バイオマス燃料バーナ
【課題】二酸化炭素の排出量を効果的に削減でき、燃料費を削減でき、しかも、安定して被加熱媒体を供給できるバイオマス燃料バーナを提供すること。
【解決手段】
温水ボイラ1は、バーナ2と、バーナ2からの燃焼排ガスと水とを熱交換する第1熱交換器31と、バーナ2に一体に形成された第2熱交換器32と、燃料サイロ4と、燃料サイロ4の燃料をバーナ3に供給するスクリューコンベア5を備える。バーナ2で燃料が燃焼してなる燃焼排ガスを戻りダクト62を介して排ガスブロワ81で吸引し、排ガス分岐弁85で分流する。分流した一方の燃焼排ガスを燃料供給管に供給して燃料の前加熱を行う。分流した他方の燃焼排ガスを空気と混合してバーナ2の燃焼室に供給して再燃焼させる。
【解決手段】
温水ボイラ1は、バーナ2と、バーナ2からの燃焼排ガスと水とを熱交換する第1熱交換器31と、バーナ2に一体に形成された第2熱交換器32と、燃料サイロ4と、燃料サイロ4の燃料をバーナ3に供給するスクリューコンベア5を備える。バーナ2で燃料が燃焼してなる燃焼排ガスを戻りダクト62を介して排ガスブロワ81で吸引し、排ガス分岐弁85で分流する。分流した一方の燃焼排ガスを燃料供給管に供給して燃料の前加熱を行う。分流した他方の燃焼排ガスを空気と混合してバーナ2の燃焼室に供給して再燃焼させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば木屑等のバイオマス燃料を用いて水等の被加熱媒体を加熱するバイオマス燃料バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
水を加熱して温水や蒸気を生成するボイラでは、重油等の化石燃料が主に用いられてきたが、最近、地球温暖化等の環境問題や石油価格の高騰に対処するため、使用する燃料を化石燃料から代替燃料へ転換することが強く求められている。
【0003】
ボイラのバーナに用いる代替燃料としては、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を削減できる点から、植物由来のバイオマス燃料が注目されている。植物由来のバイオマス燃料は、燃焼により発生する二酸化炭素の量が、材料に用いられた植物が成長過程において吸収した二酸化炭素の量と実質的に同じと考えられるため、大気の二酸化炭素量を増やさない所謂カーボンニュートラルであるとされている。
【0004】
植物由来のバイオマス燃料をバーナの燃料に用いるボイラとしては、木質ペレットを用いるものが提案されている(例えば、特開2008−064370号公報;特許文献1参照)。木質ペレットは、木質材料の粉末を円柱形に成形してなる固形燃料であり、木屑や樹皮等の木質材料を粉砕する粉砕工程と、粉砕された木質粉末を加熱乾燥させる乾燥工程と、乾燥した木質粉末を圧縮成形する成形工程とを経て製造される(例えば、特開2007−246574号公報;特許文献2参照)。こうして製造された木質ペレットは、水分量が比較的少ないうえに水分量のばらつきが少ない。したがって、木質ペレットをバーナの燃料に使用した場合、燃焼状態が安定し、ボイラによる被加熱媒体の供給を安定にすることができる。
【特許文献1】特開2008−064370号公報
【特許文献2】特開2007−246574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、木質ペレットは、複数の工程を経て製造されるので、製造のために消費されたエネルギーを考慮すればカーボンニュートラルとみなすことはできない。したがって、木質ペレットをバーナの燃料とするボイラは、二酸化炭素の排出量削減効果が低いという問題がある。また、木質ペレットは、複数の工程を経て製造されるので製造コストが高く、したがって、ボイラの燃料費の上昇を招くという問題がある。
【0006】
ここで、木質ペレットを用いないで、木屑チップのように、製造工程が少なくて製造のために消費されるエネルギーの少ないバイオマスを、バーナの燃料に用いることが考えられる。しかしながら、このようなバイオマスは、寸法のばらつきが大きく、また、水分量のばらつきが大きいので、従来のボイラのバーナの燃料として用いた場合、燃焼状態が不安定となり、被加熱媒体を安定して供給することができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、二酸化炭素の排出量を効果的に削減でき、燃料費を削減でき、しかも、安定した温度及び量の熱を生成できるバイオマス燃料バーナを提供することにある。また、バイオマスの特性に対応できて実用性の高いバイオマス燃料バーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のバイオマス燃料バーナは、
バイオマスを含む燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、
燃料を燃焼する燃焼室を有するバーナ部と、
上記燃料貯蔵部に貯蔵された燃料をバーナ部の燃焼室に搬送する燃料搬送部と、
上記燃料搬送部に設けられ、この燃料搬送部で搬送されている燃料を破砕する燃料破砕部と、
上記燃料破砕部で破砕された燃料の前加熱を行う燃料前加熱部と
を備えることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、燃料貯蔵部に貯蔵されてバイオマスを含む燃料が、燃料搬送部によってバーナ部の燃焼室に搬送される。この燃料搬送部で搬送される燃料は、燃料破砕部によって破砕される。更に、燃料破砕部によって破砕された燃料が、燃料前加熱部によって前加熱される。破砕され、かつ、前加熱された燃料が、バーナ部の燃焼室で燃焼する。燃料の燃焼によって生成された熱は、例えば熱交換器や加熱炉や焼却炉等の種々の熱機器に利用される。
【0010】
ここで、上記燃料貯蔵部に貯蔵される燃料に含まれるバイオマスが、寸法のばらつきが比較的大きいものであっても、燃料破砕部によって破砕されるので、寸法のばらつきが低減された燃料をバーナ部の燃焼室に供給することができる。したがって、燃焼室における燃焼状態を安定にすることができる。
【0011】
また、上記燃料貯蔵部に貯蔵される燃料に含まれるバイオマスが、水分量のばらつきが比較的大きいものであっても、燃料前加熱部で前乾燥をするので、燃料の水分量を十分に低くした後に燃焼室で燃焼させることができる。したがって、このバイオマス燃料バーナは、例えば木屑チップのように、製造工程は簡易であるが寸法と水分量のばらつきが比較的大きいバイオマスを用いても、燃焼室の燃焼状態を安定にすることができて、安定した温度及び量の熱を生成することができる。その結果、木質ペレットを用いる従来のバーナよりも、燃料の製造に消費されたエネルギーを考慮してもカーボンニュートラルに近い程度に、二酸化炭素の排出量を削減できる。また、製造コストの安い燃料を用いることができるので、バイオマス燃料バーナの燃料費を効果的に低減することができる。
【0012】
また、上記燃料破砕部によって燃料の寸法のばらつきを低減でき、かつ、燃料前加熱部によって水分量のばらつきを低減できるので、例えば伐採直後の間伐材や、伐採から時間が経過した製材端材等が混在するような、異なる種類の材料が混在するバイオマスを燃料に用いることができる。したがって、精製により品質が均一化される化石燃料と比較して品質にばらつきを有するというバイオマスの特性に対応でき、高い実用性を有するバイオマス燃料バーナが得られる。
【0013】
また、本発明のバイオマス燃料バーナは、燃料破砕部によって燃料の寸法のばらつきを低減でき、かつ、燃料前加熱部によって水分量のばらつきを低減できるので、燃料貯蔵部に投入する燃料は、予め破砕や加熱等の処理が不要である。したがって、種々のバイオマスを収集し、そのまま燃料破砕部に投入するのみにより、バイオマス燃料バーナを安定して運転することができる。すなわち、燃料を燃料貯蔵部へ投入する前に、燃料に処理を行う手間が不要であるので、燃料の取り扱いを簡易にすることができる。なお、燃料破砕部や燃料前加熱部の能力に応じて、投入するバイオマスの寸法や水分量を制限してもよい。
【0014】
また、本発明のバイオマス燃料バーナは、燃料破砕部が燃料搬送部に設けられているので、効果的に小型化を図ることができる。
【0015】
本発明において、バイオマスとは、生物由来の資源をいう。植物性のバイオマスとしては、草や穀物等の農業系資源と、木材、樹皮、製材端材、間伐材、剪定材及び伐根材等の林業系資源と、流木材及び建築廃材等の廃棄物系資源を例示することができる。
【0016】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料搬送部は、回転駆動されて燃料を送る螺旋羽根と、この螺旋羽根を収容するケーシングとを有するスクリューコンベアを有し、
上記燃料破砕部は、上記スクリューコンベアの螺旋羽根の縁に設けられた切欠き部と、この切欠き部の回転経路に沿って上記ケーシングの内周面に設けられた突出部とを有する。
【0017】
上記実施形態によれば、燃料搬送部のスクリューコンベアで燃料が送られるに伴い、スクリューコンベアが有する螺旋羽の切り欠き部と、ケーシングの突出部との相互作用によって燃料が破砕され、燃料の寸法のばらつきが低減される。このように、燃料搬送部が有するスクリューコンベアの構成部品に切り欠きと突出部とを設けることにより、破砕機能を付加しているので、燃料搬送部の大きさを変更することなく搬送機能と破砕機能とを両立することができる。
【0018】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料前加熱部は、上記バーナ部の燃焼室から排出された燃焼排ガスを用いて燃料の前加熱を行う。
【0019】
上記実施形態によれば、バーナ部の燃焼室で燃料が燃焼して生成されて排出された燃焼排ガスを用いて、燃料前加熱部で燃料の前加熱を行うので、熱源を別途設けることなく燃料の前加熱を行うことができる。このように、燃焼室で生成された熱を利用することにより、エネルギーの無駄な消費を防止できるので、バイオマス燃料バーナの効率を向上でき、また、二酸化炭素の排出量削減を行うことができる。
【0020】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料前加熱部に供給する燃焼排ガスの量を、上記燃焼室に供給される燃料の水分量に基づいて制御するガス量制御部を備える。
【0021】
上記実施形態によれば、ガス量制御部により、燃料前加熱部に導かれる燃焼排ガス量が、燃焼室に供給される燃料の水分量に基づいて調節される。これにより、燃料に、燃料の水分量に応じた適切な量の燃焼排ガスを供給できるので、燃料を効果的に乾燥させて燃焼効率の低下を防止することができる。
【0022】
ここで、上記ガス量制御部は、燃料の水分量が多い場合に燃焼排ガスの供給量を大きくする一方、燃料の水分量が少ない場合に燃焼排ガスの供給量を小さくするように調節するのが好ましい。燃料の水分量は、燃料供給管に設けた水分センサで検出することができる。
【0023】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料搬送部は、燃料貯蔵部から燃料を搬送するスクリューコンベアと、このスクリューコンベアで搬送された燃料をバーナ部の燃焼室の下部に導入する燃料供給管を有し、
上記燃料前加熱部は、上記燃料搬送部の燃料供給管内に燃焼排ガスを供給するように形成されている。
【0024】
上記実施形態によれば、燃料が、燃料貯蔵部からスクリューコンベアによって搬送され、燃料供給管を通って燃焼室に供給されるとき、燃料前加熱部によって燃料供給管内に供給された燃焼排ガスで加熱される。
【0025】
なお、上記燃料前加熱部は、燃焼室の下方の位置に燃料供給管を取り巻くように配置されるのが、バイオマス燃料バーナをコンパクトにできる点で好ましい。
【0026】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記バーナ部の燃焼室に旋回流を形成するように燃焼用空気を供給する旋回空気供給部と、
上記旋回空気供給部に設けられ、上記燃焼室へ供給される燃焼用空気の前加熱を行う空気前加熱部とを備える。
【0027】
上記実施形態によれば、旋回空気供給部によって燃焼室に旋回流を形成するように燃焼用空気を供給することにより、燃焼室内に燃焼用空気と燃焼ガスの流れの密度を増大でき、燃料を効率的に酸化して燃焼を促進することができる。また、空気前加熱部により、燃焼用空気の前加熱を行うことにより、燃焼室の燃焼温度を安定に高温に保つことができる。
【0028】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記旋回空気供給部は、上記燃焼室の外周側に設けられた円筒環状の空気室と、この円筒環状の空気室に接線方向に燃焼用空気を導入する空気導入路と、上記空気室の燃焼用空気を燃焼室内に導く空気導入路とを有し、
上記旋回空気供給部の空気室が、内周側の燃焼室から伝わる熱で燃焼用空気の前加熱を行うように形成されて、上記空気前加熱部を兼ねている。
【0029】
上記実施形態によれば、旋回空気供給部では、空気導入路から円筒環状の空気室に接線方向に燃焼用空気が導入され、これにより、空気室に燃焼用空気の旋回流が形成される。この空気室内を旋回状に流れる燃焼用空気が、空気導入路を経て燃焼室に導かれることにより、燃焼室に燃焼用空気と燃焼ガスの旋回流を形成することができる。
【0030】
また、上記実施形態によれば、旋回空気供給部の空気室が燃焼室の外周側に設けられていることにより、空気室を流れる燃焼用空気が、内周側の燃焼室から伝わる熱で加熱される。このように、旋回空気供給部の空気室が空気前加熱部を兼ねることにより、熱源を別途設けることなく燃焼用空気の前加熱を行うことができる。このように、燃焼室で生成された熱を利用することにより、エネルギーの無駄な消費を防止できるので、バイオマス燃料バーナの効率を向上でき、また、二酸化炭素の排出量削減を行うことができる。また、旋回空気供給部の空気室が空気前加熱部を兼ねることにより、バーナ部の小型化を行うことができる。更に、燃焼室から放射される熱を燃焼用空気の前加熱に利用することにより、バーナ部の外への熱の放射を低減することができ、バーナ部の外壁の断熱材を省略することができる。
【0031】
なお、上記旋回空気供給部の円筒環状の空気室は、円筒状の燃焼室の外周壁を取り囲むように形成されるのが好ましく、上記空気導入路は、燃焼室の外周壁の空気室と燃焼室とを隔てる部分に周方向に配列された複数の貫通穴によって形成されるのが好ましい。
【0032】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料前加熱部は、上記バーナ部の燃焼室内に供給された燃料を、上記バーナ部の燃焼室から排出された燃焼排ガスを含む加熱媒体によって燃焼室の底側から加熱するように形成されている。
【0033】
上記実施形態によれば、燃料室内に供給された燃料が、燃料加熱部により、燃料室の底側から加熱媒体で加熱される。これにより、燃焼室内の燃料が、底側から乾燥、炭化及び燃焼が促進される。したがって、燃料の燃焼効率を向上することができる。
【0034】
また、燃焼排ガスを含む加熱媒体を燃焼室に戻すことにより、燃焼排ガスに残留する未燃成分を燃焼させることができるので、燃料の燃焼効率を向上することができる。
【0035】
なお、上記加熱媒体は、例えば空気と燃焼排ガスとの混合気体や、燃焼排ガスのみを用いることができる。
【0036】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料前加熱部は、燃焼室内に供給された燃料を支持する燃料支持具を有し、この燃料支持具は、上記燃焼室内の底部に配置され、燃焼室の底から離れるにつれて拡径するテーパ形状を有すると共に上記加熱媒体の流通穴を有し、表面に支持する燃料に、上記流通穴を通して加熱媒体を供給するように形成されている。
【0037】
上記実施形態によれば、燃料支持具が燃焼室の底から離れるにつれて拡径するテーパ形状を有することにより、燃焼室内に供給された燃料を中央部に集めることができる。また、燃料支持具の流通穴を通して、中央部に集めた燃料に加熱媒体を効果的に供給することができ、燃料の燃焼効率を効果的に向上することができる。特に、加熱媒体が燃焼排ガスのみで形成されて高温である場合、燃焼室に供給されて燃料支持具上に支持された燃料の下側から乾燥、炭化及び燃焼を促すことができるので、燃料の燃焼効率を効果的に高めることができる。
【0038】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記加熱媒体は、上記バーナ部の燃焼室から排出された燃焼排ガスと空気との混合気体である。
【0039】
上記実施形態によれば、高温であると共に未燃成分を含む燃焼排ガスと、空気とを混合することにより、空気のみを供給するよりも燃焼室の温度を高めると共に、燃焼室内に燃焼成分と酸素を供給することができ、したがって、燃焼室における燃料の燃焼効率を効果的に高めることができる。また、燃焼排ガスと空気との混合割合を適宜調整することにより、加熱媒体の温度と酸素量を適切に調整して、燃焼室の燃焼状態を制御することができる。
【0040】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記混合気体の燃焼排ガスと空気との混合割合を、上記燃焼室から排出された燃焼排ガスの残留酸素量に基づいて制御する混合制御部を備える。
【0041】
上記実施形態によれば、混合制御部により、混合気体の燃焼排ガスと空気の混合割合が、燃焼室から排出された燃焼排ガスの残留酸素量に基づいて調節される。これにより、残留酸素量に対応する未燃成分の量に応じた量の燃焼排ガスを燃焼室に戻して再燃焼させることができるので、燃焼排ガスに残留する燃料の未燃成分を適切に燃焼させて燃焼効率を向上でき、また、燃料の未燃成分の排出を防止して周辺環境の汚染を防止できる。
【0042】
ここで、上記混合制御部は、燃焼排ガスの残留酸素量が多い場合、混合気体の空気に対する燃焼排ガスの割合を大きくする一方、燃焼排ガスの残留酸素量が少ない場合、混合気体の空気に対する燃焼排ガスの割合を小さくするように調節するのが好ましい。燃焼排ガスの残留酸素量は、例えば、燃焼排ガスと被加熱媒体との熱交換を行う熱交換器の排出口に設けた酸素センサで検出することができる。
【0043】
上記バーナ部の燃焼室内に、この燃焼室内に供給された燃料の上方の内径側と外径側とから燃焼用空気を供給する補助燃焼用空気供給部を備える。
【0044】
上記実施形態によれば、補助燃焼用空気供給部により、燃焼室内に供給された燃料の上方の内径側と外径側とから燃焼用空気を供給するので、燃料の燃焼効率を更に向上することができる。
【0045】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記バーナ部の燃焼室に水を供給する給水部を備える。
【0046】
上記実施形態によれば、給水部によって燃焼室に供給された水により、燃焼室内の燃料又は燃焼ガスを改質して燃焼効率を向上できる。また、燃焼室内の温度を調節して窒素酸化物の生成を抑制できる。
【0047】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記バーナ部の燃焼室の外周側に配置され、燃焼用空気が導入されて燃焼用空気の前加熱を行う円筒環状の空気室と、この空気室の燃焼用空気を燃焼室内に導く空気導入路とを有する空気前加熱部を備え、
上記空気前加熱部の空気室の外周側を取り囲むように形成されて被加熱媒体としての水が導入される円筒環状の水室を有し、
上記給水部は、上記水室と、上記空気前加熱部の空気室との隔壁を貫通して設けられたバルブ装置を有し、このバルブ装置のバルブが開き駆動され、上記水室の水が空気室に導かれて空気導入路を通って燃焼室内に供給されるように形成されている。
【0048】
上記実施形態によれば、バーナ部の燃焼室の外周側に空気前加熱部の空気室と水室とを配置すると共に、互いに隣接する空気室と水室との隔壁を貫通するバルブ装置を設置することにより、燃焼用空気の前加熱と被加熱媒体の加熱を行うことができ、しかも、燃焼室への水の供給により燃料の改質や窒素酸化物の低減を行うことができる。したがって、小型でありながら、熱効率の高いバイオマス燃料バーナが得られる。
【0049】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料は、植物性のバイオマスを含む。
【0050】
上記実施形態によれば、植物性のバイオマスを含む燃料を、寸法と水分量のばらつきを低減して燃焼することができるので、例えば木質チップのような、製造工程は簡易であるが寸法と水分量のばらつきが比較的大きい植物性のバイオマスを用いることができる。したがって、このバイオマス燃料バーナは、カーボンニュートラルに近い程度に二酸化炭素の排出量を削減できると共に、燃料費の効果的に削減でき、しかも、所定温度の熱を安定して供給できる。
【発明の効果】
【0051】
本発明のバイオマス燃料バーナによれば、寸法と水分量のばらつきが比較的大きいバイオマスを含む燃料を用いても、バーナの燃焼室に安定した燃焼状態を形成することができ、安定した温度及び量の熱を生成することができる。したがって、例えば、水分量の多い伐採直後の間伐材のチップや、水分量の少ない製材端材のチップ等が混在するバイオマス燃料を用いても、燃焼室の燃焼状態を安定にして所定温度の熱を安定に供給できる。その結果、種類の異なる複数のバイオマスが混在する燃料を用いることができ、燃料の製造過程を考慮してもカーボンニュートラルに近い程度に二酸化炭素の排出量を削減でき、しかも、燃料費の削減を行うことができ、更に、安定して熱を供給することができる。したがって、精製により品質が均一化される化石燃料と比較して、種類や品質にばらつきが生じやすいというバイオマスの特性に対応でき、高い実用性を有するバイオマス燃料バーナが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0053】
図1は、本発明の実施形態のバイオマス燃料バーナを用いたボイラを示す模式図である。このボイラは、バーナの燃料として植物性のバイオマスを用いて、被加熱媒体としての水を加熱して温水を生成する温水ボイラである。
【0054】
この温水ボイラ1は、図1に示すように、バイオマス燃料バーナとしてのバーナ2と、バーナ2から排出された燃焼排ガスと水とを熱交換する第1熱交換器31と、バーナ2に一体に形成された第2熱交換器32と、燃料貯蔵部としての燃料サイロ4を備える。燃料サイロ4の燃料は、スクリューコンベア5でバーナ2の下部に供給するように形成されている。第1熱交換器31の燃焼排ガスの排出口には、燃焼排ガスから灰を除去するサイクロン装置6が接続されている。サイクロン装置6は、図示しないが、並列して2機設けられている。サイクロン装置6で分離された灰は、図示しない冷却集灰装置で収集されるようになっている。
【0055】
一方、サイクロン装置6の排気管には、排気ダクト61を介して排気ブロワ7が接続されていると共に、排気ダクト61の途中に接続された戻りダクト62を介して燃焼排ガスを吸引する排ガスブロワ81が接続されている。サイクロン装置6から排ガスブロワ81で吸引された燃焼排ガスを排ガス分岐弁85で分流し、分流した一方の燃焼排ガスをバーナ2に直接供給する一方、分流した他方の燃焼排ガスを空気と混合してバーナ2に供給するように形成されている。バーナ2は、空気ブロワ84で燃焼用空気が供給される。空気ブロワ84で吸引した空気を空気分岐弁83で分流して、分流した一方の空気を燃焼用空気としてバーナ2に供給する一方、分流した他方の空気を燃焼排ガスと混合してバーナ2に供給するように形成されている。バーナ2には、燃焼室に水を供給する給水部としてのバルブ装置9が設けられている。
【0056】
この温水ボイラ1のバーナ2の燃料に用いられる植物性のバイオマスは、間伐材のチップと製材端材のチップと建築廃材のチップとが混合されたものである。間伐材のチップは、多種類の樹木が混在する間伐材を、50〜100mm程度の寸法に破砕してなる破砕片であり、樹皮や葉枝部分を含んでいる。製材端材のチップは、原木から角材等の製材が採取されたときに残る原木の外周部分や端面部分を、50〜100mm程度の寸法に破砕してなる破砕片であり、樹皮を含んでいる。また、建築廃材のチップは、建築物の取り壊しによって生じた廃材を、50〜100mm程度の寸法に破砕してなる破砕片である。間伐材のチップと製材端材のチップは、伐採から経過した時間や保存状態に応じて10〜70%の水分量を有する。建築廃材のチップは、保存状態が湿潤である場合を除いて、通常は10〜20%の比較的低い水分量を有する。このように、燃料としての植物性のバイオマスは、異なる種類の木から形成され、また、寸法と水分量にばらつきを有する状態で、燃料サイロ4に投入されて貯蔵される。
【0057】
図2は、バーナ2を示す断面図である。このバーナ2は、燃料としての植物性のバイオマスを燃焼し、被加熱媒体としての水を加熱する熱を生成するものである。このバーナ2は概ね円筒形状の外観を有し、内側から外側に向かって順に、円筒形状の第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2と、円筒環状の第1空気室R1及び第2空気室R2を有する。第2燃焼室C2の天面と第1空気室R1及び第2空気室R2の側面及び天面を取り囲むように、第2熱交換器32が形成されている。第1燃焼室C1の下方には、環状の底部空気室R3と加熱空気室R4が順に設けられている。底部空気室R3と加熱空気室R4の径方向内側には、上方に向かって拡径した管状の燃料供給管28が設けられている。燃料供給管28の下端は、スクリューコンベア5に連結されている。燃料供給管28は、スクリューコンベア5と共に燃料搬送部を構成している。
【0058】
第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2は、筒状の内壁21内の下側部と上側部とで形成され、第1燃焼室C1の上部と第2燃焼室C2の下部が連なっていて、全体として円筒形状を有する。第1燃焼室C1の底面は、内壁21の下端に固定された円形の底板210で画定されている。第2燃焼室C2の天面は、内壁21の上端に固定された円形の内天板212で画定されている。第1燃焼室C1の底面を画定する底板210には、燃料供給管28の上端部が突出している。この燃料供給管28の周りを取り囲むように、燃料支持具29が底板210上に配置されている。
【0059】
内壁21には、第1空気室R1から第1燃焼室C1に燃焼用空気を導入する第1空気導入路216と、第2空気室R2から第2燃焼室C2に燃焼用空気を導入する第2空気導入路218が設けられている。
【0060】
第1燃焼室C1には、燃料支持具29の上端から多少上方位置に開口する点検窓213が連通している。また、第1燃焼室C1には、バーナ2の起動時に燃料に着火する着火部27の先端が連通している。
【0061】
第2燃焼室C2の上部には、燃焼排ガスを排出する排気管215が接続されている。
【0062】
なお、第1燃焼室C1と第2燃焼室C2は、必ずしも、互いに継ぎ目無く連続する同一径の円筒形状に形成しなくてもよい。例えば、第1燃焼室C1と第2燃焼室C2を異なる径の円筒形状に形成してもよい。また、第1燃焼室C1と第2燃焼室C2との間の一部分を、環状の板状体等で仕切ってもよい。
【0063】
第1空気室R1及び第2空気室R2は、内壁21と、この内壁21と中心軸が一致する筒状の中間壁22との間に形成された円筒環状の空間が、環状の仕切壁211で上下に仕切られて形成されている。第1空気室R1の底面は中間壁22の下端に固定された底板210で画定されている。第2空気室R2の天面は中間壁22の上端に固定された内天板212で画定されている。第1空気導入路216は内壁21の下部に形成され、複数の貫通穴217が周方向に連なると共に軸方向に複数段配列されて形成されている。第1空気導入路216は、燃料供給管28の上端よりも多少高い位置に形成されている。第2空気導入路218は内壁21の上部に形成され、第1空気導入路216と同様に、複数の貫通穴219が周方向に連なると共に軸方向に複数段配列されて形成されている。なお、第1空気導入路216と第2空気導入路218は、貫通穴217,219にノズルや整流部材等を取り付けて形成してもよい。また、貫通穴217,219の形状は、円形以外に楕円形やスリット状や矩形などの種々の形状に設定できる。
【0064】
底部空気室R3は、底板210の下側面に固定された円筒状のケーシング24内に形成されており、ケーシング24の底板に設けられた貫通穴に燃料供給管28が貫通した状態で固定されている。底部空気室R3のケーシング24は、中心軸が内壁21の中心軸と一致するように配置されている。底部空気室R3には、後述のように、所定の基準に基づいて混合割合が調節された空気と混合排ガスとの混合気体が供給されるようになっている。
【0065】
加熱空気室R4は、底部空気室R3のケーシング24の底板の下側面に固定された円筒状のケーシング25内に形成されており、ケーシング25の底板に形成された貫通穴に燃料供給管28が貫通した状態で固定されている。加熱空気室R4のケーシング25は、中心軸が底部空気室R3のケーシング24の中心軸と一致するように配置されている。加熱空気室R4には、サイクロン装置6で灰が除去された燃焼排ガスが、排ガス供給管251を介して供給されるようになっている。
【0066】
図3は、第1及び第2空気室R1,R2と底部空気室R3を画定する部材を取り出して示した平面図である。図3に示すように、第1空気室R1の上部には、筒状の中間壁22の接線方向に延びて燃焼用空気を導入する第1空気導入管221が連結されている。また、第2空気室R2の上部には、筒状の中間壁22の接線方向に延びて燃焼用空気を導入する第2空気導入管222が連結されている。
【0067】
上記第1空気導入管221から第1空気室R1内に接線方向に燃焼用空気が導入されることにより、燃焼用空気が第1空気室R1内を旋回状に下方に流れる。第1空気室R1の下部に達した燃焼用空気は、第1空気導入路216から第1燃焼室C1内に、径方向に対して傾斜する方向に供給され、第1燃焼室C1に燃焼用空気の旋回流を形成するようになっている。
【0068】
また、上記第2空気導入管222から第2空気室R2内に接線方向に燃焼用空気が導入されることにより、燃焼用空気が第2空気室R2内を旋回状に下方に流れる。第2空気室R2の下部に達した燃焼用空気は、第2空気導入路218から第2燃焼室C2内に、径方向に対して傾斜する方向に供給され、第2燃焼室C2に燃焼用空気の旋回流を形成するようになっている。
【0069】
このように、第1空気導入管221、第1空気室R1及び第1空気導入路216により、旋回空気供給部を構成している。また、第2空気導入管222、第2空気室R2及び第2空気導入路218により、旋回空気供給部を構成している。
【0070】
更に、燃焼用空気が第1空気室R1内を流れる際、燃焼用空気は、第1燃焼室C1で生成されて内壁21を通して伝達される熱を受けて前加熱される。また、燃焼用空気が第2空気室R2内を流れる際、第2燃焼室C2で生成されて内壁21を通して伝達される熱を受けて前加熱される。このように、第1空気室R1及び第2空気室R2は、空気前加熱部としても機能する。第1空気室R1及び第2空気室R2が前加熱部として機能することにより、前加熱を行いながらバーナ2の小型化を行うことができると共に、第1空気室R1及び第2空気室R2内を流れる燃焼用空気の断熱作用により、外壁23の断熱材を削除できる。
【0071】
図3には、底部空気室R3を画定するケーシング24を重ねて示している。図3に示すように、ケーシング24の側面には、円筒状のケーシング24の側面の接線方向に延びて混合気体を供給する混合気体導入管241が連結されている。混合気体が混合気体導入管241を通ってケーシング24内に接線方向に供給されることにより、ケーシング24内の底部空気室R3に混合気体の旋回流を形成する。これにより、底板210の空気導入路210aと燃料支持具29の貫通穴293を経由して、第1燃焼室C1の燃料支持具29の上方に、混合気体を旋回状に吹き出すようになっている。
【0072】
第2熱交換器32は、中間壁22と、この中間壁22と軸線が一致するように配置された筒状の外壁23との間に形成された円筒環状の水室を有するジャケット式の熱交換器である。外壁23の上端には第2熱交換器32の天面を画定する外天板231が固定されている。外壁23の下端は、底板210に固定されている。上記外壁22、外天板231及び底板210の内側と、中間壁22及び内天板212の外側の間に、円筒環状の水室を形成している。第2熱交換器32は、下部に水供給口W21が設けられていると共に上部に水排出口W22が設けられており、水供給口W21から供給された水を、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2で生成される熱で加熱して、水排出口W22から排出するようになっている。また、排気管215の外側には、外壁23に固定された排気外管235が取り囲んでおり、この排気管215と排気外管235との間の空間が第2熱交換器32の一部を構成している。
【0073】
燃料供給管28は漏斗形状を有し、スクリューコンベア5のケーシング54の上面に下端が連結された筒部28aと、この筒部28aの上端に連なって上方に向かうにつれて拡径する拡径部28bとを有する。燃料供給管28の拡径部28bは、下側から順に加熱空気室R4と底部空気室R3とに取り囲まれており、底部空気室R3の天面を画定する底板210を貫通して上端部が第1燃焼室C1内に突出している。拡径部28bの下部には、加熱空気室R4の燃焼排ガスを拡径部28b内に導く排ガス導入路281が形成されている。この排ガス導入路281は、周方向に連なると共に軸方向に複数段配列された複数の貫通穴282によって形成されている。燃料供給管28の拡径部28bの上部には、側面に周方向に形成された複数の台形の横排出穴283と、上端の排出開口284が形成されている。排出開口284の縁には環状フランジ285が設けられている。
【0074】
図4Aは、燃料支持具29を示す平面図である。燃料支持具29は、中央の貫通穴に向かって下方に緩やかに傾斜する円錐状の傾斜面部291と、傾斜面部291の外周に連なって下方に延びる筒部292を有する。傾斜面部291には、複数の細長矩形の貫通穴293が放射状に形成されている。図4Bは、傾斜面部291の貫通穴293の周辺部を、貫通穴293の短手方向に沿うX−X線で切断した様子を示す横断面図である。図4Cは、傾斜面部291の貫通穴293の周辺部を、貫通穴293の長手方向に沿うY−Y線で切断した様子を示す縦断面図である。図4B及び図4Cに示すように、貫通穴293の長手方向の2つの縁には、傾斜面部291の表面に対して略直角に屈曲した細長の立壁294が夫々設けられている。傾斜面部291の表面には、貫通穴293を覆うように半円筒状のカバー295が取り付けられている。カバー295は、長手方向に延びる2つの側縁が傾斜面部291に対して隙間を形成した状態で、両端が傾斜面部291に固定されている。このカバー295と立壁294により、傾斜面部291の表面に、貫通穴293を塞ぐことなく燃料を支持することができる。
【0075】
底板210には、燃料供給管28が貫通する貫通穴の周りに、底部空気室R3から第1燃焼室C1に空気を導入する空気導入路210aが形成されている。底部空気室R3から空気導入路210aを通して第1燃焼室C1内の燃料支持具29の底面側に導入された空気は、燃料支持具29の貫通穴293を通って第1燃焼室C1内の燃料支持具29の表面側に導かれる。
【0076】
点検窓213は矩形断面の管で形成され、第1空気室R1と第2熱交換器32とを貫通して設置されている。点検窓213の外側の開口には蓋体214が設けられている。
【0077】
着火部27は、内壁21と中間壁22と外壁23を貫通して設置されたケーシング271と、ケーシング271内に配置された燃料噴射ノズル272と、ケーシング271内に配置されたスパークプラグ273とを有する。燃料噴射ノズル272は、0.2〜0.3MPaの圧力で供給された着火燃料としての灯油を、先端に設けられた噴口から噴射するように形成されている。スパークプラグ273は、先端の電極に数千〜1万ボルトの電圧を印加し、この電極とケーシング271との間に火花を生成して、燃料噴射ノズル272から噴射された灯油に着火するようになっている。なお、スパークプラグ273は、ケーシング271を接地電極としないで、中心電極と接地電極との2つの電極を有するものを用いてもよい。着火部27は、第1燃焼室C1の中心軸に向かうにつれて下方に傾斜して固定されており、燃料噴射ノズル272の噴口とスパークプラグ273の電極とが、第1燃焼室C1の底部に供給される燃料に向かうように配置されている。
【0078】
上記燃料サイロ4は、上端に投入開口41aを有すると共に下部の幅が下方に向かうにつれて狭まるように形成された箱体41と、この箱体41の下端に設けられて燃料を攪拌しながらスクリューコンベア5へ導く排出コンベア42を備える。
【0079】
図5は、燃料サイロ4とスクリューコンベア5とバーナ2の一部を示す模式図である。スクリューコンベア5は燃料破砕部を有し、燃料サイロ4からバーナ2へ燃料を搬送すると共に、搬送中の燃料を燃料破砕部で破砕するように形成されている。図1及び5に示すように、スクリューコンベア5は、モータMで回転駆動される駆動軸51及び螺旋羽根52,53を、筒状のケーシング54内に収容して構成されている。スクリューコンベア5のケーシング54の一端部には燃料の導入口54aが設けられており、この導入口54aに燃料サイロ4の排出コンベア42の吐出口が連結されている。スクリューコンベア5のケーシング54の他端部には燃料の排出口54bが設けられており、この排出口54bに燃料供給管28の筒部28aの下端が連結されている。
【0080】
スクリューコンベア5の駆動軸51には、導入口54aから排出口54bに向かって正方向に燃料を送る第1の螺旋羽根52と、駆動軸51のモータMに連結された側と反対側の端から排出口54bに向かって逆方向に燃料を送る第2の螺旋羽根53とが固定されている。第1の螺旋羽根52と第2の螺旋羽根53の切り替わり位置は、排出口54bの直下に配置されている。駆動軸51が回転駆動されると、第1の螺旋羽根52による正方向の送り動作と、第2の螺旋羽根53による逆方向の送り動作により、第1の螺旋羽根52と第2の螺旋羽根53の切り替わり位置の上方の排出口54bから燃料供給管28に燃料を押し上げるようになっている。
【0081】
スクリューコンベア5の導入口54aと排出口54bとの間の一部の区間Lに、燃料破砕部が設けられている。図6はスクリューコンベアの燃料破砕部に用いられる螺旋羽根52を示す斜視図であり、図7はスクリューコンベアの燃料破砕部における断面図である。図6に示すように、燃料破砕部の螺旋羽根52は、外周縁が所定間隔をおいて切り欠かれたような形状を有し、すなわち、周方向に所定間隔ごとに所定距離にわたって径方向に突出した突出縁部52aが設けられている。燃料破砕部の螺旋羽根52の突出縁部52aは、駆動軸51周りに120°ごとに設けられている。燃料破砕部のケーシング54の内周面には、複数の突出縁部52aの相互の間に対応する位置に、複数の突起55が設けられている。上記燃料破砕部の螺旋羽根52の突出縁部52aと、ケーシング54の突起55との作用により、搬送中の燃料を破砕するように形成されている。
【0082】
図8は、バーナ2に設けられたバルブ装置9を示す断面図である。バルブ装置9は、第2熱交換器32の水室の水を燃焼室に供給するものであり、第1燃焼室C1の上部に、中間壁22と外壁23とを貫通した状態で設置されている。なお、バルブ装置9は第2燃焼室C2に設置してもよい。このバルブ装置9は、中間壁22の貫通穴と外壁23の貫通穴に嵌合する連通管91を有する。この連通管91の周面には、連通管91の内部と、中間壁22と外壁23との間の第2熱交換器32とを連通する導水開口91aが設けられている。また、連通管91の第1空気室R1に突出する先端には吐出口94bが設けられており、この連通管91の吐出口91bを取り囲む端面が弁座として機能する。連通管91の先端には、連通管91の端面に対して接離駆動される弁体92が設置されている。弁体92は、連通管91内に延びる駆動棒93を介して外壁23の外側に配置された弁駆動部94に連結されている。弁駆動部94は駆動棒93を軸方向に駆動するソレノイドを有する。この弁駆動部94が駆動棒93を進退駆動するに伴い、弁体92が連通管91の端面に対して離れる方向又は接する方向に移動して、吐出口91bを開閉するようになっている。バルブ装置9の弁体92が連通管91の端面から離れて吐出口91bが開くと、第2熱交換器32の水室の水が導水開口91aから連通管91内を通り、吐出口91bから第1空気室R1内に吐出されて霧状となり、霧状の水が第1空気導入路216の複数の貫通穴217を通って第1燃焼室C1に供給されるようになっている。弁駆動部94は、後述する中央制御装置80の制御により、弁体92の弁位置を調節するようになっている。
【0083】
図9は、第1熱交換器31を示す断面図である。第1熱交換器31は多管式の温水ボイラである。この第1熱交換器31は、中心軸を水平方向に向けて配置された円筒形状のケーシング311と、このケーシング311内の中央を水平に横断する煙道312と、この煙道312の下側に配置された複数の下部煙管313と、煙道312の上側に配置された複数の上部煙管314と、上記煙道312と下部煙管313と上部煙管314との外側面とケーシング311の内側面との間に形成された水室315を有する。煙道312の下流端と下部煙管313の上流端は、ケーシング311の一端側の下部連通路316によって連なっている。下部煙管313の下流端と上部煙管314の上流端は、ケーシング311の他端側の上下連通路317によって連なっている。上部煙管314の下流端は、ケーシング311の一端側の上部通路318に連なっており、この上部通路318に排出管319が連なっている。ケーシング311の上部には、水供給口W11と水排出口W12が設けられており、水供給口W11から供給された水を、煙道312から上部通路318までを流れる燃焼排ガスの熱で加熱して、水排出口W12から排出するようになっている。
【0084】
この第1熱交換器31は、ケーシング311内で燃焼排ガスが流れる方向が2箇所で反転する3パス方式の温水ボイラである。すなわち、ケーシング311の他端にバーナ2から煙道312に燃焼排ガスが供給され(矢印G1)、この燃焼排ガスは煙道312を通って水室315内の水と熱交換を行った後に下部連通路316で流れが反転して(矢印G2)下部煙管313に導かれる。下部煙管313に導かれた燃焼排ガスは、水室315の水と熱交換を行った後に上下連通路317で流れが反転して(矢印G3)、上部煙管314に導かれる。この燃焼排ガスは上部煙管314で水室315の水と熱交換を行った後に上部通路318に導かれ、排出管319を通ってケーシング311外に排出される(矢印G4)。この第1熱交換器31で加熱された水は、水排出口W12から排出され、第2熱交換器32の水供給口W21に導かれて、第2熱交換器32で再び加熱されるようになっている。
【0085】
図10は、サイクロン装置6及び冷却集灰装置70を示す模式図である。サイクロン装置6は、第1熱交換器31から排出された燃焼排ガスに含まれる灰を回収するものであり、集灰装置70は、サイクロン装置6で回収された灰を冷却及び収集するものである。
【0086】
図10に示すように、サイクロン装置6は、上側に円筒部63を有すると共に下側に逆円錐部64を有するサイクロン本体と、サイクロン本体の逆円錐部64内の上部に開口して円筒部63の上端に向かって延びる排気筒66と、排気筒66に連なり、サイクロン本体の外部に延出する排気管67を備え、排気管67は排気ダクト61を介してブロワ7に接続されている。サイクロン本体の円筒部63の側面には導入管65が接続されており、この導入管65に、第1熱交換器31の排気管319から燃焼排ガスが導入されるようになっている。サイクロン装置6は2機設けられており、2つのサイクロン本体の逆円錐部64の下端が、1つの収集缶体68の上端に連結されている。収集缶体68は側面が台形の箱によって形成され、下端に冷却集灰装置70が連結されている。冷却集灰装置70は、収集缶体68の下端面に沿って傾斜して配置されたスクリューコンベア71と、スクリューコンベア71のケーシング72の外周に設けられて水冷ジャケットを形成するジャケット容器74と、スクリューコンベア71の終端に連なる排出管に介設されたロータリーバルブ78と、排出管に接続された灰箱79を有する。
【0087】
サイクロン装置6及び冷却集灰装置70は以下のように動作する。すなわち、ブロワ7の動作により、第1熱交換器31で熱交換を行った燃焼排ガスが、矢印G5で示すように導入管65からサイクロン本体の円筒部63内に吸引され、サイクロン本体の逆円錐部64内を流れるに伴って燃焼排ガスの旋回流が形成される。燃焼排ガスの旋回流によって生成される遠心力が、燃焼排ガスに含まれる灰粒子に作用して、この灰粒子が燃焼排ガスから分離されてサイクロン本体の下端から収集缶体68内に落下する。灰粒子が分離除去された燃焼排ガスは、矢印G6に示すように、ブロワ7の吸引力により排気ダクト61から排出される。収集缶体68内に落下した灰は、スクリューコンベア71のスクリュー73の回転作用により、ケーシング72内を傾斜した上側の終端に向かって送られる。ここで、ジャケット容器74の給水口75から導入される冷却水により、ケーシング72内を送られる灰が冷却され、収集缶体68内に集められた時点で200℃程度の灰が約50℃程度に降温する。冷却された灰は、ロータリーバルブ78を通って灰箱79に貯留される。ジャケット容器74に導入されて灰を冷却した水は、排水口76から排出される。サイクロン装置6及び冷却集灰装置70のスクリューコンベア71内は、ブロワ7の吸引によって内部が負圧とされるが、ロータリーバルブ78により、灰箱79内は常圧に保持される。
【0088】
このように、サイクロン装置6で分離された灰は、冷却集灰装置70のスクリューコンベア71で冷却されつつ搬送され、常圧の灰箱79内に貯留されるので、灰箱79内の灰を容易に取り出して廃棄や所望の用途に供することができる。このボイラ装置の燃料は植物性のバイオマスであるので、灰箱79に集められた灰は、植物由来の灰であるから無害である。したがって、この灰は、農作物の肥料や融雪剤として、環境に悪影響を与えることなく再利用することができる。
【0089】
図11は、バーナ2へ燃焼用空気と燃焼排ガスを供給する給気系統を示す模式図である。給気系統は、空気を燃焼用空気としてバーナ2へ供給する空気ブロワ84と、バーナ2から排出された燃焼排ガスをバーナ2へ再び供給する排ガスブロワ81を有する。空気ブロワ84から吹き出された空気は、空気分岐弁83で第1空気室R1及び第2空気室R2側と、底部空気室R3側に分流される。第1空気室R1及び第2空気室R2側に分流された空気は、更に分流されて第1空気室R1と第2空気室R2とに供給される。燃焼ガスブロワ81からの燃焼排ガスは、排ガス分岐弁85で底部空気室R3側と加熱空気室R4側に分流される。底部空気室R3側に分流された燃焼排ガスは、空気分岐弁83で分流された空気と合流され、混合気体となって底部空気室R3に供給される。排ガス分岐弁85で底部空気室R3側に分流された燃焼排ガスは、そのまま加熱空気室R4に供給される。
【0090】
排ガスブロワ81及び空気ブロワ84は、いずれも遠心型送風機で形成されており、インバータ回路を有するブロワ制御部181,184により、羽根を回転駆動するモータの回転数を夫々制御して、燃焼用空気の供給量と燃焼排ガスの戻し量とを夫々制御するようになっている。
【0091】
空気分岐弁83及び排ガス分岐弁85は、いずれも三方弁で形成されており、弁体がモータで駆動されて3つのポートの開度が調節される。空気分岐弁83及び排ガス分岐弁85は、各々の弁体を駆動するモータへの通電制御を行う弁制御部183,185により、各ポートの流量を制御するようになっている。
【0092】
上記ブロワ制御部181,184及び弁制御部183,185は中央制御装置80に接続されており、この中央制御装置80から制御信号を受けて、各ブロワ81,84と各弁83,85の動作を制御するようになっている。中央制御装置80には、第1熱交換器31の排出管319に取り付けられた酸素センサ88と、燃料供給管28の筒部28aに取り付けられた水分センサ89に接続されている。中央制御装置80は、酸素センサ88によって燃焼排ガス中の残留酸素を検知し、この残留酸素量に基づいて、底部空気室R3に供給する混合気体の燃焼排ガスの割合を制御するようになっている。このように、中央制御装置80は混合制御部として機能する。また、中央制御装置80は、上記水分センサ89によって燃料に含まれる水分を検知し、この水分量に基づいて、加熱空気室R4に供給する燃焼排ガスの量を制御するようになっている。このように、中央制御装置80は混合制御部及びガス量制御部として機能する。
【0093】
なお、酸素センサ88は、第1熱交換器31の排出管319以外に、バーナ2の排気管215等の他の位置に取り付けてもよい。
【0094】
上記構成の温水ボイラ1は、以下のように動作する。まず、燃料サイロ4の排出コンベア42とスクリューコンベア5を起動し、燃料サイロ4の箱体41の燃料をスクリューコンベア5からバーナ2に搬送する。ここで、燃料サイロ4に貯蔵された燃料は間伐材や製材端材や建築廃材のチップであり、材料の種類が異なることから寸法にばらつきがある。しかしながら、スクリューコンベア5で搬送される際に燃料破砕部で破砕されるので、寸法のばらつきが効果的に低減される。燃料破砕部で破砕された燃料は、スクリューコンベア5の排出口54bから燃料供給管28に送られ、第1の螺旋羽根52と第2の螺旋羽根53との押圧作用により、燃料供給管28内を上方に搬送される。燃料は、燃料供給管28の横排出穴283から排出されて燃料支持具29の表面に受け取られると共に、燃料供給管28の上端の排出開口284から排出されて、環状フランジ285上に裾野が位置する形状に山積みされる。排出開口284から排出されて溢れた燃料は、燃料支持具29の表面に受け取られる。
【0095】
バーナ2の燃焼状態が安定すると、燃料供給管28の拡径部28bの排ガス導入路281を通して加熱空気室R4から比較的高温の燃焼排ガスが供給される。これにより、燃料供給管28を搬送される燃料は、燃焼排ガスの熱で乾燥する。後述するように、加熱空気室R4から燃料供給管28に供給する燃焼排ガスの量を、燃料に含まれる水分量に応じて調節することにより、燃料の水分量にばらつきがあっても安定して燃料を乾燥させるようになっている。
【0096】
燃料支持具29の表面と燃料供給管28の上端に支持された燃料は、着火部27によって着火される。すなわち、着火部27の燃料噴射ノズル272から燃料に向けて灯油を噴射すると共にスパークプラグ273に電圧を印加して火花を発生させて、灯油に点火して燃料に着火する。これと共に、空気ブロワ84が起動して、空気が空気分岐弁83を通って第1空気室R1及び第2空気室R2に供給され、第1空気導入路216及び第2空気導入路218から第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2に燃焼用空気が供給される。燃焼用空気の供給が開始されることにより、着火した燃料が燃焼を開始する。
【0097】
図12は、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2内の燃焼用空気と燃焼排ガスの流れを模式的に示した斜視図である。図12において、燃料支持具29の表面には燃料が配置されるが、燃料は図示していない。また、燃料供給管28は図示していない。
【0098】
図12に示すように、第1燃焼室C1に第1空気導入路216の複数の貫通穴217から径方向に対して傾斜する方向に、矢印S1で示すように燃焼用空気が供給される。また、第2燃焼室C2に第2空気導入路218の複数の貫通穴219から径方向に対して傾斜する方向に、矢印S2で示すように燃焼用空気が供給される。また、燃料支持具29の複数の貫通穴293から、矢印D1で示すように、燃料支持具29の傾斜面部291の法線に対して傾斜する方向に混合気体が吹き出される。これらにより、矢印Fで示すように、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2内に、燃焼用空気と燃焼ガスの上昇旋回流を形成することができる。この燃焼用空気と燃焼ガスの上昇旋回流により、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2内の燃焼用空気と燃焼ガスの流れの密度を増大でき、燃料を効率的に酸化して燃焼を促進することができる。また、第1空気導入路216と第2空気導入路218から第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2内に供給される燃焼用空気は前加熱されているので、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2内の温度を高めて燃焼効率を向上できる。また、燃料支持具29の貫通穴293から第1燃焼室C1に供給される混合気体は、空気と混合される燃焼排ガスによって予め温度が上昇しているので、第1燃焼室C1内の温度を高めて燃焼効率を向上できる。
【0099】
また、燃焼排ガスが空気と混合されて燃料支持具29の貫通穴293から第1燃焼室C1に供給されると共に、燃料の前加熱を行った後の燃焼排ガスが燃料供給管28から第1燃焼室C1に供給される。こうして、一旦バーナ2で燃焼した燃焼排ガスが、第1燃焼室C1に戻されて再度燃焼するので、燃焼排ガスの未燃成分を燃焼させることができ、燃料の燃焼効率を全体として向上させることができる。
【0100】
第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2で燃料が燃焼して生成された燃焼排ガスは、排気管215を通ってバーナ2から排出され、第1熱交換機31で水と熱交換を行って水を加熱する。第1熱交換器31から排出された燃焼排ガスは、サイクロン装置6で灰が除去された後、排ガスブロワ7で吸引されて大気に排出される。
【0101】
第1熱交換器31で燃焼排ガスと熱交換して加熱された水は、第2熱交換器32に導かれ、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2からの熱と熱交換して更に加熱される。第2熱交換器32で加熱された水は、温水となって水排出口22から排出される。
【0102】
この温水ボイラ1は、燃料の燃焼状態や燃料の水分量に基づいて、中央制御装置80の制御により、燃焼用空気の供給量の制御と、燃焼排ガスの戻し量の制御を行う。
【0103】
バーナ2において、燃料の燃焼度が低い場合、酸素量が増大する。この燃焼排ガスに残留する酸素量を、第1熱交換器31の排出管319に取り付けられた酸素センサ88で検出する。酸素センサ88の検出値が所定の基準値を超える場合、中央制御装置80は、ブロワ制御部181に制御信号aを出力して排ガスブロワ81の送風量を増大させる。これと共に、中央制御装置80は、弁制御部185に制御信号eを出力して、排ガス分岐弁85の底部空気室R3側のポートの開度を増大させる。こうして、底部空気室R3に供給する混合気体の燃焼排ガスの割合を増大させて、第1燃焼室C1に戻す燃焼排ガスの量を増大させて、燃焼排ガスの未燃成分を第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2で燃焼させる。これにより、燃料の燃焼効率を向上させることができ、また、未燃成分を大気に放出することによる周辺環境の汚染を防止できる。
【0104】
ところで、バーナ2への酸素供給量が少ない場合、不完全燃焼が発生して燃焼排ガスに残留する酸素量が著しく減少する。酸素センサ88の検出値が所定の基準値を下回る場合、中央制御装置80は、ブロワ制御部184に制御信号bを出力して空気ブロワ84の送風量を増大させると共に、ブロワ制御部181に制御信号aを出力して排ガスブロワ81の送風量を減少させる。更に、中央制御装置80は、弁制御部183に制御信号dを出力して、空気分岐弁83の底部空気室R3側のポートの開度を増大させる。また、中央制御装置80は、弁制御部185に制御信号eを出力して、排ガス分岐弁85の底部空気室R3側のポートの開度を減少させる。こうして、底部空気室R3に供給する混合気体の燃焼排ガスの割合を減少させると共に、第1空気室R1及び第2空気室R2に供給する燃焼用空気の量を増大させる。これにより、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2に供給する酸素量を増大させて、不完全燃焼を解消することができる。
【0105】
燃料サイロ4からスクリューコンベア5によってバーナ2に供給される燃料は、間伐材や製材端材や建築廃材のチップであり、材料の種類が異なることから水分量にばらつきがある。この燃料の水分量を、燃料供給管28の筒部28aに取り付けられた水分センサ89で検出する。水分センサ89の検出値が所定の基準値を超える場合、中央制御装置80は、ブロワ制御部181に制御信号aを出力して排ガスブロワ81の回転数を増大させる。これと共に、中央制御装置80は、弁制御部185に制御信号eを出力して、排ガス分岐弁85の加熱空気室R4側のポートの開度を増大させる。こうして、加熱空気室R4に供給する燃焼排ガス量を増大させ、加熱空気室R4から燃料供給管28に導く燃焼排ガス量を増大させる。これにより、燃料供給管28内の燃料に与える熱量を増大させて乾燥を促し、第1燃焼室C1に供給する燃料の水分量を低減させて、燃焼効率の低下を防止することができる。
【0106】
なお、空気分岐弁83の下流側の第1空気室R1と第2空気室R2との分岐点に分岐弁を設け、この分岐弁により、第1空気室R1に供給する燃焼用空気の量と、第2空気室R2に供給する燃焼用空気の量の分配割合を調整してもよい。
【0107】
この温水ボイラ1のバーナ2は、バルブ装置9で第1燃焼室C1に水を供給することにより、燃焼排ガスの未燃成分の削減と、燃焼熱量の増大を行う。このバルブ装置9は中央制御装置80の制御により、第1及び第2燃焼室C1,C2内の温度が十分に上昇した状態で作動する。すなわち、中央制御装置80は、第1燃焼室C1に設けられた図示しない温度センサから検出信号を受け、第1燃焼室C1の温度が所定の基準温度を満たしていると判断すると、バルブ装置9に接続された図示しないバルブ制御部に制御信号を出力する。制御信号を受けたバルブ制御部は、弁駆動部94に弁体92を駆動させて、弁体92の弁位置を第1燃焼室C1の温度に対応する位置に調節する。これにより、第2熱交換器32の水が、連通管91の吐出口91bから第1空気室R1内に供給されて霧状となり、霧状の水分が第1空気導入路216を通して第1燃焼室C1に供給される。こうして、燃焼温度に応じた水分を第1燃焼室C1に供給することにより、第1燃焼室C1に水性ガスを生成し、燃焼反応を促進して燃焼排ガスの未燃成分を減少させると共に、生成熱量を増大することができる。
【0108】
以上のように、本実施形態のボイラ1は、バーナ2にスクリューコンベア5で燃料を搬送する際に燃料の破砕を行うと共に、この燃料を燃料供給管28で加熱して水分量を低減させた後、第1燃焼室C1に供給する。したがって、例えば伐採直後の間伐材や、伐採から時間が経過した製材端材等が混在するような、異なる種類の材料が混在する植物性バイオマスを燃料に用いても、第1及び第2燃焼室C1,C2に安定した燃焼状態を得ることができ、安定した温度と量の温水を供給することができる。その結果、このボイラ1は、木質ペレットを用いる従来のボイラよりも、燃料の製造に消費されたエネルギーを考慮してもカーボンニュートラルに近い程度に、二酸化炭素の排出量を削減できる。また、製造コストの安い燃料を用いることができるので、温水ボイラ1の燃料費を効果的に低減することができる。
【0109】
上記実施形態において、第1燃焼室C1に燃料を供給する燃料搬送部は、スクリューコンベア5と燃料供給管28とで形成されたが、燃料搬送部は、燃料サイロ4から燃料を搬出する搬出用のスクリューコンベアと、この搬出用のスクリューコンベアで搬送された燃料を燃焼室に供給する供給用のスクリューコンベアとで形成されていてもよい。図13は、供給用のスクリューコンベヤを適用した変形例のバーナ2の下部を示す断面図である。
【0110】
このバーナ2は、バーナ部2の下方に、スクリューコンベヤで形成された搬出コンベヤ5と、この搬出コンベヤ5の終端に接続されてスクリューコンベヤで形成された供給コンベヤ101を有する。供給コンベヤ101は、第1燃焼室C1の底面を画定する底板210を貫通して配置されており、上部が第1燃焼室C1の下部に突出している。供給コンベヤ101は、円筒状のケーシング102と、ケーシング102内に収容された回転軸104及びスクリュー羽根105を有する。ケーシング102は、下端部の側面に搬出コンベヤ5のケーシングが固定されていると共に、上端に燃料の排出開口が設けられている。ケーシング102の上端には、排出開口を取り囲むフランジ103が設けられている。供給コンベヤ101の回転軸104の下端は図示しない熱シールドで隔てられたモータMに接続されている一方、回転軸104の上端には燃料の拡散棒106が固定されている。拡散棒106は、ケーシング102の上端の排出開口よりも多少上方の位置で回転駆動されるように形成されている。これにより、搬送コンベヤ5で搬送された燃料を、回転軸104及びスクリュー羽根105の回転動作でケーシング102内を上方へ送り、上端の排出開口から排出した後、回転軸104によって回転駆動される拡散棒106で第1燃焼室C1の底部に拡散させるように形成されている。供給コンベヤ101のケーシング102の排出開口は、第1燃焼室C1の第1空気導入路216を形成する貫通穴217よりも多少低い高さに位置している。
【0111】
供給コンベヤ101のケーシング102の外径側には、このケーシング102と同心に空気供給管107が設けられており、この空気供給管107の内側面とケーシング102の外側面との間に、第1補助空気供給路109が形成されている。第1補助空気供給路109は、空気供給管107の上端とケーシング102のフランジ103との間に形成された環状開口109aから、燃焼用空気を供給するように形成されている。第1補助空気供給路109は、底板210の下側に供給コンベヤ101を取り囲むように形成された概ね環状の空気供給室R6から、燃焼用空気が供給される。
【0112】
また、第1補助空気供給路109以外に、第1燃焼室C1の下部の外径側に設けられた第2補助空気供給路110を通して、第1燃焼室C1の底部に燃焼用空気が供給されるようになっている。第2補助空気供給路110は、底板210上に配置された燃料支持具29の外径面と内壁21の内周面との間に形成されており、底板210の外径部に設けられた外径貫通穴210cを通して、空気供給室R6から燃焼用空気が供給されるようになっている。
【0113】
燃料支持具29は、図4Aの燃料支持具29と同じ構成を有し、傾斜面部291と、筒部292と、貫通穴293と、立壁294と、カバー295とを有する。燃料支持具29の底側に、底板210の径方向の中央に形成された貫通穴210aを通して加熱媒体としての燃焼排ガスが導かれ、この燃焼排ガスが、燃料支持具29上に支持された燃料に、貫通穴293を通して供給されるようになっている。また、底板210の内径部に形成された貫通穴210bを通して導かれた燃焼排ガスが、燃料支持具29の内径部に形成された貫通穴と空気供給管107の外周面との間の環状の隙間から、空気供給管107の周囲に位置する燃料に供給されるようになっている。上記底板210の貫通穴210bの上方には、空気供給管107の外周面から径方向外側に突出する環状のじゃま板108が設けられており、このじゃま板108により、燃料が貫通穴210bを閉塞することを防止している。
【0114】
空気供給室R6は、底板210の下側面に固定された円筒状ケーシング124の内側に形成されている。空気供給室R6内の上部の内径側には、加熱媒体としての燃焼排ガスを第1燃焼室C1に供給するための排ガス供給室R5が設けられている。排ガス供給室R5は、空気供給室R6の円筒状ケーシング124と同心に配置された円筒状ケーシング125内に形成されており、この円筒状ケーシング125と、下端に固定された環状板とで空気供給室R6と区画されている。2つの円筒状ケーシング124,126には、図示しない導入管が夫々の接線方向を向いて取り付けられている。これらの導入管を通して、排ガス供給室R5には燃焼排ガスが、空気室R6には燃焼用空気が供給されることにより、排ガス供給室R5には燃焼排ガスの旋回流が形成され、空気室R6には燃焼用空気の旋回流が形成されるようになっている。これにより、排ガス供給室R5から燃料支持具29の貫通穴293と燃料支持具29の内径部の貫通穴を通して、高温の燃焼排ガスの旋回流を燃料に供給するように形成されている。また、空気室R6から第1補助空気供給路109と第2補助空気供給路110を通して、燃焼用空気の旋回流を燃料の上方の内径側と外径側とに供給するように形成されている。
【0115】
図14は、変形例のバーナ2へ燃焼用空気と燃焼排ガスを供給する給気系統を示す模式図である。変形例の給気系統は、燃焼用空気と燃焼排ガスを混合することなく、互いに独立してバーナ2に供給する点が、図11の給気系統と相違する。図14に関し、図11の給気系統と同一の部分には同一の参照番号を付して詳細な説明を省略する。変形例の給気系統は、空気ブロワ84により吸引した空気を、空気分岐弁83で第1空気室R1及び第2空気室R2側と、空気供給室R6側に分流する。空気分岐弁83で第1空気室R1及び第2空気室R2側に分流された空気は、第1空気室R1及び第2空気室R2で旋回流になり、矢印S1及びS2で示すように、第1空気導入路216の複数の貫通穴217と、第2空気導入路218の複数の貫通穴219から、第1燃焼室C1と第2燃焼室C2とに夫々旋回状に供給される。一方、空気分岐弁83で空気供給室R6側に分流された空気は、空気供給室R6で旋回流になり、第1補助空気供給路109と第2補助空気供給路110を通して、矢印A1及びA2で示すように、第1燃焼室C1の燃料の上方の内径側と外径側に旋回状に供給される。
【0116】
これと共に、変形例の給気系統は、排ガスブロワ81で吸引した燃焼排ガスを、排ガス供給室R5に供給して排ガス供給室R5に燃焼排ガスの旋回流を形成する。この燃焼排ガスは、矢印D2で示すように、底板210の貫通穴210aと燃料支持具29の貫通穴293を通って傾斜面部291上の燃料に旋回状に供給される。これと共に、矢印D3で示すように、底板210の貫通穴210bを通して傾斜面部291上の燃料の内径側に旋回状に供給される。
【0117】
中央制御装置80は、ブロワ制御部184によるブロワ84の風量と、弁制御部183による空気分岐弁83の開度とを調節して、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2と、燃料の上方の内径側と外径側に供給される燃焼用空気の量を調整する。この燃焼用空気の量は、供給コンベヤ101の燃料の供給量と、第1燃焼室C1に設けられた図示しない温度センサで測定した燃焼室温度に基づいて制御する。これにより、燃焼温度に応じた量の燃焼用空気を、第1及び第2燃焼室C1,C2に供給することができ、燃料の燃焼状態を適切に調節することができる。
【0118】
また、中央制御装置80は、ブロワ制御部181によりブロワ81の風量を調節して、第1燃焼室C1の燃料支持具29上の燃料に供給される燃焼排ガスの量を調整する。この燃焼排ガスの量は、第1熱交換器31の排出管319に取り付けられた酸素センサ88からの酸素濃度と、燃料供給管28の筒部28aに取り付けられた水分センサ89からの燃料の水分量とに基づいて制御する。これにより、燃焼排ガスに残留した未燃成分の量に応じて燃焼排ガスを第1燃焼室C1に戻して、未燃ガスを燃焼させることができると共に、燃料に含まれる水分量に応じて燃焼排ガスを燃料に供給して、燃料を適切に乾燥させ、更には炭化及び燃焼を促進することができる。
【0119】
このように、変形例の給気系統によれば、温度に応じた適切な燃焼用空気を燃焼室に供給することができると共に、燃焼排ガスの未燃成分を燃焼室に戻して燃焼させることができ、さらに、燃料を効果的に乾燥させることができ、したがって、燃料の水分量にばらつきが存在しても、燃焼室における燃焼状態を安定にすることができる。その結果、このバーナ2は、所定温度の燃焼排ガスを安定して生成することができ、ひいてはボイラの生成する温水の温度及び量を安定させることができる。
【0120】
また、この変形例のバーナ2によれば、空気供給管107の外周側及び燃料支持具29の上方に供給された燃料に、高温の燃焼排ガスを燃料支持具29の貫通穴293と内径部の貫通穴から燃焼排ガスを供給するので、第1燃焼室C1の燃焼に伴う熱が伝わり難い燃料の下側部分を効果的に加熱することができ、したがって、燃料を下側からも十分に乾燥及び炭化させることができる。また、燃焼排ガスに残留する未燃成分と酸素を燃料に供給することにより、燃料の燃焼を促進することができる。また、燃料の上方の内径側と外径側に、第1補助空気供給路109と第2補助空気供給路110を通して燃焼用空気を供給するので、燃料の燃焼を偏り無く促進させることができる。更に、燃焼排ガスの旋回流と燃焼用空気の旋回流を供給することにより、燃焼ガスと燃焼用空気を、燃料と燃料の上方に高密度に流して供給することができ、燃料の燃焼効率を向上させて燃料の完全燃焼に近づけることができる。
【0121】
また、このバーナ2は、第1燃焼室C1の下部に、スクリューコンベヤで形成された供給コンベヤ101で燃料を供給するので、第1燃焼室C1への燃料の供給を停止して燃焼を停止する場合、供給コンベヤ101の内部に燃料が残留することなく第1燃焼室C1に燃料を全て排出することができる。
【0122】
上記実施形態において、植物性のバイオマス燃料として、間伐材や製材端材や建築廃材のチップを用いたが、例えば剪定材や伐根材のチップや、麦わらやサトウキビ殻の破砕片や、草等の他の植物性のバイオマス燃料を用いることができる。
【0123】
上記実施形態において、ジャケット式の第1熱交換器C1と多管式の第2熱交換器C2を用いたが、熱交換器の種類はジャケット式や多管式に限定されない。また、バーナ2に第2熱交換器C2を設けなくてもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、本発明のバーナを温水ボイラ1に適用した場合を例示したが、蒸気ボイラに適用することもできる。
【0125】
さらに、本発明は、温水ボイラや蒸気ボイラに限られず、暖房装置、冷房装置、温風機、乾燥機、焼却設備及び発電設備等における種々の熱源として用いられるバーナに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の実施形態としての温水ボイラの構成を示す模式図である。
【図2】バーナ2を示す断面図である。
【図3】第1及び第2空気室と底部空気室を画定する部材を取り出して示した平面図である。
【図4A】燃料支持具29を示す平面図である。
【図4B】傾斜面部の貫通穴の周辺部を示す横断面図である。
【図4C】傾斜面部の貫通穴の周辺部を示す縦断面図である。
【図5】燃料サイロとスクリューコンベアとバーナの一部を示す模式図である。
【図6】スクリューコンベアの燃料破砕部に用いられる螺旋羽根を示す斜視図である。
【図7】スクリューコンベアの燃料破砕部における断面図である。
【図8】バーナのバルブ装置を示す断面図である。
【図9】第1熱交換器を示す断面図である。
【図10】サイクロン装置及び冷却集灰装置を示す模式図である。
【図11】バーナへ燃焼用空気と燃焼排ガスを供給する給気系統を示す模式図である。
【図12】第1燃焼室及び第2燃焼室内の燃焼用空気と燃焼排ガスの流れを模式的に示した斜視図である。
【図13】変形例のバーナの下部を示す断面図である。
【図14】変形例のバーナの給気系統を示す模式図である。
【符号の説明】
【0127】
1 温水ボイラ
2 バーナ
4 燃料サイロ
5 スクリューコンベア
7 排気ブロワ
31 第1熱交換器
32 第2熱交換器
62 戻りダクト
81 排ガスブロワ
85 排ガス分岐弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば木屑等のバイオマス燃料を用いて水等の被加熱媒体を加熱するバイオマス燃料バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
水を加熱して温水や蒸気を生成するボイラでは、重油等の化石燃料が主に用いられてきたが、最近、地球温暖化等の環境問題や石油価格の高騰に対処するため、使用する燃料を化石燃料から代替燃料へ転換することが強く求められている。
【0003】
ボイラのバーナに用いる代替燃料としては、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を削減できる点から、植物由来のバイオマス燃料が注目されている。植物由来のバイオマス燃料は、燃焼により発生する二酸化炭素の量が、材料に用いられた植物が成長過程において吸収した二酸化炭素の量と実質的に同じと考えられるため、大気の二酸化炭素量を増やさない所謂カーボンニュートラルであるとされている。
【0004】
植物由来のバイオマス燃料をバーナの燃料に用いるボイラとしては、木質ペレットを用いるものが提案されている(例えば、特開2008−064370号公報;特許文献1参照)。木質ペレットは、木質材料の粉末を円柱形に成形してなる固形燃料であり、木屑や樹皮等の木質材料を粉砕する粉砕工程と、粉砕された木質粉末を加熱乾燥させる乾燥工程と、乾燥した木質粉末を圧縮成形する成形工程とを経て製造される(例えば、特開2007−246574号公報;特許文献2参照)。こうして製造された木質ペレットは、水分量が比較的少ないうえに水分量のばらつきが少ない。したがって、木質ペレットをバーナの燃料に使用した場合、燃焼状態が安定し、ボイラによる被加熱媒体の供給を安定にすることができる。
【特許文献1】特開2008−064370号公報
【特許文献2】特開2007−246574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、木質ペレットは、複数の工程を経て製造されるので、製造のために消費されたエネルギーを考慮すればカーボンニュートラルとみなすことはできない。したがって、木質ペレットをバーナの燃料とするボイラは、二酸化炭素の排出量削減効果が低いという問題がある。また、木質ペレットは、複数の工程を経て製造されるので製造コストが高く、したがって、ボイラの燃料費の上昇を招くという問題がある。
【0006】
ここで、木質ペレットを用いないで、木屑チップのように、製造工程が少なくて製造のために消費されるエネルギーの少ないバイオマスを、バーナの燃料に用いることが考えられる。しかしながら、このようなバイオマスは、寸法のばらつきが大きく、また、水分量のばらつきが大きいので、従来のボイラのバーナの燃料として用いた場合、燃焼状態が不安定となり、被加熱媒体を安定して供給することができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、二酸化炭素の排出量を効果的に削減でき、燃料費を削減でき、しかも、安定した温度及び量の熱を生成できるバイオマス燃料バーナを提供することにある。また、バイオマスの特性に対応できて実用性の高いバイオマス燃料バーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のバイオマス燃料バーナは、
バイオマスを含む燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、
燃料を燃焼する燃焼室を有するバーナ部と、
上記燃料貯蔵部に貯蔵された燃料をバーナ部の燃焼室に搬送する燃料搬送部と、
上記燃料搬送部に設けられ、この燃料搬送部で搬送されている燃料を破砕する燃料破砕部と、
上記燃料破砕部で破砕された燃料の前加熱を行う燃料前加熱部と
を備えることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、燃料貯蔵部に貯蔵されてバイオマスを含む燃料が、燃料搬送部によってバーナ部の燃焼室に搬送される。この燃料搬送部で搬送される燃料は、燃料破砕部によって破砕される。更に、燃料破砕部によって破砕された燃料が、燃料前加熱部によって前加熱される。破砕され、かつ、前加熱された燃料が、バーナ部の燃焼室で燃焼する。燃料の燃焼によって生成された熱は、例えば熱交換器や加熱炉や焼却炉等の種々の熱機器に利用される。
【0010】
ここで、上記燃料貯蔵部に貯蔵される燃料に含まれるバイオマスが、寸法のばらつきが比較的大きいものであっても、燃料破砕部によって破砕されるので、寸法のばらつきが低減された燃料をバーナ部の燃焼室に供給することができる。したがって、燃焼室における燃焼状態を安定にすることができる。
【0011】
また、上記燃料貯蔵部に貯蔵される燃料に含まれるバイオマスが、水分量のばらつきが比較的大きいものであっても、燃料前加熱部で前乾燥をするので、燃料の水分量を十分に低くした後に燃焼室で燃焼させることができる。したがって、このバイオマス燃料バーナは、例えば木屑チップのように、製造工程は簡易であるが寸法と水分量のばらつきが比較的大きいバイオマスを用いても、燃焼室の燃焼状態を安定にすることができて、安定した温度及び量の熱を生成することができる。その結果、木質ペレットを用いる従来のバーナよりも、燃料の製造に消費されたエネルギーを考慮してもカーボンニュートラルに近い程度に、二酸化炭素の排出量を削減できる。また、製造コストの安い燃料を用いることができるので、バイオマス燃料バーナの燃料費を効果的に低減することができる。
【0012】
また、上記燃料破砕部によって燃料の寸法のばらつきを低減でき、かつ、燃料前加熱部によって水分量のばらつきを低減できるので、例えば伐採直後の間伐材や、伐採から時間が経過した製材端材等が混在するような、異なる種類の材料が混在するバイオマスを燃料に用いることができる。したがって、精製により品質が均一化される化石燃料と比較して品質にばらつきを有するというバイオマスの特性に対応でき、高い実用性を有するバイオマス燃料バーナが得られる。
【0013】
また、本発明のバイオマス燃料バーナは、燃料破砕部によって燃料の寸法のばらつきを低減でき、かつ、燃料前加熱部によって水分量のばらつきを低減できるので、燃料貯蔵部に投入する燃料は、予め破砕や加熱等の処理が不要である。したがって、種々のバイオマスを収集し、そのまま燃料破砕部に投入するのみにより、バイオマス燃料バーナを安定して運転することができる。すなわち、燃料を燃料貯蔵部へ投入する前に、燃料に処理を行う手間が不要であるので、燃料の取り扱いを簡易にすることができる。なお、燃料破砕部や燃料前加熱部の能力に応じて、投入するバイオマスの寸法や水分量を制限してもよい。
【0014】
また、本発明のバイオマス燃料バーナは、燃料破砕部が燃料搬送部に設けられているので、効果的に小型化を図ることができる。
【0015】
本発明において、バイオマスとは、生物由来の資源をいう。植物性のバイオマスとしては、草や穀物等の農業系資源と、木材、樹皮、製材端材、間伐材、剪定材及び伐根材等の林業系資源と、流木材及び建築廃材等の廃棄物系資源を例示することができる。
【0016】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料搬送部は、回転駆動されて燃料を送る螺旋羽根と、この螺旋羽根を収容するケーシングとを有するスクリューコンベアを有し、
上記燃料破砕部は、上記スクリューコンベアの螺旋羽根の縁に設けられた切欠き部と、この切欠き部の回転経路に沿って上記ケーシングの内周面に設けられた突出部とを有する。
【0017】
上記実施形態によれば、燃料搬送部のスクリューコンベアで燃料が送られるに伴い、スクリューコンベアが有する螺旋羽の切り欠き部と、ケーシングの突出部との相互作用によって燃料が破砕され、燃料の寸法のばらつきが低減される。このように、燃料搬送部が有するスクリューコンベアの構成部品に切り欠きと突出部とを設けることにより、破砕機能を付加しているので、燃料搬送部の大きさを変更することなく搬送機能と破砕機能とを両立することができる。
【0018】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料前加熱部は、上記バーナ部の燃焼室から排出された燃焼排ガスを用いて燃料の前加熱を行う。
【0019】
上記実施形態によれば、バーナ部の燃焼室で燃料が燃焼して生成されて排出された燃焼排ガスを用いて、燃料前加熱部で燃料の前加熱を行うので、熱源を別途設けることなく燃料の前加熱を行うことができる。このように、燃焼室で生成された熱を利用することにより、エネルギーの無駄な消費を防止できるので、バイオマス燃料バーナの効率を向上でき、また、二酸化炭素の排出量削減を行うことができる。
【0020】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料前加熱部に供給する燃焼排ガスの量を、上記燃焼室に供給される燃料の水分量に基づいて制御するガス量制御部を備える。
【0021】
上記実施形態によれば、ガス量制御部により、燃料前加熱部に導かれる燃焼排ガス量が、燃焼室に供給される燃料の水分量に基づいて調節される。これにより、燃料に、燃料の水分量に応じた適切な量の燃焼排ガスを供給できるので、燃料を効果的に乾燥させて燃焼効率の低下を防止することができる。
【0022】
ここで、上記ガス量制御部は、燃料の水分量が多い場合に燃焼排ガスの供給量を大きくする一方、燃料の水分量が少ない場合に燃焼排ガスの供給量を小さくするように調節するのが好ましい。燃料の水分量は、燃料供給管に設けた水分センサで検出することができる。
【0023】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料搬送部は、燃料貯蔵部から燃料を搬送するスクリューコンベアと、このスクリューコンベアで搬送された燃料をバーナ部の燃焼室の下部に導入する燃料供給管を有し、
上記燃料前加熱部は、上記燃料搬送部の燃料供給管内に燃焼排ガスを供給するように形成されている。
【0024】
上記実施形態によれば、燃料が、燃料貯蔵部からスクリューコンベアによって搬送され、燃料供給管を通って燃焼室に供給されるとき、燃料前加熱部によって燃料供給管内に供給された燃焼排ガスで加熱される。
【0025】
なお、上記燃料前加熱部は、燃焼室の下方の位置に燃料供給管を取り巻くように配置されるのが、バイオマス燃料バーナをコンパクトにできる点で好ましい。
【0026】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記バーナ部の燃焼室に旋回流を形成するように燃焼用空気を供給する旋回空気供給部と、
上記旋回空気供給部に設けられ、上記燃焼室へ供給される燃焼用空気の前加熱を行う空気前加熱部とを備える。
【0027】
上記実施形態によれば、旋回空気供給部によって燃焼室に旋回流を形成するように燃焼用空気を供給することにより、燃焼室内に燃焼用空気と燃焼ガスの流れの密度を増大でき、燃料を効率的に酸化して燃焼を促進することができる。また、空気前加熱部により、燃焼用空気の前加熱を行うことにより、燃焼室の燃焼温度を安定に高温に保つことができる。
【0028】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記旋回空気供給部は、上記燃焼室の外周側に設けられた円筒環状の空気室と、この円筒環状の空気室に接線方向に燃焼用空気を導入する空気導入路と、上記空気室の燃焼用空気を燃焼室内に導く空気導入路とを有し、
上記旋回空気供給部の空気室が、内周側の燃焼室から伝わる熱で燃焼用空気の前加熱を行うように形成されて、上記空気前加熱部を兼ねている。
【0029】
上記実施形態によれば、旋回空気供給部では、空気導入路から円筒環状の空気室に接線方向に燃焼用空気が導入され、これにより、空気室に燃焼用空気の旋回流が形成される。この空気室内を旋回状に流れる燃焼用空気が、空気導入路を経て燃焼室に導かれることにより、燃焼室に燃焼用空気と燃焼ガスの旋回流を形成することができる。
【0030】
また、上記実施形態によれば、旋回空気供給部の空気室が燃焼室の外周側に設けられていることにより、空気室を流れる燃焼用空気が、内周側の燃焼室から伝わる熱で加熱される。このように、旋回空気供給部の空気室が空気前加熱部を兼ねることにより、熱源を別途設けることなく燃焼用空気の前加熱を行うことができる。このように、燃焼室で生成された熱を利用することにより、エネルギーの無駄な消費を防止できるので、バイオマス燃料バーナの効率を向上でき、また、二酸化炭素の排出量削減を行うことができる。また、旋回空気供給部の空気室が空気前加熱部を兼ねることにより、バーナ部の小型化を行うことができる。更に、燃焼室から放射される熱を燃焼用空気の前加熱に利用することにより、バーナ部の外への熱の放射を低減することができ、バーナ部の外壁の断熱材を省略することができる。
【0031】
なお、上記旋回空気供給部の円筒環状の空気室は、円筒状の燃焼室の外周壁を取り囲むように形成されるのが好ましく、上記空気導入路は、燃焼室の外周壁の空気室と燃焼室とを隔てる部分に周方向に配列された複数の貫通穴によって形成されるのが好ましい。
【0032】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料前加熱部は、上記バーナ部の燃焼室内に供給された燃料を、上記バーナ部の燃焼室から排出された燃焼排ガスを含む加熱媒体によって燃焼室の底側から加熱するように形成されている。
【0033】
上記実施形態によれば、燃料室内に供給された燃料が、燃料加熱部により、燃料室の底側から加熱媒体で加熱される。これにより、燃焼室内の燃料が、底側から乾燥、炭化及び燃焼が促進される。したがって、燃料の燃焼効率を向上することができる。
【0034】
また、燃焼排ガスを含む加熱媒体を燃焼室に戻すことにより、燃焼排ガスに残留する未燃成分を燃焼させることができるので、燃料の燃焼効率を向上することができる。
【0035】
なお、上記加熱媒体は、例えば空気と燃焼排ガスとの混合気体や、燃焼排ガスのみを用いることができる。
【0036】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料前加熱部は、燃焼室内に供給された燃料を支持する燃料支持具を有し、この燃料支持具は、上記燃焼室内の底部に配置され、燃焼室の底から離れるにつれて拡径するテーパ形状を有すると共に上記加熱媒体の流通穴を有し、表面に支持する燃料に、上記流通穴を通して加熱媒体を供給するように形成されている。
【0037】
上記実施形態によれば、燃料支持具が燃焼室の底から離れるにつれて拡径するテーパ形状を有することにより、燃焼室内に供給された燃料を中央部に集めることができる。また、燃料支持具の流通穴を通して、中央部に集めた燃料に加熱媒体を効果的に供給することができ、燃料の燃焼効率を効果的に向上することができる。特に、加熱媒体が燃焼排ガスのみで形成されて高温である場合、燃焼室に供給されて燃料支持具上に支持された燃料の下側から乾燥、炭化及び燃焼を促すことができるので、燃料の燃焼効率を効果的に高めることができる。
【0038】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記加熱媒体は、上記バーナ部の燃焼室から排出された燃焼排ガスと空気との混合気体である。
【0039】
上記実施形態によれば、高温であると共に未燃成分を含む燃焼排ガスと、空気とを混合することにより、空気のみを供給するよりも燃焼室の温度を高めると共に、燃焼室内に燃焼成分と酸素を供給することができ、したがって、燃焼室における燃料の燃焼効率を効果的に高めることができる。また、燃焼排ガスと空気との混合割合を適宜調整することにより、加熱媒体の温度と酸素量を適切に調整して、燃焼室の燃焼状態を制御することができる。
【0040】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記混合気体の燃焼排ガスと空気との混合割合を、上記燃焼室から排出された燃焼排ガスの残留酸素量に基づいて制御する混合制御部を備える。
【0041】
上記実施形態によれば、混合制御部により、混合気体の燃焼排ガスと空気の混合割合が、燃焼室から排出された燃焼排ガスの残留酸素量に基づいて調節される。これにより、残留酸素量に対応する未燃成分の量に応じた量の燃焼排ガスを燃焼室に戻して再燃焼させることができるので、燃焼排ガスに残留する燃料の未燃成分を適切に燃焼させて燃焼効率を向上でき、また、燃料の未燃成分の排出を防止して周辺環境の汚染を防止できる。
【0042】
ここで、上記混合制御部は、燃焼排ガスの残留酸素量が多い場合、混合気体の空気に対する燃焼排ガスの割合を大きくする一方、燃焼排ガスの残留酸素量が少ない場合、混合気体の空気に対する燃焼排ガスの割合を小さくするように調節するのが好ましい。燃焼排ガスの残留酸素量は、例えば、燃焼排ガスと被加熱媒体との熱交換を行う熱交換器の排出口に設けた酸素センサで検出することができる。
【0043】
上記バーナ部の燃焼室内に、この燃焼室内に供給された燃料の上方の内径側と外径側とから燃焼用空気を供給する補助燃焼用空気供給部を備える。
【0044】
上記実施形態によれば、補助燃焼用空気供給部により、燃焼室内に供給された燃料の上方の内径側と外径側とから燃焼用空気を供給するので、燃料の燃焼効率を更に向上することができる。
【0045】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記バーナ部の燃焼室に水を供給する給水部を備える。
【0046】
上記実施形態によれば、給水部によって燃焼室に供給された水により、燃焼室内の燃料又は燃焼ガスを改質して燃焼効率を向上できる。また、燃焼室内の温度を調節して窒素酸化物の生成を抑制できる。
【0047】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記バーナ部の燃焼室の外周側に配置され、燃焼用空気が導入されて燃焼用空気の前加熱を行う円筒環状の空気室と、この空気室の燃焼用空気を燃焼室内に導く空気導入路とを有する空気前加熱部を備え、
上記空気前加熱部の空気室の外周側を取り囲むように形成されて被加熱媒体としての水が導入される円筒環状の水室を有し、
上記給水部は、上記水室と、上記空気前加熱部の空気室との隔壁を貫通して設けられたバルブ装置を有し、このバルブ装置のバルブが開き駆動され、上記水室の水が空気室に導かれて空気導入路を通って燃焼室内に供給されるように形成されている。
【0048】
上記実施形態によれば、バーナ部の燃焼室の外周側に空気前加熱部の空気室と水室とを配置すると共に、互いに隣接する空気室と水室との隔壁を貫通するバルブ装置を設置することにより、燃焼用空気の前加熱と被加熱媒体の加熱を行うことができ、しかも、燃焼室への水の供給により燃料の改質や窒素酸化物の低減を行うことができる。したがって、小型でありながら、熱効率の高いバイオマス燃料バーナが得られる。
【0049】
一実施形態のバイオマス燃料バーナは、上記燃料は、植物性のバイオマスを含む。
【0050】
上記実施形態によれば、植物性のバイオマスを含む燃料を、寸法と水分量のばらつきを低減して燃焼することができるので、例えば木質チップのような、製造工程は簡易であるが寸法と水分量のばらつきが比較的大きい植物性のバイオマスを用いることができる。したがって、このバイオマス燃料バーナは、カーボンニュートラルに近い程度に二酸化炭素の排出量を削減できると共に、燃料費の効果的に削減でき、しかも、所定温度の熱を安定して供給できる。
【発明の効果】
【0051】
本発明のバイオマス燃料バーナによれば、寸法と水分量のばらつきが比較的大きいバイオマスを含む燃料を用いても、バーナの燃焼室に安定した燃焼状態を形成することができ、安定した温度及び量の熱を生成することができる。したがって、例えば、水分量の多い伐採直後の間伐材のチップや、水分量の少ない製材端材のチップ等が混在するバイオマス燃料を用いても、燃焼室の燃焼状態を安定にして所定温度の熱を安定に供給できる。その結果、種類の異なる複数のバイオマスが混在する燃料を用いることができ、燃料の製造過程を考慮してもカーボンニュートラルに近い程度に二酸化炭素の排出量を削減でき、しかも、燃料費の削減を行うことができ、更に、安定して熱を供給することができる。したがって、精製により品質が均一化される化石燃料と比較して、種類や品質にばらつきが生じやすいというバイオマスの特性に対応でき、高い実用性を有するバイオマス燃料バーナが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0053】
図1は、本発明の実施形態のバイオマス燃料バーナを用いたボイラを示す模式図である。このボイラは、バーナの燃料として植物性のバイオマスを用いて、被加熱媒体としての水を加熱して温水を生成する温水ボイラである。
【0054】
この温水ボイラ1は、図1に示すように、バイオマス燃料バーナとしてのバーナ2と、バーナ2から排出された燃焼排ガスと水とを熱交換する第1熱交換器31と、バーナ2に一体に形成された第2熱交換器32と、燃料貯蔵部としての燃料サイロ4を備える。燃料サイロ4の燃料は、スクリューコンベア5でバーナ2の下部に供給するように形成されている。第1熱交換器31の燃焼排ガスの排出口には、燃焼排ガスから灰を除去するサイクロン装置6が接続されている。サイクロン装置6は、図示しないが、並列して2機設けられている。サイクロン装置6で分離された灰は、図示しない冷却集灰装置で収集されるようになっている。
【0055】
一方、サイクロン装置6の排気管には、排気ダクト61を介して排気ブロワ7が接続されていると共に、排気ダクト61の途中に接続された戻りダクト62を介して燃焼排ガスを吸引する排ガスブロワ81が接続されている。サイクロン装置6から排ガスブロワ81で吸引された燃焼排ガスを排ガス分岐弁85で分流し、分流した一方の燃焼排ガスをバーナ2に直接供給する一方、分流した他方の燃焼排ガスを空気と混合してバーナ2に供給するように形成されている。バーナ2は、空気ブロワ84で燃焼用空気が供給される。空気ブロワ84で吸引した空気を空気分岐弁83で分流して、分流した一方の空気を燃焼用空気としてバーナ2に供給する一方、分流した他方の空気を燃焼排ガスと混合してバーナ2に供給するように形成されている。バーナ2には、燃焼室に水を供給する給水部としてのバルブ装置9が設けられている。
【0056】
この温水ボイラ1のバーナ2の燃料に用いられる植物性のバイオマスは、間伐材のチップと製材端材のチップと建築廃材のチップとが混合されたものである。間伐材のチップは、多種類の樹木が混在する間伐材を、50〜100mm程度の寸法に破砕してなる破砕片であり、樹皮や葉枝部分を含んでいる。製材端材のチップは、原木から角材等の製材が採取されたときに残る原木の外周部分や端面部分を、50〜100mm程度の寸法に破砕してなる破砕片であり、樹皮を含んでいる。また、建築廃材のチップは、建築物の取り壊しによって生じた廃材を、50〜100mm程度の寸法に破砕してなる破砕片である。間伐材のチップと製材端材のチップは、伐採から経過した時間や保存状態に応じて10〜70%の水分量を有する。建築廃材のチップは、保存状態が湿潤である場合を除いて、通常は10〜20%の比較的低い水分量を有する。このように、燃料としての植物性のバイオマスは、異なる種類の木から形成され、また、寸法と水分量にばらつきを有する状態で、燃料サイロ4に投入されて貯蔵される。
【0057】
図2は、バーナ2を示す断面図である。このバーナ2は、燃料としての植物性のバイオマスを燃焼し、被加熱媒体としての水を加熱する熱を生成するものである。このバーナ2は概ね円筒形状の外観を有し、内側から外側に向かって順に、円筒形状の第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2と、円筒環状の第1空気室R1及び第2空気室R2を有する。第2燃焼室C2の天面と第1空気室R1及び第2空気室R2の側面及び天面を取り囲むように、第2熱交換器32が形成されている。第1燃焼室C1の下方には、環状の底部空気室R3と加熱空気室R4が順に設けられている。底部空気室R3と加熱空気室R4の径方向内側には、上方に向かって拡径した管状の燃料供給管28が設けられている。燃料供給管28の下端は、スクリューコンベア5に連結されている。燃料供給管28は、スクリューコンベア5と共に燃料搬送部を構成している。
【0058】
第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2は、筒状の内壁21内の下側部と上側部とで形成され、第1燃焼室C1の上部と第2燃焼室C2の下部が連なっていて、全体として円筒形状を有する。第1燃焼室C1の底面は、内壁21の下端に固定された円形の底板210で画定されている。第2燃焼室C2の天面は、内壁21の上端に固定された円形の内天板212で画定されている。第1燃焼室C1の底面を画定する底板210には、燃料供給管28の上端部が突出している。この燃料供給管28の周りを取り囲むように、燃料支持具29が底板210上に配置されている。
【0059】
内壁21には、第1空気室R1から第1燃焼室C1に燃焼用空気を導入する第1空気導入路216と、第2空気室R2から第2燃焼室C2に燃焼用空気を導入する第2空気導入路218が設けられている。
【0060】
第1燃焼室C1には、燃料支持具29の上端から多少上方位置に開口する点検窓213が連通している。また、第1燃焼室C1には、バーナ2の起動時に燃料に着火する着火部27の先端が連通している。
【0061】
第2燃焼室C2の上部には、燃焼排ガスを排出する排気管215が接続されている。
【0062】
なお、第1燃焼室C1と第2燃焼室C2は、必ずしも、互いに継ぎ目無く連続する同一径の円筒形状に形成しなくてもよい。例えば、第1燃焼室C1と第2燃焼室C2を異なる径の円筒形状に形成してもよい。また、第1燃焼室C1と第2燃焼室C2との間の一部分を、環状の板状体等で仕切ってもよい。
【0063】
第1空気室R1及び第2空気室R2は、内壁21と、この内壁21と中心軸が一致する筒状の中間壁22との間に形成された円筒環状の空間が、環状の仕切壁211で上下に仕切られて形成されている。第1空気室R1の底面は中間壁22の下端に固定された底板210で画定されている。第2空気室R2の天面は中間壁22の上端に固定された内天板212で画定されている。第1空気導入路216は内壁21の下部に形成され、複数の貫通穴217が周方向に連なると共に軸方向に複数段配列されて形成されている。第1空気導入路216は、燃料供給管28の上端よりも多少高い位置に形成されている。第2空気導入路218は内壁21の上部に形成され、第1空気導入路216と同様に、複数の貫通穴219が周方向に連なると共に軸方向に複数段配列されて形成されている。なお、第1空気導入路216と第2空気導入路218は、貫通穴217,219にノズルや整流部材等を取り付けて形成してもよい。また、貫通穴217,219の形状は、円形以外に楕円形やスリット状や矩形などの種々の形状に設定できる。
【0064】
底部空気室R3は、底板210の下側面に固定された円筒状のケーシング24内に形成されており、ケーシング24の底板に設けられた貫通穴に燃料供給管28が貫通した状態で固定されている。底部空気室R3のケーシング24は、中心軸が内壁21の中心軸と一致するように配置されている。底部空気室R3には、後述のように、所定の基準に基づいて混合割合が調節された空気と混合排ガスとの混合気体が供給されるようになっている。
【0065】
加熱空気室R4は、底部空気室R3のケーシング24の底板の下側面に固定された円筒状のケーシング25内に形成されており、ケーシング25の底板に形成された貫通穴に燃料供給管28が貫通した状態で固定されている。加熱空気室R4のケーシング25は、中心軸が底部空気室R3のケーシング24の中心軸と一致するように配置されている。加熱空気室R4には、サイクロン装置6で灰が除去された燃焼排ガスが、排ガス供給管251を介して供給されるようになっている。
【0066】
図3は、第1及び第2空気室R1,R2と底部空気室R3を画定する部材を取り出して示した平面図である。図3に示すように、第1空気室R1の上部には、筒状の中間壁22の接線方向に延びて燃焼用空気を導入する第1空気導入管221が連結されている。また、第2空気室R2の上部には、筒状の中間壁22の接線方向に延びて燃焼用空気を導入する第2空気導入管222が連結されている。
【0067】
上記第1空気導入管221から第1空気室R1内に接線方向に燃焼用空気が導入されることにより、燃焼用空気が第1空気室R1内を旋回状に下方に流れる。第1空気室R1の下部に達した燃焼用空気は、第1空気導入路216から第1燃焼室C1内に、径方向に対して傾斜する方向に供給され、第1燃焼室C1に燃焼用空気の旋回流を形成するようになっている。
【0068】
また、上記第2空気導入管222から第2空気室R2内に接線方向に燃焼用空気が導入されることにより、燃焼用空気が第2空気室R2内を旋回状に下方に流れる。第2空気室R2の下部に達した燃焼用空気は、第2空気導入路218から第2燃焼室C2内に、径方向に対して傾斜する方向に供給され、第2燃焼室C2に燃焼用空気の旋回流を形成するようになっている。
【0069】
このように、第1空気導入管221、第1空気室R1及び第1空気導入路216により、旋回空気供給部を構成している。また、第2空気導入管222、第2空気室R2及び第2空気導入路218により、旋回空気供給部を構成している。
【0070】
更に、燃焼用空気が第1空気室R1内を流れる際、燃焼用空気は、第1燃焼室C1で生成されて内壁21を通して伝達される熱を受けて前加熱される。また、燃焼用空気が第2空気室R2内を流れる際、第2燃焼室C2で生成されて内壁21を通して伝達される熱を受けて前加熱される。このように、第1空気室R1及び第2空気室R2は、空気前加熱部としても機能する。第1空気室R1及び第2空気室R2が前加熱部として機能することにより、前加熱を行いながらバーナ2の小型化を行うことができると共に、第1空気室R1及び第2空気室R2内を流れる燃焼用空気の断熱作用により、外壁23の断熱材を削除できる。
【0071】
図3には、底部空気室R3を画定するケーシング24を重ねて示している。図3に示すように、ケーシング24の側面には、円筒状のケーシング24の側面の接線方向に延びて混合気体を供給する混合気体導入管241が連結されている。混合気体が混合気体導入管241を通ってケーシング24内に接線方向に供給されることにより、ケーシング24内の底部空気室R3に混合気体の旋回流を形成する。これにより、底板210の空気導入路210aと燃料支持具29の貫通穴293を経由して、第1燃焼室C1の燃料支持具29の上方に、混合気体を旋回状に吹き出すようになっている。
【0072】
第2熱交換器32は、中間壁22と、この中間壁22と軸線が一致するように配置された筒状の外壁23との間に形成された円筒環状の水室を有するジャケット式の熱交換器である。外壁23の上端には第2熱交換器32の天面を画定する外天板231が固定されている。外壁23の下端は、底板210に固定されている。上記外壁22、外天板231及び底板210の内側と、中間壁22及び内天板212の外側の間に、円筒環状の水室を形成している。第2熱交換器32は、下部に水供給口W21が設けられていると共に上部に水排出口W22が設けられており、水供給口W21から供給された水を、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2で生成される熱で加熱して、水排出口W22から排出するようになっている。また、排気管215の外側には、外壁23に固定された排気外管235が取り囲んでおり、この排気管215と排気外管235との間の空間が第2熱交換器32の一部を構成している。
【0073】
燃料供給管28は漏斗形状を有し、スクリューコンベア5のケーシング54の上面に下端が連結された筒部28aと、この筒部28aの上端に連なって上方に向かうにつれて拡径する拡径部28bとを有する。燃料供給管28の拡径部28bは、下側から順に加熱空気室R4と底部空気室R3とに取り囲まれており、底部空気室R3の天面を画定する底板210を貫通して上端部が第1燃焼室C1内に突出している。拡径部28bの下部には、加熱空気室R4の燃焼排ガスを拡径部28b内に導く排ガス導入路281が形成されている。この排ガス導入路281は、周方向に連なると共に軸方向に複数段配列された複数の貫通穴282によって形成されている。燃料供給管28の拡径部28bの上部には、側面に周方向に形成された複数の台形の横排出穴283と、上端の排出開口284が形成されている。排出開口284の縁には環状フランジ285が設けられている。
【0074】
図4Aは、燃料支持具29を示す平面図である。燃料支持具29は、中央の貫通穴に向かって下方に緩やかに傾斜する円錐状の傾斜面部291と、傾斜面部291の外周に連なって下方に延びる筒部292を有する。傾斜面部291には、複数の細長矩形の貫通穴293が放射状に形成されている。図4Bは、傾斜面部291の貫通穴293の周辺部を、貫通穴293の短手方向に沿うX−X線で切断した様子を示す横断面図である。図4Cは、傾斜面部291の貫通穴293の周辺部を、貫通穴293の長手方向に沿うY−Y線で切断した様子を示す縦断面図である。図4B及び図4Cに示すように、貫通穴293の長手方向の2つの縁には、傾斜面部291の表面に対して略直角に屈曲した細長の立壁294が夫々設けられている。傾斜面部291の表面には、貫通穴293を覆うように半円筒状のカバー295が取り付けられている。カバー295は、長手方向に延びる2つの側縁が傾斜面部291に対して隙間を形成した状態で、両端が傾斜面部291に固定されている。このカバー295と立壁294により、傾斜面部291の表面に、貫通穴293を塞ぐことなく燃料を支持することができる。
【0075】
底板210には、燃料供給管28が貫通する貫通穴の周りに、底部空気室R3から第1燃焼室C1に空気を導入する空気導入路210aが形成されている。底部空気室R3から空気導入路210aを通して第1燃焼室C1内の燃料支持具29の底面側に導入された空気は、燃料支持具29の貫通穴293を通って第1燃焼室C1内の燃料支持具29の表面側に導かれる。
【0076】
点検窓213は矩形断面の管で形成され、第1空気室R1と第2熱交換器32とを貫通して設置されている。点検窓213の外側の開口には蓋体214が設けられている。
【0077】
着火部27は、内壁21と中間壁22と外壁23を貫通して設置されたケーシング271と、ケーシング271内に配置された燃料噴射ノズル272と、ケーシング271内に配置されたスパークプラグ273とを有する。燃料噴射ノズル272は、0.2〜0.3MPaの圧力で供給された着火燃料としての灯油を、先端に設けられた噴口から噴射するように形成されている。スパークプラグ273は、先端の電極に数千〜1万ボルトの電圧を印加し、この電極とケーシング271との間に火花を生成して、燃料噴射ノズル272から噴射された灯油に着火するようになっている。なお、スパークプラグ273は、ケーシング271を接地電極としないで、中心電極と接地電極との2つの電極を有するものを用いてもよい。着火部27は、第1燃焼室C1の中心軸に向かうにつれて下方に傾斜して固定されており、燃料噴射ノズル272の噴口とスパークプラグ273の電極とが、第1燃焼室C1の底部に供給される燃料に向かうように配置されている。
【0078】
上記燃料サイロ4は、上端に投入開口41aを有すると共に下部の幅が下方に向かうにつれて狭まるように形成された箱体41と、この箱体41の下端に設けられて燃料を攪拌しながらスクリューコンベア5へ導く排出コンベア42を備える。
【0079】
図5は、燃料サイロ4とスクリューコンベア5とバーナ2の一部を示す模式図である。スクリューコンベア5は燃料破砕部を有し、燃料サイロ4からバーナ2へ燃料を搬送すると共に、搬送中の燃料を燃料破砕部で破砕するように形成されている。図1及び5に示すように、スクリューコンベア5は、モータMで回転駆動される駆動軸51及び螺旋羽根52,53を、筒状のケーシング54内に収容して構成されている。スクリューコンベア5のケーシング54の一端部には燃料の導入口54aが設けられており、この導入口54aに燃料サイロ4の排出コンベア42の吐出口が連結されている。スクリューコンベア5のケーシング54の他端部には燃料の排出口54bが設けられており、この排出口54bに燃料供給管28の筒部28aの下端が連結されている。
【0080】
スクリューコンベア5の駆動軸51には、導入口54aから排出口54bに向かって正方向に燃料を送る第1の螺旋羽根52と、駆動軸51のモータMに連結された側と反対側の端から排出口54bに向かって逆方向に燃料を送る第2の螺旋羽根53とが固定されている。第1の螺旋羽根52と第2の螺旋羽根53の切り替わり位置は、排出口54bの直下に配置されている。駆動軸51が回転駆動されると、第1の螺旋羽根52による正方向の送り動作と、第2の螺旋羽根53による逆方向の送り動作により、第1の螺旋羽根52と第2の螺旋羽根53の切り替わり位置の上方の排出口54bから燃料供給管28に燃料を押し上げるようになっている。
【0081】
スクリューコンベア5の導入口54aと排出口54bとの間の一部の区間Lに、燃料破砕部が設けられている。図6はスクリューコンベアの燃料破砕部に用いられる螺旋羽根52を示す斜視図であり、図7はスクリューコンベアの燃料破砕部における断面図である。図6に示すように、燃料破砕部の螺旋羽根52は、外周縁が所定間隔をおいて切り欠かれたような形状を有し、すなわち、周方向に所定間隔ごとに所定距離にわたって径方向に突出した突出縁部52aが設けられている。燃料破砕部の螺旋羽根52の突出縁部52aは、駆動軸51周りに120°ごとに設けられている。燃料破砕部のケーシング54の内周面には、複数の突出縁部52aの相互の間に対応する位置に、複数の突起55が設けられている。上記燃料破砕部の螺旋羽根52の突出縁部52aと、ケーシング54の突起55との作用により、搬送中の燃料を破砕するように形成されている。
【0082】
図8は、バーナ2に設けられたバルブ装置9を示す断面図である。バルブ装置9は、第2熱交換器32の水室の水を燃焼室に供給するものであり、第1燃焼室C1の上部に、中間壁22と外壁23とを貫通した状態で設置されている。なお、バルブ装置9は第2燃焼室C2に設置してもよい。このバルブ装置9は、中間壁22の貫通穴と外壁23の貫通穴に嵌合する連通管91を有する。この連通管91の周面には、連通管91の内部と、中間壁22と外壁23との間の第2熱交換器32とを連通する導水開口91aが設けられている。また、連通管91の第1空気室R1に突出する先端には吐出口94bが設けられており、この連通管91の吐出口91bを取り囲む端面が弁座として機能する。連通管91の先端には、連通管91の端面に対して接離駆動される弁体92が設置されている。弁体92は、連通管91内に延びる駆動棒93を介して外壁23の外側に配置された弁駆動部94に連結されている。弁駆動部94は駆動棒93を軸方向に駆動するソレノイドを有する。この弁駆動部94が駆動棒93を進退駆動するに伴い、弁体92が連通管91の端面に対して離れる方向又は接する方向に移動して、吐出口91bを開閉するようになっている。バルブ装置9の弁体92が連通管91の端面から離れて吐出口91bが開くと、第2熱交換器32の水室の水が導水開口91aから連通管91内を通り、吐出口91bから第1空気室R1内に吐出されて霧状となり、霧状の水が第1空気導入路216の複数の貫通穴217を通って第1燃焼室C1に供給されるようになっている。弁駆動部94は、後述する中央制御装置80の制御により、弁体92の弁位置を調節するようになっている。
【0083】
図9は、第1熱交換器31を示す断面図である。第1熱交換器31は多管式の温水ボイラである。この第1熱交換器31は、中心軸を水平方向に向けて配置された円筒形状のケーシング311と、このケーシング311内の中央を水平に横断する煙道312と、この煙道312の下側に配置された複数の下部煙管313と、煙道312の上側に配置された複数の上部煙管314と、上記煙道312と下部煙管313と上部煙管314との外側面とケーシング311の内側面との間に形成された水室315を有する。煙道312の下流端と下部煙管313の上流端は、ケーシング311の一端側の下部連通路316によって連なっている。下部煙管313の下流端と上部煙管314の上流端は、ケーシング311の他端側の上下連通路317によって連なっている。上部煙管314の下流端は、ケーシング311の一端側の上部通路318に連なっており、この上部通路318に排出管319が連なっている。ケーシング311の上部には、水供給口W11と水排出口W12が設けられており、水供給口W11から供給された水を、煙道312から上部通路318までを流れる燃焼排ガスの熱で加熱して、水排出口W12から排出するようになっている。
【0084】
この第1熱交換器31は、ケーシング311内で燃焼排ガスが流れる方向が2箇所で反転する3パス方式の温水ボイラである。すなわち、ケーシング311の他端にバーナ2から煙道312に燃焼排ガスが供給され(矢印G1)、この燃焼排ガスは煙道312を通って水室315内の水と熱交換を行った後に下部連通路316で流れが反転して(矢印G2)下部煙管313に導かれる。下部煙管313に導かれた燃焼排ガスは、水室315の水と熱交換を行った後に上下連通路317で流れが反転して(矢印G3)、上部煙管314に導かれる。この燃焼排ガスは上部煙管314で水室315の水と熱交換を行った後に上部通路318に導かれ、排出管319を通ってケーシング311外に排出される(矢印G4)。この第1熱交換器31で加熱された水は、水排出口W12から排出され、第2熱交換器32の水供給口W21に導かれて、第2熱交換器32で再び加熱されるようになっている。
【0085】
図10は、サイクロン装置6及び冷却集灰装置70を示す模式図である。サイクロン装置6は、第1熱交換器31から排出された燃焼排ガスに含まれる灰を回収するものであり、集灰装置70は、サイクロン装置6で回収された灰を冷却及び収集するものである。
【0086】
図10に示すように、サイクロン装置6は、上側に円筒部63を有すると共に下側に逆円錐部64を有するサイクロン本体と、サイクロン本体の逆円錐部64内の上部に開口して円筒部63の上端に向かって延びる排気筒66と、排気筒66に連なり、サイクロン本体の外部に延出する排気管67を備え、排気管67は排気ダクト61を介してブロワ7に接続されている。サイクロン本体の円筒部63の側面には導入管65が接続されており、この導入管65に、第1熱交換器31の排気管319から燃焼排ガスが導入されるようになっている。サイクロン装置6は2機設けられており、2つのサイクロン本体の逆円錐部64の下端が、1つの収集缶体68の上端に連結されている。収集缶体68は側面が台形の箱によって形成され、下端に冷却集灰装置70が連結されている。冷却集灰装置70は、収集缶体68の下端面に沿って傾斜して配置されたスクリューコンベア71と、スクリューコンベア71のケーシング72の外周に設けられて水冷ジャケットを形成するジャケット容器74と、スクリューコンベア71の終端に連なる排出管に介設されたロータリーバルブ78と、排出管に接続された灰箱79を有する。
【0087】
サイクロン装置6及び冷却集灰装置70は以下のように動作する。すなわち、ブロワ7の動作により、第1熱交換器31で熱交換を行った燃焼排ガスが、矢印G5で示すように導入管65からサイクロン本体の円筒部63内に吸引され、サイクロン本体の逆円錐部64内を流れるに伴って燃焼排ガスの旋回流が形成される。燃焼排ガスの旋回流によって生成される遠心力が、燃焼排ガスに含まれる灰粒子に作用して、この灰粒子が燃焼排ガスから分離されてサイクロン本体の下端から収集缶体68内に落下する。灰粒子が分離除去された燃焼排ガスは、矢印G6に示すように、ブロワ7の吸引力により排気ダクト61から排出される。収集缶体68内に落下した灰は、スクリューコンベア71のスクリュー73の回転作用により、ケーシング72内を傾斜した上側の終端に向かって送られる。ここで、ジャケット容器74の給水口75から導入される冷却水により、ケーシング72内を送られる灰が冷却され、収集缶体68内に集められた時点で200℃程度の灰が約50℃程度に降温する。冷却された灰は、ロータリーバルブ78を通って灰箱79に貯留される。ジャケット容器74に導入されて灰を冷却した水は、排水口76から排出される。サイクロン装置6及び冷却集灰装置70のスクリューコンベア71内は、ブロワ7の吸引によって内部が負圧とされるが、ロータリーバルブ78により、灰箱79内は常圧に保持される。
【0088】
このように、サイクロン装置6で分離された灰は、冷却集灰装置70のスクリューコンベア71で冷却されつつ搬送され、常圧の灰箱79内に貯留されるので、灰箱79内の灰を容易に取り出して廃棄や所望の用途に供することができる。このボイラ装置の燃料は植物性のバイオマスであるので、灰箱79に集められた灰は、植物由来の灰であるから無害である。したがって、この灰は、農作物の肥料や融雪剤として、環境に悪影響を与えることなく再利用することができる。
【0089】
図11は、バーナ2へ燃焼用空気と燃焼排ガスを供給する給気系統を示す模式図である。給気系統は、空気を燃焼用空気としてバーナ2へ供給する空気ブロワ84と、バーナ2から排出された燃焼排ガスをバーナ2へ再び供給する排ガスブロワ81を有する。空気ブロワ84から吹き出された空気は、空気分岐弁83で第1空気室R1及び第2空気室R2側と、底部空気室R3側に分流される。第1空気室R1及び第2空気室R2側に分流された空気は、更に分流されて第1空気室R1と第2空気室R2とに供給される。燃焼ガスブロワ81からの燃焼排ガスは、排ガス分岐弁85で底部空気室R3側と加熱空気室R4側に分流される。底部空気室R3側に分流された燃焼排ガスは、空気分岐弁83で分流された空気と合流され、混合気体となって底部空気室R3に供給される。排ガス分岐弁85で底部空気室R3側に分流された燃焼排ガスは、そのまま加熱空気室R4に供給される。
【0090】
排ガスブロワ81及び空気ブロワ84は、いずれも遠心型送風機で形成されており、インバータ回路を有するブロワ制御部181,184により、羽根を回転駆動するモータの回転数を夫々制御して、燃焼用空気の供給量と燃焼排ガスの戻し量とを夫々制御するようになっている。
【0091】
空気分岐弁83及び排ガス分岐弁85は、いずれも三方弁で形成されており、弁体がモータで駆動されて3つのポートの開度が調節される。空気分岐弁83及び排ガス分岐弁85は、各々の弁体を駆動するモータへの通電制御を行う弁制御部183,185により、各ポートの流量を制御するようになっている。
【0092】
上記ブロワ制御部181,184及び弁制御部183,185は中央制御装置80に接続されており、この中央制御装置80から制御信号を受けて、各ブロワ81,84と各弁83,85の動作を制御するようになっている。中央制御装置80には、第1熱交換器31の排出管319に取り付けられた酸素センサ88と、燃料供給管28の筒部28aに取り付けられた水分センサ89に接続されている。中央制御装置80は、酸素センサ88によって燃焼排ガス中の残留酸素を検知し、この残留酸素量に基づいて、底部空気室R3に供給する混合気体の燃焼排ガスの割合を制御するようになっている。このように、中央制御装置80は混合制御部として機能する。また、中央制御装置80は、上記水分センサ89によって燃料に含まれる水分を検知し、この水分量に基づいて、加熱空気室R4に供給する燃焼排ガスの量を制御するようになっている。このように、中央制御装置80は混合制御部及びガス量制御部として機能する。
【0093】
なお、酸素センサ88は、第1熱交換器31の排出管319以外に、バーナ2の排気管215等の他の位置に取り付けてもよい。
【0094】
上記構成の温水ボイラ1は、以下のように動作する。まず、燃料サイロ4の排出コンベア42とスクリューコンベア5を起動し、燃料サイロ4の箱体41の燃料をスクリューコンベア5からバーナ2に搬送する。ここで、燃料サイロ4に貯蔵された燃料は間伐材や製材端材や建築廃材のチップであり、材料の種類が異なることから寸法にばらつきがある。しかしながら、スクリューコンベア5で搬送される際に燃料破砕部で破砕されるので、寸法のばらつきが効果的に低減される。燃料破砕部で破砕された燃料は、スクリューコンベア5の排出口54bから燃料供給管28に送られ、第1の螺旋羽根52と第2の螺旋羽根53との押圧作用により、燃料供給管28内を上方に搬送される。燃料は、燃料供給管28の横排出穴283から排出されて燃料支持具29の表面に受け取られると共に、燃料供給管28の上端の排出開口284から排出されて、環状フランジ285上に裾野が位置する形状に山積みされる。排出開口284から排出されて溢れた燃料は、燃料支持具29の表面に受け取られる。
【0095】
バーナ2の燃焼状態が安定すると、燃料供給管28の拡径部28bの排ガス導入路281を通して加熱空気室R4から比較的高温の燃焼排ガスが供給される。これにより、燃料供給管28を搬送される燃料は、燃焼排ガスの熱で乾燥する。後述するように、加熱空気室R4から燃料供給管28に供給する燃焼排ガスの量を、燃料に含まれる水分量に応じて調節することにより、燃料の水分量にばらつきがあっても安定して燃料を乾燥させるようになっている。
【0096】
燃料支持具29の表面と燃料供給管28の上端に支持された燃料は、着火部27によって着火される。すなわち、着火部27の燃料噴射ノズル272から燃料に向けて灯油を噴射すると共にスパークプラグ273に電圧を印加して火花を発生させて、灯油に点火して燃料に着火する。これと共に、空気ブロワ84が起動して、空気が空気分岐弁83を通って第1空気室R1及び第2空気室R2に供給され、第1空気導入路216及び第2空気導入路218から第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2に燃焼用空気が供給される。燃焼用空気の供給が開始されることにより、着火した燃料が燃焼を開始する。
【0097】
図12は、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2内の燃焼用空気と燃焼排ガスの流れを模式的に示した斜視図である。図12において、燃料支持具29の表面には燃料が配置されるが、燃料は図示していない。また、燃料供給管28は図示していない。
【0098】
図12に示すように、第1燃焼室C1に第1空気導入路216の複数の貫通穴217から径方向に対して傾斜する方向に、矢印S1で示すように燃焼用空気が供給される。また、第2燃焼室C2に第2空気導入路218の複数の貫通穴219から径方向に対して傾斜する方向に、矢印S2で示すように燃焼用空気が供給される。また、燃料支持具29の複数の貫通穴293から、矢印D1で示すように、燃料支持具29の傾斜面部291の法線に対して傾斜する方向に混合気体が吹き出される。これらにより、矢印Fで示すように、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2内に、燃焼用空気と燃焼ガスの上昇旋回流を形成することができる。この燃焼用空気と燃焼ガスの上昇旋回流により、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2内の燃焼用空気と燃焼ガスの流れの密度を増大でき、燃料を効率的に酸化して燃焼を促進することができる。また、第1空気導入路216と第2空気導入路218から第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2内に供給される燃焼用空気は前加熱されているので、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2内の温度を高めて燃焼効率を向上できる。また、燃料支持具29の貫通穴293から第1燃焼室C1に供給される混合気体は、空気と混合される燃焼排ガスによって予め温度が上昇しているので、第1燃焼室C1内の温度を高めて燃焼効率を向上できる。
【0099】
また、燃焼排ガスが空気と混合されて燃料支持具29の貫通穴293から第1燃焼室C1に供給されると共に、燃料の前加熱を行った後の燃焼排ガスが燃料供給管28から第1燃焼室C1に供給される。こうして、一旦バーナ2で燃焼した燃焼排ガスが、第1燃焼室C1に戻されて再度燃焼するので、燃焼排ガスの未燃成分を燃焼させることができ、燃料の燃焼効率を全体として向上させることができる。
【0100】
第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2で燃料が燃焼して生成された燃焼排ガスは、排気管215を通ってバーナ2から排出され、第1熱交換機31で水と熱交換を行って水を加熱する。第1熱交換器31から排出された燃焼排ガスは、サイクロン装置6で灰が除去された後、排ガスブロワ7で吸引されて大気に排出される。
【0101】
第1熱交換器31で燃焼排ガスと熱交換して加熱された水は、第2熱交換器32に導かれ、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2からの熱と熱交換して更に加熱される。第2熱交換器32で加熱された水は、温水となって水排出口22から排出される。
【0102】
この温水ボイラ1は、燃料の燃焼状態や燃料の水分量に基づいて、中央制御装置80の制御により、燃焼用空気の供給量の制御と、燃焼排ガスの戻し量の制御を行う。
【0103】
バーナ2において、燃料の燃焼度が低い場合、酸素量が増大する。この燃焼排ガスに残留する酸素量を、第1熱交換器31の排出管319に取り付けられた酸素センサ88で検出する。酸素センサ88の検出値が所定の基準値を超える場合、中央制御装置80は、ブロワ制御部181に制御信号aを出力して排ガスブロワ81の送風量を増大させる。これと共に、中央制御装置80は、弁制御部185に制御信号eを出力して、排ガス分岐弁85の底部空気室R3側のポートの開度を増大させる。こうして、底部空気室R3に供給する混合気体の燃焼排ガスの割合を増大させて、第1燃焼室C1に戻す燃焼排ガスの量を増大させて、燃焼排ガスの未燃成分を第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2で燃焼させる。これにより、燃料の燃焼効率を向上させることができ、また、未燃成分を大気に放出することによる周辺環境の汚染を防止できる。
【0104】
ところで、バーナ2への酸素供給量が少ない場合、不完全燃焼が発生して燃焼排ガスに残留する酸素量が著しく減少する。酸素センサ88の検出値が所定の基準値を下回る場合、中央制御装置80は、ブロワ制御部184に制御信号bを出力して空気ブロワ84の送風量を増大させると共に、ブロワ制御部181に制御信号aを出力して排ガスブロワ81の送風量を減少させる。更に、中央制御装置80は、弁制御部183に制御信号dを出力して、空気分岐弁83の底部空気室R3側のポートの開度を増大させる。また、中央制御装置80は、弁制御部185に制御信号eを出力して、排ガス分岐弁85の底部空気室R3側のポートの開度を減少させる。こうして、底部空気室R3に供給する混合気体の燃焼排ガスの割合を減少させると共に、第1空気室R1及び第2空気室R2に供給する燃焼用空気の量を増大させる。これにより、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2に供給する酸素量を増大させて、不完全燃焼を解消することができる。
【0105】
燃料サイロ4からスクリューコンベア5によってバーナ2に供給される燃料は、間伐材や製材端材や建築廃材のチップであり、材料の種類が異なることから水分量にばらつきがある。この燃料の水分量を、燃料供給管28の筒部28aに取り付けられた水分センサ89で検出する。水分センサ89の検出値が所定の基準値を超える場合、中央制御装置80は、ブロワ制御部181に制御信号aを出力して排ガスブロワ81の回転数を増大させる。これと共に、中央制御装置80は、弁制御部185に制御信号eを出力して、排ガス分岐弁85の加熱空気室R4側のポートの開度を増大させる。こうして、加熱空気室R4に供給する燃焼排ガス量を増大させ、加熱空気室R4から燃料供給管28に導く燃焼排ガス量を増大させる。これにより、燃料供給管28内の燃料に与える熱量を増大させて乾燥を促し、第1燃焼室C1に供給する燃料の水分量を低減させて、燃焼効率の低下を防止することができる。
【0106】
なお、空気分岐弁83の下流側の第1空気室R1と第2空気室R2との分岐点に分岐弁を設け、この分岐弁により、第1空気室R1に供給する燃焼用空気の量と、第2空気室R2に供給する燃焼用空気の量の分配割合を調整してもよい。
【0107】
この温水ボイラ1のバーナ2は、バルブ装置9で第1燃焼室C1に水を供給することにより、燃焼排ガスの未燃成分の削減と、燃焼熱量の増大を行う。このバルブ装置9は中央制御装置80の制御により、第1及び第2燃焼室C1,C2内の温度が十分に上昇した状態で作動する。すなわち、中央制御装置80は、第1燃焼室C1に設けられた図示しない温度センサから検出信号を受け、第1燃焼室C1の温度が所定の基準温度を満たしていると判断すると、バルブ装置9に接続された図示しないバルブ制御部に制御信号を出力する。制御信号を受けたバルブ制御部は、弁駆動部94に弁体92を駆動させて、弁体92の弁位置を第1燃焼室C1の温度に対応する位置に調節する。これにより、第2熱交換器32の水が、連通管91の吐出口91bから第1空気室R1内に供給されて霧状となり、霧状の水分が第1空気導入路216を通して第1燃焼室C1に供給される。こうして、燃焼温度に応じた水分を第1燃焼室C1に供給することにより、第1燃焼室C1に水性ガスを生成し、燃焼反応を促進して燃焼排ガスの未燃成分を減少させると共に、生成熱量を増大することができる。
【0108】
以上のように、本実施形態のボイラ1は、バーナ2にスクリューコンベア5で燃料を搬送する際に燃料の破砕を行うと共に、この燃料を燃料供給管28で加熱して水分量を低減させた後、第1燃焼室C1に供給する。したがって、例えば伐採直後の間伐材や、伐採から時間が経過した製材端材等が混在するような、異なる種類の材料が混在する植物性バイオマスを燃料に用いても、第1及び第2燃焼室C1,C2に安定した燃焼状態を得ることができ、安定した温度と量の温水を供給することができる。その結果、このボイラ1は、木質ペレットを用いる従来のボイラよりも、燃料の製造に消費されたエネルギーを考慮してもカーボンニュートラルに近い程度に、二酸化炭素の排出量を削減できる。また、製造コストの安い燃料を用いることができるので、温水ボイラ1の燃料費を効果的に低減することができる。
【0109】
上記実施形態において、第1燃焼室C1に燃料を供給する燃料搬送部は、スクリューコンベア5と燃料供給管28とで形成されたが、燃料搬送部は、燃料サイロ4から燃料を搬出する搬出用のスクリューコンベアと、この搬出用のスクリューコンベアで搬送された燃料を燃焼室に供給する供給用のスクリューコンベアとで形成されていてもよい。図13は、供給用のスクリューコンベヤを適用した変形例のバーナ2の下部を示す断面図である。
【0110】
このバーナ2は、バーナ部2の下方に、スクリューコンベヤで形成された搬出コンベヤ5と、この搬出コンベヤ5の終端に接続されてスクリューコンベヤで形成された供給コンベヤ101を有する。供給コンベヤ101は、第1燃焼室C1の底面を画定する底板210を貫通して配置されており、上部が第1燃焼室C1の下部に突出している。供給コンベヤ101は、円筒状のケーシング102と、ケーシング102内に収容された回転軸104及びスクリュー羽根105を有する。ケーシング102は、下端部の側面に搬出コンベヤ5のケーシングが固定されていると共に、上端に燃料の排出開口が設けられている。ケーシング102の上端には、排出開口を取り囲むフランジ103が設けられている。供給コンベヤ101の回転軸104の下端は図示しない熱シールドで隔てられたモータMに接続されている一方、回転軸104の上端には燃料の拡散棒106が固定されている。拡散棒106は、ケーシング102の上端の排出開口よりも多少上方の位置で回転駆動されるように形成されている。これにより、搬送コンベヤ5で搬送された燃料を、回転軸104及びスクリュー羽根105の回転動作でケーシング102内を上方へ送り、上端の排出開口から排出した後、回転軸104によって回転駆動される拡散棒106で第1燃焼室C1の底部に拡散させるように形成されている。供給コンベヤ101のケーシング102の排出開口は、第1燃焼室C1の第1空気導入路216を形成する貫通穴217よりも多少低い高さに位置している。
【0111】
供給コンベヤ101のケーシング102の外径側には、このケーシング102と同心に空気供給管107が設けられており、この空気供給管107の内側面とケーシング102の外側面との間に、第1補助空気供給路109が形成されている。第1補助空気供給路109は、空気供給管107の上端とケーシング102のフランジ103との間に形成された環状開口109aから、燃焼用空気を供給するように形成されている。第1補助空気供給路109は、底板210の下側に供給コンベヤ101を取り囲むように形成された概ね環状の空気供給室R6から、燃焼用空気が供給される。
【0112】
また、第1補助空気供給路109以外に、第1燃焼室C1の下部の外径側に設けられた第2補助空気供給路110を通して、第1燃焼室C1の底部に燃焼用空気が供給されるようになっている。第2補助空気供給路110は、底板210上に配置された燃料支持具29の外径面と内壁21の内周面との間に形成されており、底板210の外径部に設けられた外径貫通穴210cを通して、空気供給室R6から燃焼用空気が供給されるようになっている。
【0113】
燃料支持具29は、図4Aの燃料支持具29と同じ構成を有し、傾斜面部291と、筒部292と、貫通穴293と、立壁294と、カバー295とを有する。燃料支持具29の底側に、底板210の径方向の中央に形成された貫通穴210aを通して加熱媒体としての燃焼排ガスが導かれ、この燃焼排ガスが、燃料支持具29上に支持された燃料に、貫通穴293を通して供給されるようになっている。また、底板210の内径部に形成された貫通穴210bを通して導かれた燃焼排ガスが、燃料支持具29の内径部に形成された貫通穴と空気供給管107の外周面との間の環状の隙間から、空気供給管107の周囲に位置する燃料に供給されるようになっている。上記底板210の貫通穴210bの上方には、空気供給管107の外周面から径方向外側に突出する環状のじゃま板108が設けられており、このじゃま板108により、燃料が貫通穴210bを閉塞することを防止している。
【0114】
空気供給室R6は、底板210の下側面に固定された円筒状ケーシング124の内側に形成されている。空気供給室R6内の上部の内径側には、加熱媒体としての燃焼排ガスを第1燃焼室C1に供給するための排ガス供給室R5が設けられている。排ガス供給室R5は、空気供給室R6の円筒状ケーシング124と同心に配置された円筒状ケーシング125内に形成されており、この円筒状ケーシング125と、下端に固定された環状板とで空気供給室R6と区画されている。2つの円筒状ケーシング124,126には、図示しない導入管が夫々の接線方向を向いて取り付けられている。これらの導入管を通して、排ガス供給室R5には燃焼排ガスが、空気室R6には燃焼用空気が供給されることにより、排ガス供給室R5には燃焼排ガスの旋回流が形成され、空気室R6には燃焼用空気の旋回流が形成されるようになっている。これにより、排ガス供給室R5から燃料支持具29の貫通穴293と燃料支持具29の内径部の貫通穴を通して、高温の燃焼排ガスの旋回流を燃料に供給するように形成されている。また、空気室R6から第1補助空気供給路109と第2補助空気供給路110を通して、燃焼用空気の旋回流を燃料の上方の内径側と外径側とに供給するように形成されている。
【0115】
図14は、変形例のバーナ2へ燃焼用空気と燃焼排ガスを供給する給気系統を示す模式図である。変形例の給気系統は、燃焼用空気と燃焼排ガスを混合することなく、互いに独立してバーナ2に供給する点が、図11の給気系統と相違する。図14に関し、図11の給気系統と同一の部分には同一の参照番号を付して詳細な説明を省略する。変形例の給気系統は、空気ブロワ84により吸引した空気を、空気分岐弁83で第1空気室R1及び第2空気室R2側と、空気供給室R6側に分流する。空気分岐弁83で第1空気室R1及び第2空気室R2側に分流された空気は、第1空気室R1及び第2空気室R2で旋回流になり、矢印S1及びS2で示すように、第1空気導入路216の複数の貫通穴217と、第2空気導入路218の複数の貫通穴219から、第1燃焼室C1と第2燃焼室C2とに夫々旋回状に供給される。一方、空気分岐弁83で空気供給室R6側に分流された空気は、空気供給室R6で旋回流になり、第1補助空気供給路109と第2補助空気供給路110を通して、矢印A1及びA2で示すように、第1燃焼室C1の燃料の上方の内径側と外径側に旋回状に供給される。
【0116】
これと共に、変形例の給気系統は、排ガスブロワ81で吸引した燃焼排ガスを、排ガス供給室R5に供給して排ガス供給室R5に燃焼排ガスの旋回流を形成する。この燃焼排ガスは、矢印D2で示すように、底板210の貫通穴210aと燃料支持具29の貫通穴293を通って傾斜面部291上の燃料に旋回状に供給される。これと共に、矢印D3で示すように、底板210の貫通穴210bを通して傾斜面部291上の燃料の内径側に旋回状に供給される。
【0117】
中央制御装置80は、ブロワ制御部184によるブロワ84の風量と、弁制御部183による空気分岐弁83の開度とを調節して、第1燃焼室C1及び第2燃焼室C2と、燃料の上方の内径側と外径側に供給される燃焼用空気の量を調整する。この燃焼用空気の量は、供給コンベヤ101の燃料の供給量と、第1燃焼室C1に設けられた図示しない温度センサで測定した燃焼室温度に基づいて制御する。これにより、燃焼温度に応じた量の燃焼用空気を、第1及び第2燃焼室C1,C2に供給することができ、燃料の燃焼状態を適切に調節することができる。
【0118】
また、中央制御装置80は、ブロワ制御部181によりブロワ81の風量を調節して、第1燃焼室C1の燃料支持具29上の燃料に供給される燃焼排ガスの量を調整する。この燃焼排ガスの量は、第1熱交換器31の排出管319に取り付けられた酸素センサ88からの酸素濃度と、燃料供給管28の筒部28aに取り付けられた水分センサ89からの燃料の水分量とに基づいて制御する。これにより、燃焼排ガスに残留した未燃成分の量に応じて燃焼排ガスを第1燃焼室C1に戻して、未燃ガスを燃焼させることができると共に、燃料に含まれる水分量に応じて燃焼排ガスを燃料に供給して、燃料を適切に乾燥させ、更には炭化及び燃焼を促進することができる。
【0119】
このように、変形例の給気系統によれば、温度に応じた適切な燃焼用空気を燃焼室に供給することができると共に、燃焼排ガスの未燃成分を燃焼室に戻して燃焼させることができ、さらに、燃料を効果的に乾燥させることができ、したがって、燃料の水分量にばらつきが存在しても、燃焼室における燃焼状態を安定にすることができる。その結果、このバーナ2は、所定温度の燃焼排ガスを安定して生成することができ、ひいてはボイラの生成する温水の温度及び量を安定させることができる。
【0120】
また、この変形例のバーナ2によれば、空気供給管107の外周側及び燃料支持具29の上方に供給された燃料に、高温の燃焼排ガスを燃料支持具29の貫通穴293と内径部の貫通穴から燃焼排ガスを供給するので、第1燃焼室C1の燃焼に伴う熱が伝わり難い燃料の下側部分を効果的に加熱することができ、したがって、燃料を下側からも十分に乾燥及び炭化させることができる。また、燃焼排ガスに残留する未燃成分と酸素を燃料に供給することにより、燃料の燃焼を促進することができる。また、燃料の上方の内径側と外径側に、第1補助空気供給路109と第2補助空気供給路110を通して燃焼用空気を供給するので、燃料の燃焼を偏り無く促進させることができる。更に、燃焼排ガスの旋回流と燃焼用空気の旋回流を供給することにより、燃焼ガスと燃焼用空気を、燃料と燃料の上方に高密度に流して供給することができ、燃料の燃焼効率を向上させて燃料の完全燃焼に近づけることができる。
【0121】
また、このバーナ2は、第1燃焼室C1の下部に、スクリューコンベヤで形成された供給コンベヤ101で燃料を供給するので、第1燃焼室C1への燃料の供給を停止して燃焼を停止する場合、供給コンベヤ101の内部に燃料が残留することなく第1燃焼室C1に燃料を全て排出することができる。
【0122】
上記実施形態において、植物性のバイオマス燃料として、間伐材や製材端材や建築廃材のチップを用いたが、例えば剪定材や伐根材のチップや、麦わらやサトウキビ殻の破砕片や、草等の他の植物性のバイオマス燃料を用いることができる。
【0123】
上記実施形態において、ジャケット式の第1熱交換器C1と多管式の第2熱交換器C2を用いたが、熱交換器の種類はジャケット式や多管式に限定されない。また、バーナ2に第2熱交換器C2を設けなくてもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、本発明のバーナを温水ボイラ1に適用した場合を例示したが、蒸気ボイラに適用することもできる。
【0125】
さらに、本発明は、温水ボイラや蒸気ボイラに限られず、暖房装置、冷房装置、温風機、乾燥機、焼却設備及び発電設備等における種々の熱源として用いられるバーナに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の実施形態としての温水ボイラの構成を示す模式図である。
【図2】バーナ2を示す断面図である。
【図3】第1及び第2空気室と底部空気室を画定する部材を取り出して示した平面図である。
【図4A】燃料支持具29を示す平面図である。
【図4B】傾斜面部の貫通穴の周辺部を示す横断面図である。
【図4C】傾斜面部の貫通穴の周辺部を示す縦断面図である。
【図5】燃料サイロとスクリューコンベアとバーナの一部を示す模式図である。
【図6】スクリューコンベアの燃料破砕部に用いられる螺旋羽根を示す斜視図である。
【図7】スクリューコンベアの燃料破砕部における断面図である。
【図8】バーナのバルブ装置を示す断面図である。
【図9】第1熱交換器を示す断面図である。
【図10】サイクロン装置及び冷却集灰装置を示す模式図である。
【図11】バーナへ燃焼用空気と燃焼排ガスを供給する給気系統を示す模式図である。
【図12】第1燃焼室及び第2燃焼室内の燃焼用空気と燃焼排ガスの流れを模式的に示した斜視図である。
【図13】変形例のバーナの下部を示す断面図である。
【図14】変形例のバーナの給気系統を示す模式図である。
【符号の説明】
【0127】
1 温水ボイラ
2 バーナ
4 燃料サイロ
5 スクリューコンベア
7 排気ブロワ
31 第1熱交換器
32 第2熱交換器
62 戻りダクト
81 排ガスブロワ
85 排ガス分岐弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスを含む燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、
燃料を燃焼する燃焼室を有するバーナ部と、
上記燃料貯蔵部に貯蔵された燃料をバーナ部の燃焼室に搬送する燃料搬送部と、
上記燃料搬送部に設けられ、この燃料搬送部で搬送されている燃料を破砕する燃料破砕部と、
上記燃料破砕部で破砕された燃料の前加熱を行う燃料前加熱部と
を備えることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項2】
請求項1に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料搬送部は、回転駆動されて燃料を送る螺旋羽根と、この螺旋羽根を収容するケーシングとを有するスクリューコンベアを有し、
上記燃料破砕部は、上記スクリューコンベアの螺旋羽根の縁に設けられた切欠き部と、この切欠き部の回転経路に沿って上記ケーシングの内周面に設けられた突出部とを有することを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項3】
請求項1に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料前加熱部は、上記バーナ部の燃焼室から排出された燃焼排ガスにより燃料の前加熱を行うことを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項4】
請求項3に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料前加熱部に供給する燃焼排ガスの量を、上記燃焼室に供給される燃料の水分量に基づいて制御するガス量制御部を備えることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項5】
請求項3に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料搬送部は、燃料貯蔵部から燃料を搬送するスクリューコンベアと、このスクリューコンベアで搬送された燃料をバーナ部の燃焼室の下部に導入する燃料供給管を有し、
上記燃料前加熱部は、上記燃料搬送部の燃料供給管内に燃焼排ガスを供給するように形成されていることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項6】
請求項1に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記バーナ部の燃焼室に旋回流を形成するように燃焼用空気を供給する旋回空気供給部と、
上記旋回空気供給部に設けられ、上記燃焼室へ供給される燃焼用空気の前加熱を行う空気前加熱部と
を備えることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項7】
請求項6に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記旋回空気供給部は、上記燃焼室の外周側に設けられた円筒環状の空気室と、この円筒環状の空気室に接線方向に燃焼用空気を導入する空気導入路と、上記空気室の燃焼用空気を燃焼室内に導く空気導入路とを有し、
上記旋回空気供給部の空気室が、内周側の燃焼室から伝わる熱で燃焼用空気の前加熱を行うように形成されて、上記空気前加熱部を兼ねていることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項8】
請求項1に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料前加熱部は、上記バーナ部の燃焼室内に供給された燃料を、上記バーナ部の燃焼室から排出された燃焼排ガスを含む加熱媒体によって燃焼室の底側から加熱するように形成されていることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項9】
請求項8に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料前加熱部は、燃焼室内に供給された燃料を支持する燃料支持具を有し、この燃料支持具は、上記燃焼室内の底部に配置され、燃焼室の底から離れるにつれて拡径するテーパ形状を有すると共に上記加熱媒体の流通穴を有し、表面に支持する燃料に、上記流通穴を通して加熱媒体を供給するように形成されていることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項10】
請求項8に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記加熱媒体は、上記バーナ部の燃焼室から排出された燃焼排ガスと空気との混合気体であることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項11】
請求項10に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記混合気体の燃焼排ガスと空気との混合割合を、上記燃焼室から排出された燃焼排ガスの残留酸素量に基づいて制御する混合制御部を備えることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項12】
請求項8に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記バーナ部の燃焼室内に、この燃焼室内に供給された燃料の上方の内径側と外径側とから燃焼用空気を供給する補助燃焼用空気供給部を備えることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項13】
請求項1に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記バーナ部の燃焼室に水を供給する給水部を備えることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項14】
請求項13に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記バーナ部の燃焼室の外周側に配置され、燃焼用空気が導入されて燃焼用空気の前加熱を行う円筒環状の空気室と、この空気室の燃焼用空気を燃焼室内に導く空気導入路とを有する空気前加熱部を備え、
上記空気前加熱部の空気室の外周側を取り囲むように形成されて被加熱媒体としての水が導入される円筒環状の水室を有し、
上記給水部は、上記水室と、上記空気前加熱部の空気室との隔壁を貫通して設けられたバルブ装置を有し、このバルブ装置のバルブが開き駆動され、上記水室の水が空気室に導かれて空気導入路を通って燃焼室内に供給されるように形成されていることを特徴とするバイオマス燃料ボイラ。
【請求項15】
請求項1に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料は、植物性のバイオマスを含むことを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項1】
バイオマスを含む燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、
燃料を燃焼する燃焼室を有するバーナ部と、
上記燃料貯蔵部に貯蔵された燃料をバーナ部の燃焼室に搬送する燃料搬送部と、
上記燃料搬送部に設けられ、この燃料搬送部で搬送されている燃料を破砕する燃料破砕部と、
上記燃料破砕部で破砕された燃料の前加熱を行う燃料前加熱部と
を備えることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項2】
請求項1に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料搬送部は、回転駆動されて燃料を送る螺旋羽根と、この螺旋羽根を収容するケーシングとを有するスクリューコンベアを有し、
上記燃料破砕部は、上記スクリューコンベアの螺旋羽根の縁に設けられた切欠き部と、この切欠き部の回転経路に沿って上記ケーシングの内周面に設けられた突出部とを有することを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項3】
請求項1に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料前加熱部は、上記バーナ部の燃焼室から排出された燃焼排ガスにより燃料の前加熱を行うことを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項4】
請求項3に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料前加熱部に供給する燃焼排ガスの量を、上記燃焼室に供給される燃料の水分量に基づいて制御するガス量制御部を備えることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項5】
請求項3に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料搬送部は、燃料貯蔵部から燃料を搬送するスクリューコンベアと、このスクリューコンベアで搬送された燃料をバーナ部の燃焼室の下部に導入する燃料供給管を有し、
上記燃料前加熱部は、上記燃料搬送部の燃料供給管内に燃焼排ガスを供給するように形成されていることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項6】
請求項1に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記バーナ部の燃焼室に旋回流を形成するように燃焼用空気を供給する旋回空気供給部と、
上記旋回空気供給部に設けられ、上記燃焼室へ供給される燃焼用空気の前加熱を行う空気前加熱部と
を備えることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項7】
請求項6に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記旋回空気供給部は、上記燃焼室の外周側に設けられた円筒環状の空気室と、この円筒環状の空気室に接線方向に燃焼用空気を導入する空気導入路と、上記空気室の燃焼用空気を燃焼室内に導く空気導入路とを有し、
上記旋回空気供給部の空気室が、内周側の燃焼室から伝わる熱で燃焼用空気の前加熱を行うように形成されて、上記空気前加熱部を兼ねていることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項8】
請求項1に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料前加熱部は、上記バーナ部の燃焼室内に供給された燃料を、上記バーナ部の燃焼室から排出された燃焼排ガスを含む加熱媒体によって燃焼室の底側から加熱するように形成されていることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項9】
請求項8に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料前加熱部は、燃焼室内に供給された燃料を支持する燃料支持具を有し、この燃料支持具は、上記燃焼室内の底部に配置され、燃焼室の底から離れるにつれて拡径するテーパ形状を有すると共に上記加熱媒体の流通穴を有し、表面に支持する燃料に、上記流通穴を通して加熱媒体を供給するように形成されていることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項10】
請求項8に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記加熱媒体は、上記バーナ部の燃焼室から排出された燃焼排ガスと空気との混合気体であることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項11】
請求項10に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記混合気体の燃焼排ガスと空気との混合割合を、上記燃焼室から排出された燃焼排ガスの残留酸素量に基づいて制御する混合制御部を備えることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項12】
請求項8に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記バーナ部の燃焼室内に、この燃焼室内に供給された燃料の上方の内径側と外径側とから燃焼用空気を供給する補助燃焼用空気供給部を備えることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項13】
請求項1に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記バーナ部の燃焼室に水を供給する給水部を備えることを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【請求項14】
請求項13に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記バーナ部の燃焼室の外周側に配置され、燃焼用空気が導入されて燃焼用空気の前加熱を行う円筒環状の空気室と、この空気室の燃焼用空気を燃焼室内に導く空気導入路とを有する空気前加熱部を備え、
上記空気前加熱部の空気室の外周側を取り囲むように形成されて被加熱媒体としての水が導入される円筒環状の水室を有し、
上記給水部は、上記水室と、上記空気前加熱部の空気室との隔壁を貫通して設けられたバルブ装置を有し、このバルブ装置のバルブが開き駆動され、上記水室の水が空気室に導かれて空気導入路を通って燃焼室内に供給されるように形成されていることを特徴とするバイオマス燃料ボイラ。
【請求項15】
請求項1に記載のバイオマス燃料バーナにおいて、
上記燃料は、植物性のバイオマスを含むことを特徴とするバイオマス燃料バーナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−107165(P2010−107165A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282049(P2008−282049)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】
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