説明

バイオマスのガス化装置及びバイオマスのガス化方法

【課題】第一に、連続的に生成ガスを製造することができ、第二に、窒素の混入を低減させてよりクリーンで高カロリーの生成ガスを製造できるバイオマスのガス化装置を提供する。
【解決手段】バイオマスS3をガス化するバイオマスのガス化装置Bであって、水蒸気が流通する反応管7に第1供給管20aを介して連結されるとともに、反応管7に供給するバイオマスS3を一時的に貯留するバイオマス投入用タンク20bと、このバイオマス投入用タンク20bに第2供給管20cを介して連結されるとともに、バイオマス投入用タンク20bに供給するバイオマスS3を一時的に貯留するホッパ20dとを備え、第2供給管20cには、ホッパ20dとバイオマス投入用タンク20bを連通させることなくホッパ20dからバイオマス投入用タンク20bにバイオマスS3を供給するバイオマス供給用フィーダバルブ21が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスをガス化してクリーンな高カロリーガスを生成するバイオマスのガス化装置及びバイオマスのガス化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば発電効率の高い発電用ガスエンジンの燃料などに用いるクリーンな高カロリーガス(生成ガス)を、バイオマスをガス化して生成するバイオマスのガス化装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、この種のバイオマスのガス化装置(ガス化装置)Aには、例えば、図3に示すように、バイオマスをガス化するガス化反応設備1と、ガス化反応設備1を加熱するための熱ガス発生炉2と、ガス化反応設備1にバイオマスを供給するバイオマス供給設備3と、ガス化反応設備1で生成したバイオマスガス(含水生成ガス)G1から水分などを除去する脱水装置4と、脱水装置4で処理した生成ガスG2を貯留するガスタンク5とを備えて構成したものがある。
【0003】
また、ガス化反応設備1は、加熱チャンバ6と反応管7とを備えて構成され、加熱チャンバ6は、粉砕設備8で乾燥状態のバイオマス原料S1を粉砕して生成したバイオマス粗粉S2を受け入れてこれを燃焼させる熱ガス発生炉2に繋がり、この熱ガス発生炉2から内部に導入した高温の熱ガスHによって加熱される。また、反応管7は、第1U字状管7aと逆U字状管7bと第2U字状管7cを連結して形成され、第1U字状管7a及び第2U字状管7cの逆U字状管7bと連結していないそれぞれの一方の直管部7d、7eを加熱チャンバ6の外側に延出させた状態で加熱チャンバ6内に設けられている。そして、このように設けられた反応管7は、加熱チャンバ6内に導入した熱ガスHによって例えば800℃を超える高温で加熱される。また、加熱チャンバ6内の反応管7は、第1U字状管7aの一方の直管部7dが反応水蒸発部9、第1U字状管7aの他方の直管部及びこの他方の直管部と連結する逆U字状管7bの一方の直管部が1次ガス化部10、逆U字状管7bの他方の直管部及び第2U字状管7cが2次ガス化部11を構成している。
【0004】
一方、バイオマス供給設備3は、粉砕設備8で粉砕して生成したバイオマス微粉S3を一時的に貯留するバイオマス投入用タンク3aと、バイオマス投入用タンク3aと反応管7の1次ガス化部10に連結した供給管3bと、供給管3bを通じてバイオマス投入用タンク3aから所定量のバイオマス微粉S3を反応管7に供給するバイオマス供給装置3cとを備えて構成されている。
【0005】
そして、上記のように構成したガス化装置Aにおいては、第1U字管7aの加熱チャンバ6の外側に延出した一方の直管部7dから反応水Wを供給すると、この反応水Wが反応水蒸発部9を流通するとともに蒸発し、水蒸気が1次ガス化部10に供給される。また、このとき、バイオマス投入用タンク3aに貯留したバイオマス微粉S3が、バイオマス供給装置3cの駆動によって供給管3bから反応管7の1次ガス化部10に供給される。供給したバイオマス微粉S3は、1次ガス化部10で水蒸気気流中に浮遊しつつほぼ瞬時に熱分解してガス化し、このガス化によって生成されたバイオマスガスは、2次ガス化部11を流通するとともにガス中に含まれるタール・煤が分解される。そして、このようにして生成(製造)した含水生成ガスG1は、脱水装置4に送られ水分などが除去されてクリーンで高カロリーの生成ガスG2となり、ガスタンク5に貯留される。
【0006】
一方、上記のようにバイオマスS1から生成ガスG2を生成する際には、反応管7の下部(例えば第2U字状管7cの下部)に灰などの残渣が溜まる。このため、ガス化装置Aには、2次ガス化部11の下部に一端が繋がり、加熱チャンバ6の外側に延出した残渣排出管12が設けられ、反応管7に溜まった残渣を適宜この残渣排出管12を通じて外部に排出するようにしている。
【特許文献1】特開2004−51717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のガス化装置Aにおいては、反応水蒸発部9から1次ガス化部10に流通した水蒸気がバイオマス供給設備3の供給管3bを通じてバイオマス投入用タンク3a側に流れ、貯留したバイオマス微粉S3が湿って反応管7に好適にバイオマス微粉S3を供給できなくなるおそれがある。
【0008】
このため、上記従来のガス化装置Aでは、バイオマス投入用タンク3aに空気や窒素ガスを別途供給し、バイオマス投入用タンク3aからバイオマス微粉S3と一緒に空気や窒素ガスを反応管7に向けて流通させるように供給管3bに供給して、この空気や窒素ガスの流れによって水蒸気がバイオマス投入用タンク3a側に流れることを防止している。
【0009】
しかしながら、このように空気や窒素ガスを供給してバイオマス投入用タンク3a側への水蒸気の流入を防止する場合には、バイオマス投入用タンク3aを気密状態で保持する必要が生じる。このため、生成ガスG2の生成をバイオマス投入用タンク3aのバッチ処理で行なうことになり、長時間の連続運転ができなくなって、生成ガスG2の生産効率の低下を招くという問題があった。
【0010】
また、反応管7にバイオマス微粉S3とともに空気や窒素ガスが供給されることで、生成ガスG2中に窒素が多く含まれることになるため、生成ガスG2の単位量当たりの発熱量が低くなってしまう。すなわち、バイオマス投入用タンク3aへの水蒸気の流入を防止するために供給した空気や窒素ガスによって、生成ガスG2のカロリー低下を招くという問題があった。そして、この窒素が多く混入した生成ガスG2を発電用ガスエンジンEの燃料に用いる際には、ガスエンジンEでLPG(Liquefied Petroleum Gas)との混焼などが必要になるという不都合が生じてしまう。
【0011】
本発明は、上記事情を鑑み、第一に、連続的に生成ガスの生成を行うことができるバイオマスのガス化装置、第二に、窒素の混入量を低減させてよりクリーンで高カロリーの生成ガスを生成できるバイオマスのガス化装置及びバイオマスのガス化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0013】
本発明のバイオマスのガス化装置は、水蒸気が流通する反応管にバイオマスを供給して該バイオマスをガス化するバイオマスのガス化装置であって、前記反応管に第1供給管を介して連結されるとともに、前記反応管に供給する前記バイオマスを一時的に貯留するバイオマス投入用タンクと、該バイオマス投入用タンクに第2供給管を介して連結されるとともに、前記バイオマス投入用タンクに供給する前記バイオマスを一時的に貯留するホッパとを備え、前記第2供給管には、前記ホッパと前記バイオマス投入用タンクを連通させることなく前記ホッパから前記バイオマス投入用タンクに前記バイオマスを供給するバイオマス供給用フィーダバルブが設けられていることを特徴とする。
【0014】
この発明においては、ホッパとバイオマス投入用タンクを繋ぐ第2供給管にバイオマス供給用フィーダバルブが設けられていることによって、このフィーダバルブを駆動することでホッパからバイオマス投入用タンクにバイオマスを供給することができる。また、このとき、ホッパとバイオマス投入用タンクが連通することがないため、バイオマス投入用タンクの気密性を確保した状態で、ホッパからバイオマス投入用タンクにバイオマスを供給することができ、連続的にバイオマス供給用フィーダバルブを駆動することで、連続的にバイオマス投入用タンクにバイオマスを供給することができる。
【0015】
また、本発明のバイオマスのガス化装置においては、前記反応管に一端が連結され、前記バイオマスのガス化によって前記反応管に溜まった残渣を外部に排出するための残渣排出管を備え、該残渣排出管には、前記反応管と外部を連通させることなく前記反応管から前記残渣を排出させる残渣排出用フィーダバルブが設けられていることが望ましい。
【0016】
この発明においては、残渣排出用フィーダバルブを駆動することで、反応管に溜まった残渣を外部に排出することができる。そして、このとき、反応管と外部が連通することがなく、連続的に残渣排出用フィーダバルブを駆動して連続的に残渣を外部に排出することができるため、ガス化装置の運転を停止することなく、反応管に溜まった残渣を排出することができる。
【0017】
さらに、本発明のバイオマスのガス化装置においては、前記反応管で前記バイオマスをガス化して生成された生成ガスを貯留するガスタンクと、該ガスタンクに貯留した前記生成ガスを前記バイオマス投入用タンクに供給する生成ガス返送手段とを備えることがより望ましい。
【0018】
この発明においては、生成ガス返送手段によってバイオマス投入用タンクに生成ガスを供給することで、第1供給管を通じて、バイオマス投入用タンクに貯留したバイオマスを生成ガスとともに反応管に供給することができ、生成ガスの流れによって水蒸気がバイオマス投入用タンク側に流れることを防止できる。これにより、従来のように空気や窒素ガスを用いることなくバイオマスを好適に反応管に供給することができるため、窒素の混入量が少ない生成ガスを生成することが可能になる。
【0019】
本発明のバイオマスのガス化方法は、バイオマスのガス化装置が備える反応管に、水蒸気を流通させるとともに前記反応管に繋がる供給管を通じてバイオマスを供給し、前記バイオマスをガス化する方法であって、前記ガス化装置で前記バイオマスをガス化して生成した生成ガスを、前記バイオマスとともに前記反応管に向けて流通させるように、前記供給管に供給することを特徴とする。
【0020】
この発明においては、ガス化装置で先行して生成した生成ガスを、供給管を通じてバイオマスとともに反応管に供給することによって、水蒸気が反応管から供給管に流れることを防止することができる。また、従来の空気や窒素ガスに換えて生成ガスを用いることによって、窒素の混入量が少ない生成ガスを生成することが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のバイオマスのガス化装置によれば、従来のガス化装置のように生成ガスの生成をバイオマス投入用タンクのバッチ処理で行う必要がなく、長時間の連続運転を行って生成ガスを生成することができ、生産効率の向上を図ることが可能になる。
【0022】
また、本発明のバイオマスのガス化装置及びバイオマスのガス化方法によれば、従来のガス化装置と比較し生成ガスの窒素の混入量が少ないクリーンで高カロリーな生成ガスを確実に生成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図1及び図2を参照し、本発明の一実施形態に係るバイオマスのガス化装置について説明する。本実施形態は、バイオマスからクリーンで高カロリーの生成ガスを効率的に生成可能なバイオマスのガス化装置及びバイオマスのガス化方法に関するものである。
【0024】
本実施形態のバイオマスのガス化装置(ガス化装置)Bは、図1に示すように、バイオマス原料S1を粉砕する粉砕設備8と、バイオマス(バイオマス微粉S3)をガス化するガス化反応設備1と、ガス化反応設備1を加熱するための熱ガス発生炉2と、粉砕設備8で粉砕したバイオマス微粉S3を受け入れてガス化反応設備1に供給するバイオマス供給設備20と、ガス化反応設備1で生成した含水生成ガスG1から水分などを除去する脱水装置4と、脱水装置4で処理した生成ガスG2を貯留するガスタンク5とを備えて構成されている。
【0025】
粉砕設備8は、例えば破砕機とインパクトミルとを備え、例えば含水率が30%以下となるように予め乾燥処理したバイオマス原料S1を受け入れてこれを粉砕するとともに、例えば平均粒径3mmを超えるバイオマス粗粉S2と平均粒径3mm以下のバイオマス微粉S3とに分別可能に構成されている。
【0026】
熱ガス発生炉2は、粉砕設備8からバイオマス粗粉S2を受け入れ、空気などの支燃剤によりバイオマス粗粉S2を例えば900〜1200℃の高温で燃焼させ、高温の熱ガス(バイオマス燃焼高温ガス)Hを生成する。そして、生成した熱ガスHをガス化反応設備1に供給し、このガス化反応設備1を加熱させる。
【0027】
また、ガス化反応設備1は、図3に示した従来のガス化装置Aと同様に、加熱チャンバ6と反応管7とを備え、加熱チャンバ6には、熱ガス発生炉2で生成した熱ガスHを導入する導入口6aと、加熱チャンバ6内を流通した熱ガスHを外部に排出する排出口6bとが設けられている。なお、排出口6bから排出した熱ガスHは、例えば煙突などに送られて放出される。
【0028】
反応管7は、第1U字状管7aと逆U字状管7bと第2U字状管7cを連結して形成され、加熱チャンバ6の内部に配設されている。また、第1U字状管7a及び第2U字状管7cのそれぞれの一方の直管部7d、7eが加熱チャンバ6の外側に延出して設けられている。そして、第1U字状管7aの一方の直管部7dが反応水蒸発部9、第1U字状管7aの他方の直管部及びこの他方の直管部と連結する逆U字状管7bの一方の直管部が1次ガス化部10、逆U字状管7bの他方の直管部及び第2U字状管7cが2次ガス化部11を構成している。
【0029】
一方、バイオマス供給設備20は、反応管7の逆U字状管7bに第1供給管(供給管)20aを介して連結され(繋げられ)、第1供給管20aを通じて1次ガス化部10に供給するバイオマス微粉S3を一時的に貯留するバイオマス投入用タンク20bと、このバイオマス投入用タンク20bに第2供給管20cを介して連結され、粉砕設備8からバイオマス微粉S3を受け入れて、これを一時的に貯留するホッパ20dと、第1供給管20aに設けられ、ホッパ20dからバイオマス投入用タンク20bに供給したバイオマス微粉S3を、バイオマス投入用タンク20bから所定量で1次ガス化部10(反応管7)に供給するバイオマス供給装置20eとを備えて構成されている。
【0030】
また、本実施形態のバイオマス供給設備20には、第2供給管20cに、ホッパ20dからバイオマス投入用タンク20bにバイオマス微粉S3を供給するためのバイオマス供給用フィーダバルブ21が設けられている。本実施形態のバイオマス供給用フィーダバルブ21は、いわゆるボールフィーダであり、図2(a)に示すように、筒状に形成されるとともに、軸線O1方向中央部に内面(球面座)22aが断面円形状に形成されたボール収容部22bを備えたフィーダ本体部22と、フィーダ本体部22のボール収容部22bに回転可能に収容されたボール23とで構成されている。また、ボール23は、中空構造の球状に形成されるとともに、外面から内面に貫通し中空部23aと外部を連通させる開口部23bを備えて形成されている。さらに、ボール23は、その外面をフィーダ本体部22の球面座22aに密着させた状態でボール収容部22bに収容され、図2(a)に示す一方向(回転方向T)に外面を球面座22aに摺接させつつ回転可能に設けられている。
【0031】
そして、上記のように構成したバイオマス供給用フィーダバルブ21は、フィーダ本体部22の上端側に、ホッパ20dに繋がる上方の第2供給管20f(20c)の下端部が嵌合し、フィーダ本体22の下端側に、バイオマス投入用タンク20bに繋がる下方の第2供給管20g(20c)の上端部が嵌合して、第2供給管20cに設けられている。また、このように設けられたバイオマス供給用フィーダバルブ21は、上方の第2供給管20fと下方の第2供給管20gを、ひいてはホッパ20dとバイオマス投入用タンク20bを、ボール23によって常時連通させることがないように設けられている。これにより、第1供給管20aを通じて反応管7に繋がるバイオマス投入用タンク20bは、バイオマス供給用フィーダバルブ21によって気密性が確保されている。
【0032】
また、図1に示す脱水装置4は、内部に冷却伝熱面を備え、反応管7から塔内に導入された含水生成ガスG1中の水分及び硫黄化合物など高沸点物を凝縮して除去するように構成されている。また、この脱水装置4で処理した生成ガスG2を貯留するガスタンク5は、水封式のガスタンクであり、脱水装置4に配管を介して連結されている。
【0033】
さらに、本実施形態においては、このガスタンク5に貯留した生成ガスG2を、バイオマス供給設備20のバイオマス投入用タンク20bに供給するための生成ガス返送手段25が設けられている。この生成ガス返送手段25は、一端がガスタンク5に、他端がバイオマス投入用タンク20bに繋がる返送管25aと、ブロアなどの送気手段25bとを備えて構成されている。そして、送気手段25bの駆動によって、返送管25a内を、ガスタンク5に貯留した生成ガスG2がバイオマス投入用タンク20bに向けて流通し、生成ガスG2がバイオマス投入用タンク20bに供給される。なお、送気手段25bは、駆動停止時においても、バイオマス投入用タンク20b側の気体がガスタンク5側に逆流することがないように構成されている。
【0034】
また、反応管7の2次ガス化部11(第2U字管7c)の下部に一端が連結し加熱チャンバ6の外側に延び、バイオマスS3のガス化によって反応管7に溜まった灰などの残渣を外部に排出するための残渣排出管12が設けられている。さらに、残渣排出管12には、残渣排出用フィーダバルブ26が設けられている。本実施形態の残渣排出用フィーダバルブ26は、いわゆるボールフィーダであり、バイオマス供給設備20のバイオマス供給用フィーダバルブ21と同様に構成されている。すなわち、図2(a)に示すように、筒状に形成され、軸線O1方向中央部にボール収容部22bを備えるフィーダ本体部22と、フィーダ本体部22のボール収容部22bに回転可能に収容され、中空部23aと外部を連通させる開口部23bを備えたボール23とで構成されている。
【0035】
そして、この残渣排出用フィーダバルブ26は、フィーダ本体部22の上端側に、反応管7に繋がる上方の残渣排出管12a(12)の下端部が嵌合し、フィーダ本体22の下端側に、外部に延出した下方の残渣排出管12b(12)の上端部が嵌合して、残渣排出管12に設けられている。また、このように設けられた残渣排出用フィーダバルブ26は、上方の残渣排出管12aと下方の残渣排出管12bを、ボール23によって常時閉塞し、反応管7と外部を連通させることがないように設けられている。
【0036】
ついで、上記の構成からなるバイオマスのガス化装置Bを用いて生成ガスG2を製造する方法(バイオマスをガス化する方法)について説明し、本実施形態のバイオマスのガス化装置B及びバイオマスのガス化方法の作用及び効果について説明する。
【0037】
本実施形態のバイオマスのガス化装置Bを用いて生成ガスG2を製造する際には、粉砕設備8でバイオマス原料S1を粉砕し分別したバイオマス粗粉S2を熱ガス発生炉2に供給する。そして、この熱ガス発生炉2でバイオマス微粉S2を燃焼させ、熱ガスHを加熱チャンバ6の導入口6aから供給して加熱チャンバ6及び反応管7を加熱する。このように反応管7を加熱した段階で、反応管7の第1U字状管7a(一方の直管部7d)に反応水Wを供給し、反応水蒸発部9で蒸発した水蒸気を1次ガス化部10に流通させる。これとともに、バイオマス供給設備20から1次ガス化部10にバイオマス微粉S3を供給する。
【0038】
ここで、本実施形態においては、粉砕設備8で粉砕したバイオマス微粉S3を反応管7の1次ガス化部10に供給する際に、まず、粉砕設備8で分別したバイオマス微粉S3がバイオマス供給設備20のホッパ20dに供給されるとともに、図2(a)に示すように、ホッパ20dに貯留したバイオマス微粉S3が上方の第2供給管20f(20c)内に供給される。そして、バイオマス供給用フィーダバルブ21のボール23を回転駆動させ、このボール23の開口部23bが、図2(b)に示すように上方を向いてこの開口部23bを通じて中空部23aと上方の第2供給管20fが連通するとともに、バイオマス微粉S3が中空部23a内に落下して充填される。
【0039】
このように中空部23aにバイオマス微粉S3が充填されたボール23がさらに回転すると、図2(c)に示すように、中空部23aと上方の第2供給管20fの連通が解除される。そして、ボール23の開口部23bが、図2(d)に示すように下方を向くとともに、この開口部23bを通じて中空部23aと下方の第2供給管20g(20c)が連通し、これとともに中空部23a内のバイオマス微粉S3が下方の第2供給管20gに供給され、この下方の第2供給管20gを通じてバイオマス投入用タンク20bに供給される。このように、ボール23が回転して順次開口部23bの位置が変わることによって、ホッパ20dに貯留したバイオマス微粉S3がバイオマス投入用タンク20bに供給され、ボール23を連続的に回転駆動させることによって、バイオマス投入用タンク20bに連続的に供給されてゆく。
【0040】
また、このとき、ボール23の外面がフィーダ本体部22の球面座22aに摺接(密着)した状態でボール23が回転し、上方の第2供給管20fと下方の第2供給管20g、ひいてはホッパ20dとバイオマス投入用タンク20bが連通することがなく、バイオマス投入用タンク20bの気密性を常時確保した状態でバイオマス微粉S3の供給が行われる。
【0041】
そして、上記のようにバイオマス投入用タンク20bに供給して貯留されたバイオマス微粉S3は、バイオマス供給装置20eの駆動とともに、第1供給管20aを通じて1次ガス化部10に所定量ずつ供給される。このとき、本実施形態においては、先行して生成されガスタンク5に貯留されている生成ガスG2が、生成ガス返送手段25の送気手段25bの駆動とともにガスタンク5からバイオマス投入用タンク20bに供給される。このため、バイオマス投入用タンク20bから1次ガス化部10にバイオマス微粉S3を供給する際には、バイオマス微粉S3とともに生成ガスG2が第1供給管20aに供給され、この生成ガスG2が、第1供給管20aをバイオマス微粉S3とともに1次ガス化部10(反応管7)に向けて流通することによって、反応管7を流通する水蒸気がバイオマス投入用タンク20bに流れることが防止される。
【0042】
そして、このように1次ガス化部10に生成ガスG2とともに供給したバイオマス微粉S3は、1次ガス化部10を流通する水蒸気気流中に浮遊し、この水蒸気によって例えば0.2秒以下の瞬時にガス化される。バイオマス微粉S3をガス化して生成された含水状態のバイオマスガス(含水生成ガスG1)は、2次ガス化部11を流通するとともに、少量の副生したタール・煤が分解され、且つ固形有機物及び炭素が全て分解され、脱水装置4に送られる。この脱水装置4で含水生成ガスG1から水分と硫黄分と塩素分などが除去され、生成ガスG2がガスタンク5に貯留される。
【0043】
ここで、本実施形態においては、反応管7へのバイオマス微粉S3の供給時に、バイオマス微粉S3とともに空気や窒素ガスを供給する従来のガス化装置Aと異なり、生成ガス返送手段25でバイオマス投入用タンク20bに供給した生成ガスG2とともにバイオマス微粉S3を供給するため、含水生成ガスG1ひいては生成ガスG2に窒素が多く含まれることがなく、クリーンで高カロリーの生成ガスG2が生成(製造)される。
【0044】
一方、このようにバイオマス微粉S3をガス化することによって、反応管7の2次ガス化部11の下部に灰などの残渣が溜まってゆくが、本実施形態においては、残渣排出用フィーダバルブ26を回転駆動することによって、ガス化装置Bの運転を停止することなく残渣が外部に排出される。すなわち、図2(a)に示すように、反応管7に残渣Pが溜まるとともにこの残渣Pが上方の残渣排出管12a(12)内に落下する。そして、残渣排出用フィーダバルブ26のボール23を回転駆動させ、このボール23の開口部23bが、図2(b)に示すように上方を向いてこの開口部23bを通じて中空部23aと上方の残渣排出管12aが連通するとともに、残渣Pが中空部23a内に落下して充填される。
【0045】
中空部23aに残渣Pが充填されたボール23がさらに回転すると、図2(c)に示すように、中空部23aと上方の残渣排出管12aの連通が解除され、さらなるボール23の回転によって、開口部23bが、図2(d)に示すように下方を向くとともに、この開口部23bを通じて中空部23aと下方の残渣排出管12b(12)が連通し、これとともに中空部23a内の残渣Pが下方の残渣排出管12bを通じて外部に排出される。このように、ボール23が回転して順次開口部23bの位置が変わることによって、反応管7に溜まった残渣Pが外部に排出され、ボール23を連続的に回転駆動させることによって連続的に残渣Pが排出されてゆく。
【0046】
また、このとき、ボール23の外面がフィーダ本体部22の球面座22aに摺接(密着)した状態でボール23が回転し、上方の残渣排出管12aと下方の残渣排出管12b、ひいては反応管7と外部が連通することがなく、すなわち反応管7の気密状態を損なうことなく残渣Pの排出が行われる。
【0047】
したがって、本実施形態のバイオマスのガス化装置Bにおいては、ホッパ20dとバイオマス投入用タンク20bを繋ぐ第2供給管20cにバイオマス供給用フィーダバルブ21が設けられていることによって、このフィーダバルブ21を駆動することでホッパ20dからバイオマス投入用タンク10bにバイオマス微粉S3を供給することができる。また、このとき、ホッパ20dとバイオマス投入用タンク20bが連通することがないため、バイオマス投入用タンク20bの気密性を確保した状態で、ホッパ20dからバイオマス投入用タンク20bにバイオマス微粉S3を供給することができ、連続的にバイオマス供給用フィーダバルブ21を駆動することで、バイオマス投入用タンク20bに気密性を確保しつつバイオマス微粉S3を連続的に供給することができる。
【0048】
また、バイオマスS3のガス化によって反応管7に溜まった残渣Pを外部に排出するための残渣排出管12に残渣排出用フィーダバルブ26が設けられていることによって、この残渣排出用フィーダバルブ26の駆動とともに残渣Pを外部に排出することができる。そして、この残渣Pの排出時においても、反応管7と外部が連通することがなく、連続的に残渣Pを外部に排出することができるため、ガス化装置Bの運転を停止することなく、残渣Pを排出することができる。
【0049】
よって、本実施形態のバイオマスのガス化装置Bによれば、従来のガス化装置Aのように生成ガスG2の製造をバイオマス投入用タンク20bのバッチ処理で行う必要がなく、また、ガス化装置Bの運転を停止することなく連続的に残渣Pを外部に排出することができるため、長時間の連続運転を行って生成ガスG2を製造することができ、生成ガスG2の生産効率の向上を図ることが可能になる。
【0050】
また、本実施形態のバイオマスのガス化装置B及びバイオマスのガス化方法においては、生成ガス返送手段25によってバイオマス投入用タンク20bひいては第1供給管(供給管)20aに生成ガスG2を供給することで、バイオマス投入用タンク20bに貯留したバイオマス微粉S3を生成ガスG2とともに反応管7に供給することができ、この生成ガスG2の流れによって水蒸気がバイオマス投入用タンク20b側に流れることを防止できる。これにより、従来のように空気や窒素ガスを用いることなくバイオマスS3を好適に反応管7に供給することができるため、従来のガス化装置Aと比較し生成ガスG2の窒素の混入量を低減でき、クリーンで高カロリーな生成ガスG2を確実に製造することが可能になる。
【0051】
以上、本発明に係るバイオマスのガス化装置及びバイオマスのガス化方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、バイオマス供給用フィーダバルブ21と残渣排出用フィーダバルブ26が、ボールフィーダであるものとしたが、バイオマス供給用フィーダバルブ21は、ホッパ20dとバイオマス投入用タンク20bを連通させることなくバイオマス投入用タンク20bにバイオマスS3を供給することができればよく、また、残渣排出用フィーダバルブ26は、反応管7と外部を連通させることなく反応管7から残渣Pを排出させることができればよく、各フィーダバルブ21、26は、例えばドラムフィーダであってもよい。
【0052】
また、本実施形態では、反応管7に反応水Wを供給し、この反応水Wを反応水蒸発部9で蒸発させて反応管7に水蒸気を流通させるものとしたが、水蒸気を直接反応管7に供給して流通させるようにしてもよい。このため、本実施形態では、反応管7が第1U字状管7aと逆U字状管7bと第2U字状管7cを連結して形成されているものとしたが、特に反応管7の構成を限定する必要はない。また、これに関連して、1つの残渣排出管12が2次ガス化部11の下部に連結されているものとしたが、残渣排出管12は、バイオマスS3のガス化に伴って反応管7に溜まる残渣Pを排出できれば、特に反応管7に対する連結位置を限定する必要はなく、さらに、複数の残渣排出管12を設けて残渣Pを排出するようにしてもよい。
【0053】
さらに、本実施形態では、生成ガス返送手段25を設けて、ガスタンク5から生成ガスG2をバイオマス投入用タンク20bに供給するものとしたが、従来のバイオマスのガス化装置Aに本実施形態に示したバイオマス供給設備20を適用し、長時間の連続運転を行える効果のみを付与するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係るバイオマスのガス化装置を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るバイオマス供給用フィーダバルブ(残渣排出用フィーダバルブ)を示す図である。
【図3】従来のバイオマスのガス化装置を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 ガス化反応設備
2 熱ガス発生炉
3 従来のバイオマス供給設備
4 脱水装置
5 ガスタンク
6 加熱チャンバ
7 反応管
8 粉砕設備
9 反応水蒸発部
10 1次ガス化部
11 2次ガス化部
12 残渣排出管
20 バイオマス供給設備
20a 第1供給管(供給管)
20b バイオマス投入用タンク
20c 第2供給管
20d ホッパ
20e バイオマス供給装置
21 バイオマス供給用フィーダバルブ
25 生成ガス返送手段
25a 返送管
25b 送気手段
26 残渣排出用フィーダバルブ
A 従来のバイオマスのガス化装置
B バイオマスのガス化装置
E 発電用ガスエンジン
G1 含水生成ガス
G2 生成ガス
H 熱ガス
S1 バイオマス原料
S2 バイオマス粗粉
S3 バイオマス微粉(バイオマス)
P 残渣
W 反応水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気が流通する反応管にバイオマスを供給して該バイオマスをガス化するバイオマスのガス化装置であって、
前記反応管に第1供給管を介して連結されるとともに、前記反応管に供給する前記バイオマスを一時的に貯留するバイオマス投入用タンクと、該バイオマス投入用タンクに第2供給管を介して連結されるとともに、前記バイオマス投入用タンクに供給する前記バイオマスを一時的に貯留するホッパとを備え、
前記第2供給管には、前記ホッパと前記バイオマス投入用タンクを連通させることなく前記ホッパから前記バイオマス投入用タンクに前記バイオマスを供給するバイオマス供給用フィーダバルブが設けられていることを特徴とするバイオマスのガス化装置。
【請求項2】
請求項1記載のバイオマスのガス化装置において、
前記反応管に一端が連結され、前記バイオマスのガス化によって前記反応管に溜まった残渣を外部に排出するための残渣排出管を備え、
該残渣排出管には、前記反応管と外部を連通させることなく前記反応管から前記残渣を排出させる残渣排出用フィーダバルブが設けられていることを特徴とするバイオマスのガス化装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のバイオマスのガス化装置において、
前記反応管で前記バイオマスをガス化して生成された生成ガスを貯留するガスタンクと、該ガスタンクに貯留した前記生成ガスを前記バイオマス投入用タンクに供給する生成ガス返送手段とを備えることを特徴とするバイオマスのガス化装置。
【請求項4】
バイオマスのガス化装置が備える反応管に、水蒸気を流通させるとともに前記反応管に繋がる供給管を通じてバイオマスを供給し、前記バイオマスをガス化する方法であって、
前記ガス化装置で前記バイオマスをガス化して生成した生成ガスを、前記バイオマスとともに前記反応管に向けて流通させるように、前記供給管に供給することを特徴とするバイオマスのガス化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−7474(P2009−7474A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170295(P2007−170295)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】