つに対応する36DNAオリゴヌクレオチド保護フラグメントを各ウェルに添加し、その標的mRNA配列に、選択したストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせる。次いで、S1ヌクレアーゼを添加して過剰の非ハイブリダイズDNAを破壊させ、サンプルを化学的に処理して同様にRNAを破壊する。左は、どの程度のmRNAが各サンプルの処理細胞に含まれているかに比例する、各36遺伝子のオリゴヌクレオチド保護フラグメントである。
【0135】
各々36個の異なるアンカーオリゴヌクレオチドの複数のアレイを各ウェルに含む100個の96ウェルプレートを各ウェルに36個の異なるリンカーオリゴヌクレオチドを添加することにより調製する。リンカーは各ウェルに表面に自己凝集し、一般的プレートを36個のオリゴヌクレオチド保護フラグメントの各々に特異的なプローブを含むMAPSプレートに変える。各リンカーは36個のアンカーの一つに特異的な部分および36個の保護オリゴヌクレオチドのセグメントの一つに特異的な部分を含む。100個のサンプルプレートの各ウェルからのオリゴヌクレオチドサンプルを100個のMAPSプレートの対応するウェルに添加する。選択したストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション後、結合した化学ルミネッセント酵素を有する各標的のための検出オリゴヌクレオチドを添加し、各ウェルの各特異的スポットが、サンプル中にどの程度mRNAが存在するかに依存して照らされる。6個のハウスキーピング遺伝子への作用無しに相関的遺伝子の量が減少したウェルは、興味深い。これらのサンプルの細胞に添加した化合物は、抗腫瘍剤の開発の出発点の可能性がある。
【0136】
実施例17 誘導および構造的遺伝子発現
RNAを、本質的に実施例14に記載のように、アデノウイルスに感染していない(“コントロール”)または感染1時間後(“感染”)のマウスの肝臓から調製した。肝臓RNAの60μgを各サンプルに使用し、サンプルをデュプリケートで調製した。各アッセイウェルはデュプリケート位置を3組含み、上記の3つの遺伝子に対応する。各位置はアンカーを含み、3つの遺伝子の一つの対応する保護フラグメントに相補的なプローブを含むリンカーに結合する。ヌクレアーゼ保護MAPSアッセイを、本質的に図12に記載のように行い、記載のように画像を集めてスキャンした。3個のmRNA標的の各々に関してデュプリケートのウェルの回収した生データおよびスキャンした強度を示す。スキャン線上の数は、統合強度値および各条件の標準偏差(n=4)である。変化が予期されないハウスキーピング遺伝子、GAPDHは、統計的に有意ではない1.3倍の僅かな増加を感染サンプルで示した。MIP-2およびc-junの転写は各々4および6倍に増加した。これらの発見は、二つの遺伝子、MIP-2およびc-junが、コントロールの構造的発現遺伝子GAPDHと比較して、アデノウイルス感染に反応して促進された反応を示すことを証明する。
【0137】
実施例18 チロシンまたはセリンキナーゼを選択的に阻害する化合物のスクリーニングの酵素アッセイ
キナーゼはタンパク質にリン酸を結合させる酵素である。多くは正常および新生物形成的細胞生育を刺激することが示されている。これ故、特異的キナーゼ(しかし、全てのキナーゼではない)を阻害する化合物は、どのキナーゼが病因に関与するかの試験に使用でき、そしてもしそうなら医薬開発の出発点として働く。例えば、細胞生育の刺激または炎症性反応の調節に関与する5個のチロシンキナーゼはsrc、lck、fyn、Zap70およびyesである。各キナーゼは、チロシンを含む短いペプチドとして、基質が部分的に同定される。キナーゼ種のいくつかは重複し、異なるキナーゼがあるペプチドを、同等に、しかし、他のものが優性にリン酸化し得る。5個のキナーゼに関して、36個のペプチド基質は、特異的および重複特性を示すものを選択する。
【0138】
100個の96ウェルプレートを使用する;各ウェルは36個の一般的オリゴヌクレオチドアンカーを含む。36個のリンカーを調製し、一般的オリゴヌクレオチドアレイ(アンカーのみ)からペプチド基質を含むアレイに変換する。36個のペプチド基質を合成し、各々アミド結合を介して、例えば、5'アミノ基を含むオリゴヌクレオチドに共有結合的に結合させる。オリゴヌクレオチドは、アンカーに特異的にハイブリダイズする配列を含む。ペプチド/オリゴリンカーは、それらをMAPSプレートの全てのウェルに添加することにより表面に自己凝集させる。
【0139】
スクリーニングのために、適当な濃度(基質のリン酸化の速度ができるだけ平衡している)の5個のキナーゼを各ウェルに、8800個の異なる試験する化合物と共に添加する。化合物を、単離酵素を直接阻害する能力に関して試験する。各アレイ化ペプチドのリン酸化の量を、チロシンがリン酸化されたペプチドのみに結合する標識抗体の添加により検出する。ホスホチロシンスポットのいくつかで減少を示すが、全てのスポットではないウェルが興味深い。これらのウェルに添加した化合物は、更に、試験したキナーゼのいくつかの選択的阻害剤の可能性について試験できる。
【0140】
アッセイのスキームを図17の上部パネルに示す。25個の塩基対オリゴヌクレオチドがアンカーの一つに相補的なキメラリンカー分子をチロシンホスホキナーゼ酵素のペプチド基質に架橋する。キメラオリゴペプチド基質はオリゴヌクレオチドアンカーのアレイに自己凝集し、キナーゼ酵素をキメラのペプチド部分のリン酸化に使用し、酵素反応を進行させた後、ペプチドのリン酸化の量を抗ホスホチロシンまたは抗ホスホセリン抗体により、結合検出蛍光または酵素で検出する。
【0141】
アッセイの結果を下部パネルに示す。同一2官能性架橋剤であるDSS(Pierce)を使用して、オリゴヌクレオチドリンカーの5'アミノ基をリン酸化チロシンで合成したペプチドのN末端に結合させた。一文字標記のペプチドの配列はTSEPQpYQPGENL(配列番号32)であり、pYはホスホチロシンを意味する。キメラは直接使用したか、または最初に60分pH14にし、チロシンのホスフェート基を部分的に加水分解させて使用した。リン酸化または部分的脱リン酸化キメラ分子はMAPSプレート内の相補的アンカー分子に、示す濃度で1時間自己凝集する。洗浄およびウェルをSSPTP中の0.3%BSAで遮断後、HRPに架橋した抗ホスホチロシン抗体(Upstate Biotechnology, Lake Placid, NYからの抗体4G10)をSSPTP中1:3000希釈で1時間添加し、結合した抗体の量を化学ルミネッセンス基質であるSuper Signal Blazeで検出した。示す画像は1分、CCDアレイに蓄積させた。予期されるように、オリゴペプチドに結合したリン酸の量に差異が見られた。この差異は、一連のキナーゼが、阻害剤の可能性のある異なる薬剤で処理したときにどのように作用するかを測定するアッセイの基本である。
【0142】
実施例19 SH2ドメインとリン酸化ペプチドの間の相互作用の選択的阻害剤の検出のための結合アッセイ
SH2ドメインはある成長調節タンパク質で結合サブユニットとして働く。ドメインはリン酸化ホスホチロシン含有タンパク質またはペプチドに不完全な特異性で結合する。即ち、あるホスホチロシンペプチドは1個または数個のSH2タンパク質に特異的に結合するが、他方は多くのSH2タンパク質に広く結合する。
【0143】
このアッセイに関して、リンカーはオリゴヌクレオチドに共有結合的に結合するリン酸化ペプチドである。ペプチド部分は、選択SH2タンパク質の基に結合する能力に関して選択する。リンカーは、一般的MAPSプレートをSH2タンパク質の基に特異的なリガンドを有するプレートに変える。リガンドを担持する100個の96ウェルMAPSプレートを造る。タンパク質を単離し、例えば、cy5蛍光分子で標識する。
【0144】
SH2ドメイン/ホスホペプチド相互作用のスクリーニングのために、標識SH2タンパク質の基を100個の96ウェルMAPSプレートの各ウェルに添加し、各ウェルに異なる試験化合物を添加する。これゆえ、各化合物の個々のSH2タンパク質とそのホスホペプチドリガンドへの相互作用の効果が、試験される。アッセイは、各表面結合ペプチドリンカーに付随した結合SH2タンパク質の蛍光の測定のためである。減少した蛍光をあるスポットで示すが、全てのスポットでは示さないウェルについて、添加した化合物を更にSH2ドッキングの推定選択的阻害剤として試験できる。
【0145】
実施例20 ハイスループットスクリーニング(図22参照)
一つの実験における96ウェルからのシグナルの検出を証明するハイスループットMAPSプレートを示す。同じオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションを80ウェルの16個の複製で測定した。示されるように、1280個のハイブリダイゼーションアッセイの再現性は非常に高かった。最も左および最も右のカラムは、異なる濃度のオリゴヌクレオチドのシグナルの標準化のためのコントロールとして働く。
【0146】
同じ形態で、16個の異なるオリゴヌクレオチドを各ウェルで試験でき、試験をプレートの80個の異なるウェルで繰り返す。もちろん、もっと多い数の異なるオリゴヌクレオチドまたは他のプローブ(例えば、100ヌクレオチドプローブ)も各ウェルで試験でき、多くのプレートを同時に試験できる(例えば、96ウェルマイクロタイタープレート、100プレート)。各サンプルに関して行うことができるアッセイの多い数(例えば、後者の場合、約100個の異なるアッセイ)および同時にアッセイできるサンプルの多い数(例えば、後者の場合、約96×100または9600の異なるサンプル)は超ハイスループットを提供する。
【0147】
実施例21 増幅した標的の調製(図23参照)
PCRプライマー(Primer One)を、プライマーオリゴヌクレオチドの5'末端に導入された化学修飾を介して、固体支持体(例えば、ビーズまたは反応容器)に結合せる。プライマーは、5'から3'で、化学修飾、制限酵素部位、および目的の標的に相補的な配列(例えば、目的のmRNAのcDNAコピー)を含む。標的を、結合したPrimer Oneプラス、5'から3'で、ディテクターオリゴヌクレオチドに特異的な配列およびPrimer Oneの標的と異なる部分に相補的な配列を含むPrimer TwoをPCRプライマーとして使用したPCRにより増幅する。PCR増幅に続いて、増幅した標的DNAを洗浄して過剰の反応物質を除去し、Primer Oneの制限部位に特異的な制限酵素での開裂により、固体支持体から放出させる。熱および/または化学法を使用して、制限酵素を不活性化し、二本鎖DNA産物を変性する。放出された、一本鎖DNA標的分し、次いで、アンカーおよび/またはリンカーを含む表面と接触させ得、標的をPrimer Twoのディテクター特異的配列に相補的なディテクターオリゴヌクレオチドを使用して検出できる。
【0148】
実施例22 増幅した標的の調製
PCRプライマー(Primer One)を、プライマーオリゴヌクレオチドの5'末端に導入された化学修飾を介して、固体支持体(例えば、ビーズまたは反応容器)に結合せる。プライマーは、5'から3'で、化学修飾、プロテアーゼにより開裂できるペプチド配列、および目的の標的に相補的な配列(例えば、目的のmRNAのcDNAコピー)を含む。ペプチドの代わりに、特異的に開裂できる他の要素も使用できる。例えば、実施例21に記載のようなPCR増幅に続いて、まだ固体支持体に結合しているPCR産物を変性し、(所望により)洗浄し、支持体に結合した一本鎖分子を残す。洗浄し、結合した分子を、次いで、(例えば、適当なプロテアーゼでの処理により)放出させ、アンカーおよび/またはリンカーを含む表面と接触させる。あるいは、変性に続いて放出された増幅標的の鎖を、アンカーおよび/またはリンカーを含む表面と接触できる。いずれの場合も、増幅した標的の一つの鎖のみ、リンカーと接触(例えばハイブリダイズ)し、増幅した標的の逆の鎖からのハイブリダイゼーションとの競合が排除され、バックグラウンドが減少する。リンカーは、増幅した標的配列のいずれか、または両方に特異的に設計できる。
【0149】
実施例23 検出リンカーとレポーター試薬でのアッセイ(図24参照)
目的のmRNAを含むサンプルを、mRNAに相補的ではない、標的特異的部分およびコントロールオーバーハング部分を含むオリゴヌクレオチドを保護フラグメントとして使用したヌクレアーゼ保護法に付す。ヌクレアーゼ消化に続き、コントロールオーバーハング部分を、図の左部分に説明にように、望ましいように、開裂できる;またはオーバーハングは、図の右部分に説明するように、消化されないようにできる。得られるヌクレアーゼ保護フラグメントを、標的特異的部分およびコントロールオーバーハング部分を含む検出リンカーとハイブリダイズさせる。図の左部分に示すアッセイにおいて、検出リンカーのコントロールオーバーハング部分は、ハイブリダイズしないままである;対照的に、図の右部分に示すアッセイにおいて、検出リンカーのオーバーハング部分は、保護フラグメントの残りのコントロールオーバーハング配列とハイブリダイズする。アッセイの次段階において、検出と相互作用できる部分を含むレポーター試薬を複合体と相互作用させる。図の左部分に示すアッセイにおいて、レポーター試薬は検出リンカーのハイブリダイゼーションに利用可能なままであるコントロールオーバーハング特異的部分とハイブリダイズし、複合体がレポーター試薬のシグナル伝達物質のために検出できる。対照的に、図の右部分に示すアッセイにおいて、レポーター試薬は相補的配列がハイブリダイズエーションのために利用可能でないため、複合体と結合できず、シグナルは複合体に結合しない。
【0150】
本発明の多くのアッセイにおいて、レポーター試薬は検出リンカーに存在する任意の配列と相互作用でき、コントロールオーバーハングに特異的な配列に限定されない。
【0151】
実施例24 多重蛍光物質(fluor)(図25参照)
5つの場所、A−Eを含む領域を図25に示す。各場所は異なるグループの実質的に同一のアンカー、アンカーA−Eを含む。場所Aのアンカーに、4つの異なるタイプのリンカーをハイブリダイズし、その各々はアンカーAに特異的な部分を含む。しかし、アンカーの各々は:標的1、2、3および4に対する異なる標的特異的部分を含む。したがって、標的のアンカー/リンカー複合体へのハイブリダイゼーション後、標的1、2、3または4は全て場所Aで局在化するようにできる。同様に、4つの異なるタイプのリンカーが場所Bにハイブリダイズできる。各リンカーは、アンカーBに特異的な部分を含むが、標的特異的部分は標的5、6、7または8に特異的である。同様の形態で、標的9−12は場所Cと、標的13−16は場所Dとおよび標的17−20は場所Eと関連する。これらの標的のいずれかを直接的または間接的に、例えば、アップコンタート可能な蛍光団のような異なる、独立した検出可能な蛍光物質で標的する場合、5つの独立した場所での全20個の標的を独立して検出できる。
【0152】
実施例25 ハイスループット形態のアッセイ
本実施例において、本発明の転写アッセイを使用して遺伝子発現パターンにおける変化を、ハイスループットスクリーニングに容易な形態で検出し、定量する。アッセイにおける全段階はロボットを利用して行う。慣用の洗浄段階は明確に
記載されていない。
【0153】
THP−1ヒト単球を96ウェルV底マイクロタイタープレートで、50,000または150,000細胞/ウェルで生育させる。細胞は未処理であるか、フォルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)で48時間分化させ。続いてリポポリサッカライド(LPS)で4時間活性化する。処理に続き、細胞をグアニジウムイソチオシアネート(guanidium isothyocyanate)で処理し、必要になるまで凍結させる。mRNAを、ビオチン−ポリdTが結合したストレプトアビジン常磁性粒子を使用して得る。あるいは、全RNAをtri試薬(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)での抽出により得る。mRNAまたは全RNAのいずれかを含むサンプルを、DNA保護フラグメントとして、各々が5'から3'で、目的の13個の標的の一つの特異的な25量体(GAPDH、IL−1、TNF−α、カテプシンG、cox-2、シクリン−2、ビメンチン、LD78-β、HMG−17、オステオポンチン、β−トロンボグロビン、アンギオテンシンまたはアクチン);10量体スペーサー;共通オリゴヌクレオチドディテクタープローブに特異的な25量体;および15量体共通オーバーハング配列を含むオリゴヌクレオチドの13個の60量体一本鎖の混合物を使用したヌクレアーゼ保護法に付す。mRNAはそれにより、アッセイにおいて標的として働く化学量論量の“対応するDNA保護フラグメント”に変換する。これらの対応するDNA保護フラグメントをコントロールオーバーハング配列とインキュベートするコントロール実験は、ヌクレアーゼ消化が望まれるように行われた場合に予測されるように、実質的に目的のmRNA標的に特異的な配列のみが対応する保護フラグメントに存在することを示す。
【0154】
表面は本発明の方法により調製する。96ウェルDNA Bind Plateの各ウェルにおいて、16個の異なる25量体オリゴヌクレオチドアンカーのアレイを置く。一つのアンカー種はアレイの4つのうち3つのアレイのコーナーに使用し、13の異なるアンカー種を使用し、1個はそれぞれにアレイにおける残りの位置で使用した。アンカーを次いで、定義された直交パターンにおいて、各々5'から3'で、目的の13個の標的の一つに対応する25量体、10量体スペーサーおよびアンカーの一つに特異的な25量体を含む60量体オリゴヌクレオチドリンカーとハイブリダイズする。したがって、複数反復16スポットアレイのいずれかで、13個の標的特異的リンカーの各々はアレイの異なる位置(場所)に局在化する。このような直交アレイの説明に関して図18参照。内部標準化コントロールとして働く構造的に発現されるハウスキーピング遺伝子であるGAPDHに対応するリンカーが、各アレイ内の3つの場所に示される。コントロール実験は、実験に使用したリンカー、ならびに保護フラグメントおよびディテクターオリゴヌクレオチドが、望ましい特性を示すことを示す。
【0155】
上記のように調製した対応する保護フラグメントの混合物を含むサンプルを、アンカー/リンカーアレイにハイブリダイズする。未処理または誘導したクラスターのいずれか由来のサンプルを使用する。次いでハイブリダイズした保護フラグメントの各場所での存在および量を、標識ディテクターオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより検出する。各場所でのシグナルの量を標準化するために、本明細書に記載のように、ディテクターオリゴヌクレオチドを適当な量の遮断されたオリゴマーで希釈する。各場所でのシグナルの量を処理し、コントロールGAPDHシグナルに対して標準化する。得られたデータは、違う日に行った8回繰り返したサンプルで、ならびに3つの異なる実験で調製したサンプルで再現性がある。一つの実験における13個の転写物の相対的な発生量を下記の表に示す。
【表5】
【0156】
実施例26 複数アレイプレートデータの定量のためのコンピューターアルゴリズム
好ましいアルゴリズムは、MAPSプレートの全スポットの位置を発見し、各データポイントに関するシグナルの振幅の適合度概算を自動的に計算する。好ましくは、アルゴリズムはコンピュータープログラムにより実行される。
【0157】
1 − 試験する最初のウェルを含むイメージの各ピクセル(画素)の強度値を含むイメージデータの小部分、40×40ボックスを選択する。
2 − 16の未知数を使用した各ピクセル位置で予測される強度を計算する関数を定義する。未知数は:
各13個の異なるマイクロアレイスポットの振幅(即ち、DNAアレイの各位置で、実際のシグナルがどのくらい明るいか)。各ウェル内の4×4(=16)スポットに関して、16スポットの幾つかがある標的に関して2重であるため、13個ある。
この特定のウェル内のスポットの4×4アレイの正確な位置を定義するxオフセットおよびyオフセット。
ウェル内の図のバックグラウンド強度。
【0158】
各ピクセル位置の関数は、ピクセルと各スポットの間の距離を計算し、各スポットを一定の距離に関するインパルス反応関数によりスポット振幅を増幅することにより、そのピクセルで観察される強度とする寄与と合う。インパルス反応関数に使用する画像は、適当な(一定)半径のGaussian およびLorentzianの合計により定義する。
【0159】
3 − パラメーターの値を素早く推測することにより現在のウェルへの適合を開始する。これを行うために、スポットがあると予測される図の16個の領域に関して平均イメージ強度を計算する。これらの16の平均kらオフセットを引き、一定計数により差異を測る。結果を再整理し、16スポットを13振幅と適合させる。バックグラウンドおよびオフセットに関して、任意の小さな数を使用する。
【0160】
4 − 適合した値(16の未知数に関して)を、曲線適合により適合させる。特に、16の未知数を40×40=1600等式に適合させるため(もちろん全ての式が直線的に独立しているが)、適合関数を直線化するため、Marquadt法の非直線最小2乗アルゴリズムを使用する。
【0161】
5 − 現在のウェルに関して適合させたx、yオフセットを使用して、グリッドがマイクロプレートの次ぎのウェルに関してである改善された精度で概算する。9ミリメートルオフセットが次ぎの隣接ウェルに関して比例すると予測される(ピクセルの数における距離を、イメージングシステムの倍率計数により変換して)。ウェルの間の距離はプレートのサイズに対して小さいため、位置の局所概算の使用が最も正確である。
【0162】
6 − 位置の改善された概算で、ピクセルの30×30ボックスに移動した、隣のウェルのイメージの小さいボックスを定義する。これは適合法をより速くする。
段階2に戻り、各ウェルに関して繰り返す。
【0163】
前記から、当業者は本発明の本質的特徴を容易に確認でき、その精神および範囲から逸脱することなく、本発明を種々の使用および条件に適応するように変化および修飾できる。
更に努力することなく、当業者は、前記を使用して、本発明をその完全な範囲で利用できると考えられる。前記は好ましい具体的態様を記載し、したがって、単に説明的であり、如何なる方法でも明細書の残りの記載を限定しない。
上記および図面で引用した全ての出願、特許および刊行物は、本明細書に引用して包含させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)標的を含み得るサンプルを、該サンプルの添加前に、
i)少なくとも2つは実質的に同一な空間的に分離された領域を複数含む表面、
ii)アンカーの少なくとも二つの異なる場所(これは、上記の領域それぞれに含まれる)、
iii)アンカーに特異的な第1部分、および該標的に特異的なプローブを含む第2部分を有する二官能性リンカー(これは、上記の各場所で、各アンカーと結合する)、
を含む組合せと、該標的が該組合せに結合するのに有効な条件下で接触させ、
ここで領域の少なくとも一つの場所に位置する2個以上のアンカーが、異なる標的特異性を有する異なる二官能性リンカーと結合する、
ことを含み、ここで、該領域が多ウェルプレートのウェルであり、該場所がウェル中のスポットである、少なくとも一つの標的を検出する方法。
【請求項1】
a)標的を含み得るサンプルを、該サンプルの添加前に、
i)少なくとも2つは実質的に同一な空間的に分離された領域を複数含む表面、
ii)アンカーの少なくとも二つの異なる場所(これは、上記の領域それぞれに含まれる)、
iii)アンカーに特異的な第1部分、および該標的に特異的なプローブを含む第2部分を有する二官能性リンカー(これは、上記の各場所で、各アンカーと結合する)、
を含む組合せと、該標的が該組合せに結合するのに有効な条件下で接触させ、
ここで領域の少なくとも一つの場所に位置する2個以上のアンカーが、異なる標的特異性を有する異なる二官能性リンカーと結合する、
ことを含み、ここで、該領域が多ウェルプレートのウェルであり、該場所がウェル中のスポットである、少なくとも一つの標的を検出する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20a】
【図20b】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20a】
【図20b】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2011−135883(P2011−135883A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22998(P2011−22998)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【分割の表示】特願2009−234857(P2009−234857)の分割
【原出願日】平成12年6月21日(2000.6.21)
【出願人】(500287547)
【氏名又は名称原語表記】Richard M.KRIS
【出願人】(500287503)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【分割の表示】特願2009−234857(P2009−234857)の分割
【原出願日】平成12年6月21日(2000.6.21)
【出願人】(500287547)
【氏名又は名称原語表記】Richard M.KRIS
【出願人】(500287503)
【Fターム(参考)】
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