説明

バッテリの充放電管理システム及び方法

【課題】バッテリの使用状態に基づいて対応する充電機制を提供するバッテリの充放電管理システム及び方法の提供。
【解決手段】本発明のバッテリの充放電管理システム及び方法は、バッテリのバッテリパラメータを読取る読取りモジュールと、バッテリパラメータを分析してバッテリの使用状態を判断し、バッテリパラメータから計算して放電パラメータを取得し、放電曲線を記録する分析モジュールと、放電曲線モデルと充電モードの対照表を備え、分析モジュールが記録した放電曲線に基づき対応する放電曲線モデルを取得して対応する充電モードを提供し、バッテリに対して充電を行う充電モジュールを含み、バッテリが高温に晒される時間を減少するだけでなく、過度の充放電を減らしてバッテリの破損を回避すると共に、バッテリ保護機制によりバッテリの異常状況をモニタリングし、バッテリの使用寿命を延長することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッテリの充放電管理システム及び方法に関し、特に、バッテリの放電状態に基づき対応する充電機制を提供するバッテリの充放電管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ科学技術の発展に伴い、携帯型電子装置が徐々に普及し、このタイプの電子装置は体積が小さく携帯しやすい特徴があり、タブレット型コンピュータ、PDA、スマートフォン等、長時間屋外で使用する必要がある使用者にとって極めて便利である。
【0003】
新しい携帯型電子装置が絶え間なく登場しており、使用機能の増加だけでなく同時に作業効率も強化されており、当然ながら携帯型電子装置の電源消費量も相対して増加しているため、使用者が屋外で使用するとき、バッテリが唯一の給電ソースとなり得ることを鑑みると、バッテリの使用と管理が特に重要となる。現行の携帯型電子装置のバッテリは高容量、高速充電等の特性を方向として設計されており、使用者にとっては非常に便利であるが、使用期間が長くなるとバッテリの蓄電能力が通常徐々に低下する。その主な原因は、従来のバッテリの充放電過程はいずれも固定のモードを使用していることにあり、即ち、充電または放電時に周辺の要因を考慮していないが、バッテリの温度及びバッテリの充放電頻度はバッテリの寿命と駆動時間に対する影響が極めて大きい。例えばバッテリの過度な充電、充電過程に高温が続く、或いは充電不要のときに充電を行うなどの行為はいずれもバッテリに破損を生じやすく、バッテリの駆動時間が短くなることにつながり、重度な場合新しいバッテリを購入して代替する必要が生じることになるため、バッテリの温度及び充放電頻度はバッテリの寿命に対して極めて大きく影響する。
【0004】
このため、いかにバッテリに対して最善の充放電管理を行い、特に、バッテリの必要時にのみ充電を行い、且つ充電時にバッテリの内部要素(例えばバッテリの温度、バッテリの電圧等)を参考にして、適した充電機制の提供を決定することで、バッテリの充放電過程において生じる可能性のあるダメージを減少するかが、本分野の技術者の直面している課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術の欠点に鑑み、本発明の目的は、バッテリの使用状態のモニタリングを利用して、取得したバッテリパラメータに基づき適した充電モードを提供し、バッテリの不適切な充放電によりバッテリの寿命が短くなることを回避する、バッテリの充放電管理システム及び方法を提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、使用中のバッテリ状態をモニタリングし、バッテリの温度、電圧または電流に異常があると、警告を行なうか、バッテリの充放電を停止する、バッテリの充放電管理システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的及びその他目的を達するため、本発明の提供するバッテリの充放電管理システムは、バッテリの使用状態に基づいて対応する充電機制を提供するものであり、前記バッテリのバッテリパラメータを読取るために用いる読取りモジュールと、前記バッテリパラメータを分析し、前記バッテリの使用状態を判断して放電パラメータを取得し、且つそのときの放電曲線を記録する分析モジュールと、複数の放電曲線モデルと複数の充電モードの対照表を備えた充電モジュールを含み、前記充電モジュールが前記分析モジュールの記録した前記放電曲線に基づいて対応する前記放電曲線モデルを取得し、前記対照表を参照して対応する前記充電モードを提供し、前記バッテリの充電を行う。
【0008】
一実施形態において、各前記充電モードは前記バッテリの異なる放電電流及び電圧に基づき、異なる充電電流及び充電時間を提供する。
【0009】
一実施形態において、前記分析モジュールはさらに臨界値が設定され、前記放電パラメータが前記臨界値より大きいとき、そのときの放電曲線を記録する。
【0010】
一実施形態において、前記放電パラメータは前記バッテリパラメータと一定時間前に取得したバッテリパラメータの平均値である。
【0011】
また、本発明はさらにバッテリの充放電管理方法を提供する。本発明のバッテリの充放電管理方法は、バッテリの使用状態に基づいて対応する充電機制を行うために用いられ、(1)前記バッテリのバッテリパラメータを読取る工程と、(2)前記バッテリパラメータを分析し、前記バッテリの使用状態を取得すると共に、放電パラメータを取得する工程と、(3)前記放電パラメータを判断し、且つそのときの放電曲線を記録する工程と、(4)複数の放電曲線モデルと複数の充電モードの対照表を提供し、前記放電曲線に基づき対応する前記放電曲線モデルを取得して、前記対照表から対応する前記充電モードを提供する工程を含む。
【0012】
一実施形態において、前記工程(3)はさらに臨界値を提供し、前記放電パラメータが前記臨界値より大きいと判断したとき、そのときの放電曲線を記録する。このほか、前記工程(3)はさらに前記放電パラメータが前記臨界値より大きくないと判断したとき、工程(1)に戻り、前記バッテリのバッテリパラメータの読取りを継続することを含む。
【0013】
別の実施形態において、前記工程(3)はさらに前記放電パラメータが前記臨界値より大きくないと判断したとき、前記放電曲線を変動せず、且つ工程(4)において前記放電曲線に基づき対応する前記充電モードを提供することを含む。
【0014】
一実施形態において、前記工程(4)の各前記充電モードは、前記バッテリの異なる放電電流及び電圧に基づいて、異なる充電電流及び充電時間で充電を行う。
【発明の効果】
【0015】
従来の技術と比較して、本発明のバッテリの充放電管理システム及び方法は、バッテリの使用状態モニタリングを通して対応する充電機制を提供することができ、具体的には、バッテリパラメータを継続的に読取ってバッテリの状態を取得し、バッテリの放電電流及び電圧の大きさに基づき異なる充電電流及び充電時間を提供する。これにより、バッテリの必要時にのみ充電を行い、充電回数を減少するほか、充電電流の大きさと充電時間を制御し、バッテリの温度が高過ぎてバッテリがダメージを受け、間接的に将来のバッテリの効率に影響することを回避することができる。
【0016】
このほか、本発明はさらにバッテリ使用の保護機制も提供し、バッテリの温度、電圧、電流等のバッテリパラメータを通してバッテリに異常がないか判断し、必要時には充放電を停止して警告を行い、これによりバッテリ駆動時間と寿命を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のバッテリの充放電管理システムのブロック図である。
【図2】本発明のバッテリの充放電管理システムの別の実施形態のブロック図である。
【図3】本発明のバッテリの充放電管理システムの工程を示すフローチャートである。
【図4】本発明のバッテリの充放電管理システムの放電曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、特定の具体的な実施形態に基づいて本発明の技術内容を説明する。当業者であれば本明細書に開示された内容から本発明のその他利点と効果を容易に理解することができるであろう。また、本発明はその他異なる具体的な実施形態で実施または応用することが可能であり、本明細書に記載された各細部は異なる観点と応用に基づき、本発明の要旨を逸脱せずに各種修飾や変更を行なうことが可能である。
【実施例1】
【0019】
図1に本発明のバッテリの充放電管理システムのブロック図を示す。前記バッテリの充放電管理システム1はバッテリの使用状態に基づきバッテリに異なる充電方式で充電を行う。現有のバッテリは同じ電流、一定の電圧等の単一のモードで充電できるだけであるが、本発明はバッテリパラメータのモニタリングに基づいて最も適した充電モードを提供する。そのうち、前記バッテリの充放電管理システム1は、読取りモジュール10、分析モジュール11、充電モジュール12を含む。
【0020】
読取りモジュール10は前記バッテリのバッテリパラメータの読取りに用いられる。具体的には、バッテリの充放電管理システム1が起動して実行されると、読取りモジュール10がバッテリ内のバッテリパラメータを継続的に読取り、バッテリの現在の状態を取得する。そのうち、前記バッテリパラメータはバッテリの電圧、バッテリの電流、バッテリの温度、バッテリの容量のうちの少なくとも1つを含み、これらのパラメータの読取りを通して分析モジュール11に分析を行わせ、判断させる。
【0021】
分析モジュール11は前記バッテリパラメータを分析し、これに基づいて前記バッテリの使用状態を判断して放電パラメータを取得し、且つそのときの放電曲線を記録するために用いられる。例えば、前記放電パラメータが臨界値より大きいとき、そのときの放電曲線を記録する。具体的には、分析モジュール11は前記読取りモジュール10が取得したバッテリパラメータを分析し、これに基づいてバッテリの使用状態が正常であるか否かを判断する。例えば、バッテリの充放電頻度が頻繁すぎないか、或いはすでに必要な充電状態に達していないか等を判断し、且つ前記バッテリパラメータから放電パラメータを計算して取得する。前記放電パラメータは前記バッテリの現在の放電状態を表し、そのときの放電曲線の取得に用いられる。そのうち、前記放電パラメータは現在のバッテリパラメータとある一定時間前のバッテリパラメータの平均値を取る。例えば、読取りモジュール10は10秒に1回バッテリパラメータを取得することができ、この場合現在の放電パラメータは最新のバッテリパラメータと10秒前のバッテリパラメータを相加平均して得ることができる。
【0022】
さらに、前記分析モジュール11は臨界値が設定される。計算で得られた前記放電パラメータが臨界値より大きいとき、そのときの放電曲線、即ち、時間とバッテリの温度、バッテリの電圧、バッテリの電流、バッテリの容量間の関係を表す曲線図を記録する。前記放電曲線は前記バッテリのそのときの使用状態を記載したものである。反対に、前記放電パラメータが前記臨界値より大きくないとき、読取りモジュール10がバッテリのバッテリパラメータの読取りを継続し、バッテリのバッテリパラメータが一定の変化に達したと分析モジュール11が判断すると、そのときの放電曲線を記録する。
【0023】
充電モジュール12は複数の放電曲線モデルと複数の充電モードの対照表を備えており、前記充電モジュールは前記分析モジュールが記録した前記放電曲線に基づいて対応する前記放電曲線モデルを取得し、前記対照表を参照して対応する前記充電モードを提供し、前記バッテリに対して充電を行う。つまり、充電モジュール12は分析モジュール11が取得した放電曲線に基づいて、後続の充電モードを決定する。前記充電モジュール12は複数の放電曲線モデルと複数の充電モード間の関係を記載した対照表を備え、且つ前記充電モジュール12は分析モジュール11が取得した放電曲線を判断し、前記放電曲線に対応する放電曲線モデルを取得して、前記対照表から対応する充電モードを見つけ出し、且つ異なる充電モードはそのときの異なるバッテリ状況に対して異なる充電方式を提供する。即ち、各充電モードは前記バッテリのそのときの放電電流及び電圧の大きさに基づいて、提供する充電電流の大きさ及び必要な充電時間を決定する。
【0024】
バッテリの充放電回数が多すぎる、または少なすぎることがバッテリの寿命に影響するほか、バッテリの温度もバッテリの寿命に影響するため、バッテリの温度を効果的に制御することが必要である。充電電流が大きいほど充電時間は短縮されるが、より高い温度が発生するため、充電時間とバッテリの温度は相互に考慮しなければバッテリに対するダメージを軽減することができない。このため、充電モジュール12が提供する異なる充電モードは、バッテリの現況に最適の対応する充電方式を提供する。以下、異なる使用状態下で提供可能な対応する充電モードの例を挙げる。
【0025】
<充電モード1>
バッテリの放電電流が300mAより大きくなく、且つ前記バッテリの電圧が3.5Vまで下がると充電を開始することができ、このとき充電モードの充電電流は高電流1.5Aを採用することができ、短い時間(約2時間)で4.0Vまで充電できる。比較的大きい電流を使用するが、充電時間が比較的短いためバッテリが高温になる時間が短縮され、バッテリの破損を減少できる。
【0026】
<充電モード2>
バッテリ放電電流が300mAと750mAの間であり、且つ前記バッテリの電圧が3.4Vまで下がると充電を開始することができ、このとき充電モードの充電電流は中電流1.0Aを採用することができ、およそ3時間で4.1Vまで充電できる。このとき、充電時間が長くなっているが、充電電流が比較的小さいため、バッテリ充電時の平均温度が比較的低くなり、バッテリの高温によるダメージを回避することができる。
【0027】
<充電モード3>
バッテリ放電電流が1Aより大きく、且つ前記バッテリの電圧が3.3Vまで下がると、充電を開始することができ、このとき充電モードの充電電流は低電流500mAを採用することができ、これで約4〜6時間で4.2Vまで充電できる。このモード下では、充電時間がより長くなっているが、充電電流もより小さくなっているため、充電時のバッテリの温度があまり高くならず、バッテリに対するダメージを軽減できる。
【0028】
上述から分かるように、バッテリの放電電流の大きさと電圧状態に基づいていつ充電を行なうか判断し、且つ提供される充電モードは充電電流の大きさと温度の作用を考慮して、バッテリを適した電圧まで充電する。さらに、前述の異なるモードでの充電方式は、その充電回数が減少され、例えば充電モード3ではその放電電流が比較的大きいため、電圧が比較的低く(3.3V)なってから充電を行い、且つ比較的高い4.2Vの電圧まで充電して、その充電回数を減少する。反対に、充電モード1では放電電流が比較的小さいため、電圧3.5Vのとき充電でき、且つ充電モード3のような高電圧まで充電する必要がなく、充電時間を短縮でき、同時に高充電電流1.5Vが引き起こす高温の影響を軽減する。このため、本発明はバッテリの異なる状態に基づいて異なる充電モードを提供し、バッテリに対するダメージを軽減し、かつバッテリ駆動時間と寿命を延長することができる。
【実施例2】
【0029】
続いて、図2に本発明のバッテリの充放電管理システムの別の実施形態のブロック図を示す。前記バッテリの充放電管理システム2は、バッテリ100の使用状態に基づいて異なる充電モードを提供し、そのうち、読取りモジュール20、分析モジュール21、充電モジュール22の機能は図1と同じであるため、説明を省略する。本実施例のバッテリの充放電管理システム2はさらに、保護モジュール23を含む。
【0030】
保護モジュール23はバッテリ100のバッテリパラメータのモニタリングを行い、且つバッテリパラメータが既定値より大きいときバッテリ100の充放電を停止するために用いられる。前述したように、電流、電圧または温度はいずれもバッテリ100に対して影響を生じるため、バッテリの充放電管理システム2は保護モジュール23を通して前記バッテリパラメータをモニタリングし、読取りモジュール20がバッテリパラメータの読取りを継続した後、分析モジュール21が分析を行い、充電が必要な場合は充電モジュール22が後続の充電モードの決定を行うが、分析モジュール21がバッテリ100のバッテリパラメータに異常状況があると判断したとき、例えば前記バッテリパラメータがある既定値より大きいときに警告を発生し、さらにはバッテリ100の充放電を停止する。
【0031】
例えば、温度が55℃より高い、または電圧が4.2Vを超過する、或いは電流が1.3Aを超過するとき、前記保護モジュール23が持続的な警告を発生して、使用者に現在バッテリ100が異常状態であることを通知し、温度が60℃より高い、または電圧が4.5Vを超過する、或いは電流が1.5Aを超過するときは、保護モジュール23がバッテリ100と接続された充電ユニット3または給電ユニット4に通知して、前記バッテリ100の充放電を停止させる。これによりバッテリが異常状況により破損することを回避することができる。
【0032】
次に、前述の図1に示すバッテリの充放電管理システムに組み合わせ、図3に本発明のバッテリの充放電管理システムのフローチャートを示す。図3に示すように、工程S301では、バッテリのバッテリパラメータを読取る。詳細に説明すると、バッテリ充放電管理機制が起動されると、バッテリのバッテリパラメータを継続的に読取る。前記バッテリパラメータはバッテリのそのときの状態を表し、そのうち、前記バッテリパラメータはバッテリの電圧、バッテリの電流、バッテリの温度、バッテリの容量のうち少なくとも1つを含む。続いて工程S302に進む。
【0033】
工程S302では、前記バッテリパラメータを分析して前記バッテリの使用状態を取得し、且つ放電パラメータを取得する。つまり、工程S302では、工程S301で取得したバッテリパラメータを分析し、例えばバッテリに異常があるか、充放電が頻繁すぎないか等、バッテリの状態を知ると共に、前記バッテリパラメータを利用して前記バッテリの放電パラメータを取得する。
【0034】
前述の放電パラメータは、前後2つのバッテリパラメータの平均値とすることができ、即ち、最新のバッテリパラメータとある一定時間前に取得したバッテリパラメータの平均とする。いわゆる一定時間とは、工程S301においてバッテリパラメータを毎回読み取る時間であり、このため、新たに取得したバッテリデータと前回取得したバッテリデータを相加平均後、そのときの放電パラメータとすることができる。続いて工程S303に進む。
【0035】
工程S303では、前記放電パラメータが臨界値より大きいか否かを判断し、前記臨界値はバッテリ特性に基づいて事前に設定され、バッテリ状態に対する判断基準として用いる。臨界値より大きくない場合、工程S301に戻り、前記バッテリのバッテリパラメータの読取りを継続する。大きい場合、工程S304に進む。
【0036】
工程S304では、そのときの放電曲線を記録する。続いて工程S305に進む。
【0037】
詳細に説明すると、工程S303ではバッテリの放電パラメータが臨界値より大きいか否かを判断し、大きくない場合はバッテリに充電が不要であることを表し、工程S301に戻ってバッテリパラメータの読取りが継続される。反対に、前記放電パラメータが臨界値より大きいときは、バッテリに対して充電を行なう必要があることを表し、このとき工程S304に進み、且つそのときの放電曲線を記録する。
【0038】
工程S305では、前記放電曲線に基づき対応する放電曲線モデルを取得して、対照表から対応する充電モードを提供する。詳しく説明すると、放電曲線は即ち前記バッテリの使用状況を表すため、複数の放電曲線モデルと複数の充電モードを備えた対照表から、そのときのバッテリに最適な充電モードを取得する。即ち、前記放電曲線が属する放電曲線モデルを判断し、対照表から放電曲線モデルに基づき対応する充電モードを取得して、異なる充電モードでバッテリ状態に基づき充電を行う。例えばバッテリの異なる放電電流の大きさ及びバッテリの電圧に基づき、異なる充電電流及び充電時間が与えられ、バッテリを予め定めた電圧まで充電する。これにより、バッテリが高温下に置かれる時間を短縮し、バッテリの使用寿命を延長することができる。
【0039】
別の実施例において、前記工程S304は放電パラメータが臨界値より大きいか否かを判断し、前記放電パラメータが臨界値より大きくないとき、放電曲線を変動しないこともできる。詳しく説明すると、元の充電モード下で、放電パラメータが臨界値を超過していないとき、即ちバッテリ状態の変化が大きくないことを表し、再度そのときの放電曲線を取得する必要がなく、元の取得済みの放電曲線に基づいて対応する充電モードを提供し、バッテリに対して充電を行う。
【0040】
このほか、前記工程S302において、さらに前記バッテリのバッテリパラメータのモニタリングを行い、且つ前記バッテリパラメータの異常時に前記バッテリの充放電を停止することを含む。これによりバッテリの使用過程の保護機制を提供する。前述から分かるように、バッテリの温度、電圧、電流はいずれもバッテリの機能に影響するため、バッテリパラメータの分析によりバッテリに異常状態があるか否かを知ることができ、例えば前記バッテリパラメータが既定値より大きいとき、警告を発生したり、充放電の動作を停止したりすることで、温度が高すぎたり、電圧が高すぎたり、電流が大きすぎたりするためにバッテリが破損することがないよう保護することができる。
【0041】
また、図4に本発明のバッテリの充放電管理システムの放電曲線図を示す。この図から分かるように、放電曲線図中の時間(t)とバッテリ温度(T)、バッテリの電圧(V)、バッテリの電流(I)、バッテリの容量(C)等のバッテリパラメータは正比例の関係にあり、即ち、時間が長いほど、放電曲線の放電パラメータ(温度、電圧、電流、容量を含む)が増加するため、前記バッテリの充放電管理システムは前記放電曲線に基づき提供する充電モードを決定することができる。
【0042】
上述をまとめると、本発明のバッテリの充放電管理システム及び方法は、バッテリ状態のモニタリングを通してバッテリに最善の充放電管理を提供し、これによりバッテリの過度の充放電を回避すると共に、効果的な温度管理を行なうことができ、バッテリが異なる放電電流及び電圧下にあるとき、異なる充電電流の大きさ及び充電時間の充電方式を提供し、高温の時間を減少したり、或いは過度の充放電頻度を減少したりすることでバッテリの破損を回避し、バッテリの寿命と駆動時間を延長する。また、本発明はさらにバッテリの保護機制も提供し、バッテリに異常状態が発生したとき警告を提供したり、充放電を停止したりすることで、バッテリ保護の効果も達する。
【符号の説明】
【0043】
1、2 バッテリの充放電管理システム
10、20 読取りモジュール
11、21 分析モジュール
12、22 充電モジュール
23 保護モジュール
3 充電ユニット
4 給電ユニット
100 バッテリ
S301〜S305 工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの使用状態に基づき対応する充電機制を提供するバッテリの充放電管理システムであって、
前記バッテリのバッテリパラメータを読み取るために用いる読取りモジュールと、
前記バッテリパラメータの分析に用いられ、前記バッテリの使用状態を判断し、放電パラメータを取得すると共に、そのときの放電曲線を記録する分析モジュールと、
複数の放電曲線モデルと複数の充電モードの対照表を備え、前記分析モジュールが記録した前記放電曲線に基づき対応する前記放電曲線モデルを取得し、前記対照表を参照して対応する前記充電モードを提供し、前記バッテリに対して充電を行う充電モジュールと、
を含むことを特徴とする、バッテリの充放電管理システム。
【請求項2】
各前記充電モードが、前記バッテリの異なる放電電流及び電圧に基づき、異なる充電電流及び充電時間を提供することを特徴とする、請求項1に記載のバッテリの充放電管理システム。
【請求項3】
前記バッテリパラメータが、バッテリの電圧、バッテリの電流、バッテリの温度、バッテリの容量のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリの充放電管理システム。
【請求項4】
前記放電パラメータが、前記バッテリパラメータと一定時間前に取得したバッテリパラメータの平均値であることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリの充放電管理システム。
【請求項5】
前記分析モジュールにさらに臨界値が設定され、前記放電パラメータが前記臨界値より大きいとき、前記そのときの放電曲線を記録することを特徴とする、請求項1に記載のバッテリの充放電管理システム。
【請求項6】
さらに保護モジュールを含み、前記バッテリのバッテリパラメータのモニタリングを行い、且つ前記バッテリパラメータが既定値より大きいとき、前記バッテリの充放電を停止するために用いられることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリの充放電管理システム。
【請求項7】
バッテリの使用状態に基づいて対応する充電機制を実行するために用いるバッテリの充放電管理方法であって、
(1)前記バッテリのバッテリパラメータを読み取る工程と、
(2)前記バッテリパラメータを分析し、前記バッテリの使用状態を取得して、放電パラメータを取得する工程と、
(3)前記放電パラメータを判断し、且つそのときの放電曲線を記録する工程と、
(4)複数の放電曲線モデルと複数の充電モードの対照表を提供し、前記放電曲線に基づき対応する前記放電曲線モデルを取得して、前記対照表から対応する前記充電モードを提供する工程と、
を含むことを特徴とする、バッテリの充放電管理方法。
【請求項8】
前記バッテリパラメータが、バッテリの電圧、バッテリの電流、バッテリの温度、バッテリの容量のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項7に記載のバッテリの充放電管理方法。
【請求項9】
前記工程(3)がさらに臨界値を提供し、前記放電パラメータが前記臨界値より大きいと判断したとき、前記そのときの放電曲線を記録することを特徴とする、請求項7に記載のバッテリの充放電管理方法。
【請求項10】
前記工程(3)がさらに臨界値を提供し、前記放電パラメータが前記臨界値より大きくないと判断したとき、工程(1)に戻って前記バッテリのバッテリパラメータ読取りを継続し、或いは前記放電曲線を変動せずに、前記工程(4)で前記放電曲線に基づき対応する前記充電モードを提供することを特徴とする、請求項7に記載のバッテリの充放電管理方法。
【請求項11】
前記工程(2)の放電パラメータが、前記バッテリパラメータと一定時間前に取得したバッテリパラメータの平均値であることを特徴とする、請求項7に記載のバッテリの充放電管理方法。
【請求項12】
前記工程(4)において、各前記充電モードが前記バッテリの異なる放電電流及び電圧に基づき、異なる充電電流及び充電時間で充電を行うことを特徴とする、請求項7に記載のバッテリの充放電管理方法。
【請求項13】
前記工程(2)がさらに前記バッテリのバッテリパラメータをモニタリングし、且つ前記バッテリパラメータの異常時に前記バッテリの充放電を停止することを含むことを特徴とする、請求項7に記載のバッテリの充放電管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−59244(P2013−59244A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−279893(P2011−279893)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(511236659)亞旭電子科技(江蘇)有限公司 (16)
【出願人】(507028952)亞旭電腦股▲ふん▼有限公司 (44)
【Fターム(参考)】