説明

バケット式粒体搬送装置

【課題】 残粒を効率良く短時間で排出し得るバケット式粒体搬送装置を提供する。
【解決手段】 掬取部6に投入された粒体を下降経路dから上昇経路uへ順次に反転移動する複数のバケット1により掬い取って搬送するバケット式粒体搬送装置において、噴射弁16の開閉操作により残粒排出用の空気ノズル13からの圧縮空気噴射の発停制御を行う噴射制御手段17を、第1噴射時間Ta1だけ圧縮空気Aを噴射させる第1噴射操作を第1設定複数回数N1にわたり、各回の第1噴射操作どうしの間に第1休止時間Tb1だけ圧縮空気噴射を停止する第1休止操作を介在させた状態で繰り返し実行し、それに続いて、第1噴射時間Ta1よりも長い第2噴射時間Ta2だけ圧縮空気Aを噴射させる第2噴射操作を第2設定複数回数N2にわたり、各回の第2噴射操作どうしの間に第2休止時間Tb2だけ圧縮空気噴射を停止する第2休止操作を介在させた状態で繰り返し実行する構成にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒の揚送等に用いるバケット式粒体搬送装置に関し、詳しくは、掬取部に投入された粒体を前記掬取部において下降経路から上昇経路へ順次に反転移動する複数のバケットにより掬い取って搬送するバケット式粒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の如きバケット式粒体搬送装置では、掬取部の底面とバケットとの間に設ける隙間の存在の為、掬取部への粒体投入が無くなって粒体の搬送を終了するとき、バケットで掬い取り切れずに掬取部の底面に残ったままとなる残粒を生じることが多いが、この残粒を排出するのに、掬取部の底面に対して圧縮空気を噴射する残粒排出用の空気ノズルを装備し、粒体搬送の終了時にバケットを駆動しつつ残粒排出用の空気ノズルから圧縮空気を繰り返し噴射させる残粒排出運転を実施するようにした装置がある。
【0003】
すなわち、この装置では、掬取部の底面に残る粒体を空気ノズルからの圧縮空気噴射により浮上させ、この浮上させた粒体をバケットにより掬い取って搬送先へ送ることで、掬取部における残粒を排出する。
【0004】
そして従来、この種の装置では、例えば共通の圧縮機に接続した第1〜第3の空気ノズル(装備位置をバケット移動方向において異ならせた3種の空気ノズル)を用いて、図9に示す如き操作形態で掬取部の底面に対して圧縮空気を繰り返し噴射させる構成を採っていた(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平4−223909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来装置による残粒排出運転では、残粒を掬取部から排出する残粒排出効率(換言すれば、残粒を浮上させてバケットに掬い取らせる効率)が低くて、掬取部における残粒を目標量まで減少させるのに長時間を要する問題があった。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な改良により上記問題を効果的に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔1〕本発明の第1特徴構成はバケット式粒体搬送装置に係り、その特徴は、
掬取部に投入された粒体を前記掬取部において下降経路から上昇経路へ順次に反転移動する複数のバケットにより掬い取って搬送する構成において、
前記掬取部の底面に対して前記下降経路の側から圧縮空気を噴射する残粒排出用の空気ノズルと、この空気ノズルに対する圧縮機からの空気供給路を開閉する噴射弁と、この噴射弁を開閉操作して前記空気ノズルからの圧縮空気噴射の発停制御を行う噴射制御手段とを設け、
この噴射制御手段を、残粒排出運転の開始指令が付与されたとき、
前記空気ノズルから第1噴射時間だけ圧縮空気を噴射させる第1噴射操作を第1設定複数回数にわたり、各回の第1噴射操作どうしの間に第1休止時間だけ前記空気ノズルからの圧縮空気噴射を停止する第1休止操作を介在させた状態で繰り返し実行し、
それに続いて、前記空気ノズルから第1噴射時間よりも長い第2噴射時間だけ圧縮空気を噴射させる第2噴射操作を第2設定複数回数にわたり、各回の第2噴射操作どうしの間に第2休止時間だけ前記空気ノズルからの圧縮空気噴射を停止する第2休止操作を介在させた状態で繰り返し実行する構成にしてある点にある。
【0009】
つまり、噴射弁を開弁状態にして残粒排出用の空気ノズルから圧縮空気を噴射させる噴射操作では、噴射弁を開弁したときに、それまで噴射弁の上流側に蓄積されていた高い閉切圧力(すなわち、圧縮機の運転下で噴射弁が閉弁状態にあるときに空気供給路の噴射弁上流側において立つ空気圧力)が開放されて、その開放された閉切圧力によって生じる大きな噴射力で圧縮空気が空気ノズルから噴射されるが、その後、噴射弁上流側の空気圧力は開放圧力(すなわち、圧縮機の運転下で噴射弁が開放状態にあるときの空気供給路における定常の空気圧力)に降下してしまい、これに伴い空気ノズルからの圧縮空気噴射力も一定の安定値まで低下してしまう。
【0010】
そして、掬取部の底面における残粒を浮上させてバケットに掬い取らせる残粒排出については、残粒の量が未だ多い運転前半では、掬取部の底面で集積状態にある残粒をバケット下降経路側からの大きな噴射力での圧縮空気噴射によりバケット上昇経路側へ一気に飛散させる状態(換言すれば、舞い上がらせる状態)に浮上させる浮上形態にした場合、浮上する残粒量が多いことでバケットによる掬い取りの確率が高くなって、効率良くバケットに残粒を掬い取らせ得ることが研究により判明した。
【0011】
また、残粒の量が少なくなった運転後半では、上記の如き一気飛散的な浮上形態よりも、むしろ、バケット下降経路側からのある程度小さな噴出力での圧縮空気噴射により傾向として残粒をバケット上昇経路側の掬取部壁に沿わせ押し上げる状態で浮上させる浮上形態にして、その押し上げ状態からの落下の際にバケットに掬い取らせる方が、バケットによる掬い取りの確率が高くなることが同研究により判明した。
【0012】
このことから、第1特徴構成によれば、残粒排出運転の開始指令が付与されたとき、先ず、空気ノズルから第1噴射時間だけ圧縮空気を噴射させる第1噴射操作を第1設定複数回数にわたり繰り返すことにおいて、第1噴射時間に、噴射開始後の大きな噴射力を利用して残粒を一気飛散的に浮上させる形態でバケットに掬い取らせるのに足りる程度の比較的短い時間を設定しておけば、残粒量が未だ多い運転前半に実施する各回の第1噴射操作において、開放圧力への圧力降下により噴射力が低下した後の圧縮空気噴射を不用意に長時間にわたり継続するのを回避しながら、多くの残粒を一気飛散的に浮上させてバケットに掬い取らせる効率の良い残粒排出を行うことができ、これにより残粒排出運転の前半における残粒排出効率を高めることができる。
【0013】
そしてまた、この第1噴射操作の繰り返しに続き、残粒量が少なくなった運転後半において、空気ノズルから第2噴射時間だけ圧縮空気を噴射させる第2噴射操作を第2設定複数回数にわたり繰り返すにあたっては、第2噴射時間を第1噴射時間よりも長くするから、この運転後半における各回の第2噴射操作では、開放圧力への圧力降下により噴射力が低下した後の圧縮空気噴射により少量の残粒をバケット上昇経路側の掬取部壁に沿わせ押し上げる状態で浮上させて確率の高くバケットに掬い取らせる方の残粒排出機能を高めることができ、これにより残粒排出運転の後半における残粒排出効率を高めることができる。
【0014】
すなわち、これらのことから、第1特徴構成によれば、図9に示す如き操作形態を採る先述の従来装置に比べ、残粒排出運転全体としての残粒排出効率を高めることができて、掬取部における残粒を目標量まで減少させるのに要する時間を短縮することができ、また、この効率向上により圧縮機の小容量化も可能になる。
【0015】
〔2〕本発明の第2特徴構成はバケット式粒体搬送装置に係り、その特徴は、
掬取部に投入された粒体を前記掬取部において下降経路から上昇経路へ順次に反転移動する複数のバケットにより掬い取って搬送する構成において、
前記掬取部の底面に対して圧縮空気を噴射する残粒排出用の複数の空気ノズルをバケット移動経路の幅方向に分散させて配置するとともに、
これら空気ノズルの夫々に対する共通圧縮機からの分岐空気供給路を各別に開閉する噴射弁と、これら噴射弁を開閉操作して前記空気ノズル夫々からの圧縮空気噴射の発停制御を行う噴射制御手段とを設け、
この噴射制御手段を、残粒排出運転の開始指令が付与されたとき、
前記空気ノズルから第1噴射時間だけ圧縮空気を噴射させる第1噴射操作を第1設定複数回数にわたり、各回の第1噴射操作どうしの間に第1休止時間だけ前記空気ノズルからの圧縮空気噴射を停止する第1休止操作を介在させた状態で、かつ、一回の第1噴射操作とそれに続く一回の第1休止操作との一組の操作の操作対象とする噴射弁を複数の前記噴射弁のうちで順次的に又は交互に変更する形態で繰り返し実行し、
それに続いて、前記空気ノズルから第2噴射時間だけ圧縮空気を噴射させる第2噴射操作を第2設定複数回数にわたり、各回の第2噴射操作どうしの間に第2休止時間だけ前記空気ノズルからの圧縮空気噴射を停止する第2休止操作を介在させた状態で、かつ、複数の前記噴射弁を同期させて開閉する形態で繰り返し実行する構成にしてある点にある。
【0016】
つまり、掬取部の底面における残粒を底面全幅について確実に排出する為に、圧縮機を共通にした複数の空気ノズルをバケット移動経路の幅方向に分散させて装備する場合があるが、この場合、それら複数の空気ノズルに対する噴射操作を同時に行うと、共通圧縮機による圧縮空気が複数の空気ノズルから分散して噴射されることで個々の空気ノズルからの圧縮空気噴射力が低減し、このことで残粒排出効率の低下(特に、残粒量が未だ多くて残粒が集積状態にあるために大きな圧縮空気噴射力が要求される運転前半における残粒排出効率の低下)を招いてしまう。
【0017】
これに対し、第2特徴構成によれば、圧縮機を共通にする複数の空気ノズルをバケット移動経路の幅方向に分散させて配置する構成において、残粒排出運転の開始指令を受けたとき、先ず、空気ノズルから第1噴射時間だけ圧縮空気を噴射させる第1噴射操作を第1設定複数回数にわたり各回の第1噴射操作どうしの間に第1休止操作を介在させた状態で繰り返すのに、一回の第1噴射操作とそれに続く一回の第1休止操作との一組の操作の操作対象とする噴射弁を、複数の噴射弁(すなわち、複数の空気ノズルに対する各別の噴射弁)のうちで順次に又は交互に変更する形態で第1噴射操作を繰り返すから、残粒量が未だ多くて大きな圧縮空気噴射力が要求される運転前半に実施する各回の第1噴射操作において、複数の空気ノズルへの圧縮空気の分散による噴射力の低下を回避した状態で、空気ノズルから圧縮空気を噴射させることができ、これにより残粒排出運転の前半における残粒排出効率を高めることができる。
【0018】
そしてまた、この第1噴射操作の繰り返しに続き、残粒量が少なくなった運転後半において、空気ノズルから第2噴射時間だけ圧縮空気を噴射させる第2噴射操作を第2設定複数回数にわたり繰り返すにあたっては、複数の噴射弁(複数の空気ノズルに対する各別の噴射弁)を同期させて開閉する形態で第2噴射操作を繰り返すから、すなわち、残粒量がもはや少なくてある程度小さな噴射力でも残粒を効率的に排出し得ることを裏付けとして複数の空気ノズルから同時に圧縮空気を噴射させる形態の第2噴射操作を繰り返すから、バケット移動経路の幅方向に分散させた複数の空気ノズルから順次的に又は交互に圧縮空気を噴射させる場合に生じる如きバケット移動経路幅方向への残粒の逃げ(すなわち、圧縮空気噴射を受けない箇所への逃げ)を防止した状態で、掬取部の底面に分散して残る残粒を効率良く排出することができ、これにより残粒排出運転の後半における残粒排出効率を高く確保することができる。
【0019】
すなわち、これらのことから、第2特徴構成によれば、図9に示す如き操作形態を採る先述の従来装置に比べ、残粒排出運転全体としての残粒排出効率を高めることができて、掬取部における残粒を目標量まで減少させるのに要する時間を短縮することができ、また、この効率向上により圧縮機の小容量化も可能になる。
【0020】
なお、第1又は第2特徴構成の実施において、各回の第1噴射操作における第1噴射時間は必ずしも等しい時間である必要はなく、第1噴射時間が互いに異なる第1噴射操作を実行させるようにしてもよく、また、各回の第2噴射操作における第2噴射時間も必ずしも等しい時間である必要はなく、第2噴射時間が互いに異なる第2噴射操作を実行させるようにしてもよい。
【0021】
第1又は第2特徴構成の実施において、第1休止操作の実施時間である第1休止時間、及び、第2休止操作の実施時間である第2休止時間は、噴射弁の閉弁後、空気供給路における噴射弁上流側の空気圧力が開放圧力から閉切圧力に上昇回復するのに要する時間や、前回の噴射操作で浮上させた残粒のうちバケットで掬い取られなかったものが掬取部の底面に戻るのに要する時間等を確保しながらも極力短い時間(例えば2秒間〜3秒間程度)にするのが望ましく、これら第1,第2休止時間を極力短くすることで、休止操作において必要以上に長時間にわたり圧縮空気噴射を停止することに原因する残粒排出運転全体としての残粒排出効率(平均効率)の低下を抑止することができる。
【0022】
〔3〕本発明の第3特徴構成は、第2特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
複数の前記空気ノズルを、前記掬取部の底面に対して前記下降経路の側から圧縮空気を噴射する状態に配置するとともに、前記第2噴射時間を前記第1噴射時間よりも長くしてある点にある。
【0023】
つまり、この第3特徴構成によれば、前述の第1特徴構成による効果、すなわち、残粒量が未だ多い運転前半に実施する各回の第1噴射操作において、開放圧力への圧力降下により噴射力が低下した後の圧縮空気噴射を不用意に長時間にわたり継続するのを回避しながら、多くの残粒を一気飛散的に浮上させてバケットに掬い取らせる効率の良い残粒排出を行うことができ、そのことで残粒排出運転の前半における残粒排出効率を高めることができるという効果、及び、残粒量が少なくなった運転後半における各回の第2噴射操作では、開放圧力への圧力降下により噴射力が低下した後の圧縮空気噴射により少量の残粒をバケット上昇経路側の掬取部壁に沿わせ押し上げる状態で浮上させて確率の高くバケットに掬い取らせる方の残粒排出機能を高めることができ、そのことで残粒排出運転の後半における残粒排出効率を高めることができるという効果を、第2特徴構成の実施において合わせて得ることができ、これにより、残粒排出運転全体としての残粒排出効率を一層効果的に高めることができて、掬取部における残粒を目標量まで減少させるのに要する時間を一層効果的に短縮することができる。
【0024】
〔4〕本発明の第4特徴構成は第1又は第3特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、前記第1噴射時間を1秒間〜6秒間にしてある点にある。
【0025】
つまり、残粒の量が未だ多い運転前半において大きな噴射力での圧縮空気噴射により残粒を一気飛散的に浮上させた場合に、残粒を効率良くバケットに掬い取らせることができて高い残粒排出効率を得られるのは、閉切圧力の開放による噴射開始時の大きな噴射力により静止慣性が打破されて浮上が促された多くの残粒が後続の圧縮空気噴射を受けてバケットによる掬い取りが可能な浮上状態になっている一定の当初時間に限られるものであり、この当初時間は、圧縮機の能力、空気供給路を形成する配管の管径・管長、圧縮空気タンクの介装の有無などにより差はあるものの、概ね1秒間〜6秒間程度(中心的には3秒間〜4秒間)であることが研究により判明した。
【0026】
このことから、第4特徴構成によれば、残粒排出運転の前半における各回の第1噴射操作において1秒間〜6秒間の第1噴射時間だけ空気ノズルから圧縮空気を噴射させるから、噴射開始時点からの上記当初時間において得られる高い残粒排出効率は確保しながら、開放圧力への圧力降下により残粒排出効率が既に低下した状態での圧縮空気噴射の不用意な継続を一層的確に回避することができ、これにより、残粒排出運転全体としての残粒排出効率を一層確実かつ効果的に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は米の揚送に用いるバケット式粒体搬送装置を示し、多数のバケット1を並べて外周に取り付けた無端回動ベルト2を、縦長のケース3の内部においてケース上端部の上側プーリ4とケース下端部の下側プーリ5とにわたって巻き掛け、ケース3の下端部にはケース内の底部の掬取部6に米を投入する投入ホッパ7を設け、ケース3の上端部には揚送した米を排出する排出ホッパ8を設けてある。
【0028】
つまり、モータ9によりベルト2を回転駆動することにより、投入ホッパ7からケース内に投入された米を掬取部6において下降経路dから上昇経路uへ順次に反転移動するバケット1により掬い取って揚送し、この揚送した米をケース上端部においてバケット1の上昇経路uから下降経路dへの反転移動に伴い投擲する形態で排出ホッパ8へ排出する構造にしてある。
【0029】
図2、図3に示す如く、ケース3の下端部には、投入ホッパ8を選択的に取り付けるホッパ取付開口10,11がバケット1の下降経路d側と上昇経路u側との夫々に形成されているが、本装置ではバケット上昇経路uの側のホッパー取付開口10に投入ホッパ8を取り付けて、いわゆる背入れタイプの装置にし、バケット下降経路dの側のホッパー取付開口11は蓋12により閉塞するとともに、この蓋12に残粒排出用の空気ノズル13を取り付けてある。
【0030】
すなわち、一方のホッパ取付開口11を閉塞する着脱自在な蓋12に残粒排出用の空気ノズル13を取り付けることで、専用の新たなノズル取付用開口を設けることなく、既設装置にも残粒排出用の空気ノズル13を容易に装備し得る方式を採っている。
【0031】
掬取部6の底面6a(すなわち、ケース3内部の底面)は、下降経路dから上昇経路uへ反転移動するバケット1の回動軌跡に沿う弧状の断面形状で、バケット1が掬取部6の底面6aとの間に若干の隙間が存在する状態で回動する半径の弧状形状になっており、これに対し、空気ノズル13は、バケット移動経路の幅方向(プ−リ5の回転軸芯方向)におけるケース中央部で噴射管13aをケース外部からケース内部へ貫通させる状態にして、また、蓋12をケース3に装着した状態において噴射管13aが掬取部6の弧状底面6aの傾斜部分に沿う斜め下向き姿勢になるように蓋12に取り付けてある。
【0032】
すなわち、このノズル配置により、空気ノズル13の先端噴射口13bから掬取部6の底面6aに対しその底面6aの傾斜部分に沿わせる状態でバケット下降経路dの側から底面6aの最下部に向けて圧縮空気Aを噴射する構造にしてある。
【0033】
また、空気ノズル13における噴射管13aの途中には先端側を低位にする屈折部分13cを形成し、これにより、空気ノズル13をホッパ取付開口11の蓋12に取り付ける構造を採りながらも、掬取部6における底面6aの傾斜部分に対して一層密接に沿わせる状態に圧縮空気Aを噴射させるようにしてある。
【0034】
この空気ノズル13は、掬取部6への米の投入が無くなって米の揚送を終了するとき、バケット1で掬い取り切れずに掬取部6の底面6aに残ったままとなる米の残粒を排出する為のものであり、米揚送の終了時にバケット1を駆動しつつ、圧縮機14からの供給圧縮空気Aを空気ノズル13から噴射させることにより、掬取部6の底面6aに残る米の残粒を浮上させ、この浮上させた残粒をバケット1により掬い取って排出ホッパ8へ送ることで掬取部6における米の残粒を排出し、これにより、米の残粒が次回に揚送する米(特に異種の米)に混入するのを防ぐ。
【0035】
空気ノズル13の噴射管13aの基端部には、空気ノズル13に対する圧縮機14からの空気供給路15を開閉して空気ノズル13からの圧縮空気噴射を発停する噴射弁16(電磁弁)を装備してあり、また、ケース3には、噴射弁16を開閉操作して空気ノズル13からの圧縮空気噴射の発停制御を行う噴射制御器17を設けてある。
【0036】
この噴射制御器17は、米揚送の終了時において残粒排出運転の開始指令が付与されると所定の噴射パターンで空気ノズル13から圧縮空気Aを噴射させるものであり、本第1実施形態の装置では、図4に示す如く、残粒排出運転の開始指令が付与されたとき、空気ノズル13から第1噴射時間Ta1だけ圧縮空気Aを噴射させる第1噴射操作を第1設定複数回数N1にわたり、各回の第1噴射操作どうしの間に第1休止時間Tb1だけ空気ノズル13からの圧縮空気噴射を停止する第1休止操作を介在させた状態で繰り返し実行する構成にしてある。
【0037】
また、この第1噴射操作の第1設定複数回数N1にわたる繰り返しに続き、空気ノズル13から第1噴射時間Ta1よりも長い第2噴射時間Ta2(>Ta1)だけ圧縮空気Aを噴射させる第2噴射操作を第2設定複数回数N2にわたり、各回の第2噴射操作どうしの間に第2休止時間Tb2だけ空気ノズル13からの圧縮空気噴射を停止する第2休止操作を介在させた状態で繰り返し実行する構成にしてある。
【0038】
なお、本第1実施形態の装置において上記の如き残粒排出運転を実施するにあたり、各設定値の具体的な好適例としては、例えば、空気ノズル13の噴出管13aの口径10mm、圧縮空気Aの定格圧力0.6〜0.7MPaの仕様において、第1噴射時間Ta1=3秒間、第1休止時間Tb1=2秒間、第1設定複数回数N1=5回、第2噴射時間Ta2=7秒間、第2休止時間Tb2=3秒間、第2設定複数回数3回を挙げることができる。
【0039】
〔第2実施形態〕
図5,図6は第1実施形態で示した装置よりも大型でバケット移動経路の幅方向におけるケース幅が大きな米揚送用のバケット式粒体搬送装置に対して残粒排出用の空気ノズル13A,13Bを装備した例を示し、この装置では、2本の空気ノズル13A,13Bをホッパ取付開口11の蓋12に対しその両横端部に振り分け配置(すなわち、バケット移動経路の幅方向に分散させた状態に配置)して平行姿勢で取り付けてあり、各空気ノズル13A,13Bは、第1実施形態の場合と同様、噴射管13aをケース外部からケース内部へ貫通させる状態に、かつ、蓋12をケース3に装着した状態において各空気ノズル13A、13Bの噴射管13aが掬取部6の弧状底面6aの傾斜部分に沿う斜め下向き姿勢になるように蓋12に取り付けてある。
【0040】
すなわち、このノズル配置により、両空気ノズル13A,13Bの先端噴射口13bから掬取部6の底面6aに対しその底面6aの傾斜部分に沿わせる状態でバケット下降経路dの側から底面6aの最下部に向けて圧縮空気Aを噴射するが、一方の空気ノズル13Aからは、掬取部6の底面6aのうち主にバケット移動経路の幅方向における一側寄り半部に対して圧縮空気Aを噴射し、他方の空気ノズル13Bからは、掬取部6の底面6aのうち主にバケット移動経路の幅方向における他側寄り半部に対して圧縮空気Aを噴射する構造にしてある。
【0041】
各空気ノズル13A,13Bの噴射管13aの基端部には、それら空気ノズル13A,13Bに対する共通圧縮機14からの分岐空気供給路15a,15bを各別に開閉して各空気ノズル13A,13Bからの圧縮空気噴射を各別に発停する噴射弁16a,16b(電磁弁)を装備してあり、ケース3には、これら噴射弁16a,16bを開閉操作して2本の空気ノズル13A,13B夫々からの圧縮空気噴射の発停制御を行う噴射制御器17を設けてある。
【0042】
そして、本第2実施形態の装置では、この噴射制御器17を、図7に示す如く、残粒排出運転の開始指令が付与されたとき、空気ノズル13A又は13Bから第1噴射時間Ta1だけ圧縮空気Aを噴射させる第1噴射操作を第1設定複数回数N1にわたり、各回の第1噴射操作どうしの間に第1休止時間Tb1だけ空気ノズル13A又は13Bからの圧縮空気噴射を停止する第1休止操作を介在させた状態で、かつ、一回の第1噴射操作とそれに続く一回の第1休止操作との一組の操作の操作対象とする噴射弁を2個の噴射弁16a,16bのうちで交互に変更する形態で繰り返し実行する構成にしてある。
【0043】
また、この第1噴射操作の第1設定複数回数N1にわたる繰り返しに続き、空気ノズル13A,13Bから第2噴射時間Ta2だけ圧縮空気Aを噴射させる第2噴射操作を第2設定複数回数N2にわたり、各回の第2噴射操作どうしの間に第2休止時間Tb2だけ空気ノズル13A,13Bからの圧縮空気噴射を停止する第2休止操作を介在させた状態で、かつ、2個の噴射弁16a,16bを同期させて開閉する形態で繰り返し実行する構成にしてある。
【0044】
なお、本第2実施形態の装置において上記の如き残粒排出運転を実施するにあたり、各設定値の具体的な好適例としては、例えば、空気ノズル13A,13Bの噴出管13aの口径10mm、圧縮空気Aの定格圧力0.6〜0.7MPaの仕様において、第1噴射時間Ta1=3秒間、第1休止時間Tb1=2秒間、第1設定複数回数N1=8回(すなわち、各空気ノズル13A,13Bについて4回の第1噴射操作)、第2噴射時間Ta2=7秒間、第2休止時間Tb2=3秒間、第2設定複数回数N2=3回を挙げることができる。
【0045】
〔別の実施形態〕
本発明の第1特徴構成の実施において、第1噴射時間Ta1、第1休止時間Tb1、第1設定複数回数N1、第2噴射時間Ta2、第2休止時間Tb2、第2設定複数回数N2の各設定値には、前述の第1実施形態で示した例値に限らず、第1噴射時間Ta1を第2噴射時間Ta2よりも短い時間にするものであれば、装置条件などに応じて適当な値を選定できるが、一般的に、第1噴射時間Ta1は1秒間〜6秒間(特に3秒間〜4秒間)の範囲内で選定するのが好ましく、第1休止時間Tb1は2秒間〜6秒間の範囲内で選定するのが好ましく、第2噴射時間Ta2は4秒間〜10秒間(特に6秒間〜8秒間)の範囲内で第1噴射時間Ta1よりも長い時間を選定するのが好ましく、第2休止時間Tb2は2秒間〜8秒間の範囲内で選定するのが好ましい。
【0046】
本発明の第1特徴構成の実施において、空気ノズル13の装備数は単数に限られるものではなく、共通又は各別の圧縮機14から圧縮空気供給を受ける複数の空気ノズル13を装備する構成を採ってもよい。
【0047】
本発明の第2特徴構成の実施において、第1噴射時間Ta1、第1休止時間Tb1、第1設定複数回数N1、第2噴射時間Ta2、第2休止時間Tb2、第2設定複数回数N2の各設定値には、装置条件などに応じて適当な値を選定できるが、特に本発明の第3特徴構成をもって第2特徴構成を実施する場合には、第1特徴構成の実施の場合と同様、一般的に、第1噴射時間Ta1は1秒間〜6秒間(特に3秒間〜4秒間)の範囲内で選定するのが好ましく、第1休止時間Tb1は2秒間〜6秒間の範囲内で選定するのが好ましく、第2噴射時間Ta2は4秒間〜10秒間(特に6秒間〜8秒間)の範囲内で第1噴射時間Ta1よりも長い時間を選定するのが好ましく、第2休止時間Tb2は2秒間〜8秒間の範囲内で選定するのが好ましい。
【0048】
本発明の第2特徴構成の実施において、バケット移動経路の幅方向に分散させて配置する複数の空気ノズル13A、13Bの装備数は2個に限らず、3個以上の複数であってもよく、また、その場合、第1噴射操作の繰り返しについては、図8に示す如く、空気ノズル13A又は13B又は13Cから第1噴射時間Ta1だけ圧縮空気Aを噴射させる第1噴射操作を第1設定複数回数N1にわたり、各回の第1噴射操作どうしの間に第1休止時間Tb1だけ空気ノズル13A又は13B又は13Cからの圧縮空気噴射を停止する第1休止操作を介在させた状態で、かつ、一回の第1噴射操作とそれに続く一回の第1休止操作との一組の操作の操作対象とする噴射弁を3個以上の噴射弁16a〜16c(各空気ノズル13A〜13Cに対する噴射弁)のうちで順次に変更する形態で繰り返し実行させるようにするのが望ましい。
【0049】
前述の第1,第2実施形態では、掬取部6に対しバケット上昇経路uの側から米を投入する装置構造を示したが、これに代え、掬取部6に対しバケット下降経路dの側から米を投入する構造にしてもよい。
【0050】
本発明の第1又は第2特徴構成の実施において、搬送対象の粒体は米などの穀粒に限られるものではなく、掬取部6において下降経路dから上昇経路dへ順次に反転移動する複数のバケット1により掬い取って搬送し得るものであれば、どのような粒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によるバケット式粒体搬送装置は、穀粒を始めとする各種の粒体の搬送に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1実施形態に係る一部を省略した装置全体側面図
【図2】第1実施形態に係る装置下部の拡大側面図
【図3】第1実施形態に係る装置下部の拡大後面図
【図4】第1実施形態に係る残粒排出運転の操作形態を示す図
【図5】第2実施形態に係る装置下部の拡大側面図
【図6】第2実施形態に係る装置下部の拡大後面図
【図7】第2実施形態に係る残粒排出運転の操作形態を示す図
【図8】別の実施形態に係る残粒排出運転の操作形態を示す図
【図9】従来装置における残粒排出運転の操作形態を示す図
【符号の説明】
【0053】
1 バケット
6 掬取部
6a 底面
13 空気ノズル
13A,13B 空気ノズル
14 圧縮機
15 空気供給路
15a,15b 分岐空気供給路
16 噴射弁
16a,16b 噴射弁
17 噴射制御手段
A 圧縮空気
d 下降経路
u 上昇経路
Ta1 第1噴射時間
N1 第1設定複数回数
Tb1 第1休止時間
Ta2 第2噴射時間
N2 第2設定複数回数
Tb2 第2休止時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掬取部に投入された粒体を前記掬取部において下降経路から上昇経路へ順次に反転移動する複数のバケットにより掬い取って搬送するバケット式粒体搬送装置であって、
前記掬取部の底面に対して前記下降経路の側から圧縮空気を噴射する残粒排出用の空気ノズルと、この空気ノズルに対する圧縮機からの空気供給路を開閉する噴射弁と、この噴射弁を開閉操作して前記空気ノズルからの圧縮空気噴射の発停制御を行う噴射制御手段とを設け、
この噴射制御手段を、残粒排出運転の開始指令が付与されたとき、
前記空気ノズルから第1噴射時間だけ圧縮空気を噴射させる第1噴射操作を第1設定複数回数にわたり、各回の第1噴射操作どうしの間に第1休止時間だけ前記空気ノズルからの圧縮空気噴射を停止する第1休止操作を介在させた状態で繰り返し実行し、
それに続いて、前記空気ノズルから第1噴射時間よりも長い第2噴射時間だけ圧縮空気を噴射させる第2噴射操作を第2設定複数回数にわたり、各回の第2噴射操作どうしの間に第2休止時間だけ前記空気ノズルからの圧縮空気噴射を停止する第2休止操作を介在させた状態で繰り返し実行する構成にしてあるバケット式粒体搬送装置。
【請求項2】
掬取部に投入された粒体を前記掬取部において下降経路から上昇経路へ順次に反転移動する複数のバケットにより掬い取って搬送するバケット式粒体搬送装置であって、
前記掬取部の底面に対して圧縮空気を噴射する残粒排出用の複数の空気ノズルをバケット移動経路の幅方向に分散させて配置するとともに、
これら空気ノズルの夫々に対する共通圧縮機からの分岐空気供給路を各別に開閉する噴射弁と、これら噴射弁を開閉操作して前記空気ノズル夫々からの圧縮空気噴射の発停制御を行う噴射制御手段とを設け、
この噴射制御手段を、残粒排出運転の開始指令が付与されたとき、
前記空気ノズルから第1噴射時間だけ圧縮空気を噴射させる第1噴射操作を第1設定複数回数にわたり、各回の第1噴射操作どうしの間に第1休止時間だけ前記空気ノズルからの圧縮空気噴射を停止する第1休止操作を介在させた状態で、かつ、一回の第1噴射操作とそれに続く一回の第1休止操作との一組の操作の操作対象とする噴射弁を複数の前記噴射弁のうちで順次的に又は交互に変更する形態で繰り返し実行し、
それに続いて、前記空気ノズルから第2噴射時間だけ圧縮空気を噴射させる第2噴射操作を第2設定複数回数にわたり、各回の第2噴射操作どうしの間に第2休止時間だけ前記空気ノズルからの圧縮空気噴射を停止する第2休止操作を介在させた状態で、かつ、複数の前記噴射弁を同期させて開閉する形態で繰り返し実行する構成にしてあるバケット式粒体搬送装置。
【請求項3】
複数の前記空気ノズルを、前記掬取部の底面に対して前記下降経路の側から圧縮空気を噴射する状態に配置するとともに、
前記第2噴射時間を前記第1噴射時間よりも長くしてある請求項2記載のバケット式粒体搬送装置。
【請求項4】
前記第1噴射時間を1秒間〜6秒間にしてある請求項1又は3記載のバケット式粒体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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