説明

ハンドルバー用スイッチ装置

【課題】車両転倒時等において操作レバーの基端の破損を抑制し得るとともに、スイッチケース近傍の見栄えを向上させることができるハンドルバー用スイッチ装置を提供する。
【解決手段】車両におけるハンドルバーHに取り付けられ、運転者が操作し得る所定の操作スイッチがスイッチケース1に形成されたハンドルバー用スイッチ装置において、スイッチケース1は、ハンドルバーHに取り付けられて揺動操作可能な操作レバーLの基端を一体的に覆って配設されたものであって、スイッチケース1における操作レバーLの基端を覆った部位には、当該スイッチケース1から脱着可能な蓋部1aが形成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両におけるハンドルバーに取り付けられ、運転者が操作し得る所定の操作スイッチが形成されたハンドルバー用スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、二輪車が具備する操舵用のハンドルバーの左側先端には、運転者が走行中に把持し得る把持グリップが取り付けられており、この把持グリップと隣接した位置にはスイッチ装置が固定されている。かかるスイッチ装置は、例えば特許文献1で開示されているように、上下又は前後に一対の半割形状部品を合致して成るスイッチケースを筐体としており、該スイッチケースには、二輪車が具備する各種電装品などを操作するための操作スイッチが複数形成されている。
【0003】
例えば、ハンドルバーの左端側に固定されたスイッチケースには、二輪車のライトをハイビーム又はロービームに切り換えるためのディマースイッチ、ウィンカを点滅操作するためのターンシグナルスイッチ、ホーンを鳴らすためのホーンスイッチが配設されており、運転者が把持グリップを把持した指を上記何れかの操作スイッチに延ばして所望操作を行い得るようになっている。
【特許文献1】特開2003−115229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のハンドルバー用スイッチ装置においては、以下の如き問題があった。通常、ハンドルバーの先端には運転者が把持し得る把持グリップが形成されているとともに、当該把持グリップと隣接した位置には運転者が揺動操作可能な操作レバー(ブレーキレバーやクラッチレバー等)が取り付けられている。然るに、従来のハンドルバー用スイッチ装置においては、そのスイッチケースがハンドルバーにおける把持グリップと隣接した位置に締め付け固定されるのであるが、操作レバーの基端はスイッチケースとは別個の位置に設定されて外部に剥き出しの状態となっていた。
【0005】
従って、従来のハンドルバー用スイッチ装置においては、車両が転倒した際、操作レバーの基端が破損し易いという不具合があるとともに、操作レバーの基端に形成されたワイヤー取り付け部やマスタシリンダ等が外部から見えてしまうことから、見栄えがよくないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、車両転倒時等において操作レバーの基端の破損を抑制し得るとともに、スイッチケース近傍の見栄えを向上させることができるハンドルバー用スイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、車両におけるハンドルバーに取り付けられ、運転者が操作し得る所定の操作スイッチがスイッチケースに形成されたハンドルバー用スイッチ装置において、前記スイッチケースは、ハンドルバーに取り付けられて揺動操作可能な操作レバーの基端を一体的に覆って配設されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のハンドルバー用スイッチ装置において、前記スイッチケースにおける前記操作レバーの基端を覆った部位には、当該スイッチケースから脱着可能な蓋部が形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のハンドルバー用スイッチ装置において、前記スイッチケースは、ハンドルバー先端に取り付けられて運転者が把持し得る把持グリップの基端を一体的に覆って配設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、ハンドルバーに取り付けられて揺動操作可能な操作レバーの基端をスイッチケースが一体的に覆って配設されたので、車両転倒時等において操作レバーの基端の破損を抑制し得るとともに、スイッチケース近傍の見栄えを向上させることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、スイッチケースにおける操作レバーの基端を覆った部位には、当該スイッチケースから脱着可能な蓋部が形成されたので、操作レバーの基端における種々機構成要素(ワイヤー取り付け部やマスタシリンダ等)のメンテナンスや目視による点検等を容易に行わせることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、スイッチケースは、ハンドルバー先端に取り付けられて運転者が把持し得る把持グリップの基端を一体的に覆って配設されたので、当該スイッチケース近傍の見栄えを更に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置は、二輪車に取り付けられたものであり、そのスイッチケース1が図1〜図4に示す如く、ハンドルバーHの左側先端近傍に締め付け固定されたものから構成されている。尚、同図中符号Lは、操作レバーとしてのクラッチレバーを示しているとともに、符号Gは把持グリップを示している。
【0014】
把持グリップGは、ハンドルバーHの先端に固定されるとともに、弾力を有しつつ運転者が把持可能なものであり、通常はハンドルバーHの外周面に接着剤等で接着固定されている。この把持グリップGは、運転者の把持を良好に行わせるべく、弾力を有した樹脂、ゴムの材料で形成されている。この把持グリップGを運転者が把持しつつ指を延ばしてクラッチ操作等が可能になっている。
【0015】
クラッチレバーLは、ハンドルバーHに取り付けられて揺動操作可能なものであり、本実施形態においては運転者が握って揺動することにより車両のクラッチ装置を任意に操作し得るよう構成されている。かかるクラッチレバーLの基端は、ハンドルバーHに取り付けられるとともに、スイッチケース1にて覆われ、外部から視認されないようになっている。
【0016】
スイッチケース1は、本ハンドルバー用スイッチ装置の筐体を成すもので、運転者が操作し得る所定の操作スイッチ(本実施形態においては、二輪車が具備する変速装置を操作してシフトアップさせるためのシフトアップノブ2、及びシフトダウンさせるためのシフトダウンノブ3)が形成されている。このスイッチケース1は、例えば上下半割状のアルミダイカストや亜鉛ダイカストにて成形されたものであり、ハンドルバーHにおける把持グリップの隣接した位置に強固に固定されたものである。
【0017】
ここで、本実施形態におけるスイッチケース1は、ハンドルバーHに固定されつつクラッチレバーL側まで延設され、その延設部位にて当該クラッチレバーLの基端を一体的に覆って配設されたものである。即ち、スイッチケース1にてクラッチレバーLの基端を覆うことにより、当該クラッチレバーLの基端を保護し、車両転倒時等において操作レバーの基端の破損を抑制し得るのである。また、クラッチレバーLの基端に形成されるべき構成要素(ワイヤー取り付け部やマスタシリンダ等)が外部から見えてしまうのを回避し、スイッチケース1近傍の見栄えを向上させることができる。
【0018】
更に、スイッチケース1におけるクラッチレバーLの基端を覆った部位には、当該スイッチケース1から脱着可能な蓋部1aが形成されている。かかる蓋部1aは、スイッチケース1に取り付けられてその一部を構成するとともに、取り外されると、クラッチレバーLの基端を外部に視認させ得るよう構成されている。これにより、クラッチレバーLの基端における種々機構成要素(ワイヤー取り付け部やマスタシリンダ等)のメンテナンスや目視による点検等を容易に行わせることができる。
【0019】
更に、本実施形態に係るスイッチケース1は、クラッチレバーLの基端(回動端)を一体的に覆うとともに、把持グリップGの基端(図1中右端)をも一体的に覆って配設されている。これにより、当該スイッチケース1近傍の見栄えを更に向上させることができる。即ち、本実施形態におけるスイッチケース1は、ハンドルバーHに固定されつつクラッチレバーLの基端及び把持グリップGの基端を覆って配設されるとともに、全体として滑らかな流曲線を成し、当該スイッチケース1及びその近傍の意匠を向上させているのである。
【0020】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、例えば蓋部1aが形成されないものとしてもよく、或いはシフトアップノブ2、シフトダウンノブ3と共に或いは代えて、運転者が操作し得る他の操作スイッチとしてもよい。また、本実施形態においては、ハンドルバーの左側先端側に取り付けられるものであるが、二輪車の右側先端側に取り付けられたもの(この場合、把持グリップはスロットルグリップ、操作レバーはブレーキレバーとなる場合)としてもよい。尚、本実施形態においては、二輪車に適用されているが、ATVなど他のハンドルバー及び把持グリップを具備した車両に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
ハンドルバーに取り付けられて揺動操作可能な操作レバーの基端を一体的に覆って配設されたスイッチケースを具備したハンドルバー用スイッチ装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置を示す(a)上面図、(b)正面図、(c)下面図
【図2】本発明の実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置を示す背面図
【図3】本発明の実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置を示す左側面図
【図4】本発明の実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置を示す右側面図
【符号の説明】
【0023】
1 スイッチケース
1a 蓋部
2 シフトアップノブ
3 シフトダウンノブ
H ハンドルバー
G 把持グリップ
L 操作レバー(クラッチレバー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両におけるハンドルバーに取り付けられ、運転者が操作し得る所定の操作スイッチがスイッチケースに形成されたハンドルバー用スイッチ装置において、
前記スイッチケースは、ハンドルバーに取り付けられて揺動操作可能な操作レバーの基端を一体的に覆って配設されたことを特徴とするハンドルバー用スイッチ装置。
【請求項2】
前記スイッチケースにおける前記操作レバーの基端を覆った部位には、当該スイッチケースから脱着可能な蓋部が形成されたことを特徴とする請求項1記載のハンドルバー用スイッチ装置。
【請求項3】
前記スイッチケースは、ハンドルバー先端に取り付けられて運転者が把持し得る把持グリップの基端を一体的に覆って配設されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のハンドルバー用スイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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