説明

ハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルの製造およびアミホスチンへの転化の方法

本発明はハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルの製造、S−ω−(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルホスホチオエート(phosphothioates)へのそれらの転化、および反応の結晶性生成物の精製の方法に関する。ハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルの製造方法は、その後の早期沈殿なしに塩形成をもたらすために適当な温度および圧力条件下でスルホン溶媒の存在下で適切なアルコールを臭素化剤と接触させることを含んでなる。該方法は、(ω−アミノアルキルアミノ)エチルアルコールをアミホスチンに転化するために特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル、特に臭化2−(3−アミノプロピルアミノ)エチル二臭化水素酸塩の製造、ならびにアミホスチン1水和物およびアミホスチン3水和物のようなチオリン酸二水素S−ω−(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルへのその後の転化およびその精製の方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
化学療法および/もしくは放射線療法を必要とする癌および関連疾患の発生率が増加するにつれて、致死性、突然変異原性および発癌性を包含する電離放射線の生物学的影響を減らす放射線防護剤への関心が高まっている。放射線防護剤の最も多大に研究されている群の1つ、アミノチオールは、癌化学療法における正常組織への損傷を最小限にするために臨床的に使用されている。これらの化合物の最も研究されているものの1つ、アミホスチン、エチオール(R)およびエチオホスとも呼ばれるWR−2721(チオリン酸二水素S−2−(3−アミノプロピルアミノ)エチル)[非特許文献1;非特許文献2]は、現在、遺伝毒性化学物質に対するその防護効果のために癌化学療法における防護剤として用途を見出している。WR−2721処置はまた、放射線および化学療法により誘発される二次性腫瘍の危険性を減らす見込みも提供する。
【0003】
アミホスチンのようなチオリン酸二水素(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルに対する増大した関心および必要性の結果として、経済的なそして迅速な合成方法の必要性が増している。一般に、合成は、ハロゲン化される(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールから開始してハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル二ハロゲン化水素酸塩中間体を生成せしめ、それを次にホスホロチオエート(phosphorothioate)最終生成物に転化する。(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールは市販されているかもしくは対応するα,ω−アルカンジアミンから容易に製造されるが、中間体臭化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル二臭化水素酸塩は、一貫した、経済的なそして安全な方法で製造するのが困難であることが判明している。
【0004】
ハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルの製造方法に関して当該技術分野において多くの文献がある。例えば、引用することにより本明細書に組み込まれるCortese[非特許文献3]は、長期間にわたって加熱しながら臭素化剤として酢酸中HBrを用いるそのような化合物の製造を記述する。S.Akerfeldtは、匹敵する収率で、同様の方法を提供する[非特許文献4]。
【0005】
引用することにより本明細書に組み込まれる、Piper,et al.への特許文献1は、ハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルからの抗放射線剤の製造方法を記述し、ここで、該方法は80%の転化を得るために長期間(2週まで)にわたる沸騰48%臭化水素酸と2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノールとの反応を挙げる。これらの化合物はまた、3−置換された2−オキサゾリジノンの臭化水素切断によっても記述されている[非特許文献5]。同様の方法は、本明細書に引用することにより組み込まれる、Laduranty,et al.[非特許文献6]により記述され、ここで、ハロゲン化アルキルは、約95%の報告される回収で、フタルイミド中間体を酢酸中還流HBrで18時間処理することにより得られる。
【0006】
ハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルの商業規模生産においてこれらの上記の方法の多くを使用することに関連する問題は、これらの方法がかなり長い時間がかか
り、そして望ましい収率を有さないことが多いことである。従って、より効率のよい方法でそして高い収率および純度でハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルを得る方法の必要性がある。
【0007】
【特許文献1】U.S.特許第3,892,824号明細書
【非特許文献1】Grdina,D.J.,et al.,Cancer Res.,51:pp.4125−4130(1991)
【非特許文献2】Kurbacher,C.M.;Mallmann,P.K.,Anticancer Research,18:pp.2203−2210(1998)
【非特許文献3】Organic Syntheses,Coll.Vol.II;Blatt,A.H.,ed.;John Wiley & Sons,Inc.,New York,NY;1943:pp.91−93
【非特許文献4】Acta Chem.Scand,14:pp.1980−1984(1960)
【非特許文献5】Piper,J.R.,et al.,Chem.Ind.(London),p.2010(1966)
【非特許文献6】Bull.Soc.Chim.Belg.,93(10):pp.903−912(1984)
【発明の開示】
【0008】
[発明の要約]
本発明は、高温でスルホン溶媒においてハロゲン化剤を利用して、臭化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル二臭化水素酸塩のようなハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルを製造するための改善された方法に関する。
【0009】
(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールからハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルを製造する方法に加えて、ハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルをアミホスチン1水和物およびアミホスチン3水和物のようなチオリン酸二水素S−ω−(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル(S−ω−(ω−aminoalkylamino)alkyl dihydrogen phosphorothioates)に転化する方法もまた開示される。また、本発明は粗アミホスチンから精製されたアミホスチン1水和物もしくはアミホスチン3水和物を製造する方法にも関する。該方法には、少なくとも1つの活性炭カラムおよび少なくとも1つの陰イオン交換カラムに粗アミホスチンの水溶液を通す段階、精製されたアミホスチン溶液をメタノール−水溶液にある期間にわたってゆっくりと加える段階、アミホスチン1水和物もしくはアミホスチン3水和物を沈殿させる段階および結晶性生成物を単離する段階が包含される。
【0010】
[発明の詳細な記述]
本発明は、ハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルおよびチオリン酸二水素S−ω−(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルの商業規模製造のための代替方法の必要性に取り組む。本明細書に記述される方法は、それによりスルホン溶媒を用いて効率のよい方法で(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールをハロゲン化物に転化することができる手段を提供し、それは中間体(二ハロゲン化水素酸塩)塩が溶液中に実質的に残ることを可能にし、そしてそれによって早期沈殿を防ぐ。中間体を溶液中に保つことにより、所望のハロゲン化アルキル塩への中間体の転化を最大にする。いったん形成されると、ハロゲン化アルキル塩は常法により、例えばアセトンにおける沈殿により単離することができる。
【0011】
ハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルを製造する方法は:
スルホン溶媒の存在下で、式(I)
RNH(CHNH(CH−OH (I)
[式中、
Rは水素または1〜12個の炭素原子を有する置換されたもしくは非置換の直鎖状、環状もしくは分枝鎖状アルキル基であり、
mは2〜8の整数であり、そして
nは2〜6の整数である]
の(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールを式(II)
RNH(CHNH(CH−OH・2HX (II)
[式中、Xはハロゲン原子、好ましくは臭素である]
の二ハロゲン化水素酸塩を生成せしめるのに十分な期間にわたって第一のハロゲン化剤、好ましくは臭素化剤と接触させる段階;
スルホン溶媒の存在下で、式(II)の二ハロゲン化水素酸塩を式(III)
RNH(CHNH(CH−X・2HX (III)
のハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル二ハロゲン化水素酸塩を生成せしめるのに十分な期間にわたって第二のハロゲン化剤、好ましくは臭素化剤と接触させる段階;および
続いて式(III)のハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル二ハロゲン化水素酸塩を単離する段階
を含んでなる。
【0012】
アミホスチンのようなチオリン酸二水素S−ω−(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルを製造する方法は:
式(III)の好ましい臭化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル二臭化水素酸塩を式(IV)
RNH(CHNH(CHSY (IV)
[式中、R、mおよびnは前記で定義したとおりであり、そしてYはPO、POHMもしくはPOであり、Mはナトリウム、カリウムおよびリチウムから選択されるアルカリ金属である]
の化合物およびその水和物を生成せしめるのに十分な期間にわたってチオリン酸ナトリウムと接触させる段階を含んでなる。
【0013】
上記の方法により製造される粗アミホスチンは、結晶化の際に着色物(color bodies)および残留チオリン酸ナトリウムを含有する。アミホスチン最終生成物(1水和物もしくは3水和物のいずれか)をもたらすために粗物質を精製する方法は、一般に、粗アミホスチンおよび水から水性アミホスチン溶液を調製する段階;水性アミホスチン溶液を少なくとも1つの陰イオン交換カラムおよび少なくとも1つの活性炭カラムと接触させる段階;精製されたアミホスチン溶液を水−アルコール混合物と約0.5時間〜約9時間の期間にわたって連続して接触させて精製された沈殿物をもたらし、ここで、水−アルコール混合物は水に対して少なくとも約1%〜約60%容量過剰のアルコールを含んでなる段階および続いて精製されたアミホスチンを単離する段階を含んでなる。
【0014】
方法
A.ハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルの合成
一般式(III)のハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル化合物は、以下のスキームIに従って製造される:
【0015】
【化1】

【0016】
この経路に従って、一般式(I)の(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールをスルホン溶媒において酸ハロゲン化物と接触させて式(II)のアルコール二ハロゲン化水素酸塩を生成せしめる。この接触は、約100℃〜約150℃の間の温度および約0.5atm〜約1.5atmの間の圧力で行われる。
【0017】
スルホン溶媒は、以前に記述された方法を典型的に悩ませそして低い反応収率と関連する問題、式(II)のアルコール二ハロゲン化水素酸塩が溶液中に残りそして早期に沈殿しないことを可能にするという目的にかなう。アルコール二ハロゲン化水素酸塩が沈殿するならば、式(III)のハロゲン化物二ハロゲン化水素酸塩へのその転化は軽減される。アルコール二ハロゲン化水素酸塩を溶液中に保つことにより、式(III)のハロゲン化物二ハロゲン化水素酸塩への転化を最大にし、そして方法は高温でより効率よく行われることができる。スルホン溶媒:(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールのモル比は、約1:1〜約20:1、そして好ましくは約5:1〜約15:1の範囲であることができる。
【0018】
式(II)のアルコール二ハロゲン化水素酸塩の形成後に、式(II)の塩の実質的に全てを式(III)のハロゲン化物二ハロゲン化水素酸塩に転化するのに十分な期間にわたってアルコール二ハロゲン化水素酸塩を第二のハロゲン化剤と例えば約100℃〜約150℃の範囲および約0.5atm〜約1.5atmの範囲の圧力で接触させる。次に、式(III)のハロゲン化物塩を当該技術分野において既知である常法、例えば結晶化により単離することができる。好ましくは、ハロゲン化物二ハロゲン化水素酸塩/スルホン混合物をハロゲン化物塩が沈殿するアセトンの容量に合わせる。次に沈殿物を濾過し、追加のアセトンですすぎ、そして窒素で乾燥させる。
【0019】
出発アルコール(式I)としての使用に適当な典型的な化合物の例には、2−(3−アミノプロピルアミノ)エチルアルコールが包含されるが、これに限定されるものではない。そのようなアルコールは、商業的供給源から容易に得られるか、もしくは既知の方法に従って、例えば引用することにより本明細書に組み込まれるStreck,et al.[J.Am.Chem.Soc.,79:pp.4414(1957)]の方法の適用により対応するα,ω−アルカンジアミンおよび酸化エチレンから製造することができる。
【0020】
本発明に従って製造することができる特定の生成物の例は、臭化2−(3−アミノプロピルアミノ)エチル二臭化水素酸塩である。
【0021】
本発明の方法において用いることができる適当なスルホン溶媒には、スルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、ジフェニルスルホランなどが包含される。あるいはまた、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、N,
N−ジメチルアセトアミド(DMAC)もしくはその混合物(1つもしくはそれ以上のスルホンとの混合物を包含する)を包含する他の溶媒を用いることができ;しかしながら、スルホン溶媒が好ましい。水は溶媒に存在するかもしくは共溶媒として使用することさえできるが、系は0.5重量%未満の水で維持されることが好ましい。水は、系に存在する場合、ハロゲン化過程中に形成される副産物の量を増加する傾向がある。また、水が溶媒に存在する場合に転化および選択性もまた犠牲になる。
【0022】
式(II)のハロゲン化物塩への式(I)の(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールの転化において使用するハロゲン化/臭素化剤は、典型的に酸性ハロゲン化剤である。この転化の適当なハロゲン化/臭素化剤の例には、臭化水素(HBr)および塩化水素(HCl)が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0023】
式(II)のハロゲン化物塩を式(III)のハロゲン化物二ハロゲン化水素酸塩に転化することにおいて、転化をもたらすために当該技術分野において既知である任意の数のハロゲン化/臭素化剤を用いることができ、ただし、それらは安定であり、そして反応媒質において有意に分解しない。そのような用途に適当な臭素化剤の例には、三臭化リン(PBr)、五臭化リン(PBr)、ブロモホルム(CHBr)、四臭化炭素(CBr)、臭化チオニル(SOBr)、ホスフィンもしくはアミンと臭素(Br)、モノブロモイソシアン酸ナトリウム(SMBI)、臭化水素(HBr)およびポリマー臭素化剤、ならびに引用することにより本明細書に組み込まれる、Rottenberg,et al.[Org.Proc.Res.Dev.,4(4):pp.270−274(2000)]により記述されるような、臭化アルカリ塩の存在下で希酸性条件下でのVと水性Hとの組み合わせが包含されるがこれらに限定されるものではない。式(II)の臭化物を式(III)の臭化物二臭化水素酸塩に転化することにおいて使用する好ましい臭素化剤は、三臭化リン(PBr)もしくは五臭化リン(PBr)である。あるいはまた、対応する塩素化剤をハロゲン化剤として用いることができる。
【0024】
スキームIに示される反応方法は、例えば約30℃〜使用する溶媒の沸点の範囲内の温度で実施することができる。例えば、そのような温度は約30℃〜約350℃、好ましくは約100℃〜約150℃の間の範囲内であることができる。スキームIにおいて示されそして記述される反応方法は、約0.1時間〜約48時間の範囲の期間にわたって実施することができ、しかしながら、好ましい反応期間は約0.1時間〜約8時間の範囲である。
【0025】
式(I)の出発(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールの好ましい濃度は、約0.5M〜約2.5Mの範囲内である。より希薄な溶液は、Le Noble[Synthesis,1:p.1(1970)]において説明されるように、より大きい割合の遊離陰イオンをもたらすことができる。式(II)の二ハロゲン化水素酸塩への式(I)のアルコールの転化において使用するハロゲン化物の好ましい量は、約化学量論量〜約7倍過剰の間、例えば約4倍過剰、もしくはより好ましくは2倍過剰の範囲である。式(III)のハロゲン化物二ハロゲン化水素酸塩への式(II)の二ハロゲン化水素酸塩の転化において使用するハロゲン化物の好ましい量は、約化学量論量〜約2倍過剰の間の範囲である。
【0026】
B.アミホスチン1水和物および3水和物の製造および精製
本発明のさらなる態様において、式(III)のハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル二ハロゲン化水素酸塩を様々な合成生成物を製造するために用いることができる。例えば、式(III)の化合物は、アミホスチン(エチオール(R))を包含する幅広い種類の細胞保護/放射線防護剤のような治療的に有用な化合物の製造において用いることができる。「チオリン酸二水素S−ω−(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル」(
式IV)と広く呼ばれるこれらの化合物は、スキームIIに示される方法に従って合成することができる。
【0027】
【化2】

【0028】
この方法に従って、臭化2−(3−アミノプロピルアミノ)エチル二臭化水素酸塩のような一般式(III)の化合物を式(IV)の化合物およびその水和物を生成せしめるのに十分な期間にわたってチオリン酸ナトリウムと接触させることができる。
【0029】
上記のように製造される、アミホスチンのような式IVの粗ホスホロチオエート化合物は、図2に示される方法を用いて、カラーボディーおよび残留チオリン酸ナトリウムを除くために精製されそしてアミホスチン1水和物もしくは3水和物に転化されることができる。
【0030】
一般に図2に関して、容器10は好ましくは粗ホスホロチオエート(すなわち、アミホスチン1水和物もしくは3水和物)を水に溶解して水性ホスホロチオエート溶液を生成せしめるために使用するジャケット付き反応器であり;しかしながら、任意の適当な容器を用いることができる。容器10中の水性ホスホロチオエート溶液は、それぞれ陰イオン交換樹脂および活性炭を含有する少なくとも2つのジャケット付きカラム30および40を通って送り出される。これらのカラムは、水性ホスホロチオエート溶液が、同等に許容しうる結果で、最初に陰イオン交換カラムもしくは最初に活性炭カラムを通って送り出されるように配置することができる。Dowex(R) 1X8−100(C1)陰イオン交換樹脂およびDarco(R) 20〜40メッシュ活性炭顆粒は、カラム30および40の適当な材料である。好ましくは、容器10とカラム30および40は両方とも、好ましくは約−10℃〜約30℃の間の範囲内で、温度制御を可能にするために再循環冷却装置(示されない)に連結される。
【0031】
カラム30および40における連続処理後に、水性ホスホロチオエート溶液は次に、任意の粒子汚染を除くために、好ましくは約5μm以下の多孔度を有する膜フィルターである、フィルター50に通される。濾過後に、水性ホスホロチオエート溶液は、好ましくは攪拌反応器である、容器60に送られる。濾過した水性ホスホロチオエート溶液を受ける前に、容器60には最初にメタノール溶液中約1vol%〜約60vol%の水、好ましくはメタノール溶液中約10vol%の水を入れる。濾過した水性ホスホロチオエート溶液を約0.5時間〜約6時間の期間にわたって容器60に加え、そして約1時間〜約3時間の期間にわたって水/メタノール溶液と混合させる。次に、容器60を約0℃に冷却し、そして必要に応じて任意に攪拌しながら、その中身を放置したままにし、アミホスチン1水和物生成物を溶液から沈殿させる。沈殿した1水和物は、フィルター70に、あるいはまた遠心分離機に、もしくは当該技術分野において既知である任意の他の収集手段により集められる。容器60を冷却することは生成物の回収を向上するが、容器10ならびにカラム20および30における水性ホスホロチオエート溶液を冷却することは加水分解の分解の速度を下げる。
【0032】
結晶性ホスホロチオエート生成物における水和水の数は、濾過した水性ホスホロチオエート溶液を冷(約0℃)水性メタノールに加えることにより、もしくは容器60に種晶を加えることにより制御することができる。
【0033】
以下の実施例は、本発明の様々な態様を示すために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、本発明の実施において十分に機能することが本発明者等により見出された技術であり、従って、その実施のための好ましい形態を構成すると考えることができることは、当業者により理解されるべきである。しかしながら、本開示に照らして、開示される特定の態様において多数の変更を行い、そして本発明の範囲からそれることなしに類似のもしくは同様の結果をなお得ることができることを当業者は理解すべきである。
【実施例】
【0034】
実施例1:臭化2−(3−アミノプロピルアミノ)エチル二臭化水素酸塩の実験室製造
窒素パージしたグローブボックスにおいて、機械的攪拌器、熱電対、窒素注入口アダプターおよびセプタムを取り付けた3リットルの4口丸底フラスコに2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール(144g;1.22mol)およびスルホラン(1.00L;10.5mol)を入れた。これをドラフトに持ち込み、そこでそれを窒素ラインに取り付け、そしてHBrレクチャーボトルに取り付けられた1/8インチ直径のテフロン(R)チューブを保持するアダプターでセプタムを置き換えた。攪拌しながら、温度を約130℃まで上昇させる速度で臭化水素(HBr)ガスを表面下に入れた。発熱が止まり、そしてHBrがもはや吸収されず;2つの同等物が反応した後に添加を中止し、出発アルコールの二臭化水素酸塩を生成せしめた。反応フラスコ上のアダプターを三臭化リン(PBr)(132g、0.487mol、1.2当量)を含有する圧力均等滴下漏斗で置き換え、それを約110℃〜約130℃の間の温度で約10分にわたって加えた。次に、溶液を窒素下で120℃で20分間攪拌し、この期間の後に、生成物は高粘度のケーキに結晶化していた。追加のスルホラン(380mL)を加え、スラリーをもたらし、それは120℃で攪拌することができた。ある期間の後に、熱いスラリーを3/8”ポリプロピレンチューブを通して移し、そして4Lのビーカーにおいて攪拌する、2Lのアセトンに滴下して(3つのほぼ等しい部分において)生成物を沈殿させた。各部分の後に、固体を濾過し、アセトンですすぎ、そしてビーカーに2Lの新しいアセトンを次の部分用に入れた。最後に、丸底フラスコをアセトンですすぎ、そして得られる固体を他の部分と合わせた。濾過床に窒素を一晩通すことにより固体を乾燥させ、391g(1.14mol、94%)の淡黄色の吸湿性粉末を生成せしめた。H NMRは、それが0.023:1のモル比の残留スルホランを含有することを示した(図1)。
【0035】
その後の研究により、この反応にはより少ないPBrが必要とされ、化学量論により必要とされる0.33:1のモル比はほぼ適切であり、そして過剰のPBrは下記のように最終生成物から除かれる着色不純物の形成の一因となることが示された。また、最初のスルホラン使用量を増加することによりそして反応器温度を約120℃で保つことによりPBr添加後の生成物ケーキの蓄積を防ぐことができることも見出された。
【0036】
実施例2:チオリン酸ナトリウムの合成
チオリン酸ナトリウムおよびその水和物は、塩化チオホスホリルと水性水酸化ナトリウムとの反応により、文献[Inorganic Synthesis,5:102(1957);同書,17:193(1977)]に記載のとおり製造した。唯一の相違は、発熱反応を制御するために塩化チオホスホリルを還流で苛性溶液にゆっくりと加えることであった。
【0037】
実施例3:アミホスチン1水和物の合成
アミホスチンは、US3,892,824に記載のとおり水における等モル量のチオリン酸ナトリウムおよび臭化2−(3−アミノプロピルアミノ)エチル二臭化水素酸塩の反応により製造した。しかしながら、該方法ならびにホスホロチオエート生成物の単離および精製を改変した。第一に、スルホラン溶媒を使用し、それは中間体(二ハロゲン化水素
酸塩)塩が溶液中に実質的に残ることを可能にし、そしてそれにより早期沈殿を防いだ。中間体を溶液中に保つことにより、所望のハロゲン化アルキル塩への中間体の転化を最大にした。第二に、HBr/PBr/スルホラン反応は、除かれなければならないいくらかの着色不純物をもたらす。最後に、US薬局方(USP 27,2004)のアモホスチンモノグラフに記述されるアミホスチンに必要なHPLC分析方法は、220nmの波長でのそれらの高いUV消衰係数のために、微量のチオリン酸塩に非常に敏感である。面積%で表される純度条件を満たすために、微量のチオリン酸塩を最小にしなければならない。精製方法の例を以下に示す。またUSP HPLC方法により検出されるのは、チオールと以下に称する、アミホスチンの主要有機加水分解生成物、2−[(3−アミノプロピル)アミノ]エタンチオールである。
【0038】
実施例4:アミホスチン1水和物の実験室精製
15℃で脱イオン水(1.52L)において無水チオリン酸ナトリウム(242g、1.34mol)を臭化2−(3−アミノプロピルアミノ)エチル二臭化水素酸塩(470g、1.37mol)と反応させることにより粗アミホスチンの溶液を調製し、該反応はDMF(183g)により促進された。この溶液を3つの部分において合計16Lのメタノールにゆっくりと加えることにより粗アミホスチン1水和物を沈殿させ、濾過し、そして乾燥させてH NMRにより0.76水/アミホスチンモル比を含有する204gの黄色がかった白色の固体を生成せしめた。USPモノグラフ方法によるHPLC分析(図3)により、該化合物は80.3A%純粋であり、それは18.4A%のチオリン酸塩および0.2A%のチオールを含有することが示された。
【0039】
粗1水和物を23℃で1.00Lの水中10%(v/v)のメタノールに溶解し、前のバッチからアミホスチン3水和物の種晶を加え、そしてメタノール(133mL)をゆっくりと加えて25℃で溶液を飽和させることによりそれを3水和物に再結晶させた。攪拌溶液を2.5時間にわたって3℃までゆっくりと冷却し、その後にスラリーを0〜3℃で1.5時間攪拌した。溶液を濾過し、固体をメタノールですすぎ、そして窒素をフィルターベッドに一晩通すことにより乾燥させ、192gの粗アミホスチン3水和物をわずかに褐色の結晶として生成せしめた。この物質は、H NMRにより2.79水モル/アミホスチンのモルを含有した。USPモノグラフ方法によるHPLC分析(図4)により、該化合物は97.5A%純粋であり、それは2.2A%のチオリン酸塩および0.1A%のチオールを含有することが示された。
【0040】
50gの上記の物質を175mLの脱イオン水に溶解することにより粗3水和物を精製しそして1水和物として結晶化させた。溶液を1インチ直径のクロマトグラフィーカラムに通し、そしてメタノール(2.6L)の攪拌ビーカーに滴下した。このカラムは、10gのDarco(R)活性炭顆粒(20〜40メッシュ)、そして別個の層に10gのDowex(R)1X8−100(Cl)陰イオン交換樹脂を含有した。白色の1水和物を濾過により集め、そして乾燥させた、40.2g。この物質は、0.88のモル比のアミホスチンに対する水を含有した、H NMR。USP方法によるHPLC分析(図5)により、該物質は99.9A%純粋であり、それは<0.1A%のチオールを含有し、そしてチオリン酸ナトリウムを含有しないことが示された。
【0041】
実施例5:臭化2−(3−アミノプロピルアミノ)エチル二臭化水素酸塩の合成、1.3kg規模
攪拌した20Lのガラス製反応器に90℃でスルホラン(14.2kg)および2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール(1.29kg、10.9mol)を入れた。溶液にHasteloy Cディップレッグ(dip−lep)を通して窒素をスパージし、次に、無水臭化水素(合計1.77kg、21.9mol)を液体表面下にゆっくりと入れた。添加中の温度を添加中に119℃まで上昇させ、溶液を15分間攪拌し、そして
次に窒素パージ下で110℃で一晩放置させた。溶液温度を120℃まで上昇させ、そしてMasterflex(R)ポンプおよび1/8インチ直径のテフロン(R)チューブを用いて、三臭化リン(1.034kg、3.82mol)を1時間にわたって加えた。チューブを追加のスルホラン(0.60kg)で反応器にすすいだ。120℃で急速に攪拌しながら、過剰のHBrを除くためにディップレッグを通して窒素を1時間泡立てた。
【0042】
アセトン(16.8kg)を含有する窒素下の攪拌した30Lの反応器に、1/2インチ直径のPTFEチューブを用いて熱いスルホラン溶液の半分を移した。アセトンスラリーを15分攪拌し、そして次に金属カバーを用いて窒素下で維持したポリエチレン卓上真空濾過漏斗に反応器を排出した。30Lの反応器にアセトン(16.9kg)を再び入れ、窒素でパージし、そして残りの熱いスルホラン溶液を20Lの反応器から移した。攪拌した後に、スラリーを排出し、そして同じ卓上漏斗に濾過した。30Lの反応器に追加のアセトン(6.8kg)を入れ、窒素でパージし、そして50℃に加熱した。熱いアセトンを漏斗に注意深く排出し、そして窒素下で、合わせた固体を洗浄し、そして濾過した。スルホランを効果的に除くためにこの熱いアセトン洗浄を繰り返した。次に、生成物を約74℃で真空下で一定重量まで乾燥させ、二臭化水素酸塩(3.58kg、10.4mol、96%の収率)を生成せしめた。
【0043】
実施例6:チオリン酸ナトリウムの製造、キログラム規模
窒素下のガラス製30L反応器に脱イオン水(20kg)および水酸化ナトリウムペレット(2.87kg、71.8mol)を入れた。それを攪拌して溶解し、そして86℃に加熱した。穏やかな還流を維持して、Masterflex(R)ポンプおよびPTFEチューブを用いて1時間にわたって塩化チオホスホリル(3.59kg、11.2mol)をゆっくりと加えた。95℃で20分間攪拌した後に、反応器を2時間にわたって3℃まで冷却し、そして20分攪拌して結晶性チオリン酸ナトリウム12水和物のスラリーを生成せしめた。これを卓上漏斗に排出し、真空濾過し、8次いで3Lの冷水ですすぎ、そして窒素のフロー下で乾燥させ、HPLC分析により、24.5wt%のチオリン酸ナトリウムを含有する5.37kgの生成物を生成せしめた。乾燥ベースでの収量は、1.32kg、7.33mol、65%であった。
【0044】
固体を部分的にもしくは完全に脱水するために生成物をメタノールで洗浄することによりこの方法を改変することができる。
【0045】
実施例7:アミホスチンの製造、キログラム規模
窒素下中、20Lのガラス製反応器に水(10.3kg)、チオリン酸ナトリウム(乾燥ベースで1.24kg、6.92mol)および臭化2−(3−アミノプロピルアミノ)エチル二臭化水素酸塩(2.45kg、7.23mol)を入れた。反応器を15℃に冷却し、そしてMasterflex(R)ポンプおよびPTFEチューブを用いてDMF(600g)をゆっくりと送り込み、反応が始まるにつれて発熱(23℃まで)をもたらした。混合物を15℃で1.5時間攪拌した。
【0046】
30Lのガラス製反応器に0℃に冷却したメタノール(20L)を入れた。20Lの反応器中の溶液の1/3(4.5L)を1/4インチのPTFEチューブを用いて30Lの反応器に移し、スラリーをポリエチレン卓上漏斗に排出し、真空濾過し、そしてメタノール(2L)ですすいだ。この方法を2回繰り返し、漏斗において固体を合わせて粗1水和物(3.2kg)の湿潤ケーキを薄褐色の粉末として生成せしめた。
【0047】
上記の湿潤ケーキを30Lの反応器に再導入し、そして水中5wt%のメタノールの溶液(10.5kg)を加えた。混合物を攪拌しながら30℃に加熱して溶解を完了し、次にアミホスチン3水和物の種晶(約0.5g)およびメタノール(0.32kg)を加え
て溶液を飽和させた。溶液を2時間にわたって30℃から0℃まで攪拌しながら冷却した。スラリーを排出し、そして卓上漏斗を用いて真空濾過し、固体を冷メタノールで洗浄し、そして20℃で真空下で乾燥させて粗アミホスチン3水和物(1.2kg)を薄褐色の結晶性固体として生成せしめた。
【0048】
実施例8:粗アミホスチン3水和物の精製
フラスコに粗アミホスチン3水和物(1.734kg、6.46mol)および脱イオン水(5.6L)を入れ、次に溶解を促進するために攪拌しながら短期間温め(30〜35℃)、次に15℃に冷却した。カラムに活性炭(55g)を充填し、そして別のカラムにイオン交換樹脂(100g)を充填した。反応器にメタノール(21.17kg)、水(2.30kg)を入れ、そして攪拌しながら−2℃まで冷却した。それにはまたアミホスチン1水和物種晶(0.5g)も入れられていた。フラスコからの粗アミホスチン3水和物溶液の1/4(1.7L)を14mL/分で2時間15分にわたって炭素および樹脂カラム(15°ジャケット温度)を通して送り込み、膜を横切って濾過し、そしてメタノール/水混合物を含有する反応器に送った。次に添加を止め、そしてスラリーを卓上フィルターに排出した。真空濾過後に、湿潤ケーキをメタノール(1.6kg)で洗浄し、固体に窒素を送り込むことにより部分的に乾燥させた。次に、それを真空乾燥オーブンに移した。反応器に上記のようにメタノールおよび水を再び入れ、そして該方法を合計4回の沈殿物降下(precipitate drops)のために繰り返し、毎回、精製ベッドを通して水溶液を2〜3時間にわたって送り込んだ。第四サイクル後に、フラスコ、カラムおよび膜フィルターを水(300ml)ですすぎ、そしてこれを反応器において合わせた。湿潤ケーキを20〜30℃で真空下で乾燥させ、精製されたアミホスチン1水和物を生成せしめた(合計1.280g、5.51mol、85%の回収)。この物質は、H NMRにより1.02のモル比のアミホスチンに対する水を含有した。USP方法によるHPLC分析により、該物質は99.5A%純粋であり、それは0.2A%のチオリン酸ナトリウムを含有し、そして0.3A%のチオールが検出されることが示された。
【0049】
ある状況において、全湿潤ケーキをメタノールで洗浄し、そして真空下で乾燥させる前に、沈殿物降下からの湿潤ケーキを窒素雰囲気下で同じ濾過漏斗においてあわせる。
【0050】
活性炭および陰イオン交換樹脂での精製後に、アミホスチン溶液を精製された3水和物形態に転化することができる。これは、以下の実施例9において記述されるように、精製された1水和物を再結晶させることにより、またはエタノールもしくはメタノール非溶媒、3水和物種晶を加えそして次に冷却することによって溶液から3水和物を直接結晶化させることにより行うことができる。
【0051】
実施例9:精製されたアミホスチン3水和物の精製
精製されたアミホスチン1水和物(100g、0.431mol)を1000mLのD.I.水中5%(v/v)の無水エタノールに溶解した。攪拌溶液を31℃に温め、飽和が明らかになるまで無水エタノール(360mL)および1水和物の種晶をゆっくりと加えた。
【0052】
スラリーを3時間にわたって36℃から1℃まで攪拌しながら冷却し、そして次に1℃で一晩攪拌した。スラリーを粗ガラスフリットを有するパイレックス(R) ブフナー漏斗に圧力下で移し、そして吸引濾過した。固体をエタノールで洗浄し、そして2時間湿潤ケーキに窒素を通すことにより乾燥させた。それを漏斗から取り除き、105gの固体生成物を生成せしめた。DO(100%D)における定量的H NMRにより、それはアミホスチンのモル当たり2.79モルの水を含有することが示された。
【0053】
上記の物質は少なすぎる水を含有したので、それを再び再結晶させた。サンプル(0.
6g)を種晶として保持し、次に残りの固体を33℃で1000mLの5%エタノール/水に溶解した。エタノール(230mL)および種晶をゆっくりと加え、そしてスラリーを3時間にわたって2℃まで冷却した。固体を前述のとおり、しかしエタノール洗浄工程なしに濾過し、そして窒素気流で2時間乾燥させた。DO(100%D)における定量的H NMRにより、それはアミホスチンのモル当たり2.94モルの水を含有することが示された。
【0054】
本発明の組成物および方法は好ましい態様に関して記述されているが、本発明の概念および範囲からそれることなしに組成物、方法および/もしくはプロセスにそして本明細書に記述される方法の工程においてもしくは一連の工程においてバリエーションを適用できることは当業者に明らかである。さらに特に、同じもしくは同様の結果を達成しながら化学的に関連するある種の薬剤を本明細書に記述される薬剤の代わりに使用できることは明らかである。当業者に明らかな全てのそのような同様の代用および改変は、本発明の範囲および概念内であると見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
以下の図面は本明細書の一部を成し、そして本発明のある態様をさらに示すために含まれる。本発明は、本明細書に提示される特定の態様の詳細な記述と組み合わせてこれらの図面の1つもしくはそれ以上を参照することによりいっそうよく理解されることができる。
【図1】本発明の方法に従って製造される、臭化2−(3−アミノプロピルアミノ)エチル二臭化水素酸塩のH−NMRスペクトルである。
【図2】本明細書に記述されるようなアミホスチン1水和物もしくは3水和物への粗アミホスチン3水和物の転化において使用する精製方法のプロセスフロースキームである。
【図3】実施例4の粗アミホスチン1水和物についてUSPモノグラフ方法により得られるHPLCチャートである。
【図4】実施例4の精製されたアミホスチン3水和物についてUSPモノグラフ方法により得られるHPLCチャートである。
【図5】実施例4の精製されたアミホスチン1水和物についてUSPモノグラフ方法により得られるHPLCチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルホン溶媒の存在下で、式(I)
RNH(CHNH(CH−OH (I)
[式中、
Rは水素または1〜12個の炭素原子を有する置換されたもしくは非置換の直鎖状、環状もしくは分枝鎖状アルキル基であり、
mは2〜8の整数であり、そして
nは2〜6の整数である]
の(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールを式(II)
RNH(CHNH(CH−OH・2HX (II)
[式中、Xはハロゲン原子である]
の二ハロゲン化水素酸塩を生成せしめるのに十分な期間にわたって第一のハロゲン化剤と接触させる段階;および
スルホン溶媒の存在下で、式(II)の二ハロゲン化水素酸塩を式(III)
RNH(CHNH(CH−X・2HX (III)
のハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル二ハロゲン化水素酸塩を生成せしめるのに十分な期間にわたって第二のハロゲン化剤と接触させる段階
を含んでなるハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル二ハロゲン化水素酸塩の製造方法。
【請求項2】
スルホン溶媒がスルホラン、ジメチルスルホラン、ジフェニルスルホラン、または以上の任意の2つもしくはそれ以上の混合物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(III)のハロゲン化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル二ハロゲン化水素酸塩が臭化2−(3−アミノプロピルアミノ)エチル二臭化水素酸塩である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(I)の(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールの接触および式(II)の二ハロゲン化水素酸塩の接触が約100℃〜約150℃の範囲内の温度で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第一のハロゲン化剤が臭化水素である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第二のハロゲン化剤が三臭化リンもしくは五臭化リンである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
スルホン溶媒の存在下で、式(I)
RNH(CHNH(CH−OH (I)
[式中、
Rは水素または置換されるかもしくは非置換であることができる、1〜12個の炭素原子を有する直鎖状、環状もしくは分枝鎖状アルキル基であり、
mは2〜8の整数であり、そして
nは2〜6の整数である]
の(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールを式(II)
RNH(CHNH(CH−OH・2HBr (II)
の二臭化水素酸塩を生成せしめるのに十分な期間にわたって第一の臭素化剤と接触させる段階;
スルホン溶媒の存在下で、式(II)の二臭化水素酸塩を式(III)
RNH(CHNH(CH−X・2HX (III)
[式中、Xは臭素原子である]
の臭化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル二臭化水素酸塩を生成せしめるのに十分な期間にわたって第二の臭素化剤と接触させる段階;
式(III)の二臭化水素酸塩を単離する段階;および
式(III)の二臭化水素酸塩を式(IV)
RNH(CHNH(CHSY (IV)
[式中、R、mおよびnは前記で定義したとおりであり、そしてYはPO、POHMもしくはPOであり、ここで、Mはナトリウム、カリウムおよびリチウムから選択されるアルカリ金属である]
の化合物およびその水和物を生成せしめるのに十分な期間にわたってチオリン酸ナトリウムと接触させる段階
を含んでなるチオリン酸二水素S−ω−(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル(S−ω−(ω−aminoalkylamino)alkyl dihydrogen phosphorothioates)の製造方法。
【請求項8】
チオリン酸二水素S−ω−(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルがアミホスチン(amifostine)である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
粗アミホスチンを水に混合することにより水性粗アミホスチン溶液を調製し、ここで、粗アミホスチンは、アミノアルコールをスルホン溶媒中で臭化リンで少なくとも部分的に臭素化することにより製造されたものであり;そして
水性粗アミホスチン溶液を少なくとも1つのイオン交換カラムおよび少なくとも1つの活性炭カラムと接触させ、それにより水性の精製されたアミホスチン溶液を生成せしめることを含んでなる粗アミホスチンからの水性の精製されたアミホスチン溶液の製造方法。
【請求項10】
水性の精製されたアミホスチン溶液を、水に対して約1%〜約60%容量過剰のメタノールを含んでなる水−メタノール混合物と約0.5h〜約9hの期間にわたって接触させることにより水性の精製されたアミホスチン溶液からアミホスチン1水和物を沈殿させる段階をさらに含んでなる請求項9の方法。
【請求項11】
アミホスチン1水和物を濾過し、洗浄しそして乾燥させることをさらに含んでなる請求項9の方法。
【請求項12】
水−メタノール混合物が水に対して10%〜40%容量過剰のメタノールを含んでなる請求項10の方法。
【請求項13】
a.(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールを(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールの二臭化水素酸塩を生成せしめるのに十分な期間にわたって約100℃〜約150℃の温度でスルホン溶媒の存在下に臭化水素と接触させ;
b.(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルアルコールの二臭化水素酸塩をスルホン溶媒中で臭素化剤と接触させて臭化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル二臭化水素酸塩を生成せしめ;そして
c.臭化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキル二臭化水素酸塩を沈殿させる
ことを含んでなる臭化(ω−アミノアルキルアミノ)アルキルの製造方法。
【請求項14】
スルホン溶媒がスルホランである請求項13の方法。
【請求項15】
反応を約100℃〜約150℃の温度で実施する請求項13の方法。
【請求項16】
臭素化剤が三臭化リンもしくは五臭化リンである請求項13の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−514863(P2009−514863A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−539015(P2008−539015)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/042761
【国際公開番号】WO2007/053730
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】