説明

バグフィルターろ布交換方法

【課題】プレコート層を適切に形成することのできる、バグフィルターろ布の交換方法を提供する。
【解決手段】古いろ布を除去して新しいろ布を取り付ける工程と、前記新しいろ布の上流側に反応助剤粉末を供給しつつ、前記上流側から前記新しいろ布の下流側へ向かう気流を発生させ、前記新しいろ布の上流側表面に前記反応助剤粉末を堆積させる工程と、前記堆積させる工程の後に、前記新しいろ布を介して前記下流側から前記上流側に向けて送風し、過剰に堆積した前記反応助剤粉末を除去する工程と、前記除去する工程の後に、前記上流側から前記下流側へ向けて一定風量で送風しつつ、前記上流側と前記下流側との差圧を測定する工程と、前記差圧を測定する工程における測定結果に基づいて、前記堆積させる工程から前記差圧を測定する工程までの処理を繰り返すか否かを判断する工程とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バグフィルターろ布交換方法に関し、特に、ごみ焼却炉等の排ガスの集塵を行うために設けられるバグフィルターに用いられるろ布の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみの焼却施設等において、ごみ等の燃焼により生じる排ガスは、種々の処理により無害化され、外部に排気される。排ガスに対する処理の一つとして、ろ布を備えるバグフィルターによるダストの除去が挙げられる。そのろ布は使用時間と共に劣化していくものであり、定期的に交換される。バグフィルターのろ布交換に係る技術として、例えば特許文献1(特開2002−102631号公報)、特許文献2(特開平6−47222号公報)、及び特許文献3(特開2002−143625号公報)が挙げられる。
【0003】
バグフィルターに対する要求として、ろ布の目詰まりや破損の防止などが挙げられる。ろ布の目詰まりや破損などの原因として、例えば、塩化水素を除去するために投入される消石灰などが挙げられる。消石灰は、バグフィルターの上流側に供給される。消石灰が、排ガス中に含まれる塩化水素と反応すると、塩化カルシウム(CaCl)を生成する。この塩化カルシウムは潮解性を有しており、低温時に水分を吸収して溶液状態となり、灰の堆積層を湿らすことになる。このように、バグフィルターのろ布に捕捉された塩化カルシウムが潮解すると、ろ布の目詰まりや通気性を下げる要因となる。また、潮解後、ろ布上で堆積層が乾燥・固化してろ布の可とう性を低下させることにより、ろ布を損傷させる要因となる。また、塩化水素と消石灰との反応により生成した塩化カルシウムが、ろ布を損傷させることもある。
【0004】
ろ布の目詰まりや破損の防止目的などから、ろ布表面にプレコート層を設ける場合がある。そのような技術として、特許文献4(特公平3−26095号公報)が挙げられる。反応助剤粉末をプレコートしておくことにより、ダストの堆積層はこのプレコート層上に形成され、直接ダストがろ布に触れることがない。従って、ろ布の目詰まりやダスト付着による破損が防止できる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−102631号公報
【特許文献2】特開平6−47222号公報
【特許文献3】特開2002−143625号公報
【特許文献4】特公平3−26095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献4に記載されるようなプレコート層は、新しいろ布を取り付けた後に、ろ布の上流側表面に形成される。この際、プレコート層が適切に形成されることが重要である。たとえば、ろ布表面の一部に、プレコート層の厚みが薄い部分や、プレコート層の設けられていない部分が存在していれば、ダストがろ布に直接触れてしまい、プレコート層の作用が十分に得られなくなることがある。
【0007】
しかしながら、ごみ焼却炉等では多数のろ布が設けられるため、全てのろ布に対してプレコート層が適切に形成されているか否かを確認することは容易ではない。
【0008】
従って、本発明の目的は、プレコート層を適切に形成することのできる、ろ布交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用する括弧付き符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであり、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
本発明に係るろ布交換方法は、古いろ布を外して新しいろ布(10)を取り付ける工程(ステップS10)と、新しいろ布(10)の上流側に反応助剤粉末を供給しつつ、新しいろ布(10)の上流側から下流側へ向けて送風し、新しいろ布(10)の上流側表面に反応助剤粉末を堆積させる工程(ステップS20)と、堆積させる工程(S20)の後に、新しいろ布(10)を介して下流側から上流側に向けて送風し、過剰に堆積した反応助剤粉末を除去する工程(ステップS30)と、除去する工程(S30)の後に、上流側から下流側へ向けて一定風量で送風しつつ、上流側と下流側との差圧を測定する工程(ステップS40)と、差圧を測定する工程(S40)における測定結果に基づいて、堆積させる工程(S20)から差圧を測定する工程(S40)までの処理を繰り返すか否かを判断する工程(ステップS50)とを具備する。
反応助剤粉末を堆積させる工程(S20)の直後では、ろ布の表面上に反応助剤粉末が過剰に堆積している。除去する工程(S30)を実施すると、過剰に堆積した反応助剤粉末が除去され、定着層だけが残る。この定着層は、容易に脱落することのない層である。差圧を測定する工程(ステップS40)にて差圧を測定することにより、定着層の状態を知ることができる。すなわち、差圧が大きければ定着層が密であり、差圧が少なければ定着層が疎であることがわかる。判断する工程(S50)において、差圧が少なければ定着層が未だ十分に形成されていないと判断し、反応助剤粉末の堆積を繰り返す。これにより、最終的に定着層を十分に密に形成することができ、適切な状態で反応助剤粉末によるプレコート層を形成することができる。
【0011】
上記のろ布交換方法は、更に、判断する工程(S50)において処理を繰り返さないと判断した場合に実施される最終プレコート工程(S60)を具備することが好ましい。最終プレコート工程(S60)における処理は、堆積させる工程(S20)と同じである。
【0012】
判断する工程(S50)は、差圧を測定する工程(S40)における測定結果が予め定められた目標差圧より低かったときに処理を繰り返すと判断し目標差圧以上であったときに処理を繰り返さないと判断する工程を含むことが好ましい。
【0013】
その目標差圧は、堆積させる工程(S20)を一度も実施していない状態での上流側と下流側との間の差圧である初期差圧に対して、2倍以上5倍以下であることが好ましい。
【0014】
新しいろ布(10)は、2重織、綾織り、平織りのガラス繊維や、ガラス及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなるフェルト等であることが好ましい。
【0015】
反応助剤粉末は、ゼオライト、ケイソウ土、パーライト等の粉末から選ばれる一つもしくは二つ以上の混合物であることが好ましく、ケイソウ土を含むことがより好ましい。
【0016】
取り付ける工程(S10)において、新しいろ布(10)は、ごみ焼却炉(1)の排ガスを外部に排気する経路の途中に取り付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プレコート層を適切に形成することのできる、ろ布交換方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照しつつ、本発明に係るろ布交換方法の実施形態について説明する。図1は、本実施形態のろ布交換方法の適用されるごみ焼却施設を示す概略構成図である。
【0019】
図1に示されるように、ごみ焼却施設は、ごみ焼却炉1と、減温塔2と、バグフィルター3と、誘引通風機4と、下流側装置(図示せず)と、反応助剤供給サイロ6と、消石灰などを供給する薬品サイロ12とを備えている。ごみ焼却炉1ではごみが燃焼され、排ガスが生成される。生成した排ガスは、誘引通風機4による気流により、下流側へ送られる。具体的には、ボイラ(図示せず)や減温塔2により冷却された後、バグフィルター入口ダクト7を介してバグフィルター3に送られる。バグフィルター3では、排ガス中のダストが捕捉される。バグフィルター3を通過した排ガスは、バグフィルター出口ダクト9により誘引通風機4へ送られる。下流側装置は、例えば、触媒脱硝装置、湿式排ガス洗浄装置などを備えている。排ガスは、下流側装置により無害化された後、煙突5より外部に排気される。
【0020】
本実施形態のろ布交換方法は、上述のバグフィルター3内に取り付けられるろ布の交換に適用される。以下に、バグフィルター3について説明する。
【0021】
バグフィルター3は、バグフィルター入口ダクト7とバグフィルター出口ダクト9とに接続される部屋を有しており、その部屋はシンブルプレート31によって上流側のダーティ室34と下流側のクリーン室33とに分けられている。ダーティ室34はバグフィルター入口ダクト7に接続されており、クリーン室33はバグフィルター出口ダクト9に接続されている。シンブルプレート31には、ろ布10吊り下げ用の開口部が複数個設けられている。各開口部からは、ろ布10が、ダーティ室34側に向かって吊り下げられている。
ろ布10は袋状であり、ろ布の開口部はシンブルプレート31の開口部に概ね一致している。また、図示していないが、ろ布の内部には、ろ布の形状を維持するためのケージが挿入されている。ろ布としては、例えば、二重織、綾織り、平織りのガラス繊維や、ガラス及びPTFEからなるフェルト等が用いられる。
【0022】
このような構成により、バグフィルター3では、通常使用時において、バグフィルター入口ダクト7からダーティ室34内に排ガスが導入される。ダーティ室34内に導入された排ガスは、ろ布を通過してダストが除去された後、クリーン室33に送られ、バグフィルター出口ダクト9からバグフィルター3外に排気される。
【0023】
また、クリーン室33内には、各ろ布10に対応して、逆洗用ノズル32が取り付けられている。逆洗用ノズル32は、図示していないが配管を介して空気圧縮機に接続されている。クリーン室33側からダーティ室34側へ向かってろ布10を通過する気流を噴射するように設けられている。逆洗用ノズル32は、ろ布10に堆積したダストを払い落とすためのものである。
【0024】
バグフィルター3には、更に、差圧計35が取り付けられている。差圧計35は、ダーティ室34とクリーン室33との差圧を測定するように設けられている。差圧計35は、例えば、マノメータである。
【0025】
尚、図1には、バグフィルター3内に一つの部屋しか示されていない。しかし、バグフィルター3内が複数の部屋に分割され、その複数の部屋の各々がダーティ室34とクリーン室33とに別けられていてもよい。
【0026】
バグフィルター3内のろ布10には、反応助剤供給サイロ6から供給される反応助剤が堆積する。以下に、反応助剤供給サイロ6について説明する。
【0027】
反応助剤供給サイロ6は、粉体輸送管8を介してバグフィルター入口ダクト7に接続されており、粉末状の反応助剤をバグフィルター入口ダクト7に供給する。反応助剤は、ろ布の目詰まりや破損を防止する目的から供給される。反応助剤としては、かさ密度が小さく、通気性が良く、吸気してもべとつかないものが好ましく用いられる。具体的には、ゼオライト、ケイソウ土、パーライト等の粉体から選ばれる一つもしくは二つ以上の混合物が好ましく用いられ、ケイソウ土を用いることがより好ましい。このような反応助剤を供給することにより、ダストはバグフィルター3内で反応助剤と共にろ布上に堆積する。反応助剤と共に堆積したダストは、反応助剤と共に簡単にろ布から払い落とすことができ、ろ布表面をクリーンな状態に保つことができる。
【0028】
図2Aは、反応助剤供給サイロ6の一例を示す概略図である。図2Aに示される例の反応助剤供給サイロ6は、定量供給機61と、供給板63と、ブロワ64と、を備えている。ブロワ64は、粉体輸送管8を介してバグフィルター入口ダクト7に接続されている。ブロワ64は、粉体輸送管8内をバグフィルター入口ダクト7側へ向かって流れる気流を発生させる。この反応助剤供給サイロ6において、反応助剤は、定量供給機61から供給板63に送られる。図2Bは、定量供給機61と、供給板63と、粉体輸送管8との位置関係を示す図である。供給板63は、環状であり、一部が定量供給機61の下部に配置され、他の一部が粉体輸送管8内に配置されている。供給板63は、上部の開放された複数のマスに分割されている。供給板63は、図示しない回転機構により回転する。このような構成により、反応助剤は、定量供給機61から供給板63の複数のマスの各々に供給される。供給板63の回転により、反応助剤の供給された各マスが粉体輸送管8内に配置される。反応助剤は、粉体輸送管8内においてブロワ64による気流に巻き上げられ、バグフィルター入口ダクト7側へ導入される。
【0029】
図2A及び2Bで示した例の反応助剤供給サイロ6を用いれば、粉末状の反応助剤を均一にバグフィルター入口ダクト7へ供給することができる。また、供給板63の回転数などを制御することにより、反応助剤の供給量を正確に制御することが可能となっている。
【0030】
薬品サイロ12は、塩化水素などを除去するために、消石灰などを供給するためのものである。薬品サイロ12としては、反応助剤供給サイロ6と同様の構成のものを使用することができる。
【0031】
上述したごみ焼却施設において、バグフィルター3内のろ布10は、使用時間と共に劣化するものである。従って、ろ布10は、定期的に交換される必要がある。以下に、本実施形態に係るろ布交換方法について説明する。図3は、ろ布交換方法を示すフローチャートである。
【0032】
ステップS10;ろ布10の取り付け
まず、古くなったろ布をバグフィルター3内から除去し、新しいろ布10をバグフィルター3内に取り付ける。
【0033】
ステップS20;プレコート実施
次に、新しいろ布10の表面に、反応助剤をプレコートし、プレコート層11を形成させる。具体的には、まず、誘引通風機4を駆動させて、バグフィルター3を通過する一定風量の気流を発生させる。気流の流速が安定すると、反応助剤供給サイロ6を稼動させて、反応助剤をバグフィルター入口ダクト7に供給する。反応助剤は、単位時間当たりに一定量で供給されることが好ましい。バグフィルター入口ダクト7に供給された反応助剤は、バグフィルター3内に導かれ、新しく取り付けられたろ布10により捕捉される。これにより、ろ布10上に反応助剤の堆積した層(プレコート層)が形成される。ここで、反応助剤の供給中には、差圧計35により、ダーティ室34とクリーン室33との差圧ΔPを測定しておく。ろ布上にプレコート層11が形成されるに従い、差圧ΔPは増大していく。図4は、時刻と差圧ΔPとの関係を示したグラフである。このグラフでは、時刻t1(差圧ΔP=P1)において、反応助剤の供給が開始されている。また、時刻の経過に伴い、差圧ΔPが上昇している。差圧ΔPが予め定められた中間目標差圧となった段階で、反応助剤の供給を停止する。中間目標差圧は、例えば、ステップS20の処理前における差圧に対して一定の値(例えば、15〜20mmHO)だけ大きい値に設定される。図4の例では、中間目標差圧がP5に設定されており、時刻t2において反応助剤の供給が停止されている。
【0034】
図5Aは、ステップS20で堆積したプレコート層11を示す説明図である。プレコート層11は、ろ布10の表面に堆積した部分(以下、定着層11−1)と、定着層11−1上に堆積した部分(以下、余剰層11−2)とにわけることができる。図5Bは、定着層11−1の様子を説明するための説明図である。網目状に織り込まれたろ布10の隙間に反応助剤が挟まれるように堆積している。従って、定着層11−1は、容易にろ布10から脱落することはない。一方、余剰層11−2は、ろ布10によって直接捕捉されているわけではなく、ろ布10に振動が加わった際などに容易に脱落する。ろ布10の目詰まりや損傷を防止するためには、定着層11−1が適切に形成されていることが重要である。但し、ステップS20を一回だけ実施した後では、定着層11−1が疎な状態で形成され、その上に余剰層11−2が形成されることがある。この状態で反応助剤の供給を続けても、余剰層11−2の厚みが増えるだけであり、定着層11−1の疎密は変わらない。そのため、次のステップS30以降の処理が実行される。
【0035】
ステップS30;逆洗
ステップS20の後に、逆洗処理が行われ、余剰層11−2が払い落とされる。具体的には、ノズル32から気流をろ布10内に噴射し、クリーン室33側からダーティ室34側へろ布10を通過する気流を発生させる。これにより、余剰層11−2が払い落とされ、ろ布10の表面には定着層11−1のみが形成された状態となる。
【0036】
ステップS40;差圧測定
ステップS30における逆洗が終了すると、ダーティ室34側からクリーン室33側へ一定風量の気流を流した状態で、差圧ΔPを測定する。図4に示される例では、時刻t2において逆洗が行われ、逆洗後の差圧ΔPがP2となっている。
【0037】
ステップS50〜60;差圧判定及び最終プレコートの実施
次に、ステップS40における測定結果から、再びステップS20〜S40までの処理を繰り返すか、最終プレコートを実施するかの判断を行う。具体的には、S40において測定された逆洗後の差圧ΔPを、予め定められた目標差圧Ptargetと比較する。S40における差圧が目標差圧Ptargetよりも低い場合には、定着層11−1が十分に密に形成されていないと判断し、再びステップS20〜40までの処理を繰り返す。一方、S40における差圧が目標差圧Ptarget以上である場合には、定着層11−1が十分に密に形成されていると判断し、次のステップS60の処理を行う。
ステップS60では、ステップS20と同様な条件で最終的なプレコートを実施する。予め定められた最終差圧P6となった段階でプレコートを終了し、ステップS30の逆洗以降の処理は行わずに実運転に備える。
【0038】
図4に示される例では、時刻t2における逆洗後の差圧P2が目標差圧Ptargetよりも低い。従って、2回目のステップS20〜40までの処理が実行されている。また、2回目のステップS40における逆洗後差圧(時刻t3における差圧P3)も、未だ目標差圧Ptargetよりも低い。従って、3回目のステップS20〜40までの処理が実行されている。3回目のステップS40における逆洗後差圧(時刻t4における差圧P4)は、目標差圧Ptarget以上である。従って、時刻t4の後に最終的なプレコート(ステップS60)が実施されている。ステップS60の時刻t5において最終差圧P6となり、処理が終了されている。
【0039】
ステップS50において用いられる目標差圧Ptargetの値は、初回のプレコートの実施前における差圧である初期差圧(図4の例ではP1)に対して、2倍以上、5倍以下であることが好ましい。目標差圧Ptargetが初期差圧の2倍より小さい場合には、定着層11−1が十分に密に形成されない傾向にある。一方、目標差圧Ptargetが初期差圧の5倍より大きい場合には、逆洗後の差圧が目標差圧Ptarget以上になるまでに必要とされる処理回数が多くなりすぎ、処理時間が長くなり易い。
より好ましくは、初期差圧が10mmHO〜15mmHOであった場合に、目標差圧Ptargetを30〜35mmHOの範囲内である。
【0040】
また、ステップS60で用いられる最終差圧P6の値は、初期差圧に対して、3倍以上5倍以下の範囲内で設定されることが好ましい。最終差圧が初期差圧の3倍より小さい場合には、最終的にプレコート層11が十分に形成されておらず、実運転時にろ布10の損傷や目詰まりが発生し易い傾向にある。一方、最終差圧を初期差圧の5倍よりも大きい場合には、ステップS60において最終差圧以上の差圧とするまでの処理時間が長くなりやすい。
より好ましくは、10mmHO〜15mmHOであった場合に、最終差圧を30〜40mmHOの範囲内である。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、逆洗後の差圧に基づいて、最終的なプレコートを行うか、プレコートから逆洗までの処理を繰り返すかが決定される。逆洗後の差圧を測定することにより、定着層11−1が適切に形成されているか否かを知ることができる。この際、ダーティ室34側とクリーン室33側との差圧を測定するだけでよく、簡単にプレコート層11の堆積状態を判断することができる。従って、プレコート層11を、簡単な方法で、適切な状態で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】ごみ焼却施設を示す概略構成図である。
【図2A】反応助剤供給サイロを示す概略構成図である。
【図2B】反応助剤供給サイロを示す概略構成図である。
【図3】ろ布交換方法を示すフローチャートである。
【図4】時刻と差圧との関係を示すグラフである。
【図5A】プレコート層11を示す概略図である。
【図5B】プレコート層11を示す概略図である。
【符号の説明】
【0043】
1 焼却炉
2 減温塔
3 バグフィルター
4 誘引通風機
5 煙突
6 反応助剤供給サイロ
7 バグフィルター入口ダクト
8 粉体輸送管
9 バグフィルター出口ダクト
10 ろ布
11 プレコート層
11−1 定着層
11−2 余剰層
12 薬品サイロ
31 シンブルプレート
32 逆洗用ノズル
33 クリーン室
34 ダーティ室
35 差圧計
62 定量供給機
63 供給板
64 ブロワ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古いろ布を除去して新しいろ布を取り付ける工程と、
前記新しいろ布の上流側に反応助剤粉末を供給しつつ、前記上流側から前記新しいろ布の下流側へ向かう気流を発生させ、前記新しいろ布の上流側表面に前記反応助剤粉末を堆積させる工程と、
前記堆積させる工程の後に、前記新しいろ布を前記下流側から前記上流側に通過するように気体を噴射し、過剰に堆積した前記反応助剤粉末を除去する工程と、
前記除去する工程の後に、前記上流側から前記下流側へ向けて一定風量で送風しつつ、前記上流側と前記下流側との差圧を測定する工程と、
前記差圧を測定する工程における測定結果に基づいて、前記堆積させる工程から前記差圧を測定する工程までの処理を繰り返すか否かを判断する工程と、
を具備する
ろ布交換方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたろ布交換方法であって、
前記判断する工程は、前記差圧を測定する工程における測定結果が予め定められた目標差圧より低かったときに処理を繰り返すと判断し、前記目標差圧以上であったときに処理を繰り返さないと判断する工程を含む
ろ布交換方法。
【請求項3】
請求項2に記載されたろ布交換方法であって、
前記目標差圧は、前記堆積させる工程を一度も実施していない状態での前記上流側と前記下流側との間の差圧である初期差圧に対して、2倍以上5倍以下である
ろ布交換方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載されたろ布交換方法であって、
更に、
前記判断する工程において処理を繰り返さないと判断した場合に実施される、最終プレコート工程、
を具備し、
前記最終プレコート工程における処理は、前記堆積させる工程と同じである
ろ布交換方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載されたろ布交換方法であって、
前記新しいろ布は、二重織、綾織り、平織りのガラス繊維や、ガラス及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなるフェルト製である
ろ布交換方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載されたろ布交換方法であって、
前記取り付ける工程において、前記新しいろ布は、ごみ焼却炉の排ガスを外部に排気する経路の途中に取り付けられる
ろ布交換方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2009−178620(P2009−178620A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17353(P2008−17353)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(501370370)三菱重工環境エンジニアリング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】