説明

ハロゲン化物含有ポリマーのための安定剤組成物

ハロゲン化物含有ポリマーを安定化するための組成物であって、一般式(I)によって表される化合物を含む組成物:式(I)においてX、Y、およびZはそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、および構造(II)を有する基からなる群より独立に選択され、式(II)においてR1およびR2はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、フェニルアルキル、およびアリール基からなる群より独立に選択され、Aは酸素(O)または硫黄(S)であり;かつ二重破線は任意の二重結合を意味する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は一般には、塩化物含有ポリマーなどのハロゲン化物含有ポリマーのための安定剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
塩素含有ポリマー(すなわち、ポリ塩化ビニル(PVC)など)などのハロゲン化物含有ポリマーは熱的に不安定でありうる。PVCは市販されている最も重要な大量熱可塑性物質の一つである。PVCは商業的に用いられている最も熱安定性の低いポリマーの一つでもある。PVC加工およびその後のPVCの末端使用において、熱安定剤が必要とされる。
【0003】
PVCを安定化するために一連の添加物を用いることができ、したがってPVC安定剤は4つの範疇、すなわち下記に分類することができる:
・鉛安定剤;
・スズ安定剤;
・混合金属安定剤;および
・有機安定剤。
【0004】
鉛安定剤は、主な安定化成分として鉛誘導体を有する安定剤で、硫酸鉛(lead tribasic sulfate)、亜リン酸鉛(lead dibasic phosphite)などの無機塩、および例えばステアリン酸塩、ラウリン酸塩などの鉛セッケンが含まれる。鉛安定剤は現在のところPVCの市場優勢安定剤である。
【0005】
スズ安定剤は、主な安定化成分としてアルキル-スズメルカプチドまたはカルボン酸塩を含む安定剤である。スズ安定剤は一般に硬質PVCを安定化する際に用いられる。
【0006】
混合金属安定剤は、バリウム-亜鉛またはカルシウム-亜鉛カルボン酸塩などの金属カルボン酸塩の組み合わせを含む安定剤である。カルシウム-亜鉛カルボン酸塩を含む混合金属安定剤は、鉛安定剤および/またはスズ化合物の代替物である。
【0007】
有機安定剤は、主な安定化成分として無金属有機化合物を含む安定剤である。有機安定剤は鉛、カドミウム、スズ、バリウム、アンチモン、亜鉛および他の重金属を含まない。
【0008】
商業的には、鉛はその性質ゆえにまだ今日の世界的に優勢なPVC安定剤である。鉛を禁止する環境的規制のため、鉛安定化剤の適用から鉛を段階的に廃止することが望ましい。環境に優しく、許容される鉛の代用品は、カルシウム-亜鉛(Ca/Zn)および無重金属有機安定剤の二つの範疇に分けられる。しかし、PVC加工段階でCa/Zn安定剤により安定化されたPVCで生じる塩化亜鉛は、毒性物質であると考えられる。
【0009】
前述のことを考慮して、塩素含有ポリマーを熱的に安定化する安定剤を提供することが必要とされている。
【0010】
前述の欠点の一つまたは複数を克復するか、または少なくとも改善する安定剤を提供することも必要とされている。
【0011】
鉛、カドミウム、スズ、バリウム、アンチモン、亜鉛および任意の他の重金属を含まない、PVCなどの塩素含有ポリマーのための有機安定剤を提供することが必要とされている。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
第一の局面に従い、ハロゲン化物含有ポリマーを安定化するための組成物であって、一般式(I)で表される化合物を含む組成物が提供される:

式中、X、Y、およびZはそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、および構造(II)を有する基からなる群より独立に選択され

R1およびR2はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、フェニルアルキル、およびアリール基からなる群より独立に選択され、
Aは酸素(O)または硫黄(S)であり;
二重破線

は任意の二重結合を意味し;かつ
ここで該組成物が、使用されている該ハロゲン化物含有ポリマーと混合されると、該組成物は少なくとも部分的に該ハロゲン化物含有ポリマーの熱分解を阻害する。
【0013】
一つの態様において、ハロゲン化物含有ポリマーは塩化物含有ポリマーである。
【0014】
組成物は下記からなる群より選択される一つまたは複数の添加物をさらに含んでいてもよい:ポリオール化合物、アルカリまたはアルカリ土類金属化合物、アルカリまたはアルカリ土類カルボン酸塩化合物、アルカリゼオライト化合物、脂肪酸;ヒドロタルサイト化合物、過塩素酸塩化合物、亜リン酸塩およびジ亜リン酸塩化合物、β-ジケトン化合物、立体障害アミン化合物、アルカノールアミン、グリシジル化合物、フェノール性抗酸化化合物、ならびにその一つまたは複数の組み合わせ。
【0015】
第二の局面に従い、
ハロゲン化物含有ポリマーと、一般式(I)で表される化合物を含む安定剤組成物とを含むポリマー組成物が提供される:

式中、X、Y、およびZはそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、および構造(II)を有する基からなる群より独立に選択され、

R1およびR2はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、フェニルアルキル、およびアリール基からなる群より独立に選択され、
Aは酸素(O)または硫黄(S)であり;かつ
二重破線

は任意の二重結合を意味する。
【0016】
第三の局面に従い、安定化ハロゲン化物含有ポリマーの調製法であって、
ハロゲン化物含有ポリマー樹脂と一般式(I)で表される化合物を含む安定剤組成物とを含む材料を混合する段階と;
混合した材料を一定期間加熱して、ハロゲン化物含有樹脂および安定剤組成物を少なくとも部分的に結合させる段階とを含む方法が提供される:

式中、X、Y、およびZはそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、および構造(II)を有する基からなる群より独立に選択され

R1およびR2はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、フェニルアルキル、およびアリール基からなる群より独立に選択され、
Aは酸素(O)または硫黄(S)であり;かつ
二重破線

は任意の二重結合を意味する。
【0017】
第四の局面に従い、ハロゲン化物含有ポリマーを安定化するための組成物であって、一般式(I)で表される化合物と、金属過塩素酸塩とを含む組成物が提供される:

式中、X、Y、およびZはそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、および構造(II)を有する基からなる群より独立に選択され、

R1およびR2はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、フェニルアルキル、およびアリール基からなる群より独立に選択され、
Aは酸素(O)または硫黄(S)であり;
二重破線

は任意の二重結合を意味する。
【0018】
第二の局面の一つの態様において、一つまたは複数の添加物は下記からなる群より選択される:過塩素酸塩、ヒドロタルサイト、ゼオライト、カルボン酸塩、炭酸水素塩、アルカノールアミン、および立体障害アミン。
【0019】
一つの態様において、下記を含むポリマー組成物が提供される:
塩素含有ポリマーと;
第一の局面で定義される安定剤組成物。
【0020】
一つの態様において、ポリ塩化ビニル樹脂と、第一の局面の安定剤組成物の熱安定化有効量とを含む、ポリ塩化ビニル樹脂組成物が提供される。
【0021】
一つの態様において、安定化塩素含有ポリマーの調製法であって、
塩素含有ポリマー樹脂と第一の局面で定義される安定剤組成物とを含む材料を混合する段階と;
混合した材料を一定期間加熱して、ポリ塩化ビニル樹脂および安定剤組成物を少なくとも部分的に結合させる段階とを含む方法が提供される。
【0022】
一つの態様において、塩素含有ポリマーを安定化する方法であって、該ポリマーを第一の局面に定義される安定剤組成物と混合する段階を含む方法が提供される。
【0023】
一つの態様において、塩素含有ポリマーを安定化するために用いる、第一の局面に定義される安定剤組成物が提供される。
【0024】
定義
下記は本発明の記載を理解する上で助けとなりうるいくつかの定義である。これらは一般的な定義を意図しており、決して本発明の範囲をそれらの用語だけに限定するものではなく、下記の記載をよりよく理解するために提示される。
【0025】
文脈からそうではないことが必要であるか、または具体的に反対であることが示されていないかぎり、本明細書において単数の整数、段階、または要素として挙げられている本発明の整数、段階、または要素は、挙げられた整数、段階、または要素の単数形および複数形の両方を明らかに含む。
【0026】
本明細書の全体を通して、文脈からそうではないことが必要でないかぎり、「含む」なる用語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、述べられた段階もしくは要素もしくは整数または段階群もしくは要素群もしくは整数群の包含を意味するが、いかなる他の段階もしくは要素もしくは整数または要素群もしくは整数群の除外も意味しないことが理解されると思われる。したがって、本明細書の文脈において、「含む(comprising)」なる用語は「主に含む(including)が、かならずしもそれだけではない」ことを意味する。
【0027】
当業者であれば、本明細書に記載の発明は具体的に記載されている以外の変形および改変が可能であることを理解すると思われる。本発明はすべてのそのような変形および改変を含むことが理解されるべきである。本発明は同様に、本明細書において言及または表示される段階、特徴、組成物および化合物のすべてを、個々に、または一括して、ならびに該段階または特徴の任意およびすべての組み合わせまたは任意の複数を含む。
【0028】
本明細書において用いられる「アルキル基」なる用語には、その意味の範囲内に、1から10個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の炭素原子を有する、一価(「アルキル」)および二価(「アルキレン」)直鎖または分枝鎖飽和脂肪族基が含まれる。例えば、アルキルなる用語には、メチル、エチル、1-プロピル、イソプロピル、1-ブチル、2-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、アミル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、4-メチルペンチル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、1,2,2-トリメチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、ヘプチル、1-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、4,4-ジメチルペンチル、1,2-ジメチルペンチル、1,3-ジメチルペンチル、1,4-ジメチルペンチル、1,2,3-トリメチルブチル、1,1,2-トリメチルブチル、1,1,3-トリメチルブチル、5-メチルヘプチル、1-メチルヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0029】
「低級アルキル基」なる用語には、1から6個の炭素原子、より好ましくは1から4個の炭素原子を有する、前述の定義のアルキル基が含まれる。
【0030】
「アルケニル基」なる用語には、その意味の範囲内に、2から10個の炭素原子、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の炭素原子を有し、かつ適用可能な場合にはE、Z、シスまたはトランス立体化学いずれかの少なくとも一つの二重結合を、アルキル鎖の任意の位置に有する、一価(「アルケニル」)および二価(「アルケニレン」)直鎖または分枝鎖不飽和脂肪族炭化水素基が含まれる。アルケニル基の例には、エテニル、ビニル、アリル、1-メチルビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテンチル、1,3-ブタジエニル、1-ペンテニル、2-ペンテンチル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1,3-ペンタジエニル、2,4-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、2-メチルペンテニル、1-ヘプテニル、2-ヘプテンチル、3-ヘプテニル、1-オクテニル、1-ノネニル、1-デセニルなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0031】
「低級アルケニル基」なる用語には、2から6個の炭素原子、より好ましくは2から4個の炭素原子を有する、前述の定義のアルケニル基が含まれる。
【0032】
本明細書において用いられる「アルキニル基」なる用語には、その意味の範囲内に、2から10個の炭素原子を有し、かつ少なくとも一つの三重結合を、炭素鎖の任意の位置に有する、一価(「アルキニル」)および二価(「アルキニレン」)直鎖または分枝鎖不飽和脂肪族炭化水素基が含まれる。アルキニル基の例には、エチニル、1-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、1-メチル-2-ブチニル、3-メチル-1-ブチニル、1-ペンチニル、1-ヘキシニル、メチルペンチニル、1-ヘプチニル、2-ヘプチニル、1-オクチニル、2-オクチニル、1-ノニル、1-デシニルなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0033】
「低級アルキニル基」なる用語には、2から6個の炭素原子、より好ましくは2から4個の炭素原子を有する、前述の定義のアルキニル基が含まれる。
【0034】
本明細書において用いられる「シクロアルキル」なる用語は環式飽和脂肪族基を意味し、その意味の範囲内に、3から10個の炭素原子、例えば、3、4、5、6、7、8、9、または10個の炭素原子を有する、一価(「シクロアルキル」)、および二価(「シクロアルキレン」)、飽和、単環式、二環式、多環式または縮合多環式炭化水素基が含まれる。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、2-メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、2-メチルシクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0035】
本明細書において用いられる「シクロアルケニル」なる用語は環式不飽和脂肪族基を意味し、その意味の範囲内に、3から10個の炭素原子を有し、かつ適用可能な場合にはE、Z、シスまたはトランス立体化学いずれかの少なくとも一つの二重結合を、アルキル鎖の任意の位置に有する、一価(「シクロアルケニル」)および二価(「シクロアルケニレン」)、単環式、二環式、多環式または縮合多環式炭化水素基が含まれる。シクロアルケニル基の例には、シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0036】
本明細書において用いられる「シクロアルキニル」なる用語は環式不飽和脂肪族基を意味し、その意味の範囲内に、3から10個の炭素原子を有し、かつ少なくとも一つの三重結合を、アルキル鎖の任意の位置に有する、一価(「シクロアルキニル」)および二価(「シクロアルキニレン」)、単環式、二環式、多環式または縮合多環式炭化水素基が含まれる。シクロアルキニル基の例には、シクロプロピニル、シクロペンチニル、シクロヘキシニルなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0037】
本明細書において用いられる「フェニル」なる用語は、置換されていてもよいフェニル基を意味する。
【0038】
本明細書において用いられる「フェニルアルキル」なる用語は、ベンジル、4-ヒドロキシベンジル、4-クロロベンジル、1-ナフチルメチルなどを含むが、それらに限定されるわけではない、低級アルキル基に結合しているフェニル基を意味する。
【0039】
「アリール」なる用語は、炭素および水素原子を含む、置換されていてもよい単環式または多環式芳香族基を意味する。適当なアリール基の例には、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、およびナフチル、ならびにベンゾ縮合炭素環式部分が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0040】
本明細書において用いられる「置換されていてもよい」なる用語は、この用語が言及する基は無置換であってもよく、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、チオアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ハロ、カルボキシル、ハロアルキル、ハロアルキニル、ヒドロキシル、アルコキシ、チオアルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ニトロ、アミノ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロヘテロシクリル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミン、アルキニルアミノ、アシル、アルケノイル、アルキノイル、アシルアミノ、ジアシルアミノ、アシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ヘテロシクロキシ、ヘテロシクロアミノ、ハロヘテロシクロアルキル、アルキルスルフェニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アシルチオ、ホスホノおよびホスフィニルなどのリン含有基、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、シアノ、シアン酸塩、イソシアン酸塩、-C(O)NH(アルキル)、ならびにC(O)N(アルキル)2から独立に選択される一つまたは複数の基で置換されていてもよい。
【0041】
本明細書において用いられる「ハロゲン化物」なる用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
【0042】
「ハロゲン化物含有ポリマー」なる用語は、20℃で固体型であり、前述の定義のハロゲン化物を含む、ポリマー材料を意味する。
【0043】
「安定化塩素含有ポリマー」または「安定化ポリマー」なる用語は、本明細書に開示する安定剤組成物を含む任意の塩素含有ポリマーを含むと、広く解釈されるべきである。
【0044】
「不可避不純物」なる用語は、安定剤組成物または安定化塩素含有ポリマー材料の製造工程中に存在しうる、塩素含有ポリマー材料または安定剤組成物成分材料を含まない材料を含むと、広く解釈されるべきである。
【0045】
本明細書において用いられる「アミノ」なる用語は、RaおよびRbが水素、置換されていてもよいアルキル、好ましくは置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアルケニル、好ましくは置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよいアルキニル、好ましくは置換されていてもよい低級アルキニル、および置換されていてもよいアリール基を含むが、それらに限定されるわけではない群より独立に選択される、-NRaRb型の基を意味する。
【0046】
態様の開示
本発明を下記の態様においてさらに記載するが、これらは例示のために示すもので、出願人らが発明であると主張するものの範囲を限定するためのものではない。
【0047】
塩素含有ポリマーなどのハロゲン化物含有ポリマーを熱的に安定化するための安定剤組成物の例示的非限定態様をここで開示する。以下、便宜上、便宜のために「塩素含有ポリマー」または「塩化物含有ポリマー」について言及することになる。しかし、開示する組成物は任意の型のハロゲン化物含有ポリマーのために用いることができる。
【0048】
開示の態様は、式(I)で表される化合物を含む新規安定剤組成物を記載する:

式中、X、Y、およびZはそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、および構造(II)を有する基からなる群より独立に選択され

R1およびR2はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、フェニルアルキル、およびアリール基からなる群より独立に選択され、
Aは酸素(O)または硫黄(S)であり;かつ
二重破線

は任意の二重結合を意味する。前記式(I)の化合物は芳香環構造中に三つよりも多くの二重結合を含まないことが理解されると思われる。
【0049】
一つの態様において、開示化合物は式(IA)

で表される。
【0050】
もう一つの態様において、開示化合物は式(IB)

で表される。
【0051】
一つの態様において、X、Y、Z、R1およびR2はそれぞれ低級アルキル、低級アルケニル、および低級アルキニルからなる群より選択され独立に選択される。
【0052】
安定剤組成物は塩素含有ポリマーを安定化するための熱安定剤として用いてもよい。
【0053】
安定剤組成物はA原子間の共有結合により共に結合されている複数の式Iの化合物を含んでいてもよい。一つの態様において、X、Y、およびZの一つがアミノであるか、または構造(II)を有する場合、複数の式Iの化合物は窒素原子間の共有結合により共に結合される。
【0054】
安定剤組成物は共有結合により共に結合されている複数の式Iの化合物を含んでいてもよい。
【0055】
安定剤は一つまたは複数の添加化合物を含んでいてもよい。安定剤は一つまたは複数の滑沢剤を含んでいてもよい。
【0056】
安定剤組成物を塩素含有ポリマーと混合して安定化塩素含有ポリマーを生成してもよい。安定化塩素含有ポリマーは式Iの化合物を下記からなる群より選択される重量%で含んでいてもよい:約0.01%から約20%;約0.01%から約16%;約0.1%から約15%;約0.15%から約10%;約0.2%から約8%;約0.2%から約6%;および約0.2%から約4%。
【0057】
一つの態様において、塩素含有ポリマーを押出成形にかけて、式Iの化合物を約0.05重量%から約1重量%の範囲の重量で有する塩素含有ポリマー製のパイプを形成してもよい。
【0058】
もう一つの態様において、塩素含有ポリマーを射出成形にかけて、式1の化合物を約0.1重量%から約3.5重量%の範囲の重量で有する塩素含有ポリマー製の成形物を形成してもよい。
【0059】
安定化塩素含有ポリマーは一つまたは複数の添加化合物を下記からなる群より選択される重量%で含んでいてもよい:約0.09%から約16%;約0.1%から約15%;約0.15%から約10%;約0.2%から約8%;約0.2%から約6%;および約0.2%から約4%。
【0060】
一つの態様において、塩素含有ポリマーを押出成形にかけて、一つまたは複数の添加化合物を約0.1重量%から約2重量%の範囲の重量で有する塩素含有ポリマー製のパイプを形成してもよい。
【0061】
もう一つの態様において、塩素含有ポリマーを射出成形にかけて、一つまたは複数の添加化合物を約0.3重量%から約3重量%の範囲の重量で有する塩素含有ポリマー製の成形物を形成してもよい。
【0062】
安定化塩素含有ポリマーは一つまたは複数の滑沢剤を下記からなる群より選択される重量%で含んでいてもよい:約0.09%から約21%;約0.1%から約20%;約0.15%から約10%;約0.2%から約8%;約0.3%から約6%;および約0.4%から約4%。
【0063】
一つの態様において、塩素含有ポリマーを押出成形にかけて、一つまたは複数の滑沢剤を約0.5重量%から約2重量%の範囲の重量で有する塩素含有ポリマー製のパイプを形成してもよい。
【0064】
もう一つの態様において、塩素含有ポリマーを射出成形にかけて、一つまたは滑沢剤を約0.8重量%から約3重量%の範囲の重量で有する塩素含有ポリマー製の成形物を形成してもよい。
【0065】
アミノ置換ピリミジン化合物
アミノ置換ピリミジン化合物はアミノ置換ヒドロキシ-ピリミジンまたはアミノ置換メルカプト-ピリミジンでありうる。
【0066】
アミノ置換ピリミジン化合物は下記からなるリストから選択してもよい:2-Amino-6-ヒドロキシピリミジン、2-アミノ-6-メルカプトピリミジン、2-N-メチルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2-N-2-プロピルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4-アミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4-アミノ-6-メルカプトピリミジン、4-N-フェニルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4-メチルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4-オクチルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、5-アミノ-6-ヒドロキシピリミジン、5-アミノ-6-メルカプトピリミジン、5-N-ブチルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、5-N-メチルアミノ-6-メルカプトピリミジン、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4-ジアミノ-6-メルカプトピリミジン、2,4-N,N'-ジメチルジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-6-メルカプトピリミジン、4,5-N,N'-ジプロピルジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4-N-メチルアミノ-5-N-オクチルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,6-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,6-ジアミノ-6-メルカプトピリミジン、2,6-N,N'-ジブチルジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2-N-ブチルアミノ-6-N-フェニルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4,5-トリアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4,5-トリアミノ-6-メルカプトピリミジン、2-N-メチルアミノ-4-N-ブチルアミノ-5-N-フェニルアミノ-6-ヒドロキシピリミジンおよびその一つまたは複数の組み合わせ。
【0067】
添加化合物
安定剤組成物は下記からなる群より選択される一つまたは複数の添加物をさらに含んでいてもよい:ポリオール、アルカリまたはアルカリ土類金属化合物、アルカリまたはアルカリ土類カルボン酸塩、アルカリゼオライト、ヒドロタルサイト、過塩素酸塩化合物、亜リン酸塩および次亜リン酸塩、β-ジケトン、立体障害アミン、アルカノールアミン、グリシジル化合物、フェノール性抗酸化剤、ならびにその一つまたは複数の組み合わせ。
【0068】
安定化塩素含有ポリマー中に存在する添加化合物の量は、下記からなる群より選択してもよい:0.001%から15%;0.01%から10%;0.1%から8%;0.1%から6%;0.1%から5%;0.1%から4%;0.1%から3%;0.1%から2%および0.1%から0.6%。
【0069】
ポリオール
ポリオールは下記からなる群より選択してもよい:ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ビストリメチロールプロパン、ビストリメチロールエタン、トリスメチロールプロパン、ポリビニルアルコール、ソルビトール、マンニトール、テトラメチロールシクロヘキサノール、テトラメチロールシクロペンタノール、テトラメチロールシクロピラノール、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、チオジグリセロール、イソシアヌル酸トリス(ヒドロキシエチル);イソシアヌル酸トリス(ヒドロキシプロピル)およびその一つまたは複数の組み合わせ。
【0070】
アルカリまたはアルカリ土類金属化合物
アルカリまたはアルカリ土類金属化合物は下記からなる群より選択してもよい:アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、硫化物、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩および炭酸水素塩、ならびにその一つまたは複数の組み合わせ。
【0071】
アルカリ金属は下記からなる群より選択してもよい:リチウム、ナトリウム、およびカリウム、ならびにその一つまたは複数の組み合わせ。
【0072】
アルカリ土類金属は下記からなる群より選択してもよい:マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、およびバリウム、ならびにその一つまたは複数の組み合わせ。
【0073】
アルカリまたはアルカリ土類金属化合物は、下記からなる群より選択される塩基性アルカリまたはアルカリ土類金属であってもよい:水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、ホウ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、およびその一つまたは複数の組み合わせ。
【0074】
アルカリまたはアルカリ土類カルボン酸塩
アルカリまたはアルカリ土類カルボン酸塩は下記からなる群より選択してもよい:パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、酪酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、アジピン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムおよびその一つまたは複数の組み合わせ。
【0075】
アルカリ金属アルミノケイ酸塩
アルカリ金属アルミノケイ酸塩は下記からなる群より選択してもよい:アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸カリウム、アルミノケイ酸リチウムおよびその一つまたは複数の組み合わせ。
【0076】
脂肪酸
分子内に少なくとも一つのカルボキシ基を有する脂肪族カルボン酸を用いてもよい。例示的カルボン酸はグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、または二量体化もしくは三量体化リノール酸、アクリル酸およびメタクリル酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびペラルゴン、ベヘン、オレイン酸など、ならびにこれらの脂肪酸の任意の塩である。
【0077】
ヒドロタルサイト
いかなるヒドロタルサイトも用いることができる。例示的ヒドロタルサイトには、Al2O36MgO.CO2.12H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3.3.5H2O、4MgO.Al2O3.CO2.9H2O、4MgO.Al2O3.CO2.6H2O、Mg6Al2(CO3)(OH)16.4H2O、Mg4.5Al2(CO3)(OH)13.3H2Oおよびその無水型が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0078】
過塩素酸塩化合物
過塩素酸塩化合物は、MがLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、Zn、Al、La、またはCeからなる群より選択され、かつnが1、2、または3である、式M(ClO4)nを有する化合物から選択してもよい。
【0079】
過塩素酸化合物はアルコール(ポリオール、シクロデキストリン)またはエーテルアルコールもしくはエステルアルコールと結合してもよい。エステルアルコールにはポリオール部分エステルも含まれる。多価アルコールまたはポリオールの場合に同様に適しているのは、ジ、トリ、テトラおよびポリグリコール、ならびにジ、トリおよびテトラペンタエリスリトールまたは様々な重合度のポリビニルアルコールなどのそれらの二量体、三量体、オリゴマーおよびポリマーである。
【0080】
過塩素酸化合物は様々な公知の型、例えば、PVC、ケイ酸カルシウム、ゼオライトもしくはヒドロタルサイトなどの基体に適用される塩もしくは水溶液で導入することもでき、または化学反応によりヒドロタルサイト中に結合することもできる。
【0081】
亜リン酸塩および次亜リン酸塩
亜リン酸塩は下記からなる群より選択してもよい:亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルアルキル、亜リン酸フェニルジアルキル、亜リン酸トリス-(ノニルフェニル)、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸トリオクタデシル、2亜リン酸ジステアリル-ペンタエリスリトール、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、2亜リン酸ジイソデシルペンタエリスリトール、2亜リン酸ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール、2亜リン酸ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)-ペンタエリスリトール、2亜リン酸ビス-イソデシルオキシ-ペンタエリスリトール、2亜リン酸ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトール、2亜リン酸ビス(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール、3亜リン酸トリステアリル-ソルビトール、亜リン酸ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチル、亜リン酸ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6メチルフェニル)エチル、亜リン酸フェニルジデシル、亜リン酸(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-ジ-ドデシル、亜リン酸(2,6ジ-tert-ブチルフェニル)-ジ-ドデシル2亜リン酸ジステアリルペンタエリスリトールおよびその一つまたは複数の組み合わせ。
【0082】
次亜リン酸塩は下記からなる群より選択してもよい:次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸ナトリウム次亜リン酸カリウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸亜鉛、次亜リン酸チタン、次亜リン酸バナジウム、次亜リン酸モリブデン、次亜リン酸マンガン、次亜リン酸コバルト、次亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸ブチルアンモニウム、次亜リン酸テトラエチルアンモニウム、次亜リン酸N-セチルピリジニウムおよび次亜リン酸テトラフェニルホスホニウム、ならびにその一つまたは複数の組み合わせ。
【0083】
β-ジケトン
β-ジケトンは下記からなる群より選択してもよい:ジベンゾイルメタン;ステアロイルベンゾイルメタン、ベンゾイル2,4-メチレンジオキシベンゾイルメタン;ベンゾイル3,5-ジメチルベンゾイルメタン;ベンゾイル3-メチルベンゾイルメタン;ベンゾイル4-メチルベンゾイルメタン;3-メチルベンゾイル4-メチルベンゾイルメタン;ベンゾイル4-クロロベンゾイルメタン;ベンゾイル2-ブロモベンゾイルメタン;ベンゾイル3,5-ジクロロベンゾイルメタン;ベンゾイル2-ニトロベンゾイルメタン;ベンゾイル-2,3,4-トリメチルベンゾイルメタン;ベンゾイル-2,3,5-トリクロロベンゾイルメタン;ベンゾイルステアロイルメタン;3-メチルベンゾイルステアロイルメタン3,4-ジクロロベンゾイルステアロイルメタンベンゾイルヘプタデカノイルメタン;3-メチルベンゾイルテトラデカノイルメタン;2-メチルベンゾイルアウロイルメタン;3-ニトロベンゾイルミリストイルメタン;2,3-エトキシベンゾイルパルミトイルメタン;2-メトキシベンゾイルステアロイルメタン、およびその一つまたは複数の組み合わせ。
【0084】
立体障害アミン
立体障害アミンは下記からなる群より選択してもよい:セバシン酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)、コハク酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、セバシン酸ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)、n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合物、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチル-アミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物、ニトリロ3酢酸トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)、1,1'-(1,2-エタンジイル)-ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-n-ブチル-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジル)マロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)、3-n-オクチル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、セバシン酸ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)、コハク酸ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合物、2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物、2-クロロ-4,6-ビス(4-n-ブチルアミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-1,3,5-トリアジンと1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン、3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ピロリジン-2,5-ジオン、3-ドデシル-1-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)ピロリジン-2,5-ジオン、4-ヘキサデシルオキシ-および4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの混合物、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-シクロヘキシルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンとの縮合生成物、1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジンならびに4-ブチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの縮合生成物;N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-n-ドデシルスクシンイミド、N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-n-ドデシルスクシンイミド、2-ウンデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソ-スピロ[4,5]デカン、ならびにその一つまたは複数の組み合わせ。
【0085】
アルカノールアミン
アルカノールアミンは下記からなる群より選択してもよい:エタノールアミン、トリス-エタノールアミン、プロパノールアミン、トリス-プロパノールアミン、ブタノールアミン、トリス(2-ヒドロキシ-1-プロピル)アミン;トリス(2-ヒドロキシ-エチル)アミン;ビス(2-ヒドロキシエチル)(2-ヒドロキシ-1-プロピル)アミン;ビス(2-ヒドロキシ-1-プロピル)(2-ヒドロキシエチル)アミン;モノ(2-ヒドロキシ-エチル)アミン;ビス(2-ヒドロキシ-エチル)アミン;モノ(2-ヒドロキシ-1-プロピル)アミン;ビス(2-ヒドロキシ-1-プロピル)アミン。
【0086】
グリシジル化合物
グリシジル化合物は下記からなる群より選択してもよい:液体ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテル;固体ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテル;液体ビスフェノール-F-ジグリシジルエーテル;固体テトラフェニルエタン-ポリグリシジルエーテル;固体および液体フェノール/ホルムアルデヒドノボラック-ポリグリシジルエーテル;固体および液体o-クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック-ポリグリシジルエーテル;液体アルコール-グリシジルエーテル;液体カルボン酸-グリシジルエーテル;固体複素環式エポキシ樹脂(イソシアヌル酸トリグリシジル);液体シクロ脂肪族エポキシ樹脂;液体p-アミノフェノール-N,N,O-トリグリシジルエーテル;テトラグリシジル-4-4'-メチレンベンズアミンまたはN,N,N',N'-テトラグリシジル-ジアミノフェニルメタン。
【0087】
フェノール性抗酸化剤
フェノール性抗酸化剤は下記からなる群より選択してもよい:2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオン酸とオクタデカノールまたはペンタエリスリトールとのエステル、および亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、テトラキス[3-(3',5'-ジ- tert-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチレン]メタン、3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシル、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロケイ皮酸オクタデシル、ホスホン酸ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、およびイソシアヌル酸トリス-2,4,6-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)、ならびにその一つまたは複数の組み合わせ。
【0088】
用いてもよい市販のフェノール性抗酸化剤はGreat Lakes Chemical Corporation of Indianapolis, Indiana USAから、Anox(登録商標)およびLowinox(登録商標)の商品名で入手可能である。
【0089】
滑沢剤
フェノール性抗酸化剤は下記からなる群より選択してもよい:モノオレイン酸グリセロール、ジオレイン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール;C16からC18の範囲の鎖長を有する脂肪アルコール;C16からC18の範囲の鎖長を有する脂肪アルコールのフタル酸エステルおよび12-ヒドロキシステアリン酸のグリセロールエステルなどの硬化ヒマシ油;モノステアリン酸グリセロールなどの多価アルコールと短鎖モノカルボン酸とのエステル;ジラウリン酸エチレングリコール;1,3-ジステアリン酸2-エチルヘキサンジオール;ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコールおよびジカプリル酸オクチレングリコール;ならびにセバシン酸ジイソオクチル;アゼライン酸ジラウリルなどのジカルボン酸と短鎖モノヒドロキシアルコールとのエステル;酸化ポリエチレンワックス、ポリエチレンワックス;パラフィンワックス;ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸およびモンタン酸などのカルボン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸ナトリウムなどのカルボン酸塩;エチレンビス-ステアラミドなどのアミド、ならびにその一つまたは複数の組み合わせ。
【0090】
安定化ハロゲン含有ポリマー中に存在する滑沢剤は下記からなる群より選択してもよい:0.01%から2%;0.05%から1.8%;0.1%から1.5%;0.15%から1.45%;0.2%から1.4%;0.5%から1.35%;1%から1.3%;1.1%から1.3%;1.2%から1.3%および1.25%から1.28%。
【0091】
塩素含有ポリマー
開示する安定剤組成物によって安定化しうる塩素含有ポリマーは下記からなる群より選択してもよい:塩素化ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィンコポリマー;塩素化ポリオレフィンホモポリマーまたはコポリマーを含むポリマー混合物;塩化ビニルホモポリマー;塩化ビニリデンホモポリマー;塩化ビニルコポリマー;塩化ビニリデンコポリマーおよび塩化ビニルホモポリマーまたはコポリマーを含むポリマー混合物、ならびにその一つまたは複数の組み合わせ。
【0092】
塩化ビニルホモポリマー、塩化ビニルコポリマー、および塩化ビニルホモポリマーまたは塩化ビニルコポリマーを含むポリマー混合物は下記からなる群より選択してもよい:ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;塩化ビニルと塩化ビニリデンなどの共重合可能なエチレン不飽和モノマーとのコポリマー;アルファクロロアクリル酸メチル;ビニルクロロエチルエーテル;1-フルオロ-1-クロロエチレン;クロロアクリロニトリル;2酢酸アリリデン;2酢酸クロロアリリデン;ならびにポリ塩化ビニルとポリエチレンとの混合物;ポリ塩化ビニルと塩素化ポリエチレンとの混合物;ポリ塩化ビニルとポリメタクリル酸メチルとの混合物;ポリ塩化ビニルとポリメタクリル酸ブチルとの混合物;ポリ塩化ビニルとポリスチレンとの混合物;ポリ塩化ビニルとアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマーとの混合物;およびポリ塩化ビニルとポリエチレンとポリメタクリル酸メチルとの混合物などのポリマー混合物、ならびにその一つまたは複数の組み合わせ。
【0093】
塩化ビニルコポリマーは下記からなる群より選択してもよい:塩化ビニル-酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル-塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル-トリクロロエチレンコポリマーおよび塩化ビニル-アクリル酸2-エチルヘキシルコポリマー。
【0094】
安定化塩素含有ポリマーの調製
安定剤組成物およびポリ塩化ビニル(PVC)などの塩素含有ポリマーを混合装置内で混合して、実質的に均質な混合物を生成する。
【0095】
均質混合物中に存在する安定剤組成物の量は下記からなる群より選択される範囲であってもよい:0.5%から10%;1%から7.5%;1.2%から6%;1.5%から5%;1.7%から4.5%;2%から4%;2%から3.5%;2%から3%および2.3%から2.7%。一つの態様において、均質混合物中に存在する安定剤組成物の量は約2.4%である。
【0096】
安定剤組成物および塩素含有ポリマーは最初は、実質的に均質に混合しうる粉末の形であってもよい。
【0097】
均質混合物を高温で加熱して、安定剤組成物粉末と塩素含有ポリマー粉末とを少なくとも部分的に結合させてもよい。加熱温度は90℃から120℃または100℃から110℃の範囲であってもよい。
【0098】
加熱は下記からなる群より選択される期間で行ってもよい:10分から1000分;20分から800分;25分から600分;30分から400分;35分から300分;40分から200分;45分から120分;および50分から90分。
【0099】
安定化塩素含有ポリマーを冷却し、さらなる加工の材料として用いてもよい。
【0100】
一つの態様において、安定化塩素含有ポリマーを、Foshan Plastic Machinery Co., Ltd of Foshan, Guangdong province, Chinaにより製造されたTWP-110-PVCツインスクリュー押出器などの押出装置内に置く。
【0101】
もう一つの態様において、安定化塩素含有ポリマーを、Toshiba Machine Co., Ltd. of Numazu-shi, Shizuoka-ken, Japanにより製造されたIS-GS/GT射出成形機などの射出成形装置内に置く。
【0102】
発明を実施するための様式
本発明の非限定例をさらに記載する。
【0103】
有機安定剤化合物
アミノ置換ピリミジン化合物はSigma-Aldrich Company of St. Louis, Missouri, United States of Americaから市販されており、下記が含まれる:2-アミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2-アミノ-6-メルカプトピリミジン、2-N-メチルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2-N-2-プロピルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4-アミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4-アミノ-6-メルカプトピリミジン、4-N-フェニルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4-メチルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4-オクチルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、5-アミノ-6-ヒドロキシピリミジン、5-アミノ-6-メルカプトピリミジン、5-N-ブチルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、5-N-メチルアミノ-6-メルカプトピリミジン、2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4-ジアミノ-6-メルカプトピリミジン、2,4-N,N'-ジメチルジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4,5-ジアミノ-6-メルカプトピリミジン、4,5-N,N'-ジプロピルジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、4-N-メチルアミノ-5-N-オクチルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,6-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,6-ジアミノ-6-メルカプトピリミジン、2,6-N,N'-ジブチルジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2-N-ブチルアミノ-6-N-フェニルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4,5-トリアミノ-6-ヒドロキシピリミジン、2,4,5-トリアミノ-6-メルカプトピリミジン、2-N-メチルアミノ-4-N-ブチルアミノ-5-N-フェニルアミノ-6-ヒドロキシピリミジン。
【0104】
実施例1
安定剤組成物を、下記の成分を以下に示す量で共に撹拌することにより調製した:
ScienceLab.com, Inc. of Kingwood, Texas, United States of Americaから入手した2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(0.3部);
US Petrochemical Industries, Inc., of Houston, Texas, United States of Americaからのペンタエリスリトール添加安定剤(0.2部);
Minerals Technologies Inc. of New York, United States of Americaからのヒドロタルサイト添加安定剤(0.45部);
Ciba Specialty Chemicals Corporation of Tarrytown, New York, United Statesから登録商標Irganox 1076の商品名で入手した3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロケイ皮酸オクタデシル添加安定剤(0.05部);
Clariant Corporation, of Charlotte, North Carolina, United States of Americaからの酸化ポリエチレンワックス(0.1部);
Clariant Corporation, of Charlotte, North Carolina, United States of Americaからのポリエチレンワックス(1.0部);
Astro Chemicals, Inc, of Springfield Massachusettsからのステアリン酸カルシウム(0.4部);および
Acme-Hardesty of Blue Bell, Pennsylvania, United States of Americaからのモノステアリン酸グリセリル(0.4部)。
【0105】
安定剤組成物を、混合物を混合器内で、周囲温度、大気圧下、30分間混合することにより調製した。次いで、安定剤組成物を100重量部のPVC樹脂、3.0部のCaCO3、1.2部のTiO2、および0.001部の色素と105℃で混合し、PVC化合物を生成した(PVC 1A)。安定剤組成物なしで、鉛安定剤を伴う、比較PVCも調製し(比較PVC 1B)、105℃で混合した。
【0106】
PVC 1Aおよび比較PVC 1Bの組成を下記の表1に示す。
【表1】

【0107】
PVC 1Aおよび比較PVC 1Bを、Krauss-Maffei Process Technology AG of Munich, Germanyにより製造されたKMD2-90押出器を用い、表2に示す処理パラメーターで、40mm(直径)加圧パイプを生成するための硬質パイプ押出のプラント試験にかけた。
【0108】
【表2】

【0109】
PVC 1Aおよび比較PVC 1Bの外観を図1に示す。図1はPVC 1Aが良好な色保持を有し、鉛を含むPVC 1Bに匹敵していたことを示している。
【0110】
前述のことを考慮し、生成物の外観は安定剤として鉛を含むPVCと同等であると結論される。したがって、PVC 1Aで用いた安定剤組成物は安定剤としての鉛の使用に対する代替安定剤を提供する。
【0111】
生成物試験結果
PVC 2Aから作成した試験パイプ生成物を、当技術分野において公知の標準法に従って試験し、試験結果を下記の表3に示した。
【表3】

【0112】
実施例2
安定剤組成物の性能を市販のPb安定剤と比較して示すために、硬質射出成形を実施した。ScienceLab.com, Inc. of Kingwood, Texas, United States of Americaから入手した2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン(0.5部)を下記と混合した:
US Petrochemical Industries, Inc., of Houston, Texas, United States of Americaからのペンタエリスリトール添加安定剤(0.3部);
Minerals Technologies Inc. of New York, United States of Americaからのヒドロタルサイト添加安定剤(0.7部);
Zeolite Australia Ltd of South Melbourne, Victoria, Australiaからのゼオライト添加安定剤(0.8部);および
Ciba Specialty Chemicals Corporation of Tarrytown, New York, United Statesから登録商標Irganox 1076の商品名で入手した3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロケイ皮酸オクタデシル添加安定剤(0.1部);
Clariant Corporation, of Charlotte, North Carolina, United States of Americaからの酸化ポリエチレンワックス(0.3部);
Clariant Corporation, of Charlotte, North Carolina, United States of Americaからのポリエチレンワックス(1.5部);および
Astro Chemicals, Inc, of Springfield Massachusettsからのステアリン酸カルシウム(0.8部)。
【0113】
熱安定剤組成物を、下記の成分を以下の表4に示す量で共に撹拌することにより調製した。
【表4】

【0114】
組成物2Aおよび組成物2Bを撹拌タンク反応器内、105℃の温度および大気圧で5分間混合し、それぞれPVCポリマー2Aおよび2Bを生成した。
【0115】
PVCポリマー2Aおよび2Bを、NISSEI Plastic Industrial Co. Ltd.により供給される射出成型機(NC-8300)を用いて硬質射出成形にかけた。
【0116】
射出成形試験運転
PVCポリマー2Aおよび2Bの試験運転結果を以下の表5に示す。
【表5】

【0117】
表5から、PVC 2AはPVC 2Bと類似の機械的安定性を有することが明らかである。したがって、PVC 2Aに含まれる安定剤組成物は、鉛を用いて安定化されているPVCの直接の商業的代替物として用いることができる。
【0118】
実施例3
パートA. 実験法
ロールミル製粉
以下のパートBの表6に示す処方からの成分を室温で十分に混合して粉末混合物を生成した。次いで、混合物を2ロール製粉機により180℃で5分間製粉して、PVCミルシートを生成した。
【0119】
コンゴーレッド試験法
生成したミルシートを小片に切断し、これを試験管に入れ、試験管の口を綿で覆った。コンゴーレッド試験紙(Whatman PLC, United Kingdom)を綿を通して試験管に挿入した。試料を含む試験管を油浴につけ、190℃に加熱した。
【0120】
試験管を挿入してからの時間およびコンゴーレッド試験紙の下端の色が明確な青に変化した場合を記録した。記録した時間を以後「コンゴーレッド時間」と呼ぶ。一般に、得られたコンゴーレッド時間が長いほど、PVCの安定剤組成物により安定化されたPVC試料の長期熱安定性は良好となる。
【0121】
動的色試験法
以下のパートBの表6に示す処方の混合物を十分に混合して粉末混合物とした。次いで、化合物混合物を登録商標Brabender Plasticorder機器(Brabender GmbH und Co. KG, Germany)により180℃で圧縮して溶融チップとした。溶融チップの色を以後「動的色」と呼び、特定のPVC熱安定剤により安定化されたPVC試料の色保持性能を表す。
【0122】
パートB
【表6】

*DAHP:2,4-ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジン
【0123】
パートC. 結果
【表7】

*動的色は次のとおりに評価する:1-優秀;2-良好;3-中等;4-不良;5-劣悪。
【0124】
上の表7から、DAHPを含む比較安定剤組成物に少量の過塩素酸ナトリウム(金属過塩素酸塩)を追加することにより、長期熱安定性能が劇的に改善されることが明らかである。
【0125】
実施例4
パートA. 実験
以下のパートBの表8に示す処方からの成分を、実験3について前述したものと同じ「ロールミル製粉」、「動的色試験」および「コンゴーレッド試験」法にかけたが、ただしコンゴーレッド試験については、加熱を200℃で行った。
【0126】
パートB. 処方
【表8】

【0127】
パートC. 結果
【表9】

*動的色は次のとおりに評価する:1-優秀;2-良好;3-中等;4-不良;5-劣悪。
【0128】
DAHPおよび過塩素酸ナトリウムを含む比較安定剤組成物にトリエタノールアミン(アルカノールアミン)を追加することにより、色保持性能が著しく増強される。
【0129】
実施例5
A. 実験
以下のパートBの表10に示す処方からの成分を、実験3について前述したものと同じ「ロールミル製粉」、「動的色試験」および「コンゴーレッド試験」法にかけたが、ただしコンゴーレッド試験については、加熱を200℃で行った。
【0130】
パートB. 処方
【表10】

*THEIC:イソシアヌル酸トリス(ヒドロキシエチル) **TNPP:リン酸トリス(ノニルフェニル)
【0131】
パートC. 結果
【表11】

*動的色は次のとおりに評価する:1-優秀;2-良好;3-中等;4-不良;5-劣悪。
【0132】
DAHPおよび過塩素酸塩を含む比較安定剤組成物にTHEIC(ポリオール)およびTNPP(亜リン酸塩)を追加することにより、色保持性能が著しく改善される。
【0133】
実施例6
A. 実験
以下のパートBの表12に示す処方からの成分を、実験3について前述したものと同じ「ロールミル製粉」、「動的色試験」および「コンゴーレッド試験」法にかけた。
【0134】
パートB. 処方
【表12】

【0135】
パートC. 結果
【表13】

*動的色は次のとおりに評価する:1-優秀;2-良好;3-中等;4-不良;5-劣悪。
【0136】
DAHPおよび過塩素酸塩を含む比較安定剤組成物に酢酸ナトリウム(金属カルボン酸塩)を追加することにより、色保持および長期安定性能の両方が著しく改善される。
【0137】
実施例7
A. 実験
以下のパートBの表14に示す処方からの成分を、実験3について前述したものと同じ「ロールミル製粉」、「動的色試験」および「コンゴーレッド試験」法にかけた。
【0138】
パートB. 処方
【表14】

*HTMPD:1-(2'-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジノール
【0139】
パートC. 結果
【表15】

*動的色は次のとおりに評価する:1-優秀;2-良好;3-中等;4-不良;5-劣悪。
【0140】
DAHPおよび過塩素酸塩を含む比較安定剤組成物に少量のHTMPD(立体障害アミン)を追加することにより、色保持性能が著しく改善される。
【0141】
適用
開示の安定剤組成物は、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化物含有ポリマーを熱安定化するための安定剤を提供する。有利なことに、ハロゲン化物含有ポリマーとの混合物で、安定剤組成物は少なくとも部分的にポリマーの熱分解を阻害する。
【0142】
開示の安定剤組成物は、鉛、カドミウム、スズ、バリウム、アンチモン、および亜鉛などの金属を含まない。
【0143】
開示の安定剤組成物は、鉛安定剤、スズ安定剤、混合金属安定剤および公知の有機安定剤の代替物として用いてもよい。
【0144】
当業者が前述の開示を読めば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく本発明の様々な他の改変および適合が明らかとなり、すべてのそのような改変および適合は添付の特許請求の範囲内であることが意図されることは明らかであると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、安定化組成物を伴う塩素含有ポリマー(PVC 1A)および鉛で安定化した鉛塩素含有ポリマー(比較PVC 1B)を並べた写真を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化物含有ポリマーを安定化するための組成物であって、一般式(I)で表される化合物を含む組成物:

式中、X、Y、およびZはそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、および構造(II)を有する基からなる群より独立に選択され、

R1およびR2はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、フェニルアルキル、およびアリール基からなる群より独立に選択され、
Aは酸素(O)または硫黄(S)であり;
二重破線

は任意の二重結合を意味し;かつ
ここで該組成物が、使用されている該ハロゲン化物含有ポリマーと混合されると、該組成物は少なくとも部分的に該ハロゲン化物含有ポリマーの熱分解を阻害する。
【請求項2】
下記からなる群より選択される一つまたは複数の添加物をさらに含む、請求項1記載の組成物:ポリオール化合物、アルカリまたはアルカリ土類金属化合物、アルカリまたはアルカリ土類カルボン酸塩化合物、アルカリゼオライト化合物、脂肪酸;ヒドロタルサイト化合物、過塩素酸塩化合物、亜リン酸塩およびジ亜リン酸塩化合物、β-ジケトン化合物、立体障害アミン化合物、アルカノールアミン、グリシジル化合物、フェノール性抗酸化化合物、ならびにその一つまたは複数の組み合わせ。
【請求項3】
滑沢剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
滑沢剤が下記からなる群より選択される、請求項3記載の組成物:モノオレイン酸グリセロール;モノステアリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセロール;モノステアリン酸グリセロール;C16からC18の範囲の鎖長を有する脂肪アルコール;C16からC18の範囲の鎖長を有する脂肪アルコールのフタル酸エステル;硬化ヒマシ油;多価アルコールのエステル;モノカルボン酸;ジラウリン酸エチレングリコール;1,3-ジステアリン酸2-エチルヘキサンジオール;ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール;ジカプリル酸オクチレングリコール;ジカルボン酸と短鎖モノヒドロキシアルコールとのエステル;ポリエチレンワックス;パラフィンワックス;カルボン酸;ステアリン酸;カルボン酸塩ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;ステアリン酸ナトリウム;アミドおよびその一つまたは複数の組み合わせ。
【請求項5】
複数の式(I)の化合物が共有結合により共に結合されている、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
複数の式(I)の化合物がA原子間の共有結合により結合されている、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
複数の式(I)の化合物がX、Y、またはZの窒素原子間の共有結合により結合されている、請求項5記載の組成物。
【請求項8】
式(I)の化合物がアミノ置換ヒドロキシルピリミジン化合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
式(I)の化合物がジアミノヒドロキシピリミジンである、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
式(I)の化合物が2,4,ジアミノ-6-ヒドロキシピリミジンである、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
X、Y、Z、R1、およびR2がそれぞれ低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニルからなる群より独立に選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
ハロゲン化物含有ポリマーが塩素含有ポリマーである、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
化合物が式(IA)

で表される一般構造を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
化合物が式(IB)

で表される一般構造を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
ハロゲン化物含有ポリマーと、下記一般式(I)で表される化合物を含む安定剤組成物とを含む、ポリマー組成物:

式中、X、Y、およびZはそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、および構造(II)を有する基からなる群より独立に選択され

R1およびR2はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、フェニルアルキル、およびアリール基からなる群より独立に選択され、
Aは酸素(O)または硫黄(S)であり;
二重破線

は任意の二重結合を意味する。
【請求項16】
式(I)の化合物がポリマー組成物中に約0.01重量%から約20重量%の範囲内で存在する、請求項15記載のポリマー組成物。
【請求項17】
式(I)の化合物がポリマー組成物中に約0.05%から約1%の範囲内で存在する、請求項15記載のポリマー組成物。
【請求項18】
安定剤組成物が下記からなる群より選択される一つまたは複数の添加物を含む、請求項15記載のポリマー組成物:ポリオール化合物、アルカリまたはアルカリ土類金属化合物、アルカリまたはアルカリ土類カルボン酸塩化合物、アルカリゼオライト化合物、ヒドロタルサイト化合物、過塩素酸塩化合物、亜リン酸塩およびジ亜リン酸塩化合物、β-ジケトン化合物、立体障害アミン化合物、アルカノールアミン、グリシジル化合物、フェノール性抗酸化化合物、ならびにその一つまたは複数の組み合わせ。
【請求項19】
添加物がポリマー組成物中に約0.1%から15%の範囲内で存在する、請求項18記載のポリマー組成物。
【請求項20】
安定剤組成物が一つまたは複数の滑沢剤を含む、請求項18記載のポリマー組成物。
【請求項21】
滑沢剤がポリマー組成物中に約0.1%から20%の範囲内で存在する、請求項20記載のポリマー組成物。
【請求項22】
ハロゲン化物含有ポリマーが塩素含有ポリマーである、請求項18記載のポリマー組成物。
【請求項23】
塩素含有ポリマーがポリ塩化ビニルである、請求項22記載のポリマー組成物。
【請求項24】
化合物が式(IA)

で表される一般構造を有する、請求項15記載のポリマー組成物。
【請求項25】
化合物が式(IB)

で表される一般構造を有する、請求項15記載の組成物。
【請求項26】
ポリ塩化ビニル樹脂と請求項1記載の組成物の熱安定化有効量とを含む、ポリ塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項27】
安定化ハロゲン化物含有ポリマーの調製法であって、
ハロゲン化物含有ポリマー樹脂と請求項1記載の組成物とを含む材料を混合する段階と;
混合した材料を一定期間加熱して、ハロゲン化物含有樹脂および安定剤組成物を少なくとも部分的に結合させる段階とを含む方法。
【請求項28】
塩素含有ポリマーを安定化する方法であって、該ポリマーを下記一般式(I)で表される化合物と混合する段階を含む方法:

式中、X、Y、およびZはそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、および構造(II)を有する基からなる群より独立に選択され、

R1およびR2はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、フェニルアルキル、およびアリール基からなる群より独立に選択され、
Aは酸素(O)または硫黄(S)であり;かつ
二重破線

は任意の二重結合を意味する。
【請求項29】
塩素含有ポリマーを安定化するために用いる、請求項1記載の組成物。
【請求項30】
請求項28記載の方法により作成された、安定化塩素含有ポリマー。
【請求項31】
ハロゲン化物含有ポリマーを安定化するための組成物であって、下記一般式(I)で表される化合物と、金属過塩素酸塩とを含む組成物:

式中、X、Y、およびZはそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、および構造(II)を有する基からなる群より独立に選択され、

R1およびR2はそれぞれ水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、フェニル、フェニルアルキル、およびアリール基からなる群より独立に選択され、
Aは酸素(O)または硫黄(S)であり;かつ
二重破線

は任意の二重結合を意味する。
【請求項32】
アルカノールアミンをさらに含む、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
金属過塩素酸塩が下記式を有する、請求項31記載の組成物:
M(ClO4)n
式中
MはLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、Zn、Al、La、またはCeからなる群より選択される金属であり、かつ
nは1、2、または3である。
【請求項34】
金属過塩素酸塩が過塩素酸ナトリウムおよび過塩素酸カリウムの少なくとも一つである、請求項31記載の組成物。
【請求項35】
アルカノールアミンが下記からなる群より選択される、請求項32記載の組成物:エタノールアミン、トリス-エタノールアミン、プロパノールアミン、トリス-プロパノールアミン、ブタノールアミン、トリス(2-ヒドロキシ-1-プロピル)アミン;トリス(2-ヒドロキシ-エチル)アミン;ビス(2-ヒドロキシエチル)(2-ヒドロキシ-1-プロピル)アミン;ビス(2-ヒドロキシ-1-プロピル)(2-ヒドロキシエチル)アミン;モノ(2-ヒドロキシ-エチル)アミン;ビス(2-ヒドロキシ-エチル)アミン;モノ(2-ヒドロキシ-1-プロピル)アミン;ビス(2-ヒドロキシ-1-プロピル)アミンおよびその混合物。
【請求項36】
化合物が式(IA)

で表される一般構造を有する、請求項31記載の組成物。
【請求項37】
化合物が式(IB)

で表される一般構造を有する、請求項31記載の組成物。
【請求項38】
ポリオールをさらに含む、請求項31または請求項32記載の組成物。
【請求項39】
金属カルボン酸塩をさらに含む、請求項31または請求項32記載の組成物。
【請求項40】
立体障害アミンをさらに含む、請求項31または請求項32記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2008−535997(P2008−535997A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506419(P2008−506419)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【国際出願番号】PCT/SG2006/000096
【国際公開番号】WO2006/110112
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507332745)サン エース カコー (ピーティーイー.) リミテッド (1)
【Fターム(参考)】