説明

バックル

【課題】雌部へのリードスイッチの組付作業を容易に行うことのできるバックルを提供する。
【解決手段】雌部20に、リードスイッチ40、リード線41の一部、LED42及び抵抗器43を本体部21の外部から収納可能な収納部50を設け、収納部50を蓋55によって閉鎖するようにしたので、リードスイッチ40を雌部20の外部から容易に組み付けることができ、生産性の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば人体に着用して使用される人体用エアバッグ装置の電源スイッチとして用いられるリードスイッチを備えたバックルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば工事現場等の高所から落下した際に人体への衝撃を吸収する人体用エアバッグ装置として、人体の所定部位に対応するように設けられたエアバッグと、人体の落下を検知するセンサとを備え、センサによって人体の落下を検知すると、エアバッグを膨張させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1または2参照)。
【0003】
前記人体用エアバッグ装置は、エアバッグが設けられた衣服状の装着体を人体に着用して使用され、装着体にはセンサの制御部を作動状態にする電源スイッチが設けられている。この電源スイッチは、装着体の胴ベルトのバックルに設けられたリードスイッチからなり、装着体の着用時にバックルの雄部と雌部を結合すると、雄部の先端に取り付けられた磁石が雌部の内部に配置されたリードスイッチに近接し、磁石の磁力によってリードスイッチが作動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−265638号公報
【特許文献2】特開2005−87322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記バックルでは、雌部を合成樹脂によって成形した後、雌部の挿入口から雌部内の奥にリードスイッチを組み付けるようにしているため、雌部へのリードスイッチの組付作業が煩雑になり、生産性を低下させるという問題点があった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、雌部へのリードスイッチの組付作業を容易に行うことのできるバックルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、互いに着脱自在に結合する雄部及び雌部と、雄部に設けられた磁石と、雌部に設けられたリードスイッチとを備え、雄部と雌部とを結合すると、雄部の磁石が雌部のリードスイッチに近接し、磁石の磁力によってリードスイッチを作動させるようにしたバックルにおいて、前記リードスイッチを雌部の外部から収納可能な収納部と、収納部を閉鎖する蓋とを備えている。
【0008】
これにより、リードスイッチを雌部の外部から収納部に収納し、収納部を蓋によって閉鎖することにより、雌部にリードスイッチが組み付けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リードスイッチを雌部の外部から組み付けることができるので、雌部へのリードスイッチの組付作業を容易に行うことのでき、生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示すバックルの平面図
【図2】雄部の平面図
【図3】雌部の一部分解平面図
【図4】雄部の表面側斜視図
【図5】雄部の裏面側斜視図
【図6】雌部の分解斜視図
【図7】雌部の分解斜視図
【図8】雌部の一部分解側面断面図
【図9】雌部の側面断面図
【図10】回路構成を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図10は本発明の一実施形態を示すものである。同図に示すバックルは、例えば人体用エアバッグ装置等、一対のベルト1,2に取り付けられた雄部及び雌部を着脱することにより電源スイッチがオン/オフする各種装置に用いられるものである。
【0012】
本実施形態のバックルは、互いに着脱自在に結合する雄部10及び雌部20と、雄部10に設けられた磁石30と、雌部20に設けられたリードスイッチ40と、リードスイッチ40を収納する収納部50とを備えている。
【0013】
雄部10は合成樹脂の成型品からなり、一方のベルト1が連結される本体部11を有している。本体部11の一端側には突出部12が設けられ、本体部11の幅方向両側には一対のロック片13が設けられている。本体部11の他端側には幅方向に延びる一対の横長のベルト挿通孔11a,11bが設けられ、各ベルト挿通孔11a,11bは互いに本体部11の長手方向に間隔をおいて配置されている。突出部12は本体部11の幅方向中央から本体部11の長手方向に延びるように形成され、その先端部の裏側には磁石30を固定するための固定部12aが設けられている。各ロック片13は、本体部11の幅方向に弾性変形可能な弾性片部13aと、各弾性片部13aの先端に形成された操作部13bとからなり、各操作部13bを本体部11の幅方向内側に向かって押圧すると、各操作部13bが弾性片部13aの弾性弾性変形によって本体部11の幅方向内側に変位するようになっている。この場合、操作部13bの側面には、指先を係止可能な凹部13cが設けられている。
【0014】
雌部20は合成樹脂の成型品からなり、他方のベルト2が連結される本体部21を有している。本体部21は一端面を開口した中空状に形成され、その開口部は雄部10の突出部12及び各ロック片13が挿入される挿入口21aを形成している。本体部21の幅方向両側には一対の切り欠き部21bが設けられ、各切り欠き部21bはロック片13の操作部13bが外部に露出するように開口している。この場合、各操作部13bが切り欠き部21bの縁部に係止することにより、雄部10と雌部20が互いにロックされるようになっている。また、本体部21の他端側には、本体部21の幅方向に延びる横長のベルト挿通孔21cが設けられている。
【0015】
磁石30は、薄型円柱状の永久磁石からなり、図5に示すように雄部10の固定部12aに本体部11の裏側から取り付けられている。
【0016】
リードスイッチ40は両端に導線部40aを有し、磁石30を近接すると、磁石30の磁力によって各導線部40a間を導通する周知の機器からなる。
【0017】
収納部50は、雌部20の本体部21の他端側に設けられ、リードスイッチ40のほか、リード線41の一部、LED42及び抵抗器43を収納するようになっている。収納部50は、本体部21の表側の面が開放されており、その内部には、リードスイッチ40を位置決めする第1の凹部51と、リード線41の一部を位置決めする第2の凹部52と、LED42を位置決めする第3の凹部53と、抵抗器43を位置決めする第4の凹部54が設けられている。第1の凹部51は、リードスイッチ40を各導線部40aが収納部50の幅方向両側に向かって延びるように位置決めすることにより、リードスイッチ40を収納部50の幅方向中央に配置している。第2の凹部52は、リード線41を曲げて位置決めするとともに、リード線41の曲がり部分の中心に位置する突起52aをリード線41に係止し、リード線41を収納部50の幅方向中央から外部に延出するように配置している。第3の凹部53はLED42を収納部50の幅方向一方に臨むように位置決めしており、本体部21の一側面にはLED42の先端部(発光部)を外部に露出させる孔21dが設けられている。また、第3の凹部53は、3つの突起53aの間にLED42から延出する一対の導線部42aを保持するようになっている。第4の凹部54は突起54aと収納部50の内面との間に抵抗器43の一方の導線部43aを保持することにより、抵抗器43を位置決めするようになっている。
【0018】
また、収納部50はその開放面を閉鎖する蓋55を有し、蓋55は収納部50の開放面を覆うように板状に形成されている。蓋55の内面には幅方向一対の第1の突起55aが設けられ、収納部50内に設けた孔50aに各第1の突起55aを圧入することにより、蓋55が収納部50に取り付けられるようになっている。また、蓋55の内面には幅方向一対の第2の突起55bが設けられ、蓋55を収納部50に取り付けると、各第2の突起55bによってリードスイッチ40の各導線部40aが保持されるようになっている。
【0019】
リードスイッチ40、リード線41、LED42及び抵抗器43は、図6及び図7に示すように外部から収納部50に収納された後、半田付けにより接続され、図10に示す回路を構成する。即ち、リード線41は電源入力線41a、電源出力線41b及びLED制御入力線41cからなり、リードスイッチ40、電源入力線41a及び電源出力線41bが直列に接続され、LED42、抵抗器43、LED制御入力線41c及び電源出力線41bが直列に接続されている。
【0020】
以上のように構成されたバックルにおいては、雄部10の各ベルト挿通孔11a,11bに一方のベルト1を挿通することにより、一方のベルト1が雄部10に連結される。また、雌部20のベルト挿通孔21cに他方のベルト2を挿通することにより、他方のベルト2が雌部20に連結される。その際、図9に示すように他方のベルト2は、雌部20の他端側を巻回するように連結され、蓋50で閉鎖された収納部50がベルト2によって覆われる。
【0021】
また、前記バックルにおいては、雄部10の突出部12及び各ロック片13を雌部20の本体部21内に挿入すると、各ロック片13の操作部13bが雌部20の挿入口21aの内縁部に当接し、各ロック片13が本体部21の幅方向内側に向かって弾性変形しながら本体部21内に挿入される。続いて、各ロック片13の操作部13bが雌部20の切り欠き部21bまで達すると、各ロック片13が本体部21の幅方向外側に向かって復元して各操作部13bが切り欠き部21bから外部に露出するとともに、各操作部13bが切り欠き部21bの縁部に係止して雄部10と雌部20とがロックされる。その際、図1に示すように雄部10の突出部12に取り付けられている磁石30が雌部20の収納部50内のリードスイッチ40に近接し、磁石30の磁力によってリードスイッチ40がオンとなる。これにより、リード線41の電源入力線41aと電源出力線41bとの間が通電し、リード線41に接続された装置(図示せず)の電源がオンとなる。また、LED制御入力線41cと電源出力線41bとの間も通電し、LED42が点灯して電源オンの状態が外部に表示される。
【0022】
本実施形態のバックルによれば、雌部20に、リードスイッチ40、リード線41の一部、LED42及び抵抗器43を本体部21の外部から収納可能な収納部50を設け、収納部50を蓋55によって閉鎖するようにしたので、リードスイッチ40を雌部20の外部から容易に組み付けることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0023】
また、収納部50内に、リードスイッチ40、リード線41の一部、LED42及び抵抗器43を位置決めする第1乃至第4の凹部51、52,53,54を設けたので、リードスイッチ40等の部品を回路基板に実装することなく直接雌部20に組み付けることができ、構造を簡素化することができる。
【0024】
この場合、リード線41用の第2の凹部52をリード線41が雌部20の幅方向中央側から外部に延出するように形成したので、外部に延出するリード線41をベルト2の内側に配置することができる。これにより、リード線41が作業者や外部の物品に接触することがなく、リード線41を保護する上で極めて有利である。
【0025】
また、蓋55で閉鎖された収納部50を雌部20のベルト挿通孔21cに挿通されるベルト2によって覆うようにしたので、収納部50をベルト2で保護することができるとともに、蓋55がベルト2によって覆われているので、蓋55が容易に外れることがないという利点もある。
【符号の説明】
【0026】
1,2…ベルト,10…雄部、20…雌部、21c…ベルト挿通孔、30…磁石、40…リードスイッチ、41…リード線、50…収納部、51…第1の凹部、52…第2の凹部、53…第3の凹部、54…第4の凹部、55…蓋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに着脱自在に結合する雄部及び雌部と、雄部に設けられた磁石と、雌部に設けられたリードスイッチとを備え、雄部と雌部とを結合すると、雄部の磁石が雌部のリードスイッチに近接し、磁石の磁力によってリードスイッチを作動させるようにしたバックルにおいて、
前記リードスイッチを雌部の外部から収納可能な収納部と、
収納部を閉鎖する蓋とを備えた
ことを特徴とするバックル。
【請求項2】
前記収納部内に、リードスイッチを位置決めする凹部を設けた
ことを特徴とする請求項1記載のバックル。
【請求項3】
前記収納部内に、リードスイッチに接続されるリード線の一部を位置決めする凹部を設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載のバックル。
【請求項4】
前記リード線用の凹部をリード線が雌部の幅方向中央側から外部に延出するように形成した
ことを特徴とする請求項3記載のバックル。
【請求項5】
前記雌部にベルト挿通孔を設け、蓋で閉鎖された収納部をベルト挿通孔に挿通されるベルトによって覆うように構成した
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のバックル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−179304(P2012−179304A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45464(P2011−45464)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(591199741)株式会社プロップ (26)
【Fターム(参考)】