説明

バッグにおける補助収容部の形成方法及びその方法により形成した補助収容部を備えたバッグ

【課題】主収容部に入りきらない比較的大型の荷物等を容易に収容可能であるとともに使用しない場合でも邪魔になることのない補助収容部をバッグに形成すること。
【解決手段】補助収容部の形成方法は、バッグにおける補助収容部を取り付ける取付面2に、補助収容部の正面板となる正面シート3の下方部分を取り付け、正面シート3の反取付面側において、一対のマチ片4を、それぞれが対向する側に向けて倒れた状態から起立した状態に変化自在になるように、取付面2に、間隔を置いて、互いに対向する側が自由端になるようにして一側を取り付け、一対のマチ片4を紐状の連通手段6によって連通することを特徴としており、バッグ21は、主収容部22と補助収容部1とを備え、補助収容部1を前記の方法により形成したことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッグにおける補助収容部の形成方法及びその方法により形成した補助収容部を備えたバッグに係り、より詳しくは、収容量を自在に変化させることができる補助収容部を得ることを可能にした、バッグにおける補助収容部の形成方法及びその方法により形成した補助収容部を備えたバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
ランドセル等のスクールバッグや、リュックサック、ビジネスバッグ、あるいはボストンバッグ等の旅行鞄等の、バッグ類、袋物は一般的に、荷物等の収容するための主収容部の他に、この主収容部に入りきらない荷物等を収容するための補助収容部を備えることが多い。
【0003】
ここで、この補助収容部を備えたバッグについて説明すると、図12は、補助収容部を備えたスクールバッグ41の一部を正面側から示した斜視図である。
【0004】
そして、この従来のスクールバッグ41は、底板44と、この底板44の両端部に上方向へ連設させた大マチ部45とで構成される胴部43を有しており、この胴部43の背面側には背板46が取り付けられ、また胴部43の正面側には大仕切板47が取付けられており、これにより、上部を開口とした主収容部42が構成されている。
【0005】
そして、前記主収容部42の正面側には、底部を備えた中マチ部49が取り付けられており、この中マチ部49の正面側には正面板50が取り付けられ、この中マチ部49と正面板50とで、上部を開口とした補助収容部48が構成されている。
【0006】
そして、このような構成において、通常は前記主収容部42内に、教科書、ノート、筆箱等を収容するが、特に学期の始まりや終りなど、学校で使用している学用品等を自宅に持ち帰り、あるいは自宅に持ち帰っていた学用品等を学校へ持って行くときなど荷物が多いときで、主収容部内にすべての教科書等を入れることができない場合には、主収容部内に入りきれない荷物を補助収容部48に入れることとしている。
【0007】
また、このような補助収容部48を備えたバッグはスクールバッグに限らず、その他、リュックサック、ビジネスバッグ、あるいはボストンバッグ等の旅行バッグ等においても、主収容部の他に補助収容部を備えて、この補助収容部内に、主収容部に入りきらないに荷物、書類等を入れることとしているのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000―308511号公報
【特許文献2】特開2003−000321号公報
【特許文献3】特開2003−304916号公報
【特許文献4】特開2004−024285号公報
【特許文献5】特開2004−041243号公報
【特許文献6】特開2010−069294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このように、主収容部の他に補助収容部を備えて、主収容部に入りきらない荷物を補助収容部に収容可能にしているバッグでも、特に厚みのある本やノート等の場合には、補助収容部に入らず、そのためにすべて荷物を一つのバッグに入れることができない場合がある。
【0010】
その一方、このような、厚みのある本やノート等の収容を想定して補助収容部の厚みを大きくして収容量を増やした場合には、荷物が少ない場合に補助収容部の存在が邪魔になってしまうという問題点がある。
【0011】
そこで、本発明は、主収容部に入りきらない比較的大型の荷物等でも容易に収容可能であるとともに、使用しない場合には邪魔になることのない補助収容部をバッグに形成する方法、及び、その方法により形成した補助収容部を備えたバッグを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のバッグにおける補助収容部の形成方法は、
バッグにおける補助収容部を取り付ける取付面に、補助収容部の正面板となる正面シートの下方部分を取り付け、
前記正面シートの反取付面側において、一対のマチ片を、それぞれが対向する側に向けて倒れた状態から起立した状態に変化自在になるように、前記取付面に、間隔を置いて、互いに対向する側が自由端になるようにして一側を取り付け、
前記一対のマチ片を紐状の連通手段によって連通する、ことを特徴としている。
【0013】
そして、この方法により形成した補助収容部を備えた本発明のバッグは、主収容部と補助収容部を備えており、前記補助収容部を、前記の方法によって形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、それぞれが対向する側に向けて倒れた状態から起立した状態に変化自在な一対のマチ片を備えた補助収容部を得ることができ、この補助収容部は、何も収容していないときは一対のマチ片が互いに対向する側に向けて倒れており厚みがほとんど無い状態であり、一方、内部に荷物を入れると、一対のマチ片が起立した状態に変化して厚みが出てくることで、収容空間を広げることが可能である。
【0015】
そのため、本発明によれば、何も入れていないときには、左右側壁を構成する一対のマチ片が倒れているために邪魔になることがなく、一方、荷物を入れた場合には、一対のマチ片が起立した状態に変化して補助収容部の収容空間を広げることが可能であるため、主収容部に入りきらない比較的大型の荷物等を容易に収容可能な補助収容部を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のバッグにおける補助収容部の形成方法の実施例を説明するための工程図である。
【図2】本発明のバッグにおける補助収容部の形成方法の実施例を説明するための工程図である。
【図3】本発明のバッグにおける補助収容部の形成方法の実施例を説明するための工程図である。
【図4】本発明のバッグにおける補助収容部の形成方法の実施例を説明するための工程図である。
【図5】本発明のバッグにおける補助収容部の形成方法の実施例に用いる係止金具を説明するための図である。
【図6】本発明のバッグにおける補助収容部の形成方法の実施例に用いる係止金具を説明するための図である。
【図7】本発明のバッグにおける補助収容部の形成方法の実施例に用いる係止金具を説明するための図である。
【図8】本発明のバッグにおける補助収容部の形成方法の実施例におって形成された補助収容部の作用を説明するための図である。
【図9】本発明のバッグにおける補助収容部の形成方法の実施例におって形成された補助収容部の作用を説明するための図である。
【図10】本発明のバッグの実施例の斜視図である。
【図11】本発明のバッグの他の実施例の斜視図である。
【図12】従来の補助収容部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のバッグにおける補助収容部の形成方法では、まず、バッグにおける補助収容部を取り付ける取付面に、補助収容部の正面板となる正面シートの下方部分を取り付ける。
【0018】
次に、この正面シートの反取付面側、即ち、バッグ本体から見た場合の正面シートの正面側において、取付面に一対のマチ片を取り付ける。
【0019】
そして、一対のマチ片の取り付けに際しては、一対のマチ片のそれぞれが、対向する側に向けて倒れた状態から起立した状態に変化自在になるように、かつ、互いに対向する側が自由端になるようにして、間隔を置いて、一側を取付面に取り付ける。
【0020】
そして、次に、このようにして取付面に取り付けた一対のマチ片を、紐状の連通手段によって連通し、これによって、補助収容部の形成が完了する。
【0021】
そして、この方法によって形成した補助収容部を備えた本発明のバッグでは、主収容部と、補助収容部を備えており、補助収容部は、前記の方法により形成されている。
【0022】
ここで、前記一対のマチ片は、少なくともその一方に、高さ方向に向けて切り込みを形成するとともに、この切り込みにファスナー取り付けて、ファスナーの操作により、前記切り込み部分でマチ片を開閉自在にするとよく、これにより、荷物等の出し入れが容易になる。
【0023】
また、前記連通手段による一対のマチ片の連通に際しては、前記一対のマチ片間に、前記連通手段を編み込むとよく、これにより、容易に、一対のマチ片を、それぞれが対向する側に倒れた状態から、起立した状態に変化自在にすることができる。
【0024】
更に、連通手段による一対のマチ片の連通に際しては、前記一対のマチ片のそれぞれに係止金具を取り付けて、この係止金具を介して、前記一対のマチ片を連通手段によって連通するとよく、その際には、前記連通手段がスライド自在に係止される係止溝を係止金具に備えて、この係止溝内で前記連通手段をスライドすることで、連通手段によって一対のマチ片間の開口を緊締し、あるいは緊締を解除可能にするとよく、これにより、荷物の出し入れ、及び入れた荷物の固定を容易に行うことが可能である。
【0025】
また、前記紐状の連通手段としては、紐状であればいずれでも良いが、ゴム紐等の弾性を有した紐を用いることで、内部に入れた荷物等を容易に固定することも可能である。
【実施例1】
【0026】
本発明のバッグにおける補助収容部の形成方法の実施例について図面を参照して説明すると、図1〜図4は本実施例の補助収容部の形成方法の工程を説明するための図であり、図において2は、バッグにおいて、補助収容部を形成する取付面で、本実施例の対象となるバッグは、スクールバッグ、リュックサック、ビジネスバッグ、ボストンバッグ、ハンドバッグ等、補助収容部を必要とするすべてのバッグ類、袋物である。
【0027】
そして、本実施例によって補助収容部を形成する場合には、まず、図1に示すように、正面シートを前記取付面2に取り付ける。即ち、図において3は正面シートであり、この正面シート3は、本実施例によって形成される補助収容部の正面板及び底部分となるシートであり、本実施例においては、図2に示されているように、その下端部分を、縫製によって、前記取付面2に取り付けている。
【0028】
ここで、図1において点線で示している部分は、矢印方向に移動して取付面2に取り付けた正面シートである。また、図2において点線で示している線は、正面シート3を取付面2に取り付けている縫い目の部分であり、図2において、正面シート3は、下端部分は前記取付面2に縫製によって取り付けられており、左右側は自由端になっている。
【0029】
なお、正面シート3の寸法は、形成する補助収容部の大きさに応じて決められ、下端部分の取り付けに際しては、上端部分が荷物を入れやすい箇所になるように、取付面2の下方部分に取り付けると良く、取り付けの方法は、必ずしも縫製には限定されず、接着剤等を用いても良い。
【0030】
次に、図2において、補助収容部の側壁となる一対のマチ片を前記取付面2に取り付ける。即ち、図2において4がマチ片であり、本実施例において前記マチ片4はそれぞれ、防水性能を備えた柔らかい布製としており、所定の幅を有する細長い形状とし、図3に示すように、長手方向に沿った一側部分を、他側部分が互いに対向する配置になるように、前記取付面2の左右の端部分のそれぞれに縫製によって取り付けている。
【0031】
そして、この一対のマチ片4の取り付けに際しては、対向する側が自由端になるようにして一側を取り付けており、それにより、それぞれが、自由端を対向する側に向けて倒れた状態から、自由端を正面側に向けた起立した状態に変化自在になるようにしている。
【0032】
また、この一対のマチ片4は、前記正面シート3の反取付面側に位置するような配置で、自由端になっている前記正面シート3の左右の端の外側において、取付面2に取り付けられる。即ち、取付面2、正面シート3、及び一対のマチ片4の順番で位置するようにして、一対のマチ片4を取付面2に取り付けるとともに、その際に、正面シート3の左右端部を自由端の状態で維持しておく。
【0033】
なお、図2及び図3において5は、前記マチ片4の一方に、長手方向(高さ方向)に沿って形成した切り込みである。即ち、本実施例においては、長手方向(高さ方向)に沿って切り込み5が形成されるとともに、この切り込み5にファスナーが取り付けられ、操作片501によるファスナーの操作によって、切り込み5の部分を境に開放自在としたマチ片3を、一対のマチ片4の少なくとも一方に使用している。そのため、これにより、荷物の出し入れが容易である。但し、この切り込み5及びファスナーは、必ずしも必要なものではなく、これを備えなくても良い。
【0034】
次に、図4において、前記一対のマチ片4を、連通手段によって連通する。即ち、図4において6が連通手段であり、本実施例においては、この連通手段6として、紐を用いている。
【0035】
そして、本実施例においては、前記マチ片4のそれぞれの自由端部近傍に、長手方向に沿って複数個の係止金具7を取り付けており、前記連通手段6は、靴に装着した靴紐のように、係止金具7に順番に係止されつつ、一対のマチ片4間の開口部8を編みこむようにして、ジグザグ状にして、前記一対のマチ片4を連通している。
【0036】
そして、マチ片4の連通に際しては、何らの外力も加えない通常の状態では、前記一対のマチ片4がそれぞれ、自由端部を対向するマチ片4側に向けて倒れた状態になるようにしている。
【0037】
そのために、何も入れていない場合には、前記一対のマチ片4がそれぞれ自由端部を対向するマチ片4側に向けて倒れた状態であるとともに、それによって、前記正面シート3は前記取付面2に接触するか近接した状態である。
【0038】
そして、内部に何かを入れた場合には、正面シート3が取付面2から離れる方向に移動するとともに、その正面シート3の両端部分に押されるようにして、前記一対のマチ片4は起立していき、これにより、収容空間を広げて収容量を増やすことが可能となる。
【0039】
この関係を示した図が図8及び図9であり、図8及び図9は、本実施例によって形成された補助収容部を、この補助収容部を取り付けた取付面2とともに平面から見た状態を示した図である。そして、図8は、補助収容部内に何も入っておれず、従って、前記一対のマチ片4がそれぞれ自由端部を対向するマチ片4側に向けて倒れた状態を示しており、図9は、補助収容部内に何かを入れることで、正面シート3が取付面2から離れる方向に移動し、それにより、前記一対のマチ片4が、正面シート3の両端部分に押されて起立し、これにより、補助収容部の収容空間が広がった状態を示している。
【0040】
なお、図8、9においては、理解を容易にするために連通手段6、係止金具7は省略している。また、図4において601は、紐6の先端部を集結している連結具である。
【0041】
次に、前記係止金具7について説明すると、図5は本実施例における前記係止金具7の概略斜視図であり、また図6は前記係止金具7の縦断面構造を示す端面図であり、更に図7は前記係止金具7を分解した状態における縦断面図であり、図6において6は、この係止金具7に係止される紐である。
【0042】
そして、本実施例における前記係止金具7は、係止金具本体を有しており、この係止金具本体に紐6を係止することとしている。
【0043】
即ち、図において9が係止金具本体であり、この係止金具本体9は、図5からも明らかなように円盤状としており、雄側本体10と雌側本体11とで構成され、それぞれが、貫通孔13を有する、略円柱状の嵌合突起14を有している。そして、雄側本体10の嵌合突起14を雌側本体11の貫通孔13内に挿入することで、雄側本体10と雌側本体11が連結されており、連結させた嵌合突起部14の周囲を係止溝12としており、この係止溝12内に紐6を係止することとし、この係止溝12は、紐6を長手方向にスライド自在としている。
【0044】
また、本実施例における前記係止金具7は、これを前記マチ片4に取り付けるための固定部材を有している。即ち、図において15が固定部材であり、この固定部材12は、前記係止金具本体9とで前記マチ片4を挟持するための押え部材1501と、この押え部材1501に連設されたピン部材1502とを具備しており、ピン部材1502は、前記貫通孔13を貫通可能としている。
【0045】
そして、図7に示すように、マチ片4の表面側に係止金具本体9を配設するとともに、マチ片4の裏面側には固定部材15を配設し、ピン部材1502でマチ片4を貫通させるとともに、ピン部材1502で、係止金具本体9に形成した貫通孔13を貫通し、これにより、押え部材1501と係止金具本体9とでマチ片4を挟み込み、係止金具7をマチ片4の表面側に固定することとしている。
【0046】
また、係止金具9は前記ピン部材1502の先端を受け入れて固定するための受け金具を有している。即ち、図において16が受け金具であり、この受け金具16は、前記ピン部材1502の先端が貫通するとともに、貫通した状態において、ピン部材1502の先端部近傍に形成した嵌合溝1503に嵌合する嵌合突起1701が内壁に形成された嵌合孔17を有している。
【0047】
そして、マチ片4と係止金具本体9の貫通孔13を貫通したピン部材1502の先端部で嵌合孔17を貫通しつつ、ピン部材1502の嵌合溝1503内に嵌合孔17の嵌合突起1701を嵌合することで、固定部材15を係止金具本体9に固定可能としている。
【0048】
更に、前記受け金具16と係止金具本体9間にはバネ部材18を介在しており、このバネ部材18は、係止金具本体9と受け金具16とを離反する方向へ付勢している。そのため、受け金具16の嵌合孔17を貫通しつつ受け金具16に固定されたピン部材1502は、受け金具16とともに、バネ部材18の付勢力によって常に、受け金具16側に引っ張られており、これにより、押え部材1501がマチ片4を押え付け、係止金具7をマチ片4に固定している。
【0049】
そして更に、バネ部材18の付勢力によって、係止金具本体9は受け金具16と反対側に押されており、従って、雄側本体10の嵌合突起14が雌側本体11の貫通孔13内に挿入する方向に押されているため、これにより、係止溝12内が狭くなり、係止溝12内に係止している紐6が係止溝12の内壁に圧迫されることで、紐6が容易にはスライドできないようにしている。
【0050】
また、前記受け金具16には、前記係止溝12に係止した紐の脱落を防止するための脱落防止ガイド19が取り付けられており、この脱落防止ガイド19は、前記係止溝12の外周側に配設され、これにより、係止溝12に係止した紐が係止溝12から脱落することを防止している。
【0051】
そして、このように構成される係止金具7を用いて、一対のマチ片4を紐6で連通する場合には、前述のような方法によって係止金具7をマチ片4に取り付けた後に、連通手段としての紐6を、靴に装着した靴紐のように、係止金具7の係止溝12内に順番に係止しつつ、一対のマチ片4間の開口部8を編みこむようにして、ジグザグ状にしていき、これにより、前記一対のマチ片4を連通する。
【0052】
そして、この状態で、紐の上端部分を上方に引くと、紐6は係止溝12内をスライドしていき、それにより、紐6によって、前記一対のマチ片4の自由端を互いに引き寄せて、前記一対のマチ片4間の開口を緊締することができる。
【0053】
一方、前記一対のマチ片4間の開口を緊締している状態において、紐6の下端部分を下側に引くことで、前記と逆方向に紐6が係止溝12内をスライドしていき、これにより、一対のマチ片4間の開口の緊締を容易に解除可能な状態にすることができる。
【0054】
従って、本実施例においては、補助収容部内に入れた荷物等の締め付け、及びその締め付けの解除を容易に行うことが可能である。
【0055】
なお、紐6によって一対のマチ片4を連通する場合において、必ずしも前述の構成の係止金具を用いる必要はなく、一対のマチ片4を連通手段としての紐で連通してあればよい。従って、例えば、前記一対のマチ片4のそれぞれの自由端部近傍に、上下方向に向けて複数個の挿通孔を形成し、紐6でそれぞれの挿通孔を交互に縫いながら、ジグザグ状にして前記一対のマチ片4を連通しても良い。
【0056】
次に、このようにして形成された補助収容部を有する本発明のバッグの実施例について図面を参照して説明すると、図10は本実施例のバッグ21を示す概略斜視図であり、図10に示すバッグ21は、スクールバッグとしている。
【0057】
そして、本実施例のスクールバッグ21は、主収容部を有しており、この主収容部は、底部を有し、上部を開口とした箱形状としており、この主収容部内に教科書、ノート、筆箱等を収容可能としている。
【0058】
即ち、図において22が主収容部であり、この主収容部22は、胴部23と、この胴部23の背面側に取り付けた背板26と、前記胴部23の正面側に取り付けた大仕切板27とを具備して構成されている。
【0059】
そして、前記胴部23は、底板24と、この底板24の両端部に上方向へ連設させた大マチ25とで、構成されている。
【0060】
次に、図において28は、前記主収容部22の正面側に備えられた胴前収容部である。即ち、本実施例のスクールバッグ21では、前記主収容部22の正面側に、底部を備えた中マチ部29が取り付けられており、この中マチ部29の正面側には中仕切り板30が取り付けられ、この中マチ部29と中仕切り板30とで、上部を開口とした胴前収容部28が構成されている。
【0061】
そして、この胴前収容部28における前記中仕切板30に、前述した補助収容部を形成している。即ち、図において1が補助収容部であり、本実施例においてこの補助収容部1は、前述したように、一対のマチ片4と正面シート3とを有しており、取付面2としての中仕切板30に取り付けている。
【0062】
そして、前記一対のマチ片4は、補助収容部1の左右の側壁を構成し、正面シート3は、前記一対のマチ片4間の開口8を閉鎖して補助収容部1の正面板を構成するとともに、補助収容部1の底部分を構成することとしている。
【0063】
また、前記マチ片4はそれぞれ、所定の幅を有する細長い形状としており、長手方向に沿った一側部分を、取付面2としての前記中仕切板30の左右端部分のそれぞれに取り付けている。
【0064】
そして、マチ片4のそれぞれの他側部分は自由端としており、従って、一対のマチ片4間は、開口部分8とされ、一対のマチ片4はそれぞれ、自由端部を対向するマチ片4側に向けて倒れた状態から、自由端部を正面側へ向けた起立した状態に変化自在としている。
【0065】
なお、一対のマチ片4の幅寸法は、一対のマチ片と正面板部とで構成する補助収容部1の収容量に従って決められる。即ち、収容量を大きくする場合には、一対のマチ片4の幅寸法を長くするとよい。また、一対のマチ片4の長さ寸法は、前記中仕切り板30の縦方向の寸法以下にする。
【0066】
次に、図において3が正面シートあり、本実施例において前記正面シート3は、四角形状の外郭を有するシート状物としており、左右の幅寸法は、一対のマチ片4を起立した際に、一対のマチ片4間に形成されている開口部分8を閉鎖可能程度としており、下端部分は前記中仕切り板30の下方部分に取り付け、左右端部は自由端とし、これにより、正面シート3は、補助収容部1の正面側の壁を構成するとともに、補助収容部1の底部分を構成している。
【0067】
次に、図において6が、前記一対のマチ片4を連通する連通手段としての紐であり、図4にも示されるように、係止金具7を介してマチ片4の自由端部近傍に係止されつつ、靴に装着した靴紐のように、それぞれのマチ片4の自由端部分を交互に編みこむように、ジグザグ状にして、前記一対のマチ片4を連通している。
【0068】
そして、マチ片4の連通に際しては、何らの外力も加えない通常の状態では、前記一対のマチ片4がそれぞれ、自由端部を対向するマチ片側に向けて、倒れた状態になるようにしている。
【0069】
そのために、補助収容部1内に何も入っていない場合には、前記一対のマチ片4がそれぞれ自由端部を対向するマチ片4側に向けて倒れた状態であるとともにそれにより、前記正面シート3は前記中仕切り板30に接触するか近接した状態であり、一方、紐6を緩めて補助収容部1内に何らかの荷物を入れた場合は、正面シート3が中仕切り板30から離れる方向に移動するとともに、その正面シート3の両端部分に押されるようにして、前記一対のマチ片4が自由端部を正面側に向けて起立していき、これにより、補助収容部1の収容空間を広げて、補助収容部1の収容量を増やすことが可能となる。
【0070】
なお、図において31は、主収容部22の上部開口から前記補助収容部1の上部開口までを覆うことができるような長さ寸法とされた蓋であり、前記背板26の上方部分に一側部分が取り付けられ、他側部分は自由端とされることで、開閉自在とされている。
【0071】
また、前記背板26には一対の肩ベルト32が取り付けられており、この肩ベルト32はそれぞれ、上端が背板26の上部に取り付けられた上ベルト33と、下端が前記背板26の下端部分近傍に連結された下ベルト34を有し、上ベルト33と下ベルト34は、コキ等の連結手段35を介して連結されており、コキ35に係止している下ベルト34の長さを調整することで、肩ベルト32の全体の長さを調整可能としている。
【0072】
更に、本実施例においては、正面シート3の上端部近傍に連結金具36bが取り付けられており、この取付金具36aは、前記蓋31の先端部に備えた取付金具36aが係止可能であり、これにより、前記蓋31を完全に閉めることを可能にしている。但しこの取付金具36a、36bは必ずしも必要ではなく、これを備えなくても良い。
【0073】
なお、本発明のバッグはスクールバッグに限定されるものではなく、その他、リュックサック、ビジネスバッグ、旅行バッグ等、バッグや袋物全般に適用されるものであり、例えば図11は、本発明の補助収容部1を備えた手提げ式のバッグを示している。
【0074】
このように、本実施例によれば、それぞれが対向する側に向けて倒れた状態から起立した状態に変化自在な一対のマチ片を備えて、何も収容していないときは一対のマチ片が互いに対向する側に向けて倒れており厚みがほとんど無い状態であり、一方、内部に荷物を入れると、起立した状態に変化して厚みが出てくることで、収容空間を広げることが可能な補助収容部を得ることができる。
【0075】
従って、本実施例によれば、主収容部に入りきらない比較的大型の荷物等でも容易に収容可能であるとともに、使用しない場合には邪魔になることのない補助収容部を備えたバッグを得ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、収容空間を可変可能として、何も入れないときには邪魔にならない補助収容部を得ることができるため、補助収容部を必要とするバッグの全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 補助収容部
2 取付面
3 正面シート
4 マチ片
5 切り込み
6 連通手段(紐)
7 係止金具
8 一対のマチ片間の開口
9 係止金具本体
10 雄側本体
11 雌側本体
12 係止溝
13 貫通孔
14 嵌合突起
15 固定部材
1501 押え部材
1502 ピン部材
1503 嵌合溝
16 受け金具
17 嵌合孔
1701 嵌合突起
18 バネ部材
19 脱落防止ガイド
21 スクールバッグ
22 主収容部
23 胴部
24 底板
25 大マチ
26 背板
27 大仕切板
28 胴前収容部
29 中マチ部
30 中仕切板
31 蓋
32 肩ベルト
33 上ベルト
34 下ベルト
35 連結手段(コキ)
36a、36b 取付金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッグにおける補助収容部の形成方法であって、
バッグにおける補助収容部を取り付ける取付面(2)に、補助収容部の正面板となる正面シート(3)の下方部分を取り付け、
前記正面シート(3)の反取付面側において、一対のマチ片(4)を、それぞれが対向する側に向けて倒れた状態から起立した状態に変化自在になるように、前記取付面に、間隔を置いて、互いに対向する側が自由端になるようにして一側を取り付け、
前記一対のマチ片(4)を紐状の連通手段(6)によって連通する、ことを特徴とするバッグにおける補助収容部の形成方法。
【請求項2】
前記一対のマチ片(4)の少なくとも一方に、高さ方向に向けて切り込み(5)を形成するとともに、該切り込み(5)にファスナーを備えて、前記切り込み(5)部分で開閉自在にした、ことを特徴とする請求項1に記載のバッグにおける補助収容部の形成方法。
【請求項3】
前記一対のマチ片(4)間に、前記連通手段(6)を編み込むことによって、前記連通手段(6)によって前記一対のマチ片(4)を連通したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッグにおける補助収容部の形成方法。
【請求項4】
前記一対のマチ片(4)のそれぞれに係止金具(7)を取り付けて、該係止金具(7)を介して、前記一対のマチ片(4)を前記連通手段(6)によって連通したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のバッグにおける補助収容部の形成方法。
【請求項5】
前記係止金具(7)は、前記連通手段(6)がスライド自在に係止される係止溝(10)を備え、前記連通手段(6)をスライドすることで、連通手段(6)によって前記一対のマチ片(4)間の開口を緊締し、あるいは緊締を解除可能にした、ことを特徴とする請求項4に記載のバッグにおける補助収容部の形成方法。
【請求項6】
前記連通手段(6)がゴム紐であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のバッグにおける補助収容部の形成方法。
【請求項7】
主収容部(22)と、補助収容部(1)と、を備えたバッグであって、前記補助収容部(1)を、前記請求項1乃至請求項6のいずれかの方法によって形成したことを特徴とするバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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