説明

ハードウェア記述言語生成ツール

【課題】
ハードウェア記述言語を用いて論理回路を作成するためには、論理回路の検討を行って作成した詳細仕様書を元に、専用の生成ツールに対して更に入力を行うか、ハードウェア記述言語を直接入力しなければならないという問題があった。さらに、専用の生成ツールを用いた場合はツール本体やライブラリファイルの管理が煩雑であるという問題があり、ハードウェア記述言語を直接入力する場合は論理規模に応じて入力量が増加し記述誤りが発生しやすくなるという問題があった。
【解決手段】
これらの問題を解決するため、ハードウェア記述言語入力支援ツールを作成し、詳細仕様書を作成する際に使用する表計算ソフトウェアに、ハードウェア記述言語生成機能を追加した。さらにハードウェア記述言語生成機能には、インスタンス入力補助機能,論理図面生成機能,来歴管理機能及びライブラリ更新機能を付加した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードウェア記述言語の生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハードウェア記述言語を用いて論理回路の設計を行う場合、作成する論理回路の検討を行って詳細仕様書を作成し、さらにハードウェア記述言語を作成する必要があった。
【0003】
【特許文献1】特開平7−28859
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハードウェア記述言語を作成するためには、論理回路の検討を行って作成した詳細仕様書を元に、専用の生成ツールに対して更に入力を行って生成するか、ハードウェア記述言語を直接入力しなければならないという問題があった。
【0005】
また、専用の生成ツールを用いた場合はツール本体やツールで使用するライブラリファイルの管理が煩雑であるという問題があり、ハードウェア記述言語を直接入力する場合は論理規模に応じて入力量が増加し記述誤りが発生しやすくなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明ではこれらの問題を解決するため、ハードウェア記述言語入力支援ツールを作成し、詳細仕様書を作成する際に使用する表計算ソフトウェアに、ハードウェア記述言語生成機能を追加した。
【0007】
さらにハードウェア記述言語入力支援ツールのハードウェア記述言語生成機能には、インスタンス入力補助機能,論理図面生成機能,来歴管理機能及びライブラリ更新機能を付加した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、論理回路の検討を行って作成した詳細仕様書からハードウェア記述言語を生成する事が可能となり、専用の生成ツールへの入力やハードウェア記述言語の直接入力が不要となる。
【0009】
また、インスタンス入力補助機能,論理図面生成機能により、誤りの無い詳細仕様書の作成と視覚的な確認が可能となる。
【0010】
さらに、来歴管理機能,ライブラリ更新機能により、ライブラリファイルの管理を容易に行う事が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
論理回路の設計を行う論理設計者は、以下の実施例に例示する機能を有する本発明を実施する事により、詳細仕様書からハードウェア記述言語を生成する事が可能となる。
【実施例1】
【0012】
本発明の機能であるハードウェア記述言語生成機能について、図1,図2(a),図2(b)及び図2(c)を用いて詳細例を示す。
【0013】
図1は本発明の一実施例であり、ハードウェア記述言語入力支援ツール111が本発明である。
【0014】
論理設計者は論理回路の検討を行い、論理設計者PC100にインストールした表計算ソフト110が持つ既存編集機能112をGUI101用いて操作し、詳細仕様書120を作成する。本発明であるハードウェア記述言語入力支援ツール111を用いると、詳細仕様書120からハードウェア記述言語122を生成する事が可能となる。
【0015】
ハードウェア記述言語入力支援ツール111は表計算ソフト110に機能追加するので、論理設計者は既存編集機能112と同様にGUI101を用いて操作する事が可能である。
【0016】
図2(a),図2(b)及び図2(c)に、詳細仕様書120の例を示す。詳細仕様書120は表計算ソフト110を用いて作成され、詳細仕様書シート(1)200,詳細仕様書シート(2)201及び論理図シート202の複数シートを纏めて管理する事が出来る。これにより論理設計者は、複数シートに渡る規模の大きな論理回路の検討を行う事が可能となる。
【0017】
論理設計者は論理回路の検討を行い、詳細仕様書シート(1)200,詳細仕様書シート(2)201に例示する仕様書シートを作成する。仕様書シートには、外部との接続点を示すPortリスト210,順序回路であるラッチを示すFFリスト211,論理設計者がハードウェア記述言語を直接記述する設計者直接記述212,タイミングチャート及び状態遷移図等を、既存編集機能112を用いて記述する事が出来る。
【0018】
論理設計者は、詳細仕様書120の中でハードウェア記述言語122を生成する部分を、出力範囲指定枠220で指示する。
【0019】
ハードウェア記述言語入力支援ツール111は、詳細仕様書120の中で出力範囲指定枠220で指示された部分について、生成するハードウェア記述言語の言語仕様に基づいて、ハードウェア記述言語122を生成する。例えば、Portリスト210,FFリスト211其々については宣言文やインスタンス文の生成を行い、設計者直接記述212については記述内容に応じた宣言文の生成を行い、ハードウェア記述言語122を生成する。
【0020】
本実施例1をハードウェア記述言語入力支援ツール111で実現するための具体的手段を、図1,図2(a),図2(b),図5,図6,図7,図8,図9,図10,図17及び図18を用いて示す。
【0021】
論理設計者がGUI101を用いて操作する表計算ソフト110の具体例を図17に示す。
【0022】
表計算ソフト110は、列方向1702にA,B,C,...、行方向1703に1,2,3,...、という様に名前付けされた格子状のシート1704に情報を入力して使用する。格子状に並んだ個々をセルと呼び、列,行の名前によって位置を特定する事ができる。例えば、図17のシート1704の左上のセルはA1であり、右下のセルはY14となる。
【0023】
表計算ソフト110は操作メニュー1700を持ち、論理設計者は操作メニュー1700を用いて、作業を行う。
【0024】
ハードウェア記述言語入力支援ツール111は、操作メニュー1700にHDL入力支援メニュー1701を追加する。論理設計者はHDL入力支援メニュー1701を用いて、ハードウェア記述言語入力支援ツール111の操作を行う。
【0025】
論理設計者は、論理回路の検討を行ってシート1704のセルに入力するが、セルとは無関係な自由位置に図形を記述する事もできるので、検討内容を示すタイミングチャート等を記載する事もできる。
【0026】
論理設計者は、ハードウェア記述言語122を生成するセルを、出力範囲指定枠220で囲んで指示する。出力範囲指定枠220は特定情報を持った図形なので、他の図形とは区別する事ができる。
【0027】
論理設計者は、モジュールと呼ぶ機能単位毎に検討を行い、論理回路を作成する。このため詳細仕様書120は、複数の機能を実現するための複数のモジュールが、それぞれ複数シートに渡る、規模の大きな論理回路となることがある。従ってハードウェア記述言語入力支援ツール111は、複数のモジュールが複数のシートに渡る場合であっても、ハードウェア記述言語122を生成する機能を有する。
【0028】
ハードウェア記述言語122を生成する場合、図5の処理500から処理505を行う。
【0029】
処理501で詳細仕様書120からハードウェア記述言語122の生成を行うモジュールを取得し、処理502で各モジュールの処理順序を決定する。処理503で全てのモジュールを処理したか判定を行い、未処理のモジュールには処理504を行うので、全てのモジュールに対して、モジュール単体のハードウェア記述言語122を生成する処理504を行うことができる。
【0030】
モジュール単体のハードウェア記述言語122を生成する処理504では、図6の処理600から処理612を行う。
【0031】
処理601で、詳細仕様書120から処理するモジュールのシートを取得し、処理602で各シートの処理順序を決定する。処理603でモジュール内の各シートを処理したか判定を行い、未処理のシートには処理604以降を行うので、複数シートのモジュールに対しても処理を行うことができる。
【0032】
各シートに対しては、処理604で出力セル指定シート1800を作成し、処理605で全ての出力範囲指定枠220を処理したかの判定と、処理606,処理608の判定を行い、処理607,処理609及び処理610でのセル位置の特定を行う。処理606でPortリストと判定されれば処理607を、処理608でFFリストと判定されれば処理609を、PortリストでもFFリストでもなければ処理610を行い、出力範囲指定枠220の内容に応じた処理でハードウェア記述言語122を生成する。全ての出力範囲指定枠220を処理した場合は、処理611で、処理604で作成した出力セル指定シート1800を削除し、処理603へ戻る。
【0033】
出力セル指定シート1800を作成する処理604では、図7の処理700から処理708を行う。
【0034】
処理701で、出力セル指定シート1800となる何も情報を持たないシートを新規に作成する。
【0035】
シート内の任意図形の中から特定情報を用いた出力範囲指定枠220の抽出を処理702で行い、処理703で左上角のシート内存在位置を取得する。処理704で、シート内存在位置を元に、出力範囲指定枠220それぞれの処理順序を決定する。処理705で全ての出力範囲指定枠220を処理したか判定を行い、未処理の出力範囲指定枠220には処理706,処理707を行う。
【0036】
処理706で、出力範囲指定枠220が囲んでいるセルの位置を取得する。処理707で、処理701で作成した出力セル指定シート1800の、処理706で取得した位置のセルに、処理704で決定した処理順序を入力する。
【0037】
処理700から処理708によって作成される出力セル指定シート1800の例を、図18に示す。
【0038】
Portリストのハードウェア記述言語122を生成する処理607では、図8の処理800から処理809を行う。
【0039】
処理604で作成される出力セル指定シート1800を処理順序で検索してセルの位置を特定し、詳細仕様書120の処理しているシートの特定した位置にあるセルの入力内容から、Portリストの表記述形式の取得を処理801で行う。処理802で全Portを処理したかの判定を行い、未処理のPortには処理803から処理808を行う。
【0040】
処理803でモジュール文の端子リストの生成を行い、処理804で入出力宣言文の生成を行う。
【0041】
Portに別名ネットの接続があるかを処理805で判定し、接続がある場合は処理806で別名ネットとの接続文を生成する。処理807で入力ポートと判定された場合は、処理808で別名ネットの宣言文を生成する。
【0042】
処理803,処理804,処理806及び処理808で生成される記述は、ハードウェア記述言語122の言語仕様に基づいて生成される。本実施例とは異なる、例えば宣言文が不要な言語仕様では、処理804,処理808が不要となり、併せて処理807も不要となる。処理803から処理808は、本実施例でのハードウェア記述言語122の言語仕様の処理内容であるので、言語仕様に応じて変更される。
【0043】
FFリストのハードウェア記述言語122を生成する処理609では、図9の処理900から処理905を行う。
【0044】
処理604で作成される出力セル指定シート1800を処理順序で検索してセルの位置を特定し、詳細仕様書120の処理しているシートの特定した位置にあるセルの入力内容から、FFリストの表記述形式の取得を処理901で行う。処理902で全FFを処理したかの判定を行い、未処理のFFには処理903,処理904を行う。
【0045】
処理903でFFのインスタンス文の生成を行い、処理904で出力ネットの宣言文の生成を行う。
【0046】
処理903,処理904で生成される記述は、ハードウェア記述言語122の言語仕様に基づいて生成される。本実施例とは異なる、例えば宣言文が不要な言語仕様では、処理904が不要となる。処理903,処理904は、本実施例でのハードウェア記述言語122の言語仕様の処理内容であるので、言語仕様に応じて変更される。
【0047】
設計者直接記述のハードウェア記述言語122を生成する処理610では、図10の処理1000から処理1006を行う。
【0048】
処理604で作成される出力セル指定シート1800を処理順序で検索してセルの位置を特定し、詳細仕様書120の処理しているシートの特定した位置にあるセルの入力内容から、設計者直接記述の記述形式の取得を処理1001で行う。設計者直接記述は、Portリスト,FFリストの様に表形式の情報をハードウェア記述言語122に変換するのではなく、論理設計者が記述したままをハードウェア記述言語122へ出力する。処理1001では、処理801,処理901と異なり、1行を複数列に分割して記述した場合への対応を行う。
【0049】
処理1002で全記述を処理したかの判定を行い、未処理の記述には処理1003以降を行う。
【0050】
処理1003で、記述内容が宣言文であるかの判定を行う。宣言文であれば、処理1004でハードウェア記述言語122の宣言文を記述した部位へ、記述内容を出力する。宣言文で無ければ、処理1005でハードウェア記述言語122の現状出力部位へ、記述内容を出力する。これは、ハードウェア記述言語122の言語仕様で、宣言文の記述位置に制限がある事への対応である。
【0051】
処理1004出力される記述部位は、ハードウェア記述言語122の言語仕様に基づいて生成される。本実施例とは異なる、例えば宣言文の記述位置に制限の無い言語仕様では、処理1004が不要となり、併せて処理1003も不要となる。処理1003から処理1005は、本実施例でのハードウェア記述言語122の言語仕様の処理内容であるので、言語仕様に応じて変更される。
【実施例2】
【0052】
本発明に付加される機能であるインスタンス入力補助機能,論理図面生成機能について、図1,図2(a),図2(b),図2(c)及び図3を用いて詳細例を示す。
【0053】
ハードウェア記述言語入力支援ツール111は、必要に応じて論理設計者PC100内のローカルライブラリ121を用いる。図3に、ローカルライブラリ121の例を示す。
【0054】
ローカルライブラリ121にはインスタンスリスト300,部品シンボルシート301が含まれ、これらを用いて、インスタンス入力補助機能,論理図面生成機能を実現する。
【0055】
インスタンス入力補助機能は、論理設計者は設計者直接記述212を入力する際に頻繁に使用されるインスタンス文を、インスタンスリスト300の中から選択して入力する機能であり、これによりインスタンス文の記述誤りを無くす事が出来る。
【0056】
論理図面生成機能は、詳細仕様書120の中で出力範囲指定枠220で指示された部分について、部品シンボルシート301の中のシンボルを用いて論理図シート202を生成する機能であり、詳細仕様書120のハードウェア記述言語122の生成を行う部分について図形で確認する事が可能となり、検討内容を視覚的に確認する事が可能となる。
【0057】
本実施例2のインスタンス入力補助機能をハードウェア記述言語入力支援ツール111で実現するための具体的手段を、図1,図2(a),図2(b),図3,図11及び図17を用いて示す。
【0058】
論理設計者は、設計者直接記述212を入力する時に頻繁に使用されるインスタンス文を、インスタンスリスト300に記述しておき、図11の処理1100から処理1104を行う。
【0059】
処理1101で、論理設計者がHDL入力支援メニュー1701で指示したモジュール名を取得する。処理1102で取得したモジュール名のインスタンス文をインスタンスリスト300から取得し、処理1103でセルへ入力する。
【0060】
本実施例2の論理図面生成機能をハードウェア記述言語入力支援ツール111で実現するための具体的手段を、図1,図2(a),図2(b),図2(c),図3,図7,図12,図13,図14及び図18を用いて示す。
【0061】
論理図面は、詳細仕様書120内の1シートに対して1シートの論理図面とし、指定した任意の1シートに図12の処理1200から処理1212を行って論理図面を生成する。Portリスト,FFリストに対してシンボルの生成を行い、設計者直接記述に対してはシンボルの生成を行わない。
【0062】
処理1201でシンボルを出力するシートの存在の有無を確認し、存在しない場合は処理1202で論理図シート202を新規に作成する。シンボルを出力するシートが存在している場合は、既存論理図シート202への追記となり、処理1203で既存論理図シート202の描画範囲を取得し、処理1204で処理1203で取得した描画範囲外の描画可能位置を決定する。
【0063】
論理図面を生成するシートに対して、処理1205で出力セル指定シート1800を作成し、処理1206で全ての出力範囲指定枠220を処理したかの判定と、処理1207,処理1209の判定を行い、処理1208,処理1210でのセル位置の特定を行う。処理1207でPortリストと判定されれば処理1208を、処理1209でFFリストと判定されれば処理1210を行い、出力範囲指定枠220の内容に応じたシンボルを生成する。全ての出力範囲指定枠220を処理した場合は、処理1211で、処理1205で作成した出力セル指定シート1800を削除する。
【0064】
出力セル指定シート1800を作成する処理1205では、図7の処理700から処理708を行い、実施例1での処理604と同一の処理が行われる。
【0065】
Portリストのシンボルを生成する処理1208では、図13の処理1300から処理1313を行う。
【0066】
処理1301で論理図シート202のシンボルの色を変更する。既存論理図シート202への追記ではない場合、処理1301で処理されるシンボルは無い。
【0067】
処理1205で作成される出力セル指定シート1800を処理順序で検索してセルの位置を特定し、詳細仕様書120の処理しているシートの特定した位置にあるセルの入力内容から、Portリストの表記述形式の取得を処理1302で行う。処理1303で全Portを処理したかの判定を行い、未処理のPortには処理1304以降を行う。
【0068】
処理1304でシンボルが既に存在しているポートであるか確認を行い、既存ポートの場合は処理1312で、処理1301で変更されたシンボルの色を復元する。
【0069】
処理1305で、ポートに別名ネットを接続するかの確認を行う。別名ネットの接続を行っている場合は、処理1306でネット名に別名ネット名を設定するが、別名ネットの接続を行っていなければ、処理1307でネット名にポート名を設定する。
【0070】
処理1308でポートの種類を判定し、入力ポートであれば処理1309で部品シンボルシート301から入力ポートのシンボルを取得し、出力ポートであれば処理1310で部品シンボルシート301から出力ポートのシンボルを取得する。
【0071】
処理1311で、ポート名,ネット名及びシンボルを描画する。
【0072】
処理1301でシンボルの色を変更し、生成するシンボルが既存の場合は処理1312で色を復元し、新規の場合は処理1311でシンボルを生成するので、Portリストに存在しないシンボルは処理1301で色が変更されたまま残る。これにより、Portリストから削除されたシンボルを指摘する事が可能となる。
【0073】
FFリストのシンボルを生成する処理1210では、図14の処理1400から処理1408を行う。
【0074】
処理1401で論理図シート202のシンボルの色を変更する。既存論理図シート202への追記ではない場合、処理1401で処理されるシンボルは無い。
【0075】
処理1205で作成される出力セル指定シート1800を処理順序で検索してセルの位置を特定し、詳細仕様書120の処理しているシートの特定した位置にあるセルの入力内容から、FFリストの表記述形式の取得を処理1402で行う。処理1403で全FFを処理したかの判定を行い、未処理のFFには処理1404以降を行う。
【0076】
処理1404でシンボルが既に存在しているFFであるか確認を行い、既存FFの場合は処理1407で、処理1401で変更されたシンボルの色を復元する。
【0077】
処理1405で部品シンボルシート301からFFのシンボルを取得し、処理1406でシンボルを描画する。
【0078】
処理1401でシンボルの色を変更し、生成するシンボルが既存の場合は処理1407で色を復元し、新規の場合は処理1406でシンボルを生成するので、FFリストに存在しないシンボルは処理1401で色が変更されたまま残る。これにより、FFリストから削除されたシンボルを指摘する事が可能となる。
【実施例3】
【0079】
本発明に付加される機能である来歴管理機能について、図1,図3及び図4を用いて詳細例を示す。
【0080】
ローカルライブラリ121はインスタンス入力補助機能,論理図面生成機能で用いられるため、誤ったライブラリファイルを使用すると、誤った詳細仕様書120を作成してしまう。これを防ぐためにローカルライブラリ121の来歴管理を行う必要があるが、ローカルライブラリ121は論理設計者PC100其々に存在するため、来歴を管理する事が煩雑になってしまう。この問題を回避するために、ハードウェア記述言語入力支援ツール111は来歴管理機能を有する。
【0081】
ハードウェア記述言語入力支援ツール111の来歴管理機能は、LAN103を経由して情報提供サーバ102内のHTTPサーバソフト113によって提供される許可リスト124を用いて、ローカルライブラリ121の管理を行う。これにより、使用を禁じられたライブラリを誤って使用する事が無くなる。この来歴管理機能は、ハードウェア記述言語入力支援ツール111本体の来歴についても、ローカルライブラリ121同様に管理する事が出来る。
【0082】
図4に許可リスト124の例を示す。許可リスト124には来歴管理対象に応じて、ハードウェア記述言語入力支援ツール許可リスト400,インスタンスリスト許可リスト401及び部品シンボルシート許可リスト402の複数の許可リストを含めて、それぞれ個別に来歴管理する事が出来る。
【0083】
ハードウェア記述言語入力支援ツール許可リスト400は、ハードウェア記述言語入力支援ツール111本体の来歴を管理する。
【0084】
インスタンスリスト許可リスト401は、ローカルライブラリ121に含まれるインスタンスリスト300の来歴を管理する。
【0085】
部品シンボルシート許可リスト402は、ローカルライブラリ121に含まれる部品シンボルシート301の来歴を管理する。
【0086】
許可リスト124を用いた来歴管理機能は、来歴番号毎に使用の可否を指定する事が出来るので、歴史的に新しい来歴番号のみ許可するという単純な来歴管理だけではなく、過去の特定の来歴番号も許可するといった管理も可能である。
【0087】
例えばインスタンスリスト許可リスト401を用いてインスタンスリスト300の来歴管理を行う場合、歴史的に新しい来歴番号03については許可し、来歴番号02は使用禁止とするが来歴番号01の使用は許可するという来歴管理を行う。これにより、来歴番号02を使用している場合に論理設計者に通知して作業を中止させるだけでなく、来歴番号01を使用している場合には古いインスタンスリスト300を使用しているので、使用は許可するが来歴番号03への更新を促すといった事も可能となる。
【0088】
本実施例3の来歴管理機能をハードウェア記述言語入力支援ツール111で実現するための具体的手段を、図1,図3,図4及び図15を用いて示す。
【0089】
インスタンス入力補助機能,論理図面生成機能は其々の処理の前に、図15の処理1500から処理1508を行う。
【0090】
処理1501で許可リスト124を取得する。情報提供サーバ102の許可リスト124はHTTPサーバソフト113によって、HyperText Transfer Protocol(HTTP)で提供される。論理設計者PC100のハードウェア記述言語入力支援ツール111は、Uniform Resource Locator(URL)でLAN103を経由して情報提供サーバ102内の許可リスト124を指定し、来歴管理対象に応じてハードウェア記述言語入力支援ツール許可リスト400,インスタンスリスト許可リスト401及び部品シンボルシート許可リスト402を取得する。
【0091】
処理1502で、ハードウェア記述言語入力支援ツール111本体,ローカルライブラリ121の来歴情報を取得する。
【0092】
処理1503で、処理1502で取得した来歴情報を、処理1501で取得した許可リスト124と比較し、使用が禁止されている場合は、処理1504で許可リスト124に記載された使用可能来歴を表示して、処理1505で中断処理を行う。
【0093】
処理1503で使用が許可されている来歴の場合は、処理1506で使用している来歴以降の新しい使用推奨来歴があるかの確認を行う。使用推奨来歴がある場合は、処理1507で表示する。許可リスト124は、来歴毎の使用の可否を来歴順序で記述してあるので、使用来歴より後の使用可能来歴を調べる事により、使用推奨来歴を得る事ができる。
【実施例4】
【0094】
本発明に付加される機能であるライブラリ更新機能について、図1を用いて詳細例を示す。
【0095】
ハードウェア記述言語入力支援ツール111はローカルライブラリ121の更新機能も有するので、来歴管理機能や論理設計者の必要に応じて、論理設計者PC100内のローカルライブラリ121を情報提供サーバ102内のマスタライブラリ123に更新する事が出来る。
【0096】
このライブラリ更新機能は、ハードウェア記述言語入力支援ツール111本体についても、ローカルライブラリ121同様に更新する事が出来る。
【0097】
本実施例4のライブラリ更新機能をハードウェア記述言語入力支援ツール111で実現するための具体的手段を、図1,図16を用いて示す。
【0098】
図16の処理1600から処理1603を行う事により、ローカルライブラリ121をマスタライブラリ123に更新する事ができる。
【0099】
処理1601でマスタライブラリ123を取得する。処理1601は、実施例3来歴管理機能の処理1501で許可リスト124を取得した方法と同一の方法で、マスタライブラリ123を取得する。
【0100】
処理1602で、処理1601で取得したマスタライブラリ123を、ローカルライブラリ121へ出力する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】全体構成図
【図2(a)】詳細仕様書 仕様書シート(1)
【図2(b)】詳細仕様書 仕様書シート(2)
【図2(c)】詳細仕様書 論理図シート
【図3】ライブラリ
【図4】許可リスト
【図5】ハードウェア記述言語生成 フローチャート
【図6】モジュール記述生成 フローチャート
【図7】出力セル指定シート作成 フローチャート
【図8】PortリストHDL生成処理 フローチャート
【図9】FFリストHDL生成処理 フローチャート
【図10】設計者直接記述HDL生成処理 フローチャート
【図11】インスタンス入力補助 フローチャート
【図12】論理図面生成 フローチャート
【図13】Portリストシンボル生成処理 フローチャート
【図14】FFリストシンボル生成処理 フローチャート
【図15】来歴管理 フローチャート
【図16】ライブラリ更新 フローチャート
【図17】表計算ソフトGUI
【図18】出力セル指定シートGUI
【符号の説明】
【0102】
100 論理設計者PC
101 GUI
102 情報提供サーバ
103 LAN
110 表計算ソフト
111 ハードウェア記述言語入力支援ツール
112 既存編集機能
113 HTTPサーバソフト
120 詳細仕様書
121 ローカルライブラリ
122 ハードウェア記述言語
123 マスタライブラリ
124 許可リスト
200 詳細仕様書シート(1)
201 詳細仕様書シート(2)
202 論理図シート
210 Portリスト
211 FFリスト
212 設計者直接記述
220 出力範囲指定枠
300 インスタンスリスト
301 部品シンボルシート
400 ハードウェア記述言語入力支援ツール許可リスト
401 インスタンスリスト許可リスト
402 部品シンボルシート許可リスト
1700 操作メニュー
1701 HDL入力支援メニュー
1702 列方向
1703 行方向
1704 シート
1800 出力セル指定シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
論理回路の動作を表形式で記述した情報を取得する手段と、取得した表形式情報からハードウェア記述言語を生成する手段とを有するハードウェア記述言語生成ツール。
【請求項2】
前記表形式情報は表計算ソフトにおけるシートのセルに入力された情報であり、前記生成手段はセルに入力された情報からハードウェア記述言語を生成する請求項1記載のハードウェア記述言語生成ツール。
【請求項3】
前記シートのセルからハードウェア記述言語を生成するセルを特定の指定枠により指示する手段を有する請求項2記載のハードウェア記述言語生成ツール。
【請求項4】
ハードウェア記述言語で入力した情報をそのまま出力する手段を有し、入力の際に、予め用意されたインスタンスリストから所望のインスタンス文を選択して入力可能な請求項1記載のハードウェア記述言語生成ツール。
【請求項5】
前記指定枠で指示されたセルに入力された情報から予め用意された部品シンボルシート中のシンボルを用いて論理図面を生成する手段を有する請求項3記載のハードウェア記述言語生成ツール。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−64204(P2009−64204A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230901(P2007−230901)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】