説明

バイオチップ読取装置

【課題】 背景光となる反射励起光を十分に減衰することのできるバイオチップ読取装置を提供する。
【解決手段】 試料に励起光を照射し、試料中の蛍光物質から発生する蛍光を像形成光学系を介して結像し、その像を受光器で読取るように構成したバイオチップ読取装置において、
前記像形成光学系内に、前記励起光のビーム径とほぼ等しい面積を有し対物レンズにより収束した励起光を遮光する遮光部材を取付け、受光器側への励起光の混入を防止するようにしたことを特徴とするバイオチップ読取装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオチップ読取装置に係り、特にレーザ等のコヒーレント光源を励起光として使用したバイオチップ読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のバイオチップ読取装置に関連する先行技術文献としては次のようなものがある。
【0003】
【非特許文献1】新しい光学顕微鏡、第二巻、「共焦点レーザ顕微鏡の医学・生物学への応用」、学際企画株式会社、1995年3月28日発行、P132〜133
【非特許文献2】実験医学別冊、ポストゲノム時代の実験講座3、「GFPとバイオイメージング」、株式会社羊土社、2000年10月25日発行、P158
【0004】
図17は、非特許文献1に記載の共焦点光学系に基づく原理構成図である。このような原理構成図に基づいたバイオチップ読取装置では、遮光板2に設けられたピンホールPHを介して出射された光源1からのレーザ光がレンズ3により平行光となりダイクロイックミラー4を透過して対物レンズ5に入射する。対物レンズ5はこの励起光を集光してサンプル(バイオチップ)6を照射する。
【0005】
バイオチップ6の試料に付着された蛍光物質は励起光に励起されて発光し、その蛍光は対物レンズ5を介してダイクロイックミラー4で反射された後、集光レンズ7により絞られて遮光板8に設けられたピンホールPH上に結像する。この像はサンプル6の蛍光像であり、受光器9により検出される。
【0006】
サンプル6面の蛍光像(2次元像)を観測するにはサンプル6面上を励起光で走査する必要がある。この場合、通常、励起光側を走査するのではなく、サンプル6を載置したステージ(図示せず)側を光軸とは直角な方向に走査(ステージスキャンと言う)する。
【0007】
このようなバイオチップ読取装置では、光源として白色光を用いると光量不足となるためレーザ光が用いられている。また、ピンホールを用いて共焦点型としたことにより、検出像にはサンプル6に付着したゴミの影響が出ないと共に、励起光を絞ってサンプルに照射しているためスペックルノイズも生じないようになっている。
【0008】
また、図18は従来のバイオチップ読取装置の他の一例を示す原理構成図である。このような原理は、例えば、非特許文献2に記載されている。
図18において、レーザ等の平行光光源(図示せず)からの励起光は集光レンズ11で絞られ、その後ダイクロイックミラー12で反射して対物レンズ13に入射する。このとき、励起光は対物レンズ13の焦点距離fの位置に結像し、これが第2光源となって対物レンズ13に入射する。
【0009】
サンプル14は対物レンズ13を透過した励起光で照射される。サンプルとしては例えば表面が平坦なスライドグラス上にDNAを配置したDNAチップ等である。DNAチップの各サイト15では、標識したDNAの蛍光物質が励起光により励起されて蛍光を発する。
【0010】
その蛍光は、像形成光学系を介して受光器18上に結像する。すなわち、蛍光は実線で示すように対物レンズ13により平行光となってダイクロイックミラー12およびバリアフィルタ16を通過してレンズ17に入射する。レンズ17により結像したサンプル14の像は受光器18で検出される。
【0011】
この場合、サンプル面の全面にわたって照射された励起光の振舞を考察すると次の通りである。破線で示すように平面が平坦な試料面で反射した励起光(この励起光を反射励起光あるいは戻り励起光と呼ぶ)は、対物レンズ13で絞られ焦点距離fの位置に収束する。そしてこの焦点位置を中間像面とするレンズ17を通って受光器18に入る。
【0012】
なお、反射励起光はレンズ17を通る前にダイクロイックミラー12とバリアフィルタ16を透過する。バリアフィルタ16は蛍光は通すが反射励起光は除去(減衰)するように形成されており、このバリアフィルタ16を通すことにより背景光として受光器18へ混入する反射励起光を低減している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、このような従来のバイオチップ読取装置には次のような課題があった。
(1)図17に示すバイオチップ読取装置では、ピンホール等の調整が大変であり、また高価にもなるという課題があった。さらに、ステージは走査を行なうために耐久性が要求され、高価になるという欠点もあった。
【0014】
(2)図18に示す装置では、バリアフィルタで反射励起光を減衰するものの十分な減衰は得られなかった。蛍光分子測定等においては背景光を10−9程度まで落とす必要があるが、この装置では10−7程度の減衰率しか得られず、明らかに減衰不足であるという課題があった。
【0015】
また、バイオチップにおけるmRNAの発現をcDNAで測定する場合は、その発現量に大幅な違いがあり、次のような課題があった。例えば、図19(a)に示す遺伝子Aと遺伝子Bの発現量に同図(b)のように10〜100倍もの違いがある場合、発現量をそのまま精度良く測定しようとすると、検出器内に使用のアナログ・デジタル変換器や増幅器に大きなダイナミックレンジと高精度が要求され、高価になるという問題があった。
【0016】
また、アナログ・デジタル変換器や増幅器のゲインを変えて複数回測定する方式も考えられるが、この方式では測定時間がかかり、測定値のばらつきやバイオチップの退色も大きくなるという問題があった。
【0017】
本発明の目的は、このような課題を解決するもので、背景光となる反射励起光を十分に減衰することのできるバイオチップ読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このような課題を達成するために、本発明の請求項1記載の発明では、
試料に励起光を照射し、試料中の蛍光物質から発生する蛍光を像形成光学系を介して結像し、その像を受光器で読取るように構成したバイオチップ読取装置において、前記像形成光学系内に、前記励起光のビーム径とほぼ等しい面積を有し対物レンズにより収束した励起光を遮光する遮光部材を取付け、受光器側への励起光の混入を防止するようにしたことを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、対物レンズにより収束した反射励起光を遮光部材で遮光することにより、バリアフィルタを用いないでも受光器の背景光を容易に除去することができる。この場合、像形成光学系内の遮光部材は小片であるため、蛍光像形成に大きな影響を与えることはない。
【0020】
また、請求項2の発明では、
請求項1記載のバイオチップ読取装置において、前記遮光部材として対物レンズにより収束した前記反射励起光を反射するミラーを備えたことを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、対物レンズにより収束した反射励起光をミラーで反射することにより、バリアフィルタを用いないでも受光器の背景光を容易に除去することができる。この場合、像形成光学系内のミラーは小片であるため、蛍光像形成に大きな影響を与えることはない。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば次のような効果がある。
すなわち、対物レンズにより絞られた反射励起光ビームを遮光または反射させるため、バリアフィルタを用いないでも受光器への反射励起光の混入を容易に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下図面を用いて本発明を詳細に説明する。図1は本発明に関連するバイオチップ読取装置の一例を示す要部構成図である。
【0024】
図1において、31はレーザ等のコヒーレント光(以下レーザ光という)を励起光として発生する光源、32はそのレーザ光を平行光にするレンズ、33はマイクロレンズアレイである。マイクロレンズアレイ33は、複数のマイクロレンズMLを配列したもので、回転板34に取付けられている。
【0025】
35は回転板34を回転させるモータ、36はサンプル、37はレンズ、38はバリアフィルタ、39は集光レンズ、40は受光素子としてCCD等を用いたカメラである。
【0026】
光源31から出射されたレーザ光はレンズ32により平行光となってマイクロレンズアレイ33に入射する。各マイクロレンズMLはそれぞれレーザ光を集光してサンプル36を照射する。サンプル36には、複数のセルが2次元状配置され、各セル内には試料が注入される構造となっている。
【0027】
モータ35により回転板34を回転させると、各マイクロレンズMLで絞られた励起光ビームがサンプル36上を走査する。マイクロレンズMLは、その各ビームがサンプルの各セルを個別に走査できるような空間位置関係で回転板34上に配置されている。
【0028】
各試料からの蛍光は、レンズ37に入射した後バリアフィルタ38を介してレンズ39に入射する。バリアフィルタ38は、サンプル36からの蛍光は通すがサンプル36を通って入って来た励起光は減衰させる作用効果を有するもので、試料像の背景光を除去するために使用される。
レンズ39により集光し結像した試料像は、カメラ40の受光素子(図示せず)により受像される。
【0029】
このような構成により、複数のマイクロレンズによりマルチビームを得て、そのビームでサンプルを走査しサンプルの2次元像を容易に得ることができる。
なお、サンプルに付着するゴミはカートリッジ等を使用すると激減できるため、従来のように共焦点型の読取装置にしなくてもよい。ただし、励起光の光量は必要である。本発明では励起光としてレーザ光を用いているため、高輝度で十分な光量が得られる。
【0030】
また、本発明ではマイクロレンズにより励起光を絞っているため試料像にはスペックルノイズが生じない。また、従来のようにピンホールを使用しないので調整が楽であり、さらには光走査のためにステージを移動させる移動機構も不要のため耐久性に富み小型で安価な装置が容易に実現できる。
【0031】
図2は他の一例を示す要部構成図である。図1のバイオチップ読取装置は透過型であるが、図2は反射型の場合である。マイクロレンズアレイ33とサンプル36の間にダイクロイックミラー41を配置し、サンプル36で発光した蛍光をこのダイクロイックミラー41で反射させレンズ39に入れる。レンズ39はこの蛍光を集光してカメラ40の受光素子面に結像する。その他の構成や動作は図1に同じである。
【0032】
図3は励起光を±5度以下の入射角でバリアフィルタに入射させる本発明の他の実施例図である。図18の従来例との違いは、バリアフィルタの配置位置である。図3においてはレンズ17と受光器18の間にバリアフィルタ16を配置してある。
【0033】
バリアフィルタ16の減衰率(入射光強度に対する出射光強度の比)は図4に示すように光の入射角に依存し、10−7以上の減衰率を得るにはバリアフィルタへの入射角を±5度(deg)以下にする必要がある。
【0034】
なお、図4に示すデータは平行なレーザ光を用いてバリアフィルタを測定した例である。一般の分光光度計では発散または収束光を用いるため、このような値は得られない。
【0035】
バリアフィルタ16のこのような配置により、励起光は±5度以下の入射角でバリアフィルタ16に入射するため、ほぼ10−9程度減衰する。そのため、受光器18面での観測像の背景光は十分に少なくなる。
【0036】
なお、本発明は上記実施例に限定されない。例えば、以下のような構成を採用することもできる。
(1)光源像の大きさに係る場合
図5に白色光等の非レーザ光を用いた場合のケーラー照明系の要部構成図を示す。光源51(光源の直径がa)からの光が集光レンズ11に入射して直径a’の第2光源52を作る。この第2光源52によりサンプル14は照射される。このときのサンプル14を照射する励起光の角度(ここではこの角度を照射角と呼ぶ)βは第2光源52の直径に対応する。
【0037】
透過型や反射型の顕微鏡ではケーラー照明で大きな角度βがないと必要十分な分解能は得られない。蛍光顕微鏡の場合も同様に光源像52の直径a’は元の光源51の直径aの10倍程度に拡大され、角度βを大きくしている。
【0038】
しかし、角度βを大きくするとバリアフィルタ16への入射角も大きくなり、励起光の減衰率を低下させるため、角度βには限度がある。光源像と対物レンズ13の焦点距離fの間には、次の関係がある。
a’/2=fβ
すなわち、
β=a’/(2f)
ここに、fは対物レンズ3の焦点距離
【0039】
十分な減衰率を得るためには、βを±5度以下にする必要がある。±5度以下に抑えるには、例えば光源の大きさあるいは励起光学系の焦点距離f’等を調節すればよい。
【0040】
(2)光源アレイの場合
図6は緑色Gと赤色Rのように波長の異なる2つの光源からなる光源アレイを使用した場合の構成図である。G光源はレンズ11から距離f’の位置の光軸上に置かれ、R光源はその位置で光軸よりbだけ離れた所に置かれている。このような配置では、水平に置かれた試料面に対して、G光源からの光は垂直に入り、他方のR光源からの光は照射角γ(=f’b)で入る。
【0041】
試料面で反射した励起光は対物レンズ3およびダイクロイックミラー12を透過した後、短波長側(G光源側)の光は第2のダイクロイックミラー12aで反射し、他方の長波長側(R光源側)の光は第2のダイクロイックミラー12aを透過する。
【0042】
そして前者は結像レンズ17とバリアフィルタ16を介して受光器18上に結像し、後者は結像レンズ17aとバリアフィルタ16aを介して受光器18a上に結像する。
【0043】
この場合、バリアフィルタ16aを水平に取付けているとR光源の反射励起光はγ度傾いた角度で入射する。そこで直角に入射するようにバリアフィルタ16aを水平面からγ度傾けて配置する。
これにより、試料面での反射励起光はいずれもバリアフィルタ16,16aに直角に入射することになり、それぞれ十分に減衰される。
【0044】
(3)結像レンズに係る変形例
図7は結像レンズの要部構成図である。バリアフィルタの機能と結像レンズの機能を併せ持つ蛍光フィルタ付レンズ60を用いた場合の例である。
この蛍光フィルタ付レンズ60は、平凸レンズ61の平面側に蛍光用干渉膜62を貼り付けたものであり、この干渉膜62により反射励起光をバリアフィルタと同様に減衰させるものである。
【0045】
(4)ポイントマスク型への変形例
図8に示すように、試料からの反射励起光が対物レンズ13により収束する箇所に遮光部材71を配置して反射励起光をカットする。遮光部材71は例えば透明板あるいは水平方向へ放射状に伸びた3本の支柱等で支える。
【0046】
遮光部材71の直径φが1.22λ/NA(ただし、λは励起光の波長、NAは対物レンズ13の開口数)程度であれば(換言すれば励起光のビーム径とほぼ等しい面積であれば)、80%以上反射励起光をカットできる。この場合、上記実施例におけるようなバリアフィルタを用いなくてよい。あるいは、減衰率の低い安価なフィルタを用いてもよい。
【0047】
(5)ポイントミラー型への変形例
上記実施例に示すダイクロイックミラーの代わりに、図9に示すようにケーラー照明の第2光源部に小片のミラー72を配置する。このミラー72は、励起光のビーム径とほぼ等しい面積を有していて、ダイクロイックミラーと同様に光源81からの励起光を反射し、サンプル14を照射すると共に対物レンズ13で絞られた反射励起光も光源側へ反射する。したがって、反射励起光は受光器(図示せず)へは入らない。
なお、ミラー72は透明基板や支柱による支持体73により保持され、その取付け位置と角度が維持される。
【0048】
(6)透過蛍光型の場合
図10は透過型蛍光読取方式のバイオチップ読取装置の一実施例図である。この場合も同様にバリアフィルタを用いて透過励起光を減衰させることができる。バリアフィルタ94,97を、サンプル93と対物レンズ95との間と、結像レンズ96と受光器18との間にそれぞれ配置する。なお、バリアフィルタはいずれか一方だけにしても差し支えない。
なお、この場合、対物レンズ95と結像レンズ96とはテレセントリック系になっている。
【0049】
なお、図11は図1に示す構成においてバリアフィルタ38をレンズ39とカメラ40の間に配置したものである。サンプル36を透過した励起光は、図11中に点線で示すように、ほぼ平行な光でレンズ37,39から成る結像光学系に入射した後、カメラ40に対してはほぼ平行な光で入射する。
このとき励起光は、±5度以下の入射角でバリアフィルタ38に入射し、ほぼ10−7以上減衰する。
【0050】
また、従来例の図19で指摘した問題に対する解決策としては、次のような構成とするのが望ましい。光源から光強度の強い部位と光強度の弱い部位から成る励起光を発生させると共に、その励起光のシェーディングを故意に大きくする。
【0051】
例えば図12に示すように励起光を中央が強く周辺が弱い光強度パターンとなるようにし、その平行光の有効範囲R内における光強度Iの最高値に対する最低値の割合αを90%程度にする。このような光強度分布の励起光はマイクロレンズアレイ21およびダイクロイックミラー22を介して同様の光強度分布パターンでサンプル23を照射する。
【0052】
一方、サンプル23においては、図13に示すように発現量の多い試料ほど外側のセルへ、発現量の少ない試料ほど内側のセルへ配置し、発現量分布が励起光の強度分布とは逆のパターンとなるような配置にする。
【0053】
励起光の光強度分布と試料の発現量分布をこのような関係にすると、発現量の少ない試料、換言すれば蛍光の少ない試料には強い光強度の励起光が照射され、発現量の多い換言すれば蛍光の多い試料には弱い光強度の励起光が照射される。
【0054】
これにより、発現量に大きな差があっても検出器に入射する各試料からの蛍光にはあまり差がなくなり、したがって検出器内のアナログ・デジタル変換器や増幅器には大きなダイナミックレンジや高精度は要求されず、低精度で安価なものを使用することができる。なお、励起光分布は別途測定しておき、試料からの蛍光は、その励起光分布によって補正して用いる。
【0055】
なお、このようなバイオチップ読取装置は上記実施例に限定されるものではない。例えば、図14に示すように遮光または減光のマスク100を用いて励起光の一部だけを用いると、バイオチップに照射される励起光は図示のような光強度分布となる。このように、遮光または減光パターン(ここでは濃度パターンとも言う)を持つマスクを使用すれば、バイオチップ上の試料の配置の自由度が格段に向上する。
【0056】
また、図15に示すように励起光のシェーディング量を可変にするように構成しても構わない。同図において、図12の構成と異なる点はズーム機構部である。ズーム機構部110は通常のズームレンズを使用した機構であり、光源(図示せず)からの平行光ビームを適宜に拡大または縮小してマイクロレンズアレイ21に与える。
【0057】
ズーム機構部110でビームを拡大すると、光源から出射された励起光の光強度分布パターンが横に広がってマイクロレンズアレイ21に入射する励起光の強度分布パターンはより平坦なパターンとなる。逆に縮小するとより急峻なパターンとなる。
【0058】
このように拡大・縮小によりシェーディング量が変化するので、ズーム機構部110を操作することによりサンプル23に応じてシェーディング量を任意に設定することができる。
【0059】
また、励起光の光強度分布やサンプルの試料の配置は変えないで、入出力特性が図16に示すような対数関係にある受光素子で構成された検出器を用いてサンプルの蛍光像を検出する構成としてもよい。
このような構成によれば、入力(蛍光量)に大きな違いがあっても検出器側のアナログ・デジタル変換器や増幅器での飽和は防止でき、アナログ・デジタル変換器や増幅器には大きなダイナミックレンジと高精度は要求されなくなる。
【0060】
以上説明した実施例の発明によれば、バイオチップの各試料の発現量に大きな差があっても検出器には大きなダイナミックレンジや高精度は要求されず、安価で低精度のアナログ・デジタル変換器や増幅器を使用した検出器で満足の行く試料像を検出することができる。
また、光源の光強度分布のシェーディング量を大きくできるため、光量の大幅な効率アップが図れるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係るバイオチップ読取装置の一実施例を示す要部構成図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す要部構成図である。
【図3】本発明の更に他の実施例を示す要部構成図である。
【図4】バリアフィルタの減衰率特性図である。
【図5】本発明のバイオチップ読取装置の他の一例を示す要部構成図である。
【図6】光源アレイを用いた場合の説明図である。
【図7】結像用のレンズの他の実施例を示す構成図である。
【図8】遮光部材を用いた場合の構成図である。
【図9】ミラーを用いた場合の構成図である。
【図10】透過型蛍光読取方式のバイオチップ読取装置に係る一実施例構成図である。
【図11】本発明の他の実施例を示す要部構成図である。
【図12】本発明の更に他の実施例を示す要部構成図である。
【図13】試料の配置の様子を説明するための図である。
【図14】本発明の他の実施例を示す要部構成図である。
【図15】本発明の他の実施例を示す要部構成図である。
【図16】検出素子の入出力特性を示す図である。
【図17】従来のバイオチップ読取装置の原理構成図である。
【図18】従来のバイオチップ読取装置の他の一例を示す原理構成図である。
【図19】バイオチップと試料の発現量の差についての説明図である。
【符号の説明】
【0062】
11,92,95,96 レンズ
12,12a,41 ダイクロイックミラー
13 対物レンズ
14,36,93 サンプル
15 サイト
16,16a,38,94,97 バリアフィルタ
17,17a,25,32,37,39 レンズ
18,18a 受光器
21,33 マイクロレンズアレイ
23,36 サンプル
31,51,81,91 光源
34 回転板
35 モータ
40 カメラ
52 第2光源
60 蛍光フィルタ付レンズ
61 平凸レンズ
62 蛍光用干渉膜
71 遮光部材
72 ミラー
100 マスク
110 ズーム機構部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に励起光を照射し、試料中の蛍光物質から発生する蛍光を像形成光学系を介して結像し、その像を受光器で読取るように構成したバイオチップ読取装置において、
前記像形成光学系内に、前記励起光のビーム径とほぼ等しい面積を有し対物レンズにより収束した励起光を遮光する遮光部材を取付け、受光器側への励起光の混入を防止するようにしたことを特徴とするバイオチップ読取装置。
【請求項2】
前記遮光部材として対物レンズにより収束した前記励起光を反射するミラーを備えたことを特徴とする請求項1記載のバイオチップ読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−42246(P2009−42246A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287668(P2008−287668)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【分割の表示】特願2005−336634(P2005−336634)の分割
【原出願日】平成14年2月8日(2002.2.8)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】