説明

バイオマス処理プロセスおよびシステム

本発明は、バイオマスを処理する、例は、バイオマスからバイオ燃料、たとえばバイオエタノールのようなものを作成するための方法(プロセス)およびシステムを提供する。より一層詳しくは、本発明に従うある方法には、(a)流体処理装置の通路に流れ込むようにバイオマスおよび作動流体を含有する組成物の少なくとも第1の部分を誘導すること、(b)流体処理装置の通路に連通するノズルを通して組成物中に高速度の輸送流体を注入し、それによって輸送流体は、作動流体が細分化され、かつ蒸気および液滴の流動様式がノズルの下流に形成されるようにせん断力を組成物に適用すること、(c)蒸気および液滴の流動様式を凝縮すること、(d)組成物を第1の保持容器へ移すこと、および(e)組成物を第1の保持容器において第1の所定の温度にて第1の所定の時間の間で保持し、そこで、液化酵素をその方法の前またはその間に組成物に添加することが含まれる。しかる後、組成物はさらに、バイオ燃料、例は、バイオエタノールのようなものを形成するように加工することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照。本出願は2008年10月30日付け出願の米国特許出願番号第12/290,700号の優先権を主張し、そしてそれは、2008年3月21日付け出願の国際出願PCT/GB2008/050210号および2008年5月2日付け出願の国際出願PCT/GB2008/050319号の35U.S.C.§120の下で利益を得る。上記に特定するすべての出願の内容を、参照によってまるで完全にここに復唱されるようにここに取り入れる。
【0002】
本発明の分野。本発明は、とりわけ、例は、バイオエタノールを含むバイオ(生物)燃料の生産の使用に適しているバイオマス(生物体量)処置プロセスおよびシステムを提供する。より一層詳しくは、本発明は、バイオマス組成物において存在するでんぷん(澱粉)およびセルロースの双方のアルコールへの転換のために単一のプロセスおよびシステムを提供する。
【背景技術】
【0003】
バイオマスのバイオ燃料への転換は、消費者および生産者が同様に既存の化石燃料の周囲の環境および持続可能性の問題を認識しているので、近年大きな重要性をもつようになった。既存のバイオ燃料の大半は、糖料作物(sugar crops)および高い澱粉含量を有する作物の発酵から導き出され、それは以下に「第一世代」のプロセスと呼ぶ。第一世代のプロセスは典型的に、スラリー(泥漿)を形成するために、根拠の澱粉ベースの原材料を水と混合する初期の水和ステップを必要とする。水は、原材料と混合するのに先立ち予熱することができる。泥漿は追加的に、澱粉を活性化するために、容器において加熱することができ、そしてそれから再び加熱され、そして澱粉を長鎖糖類(シュガー)に変えるために、液化酵素と混合される。活性化段階は典型的に、泥漿を望ましい温度にまで加熱するために、蒸気ジャケット付きタンク(steam-jacketed tanks)または蒸気散布(スパージャー)加熱を用いる。同時に、かき混ぜミキサー、泥漿再循環ループ、または2つの組合せが泥漿を混合する。しかしながら、再循環ポンプの存在にもかかわらず、これらの加熱方法は、泥漿タンクまたは容器で、その温度がタンクの残部よりも著しく高くつくられる領域をもたらすことがありうる。そのようなプロセスでは、プロセスの初期に水和する澱粉は、それがこれらの高温領域と接触することになる場合に損なわれ、例は、変性されることがあり、そして、より一層低い生産収率をもたらす。また、上述の熱損傷問題、およびまた澱粉の乏しい水和によっても明らかなように、これらの配置(arrangements)も特に効果的な混合を提供しない。
【0004】
これらの第一世代のプロセスは通常、プロセスの活性化および転換の段階(ステージ)のために別々の容器を用いる。活性化容器から転換のステージの容器にまでの泥漿の移動は通常、遠心力ポンプを用いて達成され、そしてそれは、泥漿上に高いせん(剪)断力を与え、その結果として、水和した澱粉にさらなる損傷を引き起こす。
【0005】
転換ステージはまた、蒸気-、または水-ジャケット付きタンク、あるいはスパージャーヒーターによって加熱されたタンクを、液化酵素の最適な実行用の適切なレベルに泥漿の温度を上げるために用いることができる。あるいはまた、ジェットクッカー(調理器具)は、転換の段階の容器に入ってくる泥漿を加熱するために用いられる。泥漿は活性化段階におけるのと同じ熱損傷を被ることがあるだけでなく、高温領域もまた、プロセスからのグルコース収率を制限することに寄与する。これらの領域の過度の熱はメイラード反応(Maillard reactions)を促進し、そこでは、糖分子は、泥漿においてまた存在するタンパク質との相互作用のために破壊される。移送ポンプによるせん断損傷とこれらのメイラード損失との組合せは、利用可能なグルコース収率を制限する。その上、既存の液化プロセスは、転換段階において、できるだけ同じくらいの澱粉が糖に転換することが確実となるように、泥漿のための長い滞留時間を要求する。このことは、時間および製造プロセスのコストへの負の影響をもつ。
【0006】
高い澱粉含量を有する作物は食品用途(ヒトおよび動物の飼料の双方)において高い価値を有し、そして、セルロースおよびヘミセルロースからの潜在的な糖収率と比較するとき、合計作物の少ない割合だけが澱粉であるため、ヘクタールあたりのそれらの糖収率は低い。このように、主にリグニン、ヘミセルロースおよびセルロースからなるリグノセルロース系のバイオマスのようなバイオマスの代わりの供給源からのバイオ燃料の誘導のためのプロセスは、リグノセルロース系のバイオマスが極めて大量のバイオマスであるので、生産者にとって大いに重要である。それには、たとえば、すべての樹木および草、ならびに農業廃棄物(agricultural residues)、たとえば、湿性および乾燥した蒸留かす(distiller's grains)、コーン繊維、トウモロコシの穂軸およびサトウキビバガスのようなものが含まれる。
【0007】
リグノセルロース系のバイオマスからバイオ燃料を導き出すプロセスは、以下、「第二世代」のプロセスと称する。第二世代のプロセスは、3つの段階、すなわち、バイオマスの細胞構造(cellular structure)を破壊する最初の前処理の段階、バイオマスのセルロース部分が短鎖の糖に転換する第2の加水分解の段階、およびこれらの糖がアルコールに転換する第3の発酵の段階においてリグノセルロース系のバイオマスをアルコール(例は、エタノール)に転換する。
【0008】
加水分解の収率を増加させるために、前処理のステップは、バイオマスを柔らかくし、そしてその細胞構造を破壊するために必要であり、それによってより一層多くのセルロースおよびヘミセルロースの材料を露出させる。破壊的な前処理のプロセスは、実際には化学的または物理的であるのが通常である。目下の化学的な前処理のプロセスは、バイオマスの細胞の望ましい破壊を成し遂げるために、触媒に依存する。この触媒は普通、酸または酵素である。酵素は比較的高価であるが、酸には環境に有害という不利益がある。最も普通の物理的な前処理のプロセスは蒸気爆発(steam explosion)であり、それらの例は、ネベス(Neves)の、1984年1月10日付け発行の米国特許第4,425,433号およびフーディ(Foody)の、1984年7月24日付け発行の米国特許第4,461,648号で明らかにされる。蒸気爆発において、反応が気圧に対する突然の減圧によって止められる前に、バイオマスは、数分(2、3分)の間、高圧蒸気を用いて加熱される。蒸気爆発の不利益には、プロセスが適当なプロセス容器の範囲内で含まれなければならないことであり、そしてこのように非連続プロセスであるということである。さらにまた、プロセスのための目下のコストが高い一方で、蒸気爆発からの糖収率は比較的低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,425,433号明細書
【特許文献1】米国特許第4,461,648号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
第一および第二の世代のプロセスの双方では、酵母は糖を発酵させるのに用いられる。しかし、酵母は温度感受性であり、そして酵母が糖を発酵することができる前に、バイオマスはおよそ30℃まで冷やされなければならない。発酵されたバイオマスが蒸留のために下流で再加熱されなければならないとすると、バイオマスを冷やすことは、発酵プロセスの長さを増やすだけでなく、エネルギー消費も増やす。
【0011】
上述の第一世代のプロセスは、最も普通に、現在のバイオ燃料産業で用いられるものである。加工処理用に作物を輸送するコストを下げるため、バイオ燃料処理工場は典型的に、作物が増殖する領域か、またはプロセスから2つの生産物(例は、エタノールおよび動物の飼料)の地方市場を有する領域に近接近して位置付けられる。またさらに、コストを下げる努力において、作物(例は、トウモロコシの穀粒)の澱粉ベースの成分は収穫の間、作物の残部(例は、柄および葉)から分離され、その結果、澱粉ベースの成分だけが処理工場へ運搬される。しかし、収穫の間のこの分離にもかかわらず、処理のために輸送される作物のおよそ10重量%は、澱粉が存在しないリグノセルロースの材料(例は、トウモロコシの外皮、トウモロコシの穂軸)から構成される。このように、たとえ、第一世代のプロセスにおいて作物の10%が処理工場へ輸送されるとしても、その輸送された10%からの取るに足らない収率になる。
【0012】
この問題の解法は、また第二世代のプロセスを用い、リグノセルロースの材料からアルコールを得ることである。しかし、第一および第二の世代のプロセスの双方を単一の処理工場において互いのそばを動作させることは、処理のコストに重要な影響を及ぼす。まず最初に、第一および第二の世代のプロセスのための別々の処理ラインを有する処理設備を建設することに関係する設立コストは、第一世代のプロセスのラインだけを有する工場を建設するためのものよりも非常に大きい。次に、互いのそばで2つのプロセスの様々な段階を駆動させることでの生産コストも、第一世代のプロセスのラインだけを駆動させることに関連したそれらのものよりも大きい。
【0013】
したがって、本発明の1つの目的は、前述の不利益の1つまたはそれよりも多くを克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概略。本発明の第1の局面に従い、バイオマスの処理のための方法を提供し、それは、次の
(i)流体処理装置の通路に流れ込むようにバイオマスおよび作動流体(working fluid、加工液)を含む組成物を誘導すること、
(ii)流体処理装置の通路に連通するノズルを通して組成物中に高速度の輸送流体を注入し、それによって輸送流体は、作動流体が細分化(霧化)され、そして蒸気および液滴の流動様式(droplet flow regime)がノズルの下流に形成されるように、せん断力を組成物に適用すること、
(iii)蒸気および液滴の流動様式を凝縮(凝結)すること、および組成物を第1の保持容器へ移すこと、および
(iv)第1の保持容器において第1の予め定めた(所定の)温度にて第1の所定の時間の期間で組成物を保持すること
を含み、
(v)そこでは、プロセスはまた、組成物にアミラーゼ酵素およびセルラーゼ酵素を加えるステップ(工程)を包含する。
【0015】
アミラーゼ酵素は、澱粉を糖に転換するのに適する任意の酵素であると考えられる。セルラーぜ酵素はセルロースまたはヘミセルロースを糖に転換するのに適する任意の酵素でもあると考えられる。
【0016】
ノズルを通して組成物に高速度の輸送流体を注入するステップは、ノズルの下流に形成される低圧力領域を生じさせることを含むことができる。
【0017】
低圧領域の下流で輸送流体を凝縮することによって、凝縮ステップを開始することができる。
【0018】
組成物を保持容器に移すステップには、組成物の温度を第1の所定の温度にまで上げるために、組成物を、温度調節ユニット(temperature conditioning unit)を通して通過させることを含むことができる。
【0019】
第1の所定の温度は、摂氏80および85度の間であることができる。第1の所定の温度は、摂氏83度であることができる。
【0020】
あるいはまた、第1の所定の温度は、摂氏72および80度の間、なるべくなら摂氏76および78度の間で、たとえば、摂氏75度、または摂氏77度であることができる。
【0021】
液化酵素(群)、たとえば、アミラーゼおよび/またはセルラーゼ酵素は、組成物が流体処理装置の通路に誘導されるのに先立って組成物に加えることができる。
【0022】
本プロセスは、さらに以下を含むことができる。すなわち
(i) 組成物を第1の時間の期間の終わりに次いで、第2の保持容器へ移すこと、および
(ii) 第2の所定の温度で第2の所定の時間の期間に第2の保持容器において組成物を保持することであり、そこで、液化酵素、例は、アミラーゼ酵素を、組成物が流体処理装置の通路に誘導されるのに先立って組成物に加えることができ、そして、別の液化酵素、例は、セルラーゼ酵素を、第1の時間の期間の終わりおよび第2の時間の期間の初めの間に組成物に加えることができる。
【0023】
組成物を第2の保持容器へ移すのに先立ち、プロセスはさらに、組成物を第2の所定の温度に冷やすステップを含むことができる。
【0024】
第1の所定の温度は、摂氏80および85度の間であることができる。 なるべくなら、第1の所定の温度は、摂氏83度であってよい。
【0025】
第2の所定の温度は、摂氏50および60度の間であることができる。なるべくなら、第2の所定の温度は、摂氏55度であってよい。
【0026】
組成物を第2の保持容器へ移すのに先立ち、プロセスはさらに以下のものを含むことができる。すなわち
(i)第2の流体処理装置の通路に組成物を誘導すること、および
(ii)第2の流体処理装置の通路に連通するノズルを通して組成物に高速の輸送流体を注入し、それによって、輸送流体は、作動流体が第2の時間の間に細分化され、および第2の蒸気および液滴の流動様式がノズルの下流に形成されるように、せん断力を組成物に適用することであり、そこでは、セルラーゼ酵素は、組成物が第1の流体処理装置の通路に誘導されるのに先立って組成物に加えられ、および液化酵素、例は、アミラーゼ酵素は、組成物が第2の流体処理装置の通路に誘導されるのに先立って組成物に加えらる。
【0027】
第1の所定の温度は、摂氏50および60度の間であることができる。好ましくは、第1の所定の温度は、摂氏55度であってよい。
【0028】
第2の所定の温度は、摂氏80および85度の間であることができる。好ましくは、第2の所定の温度は、摂氏83度であってよい。
【0029】
プロセスはさらに、以下のステップを含むことができる。すなわち
(i)組成物を所定の発酵温度に冷やすこと、
(ii)1またはそれよりも多くの発酵薬剤を組成物に加えること、組成物を発酵容器へ移すこと、および
(iii)所定の発酵温度にて所定の発酵時間の間で発酵容器において組成物を保持すること。
【0030】
冷却ステップは、組成物を冷却容器を通して通過させることを含むことができる。冷却容器は、マッシュクーラーであってよい。
【0031】
発酵温度は、摂氏30および40度の間であることができる。好ましくは、発酵温度は、摂氏35度であってよい。
【0032】
本発明では、1またはそれよりも多くの発酵薬剤を組成物に加えることができる。ここで用いられるように、“発酵薬剤”には、発酵プロセスを容易にするために使用されるよく知られた薬剤が含まれ、および制限されないが、グルコアミラーゼおよび酵母が含まれる。
【0033】
プロセスはさらに、組成物の残部からアルコールを取り除くために発酵させた組成物を蒸留するステップを含むことができる。
【0034】
プロセスはさらに、以下のステップを含むことができる。すなわち
(i)第1の流体処理装置の通路に流れ込む組成物に回収された水または凝縮物を戻すこと。
【0035】
プロセスはさらに、以下のステップを含むことができる。すなわち
(i)組成物の残部を分離機(セパレーター)へ移すこと、および
(ii)固形物(固体)を組成物の残部から分離すること。
【0036】
プロセスはさらに、以下のステップを含むことができる。すなわち
(i)セパレーターから水分を回収すること、および
(ii)第1の流体処理装置の通路に流れ込む組成物に水分を戻すこと。
【0037】
プロセスはさらに、以下のステップを含むことができる。すなわち
(i)第2の流体処理装置の通路に流れ込むように組成物の一部分を誘導すること、
(ii)第2の流体処理装置の通路と連通するノズルを通して組成物に高速度の輸送流体を注入することであり、それによって、輸送流体は、作動流体が細分化され、および第2の蒸気および液滴の流動様式がノズルの下流に形成されるように、せん断力を組成物に適用し、
(iii)第2の蒸気および液滴の流動様式を凝縮すること、および組成物を第2の保持容器へ移すこと、および
(iv)第2の保持容器において第2の所定の温度にて第2の所定の時間の期間で組成物を保持することであり、
(v)そこで、第1の流体処理装置および第1の保持容器、および第2の流体処理装置および第2の保持容器を、並列(並行)に動作させ(operate、操作し)、および
(vi)そこで、アミラーゼ酵素は、第1の流体処理装置の通路に組成物を誘導するのに先立ち組成物に加えられ、およびセルラーゼ酵素は、第2の流体処理装置の通路に組成物の1部分を誘導するのに先立ち組成物の1部分に加えられる。
【0038】
プロセスはさらに、以下のステップを含むことができる。すなわち
(i)所定の発酵温度に組成物の各々の部分を冷やすこと、
(ii)1またはそれよりも多くの発酵薬剤を組成物に加えること、
(iii)組成物の1部分を発酵容器へ移すこと、および
(iv)発酵容器において所定の発酵温度にて所定の発酵時間の間で組成物を保持すること。
【0039】
発酵温度は、摂氏30および40度の間であることができる。好ましくは、発酵温度は、摂氏35度であってよい。
【0040】
この具体化では、1またはそれよりも多くの発酵薬剤を、組成物に加えることができる。 好ましくは、2つの発酵薬剤が加えられ、それらの発酵薬剤はグルコアミラーゼおよび酵母である。
【0041】
組成物の第1および第2の部分の発酵は、単一発酵容器で実行することができる。あるいはまた、組成物の1部分の発酵は別々の発酵容器において遂行することができる。
【0042】
プロセスはさらに、組成物の残部からアルコールを取り除くために発酵させた組成物を蒸留するステップを含むことができる。
【0043】
プロセスはさらに、以下のステップを含むことができる。すなわち
(i)組成物の残部をセパレーターへ移すこと、および
(ii)固形物を組成物の残部から分離すること。
【0044】
プロセスはさらに、以下のステップを含むことができる。すなわち
(i)固形分をセパレーターから回収すること、および
(ii)固形物を第2の流体処理装置の通路において組成物の第2の部分に戻すこと。
【0045】
組成物の第2の部分は、セパレーターから回収された固形分であることができる。
【0046】
輸送流体は蒸気であってよい。
【0047】
作動流体は水であることができる。
【0048】
バイオマスは、1またはそれよりも多くの澱粉系の作物(starch-based crops)を含むことができる。
【0049】
本発明の第2の局面によると、バイオマスおよび作動流体を含む組成物の処置のためのシステムが提供され、システムは以下のものを含む。すなわち
(i)少なくとも1種の流体処理装置であり、組成物の供給を受け取るための通路、および通路中に開口するノズル出口を有し、かつスロート(のど状物)部分で、その断面積が出口のものよりも小さいものを有する輸送流体ノズルを有する装置、
(ii)通路の出口に連通する流体における第1の保持容器、および
(iii)第1の保持容器に連通する流体における発酵容器。
【0050】
システムはさらに、第1の保持容器および発酵容器の中間に位置付けられる第1の冷却容器を含むことができる。
【0051】
システムはさらに、第2の保持容器および第1の冷却容器および発酵容器の中間の第2の冷却容器を含むことができる。
【0052】
流体処理装置は、添加物を組成物に導入するために、1またはそれよりも多くの付加的なポート(additive port、添加物ポート)を含むことができる。付加的なポートは、ノズル出口の上流で通路に通じることができる。代わりに、またはそのうえ、付加的なポートは、ノズル出口のすぐに下流で通路に通じることができる。システムはさらに、第2の保持容器の近くに付加的なポートを含むことができる。
【0053】
システムはさらに、第2の流体処理装置および第1の保持容器の下流の第2の保持容器、第1の保持容器からの組成物を受け取るために第2の通路をもつ第2の流体処理装置、および第2の通路に開口するノズル出口を有し、かつスロート部分で、その断面積が出口のものよりも小さいものをもつ第2の輸送流体ノズルを含むことができる。
【0054】
別の具体化において、システムは、第1の流体処理装置および第1の保持容器で構成される第1の処理ラインを含み、およびシステムはさらに、以下のもの含む第2の処理ラインを含む。すなわち
(i)第2の流体処理装置であり、第2の流体処理装置は、組成物の供給を受けるための第2の通路、および第2の通路に開口するノズル出口を有し、かつスロート部分であり、その断面積が出口のものより小さいものをもつ第2の輸送流体ノズルをもつものを有し、および
(ii)第2の通路の出口に流体連通する第2の保持容器であり、
(iii) そこで、第1および第2の処理ラインは、組成物の供給および発酵容器の間で並列に接続される。
【0055】
システムはさらに、流体処理装置の通路に対する入口と流体連通する混合容器を含み、混合容器は、組成物を形成するために、バイオマスおよび作動流体の供給物を混合することを含むことができる。
【0056】
システムはさらに、その、あるいは、各々の流体処理装置の上流でポンプを含むことができる。
【0057】
システムは、アレイ(配列体)を形成するために、直列におよび/または互いに並列して接続される複数の流体処理装置を含むことができる。
【0058】
システムは、アレイを形成するために、直列におよび/または互いに並行して接続される複数の第2の流体処理装置を含むことができる。
【0059】
システムはさらに、第1のおよび/または第2の流体処理装置およびそのそれぞれの第1のおよび/または第2の保持容器の間で組成物の温度を上げるための温度調節ユニットを含むことができる。
【0060】
システムはさらに、発酵容器の下流に蒸留装置を含むことができる。システムはさらに、混合容器の入口の下流に、蒸留装置を含むことができる。システムはさらに、蒸留装置を流体処理装置の入口に接続する第1の戻しライン(return line)を含むことができる。
【0061】
システムはさらに、蒸留装置の下流に、分離装置を含むことができる。システムはさらに、混合容器の入口の下流に、分離装置を含むことができる。システムは、セパレーターを流体処理装置の入口に接続する第2の戻しラインを含むことができる。
【0062】
分離装置には、遠心分離機が包含される。
【0063】
システムはさらに、輸送流体供給ユニットを、そのあるいは、各々の輸送流体ノズルと流体連通して含むことができる。輸送流体供給ユニットは、双方の第1および第2の流体処理装置に、輸送流体を供給することができる。
【0064】
輸送流体は蒸気であることができ、および調節ユニットは蒸気発生機であってよい。
【0065】
別の具体化において、本発明は、ここに明らかにする方法またはシステムのいずれかに従って生産されるバイオエタノールを提供する。たとえば、本発明には、バイオエタノールをバイオマスから生産するためのプロセスが含まれ、それは以下のものを含む。すなわち
(a)流体処理装置の通路に流れ込むように、バイオマスおよび作動流体を含む組成物の少なくとも第1の部分を誘導すること、
(b)流体処理装置の通路と連通するノズルを通して組成物に高速の輸送流体を注入することであり、それによって、輸送流体は、作動流体が細分化され、かつ蒸気および液滴の流動様式がノズルの下流に形成されるように、せん断力を組成物に適用し、
(c)蒸気および液滴の流動様式を凝縮すること、
(d)組成物を第1の保持容器へ移すこと、
(e)第1の保持容器において第1の所定の温度にて第1の所定の時間の期間で組成物を保持すること、そこで、液化酵素はプロセスに先立ち、またはその間に組成物に加えられ、
(f)第1の所定の期間の終わりの後に組成物を第2の保持容器へ移すこと、
(g)第2の保持容器において第2の所定の温度にて第2の所定の時間の期間で組成物を維持すること、
(h)組成物を所定の発酵温度に冷やすこと、
(i)発酵薬剤を組成物に加えること、
(j)組成物を発酵容器へ移すこと、および
(k)発酵容器において組成物を、発酵させた組成物で、それにはバイオエタノールが含まれるものを生成するように、所定の発酵時間で所定の発酵温度にて保持すること。
【図面の簡単な説明】
【0066】
本発明の好適な具体化を次に、例としてだけ、添付の図面に関して説明する。図面はすなわち、次のものである。
【図1】本発明に従う流体処理装置の縦断面図である。
【図2】本発明に従うバイオマス組成物の処置のためのシステムの第1の具体化の概略図である。
【図3】本発明に従うバイオマス組成物の処置のためのシステムの第2の具体化の概略図である。
【図4】本発明に従うバイオマス組成物の処置のためのシステムの第3の具体化の概略図である。
【図5】本発明に従うバイオマス組成物の処置のためのシステムの第4の具体化の概略図である。
【図6】本発明に従うバイオマス組成物の処置のためのシステムの第5の具体化の概略図である。
【図7】本発明に従うバイオマス組成物の処置のためのシステムの第6の具体化の概略図である。
【図8】図1に示す流体処理装置を通してバイオマス組成物が通過するときのその圧力および温度の変動を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図面の詳しい説明。図1は、流体処理装置で、概して10で表示され、その垂直横断面である。処理装置10は、縦方向に延在する通路14が画成されるハウジング12を含む。通路には入口(インレット)16および出口(アウトレット)18があり、そして実質一定の円形の横断面である。言い換えると、通路12の断面積は、入口16から出口18まで実質一定である。
【0068】
突起部20は入口16から軸方向にハウジング12中に伸び、そして圧縮できる輸送流体の導入のために、それについて外面的にプレナム22を定める。輸送流体(図1に示されない)の供給源に接続可能である入口24を、プレナム22は備える。突起部20は、それについて内部的に入口16および通路14の上流の部分を定める。突起部20は、入口16から遠い遠位末端部26を有する。突起部20の遠位末端部26は、大きくなり、それから、内部で先細りになる表面28を定めるように再び減る厚みを有する。ハウジング12は、壁30があり、それは、突起部20の先細りになる表面28の近くの場所で、それは厚みが増加する。厚みのこの増大は、突起部20の先細りになる表面28のそれと対応する内側のテーパー(先細部)をもつ表面32を、壁30の一部分に提供する。それらの間で、突起部20の先細りになる表面28および壁30の先細りになる表面32は、環状ノズル34を定める。ノズル34はプレナム22と流体連通するノズル入口36を有し、ノズル出口40が通路14に開口し、そしてノズルスロート38はノズル入口36およびノズル出口40の中間に介在する。ノズルスロート38は、ノズル入口36またはノズル出口40のいずれのものよりも小さい断面積を有する。通路14はまた、混合領域17を含み、それはノズル出口40のすぐ下流の通路に位置付けられる。
【0069】
図2は、図1に示されるタイプの流体処理装置を組み込むバイオマス組成物の処置のための、第1の好適なシステムの具体化を示す。バイオマス組成物は、バイオマスおよび作動流体を含む組成物である。ここに説明する具体化において、好適な作動流体は水であるが、しかし、プロセスを遂行するのにふさわしい他の流体を用いることができる。用語「バイオマス」は、本明細書において燃料またはエネルギー源として用いることができる任意の生物学的材料を説明するために用いる。適切な種類のバイオマスの非制限的な例には、林産品、未処理木製品、エネルギー作物、雑木材、短期輪作雑木材(short rotation coppice)、ならびに、食品加工および高エネルギー作物、たとえば、動物の排泄物、ナタネ(ブドウの搾りかす)、サトウキビおよびトウモロコシ(メイズ)のようなものからの産業上および生分解可能な局地的な生成物が含まれる。しかし、この特定の種類のバイオマスに制限されないが、たとえば、本発明のシステムおよび方法で用いるために最も好ましいバイオマスは、コーン、小麦および大麦のような澱粉ベースの作物である。バイオマスは、予め粉にした(pre-ground)形態で、本発明のシステムおよび方法で使用するために提供することができる。
【0070】
処置システムは、概して50で表示され、流体処理装置10および流体処理装置10の出口18に流体連通する保持容器52を含む。保持容器52は好ましくは、加熱水ジャケット(示さない)によって絶縁され、および囲まれ、そして容器52の内容物を混ぜ、そしてかき混ぜるためにモーター駆動のかき混ぜ機(示さず)を含む。システム50もまた、保持容器52に流体連通する冷却容器54、および冷却容器54に流体連通する発酵容器56を含む。輸送流体供給物58は処理装置10のプレナム入口24に、輸送流体がそれに供給されるように接続される。示さないが、システムはまた、処理装置10の通路14に流体を誘導するための流体処理装置の上流のポンプを含むことができる。同様に、温度調節ユニット(TCU)(示さず)は、流体処理装置10および保持容器52の間で、システム50に含まれうる。TCUは、図1に例示されるタイプの1またはそれよりも多くの流体処理装置を含む。1よりも多く複数の処理装置がTCUにある場合、それらは好ましくは直列に配置される。温度調節ユニットは、流体処理装置10から保持容器52に通過する任意の流体の温度も緩徐に増加させることができる。
【0071】
図2において点線の中で囲まれるシステム50は既存のバイオマス処理ラインにインストールすることができ、あるいは必要に応じ、付加的な構成要素を、完全なバイオマス処理ラインを創るためにシステム50に加えることができる。この場合、また、システムは、処理装置10の上流に位置付けられ、および装置10の入口16と流体連通する混合容器60を含むことができる。混合容器60は好ましくは、加熱水ジャケット(示さず)によって囲まれ、そして容器60の内容物を混合し、そしてかき混ぜるために、モーター駆動かき混ぜ機(示さず)を有する。混合容器60もまた、それぞれの第1および第2の付加的な供給物64、68に接続する第1および第2の付加的なライン62、66を含む。システムは、第3および第4の付加的な供給物72、76から発酵薬剤を供給するために発酵容器56に接続する第3および第4の付加的なライン70、74を含むことができる。蒸留容器80は、発酵容器56に流体連通で接続されてよい。そのうえ、発酵容器56および分離容器90の間に位置付けられる保持タンク(参照せず)を提供することができる。蒸留容器80は出口84を有し、そして図2で示すように、直接、または存在するときには、混合容器60を介して、処理装置10の入口16に流体連通する戻りライン82を含むことができる。最後に、システム50はまた、蒸留容器80に流体連通で接続される分離容器90を含むことができる。分離容器90は好ましくは、遠心分離機を含み、そして第2の戻りライン92およびドレインライン(排水管)94を含む。蒸留容器80の戻りライン82と同様に、第2の戻りライン92は、直接、または混合容器60を介して、処理装置10の入口16に流体連通する。ドレインライン94は、セパレーター90内の内容物を取り出すか、または排出させる。
【0072】
図3はシステムの第2の具体化を示し、概して150で表示される。システム150は、図1に示されるタイプの流体処理機構10、および処理装置10の出口18に流体連通する第1の保持容器52を含む。システム150もまた、第1の保持容器52に流体連通する冷却容器54、および冷却容器54の下流の発酵容器56を含む。輸送流体供給物58は、輸送流体がそれに供給されうるように、処理装置10のプレナム入口24に接続する。第2の具体化が第1の具体化と異なるところは、システム150がさらに、第2の保持容器152、および第1の冷却容器54および発酵容器56の間にシステム150の他の構成要素に直列に接続する第2の冷却容器154を含むことである。双方の第1および第2の保持容器52、152は好ましくは、加熱水ジャケット(示さず)によって絶縁され、および囲まれ、そして各々は、容器52、152の内容物を混合し、およびかき混ぜるためにモータ駆動のかき混ぜ機を含む。
【0073】
システム150では、第1の付加的な供給物164は第1の付加的なライン162によって処理装置10の入口16に接続し、そして第2の付加的な供給物168は第2の付加的なライン166によって第2の保持容器152に接続する。システム150はまた、第3および第4の付加的な供給物72、76から発酵薬剤をそれに供給するために発酵容器56に接続する第3および第4の付加的なライン70、74を含むことができる。
【0074】
図3中で点線の中で囲まれるシステム150は、既存のバイオマス処理ラインにインストールすることができ、あるいは必要に応じ、付加的な構成要素は、完全なバイオマス処理ラインを創るためにシステム150に加えることができる。この場合、システムはまた、処理装置10の上流に位置付けられ、そして装置10の入口16に流体連通する混合容器60を含むことができる。混合容器60は好ましくは、加熱水ジャケット(示さず)によって囲まれ、および容器60の内容物を混合し、かき混ぜるために、モーター駆動かき混ぜ機(示さず)を有する。混合容器60がシステム150の一部を形成するとき、第1の付加的なライン162は、流体処理装置10の入口の代わりに、混合容器60に接続することができる。蒸留容器80は、発酵容器56の出口160に接続させることができる。蒸留容器80は出口84を有し、そして、図3で示すように直接、または存在するときには、混合容器60を介してのいずれでも、処理装置の入口16に流体連通する戻りライン82も含むことができる。最後に、システム150は蒸留容器80と流体連通で接続する分離容器90を含むことができる。分離容器90は好ましくは、遠心分離機を含み、そして第2の戻りライン92およびドレインライン94を含む。蒸留容器80の戻りライン82と同様に、直接、または混合容器60を介してのいずれでも、第2の戻りライン92は、処理装置の入口16に流体連通する。ドレインライン94は、セパレーター90内の内容物を、取り出すか、または排出させるのを可能にする。
【0075】
図4〜7は、本発明のシステムの他の好適な具体化を示す。システムの第1および第2の具体化と同様に、システムのこれらの追加的な具体化は、図2および3に示される混合、蒸留および分離の容器を用いて補うことができるが、しかし、これらの補足的な容器については簡潔さ上の理由のため、これらの更なる具体化に関して例示または説明はしない。
【0076】
図4は、本発明のシステムの第3の具体化を示し、概して250で表示される。システム250は、図1に示されるタイプの流体処理機構10、および処理装置10の出口18に流体連通する第1の保持容器52を含む。システム250はまた、発酵容器56に流体連通する冷却容器54を含み、それらの双方は、第1の保持容器52の下流にある。輸送流体供給物58は、処理装置10のプレナム入口24に、輸送流体がそれに供給されうるように接続される。第3の具体化が前述の具体化と異なるところは、システム250がさらに、第2の流体処理装置210、および第1の保持容器52および冷却容器54の間でシステム250の他の構成要素と直列に接続される第2の保持容器252を含むことである。第2の処理装置210は、図1に図示される第1の処理装置10と実質同一で、そしてそのそれぞれのプレナム入口に接続される第2の輸送流体供給物258を有する。
【0077】
システム250では、第1の付加的な供給物264は、第1の処理装置10の入口16に、第1の付加的なライン262によって接続され、その一方で第2の付加的な供給物268は第2の付加的なライン266によって第2の処理装置210の入口に接続される。システム250はまた、第3および第4の付加的な供給物72、76から発酵薬剤を供給するために発酵容器56に接続される第3および第4の付加的なライン70、74を含むことができる。発酵容器56は出口260を有する。
【0078】
図5は本発明のシステムの第4の具体化を示し、概して350で指定される。システム350は、互いに並列にあって、下流に位置付けられる共有発酵容器56に接続される第1および第2の処理ラインを含む。第1の処理ラインは、図1に示されるタイプの第1の流体処理装置10、第1の処理装置10の出口18に流体連通する第1の保持容器52、および第1の保持容器52に流体連通する第1の冷却容器54を含む。第1の輸送流体供給物58は、第1の処理装置10のプレナム入口24に、輸送流体がそれに供給されうるように接続される。第2の処理ラインはまた、図1で示されるタイプの第2の流体処理装置310、第2の処理装置310の出口に流体連通する第2の保持容器352、および第2の保持容器352に流体連通する第2の冷却容器354を含む。システム350は、第2の処理装置310のプレナム入口に輸送流体を供給するために、第2の輸送流体供給物358を含むことができる。
【0079】
双方の第1および第2の冷却容器54、354は、下流に位置付けられる発酵容器56に流体連通する。
【0080】
システム350では、第1の付加的な供給物364は、第1の付加的なライン362によって第1の処理装置10の入口16に接続され、その一方で第2の付加的な供給物368は第2の付加的なライン366によって第2の処理装置310の入口に接続される。システム350は、第3および第4の付加的な供給物72、76から発酵薬剤をそれに供給するために発酵容器56に接続される第3および第4の付加的なライン70、74を含むことができる。発酵容器56は、システムを補うために、図2に示されるタイプの蒸留容器および分離容器と発酵容器56とを接続することができる出口360を有する。システム350において、蒸留容器および分離容器が存在する場合、システム350は、蒸留および分離の容器を、第2の処理装置310の入口と接続するそれぞれの戻りライン(示さず)を含むことができる。システム350は、第1および第2の処理ラインの上流で混合容器(示さず)も含むことができ、でなければ第1および第2の処理ラインの各々のために、第1および第2の混合容器を供する。
【0081】
図6および7は、本発明に従うシステムの第5および第6の具体化を示す。システムは、概して450および550で指定され、図2に示されるシステム50と似る。その各々は、保持容器52、保持容器52に流体連通する冷却容器54、および冷却容器54に流体連通する発酵容器56を有する。システム450、550が前述の具体化のシステムと異なるところは、流体処理装置に関する。保持容器52の上流で単一の流体処理装置の代わりに、各々のシステム450、550は流体処理装置のアレイを利用する。
【0082】
第5の具体化のシステム450では、流体処理装置10が提供され、そこでは、装置10が保持容器52の上流で互いに直列に配置される。図6に図示されるように、処理装置のアレイは、単一の輸送流体供給物58を共有することができ、でなければ、各々の処理装置はそれ自身の専用の輸送流体供給物を有することができる。システム450は、それぞれの第1および第2の付加的なライン464、468を含むことができ、それらは、それぞれの第1および第2の付加的なライン462、466を、流体処理装置10の入口16にアレイで接続する。前述の具体化と同様に、第3および第4の付加的なライン70、74は、それぞれの第3および第4の付加的な供給物72、76を発酵容器56に接続するために、システム450において存在することができる。
【0083】
第6の具体化のシステム550では、流体処理装置10のアレイが提供され、それらは、装置10の第1および第2の保持容器52の上流で並行に配置される。処理装置のアレイは単一の輸送流体供給物を共有することができ、でなければ、図7で示すように、処理装置の各対はそれぞれの第1および第2の輸送流体供給物58、558を有することができる。等しく、個々の各装置10は、輸送流体のそれ自身の専用の供給物を有することができる。システム550は、それぞれの第1および第2の付加的な供給物564、568を、アレイを形成する各ペアにおいて流体処理装置10の入口16に接続する第1および第2の付加的なライン562、566を含むことができる。前述の具体化と同様に、第3および第4の付加的なライン70、74は、それぞれの第3および第4の付加的な供給物72、76を発酵容器56に接続するために、システム450において存在することができる。
【0084】
添付図面を参照し、バイオマスおよび作動流体を含む組成物の処置のためのプロセスの好適な具体化を、次に説明する。
【0085】
プロセスの第1の具体化は、図2に図示されるシステム50の第1の具体物を利用する。扱われる組成物は、バイオマスおよび作動流体の混合物を含む。上記のように、バイオマスは多種多様な供給源から得ることができ、しかし、バイオマスは澱粉ベースの作物(例は、コーン)であることが好ましい。また上述のように、作動流体は好ましくは水である。バイオマスおよび作動流体は、システム50から遠く離れた場所で組成物を形成するために混ぜ合わせることができる。あるいはまた、システム50が混合容器60を含む場合、組成物は混合容器60で形成することができる。基本の澱粉ベースの作物は、制御された質量(mass、大量)の追加的な流量で、混合容器60において作動流体中に導入される。作物の導入は、手動で、または自動的に為すことができ、そして連続的に、またはバッチとして導入することができる。作物および作動流体の混合は、スラリー(泥漿)を形成する組成物に導く。別々に、第1および第2の付加的な供給物64、68において保持されるアミラーゼ酵素およびセルラーゼ酵素は、それぞれの第1および第2の付加的な供給ライン62、66を介して組成物に加えられる。好ましくは、泥漿中の作物対液体含量の比は、20-40重量%である。随意に、1またはそれよりも多くのPH調節体(アジャスター)(例は、希釈硫酸、アンモニア)および/または界面活性剤は、この点で泥漿に添加することもできる。
【0086】
ここに記述される処置プロセスの実施例の各々で利用されるアミラーゼ酵素は好ましくは、750および824 AGU/gの間の活性を有する、α-アミラーゼである。酵素活性は、湿性作物(wet crop)または供給原料の単位質量につき表示される。
【0087】
加熱水は混合容器60を囲む水ジャケットに入れられ、そして次いで加熱水ジャケットは容器60において泥漿を、典型的に30-60℃の温度に、最も好ましくは30-40℃に加熱し、および30-120分の間この温度で泥漿を保持する。泥漿が混合容器60で保持される間、モータ駆動のかき混ぜ機は泥漿を穏やかな(すなわち低い剪断の)動揺でかき混ぜる。
【0088】
泥漿は、澱粉含量を完全な水和のために調製されることを可能にするために、十分な時間の期間の間に混合容器60において望ましい温度で保持される。泥漿が十分な時間の間に混合容器60において浸されたとき、それは容器60から排出させて、入口16を介して流体処理装置10の通路14中に誘導される。組成物は、重力の下で流体処理装置10に誘導されうる。あるいはまた、ポンプが存在するならば、ポンプは低い剪断状況の下で流体処理装置10に組成物を誘導することができる。
【0089】
図1を参照して、泥漿が流体処理装置10に達するとき、泥漿は入口16を通って通路14に入り、そして出口18から外に通る。輸送流体は、この非制限的な例のそれは好ましくは蒸気であり、5-7バール(Bar)の間での好ましい圧力の輸送流体供給物58からプレナム入口24まで供給される。入口24およびプレナム22を通しての輸送流体の導入は、蒸気の噴射が非常に高く、好ましくは超音波の、速さでノズル出口40から出る原因になる。蒸気が泥漿に注入されるとき、運動量および質量の移動は、蒸気および液滴の流動様式を形成するために2つの間で起こり、泥漿の作動流体構成要素の細分化をもたらす。言い換えると、組成物中の作動流体は、連続気相において分散する非常に小さな液滴に分解される。この移動は、蒸気の膨張によって、それがノズル34を出るとき、通路14の混合領域17において発生する乱気流を通して高められる。混合領域17に注入される蒸気は、剪断力を泥漿に適用し、作動流体成分を細分化するだけでなく、泥漿の中に懸濁される基本の作物の細胞構造も崩壊させる。細胞構造のこの破壊は、作物から存在する任意の澱粉顆粒をも分離する一方で、同時に組成物にも存在するリグノセルロース物質をできるだけ多く曝露させる。
【0090】
組成物が流体処理装置10を通過するような組成物の温度および圧力は、図8のグラフにおいて見ることができ、そのグラフは、図1の装置10において種々の点を組成物が通過するとき、温度および圧力のプロファイル(側面)を示す。グラフは、4つのセクション(区分)A-Dに分けられており、それらは、装置10の種々の区分に対応する。区分Aは、入口16およびノズル34の間で通路14の区分に対応する。区分Bは、ノズル34および混合領域17の中間部分の間で広がる混合領域17の上流の区分に対応する。区分Cは混合領域17の前述の中間の部分および出口18の間で広がる混合領域17の下流の区分に対応し、その一方で区分Dは組成物が出口18を通過するときのその温度および圧力を例示する。
【0091】
蒸気は、図8のグラフの区分Bの始めに、組成物中に注入される。蒸気の注入で、好ましくは、超音速での、およびノズル34を出ることでのその膨張は、ノズル34のすぐ下流の混合領域17の区分において低圧エリアを生じさせる。蒸気および幾何学的な状況、および熱と質量の移動の率によって定められる点で、蒸気の速さは減り、そして蒸気は凝縮し始める。蒸気の凝縮は続くことができ、そして混合領域17の下流の区分において、凝縮衝撃波を形成することができる。図8の区分Cで見ることができるように、凝縮衝撃波の形成は、組成物の圧力における急速な増加を引き起こし、そして組成物は図8の区分Dにおける液相へと凝縮する。
【0092】
上述のように、蒸気がノズル34を通して組成物に注入されると、圧力減少は混合領域17の上流の区分において生じることがある。圧力におけるこの縮小は、ノズル出口40に近い混合領域17のこの上流の区分で、少なくとも部分的な真空を形成する。テストは、蒸気が注入されると、およそ90%の真空が領域17において達成されることが分かった。
【0093】
以前述べたように、剪断力は、注入された蒸気によって組成物に適用され、そして創られる以降の乱流は泥漿において懸濁される基本の作物の細胞構造を崩壊させる。泥漿が、混合領域17において形成される部分的な真空、および凝縮衝撃波を通過するとき、図8の区分BおよびCでの圧力プロファイルによって例示されるように、それは圧力発生での変化によってさらに破壊される。
【0094】
澱粉顆粒が装置10において作物から分離されるとき、顆粒は、蒸気の導入のために、ほとんど即座にさらに水和し、加熱され、そして活性化される。装置10は、水和を完了し、泥漿が通り抜けるとき、澱粉内容物を活性化させ、またはゼラチン化するために、組成物を同時にポンプで圧送し、加熱する。言い換えると、澱粉顆粒の同種の膨張は、熱の存在において、水を吸収する顆粒のために起こる。これはゆるめるために顆粒の範囲内で澱粉ポリマーの間での水素結合を引き起こし、そして結晶構造の元に戻らない破壊が顆粒内部にある。
【0095】
そのうえ、装置は、アミラーゼおよびセルラーゼの酵素を組成物中に混ぜ、均質な分布および液相において澱粉およびリグノセルロースの物質との高レベルの接触を提供する。組成物の温度は、それが装置10を去るときに、好ましくは74-76℃の間である。
【0096】
組成物は、装置10を去るときの温度は、澱粉含量の活性化および細胞の破壊の間、組成物への任意の熱損傷を避けられるように選ばれる。しかし、この温度は、アミラーゼおよびセルラーゼの酵素の最適なパフォーマンス(性能)のために、その温度より低いことがある。組成物の温度は従って、組成物に極端に高い温度または付加的剪断力をかけることなく上昇させる必要があるかもしれない。この穏やかな加熱は、装置10および保持容器52の間に位置付けられる随意の温度調節ユニット(TCU)を用いて達成することができる。
【0097】
上述したように、TCUは、図1に図示されるタイプの1またはそれよりも多くの流体処理装置を含む。TCUを作成する装置に供給される蒸気の圧力は、制御され、その結果蒸気の圧力は、TCUの上流で流体処理装置10に供給されるそれと比較したときそれが比較的低い。TCUの装置のための好ましい蒸気入力圧は、0.5-2.0バールの間にある。結果的に、組成物がTCUを通過するときに、輸送流体速度はほとんど、またはまったく剪断力がないほど著しく低く、または凝縮衝撃が、注入された蒸気によって組成物に適用される。その代わりに、TCUは単に、組成物の温度を穏やかに上げるために、低圧蒸気を使うだけである。
【0098】
一旦それがTCUを通過するなら、組成物は好ましくは、80-85℃の間での、および最も好ましくは83℃での温度である。保持容器52の水ジャケットは、泥漿を前述の温度に維持する加熱水を受け取る。何らTCUがシステム50に存在しないならば、加熱水ジャケットは泥漿の温度を望ましい範囲内に上昇させ、そしてそれからそれを維持するのに用いられる。組成物は、アミラーゼおよびセルラーゼの酵素が、存在する澱粉、セルロースおよびヘミセルロースを糖に転換させるのを可能にするのに十分な滞留時間の間、保持容器52において保持される。滞留時間の終わりに、組成物は発酵容器56に移される。このようにして、本発明の方法およびシステムは、バイオマスから多糖類を生じさせるのに用いることができ、それは、必要に応じて、アルコール、たとえば、エタノールのようなもの、特にバイオエタノールにまでさらに処理されることがある。
【0099】
発酵のための組成物の好適な温度は、30および40℃の間であり、そして最も好ましくは35℃である。保持容器52および発酵容器56の間で組成物の温度を下げるために、組成物は、慣習的なマッシュクーラーと同様な様式で動作する冷却容器54を通過させることができる。あるいはまた、冷却容器54が存在しないなら、組成物は発酵容器56での望ましい温度への冷却に委ねることができる。
【0100】
発酵薬剤は好ましくは、発酵容器56またはそのすぐ上流のいずれかで、組成物に添加される。薬剤は第3および第4の付加的な供給物72、76に含まれ、およびそれぞれの付加的なライン70、74を介して組成物に届けられる。用いられる発酵薬剤は、グルコアミラーゼおよび酵母であることができる。一旦薬剤が加えられ、そして組成物が望ましい温度範囲内にあるならば、組成物は、薬剤が、存在する糖をアルコールに、たとえばバイオエタノールのようなものに転換させるのを許す十分な時間の間、望ましい温度範囲内で発酵容器において保持される。
【0101】
一旦発酵ステージが完了すると、組成物は以降の蒸留および分離のために移すことができまる。以前に述べたように、これらのその後のプロセスは、本発明のシステムおよび方法の一部分であってよく、またはそうでない場合がある。蒸留容器80において、組成物は沸騰し、そして組成物に存在する任意のアルコール(エタノール)は蒸発し、出口84を介し排出される。アルコールに残留する任意の不純物を除去するために、分子篩を出口の下流に提供することができる。その上、蒸留容器80および分離機(セパレーター)容器90の間に位置付けられる水回収システム(示さず)を提供することができる。蒸留容器80に残される組成物の残部は、“全体の蒸留廃液(whole stillage)”として知られる。この全体の蒸留廃液は、2つの主要な構成要素から作成され、すなわち、基本の作物の非澱粉要素〔別名“蒸留かす(distiller’s grains)”として知られる〕および水〔別名“希薄な蒸留廃液(thin stillage)”として知られる〕である。この全体の蒸留廃液は、分離容器90に蒸留容器80から移され、その結果、蒸留かすおよび希薄な蒸留廃液を互いから分離することができる。分離は好ましくは、遠心分離機を用いて達成される。分離された希薄な蒸留廃液は、必要に応じて戻りライン92を介して組成物へと加えることができる。蒸留かすを加工し、および動物飼料として用いることができる。
【0102】
システム150の第2の具体化によって採用されるプロセスは、図3で示すように、システム50の第1の具体化によって採用されるものに類似する。扱われる組成物は、バイオマスおよび作動流体の混合物を含む。好ましいバイオマスは澱粉系(ベース)の作物(例は、コーン)であり、そして作動流体は好ましくは水である。バイオマスおよび作動流体は、システム150と遠く離れた場所で組成物を形成するために、混合されるかもしれない。あるいはまた、システム150が混合容器60を含む場合、組成物は混合容器60において形成することができる。基本の澱粉ベースの作物は、制御された質量の追加的流量で、混合容器60において作動流体中に導入される。作物および作動流体の混合は、泥漿を形成する添え異物を導く。別に、第1の付加的な供給物164において保持されるアミラーゼ酵素はさらに、第1の付加的な供給ライン162を介して組成物に加えられる。第1の付加的なライン162は、直接に、存在するときには混合容器60に、さもないと、流体処理装置10の入口16にアミラーゼ酵素を供給することができる。好ましくは、泥漿における液体含量に対する作物のパーセンテージは、20-40重量%である。随意に、1またはそれよりも多くのPH調整剤(アジャスター)および/または界面活性剤を、この点で泥漿に加えることもできる。
【0103】
加熱水は混合容器60を囲む水ジャケットに入れられ、そして加熱水ジャケットはそれから、泥漿を容器60において一般的に30-60℃、最も好ましくは30-40℃の温度に加熱し、そして泥漿を30-120分間この温度で保持する。泥漿が混合容器60において保持される間、モータ駆動かき混ぜ機は泥漿を穏やかな(すなわち、低い剪断)動揺でかき混ぜる。
【0104】
泥漿は、澱粉含量が完全な水和のために調製されるのを可能にするために、十分な時間の期間の間に混合容器60において望ましい温度で保持される。泥漿が十分な時間の間に混合容器60において浸されたとき、それは容器60から排出され、そして入口16を介して流体処理装置10の通路14に誘導される。組成物は、重力の下で流体処理装置10に誘導することができる。あるいはまた、ポンプが存在するなら、ポンプは、組成物を、流体処理装置10中に誘導することができる。この場合、低剪断ポンプが用いられる。流体処理装置10は、プロセスの第1の具体化で用いられるものと同一である。装置10の操作の様式、その中で起こる機構、および組成物に対する結果として生じる影響は、図1および8に関し先に述べたように、プロセスの第1の具体化の場合のようなものである。したがって、それらは、再度ここで詳述はしない。
【0105】
澱粉顆粒が装置10において作物から分離されると、顆粒は、蒸気の導入のために、ほとんど即座にさらに水和され、加熱され、および活性化される。装置10は、水和を完了し、泥漿が通過するとき澱粉含量を活性化するか、またはゼラチン化するために、同時に組成物をポンプで圧送し、および加熱する。そのうえ、装置はアミラーゼ酵素を組成物に混合し、液相において澱粉材料との接触の同質の分布および高いレベルを提供する。組成物が装置10を去るときその温度は、好ましくは74-76℃の間である。
【0106】
プロセスの第1の具体化と同様に、上述のタイプの温度調節ユニット(TCU)を、組成物の温度を先に述べたのと同様に穏やかに上げるために、システム150に含むことができる。一旦それがTCUを通過するなら、組成物は好ましくは80-85℃の間の温度で、そして最も好ましくは83℃である。組成物は次いで第1の保持容器52に移される。第1の保持容器52の水ジャケットは、泥漿を前記の温度に維持する加熱水を受ける。TCUがシステム150で存在しないなら、加熱水ジャケットは泥漿の温度を望ましい範囲内までに増加させて、それからそれを維持するのに用いられる。組成物は、アミラーゼ酵素が組成物において存在する澱粉を糖に転換するのを可能にするのに十分な第1の滞留時間の間、第1の保持容器52において保持される。第1の滞留時間の終わりに、組成物は第2の保持容器152に移される。
【0107】
構成物の好ましい温度は、それが第2の保持容器152を通るとき、50および60℃の間、そして最も好ましくは、55℃にある。第1および第2の保持容器52、152の間で組成物の温度を減らすために、組成物は、慣習的なマッシュクーラーと同じ様式で操作される冷却容器54に通すことができる。あるいはまた、冷却容器54が存在しないなら、組成物は第2の保持容器152において望ましい温度にまで冷却させることができる。第2の保持容器152の加熱水ジャケットは、望ましい範囲内で組成物の温度を維持する。セルラーゼ酵素は、第2の付加的な供給物168および関連する供給ライン166を介して第2の保持容器152において、組成物に加えられる。セルラーゼ酵素は組成物が流体処理装置10を通過したとき、露出するリグノセルロース材料において存在するセルロース、そしてヘミセルロースと反応させるために加えられる。組成物は、セルラーゼ酵素が存在するセルロースおよびヘミセルロースのすべてを糖に転換するのを可能にするのに十分な第2の滞留時間の間、第2の保持容器152において保持される。第2の滞留時間の終わりに、組成物は発酵容器56へ移される。
【0108】
発酵のための組成物の好ましい温度は、30および40℃の間、そして最も好ましくは35℃である。第2の保持容器152および発酵容器56の間で組成物の温度を下げるために、組成物は慣習的なマッシュクーラーと同じ様式で操作される第2の冷却容器154に通すことができる。あるいはまた、第2の冷却容器154が存在しないなら、組成物は発酵容器56において望ましい温度にまで冷却されるのを委ねられることができる。
【0109】
発酵薬剤は好ましくは、発酵容器56またはそのすぐ上流でのいずれかでも組成物に加えられる。薬剤は第3および第4の付加的な供給物72、76に含まれ、そしてそれぞれの付加的なライン70、74を介して組成物に配送される。用いる発酵薬剤は、グルコアミラーゼおよび酵母であることができる。一旦薬剤が加えられ、そして組成物が望ましい温度範囲の中にあるなら、組成物は薬剤が存在する糖をアルコールに転換するのを可能にするのに十分な発酵時間の間、望ましい温度範囲内で発酵容器において保持される。
【0110】
一旦発酵段階が完了されるなら、組成物はその後の蒸留および分離のために運ぶことができる。蒸留容器80において、組成物は沸騰され、そしてたとえば、エタノールのような、組成物において存在する任意のアルコールでも蒸発させ、そして出口84を介して排出される。アルコールにおいて任意の残留する不純物を除去するために、分子篩を出口の下流に提供することができる。加えて、蒸留容器80および分離機容器90の間に位置付けられる水回収システム(示さず)を提供することができる。蒸留容器80に残される組成物の残部は、“全体の蒸留廃液”として知られる。この全体の蒸留廃液は、2つの主要な構成要素から作成され、すなわち、基本の作物の非澱粉要素(別名“蒸留かす”として知られる)および水(別名“希薄な蒸留廃液”として知られる)である。この全体の蒸留廃液は、分離容器90に蒸留容器80から移され、その結果、蒸留かすおよび希薄な蒸留廃液を互いから分離することができる。分離は好ましくは、遠心分離機を用いて達成される。分離された希薄な蒸留廃液は、必要に応じて戻りライン92を介して組成物へと加えることができる。蒸留かすを加工し、および動物飼料として用いることができる。
【0111】
システム250の第3の具体化によって採用されるプロセスは、図4で示すように、システム50、150の第1および第2の具体化によって採用されるものとの類似点がある。扱われる組成物は、バイオマスおよび作動流体の混合物から形成され、そして第2の具体化に関して先に述べたのと同じ様式で調製される。しかし、それは、まず第1に、第1の付加的な供給物264から組成物に加えられるアミラーゼ酵素よりもむしろセルラーゼ酵素である。組成物は重力の下で第1の流体処理装置10に誘導することができ、あるいはポンプは低い剪断状況の下で第1の流体処理装置10に組成物を誘導することができる。このプロセスに採用される双方の第1および第2の流体処理装置10、210は、上述の第1および第2の具体化において用いられるものと同一である。装置10、210の作動の方法、その中で起こる機構、および組成物に対する結果として生じる影響は、図1および8に関して前述のとおりである。したがって、それらは再びここで詳述しない。
【0112】
第1の処理装置10は、主にセルロース材料を前処理し、そしてセルラーゼ酵素に混ぜ込むために用いる。第1の処理装置10も、部分的に澱粉顆粒を作物から分離し、そして部分的に澱粉顆粒を水和させる。第2の処理装置210は、完全に澱粉を水和させ、そして活性化し、澱粉酵素に混ぜ込むのに用いられる。装置はセルラーゼ酵素を組成物に混入させ、第1の処理装置10でのリグノセルロース材料の破壊によって露出した任意のセルロースおよびヘミセルロースとの接触の同種の分布および高水準が供給される。第1の装置10を組成物が去るとき構成物の温度は、好ましくは50-60℃の間で、そして最も好ましくは55℃である。それは次に第1の保持容器52へ移される。
【0113】
第1の保持容器52の水ジャケットは、泥漿を前記の温度に維持する加熱水を受け取る。組成物は、セルラーゼ酵素が、組成物において存在するセルロースおよびヘミセルロースを糖に転換するのに十分な第1の滞留時間のために、第1の保持容器52において保持される。第1の滞留時間の終わりに、組成物は第2の処理装置210へ移され、その位置では、アミラーゼ酵素は第2の付加的な供給物268を介して加えられる。
【0114】
上記のように、組成物の澱粉含量に対する同じ影響を伴い、第2の流体処理装置210は、第1の処理装置10と同じ様式で操作される。そのうえ、装置はアミラーゼ酵素を組成物に混入させる、液相において澱粉材料との接触の同質の分布および高レベルが供給される。組成物が第2の装置210を去るときそれの温度は、好ましくは74-76℃の間である。前述の如く、温度調節ユニットは、組成物の温度を、80および85℃の間に穏やかに上げるために、組成物が第2の保持容器252へ移される前に存在することができる。第2の保持容器252の水ジャケットは、泥漿を前記温度に維持する加熱水を受け取る。TCUがシステム250に存在しないなら、加熱水ジャケットを、泥漿の温度を望ましい範囲内に上昇させ、そして次にそれを維持するのに用いられる。組成物は、アミラーゼ酵素が組成物において存在する澱粉を糖に転換するのを可能にするのに十分な第2の滞留時間の間、第2の保持容器252で保持される。第2の滞留時間の終わりに、組成物は発酵容器56へ移される。
【0115】
前に述べた具体化と同様に、発酵のための組成物の好ましい温度は、30および40℃の間、そして最も好ましくは35℃である。第2の保持容器252および発酵容器56の間で組成物の温度を下げるために、組成物は慣習的なマッシュクーラーと同じ様式で動く冷却容器54に通すことができる。あるいはまた、冷却容器54が存在しないなら、組成物は発酵容器56における望ましい温度に冷却させることができる。発酵段階は前の具体化のものと同一である。一旦発酵段階が完了されるなら、組成物は以降の蒸留および分離の段階のための出口260を介して移すことができ、それはまた、前の具体化のものと同じであってよい。
【0116】
プロセスの第4の具体化は、図5に示されるシステム350を用い、そこでは、組成物が共有発酵容器56を通過する前に、組成物の澱粉およびセルロースの含量の糖への転換は並列に駆動する第1および第2のプロセスラインで遂行される。すでに上述したタイプのバイオマスおよび作動流体の組成物は、第1の付加的な供給物364を介してそれに加えられるアミラーゼ酵素を有する。結果として生じる組成物は第1のプロセスラインに、そして最初に、第1の処理装置10に導入され、その結果として、それは種々の流体処理装置がすでに記述されたのと同じ方法で輸送流体によって細分化される。このようにして、第1の流体処理装置10は、組成物の澱粉含量を水和させ、および活性化させ、そして均質的にアミラーゼ酵素を組成物に混入させる。
【0117】
組成物が第1の装置10を出るとき、その温度は再度好ましくは、74-76℃の間であり、そして従って、第1の装置を出ると、温度調節ユニットを経由して、または水ジャケットを付けた第1の保持容器52によってのいずれでも、望ましい80-85℃の範囲内にまで穏やかに加熱される。組成物は次いで、アミラーゼ酵素が組成物の澱粉含量を糖に転換するのを可能にするのに十分な第1の滞留時間の間、第1の保持容器52で保持される。組成物は次に、すでに上述したタイプの発酵段階のために、発酵容器56へ移される。冷却容器54は発酵に先立ち組成物の温度を下げることができ、でなければ、組成物は発酵容器56で冷却されることができる。発酵の後、組成物は以降の蒸留および分離のための出口360を介して放出される。
【0118】
分離段階から得られる固形物および蒸留かすは、それから、更なるバッチのバイオマス組成物を形成するために蒸留または分離の間、排出される追加的な作動流体および/または液体の構成要素と混ぜ合わせられる。セルラーゼ酵素はこの組成物に加えられ、それは次に第2の処理装置310を介して第2のプロセスラインに誘導される。さらに組成物を第2の処理装置310に通すことが、組成物において固体材料の細胞構造を崩壊させ、そして均質的にセルラーゼ酵素を組成物に混入する結果を伴い、第2の処理装置310は、すでに記述されたものと同じ様式で操作される。組成物は好ましくは、50および60℃の間での温度で第2の装置310を出て、そして第2の保持容器352へ移される。組成物は、第2の装置310で露出するセルロースおよびヘミセルロースを糖に転換するために、セルラーゼ酵素のために十分な第2の滞留時間の間、第2の保持容器352で保持される。組成物は次いで発酵容器56での発酵のために、必要に応じて第2の冷却容器354を介して移される。
【0119】
プロセスのこの具体化は、初期の組成物の部分が同時に双方の第1および第2のプロセスラインに供給されるように修正することができ、第1のラインが澱粉含量を、および第2のラインがセルロースおよびヘミセルロースの含量を、組成物の双方の部分が発酵容器56へ移される前に、糖に転換することを伴った。したがって、第2のプロセスラインが分離段階の後に組成物の残余を受け取ることは重要ではない。
【0120】
図2および3のシステムによって用いられるように、図6および7に示されるシステムによって採用されるプロセスの第5および第6の具体化は、プロセスの第1および第2の具体化と実質同じである。バイオマス組成物の形成、アミラーゼおよびセルラーゼの酵素の添加、1または2つの保持容器での加工された組成物の残存、および組成物の以降の発酵は、それらの初期の具体化としてのこれらの第5および第6の具体化において同じものである。第5および第6の具体化が異なるところは、単一の流体処理装置が流体処理装置のアレイによって代えられたということである。図6の第5の具体化において、アレイは互いと直列に配置される多数の処理装置から形成される。図7の第6の具体化において、アレイは直列に2対の処理装置から形成され、そこでは、各対は他と並行である。流体処理装置の数およびその構成が本発明のプロセスおよびシステムにおいて用いることができたことが理解されるべきである。
【0121】
各々の装置の操作、および機構およびその中で創られる影響は、すでに記述されたものと同じである。図6および7に示されるタイプのアレイの使用は、澱粉含量の水和および活性化、リグノセルロース材料の崩壊および露出、および組成物と酵素との均質な混合に関する処理装置の効果を最大にする。アレイの使用はまた、組成物の温度が、アレイのすべてで単一の処理装置で可能であるよりも高く徐々に上がることを可能にすることができる。これは、組成物の温度での望ましい上昇だけが達成されるのを、組成物がアレイでの最終的な装置を通過したあとに確実にするために、アレイでの各々の以降の装置に届けられる輸送流体の供給圧および/または密度を変えることによって達成されるかもしれない。
【0122】
特に明記しない限り、本発明のシステムに含まれうる冷却容器、蒸留容器および分離容器は、慣習的な組合わせ方である。それらは従って、この明細書で十分に詳細で記述されていない。
【0123】
本発明は、バイオマス組成物において存在する澱粉およびセルロースの双方の転換のための単一の処置システムおよびプロセスを提供する。その際、本発明は、収集した作物とともに必然的に処理工場へ運搬されるセルロースおよびリグノセルロースの材料からのものを含む、組成物から得られるアルコールを最大にする。この追加的な材料を輸送することでのコストは従って、本発明でかなり取り戻される。一緒に澱粉およびセルロースの含量を転換することによって、本発明は、異なったプロセスおよびプロセスラインが別々に澱粉およびセルロースの含量を転換するために必要である既存のシステムと比較して、意義深いコスト削減を提供する。
【0124】
さらなる利点は、ここに記述するタイプの流体処理機構の使用による本発明で得られる。記述されるタイプの処理機構を使うことは、本発明が、組成物の澱粉含量を加熱し、および活性化させるのを可能にする一方、澱粉含量に損害を与えることがある極端な熱の領域の作成を避けられる。これらの領域の防止はまた、抽出された澱粉とのタンパク質の反応に起因するメイラード効果を減らし、または排除する。これらの反応は澱粉の糖への転換を妨げることがあり、したがって収率を減らすことがある。さらに、穏やかな動揺の混合および低い温度での低い剪断のポンプでの圧送はまた、保持容器のうちの1つで保持されるか、または容器の間で輸送される間、組成物の澱粉含量に損害を与えることがある高い剪断力がないことを確実にする。そのような損害は、貯蔵物から入手可能な最終的なブドウ糖収率を制限する。
【0125】
処理装置はまた、組成物の構成要素が単純なかき混ぜ機のパドルおよび/または再循環ループを単独で使用することが可能であるよりも、完全に混ぜられることを確実にする。作動流体の細分化はさらに、以前に可能であるものよりも、組成物の均質な混合を確実にする。このすぐれた混合は、澱粉およびセルロースの含量を糖に転換するために加えたアミラーゼおよびセルラーゼの酵素の効率を上昇させる。
【0126】
リグノセルロースの材料の転換に関して、処理において装置がさらに本発明の性能を向上させるとき、これがバイオマスで存在するより多くのこの材料を露出させるので、剪断作用および凝縮/圧力ショックは組成物のバイオマス構成要素に適用された。これは実質的に貯蔵物のすべての澱粉顆粒が分離するのを可能にし、それによって、酵素の活性化が処理装置において機械的な活性化によって補われ、慣習的なプロセスと比較して改善された澱粉活性化率を提供する。これも、プロセスが特に澱粉を実質100%の転換率の糖にさせるのを可能にする。本発明の方法はしたがって、組成物が一回処理装置を通過することだけを、それが転換段階のための保持容器を通るよう準備ができる前に、組成物に要求することができる。それゆえに、損失増強のための時間がプロセスの間になく、収率は大いに改善される。
【0127】
より多くの澱粉を露出させることはまた、組成物が発酵プロセスへ移される前に、アミラーゼ酵素のより少ないものが12-18の望ましいブドウ糖の同等価値を達成するために必要なことを意味する。そのうえ、凝縮/圧力ショックは比較的低い温度で細菌を殺し、それによってどんな以降の発酵プロセスでも損失が減らされる。
【0128】
追加的に、作動流体を細分化し、蒸気および液滴の流動様式を構築するために、バイオマス組成物に蒸気のような輸送流体を注入することは、組成物の内容物の細胞構造への、それが既存の処理前のプロセスによって達成したものより大きな崩壊の程度を確実にする。さらに、崩壊が輸送流体の注入によって少なくとも部分的に成し遂げられ、既存の化学的な処理前のプロセスと比較するとき、本発明は触媒または添加物の減少した量が崩壊の望ましい程度を得るのを可能にする。実際、輸送流体注入によって達成される崩壊は、完全にそのような処理前の添加物の必要を取り除くかもしれない。処理装置の輸送流体注入は、組成物上で継続的な剪断および乱流(turbulent forces)を確実にする。本発明の方法はしたがって、連続的でありえ、それが蒸気爆発の前処理プロセスに必要であるような単独型容器でのプロセスを含む必要がない。
【0129】
高速の輸送流体注入によって与えられる高い剪断力は、バイオマスの細胞構造の破壊に援助するだけでなく、酵素と組成物との親密で均質な加熱および混合を確実にするために、組成物の作動流体構成要素も細分化する。そのような改善された加熱および混合は、必要な化学反応を保持容器において成し遂げることを要求される時間および酵素の量を減らす。
【0130】
本発明の処理およびシステムが以降の発酵プロセスで発酵率を改善もすることができることをも発見された。本発明の改善された水和も、バイオマス原料での多少のタンパク質を水和させる。これらの水和したタンパク質は発酵性酵母に対する追加的な原料の働きをし、それによって酵母の発酵性能を向上させる。
【0131】
1またはそれよりも多くの冷却容器が本発明のシステムの一部を形成するとして説明されるが、これらの冷却容器がシステムの好ましい、重要であるよりはむしろ、その構成要素であることを理解すべきである。冷却容器が組成物の温度を保持容器および発酵容器の間で下げさせられる一方で、この冷却は保持容器または発酵容器自体の範囲内で行われることができた。そのような冷却容器は、たとえば、熱交換器、チラー(冷却装置)、直接噴射クーラー、カスケード(滝)クーラー、またはその種の他のものを含むことができる。
【0132】
処理装置は、1またはそれよりも多くの付加的なポートを含むために修飾されることができ、それによって酵素を混合容器の代わりに処理装置に直接加えられる。ノズル出口の上流で装置の通路に通じる付加的なポートが提供されるかもしれない。代わりとして、またはその上、通路の混合領域にノズルのすぐに下流に通路に通じる付加的なポートを提供することができる。
【0133】
システムの第5および第6の具体化で利用される処理装置の列は、他の図示した具体化で示される個々の処理装置を置き換えることができる。存在する1よりも多くの流体処理装置がある本発明の具体化において、これらの多重の処理装置の2またはそれよりも多くは単一の輸送流体供給物を共有することができる。代わりに、システムで存在する処理装置のすべては、単一の輸送流体供給を共有するかもしれない。
【0134】
上述のシステムの好適な具体化がそれぞれの付加的な供給物をシステムに接続する付加的なラインを含む一方で、これらは、本発明のシステムおよび方法にとって必須ではない。各々の添加物は、専用の供給物および関連した供給ラインについて必要なく、望ましい場所でシステムに手動で加えられうる。
【0135】
混合容器が本発明のシステムの好ましい、重要であるよりはむしろ、その構成要素であるとすでに述べた。等しく、混合容器でマイオマスおよび作動流体の組成物を形成する処置プロセスにおける初期ステップは、本質的でない。混合容器が存在しないなら、組成物は遠い離れた場所で形成され、そしてそれから処置のために本発明のシステムにポンプで注入されうる。
【0136】
用いる酵素がそれを必要とする場合、保持容器でのその滞留時間の間の組成物の温度が72および80℃の間で、そして好ましくは76および78℃の間にあることができるように、システムおよびプロセスの第1の具体化は修正することができる。
【0137】
本発明のプロセスおよびシステムで用いられる好適な輸送流体は蒸気である。しかし、代わりの輸送流体が用いられうる。二酸化炭素のような、代わりの熱い、凝縮性ガスを、たとえば、その代わりに用いることができる。
【0138】
本発明の方法が上述の特定のα-アミラーゼ酵素の使用に限られていないことを理解すべきである。β-アミラーゼまたはλ-アミラーゼのような代わりのアミラーゼ酵素は、その代わりに用いることができる。さらにまた、各タイプのアミラーゼ酵素およびセルラーゼ酵素のうちの1つよりも多くが、組成物に加えられることを認められなければならない。他の酵素、アミラーゼ、セルラーゼ、またはヘミセルラーゼ以外の酵素は、アミラーゼ、セルラーゼ、またはヘミセルラーゼと実質同じ方法で、バイオマスに作用することがで、また、本発明の範囲によって、そしてその範囲内で予測される。
【0139】
これらの、および他の修飾およ改善は、本発明の範囲から離れることなく組み込むことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスを処理するための方法であって、次の
(a)流体処理装置の通路に流れ込むようにバイオマスおよび作動流体を含む組成物の少なくとも第1の部分を誘導すること、
(b)流体処理装置の通路に連通するノズルを通して組成物に高速度の輸送流体を注入し、それによって輸送流体は、作動流体が細分化され、そして蒸気および液滴の流動様式がノズルの下流に形成されるように、せん断力を組成物に適用すること、
(c)蒸気および液滴の流動様式を凝縮すること、
(d)組成物を第1の保持容器に移すこと、および
(e)組成物を第1の保持容器において第1の所定の温度にて第1の所定の時間の間で保持し、そこで液化酵素をプロセスの前またはその間に組成物に添加すること
を含む、方法。
【請求項2】
液化酵素は、澱粉の対糖の転換酵素、セルラーゼまたはヘミセルラーゼの対澱粉の転換酵素、およびそれらの組合せからなる群より選ばれる、請求項1に従う方法。
【請求項3】
澱粉の対糖の転換酵素はアミラーゼであり、およびセルラーゼ、またはヘミセルラーゼの対澱粉の転換酵素はセルラーゼ、またはヘミセルラーゼまたは双方である、請求項2に従う方法。
【請求項4】
ステップ(b)はノズルの下流に形成される低圧領域を生成することを含む、請求項1に従う方法。
【請求項5】
輸送流体は蒸気および二酸化炭素からなる群より選ばれる凝縮性ガスである、請求項1に従う方法。
【請求項6】
ステップ(d)は、組成物の温度を第1の所定の温度に上昇させるために、組成物を温度調節ユニットに通過させることを含む、請求項1に従う方法。
【請求項7】
第1の所定の温度は80℃および85℃の間である、請求項1に従う方法。
【請求項8】
第1の所定の温度は83℃である、請求項7に従う方法。
【請求項9】
第1の所定の温度は72℃および80℃の間である、請求項1に従う方法。
【請求項10】
第1の所定の温度は76℃および78℃の間である、請求項9に従う方法。
【請求項11】
第1の所定の温度は75℃または77℃である、請求項9に従う方法。
【請求項12】
アミラーゼおよびセルラーゼの酵素は、ステップ(a)に先立って組成物に加えられる、請求項3に従う方法。
【請求項13】
さらに、次の
(f)組成物を、第1の所定の時間の終わりに次いで第2の保持容器に移すこと、および
(g)組成物を、第2の保持容器において第2の所定の温度にて第2の所定の時間の間で保持すること
を含む、請求項1に従う方法。
【請求項14】
第1の液化酵素を、組成物にステップ(a)に先立って加え、および第2の液化酵素を、組成物に第1の所定の時間の終わりおよび第2の所定の時間の初めの間に加える、請求項1に従う方法。
【請求項15】
第1の液化酵素はアミラーゼであり、および第2の液化酵素はセルラーゼまたはヘミセルラーゼ、または双方である、請求項14に従う方法。
【請求項16】
さらに、ステップ(f)に先立って組成物を第2の所定の温度に冷やすことを含む、請求項13に従う方法。
【請求項17】
第2の所定の温度は50℃および60℃の間である、請求項13に従う方法。
【請求項18】
第2の所定の温度は55℃である、請求項17に従う方法。
【請求項19】
さらに、次の
(e)ステップ(f)に先立って、少なくとも第1の組成物を第2の流体処理装置の通路に誘導し、および
(e)第2の高速度の輸送流体を、組成物の少なくとも1部分に、第2の流体処理装置の通路に連通するノズルを通して注入し、それによって、輸送流体は、作動流体が細分化され、および第2の蒸気および液滴の流動様式が第2の流体処理装置のノズルの下流に形成されるように、せん断力を組成物に適用し、そこで、第1の液化酵素は組成物にステップ(a)に先立って加えられ、および第2の液化酵素は組成物にステップ(e)に先立って添加される、請求項13に従う方法。
【請求項20】
第1の所定の温度は50℃および60℃の間である、請求項19に従う方法。
【請求項21】
第1の所定の温度は55℃である、請求項20に従う方法。
【請求項22】
第2の所定の温度は80℃および85℃の間である、請求項19に従う方法。
【請求項23】
第2の所定の温度は83℃である、請求項22に従う方法。
【請求項24】
さらに、
(h)組成物を所定の発酵温度に冷やすこと
(i)発酵薬剤を組成物に加えること
(j)組成物を発酵容器に移すこと、および
(k)組成物を発酵容器において所定の発酵温度にて所定の発酵時間の間で発酵した組成物を生成するために保持すること
を含む、請求項19に従う方法。
【請求項25】
ステップ(h)は、組成物を、冷却容器を通過させることを含む、請求項24に従う方法。
【請求項26】
冷却容器はマッシュクーラーである、請求項25に従う方法。
【請求項27】
所定の発酵温度は30℃および40℃の間である、請求項24に従う方法。
【請求項28】
所定の発酵温度は35℃である、請求項27に従う方法。
【請求項29】
発酵薬剤は、グルコアミラーゼ、酵母、およびそれらの組合せからなる群より選ばれる、請求項24に従う方法。
【請求項30】
さらに、(l)発酵した組成物を、組成物の残余からアルコールを取り除くために蒸留することを含む、請求項24に従う方法。
【請求項31】
さらに、(m)任意の回収された水または凝縮物を、第1の流体処理装置の通路に流れ込む組成物に戻すことを含む、請求項30に従う方法。
【請求項32】
さらに、次の
(n)任意の残りの組成物を、分離機に移すこと、および
(o)残りの組成物から固形物を分離すること
を含む、請求項31に従う方法。
【請求項33】
さらに、次の
(p)水分を分離機から回収すること、および
(q)水分を、第1の流体処理装置の通路に流れ込む組成物に戻すこと
を含む、請求項32に従う方法。
【請求項34】
さらに、次の
(f)ステップ(e)の後、組成物の少なくとも1部分、第2部分を、第2の流体処理装置の通路に流れ込むように誘導すること、
(g)高速度の輸送流体を、組成物の第2部分に、第2の流体処理装置の通路に連通するノズルを通して注入し、それによって輸送流体は、作動流体が細分化され、そして第2の蒸気および液滴の流動様式が第2の流体処理装置のノズルの下流に形成されるように、せん断力を組成物の第2の部分に適用すること、
(h)第2の蒸気および液滴の流動様式を凝縮させること、および組成物の第2の部分を第2の保持容器に移すこと、および
(i)組成物の第2の部分を、第2の保持容器において、第2の所定の温度にて、第2の所定の時間の間で保持し、そこで、第1の流体処理装置および第1の保持容器、および第2の流体処理装置および第2の保持容器は並行して動作し、およびアミラーゼ酵素は組成物の第1の部分に、組成物の第1の部分の第1の処理装置の通路への誘導に先立って加えられ、およびセルラーゼ酵素は組成物の第2の部分の第2の処理装置の通路への誘導に先立って加えられること
を含む、請求項3に従う方法。
【請求項35】
さらに、次の
(j)組成物の各部分を所定の発酵温度に冷やすこと、
(k)発酵薬剤を組成物の各部分に加えること、
(l)組成物の各部分を少なくとも1種の発酵容器に移すこと、および
(m)組成物の各部分を、少なくとも1種の発酵容器において所定の発酵温度にて所定の発酵時間の間で発酵した組成物を形成するために保持すること
を含む、請求項34に従う方法。
【請求項36】
発酵温度は30℃および40℃の間である、請求項35に従う方法。
【請求項37】
発酵温度は35℃である、請求項36に従う方法。
【請求項38】
発酵薬剤はグルコアミラーゼ、酵母、およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項35に従う方法。
【請求項39】
組成物の第1および第2の部分の発酵は単一発酵容器において遂行される、請求項35に従う方法。
【請求項40】
組成物の第1および第2の部分の発酵は別々の発酵容器において遂行される、請求項35に従う方法。
【請求項41】
さらに、組成物の残余からアルコールを取り除くために発酵した組成物を蒸留することを含む、請求項35に従う方法。
【請求項42】
さらに、次の
(n)組成物の任意の残りの非発酵部分を、分離機に移すこと、および
(o)組成物の残りの非発酵部分から固形物を分離すること
を含む、請求項35に従う方法。
【請求項43】
さらに、次のステップ
(p)固形物を分離機から回収する、および
(q)固形物を第2の流体処理装置の通路に戻すこと
を含む、請求項42に従う方法。
【請求項44】
組成物の第2の部分は分離機から回収された固形分である、請求項42に従う方法。
【請求項45】
輸送流体は蒸気である、請求項5に記載の方法。
【請求項46】
作動流体は水である、請求項1に従う方法。
【請求項47】
バイオマスは1種またはそれよりも多くのでんぷん系作物を含む、請求項1に従う方法。
【請求項48】
バイオマスおよび作動流体を含む組成物の処理のためのシステムであって、次の
(a)少なくとも1種の流体処理装置であり、組成物の供給を受け取るための入口を有する通路、および通路に開口するノズル出口を有し、かつスロート部分で、その断面積が出口のものよりも小さいものを有する輸送流体ノズルを含むもの、
(b)通路の出口に流体連通する第1の保持容器、および
(c)第1の保持容器に流体連通する発酵容器
を含む、システム。
【請求項49】
さらに、第1の保持容器および発酵容器の中間に位置付けられる第1の冷却容器を含む、請求項48に従うシステム。
【請求項50】
さらに、第2の保持容器、および第1の冷却容器および発酵容器の中間に位置付けられる第2の冷却容器を含む、請求項49に従うシステム。
【請求項51】
流体処理装置は、添加物を組成物に導入するための少なくとも1種の付加的なポートを含む、請求項50に従うシステム。
【請求項52】
少なくとも1種の付加的なポートはノズル出口の上流の通路に開く、請求項51に従うシステム。
【請求項53】
少なくとも1種の付加的なポートはノズル出口のすぐ下流の通路に開く、請求項51に従うシステム。
【請求項54】
さらに、第2の保持容器の近くの付加的なポートを含む、請求項52または53に従うシステム。
【請求項55】
さらに、第2の流体処理装置および第1の保持容器の下流の第2の保持容器を含み、第2の流体処理装置は第1の保持容器から組成物を受け取るための第2の通路を有し、および第2の輸送流体ノズルは、第2の通路に開口するノズル出口を有し、かつスロート部分で、その断面積が出口のものより小さいものを有する、請求項48に従うシステム。
【請求項56】
さらに、第1の流体処理装置および第1の保持容器で構成される第1の処理ライン、および第2の処理ラインを含み、次の
(a)組成物の供給を受け取るための第2の通路を有する第2の流体処理装置、および第2の通路に開口するノズル出口を有し、かつスロート部分で、その断面積が出口のものより小さいものを有する第2の輸送流体ノズル、および
(b)第2の通路の出口に流体連通する第2の保持容器であり、そこで、第1および第2の処理ラインは組成物の供給および発酵容器の間で並列に接続されるもの
を含む、請求項48に従うシステム。
【請求項57】
さらに、入口および出口を有する混合容器を含み、混合容器は流体処理装置の通路に入口で流体連通し、混合容器はバイオマスおよび作動流体の供給を、組成物を形成するために混合する、請求項48に従うシステム。
【請求項58】
さらに、少なくとも1種の処理装置の上流のポンプを含む、請求項48に従うシステム。
【請求項59】
さらに、アレイを形成するために、互いに直列におよび/または並列に接続される複数の流体処理装置を含む、請求項48に従うシステム。
【請求項60】
さらに、アレイを形成するために、互いに直列におよび/または並列に接続される複数の第2の流体処理装置を含む、請求項48に従うシステム。
【請求項61】
さらに、第1および/または第2の流体処理装置およびそのそれぞれの第1のおよび/または第2の保持容器の間の組成物の温度を上げるための温度調節ユニットを含む、請求項50に従うシステム。
【請求項62】
温度調節ユニットは蒸気発生機である、請求項61に従うシステム。
【請求項63】
さらに、発酵容器の下流の蒸留装置を含む、請求項57に従うシステム。
【請求項64】
蒸留装置は混合容器の入口の下流にある、請求項63に従うシステム。
【請求項65】
さらに、蒸留装置を流体処理装置の入口に接続する第1の戻りラインを含む、請求項64に従うシステム。
【請求項66】
さらに、蒸留装置の下流の分離装置を含む、請求項63に従うシステム。
【請求項67】
さらに、混合容器の入口の下流の分離装置を含む、請求項64に従うシステム。
【請求項68】
さらに、分離装置を流体処理装置の入口に接続する第2の戻りラインを含む、請求項67に従うシステム。
【請求項69】
分離装置には、遠心分離機が含まれる、請求項66および67のいずれか一項に従うシステム。
【請求項70】
さらに、少なくとも1種の輸送流体ノズルに流体連通する輸送流体供給ユニットを含む、請求項56に従うシステム。
【請求項71】
輸送流体供給ユニットは輸送流体を第1および第2の流体処理装置の双方に供給する、請求項70に従うシステム。
【請求項72】
輸送流体は蒸気である、請求項48に従うシステム。
【請求項73】
請求項48のシステムに従って生産されたバイオエタノール。
【請求項74】
バイオマスからバイオエタノールを生産するための方法であって、次の
(a)流体処理装置の通路に流れ込むようにバイオマスおよび作動流体を含む組成物の少なくとも第1の部分を誘導すること、
(b)流体処理装置の通路に連通するノズルを通して組成物に高速度の輸送流体を注入し、それによって輸送流体は、作動流体が細分化され、そして蒸気および液滴の流動様式がノズルの下流に形成されるように、せん断力を組成物に適用すること、
(c)蒸気および液滴の流動様式を凝縮すること、
(d)組成物を第1の保持容器へ移すこと、
(e)組成物を第1の保持容器において第1の所定の温度にて第1の所定の時間の間に保持し、そこで、液化酵素をこの方法の前またはその間に組成物に加えること、
(f)組成物を第2の保持容器に、第1の所定の時間の間に次いで移すこと、
(g)組成物を第2の保持容器において、第2の所定の温度にて、第2の所定の時間の間で保持すること、
(h)組成物を所定の発酵温度に冷やすこと、
(i)発酵薬剤を組成物に加えること、
(j)組成物を発酵容器に移すこと、および
(k)組成物を、発酵容器において所定の発酵温度にて所定の発酵時間の間で、バイオエタノールを含む発酵された組成物を生成するために保持すること
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−507276(P2012−507276A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533851(P2011−533851)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007443
【国際公開番号】WO2010/049815
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(510322085)パスート ダイナミックス ピーエルシー (3)
【氏名又は名称原語表記】PURSUIT DYNAMICS PLC
【Fターム(参考)】