説明

バイオマス燃料の製造方法、製造装置、及びバイオマス燃料、並びに情報管理方法及びシステム

【課題】低価格で消臭されたバイオマス燃料の製造方法、その製造装置、及びそれらにより製造されたバイオマス燃料、並びにその情報方法及びシステムを提供する。
【解決手段】1)臭い吸着能を有する使用済み活性炭と、汚泥との混合物を調製する混合工程を含む、バイオマス燃料の製造方法。2)脱水工程で使用される脱水装置、及び乾燥工程で使用される乾燥装置、又は混合装置を含む、バイオマス燃料の製造装置。3)上記1)のバイオマス燃料の製造方法又は上記2)のバイオマス燃料の製造装置により製造された、汚泥と臭い吸着能を有する使用済み活性炭を含むバイオマス燃料。前記バイオマス燃料の製造に関与する諸施設間の情報を相互に共有する、情報管理施設を設ける、バイオマス燃料の情報管理方法、及び前記情報を記憶する情報記憶手段及び該情報の通信手段を備えた情報管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥と使用済み活性炭を含む、バイオマス燃料の製造方法、その製造装置、及びそれらにより製造されたバイオマス燃料、並びにその情報管理方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥等は、現在、セメントの原材料に用いられる他、コンポスト化によって肥料として用いられているが、再利用されない部分は、脱水および焼却した上で埋め立てることにより処理されてきた。
しかしながら、最近エネルギー資源の乏しい日本で汚泥をできるだけ利活用するため燃料化が進められている。燃料化に当たり解決しなければならない課題が多いが、そのなかで汚泥の水分を極力低減して低位発熱量を向上すること、汚泥燃料からの悪臭の発生を抑制することが重要視されている。
【0003】
汚泥を燃料化する場合、乾燥処理と炭化処理の2方式に大別される。
分離液乾燥処理方式では、汚泥を脱水・乾燥して含水率を低減し、必要に応じて造粒化する。炭化処理は、汚泥を脱水・乾燥させた後、加熱して炭化物とするものである。
【0004】
炭化方式により製造された炭化汚泥は臭気濃度は低いが、炭化工程で可燃分(有機物)の一部がガス化するため、灰分含有率が多くなり、その結果、単位質量あたりの発熱量が低くなる。一方、乾燥汚泥は可燃分がほぼ残っているので、単位質量あたりの発熱量は炭化汚泥よりも数10%高いが、強い悪臭が残留する。
【0005】
乾燥方式によって製造した乾燥汚泥の悪臭を低減させようとした技術として特許文献1が公開されている。
【0006】
この文献は、下水汚泥等のバイオマスから製造した乾燥造粒物の表面上に粒径500μm以下の粉末状活性炭を付着せしめ、付着活性炭に臭気を吸収せしめて臭気発生量を低減するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008‐297508
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1には、活性炭を付着せしめることによって消臭効果を得ることが開示されている。活性炭は高額(新炭600円/kg程度、再生炭350円/kg程度)であり、少量の添加率、例えば新炭5%添加であっても乾燥汚泥中の新炭価格は約30円/kg乾燥汚泥(3万円/t)以上と高額になり、実用上の大きな障害となる。この価格を実用的な価格まで低減することが重要な課題であった。
本発明は上記課題を解決するものであり、低価格で消臭されたバイオマス燃料の製造方法、その製造装置、及びそれらにより製造されたバイオマス燃料、並びにその情報管理方法及びシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
1)臭い吸着能を有する使用済み活性炭と、汚泥との混合物を調製する混合工程を含む、バイオマス燃料の製造方法。
2)前記混合工程は、前記汚泥が脱水工程Aで脱水された脱水汚泥あるいはおよび乾燥工程Aで乾燥された乾燥汚泥と、前記使用済み活性炭との混合物を調製する工程を含む、上記1)のバイオマス燃料の製造方法。
3)前記混合工程は、前記汚泥と、前記使用済み活性炭とを混合したのちに脱水する脱水工程B、あるいはさらに該脱水工程Bの脱水汚泥を乾燥する乾燥工程Bを含む、上記1)の又は2)のバイオマス燃料の製造方法。
4)前記使用済み活性炭は粒状活性炭である、上記1)〜3)のいずれか1項のバイオマス燃料の製造方法。
5)前記使用済み活性炭が上水(飲料水)の原水を浄化する工程で使用されたものである、上記1)〜4)のいずれか1項のバイオマス燃料の製造方法。
6)上記2)の脱水工程A又は上記3)の脱水工程Bで使用される脱水装置、及び上記2)の乾燥工程A又は上記3)の乾燥工程Bで使用される乾燥装置、又は上記2)の混合物を調製する工程で使用される混合装置を含む、バイオマス燃料の製造装置。
7)上記1)〜5)のいずれか1項のバイオマス燃料の製造方法又は上記6)のバイオマス燃料の製造装置により製造された、汚泥と臭い吸着能を有する使用済み活性炭を含むバイオマス燃料。
【0010】
8)施設a:前記汚泥を生産する一箇所以上の施設であって、前記汚泥の、少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を、少なくとも情報管理施設fとの間で相互に共有することが可能な施設、
施設b:臭い吸着能を有する使用済み活性炭を生産する一箇所以上の浄水施設であって、前記臭い吸着能を有する使用済み活性炭の、少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を、少なくとも情報管理施設fとの間で相互に共有することが可能な施設、
施設c:前記施設aの汚泥と、前記bの該使用済み活性炭とから上記7)のバイオマス燃料を製造するバイオマス燃料生産施設であって、前記バイオマス燃料の、少なくとも日生産量、年間変動、及び計画生産量を含む情報を、少なくとも情報管理施設fとの間で相互に共有することが可能な施設、
施設d:前記バイオマス燃料の利用施設であって、前記バイオマス燃料の、少なくとも日消費量、年間変動、及び計画消費量を含む情報を、少なくとも情報管理施設fとの間で相互に共有することが可能な施設、及び
施設e:前記施設a、b、c、及びdの間を相互に連絡する輸送システムを管理する輸送管理施設を少なくとも含む施設に対して、前記情報を管理する方法であって、
前記情報管理施設はf、前記施設a、b、c、d、及びeの間の前記情報を相互に共有する、
バイオマス燃料の情報管理方法。
9)前記施設a、b、c、d、e及びfの少なくとも2施設が同一敷地内にある、上記8)のバイオマス燃料の情報管理方法。
【0011】
10)施設a:前記汚泥を生産する一箇所以上の施設であって、前記汚泥の、少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設fとの間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段とを備えた施設
施設b:臭い吸着能を有する使用済み活性炭を生産する一箇所以上の浄水施設であって、前記臭い吸着能を有する使用済み活性炭の、少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設fとの間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段とを備えた施設
施設c:前記施設aの汚泥と、前記bの該使用済み活性炭とから上記7)のバイオマス燃料を製造するバイオマス燃料生産施設であって、前記バイオマス燃料の、少なくとも日生産量、年間変動、及び計画生産量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設fとの間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段とを備える施設、
施設d:前記バイオマス燃料の利用施設であって、前記バイオマス燃料の、少なくとも日消費量、年間変動、及び計画消費量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設fとの間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段とを備える施設、及び
施設e:前記施設a、b、c、及びdの間を相互に連絡する輸送システムを管理する輸送管理施設を少なくとも含む施設に対して、前記情報を管理するシステムであって、
前記情報管理施設fは、前記施設a、b、c、d、及びeの間を相互に共有することが可能な情報を記憶する情報記憶手段、及び前記施設a、b、c、d、及びeの間を相互に前記情報を共有することが可能な通信手段を少なくとも備えている、
バイオマス燃料の情報管理システム。
【0012】
本発明は前記課題を解決するため、産業廃棄物として有償で大量に処分されている浄水場の使用済み活性炭の利用について着目して実験的に検討した結果想到したものである。なお、使用済み活性炭は、全てが産業廃棄物として処分されているわけではなく、再生炭として再利用、農芸資材として有効利用されているものもある。
【0013】
ところで、浄水場は、河川、湖沼等の水源から取水した水を浄化して上水(水道水)として市町村の給水するために建設されている。近年、湖沼等の閉鎖系水域の富栄養化、河川等への生活排水の流入等により水源が汚濁されてきており、特に富栄養化によるプランクトンの異状発生等により異臭味が水道水に残存することが大きな問題になった。この異種味成分は、浄水場の主処理である凝集沈澱処理でも除去できないため、さらにその後段に活性炭吸着装置が高度処理のために併設されるようになった。活性炭吸着装置の設計には、吸着等温線を作成して充填容量、活性炭交換に関る附帯設備、LV(線速度)、SV(空間速度)等を決める。水道水源のCODは3〜10mg/Lであり、その凝集沈殿処理水が活性炭原水であるため、活性炭処理水のCODは1mg/L前後と低くなる。
【0014】
また、活性炭吸着処理の主目的である、異臭味成分の吸着等温線については、文献(荏原インフィルコ時報、第100号、1989年)に示されている(本願の図1参照)。図1に示したように代表的な水道水の異臭味成分である2−メチルイソボルネオール(藍藻類によって生産されるカビ臭)、発癌の原因物質のトリハロメタン前駆物質の飽和吸着量は極めて低いことがわかった。一方、2−メチルイソボルネオールの水道水基準は、0.00001mg/L(0.01μg/L)以下であり、この濃度まで低減するための活性炭の飽和吸着量は0.1mg/g−活性炭となる。
【0015】
一般的には使用済み活性炭は再使用(リユース)されず、特に臭い成分のように強い臭気があって、低分子である臭気成分に使用済み活性炭は利用できないと予想されたが、大量に混合すれば減臭できる可能性を想起し、消臭試験を行なった。その結果、使用済み活性炭は、新炭には性能的には及ばないものの、消臭効果、減臭効果があり、実用できることが判明し、本発明を見出すに至った。
【発明の効果】
【0016】
事業所から発生した使用済み活性炭は産業廃棄物として扱われ1万円/t前後の有償で処分されているが、バイオマス燃料化することによって有価物に変わり、新炭購入費も零となるので、汚泥の燃料化が促進されてわが国の重要な代替エネルギーとなり、また、バイオマス燃料の使用量が増加することによって化石燃料の消費量が削減されて地球温暖化防止に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】異臭味成分に対する活性炭吸着性性能試験における、活性炭の吸着等温線を示すグラフである。
【図2】本発明の実施の形態に係る、バイオマス燃料を製造するための工程を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る、バイオマス燃料を製造するための工程を説明する図である。
【図4】本発明の情報管理の実施態様の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる臭い吸着能を有する使用済み活性炭(以下、単に「活性炭」ともいう)とは、上水(飲料水)を供給するための浄水場又はそれと等価な設備で通常の浄化処理を行って、廃棄された活性炭を意味する。
また、本発明に用いられる活性炭は、その形状は特に限定されないが、粒状活性炭であることが好ましい。ここで、粒状活性炭とは、JIS K 1474:2007の規格による粒径が150μm以上のものであることを意味する。
本発明に用いられる汚泥とは、下水、屎尿、厨芥などの有機性物質を処理する工程で排出された、初沈汚泥、メタン発酵汚泥、腐敗汚泥、余剰汚泥等の有機性汚泥である。
【0019】
次に本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法における混合工程は、活性炭と、汚泥との混合物を調製する工程である。
本発明は、混合工程のみで、バイオマス燃料を製造することができるが、汚泥を脱水する脱水工程、汚泥を乾燥する乾燥工程、等を含むことができる。
活性炭は、バイオマス燃料の製造工程の任意の工程で添加することができる。例えば、上記脱水工程、及び乾燥工程の少なくとも1工程は、活性炭の共存下でも非共存下でも行うことができる。
前記混合工程は、前記汚泥が脱水工程Aで脱水された脱水汚泥あるいはおよび乾燥工程Aで乾燥された乾燥汚泥と、前記使用済み活性炭との混合物を調製する工程を含むか、又は前記混合工程は、前記汚泥と、前記使用済み活性炭とを混合したのちに脱水する脱水工程B、あるいはさらに該脱水工程Bの脱水汚泥を乾燥する乾燥工程Bを含むことが好ましい。ここで、脱水工程A、脱水工程B、乾燥工程A、乾燥工程Bとの文言を用いているが、便宜的に区別したもので、必ずしも脱水工程A、乾燥工程Aにおいて、活性炭が使用されないという意味ではない。
本発明では、汚泥の含水率によって、バイオマス燃料を製造するための種々の上記工程を構成することができる。例えば、以下の構成が挙げられる。
1)脱水工程A、乾燥工程A、及び混合工程をこの順で行う方法
脱水工程Aは、例えば、含水率95〜99%の汚泥を活性炭の非存在下に脱水する。この脱水は、所望により凝集剤による調質法が適用されてもよい。また、脱水は、遠心、プレス、スクリーン、等を用いて、通常、含水率80%以下とすることができる。ここで、含水率とは、水を含む汚泥の質量に対する該含水の水質量の100分率である。
乾燥工程Aは、例えば、上記脱水された汚泥(以下、脱水汚泥ともいう)を乾燥する工程であり、通常、含水率が0〜30%になるように乾燥され、乾燥された汚泥が調製される。以下、この乾燥された汚泥を乾燥汚泥という。当該乾燥装置は、熱源として熱流体(例えば、蒸気等のガス、湯等の液体)、固体熱源(セラミック、金属等)等を用いた加熱手段に加えて汚泥に対して物理的に力を与え、所望の形状、例えば、粒状等に成形可能な成形手段を有していてもよい。
混合工程は、例えば、上記脱水汚泥と活性炭とを混合する工程である。ここで、混合とは、少なくとも活性炭が脱水汚泥に付着(混合)していることが満たされればよく、汚泥における活性炭の分布に制限はなく、表面でも内部でもその両者でもよい。活性炭は、該乾燥汚泥に対して、通常、10〜50質量%、好ましくは、30%以上質量%含有される。
【0020】
2)汚泥と活性炭との混合物とを脱水する脱水工程Bの後に、脱水された汚泥と活性炭との混合物とを乾燥する乾燥工程Bを行う方法
脱水工程Bは、例えば、上記脱水工程Aにおいて、活性炭が共存することを除いて、上記処理条件、処理装置等を適用することができる。活性炭が共存すると活性炭により水の排出がより容易となる効果がある。活性炭の量は、上記混合工程の配合割合が適用される。また、脱水工程Bの処理で得られる活性炭を含む脱水汚泥(以下、活性炭含有脱水汚泥ともいう)は、乾燥工程Bで乾燥処理が施され、バイオマス燃料が製造される。乾燥工程Bでの適用装置等は、上記乾燥工程Aと同様なものが適用される。活性炭含有脱水汚泥は、その中の汚泥が上記乾燥汚泥の含水率となるように乾燥されることが好ましい。
【0021】
次に、本発明のバイオマス燃料の情報管理方法及びシステムについて説明する。
本発明の情報管理方法は、以下の施設の間の任意の情報を相互に共有する、情報管理施設を含むものである。
本発明の情報管理システムは、以下の施設の間を相互に共有することが可能な任意の情報を記憶する情報記憶手段、及び該施設間を相互に前記情報を共有することが可能な通信手段を少なくとも備えている。
【0022】
施設aは、汚泥を生産する一箇所以上の施設である。この施設aとしては、種々の含水率の汚泥を生産することができる。例えば、濃縮汚泥、脱水汚泥、乾燥汚泥等が挙げられる。
また、施設aは、前記汚泥の生産に関する任意の情報を、少なくとも情報管理施設との間で相互に共有することが可能な施設である。該情報としては、前記汚泥の、少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、計画発生量、等が挙げられる。該情報は、任意の情報記憶手段に記憶される。該情報記憶手段としては、パソコン又はサーバー等の情報記憶手段が挙げられ、例えば、ハードディスク等が挙げられる。また、該情報は、任意の通信手段により少なくとも情報管理施設との間で相互の情報の共有を行なうことができる。該通信手段としては、パソコン又はサーバー等のインターネット等が挙げられる。施設aは、情報管理施設以外に以下の諸施設の少なくとも1施設と情報を共有することができる。このことは、以下の諸施設においても同様である。
【0023】
施設bは、活性炭を生産する一箇所以上の浄水施設である。この施設bとしては、飲料水、工業用水等の用水の処理施設が挙げられる。
また、施設bは、前記活性炭の生産に関する任意の情報を、少なくとも情報管理施設との間で相互に共有することが可能な施設である。該情報としては、前記活性炭の、少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、計画発生量、等が挙げられる。該情報は、任意の情報記憶手段に記憶される。該情報記憶手段としては、上記施設aと同様なものが挙げられる。また、該情報は、任意の通信手段により少なくとも情報管理施設との間で相互の情報の共有を行なうことができる。該通信手段としては、上記のもの等が挙げられる。
【0024】
施設cは、前記施設aの汚泥と、前記bの活性炭とから本発明の方法によりバイオマス燃料を製造する施設である。この施設も上記と同様複数箇所であってよい。
また、施設cは、前記バイオマス燃料の生産に関する任意の情報を、少なくとも情報管理施設との間で相互に共有することが可能な施設である。該情報としては、前記バイオマス燃料の、少なくとも日生産量、年間変動、計画生産量、等が挙げられる。該情報は、任意の情報記憶手段に記憶される。該情報記憶手段としては、上記施設a、bと同様なものが挙げられる。また、該情報は、任意の通信手段により少なくとも情報管理施設との間で相互の情報の共有を行なうことができる。該通信手段としては、上記のもの等が挙げられる。
【0025】
施設dは、バイオマス燃料の利用施設である。この施設も上記と同様複数箇所であってよい。この施設としては、例えば、発電所等が挙げられる。
また、施設dは、前記バイオマス燃料の消費に関する任意の情報を、少なくとも情報管理施設との間で相互に共有することが可能な施設である。該情報としては、前記バイオマス燃料の、少なくとも日消費量、年間変動、計画消費量、等が挙げられる。該情報は、任意の情報記憶手段に記憶される。該情報記憶手段としては、上記施設と同様なものが挙げられる。また、該情報は、任意の通信手段により少なくとも情報管理施設との間で相互の情報の共有を行なうことができる。該通信手段としては、上記のもの等が挙げられる。
【0026】
施設eは、前記施設a、b、c、及びdの間を相互に連絡する輸送システムを管理する輸送管理施設である。この施設も上記と同様複数箇所であってよい。この施設としては、例えば、情報の共有が可能な配送センター等を包含する。また、該輸送システムは、交通手段、例えば、車、鉄道、航空機、等の運行を監視、制御するシステムが挙げられる。
【0027】
次に本発明のバイオマス燃料を製造するための態様の一例を図を参照して説明する。
図2において、汚泥1は脱水工程2に導入されて脱水され、脱水ろ液9と脱水汚泥3が調製され、脱水汚泥3は乾燥工程4に導入され乾燥処理が施される。乾燥工程4にて調製された乾燥汚泥5は混合工程6で活性炭7と混合され、減臭されたバイオマス燃料8として取り出される。汚泥1は予め濃縮しておく方が脱水効率が良い。脱水工程2では公知の凝集剤による調質法、公知の脱水機を利用することができる。脱水汚泥の含水率は80%以下が望ましい。乾燥工程4では公知の乾燥機を利用することができる。造粒乾燥装置を利用して乾燥汚泥を粒状にすると、燃料として取り扱いやすいバイオマス燃料を製造することができる。乾燥汚泥の含水率は10%以下、好ましくは数%以下が望ましい。混合工程は公知の混合機を利用することができるが、攪拌強度は小さいもので充分である。スクリューコンベアを用いても混合することができる。混合する活性炭7は含水したものも効果はあるが、乾燥したものの方が減臭効果が大きいので、好ましくは乾燥して混合すると良い。
【0028】
次にバイオマス燃料を製造するための他の実施態様を図3に示す。
汚泥1は脱水混合工程12に導入され、活性炭7とともに混合された後に、公知の凝集剤によって調質されたのちに脱水され、脱水ろ液9と活性炭含有脱水汚泥13が調製される。活性炭の添加によって、水が抜ける経路が形成されるため、脱水が容易となり含水率が低下する。活性炭含有脱水汚泥13は乾燥工程4に導入されて乾燥処理が施されて活性炭含有乾燥汚泥が調製され、この活性炭含有乾燥汚泥は減臭されたバイオマス燃料8として取り出される。
【0029】
次に、本発明の情報管理の実施態様の一例を図4に示す。活性炭と汚泥の排出量をバイマス燃料製造に整合せしめ、供給先の需要情報に基づいた配給は、コンピュータプログラムによって効率よく管理することができ、円滑な運営を行なうことができる。
本発明が管理する施設は次のa〜eの施設である。本発明の情報管理施設は、コンピュータプログラム、及び上記諸施設との情報の共有を可能とするITラインが設置されている情報管理施設である。この施設を施設fという。
a:有機性排水あるいは有機性廃棄物を処理して有機性汚泥を排出し、該排出有機性汚泥を濃縮汚泥、脱水汚泥、乾燥汚泥の少なくとも一つの形状でバイオマス燃料原料として場外に搬出する一箇所以上の施設
b:飲料水、工業用水等の用水の処理に活性炭を利用し、使用済み活性炭(廃活性炭)をバイオマス燃料原料として場外に排出する一箇所以上の浄水施設
c:前記施設aの濃縮汚泥、脱水汚泥、乾燥汚泥の少なくとも一つ以上と、前記bの使用済み活性炭を混合してバイオマス燃料とするバイオマス燃料生産施設
d:前記バイオマス燃料を発電等の燃料とするバイオマス燃料利用施設
e:前記施設a、b、c、dの間を相互に連絡する輸送システムを管理する施設
【0030】
施設aでは濃縮汚泥、脱水汚泥、乾燥汚泥の少なくとも一つの汚泥の毎日の発生量、含水率、該発生量と含水率の年間変動の情報記憶手段を有する。この記憶情報を施設fのコンピュータに送信することによって、施設fは毎日の乾物ベースの汚泥発生量、年間の乾物ベースの汚泥発生予想量の情報を得ることができる。1日の乾物ベース汚泥発生量DSは次式で求めることができる。
乾物ベース汚泥発生量DS(t/日)=汚泥発生量t/日×{(100−汚泥含水率)/100} (1)
【0031】
施設bは、使用済み活性炭の毎日の発生量、含水率(%)及び年間の発生量、含水率の年間変動の情報記憶手段を有する。この記憶情報を施設fのコンピュータに送信することによって、施設fは毎日の乾物ベースの使用済み活性炭発生量、年間の乾物ベースの使用済み活性炭発生予想量の情報を得ることができる。前記1日の乾物ベース使用済み活性炭発生量DSは前記(1)式と同様の式で求めることができる。
【0032】
施設cには、施設fから汚泥と使用済み活性炭の乾物ベース発生量から計算された日ベースのバイオマス燃料生産可能量の情報が送信されて、バイオマス燃料の生産計画を立てることができる。
【0033】
施設dは、バイオマス燃料の日ベースの消費量と貯留残量、消費計画量の情報記憶手段を有する。この記憶情報を施設fのコンピュータに送信することによって、計画量のバイオマス燃料を確保することができる。
【0034】
施設eは、施設fから施設a,b,cからそれぞれから搬出するバイオマス燃料原料(汚泥、使用済み活性炭)及びバイオマス燃料の質量あるいは容量の情報を受け、配車計画を立てる。
【0035】
施設fは、バイオマス燃料生産、流通を実用に供するため以下に列記する機能を有する。
1)バイオマス燃料生産可能量(乾物ベース)の情報提供
施設a、bの情報からプログラムにより演算する
2)バイオマス燃料生産費用の演算
施設a、bの汚泥、使用済み活性炭それぞれの含水率からプログラムにより演算される薬品費、燃料費、人件費。施設a、bからのバイオマス原料購入費及び輸送費。
3)バイオマス原料の熱量の情報提供
バイオマス原料の配分比からプログラムにより演算する
4)バイオマス燃料の最適輸送ルートの演算
GPS(Global Positioning System,全地球測位システム)からの輸送間距離の情報によりバイオマス燃料原料及びバイオマス燃料の輸送最短距離を演算し、施設eへ配車情報を送信する。最短距離の演算ソフトは市販されているものが利用できる。
5)計画
施設a、b、c、d、eからの情報記憶手段により累積した情報によりバイオマス燃料生産、配給の年間計画を立案し、需給のバランスを確保するための新規の需給市場を開拓するための情報を提供する。
本発明の施設fはコンピュータ及びオペレータが配置されていればよいので、施設fは施設a、b、c、d、eのいずれかと同一建物内にあってもよい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明バイオマス燃料の製造の実験例を実施例として説明する。本発明はこの実施例により何等制限されるものではない。
実験例1
J下水処理場の含水率5%以下の乾燥汚泥(粒径:1〜3mm)又は含水率35〜40%の汚泥にA、B、C浄水場の使用済み活性炭(粒径:0.5〜2mm)を活性炭添加率0〜50質量%で添加して付着・混合したのちに、100mlの密閉容器に約60%(容積%)充填し、7日後に密閉容器の蓋をはずし、3人でそれぞれ感覚的に臭気を判定し、表1に示した。
【0037】
【表1】

【0038】
上表のように、浄水場によって効果は異なるが、いずれも消臭作用があること、汚泥の水分は消臭にはマイナスであること、水分を含んでいても活性炭を大量に添加すると消臭効果があることが判明した。
【0039】
実験例2
J下水処理場の濃縮汚泥(汚泥濃度:5質量%)にB浄水場の使用済み活性炭(粒径:0.5〜2mm、含水率:35%)を活性炭添加率0〜60質量%添加混合したのちに、ポリマーを対SS 1.5質量%注入し、フィルタープレス試験機(加圧型ベルトプレス)で脱水し、含水率72〜78%の脱水汚泥を得、この脱水汚泥を含水率5%以下まで乾燥した乾燥汚泥を100mlの密閉容器に約60%(容積%)充填し、7日後に密閉容器の蓋をはずし、3人でそれぞれ感覚的に臭気を判定した。その結果、活性炭を添加したものは脱水効果、減臭効果のあることが判明した。結果を表2に示した。
【0040】
【表2】

【0041】
以下、本発明のバイオマス燃料の情報管理に関する実施例について説明する。
実施例1
本発明の情報管理システムはプログラムされたコンピュータをK環境装置メーカに設置し、メーカ社員が操作した。各施設からの情報からバイオマス燃料化を実施するための次のデータをまとめることができた。
・J下水処理場の汚泥排出量をプログラムで演算した結果、乾燥汚泥として2t/日であった。
・A,B浄水場の使用済み活性炭排出量プログラムで演算した結果、乾燥炭として1t/日であった。
・乾燥汚泥と乾燥炭を混合すると、活性炭添加率は33%=(1/(1+2))×100となる。
・バイオマス燃料生産量 3t/日
・バイオマス燃料需要施設のバイオマス燃料需要量 2t/日
・需要量に対して1t/日過剰生産になるので新規の需要先見つけることが緊急目標とする計画を立案した。
・バイオマス燃料生産施設、J下水処理場、A浄水場、バイオマス燃料需要施設の各々の相互間のGPSによる距離
上記各情報から、配車施設を選定し、移動ルートを、配車施設→J下水処理場→A浄水場→バイオマス燃料生産施設(バイオマス燃料積込)→バイオマス燃料需要施設→配車施設、とするのが最短距離になると計算され、輸送コストも低廉になることが明らかになった。
【符号の説明】
【0042】
1…汚泥、2…脱水工程、3…脱水汚泥、4…乾燥工程、5…乾燥汚泥、6…混合工程、7…活性炭、8…バイオマス燃料、9…脱水ろ液、12…脱水混合工程、13…活性炭含有脱水汚泥。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臭い吸着能を有する使用済み活性炭と、汚泥との混合物を調製する混合工程を含む、バイオマス燃料の製造方法。
【請求項2】
前記混合工程は、前記汚泥が脱水工程Aで脱水された脱水汚泥あるいはおよび乾燥工程Aで乾燥された乾燥汚泥と、前記使用済み活性炭との混合物を調製する工程を含む、請求項1のバイオマス燃料の製造方法。
【請求項3】
前記混合工程は、前記汚泥と、前記使用済み活性炭とを混合したのちに脱水する脱水工程B、あるいはさらに該脱水工程Bの脱水汚泥を乾燥する乾燥工程Bを含む、請求項1又は2のバイオマス燃料の製造方法。
【請求項4】
前記使用済み活性炭は粒状活性炭である、請求項1〜3のいずれか1項のバイオマス燃料の製造方法。
【請求項5】
前記使用済み活性炭が上水(飲料水)の原水を浄化する工程で使用されたものである請求項1〜4のいずれか1項のバイオマス燃料の製造方法。
【請求項6】
請求項2の脱水工程A又は請求項3の脱水工程Bで使用される脱水装置、及び請求項2の乾燥工程A又は請求項3の乾燥工程Bで使用される乾燥装置、又は請求項2の混合物を調製する工程で使用される混合装置を含む、バイオマス燃料の製造装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項のバイオマス燃料の製造方法又は請求項6のバイオマス燃料の製造装置により製造された、汚泥と臭い吸着能を有する使用済み活性炭を含むバイオマス燃料。
【請求項8】
施設a:前記汚泥を生産する一箇所以上の施設であって、前記汚泥の、少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を、少なくとも情報管理施設fとの間で相互に共有することが可能な施設、
施設b:臭い吸着能を有する使用済み活性炭を生産する一箇所以上の浄水施設であって、前記臭い吸着能を有する使用済み活性炭の、少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を、少なくとも情報管理施設fとの間で相互に共有することが可能な施設、
施設c:前記施設aの汚泥と、前記bの該使用済み活性炭とから請求項7のバイオマス燃料を製造するバイオマス燃料生産施設であって、前記バイオマス燃料の、少なくとも日生産量、年間変動、及び計画生産量を含む情報を、少なくとも情報管理施設fとの間で相互に共有することが可能な施設、
施設d:前記バイオマス燃料の利用施設であって、前記バイオマス燃料の、少なくとも日消費量、年間変動、及び計画消費量を含む情報を、少なくとも情報管理施設fとの間で相互に共有することが可能な施設、及び
施設e:前記施設a、b、c、及びdの間を相互に連絡する輸送システムを管理する輸送管理施設を少なくとも含む施設に対して、前記情報を管理する方法であって、
前記情報管理施設はf、前記施設a、b、c、d、及びeの間の前記情報を相互に共有する、
バイオマス燃料の情報管理方法。
【請求項9】
前記施設a、b、c、d、e及びfの少なくとも2施設が同一敷地内にある、請求項15のバイオマス燃料の情報管理方法。
【請求項10】
施設a:前記汚泥を生産する一箇所以上の施設であって、前記汚泥の、少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設fとの間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段とを備えた施設
施設b:臭い吸着能を有する使用済み活性炭を生産する一箇所以上の浄水施設であって、前記臭い吸着能を有する使用済み活性炭の、少なくとも日発生量、含水率、該発生量と該含水率との年間変動、及び計画発生量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設fとの間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段とを備えた施設
施設c:前記施設aの汚泥と、前記bの該使用済み活性炭とから請求項7のバイオマス燃料を製造するバイオマス燃料生産施設であって、前記バイオマス燃料の、少なくとも日生産量、年間変動、及び計画生産量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設fとの間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段とを備える施設、
施設d:前記バイオマス燃料の利用施設であって、前記バイオマス燃料の、少なくとも日消費量、年間変動、及び計画消費量を含む情報を記憶する情報記憶手段と、少なくとも情報管理施設fとの間を相互に該情報を共有することが可能な通信手段とを備える施設、及び
施設e:前記施設a、b、c、及びdの間を相互に連絡する輸送システムを管理する輸送管理施設を少なくとも含む施設に対して、前記情報を管理するシステムであって、
前記情報管理施設fは、前記施設a、b、c、d、及びeの間を相互に共有することが可能な情報を記憶する情報記憶手段、及び前記施設a、b、c、d、及びeの間を相互に前記情報を共有することが可能な通信手段を少なくとも備えている、
バイオマス燃料の情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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