説明

ハーネス保持具

【課題】ハーネス数が多くても、纏まりよく、しかも手際よく容易に配線し、保持できるハーネス保持具を提供する。
【解決手段】ハーネス保持具11を、これが取り付けられる電気部品8の予め決められたコネクタ配置領域e1を除いた領域e2をカバー可能とした、1階通路部15及び2階通路部16を備えた2階建て構造とした。2階通路部16にはハーネスHを挿通させるゲート部17を設け、同ゲート部17にハーネスHを容易に挿脱可能とするスリット21を形成した。ハーネス保持具11が取り付けられた電気部品8に向かう、また同電気部品8から延出する、あるいは同電気部品8を単にパスするハーネスHを、電気装置組付けの工程毎に整理しながら配線し、保持できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパチンコ機等の遊技盤の背面側に配設された複数の回路基板、装置等の電気部品間を接続するハーネス(信号線や電源線等の電線の束)が複数挿通されてそれらを保持するハーネス保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては特許文献1に記載のものがあった。
これは、遊技盤を備える前枠の背後の中継基板、遊技制御回路、本体制御回路間を接続するコード(ハーネス)を前枠の背後に沿って配線するパチンコ機において、上記ハーネスを、前枠背面の一側縁に沿って蝶着支持する機構枠体の閉塞に伴わせて被い囲むというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−288212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術によれば、パチンコ機の遊技盤背後の中継基板、遊技制御回路、本体制御回路間を接続するハーネスを簡単に被い囲めるという利点がある。
しかし、上記基板や回路等の電気部品間を接続するハーネスが多くなる(1つのハーネスに含まれる電線数が多くなる場合も含む。)と、それらのハーネスを纏まりよく、しかも手際よく容易に配線し、保持するには限界があった。
【0005】
本発明は、上記のような実情に鑑みなされたもので、複数の電気部品間を接続するハーネスの数が多い場合でも、ハーネスを、ばらけ等を生じさせず纏まりよく、したがって見た目もよく、しかも手際よく容易に配線し、保持できるハーネス保持具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、遊技機に配設される複数の電気部品間を接続するハーネスが複数挿通されてそれらを保持するハーネス保持具であって、前記複数の電気部品中の前記遊技機の背面側に設けられた所定の電気部品の予め決められたコネクタ配置領域を除いた領域をカバー可能に形成され、前記ハーネスの出入口を有する通路部は1階通路部及び2階通路部を備えた2階建て構造をなし、前記2階通路部には前記ハーネスを挿通させるゲート部が設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ゲート部は両側部と上部の三方を囲む門形状を有し、このゲート部には該ゲート内に前記ハーネスを挿脱可能のスリットが形成され、このスリットは、前記ゲート部の上部に、前記通路部の延出方向に対して斜めに横切る方向に形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記2階通路部の床面部には貫通孔が形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の発明において、前記複数の電気部品は、前記遊技機の遊技盤の背面側に配設された複数の電気部品であり、該複数の電気部品間を接続するハーネスが複数挿通されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明では、ハーネス保持具を、同保持具が取り付けられる電気部品の予め決められたコネクタ配置領域を除いた領域をカバー可能とした2階建て構造に形成した。そして、その2階通路部にハーネスを挿通させるゲート部を設けた。これによれば、複数の電気部品間を接続するハーネスの数が多い場合でも、ハーネスを、纏まりよく、したがって見た目もよく配線し、保持できる。
請求項2に記載の発明によれば、ゲート部を門形状とし、同ゲート部の上部にハーネスを挿脱可能のスリットを形成したので、ハーネスを手際よく配線し、保持できる。しかも、このスリットを通路部延出方向に対して斜めに横切る方向に形成したので、ゲート部内に対するハーネスの挿脱が簡単に行なえる。
請求項3に記載の発明によれば、2階建て構造の2階通路部の床面部に貫通孔を形成したので、1階通路部内の発生熱の放出が可能になると共に、1階通路部内の点検が可能になる。
請求項4に記載の発明によれば、ハーネスが複数込み入った遊技機の遊技盤の背面側において、それらのハーネスを纏まりよく配線、保持する際の手間を極力省くことができる
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るハーネス保持具が取り付けられる遊技機(パチンコ機)要部をなす遊技盤の盤面図である。
【図2】同上ハーネス保持具の取り付け前の遊技機要部を背面側から示した斜視図である。
【図3】同上ハーネス保持具の取り付け直後(ハーネス未配線状態)の遊技機要部を背面側から示した斜視図である。
【図4】同上遊技機要部の背面図である。
【図5】図3,図4に示すハーネス保持具を取り出し拡大して示す図である。
【図6】同上ハーネス保持具の五面図で、(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【図7】同上ハーネス保持具による複数のハーネスの配線、保持の手順の一例を説明する図で、(a)はハーネス保持具の取り付け前の電気部品の正面図、(b)はハーネスの配線、保持の手順実施前のハーネス保持具取り付け部のハーネス配線状態を示す正面図、(c)は同じく手順実施初期時のハーネス配線、保持状態を示すハーネス保持具部分の正面図、(d)は同じく手順実施中間時のハーネス配線、保持状態を示すハーネス保持具部分の正面図、(e)は同じく手順実施終了時のハーネス配線、保持状態を示すハーネス保持具部分の正面図である。
【図8】同じくハーネス保持具による複数のハーネスの配線、保持の手順の他の例を説明する図で、(a)〜(e)は図7と同様である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、各図間において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1は、本発明の一実施形態に係るハーネス保持具が取り付けられる遊技機、ここではパチンコ機の要部をなす遊技盤の盤面図である。
図1に示すように、パチンコ機の遊技盤1の盤面2には、打ち込まれた遊技球が流下する遊技領域3が設定され、同遊技領域3には入賞口3a、アウト口3bや、図示しない風車、遊技釘等が設けられ、またそのほぼ中央部にはセンター飾り4が配設されている。
このセンター飾り4の開口部5には、遊技状況に応じた画像を表示し、遊技の演出を行なう液晶表示器等からなる表示器の画面6が位置決めされている。
センター飾り4の周囲や遊技領域3の適宜箇所には、第1電飾用ランプ、第2電飾用ランプ等、種々の電飾が施されている。
【0010】
図2において、パチンコ機(遊技機)要部は、上記遊技盤1、同遊技盤1の背面に装着されたセット板7及び遊技を実行させる各種の電気部品等からなる。
ここで、セット板7は、上記遊技盤1の盤面2に備える入賞口3aからの入賞球を受け入れ、集合させ、機外に送り出す等の機能を有する箱状部材である。このセット板7の背面には、遊技を実行させる各種電気部品8、図示例では遊技制御回路基板8a(8a1)、ドライブ回路基板8b(8b1)及び中継端子基板8c(8c1,8c2)等が取り付けられている。
中継端子基板8c(本実施形態では第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1及び第2電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c2等)を、遊技盤1の背面側に、具体的にはセット板7の背面に配設したのは、次の理由からである。
すなわち、センター飾り4の周囲には、電飾用ランプ等、種々の電飾が施され、電飾基板を備えている。この電飾基板はセンター飾り4の駆動に伴って動くため、センター飾り4に組み込まれ、あるいは盤面2側(遊技盤1の前面側)に配置され、同電飾基板への電線の断線や絡まり等を防いでいる。
一方、同電飾基板からハーネスを引き出し、遊技盤1の背面に配置した中継端子基板8cにより中継して所定の基板、ここではドライブ回路基板8b等に接続する。これによれば、電飾基板への電源や信号の供給が安定する。同時に、遊技盤1からセット板7までの内部領域に中継端子基板8cを配置することによる同領域の縮小を避けることができ、同領域を広く確保できる。
このような理由から、中継端子基板8cを遊技盤1の背面側(セット板7の背面等)に配設した。
【0011】
上記遊技制御回路基板8aは、図示しないモータ、ソレノイド、ランプ等の制御信号をドライブ回路基板8bに与え、また、入賞球検出スイッチ等からの入賞球検出信号等を受信する電気部品である。
ドライブ回路基板8bは、遊技制御回路基板8aからの制御信号を上記のモータ、ソレノイド、ランプ等を実際に駆動する信号(電源)として、それらモータ、ソレノイド、ランプ等に供給する電気部品である。
中継端子基板8cは、入賞口3aを構成する入賞装置や上記の電飾等に電源を供給したり、入賞検出信号や各部装置を作動させる信号等の送受信に用いるハーネスを中継する電気部品である。具体的には、上記入賞装置に備わる開閉翼等を作動させるモータ、ソレノイド等の動力源や上記電飾に用いるランプ等に電源を供給するハーネス、上記動力源やランプ等の制御信号や上記入賞球検出信号等を送受信するハーネスを中継する電気部品である。
【0012】
図示例では、遊技制御回路基板8aとして電飾用ランプ制御用サブ基板8a1が、ドライブ回路基板8bとして電飾用ランプドライブ回路基板8b1が、中継端子基板8cとして第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1及び第2電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c2が示されている。
【0013】
ハーネス保持具は、上記のような複数の電気部品8間を接続するハーネス(信号線や電源線等の電線の束)が複数挿通されてそれらを保持する部材である。
図3及び図4は、遊技盤1の背面側に配設された複数の電気部品8間を接続するハーネスH(図7参照)を保持する場合のハーネス保持具11の取り付け例を示す。具体的には、遊技盤1に装着されたセット板7の背面に配設された上記電飾用ランプドライブ回路基板8b1、第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1及び第2電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c2間を接続するハーネスHを保持する場合のハーネス保持具11の取り付け例を示す。
【0014】
図2〜図4から分かるように、ハーネス保持具11は、セット板7の背面に配設された第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1の一部の領域(図中、破線で囲んだ領域。以下第1領域と記す。)e1を除く残余の領域(以下第2領域と記す。)e2をカバー可能に形成されている。
この場合、第1領域e1は、コネクタが配置されている領域(コネクタ配置領域)のうち、第2領域e2に配置されているコネクタよりも大きいコネクタが配置されている領域であり、ハーネス保持具11がセット板7に配設、固定された後においても外部に露出する。したがって、その第1領域e1内のコネクタに対しては、他の電気回路8、例えば電飾用ランプドライブ回路基板8b1や第2電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c2からのハーネスを所望時に接離可能(ハーネス端部のコネクタを所望時に挿脱可能)である。
なお、図2においては、第1領域e1中に3個、第2領域e2中に9個のコネクタ(ほぼ直方体状の部材)を配置した例を示している。
【0015】
このハーネス保持具11は、図5、図6に取り出して示すように、ハーネスの出入口12を有する通路部14を備える。
この通路部14は、各々適宜箇所に側壁w1を有する1階通路部15及び2階通路部16を備えた2階建て構造とされている。そして、その2階通路部16には、ハーネスを挿通させるゲート部17が同2階通路部16の延出方向に沿って複数箇所、図示例では3箇所設けられている。ゲート部17の両側部18,19は、2階通路部16の側壁w1に兼用されるので、2階通路部16のゲート部17が設けられた箇所には独立した側壁w1を有しない。
【0016】
このゲート部17は、両側部18,19と上部20の三方を囲む門形状を有し、上部20又は側部18,19、図示例では上部20には同ゲート部17内にハーネスを容易に挿脱可能とするスリット21が形成されている。
このスリット21は、2階通路部16の延出方向に対して斜めに横切る方向に形成されている。ゲート部17内に対するハーネスの挿脱を簡単にするためである。また、このスリット21の上記の斜めに横切る方向は、互い違いになるように設定されている。ゲート部17内に対するハーネスの挿脱を更に簡単にするためである。
スリット21は、その上方側(ハーネスをゲート部17内に挿入する際に接する側)の幅を下方側(ハーネスをゲート部17内から抜き出す際に接する側)の幅よりも広く形成してもよい。これによれば、ハーネスのゲート部17内への挿入を簡単に行える。また、挿入されたハーネスはゲート部17外へ抜け難くなり、ハーネスの意図しない抜け出しを防ぐことができる。
【0017】
上記ゲート部17の少なくともスリット21が形成された上部20は可撓性を有していて、ゲート部17内に対するハーネスの挿脱が容易化され、また、ハーネス挿脱時におけるスリット21部分の割れ等の破損が生じにくくされている。本実施形態では、ハーネス保持具11の2階建て構造全体が可撓性及び透光性を有する材質、ここでは合成樹脂によって形成され、上記のハーネス挿脱の容易化等に加えて、ハーネス保持具11内の様子を外部から視認可能とされている。
また、2階建て構造の2階通路部16の床面部(1階通路部15の天井面部)には、貫通孔22が複数形成されている。この貫通孔22は、2階通路部16の延出方向に沿う適宜箇所、図示例では各ゲート部17の下部に形成されている。この貫通孔22によれば、1階通路部15内について、発生熱の放出及び内部の点検が可能となる。
なお図5、図6では、ハーネスの出入口12を、1階通路部15及び2階通路部16の各々に一対設けた例を示す。しかし、図7を参照して後述するように、本実施形態では1階通路部15の図中上端側はハーネスが挿通されない〔図7(b)参照〕ので、1階通路部15の図中上端側の出入口12は設けなくても(閉じても)よい。ハーネスの出入口12を、図示するように1階通路部15及び2階通路部16の各々に一対設ければ、1階通路部15の図中上端側にハーネスが挿通されない場合と挿通される場合とに兼用できる。
【0018】
次に、上述したハーネス保持具11を用いて数束のハーネスを配線、保持する手順について図7を参照しつつ説明する。
図7(a)はハーネス保持具11の取り付け前の電気部品8(8c)、ここでは第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1を示している。
ハーネス保持具11を用いたハーネスHの配線、保持に当たっては、ハーネス保持具取り付け前の段階(手順実施前)において、上記第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1の第2領域e2内の所定のコネクタに、予め決められたハーネスH1〜H3の各一端部のコネクタを挿着し、配線する〔図7(b)参照〕。
【0019】
このハーネスH1〜H3の配線を終えた段階でハーネス保持具11を第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1上にねじ止め等で取り付ける。ハーネスH1〜H3は、この段階において、2階建て構造のハーネス保持具11の1階通路部15の側壁w1や同1階通路部15の天井面部(2階通路部16の床面部)によって位置決めされ、各ハーネスH1〜H3を形成する電線群のばらけ等を生じさせずに1階通路部15内に配線、保持されたことになる。
【0020】
このようにハーネス保持具11が第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1上に取り付けられ、ハーネスH1〜H3の配線、保持がなされると、予め決められたハーネスH4を、2階建て構造のハーネス保持具11の2階通路部16内に挿通(配線)させる〔図7(c)参照〕。
このハーネスH4の配線は、2階通路部16に設けられたゲート部17内にハーネスH4を挿入することにより行なう。このハーネスH4の挿入は、可撓性を有するゲート部17の上部に形成されたスリット21を通して行なう。ハーネスH4は、この段階において、2階通路部16の側壁w1やゲート部17によって位置決めされ、ハーネスH4を形成する電線群のばらけ等を生じさせずに2階通路部16内に挿通(配線)、保持される。
【0021】
次に、予め決められたハーネスH5をハーネス保持具11の2階通路部16内に挿通(配線)する〔図7(d)参照〕。このハーネスH5の配線、保持は、2階通路部16に挿通済みの上記ハーネスH4に添わせて行なうこと以外はハーネスH4と同様の手順で行なわれ、同様に電線群のばらけ等を生じさせない効果が発揮される。
【0022】
最後に、第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1の第1領域e1内のコネクタに、予め決められたハーネスH6の一端部のコネクタを挿着し、同ハーネスH6を以下のように配線する〔図7(e)参照〕。
すなわち、ハーネスH6の配線、保持は、始めに、一端部側が第1領域e1内のコネクタに挿着されたハーネスH6の他端部側をハーネス保持具11の2階通路部16に引き上げ、次にこの引き上げ部直近のゲート部17内にスリット21を通して挿入する。その後、2階通路部16に挿通済みの上記ハーネスH5に添わせ、ハーネスH4,H5と同様に、ハーネス保持具11の図中下端側のゲート部17内に挿入することによって行なわれる。
ハーネスH6は、この段階において、2階通路部16の側壁w1やゲート部17によって位置決めされ、ハーネスH6を形成する電線群のばらけ等を生じさせずに2階通路部16内に挿通(配線)、保持される。
以上で本ハーネス保持具11を用いた全ハーネスH1〜H6の配線、保持を完了する。
【0023】
詳細を図示しないが、ハーネスH1〜H3は、図2〜図4に示す第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1から電飾用ランプドライブ回路基板8b1等、第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1よりも図中、下方側の電気部品8に向かうハーネスである。
またハーネスH4,H5は、第2電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c2等から第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1をパスして電飾用ランプドライブ回路基板8b1等に向かうハーネスである。ハーネスH6は、第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1から電飾用ランプドライブ回路基板8b1に向かうハーネスである。
【0024】
なお、ハーネス保持具11の通路部14(1階通路部15及び2階通路部16)に挿通させるハーネス数や、どの電気部品8間を接続するハーネスHをどの通路部14に挿通させるか、あるいはどの電気部品8にハーネス保持具11を取り付けるか、更に、第1領域e1や第2領域e2の設定等は、本実施形態に限定されることはない。これらは、本ハーネス保持具11が適用される、複数の電気部品8が設けられた電気装置の各電気部品の配置設計等によって適宜設定される。
【0025】
また、ハーネスH4〜H6の配線、保持の手順も上述した手順のみに限定されることはない。いずれにしても、本ハーネス保持具11によれば、同保持具11が取り付けられた電気部品8、図示例では第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板8c1を主体として、ハーネスH1〜H6を次のように纏まりよく、しかも手際よく容易に配線し、保持できる。
すなわち、本ハーネス保持具11によれば、上記の基板8c1から電飾用ランプドライブ回路基板8b1等、図2〜図4中の下方側に延出するハーネスH1〜H3、H6及びこの基板8c上を単にパスするだけのハーネスH4,H5を、セット板背面における電気装置組付けの工程毎に整理しながら配線し、保持できる。具体的には、各ハーネスH1〜H6、特にH4〜H6を、その断面積に応じて配線に必要なスペースを調整しながら配線し、保持でき、2階建て構造内の全通路部14のハーネス挿通スペースを最大限に利用できる。したがって、複数の電気部品8間を接続するハーネスHの数が多い場合でも、ハーネスHを、ばらけ等を生じさせず纏まりよく、したがって見た目もよく、しかも手際よく容易に配線し、保持できる。
【0026】
上述した実施形態によれば、ゲート部17を門形状とし、その上部20にハーネス挿脱用のスリット21を形成し、しかもこのスリット21を、通路部延出方向に対して斜めに横切る方向に形成したので、ゲート部17内に対するハーネスの挿脱が簡単に行なえる。また、このスリット21の上記の斜めに横切る方向を互い違いに設定したので、ゲート部17内に対するハーネスの挿脱を更に簡単に行なえる。
スリット21は、その上方側の幅を下方側の幅よりも広く形成することが好ましい。ハーネスのゲート部17内への挿入が簡単になると共に、挿入されたハーネスのゲート部17からの意図しない抜け出し防止に役立つからである。
更に、上述した実施形態によれば、ゲート部17のスリット21が形成された上部20を、可撓性を有して形成したので、ゲート部17内に対するハーネスの挿脱が一層容易化され、また、ハーネス挿脱時におけるスリット21部分の割れ等の破損を防止できる。
更に、ハーネス保持具11の2階建て構造全体を可撓性及び透光性を有して形成したので、上記のハーネス挿脱の容易化等に加えて、ハーネス保持具11内の様子を外部から視認可能になる。
また、2階建て構造の2階通路部16の床面部に貫通孔22を形成したので、1階通路部15内の発生熱の放出が可能になると共に、1階通路部15内の点検が可能になる等の効果を発揮できる。
【0027】
図2〜図4に示すように、比較的小さなコネクタの配置領域を第2領域e2(ハーネス保持具11によってカバーされる領域)として設定し、それより大きなコネクタの配置領域を第1領域e1(ハーネス保持具11によってカバーされない領域)として設定したのは、次の理由による。
すなわち、ハーネス配線作業時において、小さなコネクタは指先だけで挿脱しなければならないためにその挿脱が難しい。そこで、ハーネス保持具11によってカバーされる前に挿脱を行なう第1領域e1に小さなコネクタを配置する。これにより、ハーネス保持具11を上記基板8c1上に取り付ける前の自由な状態で小さなコネクタの挿脱を容易に行なえる。また、大きなコネクタは指全体で挿脱でき、その挿脱はし易い。そこで、大きなコネクタの挿脱は、ハーネス保持具11を上記基板8c1上に取り付け後に行なう構成としても(第1領域e1に配置しても)差し支えなく、そのような構成とした。これにより、コネクタの挿脱は全体として容易になり、しかも、ハーネスH3、H6〔図7(e)参照〕につき、纏まりのよい配線が可能となる。
このような理由から、比較的小さなコネクタの配置領域を第2領域e2として設定し、それより大きなコネクタの配置領域を第1領域e1として設定した。
【0028】
本実施形態では、ハーネス保持具11により配線、保持されるハーネスHとして、遊技盤1の背面側に配設された複数の電気部品8間を接続するハーネスを例示したが、これのみに限定されることはない。その他の箇所の複数の電気部品間を接続するハーネスの配線、保持にも適用できる。特に、本実施形態におけるようにハーネスが複数込み入った箇所に本ハーネス保持具を適用すれば、それらのハーネスを纏まりよく配線(布線)、保持する際の手間を極力省くことができる。
【0029】
なお、図8(a)〜(e)は、ハーネスH1の接続箇所が、図7(a)〜(e)を参照して説明した例(図3に示す基板8c1と同基板8c1よりも図中、下方側の電気部品8との間を接続する例)とは異なる例について、図7(a)〜(e)に倣って示した図である。すなわち、図8(a)〜(e)では、ハーネスH1は図3に示す基板8c1と同基板8c1よりも図中、上方側の電気部品8との間を接続する例を示す。
この例においても、ハーネス保持具11を用いたハーネスの配線、保持手順は図7(a)〜(e)を参照して説明した手順と同様である。すなわち、始めにハーネス保持具11を基板8c1上に取り付けない状態でハーネスH1〜H3を配線する〔図8(a)、(b)参照〕。次に、ハーネス保持具11を基板8c1上に取り付け(図3参照)、その後、ハーネスH4、H5をハーネス保持具11の2階通路部16内に挿通させる〔図8(c)、(d)参照〕。最後に、ハーネスH6配線し〔図8(e)参照〕、ハーネス保持具11を用いた全ハーネスH1〜H6の配線、保持を完了する、という手順でハーネスの配線、保持が行なわれる。
【符号の説明】
【0030】
1:遊技盤、8:電気部品、8a:遊技制御回路基板、8a1:電飾用ランプ制御用サブ基板、8b:ドライブ回路基板、8b1:電飾用ランプドライブ回路基板、8c:中継端子基板、8c1:第1電飾用ランプ駆動信号中継端子基板、8c2:第2電飾用ランプ駆動信号中継端子基板、11:ハーネス保持具、12:ハーネス出入口、14:通路部、15:1階通路部、16:2階通路部、17:ゲート部、18,19:側部、20:上部、21:スリット、22:貫通孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に配設される複数の電気部品間を接続するハーネスが複数挿通されてそれらを保持するハーネス保持具であって、
前記複数の電気部品中の前記遊技機の背面側に設けられた所定の電気部品の予め決められたコネクタ配置領域を除いた領域をカバー可能に形成され、
前記ハーネスの出入口を有する通路部は1階通路部及び2階通路部を備えた2階建て構造をなし、
前記2階通路部には前記ハーネスを挿通させるゲート部が設けられていることを特徴とするハーネス保持具。
【請求項2】
前記ゲート部は両側部と上部の三方を囲む門形状を有し、このゲート部には該ゲート内に前記ハーネスを挿脱可能のスリットが形成され、このスリットは、前記ゲート部の上部に、前記通路部の延出方向に対して斜めに横切る方向に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のハーネス保持具。
【請求項3】
前記2階通路部の床面部には貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のハーネス保持具。
【請求項4】
前記複数の電気部品は、前記遊技機の遊技盤の背面側に配設された複数の電気部品であり、該複数の電気部品間を接続するハーネスが複数挿通されることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のハーネス保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−235969(P2012−235969A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108266(P2011−108266)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】